JP2008240844A - 高圧ガスタンク - Google Patents

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Abstract

【課題】放出されるガスの方向を知得可能な高圧ガスタンクを提供することを課題とする。
【解決手段】高圧ガスタンク1であって、ガスを高圧で貯蔵するための貯蔵室3を有する高圧ガス貯蔵手段4と、高圧ガス貯蔵手段4が貯蔵室3の減圧を必要とする所定状態になると、高圧ガス貯蔵手段4に貯蔵されているガスが放出される放出方向を周囲に警告する放出方向警告手段6と、放出方向警告手段6が放出方向を周囲に警告したら、貯蔵室3に貯蔵されているガスを放出方向と略同一の方向に放出させる圧力逃がし手段5と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、高圧ガスが充填される高圧ガスタンクに関するものである。
ガスを高圧で貯蔵する高圧ガスタンクには、タンク本体の損傷を防ぐための圧力逃がし装置が設置されている。圧力逃がし装置には、ガスの過充填や加熱膨張等によってタンク内が耐用圧力を超えないようにするためのバネ式安全弁や、タンクが加熱されてタンク構造材料の降伏点が低下した際、タンク内のガス圧力によってタンク構造材料が延性破壊しないようにするため、タンクが加熱されたらタンク内を大気開放して減圧し、タンク本体の破壊を防止する溶栓弁等が知られている。
高圧ガスタンク内のガスを大気開放する場合、放出されるガスによる周囲への影響を軽減する必要がある。例えば、特許文献1には、車載用の高圧ガス貯蔵容器に設置される圧力逃がし装置に関する技術であって、重力の方向に応じて弁が動作し、車両の向きに応じてガスの吹き出し方向を変化させる技術が記載されている。また、特許文献2には、高圧ガスボンベに傾斜センサや温度センサを設け、異常な状態を検知したら警報音を発して周囲に知らせる技術が記載されている。また、特許文献3には、融点の異なる溶栓弁が複数設けられ、周囲の温度の上昇度合いに応じてタンク内の減圧速度を変える技術が記載されている。また、特許文献4には、貯蔵しているガスを着色しておくことにより、放出されるガスを視認できるようにする技術が記載されている。
特開2004−136828号公報 特開平7−160971号公報 特開2005−282764号公報 特開2004−169714号公報
一般的に、高圧ガスタンクに収容されているガスは無色である。無色のガスとして、例えば、燃料電池システムの燃料ガスに用いられる水素ガスが挙げられる。水素ガスは、化学的に安定した気体であり毒性も無いが、大気開放された水素ガスの周辺に点火源があると空気中に含まれる酸素と激しく反応する。よって、このようなガスを高圧ガスタンクから放出させる際は、その旨を周囲に知らせることが望ましい。しかしながら、従来技術によれば、ガスが放出されることは警報等によって予め知ることが可能なものの、具体的に高圧ガスタンクのどこからガスが放出されるのかを事前に把握することが難しいため、放出されるガスに対して適切に対応することが困難であった。
本発明は、上記した問題に鑑み、放出されるガスの方向を予め知得可能な高圧ガスタンクを提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するため、ガスが放出される前に、ガスが放出される方向を周囲に警告する。
詳細には、高圧ガスタンクであって、ガスを高圧で貯蔵するための貯蔵室を有する高圧ガス貯蔵手段と、前記高圧ガス貯蔵手段が前記貯蔵室の減圧を必要とする所定状態になると、該高圧ガス貯蔵手段に貯蔵されている該ガスが放出される放出方向を周囲に警告する放出方向警告手段と、少なくとも前記放出方向警告手段による周囲への前記放出方向の警
告が開始された後に、前記貯蔵室に貯蔵されている前記ガスを該放出方向と略同一の方向に放出させる圧力逃がし手段と、を備える。
上記高圧ガスタンクは、高圧ガスを貯蔵するものであり、高圧ガス貯蔵手段の損傷を防ぐための圧力逃がし手段を備えている。この圧力逃がし手段は、高圧ガス貯蔵手段が所定状態になったら、貯蔵室のガスを外に放出する。ここで、所定状態とは、高圧ガス貯蔵手段が貯蔵室の減圧を必要としている時の状態であり、例えば、ガスの過充填やガスの膨張等によって貯蔵室内の圧力が耐用圧力を超えた時または超える蓋然性が高い時の高圧ガス貯蔵手段の状態や、あるいは、加熱によって高圧ガス貯蔵手段が耐熱温度を超えた時または超える蓋然性が高い時の高圧ガス貯蔵手段の状態である。
上記高圧ガスタンクは、圧力逃がし手段によって貯蔵室のガスが放出される前に、ガスの放出方向を周囲に知らせるための警告を発する放出方向警告手段を備えている。この放出方向警告手段は、自身が発する警告が、圧力逃がし手段が放出するガスの方向を示すように予め設定されている。なお、放出方向警告手段は、圧力逃がし手段と機械的または電気的に連動して動作することで圧力逃がし手段よりも早く警告を発するようにしてもよいし、あるいは、圧力逃がし手段よりも早く前記所定状態を検知することで圧力逃がし手段よりも早く警告を発するようにしてもよい。ここで、放出方向とは、高圧ガス貯蔵手段が所定状態となった際に圧力逃がし手段が放出するガスの方向であり、例えば、ガスが放出される方向を指示する指示物が示す方向や、あるいは、方向を示す単語を含む音声案内が示す方向である。
以上により、本発明に係る高圧ガスタンクによれば、ガスが放出される前にガスの放出方向が警告されるため、放出されるガスの方向を予め知得することが可能となる。
ここで、前記放出方向警告手段は、前記圧力逃がし手段に隣接して配設され、方向を示すための指示物を前記放出方向と略同一の方向に放出することで該放出方向を周囲に警告するようにしてもよい。これによれば、ガスが放出される位置や方向を視覚で容易に確認することができるため、放出されるガスの方向を知得することが可能となる。
また、前記指示物は、有色の気体で構成してもよい。また、前記有色の気体は、微細な固体または液体を含有することで着色してもよい。これによれば、ガスが放出される位置や方向を視覚で認識できる有色の気体が指示するため、放出されるガスの方向を予め知得することが可能となる。
また、前記指示物は、難燃性の布で構成してもよい。これによれば、放出されるガスの方向を知得することが可能であるとともに、例えば、放出されたガスが可燃性であって、ガスが引火したような場合であっても指示物が燃えにくい。
また、前記放出方向警告手段は、内部に圧力を蓄えた状態で前記指示物を収納する収納部を有し、該収納部の内部と外部とを繋ぐ経路を開いて該指示物を該収納部の内部に蓄えられた圧力で前記放出方向に放出させるようにしてもよい。これによれば、放出方向を指示する指示物が圧力で放出されるため、放出方向を確実に指示することが可能になる。
また、前記放出方向警告手段は、前記放出方向を音声で知らせて警告するための音声案内を録音した記憶手段と、前記高圧ガス貯蔵手段が前記所定状態になると、前記記憶手段に録音された前記音声案内を再生して前記放出方向を周囲に警告する再生手段と、を有するようにしてもよい。これによれば、ガスが放出される位置や方向を聴覚で確認することができるため、例えば、視界が遮られているような場合であっても、放出されるガスの方向を予め知得することが可能となる。
また、前記所定状態は、前記高圧ガス貯蔵手段が加熱されている状態であり、前記放出方向警告手段は、前記高圧ガス貯蔵手段の少なくとも一部の温度上昇を検出する第一温度検出手段であって、該少なくとも一部の温度が前記貯蔵室の減圧を必要とする所定第一温度を超えているか否かを検出する第一温度検出手段を有し、該少なくとも一部の温度が該所定第一温度を超えていることを該第一温度検出手段が検出したら、前記放出方向を周囲に警告するようにしてもよい。
また、前記所定状態は、前記高圧ガス貯蔵手段が加熱されている状態であり、前記圧力逃がし手段は、前記高圧ガス貯蔵手段の少なくとも一部の温度上昇を検出する第二温度検出手段であって、該少なくとも一部の温度が、前記貯蔵室の減圧を必要とする所定第一温度と略同一の温度、または該所定第一温度よりも高い、該貯蔵室の減圧を開始すべき所定第二温度を超えているか否かを検出する第二温度検出手段を有し、該少なくとも一部の温度が該所定第二温度を超えていることを該第二温度検出手段が検出したら、前記ガスを前記放出方向と略同一の方向に放出させるようにしてもよい。
これによれば、高圧ガス貯蔵手段が加熱され、圧力逃がし手段によってガスが放出される際、放出されるガスの方向を知得することが可能となる。ここで、高圧ガス貯蔵手段の少なくとも一部の温度上昇を検出するとは、高圧ガス貯蔵手段の一部の温度上昇を直接的に検出するもののみならず、高圧ガス貯蔵手段と離れた位置の温度上昇を検知することで高圧ガス貯蔵手段の一部が温度上昇していることを検出するものを含む概念である。
なお、所定第一温度とは、高圧ガス貯蔵手段の少なくとも一部の温度であり、例えば、高圧ガス貯蔵手段の最高使用圧力における耐用温度をやや超える温度である。また、所定第二温度とは、高圧ガス貯蔵手段の少なくとも一部の温度であり、例えば、前記所定第一温度と略同一の温度、または前記所定第一温度よりも高い温度である。
また、前記放出方向警告手段は、前記高圧ガス貯蔵手段に配設された第一熱溶解性物質を有し、該第一熱溶解性物質の熱溶解を検出して該高圧ガス貯蔵手段が前記所定状態になったことを取得し、前記放出方向を周囲に警告するようにしてもよい。これによれば、高圧ガス貯蔵手段への加熱を熱溶解性物質の溶解で検出しているので、高圧ガス貯蔵手段が所定状態にあることを確実に検出することが可能になる。
また、前記圧力逃がし手段は、前記貯蔵室の内部と外部とを繋ぐ経路を阻害するように配設された第二熱溶解性物質を有し、該第二熱溶解性物質の熱溶解によって前記ガスを前記放出方向と略同一の方向に放出するようにしてもよい。これによれば、高圧ガス貯蔵手段が加熱された際、貯蔵室の内部と外部とを隔離している熱溶解性物質が溶解するだけでガスが放出されるので、貯蔵室の減圧を確実に行うことが可能となる。また、熱溶解性物質の溶解によって一旦ガスの放出が開始されると、減圧の途中でガスの放出が誤って停止してしまうことがないため、貯蔵室の圧力を確実に大気圧力まで減圧させることで、高圧ガス貯蔵手段の構造材料の延性破壊を確実に防止することが可能となる。
また、前記圧力逃がし手段は、前記貯蔵室の内部と外部とを繋ぐ経路を阻害するように配設された第二熱溶解性物質を有し、該第二熱溶解性物質の熱溶解によって前記ガスを前記放出方向と略同一の方向に放出させるように構成される、上記高圧ガスタンクであって、前記放出方向警告手段は、前記第一熱溶解性物質の融点が前記第二熱溶解性物質の融点よりも低く設定されていることで、前記圧力逃がし手段が前記ガスを放出するよりも前に前記放出方向を周囲に警告してもよい。これによれば、第一熱溶解性物質と第二熱溶解性物質とが均等に加熱された場合に、放出方向警告手段を圧力逃がし手段よりも先に動作させることが可能になる。
また、前記圧力逃がし手段は、前記貯蔵室の内部と外部とを繋ぐ経路を阻害するように配設された第二熱溶解性物質を有し、該第二熱溶解性物質の熱溶解によって前記ガスを前記放出方向と略同一の方向に放出させるように構成される、上記高圧ガスタンクであって、前記放出方向警告手段は、前記第一熱溶解性物質の融点と略同一の融点に設定された前記第二熱溶解性物質が、該第一熱溶解性物質よりも前記高圧ガス貯蔵手段に近い位置に配設されていることで、前記圧力逃がし手段が前記ガスを放出するよりも前に前記放出方向を周囲に警告してもよい。これによれば、高圧ガス貯蔵手段が外部から加熱された場合に第一熱溶解性物質が第二熱溶解性物質よりも多く加熱されるため、放出方向警告手段を圧力逃がし手段よりも先に動作させることが可能になる。
ここで、前記高圧ガス貯蔵手段は、車両に搭載してもよい。これによれば、車両が横転等して姿勢が変化していても、ガスが放出される放出方向が確認できるため、放出されるガスの方向を予め知得することが可能となる。
放出されるガスの方向を予め知得することが可能な高圧ガスタンクを提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を例示的に説明する。本実施形態に係る高圧ガスタンクは、燃料電池をモータの駆動用電源とする燃料電池自動車の水素ガスを貯蔵することを目的としているが、本実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明に係る高圧ガスタンクは、例えば、LPG(液化石油ガス)やCNG(圧縮天然ガス)を燃料とするガス燃料自動車に搭載したり、あるいは地上に設置したりしてもよい。
<構成>
図1は、本実施形態に係る高圧ガスタンク1の構成図である。また、図2は、本実施形態に係る高圧ガスタンク1を搭載した車両2の構成図である。この高圧ガスタンク1は、水素ガスを高圧で貯蔵するための貯蔵室3を有する水素タンク4(本発明でいう、高圧ガス貯蔵手段に相当する。)、水素タンク4が加熱された際に可溶合金が溶解することで貯蔵室3内の水素ガスを外部に放出する溶栓弁5(本発明でいう、圧力逃がし手段に相当する。)、および警報装置6(本発明でいう、放出方向警告手段に相当する。)を備えている。溶栓弁5は、図2の矢印が示す車体下方に向かってガスを放出する。
溶栓弁5は、約105℃(本発明でいう、所定第二温度に相当する。)で溶解するように構成されている。高圧ガスタンク1が火災等によって高熱に晒された際、溶栓弁5が溶解して貯蔵室3が大気開放され、高圧ガスタンク1の損傷を防ぐ。この溶栓弁5には、高圧ガスタンク1への加熱を検知する溶栓弁フック7(本発明でいう、第一温度検出手段に相当する。)が付設されている。この溶栓弁フック7は、溶栓弁5の可溶合金と同様、熱で溶解する合金で構成されており、約100℃(本発明でいう、所定第一温度に相当する。)で溶解するように構成されている。なお、この溶栓弁フック7は、溶栓弁5よりも外側に付設されていることで、高圧ガスタンク1が加熱された際に溶栓弁5よりも後に溶解しないように構成されている。
警報装置6は、溶栓弁5が溶解する前に警報を発し、周囲にいる人に対してガスが放出されることを警告する。なお、警報装置6は、警報を発する際、単にガスが放出されることのみを警告するのではなく、ガスが放出される方向(本発明でいう、放出方向に相当する。)も周囲に示す。ここで、放出方向は、溶栓弁5が溶解した際に放出されるガスの放
出方向と略同一の方向である。
図1において示すように、警報装置6は、電池8、スイッチ9、圧縮バネ10、ロッド11、および放出方向表示器12で構成されている。この放出方向表示器12は、内部に難燃性の布13(本発明でいう、指示物に相当する。)が収容されており、図示しないイグナイターが火薬を点火し、発火時の風圧によって布13を放出方向に放出させる。周囲にいる人は、この布13が放出される方向を見ることで、ガスの放出方向を認識する。なお、放出方向表示器12内の火薬の量は、点火されても周囲にいる人に危険が及ばない程度の火力になるように調整されている。また、放出方向表示器12は、スイッチ9が入って電池8の電気がイグナイターに流れ、火薬が発火することで布13を放出する。スイッチ9は、溶栓弁フック7に引っ掛けられたロッド11によって電路を切った状態(OFF)にしており、高圧ガスタンク1が加熱されて溶栓弁フック7が溶解すると溶栓弁5からロッド11が外れ、圧縮バネ10に押されて電路を繋いだ状態(ON)にする。なお、警報装置6と同等の構成からなる装置として、自動車用エアバッグ装置が挙げられる。
<動作フロー>
次に、高圧ガスタンク1の動作の流れについて説明する。図3は、高圧ガスタンク1の動作の流れを示すフロー図である。また、図4は、高圧ガスタンク1が動作する際の状態の変化を示すグラフである。また、図5は、高圧ガスタンク1が動作したときの状態を示す図である。以下、図3から5を参照しつつ、高圧ガスタンク1の動作について説明する。
(ステップS101)何らかの原因により車両2やその周辺で火災等が発生すると、高圧ガスタンク1が加熱されて温度が上昇し始める(T1)。高圧ガスタンク1が加熱されると、水素タンク4や溶栓弁5、溶栓弁フック7の温度が徐々に上昇する。
(ステップS102)高圧ガスタンク1の温度が上昇して約100℃近傍に達すると、溶栓弁フック7が溶解する(T2)。なお、このとき、溶栓弁5はまだ溶解しない。
(ステップS103)溶栓弁フック7が溶解すると、溶栓弁フック7に引っ掛かっていたロッド11が外れ、圧縮バネ10が伸びてスイッチ9が入る。
(ステップS104)スイッチ9が入ると電池8の電気が流れ、放出方向表示器12のイグナイターが作動する。
(ステップS105)放出方向表示器12のイグナイターが作動すると、放出方向表示器12の火薬が点火され、布13が放出される。この時の高圧ガスタンク1の状態を図5に示す。図5において示すように、高圧ガスタンク1は、布13を放出方向(図5の左方向。)に放出することで、溶栓弁5が溶解した場合のガスの放出方向を周囲に示す。
(ステップS106)高圧ガスタンク1の温度が更に上昇して約105℃近傍に達すると、溶栓弁5が溶解する(T3)。
(ステップS107)溶栓弁5が溶解すると、貯蔵室3内と貯蔵室3外とが連通し、水素ガスが外部に放出される。
<効果>
上述した高圧ガスタンクによれば、高温に晒された際に水素タンクから放出されるガスの放出位置や放出方向が予め判るので、放出されるガスの方向を知得して適切な対応を取ることが可能となる。一般に、水素ガスは無色透明かつ無臭であるため、従来技術によれ
ば、周囲にいる人は溶栓弁からガスが放出されていたとしてもこれを認識できず、また、ガスが放出されている方向も認識することができない。特に、車両に搭載される水素タンクの溶栓弁は、外装の美感の観点から一般に目立たない場所に設置されるため、ガスが放出されている位置や方向を緊急時に特定することは特に困難となる。上述した実施形態に係る高圧ガスタンクによれば、放出されるガスの位置や方向が容易に認識可能であるため、避難や消火活動といった対応措置を容易に取ることが可能となる。また、水素タンクに警報装置が付設されているため、タンクの搭載位置や向きに拠らず、ガスが放出される方向を正しく示すことが可能となる。
上述した実施形態の変形例について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態に係る高圧ガスタンクと同様の構成要素および動作フローについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
<変形例1>
以下、第一変形例について説明する。上述した実施形態に係る高圧ガスタンクの警報装置は、溶栓弁フックの溶解をロッド、圧縮バネ、およびスイッチの機械的な連携動作で検出するようにしていたが、本発明に係る高圧ガスタンクはこれに限定されるものでなく、例えば、以下のような変形例を適用できる。図6において、本変形例に係る高圧ガスタンク1Aの構成図を示す。
図6において示すように、本変形例に係る高圧ガスタンク1Aは、スイッチ9の代わりに溶栓弁フック7の電気抵抗を測定する抵抗測定器14を備えている。抵抗測定器14は、溶栓弁フック7の電気抵抗を測定し、溶栓弁フック7の抵抗値に応じて放出方向表示器12と電池8とを繋ぐ回路を電気的に開閉する。
本変形例に係る高圧ガスタンク1Aと上述の実施形態に係る高圧ガスタンク1との動作フローの相違点は、次の通りである。上述の実施形態においては、ステップS103でスイッチ9が動作していた。しかし、本変形例では、スイッチ9の代わりに抵抗測定器14が動作する。すなわち、抵抗測定器14は、溶栓弁フック7の抵抗値が約0Ωであれば放出方向表示器12に電池8の電気が流れないように動作し、溶栓弁フック7の抵抗値が約∞Ωであれば放出方向表示器12に電池8の電気が流れるように動作する。これ以外の動作フローは、前述と同様である。
本変形例によれば、上述した実施形態に係る高圧ガスタンクが奏する効果の他に、以下のような更なる効果を奏する。すなわち、本変形例に係る高圧ガスタンクによれば、溶栓弁フックと警報装置とがロッドではなく抵抗を測定するための電線で接続されているので、水素タンクに警報装置を取り付ける際の作業が容易になり、また、車両の振動等によるロッドやスイッチの誤作動といった心配が無くなる。
<変形例2>
以下、第二変形例について説明する。上述した実施形態や変形例1に係る高圧ガスタンクの放出方向表示器12は、難燃性の布13を放出することでガスが放出される放出方向を周囲に示していたが、本発明に係る高圧ガスタンクはこれに限定されるものでなく、例えば、以下のような変形例を適用できる。図7において、本変形例に係る高圧ガスタンク1Bの構成図を示す。
図7において示すように、本変形例に係る高圧ガスタンク1Bの放出方向表示器12Bは、難燃性の布やイグナイターの代わりに、微細な固体や液体で着色された有色の気体(本発明でいう、指示物に相当する。)を収納部15に貯蔵した有色ガス貯蔵タンク16と、開口部が所定方向と略同一の方向に向けられるようにして有色ガス貯蔵タンク16に配
設された、有色ガス貯蔵タンク16の収納部15と外部とを繋ぐ経路を開閉する電磁弁17と、を備えている。電磁弁17は、スイッチ9の開閉に連動してコイルを励磁または非励磁にし、弁を開閉させる。
本変形例に係る高圧ガスタンク1Bと上述の実施形態に係る高圧ガスタンク1との動作フローの相違点は、次の通りである。上述の実施形態においては、ステップS104でイグナイターが動作し、ステップS105で火薬が発火して布13を放出していた。しかし、本変形例では、イグナイターの代わりに電磁弁17が動作する。すなわち、電磁弁17は、スイッチ9が切れていれば弁を閉じた状態を保持し、スイッチ9が入って電池8の電気が流れるとコイルを励磁して弁を開くことで収納部15に収容されている有色の気体を所定方向に放出する。これ以外の動作フローは、前述と同様である。
本変形例によれば、上述した実施形態に係る高圧ガスタンクが奏する効果の他に、以下のような更なる効果を奏する。すなわち、高圧ガスタンクが車両の外側から見えにくい位置に搭載された場合でも、ガスが放出される位置や方向を周囲に警告することが可能となる。また、上述した実施形態に係る高圧ガスタンクによれば、放出方向表示器が一旦動作したら火薬の再充填等を行わないと動作しない。しかし、本変形例に係る高圧ガスタンクによれば、放出方向表示器は収納部に貯蔵された有色の気体に残量や残圧が残っている限り、何回でも動作することが可能となる。
<変形例3>
以下、第三変形例について説明する。上述した実施形態や変形例1、2に係る高圧ガスタンクの放出方向表示器は、難燃性の布を放出することでガスが放出される放出方向を周囲に示していたが、本発明に係る高圧ガスタンクはこれに限定されるものでなく、例えば、以下のような変形例を適用できる。図8において、本変形例に係る高圧ガスタンク1Cの構成図を示す。
図8において示すように、本変形例に係る高圧ガスタンク1Cの放出方向表示器12は、難燃性の布やイグナイターの代わりに、放出方向を示す音声案内が録音された半導体メモリ18(本発明でいう、記憶手段に相当する。)、半導体メモリ18に記憶された音声案内を再生する再生装置19(本発明でいう、再生手段に相当する。)、および再生装置19から出力される電気信号を音に変換して出力するスピーカ20と、を備えている。再生装置19は、スイッチ9の開閉に連動して音声案内を再生し、スピーカ20から出力する。
本変形例に係る高圧ガスタンク1Cと上述の実施形態に係る高圧ガスタンク1との動作フローの相違点は、次の通りである。上述の実施形態においては、ステップS104でイグナイターが動作し、ステップS105で火薬が発火して布13を放出していた。しかし、本変形例では、イグナイターの代わりに再生装置19が動作し、スピーカ20から音声を発生させる。すなわち、再生装置19は、スイッチ9が切れていれば停止しており、スイッチ9が入って電池8の電気が流れると半導体メモリ18に記憶されている音声案内を再生し、スピーカ20から音声案内を発声させる。ここで、再生装置19が再生する音声案内は、溶栓弁5から放出されるガスの位置や方向を示す案内であり、例えば、「車両の下面、後部座席付近から車両の右側方に向かって水素ガスが放出されます。ご注意ください。」といった内容の音声案内である。この音声案内は、高圧ガスタンク1の設置部位に応じて予め適切な内容の案内が流れるように設定されている。これ以外の動作フローは、前述と同様である。
本変形例によれば、上述した実施形態に係る高圧ガスタンク1が奏する効果の他に、以下のような更なる効果を奏する。すなわち、上述した実施形態に係る高圧ガスタンクによ
れば、放出された布が風で流されたり有色の気体が空気中に拡散して色が視認できなくなったりする場合が考えられるが、本変形例によれば、再生装置が音声案内を再生している間、ガスが放出される方向をいつでも確認することが可能となる。
<変形例4>
以下、第四変形例について説明する。上述した実施形態や変形例1,2,3に係る高圧ガスタンクの警報装置は、スイッチや電池類で構成される電気的な回路の動作で指示物を放出したり音声案内を発声させたりしていたが、本発明に係る高圧ガスタンクはこれに限定されるものでなく、例えば、以下のような変形例を適用できる。図9において、本変形例に係る高圧ガスタンク1Dの構成図を示す。
図9において示すように、本変形例に係る高圧ガスタンク1Dの警報装置6は、溶栓弁フック7や電池8、スイッチ9、放出方向表示器12等の代わりに、微細な固体や液体で着色された有色の気体を収納部22に貯蔵した有色ガス貯蔵タンク23と、開口部が所定方向と略同一の方向に向けられるようにして有色ガス貯蔵タンク23に配設された、有色ガス貯蔵タンク23の収納部22と外部とを繋ぐ経路を閉じる溶栓弁21と、を備えている。溶栓弁21は、溶栓弁5よりも低い温度(本発明でいう、所定第一温度に相当するものであり、本変形例においては100℃である。)で溶解するように構成されている。また、溶栓弁21は溶栓弁5の近傍に配設されており、高圧ガスタンク1Dが外部から加熱されると、溶栓弁5と同じか又は溶栓弁5よりも早く温度上昇するように構成されている。
本変形例に係る高圧ガスタンク1Dと上述の実施形態に係る高圧ガスタンク1との動作フローの相違点は、次の通りである。上述の実施形態においては、ステップS102で溶栓弁フック7が溶解するとスイッチ9が動作し、ステップS103からステップS105までの動作が行われることで指示物が放出されていた。しかし、本変形例では、溶栓弁フック7の代わりに溶栓弁21が溶解する。すなわち、溶栓弁21は、高圧ガスタンク1Dが加熱されると溶栓弁5と共に温度が上昇し、やがて所定第一温度である100℃近傍に到達する。すると、溶栓弁21が溶解し、収容部22に収納されている有色の気体が放出方向と略同一の方向に放出される。これ以降の動作フロー(すなわち、S106、および107。)は、前述と同様である。
本変形例によれば、上述した実施形態に係る高圧ガスタンクが奏する効果の他に、以下のような更なる効果を奏する。すなわち、本変形例に係る高圧ガスタンクによれば、警報装置が電気的な回路で構成されておらず、溶栓弁と有色ガス貯蔵タンクで構成されているので、部品の不具合や電源の喪失等による不作動を防ぎ、装置の信頼性を向上させることが可能となる。
なお、本変形例において、溶栓弁21は溶栓弁5と異なる融点で溶解するように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、溶栓弁5と略同一の融点で溶解するように構成された溶栓弁21を、溶栓弁5よりも外側(すなわち、高圧ガスタンク1が加熱された際に溶栓弁5よりも早く加熱される位置であり、例えば、高圧ガスタンク1に対して溶栓弁5よりも外側の位置である。)に配置する。これにより、溶栓弁5と略同一の融点で溶解するように構成された溶栓弁21が溶栓弁5よりも先に溶解し、水素ガスが放出されるよりも前に放出方向を指示することが可能となる。
実施例1に係る高圧ガスタンクの構成図。 実施例1に係る高圧ガスタンクを搭載した車両の構成図。 実施例1に係る高圧ガスタンクの動作フロー図。 実施例1に係る高圧ガスタンクの動作時の状態を示すグラフ。 実施例1に係る高圧ガスタンクの構成図。 実施例1の変形例に係る高圧ガスタンクの構成図。 実施例1の変形例に係る高圧ガスタンクの構成図。 実施例1の変形例に係る高圧ガスタンクの構成図。 実施例1の変形例に係る高圧ガスタンクの構成図。
符号の説明
1,1A,1B,1C,1D・・・・高圧ガスタンク
2・・・・・・・・・・・・・・・・車両
3・・・・・・・・・・・・・・・・貯蔵室
4・・・・・・・・・・・・・・・・水素タンク
5,21・・・・・・・・・・・・・溶栓弁
6・・・・・・・・・・・・・・・・警報装置
7・・・・・・・・・・・・・・・・溶栓弁フック
8・・・・・・・・・・・・・・・・電池
9・・・・・・・・・・・・・・・・スイッチ
10・・・・・・・・・・・・・・・圧縮バネ
11・・・・・・・・・・・・・・・ロッド
12・・・・・・・・・・・・・・・放出方向表示器
13・・・・・・・・・・・・・・・布
14・・・・・・・・・・・・・・・抵抗測定器
15,22・・・・・・・・・・・・収納部
16,23・・・・・・・・・・・・有色ガス貯蔵タンク
17・・・・・・・・・・・・・・・電磁弁
18・・・・・・・・・・・・・・・半導体メモリ
19・・・・・・・・・・・・・・・再生装置
20・・・・・・・・・・・・・・・スピーカ

Claims (14)

  1. ガスを高圧で貯蔵するための貯蔵室を有する高圧ガス貯蔵手段と、
    前記高圧ガス貯蔵手段が前記貯蔵室の減圧を必要とする所定状態になると、該高圧ガス貯蔵手段に貯蔵されている該ガスが放出される放出方向を周囲に警告する放出方向警告手段と、
    少なくとも前記放出方向警告手段による周囲への前記放出方向の警告が開始された後に、前記貯蔵室に貯蔵されている前記ガスを該放出方向と略同一の方向に放出させる圧力逃がし手段と、を備える
    高圧ガスタンク。
  2. 前記放出方向警告手段は、前記圧力逃がし手段に隣接して配設され、方向を示すための指示物を前記放出方向と略同一の方向に放出することで該放出方向を周囲に警告する、請求項1に記載の高圧ガスタンク。
  3. 前記指示物は、有色の気体で構成される、請求項2に記載の高圧ガスタンク。
  4. 前記有色の気体は、微細な固体または液体を含有することで着色されている、請求項3に記載の高圧ガスタンク。
  5. 前記指示物は、難燃性の布で構成される、請求項2に記載の高圧ガスタンク。
  6. 前記放出方向警告手段は、内部に圧力を蓄えた状態で前記指示物を収納する収納部を有し、該収納部の内部と外部とを繋ぐ経路を開いて該指示物を該収納部の内部に蓄えられた圧力で前記放出方向に放出させる
    請求項2から5の何れかに記載の高圧ガスタンク。
  7. 前記放出方向警告手段は、
    前記放出方向を音声で知らせて警告するための音声案内を録音した記憶手段と、
    前記高圧ガス貯蔵手段が前記所定状態になると、前記記憶手段に録音された前記音声案内を再生して前記放出方向を周囲に警告する再生手段と、を有する
    請求項1に記載の高圧ガスタンク。
  8. 前記所定状態は、前記高圧ガス貯蔵手段が加熱されている状態であり、
    前記放出方向警告手段は、前記高圧ガス貯蔵手段の少なくとも一部の温度上昇を検出する第一温度検出手段であって、該少なくとも一部の温度が前記貯蔵室の減圧を必要とする所定第一温度を超えているか否かを検出する第一温度検出手段を有し、該少なくとも一部の温度が該所定第一温度を超えていることを該第一温度検出手段が検出したら、前記放出方向を周囲に警告する、
    請求項1から7の何れかに記載の高圧ガスタンク。
  9. 前記所定状態は、前記高圧ガス貯蔵手段が加熱されている状態であり、
    前記圧力逃がし手段は、前記高圧ガス貯蔵手段の少なくとも一部の温度上昇を検出する第二温度検出手段であって、該少なくとも一部の温度が、前記貯蔵室の減圧を必要とする所定第一温度と略同一の温度、または該所定第一温度よりも高い、該貯蔵室の減圧を開始すべき所定第二温度を超えているか否かを検出する第二温度検出手段を有し、該少なくとも一部の温度が該所定第二温度を超えていることを該第二温度検出手段が検出したら、前記ガスを前記放出方向と略同一の方向に放出させる、
    請求項1から8の何れかに記載の高圧ガスタンク。
  10. 前記放出方向警告手段は、前記高圧ガス貯蔵手段に配設された第一熱溶解性物質を有し、該第一熱溶解性物質の熱溶解を検出して該高圧ガス貯蔵手段が前記所定状態になったことを取得し、前記放出方向を周囲に警告する、
    請求項8または9に記載の高圧ガスタンク。
  11. 前記圧力逃がし手段は、前記貯蔵室の内部と外部とを繋ぐ経路を阻害するように配設された第二熱溶解性物質を有し、該第二熱溶解性物質の熱溶解によって前記ガスを前記放出方向と略同一の方向に放出させる、請求項8から10の何れかに記載の高圧ガスタンク。
  12. 前記圧力逃がし手段は、前記貯蔵室の内部と外部とを繋ぐ経路を阻害するように配設された第二熱溶解性物質を有し、該第二熱溶解性物質の熱溶解によって前記ガスを前記放出方向と略同一の方向に放出させるように構成される、請求項10に記載の高圧ガスタンクであって、
    前記放出方向警告手段は、前記第一熱溶解性物質の融点が前記第二熱溶解性物質の融点よりも低く設定されていることで、前記圧力逃がし手段が前記ガスを放出するよりも前に前記放出方向を周囲に警告する、
    高圧ガスタンク。
  13. 前記圧力逃がし手段は、前記貯蔵室の内部と外部とを繋ぐ経路を阻害するように配設された第二熱溶解性物質を有し、該第二熱溶解性物質の熱溶解によって前記ガスを前記放出方向と略同一の方向に放出させるように構成される、請求項10に記載の高圧ガスタンクであって、
    前記放出方向警告手段は、前記第一熱溶解性物質の融点と略同一の融点に設定された前記第二熱溶解性物質が、該第一熱溶解性物質よりも前記高圧ガス貯蔵手段に近い位置に配設されていることで、前記圧力逃がし手段が前記ガスを放出するよりも前に前記放出方向を周囲に警告する、
    高圧ガスタンク。
  14. 前記高圧ガス貯蔵手段は、車両に搭載される、請求項1から13の何れかに記載の高圧ガスタンク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016074962A1 (de) * 2014-11-13 2016-05-19 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Druck- bzw. schaltzustandsanzeige
JP2020095318A (ja) * 2018-12-10 2020-06-18 中国電力株式会社 避難支援システム、避難支援方法、及びプログラム

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