JP2008235031A - 触媒、触媒の製造方法、膜電極複合体及び燃料電池 - Google Patents

触媒、触媒の製造方法、膜電極複合体及び燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高活性かつ高安定性を有する触媒、触媒の製造方法、膜電極複合体および燃料電池を提供する。
【解決手段】下記(1)式で表される組成を有し、T元素がSi、W、Mo、V、Ta及びCrのいずれかを含む場合、XPSよるスペクトルにおける酸素結合持つT元素の量が、金属結合を持つT元素の量の4倍以下であり、T元素がTi、Hf、Sn、Zr及びNbのいずれかを含む場合、XPSによるスペクトルにおける金属結合を持つT元素の量が、酸素結合を持つT元素の量の2倍以下である触媒粒子を含むことを特徴とする。
PtuRuxAlyTz (1)
(但し、前記T元素は、Si、W、Mo、V、Ta、Ti、Hf、Sn、Zr、Nb及びCrよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、uおよびxは、それぞれ、30〜60atm%、0〜50atm%で、yは0.5〜20atm%、zは0.5〜40atm%である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、触媒と、膜電極複合体と、燃料電池及び触媒の製造方法に関する。
燃料電池では化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換でき、かつ環境に優しい発電手段として昨今注目を浴びている。例えば直接メタノール型燃料電池(DMFC)は変換効率が理論上97%、水素を燃料とする場合(PEFC)は理論上83%と高い。
特に、DMFCは液体燃料を直接供給するため改質器が不要となり、低温運転に適していることから、携帯機器用二次電池の代替電源としての期待が高い。
DMFC用のメタノール酸化触媒として現在主に使われているのは白金が一般であるが、中間生成物である一酸化炭素により白金表面が被毒される結果、触媒活性が著しく低下するという問題点がある。
被毒を解消する手段として例えばPtRu合金の使用が挙げられる。PtRu合金ではRu表面に吸着した酸素種が白金表面に吸着した一酸化炭素と反応するため、一酸化炭素による被毒が起こりにくく、触媒の活性低下が抑えられると考えられる。しかしながら高価な貴金属を大量に消費してしまうといった欠点がある。そのため貴金属使用量を抑えながら、より高活性が得られる触媒の開発が大変重要である。
PtRuに他の元素を添加して活性向上を目指す研究も長年行われ数々の報告がされてきた。例えば白金と、スズやモリブデンなどに代表される卑金属との合金も一酸化炭素被毒解消に効果があるとされているが、酸性条件下では添加した金属が溶出するという問題がある。また、1966年に出願された特許文献1にはタングステン、タンタル、ニオブなど10種類金属の添加効果が言及されている。しかし、触媒反応の反応場はナノサイズの触媒粒子の表面にあり、触媒表面の数原子層は触媒活性を大きく影響するため、同じ触媒組成でも合成プロセスによって触媒表面状態が変わる可能性がある。例えば、特許文献2は、浸漬法によってPt、Ruに周期表の4〜6族金属を添加することによりアノード触媒を製造する方法に関するものである。特許文献2には、浸漬の順番によってメタノール活性が大きく変化することが報告されている。なお、PtとRuと4〜6族金属との配合比については、重量比でPt:Ru:添加金属=317.7:82.3:100にすることが記載されているのみである。
合成プロセスを制御し、これまでにないナノ構造を持つ触媒粒子を合成し、PtRuを超える高活性触媒を見出す可能性はいまでも十分あると思われる。これまで触媒合成には浸漬法などの溶液法が一般的に使われている。しかし、溶液法には、還元されにくい元素、合金化しにくい元素については触媒の構造制御、表面制御をし難いという課題がある。
スパッタ法や蒸着法による触媒合成は材料制御の面においては有利であるが、元素種類、触媒組成、基板材料、基板温度などプロセスの影響に関する検討はまだ少ない。触媒粒子の多くはナノ粒子であるため、触媒粒子の表面電子状態と触媒粒子のナノ構造は、この粒子に添加される元素の種類と添加量に強く依存する傾向がある。高活性で高安定性な触媒粒子を得るために、触媒粒子に添加される元素の種類、元素添加量、元素間の組み合わせを適切化する必要があると思われる。
特許文献3にはスパッタ法による4元系の触媒が開示されている。添加可能な、数多くの元素を列挙して例示されているが、個々の元素の組成に関する記述は無い。
特許文献4ではAlが添加されるPtRuAl触媒の例が開示されているが、4元系に関する記載は無い。同様に特許文献5ではAlの添加が必須の3元系触媒について開示されているが4元系に関する記載は無い。特許文献6には、シリコン、アルミニウム、及びチタンからなる群より選択される一つ以上の元素を含む化合物及び、触媒金属を含む燃料電池用触媒が開示されているが、Alの添加が必須ではない。また特許文献7にはAlの添加が必須である固体高分子型燃料電池用触媒が開示されているが、Zrを主成分とした耐CO被毒触媒であり、直接メタノール型燃料電池用としては使用すると活性が著しく低下する。
また、非特許文献1にはスパッタ法によるPtRuNiZrに関する報告があるが、Alに関する記述は無く、Ni及びZr以外の元素に関する記述も無い。
米国特許公報3506494 特開2005−259557 米国特許公報6171721 米国特許公報5872074 特表2005−532670 特開2006−128118 特開2006−202698 S.R. Narayanan et. al. DOE Hydrogen Program FY 2004 Progress Report
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高活性かつ高安定性を有する触媒、触媒の製造方法、膜電極複合体および燃料電池を提供することである。
本発明に係る触媒の一形態は、下記(1)式で表される組成を有し、T元素がSi、W、Mo、V、Ta及びCrのいずれかを含み、X線光電子分光法(XPS)によるスペクトルにおける酸素結合を有するT元素の量が、金属結合を有するT元素の量の4倍以下である触媒粒子を含むことを特徴とする触媒。
PtuRuxAlyTz (1)
(但し、uおよびxは、それぞれ、30〜60atm%、0〜50atm%で、yは0.5〜20atm%、zは0.5〜40atm%である。)
本発明に係る触媒のほかの一形態は、下記(2)式で表される組成を有し、T元素がTi、Hf、Sn、Zr及びNbのいずれかを含み、XPSによるスペクトルにおける金属結合を有するT元素の量が、酸素結合を有するT元素の量の2倍以下である触媒粒子を含むこと
を特徴とする触媒。
PtuRuxAlyTz (2)
(但し、uおよびxは、それぞれ、30〜60atm%、0〜50atm%で、yは0.5〜20atm%、zは0.5〜40atm%である。)
本発明によれば、高活性かつ高安定性を有する触媒、触媒の製造方法、膜電極複合体および燃料電池を提供することができる。
本発明者らは、上記目的を達成するために、触媒合成プロセスと触媒組成について鋭意検討を重ねてきた。その結果、スパッタ法または蒸着法によって、前記(1)、(2)、(3)、もしくは(4)式で表される触媒粒子を形成すると、高活性かつ高安定性を有する触媒が得られることを見出した。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
まず、触媒について説明する。
<本発明に係わる第一の触媒>
本実施形態に係わる第一の触媒は、前述(1)または(2)式で表される組成を有する触媒である。
Ptは水素の酸化、有機燃料の脱水素反応、RuはCO被毒抑制に極めて有効である。Ruの量が少ないと、活性が不足する。よって、uを30〜60atm%にし、かつxを0〜50atm%にすることが望ましい。なお、本発明の触媒に存在するPt元素は金属結合のほか、酸素結合を持つPt元素が存在する場合もある。触媒の表面にPt、Ru、T元素、およびAlからなる酸化層が存在すると思われ、それにより高活性と高安定性を付与したと考えられる。触媒中酸化結合を持つPt元素の含有量が少ないため、XPSによって把握しにくいが、X線吸収微細構造(XANES)測定法では触媒のXANESスペクトルとPt金属箔(標準試料)、Pt酸化物(標準試料)のXANESスペクトルと比較することによって解析できる。また、PtRuの一部を他の金属、例えば化学安定性に特に優れているRh、Os、Irなどの貴金属に置換することによって活性が向上する場合がある。
次にAlについて説明する。PtRuにAlを添加することで活性が向上する。活性向上の詳細なメカニズムは不明だが、Alの特定な混合状態に起因した触媒の表面構造、電子状態の変化が主因と考えられる。また、金属結合を有するAlが存在する場合、活性が向上する場合もある。前記(1)または(2)式で表される触媒粒子中のAl量は0.5〜20atm%であるのが好ましい。0.5atm%未満または20atm%を超えるAlを含有すると、Alの助触媒作用を十分に得られない。Al量のより好ましい範囲は、1〜10atm%である。
T元素を添加することによりその助触媒作用によって、PtRuAlと比較してさらに触媒活性の向上を図ることができる。
本実施形態によるT元素がSi、W、Mo、V、Ta及びCrのいずれかを含む場合、XPSによるスペクトルにおける酸素結合をもつT元素の含有量は金属結合で存在する同元素の4倍以下であることを特徴とする。2倍以下はさらに好ましい。XPS測定が検出できる光電子(信号)が試料表面近傍数nm程度の深さまでのものに限定されるため、触媒粒子の表面から数nm以内の領域において金属状態としてのT元素が存在している。この金属結合が他の触媒金属に及ぼす電子的な相互作用、特にT元素とPt、Ruとの金属結合の存在による相互作用が重要と考えられるが詳細は明らかではない。またT元素単独からなる金属ナノ粒子は大気中に安定に存在できないため、本発明の担持触媒にはT元素とPt、Ruとの合金粒子が存在していると考えられる。なお、XPS測定が検出したため全信号強度のうちに表面に近い部分が占める割合は極めて大きいため、触媒微粒子の表面に酸化層が形成された場合は、XPSスペクトルにおけるT元素の酸化結合によるピーク面積(信号)は金属結合によるピーク面積より高い可能性は大きい。本実施形態の触媒の中のT元素の金属結合の存在はX線吸収微細構造測定(EXAFS)によっても確認できる。EXAFSは触媒全体を透過するため、XRD(X線回折分析)と同様に触媒全体の結合情報を読み取れる。EXAFSによって測定した各T元素の動径構造分布にはT元素の金属結合によるピーク(結合距離:2〜3Å)が認められた。
また、本実施形態によるT元素がTi、Hf、Sn、Zr及びNbのいずれかを含む場合、XPSによるスペクトルにおける金属結合で存在するT元素が酸素結合で存在する同元素の2倍以下であることを特徴する。1倍以下はさらに好ましい。
触媒粒子の表面から数nm以内の領域において、他の元素と酸素結合されたT元素が存在している。触媒粒子内部には酸素結合を持つT元素の存在は困難のため、酸素結合を持つT元素は触媒の表面に存在し、それが表面酸化層の形成に重要であると思われる。酸素結合を持つPt元素の存在もT元素の添加は重要と考えられる。主にこのT元素の表面酸化層の効果により触媒性能が向上されたと思われる。
なお本実施形態によると、金属結合を有する上記T元素の存在を許容する。この金属結合を有するT元素が他の触媒金属に及ぼす電子的な相互作用により活性が向上する場合もある。T元素の量は0.5〜40atm %であるのが好ましい。0.5atm %未満または40atm %を超えるT元素を含有すると、T元素の助触媒作用を十分に得られない。
XRD(X線回折分析)によって触媒粒子のXRDスペクトルを分析した結果、メインピークの位置がPtRu合金の場合と異なっており、AlおよびT元素の添加によって合金構造が変化したことが推測できる。なお、触媒粒子のメインピークの結晶面の面間距離は2.16〜2.25Åである。
一方、溶液法により触媒粒子を合成すると、T元素の還元反応が生じ難く、これらの元素とPt、Ru、Alとの合金化が進行し難いため、得られた触媒粒子の大部分は、PtRu微粒子と、T元素およびAlの酸化物微粒子との混合物である。溶液法により合成された触媒粒子をXPSによって表面分析を行うと、T元素のほとんどは、他の元素と酸素結合により結合されている。EXAFSによって測定した動径構造分布ではT元素の酸素結合によるピーク(結合距離:<2Å)が強く、金属結合によるピークは殆どない。
溶液法の場合、T元素のように還元されにくい元素、合金化しにくい元素については触媒の構造制御、表面制御をし難いという課題があるため、活性の改善は困難である。
<本実施形態に係わる第二の触媒>
本実施形態に係わる第二の触媒は、前述(3)または(4)式で表される組成を有する触媒である。
Ptは水素の酸化、有機燃料の脱水素反応、RuはCO被毒抑制に極めて有効である。Ruの量が少ないと、活性が不足する。よって、uを30〜60atm%にし、かつxを0〜50atm%にすることが望ましい。なお、本実施形態の触媒に存在するPt元素は金属結合のほか、酸素結合を持つPt元素が存在する場合もある。触媒の表面にPt、Ru、T元素、AlおよびNiからなる酸化層が存在すると思われ、それにより高活性と高安定性を付与したと考えられる。触媒中酸化結合を持つPt元素の含有量が少ないため、XPSによって把握しにくいが、X線吸収微細構造(XANES)測定法では触媒のXANESスペクトルとPt金属箔(標準試料)、Pt酸化物(標準試料)のXANESスペクトルと比較することによって解析できる。また、PtRuの一部を他の金属、例えば化学安定性に特に優れているRh、Os、Irなどの貴金属に置換することによって活性が向上する場合がある。
次にAlについて説明する。PtRuにAlを添加することで活性が向上する。活性向上の詳細なメカニズムは不明だが、Alの特定な混合状態に起因した触媒の表面構造、電子状態の変化が主因と考えられる。また、金属結合を有するAlが存在する場合、活性が向上する場合もある。前記(3)または(4)式で表される触媒粒子中のAl量は0.5〜20atm%であるのが好ましい。0.5atm%未満または20atm%を超えるAlを含有すると、Alの助触媒作用を十分に得られない。Al量のより好ましい範囲は、1〜10atm%である。
NiおよびT元素を添加することによりその助触媒作用によって、PtRuAlと比較して触媒活性の向上をさらに図ることができる。
本実施形態によるT元素がSi、W、Mo、V、Ta及びCrのいずれかを含む場合、XPSによるスペクトルにおける酸素結合をもつT元素の含有量は金属結合で存在する同元素の4倍以下であることを特徴とする。2倍以下はさらに好ましい。XPS測定が検出できる光電子(信号)が試料表面近傍数nm程度の深さまでのものに限定されるため、触媒粒子の表面から数nm以内の領域において金属状態としてのT元素が存在している。この金属結合が他の触媒金属に及ぼす電子的な相互作用の結果、触媒性能が改善されると推察されるが、詳細は明らかではない。またT元素単独からなる金属ナノ粒子は大気中に安定に存在できないため、本実施形態の担持触媒にはT元素とPt、Ruとの合金粒子が存在していると考えられる。なお、XPS測定が検出したため全信号強度のうちに表面に近い部分が占める割合は極めて大きいため、触媒微粒子の表面に酸化層が形成された場合は、XPSスペクトルにおけるT元素の酸化結合によるピーク面積(信号)は金属結合によるピーク面積より高い可能性は大きい。本実施形態触媒の中のT元素の金属結合の存在はX線吸収微細構造測定(EXAFS)によっても確認できる。EXAFSは触媒全体を透過するため、XRD(X線回折分析)と同様に触媒全体の結合情報を読み取れる。EXAFSによって測定した各T元素の動径構造分布にはT元素の金属結合によるピーク(結合距離:2〜3Å)が認められた。
本実施形態によるT元素がTi、Hf、Sn、Zr及びNbのいずれかを含む場合、XPSによるスペクトルにおける金属結合で存在するT元素が酸素結合で存在する同元素の2倍以下であることを特徴する。1倍以下はさらに好ましい。
触媒粒子の表面から数nm以内の領域において、他の元素と酸素結合されたT元素が存在している。主にこのT元素の添加効果により触媒性能が改善されたと思われる。
なお本実施形態によると、金属結合を有する上記T元素の存在を許容する。この金属結合を有するT元素が他の触媒金属に及ぼす電子的な相互作用により活性が向上する場合もある。NiおよびT元素の量は0.5〜30atm %であるのが好ましい。0.5atm %未満または30atm %を超えるNiおよびT元素を含有すると、その助触媒作用を十分に得られない。
XRD(X線回折分析)によって触媒粒子のXRDスペクトルを分析した結果、メインピークの位置がPtRu合金の場合と異なっており、AlおよびT元素の添加によって合金構造が変化したことが推測できる。なお、触媒粒子のメインピークの結晶面の面間距離は2.16〜2.25Åである。
一方、溶液法により触媒粒子を合成すると、T元素の還元反応が生じ難く、これらの元素とPt、Ru、Alとの合金化が進行し難いため、得られた触媒粒子の大部分は、PtRu微粒子と、T元素およびAlの酸化物微粒子との混合物である。溶液法により合成された触媒粒子をXPSによって表面分析を行うと、T元素のほとんどは、他の元素と酸素結合により結合されている。EXAFSによって測定した動径構造分布ではT元素の酸素結合によるピーク(結合距離:<2Å)が強く、金属結合によるピークは殆どない。
溶液法の場合、T元素のように還元されにくい元素、合金化しにくい元素については触媒の構造制御、表面制御をし難いという課題があるため、活性の改善は困難である。
なお、本実施形態で用いる触媒は酸素の含有を許容する。合成プロセス中や触媒を保存する際の触媒表面への酸素吸着、また、酸洗いなど表面酸化処理によって触媒表面の酸化があるためである。表面に少量の酸化がある場合は出力、安定性が向上する場合がある。触媒の酸素含有量は25atm %以下であるのが望ましい。25atm %を超えると触媒活性が著しく低下する場合がある。
本実施形態で用いる触媒粒子がナノ微粒子であると最も高い活性が得られる。触媒粒子の平均粒径は10nm以下であることが望ましい。10nmを超えると、触媒の活性効率が著しく低下する恐れがあるからである。さらに好ましい範囲は、0.5〜10nmである。0.5nm未満にすると、触媒合成プロセスの制御が困難で、触媒合成コストが高くなる。なお、触媒粒子には、平均粒径が10nm以下の微粒子を単独で使用しても良いが、この微粒子からなる一次粒子の凝集体(二次粒子)を使用しても良い。
また、本実施形態の触媒を担持する導電性担体については、例えばカーボンブラックを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、導電性と安定性に優れる担体であれば使用することができる。最近、ナノカーボン材料、例えば、ファイバー状、チューブ状、コイル状などが開発されている。それらの表面状態が異なり、本実施形態で用いる触媒粒子をこれらものに担持させることによって、活性がさらに向上する可能性があると思われる。カーボン材料以外には、導電性を持つセラミックス材料を担体として使用しても良い。セラミックス担体と触媒粒子との更なる相乗効果が期待できる。
次に、本実施形態に係わる触媒の製造方法について説明する。本実施形態に係わる触媒は、例えばスパッタ法または蒸着法によって作製される。これらの方法は含浸法、沈殿法、コロイド法などの溶液法に比較して、金属結合を有する特定な混合状態を持つ触媒を作製しやすいという利点がある。公知の溶液法では本実施形態の触媒を作製するのは困難である。例えば金属結合を持つPt、Ru、AlとT元素との多核錯体を作製し、担持体に含浸させ還元する方法によると、多核錯体の合成が困難であるため本実施形態の触媒が得られない。さらに、製造コストが高くなると思われる。なお、電析法また電気泳動法によって本実施形態の触媒を作製すると、ナノ粒子への制御が困難であり、同様に製造コストが高くなると思われる。
次に、スパッタ法によって触媒粒子を導電性担体に付着させる方法を説明する。ここでいうスパッタ法では、合金ターゲットを用いても良いし、2元以上の同時スパッタ法による手法を用いてもよい。まず、粒子状または繊維状の導電性担体を十分に分散させる。次に、分散した担体をスパッタ装置のチャンパーにあるホルダに入れ攪拌しながら、スパッタリングによって触媒の構成金属を担体に付着させる。スパッタリング中の担体温度を400℃以下にすることが望ましい。それより高い温度では、触媒粒子において相分離が生じて触媒活性が不安定になる場合がある。また、担体の冷却に必要なコストを低減するため、担体温度の下限値は10℃にすることが望ましい。なお、担体温度は熱電対によって測定することができる。また、均一な触媒付着を実現するには攪拌が重要である。攪拌しない場合は触媒の分布にムラがあるため、燃料電池特性が低くなる。
なお、本実施形態の触媒は導電性カーボン繊維を含む多孔質ペーパー、電極拡散層または電解質膜に直接スパッタしても良い。この場合は、プロセスの調整によって触媒をナノ微粒子の状態で形成させることが必要である。また、上記と同様に多孔質ペーパー温度を400℃以下にすることが望ましい。
スパッタ法もしくは蒸着法によって触媒粒子を形成した後、酸洗い処理または熱処理を施すことによって活性が更に向上する場合もある。触媒構造または表面構造が酸洗い処理または熱処理によって更に適切化されるからであると考えられる。酸洗い処理については酸の水溶液であれば良いが、本実施形態は硫酸水溶液を用いた。後熱処理については、10〜400℃以下、酸素分圧が5%未満の雰囲気中で処理するのが望ましい。また、微粒子が形成されやすくなるため、カーボンなど他の材料と構成金属元素とを同時にスパッタまたは蒸着しても良い。なお、本実施形態では、溶解性の良い金属、例えば、Cu,Znなどと構成金属元素とを同時にスパッタまたは蒸着し、その後酸洗いなどによってCu,Znなどを取り除くことも可能である。
以下に本実施形態に関わる燃料電池の構造の一実施形態について述べる。
図1は、燃料電池の単セルを示す概念図である。図1中の筐体1a、1b内に電解質膜2と、それを挟持する酸化剤極(カソード)3と燃料極(アノード)4を有し、それらの外側に酸化剤流路5と液体燃料流路6を具備してなる。
電解質膜2はイオン交換膜が使用される。イオン交換膜は、アニオンまたはカチオンのいずれのイオン伝導タイプでも使用できるが、プロトン伝導タイプのものが主に使用される。例えばパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーを代表とする高分子膜などアニオン又はカチオン伝導性を有する材料が使用できる。
酸化剤極3と燃料極4との間に電解質膜2を介在配置させて挟持するか、あるいはホットプレスまたはキャスト製膜等によって三者を接合して、膜―電極構造体(Membrane electrode Assembly)が構成される。多孔質カーボンペーパーには、必要であればポリテトラフルオロエチレンに代表される撥水剤を添加または積層することもできる。
燃料極4は、前述のメタノール酸化触媒を有効成分としてなる電極である。燃料極4は、電解質膜2に当接させる。燃料極4を電解質膜2に当接させる方法としては、ホットプレス、キャスト製膜をはじめとする公知の方法が使用できる。
酸化剤極3も、多くの場合、白金を担持したカーボンをイオン伝導材料とともによく混合した上で電解質膜2に当接させることで構成されている。イオン伝導材料は、電解質膜2と同じ材料であると好ましい結果が得られる。酸化剤極3をイオン交換膜2に当接させる方法としては、ホットプレス、キャスト製膜をはじめとする公知の方法を使用することができる。白金を担持したカーボン以外にも、酸化剤極3として、貴金属又はそれらを担持したもの(電極触媒)や、有機金属錯体又はそれを焼成したものなど公知のものを使用でき、また担体に担持させることなく無担持のまま使用してもよい。
酸化剤極3側には、上方に酸化剤(多くの場合空気)を導入するための酸化剤導入孔(図示せず)が設けられる一方、下方に未反応空気と生成物(多くの場合水)を排出するための酸化剤排出孔(図示せず)が設けられる。この場合、強制排気及び/または強制排気手段を付設してもよい。また、筐体1aに空気の自然対流孔を設けてもよい。
燃料極4の外側には、液体燃料流路6が設けられる。液体燃料流路6は、外部燃料収納部(図示せず)との流通路であってもよいが、メタノール燃料を収納するための部位であってもよい。下方に未反応メタノール燃料と生成物(多くの場合CO)を排出するための排出孔(図示せず)が設けられる。この場合、強制排出及び/または強制排出手段を付設してもよい。
燃料極4に直接供給される燃料は、メタノール単独ないしはメタノールと水の混合物が適当であるが、メタノールとの混合物であると、クロスオーバーが効果的に防止されて更に良好なセル起電力と出力が得られる。
図1に示す直接メタノール型燃料電池の概念図は、単セルだけを表しているが、本実施形態においては、この単セルをそのまま使用してもよいし、複数のセルを直列及び/または並列接続して実装燃料電池とすることもできる。セル同士の接続方法は、バイポーラ板を使用する従来の接続方式を採用してもよいし、平面接続方式を採用してもよい。無論その他公知の接続方式の採用も有用である。
燃料としては、メタノールのほかに、エタノール、蟻酸、あるいはこれらを含む一種類以上含む水溶液等を使用することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜8、11〜21 比較例1〜4、10〜12)
まず、カーボンブラック担持体(商品名:ValcanXC72、キャボットコーポレーション社製、比表面積:約230m2/g)を十分に分散した。次に分散した担持体をイオンビームスパッタ装置のチャンバーにあるホルダにいれ、真空度が3×10−6 Torr以下になってから、Arガスを流した。表1に示す各種組成となるようにターゲットとして前述の要領に沿って準備した金属または合金を用い、スパッタリングを行い、触媒微粒子を担体に付着させた。
Figure 2008235031
できたものを硫酸水溶液(硫酸100g、水200g)を用いて酸洗いを実施し、その後水洗いを行い、乾燥させた。
(実施例9〜10)
まず、カーボンブラック担体(商品名VulcanXC72、キャボットコーポレーション社製、比表面積:約230m2/g)を十分に分散した。次に分散した担体をレーザパルス蒸着装置のチャンバー内にあるホルダに入れ、真空度が3×10−6Torr以下になってから、表1に示す各種組成となるように前述の要領に沿って準備した金属または合金を用い、蒸着を行い、触媒粒子を担体に付着させた。できたものを硫酸水溶液(硫酸100g、水200g)を用いて酸洗い処理を実施し、その後水洗いを行い、乾燥させた。
(比較例5)
まず塩化アルミニウムをアルミニウム金属量として100mg含有し、塩化タングステンをタングステン金属量として681mg含有するエタノール溶液1000mL中に、カーボンブラック(商品名VulcanXC72、キャボットコーポレーション社製、比表面積:約230m/g)を800mg添加し、十分に撹拌して均一に分散させ、その後撹拌下に55℃に加熱してエタノールを揮発させて除去した。次いで、水素ガスを50mL/分の流量で流通させながら、上記した方法で得た残留物を300℃で3時間加熱して、カーボンブラック上にアルミニウムおよびタングステンを担持させた。次いで、1,5−シクロオクタジエンジメチル白金を、白金金属量として2890mg含有するシクロヘキサン溶液800mLと、塩化ルテニウムをルテニウム金属分として1498mg含有するエタノール溶液200mLを混合し、この混合溶液中に、上記したアルミニウムおよびタングステン担持カーボンを添加し、十分に撹拌して均一に分散させた後、撹拌下に55℃に加熱して溶媒を揮発させて除去した。次いで、水素ガスを50mL/分の流量で流通させながら、上記した方法で得た残留物を300℃で3時間加熱することにより、カーボンブラック上に、白金、ルテニウム、アルミニウム及びタングステン担持させ、担持触媒を得た。
(比較例6、7)
特許文献5の実施例1および2に示されている方法に従ってPt24.1Ru0.5Al75.4および、Pt1.1Ru12.6Al86.3を合成した。次に、こうして形成された半結晶質の前駆体を、室温に保持された20wt%NaOH溶液中に15 分間浸漬し、続けて80℃に保持された20wt%NaOH溶液中に15分間浸漬することによってそれを活性化した。
(比較例8)
特許文献7の実施例と同様にして、Ni、Zr、Pt、RuおよびAlからなる母合金を作製した。上記母合金を高周波加熱によって溶融させ、常温のアルゴンガス雰囲気下で、10MPaのアルゴンガスジェットで噴霧することにより、粒子径20〜100μm程度の粉末上のアモルファス合金を得た。このアモルファス合金粉末を市販の46%フッ化水素酸溶液に浸漬し、白金以外の成分の一部を優先的に溶解させることにより超微粉末を作製した。これをろ過し、乾燥することにより電極触媒粉末を得た。
(比較例9)
特許文献4のexample4と同様な手法で、Pt10Ru10Al80触媒を合成した。
上記各種触媒についてPHI社製Quantum−2000を用いてXPS測定を行った。中和銃(電子銃、アルゴン銃)によるチャージアップ補償と帯電補正(C1s:C−C=284.6eV)を行った。
<本実施例に係わる第一の触媒>
触媒粒子中に含有されているT元素の種類が複数の場合に、最も含有量が多いT元素のことを主要元素Tと定義する。例えば、実施例5の触媒粒子の場合主要T元素はHfであり、比較例4の場合はWおよびSnである。表1の実施例1〜10、12、13、18〜20、比較例3、4、10〜12の各触媒中の主要元素TがSi、W、Mo、V、Ta、及びCrの場合(以下、T1と呼ぶ)、XPSスペクトル上のT1元素の酸素結合によるピークの面積は同元素の金属結合によるピーク面積の4倍以下であることを確認した。また主要元素TがTi、Hf、Sn、Zr及びNbの場合(以下T2と呼ぶ)、XPSスペクトル上のT2元素の金属結合によるピークの面積は同元素の酸素結合によるピーク面積の2倍以下であることを確認した。
<本実施例に係わる第二の触媒>
触媒粒子中に含有されているT元素の種類が複数の場合に、最も含有量が多いT元素のことを主要元素Tと定義する。例えば、実施例11の触媒粒子の場合主要T元素はWである。実施例11、13、16〜19、比較例10の各触媒中の主要元素TがSi、W、Mo、V、Ta、及びCrの場合(以下、T1と呼ぶ)、XPSスペクトル上のT1元素の酸素結合によるピークの面積は同元素の金属結合によるピーク面積の4倍以下であることを確認した。また主要元素TがTi、Hf、Sn、Zr及びNbの場合(以下T2と呼ぶ)、XPSスペクトル上のT2元素の金属結合によるピークの面積は同元素の酸素結合によるピーク面積の2倍以下であることを確認した。
具体的には、表2に示すようにV元素についてはV2pスペクトルを用いて、結合エネルギーが512〜513eVと516〜517eVにあるピークからそれぞれ金属結合成分と酸化結合成分を分離した。Hf元素についてはHf4fスペクトルを用いて、結合エネルギーが14〜15eVと17〜19eVにあるピークからそれぞれ金属結合成分と酸化結合成分を分離した。Nb元素についてはNb3dスペクトルを用いて、結合エネルギーが202〜203eVと203〜209eVにあるピークからそれぞれ金属結合成分と酸化結合成分を分離した。W元素についてはW4fスペクトルを用いて、結合エネルギーが31〜34eVと36〜40eVにあるピークからそれぞれ金属結合成分と酸化結合成分を分離した。二つのピークが重なる元素については、波形分離操作を行い金属結合部分と酸化結合部分に分離した。
Figure 2008235031
表1にT1において、金属結合ピーク面積を1としたときの酸素結合ピーク面積の割合を示す。またT2において、酸素結合ピーク面積を1としたときの金属結合ピーク面積の割合を示す。
実施例1〜21の担持触媒にXRD(X線回折分析)を行ったところ、回折パターンのメインピークの結晶面の面間隔は2.16〜2.25Åの範囲内にあった。各触媒の触媒粒子の平均粒径については、任意の異なる5視野についてTEM(透過型電子顕微鏡)観察を用いて行い、各視野において20粒子の直径を測定し、合計100粒子の直径を平均したところ、各触媒粒子の粒径は3〜5nmの範囲にあった。
実施例1〜21、比較例1〜12の触媒をアノード触媒として用いた。それぞれに対するカソードには、標準カソード電極(カーボンブラック担持のPt触媒 市販品 田中貴金属社製)を使用した。燃料電池電極、膜電極複合体、単セルを以下に示す方法で作製し、評価を行った。
<アノード電極>
得られた各種触媒を3g秤量した。これら触媒と、純水8gと、20%ナフィオン溶液15gと、2−エトキシエタノール30gとを良く攪拌し、分散した後、スラリーを作製した。撥水処理したカーボンペーパー(350μm、東レ社製)に上記のスラリーをコントロールコータで塗布し、乾燥させ、貴金属触媒のローディング密度が1mg/cmのアノード電極を作製した。
<カソード電極>
まず、田中貴金属社製Pt触媒を2gを秤量した。このPt触媒と、純水5gと、20%ナフィオン溶液5gと、2−エトキシエタノール20gとを良く攪拌し、分散した後、スラリーを作製した。撥水処理したカーボンペーパー(350μm、東レ社製)に上記のスラリーをコントロールコータで塗布し、乾燥させ、貴金属触媒のローディング密度が2mg/cmのカソード電極を作製した。
<膜電極複合体の作製>
カソード電極、アノード電極それぞれを電極面積が10cmになるよう、3.2×3.2cmの正方形に切り取り、カソード電極とアノード電極の間にプロトン伝導性固体高分子膜としてナフィオン117(デュポン社製)を挟んで、125℃、10分、30kg/cmの圧力で熱圧着して、膜電極複合体を作製した。
この膜電極複合体と流路板とを用いて燃料直接供給型高分子電解質型燃料電池の単セルを作製した。この単セルに燃料としての1Mメタノール水溶液、流量0.6mL/min.でアノード極に供給すると共に、カソード極に空気を200mL/分の流量で供給し、セルを60℃に維持した状態で150mA/cm電流密度を放電させ、30分後のセル電圧を測定し、その結果を表1に示す。
表1の結果に示されるように、実施例1〜21および比較例2〜3と、比較例1との比較により、添加元素の効果によりPtRuと比較して活性が向上することがわかる。また、実施例1と比較例3、4を比べることにより、Al添加が活性向上に大きく寄与していることが分かる。実施例1〜実施例3と比較例11を比較することにより、Alの量が0.5〜20atm %の範囲を超えると、活性が低下することがわかる。実施例1〜実施例5と比較例12を比較することにより、T元素の添加量が40atm %を超えると活性が低下することが分かる。
実施例1と比較例5の比較により、溶液法よりスパッタ法が高い活性を示すことがわかる。触媒合成のプロセスによるものと思われる。
また比較例6(特許文献5の実施例1)はPt量が少なくかつT元素の添加もないため、また比較例7(特許文献5の実施例2)はPt量が他の元素と比較して極端に少ないため、十分な触媒活性を得られていないことが分かる。比較例8(特許文献7の実施例)は固体高分子形燃料電池用の触媒であって、直接メタノール型燃料電池用の触媒と組成範囲が大いに異なりZrを主成分としているため、活性が著しく低いことが分かる。比較例9(特許文献4のexample4)Alの量は80atm %と多いため、活性が低いことが分かる。また、実施例1〜3と比較例10(非特許文献1)を比較することにより、Alの量が0.5〜20atm %にある実施例1〜3の方が、比較例10と比較して活性が高いことが分かり、Alの添加が活性向上に寄与していることが分かる。
最後に、触媒の長期安定性について各MEAの1000時間発電後の電圧を測定し、以下に示すようにして定義した劣化率を算出した結果を表1に示す。
劣化率=(初期電圧−1000時間後の電圧)×100/初期電圧
PtRuでは1.5%、3元系では1.5〜3%の劣化率だったのに対し、Alの添加を行ったMEAの劣化率は0.5%〜0.6%の間に収まり、劣化率が大幅に改善されていることがわかる。Alを添加することは活性向上の効果のみならず安定性の向上という観点からも有効であることが理解できる。
なお、本実施例の触媒を用いた高分子電解質型燃料電池にも上記と同様な効果を確認した。従って、本実施例の触媒はCO被毒についても従来のPtRu触媒より有効である。
以上説明したように、本発明により、高活性かつ高安定性な触媒と。燃料電池を提供することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
直接メタノール型燃料電池の一実施形態の構成を表す概念図。
符号の説明
1a.・・・筐体
1b.・・・筐体
2・・・電解質膜
3・・・酸化剤極
4・・・燃料極
5・・・酸化剤流路
6・・・液体燃料流路

Claims (9)

  1. 下記(1)式で表される組成を有し、T元素がSi、W、Mo、V、Ta及びCrのいずれかを含み、X線光電子分光法(XPS)によるスペクトルにおける酸素結合を有するT元素の量が、金属結合を有するT元素の量の4倍以下である触媒粒子を含むこと
    を特徴とする触媒。
    PtuRuxAlyTz (1)
    (但し、uおよびxは、それぞれ、30〜60atm%、0〜50atm%で、yは0.5〜20atm%、zは0.5〜40atm%である。)
  2. 下記(2)式で表される組成を有し、T元素がTi、Hf、Sn、Zr及びNbのいずれかを含み、XPSによるスペクトルにおける金属結合を有するT元素の量が、酸素結合を有するT元素の量の2倍以下である触媒粒子を含むこと
    を特徴とする触媒。
    PtuRuxAlyTz (2)
    (但し、uおよびxは、それぞれ、30〜60atm%、0〜50atm%で、yは0.5〜20atm%、zは0.5〜40atm%である。)
  3. yは1〜10atm%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の触媒。
  4. 下記(3)式で表される組成を有し、T元素がSi、W、Mo、V、Ta及びCrのいずれかを含み、X線光電子分光法(XPS)によるスペクトルにおける酸素結合を有するT元素の量が、金属結合を有するT元素の量の4倍以下である触媒粒子を含むこと
    を特徴とする触媒。
    PtuRuxAlyNisTt (3)
    (但し、uおよびxは、それぞれ、30〜60atm%、0〜50atm%で、yは0.5〜20atm%、sは0.5〜30atm%、tは0.5〜30atm%である。)
  5. 下記(4)式で表される組成を有し、T元素がTi、Hf、Sn、Zr及びNbのいずれかを含み、XPSによるスペクトルにおける金属結合を有するT元素の量が、酸素結合を有するT元素の量の2倍以下である触媒粒子を含むこと
    を特徴とする触媒。
    PtuRuxAlyNisTt (4)
    (但し、uおよびxは、それぞれ、30〜60atm%、0〜50atm%で、yは0.5〜20atm%、sは0.5〜30atm%、tは0.5〜30atm%である。)
  6. yは1〜10atm %であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の触媒。
  7. 400℃以下に保持された導電性担体に、スパッタ法または蒸着法によって前記触媒粒子を形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
  8. カソードと、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の触媒を含むアノードと、前記カソードと前記アノードの間に配置されるプロトン伝導性膜を具備することを特徴とする膜電極複合体。
  9. 請求項8記載の膜電極複合体を具備することを特徴とする燃料電池。
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