JP2008240035A - Al−Zn−Mg系制振合金およびAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法 - Google Patents

Al−Zn−Mg系制振合金およびAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温下で長時間保持された後でも、制振特性や強度に悪影響が少なく、安定した特性を示すAl−Zn−Mg系制振合金を提供する。
【解決手段】本発明の制振合金は、全体を100質量%としたときに、8質量%以上42質量%以下の亜鉛(Zn)と、0.3質量%以上3質量%以下のマグネシウム(Mg)と、を含み、残部がアルミニウム(Al)と不可避不純物とからなることを特徴とする。
上記の合金組成をもつ制振合金は、制振特性に優れるとともに強度が高く、高温で長時間保持された後も、初期の制振特性と強度が低下しにくい。Alを主成分とし、ZnとともにMgを適切な含有量で含むことで、微細な金属組織が得られ、長時間高温にさらされても制振特性や強度の発現に十分な界面の面積が確保されるためである。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた振動減衰能をもつ制振合金に関するものである。
振動が原因となって発生する技術的な問題は、分野を問わず存在する。たとえば、振動による金属材料の疲労破壊、測定器の精度悪化、電気部品や回路基板の振動により発生する電気ノイズ、等が挙げられる。工作機械では、振動は、加工精度を悪化させるとともに工具寿命を縮める原因となることが知られている。また、振動は、騒音の発生にもつながるため、機能維持のみならず生活快適性の面でも、振動を低減する対策は重要である。
振動対策として、振動源の剛性を高めたり、ダンパシステムを設けて振動を抑制したり、といった手法がある。しかしながら、これらの手法には設計やコストの面で限界があり、構造物の種類によっては採用しにくい場合もある。そのため、構造物への直接的な制振対策である制振材料の使用は、ますます重要視される。制振材料の中でも、特に、制振性能とともに、優れた強度や剛性などをもつ制振合金は、制振材料の一種として幅広い分野での応用が期待される。
制振合金の一例として、特許文献1には、亜鉛を含むアルミニウム基吸振合金(Al−Zn合金)が開示されている。Al−Zn合金は、強度が高く靱性のある母相中に、比較的軟らかい第二相が微細に分散した金属組織をもつ。母相と第二相との塑性変形による応力−歪曲線のヒステリシスや母相と第二相との界面におけるすべりなどにより、振動エネルギーが消費され、振動が減衰される。そのため、制振合金の制振特性を向上させる一手段として、界面の面積を増加させることが考えられる。
界面の面積を増加させることを目的として、従来のAl−Zn合金に、さらに種々の元素の添加が試みられている。たとえば、特許文献2には、ケイ素(Si)、さらに必要に応じて希土類元素、チタン(Ti)、クロム(Cr)およびホウ素(B)のうちの1以上を含むアルミニウム合金が開示されている。Si相を晶出させることで、Si相の界面が振動を吸収するため、アルミニウム合金の制振特性が向上する。また、特許文献3には、AlおよびZnを主成分とし、さらに種々の金属元素を複合添加したAl−Zn合金が開示されている。Al、Znおよび金属元素を適切な配合量とすることで、微細な組織を得ている。
特開昭59−162243号公報 特開平2−173238号公報 特開2001−49371号公報
ところが、従来のAl−Zn合金を高温で長時間保持すると、制振特性とともに強度が低下する。これは、100℃程度で生じる拡散により、母相中に分散して存在する第二相が結晶成長するためである。第二相が成長することで、母相と第二相との界面の面積が減少して制振特性が低下するとともに、転位の移動に対する抵抗作用が減少して強度も低下する。
本発明は、上記の問題点に鑑み、高温下で長時間保持された後でも、制振特性や強度に悪影響が少なく、安定した特性を示すAl−Zn−Mg系制振合金を提供することを目的とする。また、そのAl−Zn−Mg系制振合金からなる鋳物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のAl−Zn−Mg系制振合金は、全体を100質量%としたときに、8質量%以上42質量%以下の亜鉛(Zn)と、0.3質量%以上3質量%以下のマグネシウム(Mg)と、を含み、残部がアルミニウム(Al)と不可避不純物とからなることを特徴とする。
本発明のAl−Zn−Mg系制振合金は、α相内に、β相およびZn−Mg系化合物が分散して析出した組織を有するのが好ましい。なお、α相とは主成分がAlである面心立方格子の結晶組織をいい、β相とは主成分がZnである六方稠密格子の結晶組織である。前記Zn−Mg系化合物は、MgZnであるとよい。
また、本発明のAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法は、本発明のAl−Zn−Mg系制振合金からなる鋳物の製造方法である。本発明のAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法は、
全体を100質量%としたときに、8質量%以上42質量%以下の亜鉛(Zn)と、0.3質量%以上3質量%以下のマグネシウム(Mg)と、を含み、残部がアルミニウム(Al)と不可避不純物とからなる合金溶湯を鋳型に注湯する注湯工程と、
該注湯工程後の合金溶湯を冷却させて凝固させる凝固工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明のAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法は、前記凝固工程の後で得られた合金を均質化処理する均質化処理工程を含むとよい。また、本発明のAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法は、前記凝固工程の後で得られた合金を溶体化処理する溶体化処理工程を含んでもよい。
上記の合金組成をもつ本発明のAl−Zn−Mg系制振合金(以下、単に「制振合金」と略記)は、制振特性に優れるとともに強度が高く、高温で長時間保持された後も、初期の制振特性と強度が低下しにくい。Alを主成分とし、ZnとともにMgを適切な含有量で含むことで、微細な金属組織が得られ、長時間高温にさらされても制振特性や強度の発現に十分な界面の面積が確保されるためである。また、本発明の制振合金は、加工性にも優れる。
本発明の制振合金は、α相内に、β相およびZn−Mg系化合物が分散した組織を有するのが好ましい。α相内に、β相とともにZn−Mg系化合物が分散して存在することで、界面の面積が十分に確保される。また、Zn−Mg系化合物の存在により、高温で長時間保持されてもβ相が成長しにくくなるため、もしくは、β相が成長してもZn−Mg系化合物の界面が存在するため、初期の制振特性と強度が保たれると考えられる。
また、本発明の制振合金からなる鋳物の製造方法において、凝固した合金に均質化処理を施すことで、優れた加工性を有する制振合金鋳物が得られる。あるいは、溶体化処理を施すことで、高い制振特性と強度を有する制振合金鋳物が得られる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の制振合金は、亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)とを含み、残部がアルミニウム(Al)と不可避不純物とからなり、必要に応じて、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)等を含んでもよい。
本発明の制振合金は、全体を100質量%としたときに、8質量%以上42質量%以下のZnを含む。Znの含有量が8質量%未満であると、α相内に分散するβ相およびZn−Mg系化合物が十分に形成されず、制振材料に求められる程度の制振特性が得られない。好ましいZnの含有量は、18質量%以上さらには28質量%以上である。Znの含有量が多い程、硬さが増加する傾向にあるが、初期の硬さが高くても高温で長時間保持された後の硬さが低下する傾向にある。特に、42質量%を超えると、硬さの低下は顕著となる。したがって、好ましいZnの含有量は、32質量%以下さらには22質量%以下である。
また、本発明の制振合金は、全体を100質量%としたときに、0.3質量%以上3質量%以下のMgを含む。Mgの含有量が0.3質量%未満では、金属組織の形成にMgが十分に寄与しないため、制振材料に求められる程度の制振特性が表れない。また、Mgの含有量が0.3質量%未満では、高温で長時間保持された後の硬さが大きく低下する。好ましいMgの含有量は、0.8質量%以上さらには1.8質量%以上である。一方、Mgの含有量が3質量%を超えると、Zn−Mg系化合物の体積率の増加により加工性が低下する。好ましいMgの含有量は、2.2質量%以下さらには1.5質量%以下である。
また、本発明の制振合金は、Zr、CrおよびMnから選ばれるいずれか一種以上を含んでもよい。これらの元素を添加することで、金属組織の粗大化を抑制する効果がある。本発明の制振合金全体を100質量%としたときに、Zrであれば0.5質量%以下さらには0.05質量%以上0.2質量%以下、Crであれば0.5質量%以下さらには0.05質量%以上0.2質量%以下、Mnであれば0.5質量%以下さらには0.05質量%以上0.4質量%以下添加するとよい。
以上のような組成を有する本発明の制振合金は、制振材料に求められる程度の制振特性を有する。制振材料に求められる程度の制振特性とは、使用条件により異なるが、あえて規定するならば、室温での損失係数が0.01以上さらには0.012以上、0.015以上であるのが好ましい。なお、損失係数は、制振特性に関わる個々の材料に固有の基本量であって、貯蔵弾性係数(G’)と損失弾性係数(G”)の比、G”/G’で表される。損失係数は材料の減衰能を示し、値が大きい程、振動エネルギーが吸収されやすい。
また、上記の組成を有する本発明の制振合金は、高温で長時間保持されても、その特性が劣化しにくい。具体的には、本発明の制振合金を100℃で48時間保持した後の損失係数が、0.01以上さらには0.012以上、0.015以上であるのが好ましい。
また、本発明の制振合金を100℃で48時間保持した後の合金の硬さ(X)が、ビッカース硬さでHv100以上さらには110以上、120以上、本発明の制振合金を100℃で48時間保持前の硬さ(X)が、ビッカース硬さでHv80以上さらに90以上、100以上、であるのが好ましい。本発明の制振合金を100℃で48時間保持する前後の硬さの変化量(X10=X−X)は、−40以上(減少量で40以下)さらには−20以上(減少量で20以下)、0以上(減少しない)であるのが好ましい。さらに、その際の硬さの変化率(|X10|/X×100)は、50%以下さらには40%以下、30%以下であるのが好ましく、特に、減少率(X>Xの場合)は、30%以下さらには25%以下、20%以下であるのが好ましい。なお、これらの数値は、全て室温にて測定した値である。
本発明の制振合金は、α相内に、β相およびZn−Mg系化合物が分散した組織を有するとよい。Zn−Mg系化合物とは、たとえば、MgZnである。α相内に、β相とともにZn−Mg系化合物が分散して析出することで、高温で長時間保持された後の制振特性や硬さの低下が抑制される。ただし、Znの含有量が十分でないとβ相が析出しにくく、Znおよび/またはMgの含有量が十分でないとZn−Mg系化合物が析出しにくく、所望の制振特性や硬さをもつ制振合金が得られない。このとき、α相の平均結晶粒径は、10〜500μmであるとよい。β相は、α相の結晶粒内でまだら構造を形成するとよい。また、Zn−Mg系化合物は、細くて1〜50μm程度の長さでα相の結晶粒内に析出するとよい。
また、本発明の制振合金(Al−Zn−Mg系制振合金)鋳物の製造方法は、以上詳説した本発明の制振合金からなる鋳物の製造方法である。すなわち、本発明の制振合金鋳物の製造方法は、注湯工程と凝固工程とを含み、注湯工程は、全体を100質量%としたときに、8質量%以上42質量%以下のZnと、0.3質量%以上3質量%以下のMgと、を含み、残部がAlと不可避不純物とからなる合金溶湯を鋳型に注湯する工程、凝固工程は、注湯工程後の合金溶湯を冷却させて凝固させる工程、である。
本発明の制振合金鋳物は、通常の重力鋳造や加圧鋳造に限らず、ダイカスト鋳造したものでもよい。また、鋳造に使用される鋳型も砂型、金型等を問わない。凝固工程における凝固速度(冷却速度)にも特に限定はないが、制振特性の発現に望ましい微細な組織が形成される程度の凝固速度を金型のサイズに応じて適宜選択すればよい。なお、一般的な凝固速度で凝固させれば、制振材料に求められる程度の制振特性が発現される微細な金属組織が得られる。
本発明の制振合金鋳物の製造方法は、さらに、凝固工程の後で得られた合金を均質化処理する均質化処理工程を含むのが望ましい。均質化処理は、合金元素の分布や組織の均一化、内部応力の除去等を図り、凝固工程で得られた合金の加工性、たとえば熱間圧延性の向上に効果がある。均質化処理の条件は特に限定はないが、処理温度が300℃未満では充分な効果が得られず、一方400℃を越えれば制振特性や硬さが低下するおそれがあるため望ましくない。また、処理時間が1時間未満では充分な効果が得られず、24時間を越えると効果が飽和する。したがって、均質化処理は、300〜400℃で1〜24時間の条件で行うのが望ましい。
また、本発明の制振合金鋳物の製造方法は、さらに、凝固工程の後で得られた合金を溶体化処理する溶体化処理工程を含むのが望ましい。合金を均一固溶体範囲の温度に加熱して合金元素を固溶させて急冷することで、凝固工程で得られた合金の強度が向上する。均質化処理の条件は特に限定はないが、処理温度が300℃未満では充分な効果が得られず、一方400℃を越えれば制振特性や硬さが低下するおそれがあるため望ましくない。また、処理時間が0.1時間未満では充分な効果が得られず、2時間を越えると効果が飽和する。したがって、溶体化処理は、300〜400℃で0.1〜2時間の条件で行うのが望ましい。
以上説明した本発明の制振合金は、高温で長時間保持されても、振動特性や強度が低下しにくいため、制振材料としての応用範囲が広がる。そのため、宇宙、軍事、航空の分野をはじめとし、自動車、電気機器など、幅広い分野で用いることができる。また、本発明の制振合金からなる部材は、従来の制振合金と同様に、CDプレーヤー等のベースやハウジング、フロッピーディスクのヘッドケース、自動車のミッションケース、カバー類、シリンダー等、電子機器、OA機器、自動車部品および精密機械部品など、制振対策を必要とする用途に好適に用いることができるが、特に、その温度に対する制振特性および硬さの安定性を生かして、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバー、エアクリーナーケース、オルタネーターカバー、ステアリングギアボックス、触媒コンバーターカバー等に用いることができる。
以上、本発明のAl−Zn−Mg系制振合金およびAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
添加元素の含有量を変更した合金を複数製作し、それらの特性の評価および金属組織の相同定を行った。
[合金#01〜#10の作製]
秤量した純Alおよび純Znを大気中にて溶解してから、必要に応じて純Mgを所定の量となるように添加した。その後、ヘキサクロロエタンによる10分間の脱ガス処理を行い、金型に流し込み(注湯工程)、大気雰囲気中で凝固させて(凝固工程)、合金組成の異なる#01〜#10の合金を作製した。#01〜#10の各合金の配合組成を表1に示す。なお、得られた合金は、長さ200mm、高さ45mm、下底幅25mm、上底幅30mmの舟型インゴットであった。
得られた合金に対し、均質化処理を行った。均質化処理は、400℃で5時間保持したあと、炉冷した。均質化処理後の合金から、20mm×5mm×4mm程度の試料をそれぞれ切り出し、350℃で1mmまで熱間圧延加工を行った。
[圧延加工性の評価]
熱間圧延加工後の#01〜#10の合金を目視観察し、加工性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1において、○は問題となるような割れが生じなかったもの、×は割れが生じたものである。
[ビッカース硬さ試験]
熱間圧延加工後の#01〜#10の合金に対し、溶体化処理を行った。溶体化処理は、350℃で1時間保持したあと、水焼入れ処理で急冷した。溶体化処理後の#01〜#10の合金の表面の硬さを測定するため、荷重を5kgとしたビッカース硬さ試験を行った。測定結果を表1の「硬さX」の欄に示す。また、ビッカース硬さ試験は、硬さ測定後の試料を100℃で48時間保持した試料についても同様に行った。測定は室温で行った。測定結果を表1の「硬さX」の欄に示す。表1には、試料を100℃で48時間保持する前後の変化量X10(=X−X)とともに、Xに対するX10の割合を変化率として表1に示す。
さらに、#01〜#04および#08の合金については100℃で6時間、24時間、#01〜#04についてはさらに96時間、192時間、384時間保持したそれぞれの試料の表面の硬さを同様に測定した。保持時間に対する硬さをそれぞれプロットして作成したグラフを図1に示す。なお、#01〜#04および#08の合金の組成は、Al−x質量%Zn−1質量%Mg(xの値は順に10,20,30,40,50)であって、図1のグラフの◆は#01、□は#02、△は#03、×は#04、*は#08の測定点を示す。
[制振特性の評価]
上記の溶体化処理後に100℃で48時間保持した#01〜#10の合金に対し、両端固定曲げモードによる損失係数の測定を行った。損失係数の測定には、それぞれの試料から60mm×5mm×1mmの試験片を作製し、Netzsch社製DMA242Cを用いて測定した。測定は、測定周波数10Hz、歪み振幅3.5×10−4の条件で、室温で行った。測定結果を表1に示す。
[金属組織の相構成]
上記の溶体化処理後に100℃で48時間保持した#01〜#10の合金に対し、X線回折(XRD)による相同定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2008240035
#01〜#06の合金は、α相、β相およびMgZnからなる微細な金属組織をもち、100℃48時間保持後の損失係数が0.01以上で優れた制振特性を有した。また、100℃48時間保持後の硬さがHv100以上と高強度であった。さらに、100℃48時間保持前後の硬さの変化量X10は絶対値で40以下、減少率(負の変化率)は30%以下で、安定であった。
一方、合金#07は、Zn含有量が5質量%と少なく、XRDによりα相以外は検出されなかった。そのため、損失係数も0.008と低く、制振材料として望まれる制振特性を有するとは言えなかった。また、合金#08は、Zn含有量が50質量%で過剰であり、100℃48時間保持前後の硬さの変化量X10は−52で、硬さの低下が非常に大きかった。なお、図1のグラフによると、#01および#02の合金は、100℃で長時間保持すると、硬さが増加する傾向にあった。一方、#03、04および08の合金は、保持時間が10時間を過ぎると、硬さが低下する傾向にあった。しかし、#03および#04の合金では、硬さの低下量は60程度にとどまったが、#08の合金は、保持時間が48時間を超えるとさらに硬さが低下すると推測される。
合金#09は、Mgが添加されていないため、MgZnは析出しなかった。そのため、他の合金と比較して損失係数が小さかった。また、100℃48時間保持後の硬さXは、初期の硬さXの50%まで低下した。また、合金#10は、Mg含有量が4質量%で過剰であり、熱間圧延加工中に割れが発生した。
したがって、制振材料に求められる程度の制振特性を有する制振合金のZnの含有量は、#01(Zn10質量%含有)と#07(Zn5質量%含有)の結果から、#01と#07との中間で、#01のZn含有量の±2質量%の範囲内である8質量%が少なくとも必要である。なお、#01のZn含有量の±2質量%の範囲内であれば、#01と同等の制振特性を有すると考えられる。また、高温で長時間保持された後も硬さが低下しにくく安定性のある制振合金のZnの含有量は、#04(Zn40質量%含有)と#08(Zn50質量%含有)の結果から、#04と#08との中間で、#04のZn含有量の±2質量%の範囲内である42質量%を超えない必要がある。なお、#04のZn含有量の±2質量%の範囲内であれば、#04と同等の安定性を有すると考えられる。
また、制振材料に求められる程度の制振特性を有し、高温で長時間保持された後も硬さが低下しにくく安定性のある制振合金のMgの含有量は、#05(Mg0.5質量%含有)と#09(Mgを含有しない)の結果から、#05と#09との中間で、#05のMg含有量の±0.2質量%の範囲内である0.3質量%が少なくとも必要である。なお、#05のMg含有量の±0.2質量%の範囲内であれば、#05と同等の制振特性および硬さの安定性を有すると考えられる。また、熱間圧延加工等の加工性に優れた制振合金のMgの含有量は、#06(Mg2質量%含有)と#10(Mg4質量%含有)の結果から、#06と#10との平均値である3質量%を超えない必要がある。
Al−x質量%Zn−1質量%Mg合金(xの値は10,20,30,40または50)の表面の硬さを示すグラフであって、100℃で保持された時間に対する硬さの変化を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 全体を100質量%としたときに、8質量%以上42質量%以下の亜鉛(Zn)と、0.3質量%以上3質量%以下のマグネシウム(Mg)と、を含み、残部がアルミニウム(Al)と不可避不純物とからなることを特徴とするAl−Zn−Mg系制振合金。
  2. α相内に、β相およびZn−Mg系化合物が分散して析出した組織を有する請求項1記載のAl−Zn−Mg系制振合金。
  3. 前記Zn−Mg系化合物は、MgZnである請求項2記載のAl−Zn−Mg系制振合金。
  4. ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)から選ばれるいずれか一種以上を0.5質量%以下含む請求項1記載のAl−Zn−Mg系制振合金。
  5. 全体を100質量%としたときに、8質量%以上42質量%以下の亜鉛(Zn)と、0.3質量%以上3質量%以下のマグネシウム(Mg)と、を含み、残部がアルミニウム(Al)と不可避不純物とからなる合金溶湯を鋳型に注湯する注湯工程と、
    該注湯工程後の合金溶湯を冷却させて凝固させる凝固工程と、
    を含むことを特徴とするAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法。
  6. 前記凝固工程の後で得られた合金を均質化処理する均質化処理工程を含む請求項5記載のAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法。
  7. 前記凝固工程の後で得られた合金を溶体化処理する溶体化処理工程を含む請求項5記載のAl−Zn−Mg系制振合金鋳物の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017018570A1 (ko) * 2015-07-29 2017-02-02 창원대학교 산학협력단 배향형 석출물을 포함하는 금속복합재료 및 이의 제조 방법

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