JP2008238161A - 触媒の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い反応活性、選択性及び強度を有し、かつ短時間で製造し得る(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸製造用触媒の製造方法、及び該製造方法により得られる触媒を用いる(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール及びメチル−t−ブチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を気相にて分子状酸素により酸化して(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を製造する際に用いられ、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む触媒の製造方法であって、触媒前駆体粉末、水及びバインダー成分を含む混合物を成型することにより触媒前駆体成型品を作製し、該触媒前駆体成型品を赤外線を熱源とする乾燥機内で乾燥し、次いで焼成することを特徴とする触媒の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール及びメチル−t−ブチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を気相にて分子状酸素により酸化して(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を製造する際に用いられ、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む触媒の製造方法であって、触媒前駆体粉末、水及びバインダー成分を含む混合物を成型することにより触媒前駆体成型品を作製し、該触媒前駆体成型品を赤外線を熱源とする乾燥機内で乾燥し、次いで焼成することを特徴とする触媒の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール等を気相にて分子状酸素により酸化して(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を製造するために用いられる触媒の製造方法に関する。
プロピレン、イソブチレンまたはt−ブチルアルコール等を気相にて、触媒の存在下で分子状酸素により酸化することにより、対応する(メタ)アクロレインや(メタ)アクリル酸を製造する方法は広く知られている。触媒としてはモリブデン及びビスマスを含むものが知られており、該触媒を製造する方法についても数多く提案されている。
例えば、触媒成分を含む混合溶液または水性スラリーから得られる触媒前駆体粉末を成型することにより得た触媒前駆体成型品を、連続式乾燥機により乾燥し、次いで焼成する触媒の製造方法が提案されている(特許文献1)。該製造方法で得られる触媒は、高い反応活性および選択性を有し、かつ工業スケールにおいて均質性に優れるものである。
触媒の特性としては、高い反応活性および選択性のほか、機械的強度が高いことが望まれている。また、触媒の製造方法においては、短時間で製造できる方法が望まれている。
本発明は、高い反応活性、選択性及び強度を有し、かつ短時間で製造し得る(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸製造用触媒の製造方法、及び該製造方法により得られる触媒を用いる(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述のような現状に鑑み鋭意研究を重ねた結果、下記の(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸製造用触媒の製造方法により、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール及びメチル−t−ブチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を気相にて分子状酸素により酸化して(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を製造する際に用いられ、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む触媒の製造方法であって、触媒前駆体粉末、水及びバインダー成分を含む混合物を成型することにより触媒前駆体成型品を作製し、該触媒前駆体成型品を赤外線を熱源とする乾燥機内で乾燥し、次いで焼成することを特徴とする触媒の製造方法、に関する。
本発明の製造方法によると、高い反応活性、選択性及び強度を有し、工業スケールにおいて均質で再現性良く、かつ短時間で(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸製造用触媒を得ることができる。特に、本発明の製造方法は、(メタ)アクロレイン製造用触媒の製造に好適であり、該(メタ)アクロレイン製造用触媒を用いると非常に高い反応活性および選択性で(メタ)アクロレインを製造することができる。
本発明において、前記触媒前駆体成型品は、水およびバインダー成分を含有することが必要である。触媒前駆体成型品を得る成型工程において、水およびバインダー成分を成型助剤として使用することにより、混練や押出し成型を良好に行うことができ、均質で再現性良く成型品を得ることができる。
また、前記触媒前駆体成型品は、赤外線を熱源とする乾燥機内で乾燥することが必要である。触媒前駆体成型品の乾燥工程における乾燥条件は非常に重要である。乾燥を速やかに終了さるためには乾燥温度は高い方がよいが、従来から用いられている電気ヒーターを熱源とする乾燥機を用いて高温で乾燥を行うと、触媒表面に亀裂が発生したり、触媒の強度が低下する傾向にある。その理由は明らかではないが、触媒前駆体成型品の水分の乾燥速度が表面と内部で大きく異なることが原因であると考えられる。本発明のように、赤外線を熱源として用いることにより、触媒前駆体成型品の表面及び内部の水分を均一に蒸発させることが可能であり、それにより表面に亀裂のない高強度の触媒を製造することができる。また、赤外線を用いることにより、乾燥温度を高くしなくても乾燥時間を大幅に短縮することができる。
本発明においては、調温した加湿空気を供給することにより相対湿度20%以上に調整した乾燥機内にて、前記触媒前駆体成型品の表面温度を20〜50℃に調整しながら、該触媒前駆体成型品に表面温度50〜200℃の赤外線ヒーターから放射される赤外線を照射することにより乾燥することが好ましい。触媒前駆体成型品の乾燥速度は、触媒の活性及び生成物の選択性の観点から重要である。乾燥時における触媒前駆体成型品の表面温度が50℃を超える場合には、触媒の活性や生成物の選択性が低下したり、表面に亀裂が生じて強度が低下しやすくなる。一方、触媒前駆体成型品の表面温度が20℃未満の場合には、乾燥時間が長くなるため製造効率が低下する。触媒前駆体成型品の表面温度は、赤外線ヒーターの表面温度を調整することにより20〜50℃に調整することができる。また、乾燥機内に調温した加湿空気を供給することにより触媒活性を調整することができる。乾燥機内の相対湿度が20%未満の場合には、触媒の強度が低下したり、触媒活性を目的の範囲に調整しにくくなる。
また、本発明においては、調温した加湿空気を風速0.02〜10m/secで供給することにより、前記触媒前駆体成型品の表面温度を20〜50℃に調整することが好ましい。赤外線ヒーターの温度を上げることにより赤外線の波長が短くなり、水の吸収波長に近づくため効率的に乾燥を行うことができるが、赤外線ヒーターの温度を高くすると触媒前駆体成型品の温度も上昇して触媒の活性及び生成物の選択性が低下する傾向にある。前記風速で調温した加湿空気を供給することにより、触媒前駆体成型品の表面温度を20〜50℃に調整しやすくなる。
本発明の(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸の製造方法は、前記方法により製造された触媒の存在下で、プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール及びメチル−t−ブチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を気相にて分子状酸素により酸化することを特徴とする。かかる製造方法により、高活性かつ高収率にて(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を製造することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において製造する触媒は、少なくともモリブデン、ビスマス及び鉄を含むものであり、例えば、一般式、MoaWbBicFedAeBfCgDhOx(式中、Moはモリブデン、Wはタングステン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはニッケルおよびコバルトからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Cはリン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガンおよび亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Dはシリコン、アルミニウム、チタニウムおよびジルコニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素およびOは酸素を表す。また、a、b、c、d、e、f、g、hおよびxはそれぞれMo、W、Bi、Fe、A、B、C、DおよびOの原子数を表し、a=12と固定したとき、b=0〜10、c=0.1〜10、d=0.1〜20、e=2〜20、f=0〜10、g=0〜4、h=0〜30およびxは各々の元素の酸化状態により定まる数値をとる。)で示される触媒が挙げられる。
本発明における触媒の製造方法の1例を説明する。まず、水溶液に触媒成分を混合し、沈殿を析出させ、水性スラリーとする。この水性スラリーを乾燥することにより、触媒前駆体粉末が得られる(前駆体粉末製造工程)。触媒前駆体粉末に少なくとも水及びバインダー成分を添加して混合物を調製し、これを所定形状の触媒前駆体成型品に成型する(成型工程)。
その後、触媒前駆体成型品を、赤外線を熱源とする乾燥機内で乾燥し(乾燥工程)、乾燥した触媒前駆体成型品を焼成することにより(焼成工程)、触媒を製造する。
触媒調製に用いる原料としては、各元素の酸化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、アンモニウム塩、ハロゲン化物等を組み合わせて使用することができる。具体的には、モリブデン原料として三酸化モリブデン、モリブデン酸、パラモリブデン酸アンモニウム等が、ビスマス原料として酸化ビスマス、硝酸ビスマス、硫酸ビスマス等が、鉄原料として硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)等が、アンチモン原料として酸化アンチモン(III)、塩化アンチモン(III)等が挙げられる。
触媒前駆体粉末の製造工程において、触媒成分を含む混合溶液又は水性スラリーを乾燥して触媒前駆体粉末を得る方法は特に限定されるものではなく、成分の著しい偏在を伴わない限り従来から公知である方法が使用でき、具体的にはニーダーによる蒸発乾固法、箱型乾燥機、ドラム型通気乾燥装置、スプレードライヤー、気流乾燥機等の公知の乾燥装置を使用した乾燥方法を用いることができる。
成型工程においては、触媒前駆体粉末に少なくとも水およびバインダー成分を添加して触媒前駆体成型品に成型する。バインダー成分としては、例えば、澱粉、可溶性澱粉、α化澱粉、デキストリン、及びアルギン酸などの天然物;Na−カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの半合成物;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、及びポリエチレン酸化物などの合成物が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、特にメチルセルロース(信越化学社製、メトローズSM−4000)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製、メトローズ64SH−400)を用いることが好ましい。
水の添加量は、触媒前駆体粉末100重量部に対して25〜45重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜40重量部である。水の添加量が前記範囲外の場合には押出し成型により触媒前駆体成型品を作製し難くなる。
バインダー成分の添加量は、触媒前駆体粉末100重量部に対して1〜8重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜6重量部である。バインダー成分の添加量が1重量部未満の場合には押出し成型により触媒前駆体成型品を作製し難くなり、8重量部を超える場合には触媒の転化率が低下しやすくなる。
成型方法としては、押出し成型が例示される。成型品の形状は目的に応じて適宜選定され特に限定されないが、例えば、リング状、ペレット状又は球状等である。成型に際しては、触媒の強度を高めるためにセラミックファイバーやグラスファイバー等の無機繊維を補強材として加えてもよい。
本発明の乾燥工程においては、触媒前駆体成型品を赤外線を熱源とする乾燥機内で乾燥する。
赤外線は光エネルギーにより分子間に強制振動を発生させて、それを熱エネルギーに変換する性質を有する。そのため、熱伝導に要する時間が不要であり、従来の電気ヒーターを熱源とする乾燥機に比べて格段に乾燥時間を短縮することができる。また、使用する赤外線の波長は特に制限されないが、水は3μm付近と6μm付近に赤外線の吸収ピークを有するため、該吸収ピークに合致する波長の赤外線を使用することが好ましい。それにより乾燥時間をより短縮することができる。
乾燥方法としては、箱型乾燥機に代表される回分式静置乾燥方式と連続式乾燥方式があり、本発明においてはどちらの方式を採用してもよい。実験室スケールの製造では前者が採用されることが多いが、工業スケールの製造で使用するには以下の問題点がある。回分式静置乾燥方式では、乾燥一回分の触媒前駆体成型品を製造し、該成型品を金網やパンチングプレートや金属板等の上に積載して一度に乾燥機に入れて乾燥する。かかる回分式静置乾燥方式によれば、工業スケールの製造では通常一回分の成型品の製造に数時間から数十時間必要である。成型品製造の初期に製造された成型品は、乾燥機に入るまでに数時間から数十時間かかるのに対して、成型後に直ちに乾燥機に入る成型品も存在することになる。即ち、連続成型法により成型品を製造し、乾燥まで保管すると、成型品保管雰囲気条件での乾燥が進行することになり、乾燥履歴が大きく違う成型品が共存することになるという問題が生じる。また、工業スケールでの回分式静置乾燥方式では、乾燥機内の風速分布や温度分布や湿度分布によっても、成型品の乾燥履歴に差が生じるという問題も生じる。したがって、工業スケールの製造では、連続式乾燥機を使用することが好ましい。それにより乾燥履歴を均一化することができ、工業スケールにおいて均一な性能の触媒を再現性良く製造することができる。
乾燥工程は、調温した加湿空気を供給することにより相対湿度20%以上に調整した乾燥機内にて、前記触媒前駆体成型品の表面温度を20〜50℃に調整しながら、該触媒前駆体成型品に表面温度50〜200℃の赤外線ヒーターから放射される赤外線を照射することにより行うことが好ましい。触媒前駆体成型品の表面温度は、乾燥を速やかに終了させるために30〜50℃に調整することがより好ましい。また、赤外線ヒーターの表面温度は、触媒前駆体成型品の温度上昇による触媒の活性及び生成物の選択性の低下を抑制するために50〜100℃であることがより好ましい。
乾燥工程における相対湿度は、触媒の活性と生成物の選択性に大きな影響を及ぼす因子であって、低すぎると触媒性能を損ねる。そのため、相対湿度は20%以上に調整することが好ましく、より好ましくは40%以上である。一方、相対湿度が高すぎると乾燥速度が低下するため、70%以下であることが好ましい。
触媒前駆体成型品の表面温度、及び乾燥機内の相対湿度を前記範囲内に調整する方法としては、調温した加湿空気を乾燥機内に供給する方法が挙げられる。加湿空気は風速0.02〜10m/secで乾燥機内に供給することが好ましく、より好ましくは0.5〜3m/secである。また、加湿空気の温度は触媒前駆体成型品の表面温度を20〜50℃に調整できれば特に制限されないが、通常10〜40℃であり、好ましくは30〜40℃である。また、加湿空気の湿度は前記乾燥機内の相対湿度を考慮して適宜調整する。
上記範囲の乾燥雰囲気において、乾燥時間が長くなりすぎると生産効率が悪くなるため実用的でない。従って、乾燥時間は0. 5〜3時間であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5時間である。ここでいう触媒前駆体成型品の乾燥とは乾燥品の残存水分が必ずしも0(ゼロ)なることを意味しているわけでなく、乾燥前の状態より水分が減少し、触媒前駆体成型品の強度が高くなれば足りることを意味する。乾燥後の触媒前駆体成型品の水分濃度は、7重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5重量%以下である。
乾燥工程において使用する連続式乾燥機は特に限定されるものではないが、バンド乾燥機に代表される材料移送型や回転乾燥機に代表される材料攪拌型や気流乾燥機に代表される熱風搬送型等があり、いずれも使用可能である。本発明の触媒前駆体成型品は、水及びバインダー成分を含んでおり、比較的強度が弱いため、形状破壊を防止するために材料移送型又は熱風搬送型の乾燥機を用いることが好ましい。触媒前駆体成型品を金網やパンチングプレートや金属板等の上に積載して乾燥機内を移送することで、形状破壊を防止し、均一な乾燥履歴とすることができる。
乾燥工程において、乾燥時の雰囲気ガスの種類に特に限定はなく、通常空気を使用するが、窒素等の不活性ガスを用いることもできる。
乾燥後の触媒前駆体成型品は、次いで焼成することにより反応管に適用する最終的な触媒が得られる。焼成は通常、約350〜700℃の範囲で約1〜40時間保持して行われる。
本発明の(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸の製造方法における気相接触酸化反応は、前記製造方法により得た触媒を用いることを特徴とし、その他の構成は従来公知の方法で行うことができる。本発明の(メタ)アクロレイン等の製造方法は、固定床、移動床、流動床等いずれの反応形式でも実施できる。
本発明の方法で用いられる原料ガスは主にプロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール、メチル−t−ブチルエーテル又はそれらの混合物(以下、反応ガスという)と酸素であるが、不活性ガスなどで希釈することができる。不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気、さらにメタン、エタン、プロパン及びブタンなどの軽アルカンも使用できる。
本発明の方法で用いられる酸素の供給源は特に制限はないが、通常、純酸素、酸素富化空気、空気などが用いられる。原料ガス中の反応ガス対酸素のモル比に制限はないが、酸素モル比が小さすぎると反応が酸素供給律速となり反応速度が遅く、単位触媒当たりの生産性が悪くなる。逆に酸素モル比が大きくなると(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリル酸以外の酸化副生物が多くなり、選択率が低下してくる。さらに、燃焼範囲に入り安全上問題になる場合もある。そのため原料ガス中の反応ガス対酸素のモル比は、通常約1:0.05〜1である。
本発明の方法で用いられる原料ガス中の反応ガスの濃度も制限はないが、濃度が低すぎると反応速度が遅く、単位触媒当たりの生産性が悪くなる。そのため原料ガス中の反応ガスの濃度は、通常約10〜95容量%である。
反応温度は反応ガスの濃度、原料ガス中のモル比、接触時間により異なるが、通常、約200℃〜700℃、好ましくは約250℃〜600℃である。反応圧力は、通常、約1〜50bar、好ましくは約1〜3barである。
以下に実施例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[測定、評価方法]
(恒率乾燥速度)
恒率乾燥速度は温度、湿度及び風速から下記式により算出する(化学工学通論I、P218〜219参照)。
k=h/CH=10.6G0.8/CH=0.054(((1+H)/VH)×u×3600)0.8/CH
より、k=f(u)
また、Hw−H=f(t,ψ)
よって、Rc=f(u,t,ψ)
Rc:恒率乾燥速度[kg−水/hr・m2]
k:境膜物質移動係数[kg−drygas/hr・m2]
Hw:飽和湿度[kg−水蒸気/kg−drygas]
H:湿り空気の湿度[kg−水蒸気/kg−drygas]
h:境膜伝熱係数[kJ/hr・m2・k]
CH:湿り空気の比熱[kJ/kg−drygas・k]
G:湿り空気の質量速度[kg/hr・m2]
VH:湿り空気の比容[m3/kg−drygas]
u:風速[m/sec]
Hw=0.621×(ps/PT−ps)
log(ps)=7.2117−(1740.27/(t+234.3291))
H=0.621×(p/PT−p)
p=ψ×ps/100
CH=1.02×1.89H
VH=22.4((1/29)+(H/18))×(273+t)/273
ps:飽和水蒸気圧[kPa]
p:水蒸気分圧[kPa]
PT:全圧[kPa]
t:湿り空気の温度[℃]
ψ:関係湿度[%RH]=(p/ps)×100
Rc=67.51512u0.8×[Pt×10{7.2117−1740.27/(t+234.3291)}×(1−ψ/100)]/〔[Pt−10{7.2117−1740.27/(t+234.3291)}]×[Pt−ψ×10{7.2117−1740.27/(t+234.3291)}]〕
なお、本来、恒率乾燥速度の単位は[kg−水/hr・m2]であるが、本発明では[%DB/hr]とした。%DB(%Dry Base)は無水材料重量あたりの水分重量を表す。Rc[kg−水/hr・m2]より、Rc÷無水材料重量(kg)×100とする。さらに、触媒と雰囲気との接触面積9.6(m2)をかけて算出した。
(恒率乾燥速度)
恒率乾燥速度は温度、湿度及び風速から下記式により算出する(化学工学通論I、P218〜219参照)。
k=h/CH=10.6G0.8/CH=0.054(((1+H)/VH)×u×3600)0.8/CH
より、k=f(u)
また、Hw−H=f(t,ψ)
よって、Rc=f(u,t,ψ)
Rc:恒率乾燥速度[kg−水/hr・m2]
k:境膜物質移動係数[kg−drygas/hr・m2]
Hw:飽和湿度[kg−水蒸気/kg−drygas]
H:湿り空気の湿度[kg−水蒸気/kg−drygas]
h:境膜伝熱係数[kJ/hr・m2・k]
CH:湿り空気の比熱[kJ/kg−drygas・k]
G:湿り空気の質量速度[kg/hr・m2]
VH:湿り空気の比容[m3/kg−drygas]
u:風速[m/sec]
Hw=0.621×(ps/PT−ps)
log(ps)=7.2117−(1740.27/(t+234.3291))
H=0.621×(p/PT−p)
p=ψ×ps/100
CH=1.02×1.89H
VH=22.4((1/29)+(H/18))×(273+t)/273
ps:飽和水蒸気圧[kPa]
p:水蒸気分圧[kPa]
PT:全圧[kPa]
t:湿り空気の温度[℃]
ψ:関係湿度[%RH]=(p/ps)×100
Rc=67.51512u0.8×[Pt×10{7.2117−1740.27/(t+234.3291)}×(1−ψ/100)]/〔[Pt−10{7.2117−1740.27/(t+234.3291)}]×[Pt−ψ×10{7.2117−1740.27/(t+234.3291)}]〕
なお、本来、恒率乾燥速度の単位は[kg−水/hr・m2]であるが、本発明では[%DB/hr]とした。%DB(%Dry Base)は無水材料重量あたりの水分重量を表す。Rc[kg−水/hr・m2]より、Rc÷無水材料重量(kg)×100とする。さらに、触媒と雰囲気との接触面積9.6(m2)をかけて算出した。
(落下強度)
製造された各ロットにつき30gの触媒を精秤し、該触媒を内径30mmφ、管長5mのテストチューブの上部より、天然ゴム製のゴム栓上に落下させた。そして、下部出口を目開き4.75mm(4メッシュ)又は2.36mm(8メッシュ)の篩で触媒を受け、篩上に残った触媒を精秤した。落下強度は下記式にて求めた。なお、前記測定をロットごとに3回行い、その平均値を落下強度とした。落下強度は、4メッシュの篩を用いた場合に89%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。
落下強度(%)=(篩上の触媒の質量/投入した触媒の質量)×100
製造された各ロットにつき30gの触媒を精秤し、該触媒を内径30mmφ、管長5mのテストチューブの上部より、天然ゴム製のゴム栓上に落下させた。そして、下部出口を目開き4.75mm(4メッシュ)又は2.36mm(8メッシュ)の篩で触媒を受け、篩上に残った触媒を精秤した。落下強度は下記式にて求めた。なお、前記測定をロットごとに3回行い、その平均値を落下強度とした。落下強度は、4メッシュの篩を用いた場合に89%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。
落下強度(%)=(篩上の触媒の質量/投入した触媒の質量)×100
(転化率、選択率)
転化率(%)=[(供給イソブチレンのモル数)−(未反応イソブチレンのモル数)]÷(供給イソブチレンのモル数)×100
選択率(%)=(生成物のモル数)÷[(供給イソブチレンのモル数)−(未反応イソブチレンのモル数)]×100
触媒は、転化率60〜70%、選択率86%以上であることが好ましい。
転化率(%)=[(供給イソブチレンのモル数)−(未反応イソブチレンのモル数)]÷(供給イソブチレンのモル数)×100
選択率(%)=(生成物のモル数)÷[(供給イソブチレンのモル数)−(未反応イソブチレンのモル数)]×100
触媒は、転化率60〜70%、選択率86%以上であることが好ましい。
実施例1
モリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O]540kgを温水611kgに溶解し、A液を作製した。硝酸鉄(III)[Fe(NO3)3・9H2O]247.1kgおよび硝酸コバルト[Co(NO3)2・6H2O]534.1kgおよび硝酸セシウム(CsNO3)23.85kgを温水244.6kgに溶解し、次いで硝酸ビスマス[Bi(NO3)3・5H2O]118.7kgを溶解し、B液を作製した。A液を攪拌しながらB液を添加しスラリーを得、続いてこれを噴霧乾燥した。得られた乾燥品を420℃で2時間仮焼成し、触媒前駆体粉末を得た。この触媒前駆体粉末100重量部に対して、三酸化アンチモン(Sb2O3)2.54重量部、セラミックファイバー(サンゴバンティーエム、RFC400−SL)18重量部、バインダー成分としてメチルセルロース(信越化学社製、メトローズSM−4000)4重量部、及びイオン交換水34重量部を加え混練し、直径6mm、内径2.5mm、高さ6mmのリング状に押出し成型して、触媒前駆体成型品を得た。
モリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O]540kgを温水611kgに溶解し、A液を作製した。硝酸鉄(III)[Fe(NO3)3・9H2O]247.1kgおよび硝酸コバルト[Co(NO3)2・6H2O]534.1kgおよび硝酸セシウム(CsNO3)23.85kgを温水244.6kgに溶解し、次いで硝酸ビスマス[Bi(NO3)3・5H2O]118.7kgを溶解し、B液を作製した。A液を攪拌しながらB液を添加しスラリーを得、続いてこれを噴霧乾燥した。得られた乾燥品を420℃で2時間仮焼成し、触媒前駆体粉末を得た。この触媒前駆体粉末100重量部に対して、三酸化アンチモン(Sb2O3)2.54重量部、セラミックファイバー(サンゴバンティーエム、RFC400−SL)18重量部、バインダー成分としてメチルセルロース(信越化学社製、メトローズSM−4000)4重量部、及びイオン交換水34重量部を加え混練し、直径6mm、内径2.5mm、高さ6mmのリング状に押出し成型して、触媒前駆体成型品を得た。
該成型品を直ちに金網のトレー上に積載し、赤外線ヒーター(温度100℃)を上下に有する赤外線乾燥機内に入れた。そして、送風口から調温した加湿空気を風速0.55m/secで送風して赤外線乾燥機内の相対湿度を30%、成型品の表面温度を45℃に制御しつつ、0.91時間乾燥して乾燥成型品を得た。乾燥時間は成型品の無水材料に対して水分が7%以下になる時間とした。得られた乾燥成型品を、520℃で6時間最終焼成し、触媒を得た。
内径18mmのガラス製反応管に上記触媒を3ml充填した。イソブチレン8.77vol%、酸素19.3vol%、窒素54.4vol%、スチーム17.5vol%からなる原料ガスを87.5ml/minの流量で前記反応管に供給し、370℃で反応を行った。その結果を表1に示す。なお、得られた生成物は、メタクロレイン及びメタクリル酸である。
実施例2〜8
表1に記載の条件で触媒前駆体成型品の乾燥を行った以外は実施例1と同様の方法で触媒を製造し、落下強度及び活性試験を行った。その結果を表1に示す。
表1に記載の条件で触媒前駆体成型品の乾燥を行った以外は実施例1と同様の方法で触媒を製造し、落下強度及び活性試験を行った。その結果を表1に示す。
比較例1
実施例1と同様の方法で触媒前駆体成型品を得た。該成型品を直ちに金網のトレー上に積載し、電気ヒーターを上下に有する恒温恒湿乾燥機内に入れた。そして、送風口から調温した加湿空気を風速0.75m/secで送風して恒温恒湿乾燥機内の相対湿度を65%、成型品の表面温度を25℃に制御しつつ、10.5時間乾燥して乾燥成型品を得た。なお、乾燥時間は成型品の無水材料に対して水分が7%以下になる時間とした。その後、実施例1と同様の方法で触媒を製造し、落下強度及び活性試験を行った。その結果を表1に示す。
実施例1と同様の方法で触媒前駆体成型品を得た。該成型品を直ちに金網のトレー上に積載し、電気ヒーターを上下に有する恒温恒湿乾燥機内に入れた。そして、送風口から調温した加湿空気を風速0.75m/secで送風して恒温恒湿乾燥機内の相対湿度を65%、成型品の表面温度を25℃に制御しつつ、10.5時間乾燥して乾燥成型品を得た。なお、乾燥時間は成型品の無水材料に対して水分が7%以下になる時間とした。その後、実施例1と同様の方法で触媒を製造し、落下強度及び活性試験を行った。その結果を表1に示す。
比較例2〜7
表1に記載の条件で触媒前駆体成型品の乾燥を行った以外は比較例1と同様の方法で触媒を製造し、落下強度及び活性試験を行った。その結果を表1に示す。
表1に記載の条件で触媒前駆体成型品の乾燥を行った以外は比較例1と同様の方法で触媒を製造し、落下強度及び活性試験を行った。その結果を表1に示す。
Claims (4)
- プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール及びメチル−t−ブチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を気相にて分子状酸素により酸化して(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を製造する際に用いられ、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む触媒の製造方法であって、触媒前駆体粉末、水及びバインダー成分を含む混合物を成型することにより触媒前駆体成型品を作製し、該触媒前駆体成型品を赤外線を熱源とする乾燥機内で乾燥し、次いで焼成することを特徴とする触媒の製造方法。
- 調温した加湿空気を供給することにより相対湿度20%以上に調整した乾燥機内にて、前記触媒前駆体成型品の表面温度を20〜50℃に調整しながら、該触媒前駆体成型品に表面温度50〜200℃の赤外線ヒーターから放射される赤外線を照射することにより乾燥する請求項1記載の触媒の製造方法。
- 調温した加湿空気を風速0.02〜10m/secで供給することにより、前記触媒前駆体成型品の表面温度を20〜50℃に調整する請求項2記載の触媒の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造された触媒の存在下で、プロピレン、イソブチレン、t−ブチルアルコール及びメチル−t−ブチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を気相にて分子状酸素により酸化することを特徴とする(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸の製造方法。
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