JP2008237465A - 食料品保管庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】根菜類や果物などの生鮮食料品の鮮度保持を簡易な構成により実現し、カップボード、キッチンキャビネットなどへの組み込みを実現する食料品保管庫を提供する。
【解決手段】上方に開放した食料品保管部9を有し、前後にスライド可能な引き出し2を収納する前方に開放した空間部3を内部に有する外箱4の内面の総面積の1/3を超える面積の内面部分に調湿材16が配設され、外箱内部の空間部内または引き出し内部の上部にエチレン分解触媒17が設けられ、外箱内部の空間部内または引き出し内部に揮発性殺菌剤18が配設され、かつ引き出しの底板8より上位に揮発性殺菌剤の揮発成分が透過可能な透過性板材19が設けられ、引き出しの底板と透過性板材との間に空間部20が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】上方に開放した食料品保管部9を有し、前後にスライド可能な引き出し2を収納する前方に開放した空間部3を内部に有する外箱4の内面の総面積の1/3を超える面積の内面部分に調湿材16が配設され、外箱内部の空間部内または引き出し内部の上部にエチレン分解触媒17が設けられ、外箱内部の空間部内または引き出し内部に揮発性殺菌剤18が配設され、かつ引き出しの底板8より上位に揮発性殺菌剤の揮発成分が透過可能な透過性板材19が設けられ、引き出しの底板と透過性板材との間に空間部20が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、根菜類や果物などの生鮮食料品を保管する食料品保管庫に関する。
じゃがいも、さつまいも、ほうれん草、小松菜などの根菜類やみかん、りんごなどの果物などの生鮮食料品は、湿度調整および成熟ホルモンガスや菌・カビなどの対策を行わないと、乾燥したり、軟化、腐敗が進行したりして食材として使えなくなる。
そこで、本出願人は、防カビ、防臭、劣化の原因となるエチレンガスの除去および保湿などを行うことができる食品収納庫を提案している(特許文献1)。
上記食品収納庫は、水粒子放出部と、水粒子放出部と対向する対向電極と、水粒子放出部に水を供給するための水供給手段と、水粒子放出部と対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加部とを備え、水粒子放出部と対向電極との間に高電圧を印加することにより水粒子放出部の水からナノメートルサイズの帯電微粒子水を生成する静電霧化装置が、キッチンに設けた収納庫内のファンによる送風によって空気を循環させる空気循環ユニット内に装備され、空気循環ユニット内の空気通路にエチレンガス除去触媒が配置されたものである。
このような食品収納庫では、静電霧化装置により生成した活性種を含んだナノメートルサイズの帯電微粒子水を食品に供給することができ、帯電微粒子水が食品の表皮の細孔内部まで浸透し、保湿することができるとともに、浸透した状態で活性種が作用して殺菌、消臭およびエチレンガスの除去を行うことができ、食品を長期にわたって新鮮に保存することができる。また、収納庫内で循環する空気からエチレンガスをエチレンガス除去触媒によって除去することができ、食品のエチレンガスによる劣化を一層防止することができる。
特開2006−61072号公報
このように根菜類や果物などの生鮮食料品を長期にわたって新鮮に保存可能とする食品収納庫ではあるが、そのような機能を実現するためには、上記の通り、静電霧化装置および空気循環ユニットという電気機器を組み込む必要があり、構成がやや複雑なものとなっている。また、上記特許文献1では、食品収納庫の具体的形態として床下収納庫が例示されているだけであり、キッチンキャビネット内やキッチンの他の部分に設けられるものであってもよいと記載されているものの、その場合の食品収納庫の詳細は明らかでない。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、湿度調整、防カビおよびエチレンガスの分解を行い、根菜類や果物などの生鮮食料品の鮮度保持を簡易な構成により実現し、また、カップボード、キッチンキャビネット、パントリーなどへの組み込みを具体的に実現することのできる食料品保管庫を提供することを課題としている。
本発明の食料品保管庫は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、前板、背板、左右両側板および底板により囲まれた上方に開放した食料品保管部を有し、前後にスライド可能な引き出しを収納する前方に開放した空間部を内部に有する外箱の内面の総面積の1/3を超える面積の内面部分に外箱内部の空間部内の湿度調整を行う調湿材が配設され、外箱内部の空間部内または引き出し内部の上部にエチレン分解触媒が設けられ、外箱内部の空間部内または引き出し内部に揮発性殺菌剤が配設され、揮発性殺菌剤の揮発成分が引き出しの食料品保管部内に自然に流通し、かつ引き出しの底板より上位に揮発性殺菌剤の揮発成分が透過可能な透過性板材が設けられ、引き出しの底板と透過性板材との間に揮発性殺菌剤の揮発成分が溜まる空間部が形成されている。
第2に、上記第1の特徴において、外箱内部の空間部内または引き出し内部の上部に揮発性殺菌剤が配設され、揮発性殺菌剤の揮発成分が引き出しの食料品保管部内に自然流下する。
第3に、上記第1の特徴において、引き出しに形成された空間部内に揮発性殺菌剤が配設され、揮発性殺菌剤の揮発成分が、引き出しの空間部内に溜まるとともに、透過性板材を通じて引き出しの食料品保管部内に流通する。
第4に、上記第1の特徴において、引き出しの背板付近で透過性板材より上側に揮発性殺菌剤が配設され、揮発性殺菌剤の揮発成分が、透過性板材を通じて引き出しの空間部内に溜まるとともに、引き出しの食料品保管部内に流通する。
第5に、上記第1ないし第4のいずれか一つの特徴において、引き出しに形成された空間部に面する背板の下端部に引き出しの空間部に連通する前後方向に貫通する通気口が形成されるとともに、通気口を開閉する弁が配設され、引き出しが外箱内部の空間部内に収納されている状態では弁は通気口を閉鎖し、引き出しを前方に引き出す際に弁は通気口の閉鎖を維持する一方、引き出しを収納する際に弁は通気口を開放し、引き出しの空間部内に空気が流入する。
第6に、上記第5の特徴において、通気口に連通し、引き出しの背板の背面側で立ち上がり、先端部が水平でかつ外箱内部の背板前面側に向かって開口しているパイプが引き出しに配設されている。
上記第1の発明によれば、外箱の内面の総面積の1/3を超える面積の内面部分に配設された調湿材によって外箱内部の空間部内の湿度調整が行われ、外箱内部の空間部内の湿度の変動が極力小さく抑えられ、根菜類や果物などの生鮮食料品の乾燥を防ぐとともに、高湿度によるカビの発生を防止することができる。また、外箱内部の空間部内または引き出し内部の上部に設けられたエチレンガス分解触媒によって成熟ホルモンガスであるエチレンガスを分解し、成熟速度を抑制し、鮮度保持期間を延ばすことができる。このような乾燥防止、防カビおよび鮮度保持のために電気機器は用いられないので、食料品保管庫の構成は簡易である。さらに、食料品保管庫は、前後にスライド可能な引き出しと、引き出しを収納する前方に開放した空間部を内部に有する外箱とを備えているため、カップボード、キッチンキャビネット、パントリーなどに一ユニットなどとして容易に組み込むことができる。さらにまた、外箱内部の空間部内または引き出し内部の上部に配設された揮発性殺菌剤の揮発成分が、引き出しの食料品保管部に収納、保存された生鮮食料品に接触するように引き出しの食料品保管部内に自然に流通するため、カビおよび菌の活動を抑制することができ、生鮮食料品の腐敗を抑え、鮮度保持期間をさらに延ばすことができる。そして、引き出しには、底板より上位に設けられた揮発性殺菌剤の揮発成分が透過可能な透過性板材と底板との間に空間部が設けられ、この空間部内に揮発性殺菌剤の揮発成分が溜まるため、引き出しの開閉にともない濃度が低下する引き出しの食品保管部内における揮発性殺菌剤の揮発成分を引き出しの空間部内に溜まっていた揮発性殺菌剤の揮発成分により補充することができ、カビおよび菌の活動の抑制効果を持続させることができる。
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、揮発性殺菌剤の揮発成分の自然流下により揮発成分が引き出しの食品保管部内に収納された生鮮食料品に満遍なく接触し、カビおよび菌の活動の抑制効果がより良好となる。
上記第3の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、揮発性殺菌剤が引き出しの空間部内に配設されているので、引き出しの空間部内に揮発性殺菌剤の揮発成分を確実かつ高濃度に溜めることができ、また、引き出しの食料品保管部内への揮発成分の放出が迅速に行われる。
上記第4の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、泥、土、ゴミなどが付着した生鮮食料品を引き出しの食料品保管部内に収納しても、揮発性殺菌剤に泥、土、ゴミなどが降りかかることはないため、揮発性殺菌剤の揮発性の低下を抑制することができる。
上記第5の発明によれば、上記第1ないし第4のいずれか一つの発明の効果に加え、引き出しが外箱内部の空間部内に収納されている状態では弁により通気口が閉鎖されているので、引き出しの食料品保管部内の揮発性殺菌剤の揮発成分は高濃度に保たれる。一方、引き出しの前方への引き出しにともない食料品保管部内の揮発性殺菌剤の揮発成分の濃度は低下するが、引き出しを外箱内部の空間部内に収納する際に、弁は通気口を開放するので、通気口から少量の空気が引き出しの空間部内に流入し、空間部内に溜まっていた揮発性殺菌剤の揮発成分を押し出し、揮発成分をより迅速に引き出しの食料品保管部内に補充することができる。
上記第6の発明によれば、上記第5の発明の効果に加え、万一弁による通気口の密閉性を十分高めることができない場合にも、揮発性殺菌剤の揮発成分をパイプ内に留まらせておくことができ、引き出しの空間部内における揮発性殺菌剤の揮発成分の空気による希釈を抑制することができる。
図1は、本発明の食料品保管庫の第1の実施形態を示した断面模式図である。
図1に示した食料品保管庫1は、前後にスライド可能な引き出し2と、引き出し2を収納する前方に開放した空間部3を内部に有する直方体状の外箱4とを備えている。引き出し2は、外箱4の前端外周部の形状に一致する長方形形状の前板5と、前板5に対向して後方に位置し、外箱4の内部の空間部3内に納まる大きさの長方形形状の背板6と、前板5および背板6を各々の左右両側端部において連結し、背板6の高さと同一またはそれより低い高さを有する長方形形状の左右両側板7と、前板5の下端部ならびに背板6および左右両側板7の下端に配設され、底蓋を形成する長方形形状の底板8とから形成され、前板5、背板6、左右両側板7および底板8により囲まれ、上方に開放した領域が根菜類、果物などの生鮮食料品を収納する食料品保管部9とされている。
なお、外箱4の形状である直方体は立方体を含む広義の意味での直方体であり、同様に、引き出し2を形成する前板5、背板6、左右両側板7および底板8の形状である長方形は、広義の意味での長方形であり、正方形も含む。
引き出し2を前後にスライド可能とする機構には従来公知の様々なものが採用可能であり、図1に示した食料品保管庫1には、レールなどを含む走行ガイド10が、引き出し2の左右両側板7の外側面または外箱4の内側面の少なくともいずれか一方または両方に設けられており、引き出し2の滑らかな前後のスライドが可能とされている。
外箱4は、長方形形状の天板11および底板12が上下に対向配置され、天板11の後端下面と底板12の後端上面との間に長方形形状の背板13が配設されるとともに、天板11の左右両側端下面と底板12の左右両側端上面との間に長方形形状の側板14が配設され、前方に開放した空間部3を有する直方体状の箱に形成されている。天板11、底板12、背板13および左右両側板14の形状である長方形も広義の意味での長方形であり、正方形も含む。
外箱4には、底板12の下面に台座15が配設されている。台座15の前後左右面は、天板11および底板12の前端面、背板13の背面ならびに左右両側板14の外側面より内側にひかえて位置している。台座15の前後左右面は、天板11および底板12の前端面、背板13の背面ならびに左右両側板14の外側面と同一面上に配置することもできる。
また、外箱4には、内面を形成する天板11の下面部全域および背板13の前面部の一部に調湿材16が配設されている。調湿材16の配設された外箱4の内面部分の面積は、外箱4の内面の総面積の1/3を超えている。
調湿材16は、たとえば珪藻土または珪藻土を含む材料などから形成されたものであり、外箱4の内部の空間部3内の湿度が上昇すると、吸湿し、空間部3内の湿度の上昇を抑制し、乾燥時には吸湿した水分を空間部3内に放出し、湿度を上昇させ、空間部3内の湿度の変動を極力小さく抑え、空間部3内の湿度調整を行う。
このような調湿材16による外箱4の内部の空間部3内の湿度調整を有効とするためには、調湿材16の配設された外箱4の内面部分の面積が外箱4の内面の総面積の1/3を超える必要がある。1/3以下であると湿度調整が十分に行われない。上限は外箱4の内面の総面積である。
なお、水蒸気は空気より軽いことから、調湿材16は極力外箱4の内部の空間部3内の上部に配設するのが好ましい。天板11の下面部全域、背板13の前面上部および左右の側板14の内側面上部から適宜に選択し、調湿材16の配設された外箱4の内面部分の面積が外箱4の内面の総面積の1/3を超えるようにする。
さらに、外箱4において天板11の下面部全域に配設された調湿材16の前端側の下面にエチレン分解触媒17が設けられている。エチレン分解触媒17は、外箱4の内部の空間部3内で発生したエチレンガスを分解し、除去するものであり、たとえば、活性炭やゼオライトなどの多孔質体にエチレン酸化酵素であるエチレンモノオキシナーゼなどを吸着させたものやパラジウム触媒、光触媒などから適宜選択される。
エチレンガスは、わずかであるが空気より軽いため、エチレン分解触媒17は外箱4の内部の空間部3内の上部に配設する必要がある。たとえば図1に示した食料品保管庫1のように天板11の下側の他、背板13の前側上部または左右の側板14の内側側上部から配設部位を適宜選択する。また、エチレン分解触媒17は、引き出し2の内部の上部に設けることもできる。たとえば、引き出し2の前板5の背面上部に設けることができる。
根菜類や果物などの生鮮食料品を食料品保管庫1に収納、保存する際には、引き出し2を前方に引き出し、生鮮食料品を引き出し2の食料品保管部9内に収納し、引き出し2を後方にスライドさせ、外箱4の内部の空間部3内に収納する。外気の湿度が変動しても、食料品保管庫1内、すなわち、外箱4の内部の空間部3内の湿度の変動は調湿材16により軽減される。また、生鮮食料品から放出される水分により空間部3内の湿度が上昇しても、調湿材16の吸湿作用により湿度の上昇が抑制され、また、乾燥時には吸着した水分を空間部3内に放出し、湿度を上昇させる。このため、空間部3内の湿度は、根菜類や果物などの生鮮食料品の保存に最適な湿度に近い湿度に安定に保持され、生鮮食料品の乾燥を抑制することができるとともに、高湿度によるカビの繁殖を抑制することができる。
しかも、根菜類や果物などの生鮮食料品から放出される成熟ホルモンであるエチレンガスはエチレン分解触媒17によって分解され、生鮮食料品の成熟を抑制することができる。
したがって、根菜類や果物などの生鮮食料品の鮮度保持期間を延ばすことができる。
図1に示した食料品保管庫1では、そのような乾燥防止、防カビおよび鮮度保持のために電気機器が一切用いられていないので、食料品保管庫1の構成は簡易となっている。低コスト化が図られる。さらに、食料品保管庫1は、前後にスライド可能な引き出し2と、引き出し2を収納する前方に開放した空間部3を内部に有する外箱4とを備えているため、カップボード、キッチンキャビネット、パントリーなどに一ユニットなどとして容易に組み込むことができる。食料品保管庫1を単体として設置するばかりでなく、複数のユニットから構成されるカップボード、キッチンキャビネット、パントリーなどに一ユニットとして組み込むことができる。
さらにまた、図1に示した食料品保管庫1では、外箱4の天板11の下面部全域に配設された調湿材16の下面においてエチレン分解触媒17より空間部3の奥側に揮発性殺菌剤18が配設されている。揮発性殺菌剤18の揮発成分は、空気より重く、外箱4の内部の空間部3内に自然流下し、引き出し2の食料品保管部9内に収納された根菜類や果物などの生鮮食料品に満遍なく接触し、カビおよび菌の活動を抑制し、生鮮食料品の腐敗を抑え、鮮度保持期間をさらに延ばすことができる。
揮発性殺菌剤18は、本願では、殺菌剤はもちろん、揮発性の抗菌剤、防菌剤および防カビ剤を含むものとして定義している。具体的にはわさびが例示され、わさびを付着させたカートリッジなどを外箱4の内部の空間部3内の所定位置に装着することができる。このような揮発性殺菌剤18の配設位置は、図1に示した食料品保管庫1では、揮発性殺菌剤18の揮発成分が空気より重く、引き出し2の食料品保管部9内に収納された生鮮食料品に揮発成分が満遍なく接触するように、外箱4の内部の空間部3内の上部としている。揮発性殺菌剤18は、引き出し2の内部の上部に配設することもできる。具体的には、図1に示したように、外箱4では、天板11の下側をはじめ、背板13の前側上部または左右の側板14の内側側上部から適宜選択し、引き出し2では、前板5の背面上部、背板6の前面上部、左右の側板7の内側面上部から適宜選択することができる。
そして、図1に示した食料品保管庫1では、引き出し2の底板8より上位に揮発性殺菌剤18の揮発成分が透過可能な透過性板材19が設けられ、引き出し2の底板8と透過性板材19との間に空間部20が形成されている。透過性板材19は、上下に貫通する複数の透孔21などが一定間隔で縦横に整列配置され、または千鳥状に配置されるなどして形成され、揮発性殺菌剤18の揮発成分が透過し、空間部20に流下することができる板材である。透過性板材19は、また、底板8と同じ大きさおよび形状を有する板材とすることができ、このような透過性板材19には、たとえばパンチングメタルまたは透過膜などが選択され使用される。外箱4の内部の上部から引き出し2の食料品保管部9内に流通する揮発性殺菌剤18の揮発成分は、空気より重く、透過性板材19では揮発成分の透過が可能であるため、透孔21などを通じて引き出し2の下部の空間部20内に流入し、やがて溜まる。溜まった揮発性殺菌剤18の揮発成分は、透過性板材19により漏出が抑えられ、食料品保管部9から生鮮食料品を取り出しまたは備蓄するために、引き出し2を前後にスライドさせても、外部に拡散することはほとんどなく、希釈されることもない。
一方、引き出し2の前後のスライドにともなって食料品保管部9内の揮発性殺菌剤18の揮発成分は外部に拡散し、空気によって希釈される。しかしながら、引き出し2を外箱4の内部の空間部3内に収納すると、空間部20内に溜まった揮発性殺菌剤18の揮発成分が、即座に透過性板材19の透孔21などを通じて食料品保管部9内に放出され、食料品保管部9内は揮発性殺菌剤18の揮発成分で充満する。つまり、引き出し2を前方に引き出すと、食料品保管部9内の揮発性殺菌剤18の揮発成分の濃度が一時的に低くなるが、引き出し2を外箱4の内部の空間部3内に収納すると、揮発成分の濃度は即座に元に戻り、殺菌効果の低減を最小限に抑えることができ、カビおよび菌の活動の抑制効果を持続させることができる。
図2は、本発明の食料品保管庫の第2の実施形態を示した断面模式図である。
図2に示した食料品保管庫1において図1に示した食料品保管庫1と共通する部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図2に示した食料品保管庫1では、揮発性殺菌剤18が、引き出し2に形成された空間部20内に配設されている。このように、揮発性殺菌剤18が引き出し2に形成された空間部20内に配設されることにより、引き出し2の空間部20内に揮発性殺菌剤18の揮発成分を確実かつ高濃度に溜めることができ、また、引き出し2の食料品保管部9内への揮発成分の放出が迅速に行われる。
なお、揮発性殺菌剤18は、引き出し2の空間部20内に納まる大きさとし、食料品保管部9内で所望な揮発成分濃度が得られるように適宜に大きさや揮発成分量などを調整することができる。また、図1に示した食料品保管庫1の場合も同様であるが、揮発性殺菌剤18には、揮発成分を容易に補充することができるようにカートリッジ式のものを好ましく採用することができる。
図3は、本発明の食料品保管庫の第3の実施形態を示した断面模式図である。
図3に示した食料品保管庫1において図1に示した食料品保管庫1と共通する部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図3に示した食料品保管庫1では、揮発性殺菌剤18が、引き出し2の背板6の前面に当接し、かつ透過性板材19の上面に載せて配設されている。揮発性殺菌剤18の高さは引き出し2の背板6の高さ以下としている。
揮発性殺菌剤18の揮発成分は、透過性板材19の透孔21などを通じて一旦引き出し2の空間部20内に自然流下し、空間部20内に高濃度で溜まり、溜まった揮発成分が透過性板材19の透孔21などを通じて引き出し2の食料品保管部9内に流通する。
このように、引き出し2の背板6の付近で透過性板材19より上側に揮発性殺菌剤18を配設することにより、泥、土、ゴミなどが付着した根菜類や果物などの生鮮食料品を引き出し2の食料品保管部9内に収納しても、揮発性殺菌剤18に泥、土、ゴミなどが降りかかることはないため、揮発性殺菌剤18の揮発性の低下を抑制することができる。特に揮発性殺菌剤18が揮発成分の透過膜を有するものである場合には、透過膜の目詰まりがなくなり、有効である。
図4は、本発明の食料品保管庫の第4の実施形態を示した断面模式図である。
図4に示した食料品保管庫1において図2に示した食料品保管庫1と共通する部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4に示した食料品保管庫1は、図2に示した食料品保管庫1と同様に、揮発性殺菌剤18が引き出し2に形成された空間部20内に配設されている。
そして、図4に示した食料品保管庫1では、引き出し2の空間部20に面する背板6の下端部に引き出し2の空間部20に連通する前後方向に貫通する通気口22が形成されるとともに、通気口22を開閉する弁23が配設されている。通気口22の口径は小さく、少量の空気が空間部20内に流入することのできる大きさとしている。通気口22の個数は単数または複数とすることができるが、多量の空気が空間部20内に流入しない程度にとどめる。弁23は、通気口22に対応して設けられ、上端部においてヒンジ24により引き出し2の空間部20内で背板6の下端部に回動自在に支持されている。また、弁23は、パッキンなどを有し、それ自体が密閉性の高いものであるとともに、重量が軽く、引き出し2の前後のスライドにともなう空間部20の内外の圧力差によって開閉し、空間部20内への空気の出入りを制御する。弁23の密閉性をより高めるためにねじりコイルバネなどの弾性手段をヒンジ24の回動軸に配設することが可能である。
通気口22を開閉する弁23は以下のように作動する。
引き出し2が外箱4の内部の空間部3内に収納されている状態では通気口22を閉鎖し、空間部20内の揮発性殺菌剤18の揮発成分を高濃度に保つ。生鮮食料品の取り出しまたは備蓄のために引き出し2を前方に引き出す際には、空間部20の内圧が十分高いため、弁23は通気口22の閉鎖を維持する。一方、引き出し2を収納する際には、外圧が高くなるため、弁23は、空気に押されるようになり、空間部20の内側に向かって回動し、通気口22を開放し、引き出し2の空間部20内に少量の空気が流入する。
したがって、図4に示した食料品保管庫1では、引き出し2が外箱4の内部の空間部3内に収納されている状態では弁23により通気口22が閉鎖されているので、引き出し2の食料品保管部9内の揮発性殺菌剤18の揮発成分は高濃度に保たれる。一方、引き出し2の前方への引き出しにともない食料品保管部9内の揮発性殺菌剤18の揮発成分の濃度は低下するが、引き出し2を外箱4の内部の空間部3内に収納する際に、弁23は通気口22を開放するので、通気口22から少量の空気が引き出し2の空間部20内に流入し、空間部20内に溜まっていた揮発性殺菌剤18の揮発成分を押し出し、揮発成分をより迅速に引き出し2の食料品保管部9内に補充することができる。流入する空気は上記の通り少量であり、空間部20内の揮発性殺菌剤18の揮発成分が過度に希釈されることはない。生鮮食料品の収納、保存時に空間部20内の揮発性殺菌剤18の揮発成分の濃度は元の濃度に戻る。
以上の通気口22の形成および弁23の配設は、図1に示した食料品保管庫1にも同様に適用することが可能である。
図5は、本発明の食料品保管庫の第5の実施形態を示した断面模式図である。
図5に示した食料品保管庫1において図4に示した食料品保管庫1と共通する部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図5に示した食料品保管庫1では、図4に示した食料品保管庫1において、通気口22に連通し、引き出し2の背板6の背面に沿って立ち上がり、先端部25aが水平でかつ外箱4の内部の背板13の前面側に向かって開口しているパイプ25が引き出し2に配設されている。
このようなパイプ25の配設によって、引き出し2の構造などに起因して万一弁23による通気口22の密閉性を十分に高めることができない場合にも、揮発性殺菌剤18の揮発成分をパイプ25内に留まらせておくことができ、透過性板材19を通じての食料品保管部9内への放出以外に空間部20の外部に揮発成分が漏出するのを防ぐことができ、引き出し2の空間部20内における揮発性殺菌剤18の揮発成分の空気による希釈を抑制することができる。特に、パイプ25の先端部25aが、引き出し2の背板6の上端部に位置し、水平に配置されているため、揮発性殺菌剤18の揮発成分が確実にパイプ25内に留まる。
そして、本発明の食料品保管庫では、引き出し2に形成された空間部20内にトレイを配設することもでき、根菜類や果物などに付着している泥、土、ゴミなどをトレイで受け、空間部20内を汚れないようにすることができる。この場合は、空間部20は、揮発性殺菌剤18の揮発成分の溜まりを形成する空間であるとともに、トレイを入れる空間として機能し、機能性が向上する。
1 食料品保管庫
2 引き出し
3 空間部
4 外箱
5 前板
6 背板
7 側板
8 底板
9 食料品保管部
16 調湿材
17 エチレン分解触媒
18 揮発性殺菌剤
19 透過性板材
20 空間部
22 通気口
23 弁
25 パイプ
25a 先端部
2 引き出し
3 空間部
4 外箱
5 前板
6 背板
7 側板
8 底板
9 食料品保管部
16 調湿材
17 エチレン分解触媒
18 揮発性殺菌剤
19 透過性板材
20 空間部
22 通気口
23 弁
25 パイプ
25a 先端部
Claims (6)
- 前板、背板、左右両側板および底板により囲まれた上方に開放した食料品保管部を有し、前後にスライド可能な引き出しを収納する前方に開放した空間部を内部に有する外箱の内面の総面積の1/3を超える面積の内面部分に外箱内部の空間部内の湿度調整を行う調湿材が配設され、外箱内部の空間部内または引き出し内部の上部にエチレン分解触媒が設けられ、外箱内部の空間部内または引き出し内部に揮発性殺菌剤が配設され、揮発性殺菌剤の揮発成分が引き出しの食料品保管部内に自然に流通し、かつ引き出しの底板より上位に揮発性殺菌剤の揮発成分が透過可能な透過性板材が設けられ、引き出しの底板と透過性板材との間に揮発性殺菌剤の揮発成分が溜まる空間部が形成されていることを特徴とする食料品保管庫。
- 外箱内部の空間部内または引き出し内部の上部に揮発性殺菌剤が配設され、揮発性殺菌剤の揮発成分が引き出しの食料品保管部内に自然流下することを特徴とする請求項1に記載の食料品保管庫。
- 引き出しに形成された空間部内に揮発性殺菌剤が配設され、揮発性殺菌剤の揮発成分が、引き出しの空間部内に溜まるとともに、透過性板材を通じて引き出しの食料品保管部内に流通することを特徴とする請求項1に記載の食料品保管庫。
- 引き出しの背板付近で透過性板材より上側に揮発性殺菌剤が配設され、揮発性殺菌剤の揮発成分が、透過性板材を通じて引き出しの空間部内に溜まるとともに、引き出しの食料品保管部内に流通することを特徴とする請求項1に記載の食料品保管庫。
- 引き出しに形成された空間部に面する背板の下端部に引き出しの空間部に連通する前後方向に貫通する通気口が形成されるとともに、通気口を開閉する弁が配設され、引き出しが外箱内部の空間部内に収納されている状態では弁は通気口を閉鎖し、引き出しを前方に引き出す際に弁は通気口の閉鎖を維持する一方、引き出しを収納する際に弁は通気口を開放し、引き出しの空間部内に空気が流入することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の食料品保管庫。
- 通気口に連通し、引き出しの背板の背面側で立ち上がり、先端部が水平でかつ外箱内部の背板前面側に向かって開口しているパイプが引き出しに配設されていることを特徴とする請求項5に記載の食料品保管庫。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007081023A JP2008237465A (ja) | 2007-03-27 | 2007-03-27 | 食料品保管庫 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007081023A JP2008237465A (ja) | 2007-03-27 | 2007-03-27 | 食料品保管庫 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008237465A true JP2008237465A (ja) | 2008-10-09 |
Family
ID=39909514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007081023A Pending JP2008237465A (ja) | 2007-03-27 | 2007-03-27 | 食料品保管庫 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008237465A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011152049A (ja) * | 2010-01-25 | 2011-08-11 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 食品保管庫 |
JP2022019561A (ja) * | 2020-07-15 | 2022-01-27 | ダイキン工業株式会社 | ショーケース |
-
2007
- 2007-03-27 JP JP2007081023A patent/JP2008237465A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011152049A (ja) * | 2010-01-25 | 2011-08-11 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 食品保管庫 |
JP2022019561A (ja) * | 2020-07-15 | 2022-01-27 | ダイキン工業株式会社 | ショーケース |
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