JP2008232907A - 測距システムおよびその測距方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定対象が特定されていない多数の被測定物までの測距を、正確に行うことが可能な測距システムおよびその測距方法を提供する。
【解決手段】被監視者が携帯する無線タグ20と、無線タグ20までの距離を測定する測距装置30とを測距システム10において、測距装置30は、無線タグ20に、応答要求通知をブロードキャストにより送信し、応答要求通知に対する返信通知を受信すると、返信通知を送信した無線タグ20のアドレスを指定して測距要求通知を送信し、測距要求通知を送信してから測距要求通知に対する測距応答通知を受信するまでの時間を計測することで、距離を算出する。無線タグ20は、応答要求通知を受信すると、無線タグ20ごとに設定された異なる時間が経過した後に、割り当てられたID情報をアドレスとして含めて返信通知を送信し、測距要求通知にて指定されたアドレスが、自アドレスであるときには、測距応答通知を送信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、移動体に設けられる無線タグと、無線タグへ無線信号を送信した時間からその応答を受信したまでの時間により無線タグまでの距離を測定する測距装置とを備えた測距システムおよびその測定方法に関する。
測距システムは、被測定物である移動体に設けられる無線タグと、距離を測定する測距装置との間で、無線信号を往復させて、往復に要する時間から、測距装置から無線タグまでを測距するものである。このような無線信号が往復に要する時間から測距する従来の測距システムとして特許文献1,2に記載されたものがある。
特許文献1に記載の位置検出システムは、質問器が無線タグへ送信したパルス波を、無線タグが広帯域アンテナで受信し、無線タグから送信されるパルス波により質問器が無線タグまでの距離と無線タグの識別を行うものである。この無線タグから送信されるパルス波は、広帯域アンテナ自体で直接反射したパルス波と、それぞれの無線タグで構成の異なる負荷インピーダンス部に反射して広帯域アンテナから送信されるパルス波とがある。質問器は、最初に送信される広帯域アンテナ自体で直接反射したパルス波により質問器が無線タグまでの距離を測定し、次に送信される負荷インピーダンス部に反射して広帯域アンテナから送信されるパルス波により無線タグを識別している。
また、特許文献2に記載された測距システムは、距離を測定するアクセス端末が、距離測定を開始する旨を示す開始信号を、指定した送受信端末に無線信号として放射することで、指定された受信端末を動作可能状態とし、それ以外の受信端末を動作禁止状態とし、次に、アクセス端末が、放射した要求信号に対して返信された応答信号を受信するまでの時間を計測することで、アクセス端末と受信端末との間を測距するものである。アクセス端末は、測距する対象となる送受信端末を指定するときには、開始信号に、対象となる送受信端末のアドレスを含めることで、送受信端末を特定している。
特開2005−318553号公報 特開2006−145222号公報
しかし、特許文献1に記載の位置検出システムでは、広帯域アンテナ自体で反射したパルス波に基づいて測距しているので、複数の無線タグが質問器からのパルス波を受信可能な範囲に位置していると、無線タグからのパルス波が混在してしまい正確な距離が測定できないおそれがある。
また、特許文献2に記載の測距システムでは、測距装置であるアクセス端末が、測距する場合に、予め送受信端末へ、開始信号にアドレスを含めて対象の送受信端末を指定して送信する必要があるので、アクセス端末側で、測定対象となる送受信端末のアドレスが事前にわかっていれば問題はないが、測定対象が特定されていない多数の送受信端末を測距する際には問題となる。
例えば、アクセス端末からの無線信号が到達可能な範囲内に、どのアドレスの送受信端末が、移動体である人や荷物に取り付けられて進入したり、退出したりしているのかが不明な場合には、おそらくアドレスを順番に変更しながら測距することになるものと想定される。また、数多くの送受信端末までの距離を、それぞれの送受信端末を識別して測定しようとすると、割り当て可能なアドレスを数多くする必要がある。従って、数多くの被測定物までの距離を測定しようとすると、数多いアドレスを順番に、応答のある無しに関わらず無線信号を送信していくことになるため、特許文献2に記載の測距システムは、測定対象が特定されていない多数の被測定物までの距離を測定する場合には不向きと思われる。
そこで、本発明は、測定対象が特定されていない多数の被測定物までの距離の測定を、正確に行うことが可能な測距システムおよびその測距方法を提供することを目的とする。
本発明の測距システムは、移動体までの距離を測定する測距装置と、前記移動体に設けられ、前記測距装置と無線信号により通信する1以上の無線タグとを備えた測距システムにおいて、前記測距装置は、前記1以上の無線タグに、応答要求通知をブロードキャストにより送信する応答要求手段と、前記応答要求通知に対する返信通知を受信すると、前記返信通知を送信した無線タグのアドレスを指定して、測距要求通知を送信する測距要求手段と、前記測距要求通知を送信してから前記測距要求通知に対する測距応答通知を受信するまでの時間を計測するタイマ手段と、前記タイマ手段により計測された時間から距離を算出する距離算出手段とを備え、前記無線タグは、前記応答要求通知を受信すると、無線タグごとに設定された異なる時間が経過した後に、割り当てられたアドレスを含めた前記返信通知を送信する応答返信手段と、前記測距要求通知にて指定されたアドレスが、自アドレスであるときには、前記測距応答通知を送信する測距応答手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の測距システムの測距方法は、移動体までの距離を測定する測距装置と、前記移動体に設けられる1以上の無線タグとを備えた測距システムの測距方法において、前記測距装置が、ブロードキャストにより、応答要求通知を前記1以上の無線タグへ送信する応答要求ステップと、前記測距装置が、前記応答要求通知に対する無線タグからの返信通知を受信待機する待機ステップと、前記応答要求通知を受信した無線タグが、無線タグごとに設定された異なる時間が経過した後に、割り当てられたアドレスを含めた返信通知を前記測距装置へ送信し、前記測距装置からの測距要求通知を受信待機する応答返信ステップと、前記測距装置が、前記返信通知を受信すると、当該返信通知を送信した無線タグのアドレスを指定して、前記測距要求通知を送信する測距要求ステップと、前記測距要求通知にてアドレスを指定された無線タグが、前記測距要求通知に対する測距応答通知を送信する測距応答ステップと、前記測距装置が、前記測距要求通知を送信してから前記測距応答通知を受信するまでの時間を計測して距離を算出する距離算出ステップとを含むことを特徴とする。
本発明の測距システムは、それぞれの移動体に設けられる無線タグと、無線タグと通信して、往復の時間を計測することで移動体までの距離を算出する測距装置とを備えている。測距装置は、無線タグと通信するときには、まず、測距装置の応答要求手段が、ブロードキャストにより、応答要求通知を1以上の無線タグ全部に対して送信して、無線タグからの返信通知を受信待機する。無線タグの応答返信手段は、応答要求通知を受信すると、無線タグごとに設定された異なる時間が経過するまで待機する。そして、無線タグの応答返信手段は、割り当てられたアドレスを含めた返信通知を、測距装置へ送信する。従って、それぞれの無線タグからの返信通知は、重複しないタイミングで送信されるので、返信通知は、確実に無線タグから測距装置へ到達する。そして、この返信通知には、無線タグに割り当てられたアドレスが含まれているので、測距装置からの無線信号が到達可能な範囲に位置する無線タグを特定することができる。測距装置の測距要求手段は、返信通知を受信すると、当該返信通知を送信した測距の対象となる無線タグのアドレスを指定して、測距要求通知を送信する。測距要求通知にてアドレスを指定された無線タグは、測距応答手段により、この測距要求通知に対応して測距応答通知を送信する。測距装置の距離算出手段は、測距要求通知を送信してから測距応答通知を受信するまでの時間を計測して距離を算出する。
前記無線タグの応答返信手段は、前記無線タグごとに設定された異なる時間を、他の無線タグを識別するために予め割り当てられた識別情報に応じた時間とすることが望ましい。
無線タグが、返信通知の送信を、他の無線タグを識別するために予め割り当てられた識別情報に応じた時間が経過した後に行うことで、他の無線タグから送信される返信通知による阻害を確実に防止することができる。
前記無線タグは、乱数を発生する乱数発生手段を備え、前記応答返信手段は、前記返信通知を送信して、所定時間内に前記測距装置からの測距要求通知が無いときには、前記乱数発生手段により発生させた乱数に応じて遅延した後に、返信通知を送信することが望ましい。所定時間内に測距装置からの測距要求通知が無い場合に、乱数発生手段により発生させた乱数に応じて返信通知を遅延させることで、再度、無線タグが返信通知を送信する際に、返信応答同士が衝突してしまうことを回避することができる。
前記無線タグとの無線信号を送受信する無指向性のアンテナを備えた測距装置が3以上設けられ、前記3以上設けられた測距装置が設置された位置情報が登録された記憶手段と、前記位置情報および前記3以上設けられた測距装置からの無線タグまでの距離を示す距離情報から無線タグの位置を特定する位置特定手段とを備えた位置検出装置が設けられていると、無線タグまでの距離だけでなく、無線タグの位置を検出することができる。
また、前記無線タグとの無線信号を送受信する指向性を有するアンテナと、前記アンテナを水平回転させると共に、前記アンテナの回転角度情報を検出して出力する回転駆動制御手段とを備えた測距装置が1以上設けられ、前記1以上設けられた測距装置が設置された位置情報が登録された記憶手段と、前記位置情報と前記1以上設けられた測距装置からの無線タグまでの距離を示す距離情報と前記回転角度情報とから、無線タグの位置を特定する位置特定手段とを備えた位置検出装置が設けられていると、測距装置が少なくとも1台あれば、無線タグまでの距離だけでなく、無線タグの位置を検出することができる。
前記測距装置が、前記距離算出ステップの後、前記測距装置に設定された測距時間が経過するまで、前記待機ステップから前記距離算出ステップまでを繰り返し、前記応答返信ステップにて、前記無線タグが、所定時間内に前記測距装置からの測距要求通知を受信できない場合、所定時間経過後に返信通知を再送することが望ましい。
測距装置がブロードキャストにより応答要求通知を送信して無線タグとの通信を開始して、最初の無線タグとの測距が完了する距離算出ステップの後に、測距装置に設定された測距時間が経過するまで、待機ステップから距離算出ステップまでを繰り返す。無線タグは、応答返信ステップにて、測距装置からの測距要求通知が、所定時間内に受信できなければ、更に所定時間が経過した後に返信通知を再送するリトライ処理を行う。このように、無線タグが、ブロードキャストによる応答要求通知を受信して返信通知を送信した後に測距要求通知が無ければ、リトライを行うことで、測距装置からの無線信号が到達可能な範囲に位置するそれぞれの無線タグに対して、測距装置は、順番に無線タグとの測距を行うことができる。
前記測距装置は、前記距離算出ステップの後、前記測距装置に設定された測距時間が経過すると、前記応答要求ステップへ移行して、ブロードキャストによる応答要求通知を送信することが望ましい。
測距装置は、設定された測距時間が経過すると、距離算出ステップの後は、応答要求ステップへ移行して、ブロードキャストによる応答要求通知を送信するようにすることで、測距装置は、1度測距を行った無線タグに対しても、再度、測距することができるので、移動体の移動方向や移動距離などを測定することができる。
本発明の測距システムおよびその測距方法は、移動体に設けられた無線タグまでの距離を測定する測距装置が、ブロードキャストで送信した応答要求通知に応答して、無線タグが返信通知を送信するときに、無線タグごとに設定された異なる時間が経過した後に、割り当てられたアドレスを含めた返信通知を、前記測距装置へ送信するので、測距装置からの無線信号が到達可能な範囲に数多い無線タグが位置していても、無線タグからの信号が干渉しあったり、阻害しあったりすることがない。従って、測定対象が特定されていない多数の被測定物までの測距を、正確に行うことが可能である。
本発明の実施の形態1に係る測距システムを、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る測距システム全体を示す図である。
図1に示すように、測距システム10は、UWB(Ultra Wide Band)と呼ばれる無線信号により、部屋R内を移動する被監視者までの距離を測定することで、被監視者の位置を正確に検出するものである。
測距システム10は、例えば、病院やリハビリ施設などの部屋Rに設置される。測距システム10は、患者や要介護者などの移動体が携帯する無線タグ20(20a〜20c)と、部屋Rに設けられた3台の測距装置30とLANケーブルLにて接続された位置検出装置40とを備えている。なお、図1においては、ハブなどの集線装置は図示していない。
次に、無線タグ20について、図2に基づいて説明する。図2は、図1に示す測距システムの無線タグの構成を示す図である。
図2に示すように、無線タグ20は、無線通信手段21と、ID記憶手段22と、乱数発生手段23と、応答返信手段24と、測距応答手段25と、タイマ手段26とを備えている。
無線通信手段21は、無指向性のアンテナA1を備え、受信した無線信号を復調してデータとして出力すると共に、入力したデータを変調して無線信号として出力するものである。無線通信手段21から送信される無線信号は、被監視者が部屋R内のどこにいても測距装置30にて受信可能なように、部屋R内全体に到達可能な程度の信号強度でアンテナA1から送信される。
ID記憶手段22は、他の無線タグ20および測距装置30と識別するために、それぞれに割り当てられた識別情報であるID情報を記憶するもので、不揮発性メモリ、設定スイッチ、ジャンパ線などとすることができる。
乱数発生手段23は、応答返信手段24からの指示により、所定のアルゴリズムを用いて乱数を発生して、乱数情報として応答返信手段24へ出力する機能を備えている。
応答返信手段24は、測距装置30からのブロードキャスト通知である応答要求通知に基づいて、無線通信手段21を介して返信通知を測距装置30へ送信する機能を備えている。この返信通知には、送信元アドレスとして、ID記憶手段22から読み出したID情報が格納され、送信先アドレスとして測距装置30のID情報が格納される。
測距応答手段25は、測距装置30からの選択的な呼び出し通知である測距要求通知に基づいて、測距装置30へ測距応答通知を、無線通信手段21を介して送信する機能を備えている。タイマ手段26は、時間計測をする時計である。
次に、測距装置30を、図3に基づいて説明する。図3は、図1に示す測距システムの測距装置の構成を示す図である。
図3に示すように、測距装置30は、無線通信手段31と、有線通信手段32と、ID記憶手段33と、応答要求手段34と、測距要求手段35と、距離算出手段36と、タイマ手段37とを備えている。
無線通信手段31は、無指向性のアンテナA2を備え、受信した無線信号を復調してデータとして出力すると共に、入力したデータを変調して無線信号として出力するものである。無線通信手段31から送信される無線信号は、部屋R内全てに到達可能な程度の信号強度でアンテナA2から送信される。それぞれの測距装置30から送信される無線信号が、部屋R内全てに到達可能とすることで、無線タグ20が部屋R内のどこにいても、無線タグ20までの距離を測定することが可能である。
有線通信手段32は、位置検出装置40とLANケーブルLを介して通信するLANインタフェース手段である。有線通信手段32は、位置検出装置40と通信できれば、USBなどの他の通信方式とすることができる。また、測距装置30と位置検出装置40との間の送受信を無線通信とすることも可能である。
ID記憶手段33は、他の測距装置30および無線タグ20と識別するために、それぞれに割り当てられた識別情報であるID情報を記憶するもので、無線タグ20と同様に、不揮発性メモリ、設定スイッチ、ジャンパ線などとすることができる。
応答要求手段34は、ブロードキャストにて、応答要求通知を、無線通信手段31を介して複数回送信する機能を備えている。この応答要求通知は、送信元アドレスとして、ID記憶手段33から読み出したID情報が格納され、送信先アドレスとして無線タグ20を指定せずに送信される。
測距要求手段35は、無線タグ20からの返信通知に基づいて、測距要求通知を、無線通信手段31を介して無線タグ20へ複数回送信する機能を備えている。
距離算出手段36は、測距要求手段35が測距要求通知を送信してから無線タグ20からの測距応答通知を受信するまでの時間を、タイマ手段37にて計測することで、測距装置30から無線タグ20までの距離を算出して、距離情報として位置検出装置40へ出力する機能を備えている。タイマ手段37は、時間計測をする時計である。
次に、位置検出装置40について、図4に基づいて説明する。図4は、図1に示す測距システムの位置検出装置の構成を示す図である。
位置検出装置40は、有線通信手段41と、位置特定手段42と、画面制御手段43と、記憶手段44と、登録手段45と、表示手段46と、入力手段47とを備え、例えば、パーソナルコンピュータに位置検出プログラムを動作させることで実現することができる。
位置特定手段42は、3台の測距装置30からの距離情報と、記憶手段44に登録された3台の測距装置30の位置情報とから、三点測位法にて無線タグ20の位置を特定する機能を備えている。三点測位法とは、3台の測距装置30が設置されたそれぞれの位置を中心とし、3台の測距装置30が測定したそれぞれの無線タグ20a〜20cまでの距離を半径として描かれる円同士の交点を、無線タグ20の現在いる位置として算出する方法である。
画面制御手段43は、位置特定手段42により特定された被監視者が携帯する無線タグ20の位置を表示手段46へ表示する機能を備えている。
記憶手段44は、3台の測距装置30の位置情報の他に、無線タグ20を携帯する被監視者の識別情報と無線タグ20のID情報とが関連付けられて登録されている。この記憶手段44は、ハードディスク装置とすることができ、位置検出プログラムがインストールされている。被監視者を識別する識別情報は、それぞれの被監視者を識別可能な情報であれば採用できるが、例えば、氏名情報とすることができる。
登録手段45は、被監視者が入力手段47を操作して入力した、測距装置30の位置情報と、被監視者が携帯する無線タグ20のID情報と、被監視者の氏名情報とを関連付けて記憶手段44に登録する機能を備えている。
表示手段46は、画面制御手段43からのデータを表示するモニタである。この表示手段46は、LCDやCRTなどが使用できる。入力手段47は、文字情報、数字情報、制御キー情報や記号情報を入力するキーボードと、表示手段46を見ながら操作するためのマウスなどのポインティングデバイスとすることができる。
以上のように構成された測距システム10の動作および使用状態について、更に、図5を参照しながら詳細に説明する。図5は、図1に示す測距システムの動作および使用状態を説明するためのタイミングチャートである。なお、本実施の形態1では、部屋R内に無線タグ20a〜20cをそれぞれ携帯した3人の被監視者がいるものとして説明する。
図5に示すように、まず、測距装置30が、ブロードキャストにより応答要求通知BRを送信する(応答要求ステップ)。この応答要求通知BRは、最初の応答要求通知BRを送信してからブロードキャスト送信時間TBRが経過するまで、応答要求手段34により送信し続けられる。無線タグ20a〜20cは、最初の応答要求通知BRを受信してブロードキャスト送信時間TBRが経過するまで、応答返信手段24による応答要求通知BRの受信待ちを継続する。このブロードキャスト送信時間TBRは、測距装置30および無線タグ20a〜20cに、予め規定された共通した時間である。
測距装置30が、応答要求通知BRを、送信先アドレスを指定しないブロードキャストで送信することで、どの無線タグ20が部屋R内に位置しているか特定されていないときでも、無線タグ20とのリンクの確立を行うことができる。
複数回送信される応答要求通知BRのうち、一の応答要求通知BRを受信した無線タグ20a〜20cは、ブロードキャスト送信時間TBRが経過するまでタイマ手段26により時間を計測して待機状態となる。測距装置30は、ブロードキャスト送信時間TBRが経過すると、無線タグ20a〜20cからの返信通知RESを待つ待機状態となる(待機ステップ)。
無線タグ20a〜20cは、ブロードキャスト送信時間TBRが経過するまで待った後に、更に、自アドレスであるID情報に基づいて返信通知待ち時間TIDをタイマ手段26により時間を計測して待ってから、返信通知RESを送信する(応答返信ステップ)。無線タグ20a〜20cにはそれぞれ異なるID情報が割り当てられているので、返信通知待ち時間TIDは無線タグ20a〜20cで異なる時間となる。例えば、ID情報が「1」ずつ増加するごとに、返信通知待ち時間TIDを所定時間ずつ増やすようにすることができる。
図5においては、ID情報に基づいて返信通知待ち時間TIDを待った結果、無線タグ20aが最も短い時間の遅延であったため、無線タグ20aが送信した返信通知RESが、最も早く測距装置30へ到達している。つまり、ID情報に基づいた返信通知待ち時間TIDが最も短い無線タグ20が、測距装置30が測距可能な範囲内にいるときには、必ず測距装置30へ最も早く返信通知RESを送信することになる。そして、無線タグ20b,20cは、無線タグ20aより遅れて返信通知RESすることになる。
このように、無線タグ20a〜20cごとに設定されたそれぞれ異なる時間が経過した後に返信通知RESを送信することで、ブロードキャスト送信時間TBRが経過した後に、一斉に返信通知RESが送信されることで衝突して、個々の無線タグ20と測距装置30とのリンクが確立できなくなることを確実に防止することができる。
次に、測距装置30は、無線タグ20aからの返信通知RESを受信すると、無線タグ20aまでの測距を開始する。この測距は、まず、測距要求手段35が、この返信通知RESを送信した送信元アドレスを指定して(この場合は無線タグ20aのID情報)、測距要求通知REQを送信する(測距要求ステップ)。次に、測距要求通知REQにて指定された無線タグ20aは、測距応答手段25により測距応答通知ANSを送信する(測距応答ステップ)。
測距装置30からの測距要求通知REQと無線タグ20aからの測距応答通知ANSとの通信は、複数回行われる。測距のための通信を1回としてもよいが、通信障害が発生したときには距離が測定できない事態となってしまうため、複数回、例えば10回以上とするのが望ましい。
測距装置30の距離算出手段36は、測距要求通知REQの送信から測距応答通知ANSの受信までの時間を、タイマ手段37に計測させることで、通信のパケットが往復に要する時間を計測する。この計測された往復時間には、測距要求通知REQを受信してから測距応答通知ANSを送信するまでの無線タグ20の処理時間が含まれているので、距離算出手段36は、この計測時間から予め測定して設定しておいた処理時間の差を算出することで、無線信号が無線タグ20aまでの空中を伝搬するのに要した正確な時間を算出することができる。そして、距離算出手段36は、1秒当たりの無線信号の伝搬速度と、無線タグ20aまでの空中を無線信号が伝搬するのに要した時間から、測距装置30と無線タグ20aとの間の距離を算出する(距離算出ステップ)。距離算出手段36は、無線タグ20aのID情報と共に算出した距離を示す距離情報を、有線通信手段32を介して位置検出装置40へ出力する。測距装置30は、測距が完了すると、次の無線タグ20(20b,20c)からの返信通知RESの受信待ち状態となる(待機ステップ)。
このようにして測距装置30は、まず1台目の無線タグ20aまでの距離を測定する。次に、測距装置30は、2台目の無線タグ20bの測定を行う。2台目の無線タグ20bは、無線タグ20a,20cからの返信通知RESの衝突を回避するために、無線タグ20aより遅く返信通知RESを送信したので、測距装置30は、先に無線タグ20aまでの測距を始めた。従って、無線タグ20bは、返信通知RESを送信してから受信待ち時間TRXが経過するまでに、測距装置30から、無線タグ20bのID情報をアドレスとして指定しての測距要求通知REQを受信することができなかった。この場合、無線タグ20bの応答返信手段24は、送信待ち時間TTXが経過するまで待った後に、更に、乱数発生手段23が発生した乱数に基づいた送信待ち時間TRNDを待って、再度、返信通知RESを送信する。3台目である無線タグ20cも同様に、応答返信手段24が、送信待ち時間TTXが経過するまで待った後に、更に、乱数発生手段23が発生した乱数に基づいた送信待ち時間TRNDを待って、再度、返信通知RESを送信する。
この送信待ち時間TTXは、無線タグ20a〜20cで同じ時間に設定されているが、送信待ち時間TRNDは、乱数により決定されるので異なる時間である。また、1回目の返信通知RESを送信するときの返信通知待ち時間TIDは、それぞれの無線タグ20a〜20cで異なる時間なので、結果として2回目に送信される返信通知RESは、無線タグ20bと無線タグ20cとで衝突する確率は非常に小さくなる。
図5においては、無線タグ20cより先に無線タグ20bが返信通知RESを送信しているので、測距装置30は、無線タグ20bに対して測距要求通知REQを送信している。
測距装置30からの測距要求通知REQを受信した無線タグ20bは、測距応答通知ANSを送信することで、測距装置30は、無線タグ20aを測距したときと同様に、無線タグ20bまでの距離を測定する。
そして、無線タグ20cは、2回目の返信通知RESを送信したが、受信待ち時間TRXが経過するまでに測距装置30からの測距要求通知REQが無かったので、再度、送信待ち時間TTXが経過するまで待った後に、更に、乱数発生手段23が発生した乱数に基づいた送信待ち時間TRNDを待って、3回目の返信通知RESを送信する。
このように、無線タグ20(20a〜20c)は、測距装置30からの測距要求通知REQが受信されるまで、繰り返し返信通知RESを送信することで、測距装置30は測距対象の無線タグ20(20a〜20c)の全てを測距することができる。
無線タグ20a〜20cは、測距装置30との間で、測距要求通知REQと測距応答通知ANSとの送受信が完了すると、次のブロードキャストで送信される応答要求通知BRの受信待ち状態となる。
測距装置30は、ブロードキャスト送信時間TBRが経過した後の測距時間TSKが経過すると、再度、ブロードキャスト送信時間TBRの計測を開始して、応答要求通知BRをブロードキャストにて送信する。このようにして、測距装置30は、ブロードキャスト送信時間TBR内に、ブロードキャストによる応答要求通知BRを送信し、測距時間TSK内に、それぞれの無線タグ20a〜20cとの通信を行って測距することを繰り返すことで、1度測距を行った無線タグ20a〜20cに対しても、再度、測距することができる。
3台の測距装置30からID情報と距離情報とを受信した位置検出装置40は、無線タグ20a〜20cの位置を、画面制御手段43により表示手段46に表示する。無線タグ20a〜20cの位置は、位置特定手段42が三点測位法に基づいて特定する。特定された位置は、部屋Rのレイアウト上に、ID情報に関連付けられた氏名情報が表示された場所で示される。氏名情報を表示することで、監視者は被監視者が誰であるのかが視認しやすい。また、逐次送信される測距装置30からの距離情報に基づいて、画面制御手段43が表示手段46に軌跡を描くことで移動した範囲や、距離などを把握することが可能である。
このように、ブロードキャストにより測定対象が特定されていない多数の無線タグ20であっても、通信開始の通知を送信することができ、また、無線タグ20a〜20cのID情報に基づいた遅延で、返信通知RESを送信しているので、無線タグ20a〜20cからの信号が干渉しあったり、阻害しあったりすることがない。また、無線タグ20a〜20c側から返信通知RESに基づいて測距装置30が測距を開始するので、多くの無線タグ20が測定対象であっても、順番に漏れなく測距を行うことができる。よって、測定対象が特定されていない多数の被測定物までの測距を、正確に行うことが可能である。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図面に基づいて説明する。図6は、本発明の実施の形態2に係る測距システムを示す図である。図7は、図6に示す測距システムの測距装置を示す図である。
図6に示すように、本発明の実施の形態2に係る測距システム10xは、測距装置30xを、部屋Rの天井の中央部に1台のみ備えたものである。
図7に示すように、測距装置30xは、無線通信手段31xに指向性を有するアンテナA3が設けられている。このアンテナA3は、回転駆動制御手段38により水平回転させられている。そして、回転駆動制御手段38は、アンテナA3の回転角度情報を検出して、有線通信手段32を介して位置検出装置40へ出力する機能を備えている。
指向性を有するアンテナA3は、狭ビームアンテナを使用することできる。
位置検出装置40では、位置特定手段42(図4参照)により、無線タグ20a〜20cの位置を、測距装置30からの距離情報と回転角度情報とから特定する。つまり、実施の形態1に係る測距システム10では、三点測位法により位置を特定することで、測距装置30が少なくとも3台必要であった。実施の形態2に係る測距システム10xでは、回転角度情報と距離情報とを得ることで、測距装置30xが1台あれば、無線タグ20a〜20cを携帯する被監視者の位置を特定することが可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。本実施の形態1においては、位置検出装置40が三点測位法により無線タグ20a〜20cの位置を特定しているため、3台の測距装置30によりそれぞれ測距を行っている。しかし、4台以上の測距装置30が部屋R内に設置されていても問題はない。また、部屋Rが広かったり、障害物により無線信号の伝搬が阻害されたりして、無線信号が部屋R全体に到達できない場合には、測距装置30からの無線信号の少なくとも3台分がそれぞれ重なるように、測距装置30を4台以上配置することで、部屋R内全体をカバーすることができる。
また、実施の形態2においては、位置検出装置40が測距装置30xからの距離情報と回転角度情報とにより、無線タグ20a〜20cの位置を特定しているため、1台の測距装置30で測距を行っている。しかし、2台以上の測距装置30xが部屋R内に設置されていても問題はない。また、上述したように、部屋Rが広かったり、障害物により無線信号の伝搬が阻害されたりして、無線信号が部屋R全体に到達できない場合には、2台以上の測距装置30xを、無線信号が部屋R全体に到達可能なように配置することで、部屋R内全体をカバーすることできる。
本発明は、数多くの無線タグが、測距装置が測距可能な範囲に進入したり退出したりしても、正確に無線タグまでの距離を測定することができるので、教室、病室、図書館やデパートなど、様々な場所において設置される測距システムおよびその測定方法に好適である。
本発明の実施の形態1に係る測距システム全体を示す図である。 図1に示す測距システムの無線タグの構成を示す図である。 図1に示す測距システムの測距装置の構成を示す図である。 図1に示す測距システムの位置検出装置の構成を示す図である。 図1に示す測距システムの動作および使用状態を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係る測距システムを示す図である。 図6に示す測距システムの測距装置を示す図である。
符号の説明
10,10x 測距システム
20,20a,20b,20c 無線タグ
21 無線通信手段
22 ID記憶手段
23 乱数発生手段
24 応答返信手段
25 測距応答手段
26 タイマ手段
30,30x 測距装置
31,31x 無線通信手段
32 有線通信手段
33 ID記憶手段
34 応答要求手段
35 測距要求手段
36 距離算出手段
37 タイマ手段
38 回転駆動制御手段
40 位置検出装置
41 有線通信手段
42 位置特定手段
43 画面制御手段
44 記憶手段
45 登録手段
46 表示手段
47 入力手段
A1〜A3 アンテナ
L LANケーブル
R 部屋

Claims (8)

  1. 移動体までの距離を測定する測距装置と、前記移動体に設けられ、前記測距装置と無線信号により通信する1以上の無線タグとを備えた測距システムにおいて、
    前記測距装置は、
    前記1以上の無線タグに、応答要求通知をブロードキャストにより送信する応答要求手段と、
    前記応答要求通知に対する返信通知を受信すると、前記返信通知を送信した無線タグのアドレスを指定して、測距要求通知を送信する測距要求手段と、
    前記測距要求通知を送信してから前記測距要求通知に対する測距応答通知を受信するまでの時間を計測するタイマ手段と、
    前記タイマ手段により計測された時間から距離を算出する距離算出手段とを備え、
    前記無線タグは、
    前記応答要求通知を受信すると、無線タグごとに設定された異なる時間が経過した後に、割り当てられたアドレスを含めた前記返信通知を送信する応答返信手段と、
    前記測距要求通知にて指定されたアドレスが、自アドレスであるときには、前記測距応答通知を送信する測距応答手段とを備えたことを特徴とする測距システム。
  2. 前記無線タグの応答返信手段は、前記無線タグごとに設定された異なる時間を、他の無線タグを識別するために予め割り当てられた識別情報に応じた時間とすることを特徴とする請求項1記載の測距システム。
  3. 前記無線タグは、乱数を発生する乱数発生手段を備え、
    前記応答返信手段は、前記返信通知を送信して、所定時間内に前記測距装置からの測距要求通知が無いときには、前記乱数発生手段により発生させた乱数に応じて遅延した後に、返信通知を送信することを特徴とする請求項1または2記載の測距システム。
  4. 前記無線タグとの無線信号を送受信する無指向性のアンテナを備えた測距装置が3以上設けられ、
    前記3以上設けられた測距装置が設置された位置情報が登録された記憶手段と、前記位置情報および前記3以上設けられた測距装置からの無線タグまでの距離を示す距離情報から無線タグの位置を特定する位置特定手段とを備えた位置検出装置が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の測距システム。
  5. 前記無線タグとの無線信号を送受信する指向性を有するアンテナと、前記アンテナを水平回転させると共に、前記アンテナの回転角度情報を検出して出力する回転駆動制御手段とを備えた測距装置が1以上設けられ、
    前記1以上設けられた測距装置が設置された位置情報が登録された記憶手段と、前記位置情報と前記1以上設けられた測距装置からの無線タグまでの距離を示す距離情報と前記回転角度情報とから、無線タグの位置を特定する位置特定手段とを備えた位置検出装置が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の測距システム。
  6. 移動体までの距離を測定する測距装置と、前記移動体に設けられる1以上の無線タグとを備えた測距システムの測距方法において、
    前記測距装置が、ブロードキャストにより、応答要求通知を前記1以上の無線タグへ送信する応答要求ステップと、
    前記測距装置が、前記応答要求通知に対する無線タグからの返信通知を受信待機する待機ステップと、
    前記応答要求通知を受信した無線タグが、無線タグごとに設定された異なる時間が経過した後に、割り当てられたアドレスを含めた返信通知を前記測距装置へ送信し、前記測距装置からの測距要求通知を受信待機する応答返信ステップと、
    前記測距装置が、前記返信通知を受信すると、当該返信通知を送信した無線タグのアドレスを指定して、前記測距要求通知を送信する測距要求ステップと、
    前記測距要求通知にてアドレスを指定された無線タグが、前記測距要求通知に対する測距応答通知を送信する測距応答ステップと、
    前記測距装置が、前記測距要求通知を送信してから前記測距応答通知を受信するまでの時間を計測して距離を算出する距離算出ステップとを含むことを特徴とする測距システムの測距方法。
  7. 前記測距装置が、前記距離算出ステップの後、前記測距装置に設定された測距時間が経過するまで、前記待機ステップから前記距離算出ステップまでを繰り返し、
    前記応答返信ステップにて、前記無線タグが、所定時間内に前記測距装置からの測距要求通知が受信できない場合、所定時間経過後に返信通知を再送することを特徴とする請求項6記載の測距システムの測距方法。
  8. 前記測距装置は、前記距離算出ステップの後、前記測距装置に設定された測距時間が経過すると、前記応答要求ステップへ移行して、ブロードキャストによる応答要求通知を送信することを特徴とする請求項6または7記載の測距システムの測距方法。
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