JP2008238935A - 車両の後輪操舵装置 - Google Patents

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敦裕 平田
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Abstract

【課題】システムの複雑化を防止した上で、運転者に違和感を与えることなく常に適切な後輪操舵制御を実現でき、もって旋回時の車両挙動を最適化できる車両の後輪操舵装置を提供する。
【解決手段】前輪横力センサ9fにより検出された前輪横力及び車輪速センサ8により検出された車速に基づき、前輪横力に対する後輪横力の応答遅れを模擬した2次伝達関数を含む車両の運動方程式に従って目標後輪横力を算出し、この目標後輪横力を達成するように、後輪1rの操舵アクチュエータ7を駆動制御して後輪操舵を実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は車両の走行状態に応じてアクチュエータにより後輪を操舵する車両の後輪操舵装置に関するものである。
この種の後輪操舵装置では車両の走行性能向上のために種々の手法が提案されており、例えば高速走行時のレーンチェンジの安定性向上等を目的として、前輪操舵角に応じて設定した目標操舵角等に基づき後輪を同相側に制御するものがある。しかしながら、この後輪操舵装置では車両旋回中にアンダステアが生じたときに、走行安定性を損ねる方向に制御が行われてしまう問題がある。即ち、旋回中においてアンダステアが生じて運転者が無意識の内にステアリングを切り増すと、前輪操舵角から算出された目標操舵角に基づき後輪も同相側に切り増しされるため、後輪横力に余裕があるときには後輪のみが旋回内側に移動し、結果として車両姿勢が旋回外側に向いてアンダステアを増長してしまうのである。
一方、この不具合の対策として、前輪の摩擦円に基づき過度の後輪操舵を制限するようにした対策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1の技術は、後輪の操舵制御のみならず前輪のパワーステアリングについても摩擦円に基づく制御を適用しているが、後輪操舵制御に関しては、路面摩擦係数と旋回時の輪重値とに基づき前輪の摩擦円を推定し、摩擦円と駆動力や制動力から求めた前輪前後力とに基づき前輪の最大横力を算出し、この最大横力と実横力とから求めた前輪の横力利用率が1に近づくに連れて後輪操舵角を抑制することにより、上記車両旋回時のアンダステアの増長を防止している。
特開平11−49012号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、以下の問題を抱えている。
まず、摩擦円は車両の走行状態に応じて刻々と変化し、例えば車両の加減速に応じて前後輪の接地荷重が変化すると摩擦円も大幅に変動する。このため、摩擦円を前提とした横力利用率に基づき後輪の目標操舵角を算出する特許文献1の技術では、運転者による前輪操舵角と後輪操舵角との関係が変動し、それに伴って車両挙動が変化するため、運転者に違和感を与えてしまうという問題があった。
また、上記特許文献1では、路面摩擦係数の算出手法の一例として、前輪操舵角と実ラック軸力との関係を実験値と比較して路面摩擦係数を求めているが、周知の何れの手法を採っても路面摩擦係数を高精度に推定することは困難である。よって、路面摩擦係数に含まれる誤差に起因して摩擦円の推定処理にも無視できない誤差が発生し、結果として後輪操舵制御が不適切に実行されるという問題があった。加えて、この路面摩擦係数、摩擦円、前輪前後力、横力利用率等の各算出処理を実行するためにシステムが複雑になり、信頼性に欠けるという問題もあった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、システムの複雑化を防止した上で、運転者に違和感を与えることなく常に適切な後輪操舵制御を実現でき、もって旋回時の車両挙動を最適化することができる車両の後輪操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、車両の後輪を操舵する後輪操舵手段と、車両の前輪の横力を算出する前輪横力算出手段と、前輪横力算出手段により算出された前輪横力に基づき目標後輪横力を算出する目標後輪横力算出手段と、目標後輪横力算出手段により算出された目標後輪横力に基づき後輪操舵手段を駆動制御する後輪操舵制御手段とを備えたものである。
従って、前輪横力算出手段が算出した前輪横力(例えば、センサによる検出値や演算処理による演算値)に基づき目標後輪横力算出手段により目標後輪横力が算出され、この目標後輪横力に基づき後輪操舵制御手段により後輪操舵手段が駆動制御されて後輪が操舵される。旋回時の車両の挙動は前後輪に発生する横力により決定されることから、前輪横力に対して最適な後輪横力、換言すれば、理想的な旋回時の車両挙動を実現できる後輪横力を目標後輪横力として算出して後輪操舵に適用することにより車両挙動が最適化され、例えばアンダステアを抑制した運動特性を実現可能となる。
また、前輪横力に基づく後輪操舵制御であるため、運転者による前輪操舵角に応じて後輪を操舵する場合(例えば、従来例)のように、旋回中にアンダステアが生じたときの運転者によるステアリングの切り増しに起因してアンダステアを増長させる不具合は発生しない。さらに、路面摩擦係数等から摩擦円を推定し、この摩擦円や前輪前後力から求めた前輪の横力利用率に基づいて後輪操舵を実行する場合(例えば、特許文献1)のように、車両の加減速等に応じた前後輪の接地荷重の変化により摩擦円が変動して、後輪の操舵制御により車両挙動が変動して運転者に違和感を与える不具合、路面摩擦係数等の推定誤差に起因して後輪操舵制御が不適切になる不具合、或いは、路面摩擦係数、摩擦円、前輪前後力、横力利用率等の各算出処理によるシステムの複雑の不具合等を未然に防止可能となる。
請求項2の発明は、請求項1において、目標後輪横力算出手段が、車両の前輪横力に対する後輪横力の応答遅れを模擬した2次伝達関数を含む車両の運動方程式に基づき、前輪横力から目標後輪横力を算出するものである。
車両旋回時において前輪横力に対して後輪横力は所定の応答遅れをもって追従する関係にあるが、この応答遅れを模擬した2次伝達関数を含む運動方程式に基づき前輪横力からより適切な目標後輪横力が算出されるため、一層の車両挙動の最適化が達成される。
請求項3の発明は、請求項1または2において、目標後輪横力算出手段が、前輪横力及び後輪横力と後輪コーナリングパワーとの関係が設定された車両の運動方程式に基づき、前輪横力から上記目標後輪横力を算出するものである。
従って、前輪横力に基づき後輪コーナリングパワーを反映した目標後輪横力が算出され、例えば、運動方程式のコーナリングパワーが増加設定されるほど大きな目標後輪横力が算出され、この目標後輪横力に基づく後輪操舵制御により、後輪のタイヤ性能があたかも向上したような車両挙動となる。このように運動方程式の後輪コーナリングパワーの設定に応じて、前輪横力に対する目標後輪横力の設定特性、ひいては旋回時の車両挙動を任意に変更可能となる。
請求項4の発明は、請求項3において、運動方程式で設定された後輪コーナリングパワーが、実際の後輪のコーナリングパワーより大きな値に設定されたものである。
従って、実際より大きな後輪コーナリングパワーに基づき目標後輪横力がより大きな値に算出されるため、後輪のタイヤ性能があたかも向上したような車両挙動が実現される。
請求項5の発明は、請求項3において、車両の走行状態に基づき運動方程式の後輪コーナリングパワーを設定するコーナリングパワー設定手段を備え、目標後輪横力算出手段が、コーナリングパワー設定手段により後輪コーナリングパワーが設定された運動方程式に基づき、前輪横力から目標後輪横力を算出するものである。
従って、車両の走行状態に基づきコーナリングパワー設定手段により運動方程式の後輪コーナリングパワーが設定され、その運動方程式に基づき前輪横力から目標後輪横力が算出される。このように車両の走行状態に対応する最適な後輪コーナリングパワーを反映して目標後輪横力が算出されるため、一層の車両挙動の最適化が達成される。
請求項6の発明は、請求項5において、コーナリングパワー設定手段が、車両の車速または前後加速度に基づき後輪コーナリングパワーを設定するものである。
従って、車両の車速または前後加速度に基づきコーナリングパワー設定手段により運動方程式の後輪コーナリングパワーが設定され、その運動方程式に基づき前輪横力から目標後輪横力が算出される。例えば旋回時の車速が高いほど、或いは旋回時の前後加速度が高い(急加速や急減速)ほど、車両挙動は不安定に陥り易いため、それに応じて後輪コーナリングパワーを増加設定することにより、見かけ上の後輪のタイヤ性能を向上させて車両挙動を安定化可能となる。
請求項7の発明は、請求項1乃至6において、前輪横力算出手段が、旋回時の車両のヨーレイト及び横加速度に基づき前輪の横力を算出するものである。
従って、旋回時の車両のヨーレイト及び横加速度に基づき前輪横力算出手段により前輪横力が算出される。ヨーレイトや横加速度は後輪操舵制御以外にも種々の車両制御に利用されるパラメータのため、これらの値を流用することにより、前輪横力を直接的に検出するセンサ、例えば前輪のロアアームやタイロッドに作用する車幅方向の荷重を横力として検出するセンサ等を特に設置する必要がなくなる。
以上説明したように請求項1の発明の車両の後輪操舵装置によれば、システムの複雑化を防止した上で、運転者に違和感を与えることなく常に適切な後輪操舵制御を実現でき、もって旋回時の車両挙動を最適化することができる。
請求項2の発明の車両の後輪操舵装置によれば、請求項1に加えて、前輪横力に対する後輪横力の応答遅れを反映した適切な目標後輪横力に基づき、一層の車両挙動の最適化を達成することができる。
請求項3の発明の車両の後輪操舵装置によれば、請求項1または2に加えて、後輪コーナリングパワーの設定に応じて、前輪横力に対する目標後輪横力の設定特性、ひいては旋回時の車両挙動を任意に変更することができる。
請求項4の発明の車両の後輪操舵装置によれば、請求項3に加えて、実際より大きな後輪コーナリングパワーを設定することで、後輪のタイヤ性能があたかも向上したような安定した車両挙動を実現することができる。
請求項5,6の発明の車両の後輪操舵装置によれば、請求項3に加えて、車両の走行状態、例えば車速または前後加速度等に対応する最適な後輪コーナリングパワーを反映して目標後輪横力を算出することで、一層の車両挙動の最適化を達成することができる。
請求項7の発明の車両の後輪操舵装置によれば、請求項1乃至6に加えて、前輪横力を直接的に検出するセンサを省略することができる。
以下、本発明を具体化した車両の後輪操舵装置の一実施形態を説明する。
図1は本発明の後輪操舵装置が適用された車両を示す全体構成図である。車両の左右の前輪1fはロアアーム2f及び図示しないストラットにより車体側から支持されると共に、それぞれタイロッドエンド3fを介してステアリングギアボックス4に連結されている。ステアリングギアボックス4にはステアリングシャフト5を介してステアリング6が連結され、運転者のステアリング操作に応じて左右の前輪1fが操舵される。図示はしないが、左右の前輪1fはドライブシャフトを介して車両のエンジンルーム内に搭載された変速機と接続され、変速機を介して伝達されるエンジンからの駆動力により回転駆動されて車両を走行させる。
車両の左右の後輪1rはロアアーム2r及び図示しないストラットにより車体側から支持されると共に、それぞれタイロッドエンド3rを介して操舵アクチュエータ7(後輪操舵手段)に連結されている。例えば、操舵アクチュエータ7は電動モータ或いは油圧等を動力源として作動し、タイロッドエンド3rを介して左右の後輪1rを任意の方向及び角度で操舵し得る。
前後輪1f,1rにはそれぞれ車輪速センサ8が設けられ、各センサ8により車輪速NFL,NFR,NRL,NRRが検出される。左右の前輪1fのロアアーム2fには前輪横力センサ9f(前輪横力算出手段)が取り付けられ、同じく左右の後輪1rのロアアームには後輪横力センサ9rが取り付けられている。これらの横力センサ9f,9rは、車両旋回時にロアアーム2f,2rが受ける車幅方向(左右方向)の荷重、換言すれば、旋回時の前後輪1f,1rの横力を検出するものである。横力センサ9f,9rの検出原理として本実施形態では、荷重を受けたときのロアアーム2f,2rの撓みを車幅方向の変位量として検出し、検出した変位量を荷重に換算して前輪横力Ff或いは後輪横力Frを求めている。但し、検出対象はロアアーム2f,2rに限ることはなく、例えばタイロッドの撓みを横力センサ9f,9rにより検出してもよいし、或いは周知の別の原理の横力センサを利用してもよい。
各車輪速センサ8及び横力センサ9f,9rは、車室内に設置された後輪操舵用のECU(電子制御ユニット)11に接続されている。ECU11は、図示しない入出力装置,多数の制御プログラムを内蔵した記憶装置(ROM,RAM,BURAMなど),中央処理装置(CPU),タイマカウンタ等から構成されており、駆動回路12を介して上記操舵アクチュエータ7と接続されている。ECU11は各センサからの検出情報に基づき、駆動回路12を介して操舵アクチュエータ7を駆動制御して後輪操舵を実行する(後輪操舵制御手段)。この後輪操舵制御は、上記従来技術や特許文献1の技術と同じく前輪1fに対して後輪1rを同相側に制御するものであるが、本発明では、後輪1rの目標後輪操舵角を算出するための指標として前後輪1f,1rの横力を適用し、この点を特徴としている。そこで、実際のECU11の処理を説明する前に、本発明の後輪操舵制御の概要について述べる。
既述したように、従来技術や特許文献1の技術では前輪操舵角に基づき後輪目標操舵角を算出しているが、従来技術では、車両旋回時のステアリングの切り増しによりアンダステアが増長して不安定になり、その対策を講じた特許文献1の技術では、摩擦円の変動による運転者の違和感、摩擦円の推定誤差による不適切な後輪操舵制御、演算処理のためのシステムの複雑化等の問題が生じる。
このような問題点を鑑みて、本発明者は、旋回時の違和感を防止した上で後輪操舵制御により良好な走行安定性を達成するには、どのような指標に基づいて後輪1rを操舵すべきかを検討した結果、前輪横力Ffと後輪横力Frとの関係に着目した。
即ち、旋回時の車両の挙動は前後輪1f,1rに発生する横力により決定されることから、運転者の操舵に応じた前輪横力Ffに対して最適な後輪横力Frが達成されるように後輪操舵を実行すれば、理想的な旋回時の車両挙動(前後輪1f,1rのコーナリングパワーの線形領域内外を問わず)を実現できることを見いだした。そこで、本発明では、前輪横力Ffに対する後輪横力Frの関係を示す車両の運動方程式として導き出した次式(1)に基づき、前輪横力Ffに対して所定の関係をもって目標後輪横力tgtFrを算出し(目標後輪横力算出手段)、その目標後輪横力tgtFrに基づく後輪操舵の実行により、前輪横力Ffに対して最適な後輪横力Fr、即ち、理想的な車両挙動を実現可能な後輪横力Frを発生させて車両を旋回させている。換言すれは、本発明では、後輪操舵を利用して前輪横力Ffに対して最適な横力を後輪1rに発生させ、これにより車両挙動の最適化を図っている。
Figure 2008238935
ここに、mは車両重量、Iは車両のヨー慣性モーメント、lはホイールベース、lfは車両の重心点−前輪1f間の距離、lrは車両の重心点−後輪1r間の距離、Vは車速である。例えば車速Vとしては、各車輪速NFL,NFR,NRL,NRRを速度換算した値の平均値が適用され、同様に前輪横力Ffについても、左右の前輪横力センサ9fにより検出された前輪横力Ffの平均値が適用される。
また、Krは後輪1rのコーナリングパワーであり、後述するように予め設定された所定値が適用される。このとき前輪横力Ffに対する後輪横力Frの応答遅れは、1次伝達関数で模擬することができ、対象車両の運動特性に基づいて予め設定された所定値が適用される。
次に、ECU11が後輪操舵制御のために実行する具体的な処理を、図2の制御ブロック図に従って説明する。
前輪横力センサ9fにより検出された前輪横力Ff、及び各車輪速センサ8の出力から求められた車速Vが目標後輪横力算出部15に入力され、この目標後輪横力算出部15で、上記式(1)に従った目標後輪横力tgtFrの算出処理が実行される。式(1)における前輪横力Ffと車速V以外の全ての値は事前に判明しているため、予めこれらの値は固定値として設定され、実際の目標後輪横力算出部15の算出処理では、前輪横力Ff及び車速Vから所定のマップに基づいて目標後輪横力tgtFrが算出される。
一方、例えば左右の後輪横力センサ9rにより検出された後輪横力Frの平均値が後輪横力Frと見なされ、目標後輪横力tgtFrから後輪横力Frが減算され、得られた横力偏差が変換部16に入力される。変換部16では、後輪横力Frと操舵角との関係に基づいて設定された変換ゲインにより横力偏差が操舵角に変換され、この操舵角に基づき駆動回路12を介して操舵アクチュエータ7により後輪操舵が実行される。この後輪操舵制御により後輪横力Frは常に目標後輪横力tgtFrに調整される。
一方、上記式(1)は以下の手順により導き出されたものである。
まず、前輪横力Ffは次式(2)で表すことができる。
Figure 2008238935
ここに、dγ/dtは車両のヨーレイトγの微分値、dy/dtは横加速度である。
一方、前輪1fの操舵角δに対するヨーレイトγの応答は次式(3)〜(5)で表すことができる。
Figure 2008238935
Figure 2008238935
Figure 2008238935
ここに、Kfは前輪1fのコーナリングパワー、ωnは固有振動数、ζωnはダンピング係数、Aはスタビリティファクタである。
また、前輪1fの操舵角δに対する横加速度dy/dtの応答は次式(6)〜(9)で表すことができる。
Figure 2008238935
Figure 2008238935
Figure 2008238935
Figure 2008238935
各式を上式(2)に代入すると次式(10)が得られ、さらに次式(11)が得られる。
Figure 2008238935
Figure 2008238935
一方、後輪横力Frは次式(12)で表すことができ、上記と同一手順により展開すると、次式(13)が得られる。
Figure 2008238935
Figure 2008238935
そして、前輪横力Ffと後輪横力Frとの比は次式(14)で表現され、この式(14)の後輪横力Frを目標後輪横力tgtFrに置換すれば、上記(1)式が得られる。
Figure 2008238935
以上の手順により導き出された式(1)の運動方程式に基づき、前輪横力Ff及び車速Vから目標後輪横力tgtFrが算出される。旋回時の車両の挙動は前後輪1f,1rに発生する横力により決定されることから、前輪横力Ffに対して最適な後輪横力Fr、即ち、理想的な旋回時の車両挙動を実現できる後輪横力Frを目標後輪横力tgtFrとして算出でき、この目標後輪横力tgtFrを後輪操舵に適用することにより旋回時の車両挙動を最適化して、例えばアンダステアを抑制した運動特性を実現することができる。
図3は車両旋回時の前後輪1f,1rの横力Ff,Frと横滑り角との関係を示す特性図である。基本的に車両の運動特性は、後輪コーナリングパワーKrより前輪コーナリングパワーKfを低く設定することで弱アンダステア気味とし、旋回時の急激な挙動変化を回避した安定方向に設定されている。同図では一例として後輪操舵により前輪横力Ffと同等の後輪横力Frに制御された場合が示されている。目標後輪横力tgtFrの設定特性は、上記のように式(1)の後輪コーナリングパワーKrの設定に応じて任意に変更可能であるが、何れにしても横力Ff,Frと横滑り角とが略比例する線形領域内では、例えばポイントaで示すように、前輪横力Ffに対して常に式(1)に基づく所定の関係をもって目標後輪横力tgtFrが算出されるため、極めて自然なアンダステアが実現される。
また、ポイントbで示すように、横力が増加すると、コーナリングパワーの低い前輪1fが先行して線形領域を外れて横滑り角を急増させ、これにより車両の運動特性はアンダステア傾向が強まるが、その直後に後輪1rも線形領域を外れることから、結果としてアンダステアは急増せずに自然なアンダステアが維持される。
即ち、本発明の後輪操舵制御によれば、運転者による前輪操舵角に応じて後輪1rを操舵する従来例のようなアンダステアを増長させる不具合は一切発生せず、旋回中のアンダステアに応じて運転者によりステアリング6の切り増しが行われたとしても、それに応じた後輪1rの切り増しは線形領域内外の何れでも一切行われずに違和感のない自然なアンダステアが維持される。
また、前輪横力Ffに基づく後輪操舵制御であるため、路面摩擦係数等から摩擦円を推定し、この摩擦円や前輪前後力から求めた前輪1fの横力利用率に基づいて後輪操舵を実行する特許文献1のような不具合は一切発生しない。具体的には、摩擦円に基づく後輪操舵制御ではないため、車両の加減速等に応じた前後輪の接地荷重の変化により摩擦円が変動して、後輪操舵制御により車両挙動が変動することは起こり得ず、運転者に違和感を与える虞はないし、摩擦円を推定するための路面摩擦係数等の推定誤差の影響を受けないため、推定誤差に起因して後輪操舵制御が不適切になる虞もなく、さらに、前輪横力Ff及び車速Vから目標後輪横力tgtFrを算出するだけのため、簡単なシステムで実現できる。
また、上式(1)から明らかなように、前輪横力Ffに対する後輪横力Frの設定特性は式中の後輪1rのコーナリングパワーKrに応じて変化する。コーナリングパワーKrとは、後輪1rのタイヤ性能(横滑り角に応じて発生する横力の大きさ)を表す指標であり、結果として後輪横力Frは、コーナリングパワーKrに対応するタイヤ性能を反映した値として算出される。
具体的には、高いタイヤ性能を想定してコーナリングパワーKrを増加設定した場合には、式(1)に基づき同一前輪横力Ffであっても大きめの後輪横力Frが算出され、この後輪横力Frを目標値とした同相側への後輪操舵制御により、あたかもタイヤ性能の高い後輪1rを装着した車両挙動となる。また、逆に低いタイヤ性能を想定してコーナリングパワーKrを減少設定した場合には、式(1)に基づき同一前輪横力Ffであっても小さめの後輪横力Frが算出され、この後輪横力Frを目標値とした後輪操舵制御により、あたかもタイヤ性能の低い後輪1rを装着した車両挙動となる。
安定した車両旋回を実現するには後輪1rに高いタイヤ性能が要求されるため、コーナリングパワーKrは大きめの値に設定することが望ましく、より詳細には、後輪操舵無しで実際に後輪1rが発揮する実際のコーナリングパワーを上回る値に設定する必要があり、この条件の下に設定されたコーナリングパワーに基づく同相側への後輪操舵制御により後輪横力Frが増大することで旋回時の車両の安定化が達成される。ここで、実際に後輪1rが発揮するコーナリングパワーは路面μに依存する(一般的に高μでは大きく、低μでは小さくなる)のに対し、式(1)における演算上のコーナリングパワーKrは一定値であることから、どのような路面μを前提としてコーナリングパワーKrが設定されているかに応じて、後輪操舵制御の効果が得られる路面μの範囲が異なってくる。
大雑把に高低2種の路面μを想定してコーナリングパワーKrを設定した場合を比較すると、高μ路を想定して、コーナリングパワーKrを高μ路での実際値より高く設定した場合には、高μ路で後輪操舵制御による安定化の効果が得られると共に、当然ながら低μ路でも後輪操舵制御の効果が得られる。また、低μ路を想定して、コーナリングパワーKrを低μ路での実際値より高く設定した場合には、低μ路では後輪操舵制御の効果が得られるが、高μ路では後輪操舵制御の効果が得られなくなる。よって、車両旋回時の安定性が損なわれ易い低μ路に限って後輪操舵制御による効果が得られればよい場合には後者の設定を選択し、低μ路のみならず高μ路でも後輪操舵制御による効果を要望する場合には前者を選択する等、車両の運動特性に対する要望に応じてコーナリングパワーKrを設定すればよい。
そして、このように式(1)の後輪コーナリングパワーKrの設定を変更するだけで、前輪横力Ffに対する目標後輪横力tgtFrの設定特性、ひいては旋回時の車両挙動を任意に変更でき、しかも、実際より大きな後輪コーナリングパワーKrを設定すれば、見かけ上の後輪1rのタイヤ性能を向上させて安定した車両挙動を実現することができる。
一方、上式(1)において設定されている2次遅れ伝達関数に基づき、後輪横力Frは前輪横力Ffに対して所定の応答遅れをもって算出される。車両旋回時において前輪横力Ffに対して後輪横力Frは所定の遅れをもって追従する関係にあり、例えば運転者により操舵が開始されたときには、まず前輪横力Ffが増加し、その後に後輪横力Frが増加する。このような前後輪1f,1rの横力の応答性を鑑みて、後輪操舵により後輪横力Frを発生させる場合でも、実際の前輪横力Ffに対する後輪横力Frの応答遅れを模擬する必要があるが、式(1)の2次遅れ伝達関数により、前輪横力Ffに対する後輪横力Frの応答遅れを反映した適切な目標後輪横力tgtFrを算出できるため、ひいては旋回時の車両挙動を一層最適化することができる。
図4は低μ路でレーンチェンジしたときの車両挙動を示した説明図であり、試験条件としては、車速V=100km/h、路面μ=0.5、図中に一点鎖線で示すラインを目標として1.0Hz相当の操舵速度でレーンチェンジしている。破線で示す本発明の制御無し(従来技術に相当)では、目標ラインから大きく外れた後にスピンに至っているのに対し、実線で示す本発明の制御有りでは、目標ラインをほぼ完全にトレースしており、この試験結果から車両挙動の安定化が達成されていることが判る。
また、図5はSin操舵を伴う定速走行と減速走行とのヨーレイト格差をリサージュ波形で示した説明図であり、試験条件としては、1.0Hz相当のSin操舵を前提とし、定速走行では車速V=100km/hでのヨーレイトを計測し、減速走行では車速V=120km/hから減速2sec後の1sec間のヨーレイトを計測している。同一操舵角での比較になるが、本発明の制御無し(特許文献1に相当)では、太破線で示す定速走行と細破線で示す減速走行とのヨーレイト応答特性の差Δγ1が大であるのに対し、本発明の制御有りでは、太実線で示す定速走行と細実線で示す減速走行とのヨーレイト応答特性の差Δγ2が小である。この相違により、加減速等に起因する車両挙動の変動(ヨーレイトの変動)の影響を受け難いという本発明の利点の一つが裏付けられていることが判る。
ところで、上記実施形態では、後輪コーナリングパワーKrを固定値として設定したが、旋回時の車両の挙動を安定化する必要性はその時々の車両の走行状態によって異なり、それに応じて最適な後輪コーナリングパワーKrも変化する。そこで、車両の走行状態に基づいて後輪コーナリングパワーKrを可変してもよい(コーナリングパワー設定手段)。
車両の走行状態の具体例としては車速や前後加速度を挙げることができ、旋回時の車速が高いほど、或いは旋回時の前後加速度が高い(急加速や急減速)ほど、車両挙動は不安定に陥り易い。よって、ECU11の処理において、車速や前後加速度の増加に応じて式(1)の後輪コーナリングパワーKrを増加設定すれば、目標後輪横力tgtFrの増加により見かけ上の後輪1rのタイヤ性能が向上することから、結果として後輪操舵制御が一層きめ細かに実行でき、より確実に車両挙動を安定化することができる。
なお、後輪コーナリングパワーKrを可変するための指標は、上記車速や前後加速度に限ることはない。例えばステアリング6の操舵角速度が大きい急操舵であるほど車両挙動は不安定に陥り易いことから、それに応じて後輪コーナリングパワーKrを増加設定してもよい。
また、上記実施形態では、前輪横力センサ9fにより前輪横力Ffを直接的に検出したが、これに代えて旋回時の車両のヨーレイト及び横加速度から前輪横力Ffを算出してもよい。ヨーレイトや横加速度は、本発明の後輪操舵制御以外にも種々の車両制御に利用されているパラメータであり、これらを検出するヨーレイトセンサや横加速度センサが既に車両に装備されている場合もあるため、既存のセンサからの検出情報を流用して前輪横力Ffを算出することにより、前輪横力センサ9fを省略することができる。なお、元々ヨーレイトセンサや横加速度センサが装備されていない場合には、図1に破線で示すように後輪操舵制御のために両センサ21,22を追加すればよい。
本発明の後輪操舵装置が適用された車両を示す全体構成図である。 後輪操舵制御のためのECUの処理を示す制御ブロック図である。 車両旋回時の前後輪の横力と横滑り角との関係を示す特性図である。 低μ路でレーンチェンジしたときの車両挙動を示した説明図である。 Sin操舵を伴う定速走行と減速走行とのヨーレイト格差をリサージュ波形で示した説明図である。
符号の説明
1a 前輪
1b 後輪
7 操舵アクチュエータ(後輪操舵手段)
9a 前輪横力センサ(前輪横力算出手段)
11 ECU
(目標後輪横力算出手段、後輪操舵制御手段、コーナリングパワー設定手段)

Claims (7)

  1. 車両の後輪を操舵する後輪操舵手段と、
    上記車両の前輪の横力を算出する前輪横力算出手段と、
    上記前輪横力算出手段により算出された前輪横力に基づき目標後輪横力を算出する目標後輪横力算出手段と、
    上記目標後輪横力算出手段により算出された目標後輪横力に基づき上記後輪操舵手段を駆動制御する後輪操舵制御手段と
    を備えたことを特徴とする車両の後輪操舵装置。
  2. 上記目標後輪横力算出手段は、上記車両の前輪横力に対する後輪横力の応答遅れを模擬した2次伝達関数を含む車両の運動方程式に基づき、上記前輪横力から上記目標後輪横力を算出することを特徴とする請求項1記載の車両の後輪操舵装置。
  3. 上記目標後輪横力算出手段は、上記前輪横力及び後輪横力と上記後輪のコーナリングパワーとの関係が設定された車両の運動方程式に基づき、上記前輪横力から上記目標後輪横力を算出することを特徴とする請求項1または2記載の車両の後輪操舵装置。
  4. 上記運動方程式で設定された後輪コーナリングパワーは、実際の後輪のコーナリングパワーより大きな値に設定されたことを特徴とする請求項3記載の車両の後輪操舵装置。
  5. 上記車両の走行状態に基づき上記運動方程式の後輪コーナリングパワーを設定するコーナリングパワー設定手段を備え、
    上記目標後輪横力算出手段は、上記コーナリングパワー設定手段により後輪コーナリングパワーが設定された運動方程式に基づき、上記前輪横力から上記目標後輪横力を算出することを特徴とする請求項3記載の車両の後輪操舵装置。
  6. 上記コーナリングパワー設定手段は、上記車両の車速または前後加速度に基づき上記後輪コーナリングパワーを設定することを特徴とする請求項5記載の車両の後輪操舵装置。
  7. 上記前輪横力算出手段は、旋回時の車両のヨーレイト及び横加速度に基づき上記前輪の横力を算出することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の車両の後輪操舵装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023210535A1 (ja) * 2022-04-28 2023-11-02 三菱自動車工業株式会社 車両の制御装置

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