しかしながら、非特許文献1に記載の行動分析装置では、分析対象者夫々の行動実績データを得るために、PC画面の画像データを適宜記憶するためのソフトウェアプログラムの構築及び設定、ビデオ撮影のための機材や該機材の設置等を行う必要があり、行動実績データの収集に相当の費用及び手間がかかる。また、行動分析をより的確に実施して業務改善余地の抽出等を適切に行うためには、相当数の分析対象者の行動実績データを収集することが望ましいが、非特許文献1に記載の行動分析装置では、上述したように、分析対象者1人に係る行動実績データの収集のための費用及び手間が大きく、分析対象者の人数に応じて更に行動分析のための行動実績データの収集に費用及び手間がかかる。
また、一般的に、画像データやビデオ映像はデータ量が大きいため、非特許文献1の行動分析装置では、これらのデータを蓄積するために大容量の不揮発性メモリ等の記憶装置が必要となる。尚、必要とされる記憶装置の容量は分析対象者の人数に応じて大きくなるが、上述したように、行動分析をより的確に実施するためには、相当数の分析対象者の行動実績データを収集することが望ましいことから、非特許文献1の行動分析装置において行動分析を的確に行うためには相当大容量の記憶装置が必要となり、該記憶装置にかかる費用も相当大きくなる。従って、行動分析装置の構築及び設置にかかる手間及び費用の観点から、非特許文献1に記載の行動分析装置は、大人数の行動分析には不向きである。
更に、非特許文献1の行動分析装置では、行動実績データとしてPC画面の画像データやビデオ映像を記憶するが、PC画面の画像データやビデオ映像のみでは、分析対象者の行動の目的を把握するのは困難である。より具体的には、例えば、PC上で資料作成用アプリを使用している場合、当該アプリで作成している資料としては、営業のための提案資料や社内広告のための資料等が考えられるが、実際にどのような資料を作成しているかは把握困難である。また、膨大な量のPC画面の画像データの夫々について、画像データからPC上で使用されたアプリの情報を得ることはできるが、該アプリを使用した分析対象者を特定することは困難であり、このため、分析対象者夫々の個人行動を把握することは困難となる。
非特許文献1に記載の行動分析装置に対し、業務改善に係る技術の他の一例として、分析対象者毎に、予定開始時刻及び予定終了時刻や行動内容等から構成される行動予定データを行動予定別に登録するスケジューラ(電子予定表)を用い、該スケジューラの行動予定データを解析する行動分析技術がある。しかし、スケジューラを用いた行動分析技術では、事前登録された行動予定データが、予定変更や延期、中止等により実際の分析対象者の行動と乖離する場合があり、各行動予定データについて実際の行動期間(開始時刻及び終了時刻)が正確に把握できないという問題がある。更に、業務改善余地の抽出のための行動分析においては、事前登録された行動予定データと実際の分析対象者の行動とが異なる状況がある場合、当該状況に分析すべき課題がある場合も多く、行動分析を行うための行動分析用データが不十分なものとなる可能性がある。
また、業務改善に係る技術の更に他の一例として、分析対象者が所有する位置特定用端末を利用して、分析対象者の位置情報を常時または一定期間毎に記録し、該位置情報を基に、分析対象者個人の所在地や複数の分析対象者の所在分布を記録して統計分析する行動分析技術が提案されている。しかし、この位置情報による行動分析技術では、位置情報のみを記憶するため、分析対象者の行動が把握できないという問題があった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置構成を複雑化及び高コスト化することなく、且つ、分析対象者にかかる負荷を増大させることなく、行動分析で必要とされる情報をより正確により充実して収集可能な行動分析装置を提供する点にある。また、該行動分析装置を用い、装置構成を複雑化及び高コスト化することなく、且つ、分析対象者にかかる負荷を増大させることなく、行動分析で必要とされる情報をより正確により充実して収集可能なIP電話システムを提供する。
上記目的を達成するための本発明に係る行動分析装置は、コンピュータのデータ処理により複数の分析対象者の行動分析を行う行動分析装置であって、前記分析対象者毎に、所定の分析期間における前記分析対象者の行動予定別に、少なくとも前記行動予定の予定開始時刻及び予定終了時刻で規定される予定行動期間を含み、前記分析対象者の予定位置情報、前記行動予定の内容、及び、前記行動予定の他の参加者情報の少なくとも何れか1つを含む付帯情報を登録可能に構成された行動予定データの入力を受け付けて記憶する予定記憶手段と、前記分析期間において、前記分析対象者毎に、前記分析対象者が所持する分析対象者端末とのデータ通信に基づいて、所定の位置検出単位時間毎または常時、前記分析対象者の位置を特定して位置情報を求める位置特定手段と、前記分析対象者毎に、前記位置特定手段によって特定された位置情報に基づいて、複数の行動実績データを記憶する実績記憶手段と、前記分析対象者毎に、前記分析期間における前記行動予定データ別に、前記行動予定データを前記行動実績データと対応付ける照合処理を行い、対応付けされた前記行動実績データの前記位置情報に基づいて前記行動予定データ夫々を修正する照合手段と、を備えることを第1の特徴とする。
上記特徴の本発明に係る行動分析装置は、前記実績記憶手段が、前記位置特定手段において所定の所在判定時間を超えて連続して同じ位置情報が検出された場合に、該位置情報が示す位置を所在特定位置とし、前記所在特定位置と該所在特定位置の検出開始時刻及び検出終了時刻で規定される所在特定期間を実績行動期間として含む前記行動実績データを記憶することを第2の特徴とする。
上記特徴の本発明に係る行動分析装置は、前記照合手段が、前記所在特定位置を含む前記行動実績データ別に、照合対象の前記行動実績データの前記所在特定期間と一部または全部が重複する前記予定行動期間を有し、且つ、前記行動実績データの前記所在特定位置と一致する前記予定位置情報を有する前記行動予定データを検索し、1つの前記行動予定データが抽出された場合、抽出された前記行動予定データと照合対象の前記行動実績データを対応付けし、複数の前記行動予定データが抽出された場合、抽出された複数の前記行動予定データの内、他の前記行動予定データと前記予定行動期間が重複しない単体行動予定データについて、前記単体行動予定データの前記予定行動期間に基づいて、照合対象の前記行動実績データの前記所在特定期間を分割し、分割された前記所在特定期間毎に複数の新たな前記行動実績データとし、前記単体行動予定データ夫々と、前記単体行動予定データの前記予定行動期間と一部または全部が重複する前記所在特定期間を有する前記行動実績データを夫々対応付けし、対応付けされた前記行動予定データを検索対象から除外する第1照合処理を、全ての前記行動実績データについて実行することを第3の特徴とする。
上記特徴の本発明に係る行動分析装置は、前記照合手段が、全ての前記行動実績データについて前記第1照合処理を実行した後、対応付けされない前記行動予定データ夫々について、前記行動予定データの前記予定位置情報以外の前記付帯情報に基づいて、対応付けされていない前記行動実績データとの対応付けを行う第2照合処理を実行することを第4の特徴とする。
上記第2〜第4の特徴の本発明に係る行動分析装置は、前記実績記憶手段が、前記分析期間の内の前記所在特定期間を除く期間を所在不定期間とし、前記所在不定期間毎に、前記所在不定期間を実績行動期間として含む行動実績データを記憶することを第5の特徴とする。
上記特徴の本発明に係る行動分析装置は、前記照合手段が、前記所在不定期間を含む前記行動実績データ別に、照合対象の前記行動実績データの前記所在不定期間と一部または全部が重複する前記予定行動期間を有し、且つ、前記予定位置情報が登録されていない前記行動予定データを検索し、1つの前記行動予定データが抽出された場合、抽出された前記行動予定データと照合対象の前記行動実績データを対応付けし、複数の前記行動予定データが抽出された場合、抽出された複数の前記行動予定データの内、他の前記行動予定データと前記予定行動期間が重複しない単体行動予定データについて、前記単体行動予定データの前記予定行動期間に基づいて、照合対象の前記行動実績データの前記所在不定期間を分割し、分割された前記所在不定期間毎に複数の新たな前記行動実績データとし、前記単体行動予定データ夫々と、前記単体行動予定データの前記予定行動期間と一部または全部が重複する前記所在不定期間を有する前記行動実績データを夫々対応付けし、対応付けされた前記行動予定データを検索対象から除外する第3照合処理を、全ての前記行動実績データについて実行することを第6の特徴とする。
上記第2〜第6の何れかの特徴の本発明に係る行動分析装置は、前記照合手段が、前記照合処理を実施した後、対応付けされない前記行動予定データ夫々について、前記行動予定データ毎に、前記行動予定データを、前記行動予定データの前記予定開始時刻に最も近い前記検出開始時刻を有する前記行動実績データと対応付ける第1対応付けルール、前記行動予定データ毎に、前記行動予定データを、前記所在特定期間の長さが前記行動予定データの前記予定行動期間の長さに最も近い前記行動実績データと対応付ける第2対応付けルール、前記行動予定データと前記行動実績データを、時系列順に対応付ける第3対応付けルールの何れか1つ、または、これらの内の少なくとも何れか2つを組み合わせて対応付けする第4照合処理を実行することを第7の特徴とする。
上記第1または第2の特徴の本発明に係る行動分析装置は、前記照合手段が、前記分析期間において、前記行動予定データ毎に、前記行動予定データを、前記行動予定データの前記予定開始時刻に最も近い前記検出開始時刻を有する前記行動実績データと対応付ける第1対応付けルール、前記分析期間において、前記行動予定データ毎に、前記行動予定データを、前記所在特定期間の長さが前記行動予定データの前記予定行動期間の長さに最も近い前記行動実績データと対応付ける第2対応付けルール、前記分析期間において、前記行動予定データと前記行動実績データを、時系列順に対応付ける第3対応付けルールの何れか1つ、または、これらの内の少なくとも何れか2つを組み合わせて対応付けすることを第8の特徴とする。
上記第2〜第8の特徴の本発明に係る行動分析装置は、前記照合手段は、前記行動実績データと対応付けされた前記行動予定データ夫々について、前記行動予定データの前記予定行動期間が対応付けされた前記行動実績データの前記実績行動期間と完全に合致しないときは、対応付けされた前記行動予定データの前記予定行動期間を前記実績行動期間に合致するように修正する修正処理を行うことを第9の特徴とする。
上記何れかの特徴の本発明に係る行動分析装置は、外部操作入力により、前記行動予定データを修正する修正手段を備えることを第10の特徴とする。
上記目的を達成するための本発明に係るIP電話システムは、上記何れかの特徴の行動分析装置を備えてなるIP電話システムであって、無線IP電話機能を備えてなる前記分析対象者端末の複数と、前記分析対象者端末とデータ通信可能に構成された無線アクセスポイントの複数と、前記分析対象者端末に対する電話通信制御機能を備え、前記分析対象者端末と前記無線アクセスポイントとのデータ通信に基づいて、前記分析対象者端末の位置を特定して前記分析対象者端末の位置情報を記憶するIP電話通信制御用サーバと、を備え、前記行動分析装置は、前記IP電話通信制御用サーバとデータ通信可能に構成され、前記位置特定手段が、前記IP電話通信制御用サーバに記憶された前記分析対象者端末の前記位置情報を取得して、前記分析対象者端末の位置を特定することを特徴とする。
上記特徴の行動分析装置によれば、予定記憶手段(例えば、スケジューラ)に入力された行動予定データと分析対象者の実際の位置情報に基づいて記憶された行動実績データとを照合処理し、行動実績データを用いて行動予定データを修正するように構成したので、行動期間等が分析対象者の実際の行動に合致した行動分析用データ(修正後の行動予定データ)を得ることが可能になる。このため、上記特徴の行動分析装置によれば、スケジューラのみを用いて行動分析を行う場合のように、行動予定データと実際の分析対象者の行動とが乖離することがないので、行動分析をより適切に実施することが可能になる。また、上記第1の特徴の行動分析装置は、予定記憶手段の各行動予定データに付帯情報を記録可能に構成したので、行動予定の内容を記録した行動予定データにおいては、分析対象者の行動を把握することが可能になる。このため、位置情報を基に分析対象者個人の所在地や分析対象者の所在分布を統計分析する場合のように、分析対象者の行動内容を全面的に把握できないという状況を回避できる。従って、上記特徴の行動分析装置によれば、分析対象者夫々について、行動予定データと位置情報に基づく行動実績データを照合処理し、行動実績データを用いて行動予定データを修正するように構成したので、修正後の行動予定データは、分析対象者の実際の行動に合致すること、及び、分析対象者の実際の行動内容をある程度把握可能にすることの両方を同時に実現したものとなる。これによって、上記特徴の行動分析装置によれば、行動分析用データとしてより正確で、且つ、より充実した情報を得ることが可能になり、行動分析結果の曖昧さを低減することが可能になる。
更に、上記第1の特徴の行動分析装置によれば、予定記憶手段に入力された行動予定データと分析対象者の実際の位置情報に基づく行動実績データとを照合処理するので、予定記憶手段に予定行動期間が重複する複数の行動予定データが登録されている場合でも、照合処理に基づいて該重複登録を修正することで、分析対象者の行動をより正確に把握することが可能になる。また、上記第1の特徴の行動分析装置によれば、分析対象者の作業は、予定記憶手段への入力のみであり、分析対象者の行動分析にかかる負荷をおさえることができる。更に、上記第1の特徴の行動分析装置において、位置特定手段は、分析対象者端末として、例えば、携帯電話機等、従来の位置検出機能を有する端末を利用することができるため、本発明に係る行動分析装置を構築するに際し、新たに専用の設備を必要とせず、安価に構成することが可能になる。
上記第2の特徴の行動分析装置によれば、実績記憶手段を、所在判定時間を超えて連続して同じ位置情報が検出された場合に、該位置情報に基づき所在特定位置と所在特定期間を記憶するように構成したので、分析対象者が一定の位置に留まる所在特定期間であるか否かを適切に判断できる。更に、上記第2の特徴の行動分析装置において、例えば、所在特定位置、検出開始時刻及び検出終了時刻のみを行動実績データとして記録するように構成すれば、分析対象者夫々について、位置情報に係る行動実績データのデータ量を少なくすることができる。これによって、本発明に係る行動分析装置を安価に構築することが可能になる。また、行動実績データのデータ量を少なくすることができるため、多数の分析対象者に対応容易になる。更に、上記第3の特徴の行動分析装置によれば、分析対象者の所在が特定されている行動実績データについて、所在特定期間と所在特定位置の2つの情報に基づいて対応付けを行うので、照合処理をより適切に実行することが可能になる。
上記第4の特徴の行動分析装置によれば、付帯情報に基づいて行動予定データと行動実績データの第2照合処理を行うので、例えば、所在特定位置が、第2照合処理を行う行動予定データの予定位置情報と異なる行動実績データと対応付けすることが可能になる。即ち、予定位置情報以外の付帯情報を用いることにより、第1照合処理によっては対応付けされない行動予定データを行動実績データと適切且つ一意的に対応付けすることが可能になり、照合処理における対応付けの達成率を向上させることができる。
上記第5の特徴の行動分析装置によれば、実績記憶手段を、所在特定位置以外の期間を所在不定期間とし、該所在不定期間を含む行動実績データを記憶するように構成したので、分析対象者が移動している(一定の位置に留まらない)と判断できる期間についても、行動実績データとして記憶することが可能になる。更に、上記第5の特徴の行動分析装置において、例えば、所在不定期間の開始時刻及び終了時刻のみ、或いは、所在不定期間の開始時刻における位置情報及び終了時刻における位置情報のみを行動実績データとして記録するように構成すれば、分析対象者夫々について、位置情報に係る行動実績データのデータ量を少なくすることができる。これによって、本発明に係る行動分析装置を安価に構築することが可能になり、多数の分析対象者に対応容易になる。更に、上記第6の特徴の行動分析装置によれば、分析対象者の所在が特定されていない行動実績データについて、所在不定期間に基づいて予定位置情報が記憶されていない行動予定データとの対応付けを行うので、照合処理をより適切に実行することが可能になる。
上記第7の特徴の行動分析装置によれば、照合手段を、第1〜第3照合処理によっても対応付けされない行動予定データについて、予定開始時刻に基づく第1対応付けルール、所在特定期間の長さに基づく第2対応付けルール、時系列順による第3対応付けルールの何れか1つ、または、複数を組み合わせて対応付けを行うので、第1〜第3照合処理によっては対応付けされない行動予定データを行動実績データと適切且つ一意的に対応付けすることが可能になり、照合処理における対応付けの成立度を向上させることができる。
上記第8の特徴の行動分析装置によれば、照合手段を、予定開始時刻に基づく第1対応付けルール、所在特定期間の長さに基づく第2対応付けルール、時系列順による第3対応付けルールの何れか1つ、または、複数を組み合わせて対応付けを行うので、照合処理において、成立度の高い対応付けを行うことが可能になる。
上記第9の特徴の行動分析装置によれば、照合手段が、行動予定データ夫々について、予定行動期間を対応付けされた行動実績データの実績行動期間と合致するように修正する修正処理を行うので、自動的に、分析対象者に負荷をかけることなく、行動予定データを分析対象者の実際の行動に即したデータに修正することが可能になる。
上記第10の特徴の行動分析装置によれば、外部操作入力により、行動予定データを修正する修正手段を備えるので、通常のコンピュータ処理では、一意的に対応付けすることができない行動予定データや自動修正が困難な行動予定データに対する修正、例えば、予定位置情報が同じであり予定行動期間が重複する2つの行動予定データに対する開始時刻及び終了時刻の修正(2つの行動予定データの境界時刻の確定)等が可能になる。
上記特徴のIP電話システムによれば、上記第1〜第10の特徴の行動分析装置を備えて構成されるので、行動分析において、上記特徴の行動分析装置の作用効果を全て奏することが可能になる。即ち、上記特徴の行動分析装置により、分析対象者の実際の行動に合致すること、及び、分析対象者の実際の行動内容をある程度把握可能にすることの両方を同時に実現した行動予定データを得ることが可能になる。これによって、装置構成を複雑化及び高コスト化することなく、且つ、分析対象者にかかる負荷を増大させることなく、行動分析で必要とされる情報をより正確により充実して収集可能なIP電話システムを得ることが可能になる。
以下、本発明に係る行動分析装置、及び、IP電話システム(以下、適宜「本発明装置」、「本発明システム」と称する)の実施形態を図面に基づいて説明する。
先ず、本発明装置の構成について、図1及び図2を基に説明する。ここで、図1は、本発明システム10の概略構成、及び、本発明システム10に設置される本発明装置1及びその周辺装置の接続構成を示すブロック図であり、図2は、本発明装置1の概略構成を示すブロック図である。
本発明装置1は、本実施形態では、ソフトウェア的に構築されており、本発明装置1の各手段を実現する行動分析支援プログラムをコンピュータ上で実行することにより、複数の分析対象者の行動予定データ及び行動実績データを収集照合して行動分析を行う。本発明装置1は、図1に示すように、所定の企業内に構築された本発明システム10上に設置されている。より詳しくは、本発明システム10は、複数のLAN13を備えて構成されており、図1では、簡単のために、3つのLAN13a〜13cについて図示している。本発明装置1は、LAN13cに設置されている。LAN13cには、本発明装置1の他に、無線アクセスポイント15と携帯電話機能及び無線IP電話機能を有する各携帯端末30とのデータ通信に基づいて、各携帯端末30の位置を特定し記憶すると共に、携帯端末30を他の携帯端末30や携帯電話網40に接続する電話通信制御機能を備えるSIPサーバ12(IP電話通信制御用サーバに相当)、及び、携帯電話網40等の外部ネットワークと接続するための外部通信用ゲートウェイ11が設置されている。また、LAN13cは、ルータ14aを介してLAN13aと、ルータ14bを介してLAN13bと接続されている。更に、各LAN13には、1または複数の無線アクセスポイント15、及び、パーソナルコンピュータ16(PC16)等の端末装置等が設置されている。本発明装置1は、SIPサーバ12、外部通信用ゲートウェイ11、LAN13a及びLAN13bに接続されたPC16等の端末装置等とデータ通信可能に構成されている。
本発明装置1は、図2に示すように、分析対象者毎に、所定の分析期間(例えば、10営業日)における分析対象者の行動予定別に、少なくとも行動予定の予定開始時刻及び予定終了時刻で規定される予定行動期間を含み、分析対象者の予定位置情報、行動予定の内容、及び、行動予定の他の参加者情報の少なくとも何れか1つを含む付帯情報を登録可能に構成された行動予定データの入力を受け付けて記憶する予定記憶手段2と、分析期間において、分析対象者毎に、分析対象者が所持する分析対象者端末30とのデータ通信に基づいて、所定の位置検出単位時間毎または常時、分析対象者の位置を特定して位置情報を求める位置特定手段3と、分析対象者毎に、位置特定手段3によって特定された位置情報に基づいて、複数の行動実績データを記憶する実績記憶手段4と、分析対象者毎に、分析期間における行動予定データ別に、行動予定データを行動実績データと対応付ける照合処理を行い、対応付けされた行動実績データの位置情報に基づいて行動予定データ夫々を修正する照合手段5と、を備えて構成されている。更に、本実施形態では、本発明装置1は、外部操作入力により、行動予定データを修正する修正手段6、及び、照合手段5または修正手段6による修正後に分析対象者の行動分析を行う行動分析手段7を備えている。
本実施形態では、更に、分析対象者が操作する所定の端末の表示画面上に、行動予定データの入力・修正を行うスケジューラ画面を表示させる表示手段8と、LAN13cを介してSIPサーバ12等の周辺装置とデータ通信を行うための通信インターフェース9を備えて構成されている。
予定記憶手段2は、表示手段8によって表示されたスケジューラ画面上に、外部操作入力により行動予定が入力または修正された場合に、入力または修正されたデータに基づいて行動予定データを生成または修正し、固定ディスクや不揮発性メモリ等で構成される行動予定データ記憶部M1に記憶する。ここで、図3は、表示手段8によって、認証された入力者の端末装置の表示画面上に表示されるスケジューラ画面の一例を示している。このスケジューラ画面では、行動予定毎に、予定開始時刻及び予定終了時刻で規定される予定行動期間を入力または修正するように構成されている。更に、このスケジューラ画面においては、分析対象者が自己の行動予定データを入力可能に構成されているだけでなく、認証された他者によっても該分析対象者の行動予定データを入力及び修正可能に構成されている。また、入力者の端末装置としては、例えば、LAN13に接続されたPC16等の端末装置を想定している。更に、このスケジューラ画面では、付帯情報として、資料作成や会議等の行動予定の内容、A会議室や自席等の予定位置情報、及び、他の参加者情報が入力可能であり、これらの付帯情報の内、行動予定の内容及び予定位置情報が入力されている場合には、スケジューラ画面上に表示されるように構成されている。また、本実施形態の予定記憶手段2は、分析期間において、全面的に行動予定データを入力する必要はなく、行動予定データが入力されていない期間については、移動等の予定位置情報が不定である行動予定データとみなして後述する照合手段5により照合処理が行われるように構成されている。尚、行動予定データの入力は、必ずしも行動前でなくても良い。後述する照合手段5による照合処理前であれば、行動後に事後的に入力しても構わない。また、入力済みのデータを修正しても良い。
位置特定手段3は、図1に示すように、本実施形態では、分析対象者端末30として、携帯電話機能及び無線IP電話機能を備えた携帯端末30を想定しており、携帯端末30と携帯電話基地局20または無線アクセスポイント15とのデータ通信に基づいてSIPサーバ12上に記憶された位置情報を、位置検出単位時間毎または常時取得し、分析対象者の位置を特定する。分析対象者の位置は、携帯端末30がデータ通信を行った携帯電話機の基地局の位置情報または無線LAN13のアクセスポイントの位置情報に基づいて特定する。
実績記憶手段4は、位置特定手段3によって特定された位置情報を取得して行動実績データを生成し、固定ディスクや不揮発性メモリ等で構成される行動実績データ記憶部M2に記憶する。より具体的には、本実施形態の実績記憶手段4は、位置特定手段3において所定の所在判定時間(例えば、5分)を超えて連続して同じ位置情報が検出された場合に、該位置情報が示す位置を所在特定位置とし、前記所在特定位置と該所在特定位置の検出開始時刻及び検出終了時刻で規定される所在特定期間を実績行動期間として含む行動実績データを記憶する。また、実績記憶手段4は、分析期間の内の所在特定期間を除く期間を所在不定期間とし、所在不定期間毎に、所在不定期間を実績行動期間として含む行動実績データを記憶する。
照合手段5は、分析期間(本実施形態では、10営業日)において、予定記憶手段2により入力された行動予定データを実績記憶手段4により記憶された行動実績データと対応付ける照合処理、及び、対応付けされた行動実績データの位置情報に基づいて行動予定データ夫々を修正する修正処理を行う。尚、本実施形態では、照合処理は、第1〜第4照合処理から構成されている。
照合手段5における照合処理の処理手順について、図4〜図8を基に説明する。ここで、図4は、本発明装置1における照合処理の処理手順を示すフローチャートであり、図5は、第1照合処理の処理手順を示すフローチャートであり、図7は、第3照合処理の処理手順を示すフローチャートであり、図8は、第2照合処理の処理手順を示すフローチャートである。
照合手段5は、照合処理を開始すると、先ず、第1及び第3照合処理の何れも実行していない未照合の行動実績データから、照合処理の照合対象となる行動実績データを選択する(ステップ#110)。
照合手段5は、ステップ#110で選択した行動実績データに、付帯情報として、所在特定位置が記憶されている場合(ステップ#120でYes分岐)、照合対象の行動実績データに対し第1照合処理を行う(ステップ#130)。照合手段5は、第1照合処理において、図5に示すように、先ず、照合対象の行動実績データの所在特定期間と一部または全部が重複する予定行動期間を有し、且つ、行動実績データの所在特定位置と一致する予定位置情報を有する行動予定データを検索する(ステップ#131)。照合手段5は、ステップ#131において、行動予定データが検索されなかった場合(ステップ#131で“0”分岐)、第1照合処理を終了する。ステップ#131において、行動予定データが1つ検索された場合(ステップ#131で“1”分岐)、検索された行動予定データと照合対象の行動実績データを対応付けし(ステップ#132)、対応付けされた行動予定データを検索対象から除外し、第1照合処理を終了する。
照合手段5は、ステップ#131において、行動予定データが複数検索された場合(ステップ#131で“複数”分岐)、抽出された複数の行動予定データの内、他の行動予定データと予定行動期間が重複しない単体行動予定データがあるときは(ステップ#133でYes分岐)、該単体行動予定データの予定行動期間に基づいて、照合対象の行動実績データの所在特定期間を分割し(ステップ#134)、分割された所在特定期間毎に複数の新たな行動実績データとする。ここで、図6は、行動実績データの所在特定期間の分割例を示している。
より具体的には、照合手段5は、本実施形態では、例えば、図6(a)に示すように、単体行動予定データDp1と単体行動予定データDp2が行動予定データ記憶部M1に、行動実績データDe1が行動実績データ記憶部M2に記憶されている場合、単体行動予定データDp2の予定開始時刻で行動実績データDe1を分割し、行動実績データDe2及びDe3を新たな行動実績データとする。また、例えば、図6(b)に示すように、単体行動予定データDp1の予定終了時刻と単体行動予定データDp2の予定開始時刻の間の任意の時点で行動実績データDe1を分割し、行動実績データDe4及びDe5を新たな行動実績データとするように構成しても良い。尚、本実施形態では、ステップ#131で照合対象の行動実績データの所在特定位置と一致する予定位置情報を有する行動予定データを検索しているので、単体行動予定データDp1と単体行動予定データDp2には同じ予定位置情報が記憶されている。このため、単体行動予定データDp1と単体行動予定データDp2の間の期間がある程度短い場合には、移動等の他の行動を想定する必要がないと考えられる。但し、単体行動予定データDp1と単体行動予定データDp2の間の期間が相当長い場合には、休憩等の他の予定を考慮し、図6(c)に示すように、単体行動予定データDp1の予定終了時刻及び単体行動予定データDp2の予定開始時刻で行動実績データDe1を分割し、行動実績データDe6、De7、De8を新たな行動実績データとする構成としても良い。また、例えば、図6(d)に示すように、単体行動予定データDp1の隣に、他の行動予定データDp4と予定行動期間が重複する重複行動予定データDp3が登録されている場合は、重複行動予定データDp3の予定開始時刻で行動実績データDe1を分割し、行動実績データDe9及びDe10を新たな行動実績データとするように構成しても良いし、図6(e)に示すように、単体行動予定データDp1の予定終了時刻と重複行動予定データDp3の予定開始時刻の間の任意の時点で行動実績データDe1を分割し、行動実績データDe11及びDe12を新たな行動実績データとするように構成しても良い。また、単体行動予定データDp1の予定終了時刻と重複行動予定データDp3の予定開始時刻の間の期間が相当長い場合には、図6(f)に示すように、単体行動予定データDp1の予定終了時刻と重複行動予定データDp3の予定開始時刻で行動実績データDe1を分割し、行動実績データDe13、De14及びDe15を新たな行動実績データとするように構成しても良い。
照合手段5は、行動実績データを分割した後(ステップ#134)、ステップ#131で抽出された単体行動予定データ夫々と、抽出された単体行動予定データの予定行動期間と一部または全部が重複する所在特定期間を有する行動実績データ(ステップ#134で分割した後の行動実績データ)を夫々対応付けし(ステップ#135)、対応付けされた行動予定データを検索対象から除外し、第1照合処理を終了する。
照合手段5は、ステップ#131において、行動予定データが複数検索され(ステップ#131で“複数”分岐)、抽出された複数の行動予定データに他の行動予定データと予定行動期間が重複しない単体行動予定データがないときは(ステップ#133でNo分岐)、第1照合処理を終了する。
照合手段5は、図4に示すように、第1照合処理(ステップ#130)が終了した後、第1照合処理または後述する第3照合処理の何れも実行していない行動実績データがある場合(ステップ#140でYes分岐)、再度、照合処理の照合対象となる行動実績データを選択する(ステップ#110)。
照合手段5は、ステップ#110で選択した行動実績データに、付帯情報として、所在特定位置が記憶されていない場合(ステップ#120でNo分岐)、照合対象の行動実績データに対し第3照合処理を行う(ステップ#150)。照合手段5は、第3照合処理において、図7に示すように、先ず、照合対象の行動実績データの所在不定期間と一部または全部が重複する予定行動期間を有し、且つ、予定位置情報が登録されていない行動予定データを検索する(ステップ#151)。照合手段5は、ステップ#151において、行動予定データが検索されなかった場合(ステップ#151で“0”分岐)、第3照合処理を終了する。ステップ#151において、行動予定データが1つ検索された場合(ステップ#151で“1”分岐)、検索された行動予定データと照合対象の行動実績データを対応付けし(ステップ#152)、対応付けされた行動予定データを検索対象から除外し、第3照合処理を終了する。
照合手段5は、ステップ#151において、行動予定データが複数検索された場合(ステップ#151で“複数”分岐)、抽出された複数の行動予定データの内、他の行動予定データと予定行動期間が重複しない単体行動予定データがあるときは(ステップ#153でYes分岐)、該単体行動予定データの予定行動期間に基づいて、照合対象の行動実績データの所在不定期間を分割し(ステップ#154)、分割された所在不定期間毎に複数の新たな行動実績データとする。尚、本実施形態では、所在不定期間の分割手順は、第1照合処理のステップ#134における所在特定期間の分割手順と同じである。
引き続き、照合手段5は、行動実績データを分割した後(ステップ#154)、ステップ#151で抽出された単体行動予定データ夫々と、抽出された単体行動予定データの予定行動期間と一部または全部が重複する所在不定期間を有する行動実績データ(ステップ#154で分割した後の行動実績データ)を夫々対応付けし(ステップ#155)、対応付けされた行動予定データを検索対象から除外し、第3照合処理を終了する。
照合手段5は、図4に示すように、第3照合処理(ステップ#150)が終了した後、第1照合処理または第3照合処理の何れも実行していない行動実績データがある場合(ステップ#160でYes分岐)、再度、照合処理の照合対象となる行動実績データを選択する(ステップ#110)。
照合手段5は、全ての行動実績データについて第1照合処理または第3照合処理の何れかを実行した後(ステップ#140でNo分岐、または、ステップ#160でNo分岐)、ステップ#170の第2照合処理に移行する。
照合手段5は、第2照合処理(ステップ#170)において、第1照合処理または第3照合処理の実行後、対応付けされていない行動実績データ夫々について、位置情報以外の付帯情報、ここでは、行動予定の内容及び行動予定の他の参加者情報に基づいて、対応付けされていない行動予定データとの対応付けを行う。
具体的には、照合手段5は、図8に示すように、先ず、対応付けされていない行動実績データから、第2照合処理における照合対象の行動実績データを選択する(ステップ#171)。照合対象の行動実績データが検索されない場合(ステップ#171でNo分岐)、第2照合処理を終了する。照合手段5は、ステップ#171において照合対象の行動実績データが検索されると、照合対象の行動実績データの所在特定期間と一部または全部が重複する予定行動期間を有し、付帯情報として、参加者情報が記憶されている行動予定データを検索する(ステップ#172)。照合手段5は、期間が重複し、且つ、参加者情報が記憶されている行動予定データが検索されると(ステップ#172でYes分岐)、検索された行動予定データ夫々の参加者情報に基づいて、他の参加予定者を特定する。そして、特定した参加者の行動実績データの所在特定位置と分析対象者の照合対象の行動実績データの所在特定位置を比較参照して、分析対象者と同じ行動予定に参加したと考えられる参加者を特定し、全参加予定者に対する参加者の参加率(分析対象者を含む参加率でも良い)を算出する(ステップ#173)。照合手段5は、この参加率が所定の判定率以上である行動予定データと照合対象の行動実績データを対応付ける(ステップ#174)。照合手段5は、期間が重複し、且つ、参加者情報が記憶されている行動予定データが検索されない場合(ステップ#172でNo分岐)、または、ステップ#174の対応付けの後、ステップ#171に移行し、次の照合対象の行動実績データを選択する。
照合手段5は、図4に示すように、第2照合処理(ステップ#170)の実行後、第1〜第3照合処理によっては対応付けされない行動実績データに対する第4照合処理(ステップ#180)を実行する。本実施形態では、照合手段5は、第4照合処理において、行動予定データ毎に、行動予定データを、行動予定データの予定開始時刻に最も近い検出開始時刻を有する行動実績データと対応付ける第1対応付けルール、行動予定データ毎に、行動予定データを、所在特定期間の長さが行動予定データの予定行動期間の長さに最も近い行動実績データと対応付ける第2対応付けルール、行動予定データと行動実績データを、時系列順に対応付ける第3対応付けルールを用いて対応付けを行う。照合手段5は、第4照合処理の実行後、照合処理を終了する。
詳細には、照合手段5は、第4照合処理において、先ず、対応付けされていない行動実績データから照合対象の行動実績データを順次選択する。照合手段5は、例えば、対応付けされた2つの照合済行動実績データの間にある対応付けされていない行動実績データの数と、2つの照合済行動実績データと対応付けされた2つの照合済行動予定データの間にある対応付けされていない行動予定データの数が同数である場合に、これらを時系列順に対応付ける(第3対応付けルール)。尚、2つの照合済行動実績データの間にある対応付けされていない行動実績データの数と、2つの照合済行動予定データの間にある対応付けされていない行動予定データの数が異なる場合には、第1対応付けルールに基づいて、照合対象の行動実績データ夫々を、行動予定開始時刻が照合対象の行動実績データの実績行動期間の開始時刻と最も近い行動予定データと対応付ける。第1対応付けルールによって対応付けできない場合、例えば、行動予定開始時刻と実績行動期間の開始時刻との間の期間の長さが同じ行動予定データが2つ以上ある場合は、第2対応付けルールに基づいて、照合対象の行動実績データにおける所在特定期間の長さに最も近い長さの予定行動期間を有する行動予定データと対応付ける。
照合手段5は、照合処理の実行後、行動実績データと対応付けされた行動予定データ夫々について、行動予定データの予定行動期間が対応付けされた行動実績データの実績行動期間と完全に合致しないときは、対応付けされた行動予定データの予定行動期間を実績行動期間に合致するように修正する修正処理を行う。また、本実施形態では、照合手段5は、更に、予定位置情報が記憶されている行動予定データの場合、該予定位置情報が、対応付けされた行動実績データの所在特定位置と異なる場合には、予定位置情報を所在特定位置に修正する。
具体的には、照合手段5は、例えば、図3において、波線S1で示すように、行動予定の内容として「資料作成1」、予定位置情報として「自席」が記憶されている行動予定データに、行動予定の内容として「会議1」、予定位置情報として「A会議室」が記憶されている行動予定データが全面的に重複している場合、第1照合処理において、照合対象の行動実績データの所在特定位置に応じて、何れか一方の行動予定データのみが行動実績データと対応付けされることになる。この場合、対応付けされた一方の行動予定データについて、対応付けされた行動実績データの実績行動期間と合致するように予定行動期間を修正し、対応付けされていない行動予定データは削除する。また、図3において、波線S2で示すように、行動予定の内容として「会議2」、予定位置情報として「B会議室」が記憶されている行動予定データと、行動予定の内容として「セミナー」、予定位置情報として「外出」が記憶されている行動予定データの2つが部分的に重複している場合は、夫々に対応付けされた行動実績データの実績行動期間に基づいて、予定行動期間を重複しないように修正する。
修正手段6は、照合手段5により修正された行動予定データ夫々を、表示手段8によりスケジューラ画面上に表示し、外部操作入力を受け付けて、行動予定データを修正する。修正手段6により、上記第1〜第4照合処理によって対応付けされない行動予定データ、例えば、予定行動期間が重複する所在特定位置が記録されていない複数の行動予定データについて、分析対象者の実際の行動に基づいて修正することができる。尚、本発明装置1では、照合手段5による自動修正の後に、修正手段6により、分析対象者等による修正を行うので、分析対象者にかかる修正のための負荷は最小限に抑えることが可能になる。
行動分析手段7は、照合手段5または修正手段6による修正後に、分析対象者別の行動予定データを用いて行動分析を行い、行動分析結果の提示要求に応じて行動分析結果を提示する。ここでは、行動分析結果の提示要求は、分析期間を指定可能に構成されている。例えば、図1に示すLAN13aに接続されたPC16から行動分析結果の提示要求が分析期間を指定して行われると、照合手段5は、指定された分析期間における行動分析結果を、表示手段8を用いてPC16のPC画面上に表示する。
より具体的には、本実施形態の行動分析手段7は、拠点間別に移動時間を解析する第1行動解析、分析対象者別に移動回数や移動率を解析する第2行動解析、会議の開催状況を解析する第3行動解析、分析対象者別に在席/離席行動を解析する第4行動解析、分析対象者別に社内外の滞在時間を解析する第5行動解析、部門(所属先)間での接触行動を解析する第6行動解析、スケジューラの行動予定データに対する行動実績データの乖離度を解析する第7行動解析、分析対象者別に作業集中度を解析する第8行動解析、業務空間の環境を解析する第9行動解析、定型パターンを解析する第10行動解析、平常時に対する緊急時の行動を解析する第11行動解析、展示物等に対する閲覧行動を解析する第12行動解析、会議費用を解析する第13行動解析、社内設備の利用状況を解析する第14行動解析を夫々実行してその結果を提示し、更に、上記第1行動解析〜第14行動解析の結果夫々について生産性指標を求めて比較表示する。
より具体的には、行動分析手段7は、拠点間別に移動時間を解析する第1行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、解析対象の拠点間の移動を示す行動予定データを検索し、解析対象の拠点間の移動時間について、分析対象者全体での平均値、及び、季節別、曜日別、時間帯別の移動時間分布及び平均値を算出する統計解析処理を実行する。最終的に、行動分析手段7は、第1行動解析の結果として、移動時間が長い分析対象者を移動時間の長い順に提示し、移動回数が所定値以上の拠点間を提示する。これにより、例えば、移動時間が長い分析対象者から順に上位5位までを特定し、特定した分析対象者に対し移動時間の改善を促すことで、移動時間の長い分析対象者の移動時間の改善を図ることが可能になる。また、移動回数が所定値以上であり、移動時間の改善により生産性向上が見込める拠点間については、該拠点間にシャトルバスを新設または増設する等して、移動時間の短縮や交通費の削減を図る等の対策が可能になる。
行動分析手段7は、分析対象者別に移動回数や移動率を解析する第2行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、所在特定位置が記憶されていない移動を示す行動予定データを検索し、分析対象者別または分析対象者の所属別に、分析期間における移動回数、分析期間における移動時間の合計、分析期間における移動時間の合計を分析期間における就業時間の合計で除算した移動時間率を算出する。最終的に、行動分析手段7は、第2行動解析の結果として、移動時間率が大きい分析対象者或いは所属先を、移動時間率が大きい順に提示する。これにより、例えば、移動時間率が大きく、無駄な移動が多いと考えられる分析対象者または所属先に対し、移動時間を減らすように促すことで、生産性の向上を図ることが可能になる。
行動分析手段7は、会議の開催状況を解析する第3行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、付帯情報の行動予定の内容として「会議」が記憶されている行動予定データを検索し、分析対象者別または分析対象者の所属別に、分析期間における会議時間の合計、業務時間に占める会議時間の割合である会議時間率を算出する。最終的に、行動分析手段7は、第3行動解析の結果として、会議時間の合計の多い順、または、会議時間率の大きい順に、分析対象者または所属先を特定して提示する。これにより、例えば、会議時間の合計が多い分析対象者または所属先に対し、或いは、会議時間率が大きい分析対象者または所属先に対し、会議時間の削減を促すことで、生産性の向上を図ることが可能になる。
行動分析手段7は、分析対象者別に在席/離席行動を解析する第4行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、付帯情報の予定位置情報として「自席」が記憶されている行動予定データを検索し、分析対象者別に、検索された行動予定データの予定行動期間を合計して分析対象者が自席で作業していると考えられる自席作業時間の合計、或いは、自席作業時間の合計を分析期間における就業時間の合計で除算した自席作業時間率を算出する。最終的に、行動分析手段7は、第4行動解析の結果として、分析対象者別に、分析対象者の所属先の情報と共に自席作業時間率を提示する。これにより、例えば、営業部門等の外出時間の多い所属先に属する分析対象者であって、自席作業時間が多い分析対象者または自席作業時間率の大きい分析対象者に対し、外出を促すことができる。また、デスクワーク中心の部門等の自席作業時間が多い所属先に属する分析対象者であって、自席作業時間が少ない分析対象者または自席作業時間率の小さい分析対象者に対し、デスクワークを促すことができる。尚、ここでは、自席作業時間の合計或いは自席作業時間率を算出したが、分析対象者が自席に着いていないと考えられる離席時間の合計或いは離席時間率を算出するように構成しても良い。
行動分析手段7は、分析対象者別に社内外の滞在時間を解析する第5行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、付帯情報に社内にいることを示す予定位置情報が記憶されている行動予定データを検索し、分析対象者別に、検索された行動予定データの予定行動期間を合計して分析対象者が社内にいると考えられる社内時間の合計、或いは、社内時間の合計を分析期間における就業時間の合計で除算した社内時間率を算出する。最終的に、行動分析手段7は、第5行動解析の結果として、分析対象者別に、分析対象者の所属先の情報と共に社内時間の合計或いは社内時間率を提示する。これにより、例えば、社内調整や社内業務を主体とする所属先に属する分析対象者であって、社内時間の合計が少ない分析対象者或いは社内時間率の小さい分析対象者を、社内での業務に専念させるように図ることが可能になる。尚、ここでは、社内時間の合計或いは社内時間率を算出したが、分析対象者が社外にいると考えられる社外時間の合計或いは社外時間率を算出するように構成しても良い。
行動分析手段7は、部門間での接触行動を解析する第6行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、分析対象者別に、分析対象者が分析対象者の所属先と異なる他部門にいると考えられる位置情報を有する行動予定データを検索し、検索した行動予定データの予定行動期間を合計して分析対象者が他部門と接触していると考えられる他部門滞在時間の合計、或いは、他部門滞在時間の合計を分析期間における就業時間の合計で除算した部門別滞在時間率を算出する。最終的に、行動分析手段7は、第6行動解析の結果として、分析対象者毎に、部門別の通常の接触時間と他無紋滞在時間の合計、または、部門別の通常の接触率と他部門滞在時間率を提示する。これにより、例えば、部門間別の通常の接触時間の合計より他部門滞在時間の合計が相当少ない分析対象者、或いは、通常の接触率より他部門滞在時間率が相当小さい分析対象者に対し、部門間の接触回数や接触時間を増やすように促すことができる。逆に、部門間別の通常の接触時間の合計より他部門滞在時間の合計が相当長い分析対象者、或いは、通常の接触率より他部門滞在時間率が相当大きい分析対象者に対し、問題点の解析を促すことが可能になる。
行動分析手段7は、スケジューラの行動予定データに対する行動実績データの乖離度を解析する第7行動解析において、分析対象者別に、分析期間における全ての修正前の行動予定データと修正後の行動予定データ(または対応付けされた行動実績データ)を比較して乖離度を算出する。より具体的には、行動分析手段7は、例えば、行動予定データの修正前後において、付帯情報の行動予定の内容、予定位置情報が一致しない場合、或いは、予定行動期間の予定開始時刻や長さが一定量以上異なっている場合に乖離していると判定し、乖離していると判定された行動予定データ数を全行動予定データ数で除算した乖離率を算出する。最終的に、行動分析手段7は、第7行動解析の結果として、部門毎に、分析対象者別の乖離率を提示する。これにより、例えば、同じ所属先に属する分析対象者夫々の乖離率を比較し、他の分析対象者と比較して乖離率が比較的大きく生産性の低い方法で業務を行っている可能性が高いと考えられる分析対象者がいる場合、当該分析対象者に対し業務改善を促すことで、生産性の向上を図ることが可能になる。
行動分析手段7は、分析対象者別に作業集中度を解析する第8行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、分析対象者別に、予定位置情報が記録されている行動予定データを検索し、検索された行動予定データの予定行動期間を合計して分析対象者が集中して業務を行っていると考えられる集中作業時間の合計、或いは、集中作業時間の合計を分析期間における就業時間の合計で除算した集中作業時間率を求める。最終的に、行動分析手段7は、第8行動解析の結果として、集中作業時間の合計の少ない或いは集中作業時間率の小さい順に、集中作業時間の合計或いは集中作業時間率と共に分析対象者を特定して提示する。これにより、例えば、集中作業時間の合計が相当少なく、或いは、集中作業時間率が相当小さく、集中して業務を行っている時間が短いと考えられる分析対象者に対し、当該分析対象者に対し業務改善を促すことで、生産性の向上を図ることが可能になる。
行動分析手段7は、業務空間の環境を解析する第9行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、予定行動期間の一部または全部が重複し、且つ、予定位置情報が一致する行動予定データ同士を行動予定データ群とし、該行動予定データ群を夫々抽出し、抽出された行動予定データ群に含まれる行動予定データ数(=分析対象者数)を求める。最終的に、行動分析手段7は、第9行動解析の結果として、抽出された行動予定データ群毎に、位置情報が示す部屋(業務空間)の座席数と分析対象者数を比較し、座席数より分析対象者数が多い部屋について、座席数と共に分析対象者数を提示し、または、抽出された行動予定データ群毎に、位置情報が示す部屋の大きさから求められる在室適正人数と分析対象者数を比較し、在室適正人数より分析対象者数が多い部屋について、在室適正人数と共に分析対象者数を提示する。これにより、室内のレイアウト変更や会議スペースの追加等が必要な部屋を特定して、対応することが可能になる。
行動分析手段7は、定型パターンを解析する第10行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、分析対象者別或いは所属先別に、定型パターンを抽出する。定型パターンとしては、例えば、定期的に開催されるミーティング等についての行動予定データが想定される。更に、行動分析手段7は、定型パターンから逸脱した行動をとっている分析対象者を特定する。最終的に、行動分析手段7は、第10行動解析の結果として、定型パターンから逸脱した行動をとっている分析対象者が特定された場合に、特定パターンと共に分析対象者の情報を提示する。これにより、定型パターンから逸脱した行動をとっている分析対象者に対し、改善を促すことが可能になる。
行動分析手段7は、平常時に対する緊急時の行動を解析する第11行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、緊急時に、分析対象者等が集まる集合場所を特定する。最終的に、行動分析手段7は、第11行動解析の結果として、特定された集合場所の滞在可能な人数や、緊急時の分析対象者の滞在者数を提示する。これにより、緊急時において、集合場所の滞在可能人数より滞在者数が多い場合には、新たにより広い別の集合場所を指定する、或いは、別の集合場所を追加する等の対応をとることが可能になる。
行動分析手段7は、展示物等に対する閲覧行動を解析する第12行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、食堂に掲示されるポスターや掲示板等の掲示物毎に、閲覧回数や閲覧時間の合計を取得する。最終的に、行動分析手段7は、第12行動解析の結果として、掲示物毎の閲覧回数や閲覧時間の合計を提示する。これにより、関心を集める掲示物の特定等が可能になり、掲示物の内容や掲示方法の改善を図ることが可能になる。
行動分析手段7は、会議費用を解析する第13行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、付帯情報の行動予定の内容に「会議」が記憶されている行動予定データを検索し、会議別、分析対象者別、部門別、或いは、分析対象者全体での会議費用を算出する。より具体的には、分析対象者別の会議費用は、会議時間(検索された当該分析対象者の行動予定データ夫々に記憶された予定行動期間の合計)と分析対象者の単価を乗算して求める。最終的に、行動分析手段7は、第13行動解析の結果として、会議別、分析対象者別、部門別、或いは、分析対象者全体での会議費用を提示する。これによって、会議費用の比較的多い会議を抽出することができ、会議時価及び会議費用の低減を図ることができる。
行動分析手段7は、社内設備の利用状況を解析する第14行動解析において、分析期間における全ての分析対象者の行動予定データから、所定のエレベータや通路の利用状況、食堂の利用状況、シャトルバスの利用状況等を求め、これらの値を行動解析結果として提示する。これにより、例えば、エレベータ制御の最適化、通路のサイズの最適化、食堂の食数の最適化、シャトルバスの運行の最適化等を図ることが可能になる。
行動分析手段7は、上記第1行動分析〜第14行動分析の実行後、夫々の分析結果に基づいて、分析対象者別、部門別、或いは、事業所別に生産性指標を算出し、分析対象者別、部門別、或いは、事業所別に生産性指標を比較表示する。
〈別実施形態〉
〈1〉上記実施形態では、本発明装置1の照合手段5を、先ず、予定位置情報と所在特定位置の比較、及び、予定行動期間と実績行動期間の比較に基づいて第1及び第3照合処理を実施するように構成したが、これに限るものではない。例えば、照合手段5は、第1及び第3照合処理を実施せずに、予定開始時刻と検出開始時刻の比較による第1対応付けルール、予定行動期間と所在特定期間の比較による第2対応付けルール、及び、時系列による第3対応付けルールの組み合わせにより、照合処理を行うように構成しても良い。
〈2〉上記実施形態では、本発明システム10について、簡単のために、複数のLAN13がルータ14を介して接続され、同じLAN13c上に本発明装置1とSIPサーバ12が、LAN13a、13bに無線アクセスポイント15a、15bが設置されている場合を例に説明したが、これに限るものではない。例えば、本発明システム10は、本発明装置1が、SIPサーバ12とは異なるLAN13、例えば、LAN13bや13c等、SIPサーバ12と接続可能なLAN13上に設置されていても良い。また、本発明装置1は、SIPサーバ12内に構築される構成であっても良い。
〈3〉上記実施形態では、本発明装置1の位置特定手段3は、分析対象者端末30としての携帯端末30が備える携帯電話機能及び無線IP電話機能を利用し、携帯端末30と携帯電話基地局20または無線アクセスポイント15とのデータ通信に基づいて分析対象者の位置を特定する構成としたが、これに限るものではない。例えば、分析対象者端末30としてGPS(Global Position System)機能付き携帯端末30を用い、該携帯端末30から緯度及び経度等の位置情報を取得する構成、分析対象者端末30としてICカードを用い、該ICカードをICカードの読み取りを行うICカードリーダに接続したときにICカードリーダの設置場所から位置情報を取得する構成、或いは、上述した複数の機器及び機能を組み合わせて位置情報を取得する構成であっても良い。
〈4〉上記実施形態では、本発明装置1の照合手段5は、照合対象の行動実績データの所在特定期間と一部または全部が重複する予定行動期間を有し、且つ、行動実績データの所在特定位置と一致する予定位置情報を有する行動予定データが複数検索された場合に、図6に示すように、他の行動予定データと予定行動期間が重複しない単体行動予定データDp1、Dp2の予定行動期間に基づいて照合対象の行動実績データDe1の所在特定期間を分割したが、図6(d)〜(f)に示すように、他の行動予定データと予定行動期間が一部で重複する重複行動予定データDp3、Dp4においても、重複行動予定データDp3、Dp4夫々の予定行動期間に基づいて、照合対象の行動実績データの所在特定期間を分割するように構成しても良い。
〈5〉上記実施形態では、本発明装置1の照合手段5は、第4照合処理において、第1〜第3対応付けルールを組み合わせて、照合済行動実績データと対応付けされていない行動実績データの配置、及び、対応する照合済行動予定データと対応付けされていない行動予定データの配置の比較により選択して用いる構成としたが、これに限るものではない。第1〜第3対応付けルールを、異なる条件、異なる優先順位や異なる組み合わせで用いるように構成しても良い。また、第1〜第3対応付けルールの何れか1つのみ用いる構成であっても良い。
〈6〉上記実施形態では、本発明装置1の行動予定データを表示する端末として、LAN13aに設置されたPC16を想定したが、これに限るものではなく、携帯端末30等であっても良い。尚、スケジューラ画面をPC16及び携帯端末30の両方に表示可能に構成する場合には、表示手段8は、PC16用のスケジュール画面と携帯端末30用のスケジューラ画面の両方を表示可能に構成しても良い。また、スケジューラ画面を携帯端末30に表示可能に構成する場合には、表示手段8は、携帯端末30からのスケジューラ画面の表示要求に対しては、自動的に携帯端末30用のスケジューラ画面を提供するように構成しても良い。