JP2008235533A - 磁気記憶素子 - Google Patents

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JP2008235533A JP2007072340A JP2007072340A JP2008235533A JP 2008235533 A JP2008235533 A JP 2008235533A JP 2007072340 A JP2007072340 A JP 2007072340A JP 2007072340 A JP2007072340 A JP 2007072340A JP 2008235533 A JP2008235533 A JP 2008235533A
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悟 百瀬
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Abstract

【課題】信頼性が高く、かつ高度な集積化が可能である磁気記憶素子を提供する。
【解決手段】磁束が流れる磁路を具備する磁気回路を形成する磁気記憶素子は、磁束を発生する硬磁性層と、電流が供給されることで発熱する発熱層と、所定温度以上になると磁路を形成する反強磁性層と、磁路を形成し、硬磁性層、発熱層、反強磁性層で構成される第1の積層構造体と接する第1の高キュリー点軟磁性層と、磁路を形成し、第1の積層構造体と接する第2の高キュリー点軟磁性層とを備え、第1の積層構造体が有する発熱層に電流を供給し、第1の積層構造体が有する反強磁性層の温度を所定温度以上にし、第1の積層構造体が有する硬磁性層が発生する磁束により第1の高キュリー点軟磁性層、第1の積層構造体が有する硬磁性層、第1の積層構造体が有する反強磁性層および第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定める。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録動作に硬磁性材料を用い、読み出し動作に磁気抵抗素子を用いた磁気記憶素子に関する。
磁性記録材料を用いた固体記憶素子の代表である磁気抵抗効果メモリMRAM(magnetoresistive random access memory)は、その不揮発性と高速性から大いに期待されてい
るメモリデバイスである。下記特許文献1には、MRAMの典型的な構成例の一つが開示されている。ここでは、メモリセルをマトリクス配列とし、横方向には読み出し線で直列に接続し、縦方向には各セル上に共通する書き込み線を配置する。
メモリセルは磁気抵抗素子であり、素子内部のフリー層における磁化の向きを変えることで記録を行う。上記記録動作は、セル上に配置された書き込み線に電流を通した際に発生する磁場によって行う。記録の読み出しは、上記フリー層における磁化と、素子内のピニング層における磁化が平行である場合と、反平行である場合との素子の電気抵抗の差を検知することで行う。
MRAMは、記録材料の磁化状態を反転させる記録動作を、書き込み線を流れる電流が発生する磁界によって行うため、ある程度以上の電流が必要である。その結果、MRAMには、素子の微細化と必要な電流密度とが背反する関係が発生するという問題がある。このような問題に対応するため、記録材料を加熱することで磁化反転を容易にする技術がある。
一方、電流が発生する磁界に依存せずに記録動作を行う方法がある。この方法では、互いに反対方向の磁化を持つ永久磁石を磁界源に用い、同時に高温で磁性を失う軟磁性材料を磁路に用いて、加熱部位を適宜選択することで記録材料の磁化方向を任意の方向に定めている。また、素子の微細化が進むにつれて書き込み動作が困難になるという問題がある。この問題に対して、書き込み動作時にメモリセルの温度を上げることにより、書き込みを容易にすることができる。
特開平9−91951号公報 特開2000−285668号公報 特開2006−80287号公報 特開2001−266565号公報
しかし、上記従来の方法により、書き込み動作時にメモリセルの温度を上げる場合、書き込み動作の度にメモリセルでもあり読み出し機構でもある磁気抵抗効果素子が加熱・冷却されることになるため、磁気抵抗効果素子が劣化するリスクが増大する。一方、書き込みに強力な磁石を用いた場合、書き込み動作を加熱によって補助する必要がなくなる。しかし、この方法では、一つの記録セルに対して互いに反平行の磁化を持つ2つの永久磁石が必要となる。そのため、この方法を固体記憶素子に用いる場合、記録セルとして使用可能な面積が減少し、集積度が低下する。本発明の目的は、信頼性が高く、かつ高度な集積化が可能である磁気記憶素子を提供することである。
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明の磁気
記憶素子は、
磁束が流れる磁路を具備する磁気回路を形成する磁気記憶素子であって、
所定温度以上になると磁気回路を流れる磁束により磁化方向が定まり、所定温度未満になると磁束を発生する硬磁性層と、
電流が供給されることで発熱する発熱層と、
所定温度以上になると磁路を形成する反強磁性層と、
磁路を形成し、前記硬磁性層、前記発熱層および前記反強磁性層で構成される第1の積層構造体と接する第1の高キュリー点軟磁性層と、
磁路を形成し、前記第1の積層構造体と接する第2の高キュリー点軟磁性層とを備え、
前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって磁気回路が形成され、前記第1の高キュリー点軟磁性層から前記第2の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束または前記第2の高キュリー点軟磁性層から前記第1の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の磁化方向を定める。
本発明の磁気記憶素子によれば、第1の積層構造体が有する発熱層が発熱するのに必要な電流を供給するだけで、第1の高キュリー点軟磁性層、反強磁性、硬磁性層および第2の高キュリー点軟磁性層によって磁気回路が形成される。そして、第1の高キュリー点軟磁性層から第2の高キュリー点軟磁性層に向かって磁気回路を流れる磁束または第2の高キュリー点軟磁性層から第1の高キュリー点軟磁性層に向かって磁気回路を流れる磁束により硬磁性層の磁化方向が定まる。したがって、第1の積層構造体が有する発熱層が発熱するのに必要な電流を供給するだけで、硬磁性層の磁化方向を定めることが可能となる。
また、本発明の磁気記憶素子は、
磁束を発生する永久磁石と、
所定温度未満になると磁路を形成する低キュリー点軟磁性層とを更に備え、
前記永久磁石と接し、かつ前記第1の高キュリー点軟磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層と接する、前記反強磁性層、前記発熱層および前記低キュリー点軟磁性層で構成される第2の積層構造体が少なくとも2つ設置され、
一方の前記第2の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、一方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にするとともに一方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層の温度を所定温度以上にし、かつ前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、一方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に前記永久磁石が発生する磁束を流し、前記第1の高キュリー点軟磁性層から前記第2の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記硬磁性層の磁化方向を定めてもよい。
本発明の磁気記憶素子によれば、一方の第2の積層構造体が有する反強磁性層、第1の高キュリー点軟磁性層、第1の積層構造体が有する反強磁性層および第1の積層構造体が有する硬磁性層、第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に永久磁石が発生する磁束を流すことにより、硬磁性層の磁化方向を定める。したがって、第1の積層構造体が有する発熱層および一方の第2の積層構造体が有する発熱層が発熱するのに必要
な電流を供給するだけで、硬磁性層の磁化方向を定めることが可能となる。
また、本発明の磁気記憶素子は、
他方の前記第2の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、他方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にするとともに他方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層の温度を所定温度以上にし、かつ前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、一方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層、前記第2の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層および前記第1の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に前記永久磁石が発生する磁束を流し、前記第2の高キュリー点軟磁性層から前記第1の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の磁化方向を定めてもよい。
本発明の磁気記憶素子によれば、他方の第2の積層構造体が有する反強磁性層、第1の高キュリー点軟磁性層、第1の積層構造体が有する反強磁性層および第1の積層構造体が有する硬磁性層、第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に永久磁石が発生する磁束を流すことにより、硬磁性層の磁化方向を定める。したがって、第1の積層構造体が有する発熱層および他方の第2の積層構造体が有する発熱層が発熱するのに必要な電流を供給するだけで、硬磁性層の磁化方向を定めることが可能となる。
また、本発明の磁気記憶素子は、
前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度未満にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にし、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層が発生する磁束により前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定める。
本発明の磁気記憶素子によれば、第1の積層構造体が有する硬磁性層が発生する磁束により第1の高キュリー点軟磁性層、第1の積層構造体が有する硬磁性層、第1の積層構造体が有する反強磁性層および第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定める。したがって、第1の積層構造体が有する発熱層が発熱するのに必要な電流を供給するだけで、第1の積層構造体が有する硬磁性層が発生する磁束により第1の高キュリー点軟磁性層、第1の積層構造体が有する硬磁性層、第1の積層構造体が有する反強磁性層および第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定めることが可能となる。
また、本発明の磁気記憶素子は、
磁束が流れる磁路を具備する磁気回路を形成する磁気記憶素子であって、
磁束を発生する硬磁性層と、
電流が供給されることで発熱する発熱層と、
所定温度以上になると磁路を形成する反強磁性層と、
前記硬磁性層、前記発熱層および前記反強磁性層で構成される第1の積層構造体の前記反強磁性層に隣接し、磁路を形成する第1の高キュリー点軟磁性層と、
前記第1の積層構造体の前記硬磁性層に隣接し、磁路を形成する第2の高キュリー点軟磁性層とを備え、
前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、該第1の積層構造体が有す
る前記反強磁性層の温度を所定温度以上にし、該硬磁性層が発生する磁束により前記第1の高キュリー点軟磁性層、該硬磁性層、該反強磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された前記磁気回路の磁化方向を定めてもよい。
本発明の磁気記憶素子によれば、第1の積層構造体が有する硬磁性層が発生する磁束により第1の高キュリー点軟磁性層、第1の積層構造体が有する硬磁性層、第1の積層構造体が有する反強磁性層および第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定める。したがって、第1の積層構造体が有する発熱層が発熱するのに必要な電流を供給するだけで、第1の積層構造体が有する硬磁性層が発生する磁束により第1の高キュリー点軟磁性層、第1の積層構造体が有する硬磁性層、第1の積層構造体が有する反強磁性層および第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定めることが可能となる。
また、本発明の磁気記憶素子は、
前記第1の高キュリー点軟磁性層の磁化方向により抵抗値が変化する磁気抵抗素子と、
前記磁気抵抗素子の抵抗値の変化を検出することにより前記第1の高キュリー点軟磁性層の磁化方向を判別する判別素子とを更に備えてもよい。
本発明の磁気記憶素子によれば、磁気抵抗素子の抵抗値の変化を検出することにより第1の高キュリー点軟磁性層の磁化方向を判別する。第1の高キュリー点軟磁性層の磁化方向は、第1の高キュリー点軟磁性層、第1の積層構造体が有する硬磁性層、第1の積層構造体が有する反強磁性層および第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向と同方向となる。そして、その磁気回路の磁化方向は、第1の積層構造体が有する硬磁性層が発生する磁束により定まる。その結果、第1の積層構造体が有する発熱層が発熱するのに必要な電流を供給するだけで、第1の高キュリー点軟磁性層の磁化方向を判別することが可能となる。
本発明によれば、信頼性が高く、かつ高度な集積化が可能である磁気記憶素子を提供することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成には限定されない。
図1に、本実施形態の磁気記憶素子1の構造図を示す。本実施形態の磁気記憶素子1は、読み取り用磁気抵抗効果素子2、端子膜3、高キュリー点軟磁性層4、下地層5、反強磁性層6、発熱抵抗層7、垂直磁化硬磁性層8、低キュリー点軟磁性層9、面内磁化硬磁性層10及びSiO2膜11から構成されている。
図2に、読み取り用磁気抵抗効果素子2の構造図を示す。図2に示すように、読み取り用磁気抵抗効果素子2は、反強磁性膜21、強磁性膜であるピンド層22、非強磁性膜である中間層23から構成されている。ピンド層22の磁化方向(磁化の向き)は固定されている。
高キュリー点軟磁性層4は、キュリー点が高い軟磁性層である。本実施形態では、高キュリー点軟磁性層4として、キュリー点が397℃(670K)であるNi78Fe22を用いることができるが、他の材料を用いてもよい。高キュリー点軟磁性層4としてNi78Fe22を用いると、高キュリー点軟磁性層4の温度が397℃(670K)未満の場合、高キュリー点軟磁性層4は軟磁性体として機能する。図1に示すように、2つの高キュリー
点軟磁性層4が略平行に対向するように配置されている。
読み取り用磁気抵抗効果素子2は、略平行に対向するように配置された高キュリー点軟磁性層4の一方と接するように設置されている。読み取り用磁気抵抗効果素子2に接する高キュリー点軟磁性層4の磁化方向によって、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値は異なる。読み取り用磁気抵抗効果素子2に接する高キュリー点軟磁性層4の磁化方向は、その高キュリー点軟磁性層4を流れる磁束の向きによって変化する。端子膜3は、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値を読み取る端子である。
永久磁石である面内磁化硬磁性層10は磁束を発生させる。永久磁石から発生した磁束は高キュリー点軟磁性層4に流れ、高キュリー点軟磁性層4の磁化方向を変化させる。本実施形態では、面内磁化硬磁性層10として、CoCrPtを用いることができるが、キュリー点が427℃(700K)以上であるCoPt系高磁性材料などを用いてもよい。本実施形態では、面内磁化硬磁性層10の磁化方向は読み取り用磁気抵抗効果素子2の方向に向けられている。
低キュリー点軟磁性層9は、所定温度以上で磁性を失う軟磁性材料である。本実施形態では、低キュリー点軟磁性層9として、キュリー点が約97℃(370K)である(FeNi)98128を用いることができるが、他の材料を用いてもよい。低キュリー点軟磁
性層9の温度が97℃(370K)未満の場合、低キュリー点軟磁性層9は軟磁性体として機能し、磁路を形成する。一方、低キュリー点軟磁性層9の温度が97℃(370K)以上の場合、低キュリー点軟磁性層9は磁性を失い、磁路を形成しない。低キュリー点軟磁性層9の温度が97℃(370K)未満である場合、低キュリー点軟磁性層9は、面内磁化硬磁性層10が発生する磁束を流す磁路を形成する。本実施形態では、磁束が流れる磁束の路を磁路という。
反強磁性層6は、常温では磁性を備えておらず、反強磁性層6の温度が所定温度以上になった場合、軟磁性体として機能する。本実施形態では、約80℃(353K)以上で軟磁性を獲得するFeRhを用いることができるが、他の材料を用いてもよい。反強磁性層6の温度が80℃(353K)以上の場合、反強磁性層6は軟磁性体として機能し、磁路を形成する。一方、反強磁性層6の温度が80℃(353K)未満の場合、反強磁性層6は軟磁性体として機能せず、磁路を形成しない。
下地層5は、反強磁性層6の結晶構造を調節するための下地であり、絶縁層としても機能する。本実施形態では、下地層5としてMgOを用いることができるが、他の材料を用いてもよい。発熱抵抗層7は、電流が供給されることにより発熱する。本実施形態では、発熱抵抗層7として、SiNを用いることができるが、他の材料を用いてもよい。
垂直磁化硬磁性層8は、垂直磁化硬磁性層8の温度が所定温度以上になった場合、磁性を失う硬磁性材料である。磁性を失った場合、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向は、外部から流れてくる磁束の向きにより変化する。本実施形態では、垂直磁化硬磁性層8として、キュリー点が約227℃(500K)であるTbFeCoを用いることができるが、他の材料を用いてもよい。SiO2膜11は、電流が垂直磁化硬磁性層8などに流れないよう
にするための絶縁物である。
図3及び図4に、本実施形態の磁気記憶素子1の平面図を示す。図3は、図1に示す本実施形態の磁気記憶素子1の上面図である。なお、図3では、SiO2膜11は省略して
ある。図4は、図1に示す本実施形態の磁気記憶素子1の下面図である。なお、図4では、SiO2膜11、端子膜3及び下地層5は省略してある。
読み取り用磁気抵抗効果素子2は、面内磁化硬磁性層10と記録セルとの間に設置される。記録セルとは、反強磁性層6、発熱抵抗層7及び垂直磁化硬磁性層8から成る積層構造体のうち、反強磁性層6、発熱抵抗層7及び垂直磁化硬磁性層8から成る積層構造体と交わるように略平行に配置された2つの高キュリー点軟磁性層4に挟まれた部分である。反強磁性層6、発熱抵抗層7及び垂直磁化硬磁性層8から成る積層構造体は、複数設置される。また、略平行に対向するように配置された高キュリー点軟磁性層4の組が複数設置される。
反強磁性層6、発熱抵抗層7及び垂直磁化硬磁性層8から成る積層構造体は、反強磁性層6の上に発熱抵抗層7が形成され、その発熱抵抗層7の上に垂直磁化硬磁性層8が形成され、その垂直磁化硬磁性層8の上に更に発熱抵抗層7が形成されている。本実施形態では、垂直磁化硬磁性層8を挟むように設置された各発熱抵抗層7の膜厚は、等しくさせてある。すなわち、高キュリー点軟磁性層4と垂直磁化硬磁性層8との間に設置された発熱抵抗層7と、垂直磁化硬磁性層8と反強磁性層6との間に設置された発熱抵抗層7とは、膜厚が等しい。
また、読み取り用磁気抵抗効果素子2と面内磁化硬磁性層10との間には、低キュリー点軟磁性層9及び発熱抵抗層7から成る積層構造体が設置される。低キュリー点軟磁性層9及び発熱抵抗層7から成る積層構造体は、発熱抵抗層7の上に低キュリー点軟磁性層9が形成され、その低キュリー点軟磁性層9の上に更に発熱抵抗層7が形成されている。
さらに、面内磁化硬磁性層10を挟むように、反強磁性層6、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体が面内磁化硬磁性層10の横に設置される。反強磁性層6、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体は、反強磁性層6の上に発熱抵抗層7が形成され、その発熱抵抗層7の上に低キュリー点軟磁性層9が形成され、その低キュリー点軟磁性層9の上に更に発熱抵抗層7が形成されている。
本実施形態では、反強磁性層6、低キュリー点軟磁性層9又は垂直磁化硬磁性層8の温度を上昇させる手段として、発熱抵抗層7及び発熱抵抗層7に供給する電圧・電流を利用する。すなわち、発熱抵抗層7に電流が流れると発熱抵抗層7は発熱し、発熱抵抗層7と接する部位の温度を上昇させる。
〈記録動作〉
本実施形態の磁気記憶素子1の記録動作について説明する。記録の対象となる記録セルは、高キュリー点軟磁性層4と、その高キュリー点軟磁性層4と交わる反強磁性層6、発熱抵抗層7及び垂直磁化硬磁性層8から成る積層構造体を適宜選択し、電流を流すことにより決定する。そして、本実施形態の磁気記憶素子1の記録は、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定めることにより行われる。垂直磁化硬磁性層8の磁化方向は、外部の磁化方向、すなわち垂直磁化硬磁性層8に流れる磁束の向きにより定まる。本実施形態では、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が垂直磁化硬磁性層8に流れる向きで定める。したがって、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を垂直磁化硬磁性層8に流す必要がある。しかし、面内磁化硬磁性層10の横に設置された低キュリー点軟磁性層9の温度が97℃(370K)未満であり、反強磁性層6の温度が80℃(353K)未満である場合、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束は、図5のA及びBの軌道をとる。そのため、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束は、垂直磁化硬磁性層8に流れることなく再び面内磁化硬磁性層10に戻る。
本実施形態では、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を垂直磁化硬磁性層8に流すための磁気回路を形成することにより、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める。すなわち、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を高キュリー点軟磁性層4に流し、高キュリ
ー点軟磁性層4の中を流れる磁束を垂直磁化硬磁性層8へ向かうようにして垂直磁化硬磁性層8に流す。本実施形態では、磁束が流れる経路のことを磁気回路という。
垂直磁化硬磁性層8は、垂直磁化硬磁性層8の温度が約227℃(500K)未満の場合は、硬磁性体として機能する。そのため、外部から流れてくる弱い磁束では、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向は変化しない。しかし、垂直磁化硬磁性層8は、垂直磁化硬磁性層8の温度が約227℃(500K)以上になった場合、磁性を失う。そこで、垂直磁化硬磁性層8の温度を約227℃(500K)以上にし、垂直磁化硬磁性層8に磁束を流して垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を変化させる。
本実施形態では、磁気記憶素子1の記録は、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を高キュリー点軟磁性層4と交差する方向(反強磁性層6、発熱抵抗層7及び垂直磁化硬磁性層8から成る積層構造体の積層方向)に向けることにより行われる。垂直磁化硬磁性層8の磁化方向が高キュリー点軟磁性層4と交わる方向は2方向あるため、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が、対向して配置された高キュリー点軟磁性層4のどちらの経路を通って垂直磁化硬磁性層8の中を流れるかによって垂直磁化硬磁性層8の磁化方向は定まる。
図6に示すように、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れて、垂直磁化硬磁性層8の中を流れる場合、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向は、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が流れた高キュリー点軟磁性層4Aと対向して配置された高キュリー点軟磁性層4Bの方向に向けられる。一方、図7に示すように、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れて、垂直磁化硬磁性層8の中を流れる場合、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向は、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が流れた高キュリー点軟磁性層4Bと対向して配置された高キュリー点軟磁性層4Aの方向に向けられる。なお、図6から図10およびその説明において、高キュリー点軟磁性層4と表記する場合、高キュリー点軟磁性層4A及び高キュリー点軟磁性層4Bの両方を含むものとする。
面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を高キュリー点軟磁性層4の中に流す動作について説明する。ここでは、図6に示すように、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を高キュリー点軟磁性層4Aの中に流す動作について説明する。
まず、高キュリー点軟磁性層4Bと、低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体とを選択する。この場合、記録の対象となる記録セルの上に設置された高キュリー点軟磁性層4Bを選択する。また、面内磁化硬磁性層10の磁化方向に設置された低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体を選択する。図6では、面内磁化硬磁性層10の磁化方向は右方向であるため、面内磁化硬磁性層10の右に設置された低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体を選択する。
選択した高キュリー点軟磁性層4Bの一方の端部にLowレベルの電圧をかけ、選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の一方の端部の反強磁性層6にHighレベルの電圧をかける。電圧をかけることにより、選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の一方の端部の反強磁性層6から、選択した高キュリー点軟磁性層4Bの一方の端部に電流が流れる。この場合、図示しない電圧供給手段(電流供給手段)により高キュリー点軟磁性層4B及び反強磁性層6に電圧をかける。
選択した高キュリー点軟磁性層4Bと、選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体との交点では、反強磁性層6、低キュリー点軟磁
性層9、低キュリー点軟磁性層9を挟む2つの発熱抵抗層7、及び高キュリー点軟磁性層4Bに電流が流れる。そのため、選択した高キュリー点軟磁性層4Bと、選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体との交点に位置する2つの発熱抵抗層7が発熱する。
図8は、図1に示す本実施形態の磁気記憶素子1の上面図である。なお、図8では、SiO2膜11は省略してある。例えば、図8のI1からI4に電流を流した場合、図8の
交点Cに位置する2つの発熱抵抗層7が発熱する。反強磁性層6及び低キュリー点軟磁性層9は、それぞれ発熱抵抗層7と接しているため、発熱抵抗層7が発熱した場合、発熱抵抗層7で発生するジュール熱により反強磁性層6及び低キュリー点軟磁性層9の温度は上昇する。
反強磁性層6の温度が約80℃(353K)以上になると反強磁性層6は、軟磁性体として機能する。また、低キュリー点軟磁性層9の温度が約97℃(370K)以上になると低キュリー点軟磁性層9は磁性を失う。したがって、選択した高キュリー点軟磁性層4Bと、選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の交点Cに位置する低キュリー点軟磁性層9は磁性を失い、反強磁性層6は軟磁性体として機能する。反強磁性層6の温度の上昇値と発熱抵抗層7に供給する電圧・電流の値との関係は、実験又はシミュレーションによって求めておけばよい。
面内磁化硬磁性層10の磁化方向に設置された反強磁性層6が軟磁性体として機能する場合、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束は、高キュリー点軟磁性層4Aが設置された方向に進みながら反強磁性層6の中を流れる。また、面内磁化硬磁性層10の磁化方向に設置された低キュリー点軟磁性層9が磁性を失った場合、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束は、低キュリー点軟磁性層9の中をほとんど流れなくなり、軟磁性体として機能する反強磁性層6の中を流れるようになる。そして、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束は、面内磁化硬磁性層10の磁化方向と同一方向に向かって進む。
次に、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束を、読み取り用磁気抵抗効果素子2と面内磁化硬磁性層10との間に設置された低キュリー点軟磁性層9及び発熱抵抗層7から成る積層構造体の中に流さずにそのまま直進させる動作について説明する。高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束を、読み取り用磁気抵抗効果素子2と面内磁化硬磁性層10との間に設置された低キュリー点軟磁性層9及び発熱抵抗層7から成る積層構造体の中を流さずにそのまま直進させる動作のことを、以下では、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束を直進させる動作という。
まず、高キュリー点軟磁性層4Bを選択する。この場合、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を高キュリー点軟磁性層4Aの中を流す動作において既に選択された高キュリー点軟磁性層4Bを選択する。
選択した高キュリー点軟磁性層4Bの一方の端部にLowレベルの電圧をかけ、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体の一方の端部の低キュリー点軟磁性層9にHighレベルの電圧をかける。電圧をかけることにより、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体の一方の端部の低キュリー点軟磁性層9から、選択した高キュリー点軟磁性層4Bの一方の端部に電流が流れる。この場合、図示しない電圧供給手段(電流供給手段)により高キュリー点軟磁性層4B及び低キュリー点軟磁性層9に電圧をかける。
選択した高キュリー点軟磁性層4Bと、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体との交点では、低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び高キュリー点
軟磁性層4Bに電流が流れる。そのため、選択された高キュリー点軟磁性層4Bと、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体との交点に位置する発熱抵抗層7が発熱する。
例えば、図8のI2からI4に電流を流した場合、交点Dに位置する発熱抵抗層7が発熱する。低キュリー点軟磁性層9は、発熱抵抗層7と接しているため、発熱抵抗層7が発熱した場合、発熱抵抗層7で発生するジュール熱により低キュリー点軟磁性層9の温度は上昇する。
低キュリー点軟磁性層9の温度が97℃(370K)以上になると、低キュリー点軟磁性層9は磁性を失う。低キュリー点軟磁性層9が磁性を失った場合、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束は、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体の中を流れずにそのまま高キュリー点軟磁性層4Aの中を直進する。低キュリー点軟磁性層9の温度の上昇値と発熱抵抗層7に供給する電圧・電流の値との関係は、実験又はシミュレーションによって求めておけばよい。
次に、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束を垂直磁化硬磁性層8へ向かうようにし、垂直磁化硬磁性層8の中に磁束を流すことにより垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作について説明する。以下では、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束を垂直磁化硬磁性層8へ向かうようにし、垂直磁化硬磁性層8の中に磁束を流すことにより、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作を、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束により垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作という。
まず、高キュリー点軟磁性層4Bを選択する。この場合、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を高キュリー点軟磁性層4Aの中を流す動作において既に選択された高キュリー点軟磁性層4Bを選択する。また、記録の対象となる記録セルを備えた低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体を選択する。
選択した高キュリー点軟磁性層4Bの一方の端部にLowレベルの電圧をかけ、選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の一方の端部の反強磁性層6にHighレベルの電圧をかける。電圧をかけることにより、選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の一方の端部の反強磁性層6から、選択した高キュリー点軟磁性層4Bの一方の端部に電流が流れる。この場合、図示しない電圧供給手段(電流供給手段)により高キュリー点軟磁性層4B及び反強磁性層6に電圧をかける。
選択した高キュリー点軟磁性層4Bと、選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体との交点では、反強磁性層6、垂直磁化硬磁性層8、垂直磁化硬磁性層8を挟む2つの発熱抵抗層7及び高キュリー点軟磁性層4Bに電流が流れる。そのため、選択した高キュリー点軟磁性層4Bと、選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体との交点に位置する2つの発熱抵抗層7が発熱する。
例えば、図8のI3からI4に電流を流した場合、交点Eに位置する2つの発熱抵抗層7が発熱する。反強磁性層6及び垂直磁化硬磁性層8は、それぞれ発熱抵抗層7と接しているため、発熱抵抗層7が発熱した場合、発熱抵抗層7で発生するジュール熱により反強磁性層6及び垂直磁化硬磁性層8の温度は上昇する。
高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束を垂直磁化硬磁性層8へ向かうようにするためには、反強磁性層6を軟磁性体として機能させ、反強磁性層6の中を磁束が流れるよ
うにする必要がある。また、反強磁性層6の中を流れる磁束が垂直磁化硬磁性層8の中を流れ、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定めるためには、垂直磁化硬磁性層8の磁性を失わせる必要がある。
垂直磁化硬磁性層8の磁性を失わせるためには、垂直磁化硬磁性層8の温度を約230℃(503K)まで上昇させる必要がある。垂直磁化硬磁性層8は、2つの発熱抵抗層7と接しているのに対し、反強磁性層6は、1つの発熱抵抗層7と接している。また、本実施形態では、垂直磁化硬磁性層8を挟むように設置された各発熱抵抗層7の膜厚は等しい。そのため、垂直磁化硬磁性層8に与えられる熱量は、反強磁性層6に与えられる熱量のほぼ倍となる。例えば、垂直磁化硬磁性層8の温度を30℃(303K)から、垂直磁化硬磁性層8のキュリー点である230℃(503K)まで上昇させた場合、反強磁性層6の温度は、約130℃(403K)となる。反強磁性層6の温度が130℃(403K)となる場合、反強磁性層6は軟磁性体として良好な特性を示す。
そこで、発熱抵抗層7に供給する電圧・電流を制御し、垂直磁化硬磁性層8の温度を230℃(503K)まで上昇させ、反強磁性層6の温度を130℃(403K)まで上昇させる。垂直磁化硬磁性層8の温度を230℃(503K)まで上昇させ、反強磁性層6の温度を130℃(403K)まで上昇させた場合、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束は、反強磁性層6の中を流れて垂直磁化硬磁性層8の中に流れる。そのため、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向が定まる。垂直磁化硬磁性層8の中を流れた磁束は、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れ、再び面内磁化硬磁性層10に戻る。なお、垂直磁化硬磁性層8の温度の上昇値と発熱抵抗層7に供給する電圧・電流の値との関係は、実験又はシミュレーションによって求めておけばよい。
上記では、説明の便宜のため、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を高キュリー点軟磁性層4Aの中に流す動作、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束を直進させる動作、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束により垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作を別々に説明したが、これらの動作は全て同時に行うものとする。すなわち、記録の対象となる記録セルの上に設置された高キュリー点軟磁性層4B、面内磁化硬磁性層10の横に配置され、面内磁化硬磁性層10の磁化方向に設置された反強磁性層6、面内磁化硬磁性層10と読み取り用磁気抵抗効果素子2との間に設置された低キュリー点軟磁性層9、記録の対象となる記録セルに繋がる反強磁性層6にそれぞれ電圧をかける。このようにすれば、図6に示すように、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が、面内磁化硬磁性層10の横に配置され、面内磁化硬磁性層10の磁化方向に設置された反強磁性層6の中を流れる。そして、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束は、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れ、記録セルの中を流れる。次に、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束は、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れて、面内磁化硬磁性層10の磁化方向の反対方向に設置された低キュリー点軟磁性層9の中を流れて、再び面内磁化硬磁性層10に戻る。このような磁気回路が形成されることにより、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が流れた高キュリー点軟磁性層4Aと対向して配置された高キュリー点軟磁性層4Bの方向に、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向が定まる。
次に、図7に示すように、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を高キュリー点軟磁性層4Bの中に流す動作について説明する。
まず、高キュリー点軟磁性層4Bと、低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体とを選択する。この場合、記録の対象となる記録セルの上に設置された高キュリー点軟磁性層4Bを選択する。また、面内磁化硬磁性層10の磁化方向と反対方向に設置された低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体を選択する。図7では、面内磁化硬磁性層10の磁化方向は右方向である
ため、面内磁化硬磁性層10の左に設置された低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体を選択する。
選択した高キュリー点軟磁性層4Bの一方の端部及び選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の一方の端部の反強磁性層6に電圧をかける。電圧をかけることにより、選択した高キュリー点軟磁性層4Bの一方の端部と、選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の一方の端部の反強磁性層6との間で電流が流れる。この場合、図示しない電圧供給手段(電流供給手段)により高キュリー点軟磁性層4B及び反強磁性層6に電圧をかける。
選択した高キュリー点軟磁性層4Bと、選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体との交点では、反強磁性層6、発熱抵抗層7、低キュリー点軟磁性層9及び高キュリー点軟磁性層4Bに電流が流れる。そのため、選択した高キュリー点軟磁性層4Bと、選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体との交点に位置する発熱抵抗層7が発熱する。
例えば、図8のI5からI4に電流を流した場合、交点Fに位置する発熱抵抗層7が発熱する。反強磁性層6及び低キュリー点軟磁性層9は、それぞれ発熱抵抗層7と接しているため、発熱抵抗層7が発熱した場合、発熱抵抗層7で発生するジュール熱により反強磁性層6及び低キュリー点軟磁性層9の温度は上昇する。
反強磁性層6の温度が約80℃(353K)以上になると反強磁性層6は、軟磁性体として機能する。また、低キュリー点軟磁性層9の温度が約97℃(370K)以上になると低キュリー点軟磁性層9は磁性を失う。したがって、選択した高キュリー点軟磁性層4Bと、選択した低キュリー点軟磁性層9、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の交点に位置する低キュリー点軟磁性層9は磁性を失い、反強磁性層6は軟磁性体として機能する。反強磁性層6の温度の上昇値と発熱抵抗層7に供給する電圧・電流の値との関係は、実験又はシミュレーションによって求めておけばよい。
面内磁化硬磁性層10の磁化方向の反対方向に設置された反強磁性層6が軟磁性体として機能する場合、面内磁化硬磁性層10に流れ込む磁束は、高キュリー点軟磁性層4Aから面内磁化硬磁性層10に向かって、面内磁化硬磁性層10の磁化方向の反対方向に設置された反強磁性層6の中を流れる。
通常、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束は、面内磁化硬磁性層10の磁化方向に設置された低キュリー点軟磁性層9の中を流れて高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる。面内磁化硬磁性層10の磁化方向と反対方向に設置された低キュリー点軟磁性層9が磁性を失っていない場合、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる磁束は、面内磁化硬磁性層10の磁化方向と反対方向に設置された低キュリー点軟磁性層9の中を流れて再び面内磁化硬磁性層10に戻る。
一方、面内磁化硬磁性層10の磁化方向と反対方向に設置された低キュリー点軟磁性層9が磁性を失った場合、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる磁束は、面内磁化硬磁性層10の磁化方向と反対方向に設置された低キュリー点軟磁性層9の中をほとんど流れなくなる。そして、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる磁束は、面内磁化硬磁性層10の磁化方向と同一方向に向かって進む。
高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる磁束を、読み取り用磁気抵抗効果素子2と面内磁化硬磁性層10との間に設置された低キュリー点軟磁性層9及び発熱抵抗層7から成る積層構造体の中に流さずにそのまま直進させる動作は、上記で説明した高キュリー点軟磁
性層4Aの中を流れる磁束を直進させる動作と同様であるので、ここではその説明を省略する。
また、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる磁束を垂直磁化硬磁性層8へ向かうようにし、垂直磁化硬磁性層8の中に磁束を流すことにより垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作は、上記で説明した高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れる磁束により垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作と同様であるので、ここではその説明を省略する。以下では、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる磁束を垂直磁化硬磁性層8へ向かうようにし、垂直磁化硬磁性層8の中に磁束を流すことにより垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作を、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる磁束により垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作という。
上記では、説明の便宜のため、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束を高キュリー点軟磁性層4Bの中に流す動作、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる磁束を直進させる動作、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れる磁束により垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作を別々に説明したが、これらの動作は全て同時に行うものとする。すなわち、記録の対象となる記録セルの上に設置された高キュリー点軟磁性層4B、面内磁化硬磁性層10の横に配置され、面内磁化硬磁性層10の磁化方向と反対方向に設置された反強磁性層6、面内磁化硬磁性層10と読み取り用磁気抵抗効果素子2との間に設置された低キュリー点軟磁性層9、記録の対象となる記録セルに繋がる反強磁性層6にそれぞれ電圧をかける。このようにすれば、図7に示すように、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が、面内磁化硬磁性層10の横に配置され、面内磁化硬磁性層10の磁化方向に設置された低キュリー点軟磁性層9の中を流れる。そして、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束は、高キュリー点軟磁性層4Bの中を流れ、記録セルの中を流れる。次に、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束は、高キュリー点軟磁性層4Aの中を流れて、面内磁化硬磁性層10の磁化方向の反対方向に設置された反強磁性層6の中を流れて、再び面内磁化硬磁性層10に戻る。このような磁気回路が形成されることにより、面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が流れた高キュリー点軟磁性層4Aの方向に、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向が定まる。
上記では、一つの記録セルの垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を定める動作について説明したが、本実施形態の磁気記憶素子1の記録動作は、垂直磁化硬磁性層8の磁化を同じ向きにしたい記録セルを同時に複数選択して行うことができる。
〈読み出し動作〉
本実施形態の磁気記憶素子1の読み出し動作について説明する。具体的には、読み取り用磁気抵抗効果素子2に接する高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向を変化させる磁気回路を形成する。そして、読み取り用磁気抵抗効果素子2に接する高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向を変化させることによって起こる読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値の変化を検出する。
高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向によって、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値は変化する。読み取り用磁気抵抗効果素子2の磁化方向が、高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向に対して反対方向となる場合、読み取り用磁気抵抗効果素子2の磁化方向が高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向に対して同方向となる場合と比べて、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値が増大する。
本実施形態では、読み取り用磁気抵抗効果素子2の磁化方向と、高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向とが同方向となる場合の読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値を、抵抗値小と定義される。また、本実施形態では、読み取り用磁気抵抗効果素子2の磁化方向と
、高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向とが反対方向となる場合の読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値を、抵抗値大と定義される。
本実施形態の磁気記憶素子1の読み出し動作において、読み出しの対象となる記録セルは、垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の列を適宜選択し、電流を流すことにより決定する。
まず、読み出しの対象となる記録セルを備えた垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体を選択する。そして、選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の一方の端部の反強磁性層6にHighレベルの電圧をかけ、選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の他方の端部の垂直磁化硬磁性層8にLowレベルの電圧をかける。
電圧をかけることにより、選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の一方の端部の反強磁性層6から、選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の一方の端部の垂直磁化硬磁性層8の端部に電流が流れる。
選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体では、反強磁性層6、垂直磁化硬磁性層8、反強磁性層6と垂直磁化硬磁性層8との間に設置された発熱抵抗層7に電流が流れる。そのため、選択した垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体では、反強磁性層6と垂直磁化硬磁性層8との間に設置された発熱抵抗層7が発熱する。
例えば、図8のI3からI6に電流を流した場合、垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の反強磁性層6と垂直磁化硬磁性層8との間に設置された発熱抵抗層7が発熱する。反強磁性層6及び垂直磁化硬磁性層8は、反強磁性層6と垂直磁化硬磁性層8との間に設置された発熱抵抗層7と接しているため、発熱抵抗層7が発熱した場合、発熱抵抗層7で発生するジュール熱により反強磁性層6及び垂直磁化硬磁性層8の温度は上昇する。
本実施形態の磁気記憶素子1の読み出し動作では、反強磁性層6と垂直磁化硬磁性層8との間に設置された発熱抵抗層7を発熱させ、反強磁性層6の温度を約80℃(353K)に上昇させる。反強磁性層6の温度を約80℃(353K)に上昇させた場合、反強磁性層6は軟磁性体として機能する。また、反強磁性層6の温度を約80℃(353K)に上昇させた場合、発熱した発熱抵抗層7と接する垂直磁化硬磁性層8の温度も約80℃(353K)に上昇する。垂直磁化硬磁性層8の温度が約80℃(353K)の場合、垂直磁化硬磁性層8は硬磁性を失わず、垂直磁化硬磁性層8の磁化も十分大きい。
反強磁性層6が軟磁性体として機能する場合、高キュリー点軟磁性層4A、反強磁性層6、垂直磁化硬磁性層8および高キュリー点軟磁性層4Bからなる磁気回路が形成される。このような磁気回路が形成された場合、高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向は、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向に支配される。すなわち、高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向は、高キュリー点軟磁性層4A、反強磁性層6、垂直磁化硬磁性層8および高キュリー点軟磁性層4Bによって形成される磁気回路の中を流れる磁束の方向に向けられる。高キュリー点軟磁性層4A、反強磁性層6、垂直磁化硬磁性層8および高キュリー点軟磁性層4Bによって形成された磁気回路の中では、磁束は垂直磁化硬磁性層8の磁化方向に沿って流れる。
例えば、図9に示すように、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向は、高キュリー点軟磁性層
4Bが設置された方向に向けられている。この場合、高キュリー点軟磁性層4A、反強磁性層6、垂直磁化硬磁性層8、高キュリー点軟磁性層4Bによって形成された磁気回路の高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向は、垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体が設置された方向(図9では、右方向)となる。
また、例えば、図10に示すように、垂直磁化硬磁性層8の磁化方向は、高キュリー点軟磁性層4Aが設置された方向に向けられている。この場合、高キュリー点軟磁性層4A、反強磁性層6、垂直磁化硬磁性層8、高キュリー点軟磁性層4Bによって形成された磁気回路の高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向は、垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体が設置された方向と反対方向(図10では、左方向)となる。
高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向によって、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値は変化するため、記録セルに記録された内容(すなわち記録セルの垂直磁化硬磁性層8の磁化方向)を読み出すことができる。
例えば、読み取り用磁気抵抗効果素子2の磁化方向を垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体が設置された方向(図9及び図10では右方向)に固定する。また、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値が抵抗値大の場合は“1”とし、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値が抵抗値小の場合は“0”として論理定義する。
図9に示すように、高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向が、垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体が設置された方向(図9では、右方向)となる場合、読み取り用磁気抵抗効果素子2の磁化方向は、高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向と同方向となる。したがって、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値は、抵抗値小となる。
一方、高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向が、垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体が設置された方向と反対方向(図10では、左方向)となる場合、読み取り用磁気抵抗効果素子2の磁化方向は、高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向と反対方向となる。したがって、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値は、抵抗値大となる。
読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値の変化を検出することによって、記録セルの垂直磁化硬磁性層8の磁化方向を“1”又は“0”という情報として読み出すことができる。
このように、読み取り用磁気抵抗効果素子2の抵抗値を検出することにより、記録セルに記録された情報を読み出すことができる。また、本実施形態の磁気記憶素子1の読み出し動作は、垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の列を独立して選択することができる。そして、選択された垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体が備える記録セル全てに対して同時に読み出し動作を行う。したがって、選択された垂直磁化硬磁性層8、発熱抵抗層7及び反強磁性層6から成る積層構造体の列が備える記録セルに記録された情報を全て同時に読み出すことができる。
本実施形態では、記録動作を行うために供給する電流は、発熱抵抗層7を発熱させるために必要な量でよい。したがって、本実施形態で供給する電流量は、電流を供給することによって磁界を発生させ、その磁界により高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向を変更さ
せるのに必要な電流量よりも少ない量でよい。すなわち、記録動作に必要な電流は、磁気記憶素子1の一部の温度を上げるためだけに必要な量になるため、磁気記憶素子1の微細化と記録動作の電流密度とが相反する問題を克服することができる。その結果、高集積度化を行うことができ、さらに低消費電力を実現することができる。
また、本実施形態によれば、読み取り用磁気抵抗効果素子2を加熱することなく、記録セルに記録された情報を読み出すことができる。そのため、読み取り用磁気抵抗効果素子2が加熱されることがなくなり、読み取り用磁気抵抗効果素子2の劣化を低減することができる。
次に、図11から図25を参照して、本実施形態の磁気記憶素子1の作製方法について説明する。まず、図11に示すように、ケイ素(Si)基板31上に反強磁性膜21、ピンド層22、中間層23を形成する。なお、図11およびそれ以降の図面では、反強磁性膜21は省略してある。そして、反強磁性膜21、ピンド層22、中間層23から構成される読み取り用磁気抵抗効果素子2を所望の形状及び大きさに成型するために読み取り用磁気抵抗効果素子2の中間層23の上にレジスト32を塗布し、パターニングを行う。
次に、イオンミリングにより読み取り用磁気抵抗効果素子2を成型する。図12に示すように、読み取り用磁気抵抗効果素子2を成型した後、端子膜3及び絶縁用のSiO2
11をレジスト32の上に成膜する。この場合、端子膜3、SiO2膜11の順に成膜す
る。なお、図12およびそれ以降の図面では、ケイ素基板31は省略してある。図13に、図12のF1−F2の断面図を示す。
そして、リフトオフプロセスにより、読み取り用磁気抵抗効果素子2の中間層23の上のレジスト32、端子膜3及びSiO2膜11を除去した後、読み取り用磁気抵抗効果素
子2の中間層23を露出させ、高キュリー点軟磁性層4をSiO2膜及び読み取り用磁気
抵抗効果素子2の上に成膜する。図14は、SiO2膜11及び読み取り用磁気抵抗効果
素子2の上に高キュリー点軟磁性層4を成膜した後の構造図である。また、図15は、SiO2膜11及び読み取り用磁気抵抗効果素子2の上に高キュリー点軟磁性層4を成膜し
た後の図14のG1−G2の断面図である。
高キュリー点軟磁性層4を成膜後、読み取り用磁気抵抗効果素子2を略矩形に成型し、端子膜3、SiO2膜11及び高キュリー点軟磁性層4から成る積層構造体を櫛状に成型
する。すなわち、読み取り用磁気抵抗効果素子2に対して、読み取り用磁気抵抗効果素子2の長手方向で所定サイズ及び所定間隔によりエッチングを行う。また、端子膜3、SiO2膜11及び高キュリー点軟磁性層4から成る積層構造体に対して、読み取り用磁気抵
抗効果素子2の長手方向と同方向で所定サイズ及び所定間隔によりエッチングを行う。エッチングされた読み取り用磁気抵抗効果素子2は、略矩形の形状となり所定間隔で配列される。また、エッチングされた端子膜3、SiO2膜11及び高キュリー点軟磁性層4か
ら成る積層構造体は、櫛状の形状となり所定間隔で配列される。図16は、読み取り用磁気抵抗効果素子2を略矩形の形状に成型し、端子膜3、SiO2膜11及び高キュリー点
軟磁性層4から成る積層構造体を櫛状の形状に成型した後の図14のG1−G2の断面図である。
次に、SiO2膜11のスパッタ、リフトオフプロセスにより、読み取り用磁気抵抗効
果素子2と、端子膜3、SiO2膜及び高キュリー点軟磁性層4から成る積層構造体とを
エッチングしたことによって生じた隙間をSiO2膜11で埋める。続いて、図17に示
すように、下地層5、反強磁性層6を高キュリー点軟磁性層4の上に成膜する。この場合、下地層5、反強磁性層6の順で成膜する。図17のH1−H2の断面図を図18に示す。
そして、反強磁性層6上にレジスト32を成膜し、そのレジスト32に対してパターニングを行う。この場合、読み取り用磁気抵抗効果素子2の垂直方向付近に成膜された発熱抵抗層7及び反強磁性層6を除去できるように、反強磁性層6上に成膜されたレジスト32に対してパターニングを行う。エッチングにより下地層5が露出するまで反強磁性層6を削り、反強磁性層6にパターンを形成する。反強磁性層6及び露出した下地層5の上に、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9を成膜する。この場合、発熱抵抗層7、低キュリー点軟磁性層9の順で成膜する。図19に、反強磁性層6及び露出した下地層5の上に、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9を成膜した後の構造図を示す。また、図19のJ1−J2の断面図を図20に示す。
次に、図19の正面右側の反強磁性層6の上に成膜された発熱抵抗層7を露出させるため、低キュリー点軟磁性層9上にレジスト32を成膜し、そのレジスト32に対してパターニングを行う。図19の正面右側の反強磁性層6上に成膜された発熱抵抗層7が露出するまでエッチングを行う。露出した発熱抵抗層7上に垂直磁化硬磁性層8及び保護層41を成膜する。この場合、垂直磁化硬磁性層8、保護層41の順で成膜する。本実施形態では、保護層41としてTa(タンタル)を使用するが、他の材料を使用してもよい。垂直磁化硬磁性層8及び保護層41の成膜後、リフトオフプロセスにより、低キュリー点軟磁性層9上のレジスト32を除去する。図21に、露出した発熱抵抗層7上に垂直磁化硬磁性層8及び保護層41を成膜した後の構造図を示す。
そして、低キュリー点軟磁性層9及び保護層41の上にレジスト32を成膜し、そのレジスト32に対してパターニングを行う。この場合、下地層5上に成膜された反強磁性層6、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体を2つに分割できるように、レジスト32に対してパターニングを行う。
また、下地層5上に成膜された発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体を、下地層5上に成膜された反強磁性層6、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から切り離せるように、レジスト32に対してパターニングを行う。
さらに、下地層5上に成膜された発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体を、下地層5上に成膜された反強磁性層6、発熱抵抗層7、垂直磁化硬磁性層8及び保護層41から成る積層構造体から切り離すことができるように、レジスト32に対してパターニングを行う。また、下地層5上に成膜された反強磁性層6、発熱抵抗層7、垂直磁化硬磁性層8及び保護層41から成る積層構造体を複数に分割できるように、レジスト32に対してパターニングを行う。
次に、下地層5が露出するまでエッチングを行い、SiO2膜11を成膜する。この場
合、SiO2膜11は約20nmの厚さで成膜する。図22に、下地層5が露出するまで
エッチングを行い、SiO2膜11を成膜した後の構造図を示す。
そして、2つに分割された下地層5、反強磁性層6及び低キュリー点軟磁性層9から成る積層構造体の間に面内磁化硬磁性層10を成膜する。本実施形態では、面内磁化硬磁性層10としてCoCrPtを使用するが、他の材料を使用してもよい。図23に面内磁化硬磁性層10を成膜した後の構造図を示す。
次に、隙間にSiO2膜11を埋め、低キュリー点軟磁性層9及び保護層41が露出す
るまでSiO2膜11をエッチングする。そして、発熱抵抗層7を約5nmで成膜した後
、発熱抵抗層7が低キュリー点軟磁性層9及び垂直磁化硬磁性層8の上に残るようにエッチングを行う。その後、発熱抵抗層7、SiO2膜11の上に高キュリー点軟磁性層4を
成膜する。そして、発熱抵抗層7、SiO2膜11の上に成膜された高キュリー点軟磁性
層4を、対向する櫛状の形状に成型された高キュリー点軟磁性層4と同一の形状に成型する。この場合、保護層41の上に成膜された発熱抵抗層7が露出するまで高キュリー点軟磁性層4をエッチングする。図24は、高キュリー点軟磁性層4をエッチングした後の構造図である。図24の矢印Kの方向からの側面図を図25に示す。図25において、SiO2膜11および端子膜3は省略してある。
上記で説明した方法によって、本実施形態の磁気記憶素子1を作製する。なお、上記作製方法で説明した保護層41は、図1および図3から図10では省略してある。また、上記作製方法において、下地層5を下地層5の上に成膜する反強磁性層6または発熱抵抗層7と同一の形状となるようにエッチングしてもよい。
(付記1)
磁束が流れる磁路を具備する磁気回路を形成する磁気記憶素子であって、
所定温度以上になると磁気回路を流れる磁束により磁化方向が定まり、所定温度未満になると磁束を発生する硬磁性層と、
電流が供給されることで発熱する発熱層と、
所定温度以上になると磁路を形成する反強磁性層と、
磁路を形成し、前記硬磁性層、前記発熱層および前記反強磁性層で構成される第1の積層構造体と接する第1の高キュリー点軟磁性層と、
磁路を形成し、前記第1の積層構造体と接する第2の高キュリー点軟磁性層とを備え、
前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって磁気回路が形成され、前記第1の高キュリー点軟磁性層から前記第2の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束または前記第2の高キュリー点軟磁性層から前記第1の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の磁化方向を定める磁気記憶素子。
(付記2)
磁束を発生する永久磁石と、
所定温度未満になると磁路を形成する低キュリー点軟磁性層とを更に備え、
前記永久磁石と接し、かつ前記第1の高キュリー点軟磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層と接する、前記反強磁性層、前記発熱層および前記低キュリー点軟磁性層で構成される第2の積層構造体が少なくとも2つ設置され、
一方の前記第2の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、一方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にするとともに一方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層の温度を所定温度以上にし、かつ前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、一方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に前記永久磁石が発生する磁束を流し、前記第1の高キュリー点軟磁性層から前記第2の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記硬磁性層の磁化方向を定める付記1に記載の磁気記憶素子。
(付記3)
他方の前記第2の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、他方の
前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にするとともに他方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層の温度を所定温度以上にし、かつ前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、一方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層、前記第2の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層および前記第1の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に前記永久磁石が発生する磁束を流し、前記第2の高キュリー点軟磁性層から前記第1の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の磁化方向を定める付記2に記載の磁気記憶素子。
(付記4)
磁束を発生する永久磁石と、
所定温度未満になると磁路を形成する低キュリー点軟磁性層とを更に備え、
前記永久磁石と接し、かつ前記第1の高キュリー点軟磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層と接する、前記反強磁性層、前記発熱層および前記低キュリー点軟磁性層で構成される第2の積層構造体が少なくとも2つ設置され、
一方の前記第2の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、一方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にするとともに一方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層の温度を所定温度以上にし、かつ前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、他方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層、前記第2の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層および前記第1の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に前記永久磁石が発生する磁束を流し、前記第2の高キュリー点軟磁性層から前記第1の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の磁化方向を定める付記1に記載の磁気記憶素子。
(付記5)
他方の前記第2の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、他方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にするとともに他方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層の温度を所定温度以上にし、かつ前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、他方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に前記永久磁石が発生する磁束を流し、前記第1の高キュリー点軟磁性層から前記第2の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記硬磁性層の磁化方向を定める付記4に記載の磁気記憶素子。
(付記6)
前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度未満にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にし、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層が発生する磁束により前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定める付記1から5のいずれかに記載の磁気記憶素子。
(付記7)
前記発熱層および前記低キュリー点軟磁性層で構成される第3の積層構造体が、前記磁気抵抗素子と前記永久磁石との間に設置され、前記第3の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、前記第3の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層の温度を所定の温度以上にする付記2から6のいずれかに記載の磁気記憶素子。
(付記8)
磁束が流れる磁路を具備する磁気回路を形成する磁気記憶素子であって、
磁束を発生する硬磁性層と、
電流が供給されることで発熱する発熱層と、
所定温度以上になると磁路を形成する反強磁性層と、
磁路を形成し、前記硬磁性層、前記発熱層および前記反強磁性層で構成される第1の積層構造体と接する第1の高キュリー点軟磁性層と、
磁路を形成し、前記第1の積層構造体と接する第2の高キュリー点軟磁性層とを備え、
前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にし、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層が発生する磁束により前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定める磁気記憶素子。
(付記9)
前記第1の高キュリー点軟磁性層の磁化方向により抵抗値が変化する磁気抵抗素子と、
前記磁気抵抗素子の抵抗値の変化を検出することにより前記第1の高キュリー点軟磁性層の磁化方向を判別する判別素子とを更に備える付記6から8のいずれかに記載の磁気記憶素子。
本実施形態の磁気記憶素子1の構造図である。 読み取り用磁気抵抗効果素子2の構造図である。 本実施形態の磁気記憶素子1の上面図である。 本実施形態の磁気記憶素子1の下面図である。 面内磁化硬磁性層10から発生した磁束の軌道を示した図である。 面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が流れる経路を示した図である。 面内磁化硬磁性層10から発生した磁束が流れる経路を示した図である。 本実施形態の磁気記憶素子1の上面図である。 高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向を説明した図である。 高キュリー点軟磁性層4Aの磁化方向を説明した図である。 ケイ素基板31上に反強磁性膜21、ピンド層22、中間層23を形成した後の構造図である。 読み取り用磁気抵抗効果素子2を成型し、端子膜3及び絶縁用のSiO2膜11をレジスト32の上に成膜した後の構造図である。 読み取り用磁気抵抗効果素子2を成型し、端子膜3及び絶縁用のSiO2膜11をレジスト32の上に成膜した後の図12のF1−F2の断面図である。 SiO2膜11及び読み取り用磁気抵抗効果素子2の上に高キュリー点軟磁性層を成膜した後の構造図である。 SiO2膜11及び読み取り用磁気抵抗効果素子2の上に高キュリー点軟磁性層を成膜した後の図14のG1−G2の断面図である。 読み取り用磁気抵抗効果素子2を略矩形の形状に成型し、端子膜3、SiO2膜11及び高キュリー点軟磁性層から成る積層構造体を櫛状の形状に成型した後の図14のG1−G2の断面図である。 下地層5、反強磁性層6を高キュリー点軟磁性層の上に成膜した後の構造図である。 下地層5、反強磁性層6を高キュリー点軟磁性層の上に成膜した後の図17のH1−H2の断面図である。 反強磁性層6及び露出した下地層5の上に、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9を成膜した後の構造図である。 反強磁性層6及び露出した下地層5の上に、発熱抵抗層7及び低キュリー点軟磁性層9を成膜した後の図19のJ1−J2の断面図である。 露出した発熱抵抗層7上に垂直磁化硬磁性層8及び保護層41を成膜した後の構造図である。 下地層5が露出するまでエッチングを行い、SiO2膜11を成膜した後の構造図である。 面内磁化硬磁性層10を成膜した後の構造図である。 高キュリー点軟磁性層をエッチングした後の構造図である。 高キュリー点軟磁性層をエッチングした後の側面図である。
符号の説明
1 磁気記憶素子
2 読み取り用磁気抵抗効果素子
3 端子膜
4、4A、4B 高キュリー点軟磁性層
5 下地層
6 反強磁性層
7 発熱抵抗層
8 垂直磁化硬磁性層
9 低キュリー点軟磁性層
10 面内磁化硬磁性層
11 SiO2
21 反強磁性膜
22 ピンド層
23 中間層
31 ケイ素基板
32 レジスト
41 保護層

Claims (6)

  1. 磁束が流れる磁路を具備する磁気回路を形成する磁気記憶素子であって、
    所定温度以上になると磁気回路を流れる磁束により磁化方向が定まり、所定温度未満になると磁束を発生する硬磁性層と、
    電流が供給されることで発熱する発熱層と、
    所定温度以上になると磁路を形成する反強磁性層と、
    磁路を形成し、前記硬磁性層、前記発熱層および前記反強磁性層で構成される第1の積層構造体と接する第1の高キュリー点軟磁性層と、
    磁路を形成し、前記第1の積層構造体と接する第2の高キュリー点軟磁性層とを備え、
    前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって磁気回路が形成され、前記第1の高キュリー点軟磁性層から前記第2の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束または前記第2の高キュリー点軟磁性層から前記第1の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の磁化方向を定める磁気記憶素子。
  2. 磁束を発生する永久磁石と、
    所定温度未満になると磁路を形成する低キュリー点軟磁性層とを更に備え、
    前記永久磁石と接し、かつ前記第1の高キュリー点軟磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層と接する、前記反強磁性層、前記発熱層および前記低キュリー点軟磁性層で構成される第2の積層構造体が少なくとも2つ設置され、
    一方の前記第2の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、一方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にするとともに一方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層の温度を所定温度以上にし、かつ前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、一方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に前記永久磁石が発生する磁束を流し、前記第1の高キュリー点軟磁性層から前記第2の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記硬磁性層の磁化方向を定める請求項1に記載の磁気記憶素子。
  3. 他方の前記第2の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、他方の前記第2の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にするとともに他方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層の温度を所定温度以上にし、かつ前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給することにより、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度以上にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にすることで、一方の前記第2の積層構造体が有する前記低キュリー点軟磁性層、前記第2の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層および前記第1の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路に前記永久磁石が発生する磁束を流し、前記第2の高キュリー点軟磁性層から前記第1の高キュリー点軟磁性層に向かって該磁気回路を流れる磁束により前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の磁化方向を定める請求項2に記載の磁気記憶素子。
  4. 前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層の温度を所定温度未満にするとともに前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にし、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層が発生する磁束により前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定める請求項1から3のいずれかに記載の磁気記憶素子。
  5. 磁束が流れる磁路を具備する磁気回路を形成する磁気記憶素子であって、
    磁束を発生する硬磁性層と、
    電流が供給されることで発熱する発熱層と、
    所定温度以上になると磁路を形成する反強磁性層と、
    磁路を形成し、前記硬磁性層、前記発熱層および前記反強磁性層で構成される第1の積層構造体と接する第1の高キュリー点軟磁性層と、
    磁路を形成し、前記第1の積層構造体と接する第2の高キュリー点軟磁性層とを備え、
    前記第1の積層構造体が有する前記発熱層に電流を供給し、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層の温度を所定温度以上にし、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層が発生する磁束により前記第1の高キュリー点軟磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記硬磁性層、前記第1の積層構造体が有する前記反強磁性層および前記第2の高キュリー点軟磁性層によって形成された磁気回路の磁化方向を定める磁気記憶素子。
  6. 前記第1の高キュリー点軟磁性層の磁化方向により抵抗値が変化する磁気抵抗素子と、
    前記磁気抵抗素子の抵抗値の変化を検出することにより前記第1の高キュリー点軟磁性層の磁化方向を判別する判別素子とを更に備える請求項4または5に記載の磁気記憶素子。
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