[1.パチンコ遊技機の全体構造]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図8を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ遊技機1の外枠2に対して本体枠3を開放し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ遊技機の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ遊技機1の正面図であり、図4は、パチンコ遊技機1の側面図であり、図5は、パチンコ遊技機1の平面図であり、図6は、パチンコ遊技機1の背面図である。なお、好適な実施形態において、遊技機としてパチンコ遊技機を例示して示すが、遊技部を視認できる遊技窓を有する扉枠を備えた遊技機であれば良く、例えば、スロットマシンやパロット遊技機等に本発明を適用することはできる。
図1乃至図6において、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域11を遊技者が視認し得る遊技窓51と該遊技窓51の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿としての皿ユニット80とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板によって被覆されている下部前面板6が固着されている。また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、その裏面下部に打球発射装置32と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板が収納される基板ボックス(例えば、払出制御基板ボックス28、端子基板ボックス29、及び電源基板(図示しない)等)が一纏めに設けられている基板ユニット27が取り付けられ、本体枠3の後面開口であって遊技盤4の裏面を覆うカバー体30が着脱自在に設けられている。更に、扉枠5には、上記した皿ユニット80の他に、遊技窓51を閉塞するようにガラスユニット70と、操作ハンドル87とが設けられている。そして、本実施形態の特徴は、扉枠5に設けられる皿ユニット80が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていた操作ハンドル87が扉枠5の皿ユニット80に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認されなくなっている点である。以下、パチンコ遊技機1を構成する部材について説明する。
[1−1.外枠]
本実施形態に係る外枠2は、上下の上枠板及び下枠板と左右の側枠板とを、それぞれの端部を連結するための連結部材で連結することによって方形状に組み付けられるものである。上枠板と下枠板とは従来と同じ木製であり、左右の側枠板は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板及び下枠板を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ遊技機1を遊技場に列設される島に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板及び下枠板と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くするためである。一方、左右の側枠板をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べ強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるため、側枠板の内側に隣接する本体枠3の遊技盤収納壁20の正面から見たときの左右幅を広くすることができる。このため左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができることになり、結果的に遊技盤4の遊技領域11を大きく形成することができるからである。また、外枠2の軸支側の上下には、本体枠3を開閉するための上支持金具7及び下支持金具8(正確には、下部前面板6の一側上面に沿って取固定されている)が固定されている。
[1−2.本体枠]
本体枠3は、図1に示すように、誘導レール10によって囲まれた遊技領域11が形成される遊技盤4を前面側から着脱自在に装着し得るように遊技盤収納壁20が後方に向かって突出成型されていると共に、その遊技盤4の収納位置の下方に板部21が形成されており、その板部21の前面に発射レール22が固定されている。また、本体枠3の裏面側には、図6に示すように、その下部に皿ユニット80から発射レール22に供給される打球を遊技盤4の遊技領域11に向けて発射するための打球発射装置32が固定されると共に、その上部から軸支側側方にかけて賞球を払い出すための賞球タンク23とタンクレール部材24と球通路ユニット25と賞球ユニット26と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う施錠装置31と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板(賞球ユニット26を制御するための払出制御基板を収納する払出制御基板ボックス28や外部情報端子基板や台間玉貸器と接続されるCRユニット端子基板を収納する端子基板ボックス29)や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット27と、後面開口を覆うカバー体30と、等の各種の部品が装着されている。
[1−3.扉枠]
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図7乃至図18を参照して説明する。図7は、扉枠5の正面から見た分解斜視図であり、図8は、扉枠5の背面から見た分解斜視図であり、図9は、扉枠5の前面側に取り付けられる扉レンズユニット100の正面から見た分解斜視図であり、図10は、扉レンズユニット100に設けられるレンズベース体101と冷陰極管111との関係を示す平面図であり、図11は、冷陰極管111の支持構造を説明するための拡大平面図であり、図12は、レンズベース体101と冷陰極管111との関係を示す斜視図であり、図13は、扉レンズユニット100を構成するレンズカバー130の分解斜視図であり、図14乃至図16は、レンズカバー130のうち上レンズカバー部131に装着用装飾部材としての先頭モール部材132を治具190を用いて取り付けるための平面図であり、図17は、図15のA−A断面図であり、図18は、図16のB−B断面図である。
図7及び図8に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体50の上部に縦長六角形状の遊技窓51が形成され、該遊技窓51の前面周囲に扉レンズユニット100が取り付けられ、また、遊技窓51の下方の板状部の前面に扉枠本体50に皿ユニット80が設けられ、その皿ユニット80の一側(開放側)に操作ハンドル87が突設固定されている。また、扉枠本体50の裏面には、遊技窓51の周囲に補強板金60が固定され、遊技窓51を閉塞するようにガラスユニット70が取り付けられると共に、前記遊技窓51の下方の板状部の裏面に、前記操作ハンドル87に対応するジョイントユニット74、装着台72、及び枠装飾中継基板75がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット70の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー71も装着されている。以下、扉枠5を構成する上記の各構成部材のより詳細な構造について説明する。
[1−3−1.扉枠本体]
図7及び図8に示すように、扉枠本体50は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓51が形成され、その遊技窓51の下方が板状部となっている。遊技窓51の上部左右には、後述するスピーカ200を貫通させる円形状のスピーカ用開口52が形成されている。なお、本実施形態に係る遊技窓51は、従来に比べて上下方向及び左右方向の寸法が大きくなった遊技盤4が取り付けられるため、遊技窓51の上下方向及び左右方向の寸法も大きくなっている。このため、後述する扉レンズユニット100の形状が従来一般的に知られているものと大きく相違する。
一方、遊技窓51の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット80の賞球連絡樋を貫通させる賞球通過口53が開設され、その斜め中央寄りに皿ユニット80に形成される球抜き通路を視認するための開口を閉塞ずる側面開口蓋(図示しない)を脱着するための蓋用開口55が開設され、その蓋用開口55の開放側の隣接する位置に球送りユニット73を装着するための球送り開口54が開設され、さらに球送り開口54のさらに開放側寄りに前記施錠装置31に設けられるシリンダー錠(図示しない)が貫通するための錠穴56が開設されている。また、球送り開口54の下方の板状部の裏面側にジョイントユニット74を取り付けるためのジョイントユニット装着凹部57が形成されている。また、板状部の前面中央には、前方に向って後述する皿ユニット80の案内穴(図示しない)に挿入される係合突起58が形成されている。
前述したように、扉枠本体50の裏面側に補強板金60、ガラスユニット70、防犯カバー71、装着台72、ジョイントユニット74、枠装飾中継基板75に取り付けられる一方、扉枠本体50の前面側に扉レンズユニット100が取り付けられると共にその下方に皿ユニット80が取り付けられる。ここで、本実施形態に係る扉レンズユニット100の構造を説明する前に、扉枠本体50の裏面側に取り付けられる補強板金60、ガラスユニット70、防犯カバー71、装着台72、ジョイントユニット74、及び枠装飾中継基板75、扉枠本体50の前面側に取り付けられる皿ユニット80について順次説明する。
[1−3−2.補強板金]
補強板金60は、図7及び図8に示すように、扉枠本体50の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金と、扉枠本体50の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金と、扉枠本体50の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金と、扉枠本体50の遊技窓51の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金と、が相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。上側補強板金は、所定幅を有して扉枠本体50の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成されている。軸支側補強板金も、所定幅を有して扉枠本体50の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成され、その上下端部には、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピンを有する上軸支部61と、その下面に軸ピンを有する下軸支部62と、が一体的に形成されている。そして、上下の軸ピンが本体枠3の軸支側上下に形成される上支持金具7及び下支持金具8に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に設けられるものである。
[1−3−3.ガラスユニット(透明板ユニット)]
ガラスユニット70は、図7及び図8に示すように、遊技窓51よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状のユニット枠と、該ユニット枠の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を接着することにより、所謂セットガラス板として構成されるものである。また、ガラスユニット70を扉枠5に取り付けるには、詳細に図示しないが、ガラスユニット70のユニット枠から外部に突出される掛止突片を扉枠5に形成される係合受片に上方から掛け止めた後、ガラスユニット70のユニット枠から外部に突出される止め片に対し扉枠5に回動自在に取り付けられる止めレバーを閉止位置に回動して係止することにより、ガラスユニット70を扉枠5の裏面に簡単に取り付けることができる。
[1−3−4.防犯カバー]
防犯カバー71は、図7及び図8に示すように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金の間のガラスユニット70の下方部を覆うような平板状に形成され、その前面側や後面側に遊技盤4の誘導レール10に沿った円弧状の防犯用突片が突設されている。そして、防犯カバー71をガラスユニット70の下方部に沿って取り付けた状態では、防犯用突片がガラスユニット70の下辺に沿って当接すると共に、扉枠5を閉じたときに、防犯用突片が遊技盤4の誘導レール10の下方に上下重複状に侵入して外部からの不正具の侵入を防止するようになっている。
[1−3−5.装着台]
装着台72は、図7及び図8に示すように、扉枠本体50の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー71と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台72は、発射レール22から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台72の後面と本体枠3の板部21とによって発射レール22を挟持するように形成されるものである。ところで、本実施形態に係る装着台72には、その開放側下部に球送りユニット73を取り付ける球送りユニット取付凹部が形成されている。球送りユニット取付凹部に取り付けられる球送りユニット73は、打球発射装置32の打球槌の往復動差に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット80の貯留部81に貯留されていた球を発射レール22の発射位置に1個ずつ供給するものである。
[1−3−6.枠装飾中継基板]
上記した装着台72の下部の軸支側には、図7及び図8に示すように、枠装飾中継基板75が取り付けられ、その枠装飾中継基板75の後面を覆う中継基板カバー76が取り付けられている。この枠装飾中継基板75は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管111,117,118、LED基板122,124,126,スピーカ200、操作ハンドル87内に設けられるスイッチ、操作ボタンユニット83等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継基板75からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット27に組み込まれる扉中継基板等を介しての払出制御基板や遊技盤4に取り付けられる遊技制御基板に接続されている。
[1−3−7.皿ユニット]
図2、図7及び図8に示すように、皿ユニット80は、賞球を貯留する貯留部81と、遊技球を借り受ける際に操作する貸球ボタンユニット82と、遊技において遊技者が参加するために操作される操作ボタンユニット83と、貯留部81の下流側から貯留された球を球抜きする第1球抜ボタン84と、貯留部81の中程から貯留された球を球抜きする第2球抜ボタン86と、皿ユニット80の内部に収納されるスピーカ(図示しない)の前面を覆うスピーカカバー85とが設けられ、更に、開放側の下部に操作ハンドル87が固定されている。操作ハンドル87の裏面側には、図1に示すように、ジョイントユニット74が固定され、操作ハンドル87の回転動作がジョイントユニット74によってスライド動作に変換され、そのスライド動作が扉枠5を閉じた状態で打球発射装置32のスプリングによる弾発力の強弱を調整するスライド部材(図示しない)に伝達されるようになっている。
[1−3−8.扉レンズユニット]
次に、上記した扉枠本体50の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット100の構成について主として図7乃至図18を参照して説明する。扉レンズユニット100は、図9に示すように、前面側を反射面とするリフレクタ102,113,114と、該リフレクタ102,113,114の前面及び内側に取り付けられる冷陰極管111,117,118及びLED基板122,124,126と、前記リフレクタ102,113,114の前方を覆う光透過性のあるレンズカバー130と、該レンズカバー130に取り付けられるスピーカ200と、前記レンズカバー130のベースとなるレンズベース体101と、から構成されている。
レンズベース体101は、平面視で前方が円弧で後方が直線の後面が開放した内部中空の三角形状に合成樹脂によって形成され、その中空内部に冷陰極管111,117,118に高電圧を印加するインバータ基板121が収納固定されている。また、レンズベース体101の前面及び底面に当接するように断面L字状の上リフレクタ102が取り付けられている。この上リフレクタ102は、白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとしている。つまり、上リフレクタ102の表面は、上冷陰極管111及びLED123から発せられた光を反射する反射面となっている。次に説明する側方リフレクタ113,114も同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されている。ところで、図10に示すように、上リフレクタ102の両端部に、上冷陰極管111の両端を支持するための電極支持部107が形成され、さらに上リフレクタ102の垂直前面壁103の前面に適宜間隔を置いて上冷陰極管111を支持するために先端部がU字状に形成された陰極管支持片105が突設されている。これは、上冷陰極管111の中央が屈曲された「く」字状に屈曲して形成されているので、中央の屈曲部に応力がかかって破損しやすいため、両端の電極支持部107だけではなく適宜間隔を置いて陰極管支持片105で支持し、しかも、上冷陰極管111を陰極管支持片105に支持する際には、図12(A)に示すように、耐熱性ゴムパッキン106に挟んで上冷陰極管111が動かないように支持することにより、より破損し難い支持構造とすることができる。また、両端の電極支持部107は、図10に示すように、上方が開放されていると共に、内側に向いている周壁に上冷陰極管111の端部を受け入れるように一辺が開口した電極挿入孔108が形成されており、この電極挿入孔108に上冷陰極管111の配線が接続された端部に取り付けられた弾性変形し得るゴム製スリーブ112を開口部分の対面方向である上方から挿入し、その後、電極支持部107の上方から電極蓋109を嵌め込むことにより、上冷陰極管111を上リフレクタ102の前面に装着することができる。このように上リフレクタ102の両端部にゴム製スリーブ112を装着し、そのゴム製スリーブ112部分を電極支持部107の電極挿入孔108に遊嵌状態で支持させることにより、図11(C)に示すように、上冷陰極管111が衝撃等により振動しても、ゴム製スリーブ112がその振動を吸収する際に、上冷陰極管111の端部が電極支持部107の部分で揺動あるいは摺動して破壊応力が弱められるので、電極支持部107部分及び上冷陰極管111の屈曲部での上冷陰極管111の破損を防止することができる。なお、上リフレクタ102の左右両端には、スピーカ200を貫通させるスピーカ貫通穴110が形成されている。
上記の上リフレクタ102の両端に側方リフレクタ113,114が垂下するように連結されている。この側方リフレクタ113,114も上リフレクタ102と同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとなっている。つまり、側方リフレクタ113,114の表面は、側方冷陰極管117,118及びLED125,127から発せられた光を反射する反射面となっている。側方リフレクタ113,114の前方に取り付けられる側方冷陰極管117,118は、直線状のものであるため、その側方冷陰極管117,118を支持する電極支持部115,116が、側方リフレクタ113,114の上下端部の2箇所に形成されている。もちろん、電極支持部115,116に側方冷陰極管117,118が支持される際には、上冷陰極管111と電極支持部107との関係を同じように、側方冷陰極管117,118の端部にゴム製スリーブ119,120が装着され、そのゴム製スリーブ119,120が電極支持部115,116に当接して支持されるようになっている。これにより、側方冷陰極管117,118が振動しても破損し難い支持構造とすることができる。
上記した上リフレクタ102及び側方リフレクタ113,114の内側(遊技窓51を縁取る位置)には、多数のLED123,125,127が実装されたLED基板122,124,126が取り付けられている。このLED基板122,124,126に実装されるLED123,125,127によって次に説明するレンズカバー130の内周面(主として赤色レンズ部133,152,172)が装飾される。
上記したレンズベース体101と上冷陰極管111及び側方冷陰極管117,118が装着された上リフレクタ102及び側方リフレクタ113,114とは、レンズカバー130の裏面側に固定される。レンズカバー130は、前記レンズベース体101と上冷陰極管111が装着された上リフレクタ102に対応する上レンズカバー部131と、前記側方冷陰極管117,118が装着された側方リフレクタ113,114に対応する側方レンズカバー部150,170とが透過性の合成樹脂によって形成されている。そして、前述したように扉枠本体50に形成される遊技窓51の開口寸法が従来よりも大きく形成されているため、扉枠本体50の外周辺と遊技窓51の内周辺との間の寸法、換言するならば、レンズカバー130が取り付けられるための寸法(特に、左右両側部の寸法)が狭くなっているため、本実施形態におけるレンズカバー130は、上レンズカバー部131と側方レンズカバー部150,170のすべての最大前方突出部において、その基部寸法(扉枠本体50に当接する部分の幅寸法)に対して前方に向って突出する突出寸法が大きくなるような断面楔形状となっている。より詳細に説明すると、上レンズカバー部131及び側方レンズカバー部150,170は、共に半透明な白色レンズ部として断面楔状の前方膨出部が合成樹脂で成形され、その白色レンズ部131,150,170の下部後端の遊技窓51を縁取る内側に着色の異なる合成樹脂で成形された赤色レンズ部133(図13参照)及び赤色レンズ部152,172(図13参照)を取付片141,160,180によって連結して構成されるものである。そして、この赤色レンズ部133,152,172を前記上LED基板122及び側方LED基板124,126に直線状に実装される複数のLED123,125,127によって照明するものである。
ところで、上レンズカバー部131は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に平面視においてブーメラン形状に構成されるものであり、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管111とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されており、上レンズカバー部131のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を上冷陰極管111で照明している。そして、上レンズカバー部131の楔状先端部外側の稜部に沿ってモール装着溝135が形成され、そのモール装着溝135の両端部に取付孔134が形成されている。また、モール装着溝135の内部には、適宜間隔を置いて複数の取着穴136が貫通して穿設されている。更に、上レンズカバー部131には、その両端にスピーカ200が貫通するスピーカ穴137と、その後端上部辺に沿って複数の差込片138が突設されている。この差込片138は、レンズベース体101に形成された差込穴に差し込まれて上レンズカバー部131を固定するものである。
また、上記したモール装着溝135には、銀色に着色された不透明な合成樹脂で成形された装着用の装飾部材としての先頭モール部材132が装着されるようになっている。この先頭モール部材132は、表裏全面に装飾メッキが施されている。この装飾メッキは、銀色の貴金属メッキであり、導電性を有している。より詳細には、先頭モール部材132は、上レンズカバー部131の楔状先端部外側の稜部に沿った細長い「く」字形状に形成され、その両端部に前記取付孔134に嵌合される取付突起139が後方に向って一体的に突設されると共に前記取着穴136に対応する取着ピン140が適宜間隔を置いて後方に向って一体的に突設されている。この取着ピン140は、取着穴136に貫通されて上レンズカバー部131の内周面側(裏面)に突出するようになっている。そして、本実施形態においては、取着ピン140を含む先頭モール部材132に使用される合成樹脂として、その熱変形温度が上記した上レンズカバー部131に使用される合成樹脂の熱変形温度よりも低いものが使用されている点である。例えば、上レンズカバー部131を成形するために使用する合成樹脂としてポリカーボネート樹脂(所定荷重下における熱変形温度132〜143℃)を使用し、先頭モール部材132を成形するために使用する合成樹脂としてABS樹脂(同じ荷重下における熱変形温度90〜108℃)を使用している。
しかして、上レンズカバー部131に先頭モール部材132を取り付けるためには、図14に示すように、上レンズカバー部131及び先頭モール部材132の前面形状に沿った凹形状を有する治具190に、先頭モール部材132を載置し、その後、図15及び図17に示すように、上方から上レンズカバー部131の取着穴136に治具190に載置された先頭モール部材132の取着ピン140が挿入されるように嵌め込む。そして、その後、図16及び図18に示すように、上レンズカバー部131の裏面側に突出している取着ピン140の突出頭部に加熱工具191の先頭を押し当ててその突出頭部を扁平状に熱変形させることによって、取着ピン140の突出頭部が取着穴136の周縁に密着してリベットによるカシメ加工と同様に先頭モール部材132を上レンズカバー部131に簡単確実に固定することができる。このとき、加熱工具191の加熱温度は、先頭モール部材132に使用される合成樹脂の熱変形温度よりも高く上レンズカバー部131に使用される合成樹脂の熱変形温度よりも低く設定されている。なお、加熱処理する際の加熱工具191として、図16及び図18に示す場合は、1個の取着ピン140に対応するものを示したが、同時に複数の取着ピン140を加熱処理する加熱工具を使用しても良い。
上記したように、本実施形態においては、先頭モール部材132の取着ピン140を上レンズカバー部131の取着穴136に挿入し、取着ピン140の裏面に突出した頭部に加熱工具191を押し当てるだけであるため、複雑な先頭モール部材132であっても上レンズカバー部131の表面に極めて簡単確実に取り付けることができ、また、取り付けた後の取着ピン140の裏側頭部が扁平状に押し潰されるので、取付部分がシルエットとして透明又は半透明の上レンズカバー部131に浮き出ることがない。
また、取着ピン140を含む先頭モール部材132に使用される合成樹脂として、その熱変形温度が上レンズカバー部131に使用される合成樹脂の熱変形温度よりも低いものが使用されており且つ加熱工具191の加熱温度が先頭モール部材132に使用される合成樹脂の熱変形温度よりも高く上レンズカバー部131に使用される合成樹脂の熱変形温度よりも低く設定されているので、加熱工具191を取着ピン140に押し当てて熱変形させる際に、加熱工具191が上レンズカバー部131に接触したとしても、加熱工具191の温度によって上レンズカバー部131が熱変形しないので、上レンズカバー部131と先頭モール部材132の取付作業終了後の扉レンズユニット100が不良品として使用できないことはない。
更に、本実施形態においては、断面楔形状の上レンズカバー部131の先端稜部に沿って不透明な合成樹脂製の先頭モール部材132が設けられるので、発光源としての上冷陰極管111の消灯時においても、扉レンズユニット100の輪郭が明確となり遊技者に与える印象を良くすることができる。
上記した上レンズカバー部131と同様に、該上レンズカバー部131の左右に連結される側方レンズカバー部150,170も、図13に示すように、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部131と同様であるが、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部131に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものであり、前述した直線状に形成される側方冷陰極管117,118とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、側方レンズカバー部150,170の楔状先端部外側には、銀色に着色された不透明な装着用装飾部材としての先頭モール部材151,171が固着されており、側方レンズカバー部150,170のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を側方冷陰極管117,118で照明している。先頭モール部材151,171は、表裏全面に装飾メッキが施されている。この装飾メッキは、銀色の貴金属メッキであり、導電性を有している。
そして、側方レンズカバー部150,170の楔状先端部外側の稜部に沿ってモール装着溝154,174が形成され、そのモール装着溝154,174の両端部に取付孔153,173が形成されている。また、モール装着溝154,174の内部には、適宜間隔を置いて複数の取着穴155,175が貫通して穿設されている。更に、側方レンズカバー部150,170には、その上端にスピーカカバー201を取り付けるためのスピーカカバー取付部156,176と、その下端に装飾カバー202を取り付けるための装飾カバー取付部157,177とが形成され、さらにその後端外側辺に沿って複数の差込片181(側方レンズカバー部150の差込片は図示されていない。)が突設されている。この差込片181は、側方リフレクタ113,114に形成された差込穴に差し込まれて側方レンズカバー部150,170を固定するものである。
また、上記したモール装着溝154,174には、銀色に着色された不透明な合成樹脂で成形された装着用装飾部材としての先頭モール部材151,171が装着されるようになっている。より詳細には、先頭モール部材151,171は、側方レンズカバー部150,170の楔状先端部外側の稜部に沿った細長い緩やかな「く」字形状に形成され、その両端部に前記取付孔153,173に嵌合される取付突起158,178が後方に向って一体的に突設されると共に前記取着穴155,175に対応する取着ピン159,179が適宜間隔を置いて後方に向って一体的に突設されている。この取着ピン159,179は、取着穴155.175に貫通されて側方レンズカバー部150,170の内周面側(裏面)に突出するようになっている。そして、本実施形態においては、取着ピン159,179を含む先頭モール部材151,171に使用される合成樹脂(例えば、ABS樹脂)として、その熱変形温度が側方レンズカバー部150,170に使用される合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の熱変形温度よりも低いものが使用されている点は、上レンズカバー部131と同様である。
しかして、側方レンズカバー部150,170に先頭モール部材151,171を取り付けるためには、図14〜図18に示す上レンズカバー部131における取付構造と全く同じであるため、その詳細な説明は省略する。ただし、上レンズカバー部131に収納される上冷陰極管111と先頭モール部材132の位置関係と、側方レンズカバー部150,170に収納される側方冷陰極管117,118と先頭モール部材151,171の位置関係とは若干異なる。即ち、上レンズカバー部131における上冷陰極管111と先頭モール部材132とは、上レンズカバー部131の正面から見た場合に、前後方向にほぼ重複した状態となっているが、側方レンズカバー部150,170における側方冷陰極管117,118と先頭モール部材151,171とは、図3に示すように、先頭モール部材151,171がやや内側に湾曲した状態となっているため、側方レンズカバー部150,170の正面から見た場合に、先頭モール部材151,171の外側に側方冷陰極管117,118が位置することになる。これは、側方冷陰極管117,118から発せられる光が先頭モール部材151,171に邪魔されてパチンコ遊技機1の正面中央に位置する遊技者の眼に直接的に入らないように設計されているためである。つまり、遊技者の眼の位置から見ると側方冷陰極管117,118と先頭モール部材151,171とが前後方向に重複するようになっている。
なお、上記のようにしてレンズカバー部131,150,170に先頭モール部材132,151,171を取着した後、取付片141,160,180によって赤色レンズ部133,152,172をレンズカバー部131,150,170に取り付けることにより、レンズカバー130の組み付けが終了する。レンズカバー部131,150,170に先頭モール部材132,151,171を取着すると、先頭モール部材132の両側が先頭モール部材151、171と接触するようになっている。
上記のように構成される上レンズカバー部131及び側方レンズカバー部150,170と上リフレクタ102及び側方リフレクタ113,114との関係を説明すると、断面楔状に形成される上レンズカバー部131の裏面側に上リフレクタ102を取り付けた状態では、断面L字状に形成される上リフレクタ102が上レンズカバー部131の内部空間を、上冷陰極管111で光装飾される前方装飾空間と上LED基板122に直線状に実装される複数のLED123で光装飾される内側装飾空間とに区画するように構成され、また、上リフレクタ102の垂直前面壁103の前面に上冷陰極管111が取り付けられ、上リフレクタ102の下部水平壁104の後方下部裏面に上LED基板122が取り付けられている。これによって断面楔形状に形成される上レンズカバー部131を前後方向に離れて位置する上冷陰極管111とLED123とによって区画して照射することができるため、上冷陰極管111とLED123とを上下方向に平行状に配置した場合に比較して上レンズカバーの後端上下幅寸法を小さく形成することができ、そのため、遊技窓51の大きな扉枠5の表面に取り付けることが可能となる。また、上冷陰極管111で照射される前方装飾空間とLED123で照射される内側装飾空間とが上リフレクタ102によって完全にセパレートされるので、それぞれの発光源による光装飾を遊技者が明確に認識することができる。なお、本実施形態においては、上冷陰極管111から照射された光は、直接上レンズカバー部131の前方膨出面に照射されると共に上リフレクタ102の垂直前面壁103によって反射された光も上レンズカバー部131の前方膨出面方向に照射され、LED123から照射された光は、直接上レンズカバー部131の赤色レンズ部133に照射されると共に上リフレクタ102の下部水平壁104によって反射された光も赤色レンズ部133方向に照射されるようになっている。
また、断面楔状に形成される側方レンズカバー部150,170の裏面側に側方リフレクタ113,114を取り付けた状態では、側方リフレクタ113,114が側方レンズカバー部150,170の内部空間を、側方冷陰極管117,118で光装飾される前方装飾空間とLED基板124,126に直線状に実装される複数のLED125,127で光装飾される内側装飾空間とに区画するように構成され、また、側方リフレクタ113,114の外側前面に側方冷陰極管117,118が取り付けられ、側方リフレクタ113,114の内側裏面にLED基板124,126が取り付けられている。これによって断面楔形状に形成される側方レンズカバー部150,170を前後方向に離れて位置する側方冷陰極管117,118とLED125,127とによって区画して照射することができるため、側方冷陰極管117,118とLED125,127とを平行状に配置した場合に比較して側方レンズカバー部150,170の後端左右幅寸法を小さく形成することができ、そのため、遊技窓51の大きな扉枠5の表面に取り付けることが可能となる。また、側方冷陰極管117,118で照射される前方装飾空間とLED125,127で照射される内側装飾空間とが側方リフレクタ113,114によって完全にセパレートされるので、それぞれの発光源による光装飾を遊技者が明確に認識することができる。なお、本実施形態においては、側方冷陰極管117,118から照射された光は、直接側方レンズカバー部150,170の前方膨出面に照射されると共に側方リフレクタ113,114の垂直前面壁によって反射された光も側方レンズカバー部150,170の前方膨出面方向に照射され、LED125,127から照射された光は、側方レンズカバー部150,170の赤色レンズ部152,172に直接照射されると共に側方リフレクタ113,114の内側傾斜壁の裏面によって反射された光も赤色レンズ部152,172方向に照射されるようになっている。
上記した実施形態においては、リフレクタ102,113,114によって区画される空間に配置される発光源として、冷陰極管111,117,118とLED123,125,127とし、それぞれに対応するレンズカバー部131,150,170として色彩の異なる合成樹脂で成形して連結しているので、レンズカバー部131,150,170を冷陰極管111,117,118とLED123,125,127とによって好適に照射される構造及び色彩で成形することができるものである。もちろん、種類の異なる発光源として、冷陰極管111,117,118とLED123,125,127の組み合わせに限らず、両者ともLEDとして構成してもよい。
また、本実施形態において、扉枠5の前面周囲を装飾する照明手段として冷陰極管を使用している理由は、以下の通りである。扉枠5の前面周囲を装飾する際に、発光源とその発光源の前面に配置されるレンズカバーの距離をあまり大きく取ることができないという制約がある。この制約は、扉枠5は常に開閉されるため、あまり突出量を大きくすると、開放時における作業等に支障を来たすおそれがあるからである。しかして、発光源とレンズカバーとの間の距離があまりとれない状況において、従来のように、発光源として、ランプやLEDを点在させた場合に、レンズカバーを通して視認できる光装飾は、連続した状態の光装飾が視認できるものではなく光が強い部分と弱い部分との斑模様に視認できるに過ぎない。これに対し、本実施形態のように、発光源として連続した冷陰極管111,117,118を使用した場合に、冷陰極管111,117,118とレンズカバー130との距離が短くても、レンズカバー130を通して視認できる光装飾は、連続した状態の美しい光装飾が視認できるものである。このため、正に遊技盤4を囲む領域が連続した美しい光装飾により縁取られた状態となるので、従来のパチンコ遊技機にはない装飾効果を奏することができる。
上記の実施形態においては、装着用装飾部材として、断面楔形状の先端稜部に沿った細長い湾曲したものを示したが、必ずしも細長い湾曲したものでなくても、透明又は半透明な合成樹脂製のレンズカバー部の表面に取り付けられるものであれば、どのような形状のものであっても良い。また、熱変形温度が相違する合成樹脂としてポリカーボネート樹脂とABS樹脂とを例示したが、熱変形温度が相違する2種類の合成樹脂であれば、どのような合成樹脂を使用しても良い。
[2.インバータ基板]
次に、冷陰極管111,117,118に高電圧の電流を供給するインバータ基板121について説明する。このインバータ基板121は、上述したように、レンズベース体101の中空内部に収納固定されている。図19はインバータ基板のブロック図である。
インバータ基板121は、図19に示すように、DC/DCコンバータ回路部300、インバータ回路部302等の電子部品を備えて構成されている。DC/DCコンバータ回路部300は、主として図示しないスイッチングレギュレータIC(本実施例では、ローム社製のスイッチングレギュレータを用いている。)から構成されおり、図示しない電源基板から直流電源+34ボルト(DC+34V)が供給されている。DC/DCコンバータ回路部300は、このDC+34Vからインバータ回路部302に供給する直流電圧を作成し、常に安定した直流電圧をインバータ回路部302に供給している。電源基板から供給されるDC+34VがDC/DCコンバータ回路部300に印加されるラインには、グランド(GND)と接地された双方向型サージアブソーバVRD(本実施形態では、石塚電子製のバリアブルレジスタを用いている。)が電気的に接続されている。この双方向型サージアブソーバは、DC+34V及びグランド(GND)に印加された高電圧(「サージ電圧」という。)を吸収するものである。
インバータ回路部302は、インバータ回路304,306,308を備えて構成されており、インバータ回路304が上冷陰極管111の調光制御を行い、インバータ回路306が側方冷陰極管117の調光制御を行い、インバータ回路308が側方冷陰極管118の調光制御を行う。インバータ回路304,306,308は、DC/DCコンバータ回路部300で作成された直流電圧がそれぞれ印加され、遊技盤4に取り付けられた遊技制御基板からの調光制御信号がそれぞれ入力されている。
インバータ回路304は、調光回路304a、自励発信回路304bを備えて構成されている。調光回路304aは、入力された調光制御信号に基づいて上冷陰極管111の調光レベルを設定する。自励発信回路304bは、調光回路304aで設定された調光レベルとなるように上冷陰極管111に印加する電圧を作成して上冷陰極管111の管電流を変化させる。このように、入力された階調制御信号に基づいて上冷陰極管111の管電流を変化させており、上冷陰極管111に流れる管電流が変動している。上述したDC/DCコンバータ回路部300は、その管電流の変動に対して常に安定した直流電圧をインバータ回路304に供給している。自励発信回路304bは、図示しない、トランジスタ、インダクタ、共振用コンデンサ、トランス等を備えて構成されており、DC/DCコンバータ回路部300で作成された直流電圧が印加されると、インダクタ、抵抗を介してトランジスタに電流が供給される。この電流が供給されるトランジスタは、ON/OFF動作を繰り返して発振する。このとき、共振用コンデンサ及びトランスが主として共振する。この発振による波形(「発振波形」という。)は正弦波に近くなっており、トランスの1次巻き線側に供給される。トランスは、1次巻き線側に供給された発振波形の電圧を昇圧して2次巻き線側から出力する。トランスで昇圧された電圧は、2次巻き線側と電気的に接続された上冷陰極管111に印加されて上冷陰極管111が調光される。なお、インバータ回路304,306,308は、同一の構成であり、、インバータ回路306,308の詳細な説明を省略する。
インバータ基板121は、上述したように、レンズベース体101の中空内部に収納固定されており、レンズベース体101はレンズカバー130の裏面側に固定されている。つまり、インバータ基板121はレンズカバー130に近傍に配置されている。レンズカバー130は、レンズカバー部131,150,170が形成されており、これらのレンズカバー部131,150,170に、上述した、先頭モール部材132,151,171が取着されている。レンズカバー部131,150,170に先頭モール部材132,151,171を取着すると、先頭モール部材132の両側が先頭モール部材151、171と接触するようになっている。これらの先頭モール部材132,151,171は、銀色の貴金属メッキである装飾メッキが施されており、導電性を有している。このため、例えばホールの店員等がメンテナンスのため扉枠5を本体枠3から開放する際に、扉枠5をつかんで先頭モール部材171に触れ、店員に帯電した静電気が店員から先頭モール部材171に伝わる。先頭モール部材171に伝わった静電気は、先頭モール部材171と接触する先頭モール部材132に伝わる。また例えば遊技者が先頭モール部材151,171に触れると、遊技者に帯電した静電気が先頭モール部材151,171と接触する先頭モール部材132に伝わる。この先頭モール部材132は、インバータ基板121と極めて近い位置に配置されているため、先頭モール部材132に伝わった静電気がサージ電圧としてインバータ基板121に侵入するおそれがある。
そこで、本実施形態では、インバータ基板121に、上述した双方向型サージアブソーバVRDを実装することによって、先頭モール部材132に伝わった静電気によるサージ電圧を吸収している。具体的には、インバータ基板121はレンズカバー130に近傍に配置されて、図示しない配線(DC+34V線、グランド(GND)線及び、調光制御信号線)が図示しないコネクタを介して電気的に接続されている。この配線は、本体枠3から扉枠5、そしてレンズカバー130に引き回され、インバータ基板121に電気的に接続される。先頭モール部材132に伝わった静電気によるサージ電圧は、インピーダンスの低い電源線である、DC+34V線やグランド(GND)線に印加されるため、DC/DCコンバータ回路部300のスイッチングレギュレータICに印加されることとなる。そうすると、その印加されたサージ電圧がスイッチングレギュレータICの印加電圧の絶対最大定格を超えると、スイッチングレギュレータICが損傷し、DC/DCコンバータ回路部300が損傷することとなる。そこで、インバータ基板121に実装された双方向型サージアブソーバVRDは、サージ電圧がDC+34Vに印加されたときにはその印加されたサージ電圧を吸収してDC+34Vを安定化させる一方、サージ電圧がグランド(GND)に印加されたときにはその印加されたサージ電圧を吸収してグランド(GND)を安定化させている。このように、先頭モール部材132に伝わった静電気がサージ電圧としてインバータ基板121に印加されても、双方向型サージアブソーバVRDで吸収することができるため、高電圧であるサージ電圧がDC/DCコンバータ回路部300及びインバータ回路部302に印加されなくなる。
したがって、サージ電圧によるDC/DCコンバータ回路部300及びインバータ回路部302の損傷を防止することができる。
以上説明した本実施形態のパチンコ遊技機1によれば、遊技者が透明板を介して遊技部を視認し得る遊技窓51が形成される扉枠5を備えている。この扉枠5は、扉レンズユニット100を備えている。この扉レンズユニット100は、遊技窓51の周囲に設けられており、上冷陰極管111、側方冷陰極管117,118、レンズカバー130、インバータ基板121を備えている。上冷陰極管111、側方冷陰極管117,118は光装飾を行う。レンズカバー130は上冷陰極管111、側方冷陰極管117,118を収納している。インバータ基板121は、レンズカバー130の近傍に配置されており、上冷陰極管111、側方冷陰極管117,118に高電圧を印加する電子部品であるインバータ回路部302と、そのインバータ回路部300に安定な電源を供給するためのDC/DCコンバータ回路部300と、が実装されている。
レンズカバー130は、上レンズカバー部131、側方レンズカバー部150,170、先頭モール部材132,151,171から構成され、上レンズカバー部131、側方レンズカバー部150,170は、光を透過する透明若しくは半透明な合成樹脂によって形成されており、先頭モール部材132,151,171は、それらの上レンズカバー部131、側方レンズカバー部150,170の表面に形成されたモール装着溝135,154,174に装着される。先頭モール部材132,151,171は合成樹脂によって成形されており、先頭モール部材132,151,171の表裏全面に、導電性の装飾メッキが施されている。インバータ基板121は、さらに双方向型サージアブソーバVRDを実装している。この双方向型サージアブソーバVRDは、装飾メッキから伝わった静電気によるサージ電圧が電子部品であるDC/DCコンバータ回路部300及びインバータ回路部302に印加されないようにそのサージ電圧を吸収している。
ここで、例えば、ホールの店員がメンテナンスのため扉枠5を開放する際に、扉枠5の先頭モール部材132,151,171に施された装飾メッキに触れると、店員に帯電した静電気が店員から装飾メッキに伝わる。そうすると、装飾メッキが施された先頭モール部材132,151,171は上レンズカバー部131、側方レンズカバー部150,170のモール装着溝135,154,174に装着されているため、レンズカバー130の近傍に配置されたインバータ基板121には、店員から装飾メッキに伝わった静電気がサージ電圧として印加されるおそれがある。インバータ基板121は、双方向型サージアブソーバVRDを備えており、店員から装飾メッキに伝わった静電気がサージ電圧として印加されても、そのサージ電圧を双方向型サージアブソーバVRDで吸収するようになっている。これにより、サージ電圧がインバータ基板121に実装された電子部品であるDC/DCコンバータ回路部300及びインバータ回路部302に印加されなくなる。したがって、サージ電圧によるインバータ基板121に実装された電子部品であるDC/DCコンバータ回路部300及びインバータ回路部302の損傷を防止することができる。なお、先頭モール部材132,151,171を電気的に接続してアース線で接地すれば、静電気に対して抑止力が働くが、アース線が断線したり、アース線が確実に接地されなかったりする場合には、アース線による接地が無意味なものとなる。本実施形態では、電源線である、DC+34V線やグランド(GND)線に印加された高電圧であるサージ電圧を双方向型サージアブソーバVRDで吸収するため、アース線による接地が要らない。
[3.別例]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、パチンコ遊技機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ遊技機に限定されるものではなく、パチンコ遊技機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技球を用いてスロット遊技を行うもの。)などにも適用することができる。
1…パチンコ遊技機(パチンコ遊技機)、2…外枠、3…本体枠、4…遊技盤、5…扉枠(扉枠)、11…遊技領域、50…扉枠本体、51…遊技窓、70…ガラスユニット、100…扉レンズユニット(扉レンズユニット)、111…上冷陰極管(冷陰極管)、117…側方冷陰極管(冷陰極管)、118…側方冷陰極管(冷陰極管)、123…LED、125…LED、127…LED、130…レンズカバー、131…上レンズカバー部(レンズカバー部)、132…先頭モール部材(装飾部材)、135…モール装着溝、136…取着穴、140…取着ピン、150…側方レンズカバー部(レンズカバー部)、151…先頭モール部材(装飾部材)、154…モール装着溝、155…取着穴、159…取着ピン、170…側方レンズカバー部(レンズカバー部)、171…先頭モール部材(装飾部材)、174…モール装着溝、175…取着穴、179…取着ピン、190…治具、191…加熱工具、300…DC/DCコンバータ回路部(電子部品)、302…インバータ回路部(電子部品)、VRD…双方向型サージアブソーバ(サージアブソーバ)。