JP2008246324A - ヘドロの分解方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高炉水砕スラグに過剰な加工処理を施すことなく、しかもヘドロの硫化水素雰囲気下においても、栄養源を与えることなく水底に堆積したヘドロに直接作用して短時間に分解でき、例えば、湖、沼、池、堀、河川、水槽、または海の環境改善のみならず、魚介類または海藻の育成にも寄与可能なヘドロの分解方法を提供する。
【解決手段】表層部に多数の気孔および凹凸のいずれか一方または双方が形成された高炉水砕スラグと、高炉水砕スラグの表層部に付着し硫黄分を資化する単一種類または複数種類からなる微生物を含む液体と、有機物を含むヘドロとを混合し、微生物にヘドロ中の有機物を分解させる。
【選択図】図1
【解決手段】表層部に多数の気孔および凹凸のいずれか一方または双方が形成された高炉水砕スラグと、高炉水砕スラグの表層部に付着し硫黄分を資化する単一種類または複数種類からなる微生物を含む液体と、有機物を含むヘドロとを混合し、微生物にヘドロ中の有機物を分解させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、水底の土壌環境を改善するためのヘドロの分解方法に関する。
従来、例えば、湖、沼、河川、または海の中でも、特に閉鎖水域における底質は悪化しており、その問題解決のため、例えば、閉鎖水域に、有用な微生物を液体を使用して散布したり、また、微生物を土団子に混ぜて投入して、その浄化を行っている。しかし、この場合、散布後すぐに液体が水中に拡散したり、また土団子が水底に沈むまでに水中で分散するため、微生物が水底に到達する割合が少なく、到達してもすぐに水中に分散して水流で流され、その機能を十分に発揮できない。
一方、製鉄所からガラス状の砂状物質として発生する高炉水砕スラグは、近年枯渇または採取禁止で不足している天然砂の代替として、コンクリート用骨材だけでなく、例えば、覆砂材、干潟材、または浅場材としての活用が期待されている。
一方、製鉄所からガラス状の砂状物質として発生する高炉水砕スラグは、近年枯渇または採取禁止で不足している天然砂の代替として、コンクリート用骨材だけでなく、例えば、覆砂材、干潟材、または浅場材としての活用が期待されている。
そこで、発明者らは、特許文献1に、製鉄所、非鉄金属の精錬所、およびごみの溶融炉の1または2以上から発生する多孔質スラグに微生物を担持したスラグ微生物担体およびこれを用いた水底覆砂方法を提案した。ここでは、多孔質スラグとして高炉水砕スラグを使用し、微生物として光合成菌、酵母菌、乳酸菌、糸状菌、放線菌、更に麹菌、および枯草菌を使用した。なお、使用する高炉水砕スラグには、造粒または磨砕の加工処理を施しており、また、多孔質スラグに微生物を担持するに際しては、多孔質スラグに微生物の栄養源も担持させている。
このようなスラグ微生物担体を、水底に堆積したヘドロ上に覆砂し、ヘドロに微生物を直接作用させる。
このようなスラグ微生物担体を、水底に堆積したヘドロ上に覆砂し、ヘドロに微生物を直接作用させる。
しかしながら、覆砂に使用する高炉水砕スラグ量は多量であり、その全てを造粒処理または磨砕処理するには、時間と労力を要していた。
また、高炉水砕スラグには、微生物のみならず、この微生物が成育するための栄養源も担持させる必要があるため、作業性が悪く、しかも栄養源に費用がかかり経済的でない。
また、高炉水砕スラグには、微生物のみならず、この微生物が成育するための栄養源も担持させる必要があるため、作業性が悪く、しかも栄養源に費用がかかり経済的でない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、高炉水砕スラグに過剰な加工処理を施すことなく、しかもヘドロの硫化水素雰囲気下においても、微生物に栄養源を与えることなく水底に堆積したヘドロに直接作用させて短時間に分解でき、例えば、湖、沼、池、堀、河川、水槽、または海の環境改善のみならず、魚介類または海藻の育成にも寄与可能なヘドロの分解方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係るヘドロの分解方法は、表層部に多数の気孔および凹凸のいずれか一方または双方が形成された高炉水砕スラグと、該高炉水砕スラグの表層部に付着し硫黄分を資化する単一種類または複数種類からなる微生物を含む液体と、有機物を含むヘドロとを混合し、前記微生物に前記ヘドロ中の前記有機物を分解させる。
本発明に係るヘドロの分解方法において、前記高炉水砕スラグは、溶融状態の高炉スラグを水砕したままのもの、または水砕した後に軽破砕を行ったものであることが好ましい。また、軽破砕または搬送時に、スラグ表面の針状突起が除かれたものであることが、更に好ましい。
本発明に係るヘドロの分解方法において、前記微生物は、温泉および含硫アミノ酸の土壌のいずれか一方または双方から得られる硫黄酸化細菌であることが好ましい。
本発明に係るヘドロの分解方法において、前記微生物は、温泉および含硫アミノ酸の土壌のいずれか一方または双方から得られる硫黄酸化細菌であることが好ましい。
本発明に係るヘドロの分解方法において、前記高炉水砕スラグの粒度分布は、使用する篩目とその通過量が、篩目9.5mmのとき95質量%以上100質量%以下、4.75mmのとき80質量%以上100質量%以下、2.36mmのとき40質量%以上100質量%以下、1.18mmのとき10質量%以上100質量%以下、0.6mmのとき0質量%または0質量%を超え80質量%以下、0.3mmのとき0質量%または0質量%を超え50質量%以下、0.15mmのとき0質量%または0質量%を超え20質量%以下であることが好ましい。
本発明に係るヘドロの分解方法において、前記ヘドロと混合する前記高炉水砕スラグ量を、水分を含まない該ヘドロ量の2質量%以上400質量%以下にし、前記ヘドロと混合する前記微生物を含む前記液体の量を、水分を含まない該ヘドロ量の0.02質量%以上40質量%以下にすることが好ましい。
本発明に係るヘドロの分解方法において、前記液体1ミリリットル中に含まれる前記微生物量を102cfu以上109cfu以下にすることが好ましい。
本発明に係るヘドロの分解方法において、前記液体1ミリリットル中に含まれる前記微生物量を102cfu以上109cfu以下にすることが好ましい。
請求項1〜6記載のヘドロの分解方法は、高炉水砕スラグの表層部に、多数の気孔および凹凸のいずれか一方または双方が形成されているので、高炉水砕スラグへの微生物の付着を長期間安定にでき、更に微生物を増殖させて、水中に徐々に拡散できる。なお、高炉水砕スラグを使用することで、従来大量に発生しているスラグの有効利用を図ることができ、経済的である。
また、微生物は、硫黄分を資化するものであるので、硫化水素を発生するヘドロの環境下においても、微生物に栄養源を基本的に与える必要がなく、ヘドロ中の有機物を分解して、気体または液体として除去し無機質のみにできる。更に、分解され無機質となったヘドロは、高炉水砕スラグの粒子中に入り込むため、粒子同士の結合も抑制できる。
従って、高炉水砕スラグに過剰な加工処理を施すことなく、しかも水底に堆積したヘドロに微生物が直接作用して短時間に分解でき、例えば、湖、沼、池、堀、河川、水槽、または海の環境改善のみならず、高炉水砕スラグそのものの肥料としての効果も発揮させて、魚介類または海藻の育成にも寄与できる。
また、微生物は、硫黄分を資化するものであるので、硫化水素を発生するヘドロの環境下においても、微生物に栄養源を基本的に与える必要がなく、ヘドロ中の有機物を分解して、気体または液体として除去し無機質のみにできる。更に、分解され無機質となったヘドロは、高炉水砕スラグの粒子中に入り込むため、粒子同士の結合も抑制できる。
従って、高炉水砕スラグに過剰な加工処理を施すことなく、しかも水底に堆積したヘドロに微生物が直接作用して短時間に分解でき、例えば、湖、沼、池、堀、河川、水槽、または海の環境改善のみならず、高炉水砕スラグそのものの肥料としての効果も発揮させて、魚介類または海藻の育成にも寄与できる。
特に、請求項2記載のヘドロの分解方法は、加工処理することなく水砕したまま、または軽破砕した高炉水砕スラグを使用できるので、経済的にヘドロを分解できる。
請求項3記載のヘドロの分解方法は、微生物が硫黄酸化細菌であるので、ヘドロの分解に優れており、他の菌よりも短時間に処理できる。
請求項4記載のヘドロの分解方法は、スラグの粒度分布を規定するので、微生物が付着し繁殖し易い環境を造ることができる。
請求項5記載のヘドロの分解方法は、ヘドロと混合する高炉水砕スラグ量と、微生物を含む液体量を規定するので、より効率的にヘドロの分解ができる。
請求項6記載のヘドロの分解方法は、液体に含まれる微生物量を規定するので、効率的にヘドロを分解できる微生物量を決定できる。
請求項3記載のヘドロの分解方法は、微生物が硫黄酸化細菌であるので、ヘドロの分解に優れており、他の菌よりも短時間に処理できる。
請求項4記載のヘドロの分解方法は、スラグの粒度分布を規定するので、微生物が付着し繁殖し易い環境を造ることができる。
請求項5記載のヘドロの分解方法は、ヘドロと混合する高炉水砕スラグ量と、微生物を含む液体量を規定するので、より効率的にヘドロの分解ができる。
請求項6記載のヘドロの分解方法は、液体に含まれる微生物量を規定するので、効率的にヘドロを分解できる微生物量を決定できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の一実施の形態に係るヘドロの分解方法は、高炉水砕スラグと、この高炉水砕スラグの表層部に付着し硫黄分を資化する微生物を含む液体と、有機物を含むヘドロとを混合し、微生物にヘドロ中の有機物を分解させる方法である。以下、詳しく説明する。
本発明の一実施の形態に係るヘドロの分解方法は、高炉水砕スラグと、この高炉水砕スラグの表層部に付着し硫黄分を資化する微生物を含む液体と、有機物を含むヘドロとを混合し、微生物にヘドロ中の有機物を分解させる方法である。以下、詳しく説明する。
使用する高炉水砕スラグは、高炉で銑鉄を製造するときに生成する副産物から製造したものである。
具体的には、溶融状態の高炉スラグに水を吹き付けて急冷し固化(高炉から離れた場所で溶融スラグを砂状に水砕して固化させる場合も含む)させたもので、ガラス質(非晶質)の砂状となったものであり、その表層部に大小多数の気孔および凹凸のいずれか一方または双方が形成され、その内部に大小多数の気泡が形成されたものである。なお、この高炉水砕スラグを、従来のように磨砕処理した場合、気孔と凹凸が大幅に減少する。
本実施の形態では、この溶融状態の高炉スラグを水砕したままの高炉水砕スラグを使用するが、溶融状態の高炉スラグを水砕した後に、大粒のもの(例えば、粒径5mm以上のもの)については、更に、例えば、クラッシャーにより軽破砕を行った高炉水砕スラグを使用することもできる。
具体的には、溶融状態の高炉スラグに水を吹き付けて急冷し固化(高炉から離れた場所で溶融スラグを砂状に水砕して固化させる場合も含む)させたもので、ガラス質(非晶質)の砂状となったものであり、その表層部に大小多数の気孔および凹凸のいずれか一方または双方が形成され、その内部に大小多数の気泡が形成されたものである。なお、この高炉水砕スラグを、従来のように磨砕処理した場合、気孔と凹凸が大幅に減少する。
本実施の形態では、この溶融状態の高炉スラグを水砕したままの高炉水砕スラグを使用するが、溶融状態の高炉スラグを水砕した後に、大粒のもの(例えば、粒径5mm以上のもの)については、更に、例えば、クラッシャーにより軽破砕を行った高炉水砕スラグを使用することもできる。
なお、高炉水砕スラグの粒度分布は、以下に示す範囲のものを使用することが好ましい。
使用する篩目とその通過量が、篩目9.5mmのとき95質量%以上100質量%以下、4.75mmのとき80質量%以上100質量%以下、2.36mmのとき40質量%以上100質量%以下、1.18mmのとき10質量%以上100質量%以下、0.6mmのとき0質量%または0質量%を超え80質量%以下、0.3mmのとき0質量%または0質量%を超え50質量%以下、0.15mmのとき0質量%または0質量%を超え20質量%以下となったものである。
具体的には、高炉水砕スラグの粒径が、0.01mm以上2.5mm以下(好ましくは、下限を0.1mm、上限を2mm、更には1.5mm)のものである。
使用する篩目とその通過量が、篩目9.5mmのとき95質量%以上100質量%以下、4.75mmのとき80質量%以上100質量%以下、2.36mmのとき40質量%以上100質量%以下、1.18mmのとき10質量%以上100質量%以下、0.6mmのとき0質量%または0質量%を超え80質量%以下、0.3mmのとき0質量%または0質量%を超え50質量%以下、0.15mmのとき0質量%または0質量%を超え20質量%以下となったものである。
具体的には、高炉水砕スラグの粒径が、0.01mm以上2.5mm以下(好ましくは、下限を0.1mm、上限を2mm、更には1.5mm)のものである。
この粒度分布は、水砕したままの高炉水砕スラグで得られる可能性が高いが、前記した軽破砕により調整したものを使用してもよい。また、スラグ表面に針状突起がある場合、軽破砕または搬送時に除去することが、水底生物の棲息のために好ましい。
なお、高炉水砕スラグは、通常pH11〜12程度とアルカリが強いため、その粒度をあまりに小さくし過ぎれば(微粉末)、高炉水砕スラグの表面積が大きくなり、アルカリが出易くなり、微生物が棲息しにくくなるため、上記したような粒度分布とすることが好ましい。
以上に示したように、使用する高炉水砕スラグは、スラグ粒の表面の磨砕と篩による粒度調整が行われていないものである。
なお、高炉水砕スラグは、通常pH11〜12程度とアルカリが強いため、その粒度をあまりに小さくし過ぎれば(微粉末)、高炉水砕スラグの表面積が大きくなり、アルカリが出易くなり、微生物が棲息しにくくなるため、上記したような粒度分布とすることが好ましい。
以上に示したように、使用する高炉水砕スラグは、スラグ粒の表面の磨砕と篩による粒度調整が行われていないものである。
また、微生物は、硫黄化合物(硫黄分)を含む環境下で、硫黄分を資化(即ち、資源化)し生育する単一種類または複数種類(相互に依存する2種類以上の微生物の集合体:微生物群ともいう)からなっている。
ここで、硫黄化合物を含む環境下とは、具体的には、(i)硫黄または硫化水素を含む温泉水、(ii)含硫アミノ酸を含む農作物(例えば、玉ねぎ、ねぎ、またはにんにく)の畑土壌、または(iii)硫化水素を含むヘドロを指しており、特に温泉水に生育する微生物群がヘドロの分解に優れている。
なお、微生物は、通常培養して液体(例えば、培養液)に入れた状態で使用する。
ここで、硫黄化合物を含む環境下とは、具体的には、(i)硫黄または硫化水素を含む温泉水、(ii)含硫アミノ酸を含む農作物(例えば、玉ねぎ、ねぎ、またはにんにく)の畑土壌、または(iii)硫化水素を含むヘドロを指しており、特に温泉水に生育する微生物群がヘドロの分解に優れている。
なお、微生物は、通常培養して液体(例えば、培養液)に入れた状態で使用する。
この微生物は、大きく分類すると、硫黄酸化細菌の仲間に入るものであり、この硫黄酸化細菌の代表的なものとしては、例えば、チオバチルス(Thiobacillus)属、チオスピラ(Thiospira)属、ベッギアトア(Beggiatoa)属、およびチオスリックス(Thiothrix)属がある。
また、有機物を含むヘドロは、例えば、河川、湖、沼、または海底に堆積したものである。このヘドロは、通常5〜30質量%程度(ここでは、20質量%程度)の有機物と、残部が無機質である砂または泥とで構成されている。これは、ヘドロを、1000℃まで加熱して強熱乾燥を行い、水分を除去することで得られた結果である。なお、ヘドロは、通常40〜60質量%程度(ここでは、50質量%程度)の水分を含んでいる。
また、有機物を含むヘドロは、例えば、河川、湖、沼、または海底に堆積したものである。このヘドロは、通常5〜30質量%程度(ここでは、20質量%程度)の有機物と、残部が無機質である砂または泥とで構成されている。これは、ヘドロを、1000℃まで加熱して強熱乾燥を行い、水分を除去することで得られた結果である。なお、ヘドロは、通常40〜60質量%程度(ここでは、50質量%程度)の水分を含んでいる。
まず、以上に示した高炉水砕スラグと、微生物を含む液体と、浄化する一部または全部のヘドロとを混合する。
ここで、浄化するヘドロと混合する高炉水砕スラグ量は、水分を含まないヘドロ量の2質量%以上400質量%以下(好ましくは、下限を20質量%、更には50質量%、上限を300質量%、更には200質量%)にすることが好ましい。また、浄化するヘドロと混合する微生物を含む液体の量を、水分を含まないヘドロ量の0.02質量%以上40質量%以下(好ましくは、下限を0.2質量%、更には5質量%、上限を30質量%、更には20質量%)にすることが好ましい。
このように、高炉水砕スラグと微生物を含む液体量とを、ヘドロ量に対して規定することで、分解するヘドロ量に適した高炉水砕スラグと微生物を含む液体を使用できる。
ここで、浄化するヘドロと混合する高炉水砕スラグ量は、水分を含まないヘドロ量の2質量%以上400質量%以下(好ましくは、下限を20質量%、更には50質量%、上限を300質量%、更には200質量%)にすることが好ましい。また、浄化するヘドロと混合する微生物を含む液体の量を、水分を含まないヘドロ量の0.02質量%以上40質量%以下(好ましくは、下限を0.2質量%、更には5質量%、上限を30質量%、更には20質量%)にすることが好ましい。
このように、高炉水砕スラグと微生物を含む液体量とを、ヘドロ量に対して規定することで、分解するヘドロ量に適した高炉水砕スラグと微生物を含む液体を使用できる。
また、液体1ミリリットル中に含まれる微生物量を102cfu以上109cfu以下にすることが好ましい。ここで、cfuとは、微生物の個数を表す一般的な単位であり、コロニー・フォーミング・ユニットを意味する。
微生物量が102cfu未満の場合、微生物量が少なくなり過ぎ、ヘドロの分解効果を得ることができない。一方、微生物量が109cfuを超える場合、微生物量が多くなり過ぎ、例えば、微生物の培養に時間を要するため、作業効率が悪くなる。
以上のことから、液体1ミリリットル中に含まれる微生物量を102cfu以上109cfu以下としたが、下限を103cfu、更には104cfuとすることが好ましく、上限を108cfu、更には107cfuとすることが好ましい。
微生物量が102cfu未満の場合、微生物量が少なくなり過ぎ、ヘドロの分解効果を得ることができない。一方、微生物量が109cfuを超える場合、微生物量が多くなり過ぎ、例えば、微生物の培養に時間を要するため、作業効率が悪くなる。
以上のことから、液体1ミリリットル中に含まれる微生物量を102cfu以上109cfu以下としたが、下限を103cfu、更には104cfuとすることが好ましく、上限を108cfu、更には107cfuとすることが好ましい。
上記したように、水砕(更には軽破砕)したままの高炉水砕スラグと微生物群をヘドロに混合することにより、微生物にヘドロ中の有機物を分解させ、例えば、約一週間程度で、ヘドロ中の有機物を分解除去することができる。
従って、高炉水砕スラグに過剰な加工処理を施すことなく、しかもヘドロの硫化水素雰囲気下においても、微生物に栄養源を与えることなく水底に堆積したヘドロに直接作用させて短時間で分解でき、例えば、湖、沼、池、堀、河川、水槽、または海の環境改善のみならず、魚介類または海藻の育成にも寄与できる。
従って、高炉水砕スラグに過剰な加工処理を施すことなく、しかもヘドロの硫化水素雰囲気下においても、微生物に栄養源を与えることなく水底に堆積したヘドロに直接作用させて短時間で分解でき、例えば、湖、沼、池、堀、河川、水槽、または海の環境改善のみならず、魚介類または海藻の育成にも寄与できる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、以下に示す3種類の高炉水砕スラグを使用した。
・スラグ1:高炉水砕スラグ(水砕のまま:スラグ2より粒径大)
・スラグ2:高炉水砕スラグの製品(JIS A 5011−1 BFS5相当:磨砕処理、および粒度調整あり)
・スラグ3:高炉水砕スラグの微粉末(JIS A 6206:比表面積4000cm2/g程度)
また、使用した微生物群は、温泉の源泉(ここでは、長崎の雲仙)から採取した微生物群(硫黄酸化細菌)である。
そして、使用したヘドロは、湾(閉鎖海域)の河口付近で干潮時に採取したものである。なお、ヘドロは、オートクレーブ(121℃、15分)により事前処理を行い、微生物の作用を排除している。
ここでは、以下に示す3種類の高炉水砕スラグを使用した。
・スラグ1:高炉水砕スラグ(水砕のまま:スラグ2より粒径大)
・スラグ2:高炉水砕スラグの製品(JIS A 5011−1 BFS5相当:磨砕処理、および粒度調整あり)
・スラグ3:高炉水砕スラグの微粉末(JIS A 6206:比表面積4000cm2/g程度)
また、使用した微生物群は、温泉の源泉(ここでは、長崎の雲仙)から採取した微生物群(硫黄酸化細菌)である。
そして、使用したヘドロは、湾(閉鎖海域)の河口付近で干潮時に採取したものである。なお、ヘドロは、オートクレーブ(121℃、15分)により事前処理を行い、微生物の作用を排除している。
ヘドロの分解試験は、以下の手順により行った。
まず、採取した各微生物群に、前培養培地(栄養)を加え、微生物群の懸濁液を作製した。
そして、50mLのサンプルチューブに、ヘドロを7g(水分50質量%)、高炉水砕スラグを7g(水分を含まないヘドロ量の200質量%)、イオン交換水(無栄養)を添加し、これに微生物群の懸濁液0.5mL(水分を含まないヘドロ量の14質量%、液体1ミリリットル中に含まれる微生物量:1×106cfu)を添加したものを30℃で培養した。
まず、採取した各微生物群に、前培養培地(栄養)を加え、微生物群の懸濁液を作製した。
そして、50mLのサンプルチューブに、ヘドロを7g(水分50質量%)、高炉水砕スラグを7g(水分を含まないヘドロ量の200質量%)、イオン交換水(無栄養)を添加し、これに微生物群の懸濁液0.5mL(水分を含まないヘドロ量の14質量%、液体1ミリリットル中に含まれる微生物量:1×106cfu)を添加したものを30℃で培養した。
なお、試験を行った条件は、以下6つの条件である。
(1)実施例(○):微生物への栄養分の添加なし、前記したスラグ1を使用。
(2)比較例1(△):微生物への栄養分の添加なし、前記したスラグ2を使用。
(3)比較例2(□):微生物への栄養分の添加なし、前記したスラグ3を使用。
また、培養は、振とう培養(撹拌速度:80rpm)と静置培養(撹拌速度:0rpm)についてそれぞれ行った。そして、高炉水砕スラグのpHを調整したものについても行った。これについては、前記したイオン交換水(無栄養)またはNB培地(栄養)5mLの代わりに、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)を用いた。
(1)実施例(○):微生物への栄養分の添加なし、前記したスラグ1を使用。
(2)比較例1(△):微生物への栄養分の添加なし、前記したスラグ2を使用。
(3)比較例2(□):微生物への栄養分の添加なし、前記したスラグ3を使用。
また、培養は、振とう培養(撹拌速度:80rpm)と静置培養(撹拌速度:0rpm)についてそれぞれ行った。そして、高炉水砕スラグのpHを調整したものについても行った。これについては、前記したイオン交換水(無栄養)またはNB培地(栄養)5mLの代わりに、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)を用いた。
以上に示した試験条件のもと、培養したサンプルを1500rpm、5分間、遠心分離を行い、ヘドロの高さを測定することで、ヘドロの減少量を評価した。なお、微生物群を添加することなく、高炉水砕スラグ(スラグ1〜3)とヘドロを混合した場合、初期高さ約25mmのヘドロが、22日間で1〜2mm減少した。これは、高炉水砕スラグの隙間にヘドロが入り込んだことにより、ヘドロ高さが低下したものと考えられる。
図1に、淡水の条件下で高炉水砕スラグのpH調整を行うことなく静置培養した結果を示す。
図1に、淡水の条件下で高炉水砕スラグのpH調整を行うことなく静置培養した結果を示す。
図1の実施例から明らかなように、未処理の高炉水砕スラグと微生物群をヘドロと混合することで、初期高さ28mmのヘドロが8日で5mm(18%)減少した。
一方、高炉水砕スラグを加工処理した場合には、初期高さ28mmのヘドロは、最大でも1mm程度しか減少しなかった。なお、この減少量は、前記したように、高炉水砕スラグの隙間にヘドロが入り込んだことにより、ヘドロ高さが低下した場合と同程度である。
従って、高炉水砕スラグをpH調整することなく、また加工処理することなくそのまま使用し、しかも微生物群の栄養を添加することなく、静置培養することで、ヘドロの分解効果が得られることを確認できた。
なお、海水の環境下でも、高炉水砕スラグをpH調整することなく、また加工処理することなくそのまま使用することが、ヘドロの分解に効果があることを確認できた。
一方、高炉水砕スラグを加工処理した場合には、初期高さ28mmのヘドロは、最大でも1mm程度しか減少しなかった。なお、この減少量は、前記したように、高炉水砕スラグの隙間にヘドロが入り込んだことにより、ヘドロ高さが低下した場合と同程度である。
従って、高炉水砕スラグをpH調整することなく、また加工処理することなくそのまま使用し、しかも微生物群の栄養を添加することなく、静置培養することで、ヘドロの分解効果が得られることを確認できた。
なお、海水の環境下でも、高炉水砕スラグをpH調整することなく、また加工処理することなくそのまま使用することが、ヘドロの分解に効果があることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部または全部を組合せて本発明のヘドロの分解方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
Claims (6)
- 表層部に多数の気孔および凹凸のいずれか一方または双方が形成された高炉水砕スラグと、該高炉水砕スラグの表層部に付着し硫黄分を資化する単一種類または複数種類からなる微生物を含む液体と、有機物を含むヘドロとを混合し、前記微生物に前記ヘドロ中の前記有機物を分解させることを特徴とするヘドロの分解方法。
- 請求項1記載のヘドロの分解方法において、前記高炉水砕スラグは、溶融状態の高炉スラグを水砕したままのもの、または水砕した後に軽破砕を行ったものであることを特徴とするヘドロの分解方法。
- 請求項1および2のいずれか1項に記載のヘドロの分解方法において、前記微生物は、温泉および含硫アミノ酸の土壌のいずれか一方または双方から得られる硫黄酸化細菌であることを特徴とするヘドロの分解方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘドロの分解方法において、前記高炉水砕スラグの粒度分布は、使用する篩目とその通過量が、篩目9.5mmのとき95質量%以上100質量%以下、4.75mmのとき80質量%以上100質量%以下、2.36mmのとき40質量%以上100質量%以下、1.18mmのとき10質量%以上100質量%以下、0.6mmのとき0質量%または0質量%を超え80質量%以下、0.3mmのとき0質量%または0質量%を超え50質量%以下、0.15mmのとき0質量%または0質量%を超え20質量%以下であることを特徴とするヘドロの分解方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘドロの分解方法において、前記ヘドロと混合する前記高炉水砕スラグ量を、水分を含まない該ヘドロ量の2質量%以上400質量%以下にし、前記ヘドロと混合する前記微生物を含む前記液体の量を、水分を含まない該ヘドロ量の0.02質量%以上40質量%以下にすることを特徴とするヘドロの分解方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のヘドロの分解方法において、前記液体1ミリリットル中に含まれる前記微生物量を102cfu以上109cfu以下にすることを特徴とするヘドロの分解方法。
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JP2007088961A JP2008246324A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | ヘドロの分解方法 |
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Cited By (2)
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JP2017087085A (ja) * | 2015-11-02 | 2017-05-25 | 宍道湖漁業協同組合 | 湖底部又は湾底部で発生する硫化水素の無害化方法、及びそのシステム |
CN110342764A (zh) * | 2019-06-06 | 2019-10-18 | 武汉二航路桥特种工程有限责任公司 | 基于生物捕食技术的有机污泥快速消解剂及处理方法 |
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2007
- 2007-03-29 JP JP2007088961A patent/JP2008246324A/ja not_active Withdrawn
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