以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光受信装置、光通信装置および光受信方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる光受信装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる光受信装置100は、復調部110と、増幅部120aと、増幅部120bと、再生・多重化部(CDR+2:1MUX)130と、並列変換部(De−serializer)140と、フレーム処理部(Framer LSI)150と、を備えている。
光受信装置100は、たとえば43Gb/sのDQPSK方式で変調された信号光を受信して復調する光受信装置である。復調部110は、分波部111と、遅延干渉計112aと、遅延干渉計112bと、光電変換素子113aと、光電変換素子113bと、を備えている。分波部111は、受信した43Gb/sの信号光を分波して、遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bへそれぞれ出力する。
遅延干渉計112aは、分波部111から出力された43Gb/sの信号光に含まれる21.5Gb/sの同相信号を抽出して光電変換素子113aへ出力する(Ach.)。遅延干渉計112bは、分波部111から出力された43Gb/sの信号光に含まれる21.5Gb/sの直交信号を抽出して光電変換素子113bへ出力する(Bch.)。
遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bのそれぞれは、分波部111から出力された信号光を分波し、一方の分波光に1シンボル分に相当する遅延τを与え、他方の分波光を移相し、両方の分波光を合波する。遅延干渉計112aと遅延干渉計112bとは、互いの移相量の差がπ/2となるように制御される。
たとえば、遅延干渉計112aは移相量がπ/4となるように制御され、遅延干渉計112bは移相量が−π/4となるように制御される。遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bは、たとえばLiNbO3(ニオブ酸リチウム)などの電気光学効果素子や石英ガラスなどの熱光学効果素子により構成されたマッハツェンダ型干渉計である。
光電変換素子113aは、遅延干渉計112aから出力された同相信号を電気信号に変換して増幅部120aへ出力する。光電変換素子113bは、遅延干渉計112bから出力された直交信号を電気信号に変換して増幅部120bへ出力する。光電変換素子113aおよび光電変換素子113bは、たとえばPD(Photo Diode)によって構成される。
増幅部120aは、光電変換素子113aから出力された同相信号を増幅して再生・多重化部130へ出力する(Ak,Ak+1,…)。増幅部120bは、光電変換素子113bから出力された直交信号を増幅して再生・多重化部130へ出力する(Bk,Bk+1,…)。再生・多重化部130は、CDR(Clock and Data Recovery)とMUX(Multiplexer)の機能を有している。
再生・多重化部130は、増幅部120aおよび増幅部120bから出力された電気信号からデータおよびクロックを抽出して再生する。また、再生・多重化部130は、増幅部120aから出力された電気信号から抽出したデータと、増幅部120bから出力された電気信号から抽出したデータと、を多重化して並列変換部140へ出力する(Ak,Bk,Ak+1,…)。
並列変換部140は、再生・多重化部130から出力されたデータを2.7Gb/s×16の並列データに並列変換してフレーム処理部150へ出力する。ここで並列データへの並列変化は16並列化に限らない。フレーム処理部150は、並列変換部140から出力された並列データに対してフレーム同期処理およびフレーム信号の受信処理を行う。
図2は、実施の形態1にかかる光受信装置のフレーム処理部の構成を示すブロック図である。図2に示すように、フレーム処理部150は、論理制御部210と、フレーム同期回路220と、フレーム処理回路230と、論理状態識別回路240と、制御部250と、記憶部260と、を備えている。論理制御部210は、論理反転回路211と、ビットスワップ回路212と、を備えている。
論理反転回路211は、制御部250の制御によって、並列変換部140から出力された並列データ(Data in)を論理反転させてビットスワップ回路212へ出力する。論理反転回路211は、並列変換部140から出力される16並列のデータのそれぞれに対応した16個の排他的論理和回路(EOR01〜EOR16)と、奇数チャネル設定部211a(Odd ch.)と、偶数チャネル設定部211b(Even ch.)と、を備えている。
奇数チャネル設定部211aの設定値を「0」から「1」に変更すると、奇数番目の排他的論理和回路(EOR01,EOR03,…,EOR15)へ入力されたデータが論理反転する。偶数チャネル設定部211bの設定値を「0」から「1」に変更すると、偶数番目の排他的論理和回路(EOR02,EOR04,…,EOR16)へ入力されたデータが論理反転する。
ビットスワップ回路212は、制御部250の制御によって、論理反転回路211から出力された並列データをビットスワップさせ、フレーム同期回路220、フレーム処理回路230および論理状態識別回路240へ出力する。ビットスワップ回路212は、論理反転回路211から出力される16並列のデータの1番目と2番目,3番目と4番目,…,15番目と16番目のそれぞれの組に対応した8個のクロスバースイッチ(SW)と、切換制御部212a(SW cont.)を備えている。
切換制御部212aの設定値を「0」から「1」に変更すると、8個のクロスバースイッチが点線に示す経路に切り替えられ、対応する組のデータを入れ替える。これにより、切換制御部212aの設定値を「0」から「1」に変更すると、論理反転回路211から出力された16並列のデータの奇数番目のデータと偶数番目のデータがそれぞれ入れ替わる。
フレーム同期回路220は、論理制御部210から出力された並列データに含まれるフレーム同期ビットに基づいて、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期を確立する。フレーム同期回路220は、フレーム同期が確立したと判定すると、フレーム同期信号をフレーム処理回路230および制御部250へ出力する。
ITU−TG.709勧告に示されたOTN(Optical Transport Network)においては、OTU(Optical Transport Unit)のオーバヘッド部に、フレーム同期ビットとしてFAS(Frame Alignment Signal)が規定されている。
光受信装置100がOTUによって信号光の伝送を行う場合、フレーム同期回路220は、OA1(“11110110”)とOA2(“00101000”)とをOA1,OA1,OA1,OA2,OA2,OA2の順に検出した場合、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立したと判定する。
SDH(Synchronous Digital Hierarchy)、SONET(Synchronous Optical Network)においては、フレームのオーバヘッドの同期バイトA1,A2がFASバイトに相当するフレーム同期ビットである。光受信装置100がSDH、SONETによって信号光の伝送を行う場合、フレーム同期回路220は、同期バイトA1,A2を検出する構成とする。
フレーム処理回路230は、フレーム同期回路220からフレーム同期信号が出力されると、論理制御部210から出力された並列データに対してデマッピング処理などのフレーム処理を行う。論理状態識別回路240は、論理制御部210から出力される16並列のデータに含まれるフレーム同期ビットと、制御部250から出力される比較パターンと、を比較して比較結果を制御部250へ出力する。
制御部250は、比較パターンと論理状態制御の設定値とがあらかじめ対応付けられたパターンテーブルを備えている。制御部250は、論理状態識別回路240から出力される比較結果が「一致」となるまでパターンテーブルの比較パターンを論理状態識別回路240へ順次出力する。制御部250は、比較結果が「一致」となったときの比較パターンに対応付けられた論理状態制御の設定値に基づいて論理制御部210を制御する。
また、制御部250は、フレーム同期回路220からフレーム同期信号が出力されると、そのときの比較パターンと論理状態制御の設定値を記憶部260に記憶させる(write)。また、制御部250は、システム障害などでフレーム同期回路220によるフレーム同期が外れた場合、記憶部260に記憶されている最新の比較パターンと論理状態制御の設定値を読み出し(read)、読み出した設定値に基づいて論理制御部210を制御する。
また、制御部250は、遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bの移相量の差がπ/2となるように、遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bの移相量を制御する。制御部250は、たとえばFPGA(Field Programmable Gate Array)やCPU(Central Processing Unit)によって構成される。
記憶部260は、制御部250の制御によって、比較パターンと論理状態制御の設定値を記憶する。記憶部260は、新たな比較パターンと論理状態制御の設定値が制御部250によって書き込まれる場合、既に記憶されている比較パターンと論理状態制御の設定値に上書きして新たな比較パターンと論理状態制御の設定値を記憶する構成としてもよい。
また、比較パターンと論理状態制御の設定値とがあらかじめ対応付けられたパターンテーブルを制御部250が備えているため、記憶部260に記憶する情報は、比較パターンおよび論理状態制御の設定値のいずれか一方でもよい。すなわち、記憶部260には、論理状態識別回路240および制御部250による論理状態の識別結果が記憶されていればよい。ここで、論理状態識別回路240、制御部250および記憶部を一体的に構成する場合も考えられる。
図3は、復調部から出力される電気信号の論理状態を示す図である。図3において、表300は、復調部110から出力された電気信号の論理状態を示す表である。表300の横方向の項目は、復調部110の光電変換素子113a(Ach.)から出力された電気信号が、正転Qk信号、反転Qk信号、反転Ik信号および正転Ik信号のいずれであるかを示している。
表300の縦方向の項目は、復調部110の光電変換素子113b(Bch.)から出力された電気信号が、正転Qk信号、反転Qk信号、反転Ik信号および正転Ik信号のいずれであるかを示している。Ach.およびBch.から出力された信号の組み合わせによって、復調部110から出力された電気信号の論理状態は16通りとなる。
◎は、Ach.から正転Ik信号が出力され、Bch.から正転Qk信号が出力された所望の論理状態を示している。◎の場合、論理制御部210による論理状態の制御は必要ない。○は、Ach.およびBch.の少なくとも一方から反転Ik信号または反転Qk信号が出力された状態を示している。○の場合、論理制御部210によって論理反転処理を行う必要がある。
◇は、Ach.から正転Qk信号が出力され、Bch.から正転Ik信号が出力された状態を示している。◇の場合、論理制御部210によってビットスワップ処理を行う必要がある。△は、論理反転かつビットスワップ状態を示している。△の場合、論理制御部210によって論理反転処理およびビットスワップ処理を行う必要がある。
×は、Ach.およびBch.からともにIk信号が出力され、またはともにQk信号が出力された状態を示している。×の場合、制御部250によって遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bの移相量を制御する必要がある。制御部250および論理状態識別回路240は、復調部110から出力された電気信号の論理状態が表300の16通りの論理状態のいずれであるかを識別する。
図4は、実施の形態1にかかる光受信装置が備えるパターンテーブルを示す図である。図4において、第1列目は、比較パターンの項番P(1〜16)を示している。第2列目は、16ビットの比較パターンを示している。比較パターンは、論理制御部210から出力された並列データに含まれるフレーム同期ビットに対応するパターンである。
また、比較パターンは、ここでは16通りのパターンであり、図3に示した16通りの論理状態に対応している。第3〜6列目は、各比較パターンに対応付けられた論理状態制御の設定値を示している。チェック印は、その項目の設定値を変更する必要があることを示している。
第3列目(論理反転,奇ch.)は、論理反転回路211の奇数チャネル設定部211aの設定値を示している。第4列目(論理反転,偶ch.)は、論理反転回路211の偶数チャネル設定部211bの設定値を示している。第5列目(BS)は、ビットスワップ回路212の切換制御部212aの設定値を示している。第6列目(干渉計)は、復調部110の遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bの移相量の制御値を示している。
制御部250および論理状態識別回路240は、論理制御部210から出力された並列データに含まれるフレーム同期ビットがいずれの比較パターンと一致するかによって、論理制御部210から出力された並列データの論理状態を識別する。制御部250は、フレーム同期ビットと一致した比較パターンに対応付けられた論理状態制御の設定値に基づいて論理制御部210を制御する。
たとえば、フレーム同期ビットが比較パターン3(項番P=3)と一致した場合、制御部250は、論理反転回路211の偶数チャネル設定部211bと、ビットスワップ回路212の切換制御部212aと、の設定値(「0」または「1」)を反転させる。また、フレーム同期ビットが比較パターン13(項番P=13)と一致した場合、制御部250は、論理状態制御の設定値を変更しない。
図5は、実施の形態1にかかる光受信装置の初期設定動作を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、制御部250が、論理状態識別回路240へ出力する比較パターンP(図4参照)を1に設定し、かつ、論理反転回路211やビットスワップ回路212を用いる論理状態制御をリセットする(ステップS501)。つぎに、論理状態識別回路240が、論理制御部210から出力された並列データに含まれるフレーム同期ビットと制御部250から出力された比較パターンPとが一致するか否かを判断する(ステップS502)。
ステップS502において、フレーム同期ビットと比較パターンPとが一致しなかった場合(ステップS502:No)、制御部250が、論理状態識別回路240へ出力する比較パターンPをP+1に設定する(ステップS503)。つぎに、ステップS502に移行して処理を続行する。ここで、ステップS503において、比較パターンPが図4に示す項番の最大値であるP=16を超えた場合は、P=1を設定する。
ステップS502において、フレーム同期ビットと比較パターンPとが一致した場合(ステップS502:Yes)、制御部250が、比較パターンPに対応した設定値(図4参照)に基づいて論理状態の制御を行う(ステップS504)。つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS505)。
ステップS505において、フレーム同期が確立していない場合(ステップS505:No)、前記ステップS504で設定した論理状態制御を一端リセットした後に(ステップS507)、ステップS503へ移行して処理を続行する。フレーム同期が確立している場合(ステップS505:Yes)、制御部250が、比較パターンPおよび論理状態制御の設定値を記憶部260に記憶させ(ステップS506)、一連の初期設定動作を終了する。
図6は、実施の形態1にかかる光受信装置の障害からの復旧動作を示すフローチャートである。システム障害などでフレーム同期回路220によるフレーム同期が外れた場合、図6に示すように、まず、制御部250が、記憶部260に記憶された比較パターンPおよび論理状態制御の設定値を読み出す(ステップS601)。
つぎに、制御部250が、ステップS601によって読み出した論理状態制御の設定値に基づいて論理状態の制御を行う(ステップS602)。つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS603)。
ステップS603において、フレーム同期が確立している場合(ステップS603:Yes)、制御部250が、比較パターンPおよび論理状態制御の設定値を記憶部260に記憶させ(ステップS604)、一連の復旧動作を終了する。フレーム同期が確立していない場合(ステップS603:No)、制御部250が、ビットスワップ回路212の切換制御部212aの設定値を反転させる(ステップS605)。
つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS606)。フレーム同期が確立している場合(ステップS606:Yes)、ステップS604に移行して処理を続行する。フレーム同期が確立していない場合(ステップS606:No)、初期設定動作(図5参照)を再度行い(ステップS607)、一連の復旧動作を終了する。
システム障害が発生しても遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bの移相量の制御値は基本的に維持されるため、論理反転回路211については記憶部260から読み出した設定値が適当な設定値となる。したがって、ステップS602において論理反転回路211は適切に設定されるため、ステップS605においてビットスワップ回路212の設定値のみを反転させる。
また、ステップS607へ移行した場合、ステップS602およびステップS605において用いた論理状態の設定値は、それぞれステップS603およびステップS606によって適切でないことが判明しているため、ステップS607において設定する比較パターンPを限定することができる。
たとえば、ステップS602における設定値に対応する比較パターンPが3であった場合、ステップS605における設定値に対応する比較パターンPは14となる。このため、ステップS607において、比較パターンPから3と14を比較対象から除外してもよい。これにより、ステップS607によってフレーム同期が確立されるまでの時間を短縮することができる。
また、これらの比較パターンを比較対象から除外するのではなく、これらの比較パターンを比較する優先順位を下げる構成としてもよい。
このように、実施の形態1にかかる光受信装置100によれば、初期設定動作時に論理状態制御の設定値を記憶部260に記憶させておき、記憶させておいた設定値を障害からの復旧動作時に読み出して用いることで、障害発生時に初期設定動作を再度行う場合と比べてフレーム同期確立までの時間を短縮することができる。このため、障害発生時に障害から復旧するまでの時間を短縮することができる。
また、読み出した設定値によってフレーム同期が確立しなかった場合も、ビットスワップ回路212の設定を優先して反転させることでフレーム同期確立までの時間を短縮することができる。また、再度初期設定動作を行う場合も、比較パターンを限定して論理状態を識別することで効率的に論理状態を識別し、フレーム同期確立までの時間を短縮することができる。
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2にかかる光受信装置のフレーム処理部の構成を示すブロック図である。図7において、図2に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図7に示すように、実施の形態2にかかる光受信装置100の論理制御部210は、1ビット遅延回路710を備えている。
1ビット遅延回路710は、制御部250の制御によって、並列変換部140から出力された並列データ(Data in)を1ビット遅延させて論理反転回路211へ出力する。1ビット遅延回路710は、並列変換部140から出力される16並列のデータのそれぞれに対応した16個のセレクタ(SEL)と、1ビット遅延部710a(D)と、セレクタ制御部710b(SEL cont.)と、を備えている。
セレクタ制御部710bの設定値を「0」から「1」に変更すると、16個のセレクタの経路が図の点線のように切り替わり、1番目のデータ,2番目のデータ,…,15番目のデータがそれぞれ2番目のデータ,3番目のデータ,…,16番目のデータとして出力され、16番目のデータが1ビット遅延部710aによって1ビット遅延して1番目のデータとして出力される。
図8は、並列変換部から出力される電気信号の論理状態を示す図である。図8において、図3に示した部分と同様の部分については説明を省略する。図8において、表810は、並列変換部140から並列データが1ビット遅延なしで出力された場合の並列信号の論理状態を示す表である。表820は、並列変換部140から並列データが1ビット遅延して出力された場合の並列信号の論理状態を示す表である。
表810および表820の横方向の項目(奇数ch.)は、並列変換部140から出力された奇数番目のデータが、正転Qk信号、反転Qk信号、反転Ik信号および正転Ik信号のいずれであるかを示している。表810および表820の縦方向の項目(偶数ch.)は、並列変換部140から出力された偶数番目のデータが、正転Qk信号、反転Qk信号、反転Ik信号および正転Ik信号のいずれであるかを示している。
このように、並列変換部140から出力される並列データが1ビット遅延している場合を考慮すると、並列変換部140から出力される並列データの論理状態は表810および表820に示す32通りとなる。制御部250および論理状態識別回路240は、並列変換部140から出力された並列データの論理状態が表810および表820の32通りの論理状態のいずれであるかを識別する。
図9は、実施の形態2にかかる光受信装置が備えるパターンテーブルを示す図である。図9において、図4に示した項目と同様の項目については説明を省略する。第3列目〜第7列目は、並列変換部140から出力される並列データが1ビット遅延していない状態(遅延状態(1))である場合の各比較パターンに対応付けられた論理状態制御の設定値を示している。
第8列目〜第12列目は、並列変換部140から出力される並列データが1ビット遅延している状態(遅延状態(2))である場合の各比較パターンに対応付けられた論理状態制御の設定値を示している。第3列目(1D)は、遅延状態が(1)の場合の1ビット遅延回路710のセレクタ制御部710bの設定値を示している。第8列目は、遅延状態が(2)の場合の1ビット遅延回路710のセレクタ制御部710bの設定値を示している。
たとえば、フレーム同期ビットが比較パターン3(項番P=3)と一致し、遅延状態が(1)である場合、論理反転回路211の偶数チャネル設定部211bと、ビットスワップ回路212の切換制御部212aと、の設定値を「0」から「1」へ設定変更させる必要がある。
一方、フレーム同期ビットが比較パターン3(項番P=3)と一致し、遅延状態が(2)である場合、1ビット遅延回路710のセレクタ制御部710bと、論理反転回路211の偶数チャネル設定部211bと、ビットスワップ回路212の切換制御部212aと、の設定値を「0」から「1」へ設定変更させる必要がある。
図10は、実施の形態2にかかる光受信装置の初期設定動作を示すフローチャートである。図10に示すように、まず、制御部250が、論理反転回路211、ビットスワップ回路211や1ビット遅延回路710を用いる論理状態制御をリセットし、かつ、論理状態識別回路240へ出力する比較パターンPを1に設定する(ステップS1001)。つぎに、論理状態識別回路240が、論理制御部210から出力された並列データに含まれるフレーム同期ビットと制御部250から出力された比較パターンPとが一致するか否かを判断する(ステップS1002)。
ステップS1002において、フレーム同期ビットと比較パターンPとが一致しなかった場合(ステップS1002:No)、制御部250が、論理状態識別回路240へ出力する比較パターンPをP+1に設定する(ステップS1003)。ここで、ステップS503において、比較パターンPが図4に示す項番の最大値であるP=16を超えた場合は、P=1を設定する。つぎに、ステップS1002に戻って処理を続行する。
ステップS1002において、フレーム同期ビットと比較パターンPとが一致した場合(ステップS1002:Yes)、制御部250が、比較パターンPの遅延状態(1)に対応した設定値(図9参照)に基づいて論理状態の制御を行う(ステップS1004)。つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1005)。
ステップS1005において、フレーム同期が確立している場合(ステップS1005:Yes)、制御部250が、比較パターンPおよび論理状態制御の設定値を記憶部260に記憶させ(ステップS1006)、一連の初期設定動作を終了する。フレーム同期が確立していない場合(ステップS1005:No)、制御部250が、比較パターンPの遅延状態(2)に対応した設定値に基づいて論理状態の制御を行う(ステップS1007)。
つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1008)。フレーム同期が確立していない場合(ステップS1008:No)、前記ステップS1007で設定した論理状態制御を一端リセットした後に(ステップS1009)、ステップS1003へ移行して処理を続行する。フレーム同期が確立している場合(ステップS1008:Yes)、ステップS1006へ移行して処理を続行する。
図11は、実施の形態2にかかる光受信装置の障害からの復旧動作を示すフローチャートである。システム障害などでフレーム同期回路220によるフレーム同期が外れた場合、図11に示すように、まず、制御部250が、記憶部260に記憶された比較パターンPおよび論理状態制御の設定値を読み出す(ステップS1101)。
つぎに、制御部250が、ステップS1101によって読み出した論理状態制御の設定値に基づいて論理状態の制御を行う(ステップS1102)。つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1103)。
ステップS1103において、フレーム同期が確立している場合(ステップS1103:Yes)、制御部250が、比較パターンPおよび論理状態制御の設定値を記憶部260に記憶させ(ステップS1104)、一連の復旧動作を終了する。フレーム同期が確立していない場合(ステップS1103:No)、制御部250が、1ビット遅延回路710のセレクタ制御部710bの設定値を反転させる(ステップS1105)。
つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1106)。フレーム同期が確立している場合(ステップS1106:Yes)、ステップS1104に移行して処理を続行する。
ステップS1106において、フレーム同期が確立していない場合(ステップS1106:No)、制御部250が、ビットスワップ回路212の切換制御部212aおよび1ビット遅延回路710のセレクタ制御部710bの設定値を反転させる(ステップS1107)。すなわち、ステップS1102の状態から、ビットスワップ回路212のみの設定値を反転させた状態とする。
つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1108)。フレーム同期が確立している場合(ステップS1108:Yes)、ステップS1104に移行して処理を続行する。
ステップS1108において、フレーム同期が確立していない場合(ステップS1108:No)、制御部250が、1ビット遅延回路710のセレクタ制御部710bの設定値を反転させる(ステップS1109)。すなわち、ステップS1102の状態から、ビットスワップ回路212および1ビット遅延回路710の設定値を反転させた状態とする。
つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1110)。フレーム同期が確立している場合(ステップS1110:Yes)、ステップS1104に移行して処理を続行する。フレーム同期が確立していない場合(ステップS1110:No)、初期設定動作(図10参照)を再度行い(ステップS1111)、一連の復旧動作を終了する。
システム障害が発生しても遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bの移相量の制御値は基本的に維持されるため、論理反転回路211については記憶部260から読み出した設定値が適当な設定値となる。したがって、ステップS1102において論理反転回路211は適切に設定されるため、1ビット遅延回路710およびビットスワップ回路212の設定値の組み合わせを変更する。
ここでは、1ビット遅延回路710(ステップS1105)、ビットスワップ回路212(ステップS1107)、1ビット遅延回路710およびビットスワップ回路212(ステップS1109)の順に設定値を変更する。ただし、これらの設定値を変更する順番はこれに限られない。
また、ステップS1111へ移行した場合、ステップS1102、ステップS1105およびステップS1109において用いた論理状態の設定値は、それぞれステップS1103、ステップS1106およびステップS1110によって適切でないことが判明しているため、ステップS1111において設定する比較パターンPを限定することができる。
たとえば、ステップS1102における設定値に対応する比較パターンPが3の遅延状態(1)であった場合、ステップS1105における設定値に対応する比較パターンPは3の遅延状態(2)となる。また、ステップS1107における設定値に対応する比較パターンPは14の遅延状態(1)となる。また、ステップS1109における設定値に対応する比較パターンPは14の遅延状態(2)となる。
このため、ステップS1111において、比較パターンPから3の遅延状態(1)、3の遅延状態(2)、14の遅延状態(1)および14の遅延状態(2)を比較対象から除外してもよい。これにより、ステップS1111によってフレーム同期が確立されるまでの時間を短縮することができる。
また、これらの比較パターンを比較対象から除外するのではなく、これらの比較パターンを比較する優先順位を下げる構成としてもよい。これにより、フレーム同期が確立されるまでの時間を短縮しつつ、遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bの移相量が変化した場合にも適切な論理状態の制御を行うことができる。
このように、実施の形態2にかかる光受信装置100によれば、上述した実施の形態1にかかる光受信装置100の効果を奏するとともに、再生・多重化部130および並列変換部140によるクロック位相の関係により並列データの1ビット遅延が発生しても、1ビット遅延回路710による1ビット遅延処理を行うことによって並列データを所望の論理状態に制御することができる。
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3にかかる光通信装置の構成を示すブロック図である。図12において、図1または2に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。光通信装置1200は、たとえば43Gb/sのDQPSK方式で変調された信号光を受信して復調し、43Gb/sのDQPSK方式で変調した信号光を送信する光通信装置である。
図12に示すように、実施の形態3にかかる光通信装置1200は、実施の形態1または2にかかる光受信装置100の構成に加えて、信号入出力部1210と、プリコーダ1220(precoder)と、光送信部1230と、光スイッチ1240と、光スイッチ1250と、を備えている。
フレーム処理回路230は、フレーム処理した並列データを信号入出力部1210へ出力する。また、フレーム処理回路230は、信号入出力部1210から出力されたデータを波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)に対応したOTNやSDH/SONETなどのフレームに格納するマッピング処理を行う。フレーム処理回路230は、マッピング処理を行ったデータをプリコーダ1220へ出力する。
信号入出力部1210は、フレーム処理回路230から出力された並列データをクライアント側へ出力する。また、信号入出力部1210は、クライアント側から出力された2.7Gb/s×16の並列データをフレーム処理回路230へ出力する。プリコーダ1220は、フレーム処理回路230から出力された並列データを、DQPSK方式の変調に対応した所定の論理にしたがって符号化して光送信部1230へ出力する。
光送信部1230は、直列変換部1231(SER)と、多重分離部1232(1:2DMUX)と、位相変調部1233と、強度変調器1239と、を備えている。直列変換部1231は、プリコーダ1220から出力された2.7Gb/s×16の並列データを43Gb/sの直列データに直列変換して多重分離部1232へ出力する。ここで、並列データとして2.7Gb/s×16の場合を示しているが、並列データの並列数に関してはこの限りではない。
多重分離部1232は、直列変換部1231から出力された43Gb/sの直列データを21.5Gb/sの信号ηkと21.5Gb/sの信号ρkとに多重分離する。多重分離部1232は、多重分離した信号ηkおよび信号ρkを位相変調部1233へ出力する(Data ηk,Data ρk)。
位相変調部1233は、光源1234と、分波部1235と、位相変調器1236aと、位相変調器1236bと、π/2位相シフタ部1237と、合波部1238と、を備えている。光源1234は、連続光を分波部1235へ出力する。分波部1235は、光源1234から出力された連続光を分波して位相変調器1236aおよび位相変調器1236bへ出力する。
位相変調器1236aは、分波部1235から出力された連続光に対して多重分離部1232から出力されたηk信号に応じた位相変調を行い、合波部1238へ出力する。位相変調器1236bは、分波部1235から出力された連続光に対して多重分離部1232から出力されたρk信号に応じた位相変調を行い、π/2位相シフタ部1237へ出力する。
位相変調器1236aおよび位相変調器1236bは、たとえばマッハツェンダ型干渉計である。π/2位相シフタ部1237は、位相変調器1236bから出力された信号光をπ/2または−π/2だけ移相して合波部1238へ出力する。合波部1238は、位相変調器1236aから出力された信号光とπ/2位相シフタ部1237から出力された信号光とを合波して強度変調器1239へ出力する。
強度変調器1239は、位相変調部1233から出力された信号光を強度変調し、IM信号光に変換し光スイッチ1240へ出力する。強度変調器1239は、たとえばマッハツェンダ型干渉計である。強度変調器1239は、21.5GHzのクロック(clock)を用いて強度変調を行う。
光スイッチ1240は、光送信部1230の強度変調器1239から出力された信号光の経路切替を行う。具体的には、光スイッチ1240は、強度変調器1239から出力された信号光を光スイッチ1250へ出力する第1経路(図の点線)と、強度変調器1239から出力された信号光を他の通信装置へ送信する第2経路(図の実線)と、の切替を行う。ここで光スイッチ1240を1入力2出力の光カプラで置き換えてもよい。
光スイッチ1250は、光受信装置100の分波部111へ出力する信号光の経路切替を行う。具体的には、光スイッチ1250は、光スイッチ1240から出力された信号光を光受信装置100の分波部111へ出力する第1経路(図の点線)と、他の通信装置から送信された信号光を光受信装置100の分波部111へ出力する第2経路(図の実線)と、の切替を行う。
この構成により、光通信装置1200は、光スイッチ1240および光スイッチ1250をそれぞれ第1経路に切り替えることで、光送信部1230によって変調された信号光を光受信装置100の分波部111へ出力する。また、光通信装置1200は、光スイッチ1240および光スイッチ1250をそれぞれ第2経路に切り替えることで、変調した信号光を他の通信装置へ送信し、他の通信装置から送信された信号光を受信する。
これにより、制御部250は、論理状態制御をリセットし光スイッチ1240および光スイッチ1250をそれぞれ第1経路に切り替え、自装置が変調して出力した信号光を入力して復調することで、他の光通信装置から信号光が送信されていない場合でも論理制御部210の制御を行うことができる。
フレーム処理部150へ出力される信号光の論理反転状態は、自装置の遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bの移相量の設定値によって決まる。したがって、他の通信装置からの信号光を受信する前に判定した信号光の論理反転状態は、他の通信装置からの信号光を受信する後でも変化しない。
制御部250は、他の通信装置からの信号光を受信する前に論理反転状態を判定しておく。そして、制御部250は、他の光通信装置から信号光を受信しながら信号光の論理状態を識別する際には、論理反転回路211の設定値を変更する比較パターンを比較対象から除外する。これにより、論理状態を識別してフレーム同期を確立するまでの時間を短縮することができる。
なお、光スイッチ1240から出力された信号光を光受信装置100の分波部111へ出力する手段として光スイッチ1240および光スイッチ1250を用いる構成について説明したが、光スイッチ1240および光スイッチ1250ではなく、光カプラなどの分岐手段を用いる構成としてもよい。
このように、実施の形態3にかかる光通信装置1200によれば、上述した各実施の形態にかかる光受信装置100の効果を奏するとともに、他の光通信装置から信号光が送信されていない場合でも論理制御部210の制御を行うことができる。このため、他の光通信装置から信号光を受信しながらフレーム同期を確立するまでの時間を短縮することができる。このため、障害発生時に障害から復旧するまでの時間を短縮することができる。
(実施の形態4)
図13は、実施の形態4にかかる光通信システムの構成を示すブロック図である。図13において、図12に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図13に示すように、実施の形態4にかかる光通信システム1300は、対向する2つの光通信装置1310と、伝送路1320と、から構成されている。
対向する2つの光通信装置1310は、実施の形態3にかかる光通信装置1200の構成に加えて、SV信号送信部1311と、多重化部1312と、多重分離部1313と、SV信号受信部1314と、をそれぞれ備えている。光通信装置1200は、送信する信号光(以下、「データ信号光」という)を多重化部1312へ出力する。また、光通信装置1200は、多重分離部1313から出力されたデータ信号光を受信する。
SV信号送信部1311は、記憶部260に記憶された識別結果の情報をSV(SuperVisory)信号光に変換して多重化部1312へ出力する。多重化部1312は、光通信装置1200から出力されたデータ信号光と、SV信号送信部1311から出力されたSV信号光と、を多重化する。多重化部1312は、多重化した信号光を対向する光通信装置1310へ伝送路1320を介して送信する。
多重分離部1313は、対向する光通信装置1310から送信された信号光を、データ信号光とSV信号光とに多重分離する。多重分離部1313は、多重分離したデータ信号光を光通信装置1200へ出力し、多重分離したSV信号光をSV信号受信部1314へ出力する。SV信号受信部1314は、多重分離部1313から出力されたSV信号光を識別結果の情報に変換して記憶部260に記憶する。
この構成により、光通信装置1310は、対向する光通信装置1310が識別した論理状態の情報を取得することができる。フレーム処理部150へ出力される信号光のビットスワップ状態は、対向する光通信装置1310のπ/2位相シフタ部1237の移相量の設定値によって決まる。制御部250は、対向する光通信装置1310から取得した論理状態の情報のうち、ビットスワップ状態の情報を用いてビットスワップ回路212の設定を行う。
そして、制御部250は、対向する光通信装置1310から信号光を受信しながら信号光の論理状態を識別する際には、ビットスワップ回路212の設定値を変更する比較パターンを比較対象から除外する。これにより、論理状態を識別してフレーム同期を確立するまでの時間を短縮することができる。
なお、SV信号送信部1311は、記憶部260に記憶された識別結果の情報のうち、ビットスワップ状態の識別結果のみを対向する光通信装置1310へ送信する構成としてもよい。これにより、SV信号光の通信量を低減することができる。また、SV信号送信部1311は、識別結果の情報を送信するのではなく、識別結果に対応付けられた論理状態の設定値の情報を送信する構成としてもよい。
また、2つの光通信装置1310のうち、一方のみがSV信号送信部1311を備え、他方のみがSV信号受信部1314を備える構成としてもよい。この場合でも、SV信号受信部1314を備えた光通信装置1310は、SV信号送信部1311を備えた光通信装置1310からSV信号光を受信し、受信した論理状態の情報に基づいて論理状態の制御を行うことができる。
図14は、実施の形態4にかかる光通信装置が備えるパターンテーブルを示す図である。図14において、図9に示した項目と同様の項目については説明を省略する。実施の形態4にかかる光通信装置1310は、図14に示すようなパターンテーブルを備えている。第13列目(送信側,位相変調部)は、各比較パターンに対応付けられた、光送信部1230の位相変調部1233のπ/2位相シフタ部1237(図12参照)における移相量の設定値を示している。
第14列目(受信側,I−arm)は、各比較パターンに対応付けられた、光受信装置100の遅延干渉計112a(図1参照)における移相量の設定値を示している。第15列目(受信側,Q−arm)は、各比較パターンに対応付けられた、光受信装置100の遅延干渉計112b(図1参照)における移相量の設定値を示している。
たとえば、フレーム同期ビットが比較パターン3(項番P=3)と一致した場合、制御部250は、論理反転回路211の偶数チャネル設定部211bと、ビットスワップ回路212の切換制御部212aと、の設定値を「1」に設定する。それとともに、SV信号送信部1311は、自装置の移相部シフタ1237における移相量の設定値が+π/2となっている旨の情報を対向する光通信装置1310へ送信する。
図15は、実施の形態4にかかる光通信装置の動作を示すフローチャートである。図15に示すように、まず、光スイッチ1240および光スイッチ1250が、光送信部1230から出力された信号光を光受信装置100の分波部111へ出力する第1経路(図12参照)への切替を行う(ステップS1501)。
つぎに、制御部250が、論理反転回路211、ビットスワップ回路212や1ビット遅延回路710を用いる論理状態制御をリセットし、かつ、論理状態識別回路240へ出力する比較パターンPを1に設定する(ステップS1502)。つぎに、論理状態識別回路240が、論理制御部210から出力された並列データに含まれるフレーム同期ビットと制御部250から出力された比較パターンPとが一致するか否かを判断する(ステップS1503)。
ステップS1503において、フレーム同期ビットと比較パターンPとが一致しなかった場合(ステップS1503:No)、制御部250が、論理状態識別回路240へ出力する比較パターンPをP+1に設定する(ステップS1504)。ここで、ステップS1504において、比較パターンPが図14に示す項番の最大値であるP=16を超えた場合は、P=1を設定する。つぎに、ステップS1503へ移行して処理を続行する。
ステップS1503において、フレーム同期ビットと比較パターンPとが一致した場合(ステップS1503:Yes)、制御部250が、比較パターンPの遅延状態(1)に対応した設定値(図14参照)に基づいて論理状態の制御を行う(ステップS1505)。つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1506)。
ステップS1506において、フレーム同期が確立していない場合(ステップS1506:No)、制御部250が、比較パターンPの遅延状態(2)に対応した設定値に基づいて論理状態の制御を行う(ステップS1507)。つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1508)。
ステップS1508において、フレーム同期が確立していない場合(ステップS1508:No)、前記ステップS1507で設定した論理状態制御を一端リセットした後に(ステップS1518)、ステップS1504へ移行して処理を続行する。ステップS1506においてフレーム同期が確立している場合(ステップS1506:Yes)およびステップS1508においてフレーム同期が確立している場合(ステップS1508:Yes)、制御部250が、比較パターンPおよび論理状態制御の設定値を記憶部260に記憶させる(ステップS1509)。
つぎに、光スイッチ1240および光スイッチ1250が、光送信部1230から出力された信号光を対向する光通信装置1310へ送信し、対向する光通信装置1310から送信された信号光を光受信装置100の分波部111へ出力する第2経路(図12参照)への切替を行う(ステップS1510)。
つぎに、SV信号送信部1311が、ステップS1509によって記憶された比較パターンP(図14参照)の情報を、対向する光通信装置1310へ送信する(ステップS1511)。つぎに、SV信号受信部1314が、対向する光通信装置1310において識別された比較パターンPの情報を対向する光通信装置1310から受信する(ステップS1512)。
つぎに、制御部250が、ステップS1509によって記憶部260に記憶された比較パターンP(記憶情報)に対応付けられた遅延干渉計112aおよび遅延干渉計112bにおける移相量の設定値と、ステップS1512によって受信した対向する光通信装置1310において受信した比較パターンP(受信情報)に対応付けられたπ/2位相シフタ部1237における移相量の設定値と、に基づいて論理状態の制御を行う(ステップS1513)。
つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1514)。フレーム同期が確立している場合(ステップS1514:Yes)、制御部250が、比較パターンPおよび論理状態制御の設定値を記憶部260に記憶させ(ステップS1515)、一連の処理を終了する。
ステップS1514において、フレーム同期が確立していない場合(ステップS1514:No)、制御部250が、1ビット遅延回路710のセレクタ制御部710bの設定値を反転させる(ステップS1516)。つぎに、フレーム同期回路220が、論理制御部210から出力された並列データのフレーム同期が確立しているか否かを判断する(ステップS1517)。
ステップS1517において、フレーム同期が確立していない場合(ステップS1517:No)、前記ステップS1513で設定した論理状態制御を一端リセットした後に(ステップS1519)、ステップS1504に移行して処理を続行する。フレーム同期が確立している場合(ステップS1517:Yes)、ステップS1515へ移行して処理を続行する。
このように、実施の形態4にかかる光通信システム1300によれば、上述した各実施の形態にかかる光受信装置100,光通信装置1200の効果を奏するとともに、光通信装置1310は、対向する光通信装置1310から受信した論理状態の情報を用いて論理状態の制御を行うことができる。これにより、対向する光通信装置1310から信号光を受信しながらフレーム同期を確立するまでの時間を短縮することができる。このため、障害発生時に障害から復旧するまでの時間を短縮することができる。
以上説明したように、この発明にかかる光受信装置、光通信装置および光受信方法によれば、障害発生時に、記憶しておいた論理状態の情報を用いて論理状態の制御を行うことで、フレーム同期確立までの時間を短縮することができる。また、ビットスワップ回路212または1ビット遅延回路710の設定を優先して変更することで、フレーム同期確立までの時間を短縮することができる。
また、障害発生時に電気信号の論理状態を再度識別する場合にも、比較パターンを限定して論理状態を識別することで効率的に論理状態を識別し、フレーム同期確立までの時間を短縮することができる。このため、障害発生時に障害から復旧するまでの時間を短縮することができる。
なお、この発明にかかる光受信装置、光通信装置および光受信方法は、障害発生時に限らず、意図的な信号光の入力断など、フレーム同期が外れて再度フレーム同期を確立する場合に利用することができる。
(付記1)差動四位相変調方式で変調された信号光を復調する光受信装置において、
受信した前記信号光の同相信号および直交信号をそれぞれ電気信号に変換する遅延干渉計および光電変換素子を含む復調手段と、
前記復調手段によって変換された電気信号の論理状態を識別する識別手段と、
前記識別手段による識別結果を用いて前記電気信号の論理状態を所望の論理状態に制御する論理制御手段と、
前記識別手段による識別結果に関する情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記論理制御手段は、前記記憶手段によって記憶された前記識別結果に関する情報を用いて前記論理状態を制御することを特徴とする光受信装置。
(付記2)前記論理制御手段によって論理状態を制御された電気信号のフレーム同期を確立する同期手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記同期手段によって前記フレーム同期が確立されたときの前記識別結果に関する情報を記憶することを特徴とする付記1に記載の光受信装置。
(付記3)前記論理制御手段は、前記同期手段によるフレーム同期が外れた場合に前記識別結果に関する情報を用いて前記論理状態を変更することを特徴とする付記2に記載の光受信装置。
(付記4)前記論理制御手段は、前記電気信号の論理反転を行う論理反転回路と、前記電気信号のビットスワップを行うビットスワップ回路と、前記論理反転回路およびビットスワップ回路を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記記憶手段によって記憶された識別結果に関する情報を用いて前記論理状態を制御した後に前記フレーム同期が確立しない場合、前記ビットスワップ回路の設定を優先変更することを特徴とする付記2または3に記載の光受信装置。
(付記5)前記論理制御手段は、前記電気信号の論理反転を行う論理反転回路と、前記電気信号のビットスワップを行うビットスワップ回路と、前記電気信号を1ビット遅延を行う1ビット遅延回路と、前記論理反転回路、ビットスワップ回路および1ビット遅延回路を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記記憶手段によって記憶された識別結果に関する情報を用いて前記論理状態を変更後に前記フレーム同期が確立しない場合、前記ビットスワップ回路および1ビット遅延回路の少なくとも一方の設定を優先変更することを特徴とする付記2または3に記載の光受信装置。
(付記6)前記識別手段は、前記優先変更の後に前記フレーム同期が確立しない場合、前記電気信号の論理状態を再度識別し、
前記論理制御手段は、前記識別手段による再識別結果を用いて前記論理状態を変更することを特徴とする付記4または5に記載の光受信装置。
(付記7)前記識別手段は、前記電気信号に含まれるフレーム同期ビットに基づいて前記論理状態のパターンを識別することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の光受信装置。
(付記8)前記論理状態の各パターンと前記論理状態の制御の設定値が対応付けられたパターンテーブルを備え、
前記論理制御手段は、前記識別手段によって識別された前記論理状態のパターンに前記パターンテーブルにおいて対応付けられた設定値を用いて前記論理状態を制御することを特徴とする付記7に記載の光受信装置。
(付記9)付記1〜8のいずれか一つに記載の光受信装置と、
2台の位相変調器と1台のπ/2位相シフタを用いて差動四位相変調方式で変調した信号光を送信する光送信装置と、
前記光送信装置が変調した信号光を前記光受信装置へ出力して受信させる出力手段と、
を備えることを特徴とする光通信装置。
(付記10)前記出力手段は、前記光送信装置が変調した信号光を前記光受信装置へ出力して受信させる第1経路と、前記光送信装置が変調した信号光を他の光通信装置へ送信する第2経路と、の切替を行う光スイッチであることを特徴とする付記9に記載の光通信装置。
(付記11)前記出力手段によって出力された信号光に対する前記識別手段による識別結果に関する情報を送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする付記9または10に記載の光通信装置。
(付記12)前記識別結果と前記光送信装置のπ/2位相シフタの状態とが対応付けられたパターンテーブルを備え、
前記送信手段は、前記識別結果に関する情報として、前記光送信装置のπ/2位相シフタの状態の情報を送信することを特徴とする付記11に記載の光通信装置。
(付記13)付記12に記載の光通信装置から送信された前記識別結果に関する情報を受信する受信手段をさらに備え、
前記論理制御手段は、前記受信手段によって受信された前記識別結果に関する情報を用いて前記論理状態を制御することを特徴とする付記9〜12のいずれか一つに記載の光通信装置。
(付記14)差動四位相変調方式で変調された信号光を復調する光受信方法において、
受信した前記信号光の同相信号および直交信号を遅延干渉計および光電変換素子によってそれぞれ電気信号に変換する復調工程と、
前記復調工程によって変換された電気信号の論理状態を識別する識別工程と、
前記識別工程による識別結果を用いて前記電気信号の論理状態を所望の論理状態に制御する論理制御工程と、
前記識別工程による識別結果に関する情報を記憶する記憶工程と、
前記記憶工程によって記憶された前記識別結果に関する情報を用いて前記論理状態を制御する第2論理制御工程と、
を含むことを特徴とする光受信方法。