JP2008225112A - 光学シート、照明装置及び液晶表示装置 - Google Patents

光学シート、照明装置及び液晶表示装置 Download PDF

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暢高 佐藤
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Toshishige Shibazaki
利成 柴崎
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Abstract

【課題】 光出射面が傷つき難く且つ集光特性に優れた光指向性制御用の光学シートを提供する。
【解決手段】 光透過性を有するシート状の基材と、基材上に形成され且つ複数のスリットを有する光指向性制御層とを備え、複数のスリットが互いに平行に形成されており、スリットが基材の厚さ方向に対して傾斜しており、且つ、スリットの幅が入射光線の波長以上であることを特徴とする光学シートを提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は入射光の指向性を制御する光学シート並びにそれを用いた照明装置及び液晶表示装置に関する。
近年、ディスプレイや光通信など多くの分野で、進行方向がある程度広がった光線を一定の進行方向に揃える技術、すなわち、光線の指向性を制御するための技術が求められている。このような要求に応えるため、従来、シート上またはシート内に入射光の進行方向を所定の方向に揃える機能を有する光学構造体を設けた光指向性制御用の光透過性シートが広く用いられている。このようなシートの代表的な製品としてプリズムシートがある。
プリズムシートは、例えば液晶ディスプレイのバックライトユニットに用いられており、光源からの光を液晶表示面に均一に効率よく導くために用いられる。プリズムシートを備える従来の液晶表示装置の概略構成を図12に示した。液晶パネル7に光を照射するバックライトユニット1’は、図12に示すように、主に、光源2と、光源2からの光線を液晶表示面下に導く導光板3と、導光板3からの光線を拡散する拡散シート4と、拡散された光線の指向性を揃える2枚のプリズムシート5と、2枚のプリズムシート5を通過して指向性の揃った光線を僅かに拡散して均一にする拡散シート6とで構成される。図12に示したバックライトユニット1’は、光源2が導光板3の側部に配置されており、サイドライト方式のバックライトユニットである。なお、図12では、装置の構成を分かり易くするために各光学部材3〜7を離して描いているが、実際の装置では、各光学部材3〜7は接して設けられている。
プリズムシート5は典型的には、図13に示すような表面に鋸状の凹凸が形成されたシート部材であり、その表面に形成された凸部5a(プリズム部)は所定の方向(図13の例ではY方向)に延在している。そして、従来のバックライトユニット1’では、図13に示すようなプリズムシート5のプリズム部5aの延在方向が互いに直交するように2枚重ねて配置される。2枚のプリズムシート5をこのように2枚重ねて配置することにより、互いに直交する2つの方向(図13の例では、X方向及びY方向)に対して入射光線の指向性を揃える(制御する)ことができる。図13に示すようなプリズムシート5は、一般には、図13の構造に対応する凹凸が表面に形成された金型(雌型)を作製し、この型を用いて2P法あるいはホットエンボス法などの成型法で作製される(例えば、特許文献1参照)。
また、従来のプリズムシートは、ある程度拡散した光を集光するように設計されている。そのため、従来の液晶表示装置では、図12に示すように、導光板3とプリズムシート5との間に拡散シート4を設け、ある程度の指向性の揃った導光板3からの光線を拡散シート4で拡散して、ある程度散乱された光がプリズムシート5に入射するような構造になっている。
また、従来、プリズムシートをその凹凸面が導光板と対向するように設けた逆プリズム型のバックライトユニット及び表示装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この逆プリズム型のバックライトユニット及び表示装置に用いられるプリズムシートでは、図12及び13に示すような逆プリズム型でない通常のプリズムシートに比べて、プリズムシートの凸部(プリズム部)の頂角の角度が小さくなる、すなわち、プリズム部がより尖った形状になる傾向にある。
特開2003−1705号公報 特許第2965138号
近年、液晶表示装置及びバックライトユニット(照明装置)のより一層の薄型化が求められている。しかしながら、従来の液晶表示装置及び照明装置では、上述のように、光学シート群に少なくとも3枚の光学シート(プリズムシート2枚+拡散シート1枚)が必要となり、液体表示装置全体の薄型化には限界があった。
また、従来の液晶表示装置に用いられるプリズムシートでは、プリズム状の凸部の表面、すなわち、入射光線の指向性を制御する面が表に露出した状態となっているので、プリズムシートの光射出面(特にプリズム状の凸部の頂角部)が傷つきやすいという課題があった。特に、逆プリズム型の液晶表示装置に用いられるプリズムシートでは、上述したように、プリズム状の凸部がより尖った形状となるので、プリズム状の凸部の頂角部がより傷つきやすい。プリズムシートの光射出面に傷がつくと、集光特性の劣化、削りかすによる画像の欠落等の問題が生じる。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、液晶表示装置及び照明装置を薄型化することができる光学シート、照明装置及び液晶装置を提供することである。また、本発明の別の目的は、光出射面が傷つき難い光学シートを提供することである。
本発明の第1の態様に従えば、入射光線の指向性を制御する光学シートであって、光透過性を有するシート状の基材と、上記基材上に形成され且つ複数のスリットを有する光指向性制御層とを備え、上記複数のスリットが互いに平行に形成されており、上記スリットが上記基材の厚さ方向に対して傾斜しており、且つ、上記スリットの幅が入射光線の波長以上であることを特徴とする光学シートが提供される。
本発明の光学シートでは、基材の厚さ方向(基材表面に直交する方向)に対して傾斜したスリットが複数設けられた光指向性制御層が光透過性基材上に形成されているので、光学シートの基材側から光学シート内に斜め入射された光線をスリットを画成する光指向性制御層の側壁で全反射させて、光線の進行方向を変化させることができる。それゆえ、スリットの傾斜角を調整することにより、光学シートに斜め入射された光線の進行方向を任意の方向に変化させることができる。例えば、光学シートに斜め入射された光線の進行方向を光学シートの厚さ方向(基材表面に直交する方向)に変え、光指向性制御層の上面から光線が出射するように、入射光の進行方向を変えることができる。入射光の進行方向を光学シートの厚さ方向に変えるようにスリットの傾斜角が調整された光学シートを、例えば、液晶表示装置及び照明装置(バックライトユニット)の光指向性制御用の光学シートとして用いた場合、次のような効果が得られる。
上述したように、通常の液晶表示装置では、導光板から出射される光線はある程度指向性の揃った光線である。特に、図12に示したようなサイドライト方式のバックライトユニットでは、導光板から出射される光線の主な進行方向(光線の指向特性が最大となる方向)は、導光板の光射出面に直交する方向に対して所定角度に傾斜した方向となる。そこで、光学シートに斜め入射された光線の進行方向を光学シートの厚さ方向に変え且つ光指向性制御層の上面から出射されるようにスリットの傾斜角が調整された本発明の光学シートを、従来の光指向性制御用の光学シート群(拡散シート及び2枚のプリズムシート)の代わりに用いると、導光板の光射出面から光学シートの基材底面に斜め入射されるある程度指向性の揃った光線は、スリットを画成する光指向性制御部の側壁で全反射され、光線の進行方向を主に光学シートの厚さ方向で且つ液晶表示面に向かう方向に変えることができる。すなわち、上述のようにスリットの傾斜角が調整された本発明の光学シートを液晶表示装置及びバックライトユニットの光指向性制御用の光学シートとして用いた場合には、一枚の光学シートで、従来の光指向性制御用の光学シート群(拡散シート及び2枚のプリズムシート)と同じ機能が得られる。それゆえ、この場合には、液晶表示装置及びバックライトユニットを構成する光学シートの枚数を減らすことができるので、液晶表示装置及びバックライトユニットの薄型化及び低コスト化を図ることができる。なお、上述のように、本発明の光学シートは光線の反射により光線の進行方向を変化させる機能を主としており、光学シート自身の屈折等による集光効果は小さい。
また、従来の液晶表示装置では、導光板から出射されるある程度指向性の揃った光線を一旦拡散シートで散乱して、その散乱光を2枚のプリズムシートで集光する。それに対して、本発明の光学シートを光指向性制御用の光学シートとして用いた場合には、導光板から出射されるある程度指向性の揃った(集光特性の優れた)光線を散乱することなく、主に反射により光線の進行方向を変えるだけであるので、従来の光学シート群(拡散シート及び2枚のプリズムシート)に比べて、光路中の光線の損失が小さくなり、優れた輝度特性及び集光特性が得られる。
また、本発明の光学シートでは、入射光線の指向性を制御する光指向性制御層の側壁が光学シートの上面に露出しないので、入射光線の指向性を制御する光学面が傷つき難い。
また、本発明の光学シートでは、スリット幅を入射光線の波長以上とする必要がある。なお、本明細書でいう「入射光線の波長」とは、入射光線が、例えば白色光のように、波長領域に幅を有する光線の場合には、入射光線の長波長側の波長のことを意味し、入射光線が単色光である場合には入射光線の中心波長を意味する。それゆえ、例えば、液晶表示装置に用いられる光源に可視光(白色光)を用いた場合には、その長波長側の波長は約760〜830nmとなるので、液晶表示装置に用いる光学シートのスリット幅は、約760〜830nm以上とする必要がある。これは、スリット幅が入射光線の長波長側の波長より小さい場合、光線の一部の波長成分または全波長成分がスリットを画成する光指向性制御層の側壁で全反射せずスリットを素通りし、光線の指向性を十分に揃えることができず、十分な集光特性が得られないためである。
また、スリットの幅がスリットのピッチに対して広すぎる場合には、入射光線が直接スリット内に侵入する恐れがある。このような場合も、光線の指向性を十分に揃えることができず、集光特性を劣化させる恐れがある。それゆえ、スリット幅の上限は、2μm程度とすることが望ましい。
本発明の光学シートでは、上記基材の厚さ方向に対する上記スリットの傾斜角をθ、上記入射光線の指向特性が最大となる光線の進行方向と上記基材の厚さ方向との間の角度をα、そして、上記光指向性制御層の屈折率をnとしたとき、
θ=sin−1((sinα)/n)/2 (1)
の関係が成立することが好ましい。
入射光の基材の厚さ方向に対する入射角度α(以下、単に入射角αと称す)とスリットの傾斜角θとの間に上記式(1)が満たされるように、光学シートを設計することにより、スリットを画成する光指向性制御層の側壁で全反射して光指向性制御層の上面から出射される光線の進行方向は、光学シートの厚さ方向(光指向性制御層の上面に対して直交する方向)になる。なお、上記式(1)の関係は、後述するように、理論的な幾何学解析から求めた式である。
本発明の光学シートでは、上記スリットの深さをt、上記基材の厚さ方向に対する上記スリットの傾斜角をθ、上記入射光線の指向特性が最大となる光線の進行方向と上記基材の厚さ方向との間の角度をα、上記光指向性制御層の屈折率をn、そして、上記スリット間の距離をaとしたとき、
t≧a/[tan{sin−1((sinα)/n)}−tanθ] (2)
の関係が成立することが好ましい。
なお、ここでいう「スリット間の距離a」は、スリットのピッチとスリット幅との差である。ただし、スリット幅が、スリットの傾斜方向に沿って均一でない場合(後述する実施例1のような場合)には、スリット間の距離aは、スリットのピッチとスリット幅の平均値との差とする。
上記式(2)は、入射角αで光指向性制御層に入射する光が、必ず、スリットを画成する光指向性制御層の側壁で反射される条件を表した関係式である。上記式(2)を満足するように、光指向性制御層の厚さを設定した場合、入射角αで光指向性制御層に入射した光は、直接光指向性制御層の上面から出射することはなく、必ず光指向性制御層の側壁で全反射した後、光指向性制御層の上面から出射される。それゆえ、上記式(2)を満足するように、光指向性制御層の厚さを設定した場合、光指向性制御層に入射した光の進行方向を確実に変更させることができる。なお、上記式(2)の関係は、上記式(1)と同様に、理論的な幾何学解析から求めた式である。
本発明の光学シートでは、上記光指向性制御層の上面が略平坦であることが好ましい。この場合、光学シートの光射出面(光指向性制御層の上面)がより傷つき難くなる。
本発明の第2の態様に従えば、照明装置であって、光源と、第1の態様に従う光学シートと、上記光源から出射された光を上記光学シートに導くための導光板とを備える照明装置が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、液晶表示装置であって、光源と、第1の態様に従う光学シートと、上記光源から出射された光を上記光学シートに導くための導光板と、液晶表示素子とを備える液晶表示装置が提供される。
本発明の照明装置及び液晶表示装置では、本発明の光学シートを備えており、従来の照明装置及び液晶表示装置において導光板の光線の進行方向前方に設けられていた光学シート群(拡散シート及び2枚のプリズムシート)で得られる機能を1枚の本発明の光学シートで得ることができるので、照明装置及び液晶表示装置を構成する光学部材の数を減らすことができ、照明装置及び液晶表示装置の薄型化(小型化)及び低コスト化を図ることができる。
本発明の光学シートによれば、スリットの傾斜角を調整することにより、光学シートに斜め入射された光線の進行方向を任意の方向に変化させることができる。特に、入射光の進行方向を光学シートの厚さ方向に変え且つ光指向性制御層の上面から出射されるようにスリットの傾斜角が調整された本発明の光学シートを、液晶表示装置及び照明装置(バックライトユニット)の光指向性制御用の光学シートとして用いた場合には、一枚の光学シートで、従来の光指向性制御用の光学シート群(拡散シート及び2枚のプリズムシート)と同じ機能が得られる。また、この場合、比較的指向性(集光特性)の優れた光線を散乱することなく、主に反射により光線の進行方向を変えるだけであるので、従来の光学シート群(拡散シート及び2枚のプリズムシート)より光路中の光線の損失が少なくなり、優れた輝度特性及び集光特性が得られる。
また、本発明の光学シートによれば、入射光線の指向性を制御する光指向性制御層の側壁(スリットを画成する側壁)が表面に露出していないので、入射光線の指向性を制御する光学面が傷つき難い。
本発明の照明装置及び液晶表示装置によれば、本発明の光学シートを備えているので、照明装置及び液晶表示装置を構成する光学部材の数を減らすことができ、照明装置及び液晶表示装置の薄型化(小型化)及び低コスト化を図ることができる。
以下に、本発明の光学シート、照明装置及び液晶表示装置の実施例を図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施例1では、光源が白色光源(可視光)である場合に適用される光学シート並びにそれを用いたバックライトユニット(照明装置)及び液晶表示装置について説明する。
[光学シート及び液晶表示装置]
実施例1の光学シートの概略構成を図1に示した。この例の光学シート10は、図1に示すように、光透過性を有するシート状の基材10bと、基材10b上に形成された光学制御層10aとから構成される。光学制御層10aは、図1に示すように、基材10b上に形成されたベース層10dと、ベース層10d上に形成された光指向性制御層10cとからなり、光指向性制御層10c内には、基材10bの表面に直交する方向に対して所定の角度で傾斜し且つ面内の所定方向に延在したスリット10sが複数形成されている。なお、複数のスリット10sは、等ピッチで形成した。
また、この例の光学シート10を装着した液晶表示装置の概略構成図を図2に示した。この例の液晶表示装置100は、図2に示すように、主に、バックライトユニット1(照明装置)と、液晶表示板7(液晶表示素子)とから構成される。バックライトユニット1は、図2に示すように、光源2(白色LED)と、導光板3と、この例の光学シート10とからなる。この例の液晶表示装置100は、サイドライト方式とし、光源2を導光板3の側部に配置した。この例の液晶表示装置100では、図2に示すように、従来の液晶表示装置(図12参照)に比べて光学部材を減らすことができるので、装置の薄型化(小型化)及び低コスト化を図ることができる。なお、図2では、装置の構成を分かり易くするために各光学部材を離して描いているが、実際の装置では、各光学部材は接して設けられている。
この例で用いた導光板3は、射出成形で形成した。なお、導光板3の形成材料としては、一般に、ポリカーボネイト等が用い得る。また、導光板3の出射特性(光学シート10に入射される光線の指向特性)を図5に示した。図5中の横軸は、導光板3の光出射面3aに直交する方向に対する光線の出射角度であり、縦軸は光線の輝度比を示している。図5から明らかなように、この例の導光板3から出射される光線の指向性が導光板3の光出射面3aに直交する方向に対して約70度の角度で揃っていることが分かる。すなわち、この例の液晶表示装置100の構成では、光学シート10に入射される光線の指向特性が最大となる方向と基材10bの表面に直交する方向との間の角度αが約70度となっている。なお、この例の光学シート10の形成材料及び寸法等に関しては、後述する光学シートの作製方法の説明において詳述する。
ここで、この例の光学シート10及び液晶表示装置100における光線の集光原理を図2及び3を用いて説明する。図3(a)は、図2中の破線領域Aの拡大図であり、図3(b)は図2中の破線領域Aの光学シートの上面図である。光源2から出射された光は、導光板3を介して導光板3の光出射面3aから射出される。導光板3の光出射面3aから射出される光線の指向性は、図5にも示した通りある程度揃っており、導光板3の光出射面3aに直交する方向に対して所定の角度α(この例では約70度)の方向に出射される(図2中の光線101)。次いで、導光板3から出射された光線101は光学シート10に斜め入射され、まず、光学シート10の基材10bに入射した際に屈折する(図3(a)中の光線102)。次いで、基材10bで屈折した光線102はベース層10dを介して光指向性制御層10cに入射される。光指向性制御層10cに入射された光線102は、図3(a)に示すように、スリット10sを画成する光指向性制御層10c内の側壁10wで全反射され、光線の進行方向は光学シート10の厚さ方向(液晶表示面に直交する方向)で且つ液晶表示板7に向かう方向に変えられる(図2及び3(a)中の光線103)。この例の光学シートでは、導光板から出射されるある程度指向性の揃った(集光特性の優れた)光線を、主に反射によりその進行方向を変えるだけであるので、ある程度指向性の揃った光線が液晶表示板7に到達する。
すなわち、この例の光学シートでは、1枚の光学シートで、従来の液晶表示装置で用いられる光学シート群(拡散シート及び2枚のプリズムシート)と同じ機能が得られる。それゆえ、この例の液晶表示装置100では、従来の液晶表示装置(図10参照)に比べて光学部材を減らすことができるので、装置の薄型化(小型化)及び低コスト化を図ることができる。
また、この例の光学シート10では、導光板から出射されるある程度指向性の揃った光線101を散乱することなく、主に反射により光線の進行方向を変えるだけであるので、従来の光学シート群(拡散シート及び2枚のプリズムシート)に比べて、光路中の光線の損失が少なくなり、より優れた輝度特性及び集光特性が得られる。
[光学シートの作製方法]
次に、この例の光学シートの作製方法を図4を参照しながら説明する。まず、基材10bとして厚さ50μmのPETフィルムを用意した(図4中のステップS1)。なお、この例では、基材としてPETを用いたが、本発明はこれに限定されず、入射光を透過させる材料であれば任意の材料が用い得る(特に、透明性材料が好ましい)。例えば、PET以外では、ポリエチレン、ポリイミド、アクリル、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサリファイド、ガラス等が用い得る。
次いで、基材10b上に、透明レジスト(化薬マイクロケム社製SU−8)をスピンコーター(不図示)を用いて厚さ2μmで塗布した。次いで、幅が8μmの開口部が、ピッチ10μmで形成されたマスクを透明レジスト上に載置し、透明レジストを露光した。次いで、現像を行ない、開口部(露光部分)以外の透明レジストを除去した。このようにして、基材10b上に、光学制御層10aのベース層10dを形成した(図4中のステップS2)。この工程によりベース層10dには、図4に示すように、幅約2μmの基材露出部10eが約10μmのピッチで形成される。なお、この例では、ベース層10dの形成材料として透明レジストを用いたが、本発明はこれに限定されず、入射光を透過させる材料であれば任意の材料が用い得る(特に、透明性材料が好ましい)。例えば、透明レジスト以外では、フォトポリマー法(2P法)に用いる紫外線硬化樹脂、射出成形や押し出し成形に用いる熱可塑性樹脂等が用い得る。
次いで、表面にベース層10dが形成された基材10を真空蒸着装置(不図示)に装着した。この際、基材10bの表面に直交する方向と蒸気入射方向と間のなす角度が約21度となるように、基材10bを蒸気入射方向に対して傾けて装着した。次いで、斜め蒸着を行い、ベース層10d上に、光指向性制御層10cとして厚さ約20μmのSiO膜(屈折率n=1.46)を形成した(図4中のステップS3)。なお、成膜条件は、成膜前の到達真空度を1.0×10−5Torr、酸素ガス導入量を80sccm、成膜速度を2nm/secとした。この例では、以上のようにして図1に示すような光学シート10を作製した。
上記ステップS3により、光指向性制御層10c内には、図3(a)に示すように、基材10bの厚さ方向(基材表面に直交する方向)に対して所定の角度θ(この例では約21度)で傾斜したスリット10sが複数形成される。なお、ステップS3の工程では、斜め蒸着のシャドゥイング効果を利用して傾斜したスリット10sを形成するので、SiO膜は、ベース層10dの透明レジスト上に形成されるが、ベース層10d間の基材露出部10e上には形成されない。
また、この例の光学シート10の作製方法では、光指向性制御層10cを斜め蒸着により形成するので、光指向性制御層10cの上面のスリット10s間の幅(図3(a)中のa)は、ベース層10dの幅より若干広くなる。すなわち、スリット10sの幅はスリット10sの傾斜方向の上方に向かって若干狭くなる。この例の光学シート10では、スリット幅の平均値は約1.2μmであり、光指向性制御層10c内のスリット10s間の距離aの平均値は約8.8μmであった。なお、スリット10sのピッチは約10μmである。
なお、この例では、光指向性制御層10cとしてSiO膜を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、光指向性制御層10cの形成材料として、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化錫、ITO、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化セリウム、フッ化リチウムなどの透明無機材料、または、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンサリファイド、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネイトなどの透明高分子材料などの透明材料を用い得る。
また、この例では、光指向性制御層10cの作製方法として真空蒸着法を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、スパッタリング法、CVD法、スプレー塗布、溶着法、電着法などの成膜法を利用する方法、あるいはレジストを用いて光指向性制御層10c内に光学的にスリットを作製する方法、あるいは電子線を用いる方法、あるいは機械的にスリットを作製する方法など、任意の方法が用い得る。
[比較例1]
比較例1では、光学シートのベース層を形成する際に、幅9.7μmの開口部がピッチ10μmで形成されたマスクを用い、ベース層の厚さを0.6μmとした。それ以外は、実施例と同様にして光学シートを作製した。この例の光学シートでは、スリット幅の平均値は約0.1μmであった。そして、この例では、この例の光学シートを、図2に示した液晶表示装置100に装着した(実施例の光学シート10の代わりに比較例1の光学シートを装着した)。
[比較例2]
比較例2では、光学シートのベース層を形成する際に、幅9μmの開口部がピッチ10μmで形成されたマスクを用い、ベース層の厚さを2μmとした。それ以外は、実施例と同様にして光学シートを作製した。この例の光学シートでは、スリット幅の平均値は約0.55μmであった。そして、この例では、この例の光学シートを、図2に示した液晶表示装置100に装着した(実施例の光学シート10の代わりに比較例2の光学シートを装着した)。
[比較例3]
比較例3では、光線の指向性制御用の光学シートとして、従来と同様に、拡散シートと2枚のプリズムシートからなる光学シート群を用いた。拡散シートとしてはヘイズ75%、厚さ60μmのPETフィルム上に拡散剤を塗布したフィルムを用いた。プリズムシートとしては、厚さ50μmのPET製フィルムを用い、その表面には、頂角が90度のプリズム状の凸部を2P法により複数形成した。そして、この例では、この例の光学シート群を、図2に示した液晶表示装置100に装着した。具体的には、まず、拡散シートを導光板3上に配置し、その上に2枚のプリズムシートを配置した。この際、各プリズムシートのプリズム状の凸部の延在方向が互いに直交するように配置し、且つ、各プリズムシートの凹凸面が、液晶表示板7側に向くように配置した。すなわち、この例の液晶表示装置の構成は、図10に示した液晶表示装置の構成において、液晶表示板7と、プリズムシート5との間に配置した拡散シート6を除いた構成となる。
[光出射特性]
上記実施例1及び比較例1〜3で作製した光学シート及び光学シート群を装着した液晶表示装置を用いて、上記実施例1及び比較例1〜3で作製した光学シートの光出射特性を測定した。光源2には白色LEDを用いた。その結果を図6に示した。図6の横軸には、液晶表示面に直交する方向と光線の進行方向との間の角度であり、縦軸は、光線の各進行方向における輝度比である。横軸0度の輝度比は、液晶表示面に直交する方向に入射する光線成分の輝度比を表している。図6中の特性30(太実線の特性)は実施例1の光学シートの出射特性であり、特性31(細実線の特性)は比較例1の光学シートの出射特性であり、特性32(一点鎖線の特性)は比較例2の光学シートの出射特性であり、そして、特性33(破線の特性)は比較例3の光学シート群の出射特性である。なお、輝度比は散乱測定機(株式会社ジェネシア製)を用いて測定した。
実施例1の特性30及び比較例3の特性33では、ともに、角度0度で輝度比がピークとなり、集光効果が得られていることが分かる。しかしながら、実施例1の特性30と比較例3の特性33との比較から明らかなように、実施例1の特性30では、角度0度で輝度比が、比較例3の特性33に比べて大きくなり、角度0度付近における特性の変化も実施例1の特性30の方が急峻になっている。これは、実施例1の光学シートでは、比較例3の光学シート群より大きな集光効果が得られることを示している。これは、比較例3の光学シート群では、導光板から出射されたある程度指向性の揃った光線を一旦拡散シートで散乱して、その散乱光を2枚のプリズムシートで集光するのに対して、実施例1の光学シートでは、導光板から出射されるある程度指向性の揃った光線を散乱することなく、主に反射のみで光線の進行方向を変えるだけである(光路中の光線の損失が少ない)ためである。
上述のように、実施例1の特性30と比較例3の特性33との比較から、実施例1の光学シートでは、1枚の光学シートで、比較例3(従来)の光学シート群(拡散シート+2枚のプリズムシート)と同様の機能が得られ、且つ、比較例3より優れた集光効果(輝度特性)が得られることが分かった。また、比較例3の光学シート群は3枚の光学シートで構成され、光学シート群の厚さが約160μm(拡散シートの厚さ60μm、各プリズムシートの厚さ50μm)であるのに対して、実施例1では、1枚の光学シートで比較例3と同様の機能が得られ且つ光学シートの厚さは約72μm(基材の厚さ50μm、ベース層の厚さ2μm、光学制御層の厚さ20μm)であるので、実施例1の光学シートを用いた照明装置(バックライトユニット)及び液晶表示装置では、装置の薄型化(小型化)及び低コスト化を図ることができる。
図6中の比較例1の特性31では、出射特性31のピークが約70度付近にあり、比較例1の特性31は導光板の出射特性と同様の特性(図5)となっている。これは、比較例1の光学シートのスリット幅(0.1μm)が、光線(白色光)の短波長側の波長(約360〜400nm)より小さいので、導光板から光学シートに入射された光線が、スリットを画成する側壁で反射せず、そのまま光学シートを素通りして液晶表示面に到達していることを示している。
また、図6中の比較例2の特性32では、出射特性32にピークが0度付近と約70度付近に現れている。比較例2の光学シートではスリット幅を約0.55μmとし、光線(白色光)の波長範囲内の値にした。それゆえ、導光板から光学シートに入射された光線のうち、比較例2の光学シートのスリット幅より小さい波長成分は、スリットの側壁で全反射されて液晶表示面に対して垂直方向に到達するが、比較例2の光学シートのスリット幅より大きい波長成分は、スリットの側壁で反射されずそのまま光学シートを素通りして液晶表示面に到達する。その結果、比較例2の出射特性32には、図6に示すように、スリット幅より小さい波長成分の集光効果を示す0度付近のピークと、導光板からの光線の出射方向に対応する約70度付近のピークが現れる。
上記比較例1及び2の出射特性の結果から、光学シートのスリット幅は、光源の波長の長波長側の波長以上にする必要があることが分かった。
[スリットの傾斜角と正面輝度比の関係]
次に、図1及び3(a)に示した実施例1の光学シートにおいて、スリット10sの傾斜角θのみを変化させた際の正面輝度比の変化を調べた。具体的には、スリット10sの傾斜角θを0度〜35度の範囲で変化させた種々の光学シートを作製し、各光学シートを図2に示した液晶表示装置に装着して正面輝度比を測定した。その結果を図7に示した。なお、正面輝度比の測定には、散乱測定機(株式会社ジェネシア製)を用いた。
図7の特性から明らかなように、スリット10sの傾斜角θが約20度の場合に正面輝度比が最大となることが分かった。また、図7の結果から、この例の光学シートでは、スリット10sの傾斜角θを約19度〜22度の範囲にすることにより正面輝度比が0.9以上となり良好な輝度特性が得られることが分かった。
[スリットの深さと正面輝度比との関係]
次に、図1及び3(a)に示した実施例1の光学シートにおいて、スリット10sの深さt(光指向性制御層10cの厚さ)のみを変化させた際の正面輝度比の変化を調べた。具体的には、光指向性制御層10c(SiO膜)の厚さtを3〜27μmの範囲で変化させた種々の光学シートを作製し、各光学シートを図2に示した液晶表示装置に装着して正面輝度比を測定した。その結果を図8に示した。
図8の特性から明らかなように、まず、スリット10sの深さt(光指向性制御層10cの厚さ)が増加すると正面輝度比も増大し、スリット10sの深さt=約18.5μm(図8中の破線で示した深さ)で、正面輝度比が0.92となり、このスリット深さを境にして、正面輝度比が飽和し始める。この結果から、実施例1の光学シートでは、スリット10sの深さtを約18.5μm以上とすることにより、良好な正面輝度比が安定して得られることが分かる。スリット10sの深さtが約18.5μmより小さい場合に、正面輝度比が劣化する原因は、後述するように、スリット10sの深さが小さくなると、光学シートに入射された光線の一部がスリット10sを画成する光指向性制御層10cの側壁で反射せず、直接光指向性制御層10cの上面から出射され、集光性が劣化するためである。
[スリットの最適な構造]
ここで、本発明の光学シートにおけるスリットの最適な構造(傾斜角度θ、深さt)を、図9及び10を参照しながら、幾何学解析により求める。なお、図9に示した光学シートでは、光指向性制御層と基材との間にベース層を設けず、且つ、スリット幅がその傾斜方向に沿って均一である理想的な光学シートを考える。
まず、最適なスリットの傾斜角θを求める。ただし、ここでは、図9に示すように、光学シートに入射する光線(入射光)301の基材310の表面に直交する方向に対する入射角度をαとし、光学シートの屈折率がnの場合を考える。
入射光301が光学シートに入射されると、入射光301は、図9に示すように、基材310と空気との界面で屈折し、その屈折光302の進行方向の基材310の表面に直交する方向に対する角度βはsin−1((sinα)/n)となる。次いで、屈折光302はスリット312を画成する光指向性調整層311の側壁で全反射され、その反射光303の進行方向は、図9に示すように、基材310の表面に直交する方向に対して角度γ(=β−2θ)の方向に変わり、光指向性調整層311の上面から出射される。そこで、液晶表示面における正面輝度比を最大にするためには、反射光303の進行方向を液晶表示面に直交する方向に向ける必要がある。すなわち、反射光303の進行方向の角度γを0度にする必要がある。その場合、
γ=β−2θ=sin−1((sinα)/n)−2θ=0
θ=sin−1((sinα)/n)/2 (1)
の関係式が成立する。それゆえ、スリット312の傾斜角θを上記式(1)を満たすように設計すると、輝度特性(集光効果)の優れた光学シートが得られる。
上記式(1)を実施例の光学シートに適用してみると、実施例では、導光板から光学シートに出射される光の指向性は約70度(=α)であり(図5参照)、光指向性調整層の屈折率nは1.46であるので、実施例1の光学シートにおけるスリットの傾斜角θの最適値は、約20度となる。この計算結果は、図7で得られた測定結果と一致する。
次に、光学シートの光指向性制御層の厚さ(スリットの深さ)tの好適な範囲を求める。光学シートの光指向性制御層の厚さが薄い場合には、例えば、図10に示すように、光学シートの基材310の表面に直交する方向に対して、角度αで入射される光には、スリットを画成する光指向性制御層の側壁で全反射した後、光指向性制御層の上面から出射される光303と、スリットを画成する光指向性制御層の側壁で反射せず、直接光指向性制御層の上面に到達して出射される光303’が存在する。光303の進行方向は、図10に示すように、液晶表示面に向かう方向(図10上では上方向)となるが、光303’の進行方向は、液晶表示面に向かわない。すなわち、光学シートの光指向性制御層の厚さが薄い場合には、光の指向性を十分に揃えることができない。それゆえ、光学シートの光指向性制御層の厚さはある程度厚くする必要がある。
そこで、光学シートの光指向性制御層の厚さ(スリットの深さ)の下限値を図9を用いて幾何学解析により求める。図9に示した例は、光学シート内の屈折光302が、あるスリット312を画成する光指向性制御層311の側壁のうち光の進行方向前方側(図9上では右側)に位置する側壁と基材310との接続部P1を通過し、且つ、該スリット312の光の進行方向前方側に位置する隣のスリットを画成する光指向性制御層311の側壁のうち光の進行方向後方側(図9上では左側)に位置する側壁と光指向性制御層311の上面との接続部P2で全反射するような構成の光学シートである。図9に示した光学シートより光指向性制御層の厚さ(スリットの深さ)が薄くなると、光指向性制御層311の側壁と基材310との接続部P1を通過した屈折光302は、スリット312を画成する光指向性制御層311の側壁で反射せず、直接光指向性制御層311の上面から出射される(図10の光303’)。すなわち、図9は、入射角αで、光学シートに入射する光線(正確には、入射角βで光指向性制御層311の下面に入射する光線)が必ずスリットを画成する光指向性制御層311の側壁で全反射する場合の臨界条件を示した図面である。
基材310表面に直交する方向に対する屈折光302の進行方向の角度をβとすると、図9から、tanβとスリット312の深さtとの間には、tanβ=b/tの関係が成立する(ただし、bは、図9に示すように、接続部P1と接続部P2との基材面内方向の距離である)。また、スリット312の傾斜角θと、スリット312の深さtとの間には、図9から、tanθ=(b−a)/tの関係が成立する。この2つの関係式から、bを消去すると、
t=a/(tanβ−tanθ)
の関係式が得られる。そして、この関係式に上記式(1)を代入すると、
t=a/[tan{sin−1((sinα)/n)}−tanθ]
が得られる。それゆえ、スリット312の深さtを上記式の右辺以上の値に設定すると、すなわち、
t≧a/[tan{sin−1((sinα)/n)}−tanθ] (2)
となる関係式を満たすように、スリット312の深さtを設定すると、入射角αで光学シートに入射した光線が必ずスリットを画成する光指向性制御層311の側壁で全反射することになり、集光性の優れた光学シートが得られる。
上記式(2)を実施例の光学シートに適用してみると、実施例の光学シートでは、スリットの基材の表面に直交する方向に対する傾斜角θは約21度、入射光線の進行方向の分布が最大となる光線の進行方向と基材の表面に直交する方向との間の角度α(導光板から出射される光の方向)は約70度(図5参照)、光指向性制御層の屈折率nは約1.46、及びスリット間の平均距離aは約8.8μmであるので、上記式(2)の右辺は約18.5μmとなる。すなわち、実施例1の光学シートにおけるスリット深さtの好適な範囲はt≧18.5μmとなる。このスリット深さtの下限値は、図8中の破線で示した、正面輝度比が飽和し始めるスリット深さとほぼ同じになる。
上述した幾何学解析及び実験結果の両方から、上記式(1)及び(2)の関係を満足するように光指向性制御層の複数のスリットを形成することにより、優れた集光効果が得られることが分かった。
[光学シートの表面に傷つきやすさの評価実験]
次に、実施例1及び比較例1〜3で作製した光学シート(比較例3ではプリズムシート)の光射出面の傷つきやすさについて調べた。具体的には、実施例1及び比較例1〜3で作製した光学シートの光射出面をナイロンたわしでこすり、光射出面の傷つき状態を目視で観測した。その結果を下記表1に示した。
Figure 2008225112
表1から明らかなように、光学シートの光射出面が略平坦である実施例1、比較例1及び比較例2の光学シートでは、傷は発生しなかったが、プリズムシートの光射出面が凹凸形状となっている比較例3では、プリズム部の頭頂部に傷が発生した。この結果から、光学シートの光射出面を実施例の光学シートのように略平坦にすることにより、光学シートの光射出面が傷つき難いことが分かった。
実施例2では、光源が単色光源である場合に適用される光学シート並びにそれを用いたバックライトユニット(照明装置)及び液晶表示装置について説明する。
実施例2では、光源に青色LEDを用いる場合の光学シートを作製した。この例では、上記比較例2の光学シートと同様の構造の光学シートを作製した。すなわち、光学シートのベース層を形成する際に、幅9μmの開口部がピッチ10μmで形成されたマスクを用い、ベース層の厚さを2μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして光学シートを作製した。この例の光学シートでは、スリット幅の平均値は約0.55μmであった。
また、この例の液晶表示装置は実施例1と同様の構成(図2に示した液晶表示装置100)とし、光源2に青色LED(中心波長470nm)を用い、光学シート10にはこの例の光学シートを用いた。それ以外の構成は、実施例1と同様とした。
[比較例4]
比較例4では、実施例2の液晶表示装置において、光源2に赤色LED(中心波長660nm)を用いた。それ以外は、実施例2と同様の構成とした。
実施例2及び比較例4の液晶表示装置において、光学シートの出射特性を実施例1と同様にして測定した。その結果を図11に示した。図11の横軸には、液晶表示面に直交する方向と光線の進行方向との間の角度であり、縦軸は、光線の各進行方向における輝度比である。横軸0度の輝度比は、液晶表示面に直交する方向に入射する光線成分の輝度比を表している。なお、比較のため、比較例2の液晶表示装置(実施例2の光学シートと白色光源の組み合わせ)における出射特性も図11に示した。図11中の特性40(太実線の特性)は実施例2の出射特性であり、特性41(破線の特性)は比較例4の出射特性であり、そして、特性32(一点鎖線の特性)は比較例2の出射特性である。
図11から明らかなように、実施例2の特性40では、実施例1と同様に、角度0度で輝度比がピークとなり、その特性の角度0度付近における変化も急峻になっており、大きな集光効果が得られることが分かった。
一方、図11中の比較例4の特性41では、出射特性41のピークが約70度付近にあり、導光板の出射特性と同様の特性(図5)となっている。これは、比較例4では、光学シートのスリット幅(約0.55μm)が、光線(赤色光)の中心波長(約660nm)より小さいので、導光板から光学シートに入射された光線が、スリットを画成する側壁で反射せず、そのまま光学シートを素通りして液晶表示面に到達していることを示している。
また、図11中の比較例2の特性32では、光学シートのスリット幅(約0.55μm)が、光線(白色光)の波長範囲内の値となるので、導光板から光学シートに入射された光線のうち、光学シートのスリット幅より小さい波長成分は、スリットの側壁で全反射されて液晶表示面に対して垂直方向に到達するが、光学シートのスリット幅より大きい波長成分は、スリットの側壁で反射されずそのまま光学シートを素通りして液晶表示面に到達する。その結果、比較例2の出射特性32には、図11に示すように、スリット幅より小さい波長成分の集光効果を示す0度付近のピークと、導光板からの光線の出射方向に対応する約70度付近のピークが現れる。
図11の結果から、光源に単色光を用いた場合には、光学シートのスリット幅は、光源の中心波長以上にする必要があることが分かった。
上記実施例1及び2では、複数のスリットを等間隔で形成した例を説明したが、本発明はこれに限定されない。必要とする光学特性、用途等に応じて、例えば、上記式(2)を満たすように、複数のスリットのピッチをランダムにしても良いし、複数種類のピッチで形成されたスリットを組み合わせても良い。
本発明の光学シートでは、従来の液晶表示装置に使用されている光学シート群(拡散シート及び2枚のプリズムシート)に比べてより大きな集光効果が得られる。また、本発明の光学シートはプリズムシートに比べて光出射面が傷つき難い。本発明の照明装置及び液晶表示装置では、光指向性制御用に光学部材に本発明の光学シートを用いているので、照明装置及び液晶表示装置を構成する光学部材の数を減らすことができ、照明装置及び液晶表示装置の薄型化(小型化)及び低コスト化を図ることができる。それゆえ、本発明の光学シート、照明装置及び液晶表示装置は、あらゆる用途の光学シート、照明装置及び液晶表示装置として好適である。
図1は、実施例1の光学シートの概略構成図である。 図2は、実施例1の液晶表示装置の概略構成図である。 図3は、実施例1の光指向性制御層の拡大図であり、図3(a)は図2中の破線領域Aの拡大断面図であり、図3(b)は上面図である。 図4は、実施例1の光学シートの作製方法の手順を示す図である。 図5は、実施例1で用いた導光板の出射特性を示した図である。 図6は、実施例1及び比較例1〜3の光学シートの出射特性を示した図である。 図7は、スリットの深さを変化させたときの正面輝度比の変化を示した図である。 図8は、スリットの傾斜角度を変化させたときの正面輝度比の変化を示した図である。 図9は、スリットの最適な構造を求めるために用いた光学シートの概略断面図である。 図10は、スリットの最適な構造を求めるために用いた光学シートの概略断面図である。 図11は、実施例2、比較例2及び比較例4の光学シートの出射特性を示した図である。 図12は、従来の液晶表示装置の概略構成図である。 図13は、従来のプリズムシートの概略構成図である。
符号の説明
1 バックライトユニット
2 光源
3 導光板
7 液晶表示板
10 光学シート
10a 光学制御層
10b 基材
10c 光指向性制御層
10s スリット
100 液晶表示装置

Claims (6)

  1. 入射光線の指向性を制御する光学シートであって、
    光透過性を有するシート状の基材と、
    上記基材上に形成され且つ複数のスリットを有する光指向性制御層とを備え、
    上記複数のスリットが互いに平行に形成されており、上記スリットが上記基材の厚さ方向に対して傾斜しており、且つ、上記スリットの幅が入射光線の波長以上であることを特徴とする光学シート。
  2. 上記基材の厚さ方向に対する上記スリットの傾斜角をθ、上記入射光線の指向特性が最大となる光線の進行方向と上記基材の厚さ方向との間の角度をα、そして、上記光指向性制御層の屈折率をnとしたとき、
    θ=sin−1((sinα)/n)/2
    の関係が成立することを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
  3. 上記スリットの深さをt、上記基材の厚さ方向に対する上記スリットの傾斜角をθ、上記入射光線の指向特性が最大となる光線の進行方向と上記基材の厚さ方向との間の角度をα、上記光指向性制御層の屈折率をn、そして、上記スリット間の距離をaとしたとき、
    t≧a/[tan{sin−1((sinα)/n)}−tanθ]
    の関係が成立することを特徴とする請求項1または2に記載の光学シート。
  4. 上記光指向性制御層の上面が略平坦であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学シート。
  5. 照明装置であって、
    光源と、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学シートと、
    上記光源から出射された光を上記光学シートに導くための導光板とを備える照明装置。
  6. 液晶表示装置であって、
    光源と、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学シートと、
    上記光源から出射された光を上記光学シートに導くための導光板と、
    液晶表示素子とを備える液晶表示装置。
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