JP2008238641A - 駆動信号生成装置、液体吐出装置、及び、駆動信号生成方法 - Google Patents

駆動信号生成装置、液体吐出装置、及び、駆動信号生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電流増幅に用いられる電源の切り替えを高速化する。
【解決手段】
駆動信号生成装置は、アナログ信号変換部と、電流増幅部と、電源生成部とを有する。アナログ信号変換部は、デジタルデータをアナログ信号に変換する。電流増幅部は、電流増幅用のトランジスタを有し、アナログ信号の電流を電流増幅用のトランジスタによって増幅することで、駆動信号を生成する。電源生成部は、前記デジタルデータに基づいて定めた電圧の電源であって、電流増幅用のトランジスタに供給される電源を生成する。
【選択図】図7

Description

本発明は、駆動信号生成装置、液体吐出装置、及び、駆動信号生成方法に関する。
制御対象となる素子に駆動信号を印加することで、この素子に所望の動作を行わせるようにした装置がある。例えば、液体吐出装置の一種であるインクジェットプリンタでは、ピエゾ素子に駆動信号を選択的に印加することで、インクを吐出させるべくピエゾ素子を変形させている。
このような駆動信号を生成する駆動信号生成装置は、例えば、所望の電圧変化パターンを有するアナログ信号の電流増幅を行うことで、駆動信号を生成する。トランジスタで電流増幅をする場合には電力の損失が伴う。この電力の損失を低減すべく電源電圧を切り替えるようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。この装置では、生成後の駆動信号の電圧レベルを監視し、この電圧レベルに基づいて電源を切り替えている。
特開2000−218834号公報
この装置では、生成後の駆動信号の電圧レベルを基準にしているので、駆動信号の電圧をデジタル値に変換する等の処理が必要となり、高速な処理には適さないという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電源の切り替えを高速化することにある。
前記目的を達成するための主たる発明は、
(A)デジタルデータをアナログ信号に変換するアナログ信号変換部と、
(B)前記アナログ信号の電流を増幅することで駆動信号を生成する電流増幅部であって、電流増幅用のトランジスタを有する電流増幅部と、
(C)前記電流増幅用のトランジスタに供給される電源を生成する電源生成部であって、前記デジタルデータに基づいて定めた電圧の電源を生成する電源生成部と、
(D)を有する駆動信号生成装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
すなわち、(A)デジタルデータをアナログ信号に変換するアナログ信号変換部と、(B)前記アナログ信号の電流を増幅することで駆動信号を生成する電流増幅部であって、電流増幅用のトランジスタを有する電流増幅部と、(C)前記電流増幅用のトランジスタに供給される電源を生成する電源生成部であって、前記デジタルデータに基づいて定めた電圧の電源を生成する電源生成部と、(D)を有する駆動信号生成装置を実現できることが明らかにされる。
このような駆動信号生成装置によれば、電流増幅用のトランジスタへ供給される電源の電圧を定めるにあたって、駆動信号の基となるデジタルデータが用いられる。このため、駆動信号の電圧を取得する等の処理を行わなくて済み、処理を高速化できる。
かかる駆動信号生成装置であって、前記デジタルデータは、前記駆動信号の電圧を複数ビットで示すものであり、前記電源生成部は、電圧の異なる複数種類の電源を生成する電源生成回路と、前記デジタルデータを構成する一部のビットの内容に基づき、前記複数種類の電源を選択的に供給する電源選択回路と、を有する構成が好ましい。
このような駆動信号生成装置によれば、デジタルデータが複数の用途に用いられるので、制御の容易化が図れる。
かかる駆動信号生成装置であって、前記デジタルデータは、前記ビット毎に受信され、前記電源選択回路のスイッチ回路は、或る電圧の電源の供給を、前記ビットで示された電圧レベルに応じて制御する構成が好ましい。
このような駆動信号生成装置によれば、電圧の異なる複数種類の電源の中から、適当なものを確実に選択できる。
かかる駆動信号生成装置であって、前記デジタルデータは、前記駆動信号の電圧が高いほど、上位ビットで示されるものであり、前記電源選択回路は、前記上位ビットによって、当該上位ビットよりも下位側のビットで供給が制御される電源よりも、高い電圧の電源の供給を制御する構成が好ましい。
このような駆動信号生成装置によれば、高圧側の電圧を指定する際に用いられる上位側のビットほど、高圧側の電源の供給制御を担当することになる。このため、デジタルデータで指定される電圧と、供給される電源との間に相関性を持たせることができ、制御が容易になる。
かかる駆動信号生成装置であって、前記電源選択回路は、前記駆動信号の電圧よりも高い電圧の電源の中から、前記駆動信号の電圧に最も近い電圧の電源を選択する構成が好ましい。
このような駆動信号生成装置によれば、電流増幅用のトランジスタにおける電力損失を効果的に抑えることができる。
かかる駆動信号生成装置であって、前記電流増幅用のトランジスタは、コレクタが前記電源生成部で生成された電源の供給線に接続され、エミッタが前記駆動信号の供給線に接続され、ベースが前記アナログ信号の供給線に接続されたNPN型トランジスタを有する構成が好ましい。
このような駆動信号生成装置によれば、NPN型トランジスタの発熱を抑制できる。
また、次の液体吐出装置を実現できることも明らかにされる。
すなわち、(A)デジタルデータをアナログ信号に変換するアナログ信号変換部と、(B)前記アナログ信号の電流を増幅することで駆動信号を生成する電流増幅部であって、電流増幅用のトランジスタを有する電流増幅部と、(C)前記電流増幅用のトランジスタに供給される電源を生成する電源生成部であって、前記デジタルデータに基づいて定めた電圧の電源を生成する電源生成部と、(D)前記駆動信号の印加によって液体を吐出するヘッドと、(E)を有する液体吐出装置を実現できることも明らかにされる。
また、次の駆動信号生成方法を実現できることも明らかにされる。
すなわち、(A)電圧の異なる複数種類の電源を生成すること、(B)デジタルデータをアナログ信号に変換すること、(C)前記デジタルデータに基づき、前記複数種類の電源の中から対応する電圧の電源を選択し、電流増幅用のトランジスタに供給すること、(D)前記アナログ信号の電流を前記電流増幅用のトランジスタによって増幅することで、駆動信号を生成すること、(E)を行う駆動信号生成方法を実現できることも明らかにされる。
===第1実施形態===
<駆動信号生成装置について>
駆動信号生成装置は、制御対象となる素子に印加される駆動信号を生成するものである。この駆動信号生成装置は、例えば、液体を吐出する液体吐出装置に組み込まれる。この液体吐出装置としては、例えば、印刷装置、カラーフィルタ製造装置、ディスプレイ製造装置、半導体製造装置、及びDNAチップ製造装置がある。このような液体吐出装置には、液体を吐出させるための動作をする素子として、例えばピエゾ素子が設けられている。
本明細書では、駆動信号生成装置が組み込まれた液体吐出装置を例に挙げて説明する。具体的には、印刷装置としてのインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタともいう。)を例に挙げて説明する。
===システム構成===
<印刷システムについて>
図1は、印刷システムの構成を説明するブロック図である。例示した印刷システムは、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有する。プリンタ1は印刷装置に相当し、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する。媒体は、液体が吐出される対象となる対象物であり、例えば用紙である。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に送信する。表示装置120は、液晶ディスプレイ等である。入力装置130は、キーボード等である。記録再生装置140は、フレキシブルディスクドライブ装置等である。
<コンピュータ110について>
コンピュータ110は、ホスト側コントローラ111を有する。ホスト側コントローラ111は、コンピュータ110における各種の制御を行うものである。ホスト側コントローラ111は、インタフェース部112と、CPU113と、メモリ114とを有する。インタフェース部112は、プリンタ1との間でデータの受け渡しを行う。CPU113は、コンピュータ110の全体的な制御を行う。メモリ114は、CPU113が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。そして、CPU113は、メモリ114に格納されているコンピュータプログラムに従って、各種の制御を行う。
印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと、ドット形成データとを有する。コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、給紙を指示するコマンドデータ、搬送量を示すコマンドデータ、排紙を指示するコマンドデータがある。また、ドット形成データは、用紙上に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
<プリンタ1について>
プリンタ1は、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、駆動信号生成回路40、ヘッドユニット50、検出器群SU、プリンタ側コントローラ60、及び、電源部PWSを有する。
用紙搬送機構20は、媒体としての用紙を搬送方向に搬送させる。キャリッジ移動機構30は、ヘッドユニット50を所定方向(例えば紙幅方向)に移動させる。ヘッドユニット50が有するヘッド51は、液体の一種であるインクを用紙に向けて吐出させる。駆動信号生成回路40は、駆動信号COMを生成する。この駆動信号COMは、用紙への印刷時に使用されるものであり、例えば図3に示すように、微振動パルスPS1や吐出パルスPS2〜PS4を含む一連の信号である。なお、駆動信号生成回路40、及び、生成される駆動信号COMについては、後で説明する。
ヘッドユニット50は、ヘッド制御部HCとヘッド51とを有する。図2に示すように、ヘッド51は、ピエゾ素子PZTを有する。ピエゾ素子PZTは、液体を吐出させるための動作をする素子に相当し、ヘッド51が有するノズル(図示せず。)に応じた複数設けられる。例えば、1色のインクに対応して96個〜180個のピエゾ素子PZTが設けられる。このピエゾ素子PZTは、電荷を保持可能な容量性素子の一種であり、充放電に伴って変形する。この変形により、ピエゾ素子PZTは、ヘッド51内の圧力室(図示せず。)に貯留されたインクに圧力変化を生じさせる。この圧力変化によってノズルからインクが吐出される。
ヘッド制御部HCは、駆動信号生成回路40で生成された駆動信号COMの必要部分を、選択的にピエゾ素子PZTへ印加する。このため、ヘッド制御部HCは、駆動信号COMの供給線の途中に、ピエゾ素子PZT毎に設けられた複数のスイッチ52を有する。そして、ヘッド制御部HCは、各スイッチ52を制御することで、駆動信号COMの必要部分を選択的にピエゾ素子PZTへ印加させる。このとき、必要部分の選択の仕方次第で、所望の量のインクをノズルから吐出させることができる。
検出器群SUは、プリンタ1の状況を監視する複数の検出器によって構成される。これらの検出器による検出結果は、プリンタ側コントローラ60に出力される。プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙に画像を印刷させる。なお、プリンタ側コントローラ60については、後で説明をする。
電源部PWSは、駆動信号生成回路40が有する電流増幅用のトランジスタに供給するための電源を生成する。なお、電源部PWSについても、後で説明をする。
===プリンタ1の要部===
<プリンタ側コントローラ60について>
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1における全体的な制御を行う。例えば、プリンタ側コントローラ60は、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、駆動信号生成回路40、及び、ヘッドユニット50を制御する。図1に示すように、プリンタ側コントローラ60は、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、制御ユニット64とを有する。インタフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110との間でデータの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子によって構成される。
CPU62は、メモリ63に記憶されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、制御ユニット64を介して用紙搬送機構20やキャリッジ移動機構30を制御する。また、CPU62は、ヘッド51の動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路40に送信したりする。
駆動信号COMを生成させるための制御信号は、DACデータとも呼ばれ、多ビットのデジタルデータによって構成されている。本実施形態のDACデータは、10ビットのデジタルデータによって構成されている。便宜上、以下の説明では、DACデータの最下位ビットをデータD0ともいい、最上位ビットをデータD9ともいう。このDACデータは、駆動信号生成回路40で生成される駆動信号COMの電圧波形を定めるためのデータである。具体的には、駆動信号生成回路40が有する波形生成回路41(図2を参照。)で生成される電圧波形信号COM´(アナログ信号)の電圧を定めるためのデータである。このDACデータは、駆動信号COMの電圧値を間接的に示すものであり、駆動信号COMの波形を定めるための波形生成情報に相当する。DACデータの内容は、極めて短い更新周期毎に更新される。例えば24MHzのDACクロック(DAC_CLK)で規定される更新周期毎(約0.04μs毎)に更新される。DACデータが電圧値を示すデジタルデータであるため、プリンタ側コントローラ60は、送信するDACデータの内容に基づき、駆動信号COMにおける制御上の電圧を認識できる。このDACデータは、メモリ63の所定領域に記憶されており、駆動信号COMの生成時においてCPU62に読み出される。この場合において、メモリ63の所定領域は、DACデータ記憶部に相当する。
読み出されたDACデータは信号線群WRを通じて送信され、駆動信号生成回路40(具体的には波形生成回路41)で受信される。その際、DACデータは、ビット単位で(ビット毎に)並列的に送受信される。このため、図2に示すように、DACデータ用の信号線群WRは、DACデータの各ビットに対応した10本の信号線によって構成される。すなわち、この信号線群WRは、データD0用の信号線W(D0)からデータD9用の信号線W(D9)によって構成される。
<駆動信号生成回路40について>
駆動信号生成回路40は、駆動信号COMを生成する駆動信号生成部に相当する。図2に示すように、駆動信号生成回路40は、波形生成回路41と電流増幅回路42を有する。波形生成回路41は、DACデータ(波形生成情報)で定められる電圧変化パターンの電圧波形信号COM´を生成する。この電圧波形信号COM´は、駆動信号COMの基となる電圧波形の信号である。波形生成回路41は、デジタルアナログコンバータによって構成され、デジタルデータであるDACデータを、アナログ信号である電圧波形信号COM´に変換する。このため、波形生成回路41は、デジタルデータをアナログ信号に変換するアナログ信号変換部に相当する。
波形生成回路41は、DACデータの入力端子と電圧波形信号COM´の出力端子とを有する。本実施形態において、DACデータの入力端子は、DACデータを送受信するための信号線W(D0)〜信号線W(D9)のそれぞれに対応させて10チャンネル分設けられている。また、電圧波形信号COM´の出力端子は2チャンネル分設けられている。これは、電圧波形信号COM´が電流増幅回路42を構成する2つのトランジスタ43,44で用いられることによる。
本実施形態の波形生成回路41では、図4に示すように、10ビットのDACデータ[0000000001]を受信した場合に0.04Vの電圧波形信号COM´を生成する。そして、DACデータが値[1]大きくなる毎に、約0.037V高い電圧の電圧波形信号COM´を生成する。すなわち、DACデータは、電圧波形信号COM´の電圧が高いほど上位側のビットが用いられ、大きな値に定められる。例えば、DACデータ[0000100000]を受信した場合、波形生成回路41は、1.19Vの電圧波形信号COM´を生成する。また、DACデータ[0010000000]を受信した場合、波形生成回路41は、4.75Vの電圧波形信号COM´を生成する。同様に、DACデータ[1111111111]を受信した場合、波形生成回路41は、38.00Vの電圧波形信号COM´を生成する。
電流増幅回路42は、電流増幅部に相当し、アナログ信号である電圧波形信号COM´についてその電流を増幅し、駆動信号COMとして出力する。この電流増幅回路42は、電流増幅用のトランジスタとして、相補的に接続されたNPN型トランジスタ43とPNP型トランジスタ44とを有する。NPN型トランジスタ43は、駆動信号COMの電圧上昇時(印刷時においてはピエゾ素子PZTの充電時)に動作するトランジスタである。このNPN型トランジスタ43は、コレクタが電源の供給線に接続され、エミッタが駆動信号COMの供給線に接続されている。また、NPN型トランジスタ43のベースは、電圧波形信号COM´の供給線に接続されている。PNP型トランジスタ44は、駆動信号COMの電圧下降時(同じくピエゾ素子PZTの放電時)に動作するトランジスタである。このPNP型トランジスタ44は、エミッタが駆動信号COMの供給線に接続され、コレクタが接地されている。また、PNP型トランジスタ44のベースは、電圧波形信号COM´の供給線に接続されている。
このような構成の電流増幅回路42では、波形生成回路41から出力される電圧波形信号COM´によって各トランジスタ43,44の動作が制御される。その結果、電流増幅回路42から出力される駆動信号COMの電圧は、電流増幅の過程において多少変動されるが、電圧波形信号COM´の電圧に概ね等しくなる。そして、電圧波形信号COM´の電圧は、デジタルデータとしてのDACデータによって指定される。従って、DACデータは、駆動信号COMの電圧を間接的に示す複数ビット(本実施形態では10ビット)のデータともいえる。前述したように、DACデータは、電圧波形信号COM´の電圧が高いほど大きな値に定められる。このため、DACデータは、駆動信号COMの電圧が高いほど大きな値に定められる。便宜上、以下の説明では、DACデータで示される電圧波形信号COM´の電圧のことを指令電圧ともいう。この指令電圧は、制御上用いられる電圧情報に相当する。
<駆動信号COMについて>
ここで、駆動信号COMについて説明する。図3に示すように、駆動信号COMは、繰り返し単位でもある印刷期間Tp毎に繰り返し生成される。この駆動信号COMは、4個の波形部SS1〜SS4によって構成されている。すなわち、この駆動信号COMは、期間Tp1で生成される第1波形部SS1、期間Tp2で生成される第2波形部SS2、期間Tp3で生成される第3波形部SS3、及び、期間Tp4で生成される第4波形部SS4を有する。各波形部SS1〜SS4は、定電圧部と駆動パルスとを有する。定電圧部は基準電圧で一定の部分であり、駆動パルスはピエゾ素子PZTに所定の動作をさせるための電圧変化パターンである。この駆動信号COMにおいて、第1波形部SS1は微振動パルスPS1を有し、第2波形部SS2は第1吐出パルスPS2を有する。第3波形部SS3は第2吐出パルスPS3を有し、第4波形部SS4は第3吐出パルスPS4を有する。微振動パルスPS1、及び、各吐出パルスPS2〜PS4は、いずれも駆動パルスの一種である。微振動パルスPS1は、インクの増粘を防止するための微振動動作をピエゾ素子PZTに行わせる。また、各吐出パルスPS2〜PS4は、ヘッド51が有するノズルから所定量のインクを吐出させるためのインク吐出動作(液体吐出動作に相当する。)を、ピエゾ素子PZTに行わせる。そして、各波形部SS1〜SS4を選択的にピエゾ素子PZTへ印加することにより、異なる量のインクを吐出させたり、インクの増粘抑制動作をさせたりできる。
<電源部PWSについて>
電源部PWSは、電源生成部に相当し、電流増幅用のトランジスタに供給される電源を生成する。そして、このプリンタ1の電源部PWSは、DACデータ(デジタルデータ)に基づいて定めた電圧の電源を生成する点に特徴を有している。
図2に示すように、電源部PWSは、電源生成回路71と電源選択回路72とを有する。電源生成回路71は、電圧の異なる複数種類の電源を生成する。この例では、5V,12V,24V,42Vからなる4種類の電圧の電源を生成する。なお、42Vの電源は2種類生成されている。一方は、電源選択回路72が有するFET73b〜75bのゲート電圧を定めるために用いられ、他方は、電流増幅回路42が有する電流増幅用のトランジスタ(NPN型トランジスタ43)に供給される。すなわち、他方の42Vの電源は電流源となっている。また、5V,12V,24Vの各電源もまた、電流増幅用のトランジスタに供給される電源(電流源)である。
電源選択回路72は、電流源である4種類の電源の中から、対象となる電源を選択する。電源選択回路72で選択された電源は、電流増幅用のトランジスタに供給される。この電源選択回路72では、DACデータを構成する一部のビットの内容、すなわち特定のビットで示される電圧情報に基づき、複数種類の電源を選択する。要するに、DACデータを、電圧指定用の情報の他に、電源選択用の情報としても用いている。例えば、電源選択回路72は、最上位ビットであるデータD9の内容に基づいて42Vの電源を選択する。また、上位側から2番目のビットであるデータD8の内容に基づいて24Vの電源を選択し、3番目のビットであるデータD7の内容に基づいて12Vの電源の供給を選択する。なお、この点については、後で詳しく説明する。
例示した電源選択回路72は、スイッチ回路群と、プルアップ抵抗群と、ダイオード群とを有する。スイッチ回路群は、第1スイッチ回路73と、第2スイッチ回路74と、第3スイッチ回路75とを有する。プルアップ抵抗群は、第1プルアップ抵抗R1と、第2プルアップ抵抗R2と、第3プルアップ抵抗R3とを有する。ダイオード群は、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、第3ダイオードD3とを有する。
<スイッチ回路群について>
スイッチ回路群を構成する各スイッチ回路73〜75は、複数種類の電源に対応して設けられる。この電源部PWSにおいて、各スイッチ回路73〜75は、電流源である4種類の電源のうち、最も低い5Vの電源を除く3つの電源に対応して設けられる。すなわち、第1スイッチ回路73は、2番目に低い12Vの電源に対応して設けられ、第2スイッチ回路74は、3番目に低い24Vの電源に対応して設けられる。また、第3スイッチ回路75は、最も高い42Vの電源に対応して設けられる。そして、各スイッチ回路73〜75は、対応する電源の供給を制御する。
各スイッチ回路73〜75は、第1スイッチング素子としてのトランジスタと、第2スイッチング素子としてのFETとから構成されている。例えば、第1スイッチ回路73は、NPN型トランジスタ73aとPチャネルFET73bとを有する。
第1スイッチ回路73が有するNPN型トランジスタ73aは、そのコレクタが第1プルアップ抵抗R1を介して電源生成回路71に接続されている。具体的には、ゲート電圧用の電源(すなわち、一方の42Vの電源)を供給するための供給端子に接続されている。このNPN型トランジスタ73aのベースは、DACデータ用の信号線群WRを構成する1つの信号線と接続されている。具体的には、データD7用の信号線W(D7)に接続されている。そして、NPN型トランジスタ73aのエミッタは接地されている。従って、このNPN型トランジスタ73aは、DACデータのデータD7がLレベル(値[0])のとき、非接続状態となる。これにより、コレクタの電圧は、ゲート電圧用の電源によって42Vを示す。一方、NPN型トランジスタ73aは、DACデータのデータD7がHレベル(値[1])のとき、接続状態となる。これにより、コレクタの電圧はグランド(0V)を示す。
第1スイッチ回路73が有するPチャネルFET73bは、ソースが12Vの電源を供給するための供給線に接続され、ゲートがNPN型トランジスタ73aのコレクタに接続されている。また、ドレインが電流増幅用のトランジスタ(NPN型トランジスタ43のコレクタ)に接続されている。そして、12Vの電源を供給するための供給線の途中には、第1ダイオードD1が接続されている。この第1ダイオードD1に関し、そのアノードが電源生成回路71側に接続され、そのカソードがPチャネルFET73b側に接続されている。PチャネルFET73bは、ゲート電圧がソース電圧に対して所定バイアス以上低くなると動作する。動作時において、PチャネルFET73bは、ソース−ドレイン間を導通させる。一方、ゲート電圧が動作電圧よりも高い場合、PチャネルFET73bは、ソース−ドレイン間を遮断する。このように、PチャネルFET73bは、ゲート電圧に応じて動作するスイッチとして機能する。従って、動作状態では、電流源である12Vの電源が、電流増幅用のトランジスタに供給されることになる。
なお、他のスイッチ回路も同様の構成である。簡単に説明すると、第2スイッチ回路74が有するNPN型トランジスタ74aは、そのコレクタが第2プルアップ抵抗R2を介して、ゲート電圧用の電源の供給端子に接続されている。そして、このNPN型トランジスタ74aのベースは、データD8用の信号線W(D8)に接続され、エミッタは接地されている。従って、このNPN型トランジスタ74aは、データD8がLレベルのときに非接続状態となり、このデータD8がHレベルのときに接続状態となる。第2スイッチ回路74が有するPチャネルFET74bは、ソースが第2ダイオードD2を介して24Vの電源を供給するための供給線に接続され、ゲートがNPN型トランジスタ74aのコレクタに接続されている。また、ドレインが電流増幅用のトランジスタに接続されている。このPチャネルFET74bもまた、ゲート電圧に応じて動作するスイッチとして機能する。従って、動作状態では、電流源である24Vの電源が、電流増幅用のトランジスタに供給される。
第3スイッチ回路75が有するNPN型トランジスタ75aは、そのコレクタが第3プルアップ抵抗R3を介して、ゲート電圧用の電源の供給端子に接続されている。そして、このNPN型トランジスタ75aのベースは、データD9用の信号線W(D9)に接続され、エミッタは接地されている。従って、このNPN型トランジスタ75aは、データD9がLレベルのときに非接続状態となり、このデータD9がHレベルのときに接続状態となる。第3スイッチ回路75が有するPチャネルFET75bは、ソースが42Vの電源を供給するための供給線に接続され、ゲートがNPN型トランジスタ75aのコレクタに接続されている。また、ドレインが電流増幅用のトランジスタに接続されている。このPチャネルFET75bもまた、ゲート電圧に応じて動作するスイッチとして機能する。従って、動作状態では電流源である42Vの電源が、電流増幅用のトランジスタに供給される。
このように、電源選択回路72は、電圧波形信号COM´(駆動信号COM)の電圧を示すDACデータを利用して電源を選択している。従って、このDACデータは、電圧波形信号COM´の電圧を示す機能と電源を選択する機能を有しているといえる。この構成により、電源を選択するための専用の制御信号を生成しなくても済み、制御の容易化が図れる。
そして、電源選択回路72は、所定の電源に対応付けたスイッチ回路を複数有する。これらのスイッチ回路73〜75は、対応する電源の供給や遮断を制御するものであり、それぞれDACデータにおける異なるビットのデータによって動作が制御される。このように、電源とDACデータの或るビットとを対応付けているため、電圧の異なる複数種類の電源の中から、適当なものを確実に選択できる。
また、電源を選択するに際して、DACデータを構成する或るビットは、或るビットよりも下位側のビットで供給が制御される電源よりも、高い電圧の電源の供給を制御している。言い換えれば、高圧側の電圧を指定する際に用いられる上位側のビットほど、高圧側の電源の供給制御を担当している。これにより、DACデータで指定される電圧と供給される電源との間に相関性を持たせることができるので、制御が容易になる。
<プルアップ抵抗群,ダイオード群について>
プルアップ抵抗群は、各PチャネルFET73b〜75bのゲート電圧を定めるためのものである。すなわち、各プルアップ抵抗R1〜R3は、対応するPチャネルFETの非動作状態において、ゲート電圧を、そのPチャネルFETにおける動作電圧よりも高い電圧に定める。また、対応するPチャネルFETの動作状態では、ゲート電圧を、そのPチャネルFETにおける動作電圧以下に定める。このため、各プルアップ抵抗R1〜R3の抵抗値は、所望のスイッチング動作が行われるように定められる。簡単に説明すると、第1スイッチ回路73に対応する第1プルアップ抵抗R1は、データD8及びデータD9がLレベルであってデータD7がHレベルの場合に、第1スイッチ回路73のPチャネルFET73bを動作状態にさせる抵抗値に定められる。第2スイッチ回路74に対応する第2プルアップ抵抗R2は、データD9がLレベルであってデータD8がHレベルの場合に、第2スイッチ回路74のPチャネルFET74bを動作状態にさせる抵抗値に定められる。第3スイッチ回路75に対応する第3プルアップ抵抗R3は、データD9がHレベルの場合に、第3スイッチ回路75のPチャネルFET75bを動作状態にさせる抵抗値に定められる。
ダイオード群は、電流が逆方向に流れることを防止する。この電源部PWSでは、DACデータの上位側ビット(データD7〜データD9)を、電源を選択するための信号として使用している。このため、DACデータによっては、2以上のPチャネルFETが動作状態になることもある。このとき、高圧側の電源から低圧側の電源に向かって電流が流れ込むことを阻止する必要がある。ダイオード群の各ダイオードD1〜D3は、このような逆方向の電流を阻止するために用いられる。すなわち、第1ダイオードD1は、12Vの電源について逆方向の電流を阻止する。また、第2ダイオードD2は24Vの電源について逆方向の電流を阻止し、第3ダイオードD3は5Vの電源について逆方向の電流を阻止する。
<電源部PWSの動作について>
次に、電源部PWSの動作について説明する。DACデータの最上位ビットであるデータD9は、図4に示すように、指令電圧(DACデータで示される電圧波形信号COM´の電圧)が19.46Vになるタイミングで値[0]から値[1]へ切り替わる。その後、データD9は、指令電圧が38.00Vに達するまで、値[1]を維持する。従って、図5に示すように、データD9の電圧レベルは、指令電圧が19.46Vに達するまでLレベルである。そして、指令電圧が19.46V以上になるとHレベルになる。上位から2番目のビットであるデータD8は、図4に示すように、指令電圧が9.51Vになるタイミングで値[0]から値[1]へ切り替わり、指令電圧が19.46Vに達する直前まで値[1]を維持する。指令電圧が19.46Vに達すると、データD8は値[0]に戻る。その後、指令電圧の上昇に伴って、値[1]に切り替わる。具体的には、DACデータとして[1100000000]から[1111111111]までのものが受信された場合に、データD8は値[1]に切り替わる。上位から3番目のビットであるデータD7は、図4に示すように、指令電圧が4.75Vになるタイミングで値[0]から値[1]へ切り替わり、指令電圧が9.51Vに達する直前まで値[1]を維持する。指令電圧が9.51Vに達すると、データD7は値[0]に戻り、指令電圧の上昇に伴って、値[1]に切り替わる。この点については、データD8と同様であるので、具体的な説明は省略する。
これらのデータD7〜データD9は、各スイッチ回路の動作を制御する制御信号として機能する。言い換えれば、対応する電源の供給を制御する制御信号として機能する。例えば、図6に示すように、指令電圧が4.75V未満のとき、電流増幅用のトランジスタには、5Vの電源が供給される。指令電圧が4.75V以上9.51V未満のとき、データD7がHレベルになる。このため、第1スイッチ回路73のPチャネルFET73bが接続状態になる。これに伴い、12Vの電源が電流増幅用のトランジスタに供給される。ここで、5Vの電源を供給するための供給線の途中には、第3ダイオードD3が接続されている。このため、12Vの電源が供給されても、電源生成回路71側への電流の流れ込みは阻止される。
指令電圧が9.51V以上19.46V未満のとき、データD8がHレベルになる。このため、第2スイッチ回路74のPチャネルFET74bが接続状態になる。これに伴い、24Vの電源が電流増幅用のトランジスタに供給される。このとき、第1ダイオードD1と第3ダイオードD3によって、電源生成回路71への電流の流れ込みが阻止される。指令電圧が19.46V以上のとき、データD9がHレベルになる。このため、第3スイッチ回路75のPチャネルFET75bが接続状態になる。これに伴い、42Vの電源が電流増幅用のトランジスタに供給される。このとき、第1ダイオードD1から第3ダイオードD3のそれぞれによって、電源生成回路71への電流の流れ込みが阻止される。
以上の説明から判るように、電源選択回路72は、電圧波形信号COM´の電圧(言い換えれば、駆動信号COMの電圧)よりも高い電圧の電源の中から、駆動信号COMの電圧に最も近い電圧の電源を選択しているといえる。
<動作の具体例について>
次に、具体例に基づいて、電流源である電源と電流増幅用のトランジスタとの関係について説明する。図7は、電圧波形信号COM´、駆動信号COM、及び、供給される電源の関係を示している。この図7において、横軸は時間であり、縦軸は電圧である。そして、電圧値とともに示す実線は供給される電源を示す。また、符号COM´で示す一点鎖線は電圧波形信号COM´(アナログ信号)を示し、符号COMで示す実線は駆動信号COMを示す。
この具体例において、電圧波形信号COM´は、タイミングt0からタイミングt1に亘って1.5Vに調整される。そして、タイミングt1からタイミングt5に亘って一定度合いで電圧を上昇させる。これにより、電圧波形信号COM´は、タイミングt5で35Vに達し、タイミングt5以降は35Vに調整される。駆動信号COMは、電流増幅用のNPN型トランジスタ43の電圧降下分だけ、低い電圧に調整されている。この具体例において、駆動信号COMの電圧は、電圧波形信号COM´よりも約0.6V低い電圧に調整される。
タイミングt0からタイミングt1までの期間に亘って、電圧波形信号COM´の電圧は1.5Vで一定である。この期間において、DACデータにおけるデータD7〜データD9は、何れも値[0]となる。このため、第1スイッチ回路73から第3スイッチ回路75のそれぞれは、電源を遮断した状態になる。その結果、NPN型トランジスタ43のコレクタには、5Vの電源が供給される。また、この期間において、電圧波形信号COM´は一定電圧であるため、NPN型トランジスタ43は動作しない。
タイミングt1を過ぎると、電圧波形信号COM´の電圧が一定度合いで上昇する。これに伴い、NPN型トランジスタ43が動作する。すなわち、電圧波形信号COM´の電圧上昇にあわせて、駆動信号COMの電圧が同じ度合いで上昇されるように、ピエゾ素子PZT側に向けて電流を流す。このため、NPN型のトランジスタにコレクタ損失が生じる。このコレクタ損失は、電源と駆動信号COMの電圧差に、コレクタ電流(即ち、ピエゾ素子PZTの充電時に流れる電流)を乗じることで求められる。この具体例では、 タイミングt2に達するまでの期間において、電源の電圧が5Vである。このため、コレクタ損失は、電源電圧(5V)と駆動信号COMの電圧との差(ハッチングで示す電圧差)に、ピエゾ素子PZT側へ流れ込む電流量を乗じることで求められる。
タイミングt2では、電圧波形信号COM´の電圧が4.75Vになる。言い換えれば、DACデータにおけるデータD7が値[1]になる。このため、NPN型トランジスタ43のコレクタには、12Vの電源が供給される。これに伴い、コレクタ損失は、電源電圧である12Vに基づく電圧差に、ピエゾ素子PZT側へ流れ込む電流量を乗じることで得られる。
以後は、同様にして電源が切り替わる。タイミングt3では、電圧波形信号COM´の電圧が9.51Vになり、データD8が値[1]になる。このため、NPN型トランジスタ43のコレクタには、24Vの電源が供給される。また、タイミングt4では、電圧波形信号COM´の電圧が19.46Vになり、データD9が値[1]になる。このため、NPN型トランジスタ43のコレクタには、42Vの電源が供給される。
このような制御が行われることにより、タイミングt1からタイミングt5までの期間に亘って、駆動信号COMの電圧が上昇する。その際、NPN型トランジスタ43のコレクタに供給される電源は、駆動信号COMの電圧よりも高い電圧の電源の中から、駆動信号COMの電圧に最も近い電圧の電源が選択される。この具体例では、タイミングt1からタイミングt2までの期間では、5Vの電源が選択され、タイミングt2からタイミングt3までの期間では、12Vの電源が選択されている。同様に、タイミングt3からタイミングt4までの期間では、24Vの電源が選択され、タイミングt4以降の期間では、42Vの電源が選択されている。これにより、駆動信号COMの電圧上昇時において、NPN型トランジスタ43のコレクタ−エミッタ間の電圧差を小さくでき、コレクタ損失を抑制できる。その結果、電流増幅回路42における消費電力を低減できる。すなわち、NPN型トランジスタ43の過度な発熱を抑制することができる。
このとき、電源の選択は、DACデータの一部のビット(上位から3ビット)を用いて行われる。このようにDACデータが制御信号として用いられるので、駆動信号COMの電圧に基づいて制御信号を生成するなどの処理を行わずに済み、処理の高速化が図れる。また、専用の制御信号を生成しなくても済むため、構成の簡素化も図れる。
なお、以上は、図7の駆動信号COMを例に挙げて説明したが、印刷動作で使用される駆動信号COMは、例えば図3に示す電圧の変化パターンを有する。このような電圧変化パターンの駆動信号COMであっても同様の作用効果を奏する。
<まとめ>
以上説明したように、このプリンタ1では、アナログ信号変換部としての波形生成回路41と、電流増幅部としての電流増幅回路42と、電源生成部としての電源部PWSとを有する。そして、波形生成回路41は、デジタルデータとしてのDACデータを、アナログ信号としての電圧波形信号COM´に変換する。電流増幅回路42は、電流増幅用のトランジスタとしてのトランジスタ対を用い、電圧波形信号COM´の電流を増幅して駆動信号COMの生成を行う。そして、生成した駆動信号COMを出力する。電源部PWSは、電流増幅用のトランジスタへ供給される電源を生成する。その際、駆動信号COMの基となるDACデータを用いて、トランジスタ対(詳しくはNPN型トランジスタ43)に供給される電源の電圧を定める。これにより、駆動信号COMから電圧値を取得する等の処理を行わなくて済み、処理を高速化できる。
また、このプリンタ1において、DACデータは、電圧波形信号COM´(駆動信号COM)の電圧を10ビットで示すものとされる。また、電源部PWSは、電圧の異なる複数種類の電源を生成する電源生成回路71と、DACデータを構成する一部のビットの内容に基づいて、複数種類の電源を選択的に供給する電源選択回路72とを有する。このように、DACデータを、電源を選択するための情報としても用いているので、制御の容易化が図れる。また、DACデータに応じた適当な電源を選択することもできる。
そして、電源選択回路72は、電圧波形信号COM´の電圧(言い換えれば、駆動信号COMの電圧)よりも高い電圧の電源の中から、駆動信号COMの電圧に最も近い電圧の電源を選択しているため、電流増幅用のトランジスタ(NPN型トランジスタ43)における電力損失を効果的に抑えることができる。
===その他の実施形態===
前述した実施形態は、プリンタ1を有する印刷システムについて記載されているが、その中には、駆動信号COMの生成方法や電源部PWSの制御方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
<電流増幅部について>
前述した実施形態では、電流増幅部として、NPN型トランジスタやPNP型トランジスタを有する電流増幅回路42を例示した。電流増幅部は、電流増幅用のトランジスタを有する構成であれば、電流増幅回路42の構成に限定されない。
<他の装置について>
前述した各実施形態におけるプリンタ1は、ヘッド51をキャリッジ移動方向に往復移動させて印刷を行う形式のものであったが、この構成に限定されない。例えば、媒体の幅方向に亘って複数のノズルを配置したラインヘッドを有するラインヘッドプリンタ1であってもよい。
また、駆動信号COMによって駆動される素子を有する装置であれば、プリンタ1(液体吐出装置)に限定されるものではない。例えば、この素子を利用したマイクロポンプ、発音体(スピーカ等)、マイクロアクチュエータについても適用できる。
印刷システムの構成を説明するブロック図である。 電源部や駆動信号生成回路等を説明するブロック図である。 駆動信号を説明するための図である。 DACデータを説明するための図である。 DACデータにおける上位側ビットとDACデータで指定される電圧との関係を説明する図である。 電源電圧とDACデータで指定される電圧との関係を説明する図である。 駆動信号生成時における具体例を説明する図である。
符号の説明
1 プリンタ,20 用紙搬送機構,30 キャリッジ移動機構,
40 駆動信号生成回路,41 波形生成回路,42 電流増幅回路,
43 NPN型トランジスタ,44 PNP型トランジスタ,
50 ヘッドユニット,51 ヘッド,52 スイッチ,
60 プリンタ側コントローラ,61 インタフェース部,
62 CPU,63 メモリ,64 制御ユニット,
71 電源生成回路,72 電源選択回路,73 第1スイッチ回路,
74 第2スイッチ回路,75 第3スイッチ回路,
110 コンピュータ,111 ホスト側コントローラ,
112 インタフェース部,113 CPU,114 メモリ,
120 表示装置,130 入力装置,140 記録再生装置,
SU 検出器群,PWS 電源部,R1 第1プルアップ抵抗,
R2 第2プルアップ抵抗,R3 第3プルアップ抵抗,
D1 第1ダイオード,D2 第2ダイオード,
D3 第3ダイオード,HC ヘッド制御部,PZT ピエゾ素子,
COM´ 電圧波形信号,COM 駆動信号

Claims (8)

  1. (A)デジタルデータをアナログ信号に変換するアナログ信号変換部と、
    (B)前記アナログ信号の電流を増幅することで駆動信号を生成する電流増幅部であって、電流増幅用のトランジスタを有する電流増幅部と、
    (C)前記電流増幅用のトランジスタに供給される電源を生成する電源生成部であって、前記デジタルデータに基づいて定めた電圧の電源を生成する電源生成部と、
    (D)を有する駆動信号生成装置。
  2. 請求項1に記載の駆動信号生成装置であって、
    前記デジタルデータは、
    前記駆動信号の電圧を複数ビットで示すものであり、
    前記電源生成部は、
    電圧の異なる複数種類の電源を生成する電源生成回路と、
    前記デジタルデータを構成する一部のビットの内容に基づき、前記複数種類の電源を選択的に供給する電源選択回路と、
    を有する駆動信号生成装置。
  3. 請求項2に記載の駆動信号生成装置であって、
    前記デジタルデータは、
    前記ビット毎に受信され、
    前記電源選択回路のスイッチ回路は、
    或る電圧の電源の供給を、前記ビットで示された電圧レベルに応じて制御する、駆動信号生成装置。
  4. 請求項3に記載の駆動信号生成装置であって、
    前記デジタルデータは、
    前記駆動信号の電圧が高いほど、上位ビットで示されるものであり、
    前記電源選択回路は、
    前記上位ビットによって、当該上位ビットよりも下位側のビットで供給が制御される電源よりも、高い電圧の電源の供給を制御する、駆動信号生成装置。
  5. 請求項2から請求項4の何れかに記載の駆動信号生成装置であって、
    前記電源選択回路は、
    前記駆動信号の電圧よりも高い電圧の電源の中から、前記駆動信号の電圧に最も近い電圧の電源を選択する、駆動信号生成装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れかに記載の駆動信号生成装置であって、
    前記電流増幅用のトランジスタは、
    コレクタが前記電源生成部で生成された電源の供給線に接続され、エミッタが前記駆動信号の供給線に接続され、ベースが前記アナログ信号の供給線に接続されたNPN型トランジスタを有する、駆動信号生成装置。
  7. (A)デジタルデータをアナログ信号に変換するアナログ信号変換部と、
    (B)前記アナログ信号の電流を増幅することで駆動信号を生成する電流増幅部であって、電流増幅用のトランジスタを有する電流増幅部と、
    (C)前記電流増幅用のトランジスタに供給される電源を生成する電源生成部であって、前記デジタルデータに基づいて定めた電圧の電源を生成する電源生成部と、
    (D)前記駆動信号の印加によって液体を吐出するヘッドと、
    (E)を有する液体吐出装置。
  8. (A)電圧の異なる複数種類の電源を生成すること、
    (B)デジタルデータをアナログ信号に変換すること、
    (C)前記デジタルデータに基づき、前記複数種類の電源の中から対応する電圧の電源を選択し、電流増幅用のトランジスタに供給すること、
    (D)前記アナログ信号の電流を前記電流増幅用のトランジスタによって増幅することで、駆動信号を生成すること、
    (E)を行う駆動信号生成方法。
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