JP2008247684A - 焼成用容器及びそれを用いたセラミックスの焼成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルカリ金属元素に対する耐蝕性に優れる焼成用容器を提供する。
【解決手段】Alの含有量が90重量%以上であり、残部に含まれるSiOとMgOの重量比の値が3以上6以下である組成物からなる焼成用容器。この焼成用容器は、アルカリ金属元素を含有する電子セラミックス部品を焼成する際に極めて優れた性能を発揮する。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックスを焼成する際に用いる焼成用容器に関する。
セラミックス製の容器は耐熱性・耐蝕性に優れるために、化学分析、ガラス溶解、金属精錬・溶解、合金製造、結晶育成用などの各種用途に従来から広く用いられている。特に、セラミックスの分解・合成・焼結などを行うセラミックス工業製品の製造現場では、サヤ、トレー、セッターなど呼称を変えて、焼成工程中において焼成用容器として繰り返し多数使用されている。このうち、アルミナ質の焼成用容器は、耐熱性、機械的特性、化学安定性に優れ、しかも比較的安価に供給可能であるため、汎用的に使用されている。
しかし、従来のアルミナ質の焼成用容器は、アルカリ金属元素に対する耐蝕性が十分ではないという問題があった。すなわち、アルカリ金属元素は焼成用容器との反応性が高いために、(1)被焼成物に含まれるアルカリ金属元素が焼成用容器の内部にまで浸食する、(2)被焼成物が焼成用容器の表面に付着して焼成用容器を傷めてしまう、など種々の問題があった。このため、従来のアルミナ質の焼成用容器は、数回の焼成工程毎に新しい焼成用容器に交換する必要があった。さらに、アルカリ金属元素による腐蝕が激しい場合には、1回の焼成工程毎に焼成用容器を交換しなければならないこともあった。
このような問題の解決策として、プラチナなどの貴金属製の焼成用容器を使用することが考えられる。しかし、大量生産する電子セラミックス部品の分野では、部品の単価を一円単位で削減することが強く求められており、高価な貴金属製の焼成用容器を使用することは現実的には採り得ない策であった。
そこで、従来、アルカリ金属元素に対する耐蝕性を高めた焼成用容器として、特許文献1、2に開示された焼成用容器が提案されている。
特許文献1に開示された焼成用容器は、被焼成物と接触する表面に、アルカリ金属元素との反応性の低い耐蝕層を形成したものである。しかし、この焼成用容器は、容器本体の表面から耐蝕層が剥離して被焼成物中に混入するおそれがあった。また、容器本体の表面から耐蝕層が剥離することによって、容器本体の強度が低下するおそれがあった。
特許文献2に開示された焼成用容器は、内部の空隙率を所定範囲に設定することによって、アルカリ金属の蒸気を焼成用容器の内部に均一に浸透させるようにしたものである。しかし、この焼成用容器は、内部の空隙率が高く通気性があるために、例えば圧電セラミックスの焼成工程のように、被焼成物中の揮発成分による雰囲気中の組成変動を防ぐ必要のあるセラミックスの焼成工程には使用することができないという問題があった。
特開2002−274957公報 特開2002−308668公報
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、アルカリ金属元素に対する耐蝕性に優れる焼成用容器を提供することである。
課題を解決するための手段は、以下の発明である。
(1)Alの含有量が90重量%以上であり、残部に含まれるSiOとMgOの重量比の値が3以上6以下である組成物からなる焼成用容器。
(2)アルカリ金属元素を含有するセラミックスを焼成するために用いられる上記(1)に記載の焼成用容器。
(3)上記(1)に記載の焼成用容器を用いてアルカリ金属元素を含有するセラミックスを焼成することを特徴とするセラミックスの焼成方法。
本発明によれば、アルカリ金属元素に対する耐蝕性に優れる焼成用容器を提供することが可能となる。
本実施形態では、数種類の焼成用容器を作製し、作製した焼成用容器を使用してアルカリ金属元素含有セラミックスを焼成した。また、焼成に用いた焼成用容器の底部断面を観察することによって、焼成用容器の耐蝕性を評価した。さらに、被焼成物の強誘電体分極履歴曲線を測定することによって、被焼成物の電気的特性を評価した。
1.焼成用容器の作製
石膏型の内部に原料スラリーを流し込むことによって、外径φ約20mm、高さ約20mmの成形体を作製した(スリップキャスト成形法)。得られた成形体を1600℃の温度で焼成することによって、以下の表1の組成を有する焼成用容器を作製した。
Figure 2008247684
2.ニオブ酸ナトリウムカリウム(NKN)の調製
被焼成物となるアルミナ金属元素含有セラミックスとして、ニオブ酸ナトリウムカリウムNa0.50.5NbO(NKN)を次の手順により調製した。なお、このNKNは、非鉛化圧電セラミックスの有力な候補として近年重要性が高まっているセラミックス材料である。
まず、NaCO、KCOおよびNbをモル比で1:1:2となるよう秤量した。次に、秤量後の混合粉体をポリプロピレン製容器に充填した後に、ジルコニアボールとアセトン溶媒を加えて湿式ボールミルにより混合を行った。得られたスラリーをオーブンで乾燥させた後に、アルミナ製乳鉢中で解砕した。
3.NKNの焼成
上記1で作製した焼成用容器の底部を完全に覆うようにして、上記2で調製したNKN粉体0.8gを敷きつめて圧粉した後に、焼成用容器の口にアルミナ製の蓋をした(図1参照)。この焼成用容器を電気炉中に装填して図2及び図3に示す2通りの焼成スケジュールに従ってNKN粉体の焼成を行った。
図2に示す焼成スケジュール(以下、このスケジュールを「R−1」と呼ぶ)では、電気炉の温度を室温から5℃/minの速度でNKN粉体の融点以上である1250℃にまで昇温した後に、電気炉の温度を1250℃で1時間保持した。その後、電気炉の温度を5℃/minの速度で室温まで冷却した。
図3に示す焼成スケジュール(以下、このスケジュールを「R−3」と呼ぶ)では、図2に示すスケジュール(R−1)を3回繰り返した。
4.焼成用容器の底部断面の観察
上記3におけるNKNの焼成に使用した焼成用容器を破砕することによって、焼成用容器の底部の一部を取り出した。そして、この焼成用容器の底部断面の状態を、偏光顕微鏡により観察して写真撮影を行った。撮影された写真の一例を図4に示す。
図4の写真を見ればわかるように、NKNの焼成に使用した焼成用容器の底部断面には、上から順番に、NKN層、反応層、及び浸入層が観察された。
NKN層とは、図4中のA線からB線までの層であり、NKNの焼成体からなる層である。
反応層とは、図4中のB線からC線までの層であり、NKNに含まれるアルカリ金属元素と焼成用容器との反応物からなる層である。
浸入層とは、図4中のC線からD線までの層であり、NKNに含まれるアルカリ金属元素が焼成用容器の内部にまで浸入した層である。
また、焼成用容器の底部の組成を調べるために、NKN層の表面部(図4のA線上の部分)、反応層の表面部(図4のB線上の部分)、及び浸入層の表面部(図4のC線上の部分)のX線回折を行った。さらに、各部を構成している物質の化学組成を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)によって調べた。
5.焼成用容器の耐蝕性評価
(実施例1)
A−1の焼成用容器を使って、R−1のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ70μmの反応層が確認され、厚さ145μmの浸入層が観察された。また、浸入層において、50〜100μmの楕円形の気孔状組織が観察され、この気孔状組織を起点とするクラックの形成も確認された。C部からはβ−Alの生成も確認された。
各部の組成分析の結果、A線の部分ではKよりもNa濃度が5.4倍高く、逆にB線の部分ではNaよりもK濃度が33.0倍高い値となった。すなわち、Naと比較して、Kの方がより焼成用容器と反応しやすく、焼成用容器の内部まで浸入している結果となった。
(実施例2)
AS−1の焼成用容器を使って、R−1のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ106μmの反応層が確認され、厚さ102μmの浸入層が確認された。さらに、反応層を介して、溶融後に固化した被焼成物NKN側に焼成用容器中の成分が溶出した層(以下、この層のことを「溶出層」と呼ぶ)が確認された。この溶出層の厚さは145μmであった。
(実施例3)
AS−2の焼成用容器を使って、R−1のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ170μmの反応層が確認され、厚さ189μmの浸入層が確認された。また、厚さ150μmの溶出層も確認された。
(実施例4)
AS−3の焼成用容器を使って、R−1のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ58μmの反応層が確認され、厚さ107μmの浸入層が確認された。また、厚さ117μmの溶出層も確認された。
(実施例5)
AS−4の焼成用容器を使って、R−1のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ98μmの反応層が確認され、厚さ86μmの浸入層が確認された。また、厚さ82μmの溶出層も確認された。
(実施例6)
AS−1の焼成用容器を使って、R−3のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ131μmの反応層が確認された。浸入層は容器底部の最深部付近にまで達しており、その厚さは1687μmであった。また、浸入層中では、50〜100μmの円形及び楕円形の気孔状組織と、50〜300μmの白斑状組織が観察された。さらに、NKN層と反応層との境界付近には、その界面に平行方向に500μm程度のクラックの生成が確認された。C部からはβ−Alの生成も確認された。
各部の組成分析の結果、A線の部分ではKよりもNa濃度が2.4倍高く、逆にB線の部分ではNaよりもK濃度が34.1倍高い値となった。C線の部分ではNa及びKのどちらも検出されなかった。
(実施例7)
AS−1の焼成用容器を使って、R−3のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。さらに、不定形の白色析出物も確認された。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ271μmの反応層が確認され、厚さ174μmの浸入層が確認された。
溶出層は不明瞭であってその同定は不能であった。これは、溶出層がNKN層の表面にまで達したことが原因であると推測される。
(実施例8)
AS−2の焼成用容器を使って、R−3のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。さらに、不定形の白色析出物も確認された。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ506μmの反応層が確認され、厚さ271μmの浸入層が確認された。
溶出層は不明瞭であってその同定は不能であった。これは、溶出層がNKN層の表面にまで達したことが原因であると推測される。
(実施例9)
AS−3の焼成用容器を使って、R−3のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ252μmの反応層が確認され、厚さ174μmの浸入層が確認された。
溶出層は不明瞭であってその同定は不能であった。これは、溶出層がNKN層の表面にまで達したことが原因であると推測される。
(実施例10)
AS−4の焼成用容器を使って、R−3のスケジュールに従ってNKN粉末の焼成を行った結果、被焼成物であるNKN粉末が完全に溶融した後に固化し、焼成用容器の底部に角状および針状の粒子が生成した。
焼成用容器の底部断面を観察した結果、厚さ311μmの反応層が確認され、厚さ194μmの浸入層が確認された。
溶出層は不明瞭であってその同定は不能であった。これは、溶出層がNKN層の表面にまで達したことが原因であると推測される。
上記実施例1〜10の結果をまとめたものを、以下の表2に示す。
なお、表2において、「浸食深さ」とは、反応層厚さと浸入層厚さとの合計値を示している。この「浸食深さ」は、被焼成物に含まれるアルカリ金属元素による焼成用容器底部の腐蝕の程度を表している。この浸食深さが大きいほど、アルカリ金属元素による腐蝕が激しいということである。反対に、この浸食深さが小さいほど、アルカリ金属元素による腐蝕が抑制されており、焼成用容器の耐蝕性が高いということである。
Figure 2008247684
図5に、上記実施例1〜10の「浸食深さ」を縦軸に、MgO/(SiO+MgO)×100[%]を横軸にプロットしたグラフを示す。
図5のグラフを見ればわかるように、R−1及びR−3のいずれの焼成スケジュールにおいても、AS−3の浸食深さが最も小さく、AS−2の浸食深さが最も大きいことが判明した。つまり、被焼成物に含まれるアルカリ金属元素に対する焼成用容器の耐蝕性を高めるためには、AS−1、AS−3、AS−4が好ましく、この中でも、AS−3が最も好ましいことが判明した。
そして、AS−1におけるSiOとMgOの重量比の値は6であり、AS−4におけるSiOとMgOの重量比の値は3であることから、SiOとMgOの重量比の値を3以上6以下の範囲に設定することによって、アルカリ金属元素に対する焼成用容器の耐蝕性が顕著に高まることが見出された。
6.被焼成物の電気的特性評価
上記2「ニオブ酸ナトリウムカリウム(NKN)の調製」で得られたNKN粉末を950℃で仮焼成した後にボールミル混合にて解砕した後に、バインダとしてポリビニルアルコール水溶液を添加して攪拌混合を行った。次に、得られた混合物を目開き100μmのふるいを使用して造粒した後に、一軸加圧機および冷間等方圧プレス機を使用して直径12mm高さ0.8mmの円筒形に成形した。この成形体を、A−1、AS−1〜AS−4の各焼成用容器内に装填した後に、この焼成用容器を大気中において室温から3℃/minの速度で300℃まで昇温し、脱脂のために同温度で2時間保持した後、3℃/minの速度で1100℃まで再び昇温し、同温度で2時間保持して成形体の焼成を行った。このようにして得られたNKN焼成体(被焼成物)を室温まで自然冷却した後に、このNKN焼成体における焼成用容器との接触面、及び、焼成用容器側の接触面のX線回折を行った。さらにNKN焼成体における焼成用容器との接触面に導電性銀ペーストを塗布した後、大気中にて700℃で焼成して銀電極を形成した。この銀電極について、独アグザクト社製強誘電体テスタTF−2000HVを使用して強誘電体分極履歴曲線を測定し、その際の電流-電圧特性についても測定を行った。
(実施例11)
A−1の焼成用容器を用いて焼成したNKN焼成体(被焼成物)は、ペロブスカイト単相を示した。このNKN焼成体に形成された銀電極について強誘電体分極履歴曲線を測定した結果、図6に示すように、電流リーク成分を含む楕円形に近い履歴曲線が確認された。また、履歴曲線測定中における電流−電圧特性を測定した結果、図7に示すように、印加電界強度に比例して2つの電流値極大点(以下、第一極大点および第二極大点と呼ぶ)の存在が確認された。最大印加電界を20、25、及び30kV/cmとした場合、第一極大点の電界値はそれぞれ5.6、5.7、及び6.4kV/cmとなり、第二極大点の電界値はそれぞれ17.2、20.3、及び22.8kV/cmと変化した。第一極大点と第二極大点は、それぞれ試料中のドメインスイッチおよび界面分極の影響を反映しており、後者は組成変動に伴う表面欠陥の影響を反映している。
(実施例12)
AS−1の焼成用容器を用いて焼成したNKN焼成体(被焼成物)は、ペロブスカイト単相を示した。このNKN焼成体に形成された銀電極について強誘電体分極履歴曲線を測定した結果、図8に示すように、強誘電体特有のS字型の履歴曲線が確認された。しかし、その形状は、印加電界=0となる原点を中心として左右非対称であり、NKN焼成体の組成変動によって空間電荷が発生していることが推測される結果となった。また、履歴曲線測定中における電流−電圧特性を測定した結果、図9に示すように、試料中のドメインスイッチの存在を示す第一極大点のみが認められたが、正負電界領域でその極大量が異なっていた。
(実施例13)
AS−2の焼成用容器を用いて焼成したNKN焼成体(被焼成物)は、ペロブスカイト単相を示した。このNKN焼成体に形成された銀電極について強誘電体分極履歴曲線を測定した結果、図10に示すように、強誘電体特有のS字型の履歴曲線が確認された。しかし、その形状は、印加電界=0となる原点を中心として左右非対称であり、NKN焼成体の組成変動によって空間電荷が発生していることが推測される結果となった。また、履歴曲線測定中における電流−電圧特性を測定した結果、図11に示すように、試料中のドメインスイッチの存在を示す第一極大点のみが認められたが、正負電界領域でその極大量が異なっていた。
(実施例14)
AS−3の焼成用容器を用いて焼成したNKN焼成体(被焼成物)は、ペロブスカイト単相を示した。このNKN焼成体に形成された銀電極について強誘電体分極履歴曲線を測定した結果、図12に示すように、強誘電体特有のS字型の履歴曲線が確認された。その形状は、印加電界=0となる原点を中心として左右ほぼ完全に対称であり、NKN焼成体の組成が均一でかつ優れた電気的特性を有することを確認することができた。また、履歴曲線測定中における電流−電圧特性を測定した結果、図13に示すように、試料中のドメインスイッチの存在を示す第一極大点のみが認められ、正負電界領域でその極大量もほぼ等しい結果となった。
(実施例15)
AS−4の焼成用容器を用いて焼成したNKN焼成体(被焼成物)は、ペロブスカイト単相を示した。このNKN焼成体に形成された銀電極について強誘電体分極履歴曲線を測定した結果、図14に示すように、強誘電体特有のS字型の履歴曲線が得られた。その形状は、印加電界=0となる原点を中心として左右ほぼ対称であったが、最大印加電圧の変化によりその形状にブレ変化が生じる結果となった(つまり、履歴曲線の形状に電界依存性が認められる結果となった)。また、履歴曲線測定中における電流−電圧特性を測定した結果、図15に示すように、試料中のドメインスイッチの存在を示す第一極大点のみが認められたが、正負電界領域でその極大量が異なっていた。
以上の結果からわかるように、AS−1、AS−3、及びAS−4の焼成用容器は、被焼成物の電気的特性に悪影響を及ぼしにくいことが判明した。この中でも、特に、AS−3の焼成用容器は、被焼成物の電気的特性に最も悪影響を及ぼしにくいことが判明した。このことは、AS−1、AS−3、及びAS−4の焼成用容器が、電子セラミックス部品を焼成する際に使用した場合に極めて優れた性能を発揮することを意味している。
以上説明したように、本発明によれば、アルカリ金属元素に対する耐蝕性に優れる焼成用容器を実現することが可能である。また、被焼成物の電気的特性に悪影響を及ぼしにくい焼成用容器を実現することが可能である。
焼成用容器の底部にNKN粉体を敷きつめて圧粉した後に、アルミナ製の蓋を取り付けた状態を示している。 R−1の焼成スケジュールを示している。 R−3の焼成スケジュールを示している。 焼成用容器の底部断面の偏光顕微鏡による写真である。 実施例1〜10の「浸食深さ」を縦軸に、MgO/(SiO+MgO)×100[wt%]を横軸にプロットしたグラフである。 A−1の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の強誘電体分極履歴曲線である。 A−1の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の電流−電圧特性である。 AS−1の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の強誘電体分極履歴曲線である。 AS−1の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の電流−電圧特性である。 AS−2の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の強誘電体分極履歴曲線である。 AS−2の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の電流−電圧特性である。 AS−3の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の強誘電体分極履歴曲線である。 AS−3の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の電流−電圧特性である。 AS−4の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の強誘電体分極履歴曲線である。 AS−4の焼成用容器を用いて焼成されたNKN焼成体の電流−電圧特性である。

Claims (3)

  1. Alの含有量が90重量%以上であり、残部に含まれるSiOとMgOの重量比の値が3以上6以下である組成物からなる焼成用容器。
  2. アルカリ金属元素を含有するセラミックスを焼成するために用いられる請求項1に記載の焼成用容器。
  3. 請求項1に記載の焼成用容器を用いてアルカリ金属元素を含有するセラミックスを焼成することを特徴とするセラミックスの焼成方法。
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