JP2008247018A - ポリ乳酸樹脂層を含む積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリ乳酸樹脂からなる層(A)と、エチレンと不飽和カルボン酸エステルを構成単位として含む共重合体又はその共重合体を10重量%以上含む樹脂組成物からなる層(B)を積層してなる積層体。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸系樹脂を用い、コップ等のような比較的深絞りの容器類を、樹脂本来の透明性や剛性を維持したまま製造できる方法、該方法で得られた成形品の発明が開示されている。
又、特許文献2には、ラベルや包装用の用途に好適な低温収縮性に優れた透明性収縮フィルムの発明が記載されている。
このような積層フィルムの積層方法には、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出サンドラミネート法、押出コーティング法等があるが、製造コスト、効率面から押出コーティングが望ましい。
従って、従来必要とされていたアンカーコート剤等を使用することなく、成形加工性に優れ、層間接着性が良好なポリ乳酸樹脂積層フィルム等の積層体を容易且つ安価に押出コーティングによって製造する方法の出現が強く求められていた。
このため、本発明の積層フィルム、シート、袋等の積層体は従来品に比べて高生産効率で且つ低製造コストとなり、食品、化粧品等の包装用フィルム、袋等に好適に用いられる。
本発明の積層体に於いて、層(A)の構成樹脂であるポリ乳酸樹脂(PLA)としては、乳酸類の重合体であるポリ乳酸や乳酸類を主たる原料とする乳酸共重合体、例えば、乳酸・ヒドロキシカルボン酸共重合体や乳酸・脂肪族多価アルコール・脂肪族多塩基酸共重合体等を挙げることができる。
これらは単独で使用しても、二種以上を組合せて使用してもよい。
これらは単独で使用しても、二種以上を組合せて使用してもよい。
これらは単独で使用しても、二種以上を組合せて使用してもよい。
重合体はフィルム、シート等積層体に所定強度を付与するに足る分子量を有していることが必要で、重量平均分子量が3万〜100万程度のものが好ましい。
共重合体(B−1)としては、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体や多元系のエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体等を挙げることができる。
前記共重合体(B−1)での不飽和カルボン酸エステル成分としてはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸等の炭素数1〜20のアルキルエステルを挙げることができ、アルキル基としてより具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のアルキル基を例示することができる。
これらの内ではアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、特にアクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、イソブチルエステルが好ましい。
又、多元系のエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体を用いる場合、不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸等を例示でき、特にアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
該樹脂組成物に於いて、エチレンと不飽和カルボン酸エステルを構成単位として含む共重合体(B−1)の含有量が10重量%を下回る場合は、共重合体本来の特性が充分に樹脂組成物に反映されず接着性や柔軟性が低下し、結果として得られる積層体の層間接着性が十分でなくなる。
共重合体(B−1)含有量は10重量%以上、特に15重量%以上であることが好ましい。
これらの内では、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体及び、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒重合ポリエチレンやエチレン・α−オレフィンとの共重合体等であるエチレン系樹脂が好ましい。
前記層(B)を構成する共重合体(B−1)又は樹脂組成物(B−2)に於いて、(メタ)アクリル酸エステル単位等の不飽和カルボン酸エステル単位は主として樹脂の柔軟性付与とポリ乳酸樹脂層を含む他樹脂層、特に極性基を有する他樹脂層に対する接着親和力を強化する作用を奏する。
本発明では、ポリエチレン等を代表とするヒートシール性樹脂を積層する場合の他、PET(ポリエチレンテレフタレート)やOPP(延伸配向ポリプロピレン)フィルム、ポリエーテルフィルム、ポリカーボネートフィルム等を支持基材として用いる場合を考慮してその接着性強化の観点から、組成物(B−2)中の(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル単位は2〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%の範囲で含まれるのが好ましい。
チューブラー高圧重合法とは、チューブラー反応器を使用し、高圧で遊離基触媒を用いてラジカル重合する方法であり、例えば、特開昭62−273214号公報等に記載されている方法が例示できる。
このチューブラー高圧重合法で得られた共重合体は、不飽和カルボン酸エステル含有量:X(モル%)と共重合体融点:T(℃)(DSC法による融点、JIS K7121に準拠)との関係が下記式(I)、
−3.0X+125≧T≧−3.0X+109…(I)
を満足することが特徴であって、他の重合法で得られた相当組成の共重合体に比べて融点が高く、従ってこのチューブラー高圧重合法で得られた共重合体を用いた樹脂材は耐熱性により優れる。
また、本発明において前記共重合体(B−1)としてチューブラー高圧重合法で得られた共重合体を用いた場合はガラス、ポリエステル樹脂に対する接着性にも優れる。
該積層フィルム、シート等の成形方法としてはドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出サンドラミネート法、押出コーティング法等があるが、特に製造コスト、生産効率面で、例えば、押出ラミネーター等を用いた共押出コーティング積層法等が好ましい。
この場合、ポリ乳酸樹脂フィルムの積層面にはコロナ処理を施しても良く、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体又はその樹脂組成物層(B)にも積層時に積層面にオゾン処理を施しても良い。
そうすることが層間接着性の向上の観点からは好ましい。
また、ポリ乳酸樹脂フィルムの積層面に少量のアンカーコート処理を施してもよい。
まず、基材フィルム繰り出し部より2軸延伸ポリ乳酸樹脂フィルムを一定速度で繰り出し、ラミネート部に導く。
ラミネート部では、シリンダー内に所定温度に加熱溶融され、連続的にT型ダイスから薄膜状に押出されたコーティング樹脂(エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体樹脂)の溶融薄膜を前記ポリ乳酸樹脂フィルム面上に直接垂らし、冷却ロールと圧縮ロール間で前記ポリ乳酸樹脂フィルムと押出コーティング樹脂とを圧縮及び冷却を同時に行った後に、巻取り部で積層フィルム製品として巻取る。
ヒートシール性樹脂層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン共重合体、アイオノマー、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)等を例示することができる。
バリア層としては、アルミニウム箔(AL箔)、アルミニウムやシリカ、アルミナを蒸着したポリエステルフィルム(蒸着PET)、蒸着ポリアミドフィルム(蒸着Ny)、蒸着ポリ乳酸樹脂フィルム(蒸着PLA)等を例示することができる。
各種基材としては、ポリエチレン等のエチレン系樹脂の他に、ポリエステルフィルム(PET)、ポリアミドフィルム(Ny)、ポリプロピレンフィルム(PP)、延伸配向ポリプロピレンフィルム(OPP)、ポリエーテルフィルム、ポリカーボネートフィルム、紙、アルミニウム箔(AL箔)、アルミニウムやシリカ、アルミナを蒸着したポリエステルフィルム(蒸着PET)、蒸着ポリアミドフィルム(蒸着Ny)、蒸着ポリ乳酸樹脂フィルム(蒸着PLA)等を例示することができる。
(a)PLA(ポリ乳酸樹脂)層(A)/EX(押出コーティング樹脂)層(B)
(b)PLA層(A)/EX層(B)/PE(ポリエチレン)層
(c)PLA層(A)/EX層(B)/EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)層
(d)PLA層(A)/EX層(B)/蒸着PLA/EX層(B)/PE層
(e)PLA層(A)/EX層(B)/AL箔層/EX層(B)/PE層
(f)PLA層(A)/EX層(B)/蒸着PET層/EX層(B)/PE層
(g)PLA層(A)/EX層(B)/蒸着Ny層/EX層(B)/PE層
(h)PLA層(A)/EX層(B)/PP(ポリプロピレン)層
(i)PLA層(A)/EX層(B)/AL箔層
(j)PLA層(A)/EX層(B)/AL箔層/エチレン共重合体層
等を挙げることができる。
これ等の積層フィルム、シートに於ける層(A)の厚さは特に限定されるものではないが、10〜30μm程度が、又、エチレンと不飽和カルボン酸エステルを構成単位として含む共重合体又はその樹脂組成物からなる層(B)の厚さは、5〜15μm程度が好ましい。
ここでも、適宜、コロナ処理やオゾン処理、少量のアンカーコート処理等を施しても良い。
尚、各実施例に於いて使用したフィルム層構成、各層成分樹脂種、積層方法、積層フィルム評価方法は以下の通りである。
ポリ乳酸樹脂フィルム層(PLA層)/エチレンと不飽和カルボン酸エステルを構成単位として含む共重合体又はそれを含む樹脂組成物層(押出コーティング樹脂層)/線状低密度ポリエチレンフィルム層(LLDPE層)
(各層成分樹脂性状)
i) ポリ乳酸樹脂(PLA)フィルム: 東セロ社製、パルグリーンLC(2軸延伸フィルム、厚さ25μm、片面コロナ処理)
ii) 線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム: 東セロ社製、TUC−FCS(厚さ40μm)
iii) エチレン・アクリル酸メチル共重合体(a−1):アクリル酸メチル含有量20重量%、エチレン残余、融点92℃、MFR8g/10分(JIS K7210に準拠、190℃、2160g荷重、以下viまで同じ)
iv) エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(b−1):メタクリル酸含有量4重量%、アクリル酸イソブチル含有量7.5重量%、エチレン残余、MFR14g/10分
v) エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(b−2):メタクリル酸含有量2重量%、アクリル酸イソブチル含有量6重量%、エチレン残余、MFR10g/10分
vi) 低密度ポリエチレン(c−1):融点111℃、密度0.923g/cm3、MFR=4.5g/10分
(押出積層方法)
押出ラミネート装置(65mmφ、E/C)を用いてPLA樹脂フィルムとLLDPEフィルムとを繰り出し、それらの間にエチレンと不飽和カルボン酸エステルを構成単位として含む共重合体又はそれを含む樹脂組成物層(押出コーティング樹脂層)をダイ下樹脂温度287℃(実施例1〜5)或いは315℃(実施例6〜10)でそれぞれ押出サンドラミネートし積層フィルムを得た。
接着強度の評価
1) PLA/押出コーティング樹脂層間接着強度(N/15mm)
前記積層法で得られたフィルムを下記条件でエージングした後に剥離試験(試料幅15mm、剥離角度90°、引張速度300mm/min.)を実施した。
エージング条件:(1)23℃×1週間、(2)50℃×1日
尚、PLA/押出コーティング樹脂層間接着強度(N/15mm)は平均値で0.8N/15mm程度あれば積層フィルムとして実用可能と考えられる。
このため接着強度0.8N/15mm以上のものを実施例とした。
2)LLDPE層面ヒートシール強度(N/15mm)
積層フィルムのLLDPE面同士を重ねあわせたものをテフロン(登録商標)シートに挟んでヒートシーラーを用いてシール圧力0.2MPa、シール時間0.5秒で、130,140,160℃各温度下にヒートシールし、該シール層の接着強度を剥離試験(試料幅15mm、剥離角度90°、引張速度300mm/分)により測定した。
尚、LLDPE層面ヒートシール強度(N/15mm)は10N/15mmあれば積層フィルムとして実用可能と考えられる。
このためヒートシール強度10N/15mm以上のものを実施例とした。
エチレン・アクリル酸メチル共重合体(a−1)を押出コーティング樹脂としてPLA層/押出コーティング樹脂層(10μm)/LLDPE層の積層フィルムを作製し、PLA層/押出コーティング樹脂層の層間接着強度を測定評価した。
更に、その積層フィルムのLLDPE層面同士のヒートシール強度を上記評価方法( 2)LLDPE層面ヒートシール強度)により測定評価した。
それらの評価結果を表1に示す。
押出コーティング樹脂層のPLA側の面をラミネーションの際にオゾン処理した以外は実施例1と全く同様にして積層フィルムを作製し、その層間接着強度を測定評価した。
又、該積層フィルムのLLDPE層面同士のヒートシール強度を実施例1と同様にして測定評価した。
それらの評価結果を表1に示す。
実施例1において、押出コーティング樹脂層の厚みを15μmにした以外は実施例1と全く同様な積層フィルムを作製し、PLA層/押出コーティング樹脂層の層間接着強度を測定評価した。
更に、その積層フィルムのLLDPE層面同士のヒートシール強度を実施例1と同様にして測定評価した。
それらの評価結果を表1に示す。
実施例3に於ける押出コーティング樹脂層のPLA側の面をラミネーションの際にオゾン処理した以外は実施例3と全く同様の積層フィルムを作製し、その層間接着強度を測定評価した。
又、該積層フィルムのLLDPE層面同士のヒートシール強度を実施例1と同様にして測定評価した。
それらの評価結果を表1に示す。
エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(b−1)を押出コーティング樹脂としてPLA層/押出コーティング樹脂層(15μm)/LLDPE層の積層フィルムを作製し、PLA層/押出コーティング樹脂層の層間接着強度を測定評価した。
又、その積層フィルムのLLDPE層面同士のヒートシール強度を測定評価した。
それらの評価結果を表1に示す。
エチレン・アクリル酸メチル共重合体(a−1)30重量%とエチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(b−1)70重量%からなる共重合体混合物を押出コーティング樹脂としてPLA層/押出コーティング樹脂層(10μm)/LLDPE層の積層フィルムを作製し、PLA層/押出コーティング樹脂層の層間接着強度を測定評価した。
更に、その積層フィルムのLLDPE層面同士のヒートシール強度を実施例1と同様の評価方法で測定評価した。
それらの評価結果を表2に示す。
押出コーティング樹脂層のPLA側の面をラミネーションの際にオゾン処理した以外は実施例6と全く同様にして積層フィルムを作製し、その層間接着強度を測定評価した。
又、該積層フィルムのLLDPE層面同士のヒートシール強度を実施例1と同様にして測定評価した。
それらの評価結果を表2に示す。
押出コーティング樹脂として前記(a−1)20重量%、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(b−2)60重量%、低密度ポリエチレン(c−1)20重量%からなる樹脂組成物を用い実施例6と同様にしてPLA層/押出コーティング樹脂層(7μm)/LLDPE層の積層フィルムを作製し、その層間接着強度を測定評価した。
それらの評価結果を表2に示す。
押出コーティング樹脂層の厚みを10μmにした以外は実施例8と全く同様の積層フィルムを作製し、その層間接着強度を測定評価した。
それらの評価結果を表2に示す。
押出コーティング樹脂層のPLA層側の面をラミネーションの際にオゾン処理した以外は実施例9と同様にして積層フィルムを作製し、その層間接着強度を測定評価した。
又、該積層フィルムのLLDPE層面同士のヒートシール強度を実施例1と同様にして測定評価した。
それらの評価結果を表2に示す。
Claims (5)
- ポリ乳酸樹脂からなる層(A)と、エチレンと不飽和カルボン酸エステルを構成単位として含む共重合体又は該共重合体を10重量%以上含む樹脂組成物からなる層(B)を積層してなる積層体。
- 前記エチレンと不飽和カルボン酸エステルを構成単位として含む共重合体の不飽和カルボン酸エステル成分含有量が4〜30重量%である請求項1記載の積層体。
- 前記エチレンと不飽和カルボン酸エステルを構成単位として含む共重合体がエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体又はエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体である請求項1又は2の何れかに記載の積層体。
- 前記層(B)が樹脂組成物層である場合に於いて、該樹脂組成物に於けるエチレンと不飽和カルボン酸エステルを構成単位として含む共重合体以外の樹脂成分がオレフィン系重合体樹脂から選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至3の何れかに記載の積層体。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の積層体の前記層(B)側の表面に更にヒートシール性樹脂層を含む少なくとも1層を積層してなる積層体。
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