JP2008240006A - Pd基形状記憶合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】本願発明は、高耐食性、高生体適合性、高X線造影性を有し、かつマルテンサイト変態を生じるPd基合金からなる形状記憶合金を提供する。
【解決手段】本願発明合金は、Inを15〜50原子%含有し、Mn、Fe、Cu、Ag、Auからなる群から選ばれた少なくとも1種類を合計で5〜45原子%含有し、残部がPdと不可避不純物とからなる組成と、bcc規則構造からなる単相組織を有する形状記憶合金とする。また、前記組成に加えて、Znを0.001〜30原子%含有してもよい。
【選択図】図1
【解決手段】本願発明合金は、Inを15〜50原子%含有し、Mn、Fe、Cu、Ag、Auからなる群から選ばれた少なくとも1種類を合計で5〜45原子%含有し、残部がPdと不可避不純物とからなる組成と、bcc規則構造からなる単相組織を有する形状記憶合金とする。また、前記組成に加えて、Znを0.001〜30原子%含有してもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、特にステント、カテーテル、ガイドワイヤー等の医療用デバイスに有用な形状記憶合金に関する。
形状記憶合金はマルテンサイト変態の逆変態に伴う顕著な形状記憶効果を有し、一般に冷却時の変態開始温度(Ms)より、加熱時の逆変態終了温度(Af温度)の方が高く、その温度差(Af−Ms)を温度ヒステリシスという。温度ヒステリシスが小さい場合を熱弾性マルテンサイト変態といい、熱弾性マルテンサイト変態を有する合金では、Ms温度以下にて変形後、Af温度以上に加熱することによって、一般的に約5%に及ぶ大きな形状回復歪が得られる。
温度ヒステリシスの小さい熱弾性型マルテンサイト変態においては、マルテンサイト逆変態終了温度以上の温度において応力誘起マルテンサイト変態が可能である。超弾性とは、応力負荷時の応力誘起マルテンサイト変態と、除荷時の逆変態によって生じ、応力誘起マルテンサイト相が応力除荷により、無応力状態で安定な母相に逆変態することで、見かけ上弾性的に形状を回復する現象である。
近年、ステント、カテーテル、ガイドワイヤーといった金属デバイスを用い、X線透視下において病変・疾患を血管内で直接治療する「血管内治療」が盛んに行われている。従来の外科的手法に比べ人体への侵襲性が低い特徴を有するため、術後の痛みが軽く、回復も早いなど患者の負担が少ない。上記デバイス素材としては、ステンレス、Co-Cr系合金、Ti系合金が挙げられる。特に、柔軟かつ塑性変形し難いTi-Ni超弾性合金(ニチノール)が注目を浴び幅広く臨床応用されているが、Niの毒性・アレルギー性が懸念されている。
最近では、微小疾患部位へのデバイス適用拡大の需要が高まっており、デバイスの小型化に伴うX線下における造影性の改善が強く求められる。例えば、頭蓋内の脳血管病変におけるステント治療に、純Auステントを使用した試験が試みられた。(非特許文献1)しかし、Auは高いX線造影性を有する一方、曲がった血管を通り病変部に到達した時には塑性変形により形状が原形を留めておらず、また血管の拍動によっても変形してしまうという問題があった。
Takashiro Ohyama, Takuji Nishide, Hiroo Iwata and Waro Taki: American Journal of Neuroradiology 25 (2004) 53-59.
上記要求を満たす合金として高耐食性、高生体適合性、高造影性を併せもつ貴金属基形状記憶合金が考えられるが、Cdなど人体に有害な元素が含有されているなどの問題がある。
本発明は上記のような問題を解消し得るマルテンサイト変態を生じる形状記憶合金を提供することを目的とする。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、所定量のInと、所定量のMn、Fe、Cu、Ag及びAuからなる群から選ばれた少なくとも一種と、所定量のZnをPdに添加することにより、実用温度域での優れた形状記憶特性及び超弾性特性を有し、形状記憶合金が得られることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の第1の形状記憶合金は、Inを15〜50原子%含有し、Mn、Fe、Cu、Ag及びAuからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で5〜45原子%含有し、残部がPd及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
本発明の第2の形状記憶合金は、前記組成に加えて、Znを0.001〜30原子%含有することを特徴とする。
本発明の第3の形状記憶合金は、前記組成に加えて、Ti、Cr、Co、Ni、Al、Ga、Ge、Sn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、W及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で0.001〜15原子%含有することを特徴とする。
本発明の形状記憶合金は、実用温度域での優れた形状記憶特性及び超弾性特性を有し、高耐食性、高生体適合性、高X線造影性を併せもつ。
[1] 形状記憶合金
(1) 第1の形状記憶合金
第1の形状記憶合金は、Inを15〜50原子%含有し、Mn、Fe、Cu、Ag及びAuからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で5〜45原子%含有し、残部がPd及び不可避的不純物からなる。なお本明細書において、特段の断りがなければ各元素の含有量は合金全体を基準(100原子%)とする。
(1) 第1の形状記憶合金
第1の形状記憶合金は、Inを15〜50原子%含有し、Mn、Fe、Cu、Ag及びAuからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で5〜45原子%含有し、残部がPd及び不可避的不純物からなる。なお本明細書において、特段の断りがなければ各元素の含有量は合金全体を基準(100原子%)とする。
Inは、bcc規則構造を有する母相の生成を促進する元素である。Inはまた、含有量を調節することによりマルテンサイト変態温度(マルテンサイト変態を生じる温度:Ms温度)を変化させることができる元素である。Inの添加量を15原子%未満とすると、母相単相を形成できない。一方50原子%超とすると、マルテンサイト変態が生じない。好ましいInの含有量は18〜47原子%である。
Mn、Fe、Cu、Ag及びAuはbcc規則構造を有する母相の生成を促進する元素である。これらの元素は、含有量を調節することによりMs温度を変化させることができる。これらの元素の添加量を合計で5原子%未満とすると、母相単相を形成できない。一方45原子%超とすると、マルテンサイト変態が生じない。これらの元素の好ましい含有量は6〜42原子%である。
Pdは形状記憶特性及び耐食性を向上させる元素である。Pd含有量が不足すると耐食性が低下する。Pd量が過剰であると形状記憶効果が発現しない。したがって、上記の範囲内で各々含有される(a)In、(b)Mn、Fe、Cu、Ag及びAuからなる群から選ばれた少なくとも一種の残部をPdとする必要がある。
(2) 第2の形状記憶合金
第2の形状記憶合金は、第1の形状記憶合金に対して、0.001〜30原子%のZnを必須とする点のみが異なり、その他の元素については同じである。Znはbcc規則構造を有する母相の生成を促進し、Ms温度を上昇させる作用を有する。Znの含有量は0.001〜30原子%であり、30原子%を超えると母相単相を形成できない。
第2の形状記憶合金は、第1の形状記憶合金に対して、0.001〜30原子%のZnを必須とする点のみが異なり、その他の元素については同じである。Znはbcc規則構造を有する母相の生成を促進し、Ms温度を上昇させる作用を有する。Znの含有量は0.001〜30原子%であり、30原子%を超えると母相単相を形成できない。
(3) 第3の形状記憶合金
第3の形状記憶合金は、第2の形状記憶合金に対して、Ti、Cr、Co、Ni、Al、Ga、Ge、Sn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、W及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で0.001〜15原子%さらに含有する点のみが異なり、その他の元素については同じである。
第3の形状記憶合金は、第2の形状記憶合金に対して、Ti、Cr、Co、Ni、Al、Ga、Ge、Sn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、W及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で0.001〜15原子%さらに含有する点のみが異なり、その他の元素については同じである。
形状記憶合金はTi、Cr、Co、Ni、Al、Ga、Ge、Sn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、W及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種を含むことにより、一層形状記憶特性が向上する。これらの元素は含有量を調節することによりMs温度を変化させることもできる。これらの元素の含有量は合計で0.001〜15原子%であり、15原子%を超えると合金が脆化する恐れがある。
[2] 形状記憶合金の製造方法
(1) 形状記憶合金の成形
上記組成の各合金を溶解鋳造し、熱間加工(熱間圧延等)、冷間加工(冷間圧延等)、プレス等の加工により所望の形状に成形する。上記組成の各合金は熱間加工性及び冷間加工性に富み、細線、板材等各形状に成形することができる。
(1) 形状記憶合金の成形
上記組成の各合金を溶解鋳造し、熱間加工(熱間圧延等)、冷間加工(冷間圧延等)、プレス等の加工により所望の形状に成形する。上記組成の各合金は熱間加工性及び冷間加工性に富み、細線、板材等各形状に成形することができる。
(2) 溶体化処理
次に固溶体温度範囲まで加熱し、結晶組織を母相(bcc相)に変態させた後、急冷する溶体化処理を行う。溶体化処理は800℃以上の温度で行う。処理温度は850〜1200℃であるのが好ましい。処理温度での保持時間は1分以上あれば良いが、1週間を超えると酸化の影響が無視できなくなるので、1分〜1週間であるのが好ましい。加熱処理後、急冷することにより、マルテンサイト組織が得られる。限定する趣旨ではないが、冷却速度は50℃/秒が好ましい。
次に固溶体温度範囲まで加熱し、結晶組織を母相(bcc相)に変態させた後、急冷する溶体化処理を行う。溶体化処理は800℃以上の温度で行う。処理温度は850〜1200℃であるのが好ましい。処理温度での保持時間は1分以上あれば良いが、1週間を超えると酸化の影響が無視できなくなるので、1分〜1週間であるのが好ましい。加熱処理後、急冷することにより、マルテンサイト組織が得られる。限定する趣旨ではないが、冷却速度は50℃/秒が好ましい。
(3) 時効処理
溶体化処理のみでも良好な形状記憶特性は得られるが、時効処理を行うことにより、母相が強化されるとともに、形状記憶特性が向上するので好ましい。時効処理は100℃以上の温度で行う。100℃未満で処理しても拡散が起こらず、十分な効果が得られない。時効処理温度の上限は800℃未満が好ましい。
溶体化処理のみでも良好な形状記憶特性は得られるが、時効処理を行うことにより、母相が強化されるとともに、形状記憶特性が向上するので好ましい。時効処理は100℃以上の温度で行う。100℃未満で処理しても拡散が起こらず、十分な効果が得られない。時効処理温度の上限は800℃未満が好ましい。
時効処理時間は形状記憶合金の組成及び処理温度により異なるが、1分間以上であるのが好ましく、30分間以上であるのがより好ましい。時効処理時間が1分未満では効果が不十分である。時効処理時間の上限は特に制限されず、母相から第2相が析出しない範囲で時効処理温度に応じて適宜設定すればよい。
[3] 形状記憶合金の組織
第1〜3の形状記憶合金(以下これらを併せて単に「形状記憶合金」とよぶ)は、bcc構造を有する規則相からなる単相組織を有する。単相組織は多結晶からなるものであってもよいが、単結晶からなる形状記憶合金の方が、形状記憶特性及び超弾性特性が優れているので好ましい。単結晶を得る方法としては公知の方法でよく、例えば焼きなまし法、ブリッジマン法等が挙げられる。焼きなまし法により単結晶化する場合、形状記憶合金を900℃以上〜1200℃以下の温度で処理するのが好ましい。焼きなまし処理時間は、30分間〜1週間であるのが好ましい。
第1〜3の形状記憶合金(以下これらを併せて単に「形状記憶合金」とよぶ)は、bcc構造を有する規則相からなる単相組織を有する。単相組織は多結晶からなるものであってもよいが、単結晶からなる形状記憶合金の方が、形状記憶特性及び超弾性特性が優れているので好ましい。単結晶を得る方法としては公知の方法でよく、例えば焼きなまし法、ブリッジマン法等が挙げられる。焼きなまし法により単結晶化する場合、形状記憶合金を900℃以上〜1200℃以下の温度で処理するのが好ましい。焼きなまし処理時間は、30分間〜1週間であるのが好ましい。
形状記憶合金は、bcc規則構造の母相からマルテンサイト相へ熱弾性変態する。生じたマルテンサイト相は通常、14M、10M等の長周期構造や、L10構造を有する。ここで長周期構造の各数字は最密面((001)面)の積層周期を表し、Mは単斜晶を表す。特に、マルテンサイト相はL10構造であるのが好ましく、これにより変態歪みの大きい変態が可能となる。
[4] 形状記憶合金の特性
(1) 冷却/加熱による変態
形状記憶合金は、冷却/加熱により熱弾性マルテンサイト変態及びその逆変態を生じさせることが可能である。本発明の形状記憶合金のMs温度及び逆変態開始温度(As温度)は通常約-200〜約300℃の範囲内である。Ms温度は元素の配合割合を調節することにより変えられる。尚、本合金は室温以下の低温度にて強磁性を有する。
(1) 冷却/加熱による変態
形状記憶合金は、冷却/加熱により熱弾性マルテンサイト変態及びその逆変態を生じさせることが可能である。本発明の形状記憶合金のMs温度及び逆変態開始温度(As温度)は通常約-200〜約300℃の範囲内である。Ms温度は元素の配合割合を調節することにより変えられる。尚、本合金は室温以下の低温度にて強磁性を有する。
(2) 応力誘起変態
形状記憶合金は、母相状態で応力を印加することにより応力誘起マルテンサイト変態を生じさせることも可能である。特に逆変態終了温度(Af温度)超では超弾性を有するので、応力誘起マルテンサイト相から応力を除くことにより誘起されるマルテンサイト逆変態を生じさせることも可能である。
形状記憶合金は、母相状態で応力を印加することにより応力誘起マルテンサイト変態を生じさせることも可能である。特に逆変態終了温度(Af温度)超では超弾性を有するので、応力誘起マルテンサイト相から応力を除くことにより誘起されるマルテンサイト逆変態を生じさせることも可能である。
(3) 形状記憶特性
形状記憶合金は、熱弾性マルテンサイト変態し、実用温度域で安定かつ良好な形状記憶特性を示す。通常形状回復率は約95%以上であり、実質的に100%である。なお形状回復率とは、下記式(1):
形状回復率(%)= 100 ×(εt−εr)/ εt ・・・(1)
εt:与歪み量
εr:Af温度以上に加熱した後の残留歪み量
により定義される(以下同じ)。
形状記憶合金は、熱弾性マルテンサイト変態し、実用温度域で安定かつ良好な形状記憶特性を示す。通常形状回復率は約95%以上であり、実質的に100%である。なお形状回復率とは、下記式(1):
形状回復率(%)= 100 ×(εt−εr)/ εt ・・・(1)
εt:与歪み量
εr:Af温度以上に加熱した後の残留歪み量
により定義される(以下同じ)。
(4) 超弾性
形状記憶合金は、実用温度域で安定かつ良好な超弾性を示す。通常与歪みが6〜8%でも、変形解放後の形状回復率は95%以上である。なお超弾性回復率とは、下記式(2):
超弾性回復率(%)= 100 ×(εt−εr SE)/ εt ・・・(2)
εt:与歪み量
εr SE:応力除荷後の残留歪み量
により定義される(以下同じ)。
形状記憶合金は、実用温度域で安定かつ良好な超弾性を示す。通常与歪みが6〜8%でも、変形解放後の形状回復率は95%以上である。なお超弾性回復率とは、下記式(2):
超弾性回復率(%)= 100 ×(εt−εr SE)/ εt ・・・(2)
εt:与歪み量
εr SE:応力除荷後の残留歪み量
により定義される(以下同じ)。
[5] 形状記憶合金の用途
上記のように本発明の形状記憶合金は、外部応力の印加により実用温度域で応力誘起マルテンサイト変態させることができる。特に、Af温度超の温度で応力誘起マルテンサイト変態させた場合、応力を除去することによりマルテンサイト逆変態も発現させることが可能である。また、本発明の形状記憶合金は耐食性及び生体適合性に優れたPdを用いている。よって血管内治療に用いられる医療用デバイス、例えばステント、ガイドワイヤー、カテーテル等の用途に有用である。さらに、ネックレス、ブレスレット等の装飾品としても使用できる。
上記のように本発明の形状記憶合金は、外部応力の印加により実用温度域で応力誘起マルテンサイト変態させることができる。特に、Af温度超の温度で応力誘起マルテンサイト変態させた場合、応力を除去することによりマルテンサイト逆変態も発現させることが可能である。また、本発明の形状記憶合金は耐食性及び生体適合性に優れたPdを用いている。よって血管内治療に用いられる医療用デバイス、例えばステント、ガイドワイヤー、カテーテル等の用途に有用である。さらに、ネックレス、ブレスレット等の装飾品としても使用できる。
実施例1〜45
表1に示すNo.1〜45の組成を有する各合金を高周波溶解・鋳造し、急冷により凝固し、インゴットとした。このインゴットを1200℃で1日間溶体化処理した後、水中へ投入して急冷し、サンプルを得た。ただし、不可避的不純物を含む。
表1に示すNo.1〜45の組成を有する各合金を高周波溶解・鋳造し、急冷により凝固し、インゴットとした。このインゴットを1200℃で1日間溶体化処理した後、水中へ投入して急冷し、サンプルを得た。ただし、不可避的不純物を含む。
比較例1〜5
表2に示すNo.46〜50の組成を有する各合金を原料とした以外実施例1〜45と同様にして、サンプルを得た。ただし、不可避的不純物を含む。
表2に示すNo.46〜50の組成を有する各合金を原料とした以外実施例1〜45と同様にして、サンプルを得た。ただし、不可避的不純物を含む。
得られた各サンプル(No.1〜45)の物性を以下の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(1) Ms温度
インゴットから寸法2mm×2mm×厚さ1mmの板状小片を切り出し、走査型示差熱量計(DSC)により測定した(昇温/降温速度:10℃/min)。
(2) 形状回復率
インゴットから寸法50mm×4mm×0.25mmの帯状のサンプル片を切り出し、曲げ試験を行い、1.2%の曲げ歪みを与え、300℃に加熱したときの回復率を測定した。なお形状回復率は上記式(1)で算出される値である。
(1) Ms温度
インゴットから寸法2mm×2mm×厚さ1mmの板状小片を切り出し、走査型示差熱量計(DSC)により測定した(昇温/降温速度:10℃/min)。
(2) 形状回復率
インゴットから寸法50mm×4mm×0.25mmの帯状のサンプル片を切り出し、曲げ試験を行い、1.2%の曲げ歪みを与え、300℃に加熱したときの回復率を測定した。なお形状回復率は上記式(1)で算出される値である。
表1から明らかなように、実施例1〜45の各合金(No. 1〜45)は、bcc規則構造を有する母相単相であり、かつマルテンサイト変態を生じることがわかった。
これに対して表2に示すように、比較例1(合金No.46)はInの含有量が50原子%超であり、かつMn、Fe、Cu、Ag及びAuからなる群から選ばれた少なくとも一種の合計含有量が5原子%未満であり、比較例2(合金No.47)はMn、Fe、Cu、Ag及びAuからなる群から選ばれた少なくとも一種の合計含有量が45原子%超であり、マルテンサイト変態が生じなかった。また比較例3(合金No.48)はZnの含有量が30原子%超であり、bcc規則構造を有する母相単相を維持できなかった。また比較例4(合金No.49)及び比較例5(合金No.50)はTi、Cr、Co、Ni、Al、Ga、Ge、Sn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、W及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の合計含有量が15原子%超であり、著しく脆化することがわかった。
実施例46〜50
(1)サンプル作製
上記No.1、11、23、29、36と同じ組成を有する合金を高周波溶解・鋳造し、急冷により凝固し、インゴットとした。このインゴットを用いて、ブリッジマン法により、直径20mm×30mmの円柱状単結晶を作製し、この円柱状試料から直径1.5mm×30mmのワイヤー状単結晶を切り出した。得られた単結晶ワイヤーを1200℃で1日間溶体化処理した後、水中へ投入して急冷した。
(1)サンプル作製
上記No.1、11、23、29、36と同じ組成を有する合金を高周波溶解・鋳造し、急冷により凝固し、インゴットとした。このインゴットを用いて、ブリッジマン法により、直径20mm×30mmの円柱状単結晶を作製し、この円柱状試料から直径1.5mm×30mmのワイヤー状単結晶を切り出した。得られた単結晶ワイヤーを1200℃で1日間溶体化処理した後、水中へ投入して急冷した。
(2)超弾性試験
曲げ試験機を用い室温でサンプルに曲げ応力をかけ、7%の歪みを与え、応力−歪み曲線を作成した。実施例46で得られた応力−歪み曲線を図1に示す。なお超弾性回復率は上記式(2)で算出される値である。いずれの合金も表3に示すように99%以上の超弾性回復率を示す。
曲げ試験機を用い室温でサンプルに曲げ応力をかけ、7%の歪みを与え、応力−歪み曲線を作成した。実施例46で得られた応力−歪み曲線を図1に示す。なお超弾性回復率は上記式(2)で算出される値である。いずれの合金も表3に示すように99%以上の超弾性回復率を示す。
Claims (3)
- Inを15〜50原子%含有し、Mn、Fe、Cu、Ag及びAuからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で5〜45原子%含有し、残部がPd及び不可避的不純物からなることを特徴とする形状記憶合金。
- 前記組成に加えて、Znを0.001〜30原子%含有することを特徴とする請求項1に記載の形状記憶合金。
- 前記組成に加えて、Ti、Cr、Co、Ni、Al、Ga、Ge、Sn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、W及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で0.001〜15原子%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の形状記憶合金。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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RU2582837C1 (ru) * | 2015-04-24 | 2016-04-27 | Сергей Алексеевич Костин | Ювелирный сплав на основе палладия, упрочненный интерметаллидами, содержащими железо, (варианты) |
CN111020272A (zh) * | 2019-12-14 | 2020-04-17 | 深圳晶辉应用材料有限公司 | 一种高性能金基银钯合金键合材料 |
CN111801432A (zh) * | 2018-03-02 | 2020-10-20 | 国立大学法人东京工业大学 | 形状记忆合金和形状记忆合金线材 |
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- 2007-03-26 JP JP2007078111A patent/JP2008240006A/ja active Pending
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