JP2008233333A - 二成分現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリア汚染に起因する画像汚染のないプリントを長期にわたり安定して作成することが可能な二成分現像剤を提供する。
【解決手段】酸性化合物を含有する水系媒体中にスチレン単量体とアクリル酸エステル系単量体を存在させた状態で多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合を行ってポリエステル樹脂を形成し、その後でスチレン単量体とアクリル酸エステル系単量体とのラジカル重合を行ってスチレンアクリル系樹脂を形成した樹脂を含有するトナーと、磁性体微粉末を結着樹脂中に分散させた形態を有し、体積基準メディアン径と形状係数SF−1、SF−2が特定範囲内にあるキャリアよりなる二成分現像剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に使用されるトナーとキャリアよりなる二成分現像剤に関する。
電子写真方式の画像形成技術の分野では、デジタル化技術の進展に伴って微細なドット画像や高精細画像を忠実に再現する高画質の画像形成が求められ、その対応の1つとしてトナーの小径化が検討されている。そして、製造工程において粒子の形状や大きさの制御が可能ないわゆる重合トナーと呼ばれるトナーが注目されている。
この重合トナーは、乳化重合法等の重合法による重合工程を経ることにより得られる樹脂粒子や、着色剤粒子、及び、必要に応じてその他の粒子等のトナー構成成分の粒子を凝集させて得られるトナー粒子により構成される。
重合トナーを構成する樹脂粒子の1つとして、たとえば、スチレンアクリル系樹脂粒子が挙げられる。これは、乳化剤を含有してなる水系媒体中に原料となる重合性単量体を分散させて油滴を形成し、重合開始剤を添加することにより、油滴中でラジカル重合を行う乳化重合法により形成されるものである(たとえば、特許文献1、2参照)。
ところで、近年では地球環境への配慮等の観点より画像装置の省エネ化が検討される様になり、特に定着時におけるエネルギー消費量の低減化が注目されている。そして、従来に比べて低い温度でトナー画像を溶融、定着させるいわゆる低温定着対応のトナーが求められている。前述したスチレンアクリル系樹脂を用いたトナーは、その非晶性構造により軟化点温度を低く抑える性能を有しており、前述した低温定着対応の画像形成への展開が期待されている。
しかしながら、スチレンアクリル系樹脂を用いたトナーは、低温定着性に優れる反面、定着後の転写材上に形成されたトナー画像に折れや曲げ、擦れ等の力が加わると、画像が剥離、破損し易く、安定した定着強度が得られにくいという課題を有していた。そこで、樹脂を架橋構造化する等の対応により、定着強度の向上が試みられたが十分な効果は得られなかった。
一方、ポリエステル樹脂を用いたトナーがある。ポリエステル樹脂を用いたトナーは、ビニル系樹脂を用いたものに比べ高い軟化点を有するもののシャープな溶融が得られることや、定着後のトナー画像に折れや曲げ等の力を加えても、画像が剥離することなく堅固で安定したトナー画像が得られるというメリットを有している。
この様な背景から、スチレンアクリル系樹脂とポリエステル系樹脂の双方の長所を持ち合わせたトナーの開発が以前より検討され、たとえば、混練、粉砕工程を経てスチレン−アクリル系樹脂とポリエステル系樹脂とを含有させるトナーの作製技術が検討された。この方法では、双方の樹脂を混合し、これを溶融、混練する工程を経て、粉砕処理をすることにより、スチレンアクリル系樹脂とポリエステル系樹脂とを混合してなるハイブリッド構造を有するトナーの作製が試みられた(たとえば、特許文献3参照)。すなわち、スチレンアクリル系樹脂のもつ低温定着性とポリエステル樹脂のもつ定着強度という2つの性能を併せもつトナーの実現が試みられていた。
特開2000−214629号公報 特開2001−125313号公報 特開平6−3856号公報
しかしながら、前述したポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とを混合した粉砕トナーで画像形成を行うと、長期にわたる使用により画像不良が発生するという課題が見出された。これは、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とを混合した粉砕トナーでは、これらの樹脂のもつ極性に差があることで両者が相溶しにくく、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂の均一分散構造が形成されず、結果として相分離構造が形成されてしまう。相分離構造を形成したトナーでは、柔らかい樹脂と固い樹脂の相が混在する状態をとり、画像形成時にキャリアとトナーが接触すると機械強度の弱い柔らかい樹脂領域が剥がれ、これがキャリアに付着して画像汚染を発生させるものと考えられた。
本発明は、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とを含有してなるトナーを用いた二成分現像剤において、キャリア汚染による画像不良を起こさない二成分現像剤を提供することを目的とするものである。特に、プリント枚数が増大した場合でも、画像不良を起こさずに良好なプリント作成を安定して行うことが可能な二成分現像剤を提供することを目的とする。
上記課題は、下記に記載の構成により解消された。
請求項1に記載の発明は、「少なくとも樹脂と着色剤とを有するトナーとキャリアとからなる二成分現像剤において、
前記トナーを構成する樹脂は、
ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂からなり、
酸性化合物を含有する水系媒体中にスチレン単量体とアクリル酸エステル系単量体を存在させた状態で、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合重合させてポリエステル樹脂を形成した後、
前記スチレン単量体とアクリル酸エステル系単量体とをラジカル重合させてスチレンアクリル系樹脂を形成するものであって、
前記キャリアは、
磁性体微粉末を結着樹脂中に分散させた形態を有し、
体積基準メディアン径が10μm以上100μm以下で、
形状係数SF−1が1.0以上1.2以下であるとともに、形状係数SF−2が1.1以上2.5以下であることを特徴とする二成分現像剤。」というものである。
請求項2に記載の発明は、「前記キャリアは、重合処理を経て形成されるフェノールホルムアルデヒド樹脂よりなる結着樹脂に磁性体微粉末を分散させてなることを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤。」というものである。
本発明によれば、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とを均一に存在させた混成樹脂粒子よりなるトナーと、特定の樹脂分散型のキャリアすることにより、キャリア汚染による画像不良を起こさない二成分現像剤が得られることを見出した。すなわち、後述する実施例の結果からも明らかな様に、プリント枚数が増大する様な場合でも帯電量が変動せず、所定の画像濃度を有し、カブリのない良好なトナー画像を安定して提供することができる様になった。
また、本発明では、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂の混成樹脂粒子よりなるトナーを用いることにより、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂のもつ性能がいかんなく発揮されて、高温側でのオフセット性を低減させることができる様になった。
また、トナーを構成する混成樹脂粒子は、特定の重合工程を経て作製されることにより、小径で粒子間にばらつきのないものが得られ、微小なドット画像や細線画像を忠実に再現できるトナーが得られる様になった。その結果、デジタル画像形成に対応した高画質画像を長期にわたり安定することが可能な二成分現像剤を提供できる様になった。
さらに、本発明では、特定の樹脂分散型キャリアを用いることにより、トナー成分の付着によるキャリア汚染が回避され、長期にわたり帯電性を安定に保つことができる様になった。
以下、本発明を更に、詳細に述べる。
本発明は、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂とを含有するトナーと、形状と大きさの特定されたキャリアからなる二成分現像剤に関する。
本発明者等は、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とを均一に存在させた混成樹脂粒子よりなるトナーと、キャリアとして特定の樹脂分散型キャリアを用いた二成分現像剤により、長期間にわたり画像形成を行っても画像不良が発生しないことを見出した。
本発明では、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とで混成樹脂粒子を形成することにより、トナー中でポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とが相分離せずに、非常に緻密な分散状態が形成され、双方の樹脂の特性が発現できる状態が実現されたものと推測される。すなわち、ポリエステル樹脂の有する低温度下での溶融性が発現されることにより、低い温度で紙等の画像形成支持体上にトナーを接着させることができる様になった。また、スチレンアクリル樹脂の有する高温側での弾性が発現されることにより、高温側でのオフセット性が低減される様になった。
また、この混成樹脂粒子は特定の重合工程を経て作製されるので、小粒径でかつ粒子間にばらつきのない、帯電量分布のシャープなトナーが得られる様になり、微小なドット画像や細線画像の忠実な再現が可能になった。したがって、デジタル画像形成に対応した高画質画像の作成が長期にわたり安定して行える様になったのである。
さらに、キャリアとして形状が比較的球形となる樹脂分散型キャリアの使用により、耐久性のさらなる向上が実現される様になった。耐久性のさらなる向上を実現させた理由は明らかではないが、おそらく以下の理由によるものと推測される。すなわち、本発明では使用されるトナーが前述の様に微細な分散状態をとるので、低温度で溶融する成分も分散状態となっているので、機械強度の弱い柔らかな成分が剥がれにくい構造になっている。また、樹脂分散型キャリアが有する低比重性によりキャリアとトナーの接触により生ずるストレスも低減された状態が形成されている。
したがって、現像装置内で撹拌を行った時に生ずるずり応力の作用で微細な摩擦熱が生じたとしても、トナー中の低溶融成分はほとんど溶融しないので、トナーの柔らかな成分がキャリアに移行することが抑制されるものと推測される。その結果、長期にわたり画像形成を繰り返し行っても、トナー成分がキャリア表面に付着せず、長期にわたり帯電性が安定して維持されるものと推測される。
以上の様な理由により、本発明に係る二成分現像剤により本発明の効果が発現される様になったものと推測される。
以下、本発明に係る二成分現像剤について詳細に説明する。
最初に、本発明に係る二成分現像剤を構成するトナーの説明を行う。
本発明では、トナーを形成する樹脂について次の様な手順を採ることにより、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とが微細に均一分散してなる構造の混成樹脂を作製することを可能にした。すなわち、スチレンやアクリル酸エステルといったビニル系の重合性単量体よりなる油滴中で、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合を行ってポリエステル樹脂を形成する。そして、ポリエステル樹脂を形成後、今度はビニル系の重合性単量体をラジカル重合させることによりスチレンアクリル樹脂を形成する。この様な手順を踏むことにより、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂よりなる混成樹脂粒子を実現させたのである。
本発明ではポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂よりなる「混成樹脂粒子」という用語を用いているが、「混成樹脂粒子」とは、次の様な製造工程を経て作製されるポリエステル樹脂とビニル系樹脂とが共存した状態の樹脂のことをいうものである。すなわち、
(1)スチレンやアクリル酸エステル等のビニル系重合性単量体と多価カルボン酸や多価アルコールといった縮合反応系の重合性単量体とが共存する系を形成しておく。
(2)最初に、多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合させてポリエステル樹脂を形成する。
(3)その後で、ビニル系重合性単量体をラジカル重合により重合させてビニル系樹脂を形成する。
さらに、混成樹脂粒子を凝集させてトナーの母体となる着色粒子を作製する工程を経て、本発明に使用されるトナーが作製される。
本発明に使用されるトナーについてさらに説明する。本発明に係る二成分現像剤に使用されるトナーは、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂よりなる混成樹脂粒子から形成される樹脂より構成される。この混成樹脂粒子は、次の様に作製される。先ず、水系媒体中で、スチレン及びアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルとを含有させた油滴を形成し、さらにその中に、多価カルボン酸と多価アルコールを含有させる。そして、この油滴中で重縮合反応を行ってポリエステル樹脂を形成する。さらに、ポリエステル樹脂形成後に前述した様に、重合性単量体をラジカル重合させることでスチレンアクリル樹脂を形成する。この様にして、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とが混合した約100nm程度の粒径を有する混成樹脂粒子が作製される。
本発明では、水系媒体中に微分散させてなるスチレンやアクリル酸エステル等のビニル系重合性単量体で形成された油滴中で多価カルボン酸のカルボキシル基と多価アルコールの水酸基との脱水反応を行いポリエステル樹脂を形成するものである。この様に、ビニル系重合性単量体で形成された油滴という水の遮断が可能な系を利用して重縮合反応を行うことにより、エステル化反応の進行を阻害させる傾向にある水の存在する系内でポリエステル樹脂の作製が行えるものと推測される。
そして、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂を含有する混成樹脂粒子を凝集させてトナー母体となる着色粒子を形成することにより、粉砕トナーでは到底得られないレベルのポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂の微細な均一分散が形成されるものと推測される。この様に、本発明に使用されるトナーでは、分子構造や極性が異なるために従来技術では均一分散状態の形成が困難とされてきたポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂の微細な均一分散状態が実現されるものと推測される。そして、この様な微細な均一分散状態が形成された混成樹脂粒子は100nmレベルの粒径を有し、混成樹脂粒子を凝集させてトナーを形成する。
したがって、トナー中でポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂が偏在した構造となるいわゆる相分離構造が形成されず、キャリアとトナーが接触しても機械強度の弱い柔らかな樹脂領域が剥離することがなく、トナーによるキャリア汚染が起こらない。
次に、本発明に使用されるトナーの製造方法について説明する。
本発明に使用されるトナーは、たとえば、以下に詳述するトナーの製造方法により作製可能なもので、いわゆる重合トナーと呼ばれるトナーとして作製可能なものである。すなわち、ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル樹脂の両者を含有してなる混成樹脂粒子を必要に応じて着色剤粒子等とともに凝集させて形成される着色粒子(外添剤処理前の状態にあるトナーのこと)により構成されるものである。
本発明に使用されるトナーの製造方法の一例を説明する。先ず、長鎖の炭化水素基及び酸性基を有する化合物よりなる界面活性剤(以下、「酸性基含有界面活性剤」ともいう。)を含有する水系媒体中に混成樹脂粒子形成用組成物の油滴を形成させる。この油滴はポリエステル樹脂を形成する重縮合性単量体とスチレンアクリル樹脂を形成するラジカル重合性単量体より構成される。そして、重縮合性単量体は少なくとも1種の2価以上のカルボン酸(以下「多価カルボン酸」という)と少なくとも1種の2価以上のアルコール(以下「多価アルコール」という)よりなる。また、ラジカル重合性単量体は少なくとも1種のスチレン化合物と少なくとも1種のアクリル酸エステル化合物あるいはメタクリル酸エステル化合物よりなるものである。
形成された油滴中では次の様な重合反応が行われる。すなわち、最初に多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合させてポリエステル樹脂を形成する重縮合工程と、その後でラジカル重合性単量体をラジカル共重合させてスチレンアクリル系樹脂を形成するラジカル共重合工程とが行われる。この様にして、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂よりなる混成樹脂粒子が形成される。さらに、形成された当該混成樹脂粒子と着色剤粒子等をさらに水系媒体中で凝集させることにより着色粒子(外添剤処理前の状態にあるトナーのこと)を形成する凝集反応が行われる。
このトナー製造方法は以下の様な工程から構成されるものである。
(1)混成樹脂粒子形成用組成物を界面活性剤が含有された水系媒体中に分散させる油滴形成工程。この工程では、多価カルボン酸及び多価アルコールを含有する重縮合性単量体、スチレン化合物及びアクリル酸エステル化合物あるいはメタクリル酸エステル化合物を含有するラジカル重合性単量体を混合して混成樹脂粒子形成用組成物を調製する。そして、当該混成樹脂粒子形成用組成物を界面活性剤を含有した水系媒体中に分散させて油滴を形成するものである。
(2)形成した油滴中で混成樹脂粒子形成用組成物を重合処理して混成樹脂粒子を形成する重合工程。この工程では、最初に多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合させてポリエステル樹脂を形成後、スチレン化合物とアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル化合物とをラジカル重合させてスチレンアクリル系樹脂を形成して、両者の樹脂よりなる混成樹脂粒子を形成する。
(3)前記混成樹脂粒子と着色剤粒子、及び、必要に応じてワックス粒子や荷電制御剤粒子等のトナー構成成分を粒子の形態で水系媒体中に供給してこれらの粒子を凝集、融着させて着色粒子(外添剤処理前の状態にあるトナー)を形成する凝集工程。
(4)形成された着色粒子を水系媒体中より分離し、当該着色粒子から界面活性剤等の不要な成分を洗浄除去する濾過・洗浄工程。
(5)洗浄処理された着色粒子を乾燥処理する乾燥工程。
上記(1)〜(5)の工程を経て作製された着色粒子をそのままトナーとして使用することも可能であるが、さらに、
(6)乾燥処理した着色粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程を加えることも可能である。以下、各工程について詳細に説明する。
1.油滴形成工程;
この工程では、多価カルボン酸、多価アルコール、スチレン化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物よりなる混成樹脂粒子形成用組成物を、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解した水系媒体中に添加し、機械的エネルギーの作用で組成物を分散させて油滴を形成する。なお、本明細書では、ラジカル重合性単量体であるアクリル酸エステル化合物とメタクリル酸エステル化合物とを総称して「(メタ)アクリル酸エステル化合物」と呼ぶことにする。また、スチレンアクリル酸樹脂とスチレンメタクリル酸樹脂とを総称して「スチレンアクリル系樹脂」と呼ぶことにする。
ここで機械的エネルギーによる油滴分散を行う分散機は、特に限定されるものではなく、たとえば高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)(エム・テクニック(株)製)」が代表的なものである。この他にも、超音波分散機や機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザーなどが挙げられる。
また、この工程で形成される油滴は、分散状態で数平均一次粒子径が50〜500nmとされることが好ましく、さらに好ましくは70〜300nmである。
また、本発明でいう「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものをいう。ここで、水以外の成分としては、水に溶解可能な有機溶剤が挙げられ、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの中でも樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。
本発明に使用されるトナーの製造方法で水系媒体に使用される界面活性剤は、において用いられる酸性基含有界面活性剤は、長鎖の炭化水素基よりなり疎水性基と酸性基よりなる親水基とを有する酸性基含有界面活性剤が好ましく用いられる。
ここで、「長鎖の炭化水素基」とは、主鎖の炭素数が8以上である炭化水素基により構成されるものである。具体的には、炭素数が8〜40のアルキル基、アルキル基を置換基として有してもよい芳香族炭化水素基等が挙げられ、その中でも炭素数が8〜30のアルキル基を有するフェニル基が好ましい。
酸性基含有界面活性剤を構成する酸性基としては、高い酸性を有するものが好ましく、たとえば、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基等が挙げられ、これらの中でもスルホン酸基が好ましい。
酸性基含有界面活性剤の好ましい具体例としては、長鎖の炭化水素基を有するスルホン酸、カルボン酸、リン酸を挙げることができる。
スルホン酸類の具体例としては、ドデシルスルホン酸、エイコシルスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及び、エイコシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。また、カルボン酸類の具体例としては、ドデシルカルボン酸が挙げられ、リン酸類の具体例としては、ドデシルリン酸、エイコシルリン酸等が挙げられる。この中でも、前記スルホン酸類の化合物が特に好ましい。
酸性基含有界面活性剤は、酸性基及び長鎖の炭化水素基が種々の無機基あるいは有機基を介して結合されたものとすることができるが、酸性基及び長鎖の炭化水素基が直接結合したものが好ましい。この構造の酸性基含有界面活性剤が好ましい効果を得る理由は明らかではないが、おそらく次の様な作用を有することによるものと推測される。すなわち、疎水性基である長鎖炭化水素基と親水性基である酸性基とが直結する構造をとることにより、水系媒体中では水系媒体(水相)に酸性基が配向し、かつ、混成樹脂粒子形成用組成物よりなる油滴(油相)に疎水性基が配向する状態が形成し易くなる。その結果、油滴が水系媒体中で安定化するとともに、重縮合反応時に生成する水を効果的に水相に排出することができるためと推測される。
酸性基含有界面活性剤は、水系媒体中では臨界ミセル濃度以下の濃度となる様に含有させることが好ましい。水系媒体中での酸性基含有界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度以下とすることにより、水系媒体中で界面活性剤がミセルを形成することなく油滴の形成を安定的に行う。また、過剰な界面活性剤が存在していないので、安定した油滴が形成された状態で全ての界面活性剤が当該油滴の周囲で適正に配向するものと推測される。この様な配向状態を形成することにより、次の重合工程では重縮合反応で生ずる水を脱水する触媒としての機能が発現され、重縮合反応の反応速度を高めることができると推測される。
この様に、酸性基含有界面活性剤は水系媒体中で臨界ミセル濃度以下となる様に添加されることが好ましく、具体的には、臨界ミセル濃度の80%以下、さらに好ましくは70%以下とするが、酸性界面活性剤の添加量はこれらに限定されるものではない。また、酸性基含有界面活性剤の添加量の下限は、ポリエステル樹脂を形成する重縮合反応で触媒としての作用が発現される程度であればよい。この様なことから、水系媒体中での酸性基含有界面活性剤の含有量は、より具体的には、水系媒体中の0.01〜2質量%が好ましく、さらには0.1〜1.5質量%がより好ましい。
また、水系媒体中には混成樹脂粒子形成用組成物よりなる油滴を安定化させるために、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を適宜含有させてもよい。
次に、混成樹脂粒子形成用組成物よりなる油滴を構成する重縮合性単量体の具体例について説明する。
本発明に使用されるトナーの作製に用いられる重縮合性単量体のうち、「多価カルボン酸」は2価以上のカルボン酸であり、以下に挙げる様な脂肪族あるいは芳香族のジカルボン酸類や3価以上のカルボン酸類、これらの酸無水物、酸塩化物等が挙げられる。
(a)脂肪族のジカルボン酸の具体例
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸等
(b)芳香族のジカルボン酸の具体例
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等
(c)3価以上のカルボン酸
トリメリット酸、ピロメリット酸等
これらの多価カルボン酸は、1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。また、多価カルボン酸として3価以上のカルボン酸類を使用すると、重合工程で架橋構造の混成樹脂粒子を形成することが可能である。3価以上のカルボン酸類を使用する場合、その割合は多価カルボン酸全体の0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。
本発明に使用されるトナーの作製に用いられる重縮合性単量体のうち、「多価アルコール」は2価以上のアルコールであり、たとえば、以下に挙げる様なものが挙げられる。
(a)ジオール類
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,7−ヘプタングリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA等
(b)3価以上の多価脂肪族アルコール類
グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等
(c)上記3価以上の多価脂肪族アルコール類のアルキレンオキサイド付加物等
これらの多価アルコールは、1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。また、3価以上の多価脂肪族アルコール類、またはそのアルキレンオキサイド付加物を用いると、重合工程において架橋構造の混成樹脂粒子を形成することが可能である。3価以上の多価脂肪族アルコール類、またはそのアルキレンオキサイド付加物の使用割合は、多価アルコール全体の0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。
重縮合性単量体における多価アルコールと多価カルボン酸との比率は、多価アルコールの水酸基[OH]と多価カルボン酸のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
多価アルコールと多価カルボン酸との比率が上記の範囲であることにより、所望の分子量を有するポリエステル樹脂を確実に得ることができる。
混成樹脂粒子形成用組成物の重縮合性単量体には、多価カルボン酸及び多価アルコールとともに1価のカルボン酸及び1価のアルコールのうちの少なくとも一方をごく少量添加させておくことが好ましい。この様な1価のカルボン酸及び1価のアルコールは油滴中での重縮合反応において重合停止剤として作用し、その添加量により形成されるポリエステル樹脂の分子量を調節することが可能である。
本発明に使用されるトナーの製造方法において、重縮合性単量体の含有量は、混成樹脂粒子形成用組成物全体において10〜90質量%であることが好ましく、さらに好ましくは20〜80質量%である。重縮合性単量体の含有量が過少の場合には、得られるトナーにおいてポリエステル樹脂成分による粘弾性が十分に発揮されずに十分な定着性が得られにくくなりトナーオフセットの発生が懸念される。また、重縮合性単量体の含有量が過多になる場合には、得られるトナーにおいて後述するスチレンアクリル樹脂成分による低温定着性があまり発現されなくなり定着性への影響が懸念される。
次に、混成樹脂粒子形成用組成物よりなる油滴を構成するラジカル重合性単量体の具体例について説明する。
本発明に使用されるトナーの作製に用いられるラジカル重合性単量体のうち、スチレン化合物としては以下の様なスチレン系単量体あるいはスチレン誘導体が挙げられる。スチレン系単量体、あるいは、スチレン誘導体を構成するスチレン系化合物としては以下のものが挙げられる。すなわち、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デジルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等。
これらのスチレン系単量体あるいはスチレン誘導体は1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
また、スチレン化合物の含有量は特に限定されるものではなく、スチレンアクリル系樹脂の軟化点温度やガラス転移点温度を調整する観点から、一般にラジカル重合性単量体全体に対し40〜95質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。
本発明に使用されるトナーの作製に用いられるラジカル重合性単量体のうちでアクリル酸エステル化合物及びメタクリル酸エステル化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
(a)アクリル酸エステル化合物
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(b)メタクリル酸エステル化合物
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
これらのアクリル酸エステル化合物あるいはメタクリル酸エステル化合物は1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
これらの(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量は特に限定されるものではなく、スチレンアクリル系樹脂の軟化点温度及びガラス転移点温度を調整する観点から、一般に、ラジカル重合性単量体全体に対し5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
また、ラジカル重合性単量体はイオン性解離基を有する化合物を含有するものであってもよく、イオン性解離基を有する化合物の具体例としては以下に示すカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するものが挙げられる。
(a)カルボキシル基を有するものの具体例
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等
(b)スルホン酸基を有するものの具体例
スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等
(c)リン酸基を有するものの具体例
アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等。
さらに、ラジカル重合性単量体は多官能性ビニル化合物を含有したものでもよい。多官能性ビニル化合物の具体例としては以下に示す不飽和結合を2個以上有する化合物が挙げられる。
すなわち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等。これらを1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。この様に、ラジカル重合性単量体に多官能性ビニル化合物を用いることにより、重合工程のラジカル共重合工程で架橋構造のスチレンアクリル系樹脂を形成することが可能である。
多官能性ビニル化合物の含有量は、得られるスチレンアクリル系樹脂において必要とされる弾性の大小に応じて選択可能であり、一般に、ラジカル重合性単量体全体に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.02〜5質量%がより好ましい。多官能性ビニル化合物の含有量が過多になると、スチレンアクリル系樹脂の架橋率が高くなって軟化点温度が過度に大きくなり、得られるトナーの定着性が低下するおそれがある。また、多官能性ビニル化合物の含有量が過少になると、架橋構造部分が十分に得られず、架橋による効果が十分に発揮できない。
本発明に使用されるトナーの作製に用いられる混成樹脂粒子形成用組成物は、後述する重合工程でラジカル共重合反応を開始するラジカルを油滴中で生成するための重合開始剤を含有するものであってもよい。
このような重合開始剤としては、油溶性の重合開始剤が好ましく、以下に挙げる油溶性の重合開始剤を使用することが可能である。
(a)アゾ系またはジアゾ系重合開始剤
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等
(b)過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤
ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソブロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等。
また、油滴中に油溶性の重合開始剤を含有することに加え、水系媒体中に水溶性の重合開始剤を含有させることにより、ラジカル共重合反応を開始させるラジカルを油滴中だけでなく水系媒体中でも生成させてこれを油滴に供給する構成を採ることも可能である。
水溶性の重合開始剤の具体例としては、たとえば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、及び、その塩、過酸化水素等が挙げられる。
さらに、油滴中に重合開始剤を含有させずに水系媒体中にのみ水溶性の重合開始剤を含有させておき、ラジカル共重合反応を開始するラジカルを水系媒体中でのみ生成して、油滴に供給する構成とすることも可能である。
本発明に使用されるトナーの製造方法において、ラジカル共重合性単量体の含有量は、混成樹脂粒子形成用組成物全体に対して10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がさらに好ましい。ラジカル共重合性単量体の含有量が過少の場合にはスチレンアクリル系樹脂成分により発現される低温定着性が十分に得られなくなることが懸念される。また、ラジカル共重合性単量体の含有量が過多になると、ポリエステル樹脂成分により発現される粘弾性が十分に発現されなくなりトナーオフセットを発生させることが懸念される。
本発明に使用されるトナーの作製に用いられる混成樹脂粒子形成用組成物は、有機溶剤などの種々の油溶性の成分を含有するものであってもよい。このような有機溶剤としては、たとえば、トルエン、酢酸エチルなど、沸点が低く、かつ、水への溶解性が低いものが挙げられる。
また、本発明に使用されるトナーの作製に用いられる混成樹脂粒子形成用組成物中に着色剤やワックスを含有することも可能である。この様な着色剤やワックスを含有した混成樹脂粒子形成用組成物を用いて重合を行うことにより、予め着色された、あるいは、予めワックスを含有してなる混成樹脂粒子を作製することが可能である。なお、ワックスの含有量は、混成樹脂粒子形成用組成物全体に対して2〜20質量%、好ましくは3〜18質量%、さらに好ましくは4〜15質量%とする。
2.重合工程
重合工程では、油滴形成工程で水系媒体中に分散、形成された油滴中で次の2つの重合反応が行われ、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂とが高均一に混合してなる混成樹脂粒子が形成される。すなわち、多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合させてポリエステル樹脂を形成する重縮合工程と、スチレン化合物と(メタ)アクリル酸エステル化合物とをラジカル共重合させてスチレンアクリル系樹脂を形成するラジカル共重合工程より構成される。以下、重縮合工程とラジカル共重合工程について詳細に説明する。
(2−1)重縮合工程;
この重縮合工程は酸性基含有界面活性剤を含有してなる水系媒体中で行われるものである。水系媒体中での重縮合反応が行える理由は、前述した様に、以下の理由によるものと推測される。すなわち、油滴表面に存在する酸性基含有界面活性剤が酸性基からなる親水基を水相に、また、長鎖の炭化水素基からなる疎水基を油相に配向させた状態をとる。この様に、油滴と水相との界面に存在する酸性基が脱水の触媒的な効果を発現することにより、重縮合により生成される水が油滴中から除去され、結果として、水系媒体中に存在する油滴において脱水を伴う重縮合反応が進行するものと推定される。
重縮合を行う重合温度は、混成樹脂粒子形成用組成物に含有される多価カルボン酸及び多価アルコールの種類にもよるが、通常40℃以上で50〜150℃が好ましく、水系媒体中で水の沸点以下で重縮合を行える様に50〜100℃とすることがより好ましい。また、重合反応時間は重縮合の反応速度にもよるが通常は4〜10時間である。
重縮合工程で形成されるポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)で10,000以上であり、2万〜1000万が好ましく、3万〜100万がさらに好ましい。重量平均分子量が10,000未満になると、当該トナーを用いた画像形成動作の定着工程において高温時にオフセット現象が発生するおそれがある。
また、このポリエステル樹脂の分子量は、GPCにより測定される数平均分子量(Mn)で20,000以下であり、1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。数平均分子量が20,000を超えると、当該トナーを用いた画像形成の定着工程において低温定着性やカラートナーとした場合の画像形成により得られる画像に所望の光沢性が得られなくなるおそれがある。
また、このポリエステル樹脂は、ガラス転移点温度が20〜90℃、軟化点温度が80〜220℃であることが好ましく、ガラス転移点温度が35〜65℃、軟化点温度が80〜150℃であることがさらに好ましい。ガラス転移点温度は示差熱量分析方法の第2回目の昇温時にオンセット法で測定されるものであり、軟化点温度は高化式フローテスターの1/2法で測定することができる。
(2−2)ラジカル共重合工程;
ラジカル共重合工程では、形成された油滴中で、当該油滴に含有された重合開始剤によりラジカルが生成されること、及び/または、水系媒体中に含有された重合開始剤により生成されたラジカルが当該油滴に供給されて、ラジカル共重合反応が開始される。
ラジカル共重合を行う重合温度は、混成樹脂粒子形成用組成物に含有されるスチレン化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物の種類、並びにラジカルを生成する重合開始剤の種類にもよるが、通常50〜100℃、好ましくは55〜90℃、さらに好ましくは3〜20℃である。また、重合反応時間は、スチレンアクリル系樹脂を合成するラジカル共重合の反応速度にもよるが、通常は5〜12時間である。
ラジカル共重合工程において得られるスチレンアクリル系樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量が重量平均分子量(Mw)で2,000〜1,000,000であることが好ましく、GPCにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1,000〜100,000であることが好ましい。
また、分子量分布が(Mw/Mn)で1.5〜100、特に1.8〜70であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)が上記の範囲であることによって、得られるトナーを用いた画像形成動作の定着工程においてオフセット現象の発生を抑止することができる。
ラジカル共重合工程において得られるスチレンアクリル系樹脂は、ガラス転移点温度が30〜70℃であることが好ましく、軟化点温度が80〜170℃であることが好ましい。ガラス転移点温度及び軟化点温度が上記の範囲であることによって、良好な定着性が得られる。
以上の重合工程においては、例えば、まず重縮合反応を行ってこれを終えた後に、ポリエステル樹脂の存在下でラジカル共重合反応を開始させる。
3.凝集工程;
凝集工程では、前述の重合工程で形成された混成樹脂粒子の分散液と着色剤粒子や必要に応じてワックス粒子、荷電制御剤粒子等のトナー構成成分の粒子分散液を混合して凝集用分散液を調製し、混成樹脂粒子や着色剤粒子等を水系媒体中で凝集、融着して着色粒子分散液を形成する。
具体的には、凝集用分散液に臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、撹拌機構が後述の撹拌翼である反応装置(図1参照)において撹拌し、混成樹脂粒子を構成するポリエステル樹脂及びスチレンアクリル系樹脂のガラス転移点温度以上で加熱融着させて凝集粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御して着色粒子を形成する。
なお、凝集用分散液に凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶剤を添加してもよい。また、消石灰、ソーダ灰、ベントナイト、フライアッシュ、カオリン等の凝集助剤を用いることも可能である。
この工程では、混成樹脂粒子や着色剤粒子、あるいは、ワックス粒子等の粒子を凝集させるが、これらの粒子の凝集を促進させる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。
具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩、鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。これら金属塩の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。これらの金属塩の中でも特に好ましくは二価の金属の塩であり、二価の金属塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。なお、凝集剤は上記のものを1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
凝集用分散液への凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上である必要があり、臨界凝集濃度の1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上添加することがさらに好ましい。
ここに、「臨界凝集濃度」とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、分散された粒子成分などによって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学17,601(1960)日本高分子学会編」などに記述されている手法により、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする凝集用分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その凝集用分散液のξ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
水に対して無限溶解する有機溶剤としては、形成されるポリエステル樹脂を溶解させないものが選択され、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトンなどが挙げられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
この水に対して無限溶解する有機溶剤の添加量は、凝集剤を添加した凝集用分散液に対して1〜100体積%が好ましい。
凝集工程においては、凝集剤を添加した後に放置する放置時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短くすることが好ましい。すなわち、凝集剤を添加した後、凝集用分散液の加熱をできるだけ速やかに開始し、混成樹脂粒子のガラス転移点温度以上とすることが好ましい。この理由は明確ではないが、放置時間の経過によって粒子の凝集状態が変動して、得られるトナー粒子の粒径分布が不安定になったり、表面性が変動したりする問題が発生するからである。放置時間は、通常30分以内とされ、好ましくは10分以内である。凝集剤を添加する温度は特に限定されないが、混成樹脂粒子を構成するポリエステル樹脂及びスチレンアクリル系樹脂のガラス転移点温度以下であることが好ましい。
また、凝集工程においては、加熱により速やかに昇温させる必要があり、昇温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。さらに、凝集用分散液がガラス転移点温度以上の温度に到達した後、当該凝集用分散液の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、トナー粒子の成長(混成樹脂粒子及び着色剤粒子の凝集)と、融着(粒子間の界面の消失)とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーの耐久性を向上することができる。
ここで、混成樹脂粒子とともに粒子の形態で凝集させることが可能な着色剤、ワックス等について説明する。
先ず、着色剤について説明する。
着色剤粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水系媒体中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、前述の油滴形成工程で挙げたものが使用可能である。また、着色剤の分散液に使用可能な界面活性剤は、特に限定されるものではないが、下記のアニオン系界面活性剤が好適なものの例として挙げられる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、以下に示すスルホン酸塩類、硫酸塩類、脂肪酸塩類等が挙げられる。
(1)スルホン酸塩類
ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等
(2)硫酸塩類
ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等
(3)脂肪酸塩類
オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等。
また、本発明に使用されるトナーに用いられる着色剤としては以下に示す公知のものが挙げられる。
黒色の着色剤としては、たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
さらに、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することも可能である。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのが良い。
次に、本発明に使用されるトナーに使用可能なワックスとしては、以下に示す様な公知のものが挙げられる。
(1)ポリオレフィン系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等
(2)長鎖炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、サゾールワックス等
(3)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(4)エステル系ワックス
カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(5)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等
ワックスの融点は、通常40〜125℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
これらのワックスを1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
さらに、荷電制御剤粒子を構成する荷電制御剤としては、種々の公知のもので、かつ、水系媒体中に分散可能なものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
荷電制御剤粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
次に、反応装置について説明する。混成樹脂粒子等を凝集、融着させて得られる着色粒子により構成されるトナーは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる撹拌翼及び撹拌槽を使用して、凝集工程での温度、回転数、時間を制御することにより、所期の形状係数及び均一性の高い形状分布を有するものとすることができる。均一性の高い形状分布を有するトナーを得ることができる理由は、層流を形成させた場で凝集工程を行うと、凝集及び融着が進行している凝集粒子に強いストレスが加わらず、かつ、流れが加速された層流においては撹拌槽内の温度分布が均一である結果、凝集粒子の形状分布が均一になるからであると推定される。さらに、加熱、撹拌による形状制御工程を行うことで、凝集粒子は徐々に球形化し、形成される着色粒子の形状を任意に制御できる。
混成樹脂粒子を凝集させて融着させて得られるトナー粒子によって構成されるトナーを製造する際に使用される撹拌翼及び撹拌槽としては、例えば図1に示すものが好適な例として挙げられる。
この反応装置は、上段の撹拌翼が下段の撹拌翼に対して回転方向に先行した交差角αを持って配設された、多段の構成とされた撹拌翼を備え、撹拌槽内には乱流を形成させるような邪魔板などの障害物を設けない特徴を有する。
図1は、反応装置の一例を示す斜視図である。
図1に示す反応装置においては、熱交換用ジャケット1を外周部に装着した縦型円筒状の撹拌槽2内の中心部に回転軸3が垂設され、この回転軸3に、撹拌槽2の底面に近接された下段に位置する撹拌翼4bと、より上段に位置する撹拌翼4aとが設けられている。上段の撹拌翼4aは、下段に位置する撹拌翼4bに対して回転方向に先行した交差角αをもった状態とされている。
図1中、矢印は回転方向を示し、7は上部材料投入口、8は下部材料投入口である。
本発明に使用されるトナーの製造方法では、撹拌翼4a、4bの交差角αは90°未満であることが好ましい。この交差角αの下限は特に限定されるものではないが、5°以上90°未満であることが好ましく、さらに好ましくは10°以上90°未満である。
このような構成とすることで、上段に配設されている撹拌翼4aによりまず凝集用分散液が撹拌され、下側への流れが形成される。次いで、下段に配設された撹拌翼4bにより、上段の撹拌翼4aで形成された流れがさらに下方へ加速されると共にこの撹拌翼4a自体でも下方への流れが別途形成され、全体として流れが加速されて進行するものと推定される。
撹拌翼の形状については、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、図1に示した方形板状のものなど、貫通孔などを有さない連続した面を有するものより形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
撹拌翼が乱流を形成させないものであることによって、重合工程においては混成樹脂粒子同士の合一が発生せず、さらに、混成樹脂粒子の破壊による再分散も発生しない。また、凝集工程においては過度な凝集粒子同士の衝突を抑制することができ、粒径分布の均一性を高めることができ、従って、均一な粒径分布のトナーを得ることができる。さらに、粒子の過度な合一を抑制することができるため、均一な形状のトナーが得られる。
4.濾過、洗浄工程;
濾過、洗浄工程では、上記凝集工程で作製された着色粒子分散液より当該着色粒子を分離する濾過処理と、分離された着色粒子のトナーケーキ(ケーキ状の着色粒子集合物)から界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
ここで、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェなどを使用して行う減圧濾過法、フィルタプレス等を使用する濾過法等が挙げられ、特に限定されるものではない。
5.乾燥工程;
乾燥工程では、洗浄処理された着色粒子に乾燥処理を施す。乾燥工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤ、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等が挙げられる。乾燥処理された着色粒子の水分量は、1.0質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5質量%以下とされる。
ここで、着色粒子の水分量は、カールフィッシャー法により測定することが可能である。具体的には、温度30℃、湿度85%RHの試料調湿環境条件、110℃の試料加熱条件で水分量測定装置「AQS−724」(平沼産業(株)製)を用い、温度30℃、湿度85%RHの高温高湿環境下において24時間放置した着色粒子を測定して得られる水分量を着色粒子の水分量とした。
乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集して凝集体を形成している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサ等の機械式解砕装置を使用することができる。
6.外添剤添加工程;
外添剤添加工程は、乾燥処理された着色粒子に、流動性、帯電性の改良及びクリーニング性の向上などの目的で外添剤を添加する工程である。外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げられる。
外添剤は、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%であることが好ましい。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
外添剤の大きさは数平均一次粒径で4〜800nmのものであり、この大きさを有する無機微粒子や有機微粒子等の粒子を添加して、トナーを作製することが可能である。
外添剤の添加により、トナーの流動性や帯電性が改良され、また、クリーニング性の向上等が実現される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、たとえば、以下に挙げる無機微粒子や有機微粒子、及び、滑剤が挙げられる。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。
具体的には、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては必要に応じて疎水化処理したものを用いても良い。具体的なシリカ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタニア微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
さらに、無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによって疎水化処理されていることが好ましい。
疎水化処理の程度としては特に限定されるものではないが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸漬されているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式1により疎水化度が算出される。
(式1) 疎水化度={a/(a+50)}×100
また、クリーニング性や転写性をさらに向上させるために滑剤を使用することも可能である。滑剤としては、たとえば、以下の様な高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。すなわち、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩が挙げられる。
以上の様な製造方法により作製されるトナーは、その粒径が体積基準メディアン径(D50)で3〜8μmであることが好ましい。このトナーの粒径は、凝集工程における凝集剤の濃度や有機溶剤の添加量、または融着時間、さらにポリエステル樹脂の組成により制御が可能である。体積基準メディアン径(D50)を3〜8μmとすることにより、定着工程において、飛翔して加熱部材に付着しトナーオフセットを発生させる付着力の大きいトナーを少なくする。また、転写効率が向上してハーフトーン画像の画質向上、細線やドット等の精細な画像の画質向上を実現させている。
トナーの体積基準メディアン径(D50)は下記の測定方法により測定されるものである。すなわち、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステム(ベックマン・コールター製)を接続した装置を用いて測定、算出することにより得られるものである。
測定手順としては、トナー0.02gを界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定器表示濃度が7%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出する。体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メディアン径(D50)とする。
本発明に使用されるトナーは、キャリアと混合していわゆる二成分現像剤として使用するものである。上記トナーをキャリアと混合して二成分現像剤とした場合でも、キャリア汚染による画像不良の発生のない良好なトナー画像が得られる。
次に、本発明に係る二成分現像剤に使用可能なキャリアについて説明する。
本発明に使用可能なキャリアは、その形状係数SF−1が1.0以上1.2以下、形状係数SF−2が1.1以上2.5以下、体積基準メディアン径が10μm以上100μm以下の形状と大きさを有し、結着樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるものである。
本発明に使用可能なキャリアの形状を定義付けるパラメータである形状係数SF−1、SF−2について説明する。ここで、形状係数SF−1とは、粒子の丸さの度合を示すもので、SF−1の値が1.0のものはその形状が真球であることを意味するものである。
また、形状係数SF−2は、キャリア粒子の凹凸の度合を示すもので、SF−2の値が1.0のものはキャリア粒子表面に凹凸が存在しない平滑面であることを意味するものである。形状係数SF−1、SF−2は、以下に示す式で定義される。
SF−1=〔(トナーの最大径)2/(トナーの投影面積)〕×(π/4)
SF−2=〔(トナーの周囲の長さ)2/(トナーの投影面積)〕×(1/4π)
式中の「最大径」とは、キャリア粒子の平面上への投影像を2本の平行線で挟んだときに、その平行線の間隔が最大となる幅のことをいう。
キャリアの形状係数SF−1及びSF−2は、以下の手順で測定することが可能である。すなわち、走査型電子顕微鏡を用い、ランダムに選出した100個以上のキャリアの写真を200倍にて撮影し、得られた写真画像をスキャナー等で読み込んで、読み込んだ画像データを画像解析処理装置を用いて解析し、その解析結果より算出するものである。なお、具体的な走査型電子顕微鏡の具体例としては、たとえば、フィールドエミッション走査型電子顕微鏡「S−4500(日立製作所(株)製)」等が挙げられ、画像解析処理装置の具体例としては、たとえば、「LUZEX 3(ニレコ社製)」等が挙げられる。
本発明では、キャリアの形状係数SF−1を1.0以上1.2以下、及び、SF−2を1.1以上2.5以下とすることで、以下の様な効果が発現され、その結果、良好な画像形成を安定して行える様にしているものと推測される。
すなわち、形状係数SF−1を上記範囲にすることで、キャリアに適度な流動性が付与されてトナーへの帯電が効率よく行われる様になる。また、キャリアに適度な流動性が付与されることにより、現像装置内等では大きな力をかけることなくキャリアを搬送できるので、画像形成装置内でキャリアを破損させるおそれが無くなり、キャリアの寿命を延ばすことができる。この様に、キャリアの形状係数SF−1を上記範囲とすることにより、トナー帯電が効率よく行えるとともに、画像形成装置内でキャリアの破損のおそれをなくして、良好な画像形成が行えるものと期待される。
また、形状係数SF−2を上記範囲とすることで、キャリア表面にトナーに余分なトルクを与える様な凹凸を有さないので、トナーに負荷をかけずに帯電を行うことができる。したがって、トナーはキャリアから負荷を受けずに帯電が行われるので、帯電時にトナーがみだりに破損する様なことがなくなり、安定した帯電付与が行われることになる。
この様に、キャリアの形状係数SF−2を上記範囲とすることにより、トナーをみだりに破損させるおそれがなくなり、良好な画像形成が行えるものと期待される。
また、本発明で使用可能なキャリアの体積基準メディアン径(D50v)は、10μm以上100μm以下、好ましくは20μm以上50μm以下である。本発明で使用可能なキャリアの体積基準メディアン径の測定方法としては、たとえば、「ヘロス(HELOS)(SYMPATEC社製)」に代表される湿式分散装置を備えたレーザ回折式留度分布測定装置を用いた測定方法が挙げられる。
本発明に係るキャリアの体積基準メディアン径を10μm以上100μm以下の範囲にすることにより、以下の様な効果が得られるものと期待される。先ず、キャリア粒子中で磁性体微粉末が適度に分散した状態を形成し、キャリア粒子が適切な磁化の強さを得られる様になる。その結果、キャリア粒子が像担持体上で静電潜像を現像する様なことが起こらなくなる。また、キャリアの体積基準メディアン径を上記範囲とすることにより、キャリア表面でトナーを安定保持するのに必要な比表面積が確保され、所定レベルのトナー帯電が確実に行われる様になる。
その結果、画像形成工程において帯電不良のトナーが存在しなくなり、トナー飛散の発生を防ぎ、かつ、オリジナルに忠実な画像再現が行える様になり、とりわけ、帯電不良により画像再現が困難になりがちだったベタ画像の再現が確実に行える。
本発明に係る二成分現像剤を構成するキャリアは、キャリア粒子を構成する結着樹脂中に磁性体微粉末を分散させてなる構造を有するものである。
この様な構造のキャリア(以下、樹脂分散型キャリアという)の代表的な形態としては、たとえば、フェノールホルムアルデヒド樹脂形成等の重合処理を経て作製される結着樹脂中に磁性体微粉末を分散させてなるキャリアが挙げられる。
この様な樹脂分散型キャリアは、前述の様に、いわゆる重合法により作製することが可能である。重合法で作製された樹脂分散型キャリアは、キャリア汚染を起こしにくい形状である真球に近い形状のものが得られ易い。また、真球に近い形状のキャリアは、キャリア表面の均一性が得られ易いので、高い帯電付与性能が期待される。
さらに、重合法を採用することで、形状制御を行いながらキャリアを作製することができる。
以下に、樹脂分散型キャリアの代表例として、フェノールホルムアルデヒド樹脂を結着樹脂に用いた樹脂分散型キャリアについて説明する。
フェノールホルムアルデヒド樹脂を用いた樹脂分散型キャリアは、結着樹脂の原料であるフェノール類とアルデヒド類、及び、後述する磁性体微粉末を分散安定剤を含有する水系媒体中に添加し、塩基性触媒の存在下で付加縮合反応を行うことにより作製される。ここで、水系媒体中に添加する分散安定剤としては、たとえば、コロイド状のリン酸三カルシウム、水酸化マグネシウム、親水性シリカ等が挙げられる。
また、水系媒体中に添加する塩基性触媒としては、たとえば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン、及び、ジメチルアミンやジエチルアミン、ポリエチレンイミン等のアルキルアミン類が挙げられる。これら塩基性触媒の添加量は、たとえば、原料のフェノール類1モルに対し、0.02モル乃至0.3モルが好ましい。
次に、フェノールホルムアルデヒド樹脂を形成する原料であるフェノール類とアルデヒド類の具体例について説明する。フェノール類の具体例としては、フェノール、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA等のアルキルフェノール類が挙げられる。
また、前述したアルキルフェノール類以外にも、芳香環に水酸基が結合したいわゆるフェノール性水酸基を有する化合物であれば使用可能である。フェノール性水酸基を有する化合物の具体例としては、たとえば、ベンゼン環やアルキル基の一部あるいは全部が塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類等が挙げられる。これらの中でも、フェノールは高い粒子形状性が得られることから特に好ましいものである。
また、アルデヒド類の具体例としては、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒドのいずれかの形態をとるホルムアルデヒドやフルフラール等が挙げられるが、ホルムアルデヒドが好ましい。
上記フェノール類やアルデヒド類を原料としてなるフェノールホルムアルデヒド樹脂を用いた樹脂分散型キャリアは、帯電性と帯電量の最適化や高耐久化を実現するために、トナーの帯電量に合わせて、キャリア粒子表面をコーティング処理することも可能である。キャリア粒子表面のコーティング処理は、後述するコート樹脂を用いて行うことが可能で、キャリア粒子に対して、コート樹脂を0.1質量%乃至10質量%、好ましくは0.3質量%乃至5質量%添加してコーティングを行える。なお、コーティング処理後のキャリア粒子の形状係数SF−1、SF−2が前述の範囲の値となる様に、コート樹脂の添加量等コーティング処理条件を制御することが好ましい。
ここで、コート樹脂について詳細に説明する。樹脂分散型キャリア表面のコーティング処理が可能なコート樹脂としては、熱可塑性または熱硬化性の絶縁性樹脂を好適に使用することが可能である。
上記コート樹脂は、単独でも2種類以上組み合わせて使用することも可能であり、また、熱可塑性の絶縁性樹脂に硬化剤等を混合させることも可能である。
樹脂分散型キャリアに使用可能な磁性体微粉末としては、たとえば、鉄、下記式(a)で表されるフェライト、下記式(b)で表されるマグネタイト等の金属や金属酸化物、これらの金属や金属酸化物とアルミニウム、鉛等の金属との合金等、公知の磁性材料からなる微粉末が挙げられる。
式(a):MO・Fe23
式(b):MFe24
上記式(a)、(b)中のMは、2価あるいは1価の金属で、たとえば、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、リチウム(Li)等が挙げられる。これらの金属を単独または複数種類組み合わせて使用することが可能である。
磁性体微粉末を構成する具体的な磁性材料としては、たとえば、マグネタイト、γ−酸化鉄、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Ca−Mg系フェライト、Li系フェライト、Cu−Zn系フェライト等が挙げられる。
樹脂分散型キャリアにおける磁性体微粉末の含有量は、40質量%乃至99質量%、好ましくは50質量%乃至70質量%である。
また、本発明で使用可能な磁性体微粉末の大きさは、数平均一次粒径で0.1μm乃至0.5μmであるものが好ましい。磁性体微粉末の数平均一次粒径は、倍率10,000倍に設定された電子顕微鏡写真に撮影された磁性体微粉末100個のフェレ方向径を測定し、その算術平均値をいうものである。
また、磁気特性の調整等を目的として、前述の磁性体微粉末に以下の様な非磁性金属を単独あるいは複数種類用いて形成される非磁性金属酸化物粉末を加えることも可能である。非磁性金属の具体例としては、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Ba、Pb等が挙げられる。また、非磁性金属酸化物粉末の具体例としては、Al23、SiO2、CaO、TiO2、V25、CrO2、MnO2、Fe23、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y23、ZrO2等の粉末が挙げられる。
上記非磁性金属酸化物粉末の大きさは、数平均一次粒径で0.1μm乃至1.0μmであることが好ましい。非磁性金属酸化物粉末の数平均一次粒径の測定は、前述の磁性体微粉末と同様の方法で行うことができる。また、非磁性金属酸化物粉末の樹脂分散型キャリア中への含有量は、10質量%乃至60質量%、好ましくは20質量%乃至40質量%である。
また、親油性(疎水性)を向上させるために上記磁性体微粉末の表面を親油化処理剤で親油化処理することも可能である。親油化処理剤としては、公知のカップリング剤や高級脂肪酸類等が挙げられる。親油化処理剤の添加量は、磁性体微粉末100質量部当たり0.1質量部乃至10質量部が好ましく、0.2質量部乃至6質量部がより好ましい。
次に、前述のポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂よりなる混成樹脂粒子よりなるトナーと、前述の形状係数SF−1、SF−2を有し、結着樹脂中に磁性体微粉末を分散させてなるキャリアよりなる二成分現像剤が使用可能な画像形成装置を説明する。図2は、二成分現像剤を用いてトナー画像を形成する画像形成装置の一例を示す概略図である。
図2において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像手段、5Y、5M、5C、5Kは1次転写手段としての1次転写ロール、5Aは2次転写手段としての2次転写ロール、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング手段、7は中間転写体ユニット、24は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット7と、記録部材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としての熱ロール式定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ロール5Y、クリーニング手段6Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ロール5M、クリーニング手段6Mを有する。また、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ロール5C、クリーニング手段6Cを有する。また、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写手段としての1次転写ロール5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材として用紙等の記録部材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ロール22A、22B、22C、22D、レジストロール23を経て、2次転写手段としての2次転写ロール5Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、熱ロール式定着装置24により定着処理され、排紙ロール25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ロール5Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ロール5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の1次転写ロール5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
2次転写ロール5Aは、ここを記録部材Pが通過して2次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とを有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ロール71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、1次転写ロール5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとからなる。
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、熱ロール式定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。
トナー像を記録部材Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング装置6Aで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
また、本発明に係る二成分現像剤を構成するトナーは、現状よりも更に低い温度でトナー画像を定着するいわゆる低温定着対応のものである。すなわち、本発明に係る二成分現像剤を構成するトナーで形成されたトナー画像を形成した転写材を表面温度が90℃〜150℃の加熱ローラで処理すると、折れや曲げ、擦れ等の力を加えても、転写材からのトナー剥離が起きない安定した定着強度が発現される。
図3は、加熱ローラを用いた定着装置の一例を示す概略図である。
図3に示す定着装置10は、加熱ロール71と、これに当接する加圧ロール72とを備えている。尚、図5において、90は分離爪、17は転写材(転写紙)P上に形成されたトナー像である。
加熱ロール71は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層82が芯金81の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材75を内包している。
芯金81は、金属から構成され、その内径は10〜70mmとされる。芯金81を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属或いはこれらの合金を挙げることができる。
芯金81の肉厚は0.1〜15mmとされ、省エネの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
被覆層82の表面を構成するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などを例示することができる。
フッ素樹脂からなる被覆層82の厚みは10〜500μmとされ、好ましくは20〜400μmとされる。
フッ素樹脂からなる被覆層82の厚みが10μm未満であると、被覆層としての機能を十分に発揮することができず、定着装置としての耐久性を確保することができない。一方、500μmを超える被覆層の表面には紙粉によるキズがつき易く、当該キズ部にトナーなどが付着し、これに起因する画像汚れを発生する問題がある。
また、被覆層82を構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコンゴム及びシリコンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
被覆層82を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
また、弾性体からなる被覆層82の厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
加熱部材75としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ロール72は、弾性体からなる被覆層84が芯金83の表面に形成されてなる。被覆層84を構成する弾性体としては特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコンゴムなどの各種軟質ゴム及びスポンジゴムを挙げることができ、被覆層84を構成するものとして例示したシリコンゴム及びシリコンスポンジゴムを用いることが好ましい。
また、被覆層84の厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
また、定着温度(加熱ロール10の表面温度)は70〜180℃、定着線速は80〜640mm/secが好ましい。また、加熱ロールのニップ幅は8〜40mm、好ましくは11〜30mmに設定する。
尚、分離爪90は、加熱ロールに熱定着された転写材が、加熱ロールに巻き付くのを防止するため設けられている。
本発明に係る二成分現像剤による画像形成では、最終的に転写材P上に転写され、定着処理により、転写材上に固定されることになる。転写材Pは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、記録材或いは転写紙とよばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙や上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
1.「トナー1〜3」及び「比較用トナー1」の作製
1−1.「混成樹脂粒子1〜3」の作製
(1)「混成樹脂粒子1」の作製
下記重合性単量体の混合物を95℃に加熱した状態で、ドデシルベンゼンスルホン酸を2質量部含有する240質量部の水に添加し、当該混合物を超音波分散機により分散させて油滴を形成させて反応液とした。なお、当該混合物を構成する重合性単量体は、
アゼライン酸 32質量部
1,10−デカンジオール 28質量部
スチレン 80質量部
アクリル酸ブチル 20質量部
である。
次に、この反応液を95℃の温度下で24時間反応させて、ポリエステル樹脂を形成した。その後、反応系の温度を80℃に下げ、過硫酸カリウム1.5質量部を含有した水溶液を添加して、5時間のラジカル重合反応によりスチレンアクリル樹脂を形成した。この様にして、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂よりなる「混成樹脂粒子1」を作製した。
「混成樹脂粒子1」よりポリエステル樹脂成分を分離して、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC)により分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)で20,000、数平均分子量(Mn)で10,000だった。また、ガラス転移温度は60℃、軟化点温度は125℃であった。
また、「混成樹脂粒子1」よりスチレンアクリル樹脂成分を分離して分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)で52,000、数平均分子量(Mn)で9,000、分子量分布(Mw/Mn)が5.7であった。また、ガラス転移温度は53℃、軟化点温度は118℃であった。
さらに、「混成樹脂粒子1」の大きさは個数平均一次粒径で210nmであった。
(2)「混成樹脂粒子2」の作製
下記重合性単量体の混合物を95℃に加熱した状態で、ドデシルベンゼンスルホン酸を3質量部含有する240質量部の水に添加し、当該混合物を超音波分散機により分散させて油滴を形成させて反応液とした。なお、当該混合物を構成する重合性単量体は、
ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 22質量部
ネオペンチルグリコール 1.2質量部
テレフタル酸 10質量部
イソフタル酸 0.6質量部
スチレン 80質量部
アクリル酸2−エチルヘキシル 20質量部
である。
次に、この反応液を95℃の温度下で24時間反応させて、ポリエステル樹脂を形成した。その後、反応系の温度を80℃に下げ、過硫酸カリウム1.5質量部を含有した水溶液を添加して、5時間のラジカル重合反応によりスチレンアクリル樹脂を形成した。この様にして、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂よりなる「混成樹脂粒子2」を作製した。
「混成樹脂粒子2」よりポリエステル樹脂成分を分離して、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC)により分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)で30,000、数平均分子量(Mn)で9,000だった。また、ガラス転移温度は52℃、軟化点温度は117℃であった。
また、「混成樹脂粒子2」よりスチレンアクリル樹脂成分を分離して分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)で53,000、数平均分子量(Mn)で8,500、分子量分布(Mw/Mn)が6.2であった。また、ガラス転移温度は51℃、軟化点温度は114℃であった。
さらに、「混成樹脂粒子2」の大きさは個数平均一次粒径で230nmであった。
(3)「混成樹脂粒子3」の作製
下記重合性単量体の混合物を95℃に加熱した状態で、ドデシルベンゼンスルホン酸を3質量部含有する240質量部の水に添加し、当該混合物を超音波分散機により分散させて油滴を形成させて反応液とした。なお、当該混合物を構成する重合性単量体は、
ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
22質量部
ネオペンチルグリコール 1.2質量部
テレフタル酸 9.5質量部
イソフタル酸 0.5質量部
トリメリット酸 0.5質量部
スチレン 80質量部
アクリル酸ブチル 20質量部
である。
次に、この反応液を95℃の温度下で24時間反応させて、ポリエステル樹脂を形成した。その後、反応系の温度を80℃に下げ、過硫酸カリウム1.5質量部を含有した水溶液を添加して、5時間のラジカル重合反応によりスチレンアクリル樹脂を形成した。この様にして、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂よりなる「混成樹脂粒子3」を作製した。
「混成樹脂粒子3」よりポリエステル樹脂成分を分離して、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC)により分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)で50,000、数平均分子量(Mn)で5,000だった。また、ガラス転移温度は56℃、軟化点温度は120℃であった。
また、「混成樹脂粒子3」よりスチレンアクリル樹脂成分を分離して分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)で53,000、数平均分子量(Mn)で8,500で、分子量分布(Mw/Mn)が6.2であった。また、ガラス転移温度は52℃、軟化点温度は117℃であった。
さらに、「混成樹脂粒子3」の大きさは、個数平均一次粒径で210nmであった。
1−2.「着色剤分散液1〜4」の調製
(1)「着色剤分散液1」の調製
アニオン系界面活性剤のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0質量部をイオン交換水30質量部に撹拌溶解させ、この溶液中に、カーボンブラック「リーガル330R(キャボット社製)」7質量部を徐々に添加した。次いで、機械式分散機「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて分散処理を行うことにより、「着色剤分散液1」を作製した。なお、「着色剤分散液1」中の着色剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ92nmであった。
(2)「着色剤分散液2」の調製
「着色剤分散液1」の調製において、カーボンブラック7質量部に代えて顔料「C.I.ピグメントイエロー185」8質量部を用いた他は「着色剤分散液1」の調製と同様の手順で「着色剤分散液2」を調製した。なお、「着色剤分散液2」における着色剤粒子の粒子径を上記電気泳動光散乱光度計を用いて測定したところ87nmであった。
(3)「着色剤分散液3」の調製
「着色剤分散液1」の調製において、カーボンブラック7質量部に代えてキナクリドン系マゼンタ顔料「C.I.ピグメントレッド122」8質量部を用いた他は「着色剤分散液1」の調製と同様の手順で「着色剤分散液3」を調製した。なお、「着色剤分散液3」における着色剤粒子の粒子径を上記電気泳動光散乱光度計を用いて測定したところ90nmであった。
(4)「着色剤分散液4」の調製
「着色剤分散液1」の調製において、カーボンブラック7質量部に代えてフタロシアニン系シアン顔料「C.I.ピグメントブルー15:3」7質量部を用いた他は「着色剤分散液1」の調製と同様の手順で「着色剤分散液4」を調製した。なお、「着色剤分散液4」における着色剤粒子の粒子径を上記電気泳動光散乱光度計を用いて測定したところ90nmであった。
1−3.「ワックス分散液1〜3」の調製
(1)「ワックス分散液1」の作製
アニオン系界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸1.0質量部をイオン交換水30質量部に溶解させた。この溶液を90℃に加熱し、撹拌しながら、ワックスとして「カルナウバワックス(精製カルナウバワックス1号)」7質量部を90℃に加熱して溶解させたものを徐々に添加した。次いで、機械式分散機「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて90℃にて7時間分散処理を行い、その後、30℃に冷却して「ワックス分散液1」を調製した。なお、「ワックス剤分散液1」中のワックス粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ質量平均粒子径で95nmであった。
(2)「ワックス分散液2」の作製
「ワックス分散液1」の作製において、「カルナウバワックス(精製カルナウバワックス1号)」に代わり、ワックスとして、「ペンタエリスリトールベヘン酸エステル」7質量部を用いた他は同様の手順により、「ワックス分散液2」を作製した。なお、「ワックス分散液2」中のワックス粒子の粒子径を上記電気泳動光散乱光度計を用いて測定したところ96nmであった。
(3)「ワックス分散液3」の作製
「ワックス分散液1」の作製において、「カルナウバワックス(精製カルナウバワックス1号)」に代わり、ワックスとして「フィッシャートロプシュワックス」7質量部を用いた他は同様の手順により、「ワックス分散液3」を作製した。なお、「ワックス分散液3」中のワックス粒子の粒子径を上記電気泳動光散乱光度計を用いて測定したところ、質量平均粒子径で91nmであった。
1−4.「着色粒子1K〜3C」の作製
(1)「着色粒子1K」の作製
撹拌機、温度計、コンデンサ、窒素吸入管を装着した反応容器内に、「混成樹脂粒子1」と、イオン交換水30質量部、「着色剤分散液1」、及び、「ワックス分散液1」とを仕込み、内温を30℃にして凝集用分散液を調整した。この凝集用分散液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.0に調整した。
次に、上記凝集用分散液の温度を30℃に維持し、かつ、撹拌を行いながら、塩化マグネシウム・6水和物1質量部をイオン交換水20質量部に溶解させた水溶液を10分間かけて添加した。そして、上記反応系を1分間放置後、昇温を開始し、10分間で90℃に昇温させた。
この状態で「FPIA2000」を用いて、凝集粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が5.2μmになった時点で、塩化ナトリウム2質量部をイオン交換水20質量部に溶解させた水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、95℃での加熱撹拌を10時間行って融着を継続し、形状制御を行った。その後、この系を30℃に冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止させた。
生成した着色粒子をろ過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥させて、「着色粒子1K」を得た。
(2)「着色粒子2K」の作製
「着色粒子1K」の作製において、「混成樹脂粒子1」の代わりに「混成樹脂粒子2」を使用し、「ワックス分散液1」の代わりに「ワックス分散液2」を使用し、さらに、分散液混合液のpHを11.0に調整した他は同様の条件で粒子成長を行った。そして、個数平均粒径が5.5μmになった時点で粒子成長を停止させ、以下、「着色粒子1K」と同様の手順で「着色粒子2K」を作製した。
(3)「着色粒子3K」の作製
「着色粒子1K」の作製において、「混成樹脂粒子1」の代わりに「混成樹脂粒子3」を使用し、「ワックス分散液1」の代わりに「ワックス分散液3」を使用し、さらに、分散液混合液のpHを10.5に調整した他は同様の条件で粒子成長を行った。そして、個数平均粒径が5.5μmになった時点で粒子成長を停止させ、以下、「着色粒子1K」と同様の手順で「着色粒子3K」を作製した。
(4)「着色粒子1Y、1M、1C」の作製
「着色粒子1K」の作製において、「着色剤分散液1」の代わりに「着色剤分散液2」を使用し、個数平均粒径が5.2μmになった時点で粒子成長を停止させた他は「着色粒子1K」の作製と同様の手順で「着色粒子1Y」を作製した。
また、「着色粒子1Y」の作製で「着色剤分散液2」の代わりに「着色剤分散液3」を使用した他は同様の手順で「着色粒子1M」を作製し、さらに、「着色剤分散液2」に代えて「着色剤分散液4」を使用した他は同様の手順で「着色粒子1C」を作製した。
(5)「着色粒子2Y、2M、2C」の作製
「着色粒子2K」の作製において、「着色剤分散液1」に代えて「着色剤分散液2」を使用し、分散混合液のpHを9.0に調整し、個数平均粒径が5.5μmになった時点で粒子成長を停止させた他は「着色粒子2K」と同じ手順で「着色粒子2Y」を作製した。
また、「着色粒子2Y」の作製で「着色剤分散液2」に代えて「着色剤分散液3」を使用した他は同様の手順で「着色粒子2M」を作製し、さらに、「着色剤分散液2」に代えて「着色剤分散液4」を使用した他は同様の手順で「着色粒子2C」を作製した。
(6)「着色粒子3Y、3M、3C」の作製
「着色粒子3K」の作製において、「着色剤分散液1」に代えて「着色剤分散液2」を使用し、個数平均粒径が5.5μmとなった時点で粒子成長を停止させた他は「着色粒子3K」の作製と同様の手順で「着色粒子3Y」を作製した。
また、「着色粒子3Y」の作製で「着色剤分散液2」に代えて「着色剤分散液3」を使用した他は同様の手順で「着色粒子3M」を作製し、さらに、「着色剤分散液2」に代えて「着色剤分散液4」を使用した他は同様の手順で「着色粒子3C」を作製した。
1−5.「トナー1K〜3C」の作製
上記「着色粒子1K〜3C」各々100質量部に、数平均一次粒子径12nm、疎水化度80のシリカ1.0質量部と、数平均一次粒子径25nm、疎水化度80のチタニア1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、「トナー1K〜3C」を作製した。なお、これらトナーの形状及び粒径は外添剤を添加しても変化していなかった。
1−6.「比較用トナー1K〜1C」の作製
(1)「比較用トナー1K」の作製
撹拌機、温度計、コンデンサ、窒素吸入管を装着した反応容器内に、
テレフタル酸 299質量部
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
211質量部
ペンタエリスリトール 82質量部
を投入し、窒素ガス雰囲気下で反応系を昇温させた。
次に、ジブチルすずオキシド0.05質量部を添加し、温度200℃の下で重縮合反応を行うことにより、「ポリエステル樹脂A」を作製した。「ポリエステル樹脂A」のガラス転移温度は59℃、軟化点温度は131℃であった。
次に、下記成分を混合した後、溶融、混練、冷却、粉砕及び分級を行い、体積基準メディアン径が6.8μmの「比較用着色粒子1K」を作製した。
ポリエステル樹脂A 100質量部
スチレンアクリル樹脂 90質量部
カーボンブラック 6質量部
ペンタエリスリトールベヘン酸エステル 6質量部
なお、上記スチレンアクリル樹脂は、スチレン由来の成分とアクリル酸ブチル由来の成分が質量比で72:28になる様にしたもので、ガラス転移温度は53℃、軟化点温度が121℃であった。
作製した「比較用着色粒子1K」に、数平均一次粒径が12nm、疎水化度が80のシリカ1.0質量部と、数平均一次粒径が25nm、疎水化度が80のチタニア1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて添加することにより「比較用トナー1K」を作製した。
(2)「比較用トナー1Y、1M、1C」の作製
「比較用トナー1K」の作製において、カーボンブラックに代えて顔料「C.I.ピグメントイエロー185」8質量部を用いた他は「比較用着色粒子1K」の作製と同様の手順で体積基準メディアン径が6.8μmの「比較用着色粒子1Y」を得た。そして、「比較用トナー1K」の時と同様の手順で「比較用トナー1Y」を作製した。
また、「比較用トナー1K」の作製でカーボンブラックに代えてキナクリドン系マゼンタ顔料「C.I.ピグメントレッド122」9質量部を用いた他は「比較用着色粒子1K」と同様の手順で体積基準メディアン径が6.8μmの「比較用着色粒子1M」を得た。さらに、「比較用トナー1K」の作製でカーボンブラックに代えてフタロシアニン系シアン顔料「C.I.ピグメントブルー15:3」9質量部を用いた他は同様の手順で体積基準メディアン径が6.8μmの「比較用着色粒子1C」を得た。これら「比較用着色粒子1M」及び「比較用着色粒子1C」に「比較用トナー1K」の時と同様の外添剤処理を行うことにより「比較用トナー1M及び1C」を作製した。
上記「トナー1〜3」及び「比較用トナー1」の使用樹脂と作製方法、得られたトナーの体積基準メディアン径(D50)を表1に示す。
Figure 2008233333
2.「キャリア1〜5」及び「比較用キャリア1〜4」の作製
(1)「キャリア1」の作製
数平均一次粒径0.24μmのマグネタイト粉(FeO・Fe23)、及び、数平均一次粒径0.60μmのα−Fe23粉を各々撹拌容器内に投入後、さらに、シランカップリング剤「3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン」を添加した。上記シランカップリング剤の添加量は、シランカップリング剤の割合が5.5質量%になる様にした。
続いて、撹拌容器を100℃に加熱し、この温度下で撹拌容器内の上記投入物を高速で混合撹拌し、「親油化マグネタイト粉A」と「親油化α−酸化鉄粉A」を作製した。
次に、下記構成よりなる「組成物(1)」を、28質量%NH4OH水溶液を含有する水系媒体中に添加した。なお、「組成物(1)」の構成は以下のとおりである。
親油化マグネタイト粉A 60質量部
親油化α−酸化鉄粉A 40質量部
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、純水50質量部) 6質量部
前記水系媒体中に「組成物(1)」を添加後、TKホモミキサーにて10,000回転で5分間混合撹拌し、次いで120rpmの条件で混合撹拌しながら40分間で85℃に昇温させ、この温度を維持しながら3時間にわたる熱硬化反応を行った。続いて、30℃まで冷却して、水を添加後、上澄み液の除去と沈殿物の水洗処理を行い、さらに、風乾処理を行った。そして、60℃、665Pa以下の圧力下で乾燥処理を行い、コア粒子となる「キャリア粒子a」を作製した。
次に、公知のシリコーン樹脂材料を10質量%含有したコート溶液(溶媒にトルエンを使用)を用意した。このコート溶液にせん断応力を連続して加えながら溶媒を揮発させ、コート樹脂量が1.0質量%となる様、コア粒子である「キャリア粒子a」表面に被覆した。次いで、200℃で1時間のキュア処理を行った後、解砕処理を行い、さらに、200メッシュのふるいで分級処理を行った。この様にして、表面にシリコーン樹脂をコーティングしてなるフェノールホルムアルデヒド樹脂を結着樹脂に用いた樹脂分散型の「キャリア1」を作製した。
「キャリア1」の体積基準メディアン径は34μmで、形状係数SF−1は1.05、形状係数SF−2は1.51であった。また、1キロエルステッドにおける磁化の強さは129emu/cm3であった。
なお、キャリアの体積基準メディアン径は、湿式分散装置を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)(SYMPATEC社製)」により測定したものである。また、形状係数SF−1とSF−2は、フィールドエミッション走査型電子顕微鏡「S−4500型(日立製作所(株)製)」により撮影したキャリア粒子を画像解析処理装置「LUZEX3(ニレコ社製)」により解析して得たものである。さらに、磁化の強さは振動磁場型磁気特性自動記録装置「BHV−30(理研電子(株)製)」を用いて測定したものである。
(2)「キャリア2」の作製
「キャリア1」の作製において、撹拌条件を80rpmとし、反応温度を95℃とした他は同様の手順で「キャリア2」を作製した。「キャリア2」の体積基準メディアン径は34μmで、形状係数SF−1は1.02、形状係数SF−2は1.12であった。また、1キロエルステッドにおける磁化の強さは129emu/cm3であった。
(3)「キャリア3」の作製
「キャリア1」の作製において、撹拌条件を150rpmとし、反応温度を95℃とした他は同様の手順で「キャリア3」を作製した。「キャリア3」の体積基準メディアン径は34μm、形状係数SF−1は1.19、形状係数SF−2は2.48、また、1キロエルステッドにおける磁化の強さは129emu/cm3であった。
(4)「キャリア4」の作製
「キャリア1」の作製において、TKホモミキサーの撹拌条件を13,000回転とした他は同様の手順で「キャリア4」を作製した。「キャリア4」の体積基準メディアン径は12μmで、形状係数SF−1は1.05、形状係数SF−2は1.51、また、1キロエルステッドにおける磁化の強さは129emu/cm3であった。
(5)「キャリア5」の作製
「キャリア1」の作製において、TKホモミキサーの撹拌条件を3,000回転とした他は同様の手順で「キャリア5」を作製した。「キャリア5」の体積基準メディアン径は95μm、形状係数SF−1は1.05、形状係数SF−2は1.51、また、1キロエルステッドにおける磁化の強さは129emu/cm3であった。
(6)「比較用キャリア1」の作製
「キャリア1」の作製において、撹拌条件を250rpmとし、反応温度を98℃とした他は同様の手順で「比較用キャリア1」を作製した。「比較用キャリア1」の体積基準メディアン径は35μm、形状係数SF−1は1.23、形状係数SF−2は2.65、また、1キロエルステッドにおける磁化の強さは129emu/cm3であった。
(7)「比較用キャリア2」の作製
「キャリア1」の作製において、撹拌条件を50rpmとし、反応温度を70℃とし、さらに、反応時間を6時間とした他は同様の手順で「比較用キャリア2」を作製した。「比較用キャリア2」の体積基準メディアン径は35μm、形状係数SF−1は0.98、形状係数SF−2は1.03、1キロエルステッドにおける磁化の強さは129emu/cm3であった。
(8)「比較用キャリア3」の作製
「キャリア4」の作製において、生成したキャリアを分級し、体積基準メディアン径が9μm、形状係数SF−1が1.05、形状係数SF−2が1.51、1キロエルステッドにおける磁化の強さが129emu/cm3の「比較用キャリア3」を作製した。
(9)「比較用キャリア4」の作製
「キャリア5」の作製において、生成したキャリアを分級し、体積基準メディアン径が105μm、形状係数SF−1が1.05、形状係数SF−2が1.51、1キロエルステッドにおける磁化の強さが129emu/cm3の「比較用キャリア4」を作製した。
上記「キャリア1〜5」及び「比較用キャリア1〜4」の体積基準メディアン径(D50)、形状係数SF−1、SF−2を下記表2に示す。
Figure 2008233333
3.「現像剤1〜13」の作製
前述の「トナー1K〜3C」及び「比較用トナー1K〜1C」を各々20質量部と、「キャリア1〜5」及び「比較用キャリア1〜4」を各々400質量部とを組み合わせることにより、表3に示す組み合わせの「現像剤1〜13」を作製した。そして、「現像剤1〜7」を「実施例1〜7」、「現像剤8〜13」を「比較例1〜6」とした。
4.評価実験
(1)評価機器
評価は、図2に示す構成を有する二成分現像方式フルカラー複合機「bizhub Pro C500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」を用い、高温高湿環境下(33℃、85%RH)で、A4サイズの上質紙(64g/m2)を用いて行った。画像形成は、1枚間欠モードにてイエロー(Y)/マゼンタ(M)/シアン(C)/黒色(K)が各5%画素のフルカラー画像の印字を10万枚行ったものである。なお、このモードは周囲環境の高い温度の影響でトナーの低溶融成分の融着が発生し易い環境である。
(2)評価項目
評価は、初期及び10万枚印字後における帯電量、画像濃度(ベタ黒部の反射濃度)、カブリ濃度(白地の反射濃度)と、トナー飛散の有無について行った。
〈帯電量〉
初期と10万枚印字後におけるトナーの帯電量を評価した。帯電量の測定は、ブローオフ帯電量測定装置「TB−200(東芝ケミカル社製)」を用い、下記の手順で行った。
測定する二成分現像剤を、400メッシュのステンレス製スクリーンを装着した前記帯電量測定装置にセットし、ブロー圧50kPaの条件で10秒間窒素ガスでブローを行ってから電荷の測定を行った。測定された電荷を飛翔したトナー質量で割ることにより帯電量(−μC/g)を算出した。
〈画像濃度〉
初期及び10万枚印字後に出力したベタ黒画像における濃度を評価した。具体的には、印字を行う前のプリント用紙(白紙)上の5個所の反射濃度を測定し、その平均値を白紙濃度とした。次に、ベタ黒画像部上の5個所の画像濃度を測定し、その平均値を平均反射濃度とし、平均反射濃度から白地濃度を引いた値を反射濃度とした。測定は反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて行った。
〈カブリ濃度〉
初期と10万枚印字後に出力した白地濃度を評価した。具体的には、印字を行う前のプリント用紙(白紙)上の5個所の反射濃度を測定し、その平均値を白紙濃度とした。次に、得られた画像中の非画像部上の5個所の反射濃度を測定し、その平均値を平均反射濃度とし、平均反射濃度から白地濃度を引いた値をカブリ濃度とした。測定は反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて行った。
〈トナー飛散〉
10万枚の印字作成終了後に、現像器周囲のトナーこぼれとトナー飛散による機内汚染状態を目視観察で評価した。以下の基準に基づいて評価を行い、○と△を合格とした。
○:トナーこぼれ、トナー飛散による機内汚染が全く認められなかった
△:軽微なトナーこぼれ、トナー飛散による若干の機内汚染は見られるが、実用上問題無いレベル(画像不良の発生無し)
×:トナーこぼれ、トナー飛散による機内汚れが見られ、トナー飛散による画像不良が発生して実用上問題になるレベル
結果を表3に示す。
Figure 2008233333
表3の結果に示す様に、本発明に係る二成分現像剤に該当する実施例1〜7では、10万枚の印字出力を行った後も帯電量の変化がほとんど見られず、また、画像濃度やカブリ濃度にもほとんど変化がなく、安定した画像形成が行えることが確認された。また、10万枚の印字出力を行った後もトナーこぼれやトナー飛散が見られず機内汚染を発生しないことが確認された。一方、比較例1〜6では、10万枚の印字出力実施前後で帯電量や画像濃度、カブリ濃度に変化が見られ、安定した画像形成が行えないことが確認された。
トナーを作製する反応装置の一例を示す斜視図である。 本発明に係る二成分現像剤が使用可能な画像形成装置の一例を示す断面構成図である。 加熱ローラを用いた定着装置の一例を示す概略図である。

Claims (2)

  1. 少なくとも樹脂と着色剤とを有するトナーとキャリアとからなる二成分現像剤において、
    前記トナーを構成する樹脂は、
    ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂からなり、
    酸性化合物を含有する水系媒体中にスチレン単量体とアクリル酸エステル系単量体を存在させた状態で、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合重合させてポリエステル樹脂を形成した後、
    前記スチレン単量体とアクリル酸エステル系単量体とをラジカル重合させてスチレンアクリル系樹脂を形成するものであって、
    前記キャリアは、
    磁性体微粉末を結着樹脂中に分散させた形態を有し、
    体積基準メディアン径が10μm以上100μm以下で、
    形状係数SF−1が1.0以上1.2以下であるとともに、形状係数SF−2が1.1以上2.5以下であることを特徴とする二成分現像剤。
  2. 前記キャリアは、重合処理を経て形成されるフェノールホルムアルデヒド樹脂よりなる結着樹脂に磁性体微粉末を分散させてなることを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤。
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