JP2008226622A - ケーブル用耐火コネクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ケーブル心線同士をソケット本体内部でセラミックチップにより離間させる。心線と電極ピンとの連結部をガラスマイカテープで被覆する。これにより耐火性能が高いコネクタを得る。火災時にも電源からの電力を負荷に対して供給することができる。
【選択図】図6
Description
従来、このケーブル用コネクタとしては、例えば特許文献1に示すものが知られている。このコネクタでは、各ケーブルの先端にはソケットとプラグとがそれぞれ取り付けられ、ピン状の電極部材が対応する凹状の電極部材に嵌合することにより電気的接続を得る構成となっている。ソケットおよびプラグにはそれぞれ複数の電極部材が樹脂により互いに電気的に絶縁された状態で封止、固定されている。また、各電極部材の基端はリード線にそれぞれ接続されている。複数のリード線は樹脂などで絶縁被覆されてケーブルを構成している。
そこで、本願発明人は、ケーブル用コネクタに耐火構造を付加することにより、火災での損傷に対しても電源からの電力を負荷に所要時間だけは供給可能な耐火コネクタを開発するに至った。また、このコネクタにヒューズを内蔵すれば、火災などでの被覆材の燃焼によりリード線(心線、素線)同士が接触して短絡した場合の負荷などの保護を図ることができることを知見し、この発明を完成させた。
また、この発明は、火災時の短絡による過大電流から負荷を保護可能なケーブル用耐火コネクタを提供することを目的とする。
このケーブル用コネクタはケーブルまたはコードに使用され、かつ高圧配電線、低圧配電線のいずれにも適用可能である。
負荷は、具体的に限定されない。例えば、照明灯、送電設備その他を含む。
ソケットおよびプラグの電極部材(ピンなど)の本数も限定されない。例えば、単相3線式に対応した3本のピンを有してもよく、または3相4線式に対応した4本のピンを有してもよい。各電極部材はそれぞれ心線(素線、リード線)に接続されている。各心線は例えば複数の銅線を束ね、耐火性の無機材料で覆った後に樹脂等で被覆してあり、複数の心線は樹脂で被覆されてケーブルを構成する。ともに導体である電極部材と心線との接続は例えばかしめなどで行われている。
電極部材同士の電気的絶縁は絶縁性の樹脂にこれら電極部材を離間して埋設することにより行われている。
また、心線同士は、耐火材として例えばセラミックス製の円板スペーサの離間位置に穿設形成された複数の貫通孔に複数の心線をそれぞれ挿通することにより、物理的に離間されている。これは外皮である樹脂が燃焼した場合のコネクタでの心線同士の短絡を防止することとなる。耐火材であるセラミック円板に替えては各種の形状のものを適用することができる。
なお、このケーブル用耐火コネクタではヒューズを内蔵することもできる。ソケット側電極部材とプラグ側のそれとの間にヒューズを介在させることにより、過大な電流による負荷の保護を図ることができる。
ソケットまたはプラグに内蔵されるヒューズの種類および形状は限定されない。
また、コネクタに設けられるヒューズの本数も限定されない。単相3線式の場合は、短絡線以外の少なくとも1本でもよい。
さらに、ヒューズの定格遮断電流の値も限定されない。
請求項5に記載のケーブル用耐火コネクタにあっては、ヒューズは、上記ソケットの電極部材(ソケット型電極)と、これに対応して対向配置される上記プラグの電極部材(ピン型電極)との間に配設されたコイルばねで挟持される。このコイルばねを使用することにより、ヒューズと電極との接触が容易になる。また、異なる長さの複数種のヒューズを装着することができる。
コイルばねとしては、ベリリウム銅などの導電体を使用することが好ましい。
そして、ソケットまたはプラグにヒューズを内装することにより、併せて過大な電流により負荷が損傷することも保護することができる。
特に、電源の幹線ケーブルから複数の分岐ケーブルの接続においてこのヒューズ付きコネクタを使用した場合、ある負荷に異常が発生した場合、コネクタに備えたヒューズが溶断し、幹線ケーブルからその負荷への電源の供給が遮断される。しかし、電源の遮断は当該負荷のみであり、その他の負荷には安定した電源の供給を継続することができる。
この実施例では、ヒューズ内蔵型のケーブル用耐火コネクタについて説明する。もちろんヒューズを有しないタイプのコネクタについてもこの発明を適用できる。
図1を参照して、ケーブル用耐火コネクタの全体構成について説明する。この図において、10はケーブル用耐火コネクタを示し、このケーブル用耐火コネクタ10は電源側のソケット11と、負荷側のプラグ12とを有する。ともに樹脂製で大略円柱形状を有するソケット11およびプラグ12にあっては、ソケット11とプラグ12とは嵌合することでケーブル13,14よりケーブル13,14よりも大径の円柱体構造を呈することとなる。このソケット11はケーブル13の先端に連結されこれを介して電源に、プラグ12は同じくケーブル14の先端に固着されこれを介して負荷(電灯など)にそれぞれ接続されている。17はソケット11側のケーブル13の先端連結部に外装された識別用のカラーチューブであり、プラグではなくソケットであることを示している。
ソケット11をプラグ12に嵌合したとき、接続用カップ15,16により、これらの嵌合部分が被覆される。樹脂製(PEなど)のカップ15,16はねじ構造で強固に締結される。ソケット11の樹脂モールド・成型された本体19と、プラグ12のモールド樹脂本体20とは、突き合わされて互いに嵌合する構造となっている。ソケット本体19の先端凸部がプラグ本体20の先端凹部に挿入されている。このとき、Oリング21はソケット本体19とプラグ本体20との嵌合面(当接面)に介装されている。
そして、これらの心線13A,13Bとピン23,25,27との連結部分の外周面は所定長さにわたって、内側のガラスマイカテープ48およびその外側のシリコーン樹脂テープ50がそれぞれ巻き付けられて2重に被覆されている。ガラスマイカテープ48により心線の先端部と電極ピンの大部分を被覆して耐火構造とするものである。
さらに、心線13A,13Bのソケット本体19内でケーブル13側は図8に示すセラミックス製(例えばアルミナ系セラミックス)の円板状チップ60の貫通孔61,62,63にそれぞれ挿通されて互いに離間している。貫通孔同士は、円弧上で120度間隔で設けられている。また、これらの心線13A,13B、チップ60、ピン23,25,27はソケット本体19の樹脂で封入されている。そして、3本の心線13A,13Bは、それぞれ導体である銅線をガラスマイカテープで被覆してさらに絶縁体で外被している。これらの心線13A,13Bはさらにより合わされて絶縁体である樹脂により被覆されてケーブル13を構成している。すなわち、3本の心線13A,13B同士は耐火材60で離間して保持されている。
そして、これらの心線14A,14Bとピン24,26,28との連結部分の外周面は所定長さにわたって、内側のガラスマイカテープ48およびその外側のシリコーン樹脂テープ50がそれぞれ巻き付けられて2重に被覆されている。ガラスマイカテープ48により心線の先端部と電極ピンの大部分を被覆して耐火構造とするものである。この場合、シリコーン樹脂製テープ50は例えば高温の雰囲気中で燃焼するが、PEなどの樹脂が燃焼したとき生じるカーボンのガラスマイカテープ48への染み込みを防ぎ、テープ48の絶縁不良を阻止するものである。
さらに、心線14A,14Bのプラグ本体20内でケーブル14側は図8に示すセラミックス製(例えばアルミナ系セラミックス)の円板状チップ60の貫通孔61,62,63にそれぞれ挿通されて互いに所定距離だけ離間している。これらの貫通孔同士は、円弧上で120度間隔で設けられている。また、これらの心線14A,14B、チップ60、ピン24,26,28はプラグ本体20の樹脂(ポリエチレンなど)で封入されている。そして、3本の心線14A,14Bは、それぞれ導体である銅線を絶縁体であるガラスマイカテープ48で被覆してさらに絶縁体樹脂で外被している。これらの心線14A,14Bはさらにより合わされて絶縁体である樹脂により被覆されてケーブル14を構成している。
すなわち、心線14A,14B同士は耐火材60で離間して保持されている。
なお、上記各電極部材は、その全面がニッケル等でめっきされている。
このとき、凹部29と凸部30の位置を合わせながら、ソケット11とプラグ12とが嵌合される。
よって、ピン同士を介してケーブル13,14の心線同士が電気的に接続され、電源からの電力が負荷に供給されることとなる。
そして、負荷に所定の電流値以上の電流が流れたとき、ヒューズ41内のヒューズエレメントが溶断する。これにより、上記ケーブル13からケーブル14への電源の供給が遮断される。
また、例えば火災などによりコネクタ10が高温にさらされたとき、キャップ15,16およびソケット本体11,プラグ本体12が消失したとしても、ソケット側の心線13A,13Bおよびピン23,25,27も、プラグ側の心線14A,14Bおよびピン24,26,28も上記耐火構造、すなわちガラスマイカテープ(無機材)により被覆されており、かつ、セラミックス製のスペーサ60により心線同士が離間して保持されているため、これらが接触して短絡することを防ぐことができる。2重の耐火構造であるスペーサおよびガラスマイカテープにより高熱に対して充分に保護されている。
なお、上記実施例に係る耐火構造はBS6387CatC,CatW,CatZの耐火性能を有している。また、IEC60529保護等級IP68の防水、防塵性能をも有している。このとき、ソケット本体19、プラグ本体20などの素材としてノンハロゲン、低発煙性能の材料(例えばPE)を使用している。また、コネクタは工場加工により高品質、高信頼性を有している。
11 ソケット、
12 プラグ、
13 電源側ケーブル、
13A,13B 心線、
14 負荷側ケーブル、
14A,14B 心線、
19 ソケット本体、
20 プラグ本体、
23,24,25,26,27,28 電極部材、
29 凹部
30 凸部
40 コイルばね、
41 ヒューズ、
48 ガラスマイカテープ、
60 磁器などのチップ(耐火材スペーサ)。
従来、このケーブル用コネクタとしては、例えば特許文献1に示すものが知られている。このコネクタでは、各ケーブルの先端にはソケットとプラグとがそれぞれ取り付けられ、ピン状の電極部材が対応する凹状の電極部材に嵌合することにより電気的接続を得る構成となっている。ソケットおよびプラグにはそれぞれ複数の電極部材が樹脂により互いに電気的に絶縁された状態で封止、固定されている。また、各電極部材の基端はリード線にそれぞれ接続されている。複数のリード線は樹脂などで絶縁被覆されてケーブルを構成している。
そこで、本願発明人は、ケーブル用コネクタに耐火構造を付加することにより、火災での損傷に対しても電源からの電力を負荷に所要時間だけは供給可能な耐火コネクタを開発するに至った。また、このコネクタにヒューズを内蔵すれば、火災などでの被覆材の燃焼によりリード線(心線、素線)同士が接触して短絡した場合の負荷などの保護を図ることができることを知見し、この発明を完成させた。
また、この発明は、火災時の短絡による過大電流から負荷を保護可能なケーブル用耐火コネクタを提供することを目的とする。
このケーブル用コネクタはケーブルまたはコードに使用され、かつ高圧配電線、低圧配電線のいずれにも適用可能である。
負荷は、具体的に限定されない。例えば、照明灯、送電設備その他を含む。
ケーブル用耐火コネクタの電極部材(ピンなど)の本数も限定されない。例えば、単相3線式に対応した3本のピンを有してもよく、または3相4線式に対応した4本のピンを有してもよい。各電極部材はそれぞれ心線(素線、リード線)に接続されている。各心線は例えば複数の銅線を束ね、耐火性の無機材料で覆った後に樹脂等で被覆してあり、複数の心線は樹脂で被覆されてケーブルを構成する。ともに導体である電極部材と心線との接続は例えばかしめなどで行われている。
電極部材同士の電気的絶縁は絶縁性の樹脂にこれら電極部材を離間して埋設することにより行われている。
また、心線同士は、耐火材として例えばセラミックス製の円板スペーサの離間位置に穿設形成された複数の貫通孔に複数の心線をそれぞれ挿通することにより、物理的に離間されている。これは外皮である樹脂が燃焼した場合のコネクタでの心線同士の短絡を防止することとなる。耐火材であるセラミック円板に替えては各種の形状のものを適用することができる。
さらに、ガラスマイカ製のテープにより高熱から心線を保護することができる。さらに、このテープの上にシリコーン樹脂製のテープ等を被覆することもできる。このシリコーン樹脂製テープ等は例えば高温の雰囲気中で燃焼するが、被覆絶縁体(樹脂等)が燃焼したときの絶縁不良のおそれを排除する。
また、セラミックス製の円板で心線同士を離間させたため、火災時の短絡を防止してコネクタとしての機能を保持することができる。併せて心線をガラスマイカ製のテープで被覆したため、その耐火性能をさらに高度に維持することができる。
請求項3の発明によれば、ソケット側電極部材とプラグ側のそれとの間にヒューズを介在させることにより、過大な電流による負荷の保護を図ることができる。
ソケットまたはプラグに内蔵されるヒューズの種類および形状は限定されない。
また、コネクタに設けられるヒューズの本数も限定されない。単相3線式の場合は、短絡線以外の少なくとも1本でもよい。
さらに、ヒューズの定格遮断電流の値も限定されない。
さらにまた、ソケットとプラグとを接続した場合、このヒューズは、上記ソケットの電極部材(ソケット型電極)と、これに対応して対向配置される上記プラグの電極部材(ピン型電極)との間に配設されたコイルばねで挟持される。このコイルばねを使用することにより、ヒューズと電極との接触が容易になる。また、異なる長さの複数種のヒューズを装着することができる。
コイルばねとしては、ベリリウム銅などの導電体を使用することが好ましい。
そして、ソケットまたはプラグにヒューズを内装することにより、併せて過大な電流により負荷が損傷することも保護することができる。
特に、電源の幹線ケーブルから複数の分岐ケーブルの接続においてこのヒューズ付きコネクタを使用した場合、ある負荷に異常が発生した場合、コネクタに備えたヒューズが溶断し、幹線ケーブルからその負荷への電源の供給が遮断される。しかし、電源の遮断は当該負荷のみであり、その他の負荷には安定した電源の供給を継続することができる。
この実施例では、ヒューズ内蔵型のケーブル用耐火コネクタについて説明する。もちろんヒューズを有しないタイプのコネクタについてもこの発明を適用できる。
図1を参照して、ケーブル用耐火コネクタの全体構成について説明する。この図において、10はケーブル用耐火コネクタを示し、このケーブル用耐火コネクタ10は電源側のソケット11と、負荷側のプラグ12とを有する。ともに樹脂製で大略円柱形状を有するソケット11およびプラグ12にあっては、ソケット11とプラグ12とは嵌合することでケーブル13,14よりケーブル13,14よりも大径の円柱体構造を呈することとなる。このソケット11はケーブル13の先端に連結されこれを介して電源に、プラグ12は同じくケーブル14の先端に固着されこれを介して負荷(電灯など)にそれぞれ接続されている。17はソケット11側のケーブル13の先端連結部に外装された識別用のカラーチューブであり、プラグではなくソケットであることを示している。
ソケット11をプラグ12に嵌合したとき、接続用カップ15,16により、これらの嵌合部分が被覆される。樹脂製(PEなど)のカップ15,16はねじ構造で強固に締結される。ソケット11の樹脂モールド・成型された本体19と、プラグ12のモールド樹脂本体20とは、突き合わされて互いに嵌合する構造となっている。ソケット本体19の先端凸部がプラグ本体20の先端凹部に挿入されている。このとき、Oリング21はソケット本体19とプラグ本体20との嵌合面(当接面)に介装されている。
そして、これらの心線13A,13Bとピン23,25,27との連結部分の外周面は所定長さにわたって、内側のガラスマイカテープ48およびその外側のシリコーン樹脂テープ50がそれぞれ巻き付けられて2重に被覆されている。ガラスマイカテープ48により心線の先端部と電極ピンの大部分を被覆して耐火構造とするものである。
さらに、心線13A,13Bのソケット本体19内でケーブル13側は図8に示すセラミックス製(例えばアルミナ系セラミックス)の円板状チップ60の貫通孔61,62,63にそれぞれ挿通されて互いに離間している。貫通孔同士は、円弧上で120度間隔で設けられている。また、これらの心線13A,13B、チップ60、ピン23,25,27はソケット本体19の樹脂で封入されている。そして、3本の心線13A,13Bは、それぞれ導体である銅線をガラスマイカテープで被覆してさらに絶縁体で外被している。これらの心線13A,13Bはさらにより合わされて絶縁体である樹脂により被覆されてケーブル13を構成している。すなわち、3本の心線13A,13B同士は耐火材60で離間して保持されている。
そして、これらの心線14A,14Bとピン24,26,28との連結部分の外周面は所定長さにわたって、内側のガラスマイカテープ48およびその外側のシリコーン樹脂テープ50がそれぞれ巻き付けられて2重に被覆されている。ガラスマイカテープ48により心線の先端部と電極ピンの大部分を被覆して耐火構造とするものである。この場合、シリコーン樹脂製テープ50は例えば高温の雰囲気中で燃焼するが、PEなどの樹脂が燃焼したとき生じるカーボンのガラスマイカテープ48への染み込みを防ぎ、テープ48の絶縁不良を阻止するものである。
さらに、心線14A,14Bのプラグ本体20内でケーブル14側は図8に示すセラミックス製(例えばアルミナ系セラミックス)の円板状チップ60の貫通孔61,62,63にそれぞれ挿通されて互いに所定距離だけ離間している。これらの貫通孔同士は、円弧上で120度間隔で設けられている。また、これらの心線14A,14B、チップ60、ピン24,26,28はプラグ本体20の樹脂(ポリエチレンなど)で封入されている。そして、3本の心線14A,14Bは、それぞれ導体である銅線を絶縁体であるガラスマイカテープ48で被覆してさらに絶縁体樹脂で外被している。これらの心線14A,14Bはさらにより合わされて絶縁体である樹脂により被覆されてケーブル14を構成している。
すなわち、心線14A,14B同士は耐火材60で離間して保持されている。
なお、上記各電極部材は、その全面がニッケル等でめっきされている。
このとき、凹部29と凸部30の位置を合わせながら、ソケット11とプラグ12とが嵌合される。
よって、ピン同士を介してケーブル13,14の心線同士が電気的に接続され、電源からの電力が負荷に供給されることとなる。
そして、負荷に所定の電流値以上の電流が流れたとき、ヒューズ41内のヒューズエレメントが溶断する。これにより、上記ケーブル13からケーブル14への電源の供給が遮断される。
また、例えば火災などによりコネクタ10が高温にさらされたとき、キャップ15,16およびソケット本体11,プラグ本体12が消失したとしても、ソケット側の心線13A,13Bおよびピン23,25,27も、プラグ側の心線14A,14Bおよびピン24,26,28も上記耐火構造、すなわちガラスマイカテープ(無機材)により被覆されており、かつ、セラミックス製のスペーサ60により心線同士が離間して保持されているため、これらが接触して短絡することを防ぐことができる。2重の耐火構造であるスペーサおよびガラスマイカテープにより高熱に対して充分に保護されている。
なお、上記実施例に係る耐火構造はBS6387CatC,CatW,CatZの耐火性能を有している。また、IEC60529保護等級IP68の防水、防塵性能をも有している。このとき、ソケット本体19、プラグ本体20などの素材としてノンハロゲン、低発煙性能の材料(例えばPE)を使用している。また、コネクタは工場加工により高品質、高信頼性を有している。
11 ソケット、
12 プラグ、
13 電源側ケーブル、
13A,13B 心線、
14 負荷側ケーブル、
14A,14B 心線、
19 ソケット本体、
20 プラグ本体、
23,24,25,26,27,28 電極部材、
29 凹部
30 凸部
40 コイルばね、
41 ヒューズ、
48 ガラスマイカテープ、
60 磁器などのチップ(耐火材スペーサ)。
従来、このケーブル用コネクタとしては、例えば特許文献1に示すものが知られている。このコネクタでは、各ケーブルの先端にはソケットとプラグとがそれぞれ取り付けられ、ピン状の電極部材が対応する凹状の電極部材に嵌合することにより電気的接続を得る構成となっている。ソケットおよびプラグにはそれぞれ複数の電極部材が樹脂により互いに電気的に絶縁された状態で封止、固定されている。また、各電極部材の基端はリード線にそれぞれ接続されている。複数のリード線は樹脂などで絶縁被覆されてケーブルを構成している。
そこで、本願発明人は、ケーブル用コネクタに耐火構造を付加することにより、火災での損傷に対しても電源からの電力を負荷に所要時間だけは供給可能な耐火コネクタを開発するに至った。また、このコネクタにヒューズを内蔵すれば、火災などでの被覆材の燃焼によりリード線(心線、素線)同士が接触して短絡した場合の負荷などの保護を図ることができることを知見し、この発明を完成させた。
また、この発明は、火災時の短絡による過大電流から負荷を保護可能なケーブル用耐火コネクタを提供することを目的とする。
このケーブル用コネクタはケーブルまたはコードに使用され、かつ高圧配電線、低圧配電線のいずれにも適用可能である。
負荷は、具体的に限定されない。例えば、照明灯、送電設備その他を含む。
ケーブル用耐火コネクタの電極部材(ピンなど)の本数も限定されない。例えば、単相3線式に対応した3本のピンを有してもよく、または3相4線式に対応した4本のピンを有してもよい。各電極部材はそれぞれ心線(素線、リード線)に接続されている。各心線は例えば複数の銅線を束ね、耐火性の無機材料で覆った後に樹脂等で被覆してあり、複数の心線は樹脂で被覆されてケーブルを構成する。ともに導体である電極部材と心線との接続は例えばかしめなどで行われている。
電極部材同士の電気的絶縁は絶縁性の樹脂にこれら電極部材を離間して埋設することにより行われている。
また、心線同士は、耐火材として例えばセラミックス製の円板スペーサの離間位置に穿設形成された複数の貫通孔に複数の心線をそれぞれ挿通することにより、物理的に離間されている。これは外皮である樹脂が燃焼した場合のコネクタでの心線同士の短絡を防止することとなる。耐火材であるセラミック円板に替えては各種の形状のものを適用することができる。
さらに、ガラスマイカ製のテープにより高熱から心線を保護することができる。さらに、このテープの上にシリコーン樹脂製のテープ等を被覆することもできる。このシリコーン樹脂製テープ等は例えば高温の雰囲気中で燃焼するが、被覆絶縁体(樹脂等)が燃焼したときの絶縁不良のおそれを排除する。
また、セラミックス製の円板で心線同士を離間させたため、火災時の短絡を防止してコネクタとしての機能を保持することができる。併せて心線をガラスマイカ製のテープで被覆したため、その耐火性能をさらに高度に維持することができる。
ソケットまたはプラグに内蔵されるヒューズの種類および形状は限定されない。
また、コネクタに設けられるヒューズの本数も限定されない。単相3線式の場合は、短絡線以外の少なくとも1本でもよい。
さらに、ヒューズの定格遮断電流の値も限定されない。
さらにまた、ソケットとプラグとを接続した場合、このヒューズは、上記ソケットの電極部材(ソケット型電極)と、これに対応して対向配置される上記プラグの電極部材(ピン型電極)との間に配設されたコイルばねで挟持される。このコイルばねを使用することにより、ヒューズと電極との接触が容易になる。また、異なる長さの複数種のヒューズを装着することができる。
コイルばねとしては、ベリリウム銅などの導電体を使用することが好ましい。
そして、ソケットまたはプラグにヒューズを内装することにより、併せて過大な電流により負荷が損傷することも保護することができる。
特に、電源の幹線ケーブルから複数の分岐ケーブルの接続においてこのヒューズ付きコネクタを使用した場合、ある負荷に異常が発生した場合、コネクタに備えたヒューズが溶断し、幹線ケーブルからその負荷への電源の供給が遮断される。しかし、電源の遮断は当該負荷のみであり、その他の負荷には安定した電源の供給を継続することができる。
この実施例では、ヒューズ内蔵型のケーブル用耐火コネクタについて説明する。もちろんヒューズを有しないタイプのコネクタについてもこの発明を適用できる。
図1を参照して、ケーブル用耐火コネクタの全体構成について説明する。この図において、10はケーブル用耐火コネクタを示し、このケーブル用耐火コネクタ10は電源側のソケット11と、負荷側のプラグ12とを有する。ともに樹脂製で大略円柱形状を有するソケット11およびプラグ12にあっては、ソケット11とプラグ12とは嵌合することでケーブル13,14よりケーブル13,14よりも大径の円柱体構造を呈することとなる。このソケット11はケーブル13の先端に連結されこれを介して電源に、プラグ12は同じくケーブル14の先端に固着されこれを介して負荷(電灯など)にそれぞれ接続されている。17はソケット11側のケーブル13の先端連結部に外装された識別用のカラーチューブであり、プラグではなくソケットであることを示している。
ソケット11をプラグ12に嵌合したとき、接続用カップ15,16により、これらの嵌合部分が被覆される。樹脂製(PEなど)のカップ15,16はねじ構造で強固に締結される。ソケット11の樹脂モールド・成型された本体19と、プラグ12のモールド樹脂本体20とは、突き合わされて互いに嵌合する構造となっている。ソケット本体19の先端凸部がプラグ本体20の先端凹部に挿入されている。このとき、Oリング21はソケット本体19とプラグ本体20との嵌合面(当接面)に介装されている。
そして、これらの心線13A,13Bとピン23,25,27との連結部分の外周面は所定長さにわたって、内側のガラスマイカテープ48およびその外側のシリコーン樹脂テープ50がそれぞれ巻き付けられて2重に被覆されている。ガラスマイカテープ48により心線の先端部と電極ピンの大部分を被覆して耐火構造とするものである。
さらに、心線13A,13Bのソケット本体19内でケーブル13側は図8に示すセラミックス製(例えばアルミナ系セラミックス)の円板状チップ60の貫通孔61,62,63にそれぞれ挿通されて互いに離間している。貫通孔同士は、円弧上で120度間隔で設けられている。また、これらの心線13A,13B、チップ60、ピン23,25,27はソケット本体19の樹脂で封入されている。そして、3本の心線13A,13Bは、それぞれ導体である銅線をガラスマイカテープで被覆してさらに絶縁体で外被している。これらの心線13A,13Bはさらにより合わされて絶縁体である樹脂により被覆されてケーブル13を構成している。すなわち、3本の心線13A,13B同士は耐火材60で離間して保持されている。
そして、これらの心線14A,14Bとピン24,26,28との連結部分の外周面は所定長さにわたって、内側のガラスマイカテープ48およびその外側のシリコーン樹脂テープ50がそれぞれ巻き付けられて2重に被覆されている。ガラスマイカテープ48により心線の先端部と電極ピンの大部分を被覆して耐火構造とするものである。この場合、シリコーン樹脂製テープ50は例えば高温の雰囲気中で燃焼するが、PEなどの樹脂が燃焼したとき生じるカーボンのガラスマイカテープ48への染み込みを防ぎ、テープ48の絶縁不良を阻止するものである。
さらに、心線14A,14Bのプラグ本体20内でケーブル14側は図8に示すセラミックス製(例えばアルミナ系セラミックス)の円板状チップ60の貫通孔61,62,63にそれぞれ挿通されて互いに所定距離だけ離間している。これらの貫通孔同士は、円弧上で120度間隔で設けられている。また、これらの心線14A,14B、チップ60、ピン24,26,28はプラグ本体20の樹脂(ポリエチレンなど)で封入されている。そして、3本の心線14A,14Bは、それぞれ導体である銅線を絶縁体であるガラスマイカテープ48で被覆してさらに絶縁体樹脂で外被している。これらの心線14A,14Bはさらにより合わされて絶縁体である樹脂により被覆されてケーブル14を構成している。
すなわち、心線14A,14B同士は耐火材60で離間して保持されている。
なお、上記各電極部材は、その全面がニッケル等でめっきされている。
このとき、凹部29と凸部30の位置を合わせながら、ソケット11とプラグ12とが嵌合される。
よって、ピン同士を介してケーブル13,14の心線同士が電気的に接続され、電源からの電力が負荷に供給されることとなる。
そして、負荷に所定の電流値以上の電流が流れたとき、ヒューズ41内のヒューズエレメントが溶断する。これにより、上記ケーブル13からケーブル14への電源の供給が遮断される。
また、例えば火災などによりコネクタ10が高温にさらされたとき、キャップ15,16およびソケット本体11,プラグ本体12が消失したとしても、ソケット側の心線13A,13Bおよびピン23,25,27も、プラグ側の心線14A,14Bおよびピン24,26,28も上記耐火構造、すなわちガラスマイカテープ(無機材)により被覆されており、かつ、セラミックス製のスペーサ60により心線同士が離間して保持されているため、これらが接触して短絡することを防ぐことができる。2重の耐火構造であるスペーサおよびガラスマイカテープにより高熱に対して充分に保護されている。
なお、上記実施例に係る耐火構造はBS6387CatC,CatW,CatZの耐火性能を有している。また、IEC60529保護等級IP68の防水、防塵性能をも有している。このとき、ソケット本体19、プラグ本体20などの素材としてノンハロゲン、低発煙性能の材料(例えばPE)を使用している。また、コネクタは工場加工により高品質、高信頼性を有している。
11 ソケット、
12 プラグ、
13 電源側ケーブル、
13A,13B 心線、
14 負荷側ケーブル、
14A,14B 心線、
19 ソケット本体、
20 プラグ本体、
23,24,25,26,27,28 電極部材、
29 凹部
30 凸部
40 コイルばね、
41 ヒューズ、
48 ガラスマイカテープ、
60 磁器などのチップ(耐火材スペーサ)。
Claims (5)
- 電源側に接続されたソケットに、負荷側に接続されたプラグを嵌合することにより、電源を負荷に供給可能なコネクタであって、
上記ソケットおよび上記プラグは、それぞれ複数の電極部材とこれに接続された複数の心線とを有し、これらの心線同士を耐火材により離間して保持したケーブル用耐火コネクタ。 - 上記複数の心線は無機材料製のテープにより被覆してこの被覆部分に上記耐火材を配設した請求項1に記載のケーブル用耐火コネクタ。
- 電源側のケーブルの先端に接続されたソケットが負荷側のケーブル先端に接続されたプラグに嵌合することにより、負荷に電源から電力を供給するケーブル用耐火コネクタにおいて、
上記ソケットは、
樹脂製のソケット本体と、
このソケット本体に互いに所定間隔を有して埋設されてその基端が複数の心線にそれぞれ接続された複数の電極部材と、を備え、
上記プラグは、
樹脂製のプラグ本体と、
互いに所定間隔を有して埋設されてその基端が複数の心線にそれぞれ接続された複数の電極部材とを有し、
上記ソケットの電極部材とこれに対応する上記プラグの電極部材とは、上記嵌合時に電気的に接続され、
上記ソケット本体の内部の心線を無機材料製のテープで被覆し、
上記プラグ本体の内部の心線に無機材料製のテープで被覆を施し、
これらソケット本体の心線同士およびプラグ本体の心線同士は、それぞれセラミックス製のスペーサによりこれらのソケット本体の内部およびプラグ本体の内部で所定距離だけ離間して設けられたケーブル用耐火コネクタ。 - 上記ソケットまたはプラグには、所定値以上の電流の供給を遮断可能なヒューズが内蔵された請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブル用耐火コネクタ。
- 上記ヒューズは、上記ソケットの電極部材とこれに対応する上記プラグの電極部材との間に配設されたコイルばねにより付勢されてこれら電極部材間に挟持された請求項4に記載のケーブル用耐火コネクタ。
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