JP2008234825A - 磁気ディスク用基板の製造方法および磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用基板の製造方法および磁気ディスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気ディスクを高速回転させてもクラッシュ障害の発生を抑止して信頼性が高く、ロードアンロード方式で起動停止するハードディスクに好適なガラス基板、およびこれを用いた磁気ディスクを提供することを目的としている。
【解決手段】本発明にかかる磁気ディスク用基板の代表的な構成は、略平坦な主表面11と、端面12と、主表面11と端面12との間に形成した面取面13と、主表面11内の周縁に該周縁以外の平坦面に対して隆起または沈降した乖離が形成された乖離部と、を備えた円板状の磁気ディスク用基板の製造方法であって、ガラス基板の乖離の大きさが最大となる極部の位置と当該位置における乖離部の形状とを測定する測定工程と、乖離部の形状に基づいてガラス基板が良品であるか否かを判断する判断工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は磁気記録媒体に用いられる磁気ディスク用基板の製造方法、およびこれを用いた磁気ディスクの製造方法に関する。
近年、情報化技術の高度化に伴い、情報記録技術、特に磁気記録技術は著しく進歩している。磁気記録媒体のひとつであるHDD(ハードディスクドライブ)等に搭載される磁気記録媒体として磁気ディスクがある。磁気ディスクはアルミニウム−マグネシウム合金製の金属基板上にNiP(ニッケルリン)等の膜を被着したり、ガラス基板やセラミクス基板等の基板上に下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次積層したりして構成される。従来は磁気ディスク用の基板としてアルミニウム基板が広く用いられてきた。しかし磁気ディスクの小型化、薄板化、および高密度記録化に伴い、アルミニウム基板に比べ基板表面の平坦度及び基板強度に優れたガラス基板に徐々に置き換わりつつある。
また携帯機器や自動車に大容量の磁気記録媒体を搭載すべく、耐衝撃性の向上も求められている点においても、剛性の高いガラス基板は有利である。携帯機器に搭載するために基板のサイズは縮小化の傾向がある。このため従来の3.5インチ基板から、2.5インチ基板、1.8インチ基板、1インチ基板、もしくはさらに小さな基板が求められるようになってきている。基板が小さくなれば許容される寸法誤差も小さくなり、さらに精密な形状加工が求められている。
また、磁気記録技術の高密度化に伴い、磁気ヘッドの方も薄膜ヘッドから、磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)、大型磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)へと推移してきており、磁気ヘッドの基板からの浮上量が10nm以下にまで狭くなってきている。ただし、このように極狭な浮上量で磁気ディスク上に磁気ヘッドを浮上飛行させる場合には、フライスティクション障害が発生しやすいという問題がある。フライスティクション障害とは、磁気ディスク上を浮上飛行している磁気ヘッドが、浮上姿勢や浮上量に変調をきたす障害であり、これにより不規則な再生出力変動の発生を伴うことである。また、このフライスティクション障害が生ずると、浮上飛行中の磁気ヘッドが磁気ディスクに接触してしまうヘッドクラッシュ障害を生じてしまうことがある。従ってガラス基板表面には、高度な平坦度および平滑度が求められるようになってきている。
また、ガラス基板の表面の面積を有効活用するために、従来のCSS方式(Contact Start Stop)に変わって、ロードアンロード方式(Load UnLoad)が採用されるようになってきている。CSS方式はディスク停止時に基板表面に磁気ヘッドを接触させる方式であり、基板表面にCSS用領域(磁気ヘッドとの接触摺動用領域)を設ける必要がある。これに対しロードアンロード方式はディスク停止時に磁気ヘッドをガラス基板の外側に退避させる方式であり、CSS用領域も記録面として使用できるという利点がある。また、磁気ディスク装置の停止時においては、たとえ強い衝撃が加えられたとしても、磁気ヘッドが退避しているため、磁気ディスクの損傷を最小限に抑制することができる。可搬性の小型ハードディスクでは、情報記録容量の確保や耐衝撃性を向上させる観点からロードアンロード方式の起動再生方式とガラス基板を利用した磁気ディスクとの組み合わせが選択されている。
ロードアンロード方式では、磁気ヘッドがガラス基板の端部を通過することから、ガラス基板の外縁部分の形状が特に問題となる。ガラス基板の外縁部分に形状の乱れ(隆起や沈降)があると、磁気ヘッドの浮上姿勢が乱され、磁気ヘッドがガラス基板の外から入ってくる際、または出て行く際に接触しやすくなり、クラッシュ障害を生じる可能性がある。従って特にディスク外縁部分には、高い平坦度が求められている。
また磁気ディスクは、高密度化だけではなく、高速化の要請もある。従来はガラス基板を搭載した磁気ディスク装置は4200rpm等の相対的に低速な回転速度を利用していた。しかし近年では、例えば7200rpm以上の回転数で利用されるようになりつつある。さらに近い将来には、10000rpm以上の回転数で利用されるようになることが見込まれている。このような高速回転を行うと、取りわけ磁気ディスクの外縁付近の線速度が増大する。例えば、回転数が4200rpmである磁気ディスクにおいて基板中心から半径32.5mm位置の線速度は14.3m/秒であるが、5400rpmでは線速度が18.4m/秒、7200rpmでは線速度が24.5m/秒となる。このように線速度が高速になるディスク外縁部分において、上記のフライスティクション障害およびヘッドクラッシュ障害が特に生じやすい。従ってこの点においても、特に外縁部分に高い平坦度が求められる。
また近年は接触摺動型記録媒体(接触記録型記録媒体)も見直されつつある。接触摺動型記録媒体は、記録ヘッドを磁気ディスクに接触摺動させた状態で読み書きする記録方式である。接触摺動型記録媒体は、それ自体は古くからある記録方式であるが、記録ヘッドと磁気ディスクの間隔を狭くするほど記録密度を上げることができるため、あらためて今後発展する記録方式であると考えられている。また、記録ヘッドの浮上量を低減させていくと、記録ヘッドが磁気ディスクに接触してしまう場合がある。つまり、記録ヘッドの浮上量を低減した結果、部分的には記録ヘッドが磁気ディスクに対して接触摺動する場合がある。しかし、接触摺動した場合、記録ヘッドの摩耗が大きな問題となる。また記録ヘッドが跳ねてしまうと、信号品質が劣化したり、離接の衝撃によって記録ヘッドが損傷したりするおそれがあるという問題もある。これらはいずれも磁気ディスク表面の凹凸に大きく起因し、磁気ディスクの回転速度(すなわち線速度)が速くなるほどに影響が大きくなる。従ってこの点においても、特に外縁部分に高い平坦度が求められる。
一方、従来から特許文献1(特開2005−141852)に示されるように、基板主表面を研磨した際に、外縁部分の平坦度が不十分となるという問題がある。すなわち、ガラス基板は表裏の主表面を研磨パッドで挟むように押圧し、研磨材を含有したスラリーを供給しつつ、ガラス基板と研磨パッドとを相対的に移動させて研磨している。このとき主表面の外縁部分にスキージャンプと呼ばれる隆起(主表面の外縁部分が他の主表面の部分よりも突出すること)を生じたり、ロールオフと呼ばれる沈降(主表面の外縁部分が他の主表面の部分よりも相対的に多く削られた状態となること)を生じたりする。スキージャンプとロールオフはいずれか一方が発生する場合もあるが、両方が発生する場合もある。外縁部分の形状の評価は、上記のスキージャンプとロールオフのほか、隆起と沈降をあわせてダブオフ(Dub−Off:任意の2点を結んだ直線からその範囲での隆起または沈降の極部までの最大距離)を測定したり、表面粗さを用いて評価することができる。
特開2005−141852号公報
上記したように、磁気ディスクの外縁部分こそは、最も線速度が大きくなるため凹凸の影響が大きく、最も平坦度が求められる部位である。またロードアンロード方式における磁気ヘッドの通過に対しても、磁気ディスクの外縁部分には平坦度が要求される。しかして、その外縁部分にはスキージャンプまたはロールオフが発生し、平坦度が低下しやすい。そのためスキージャンプやロールオフをできる限り低減し、またはこれらの低減されたガラス基板を磁気ディスクに用いるように管理する必要がある。そして、磁気ディスク用基板を製造する際にも、この端部形状が良品・不良品の判断の指標の1つとして用いられている。
しかしながら、上記のように管理された磁気ディスク用基板を用いて、磁気ディスクを生産し、ハードディスクを製造した結果、ヘッドクラッシュが多発するという問題が生じた。
そこで、上記端部形状を規定するための管理値を、より一層厳しくする(端部形状に基づく良品・不良品の判断基準を厳しくする)ことで、ヘッドクラッシュを低減させることを試みた。その結果、ヘッドクラッシュが起きる割合は相対的に減少したが、やはり、ヘッドクラッシュが起きるという問題が発生した。
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁気ディスクを高速回転させてもクラッシュ障害の発生を抑止して信頼性が高く、ロードアンロード方式で起動停止するハードディスクに好適な基板の製造方法、およびこれを用いた磁気ディスクの製造方法を提供することにある。
本願発明者らは、上記問題点について、鋭意検討した結果、上記管理値を厳しくした場合でも、ヘッドクラッシュが起きる場合と起きない場合があることに着目し、それぞれの基板の端部形状を観察してみた。すると、管理値上は問題ないと判定されたガラス基板であっても、面内に許容範囲を超える大きな乖離(隆起または沈降)が存在しうることを見出した。すなわちガラス基板の面内における端部形状のバラツキ、より具体的には、ガラス基板の主表面端部における隆起または沈降の形状は当該ガラス基板の半径方向で同じでなく、従来の管理方法では必ずしも最大の乖離を測定しているわけではなかった。そこで、乖離の大きさが最大となる極部における乖離部の形状を管理することによりヘッドクラッシュを防止できるガラス基板を提供することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる磁気ディスク用基板の製造方法の代表的な構成は、略平坦な主表面と、端面と、主表面と端面との間に形成した面取面と、主表面内の周縁に該周縁以外の平坦面に対して隆起または沈降した乖離が形成された乖離部と、を備えた円板状の磁気ディスク用基板の製造方法であって、基板の乖離の大きさが最大となる極部の位置と当該位置における乖離部の形状とを測定する測定工程と、乖離部の形状に基づいて基板が良品であるか否かを判断する判断工程と、を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、磁気ディスク用基板の特に外縁部分において、乖離の大きさが最大となる極部における乖離部の形状を用いて判断することにより、基板の全周において乖離部の形状が管理値以下となっていることを担保することができる。従って、特に磁気ディスクの外縁部分において磁気ヘッドの浮上姿勢が乱されるということがなく、磁気ディスクを高速回転させた場合であっても磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触するおそれがなく、信頼性を高めることができる。また、ロードアンロード方式における磁気ヘッドの通過に対しても、磁気ヘッドの浮上姿勢が特に磁気ディスクの外縁部分で乱されたり、磁気ディスクと接触したりするおそれがない。
測定工程でダブオフを測定する場合には、ダブオフ値が±10nm以下であることが好ましく、さらには±7nm、±5nm以下であることが好ましい。ダブオフ値が±10nmより大きいと、この基板を用いて製造された磁気ディスクは、磁気ヘッドが接触してクラッシュ障害を生じてしまう可能性が高いからである。また、このクラッシュ障害を発生する可能性は、垂直磁気記録方式である場合にさらに高くなる。
また測定工程における乖離部の形状は、基準線からの隆起が最大である極大値または沈降が最大となる極小値によって測定し、判断工程は、乖離の極大値もしくは極小値を所定値と比較する、または、極大値と極小値の差を所定値と比較することにより判断を行うことでもよい。例えば測定工程では極大値のみを測定し、判断工程では極大値のみに基づいて良品か否かの判断をすることでもよい。同様に極小値のみを測定して、これに基づいて良品の判断をすることでもよい。また、極大値と極小値の両方を測定して、いずれか絶対値の大きな方の値に基づいて良品の判断をすることでもよい。また、極大値と極小値の差を所定値と比較することでもよい。隆起と沈降の両方が形成されている場合、それぞれの基板主表面の平坦部に対する乖離の量はさほど大きくなくとも、差分とすれば大きな上下変動を有する場合があるためである。このように、基板に求められる精度と性能に応じて柔軟な測定と評価の仕様を選択することができる。
また測定工程は、乖離部における乖離の大きさが最大となる極部の位置を測定する位置測定工程と、位置測定工程によって測定された極部の乖離部の形状を測定する値測定工程との2つの工程を含んでいてもよい。すなわち測定工程を2つの工程に分け、第1の工程ではまず極部の位置(半径位置)を特定し、第2の工程では詳細にその値を測定することにより、時間のかかる詳細な測定を1点についてのみ実施すればよく、測定時間の増加を最小限に抑えることができる。
値測定工程は、位置測定工程よりも解像度の高い測定方法を用いて測定してもよい。換言すれば、位置測定工程は値測定工程よりも解像度の低い測定方法を用いることができる。位置を特定するだけであれば低い解像度で足り、かつ低い解像度であれば容易に広い面積を高速に測定することが可能となるためである。従って処理時間の大幅な高速化を図ることができる。
主表面において、極部は、該乖離部の全周に亘って、当該基板の中心から外形までの半径方向の距離において92.0〜97.0%の範囲内にあってもよい。これにより、従来のスキージャンプ、ロールオフ、またはダブオフなどの測定によって極部の位置を知ることができる。また、基板の外周端面を基準として、端面から1〜2.6mmの範囲内とすることでもよい。
また、上記乖離部は、上記主表面と直交する方向からみたとき、当該乖離部を結んだ円の真円度が、記録ヘッドのディスク半径方向に対する大きさを考慮して、0.02mm+1.00mm(記録ヘッドのピコスライダーの幅)=1.02mmであることが好ましい。換言すると、ガラス基板の断面から見たとき、上記乖離部が存在している位置の変動は、基板の半径方向において1.02mm以内の範囲に収まっていることが好ましい。
当該基板は、磁気ディスクの外縁を経由して磁気ヘッドが磁気ディスクの主表面に対してロード及びアンロードされるロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクに用いる基板であってもよい。外縁部分の平坦度が高いことから、ロードアンロード方式に適した基板とすることができる。
当該基板は、少なくとも7200rpm以上の回転数で磁気ディスクを回転させる磁気ディスク装置に搭載するための磁気ディスクに用いる基板であってもよい。外縁部分の平坦度が高いことから、高速回転させた場合であっても磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触するおそれがなく、信頼性を高めることができる。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法の代表的な構成は、上記磁気ディスク用基板の製造方法により得られた磁気ディスク用基板の表面に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする。これにより、主表面の外縁部分も高度な平坦度を備えた磁気ディスクを製造することができる。
本発明によれば、磁気ディスク用基板の特に外縁部分において、乖離の大きさが最大となる極部における乖離部の形状を用いて判断することにより、基板の全周において乖離部の形状が管理値以下となっていることを担保することができる。従って、特に磁気ディスクの外縁部分において磁気ヘッドの浮上姿勢が乱されるということがなく、かつ、磁気ディスクを高速回転させた場合であっても磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触するおそれがなく、信頼性を高めることができる。また、ロードアンロード方式における磁気ヘッドの通過に対しても、磁気ヘッドの浮上姿勢が特に磁気ディスクの外縁部分で乱されたり、磁気ディスクと接触したりするおそれがない。
本発明にかかる磁気ディスク用基板、およびこれを用いた磁気ディスクの実施形態について説明する。なお、以下の実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
(磁気ディスク用基板)
本発明にかかる発明者らは、スキージャンプまたはロールオフに起因する磁気ディスク主表面の凹凸を削減し、高速回転させてもクラッシュ障害の発生を抑止しうる磁気ディスクを提供するために鋭意検討した結果、同じ基板であっても円周方向に異なる位置にあっては乖離部の形状が異なることを見出し、乖離の大きさが最大となる極部の乖離部の形状を測定して良品・不良品管理を行うことにより、クラッシュ障害をより一層低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、従来からもガラス基板を出荷する前に、周縁部分の形状を測定することによってガラス基板が良品であるか否かを判断していた。しかし、ガラス基板は安価かつ大量に生産しなくてはならず、また検査した基板は出荷製品とできないことから(破壊試験)、ロットから数枚のサンプルを抜き出して、それぞれ1つの位置についてのみ測定していた。そして測定した結果、良品と判定されたガラス基板を用いて磁気ディスクを製造した場合であっても、グライドテストで不良品と判定されるガラス基板が多い場合と少ない場合があることが分かった。
そこで、発明者らが詳細に検査したところ、円周方向に複数の位置で端部形状を測定すると、位置によって乖離部の形状が異なっていることがわかった。そのため、検査をパスしたロットであっても、いざ磁気ディスクにして磁気ディスク装置に組み込むと、所望の性能を発揮できない場合があることがわかった。その一方で、ガラス基板の乖離の大きさが最大となる極部の位置における乖離部の形状が管理値を満たしたガラス基板を磁気ディスクにして磁気ディスク装置に組み込むと、ヘッドクラッシュを引き起こすことがないことがわかった。
そこで本実施形態においては、ガラス基板の製造方法において、ガラス基板の乖離の大きさが最大となる極部の位置と当該位置における乖離部の形状とを測定する測定工程と、乖離部の形状に基づいてガラス基板が良品であるか否かを判断する判断工程と、を含むこととした。これについて以下に説明する。
まず、本実施形態にかかる磁気ディスク用基板について図1を参照して説明する。なお、図1は代表的な磁気ディスク用基板の端部形状の一例であるスキージャンプ形状とロールオフ形状について説明する側面図である。
上記磁気ディスク用基板10は、円板形状をしており、その中心には円孔が形成されている。そして、磁気ディスク用基板10は、図1に示すようように、情報の記録再生領域となる主表面11と、当該主表面11に対して直交している端面12と、当該主表面と端面との間に介在している面取面13とを備えている。なお、後述する端面研磨工程により端面12と面取面13との境界が不明瞭になる場合もあるため、本発明は端面12とその両側の面取面13があわせて一つの曲面を構成する場合も含むものとする。
主表面は、情報を記録再生するための領域であるため、記録ヘッドが浮上走行するために実質的に平坦になっている。しかし、上記ガラス基板10を製造する上で、上記主表面の周縁には、例えば、ガラス基板の主表面における中心部分と比べて、当該主表面に対して隆起または沈降している乖離部が形成されることになる。この乖離部は、ガラス基板における主表面の内周端部側と外周端部側の両方に形成されている。
図1(a)に示すように、スキージャンプ形状は主表面11の外縁部分が隆起する形状であり、図1(b)に示すように、ロールオフ形状はガラス基板10の外縁部分が沈降する形状である。
図2は、乖離部の形状を測定する方式の例としてのダブオフについて説明する図である。図2に示すようにダブオフは、ガラス基板をある半径方向で切断した場合の断面をみたとき、任意の2点R1、R2を結んだ直線を基準線とし、その範囲内における基準線から正方向の隆起、負方向の沈降それぞれの最大距離を測定するものである。図2(a)は直線R1R2に対して主表面11の輪郭線の極部が負方向にある場合(スキージャンプ)の沈降量dを示し、図2(b)は直線R1R2に対して主表面の輪郭線の極部が正方向にある場合(ロールオフ)の隆起量uを示している。そして測定する際には、正方向と負方向の絶対値の大きい方をその断面のダブオフ値としている。
任意の2点R1、R2は、例えば外径サイズが2.5インチ(外径65mmφ)の基板の場合、基板の中心からの距離をそれぞれ29.9mm(R1)、31.5mmの点(R2)のように定めることができる。換言すると、上記任意の2点を、基板の中心から基板端面までの距離を100%としたとき、基板中心から、92%の位置と97%の位置とを2点として定めることもできる。そして、この2点間に、磁気ディスク用基板の乖離部(隆起部または沈降部)が存在している。また、この2点のうちの基板中心から遠い地点は、磁気ヘッドが浮上走行する領域である。
なお、本実施形態においては、上記のように主表面内の周縁に該周縁以外の平坦面に対して形成された隆起または沈降を、総じて主表面の平坦面に対する「乖離」と称する。そして、この乖離が形成された部分を乖離部と称することとする。なお図1および図2を参照すればわかるように、測定方法が異なれば乖離の極部の位置が異なる。しかしいずれの場合においても、最も大きな乖離を呈している位置が極部であって、それぞれの測定方法における乖離値(スキージャンプ値、ロールオフ値、ダブオフ値)を与える位置である。
次に本実施形態にかかる磁気ディスク用基板を製造するための製造方法について説明する。
本実施形態においては、ガラス基板の製造方法に、ガラス基板の乖離の大きさが最大である位置とその乖離値とを測定する測定工程と、最大の乖離値を所定値と比較することによりガラス基板が良品であるか否かを判断する判断工程と、を含むこととした。
従って本実施形態の構成によれば、磁気ディスク用基板の特に外縁部分において、乖離値の大きさが確実に所定値以内となっていることを担保することができる。換言すれば、所定の大きさ以上の乖離を有するガラス基板を確実に排し、ガラス基板の特に外縁部分、ひいてはガラス基板全体の平坦度を向上させることができる。これにより、特に磁気ディスクの外縁部分において磁気ヘッドの浮上姿勢が乱されるということがなく、磁気ディスクを高速回転させた場合であっても磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触するおそれがなく、信頼性を高めることができる。また、ロードアンロード方式における磁気ヘッドの通過に対しても、磁気ヘッドの浮上姿勢が特に磁気ディスクの外縁部分で乱されたり、磁気ディスクと接触したりするおそれがない。
測定工程でダブオフを測定する場合には、ダブオフ値が±10nm以下を良品と判断することが好ましく、さらには±5nm以下であることが好ましい。ダブオフ値が±10nmより大きいと、このガラス基板を用いて製造された磁気ディスクは、磁気ヘッドが接触してクラッシュ障害を生じてしまう可能性が高いからである。また、このクラッシュ障害を発生する可能性は、垂直磁気記録方式である場合にさらに高くなる。
また測定工程では隆起量のみを測定し、判断工程では隆起量のみに基づいて良品か否かの判断をすることでもよい。同様に沈降量のみを測定して、これに基づいて良品の判断をすることでもよい。さらには、隆起量と沈降量の両方を測定して、いずれか絶対値の大きな方の値に基づいて良品の判断をすることでもよい。ハードディスクを製造するメーカーによって、回転速度や記録ヘッドなどとの兼ね合いから、磁気ディスクに求める仕様に少しずつ差異がある。そして、隆起量や沈降量のいずれか一方の値の規制を要求する場合もあれば、いずれか絶対値の大きな方の規制を要求する場合もある。しかし上記構成であれば、ガラス基板に求められる精度と性能に応じて柔軟な測定と評価の仕様を選択することができる。
さらには、測定工程は、隆起が最大である位置と沈降が最大である位置とを測定し、かつそれぞれの位置における隆起量と沈降量をそれぞれ乖離値の極大値および極小値として測定し、判断工程は、乖離値の極大値および極小値を、それぞれ所定値と比較し、または極大値と極小値の差を所定値と比較することでもよい。
具体的には、まず測定工程において、隆起量が最大である位置(最も隆起した位置)と沈降量が最大である位置(最も沈降した位置)の2箇所を特定する。続いて、それぞれの位置における隆起量と沈降量を測定して、それぞれ乖離値の極大値と極小値とする。測定方法としてダブオフを用いるとき、ダブオフは極大値(ロールオフ形状)と極小値(スキージャンプ形状)の絶対値が大きい方をダブオフ値として採用する測定方法であるので、極大値または極小値を取り出すことができる。また測定方法としてスキージャンプとロールオフを用いるとき、これらの測定値をそのまま極大値または極小値とすることができる。
そして判断工程は、乖離値の極大値および極小値をそれぞれ所定値と比較し、いずれも所定値を超えていない場合に良品と判断することができる。さらに、極大値と極小値の差を所定値と比較することでもよい。隆起と沈降の両方が形成されている場合、それぞれの基板主表面の平坦部に対する乖離の量はさほど大きくなくとも、差分とすれば大きな上下変動を有する場合があるためである。
また測定工程は、乖離部における隆起または沈降が最大となる極部の位置を測定する位置測定工程と、位置測定工程によって測定された極部の乖離値を測定する値測定工程を含んでいてもよい。すなわち測定工程を2つの工程に分け、第1の工程ではまず極部の位置(半径位置)を特定し、第2の工程では詳細にその値を測定することにより、時間のかかる詳細な測定を1点についてのみ実施すればよく、測定時間の増加を最小限に抑えることができる。
値測定工程は、位置測定工程よりも解像度の高い測定方法を用いて測定してもよい。換言すれば、位置測定工程は値測定工程よりも解像度の低い測定方法を用いることができる。位置を特定するだけであれば低い解像度で足り、かつ低い解像度であれば容易に広い面積を高速に測定することが可能となるためである。従って処理時間の大幅な高速化を図ることができる。
位置測定工程は、具体的には、例えば解像度の低い光干渉式表面形状測定装置としてOptiFlat(Phase Shift Technology社製)を用いてガラス基板を全体的に走査し、最も乖離の大きい極部の位置を特定することができる。値測定工程は、例えば解像度の高い光干渉式表面形状測定装置としてMicroXam(同社製)を用いて、極部の詳細な乖離値を測定することができる。換言すると、本発明においては、位置測定工程ではディスク基板の主表面を一度に測定できるOptiFlatを用いてガラス基板の主表面上に存在する乖離部の位置と当該乖離部の外形とを測定することで、ガラス基板の主表面に存在する乖離部のうちで最も乖離の大きな位置を特定し、値測定工程では位置測定工程によって特定された最も乖離の大きな乖離部の形状(乖離部における乖離の大きさ)を、上記OptiFlatよりも解像度の高いMicroXamを用いて測定している。なお、MicroXamは、解像度が高いが測定領域がOptiflatのそれに比べ狭いため、ガラス基板の主表面の乖離部の形状を一度に測定することができない。このように、本実施の形態では、解像度の異なる2つの光干渉式表面形状測定装置を用いて、ガラス基板の主表面に存在する複数の乖離部のうちの、乖離が最大である乖離部の大きさを測定しているため、確実に、最大の乖離部の大きさを測定できるとともに、測定時間を短縮することができる。
次に示す表1はOptiFlatの測定条件(基板が2.5インチの場合)を示し、表2はMicroXamの測定条件を示す。MicroXamの測定範囲が3.58〜3.88mmであるのに対し、OptiFlatの測定範囲(Area)は13.5〜31.6mm(ストローク:18.1mm)となっており、OptiFlatは解像度が低い代わりに測定範囲が広くなっていることがわかる。一方、Pixel数と測定範囲の関係からくる水平方向分解能により、MicroXamは解像度が高いことがわかる。
具体的には、X方向において、MicroXamはPixel数:752、測定範囲:3.58mmであるから、分解能:3.58mm/752=0.0048mm=4.8μmとなる。これに対しOptiflatは、Pixel数:750、半径方向のストロークが31.6−13.5=18.1mmであるから、分解能:18.1mm/750=0.0241mm=24.1μmとなる。なお本実施形態においてMicroXamの測定範囲は長方形であるとして説明したが、例えば正方形であってもよく、他の四角形であってもよい。

Figure 2008234825
Figure 2008234825
主表面において、極部は、該乖離部の全周に亘って、当該ガラス基板の中心から外形までの半径方向の距離において92.0〜97.0%の範囲内にあってもよい。これにより、従来のスキージャンプ、ロールオフ、またはダブオフなどの測定によって極部の位置を知ることができる。また、ガラス基板の外周端面を基準として、端面から1〜2.6mmの範囲内とすることでもよい。
また、本実施形態にかかる磁気ディスク用基板の製造方法によって製造されたガラス基板は、当該ガラス基板の周縁に存在する乖離部を、磁気ヘッドが2.0m/秒以上の線速度で走行する磁気ディスク装置に搭載するためのガラス基板として使用されることが好ましい。
また、本実施形態にかかる磁気ディスク用基板の製造方法によって製造されたガラス基板は、タッチダウンハイト(TDH)が、3nm以下の磁気ディスクに用いられるものであることが好ましい。タッチダウンハイトが低いと、上記ガラス基板上に形成されている乖離の変動が大きい場合にクラッシュを引き起こしやすい。しかし本実施形態の磁気ディスク用基板を用いることで、乖離部の変動を従来よりも一層小さくすることができるので、磁気ヘッド(記録ヘッド)の浮上量を小さくしても、磁気ヘッドがクラッシュすることを抑制できる。なお、本発明にかかる磁気ディスク用基板の製造方法は、上記タッチダウンハイトの磁気ディスク用途に限らず、例えば、タッチダウンハイトが15nm以下のような上記と比較して、大きい場合にも用いることができることはいうまでもない。
また本実施形態にかかる磁気ディスク用基板の製造方法によって製造されたガラス基板は、記録密度が200GBit/inch以上、好ましくは250GBit/inch以上の高い記録密度の磁気ディスクに用いられるものであることが好ましい。このように高い記録密度である場合には記録ヘッドの浮上量を小さくする必要があるが、本実施形態の磁気ディスク用基板の製造方法を用いることで、確実に極部の最大高さにより品質を管理できるため、この製造方法によって製造された磁気ディスクを用いることで、クラッシュを抑制することができる。なお、記録密度が上記よりも小さい磁気ディスクに用いられる磁気ディスク用基板においても、本発明にかかる磁気ディスク用基板が好適に適用できることはいうまでもない。
また、本発明にかかる磁気ディスク用基板の製造方法は、平坦な主表面、側面、および当該主表面と側面との間に存在する面取面とを備えるとともに、上記主表面と面取面との間に、上記主表面に対して隆起している隆起部および/または上記主表面に対して沈降している沈降部を備えた円板状の磁気ディスク用基板を製造する、磁気ディスク用基板の製造方法であって、上記磁気ディスク用基板の面内には、上記主表面を包囲するように、上記隆起部および/または沈降部が複数存在しており、上記主表面に直交する方向における隆起部の高さおよび/または沈降部の深さの極大値を算出する算出工程と、上記隆起部の高さおよび/または沈降部の深さの極大値が、所定範囲内であるか否かを判定し、上記極大値が所定範囲内に含まれる場合には良品と判断する判断工程を含むこととしてもよい。
また、上記所定範囲とは、隆起部の場合2nm以下であり、沈降部の場合2nm以下とすることができる。
また上記主表面に直交する方向における隆起部の高さおよび/または沈降部の深さの極大値を算出する算出工程は、上記主表面に直交する方向における隆起部の高さおよび/または沈降部の深さの最大になっている場所を特定する特定工程と、上記特定工程によって特定された隆起部および/または沈降部に高さおよび/または深さを測定することで極大値を算出する計測工程とを含むこととしてもよい。
また上記計測工程は、特定工程よりも分解能の高い計測方法を用いて行うこととしてもよい。これにより、算出工程を行う時間を大幅に短縮することができる。
また、本発明にかかる磁気ディスク用基板の製造方法は、平坦な主表面と側面と当該主表面と側面との間に面取面とを備えるとともに、上記主表面と面取面との間に、上記主表面に対して隆起している隆起部を備えた円板状の磁気ディスク用基板を製造する、磁気ディスク用基板の製造方法であって、上記磁気ディスク用基板の面内には、上記主表面を包囲するように上記隆起部が複数存在しており、上記主表面に直交する方向における隆起部の高さの極大値を算出する算出工程と、上記隆起部の高さの極大値が、所定範囲内であるか否かを判定し、上記極大値が所定範囲内に含まれる場合には良品と判断する判断工程を含むこととしてもよい。
また、本発明にかかる磁気ディスク用基板の製造方法は、平坦な主表面と側面と当該主表面と側面との間に面取面とを備えるとともに、上記主表面と面取面との間に、上記主表面に対して沈降している沈降部を備えた円板状の磁気ディスク用基板を製造する、磁気ディスク用基板の製造方法であって、上記磁気ディスク用基板の面内には、上記主表面を包囲するように、上記沈降部が複数存在しており、上記主表面に直交する方向における沈降部の深さの極大値を算出する算出工程と、上記沈降部の深さの極大値が、所定範囲内であるか否かを判定し、上記極大値が所定範囲内に含まれる場合には良品と判断する判断工程を含むこととしてもよい。
また、本発明にかかる磁気ディスク用基板の製造方法は、平坦な主表面と側面と当該主表面と側面との間に面取面とを備えるとともに、上記主表面と面取面との間に、上記主表面に対して隆起している隆起部および/または上記主表面に対して沈降している沈降部を備えた円板状の磁気ディスク用基板を製造する、磁気ディスク用基板の製造方法であって、上記磁気ディスク用基板の面内には、上記主表面を包囲するように、上記隆起部および/または沈降部が複数存在しており、上記磁気ディスク用基板の中心を通る直線で切ったときの当該磁気ディスク用基板断面において、上記隆起部および/または沈降部を間に含む任意の2点を設定し、この2点を結ぶ直線に直交する方向における隆起部の高さおよび/または沈降部の深さの極大値を算出する算出工程と、上記隆起部の高さおよび/または沈降部の深さの極大値が、所定範囲内であるか否かを判定し、上記極大値が所定範囲内に含まれる場合には良品と判断する判断工程を含むこととしてもよい。
また、本実施形態にかかる磁気ディスク基板を製造するためには、最終の研磨工程において、研磨加工を目的とした加工圧(本加工圧)で基板を研磨した後、この本加工圧よりも低い(例えば、1Pa以下)の加工圧で基板を研磨することがより好ましい。特に、本加工圧で基板を研磨する研磨時間の約半分程度の時間、この低い加工圧で研磨することが好ましい。このようにすることで、端部形状の円周方向のバラツキを低減させることができる。
また、本実施形態にかかる磁気ディスク基板を製造するためには、化学強化処理が可能なガラス基板に対して、化学強化処理を行った後に、基板主表面を研磨することで、磁気ディスク用ガラス基板を得ることが好ましい。化学強化処理(イオン交換処理)を施した場合、端部形状が研磨後よりも粗くなる場合がある。このため端部形状の円周方向のバラツキを低減させる場合には、化学強化処理を施した後で研磨処理を施したほうが、端部形状の円周方向のバラツキが低減された磁気ディスク用ガラス基板を高歩留まりで生産することができる。なお、化学強化処理後に主表面研磨処理を施したガラス基板は、基板表面の少なくとも一部の表面にイオン交換層を有するガラス基板であって、イオン交換層の層厚が端面のほうが主表面よりも厚くなっている。
また、化学強化処理後に主表面研磨処理を施したガラス基板は、主表面の粗さを低減するためにも好ましい。特に、近年の垂直磁気記録方式で要求される基板の表面粗さは、従来と比べて著しく下がってきている。この要求を満たすためには、化学強化処理後に主表面研磨処理を施したガラス基板とすることが好ましい。
なお、本実施形態にかかる磁気ディスク用基板のAFM(電子顕微鏡)を用いて測定した表面粗さRaが0.15nm以下であることが好ましい。
磁気ディスクは、その外縁を経由して磁気ヘッドが主表面に対してロード及びアンロードされるロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであってもよい。ガラス基板の外縁部分の平坦度が高いことから、ロードアンロード方式に適した磁気ディスクとすることができる。
磁気ディスクは、少なくとも7200rpmで磁気ディスクを回転させる磁気ディスク装置に搭載するための磁気ディスクであってもよい。さらには10000rpmの速度の磁気ディスク装置であっても、好適に用いることができる。ガラス基板の外縁部分の平坦度が高いことから、高速回転させた場合であっても磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触するおそれがなく、信頼性が高いためである。
磁気ディスクは、接触摺動型記録媒体(接触記録型記録媒体)であってもよい。接触摺動型記録媒体は、記録ヘッドを磁気ディスクに接触摺動させた状態で読み書きするため、上記のように磁気ディスク用基板の特に外縁部分の円周方向の平坦度を向上させることにより、記録ヘッドが跳ねてしまうことを防止することができる。これにより信号品質を向上し、記録ヘッドの損傷を防止することができる。
また、本実施形態の磁気ディスク用基板を用いて、磁気ディスクを製造することにより、タッチダウンハイト(TDH)の基板の半径方向のバラツキが小さい磁気ディスクとすることができる。このように基板の端部形状のバラツキを低減させることにより、ディスクの最外周付近における磁気ヘッドの浮上特性を向上させることができる。
また、本実施形態にかかる磁気ディスク用基板は、DFH(dynamic flying height)ヘッド対応の磁気ディスクの基板として用いられることが好ましい。DFHヘッドを用いた場合、磁気ディスク表面とヘッドの最近接部との距離が従来よりも著しく低い。しかし本実施形態の磁気ディスク用基板は、うねりの高さを20μm以下、さらには12μm以下とすることができる。また基板主表面の表面粗さは0.15nm以下、さらには0.12nm以下とすることができる。したがって、上記磁気ディスク用基板を磁気ディスクに使用した場合には、DFHヘッドのクラッシュをより一層低減させることができる。
以下に、本発明を適用した磁気ディスク用基板および磁気ディスクの製造方法について実施例を説明する。図3は磁気ディスク用基板および磁気ディスクの製造方法を説明するフローチャートである。この磁気ディスク用基板および磁気ディスクは、3.5インチ型ディスク(φ89mm)、2.5インチ型ディスク(φ65mm)、1.0インチ型ディスク(φ27.4mm)、0.8インチ型ディスク(φ21.6mm)、1.8インチ型磁気ディスク(φ48mm)などの所定の形状を有する磁気ディスクとして製造される。
(1)形状加工工程および第1ラッピング工程(ステップS101)
本実施例に係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、まず、板状ガラスの表面をラッピング(研削)加工してガラス母材とし、このガラス母材を切断してガラスディスクを切り出す。板状ガラスとしては、様々な板状ガラスを用いることができる。この板状ガラスは、例えば、溶融ガラスを材料として、プレス法やフロート法、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法など、公知の製造方法を用いて製造することができる。これらのうち、プレス法を用いれば、板状ガラスを廉価に製造することができる。板状ガラスの材質としては、アモルファスガラスやガラスセラミクス(結晶化ガラス)を利用できる。板状ガラスの材料としては、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス等を用いることができる。特にアモルファスガラスとしては、化学強化を施すことができ、また主表面の平坦性及び基板強度において優れた磁気ディスク用基板を供給することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好ましく用いることができる。
本実施例においては、溶融させたアルミノシリケートガラスを上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスによりディスク形状に成型し、アモルファスの板状ガラスを得た。なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を主成分として含有する化学強化ガラスを使用した。
次に、この板状ガラスの両主表面をラッピング加工し、ディスク状のガラス母材とした。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行った。具体的には、板状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液を板状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行った。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス母材を得た。
(2)切り出し工程(ステップS102)
次に、ダイヤモンドカッタを用いてガラス母材を切断し、このガラス母材から円盤状のガラス基板を切り出した。次に、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板とした(コアリング)。そして内周端面および外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施した(フォーミング、チャンファリング)。
(3)第2ラッピング工程(ステップS103)
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行った。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程である切り出し工程や端面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。
(4)端面研磨工程(ステップS104)
次に、ガラス基板の外周端面および内周端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行った。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いた。
そして、端面研磨工程を終えたガラス基板を水洗浄した。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面は、ナトリウムやカリウムの析出の発生を防止できる鏡面状態に加工された。
(5)主表面研磨工程(ステップS105)
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は、前述のラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とするものである。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、主表面の研磨を行った。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いた。
この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
次に、主表面研磨工程として、第2研磨工程を施した。この第2研磨工程は、主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする。この第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、主表面の鏡面研磨を行った。研磨剤としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒を用いた。
この第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPAの各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には、超音波を印加した。
(6)化学強化工程(ステップS106)
次に、前述のラッピング工程および研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400℃に加熱しておくとともに、洗浄済みのガラス基板を300℃に予熱し、化学強化溶液中に約3時間浸漬することによって行った。この浸漬の際には、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行った。
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオンおよびナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオンおよびカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さは、約100μm乃至200μmであった。
化学強化処理を終えたガラス基板を、20℃の水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持した。そして、急冷を終えたガラス基板を、約40℃に加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。さらに、硫酸洗浄を終えたガラス基板を純水、IPAの各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。
上記の如く、第1ラッピング工程、切り出し工程、第2ラッピング工程、端面研磨工程、第1および第2研磨工程、ならびに化学強化工程を施すことにより、平坦、かつ、平滑な、高剛性の磁気ディスク用基板を得た。
(7)検査工程(ステップS107)
得られた磁気ディスク用基板の外縁部分の形状について、検査を行った。さらに図3(b)に示すように、検査工程(S107)は、ガラス基板の乖離の大きさが最大である位置とその乖離値とを測定する測定工程(S201)と、最大の乖離値を所定値と比較することによりガラス基板が良品であるか否かを判断する判断工程(S202)とを含む。さらに図3(c)に示すように、測定工程(S201)は、乖離部における隆起または沈降が最大となる極部の位置を測定する位置測定工程(S301)と、位置測定工程(S301)によって測定された極部の乖離値を測定する値測定工程(S302)とを含む。
(8)磁気ディスク製造工程(ステップS108)
上述した工程を経て得られたガラス基板の両面に、ガラス基板の表面にCr合金からなる付着層、CoTaZr基合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt基合金からなる垂直磁気記録層、炭化水素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造した。より具体的には、インライン型スパッタリング装置を用いて、ガラス基板の上に、CrTiの付着層、CoTaZr/Ru/CoTaZrの軟磁性層、Ruの中間層、CoCrPt-SiOのグラニュラー磁性層、水素化カーボン保護膜を順次成膜し、さらに、ディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層を成膜して磁気ディスクを得た。
なお、本構成は垂直磁気ディスク(PMR:Perpendicular Magnetic Recording)の構成の一例であるが、水平磁気ディスク(LMR:Longitudinal Magnetic Recording)として磁性層等を構成してもよい。これにより、主表面の外縁部分も高度な平坦度を備えた磁気ディスクを製造することができる。
〔実施例1〕
上記(5)主表面研磨工程の第2研磨工程を、以下に示す研磨条件を適用して、磁気ディスク用基板および磁気ディスクを製造した。なお、本実施例1では2.5インチ型ディスク(φ65mm)を製造した。具体的な研磨条件は、研磨パッドの硬度を80(アスカーC硬度)、研磨材の粒径を0.8(μm)、加工速度(加工レート)を0.5(μm/分)、加工圧を80(g/cm)とした。より具体的には、最終研磨工程における加工圧を2段階で変更し、80(g/cm)の本加工圧で所定時間のあいだ研磨加工した後、10(g/cm)の加工圧で所定時間の半分のあいだ研磨加工を施した。
〔比較例1〕
上記第2研磨工程における研磨条件を以下の条件にした以外は、上記の製造方法にて比較例1にかかる磁気ディスク用基板および磁気ディスクを製造した。具体的な研磨条件は、比較例の研磨条件は、研磨パッドの硬度を60(アスカーC硬度)、研磨材の粒径を1.0(μm)、加工速度を0.7(μm/分)、加工圧を80(g/cm)とした。このときの研磨工程は、本加工圧80(g/cm)のまま研磨加工を行い、その後加工圧を落とすことなく研磨加工を行った。
(実施例1と比較例1との比較)
実施例1および比較例1に示すように製造した磁気ディスク用基板の主表面周縁に存在する極部の形状について、以下に示す方法によって検査した。
時間軸に沿って説明すれば、まず測定工程(S201)の第1の工程として、位置測定工程(S301)によって、ガラス基板全体から隆起又は沈降が最大となる極部の位置を測定する。位置測定工程は、具体的には、例えば解像度の低い光干渉式表面形状測定装置としてOptiFlatを用いてガラス基板を全体的に走査し、最も乖離の大きい位置を特定することができる。他には例えば、円周方向に複数の位置でダブオフを測定することによって、最も乖離の大きい位置を特定することができる。
次に測定工程(S201)の第2の工程として、値測定工程(S302)によって、位置測定工程において特定された位置について詳細な乖離値が測定される。値測定工程は、例えば解像度の高い光干渉式表面形状測定装置としてMicroXamを用いて測定することができる。本実施形態において値測定工程はダブオフを測定するが、ダブオフ値を算出するための極大値と極小値の両方を取得することができる。
次に判断工程(S202)として、最大の乖離値を所定値と比較することによりガラス基板が良品であるか否かを判断する。ここで最大の乖離値として、上記の極大値と極小値のうち絶対値の大きい方(すなわちダブオフ値)を所定値と比較して良品と判断することができる。または、乖離値の極大値および極小値をそれぞれ所定値と比較し、いずれも所定値を超えていない場合に良品と判断することができる(極大値用の所定値と極小値用の所定値を異ならせることができる)。さらに、極大値と極小値の差を所定値と比較することでもよい。
(A)端部形状の影響
図4(a)は、実施例と比較例のヘッドクラッシュ率を示す図である。実施例は上記説明のように、乖離値が最大となる位置においてその乖離値を測定したものである。比較例は従来と同様に、任意の一点についてダブオフ値を測定したものである。図に示すように、比較例では0.6%のクラッシュが発生したが、実施例では0.01%に抑えることができた。
図4(b)は、実施例の比較例のガラス基板について、所定の半径位置における基板表面の乖離値(隆起または沈降)を測定した例である。実施例の構成では、極部の乖離値は変動が少なく、円周方向に略均一になっている。これに対し比較例の構成では、極部の乖離値が大きく変動していた。比較例のような基板であっても、従来のように任意の1点についてのみダブオフを測定した場合、もし乖離値が低い部分で測定してしまうと、良品と判断してしまうおそれがあった。そしてこのような基板を用いて磁気ディスクを製造することにより、クラッシュ障害を発生する原因となると考えられる。
しかし本実施形態の如く、乖離の大きさが最大である位置とその乖離値とを測定して良品であるか否かの判断をすることにより、乖離値の大きさが確実に所定値以内となっていることを担保することができる。換言すれば、所定の大きさ以上の乖離を有するガラス基板を確実に排し、ガラス基板の特に外縁部分、ひいてはガラス基板全体の平坦度を向上させることができる。従って、特に磁気ディスクの外縁部分において磁気ヘッドの浮上姿勢が乱されるということがなく、磁気ディスクを高速回転させた場合であっても磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触するおそれがなく、信頼性を高めることができる。また、ロードアンロード方式における磁気ヘッドの通過に対しても、磁気ヘッドの浮上姿勢が特に磁気ディスクの外縁部分で乱されたり、磁気ディスクと接触したりするおそれがない。
(B)ロードアンロード試験比較
上記したように、実施例1と比較例1にかかる磁気ディスク用基板上に磁性層を形成した磁気ディスクをそれぞれ製造した後磁気ディスク装置を製造し、ロードアンロード試験を行った。具体的には、記録ヘッドの浮上量を8nmに設定し、ディスクの回転数を5400rpmと7200rpmとの2つの場合において試験を行った。
その結果、実施例1および比較例1にかかる磁気ディスクの場合、5400rpmの回転数でロードアンロードを100万回繰り返しても、クラッシュは起きなかった。比較例1の磁気ディスクについては、100万回のロードアンロード試験でクラッシュが起こった。
ところが、回転数を7200rpmとしてロードアンロード試験を行ったところ、実施例1にかかる磁気ディスクの場合、ロードアンロードを100万回繰り返しても、クラッシュは起きなかったが、比較例1にかかる磁気ディスクの場合、ロードアンロードを60万回繰り返したところで、クラッシュが起こった。
この結果より、本発明にかかるように、乖離の大きさが最大となる極部における乖離部の形状を用いて判断することが重要であることがわかる。
(C)モジュレーション試験
実施例1および比較例1で得られた磁気ディスクに対してモジュレーション試験を行った。具体的には、2.5インチ(外径65mmφ)におけるガラス基板の中心からの距離が29.9mm(R1)から31.5mmの点(R2)までの間の領域におけるモジュレーションを測定した。
具体的な測定条件については、以下の(1)〜(3)の手順で行った。
(1)電磁変換特性測定機(グーシック テクニカル エンタープライズ社)に磁気ディスクをセットし、磁気ヘッド(DFH(dynamic flying height)ヘッド)を磁気ディスク上にロード後、MFパターン(ハードディスクで使用する高周波数の半分の周波数)を書き込む。
(2)読出し信号をオシロスコープに入力する。
(3)そして、上記範囲内の任意の半径位置におけるセクタごとの、モジュレーションを求める。
その結果、実施例1と比較例1とを比較した結果、実施例1のほうがモジュレーションの値が良好であった。これは、所定の大きさ以上の乖離を有するガラス基板を確実に排していることから、モジュレーションも良好に保つことができたと考えられる。
なお、本実施形態では乖離部の形状をダブオフを用いて測定するように説明したが、ガラス基板の主表面に対する隆起(スキージャンプ)あるいは沈降(ロールオフ)の量を用いたり、さらに乖離の位置、乖離の極部の粗さ、乖離の度合い(急峻の度合い)を測定したりして、良品を判断することでもよい。この場合において、良品の判断の基準となる所定値は、それぞれの測定方法に適した値を選択することができる。
また、上記判断工程において不良品であると判断された場合に、再度第2研磨を行ってから検査工程を再び行ってもよい。これにより不良率を低下させて歩留まりを向上させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施例において本発明にかかる基板はガラスであると説明し、ガラスとしてはアモルファスガラスやガラスセラミクス(結晶化ガラス)、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス等を利用できると説明した。しかし本発明は基板の形状に関するものであるため、基板の材質に限定されるものではなく、例えばアルミニウムその他の材料からなる基板であっても本発明を好適に適用することができる。ただし上述したように、特に携帯機器においては、アルミニウム基板に比べ基板表面の平坦度及び基板強度に優れたガラス基板が好ましい。
なお、上記の説明では、判断工程では、乖離部の形状(例えば、乖離部の主表面と直交する方向の距離)に基づいて良品・不良品の判断を行っているが、例えば、極部が形成されている位置(半径方向の位置)に基づいて良品・不良品の判断を行ってもよく、両方を用いて良品・不良品の判断を行っても良い。
つまり、本発明にかかる磁気ディスク用基板の製造方法は、略平坦な主表面と、端面と、前記主表面と端面との間に形成した面取面と、前記主表面内の周縁に該周縁以外の平坦面に対して隆起または沈降した乖離部と、を備えた円板状の磁気ディスク用基板の製造方法であって、前記基板の主表面内に存在する乖離部のうち、前記平坦面に対する乖離の大きさが最大となる極部の位置と当該位置における乖離部の形状とを測定する測定工程と、前記極部の位置および/または乖離部の形状に基づいて前記基板が良品であるか否かを判断する判断工程と、を含む構成であってもよい。
また、上記位置測定工程を、上記基板の主表面全体を測定可能な計測装置を用いて行うとともに、上記値測定工程を、主表面の一部の領域のみが測定可能な計測装置を用いて行う構成としてもよい。
本発明は磁気記録媒体に用いられる磁気ディスク用基板の製造方法、およびこれを用いた磁気ディスクの製造方法として利用することができる。
スキージャンプとロールオフについて説明する図である。 ダブオフについて説明する図である。 磁気ディスク用基板および磁気ディスクの製造方法を説明するフローチャートである。 実施例と比較例を対比する図である。
符号の説明
10 …ガラス基板
11 …主表面
12 …端面
13 …面取面

Claims (9)

  1. 略平坦な主表面と、端面と、前記主表面と端面との間に形成した面取面と、前記主表面内の周縁に該周縁以外の平坦面に対して隆起または沈降した乖離部と、を備えた円板状の磁気ディスク用基板の製造方法であって、
    前記基板の主表面内に存在する乖離部のうち、前記平坦面に対する乖離の大きさが最大となる極部の位置と当該位置における乖離部の形状とを測定する測定工程と、
    前記乖離部の形状に基づいて前記基板が良品であるか否かを判断する判断工程と、
    を含むことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
  2. 前記測定工程における乖離部の形状は、基準線からの隆起が最大である極大値または沈降が最大となる極小値によって測定し、
    前記判断工程は、前記乖離の極大値もしくは極小値を所定値と比較する、または、極大値と極小値の差を所定値と比較することにより判断を行うことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  3. 前記測定工程は、
    前記極部の位置を測定する位置測定工程と、
    前記位置測定工程によって測定された極部の乖離部の形状を測定する値測定工程との2つの工程を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  4. 前記値測定工程は、前記位置測定工程よりも解像度の高い測定方法を用いて測定することを特徴とする請求項3記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法によって製造された基板上に、少なくとも磁性層を形成する工程を含むことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  6. 略平坦な主表面と、端面と、前記主表面と端面との間に形成した面取面と、前記主表面内の周縁に該周縁以外の平坦面に対して隆起した隆起部と、を備えた円板状の磁気ディスク用基板の製造方法であって、
    前記基板の主表面内に存在する隆起部のうち、前記平坦面に対する隆起の大きさが最大となる極部の位置と当該位置における隆起部の形状とを測定する測定工程と、
    前記隆起部の形状に基づいて前記基板が良品であるか否かを判断する判断工程と、
    を含むことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
  7. 略平坦な主表面と、端面と、前記主表面と端面との間に形成した面取面と、前記主表面内の周縁に該周縁以外の平坦面に対して沈降した沈降部と、を備えた円板状の磁気ディスク用基板の製造方法であって、
    前記基板の主表面内に存在する沈降部のうち、前記平坦面に対する沈降の大きさが最大となる極部の位置と当該位置における沈降部の形状とを測定する測定工程と、
    前記沈降部の形状に基づいて前記基板が良品であるか否かを判断する判断工程と、
    を含むことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
  8. 前記磁気ディスク用基板は、DFH(dynamic flying height)ヘッド対応の磁気ディスクの基板として用いられる基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  9. 当該基板は化学強化処理が可能なガラス基板であり、かつ、基板表面の少なくとも一部の表面にイオン交換層を有するガラス基板であって、
    化学強化処理後に主表面を研磨することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1稿に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
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