JP2008246939A - 射出成形方法及び光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】書面に垂直方向に対して傾斜した…目視可能とする。
【解決手段】本発明に係る射出成形方法は、熱可塑性樹脂中に無機微粒子が分散された有機無機複合材料を成形する射出成形方法であって、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより高い温度に保たれた金型1のキャビティ26に前記有機無機複合材料を射出する工程と、金型1の温度が前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以下になるまで金型1を冷却する工程と、金型1のキャビティ26から前記有機無機複合材料で構成された成形品を取り出す工程と、を有し、金型1を冷却する工程における平均冷却速度が0.4〜3.0K/secである。
【選択図】図1

Description

本発明は射出成形方法及び光学素子に関し、特に、熱可塑性樹脂中に無機微粒子が分散された有機無機複合材料を成形する射出成形方法及びその方法で作製された光学素子に関する。
近年、カメラ用光学素子、光ピックアップ装置用光学素子、光通信用光学素子等、様々な光学用途に用いられる光学素子として、ガラス製光学素子やプラスチック製光学素子が知られている。中でもプラスチック製光学素子は射出成形法を用いて効率よく製造することができる為、ガラス製の光学素子に比べて低コストで生産することが可能であり広く用いられている。
特に、CD、DVD、高密度DVD等の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に用いられる光学素子としても、ガラス製光学素子よりも低コストで生産できるプラスチック製光学素子の開発が進められている。しかしながら、プラスチック製光学素子は、ガラス製光学素子に比べて周囲の温度変化や湿度変化といった環境変化によりその光学性能が著しく変動するという問題がある為、光ピックアップ装置に用いられる光学素子のように、非常に精密な光学性能が求められる光学素子として用いる場合は改善が求められていた。そこで、熱可塑性樹脂に微小な無機微粒子を分散させることにより、光学素子としての透明性を損なうことなく光学性能を向上させた有機無機複合材料を用いた光学素子が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。このような有機無機複合材料を用いることで、低コストで生産可能な射出成形法を用いて製造可能であり、且つ、光学性能も改良された光学素子が研究されている。
一方、現在プラスチック製光学素子を射出成形法により成形する際には、通常樹脂の温度を樹脂のガラス転移温度Tgよりも十分高く保つことで、樹脂の粘度を低くした状態で、樹脂のガラス転移温度Tg以下に保った金型内に射出することで成形が行われている。しかしながら、上記のように熱可塑性樹脂に無機微粒子が分散された有機無機複合材料は、一般的に無機微粒子を含まない樹脂そのものと比較して、熱伝導率が高く、粘度も高い傾向にある為、金型の温度を樹脂のガラス転移温度よりも低い温度とした状態で通常の射出成形をした場合、樹脂を金型キャビティへ流入させるランナー部分で樹脂が固化してしまうショートショットという現象や、金型キャビティ内で急速に固化する為、成形品に線状やシワ状のウェルドラインと呼ばれる模様が発生してしまう問題が発生することが判明した。ショートショットが発生しない場合においても、十分な形状の転写が行われない問題が発生することが判明した。
そこで、形状転写性を高めるために射出時は金型の温度を樹脂のガラス転移温度Tgより高い温度に保ち、樹脂を充填後に冷却し、金型の温度を樹脂のガラス転移温度Tg以下の温度としてから取り出す、ヒートサイクル成形による成形を検討した結果、形状転写性については解決することができた。しかし、ヒートサイクル成形の冷却過程において、一定速度以下の速度で温度を下げた場合は、有機無機複合材料(ナノコンポジット)特有の低収縮率の影響で、収縮応力が小さく、形状転写性が悪くなってしまうという問題が発生した。また、あまりに速い冷却速度では収縮応力が大きくなり、レンズの光学性能に悪影響を与えてしまうことが判明した。
特開2002−207101号公報 特開2002−240901号公報
従って、本発明の主な目的は、光学性能を改善可能な熱可塑性樹脂に無機微粒子を分散させた有機無機複合材料を低コストで製造可能な射出成形により製造するだけでなく、形状転写性を安定させることができる射出成形方法及びその射出成形方法により製造された光学素子を提供することである。
上記課題を解決するため本発明によれば、
熱可塑性樹脂中に無機微粒子が分散された有機無機複合材料を成形する射出成形方法であって、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより高い温度に保たれた金型のキャビティに前記有機無機複合材料を射出する工程と、前記金型の温度が前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以下になるまで前記金型を冷却する工程と、前記金型のキャビティから前記有機無機複合材料で構成された成形品を取り出す工程と、を有し、前記金型を冷却する工程における平均冷却速度が0.4〜3.0K/secである射出成形方法が提供される。
上記「平均冷却速度」は下記のように定義される。
(平均冷却速度)=(金型の冷却時の吸熱量:J/sec)/(金型の熱容量:J/cm/K)/(金型の大きさ:cm
好ましくは、前記金型の主成分はTi又はWである。
本発明によれば、光学性能を改善可能な熱可塑性樹脂に無機微粒子を分散させた有機無機複合材料を成形する時でも、通常のヒートサイクル成形と同様の手法を用いられ低コストで製造可能な射出成形により製造するだけでなく、形状転写性を安定させることができる(下記実施例参照)。
現行の金型と構造的には変更することなくても、金型の熱容量をFeよりも小さい材料を用いれば、冷却速度を速くすることが可能となる。また、金型の大きさを小さくすることによっても、金型が持つ熱エネルギーを小さくすることが出来るため、冷却速度を速くすることが出来る。通常の射出成形では金型の温度を安定させる必要があるために、あえて熱容量を多くしている系もあるが、ヒートサイクル成形を前提に考えると、金型全体を均一な温度にする必要はなく、安定した条件であれば良い。そのため、熱容量を小さくすることに対するデメリットはなくなる。そこで上記のような金型を用いれば、熱可塑性樹脂中に無機微粒子が分散された有機無機複合材料を用いることで光学特性を改善することができるとともに、金型の形状が正確に転写された光学素子を得ることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
本実施形態は、射出成形用の金型を用いて熱可塑性樹脂中に無機微粒子が分散された有機無機複合材料を射出・成形し、光学素子を製造する方法を提供するものである。下記では、始めに(1)金型の構成について説明し、その後に有機無機複合材料を構成する(2)熱可塑性樹脂と(3)無機微粒子とについて説明し、最後に(4)その金型を用いて光学素子を製造する方法(射出成形方法を含む。)について説明する。
(1)金型の構成
本実施形態に係る金型1はほぼ直方体状を呈した金型であり、Fe(鉄)やTi(チタン)、W(タングステン)等を主成分として構成されている。金型1は図1上段に示す通りに固定型10と可動型20とで構成されており、固定型10と可動型20とが互いに重ね合わせられる構成を有している。
固定型10と可動型20とは互いに分離するようになっており、樹脂等の被成形材料(本実施形態では有機無機複合材料)を射出・成形(充填)する場合には互いに密着して閉じられ、その被成形材料(成形品)を取り出す場合には可動型20が固定型10に対し分離するように移動して開けられるようになっている。
図1下段に示す通り、可動型20にはスプルー22、ランナー23、ゲート24及びキャビティ26が設けられている。スプルー22は被成形材料の流入口となるもので、可動型20のほぼ中心部に配置されている。ランナー23はスプルー22から放射状に延出しており、ゲート24に連通している。ゲート24は、ランナー23から被成形材料の流入を受けてその被成形材料をキャビティ26に注入する部位である。
キャビティ26は成形品が形成される部位であり、ゲート26から被成形材料の注入(充填)を受けてその被成形材料から成形品を形成するようになっている。キャビティ26には成形品に対し微細構造を付与するための微細構造部28(例えば同心円状の段差等)が形成されており、キャビティ26に充填された被成形材料にその微細構造が転写されるようになっている。
金型1の周縁部には、スプルー22、ランナー23、ゲート24及びキャビティ26を取り囲むように円形状の流路32,42が形成されている。流路32,42には流入・流出口(図示略)が接続されており、当該流入・流出口から媒体(流体)を流入・流出させることで流路32,42に媒体を循環させることができるようになっている。そして当該媒体として高温媒体や低温媒体(冷媒)を使用することで、金型1(特にキャビティ26の表面)を加熱したり冷却したりすることができるようになっている。流路32,42に循環させる「媒体」としては、オイル等の液体やエアー等の気体を使用することができる。
一方、固定型10においては、可動型20のスプルー22、ランナー23、ゲート24、キャビティ26等に対し相補的な関係を有する部位が形成されており、固定型10は可動型20とほぼ同様の構成を有している。
なお、金型1では流路32,42を設けてその流路32,42に媒体を循環させて加熱・冷却を行う構成としているが、流路32,42を設けずに、金型1に対し予めヒータを埋設して加熱したり、金型1に圧縮空気等を噴き付けて冷却したりするような構成としてもよい。
(2)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、光学素子としての加工性の観点から、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂であることが好ましく、環状オレフィンであることが特に好ましい。具体例として、特開2003−73559号公報に記載の化合物を挙げることができ、その好ましい化合物を下記表1に示す。
Figure 2008246939
なお、上述した熱可塑性樹脂は、光学材料としての寸法安定性の観点から、吸湿率が0.2%以下であることが望ましいため、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン)、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)AF:デュポン社製)、環状オレフィン樹脂(日本ゼオン製:ZEONEX、三井化学製:APEL、JSR製:アートン、チコナ製:TOPAS)、インデン/スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が好適に用いられる。
(3)無機微粒子
無機微粒子としては、酸化物微粒子、金属塩微粒子、半導体微粒子などが挙げられ、この中から、光学素子として使用する波長領域において吸収、発光、蛍光等が生じないものを適宜選択して使用することができる。
酸化物微粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属である金属酸化物を用いることができ、具体的には、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl24)等が挙げられる。
その他の酸化物微粒子として希土類酸化物を用いることもでき、具体的には酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等も挙げられる。金属塩微粒子としては、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられ、具体的には炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。
半導体微粒子とは、半導体結晶組成の微粒子を意味し、該半導体結晶組成の具体的な組成例としては、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表第14族元素の単体、リン(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、セレン、テルル等の周期表第16族元素の単体、炭化ケイ素(SiC)等の複数の周期表第14族元素からなる化合物、酸化錫(IV)(SnO2)、硫化錫(II,IV)(Sn(II)Sn(IV)S3)、硫化錫(IV)(SnS2)、硫化錫(II)(SnS)、セレン化錫(II)(SnSe)、テルル化錫(II)(SnTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化鉛(II)(PbSe)、テルル化鉛(II)(PbTe)等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、砒化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半導体)、硫化アルミニウム(Al23)、セレン化アルミニウム(Al2Se3)、硫化ガリウム(Ga23)、セレン化ガリウム(Ga2Se3)、テルル化ガリウム(Ga2Te3)、酸化インジウム(In23)、硫化インジウム(In23)、セレン化インジウム(In2Se3)、テルル化インジウム(In2Te3)等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化タリウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(TlBr)、ヨウ化タリウム(I)(TlI)等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あるいはII−VI族化合物半導体)、硫化砒素(III)(As23)、セレン化砒素(III)(As2Se3)、テルル化砒素(III)(As2Te3)、硫化アンチモン(III)(Sb23)、セレン化アンチモン(III)(Sb2Se3)、テルル化アンチモン(III)(Sb2Te3)、硫化ビスマス(III)(Bi23)、セレン化ビスマス(III)(Bi2Se3)、テルル化ビスマス(III)(Bi2Te3)等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化銅(I)(Cu2O)、セレン化銅(I)(Cu2Se)等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化ニッケル(II)(NiO)等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化コバルト(II)(CoO)、硫化コバルト(II)(CoS)等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、四酸化三鉄(Fe34)、硫化鉄(II)(FeS)等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化マンガン(II)(MnO)等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化モリブデン(IV)(MoS2)、酸化タングステン(IV)(WO2)等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バナジウム(IV)(VO2)、酸化タンタル(V)(Ta25)等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化チタン(TiO2、Ti25、Ti23、Ti59等)等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化マグネシウム(MgS)、セレン化マグネシウム(MgSe)等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr24)、セレン化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr2Se4)、硫化銅(II)クロム(III)(CuCr24)、セレン化水銀(II)クロム(III)(HgCr2Se4)等のカルコゲンスピネル類、バリウムチタネート(BaTiO3)等が挙げられる。なお、G.Schmidら;Adv.Mater.,4巻,494頁(1991)に報告されている(BN)75(BF1515や、D.Fenskeら;Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,29巻,1452頁(1990)に報告されているCu146Se73(トリエチルホスフィン)22のように構造の確定されている半導体クラスターも同様に例示される。
上記の無機微粒子の中でも、光学材料として用いられる樹脂の屈折率が1.4〜1.7程度である場合が多いことから、これに近い屈折率をもつ酸化物微粒子が、好ましく用いられる。具体的には、シリカ(酸化ケイ素)、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物などが挙げられる。任意に屈折率を調節できるという観点から、SiとSi以外の金属元素を含む複合酸化物微粒子がさらに好ましく用いられる。
本実施形態において熱可塑性樹脂中に分散される無機微粒子は、光線透過率を劣化させない範囲であれば、1種類の無機微粒子を用いてもよく、また複数種類の無機微粒子を併用してもよい。異なる性質を有する複数種類の微粒子を用いることで、必要とされる特性を更に効率よく向上させることもできる。
無機微粒子の平均一次粒子径は、1〜30nmであることが好ましく、1〜25nmであることがより好ましく、1〜10nmであることが特に好ましい。無機微粒子の平均一次粒子径は、無機微粒子を同体積の球に換算したときの直径の平均値を示し、この値は透過型電子顕微鏡写真から評価することができる。
無機微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、球状の微粒子が好適に用いられる。具体的には、粒子の最小径(微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最小値)/最大径(微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最大値)が0.5〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることが更に好ましい。
また、有機無機複合材料とされた状態(熱可塑性樹脂中に分散された状態)において、その有機無機複合材料全体に対する無機微粒子の混合比は、下限が5体積%以上であり、好ましくは10体積%以上であり、より好ましくは20体積%以上であり、上限が50体積%以下であり、好ましくは40体積%以下である。
(4)光学素子の製造方法(射出成形方法を含む。)
始めに、樹脂可塑性樹脂に無機微粒子が分散された有機無機複合材料を製造する。具体的には、無機微粒子存在下で熱可塑性樹脂を重合させることで複合化する方法、熱可塑性樹脂の存在下で無機微粒子を形成し複合化する方法、無機微粒子を熱可塑性樹脂の溶媒になる液中に分散液とし、その後溶媒を除去することで複合化する方法、無機微粒子と熱可塑性樹脂を別々に用意し、溶融混練、溶媒を含んだ状態での溶融混練などで複合化する方法等、何れの方法によっても製造することができる。
これらの中で、無機微粒子と熱可塑性樹脂を別々に用意し、溶融混練で複合化する方法は、簡便で製造コストを抑えることが可能なことから、好ましく用いられる。溶融混練に用いることのできる装置としては、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等のような密閉式混練装置またはバッチ式混練装置を挙げることができる。また、単軸押出機、二軸押出機等のように連続式の溶融混練装置を用いて製造することもできる。
有機無機複合材料の製造方法において、溶融混練を用いる場合、熱可塑性樹脂と無機微粒子を一括で添加し混練してもよいし、段階的に分割添加して混練してもよい。この場合、押出機などの溶融混練装置では、段階的に添加する成分をシリンダーの途中から添加することも可能である。また、予め混練後、熱可塑性樹脂以外の成分で予め添加しなかった成分を添加して更に溶融混練する際も、これらを一括で添加して、混練してもよいし、段階的に分割添加して混練してもよい。分割して添加する方法も、一成分を数回に分けて添加する方法も採用でき、一成分は一括で添加し、異なる成分を段階的に添加する方法も採用でき、そのいずれをも合わせた方法でも良い。
溶融混練による複合化を行う場合、無機微粒子は粉体のまま添加することも可能であるし、又は液中に分散された状態で添加することも可能であるが、予め所定の混合比で無機微粒子と樹脂とを予備混合したマスターバッチを作製し、その後にそのマスターバッチと樹脂とを溶融混練で複合化する方法が好適である。この場合に、マスターバッチの作製方法としては、有機無機複合材料へのダメージが少なく、均一に混合することができるという観点から、湿式混合方式を適用するのが好ましい。湿式混合方式とは、適宜選択された溶媒中に樹脂を溶解させ、この樹脂が溶解した溶媒と無機微粒子とを混合することによりマスターバッチを作製する方法であり、前記溶媒を揮発させることにより最終的にマスターバッチを得ることができる。
マスターバッチの作製に適用可能な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−t−ブチル、酢酸−n−ブチル、酢酸−n−ヘキシル等のエステル類、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で使用することもできるし、又は2種以上を混合して使用することもできる。
有機無機複合材料の製造を終えたら、金型1を用いてその有機無機複合材料を射出・成形し、光学素子を製造する。
具体的には、固定型10と可動型20とを閉じた状態で、被成形材料(有機無機複合材料)中の熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより高い温度のオイル等の高温媒体を流路32,42に循環させておき、金型1の温度を熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより高い温度に保持する。この状態において、スプルー22から調製済みの有機無機複合材料を流入させ、この有機無機複合材料をランナー23,ゲート24からキャビティ26に注入・充填する。
その後、上記高温媒体に代えてこれより低温のオイル等の低温媒体を流路32,42に循環させ、金型1の温度が熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以下になるまで金型1を冷却する。このとき、平均冷却速度を0.4〜3.0K/secとして、キャビティ26の微細構造部28の有機無機複合材料への転写を安定させる。本実施形態では、下記のように定義される平均冷却速度が0.4〜3.0K/secの範囲となるような金型1を使用している。平気冷却速度は下記の定義式からわかるように金型1の材質や大きさ等を適宜変更することで制御することができる。
(平均冷却速度)=(金型1の冷却時の吸熱量:J/sec)/(金型1の熱容量:J/cm/K)/(金型1の大きさ:cm
なお、「平均冷却速度」の吸熱量や熱容量、大きさの各要素はすべて固定型10と可動型20との両方を加味したものである。
その後、固定型10に対し可動型20を移動させて固定型10と可動型20とを分離し、有機無機複合材料から構成された成形品をキャビティ26から取り出す。その結果、キャビティ26の微細構造部28の形状が転写されて微細構造を有する光学素子を製造することができる。
そしてこれら被成形材料の充填工程から取出し工程まで(有機無機複合材料のキャビティ26への充填からその次の充填まで)の各処理を1サイクルとして、これらサイクルを複数回にわたり繰り返すことにより、そのサイクル数に応じた複数個の成形品(すなわち光学素子)を量産することができる。本実施形態では、金型1には4つのキャビティ26が設けられているから、1サイクルの成形で4つの光学素子を製造することができる。
以上の本実施形態では、通常のヒートサイクル成形と同様の手法を用いて低コストで製造可能な射出成形により光学素子を製造することができ、加えて金型1の冷却時に平均冷却速度を一定の範囲とするから、形状転写性を安定させることができる(下記実施例参照)。
[実施例1]
脂環式シクロオレフィン樹脂(日本ゼオン社製Z340R、ガラス転移温度Tg=125℃)に、平均1次粒径12nmのシリカ微粒子(日本アエロジル社製RX200)を、微粒子の量が全体の20体積%となるように混合・分散させ、有機無機複合材料1を得た。
その後、Tiで構成した図1と同様の金型に対して上記の有機無機複合材料1を射出し、光学面に回折構造を有する光ピックアップ装置用の対物レンズを成形し、その成形品を実施例1のサンプルとした。
詳しくは、キャビティへの有機無機複合材料1の充填時(射出時)には、流路に190℃に保った高温のオイルを循環させておき、金型が150℃に達した時点で有機無機複合材料1を射出し、その射出と同時に、190℃のオイルを室温に保たれた低温のオイルに置換してその低温のオイルを流路に循環させ、金型を冷却した。
[実施例2]
金型として、Feで構成されかつ実施例1の金型の20分の1程度の大きさの金型であって予めヒータが埋設されているものを用いた。金型を加熱する際にはヒータを作動させ、金型を冷却する際には金型に対し室温の圧縮空気を噴き付けた。それ以外は実施例1と同様の条件により対物レンズを成形し、その成形品を実施例2のサンプルとした。
[実施例3]
金型として、Tiで構成されかつ実施例1の金型の20分の1程度の大きさの金型であって予めヒータが埋設されているものを用いた。それ以外は実施例2と同様の条件により対物レンズを成形し、その成形品を実施例3のサンプルとした。
[実施例4]
金型として、Feで構成されかつ実施例1の金型の50分の1程度の大きさの金型であって予めヒータが埋設されているものを用いた。それ以外は実施例2と同様の条件により対物レンズを成形し、その成形品を実施例4のサンプルとした。
[実施例5]
金型として、Tiで構成されかつ実施例1の金型の50分の1程度の大きさの金型であって予めヒータが埋設されているものを用いた。それ以外は実施例2と同様の条件により対物レンズを成形し、その成形品を実施例5のサンプルとした。
[実施例6]
金型として、Wで構成されかつ実施例1の金型の20分の1程度の大きさの金型であって予めヒータが埋設されているものを用いた。それ以外は実施例2と同様の条件により対物レンズを成形し、その成形品を実施例6のサンプルとした。
[比較例1]
金型として、Feで構成された図1と同様の金型を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件により対物レンズを成形し、その成形品を比較例1のサンプルとした。
[比較例2]
金型として、Feで構成されかつ実施例1の金型の100分の1程度の大きさの金型であって予めヒータが埋設されているものを用いた。金型を加熱する際にはヒータを作動させ、金型を冷却する際には金型に対し室温の圧縮空気を噴き付けた。それ以外は実施例1と同様の条件により対物レンズを成形し、その成形品を実施例2のサンプルとした。
[型張り付き評価方法]
各サンプルの製造に際し、自動取り出し成形を行い、30ショット安定して成形ができるかどうかを評価した。その評価結果を表2に示す。表2では、安定成形ができた場合には「○」と、そうでない場合には「×」と記載している。
[歪みの評価方法]
各サンプルを顕微鏡観察による観察や干渉計による性能の測定を行った。その結果を表2に示す。表2では、ヒビ等の不良が観察された場合や干渉計により性能を測定して縞の途切れが観察された場合には「×」と、そうでない場合には「○」と記載している。
Figure 2008246939
表2に示す通り、平均冷却速度が一定の範囲(0.4〜3.0K/sec)で成形された実施例1〜6のサンプルは、比較例1,2のサンプルより、型張り付き評価や歪みの評価において結果が良好である。これにより、射出成形する場合であって金型を冷却するときの平均冷却速度を0.4〜3.0K/secとするのは、形状転写性を安定させる上で有用であることがわかる。
本発明の好ましい実施形態に係る金型の概略図であり、上段は当該金型の正面図であり、下段は上段中A−A線を上方から見た図面(可動型の平面図)である。
符号の説明
1 金型
10 固定型
20 可動型
22 スプルー
24 ゲート
26 キャビティ
28 微細構造部
32,42 流路

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂中に無機微粒子が分散された有機無機複合材料を成形する射出成形方法であって、
    前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより高い温度に保たれた金型のキャビティに前記有機無機複合材料を射出する工程と、
    前記金型の温度が前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以下になるまで前記金型を冷却する工程と、
    前記金型のキャビティから前記有機無機複合材料で構成された成形品を取り出す工程と、
    を有し、
    前記金型を冷却する工程における平均冷却速度が0.4〜3.0K/secであることを特徴とする射出成形方法。
  2. 前記金型の主成分がTiであることを特徴とする請求項1に記載の射出成型方法。
  3. 前記金型の主成分がWであることを特徴とする請求項1に記載の射出成型方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の射出成形方法で作製されたことを特徴とする光学素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010266665A (ja) * 2009-05-14 2010-11-25 Fujifilm Corp ウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニット
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