JP2008233276A - カラーフィルター用インクセット、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 - Google Patents

カラーフィルター用インクセット、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器 Download PDF

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Mitsuhiro Isobe
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Abstract

【課題】インクジェット方式による液滴吐出を円滑に行うことができるとともに、色再現範囲の広いカラーフィルターの製造に用いることができるカラーフィルター用インクセットを提供すること、色再現範囲の広いカラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明のインクセットは、基板上に設けられた多数個のセル内に着色部を有するカラーフィルターを、インクジェット方式により製造するのに用いるものであって、顔料と分散媒とを含む主インクと、染料と溶媒とを含み、前記主インクと同一のセル内に吐出されることにより、形成されるべき前記着色部の色調を調整する調色インクとを備えることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用インクセット、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器に関するものである。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。カラーフィルターには、一般に、光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する3色の着色部が設けられており、カラーフィルターを備えた液晶表示装置では、これら各色の着色部の光の透過量を調整することにより、カラー表示を行っている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法は、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の液滴の吐出位置等の制御が容易で、着色層形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
ところで、カラーフィルターには、広い色再現範囲(色再現域)を有していることが求められるが、RGBの3色について、それぞれ、従来から用いられている着色剤を単独で用いただけでは、近年高まっている表示画像の高画質化には、十分に対応できないという問題点がある。
そこで、RGBの各インクに、それぞれ、複数種の着色剤を含ませることにより、十分に広い色再現範囲を実現することも考えられるが、1種のインク内に複数種の着色剤が混在すると、インク自体の粘度が高いものとなってしまい、インクジェットヘッドを用いた液滴の吐出が困難となる。そして、このような傾向は、1種のインク内に、複数種の顔料が含まれる場合や複数種の染料が含まれる場合に比べて、顔料と染料とが含まれる場合において、より顕著なものとなる。また、インク中に顔料と染料とが併存すると、経時的な粘度の上昇(経時増粘)が発生するため、インクジェットヘッドを用いた液滴の吐出がますます困難となる。また、1種のインク中に顔料と染料とを併存させようとすると、顔料と染料とが均一に混合させること自体が不可能になることもある。
特開2002−372613号公報
本発明の目的は、インクジェット方式による液滴吐出を円滑に行うことができるとともに、色再現範囲の広いカラーフィルターの製造に用いることができるカラーフィルター用インクセットを提供すること、色再現範囲の広いカラーフィルターを好適に製造することができる製造方法を提供すること、色再現範囲の広いカラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクセットは、基板上に設けられた多数個のセル内に着色部を有するカラーフィルターを、インクジェット方式により製造するのに用いるカラーフィルター用インクセットであって、
第1の着色剤を含む主インクと、
前記第1の着色剤とは異なる第2の着色剤を含み、前記主インクと同一のセル内に吐出されることにより、形成されるべき前記着色部の色調を調整する調色インクとを備えることを特徴とする。
これにより、インクジェット方式による液滴吐出を円滑に行うことができるとともに、色再現範囲の広いカラーフィルターの製造に用いることができるカラーフィルター用インクセットを提供することができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記主インクは、前記第1の着色剤として顔料を含む顔料インクであり、
前記調色インクは、前記第2の着色剤として染料を含む染料インクであることが好ましい。
これにより、耐久性に優れ、かつ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができるカラーフィルターの製造に用いることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、前記顔料インクを構成する前記分散媒および前記染料インクを構成する前記溶媒は、いずれも、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、および、1,3−ブチレングリコールジアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。
これにより、顔料インクと染料インクとの相溶性(親和性)が優れたものとなり、顔料インクおよび染料インクを用いて形成される着色部を、セル内での顔料、染料の分布がより均一なものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクセットでは、複数種の前記主インクと、複数種の前記調色インクとを備え、
カラーフィルター用インクセットを構成する前記主インクは、いずれも、前記調色インクと混合して用いられるものであることが好ましい。
これにより、インクジェット方式によるカラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターを、色再現範囲が特に広いものとすることができる。
本発明のカラーフィルターの製造方法は、インクを、多数個のセルが設けられた基板上に、インクジェット方式で吐出して、カラーフィルターを製造する方法であって、
第1の着色剤を含む主インクを吐出する工程と、
前記主インクが吐出された前記セル内に、前記第1の着色剤とは異なる第2の着色剤を含み、前記主インクと同一のセル内に吐出されることにより、形成されるべき前記着色部の色調を調整する調色インクを吐出する工程とを有することを特徴とする。
これにより、色再現範囲の広いカラーフィルターを好適に製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記主インクは、前記第1の着色剤として顔料を含む顔料インクであり、
前記調色インクは、前記第2の着色剤として染料を含む染料インクであることが好ましい。
これにより、カラーフィルターの耐久性を優れたものとし、かつ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができる。
本発明のカラーフィルターの製造方法では、吐出された前記主インクから分散媒を除去した後に、前記調色インクを、前記主インクが吐出された前記セル内に吐出することが好ましい。
これにより、セル内での第1の着色剤、第2の着色剤の分布を均一なものとすることができ、製造されるカラーフィルターにおける色むらの発生等を効果的に抑制することができる。また、カラーフィルターの製造時における着色部の不本位な変形等を効果的に防止することができるため、カラーフィルターの信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルターの製造方法では、吐出された前記主インクから分散媒を除去する前に、前記調色インクを、前記主インクが吐出された前記セル内に吐出することが好ましい。
これにより、セル内での第1の着色剤、第2の着色剤の分布を均一なものとすることができ、製造されるカラーフィルターにおける色むらの発生等を効果的に抑制することができる。また、カラーフィルターの製造時における着色部の不本位な変形等を効果的に防止することができるため、カラーフィルターの信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、色再現範囲の広いカラーフィルターを提供することができる。
本発明のカラーフィルターは、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、色再現範囲の広いカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、色再現範囲の広い画像の表示を行うことができる画像表示装置を提供することができる。
本発明の画像表示装置は、液晶パネルであることが好ましい。
これにより、色再現範囲の広い画像の表示を行うことができる画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、色再現範囲の広い画像の表示を行うことができる電子機器を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《カラーフィルター用インクセット》
本発明のカラーフィルター用インクセットは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクセットであり、特に、インクを、多数個のセルが設けられた基板上に、インクジェット方式で吐出することにより、カラーフィルターの製造に用いられるものである。
また、本発明のカラーフィルター用インクセットは、複数種のインク(カラーフィルター用インク)を備えるものであり、第1の着色剤を含む主インクと、第1の着色剤とは異なる第2の着色剤を含み、主インクと同一のセル内に吐出されることにより、形成されるべき着色部の色調を調整する調色インクとを備えるものである。
ところで、カラーフィルターには、広い色再現範囲(色再現域)を有していることが求められるが、各着色部の形成に、それぞれ、従来から用いられている着色剤を単独で用いただけでは、近年高まっている表示画像の高画質化には、十分に対応できないという問題点がある。
そこで、異なる色の着色部を形成するのに用いる複数種のインクに、それぞれ、複数種の着色剤を含ませることにより、十分に広い色再現範囲を実現することも考えられるが、1種のインク内に複数種の着色剤が混在すると、インク自体の粘度が高いものとなってしまい、インクジェットヘッドを用いた液滴の吐出が困難となる。特に、また、インクジェット方式に用いられるカラーフィルター用インク(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、高沸点、高粘度の分散媒(液性媒体)が用いられ、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)では、インクの液滴に際して、大きな負荷がかかる。また、カラーフィルターの製造では、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を長時間にわたって吐出することが求められる。このような過酷な条件で用いられるため、上記のような、インク中に複数種の着色剤が含まれることによる更なる粘度上昇が起こると、製品としてのカラーフィルターの生産性が著しく低下してしまうとともに、液滴吐出が不安定になるため、製造されるカラーフィルターの信頼性も低いものとなってしまう。
これに対し、本発明では、カラーフィルター用インクセットが、基板上の同一のセル内に吐出される主インクおよび調色インクを備えたものであるため、カラーフィルターの製造時においては、インクジェット方式による液滴吐出を円滑に行うことができ、各部位での色むら、濃度むら等をより効果的に抑制することができ、個体間での特性の均一性が特に優れたカラーフィルターを容易に製造することができる。また、製造されるカラーフィルターにおいては、広い色再現範囲を実現することができる。また、セル内に吐出する主インクと調色インクとの比率を変更することにより、色調の微妙な調整等を、オンデマンドで容易に行うことができる。このため、多品種生産にも好適に対応することができる。
また、従来のカラーフィルター用インクにおいては、カラーフィルターが有する着色部には、耐光性、耐熱性向上の観点から、一般に、着色剤として顔料が用いられている。しかしながら、着色剤として顔料を用いた場合、染料を用いた場合に比べ、表示される画像のコントラストが低いという問題点がある。そして、1種のインク内に複数種の着色剤が含まれることにより、インク自体の粘度が高くなる現象は、1種のインク内に、複数種の顔料が含まれる場合や複数種の染料が含まれる場合に比べて、顔料と染料とが含まれる場合において、より顕著に発生する。また、インク中に顔料と染料とが併存すると、経時的な粘度の上昇(経時増粘)が発生するため、インクジェットヘッドを用いた液滴の吐出がますます困難となる。また、1種のインク中に顔料と染料とを併存させようとすると、顔料と染料とが均一に混合させること自体が不可能になることもある。その一方で、本発明にでは、主インクと調色インクとに、顔料、染料とを分けて含有させることができるため、インクジェット方式による液滴吐出の安定性を優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターにおいては、顔料と染料との利点を発揮させ、両者の欠点を補完することができる。その結果、耐久性(耐光性、耐熱性等)に優れ、かつ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができるカラーフィルターを優れた生産性で製造することができる。
本発明において、カラーフィルター用インクセットは、少なくとも1種の主インクと、少なくとも1種の調色インクとを備えるものであればよいが、以下の説明では、複数種の主インクと、これら複数種の主インクのそれぞれに対応する複数種の調色インクとを備えたもの、特に、主インクが第1の着色剤として顔料を含むものであり、調色インクが第2の着色剤として染料を含むものであり、主インクとして、「赤色顔料インク」と、緑色の「緑色顔料インク」と、青色の「青色顔料インク」とを備えた場合について、中心的に説明する。
[主インク(カラーフィルター用インク)]
本発明のカラーフィルター用インクセットは、少なくとも1種の主インクを備えている。本実施形態では、主インクは、顔料を含む顔料インクである。カラーフィルター用インクセットを構成する顔料インク(主インク)は、少なくとも、顔料と、当該顔料を分散する機能を有する分散媒とを含むものである。
<顔料>
顔料インクを構成する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2,3,5,17,22,23,38,81,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,52:1,53:1,57:1,63:1,112,122,144,146,149,166,170,176,177,178,179,185,202,207,209,254,101,102,105,106,108,108:1、C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50、C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,80、C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,55,73,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,129,138,139,150,151,153,154,168,184,185,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,157、C.I.ピグメントバイオレット1,3,19,23,50,14,16、C.I.ピグメントオレンジ5,13,16,36,43,20,20:1,104、C.I.ピグメントブラウン25,7,11,33等が挙げられる。
また、顔料としては、上記のような材料で構成された粉末に、例えば、親液化処理(後述する分散媒に対する親和性を向上させる処理)等の表面処理を施したものを用いてもよい。これにより、例えば、顔料インク(カラーフィルター用インク)中における顔料粒子の分散性、分散安定性を特に優れたものとすることができる。顔料に対する表面処理としては、例えば、顔料粒子表面をポリマーで改質する処理等が挙げられる。顔料の粒子表面を改質するポリマーとしては、例えば、特開平8−259876号公報等に記載されたポリマーや、市販の各種の顔料分散用のポリマーまたはオリゴマー等が挙げられる。
また、顔料としては、例えば、上記から選択される2種以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
顔料インク(カラーフィルター用インク)中における顔料の平均粒径は、20〜200nmであるのが好ましく、30〜180nmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの耐光性を十分に優れたものとしつつ、顔料インク中における顔料の分散安定性や、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることができる。また、例えば、後述するようなカラーフィルターの製造時において、顔料インク(主インク)と染料インク(調色インク)とを混合した際に混合液の粘度を効果的に上昇させることができ、形成される着色部の不本意な変形等をより効果的に防止することができる。
顔料インク中における顔料の含有率は、3.0〜15wt%であるのが好ましく、4.0〜10wt%であるのがより好ましい。顔料の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。また、例えば、後述するようなカラーフィルターの製造時において、顔料インク(主インク)と染料インク(調色インク)とを混合した際に混合液の粘度を効果的に上昇させることができ、形成される着色部の不本意な変形等をより効果的に防止することができる。
<分散媒(液性媒体)>
分散媒は、上述したような顔料を、分散する機能を有するものである。そして、通常、分散媒は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
分散媒の常圧(1気圧)における沸点は、180〜300℃であるのが好ましく、190〜280℃であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルターの製造時において、液滴吐出ヘッドの目詰まりが発生するのを確実に防止しつつ、生産性良く着色部を形成することができる。
顔料インクを構成する分散媒としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、(1)多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、(2)多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、(3)分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、(4)多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。分散媒として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、メチルプロピレントリグリコール、ブトキシプロパノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、顔料インクを構成する分散媒としては、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、および、1,3−ブチレングリコールジアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、工業用途(産業用)に求められる長期安定吐出性を、特に優れたものとすることができる。
また、分散媒は、後述する染料インク(調色インク)の溶媒と相溶しあうものであってもよいし、相溶しないものであってもよい。分散媒が、後述する染料インクの溶媒と相溶しあうものであると、顔料インク(主インク)および染料インク(調色インク)を用いて形成される着色部を、セル内での顔料(第1の着色剤)、染料(第2の着色剤)の分布がより均一なものとすることができる。また、分散媒が、後述する染料インク(調色インク)の溶媒と相溶しないものであると、カラーフィルターの着色部を、主として顔料インクの固形分(主インク)で構成された層と、主として染料インク(調色インク)の固形分で構成された層との積層構造を有するものとして形成することができる。
顔料インクを構成する分散媒の25℃における粘度は、特に限定されないが、0.9〜4.0mPa・sであるのが好ましく、1.5〜3.8mPa・sであるのがより好ましい。なお、本発明において、粘度の値としては、振動式粘度計を用いて25℃で測定して求められる値を採用することができ、特に、JIS Z8809に準拠して25℃で測定して求められる値を採用することができる。
顔料インクを構成する分散媒の大気圧下における沸点は、180〜300℃であるのが好ましく、190〜280℃であるのがより好ましい。これにより、顔料インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、顔料インクを構成する分散媒の25℃における蒸気圧は、0.10mmHg以下であるのが好ましく、0.04mmHg以下であるのがより好ましい。これにより、顔料インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
顔料インク中における分散媒の含有率は、60〜94wt%であるのが好ましく、75〜92wt%であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。
なお、カラーフィルター用インクセットを構成する各顔料インクで、分散媒の種類、含有率等の条件は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
<分散剤>
顔料インク中には、分散剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、顔料インクが、分散性の低い顔料を含む場合等であっても、顔料の分散安定性を優れたものとすることができ、顔料インクの保存安定性を優れたものとすることができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類等のほか、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、Disperbyk(ビックケミー・ジャパン(株)製)、ソルスパース3000,5000,11200,12000,13240,13650,13940,16000,17000,18000,20000,21000,22000,24000SC,24000GR(日本ルブリゾール(株)製)等が挙げられる。
また、分散剤としては、例えば、シアメリド環を有する化合物を用いることができる。このような化合物を分散剤として用いることにより、顔料インク中における顔料の分散性を特に優れたものとすることができるとともに、顔料インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、分散剤としては、例えば、下記式(I)および下記式(II)で表される部分構造を有する化合物を用いることができる。このような化合物を分散剤として用いることにより、顔料インク中における顔料の分散性を特に優れたものとすることができるとともに、顔料インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
Figure 2008233276
(式中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表すか、R、R及びRのうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成する。Rは水素原子又はメチル基を表す。Xは2価の連結基を表し、Yは対アニオンを表す。)
Figure 2008233276
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)
顔料インク中における分散剤の含有率は、0.1〜5.0wt%であるのが好ましい。
なお、カラーフィルター用インクセットを構成する各顔料インクで、分散剤の種類、含有率等の条件は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
<樹脂材料>
顔料インクは、樹脂材料(バインダー樹脂)を含むものであってもよい。これにより、製造されるカラーフィルターにおいて、着色層を基板との密着性に優れたものとすることができ、カラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
顔料インクを構成する樹脂材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等、いかなる樹脂材料を用いてもよいが、エポキシ系樹脂であるのが好ましい。エポキシ系樹脂は、透明性が高く、硬度が高いものであるとともに、熱収縮量が小さい。このため、着色部の基板への密着性を特に優れたものとすることができる。また、顔料インクを構成する樹脂材料としては、エポキシ系樹脂の中でも、特に、シリルアセテート構造(SiOCOCH)と、エポキシ構造とを有するエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。これにより、インクジェット方式による液滴吐出を好適に行うことができるとともに、着色層と基板との密着性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、樹脂材料は、顔料インク中に含まれていなくてもよい。このような場合であっても、例えば、後に詳述する染料インク(調色インク)が樹脂材料を含むものであると、製造されるカラーフィルターにおいて、着色層を基板との密着性に優れたものとすることができ、カラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、顔料インクの粘度を低下させ、液滴吐出性を特に優れたものとすることができたり、顔料インクのロット間での粘度のばらつきを抑制したり、顔料インク中における顔料の含有率を高くしても顔料インクの粘度を適正な値とすることができる等の効果が得られる。
また、顔料インクが、その構成材料として樹脂材料を含むものであっても、顔料インク中における樹脂材料の含有率を、後に詳述する染料インク(調色インク)中における樹脂材料の含有率よりも、低いものとすることができる。このような場合であっても、上記のような効果が得られる。また、顔料インク(主インク)中における樹脂材料の含有率を、後に詳述する染料インク(調色インク)中における樹脂材料の含有率よりも、低いものとする(顔料インク中に樹脂材料を含まず、かつ、染料インク中に樹脂材料を含む場合を含む)ことにより、顔料インクと染料インクとの粘度差をより小さいものとすることができる。その結果、各インクでの吐出性を安定化させる(例えば、吐出量のばらつきを抑制する)ことができ、製造されるカラーフィルターの信頼性を特に優れたものとすることができる。
顔料インクが樹脂材料を含むものである場合、顔料インク中における樹脂材料の含有率は、特に限定されないが、0.8〜7.5wt%であるのが好ましく、1.0〜6.0wt%であるのがより好ましい。樹脂材料の含有率が前記範囲内の値であると、インクの粘度上昇を抑制しつつ塗膜強度(着色部の物理的強度)を優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。これに対し、樹脂材料の含有率が低すぎると、顔料インクの吐出性が低下したり、染料インク中の樹脂材料の含有率等によっては、形成される着色部の硬度が低下し製造されるカラーフィルターの耐久性が低下する可能性がある。一方、樹脂材料の含有率が高すぎると、十分な耐熱性を確保するのが困難となり、その結果、色変化が大きくなる可能性がある。
なお、カラーフィルター用インクセットを構成する各顔料インクで、樹脂材料の種類、含有率等の条件は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
<その他の成分>
顔料インクは、必要に応じて、種々の他の成分を含むものであってもよい。このような成分(他の添加剤)としては、例えば、各種架橋剤;各種重合開始剤;銅フタロシアニン誘導体等の青色顔料誘導体や黄色顔料誘導体等の分散助剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の高分子化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、グリセリン等のインクジェット吐出性能安定化剤;以下商品名で、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F172、同F173、同F178K(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子(株)製)、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社油脂化学工業(株)製)等の界面活性剤等が挙げられる。
また、顔料インクは、熱酸発生剤や酸架橋剤を含有するものであってもよい。前記熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、その例としては、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩等が挙げられ、特に、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。
顔料インクの25℃における粘度は、特に限定されないが、4.0〜15.0mPa・sであるのが好ましく、5.0〜10.0mPa・sであるのがより好ましい。これにより、顔料インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止しつつ、均一な大きさの液滴を安定的に吐出することができる。その結果、信頼性に優れたカラーフィルターを生産性よく製造することができる。
[調色インク(カラーフィルター用インク)]
本発明のカラーフィルター用インクセットは、少なくとも1種の調色インクを備えている。本実施形態では、調色インクは、染料を含む染料インクである。カラーフィルター用インクセットを構成する染料インク(調色インク)は、少なくとも、染料と、当該染料を溶解する機能を有する溶媒とを含むものである。
<染料>
染料インクを構成する染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247、C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185、C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、上記から選択される2種以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
染料インク(調色インク)の色調は、含まれる染料(第2の着色剤)に依存する。
染料インク(調色インク)の色調は、対応する顔料インク、すなわち、同一セル内に付与される顔料インク(主インク)の色調に応じて決められる。
赤色顔料インク(赤色主インク)に対応する染料インク(調色インク)の色調は、特に限定されないが、黄色系、赤色系とすることができる。赤色顔料インク(赤色主インク)に対応する染料インク(調色インク)の色調を黄色系とすることにより、調色性を非常に優れたものとしつつ、透過率、色再現性も非常に優れたものとすることができる。カラーフィルターの色再現範囲をより広いものとすることができる。また、赤色顔料インク(赤色主インク)に対応する染料インク(調色インク)の色調を赤色系とすることにより、形成される着色部の色調を、より着色濃度の濃い赤色としたり、単独の着色剤では表現することが困難な色調の赤色を好適に表現することができる。
また、緑色顔料インク(緑色主インク)に対応する染料インク(調色インク)の色調は、特に限定されないが、黄色系、緑色系とすることができる。緑色顔料インク(緑色主インク)に対応する染料インク(調色インク)の色調を黄色系とすることにより、調色性を非常に優れたものとしつつ、透過率、色再現性も非常に優れたものとすることができる。また、緑色顔料インク(緑色主インク)に対応する染料インク(調色インク)の色調を緑色系とすることにより、形成される着色部の色調を、より着色濃度の濃い緑色としたり、単独の着色剤では表現することが困難な色調の緑色を好適に表現することができる。
また、青色顔料インク(青色主インク)に対応する染料インク(調色インク)の色調は、特に限定されないが、紫色系、青色系とすることができる。青色顔料インク(青色主インク)に対応する染料インク(調色インク)の色調を紫色系とすることにより、調色性を非常に優れたものとしつつ、透過率、色再現性も非常に優れたものとすることができる。また、青色顔料インク(青色主インク)に対応する染料インク(調色インク)の色調を青色系とすることにより、形成される着色部の色調を、より着色濃度の濃い青色としたり、単独の着色剤では表現することが困難な色調の青色を好適に表現することができる。
染料インク中における染料の含有率は、0.05〜10.0wt%であるのが好ましく、0.10〜8.0wt%であるのがより好ましい。染料の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。また、例えば、後述するようなカラーフィルターの製造時において、顔料インク(主インク)と染料インク(調色インク)とを混合した際に混合液の粘度を効果的に上昇させることができ、形成される着色部の不本意な変形等をより効果的に防止することができる。
<溶媒(液性媒体)>
溶媒は、上述したような染料を、溶解する機能を有するものである。そして、通常、溶媒は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
溶媒の常圧(1気圧)における沸点は、180〜300℃であるのが好ましく、190〜280℃であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルターの製造時において、液滴吐出ヘッドの目詰まりが発生するのを確実に防止しつつ、生産性良く着色部を形成することができる。
染料インクを構成する溶媒としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、(1)多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、(2)多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、(3)分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、(4)多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。溶媒として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、メチルプロピレントリグリコール、ブトキシプロパノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、染料インクを構成する溶媒としては、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、および、1,3−ブチレングリコールジアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、工業用途(産業用)に求められる長期安定吐出性を、特に優れたものとすることができる。また、前述した顔料インクの分散媒と染料インクの溶媒とが、いずれも、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、および、1,3−ブチレングリコールジアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであると、顔料インクと染料インクとの相溶性(親和性)が優れたものとなり、顔料インクおよび染料インクを用いて形成される着色部を、セル内での顔料、染料の分布がより均一なものとすることができる。
また、溶媒は、前述した顔料インク(主インク)の分散媒と相溶しあうものであってもよいし、相溶しないものであってもよい。溶媒が、前述した顔料インクの分散媒と相溶しあうものであると、顔料インク(主インク)および染料インク(調色インク)を用いて形成される着色部を、セル内での顔料(第1の着色剤)、染料(第2の着色剤)の分布がより均一なものとすることができる。また、溶媒が、前述した顔料インク(主インク)の分散媒と相溶しないものであると、カラーフィルターの着色部を、主として顔料インクの固形分(主インク)で構成された層と、主として染料インク(調色インク)の固形分で構成された層との積層構造を有するものとして形成することができる。
また、染料インク(調色インク)を構成する溶媒は、同一セル内に液滴吐出される顔料インク(主インク)を構成する分散媒と同一の組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよい。染料インクを構成する溶媒は、同一セル内に液滴吐出される顔料インクを構成する分散媒と異なる組成を有するものである場合、例えば、溶媒と分散媒とが混合後に共沸混合物を形成するものであることにより、液滴吐出時においては、安定した液滴吐出性を確保しつつ(液滴吐出時における溶媒、分散媒(本発明では、これらを総称して「液状媒質」または「液性媒体」とも言う)の不本意な揮発等を防止しつつ)、後述するカラーフィルターの製造工程において、セル内に付与されたインクから、液状媒質(溶媒、分散媒)を速やかに除去することができ、また、液状媒質を除去する際の処理条件を温和なものとすることができる。その結果、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができ、また、基板等への悪影響の発生を効果的に防止することができる。
染料インクを構成する溶媒の25℃における粘度は、特に限定されないが、1.0〜3.4mPa・sであるのが好ましく、1.5〜3.2mPa・sであるのがより好ましい。
染料インクを構成する溶媒の大気圧下における沸点は、180〜300℃であるのが好ましく、190〜280℃であるのがより好ましい。これにより、染料インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
また、染料インクを構成する溶媒の25℃における蒸気圧は、0.10mmHg以下であるのが好ましく、0.04mmHg以下であるのがより好ましい。これにより、染料インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
染料インク中における溶媒の含有率は、60〜94wt%であるのが好ましく、75〜92wt%であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。
なお、カラーフィルター用インクセットを構成する各染料インクで、溶媒の種類、含有率等の条件は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
<樹脂材料>
染料インクは、樹脂材料(バインダー樹脂)を含むものであってもよい。これにより、製造されるカラーフィルターにおいて、着色層を基板との密着性に優れたものとすることができ、カラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。
また、染料インク(調色インク)中に樹脂材料が含まれることにより、上述した顔料インク(主インク)が樹脂材料を含まないものであっても、製造されるカラーフィルターにおいて、着色層と基板との密着性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。これは、以下のように考えられる。すなわち、カラーフィルターの製造において、顔料インク(主インク)をセル内に付与した後に、同一セル内に樹脂材料を含む染料インク(調色)を付与することにより、形成される着色部において、染料インク(調色インク)に含まれる樹脂材料が、その表面付近を覆うような状態となる。以上のようなことから、染料インク(調色インク)中に樹脂材料が含まれることにより、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができるものと考えられる。また、上記のように、染料インク(調色インク)中に樹脂材料が含まれることにより、顔料インク中に顔料インク(主インク)中における樹脂材料の含有率を、染料インク(調色インク)中における樹脂材料の含有率よりも、低いものとする(顔料インク中に樹脂材料を含まず、かつ、染料インク中に樹脂材料を含む場合を含む)ことができるため、分散系としての顔料インク中に、樹脂材料を含むことにより発生しうる問題(例えば、粘度増加による液滴の吐出不良等)の問題を確実に防止することができる。
染料インクを構成する樹脂材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等、いかなる樹脂材料を用いてもよいが、エポキシ系樹脂であるのが好ましい。エポキシ系樹脂は、透明性が高く、硬度が高いものであるとともに、熱収縮量が小さい。このため、着色部の基板への密着性を特に優れたものとすることができる。また、染料インクを構成する樹脂材料としては、エポキシ系樹脂の中でも、特に、シリルアセテート構造(SiOCOCH)と、エポキシ構造とを有するエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。これにより、インクジェット方式による液滴吐出を好適に行うことができるとともに、着色層と基板との密着性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
染料インク中における樹脂材料の含有率は、1.0〜9.0wt%であるのが好ましく、1.5〜8.0wt%であるのがより好ましい。樹脂材料の含有率が前記範囲内の値であると、インクの粘度上昇を抑制しつつ塗膜強度(着色部の物理的強度)を優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用の液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。これに対し、樹脂材料の含有率が低すぎると、染料インクの吐出性が低下したり、顔料インク中の樹脂材料の含有率等によっては、形成される着色部の硬度が低下し製造されるカラーフィルターの耐久性が低下する可能性がある。一方、樹脂材料の含有率が高すぎると、十分な耐熱性を確保するのが困難となり、その結果、色変化が大きくなる可能性がある。
なお、カラーフィルター用インクセットを構成する各染料インクで、樹脂材料の種類、含有率等の条件は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
<その他の成分>
染料インクは、必要に応じて、種々の他の成分を含むものであってもよい。このような成分(他の添加剤)としては、例えば、各種架橋剤;各種重合開始剤;各種溶解補助剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の高分子化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、グリセリン等のインクジェット吐出性能安定化剤;以下商品名で、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F172、同F173、同F178K(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子(株)製)、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社油脂化学工業(株)製)等の界面活性剤等が挙げられる。
また、染料インクは、熱酸発生剤や酸架橋剤を含有するものであってもよい。前記熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、その例としては、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩等が挙げられ、特に、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。
染料インクの25℃における粘度は、特に限定されないが、2.0〜12.0mPa・sであるのが好ましく、3.0〜9.0mPa・sであるのがより好ましい。これにより、染料インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止しつつ、均一な大きさの液滴を安定的に吐出することができる。その結果、信頼性に優れたカラーフィルターを生産性よく製造することができる。
カラーフィルターの製造時において、基板の同一セル内に吐出される主インク(顔料インク)と調色インク(染料インク)とについて、以下のような条件を満足するのが好ましい。すなわち、主インク(顔料インク)中に含まれる第1の着色剤(顔料)の含有率をCPI[wt%]、調色インク(染料インク)中に含まれる第2の着色剤(染料)の含有率をCDI[wt%]としたとき、0.1≦CDI/CPI≦1.5の関係を満足するのが好ましく、0.2≦CDI/CPI≦1.3の関係を満足するのがより好ましい。このような条件を満足することにより、製造されるカラーフィルターにおいて、より広い色再現域、より高いコントラストを実現することができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクセットを用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる色調の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。なお、第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色調のものであればよいが、以下の説明では、第1の着色部12Aが赤色顔料インク(赤色主インク)およびそれに対応する染料インク(調色インク)を用いて形成され、第2の着色部12Bが青色顔料インク(青色主インク)およびそれに対応する染料インク(調色インク)を用いて形成され、第3の着色部12Cが緑色顔料インク(緑色主インク)およびそれに対応する染料インク(調色インク)を用いて形成された場合について、中心的に説明する。
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて形成されたものである。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
各着色部12(第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12C)は、上述したようなカラーフィルター用インクセットを用いて形成されたものである。すなわち、顔料インク(主インク)とそれに対応する染料インク(調色インク)とが同一のセル14内に付与されることにより形成された着色部12を有している。このため、各色間、各画素間での特性のばらつきが小さい。また、色再現域が十分に広く、また、色むら、濃度むら等の発生が抑制され、信頼性が高いものとなっている。
同一のセル14内に顔料(第1の着色剤)と染料(第2の着色剤)とを含む着色部12における、顔料の含有率をCPC[wt%]、染料の含有率をCDC[wt%]としたとき、0.05≦CDC/CPC≦0.90の関係を満足するのが好ましく、0.10≦CDC/CPC≦0.80の関係を満足するのがより好ましい。このような条件を満足することにより、より広い色再現域、より高いコントラストを実現することができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚よりも大きいものであるのが好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3.5μmであるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
《カラーフィルターの製造方法》
次に、カラーフィルター1の製造方法について説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明のカラーフィルターの製造方法の第1実施形態について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法の第1実施形態を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
図2に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によりカラーフィルター用インク2としての顔料インク(主インク)21を隔壁13で囲まれた領域(セル14内)に付与する顔料インク付与工程(1d)と、顔料インク21が付与されたセル14内にインクジェット方式によりカラーフィルター用インク2としての染料インク(調色インク)22を付与する染料インク付与工程(1e)と、セル14内に付与されたカラーフィルター用インク2(顔料インク21、染料インク22)から液状媒質(溶媒および分散媒)を除去し、固形状の着色部12とする液状媒質除去工程(1f)とを有している。
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:30〜600秒、放射線照射強度:1〜500mJ/cmという条件で行うことができる。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うことができ、現像処理時間は、例えば、10〜300秒とすることができる。また、現像処理の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、加熱温度:150〜280℃、加熱時間:3〜120分という条件で行うことができる。
<顔料インク付与工程(主インク付与工程)>
次に、インクジェット方式により、上述したカラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インク2としての顔料インク21を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種の顔料インク21を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、隣接するセル14間で、2種以上の顔料インク21が混ざり合うことが確実に防止される。
顔料インク21(カラーフィルター用インク2)の吐出は、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、顔料インク21(カラーフィルター用インク2)を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101から顔料インク21(カラーフィルター用インク2)が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれに顔料インク21(カラーフィルター用インク2)が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、顔料インク21(カラーフィルター用インク2)を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、顔料インク21(カラーフィルター用インク2)を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
図4に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設けられた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
図5に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値は、特に限定されないが、例えば、50〜90μmとすることができる。ここで、「液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114におけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像間のピッチに相当する。
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定されないが、100〜180μmとすることができる。
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッド114が含むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそれぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にずれている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
さて、本実施形態では、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」として設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からは顔料インク21(カラーフィルター用インク2)が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル118のうち、160個のノズル118が顔料インク21(カラーフィルター用インク2)を吐出するノズルとして機能する。
図4に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド114がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なるように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基板11のX軸方向の寸法分の長さに渡り、顔料インク21(カラーフィルター用インク2)を吐出するノズル118が前記ノズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図6(a)および(b)に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク101から孔131を介して供給される顔料インク21(カラーフィルター用インク2)が常に充填される液たまり129が位置している。
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129から顔料インク21(カラーフィルター用インク2)が供給される。
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118から顔料インク21(カラーフィルター用インク2)が吐出される。なお、ノズル118からZ軸方向に顔料インク21(カラーフィルター用インク2)が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
制御手段112(図3参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出される顔料インク21(カラーフィルター用インク2)の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御されてもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する顔料インク21(カラーフィルター用インク2)を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的に顔料インク21(カラーフィルター用インク2)を付与することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、顔料インク21(カラーフィルター用インク2)を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色の顔料インク21(カラーフィルター用インク2)に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
<染料インク付与工程(調色インク付与工程)>
次に、顔料インク21が付与されたセル14内に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2としての染料インク22を付与する(1e)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種の染料インク22を用いて行う。この際、染料インク22が付与されるセル14内には、それぞれ、対応する色の顔料インク21が付与されている。すなわち、本工程では、赤色顔料インク21が付与されているセル14内に赤色顔料インク(主インク)21に対応する染料インク(補色インク)22を付与し、緑色顔料インク(主インク)21が付与されているセル14内に緑色顔料インク(主インク)21に対応する染料インク(補色インク)22を付与し、青色顔料インク(主インク)21が付与されているセル14内に青色顔料インク(主インク)21に対応する染料インク(補色インク)22を付与する。これにより、同一のセル14内に顔料(第1の着色剤)と染料(第2の着色剤)とが併存することとなり、最終的に得られるカラーフィルター1の色再現域を広いものとすることができる。また、得られるカラーフィルター1を、耐久性に優れ、かつ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができるものとすることができる。また、顔料(第1の着色剤)と染料(第2の着色剤)とを含む着色部の形成を、顔料インク(主インク)と染料インク(調色インク)とを用いて行うため、単一のインク中に顔料(第1の着色剤)と染料(第1の着色剤)とを含む場合において発生する不都合、例えば、インクの粘度が高いものとなることによる液滴吐出性の不安定化(液滴吐出量の不均一化等)による、得られるカラーフィルターにおける各色間、各画素間での特性のばらつき(例えば、色むら、濃度むら等)が、効果的に防止される。
また、本実施形態では、染料インク22が付与されるセル14内には、分散媒を含む顔料インク21が存在している。このため、染料インク22を付与する際に、セル14内において、顔料インク21と染料インク22とを好適に混合させることができる。その結果、各セル14内での顔料(第1の着色剤)、染料(第2の着色剤)の分布を均一なものとすることができ、色むらの発生等を効果的に抑制することができる。また、セル14内において、顔料インク21と染料インク22とが混合することにより、セル14内の液体(顔料インク21と染料インク22との混合液)の粘度が高くなり、形状の安定性が向上する。その結果、カラーフィルター1の製造時における着色部12の不本位な変形等を効果的に防止することができるため、製造されるカラーフィルター1の信頼性を特に優れたものとすることができる。上記のような効果は、顔料インクを構成する分散媒、染料インクを構成する溶媒として、前述したような材料を用いた場合により顕著に発揮される。顔料インクを構成する分散媒、染料インクを構成する溶媒として、前述したような材料を用いた場合、セル14内において、顔料インク21と染料インク22との混合を速やかに進行させることができ、各セル14内での顔料(第1の着色剤)、染料(第2の着色剤)の分布をより均一なものとすることができるとともに、顔料インク21および染料インク22が付与されたセル14内において、カラーフィルター用インク2(顔料インク21と染料インク22との混合液)の液面を、より平坦なものとすることができる。その結果、最終的に得られるカラーフィルター1において、色むらの発生等をより効果的に抑制することができるとともに、視野角特性を優れたものとすることができる。
また、隔壁13が設けられているため、隣接するセル14間で、2種以上の染料インク22が混ざり合うことが確実に防止される。すなわち、本工程では、不本意な混色を防止しつつ、目的とする混色(顔料インク(主インク)21と染料インク(調色インク)22との混色)を好適に行うことができる。
染料インク22(カラーフィルター用インク2)の吐出は、上述した顔料インク21の吐出と同様にして行うことができる。
<液状媒質除去工程>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2(顔料インク21、染料インク22)から液状媒質(分散媒および溶媒)を除去し、固形状の着色部12とする(1f)。これにより、カラーフィルター1が得られる。また、本工程においては、必要に応じて、樹脂材料を架橋成分等と反応させてもよい。液状媒質(液性媒体)の除去は、例えば、加熱により行うことができる。また、この際、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を、減圧環境下に置いてもよい。これにより、基板11等への悪影響の発生を防止しつつ、液状媒質の除去をより効率よく進行させることができる。また、本工程においては、紫外線や電子線、もしくは放射線等のエネルギー照射を行ってもよい。これにより、樹脂材料の架橋成分等との反応を効率よく進行させることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明のカラーフィルターの製造方法の第2実施形態について説明する。以下、本実施形態の製造方法について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図7は、カラーフィルターの製造方法の第2実施形態を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(2a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(2b、2c)と、インクジェット方式によりカラーフィルター用インク2としての顔料インク21を隔壁13で囲まれた領域(セル14内)に付与する顔料インク付与工程(2d)と、セル14内に付与された顔料インク21から分散媒を除去する分散媒除去工程(2e)と、顔料インク21が付与されたセル14内にインクジェット方式によりカラーフィルター用インク2としての染料インク22を付与する染料インク付与工程(2f)と、セル14内に付与された染料インク22から溶媒を除去し、固形状の着色部12とする溶媒除去工程(2g)とを有している。すなわち、本実施形態の製造方法は、顔料インク付与工程の後に、セル14内に付与された顔料インク21から分散媒を除去した後に、染料インク付与工程を行う以外は、前述した第1実施形態と同様である。このような製造方法を用いることにより、耐久性に優れ、かつ、コントラストに優れた画像の表示を行うことができるカラーフィルターを得ることができる。また、このような工程を経てカラーフィルターを製造することにより、染料インク22は、顔料インク21により形成された固形物211上に付与されることとなる。その結果、例えば、着色部12を、主として顔料インク21の固形分で構成された固形物211からなる層と、主として染料インク22の固形分で構成された固形物221からなる層との積層構造を有するものとして形成することができる。
なお、本工程での分散媒除去工程、溶媒除去工程は、前述した第1実施形態での液状媒質除去工程と同様にして行うことができる。
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図8は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12に対向するように設けられた基板(対向基板)62と、カラーフィルター1と基板62との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層61と、カラーフィルター1の基板11の図8中下側に設けられた偏光板63と、基板62の図8中上側に設けられた偏光板64とを有している。基板62は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えばガラス基板である。
また、液晶表示装置60は、マトリクス状に配置され、可視光に対して光透過性を有する複数の画素電極と、各画素電極に対応する複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)と、可視光に対して光透過性を有する共通電極とを有している(いずれも図示せず)。
そして、この液晶表示装置60は、図示しないバックライトから発せられた光が、カラーフィルター1側(図8中下側)から入射するようになっている。そして、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、反対の面側から出射する。
上述したように、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インクセットを用いて形成されたものであるため、コントラストに優れた画像の表示を、長期間にわたって安定的に行うことができる。また、各色間、各画素間での特性のばらつきが抑制されたものであるため、液晶表示装置60において、色再現域が十分に広く、また、色むら、濃度むら等が抑制された画像を安定的に表示することができる。
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図9は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図10は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図11は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルターを適用した場合、色再現範囲を広いものとしようとすると、色むら、濃度むら等の問題を特に生じやすかったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、前述した実施形態では、カラーフィルター用のインクセットが、光の三原色に対応する3種(3色)の主インクを備える場合について中心的に説明したが、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明のカラーフィルター用インクセットは、4種以上の主インクを備えるものであってもよい。また、カラーフィルター用インクセットを構成する調色インクについても、その数などは限定されるものではなく、また、1種の調色インクを、複数種の主インクと組み合わせて用てもよい。
また、前述した実施形態では、主インクが第1の着色剤として顔料を含む顔料インクであり、調色インクが第2の着色剤として染料を含む染料インクである例について説明したが、主インクと調色インクとの組み合わせは、上記のようなものに限定されるものではなく、例えば、主インクが顔料インクであり、かつ、調色インクが(主インクとは異なる)顔料インクである組み合わせや、主インクが染料インクであり、かつ、調色インクが(主インクとは異なる)染料インクである組み合わせ、主インクが染料インクであり、かつ、調色インクが顔料インクである組み合わせなどであってもよい。また、1種の主インクに対して、2種以上の調色インクを組み合わせて用いてもよい。また、前述した実施形態では、主インクを吐出した後に、当該主インクが吐出されたセル内に調色インクを吐出するものとして説明したが、調色インクを吐出した後に、当該調色インクが吐出されたセル内に主インクを吐出してもよい。
また、本発明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
[1]カラーフィルター用インクセットの調製
(実施例1)
<赤色顔料インク(主インク)の調製>
まず、樹脂材料としての樹脂aを以下のようにして合成した。
四つ口フラスコに、n−ヘキサン:320重量部、メタアクリル酸:86重量部、トリエチルアミン:111重量部を投入した後、この四つ口フラスコに、温度計、還流冷却器、撹拌機および窒素ガス導入口を取り付けた。この四つ口フラスコを、氷水で冷却しつつ、トリメチルクロルシラン:120重量部を滴下した。この際、反応系内の温度が25℃以下となるようにした。その後、25℃で1時間反応を続けた。次に、トリエチルアミンの塩酸塩を濾別し、得られたろ液から減圧下でn−ヘキサンを除去した後、減圧蒸留にて精製し、シリルアセテート構造を有するエチレン性不飽和単量体を得た。
次に、温度計、還流冷却器、撹拌機および窒素ガス導入口が取り付けられ、溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:100重量部を仕込んだ四つ口フラスコを用意した。この四つ口フラスコ内のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを攪拌しつつ60℃まで昇温した後、上記エチレン性不飽和単量体:27重量部と、メタアクリル酸グリシジル:30重量部と、スチレン:38重量部と、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル):6重量部との混合物を1時間かけて滴下した。滴下後60℃にて1時間保持した後、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル):0.08重量部を加え、さらに60℃で6時間反応させ、その後、未反応のモノマーを減圧処理により除去することにより、シリルアセテート構造とエポキシ構造とを有するエポキシ系樹脂としての樹脂aの溶液を得た。
一方、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(液性媒体)を用意し、これに、分散剤としてのDisperbyk−161(ビックケミー・ジャパン社製、シアメリド環を有する化合物)と、顔料(第1の着色剤)としてのC.I.ピグメントレッド254とを添加した。その後、ビーズミル(ジルコニアビーズ:0.65mm使用)へ導入し、顔料の粉砕を行い、顔料分散液を得た。
その後、上記樹脂aの溶液と、顔料分散液とを混合することにより、赤色顔料インク(RPインク)を調製した。RPインク中におけるC.I.ピグメントレッド254の平均粒径は、160nmであった。
<緑色顔料インク(主インク)の調製>
顔料(第1の着色剤)としてC.I.ピグメントレッド254の代わりにC.I.ピグメントグリーン36を用いるとともに、各成分の配合比率を変更した以外は、RPインクと同様にして緑色顔料インク(GPインク)を調製した。GPインク中におけるC.I.ピグメントグリーン36の平均粒径は、160nmであった。
<青色顔料インク(主インク)の調製>
顔料(第1の着色剤)としてC.I.ピグメントレッド254の代わりにC.I.ピグメントブルー15:6を用いるとともに、各成分の配合比率を変更した以外は、RPインクと同様にして青色顔料インク(BPインク)を調製した。BPインク中におけるC.I.ピグメントブルー15:6の平均粒径は、160nmであった。
<黄色染料インク(調色インク)の調製>
上記樹脂aの溶液と、染料(第2の着色剤)としてのC.I.アシッドイエロー23と、溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとを、所定の比率で混合することにより、黄色の黄色染料インク(YDインク)を調製した。
<紫色染料インク(調色インク)の調製>
染料としてC.I.アシッドイエロー23の代わりにC.I.アシッドブルー9と、C.I.アシッドレッド35とを用いるとともに、各成分の配合比率を変更した以外は、YDインクと同様にして紫色の紫色染料インク(VDインク)を調製した。
これにより、上記のような5種のインク(3種の主インク(顔料インク)および2種の調色インク(染料インク))からなるカラーフィルター用インクセットが得られた。
(実施例2〜8)
各インクの調製に用いる着色剤(顔料および染料)、液性媒体(分散媒および溶媒)の種類を表に示すようにするとともに、各成分の使用量を表に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして各色のカラーフィルター用インクを調製し、カラーフィルター用インクセットを得た。
上記のようにして調製した実施例1〜8のカラーフィルター用インクセットにおいては、同一のセル内に吐出して用いられる顔料インクと染料インクとについて、顔料インクの分散媒と、染料インクの溶媒とは、相溶しあうものであった。
(比較例1)
染料インクを調製することなく、3種の顔料インクのみを調製した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インクセットを得た。すなわち、比較例1のインクセットは、RPインク、GPインクおよびBPインクの3種のインクからなるものである。
(比較例2)
各顔料インクの調製に用いる各成分の使用量を変更することにより、各色のインク中における顔料の含有率を、表に示すように高くした以外は、前記比較例1と同様にしてカラーフィルター用インクセットを得た。
(比較例3)
<赤色インク(顔料+染料インク)の調製>
まず、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(液性媒体)を用意し、これに、所定量の、分散剤としてのDisperbyk−161(ビックケミー・ジャパン社製、シアメリド環を有する化合物)と、顔料としてのC.I.ピグメントレッド254とを添加した。その後、ビーズミル(ジルコニアビーズ:0.65mm使用)へ導入し、顔料の粉砕を行い、顔料分散液を得た。
その後、上記樹脂aの溶液と、染料としてのC.I.アシッドイエロー23をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートに溶解させた染料溶液と、顔料分散液とを混合することにより、赤色インク(Rインク)を調製した。
<緑色インク(顔料+染料インク)の調製>
顔料としてC.I.ピグメントレッド254の代わりにC.I.ピグメントグリーン36を用いるとともに、各成分の配合比率を変更した以外は、Rインクと同様にして緑色インク(Gインク)を調製した。
<青色インク(顔料+染料インク)の調製>
顔料としてC.I.ピグメントレッド254の代わりにC.I.ピグメントブルー15:6を用い、染料としてC.I.アシッドイエロー23の代わりにC.I.アシッドレッド35とC.I.アシッドブルー9とを用いるとともに、各成分の配合比率を変更した以外は、Rインクと同様にして青色インク(Bインク)を調製した。
これにより、上記のような3種のインクからなるカラーフィルター用インクセットが得られた。すなわち、比較例3のインクセットを構成する各インクは、単一のインク中に顔料および染料を含むものである。
(比較例4)
青色インクを構成する染料として、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドレッド35の代わりにC.I.アシッドバイオレット48を用いるとともに、各インクの調製に用いる各成分の使用量を変更することにより、各色のインク中における、顔料および染料の含有率を、表に示すように低くした以外は、前記比較例3と同様にしてカラーフィルター用インクセットを得た。
前記各実施例および各比較例について、カラーフィルター用インクセットを構成するインクの組成・特性等を、表1、表2、表3にまとめて示した。なお、表中、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.アシッドイエロー23を「DY23」、C.I.アシッドレッド35を「DR35」、C.I.アシッドブルー9を「DB9」、C.I.アシッドバイオレット48を「DV48」、上記樹脂aを「a」、Disperbyk−161(分散剤)を「b」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「A」、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「B」、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを「C」、ビス(2−ブトキシエチル)エーテルを「D」、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンを「E」、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを「F」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「G」で示した。また、表中、「粘度」の欄には、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された25℃における粘度を示し、「沸点」の欄には、液性媒体の常圧(1気圧)における沸点を示し、「蒸気圧」の欄には、液性媒体の25℃における蒸気圧を示した。また、表中、後述するカラーフィルターの製造において基板の同一セル内に吐出される顔料インクと染料インクとについて(同色系の顔料インクと染料インクとについて)、顔料インク中に含まれる顔料の含有率をCPI[wt%]、染料インク中に含まれる染料の含有率をCDI[wt%]で示した。
Figure 2008233276
Figure 2008233276
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[2]液滴吐出の安定性評価(安定吐出性評価)
[2.1]着弾位置精度評価
図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および比較例1、2のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、10000発(10000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された10000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。なお、ズレ量dの平均値としては、カラーフィルター用インクセットを構成する全色のインク(実施例については5色のインク、比較例については3色のインク)について得られた値の平均値を採用した。また、比較例3、4については、インクがゲル化してしまい、インクジェットヘッドから液滴を吐出することができなかった。
A:ズレ量dの平均値が0.05μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.05μm以上0.10μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.10μm以上。
[2.2]液滴吐出量の安定性評価
図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および比較例1、2のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、10000発(10000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。なお、ΔW/Wの値としては、カラーフィルター用インクセットを構成する全色のインク(実施例については5色のインク、比較例については3色のインク)について得られた値の平均値を採用した。また、比較例3、4については、インクがゲル化してしまい、インクジェットヘッドから液滴を吐出することができなかった。
A:ΔW/Wの値が、0.025未満。
B:ΔW/Wの値が、0.025以上0.625未満。
C:ΔW/Wの値が、0.625以上。
[2.3]間欠印字性能評価
図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および比較例1、2のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、1000発(1000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、30秒間、液滴の吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、滴々の吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルについて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W[ng]と、10シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W10[ng]とを求めた。そして、WとW10との差の絶対値の、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(|W−W10|/W)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。|W−W10|/Wの値が小さいほど、間欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。なお、|W−W10|/Wの値としては、カラーフィルター用インクセットを構成する全色のインク(実施例については5色のインク、比較例については3色のインク)について得られた値の平均値を採用した。また、比較例3、4については、インクがゲル化してしまい、インクジェットヘッドから液滴を吐出することができなかった。
A:|W−W10|/Wの値が、0.025未満。
B:|W−W10|/Wの値が、0.025以上0.625未満。
C:|W−W10|/Wの値が、0.625以上。
[2.4]連続吐出試験
図3〜図6に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および比較例1、2のカラーフィルター用インクセットを用意し、25℃、50%RH環境下で、液滴吐出装置を24時間、連続で運転させることにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生しているものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能であるか否かを調べた。その結果を、以下の4段階の基準に従い、評価した。なお、ノズルの目詰まりの発生率の値としては、カラーフィルター用インクセットを構成する全色のインク(実施例については5色のインク、比較例については3色のインク)について得られた値の平均値を採用した。また、比較例3、4については、インクがゲル化してしまい、インクジェットヘッドから液滴を吐出することができなかった。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%以上1.0%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.0%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
[3]カラーフィルターの製造
(第1の方法)
前記各実施例および比較例1で調製したカラーフィルター用インクセットを用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.1μmであった。
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、顔料インク(主インク)を吐出した。この際、各色のインク(顔料インク)が混色しないようにした。
その後、引き続いて、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、染料インク(調色インク)を吐出した。この際、RPインクが付与されたセル内にはYDインクを、GPインクが付与されたセル内にはYDインクを、BPインクが付与されたセル内にはVDインクを、それぞれ吐出した。また、この際、各色のインク(染料インク)が混色しないようにした。なお、染料インクを備えていない比較例1については、本工程を省略した。
その後、ホットプレート上にて100℃で10分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で1時間加熱処理を施すことにより、3色の着色部が形成された。これにより、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。なお、前記各実施例および比較例1について、各インクの吐出量は、形成される各色の着色部の厚さが、いずれも、1.60μmとなるように調整した。また、比較例3、4については、インクがゲル化してしまい、インクジェットヘッドから液滴を吐出することができず、カラーフィルターの製造に適用することができなかった。また、比較例2については、インクジェットヘッドからの安定的な液滴吐出ができず、カラーフィルターの製造に適用することができなかった。
上記のような方法を用いて、各実施例および比較例1のカラーフィルター用インクセットを用いて、それぞれ、1000枚のカラーフィルターを製造した。
(第2の方法)
前記各実施例および比較例1で調製したカラーフィルター用インクセットを用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、前述した(第1の方法)と同様にして、洗浄処理を施した基板に、隔壁を形成した。
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、顔料インク(主インク)を吐出した。この際、各色のインク(顔料インク)が混色しないようにした。
その後、ホットプレート上にて100℃で10分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で1時間加熱処理を施すことにより、顔料インクに含まれていた分散媒が除去され、顔料インクの固形分で構成された層が形成された。なお、染料インク(調色インク)を備えていない比較例1については、本工程の終了により、後述する工程を行うことなく、カラーフィルターを得た。
その後、引き続いて、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、染料インク(調色インク)を吐出した。この際、RPインクが付与されたセル内にはYDインクを、GPインクが付与されたセル内にはYDインクを、BPインクが付与されたセル内にはVDインクを、それぞれ吐出した。また、この際、各色のインク(染料インク)が混色しないようにした。
その後、ホットプレート上にて100℃で10分間の加熱処理を施し、さらに200℃のオーブン内で1時間加熱処理を施すことにより、染料インクに含まれていた溶媒が除去され、3色の着色部が形成された。これにより、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。なお、前記各実施例および比較例1について、各インクの吐出量は、形成される各色の着色部の厚さが、いずれも、1.60μmとなるように調整した。また、比較例3、4については、インクがゲル化してしまい、インクジェットヘッドから液滴を吐出することができず、カラーフィルターの製造に適用することができなかった。また、比較例2については、インクジェットヘッドからの安定的な液滴吐出ができず、カラーフィルターの製造に適用することができなかった。
上記のような方法を用いて、各実施例および比較例1のカラーフィルター用インクセットを用いて、それぞれ、1000枚のカラーフィルターを製造した。
前記実施例のカラーフィルター用インクセットを用いて、上記第1の方法、第2の方法により製造されたカラーフィルターは、いずれも、各色の着色部における、顔料の含有率をCPC[wt%]、染料の含有率をCDC[wt%]としたときに、0.15≦CDC/CPC≦0.60の関係を満足するものであった。
[4]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[4.1]色むら、濃度むら、光漏れ
前記各実施例および比較例1のカラーフィルター用インクセットを用いて、上記第1の方法、第2の方法により製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図8に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むら、光漏れの発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色むら、濃度むら、光漏れが全く認められない。
B:色むら、濃度むら、光漏れがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むら、光漏れがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むら、光漏れがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むら、光漏れが顕著に認められる。
なお、上記の評価においては、各液晶表示装置について、同様の条件で製造し、同様の条件で表示を行い、同様の条件で観察、測定を行った。
[4.2]個体間での特性差
前記各実施例および比較例1のカラーフィルター用インクセットを用いて、上記第1の方法、第2の方法により製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、990〜999枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。その結果から、各実施例および比較例1について、それぞれ、990〜999枚目に製造されたカラーフィルターで最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が3未満。
B:色差(ΔE)が3以上5未満。
C:色差(ΔE)が5以上。
D:光漏れにより測定毎のばらつきが大きく、測定意味をなさない。
なお、上記の評価においては、各カラーフィルターについて、同様の条件で観察、測定を行った。
[5]耐熱性の評価
前記各実施例および比較例1のカラーフィルター用インクセットを用いて、以下のようにして、各色のインクに対応する着色板を作製した。
まず、前記各実施例のカラーフィルター用インクセットを構成する赤色顔料インク(主インク)を、30mm×30mmの隔壁(厚さ2.1μm)が形成された厚さ7mmのガラス板上に、インクジェット塗布により付与し、さらにその後、赤色顔料インクと同体積の黄色染料インク(調色インク)を、当該ガラス板上の赤色顔料インクが付与された部位に、インクジェット塗布により付与した。インクの付与量は、後述するポストベーク後の厚さが、1.60μmとなるようにした。その後、インクが付与されたガラス基板に対し、ホットプレート上にて100℃で10分間加熱するプリベーク処理を施した。プリベーク処理後のガラス基板について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いた測定により、色度の測定を行った。その後、プリベーク処理が施されたガラス基板に対し、200℃のオーブン内で1時間加熱するポストベーク処理を施すことにより、厚さ1.60μmの赤色の着色膜が形成された着色板を得た。得られた着色板について、プリベーク処理を施したガラス基板について行ったのと同様にして色度の測定を行った。そして、プリベーク処理が施されたガラス基板の色度および着色板の色度から、色差(JIS Z 8729で規定されるL表示系での色差ΔEab)を求めた。
緑色顔料インク(主インク)と黄色染料インク(調色インク)との組み合わせ、青色顔料インク(主インク)と紫色染料インク(調色インク)との組み合わせについても、上記と同様にして、隔壁が形成されたガラス板上に付与し、プリベーク処理、ポストベーク処理を施すことにより、それぞれ、厚さ1.60μmの緑色の着色膜が形成された着色板、厚さ1.60μmの青色の着色膜が形成された着色板を得た。そして、プリベーク処理後のガラス基板、および、着色板について、上記と同様にして色度の測定を行い、プリベーク処理が施されたガラス基板の色度および着色板の色度から、色差(JIS Z 8729で規定されるL表示系での色差ΔEab)を求めた。
また、比較例1については、赤色顔料インクを、上記と同様な隔壁が形成された厚さ7mmのガラス板上に、インクジェット塗布により付与し、さらにその後、同一のインクを、当該ガラス板上に、インクジェット塗布により付与した。インクの付与量は、ポストベーク後の厚さが、1.60μmとなるようにした。その後、ホットプレート上にて200℃で2分間加熱するプリベーク処理を施し、さらに200℃のオーブン内で1時間加熱するポストベーク処理を施すことにより、厚さ1.60μmの赤色の着色膜が形成された着色板を得た。そして、プリベーク処理後のガラス基板、および、着色板について、上記と同様にして色度の測定を行い、プリベーク処理が施されたガラス基板の色度および着色板の色度から、色差(JIS Z 8729で規定されるL表示系での色差ΔEab)を求めた。
また、比較例1の緑色のインク(緑色顔料インク)、青色のインク(青色顔料インク)についても、上記と同様にして、隔壁が形成されたガラス板上に付与し、プリベーク処理、ポストベーク処理を施すことにより、それぞれ、厚さ1.60μmの緑色の着色膜が形成された着色板、厚さ1.60μmの青色の着色膜が形成された着色板を得た。そして、プリベーク処理後のガラス基板、および、着色板について、上記と同様にして、色度の測定を行い、プリベーク処理が施されたガラス基板の色度および着色板の色度から、色差(JIS Z 8729で規定されるL表示系での色差ΔEab)を求めた。
各実施例および比較例1について、3色分の着色板についての色差の平均値を求めた。そして、得られた色差の平均値について、以下の3段階の基準に従い、評価した。この色差の平均値が小さいほど、インクセットの耐久性が優れていると言える。なお、比較例3、4については、インクがゲル化してしまい、インクジェットヘッドから液滴を吐出することができず、着色板の製造に適用することができなかった。また、比較例1については、インクジェットヘッドからの安定的な液滴吐出ができず、着色板の製造に適用することができなかった。また、上記のようにして製造した着色板が有する着色膜は、いずれも、前述した第3の方法で製造したカラーフィルターの、対応する着色部と、同一の組成を有するものであった。
A:色差の平均値が3未満。
B:色差の平均値が3以上5未満。
C:色差の平均値が5以上。
[6]色再現範囲の評価
まず、上記「[5]耐熱性の評価」で作製した、前記各実施例および比較例1についての各色の着色板を用意した。
前記各実施例および比較例1のそれぞれについて、上記のようにして得られた3色の着色板について、標準C光源を用いて、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)により、透過スペクトルを測定し、xy表示系による色度(R(xy)、G(xy)、B(xy))を求め、NTSC比を算出し、以下の4段階の基準に従い、評価した。NTSC比が高いほど、色再現範囲が広いと言える。
A:NTSC比が78%以上。
B:NTSC比が70以上78%未満。
C:NTSC比が70%未満。
D:光漏れ等により、画素毎にばらつきが大きく測定に意味が無い。
[7]コントラスト(消偏性)の評価
まず、上記「[5]耐熱性の評価」で作製した、前記各実施例および比較例1についての各色の着色板を用意した。
暗室内で、着色板の両面側に偏光板(日東電工社製)を配した状態で、標準C光源から、輝度:10000cd/mの光を、着色板の法線方向から偏光板を介して照射した。この際、着色板の主面と、2枚の偏光板の主面とが平行になるようにし、2枚の偏光板の距離が15cmとなるようにし、その中間点に着色板を設置した。また、光源から着色板までの距離は50cmとした。偏光板の法線方向から見た際の、2枚の偏光板の偏光方向が平行な状態での透過光の輝度(パラレル輝度)をC[cd/m]、偏光板の法線方向から見た際の、2枚の偏光板の偏光方向が平行な状態での透過光の輝度(クロス輝度)をC[cd/m]としたとき、C/Cで表されるコントラスト比を求めた。なお、着色板から輝度計までの距離は80cmとし、輝度計としては、PR880(フォトリサーチ社製)を用いた。
前記各実施例および比較例1について、上記3色の着色板のコントラスト比を求め、これら3色の着色板のコントラスト比の平均値を平均コントラスト比として求め、評価した。このC/Cの値が高いほど、コントラストに優れていると言える。
[8]耐光性の評価
まず、上記「[5]耐熱性の評価」で作製した、前記各実施例および比較例1についての各色の着色板を用意した。
各着色板について、相対湿度:50%の環境下で、着色板温度を63℃とし、波長:340nmの紫外線を、放射度0.25W/m、45kJ/mの条件で、240時間照射した。
上記のようにして紫外線の照射を行った着色板について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いた測定により、色度の測定を行い、紫外線照射前の色度との比較することにより、紫外線照射前後での色差(JIS Z 8729で規定されるL表示系での色差ΔEab)を求め、各実施例および比較例1について、3色分の着色板についての色差の平均値を求めた。そして、得られた色差の平均値について、以下の3段階の基準に従い、評価した。この色差の平均値が小さいほど、インクセットの耐光性が優れていると言える。
A:色差の平均値が3未満。
B:色差の平均値が3以上5未満。
C:色差の平均値が5以上。
[9]光の透過率の評価
まず、上記「[5]耐熱性の評価」で作製したのと同様にして、前記各実施例および比較例1についての各色の着色板を作製した。
次に、標準C光源(輝度:10000cd/m)を用いて、各着色板の分光スペクトル中のピーク波長の透過率を測定した。なお、光漏れにより、測定意味をなさないものはNと標記した。
これらの結果を表4に示す。なお、表4中、赤色の着色板をRで示し、緑色の着色板をGで示し、青色の着色板をBで示した。
Figure 2008233276
表4から明らかなように、本発明のカラーフィルター用インクセットでは、長時間にわたって、安定した液滴吐出を行うことができた。また、本発明では、十分な色再現範囲を得ることができた。また、本発明では、製造されたカラーフィルターにおいて、色むら、濃度むら、光漏れの発生が抑制されており、個体間での特性のばらつきも小さかった。また、本発明では、耐久性に優れるとともに、コントラストにも優れていた。これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造方法の第1実施形態を示す断面図である。 カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。 図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。 カラーフィルターの製造方法の第2実施形態を示す断面図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
符号の説明
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁 14…セル 2…カラーフィルター用インク(インク) 21…顔料インク 211…固形物 22…染料インク 221…固形物 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…液晶層 62…基板(対向基板) 63、64…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108…第2位置制御装置 110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド) 116A、116B…ノズル列 118…ノズル 120…キャビティ 122…隔壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエゾ素子 126…振動板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり 130…供給口 131……孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピュータ 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッタボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニタ 1440…パーソナルコンピュータ

Claims (13)

  1. 基板上に設けられた多数個のセル内に着色部を有するカラーフィルターを、インクジェット方式により製造するのに用いるカラーフィルター用インクセットであって、
    第1の着色剤を含む主インクと、
    前記第1の着色剤とは異なる第2の着色剤を含み、前記主インクと同一のセル内に吐出されることにより、形成されるべき前記着色部の色調を調整する調色インクとを備えることを特徴とするカラーフィルター用インクセット。
  2. 前記主インクは、前記第1の着色剤として顔料を含む顔料インクであり、
    前記調色インクは、前記第2の着色剤として染料を含む染料インクである請求項1に記載のカラーフィルター用インクセット。
  3. 前記顔料インクを構成する前記分散媒および前記染料インクを構成する前記溶媒は、いずれも、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、および、1,3−ブチレングリコールジアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである請求項2に記載のカラーフィルター用インクセット。
  4. 複数種の前記主インクと、複数種の前記調色インクとを備え、
    カラーフィルター用インクセットを構成する前記主インクは、いずれも、前記調色インクと混合して用いられるものである請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセット。
  5. インクを、多数個のセルが設けられた基板上に、インクジェット方式で吐出して、カラーフィルターを製造する方法であって、
    第1の着色剤を含む主インクを吐出する工程と、
    前記主インクが吐出された前記セル内に、前記第1の着色剤とは異なる第2の着色剤を含み、前記主インクと同一のセル内に吐出されることにより、形成されるべき前記着色部の色調を調整する調色インクを吐出する工程とを有することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
  6. 前記主インクは、前記第1の着色剤として顔料を含む顔料インクであり、
    前記調色インクは、前記第2の着色剤として染料を含む染料インクである請求項5に記載のカラーフィルターの製造方法。
  7. 吐出された前記主インクから分散媒を除去した後に、前記調色インクを、前記主インクが吐出された前記セル内に吐出する請求項5または6に記載のカラーフィルターの製造方法。
  8. 吐出された前記主インクから分散媒を除去する前に、前記調色インクを、前記主インクが吐出された前記セル内に吐出する請求項5または6に記載のカラーフィルターの製造方法。
  9. 請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  10. 請求項5ないし8のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
  11. 請求項9または10に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
  12. 画像表示装置は、液晶パネルである請求項11に記載の画像表示装置。
  13. 請求項11または12に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010152079A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Toppan Printing Co Ltd カラーフィルタ及びそれを用いた液晶表示装置
JP2011076075A (ja) * 2009-09-03 2011-04-14 Fujifilm Corp 着色硬化性組成物及びその調製方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子

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