本発明は、テスト時に任意の電子部品に対して適切な押圧力を印加することが可能なプッシャブロックを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、被試験電子部品の入出力端子をテストヘッドのソケットに押し付けてテストを行う際に、前記被試験電子部品に対して適切な押圧力を印加するためのプッシャに取り付けられて、前記ソケットの反対面から前記被試験電子部品に接触するプッシャブロックであって、前記被試験電子部品に接触する下面を有するベース部と、前記ベース部の上面から直角に突出するシャフトと、を備えたプッシャブロックが提供される(請求項1参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャは前記被試験電子部品の押圧方向の弾性力を有する弾性手段を有しており、前記シャフトは前記弾性手段に対向するように配置されていることが好ましい。
本発明によれば、被試験電子部品の入出力端子をテストヘッドのソケットに押し付けてテストを行う際に、前記被試験電子部品に対して適切な押圧力を印加するためのプッシャに取り付けられて、前記ソケットの反対面から前記被試験電子部品に接触するプッシャブロックであって、前記被試験電子部品に接触する下面を有するベース部と、第1の長さを有し、前記ベース部の上面から直角に突出している第1のシャフトと、第2の長さを有し、前記ベース部の上面から直角に突出している第2のシャフトと、を備えたプッシャブロックことがより好ましい(請求項2参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記第1のシャフト及び前記第2のシャフトをそれぞれ複数備えており、前記ベース部の上面において、前記複数の第1のシャフトが第1の仮想円上に配置され、前記ベース部の上面において、前記複数の前記第2のシャフトが、前記第1の仮想円よりも半径の大きな第2の仮想円上に配置されていることが好ましい(請求項3参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記第1の仮想円は前記第2の仮想円の中に配置されていることが好ましく、前記第1の仮想円と前記第2の仮想円とは同心円に配置されていることが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記ベース部の上面の略中央に、固定用のネジ穴が形成されていることが好ましい(請求項4参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記固定用のネジ穴は、前記プッシャから突出しているボルトと螺合可能であることが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャブロックは前記プッシャに着脱可能に設けられていることが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャは、前記ソケットに対して接近離反移動可能に設けられたプッシャベースと、前記プッシャベースに固定されたリードプッシャベースと、前記プッシャベースと前記リードプッシャベースとの間に設けられ、前記被試験電子部品の押圧方向の弾性力を有する2以上の弾性手段と、を少なくとも備え、前記テスト時において、前記プッシャブロックに、前記2以上の弾性手段のうち少なくとも一つの弾性手段から弾性力が作用することが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャブロックは、上面から直角に突出する2以上のシャフトを有し、前記2以上のシャフトは、前記一のシャフトが、前記一のシャフトの中心軸を前記2以上の弾性手段のうちの一の弾性手段の底面に重ねるように配置され、前記他のシャフトが、前記他のシャフトの中心軸を前記2以上の弾性手段のうちの他の弾性手段の底面に重ねるように配置されたシャフトを含むことが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャは、前記プッシャブロックが取り付けられるロードベースをさらに有し、前記ロードベース及び前記弾性手段が、前記リードプッシャベースと前記プッシャベースとの間に挟まれており、少なくとも一つの前記シャフトが、前記ロードベースを貫通して、少なくとも一つの前記弾性手段に接触し、前記プッシャブロックが、前記プッシャベースに形成された開口部を介して、前記ロードベースに着脱可能に取り付けられていることが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャの前記各弾性手段は、互いに直径が異なるスプリングを有し、前記スプリングが前記ロードベースを中心に同軸状に配置されていることが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャの前記2以上の弾性手段が、互いに異なる弾性力を有する弾性手段を含むことが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャの前記2以上の弾性手段が、互いに異なる弾性係数を有する弾性手段を含むことが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャの前記2以上の弾性手段が、互いに異なる基本長を有する弾性手段を含むことが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャブロックは、前記2以上のシャフトのそれぞれの長さが異なる複数種のプッシャブロックを含むことが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャブロックは、前記シャフト以外の部分の鉛直方向の長さが異なる複数種のプッシャブロックを含むことが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記2以上のシャフトは、前記一のシャフトが、前記一の弾性手段に接触する長さを有し、前記他のシャフトが、前記他の弾性手段に接触する長さを有するシャフトを含むことが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記2以上のシャフトは、前記一のシャフトが、前記プッシャの前記一の弾性手段に接触する長さを有し、前記他のシャフトが、前記プッシャの前記他の弾性手段に接触しない長さを有するシャフトを含むことが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャの前記リードプッシャベースが開口部を有し、前記プッシャブロックが、前記ロードベースを貫通して取り付けられた固定手段により、前記ロードベースに着脱可能に固定され、前記リードプッシャベースの開口部を介して、前記固定手段が固定/解除されることにより、前記プッシャブロックの取り付け/取り外しが行われることが好ましい。
上記発明においては特に限定されないが、前記プッシャの前記固定手段が、ボルトを有することが好ましい。
本発明によれば、任意の被試験電子部品に適切な押圧力を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る電子部品試験装置の斜視図、図2は被試験ICの取り廻し方法を示すトレイのフローチャート、図3は同電子部品試験装置のICストッカの構造を示す斜視図、図4は同電子部品試験装置で用いられるカスタマトレイを示す斜視図、図5は同電子部品試験装置で用いられるテストトレイを示す部分分解斜視図、図6は図2の測定部におけるZ軸駆動装置、マッチプレート、テストトレイ及びソケットを示す断面図である。
なお、図2は本実施形態の電子部品試験装置における被試験ICの取り廻し方法を理解するための図であって、実際には上下方向に並んで配置されている部材を平面的に示した部分もある。従って、その機械的(3次元的)構造は図1を参照して説明する。
本実施形態の電子部品試験装置は、被試験ICに高温又は低温の温度ストレスを与えた状態でICが適切に動作するか否かを試験(検査)し、当該試験結果に応じてICを分類する装置であって、主としてハンドラ1とテストヘッド5と試験用メイン装置(図示せず)とで構成されている。当該電子部品試験装置によるこうした温度ストレスを与えた状態での動作テストは、試験対象となる被試験ICが多数搭載されたトレイ(以下、カスタマトレイKSTともいう。図4参照)から当該ハンドラ1内を搬送されるテストトレイTST(図5参照)に被試験ICを載せ替えて実施される。
このため、本実施形態のハンドラ1は、図1及び図2に示すように、これから試験を行う被試験ICを格納し、また試験済のICを分類して格納するIC格納部200と、IC格納部200から送られる被試験ICをチャンバ部100に送り込むローダ部300と、テストヘッドを含むチャンバ部100と、チャンバ部100で試験が行われた試験済みのICを分類して取り出すアンローダ部400とから構成されている。
テストヘッド5に設けられるソケット50は、図外のケーブルを通じて試験用メイン装置に接続され、ソケット50に電気的に接触させた被試験ICをケーブルを通じて試験用メイン装置に接続し、試験用メイン装置からの試験信号により被試験ICをテストする。なお、ハンドラ1の一部に空間部分が設けられており(図13の空間Sを参照)、当該空間部分にテストヘッド5が交換自在に配置され、ハンドラ1に形成された貫通孔を通して被試験ICをテストヘッド5上のソケット50に接触されることが可能となっている。そして、被試験ICの品種が変更される際には、当該品種の被試験ICの形状、ピン数に適したソケット50を有するテストヘッド5に交換される。
以下にハンドラ1について詳述する。
<IC格納部200>
IC格納部200には、試験前の被試験ICを格納する試験前ICストッカ201と、試験の結果に応じて分類された被試験ICを格納する試験済ICストッカ202とが設けられている。
これらの試験前ICストッカ201及び試験済ICストッカ202は、図3に示すように、枠状のトレイ支持枠203と、このトレイ支持枠203の下部から侵入して上部に向かって昇降可能とするエレベータ204とを具備して構成されている。トレイ支持枠203には、カスタマトレイKSTが複数積み重ねられて支持され、この積み重ねられたカスタマトレイKSTのみがエレベータ204によって上下に移動される。
そして、試験前ICストッカ201には、これから試験が行われる被試験ICが格納されたカスタマトレイKSTが積層されて保持される一方で、試験済みICストッカ202には、試験済みの被試験ICが適宜に分類されたカスタマトレイKSTが積層されて保持されている。
なお、これら試験前ICストッカ201と試験済ICストッカ202とは同じ構造とされているので、試験前ICストッカ201と試験済ICストッカ202とのそれぞれの数を必要に応じて適宜数に設定することが出来る。
図1及び図2に示す例では、試験前ストッカ201に2個のストッカSTK−Bを設け、またその隣にアンローダ部400へ送られる〜ストッカSTK−Eを2個設けるとともに、試験済ICストッカ202に8個のストッカSTK−1、STK−2、・・・、STK−8を設けて試験結果に応じて最大8つの分類に仕分けして格納できるように構成されている。つまり、良品と不良品の別の外に、良品の中でも動作速度が高速のもの、中速のもの、低速のもの、或いは不良の中でも再試験が必要なもの等に仕分けされる。
<ローダ部300>
上述したカスタマトレイKSTは、IC格納部200と装置基板105との間に設けられたトレイ移送アーム205によってローダ部300の窓部306に装置基板105の下側から運ばれる。そして、このローダ部300において、カスタマトレイKSTに積み込まれた被試験ICをX−Y搬送装置304によって一旦プリサイサ(preciser)305に移送し、ここで被試験ICの相互の位置を修正した後、さらにこのプリサイサ305に移送された被試験ICを再びX−Y搬送装置304を用いて、ローダ部300に停止しているテストトレイTSTに積み替える。
カスタマトレイKSTからテストトレイTSTへ被試験ICを積み替えるX−Y搬送装置304としては、図1に示すように、装置基板105の上部に架設された2本のレール301と、この2本のレール301によってテストトレイTSTとカスタマトレイKSTとの間を往復する(この方向をY方向とする)ことが可能な可動アーム302と、この可動アーム302によって支持され、可動アーム302に沿ってX方向に移動可能な可動ヘッド303とを備えている。
このX−Y搬送装置304の可動ヘッド303には、吸着ヘッド(不図示)が下向きに装着されており、この吸着ヘッドが空気を吸引しながら移動することで、カスタマトレイKSTから被試験ICを吸着し、その被試験ICをテストトレイTSTに積み替える。こうした吸着ヘッドは、可動ヘッド303に対して例えば8本程度装着されており、一度に8個の被試験ICをテストトレイTSTに積み替えることが出来る。
図5は本実施形態で用いられるテストトレイTSTの構造を示す分解斜視図である。このテストトレイTSTは、方形フレーム12に複数の桟13が平行且つ等間隔に設けられ、これら桟13の両側及び桟13と対向するフレーム12の辺12aに、それぞれ複数の取付片14が等間隔に突出して形成されている。これら桟13の間及び桟13と辺12aとの間と、2つの取付片14とによって、インサート収納部15が構成されている。
各インサート収納部15には、それぞれ1個のインサート16が収納されるようになっており、このインサート16はファスナ17を用いて2つの取付片14にフローティング状態で取り付けられている。このために、インサート16の両端部には、それぞれ取付片14への取付用孔21が形成されている。こうしたインサート16は、例えば1つのテストトレイTSTに、16×4個程度取り付けられている。
なお、各インサート16は、同一形状、同一寸法とされており、それぞれのインサート16に被試験ICが収納される。インサート16のIC収納部19は、収納する被試験ICの形状に応じて決められ、図5に示す例では方形の凹部とされている。
なお、一般的なカスタマトレイKSTにあっては、被試験ICを保持するための凹部が、被試験ICの形状よりも比較的大きく形成されているので、カスタマトレイKSTに格納された状態における被試験ICの位置は、大きなバラツキを有している。従って、この状態で被試験ICを吸着ヘッドに吸着し、直接テストトレイTSTに運ぶと、テストトレイTSTに形成されたIC収納凹部に正確に落とし込むことが困難となる。このため、本実施形態のハンドラ1では、カスタマトレイKSTの設置位置とテストトレイTSTとの間にプリサイサ305と呼ばれるICの位置修正手段が設けられている。このプリサイサ305は、比較的深い凹部を有し、この凹部の周縁が傾斜面で囲まれた形状とされているので、この凹部に吸着ヘッドに吸着された被試験ICを落とし込むと、当該傾斜面で被試験ICの落下位置が修正されることとなる。これにより、8個の被試験ICの相互の位置が正確に定まり、位置が修正された被試験ICを再び吸着ヘッドで吸着してテストトレイTSTに積み替えることで、テストトレイTSTに形成されたIC収納凹部に精度良く被試験ICを積み替えることが出来る。
<チャンバ部100>
上述したテストトレイTSTは、ローダ部300で被試験ICが積み込まれた後、チャンバ部100に送り込まれ、当該テストトレイTSTに搭載された状態で各被試験ICがテストされる。
チャンバ部100は、テストトレイTSTに積み込まれた被試験ICに目的とする高温又は低温の熱ストレスを印加する恒温槽(ソークチャンバ)101と、この恒温槽101で熱ストレスが印可された状態にある被試験ICをテストヘッド5に接触させる測定部(テストチャンバ)102と、測定部102で試験された被試験ICから、印加された熱ストレスを除去する除熱槽(アンソークチャンバ)103とで構成されている。なお、除熱槽103は、恒温槽101や測定部102と熱的に断絶することが好ましく、実際には恒温槽101と測定部102との領域に所定の熱ストレスが印加され、除熱槽103はこれらとは熱的に断絶されているが、便宜的にこれらをチャンバ部100と称する。
恒温槽101には、図2に概念的に示すように垂直搬送装置が設けられており、測定部102が空くまでのあいだ、複数枚のテストトレイTSTがこの垂直搬送装置に支持されながら待機する。主として、この待機中において、被試験ICに高温又は低温の熱ストレスが印加される。
測定部102には、その中央にテストヘッド5が配置され、テストヘッド5の上にテストトレイTSTが運ばれて、被試験ICの入出力端子をテストヘッド5のコンタクトピン51に電気的に接触させることによりテストが行われる。この構造等については後述する。
図6に示すように、テストチャンバ102を構成する密閉されたケーシング80の内部には、温調用送風装置90が装着されている。この温調用送風装置90は、ファン92、加熱用ヒータ94及び液体窒素を噴射するノズル96を有し、ファン92によりケーシング80内部の空気を吸い込み、加熱用ヒータ94又はノズル96を介してケーシング80の内部に温風又は冷風を吐き出すことで、ケーシング80の内部を、所定の温度条件(高温又は低温)にする。これにより、ケーシング80内部を、例えば室温〜160℃程度の高温、又は例えば−60℃〜室温程度の低温に維持することができるが、ケーシング80の内部温度は、例えば温度センサ82により検出され、ケーシング80の内部が所定温度に維持されるように、ファン92の風量及び加熱用ヒータ94による熱量又はノズル96による吐出量などが制御される。
なお、温調用送風装置90により発生した温風又は冷風は、図6に示されるようにケーシング80の上部をY軸方向に沿って流れ、温調用送風装置90と反対側のケーシング側壁に沿って下降し、マッチプレート60とテストヘッド5との間の隙間を通して、温調用送風装置90へと戻り、ケーシング内部を循環するようになっている。
一方、試験が終了したテストトレイTSTは、除熱槽103で除熱されて試験済ICの温度を室温に戻した後、アンローダ部400に搬出される。また、装置基板105にテストトレイ搬送装置108が設けられ、このテストトレイ搬送装置108によって、除熱槽103から排出されたテストトレイTSTは、アンローダ部400及びローダ部300を介して恒温槽101へ返送される。
以下に、測定部102で用いられるプッシャ30、マッチプレート60、Z軸駆動装置70について詳述する。
図7は本発明の実施形態に係る電子部品試験装置に用いられるプッシャ、マッチプレート、インサート、ソケットガイド及びコンタクトピンを有するソケットの構造を示す分解斜視図、図8は図7の断面図、図9(A)、図9(B)及び図9(C)は本発明の実施形態に係るプッシャガイドの平面図及び側面図を示す図、図10は図9(C)のプッシャブロックを装着したプッシャの断面図、図11は図8のプッシャ、ソケットガイド及びコンタクトピンの位置関係を示す断面図、図12は本発明の実施形態に係る電子部品試験装置に用いるマッチプレートの斜視図、図13は本発明の実施形態に係る電子部品試験装置へのマッチプレートの装着方法を説明するための斜視図、図14は本発明の実施形態に係る電子部品試験装置の測定部におけるZ軸駆動装置、マッチプレート、テストトレイ及びソケットを示す分解斜視図、図15は、本発明の実施形態に係る電子部品試験装置のチャンバの測定部におけるZ軸駆動装置の一例を示す断面図である。
プッシャ30は、テストヘッド5の上側に設けられており、後述するZ軸駆動装置70によって鉛直方向に上下移動して、被試験ICに適切な押圧力を印加する手段である。このプッシャ30は、一度にテストされる被試験ICの間隔に応じて(上記テストトレイTSTにあっては1列おきに4行の計32個)、後述するマッチプレート60に取り付けられている。
図7及び図8に示すように、プッシャ30は、Z軸駆動装置70の駆動プレート72に形成された押圧部74に押圧されて鉛直方向に上下移動するリードプッシャベース35及びプッシャベース34と、プッシャブロック31に弾性力を付与する2つのスプリング36、38と、当該スプリング36、38を支持するロードベース32と、固定用ボルト33により当該ロードベース32に着脱可能に取り付けられたプッシャブロック31とからなる。
リードプッシャベース35とプッシャベース34とは、図7及び図8に示されるように2本のボルトによって固定されており、プッシャベース34の両側には、後述するインサート16のガイド孔20及びソケットガイド40のガイドブッシュ41に挿入されるガイドピン34bが設けられている。また、プッシャベース34には、当該プッシャベース34がZ軸駆動手段70にて下降した際に、下限を規制するためのストッパガイド34cが設けられており、このストッパガイド34cは、後述するソケットガイド40のストッパ面42に当接することで、被試験ICを破壊しない適切な圧力で押し付けるプッシャの下限位置の基準寸法が決定される。リードプッシャベース35の上面の略中央部には、被試験ICの品種交換時にプッシャブロック31のみを着脱して交換するための貫通孔34aが形成されている。また、プッシャベース34の略中央部には、プッシャブロック31をロードベース32に取り付けるための開口部34aが形成されており、当該開口部34aの上面側の形状は、ロードベース32の最外周部の輪郭より若干大きな開口であり、当該開口部34aの下面側の形状は、ロードベース32の最外周部の輪郭より小さく、且つプッシャブロック31の最外周部の輪郭より若干大きく開口である。
なお、同図に示すように、プッシャブロック31及び被試験ICをコンタクトピン51に対して高精度で位置決めするために、各ソケット50の上にソケットガイド40が設けられており、テストトレイTSTにはインサート16が具備されている。各ソケットガイド40は、プッシャ30が押圧された際にプッシャベース34に具備されたガイドピン34bと嵌合する2つのガイドブッシュ41と、プッシャベース34に具備されたストッパガイド34cと当接する4つのストッパ面42とが形成されている。また、各インサート16には、プッシャ30が押圧された際にプッシャベース34に具備されたガイドピン34が挿入される2つのガイド孔が具備されている。そして、プッシャ30が押圧された際には、プッシャベース34に具備された2本のガイドピン34bが、インサート16に形成されたガイド孔20にそれぞれ挿入すると共に、ガイドソケット40に形成されたガイドブッシュ41にそれぞれ嵌合することにより、プッシャブロック31及び被試験ICのコンタクトピン51に対する高い位置決め精度を確保することが出来る。また、プッシャベース34に形成されたストッパガイド34cが、インサート16を貫通し、ソケットガイド40に形成されたガイド面42に当接することにより、プッシャの下限位置の基準寸法が決定され、被試験ICの破損等を防止する。
ロードベース32は、固定用ボルト33を貫通させるための貫通孔32aを中心に凸状の二段の円筒形状を有し、固定用ボルト33の頭部側の一段目の円筒形状は、第1リング37の開口部の内径より小さな外径を有し、二段目の円筒形状(以下、単に台座部ともいう。)は第2リング39の開口部の内径より大きな外径を有している。さらに、当該ロードベース32の台座部の下面には、プッシャブロック31から突出する5本のシャフト31a、31bが貫通する5つの貫通孔が形成されている。
第1リング37は、底面にロードベース32の一段目の外径より大きな開口部が形成された凹状の円筒形状であり、当該凹部で第1スプリング36を支持する。第2リング39は、その中心軸に沿って第1リング37が挿入可能な貫通孔が形成された凸状の円筒形状であり、当該凸部で第2スプリング38を支持する。そして、ロードベース32の台座部が、第1リング37を支持すると共に、第2リング39を支持する。
従って、ロードベース32、2つのスプリング36、38、2つのリング37、39の直径の関係は、[ロードベース32の一段目の外径]<[第1リング37の開口部の内径]<[第1スプリング36の外径]<[第1リング37の凹部一段目の内径]<[第1リング37の外径]<[第2リング39の貫通孔の内径]<[第2リング39の凸部一段目の外径]<[第2スプリング38の内径]<[ロードベース32の二段目の外径]の関係が成り立ち、内側からロードベース32、第1スプリング36、第2スプリング38の順で同軸状に配置される。
図9(A)は、例えば132ピンの被試験ICに適切な押圧力を印加するプッシャブロック31を示し、上側の図は平面図を示し、下側の図は側面図を示す。また、図9(C)は、図9(A)より少ない押圧力しか必要としない場合、例えば56ピンの被試験ICに適切な押圧力を印加するプッシャブロック31’’を示し、図9(B)は、図9(A)と図9(C)との間の押圧力を印加する事が可能なプッシャブロック31’を示し、何れの図においても上側の図は平面図を示し、下側の図は側面図を示す。なお、図9(A)、図9(B)及び図9(C)の上側の図における破線の円は、第1リング37及び第2リング39を示し、同図の下側の図における破線四角部は、ロードベースの台座部(凸形状の二段目)を示す。
図9に示すように、プッシャブロック31のベース部31cは、2段階の四角柱形状の金属材料等からなり、その上面には5本のシャフト31a、31bが鉛直上向きに突出するように取り付けられている。同図に示すように、3本の第1シャフト31aは、当該第1リング37の中心軸を内側に位置する第1スプリング36に取り付けられた第1リング37の底面と重ねるように配置されており、2本の第2シャフト31bは、当該第2リング39の中心軸を外側に位置する第2スプリング38に取り付けられた第2リング39の底面に重ねるように配置されている。そして、ロードベース32の台座部に形成された貫通孔を貫通する第1シャフト31aには、第1リング37を介して、第1スプリング36の弾性力が伝達され、ロードベース32の台座部に形成された貫通孔を貫通する第2シャフト31bには、第2リング39を介して、第1スプリング38の弾性力が伝達され、これらの弾性力がプッシャブロック31に付与される。
当該プッシャブロックのベース部31cの鉛直方向下段に位置する角柱形状は、上段の角柱形状より小さく、被試験ICを押圧するのに十分な外径を有しており、当該下段に位置する角柱形状の下面が被試験ICに接触してソケット50に押圧することがよりテストが遂行される。また、ベース部31cの上面の略中央には、固定用ボルト33により固定されるためのボルト固定孔が形成されている。
ここで、被試験ICのピンの数、長さ等の違いから、テスト時に被試験ICの品種毎に最適な押圧力が異なるため、当該プッシャブロック31は、各品種の被試験ICに適したものが被試験ICの品種毎に用意される。図9(A)に示す例えば132ピン仕様の被試験IC用のプッシャブロック31は、相対的に強い押圧力を必要とするため、第1シャフト31aの長さLa及び第2シャフト31bの長さLbをロードベース32の台座部を十分に貫通する長さとなっている。これにより第1スプリング36及び第2スプリング38の弾性力をプッシャブロック31に伝達可能となっている。
これに対して、図9(B)は、図9(A)の場合より弱い押圧力を印加することが可能なプッシャブロック31’を示しており、いずれのシャフト31a、31bもロードベース部32の台座部を十分に貫通する長さを有している。しかし、図9(A)の場合と比較して、シャフト31a、31bの長さは相対的に短くなっており(La>La’、Lb>Lb’)、当該シャフト31a、31bの押圧によるスプリング36、38の収縮量が少なくなるため、プッシャブロック31に得られる押圧力も減少する。
さらに、図9(C)に示す例えば56ピン仕様の被試験IC用のプッシャブロック31’’はさらに弱い押圧力でテストが遂行されるため、第1シャフト31aの長さLa’’はロードベース32の台座部を十分に貫通する長さとなっているが(La’>La’’)、第2シャフト31bの長さLb’’はロードベース32の台座部を貫通しない長さとしており(Lb’>Lb’’)、これにより、第1スプリング36の弾性力はプッシャブロック31に伝達されるが、第2スプリング38の弾性力は伝達されない。ちなみに、図10に、当該プッシャブロック31’’が装着されたプッシャ30の断面図を示す。
以上のように、プッシャに2つのスプリングを具備させることにより、一つのプッシャから幅広い押圧力を得ることが可能となる。また、プッシャからプッシャブロックのみを交換可能とすることにより、品種に対応したプッシャブロックを交換するのみで、被試験ICの品種変更に伴う被試験ICの形状、ピンの数及び長さ等に起因する押圧力に対応することが可能となる。なお、プッシャの大きさが許容するならば3個以上のスプリングを具備させても良く、これにより、被試験ICに印加する押圧力の調整可能範囲をさらに広げることが可能となる。
さらに、プッシャブロックのシャフトの長さを変化させることにより、2つのスプリングから得られる弾性力を調整することが可能となり、被試験ICに必要な押圧力に適切に対応することが可能となる。また、いずれかのシャフトを対応するスプリングに接触させないで、当該スプリングからの弾性力をプッシャブロックに付与しないことにより、品種毎の被試験ICに対応した押圧力をさらに適切に調整することも可能となる。
また、被試験ICの品種変更に伴って、当該品種変更時に被試験ICの厚さも変わる場合がある。この様な場合には、図9(A)及び図9(B)に示すように、ベース部31cの長さLcを変化させて、被試験ICの厚さに対応させることも可能である。
以上のように構成されるプッシャ30は、第1スプリング36を取り付けた第1リング37が、第2スプリング38を取り付けた第2リング39の開口部に挿入され、さらに、固定用ボルト33を挿入したロードベース32の一段目の円筒が第1リング37の開口部に挿入される。そして、ロードベース32、第1リング37、第2リング39の各底面が、プッシャベース34の開口部34aに挿入され、その上方からリードプッシャベース35を被せて、リードプッシャベース35とプッシャベース34とが2本のボルトにより固定される。さらに、プッシャベース34の開口部34aを介して、ロードベース32の底面に形成された貫通孔に、プッシャブロック31の5本のシャフトをそれぞれ挿入して、リードプッシャベース35の開口部35aよりレンチ等で固定用ボルト33を締め付けてプッシャブロック31を固定することにより、当該プッシャ30が組み立てられる。
被試験ICの品種交換時にプッシャブロック31を交換する際は、リードプッシャベース35に形成された開口部35aを介して、レンチ等により固定用ボルト33を緩めて外すことにより、プッシャブロック31のみがプッシャ30から脱着される。そして、品種変更後の被試験ICに適した他のプッシャブロック31を、プッシャベース34の開口部34aを介して、ロードベース32の底面の貫通孔に、シャフト31a、31bを挿入し、リードプッシャベース35の開口部35aを介して、レンチ等で固定用ボルト33を締め付けることにより、容易にプッシャブロック31を交換することが出来、プッシャ30の交換時間を著しく短縮することが可能となる。
図12に示すように、当該プッシャ30は、被試験ICの品種変更時に交換が容易になるように、8列×4列の32個のプッシャ30がマッチプレート60に取り付けられている。当該マッチプレート60は、略矩形の平板形状を有しており、プッシャ30のリードプッシャベース35を挿入するための装着孔66が、テストヘッド5上に配置されるソケット50と実質的に同一の配列及び個数で形成されている。
当該プッシャ30のマッチプレート60への取り付けは、まず、マッチプレート60に等間隔に形成された装着孔66に上方からリードプッシャベース35を取り付ける。この際、リードプッシャベース35の装着孔66と接触する面にはテーパが形成されており、また、装着孔66の開口側壁にも対応するテーパが形成されているため、マッチプレート60にリードプッシャベース35が支持される。次に、プッシャベース34に、第1スプリング36及び第1リング37と、第2スプリング38及び第2リング39と、固定用ボルト33及びロードベース32とを装着して、リードプッシャベース35の両側で当該プッシャベース34とボルトにより固定してマッチプレートに装着される。なお、図12には、スプリング36、38、リング37、39、固定用ボルト33及びロードベース32は図示していない。
さらに、プッシャ30が装着されたマッチプレート60は、テストヘッド5の上部に位置するように、且つプッシャ30とソケット50との間にテストトレイTSTが搬入可能となるように装着されている。具体的には、図13に示すように、駆動プレート72に垂下して固定されたレールRに差し込まれることでセットされ、この着脱操作は、測定部102のチャンバに設けられたドアDを開いて行われる。なお、図11はハンドラ1を背面から見た図である。被試験ICの品種変更時には、ドアDを開いてレールRからマッチプレート60を引き抜き、プッシャ30を取り外すことなく、当該マッチプレート60の各プッシャ30のプッシャブロック31のみを上述の要領で品種に対応したものに交換し、再度レールRにマッチプレート60を挿入することにより品種交換のプッシャの段取りが完了する。
チャンバ部100の測定部102は以下のように構成されている。
図14に示すように、テストヘッド5の上面には、ソケット50が、同図に示すテストトレイTST(図14においてY軸方向に4列、X軸方向に16列)に対して、例えばY軸方向に4列、X軸方向には1つおきに8列というふうに、被試験ICに対応した数(合計32個)で配置されている。なお、一つ一つのソケット50の大きさを小さくすることができれば、テストトレイTSTに保持されている全ての被試験ICを同時にテストができるように、テストヘッド5の上に、4列(Y軸方向)×16列(X軸方向)のソケット50を配置しても良い。
各ソケット50は、複数のコンタクトピン51を有し、このコンタクトピン51は、スプリングなどによって上方向にバネ付勢されている。従って、被試験ICを押し付けても、コンタクトピン51がソケット50の上面まで後退する一方で、被試験ICの全ての端子にコンタクトピン51が接触できるようになっている。また、各ソケット50の上には、プッシャ30及びインサート16の高精度名位置決めを確保するためにそれぞれソケットガイド40が設けられている。
ソケット50が設けられたテストヘッド5の上には、例えばベルト式コンベア等の搬送機構150によってテストトレイTSTが搬送されるが、一度にテストされる被試験ICの間隔に応じた数(上記テストトレイTSTにあっては、X軸方向に対しては一列置きに合計8列の計32個)のインサート16が、対応するソケット50の上に位置するようになっている。
さらに、当該テストトレイTSTの上に、32個のソケット50の上方に各プッシャ30が位置するように、プッシャ30が装着された上述のマッチプレート60が配置される。そして、テスト時にマッチプレート60に装着された各プッシャ30が押圧されると、当該各プッシャ30のプッシャベース34に具備されたガイドピン34bが、各プッシャ30の鉛直下方向に位置するインサート16のガイド孔20に挿入され、当該各インサート16の鉛直下方向に位置するソケットガイド40に形成されたガイドブッシュ41に嵌合して、テストトレイTSTに保持された32個の被試験ICが、対応するソケット50のコンタクトピン51に対して、高精度で位置決めされてテストが遂行される。
テストトレイTSTが搬送される測定部102のケーシング80の上部には、Z軸駆動装置70が設けられている。なお、ケーシング80の内壁には、断熱材84が装着されている。図15に示すように、二対の駆動軸78は、ケーシング80を貫通して、ケーシング80の上方に伸びており、その上端は、上部プレート110に連結されている。ケーシング80の上部には、一対の軸受け112が固定されており、これら軸受け112により、駆動軸78のZ軸方向移動が許容されている。
上部プレート110の略中央部には、ボールネジアダプタ114が固定されている。このアダプタ114には、雌ネジが形成されており、その雌ネジが主駆動軸116の雄ネジに螺合するようになっている。主駆動軸116の下端は、ケーシング80の内部に埋め込まれた回転軸受け118により回転自在に保持されており、その上端部は、支持フレーム130に装着された回転軸受け120により回転自在に保持されている。
支持フレーム130は、支持ロッド132によりケーシング80の上部に装着されている。主駆動軸116の上端は、支持フレーム130から上部に飛び出し、その部分に第1プーリ122が固定されている。また、この第1プーリ122に対して、所定距離離れて第2プーリ126が支持フレーム130の上部に配置されており、これらは動力伝達ベルト124により連結されている。
第2プーリ126の回転軸は、ギアボックス128に連結されており、ギアボックス128はステップモータ134の回転軸に連結され、ステップモータ134の回転軸が回転することにより、第2プーリ126が回転するようになっている。第2プーリ126が回転駆動されると、その回転力は、ベルト124を介して第1プーリ122へと伝達され、第1プーリ122が回転する。そして、第1プーリ122が回転すると、主駆動軸116も回転し、その結果、アダプタ114が駆動軸116の回転運動を直線運動に変換し、上部プレート110をZ軸方向に沿って移動させる。上部プレート110が移動すると、その駆動力は、駆動軸78を介して駆動プレート72へと伝達し、駆動プレート72をZ軸方向に沿って移動させる。
そして、この駆動プレート72のZ軸方向に沿った移動により、プッシャ30のリードプッシャベース35が押圧され、スプリング36、38が収縮してプッシャブロック31が被試験ICに適切な押圧力を印加する。
なお、同図に示すように、モータ134には、センサとしてエンコーダ136が内蔵又は別個に装着されており、モータ134の回転軸の回転量を計測可能になっている。そして、このエンコーダ136からの出力信号は、モータ制御装置140へ送出され、モータ制御装置140は、モータ134の駆動を制御するようになっている。
駆動プレート72の下面には、上述のマッチプレート60に表出したリードプッシャベース35に対応する数の押圧部74が固定(又は微動押圧可能)されており、マッチプレート60に保持されたリードプッシャベース35の上面を押圧するようになっている。なお、便宜的に図6の駆動プレート72には4列の押圧部74が示され、駆動軸78の数も一本であるが、実際には、図14及び図15に示すように、押圧部74がY軸方向に4列、X軸方向に8列配置され、駆動軸78の数も2本とされている。但し、これらの数は特に限定されない。
マッチプレート60には、ソケット50の数に対応して、複数(本例では4列×8列=32個)のリードプッシャベース35が微動可動に保持されており、このリードプッシャベース35の下端にプッシャ30がそれぞれ固定されている。従って、プッシャ30は、テストヘッド5又はZ軸駆動装置70の駆動プレート72に対して、Z軸方向に僅かに移動可能とされている。
なお、図6において、テストトレイTSTは、紙面に垂直方向(X軸)から、プッシャ30とソケット50との間に搬送されてくる。テストトレイTSTの搬送移動に際しては、Z軸駆動装置70の駆動プレート72は、Z軸方向に沿って上昇しており、プッシャ30とソケット50との間には、テストトレイTSTが搬入される十分な隙間が確保されている。
テストヘッド5に対して一度に接続される被試験ICは、図14に示すように4行×16列に配列された64個の被試験ICであれば、例えば、1列おきに8列の被試験ICが同時に試験される。つまり、一回目の試験では、1列目から1列おきに配置された32個の被試験ICをテストヘッド104のコンタクトピン51に接続して試験し、2回目の試験では、テストトレイTSTを1列分移動させて2列目から1列おきに配置された被試験ICを同様に試験することで全ての被試験ICを試験する。この試験の結果は、テストトレイTSTに付された例えば識別番号と、テストトレイTSTの内部で割り当てられた被試験ICの番号で決まるアドレスに記憶される。
<アンローダ部400>
アンローダ部400にも、ローダ部300に設けられたX−Y搬送装置304と同一構造のX−Y搬送装置404、404が設けられ、このX−Y搬送装置404、404によって、アンローダ部400に運び出されたテストトレイTSTから試験済のICがカスタマトレイKSTに積み替えられる。
図1に示されるように、アンローダ部400の装置基板105には、当該アンローダ部400へ運び込まれたカスタマトレイKSTが装置基板105の上面に臨むように配置される一対の窓部406、406が二対開設されている。
また、図示は省略するが、それぞれの窓部406の下側には、カスタマトレイKSTを昇降させるための昇降テーブルが設けられており、ここでは試験済みの被試験ICが積み替えられて満載となったカスタマトレイKSTを載せて下降し、この満載トレイをトレイ移送アーム205に受け渡す。
因みに、本実施形態の電子部品試験装置1では、仕分け可能なカテゴリーの最大が8種類であるものの、アンローダ部400の窓部406には最大4枚のカスタマトレイKSTしか配置することが出来ない。従って、リアルタイムに仕分け出来るカテゴリは4分類に制限される。一般的には、良品を高速応答素子、中速応答素子、低速応答素子の3つのカテゴリーに分類し、これに不良品を加えて4つのカテゴリーで充分ではあるが、例えば再試験を必要とするもの等のように、これらのカテゴリーに属さないカテゴリーが生じることもある。
このように、アンローダ部400の窓部406に配置された4つのカスタマトレイKSTに割り当てられたカテゴリー以外のカテゴリーに分類される被試験ICが発生した場合には、アンローダ部400から1枚のカスタマトレイKSTをIC格納部200に戻し、これに代えて新たに発生したカテゴリーの被試験ICを格納すべきカスタマトレイKSTをアンローダ部400に転送し、その被試験ICを格納すれば良い。但し、仕分け作業の途中でカスタマトレイKSTの入れ替えを行うと、その間は仕分け作業を中断しなければならず、スループットが低下するといった問題がある。このため、本実施形態の電子部品試験装置1ではアンローダ部400のテストトレイTSTとまで窓部406との間にバッファ部405を設け、このバッファ部405に稀にしか発生しないカテゴリーの被試験ICを一時的に預かるようにしている。
たとえば、バッファ部405に20〜30個程度の被試験ICが格納できる容量を持たせると共に、バッファ部405の各IC格納位置に格納されたICのカテゴリーをそれぞれ記憶するメモリを設けて、バッファ部405に一時的に預かった被試験ICのカテゴリーと位置とを各被試験IC毎に記憶しておく。そして、仕分け作業の合間又はバッファ部405が満杯になった時点で、バッファ部405に預かっている被試験ICが属するカテゴリーのカスタマトレイKSTをIC格納部200から呼び出し、そのカスタマトレイKSTに収納する。このとき、バッファ部405に一時的に預けられる被試験ICは複数のカテゴリにわたる場合もあるが、こうしたときは、カスタマトレイKSTを呼び出す際に一度に複数のカスタマトレイKSTをアンローダ部400の窓部406に呼び出せば良い。
次に作用について説明する。
チャンバ部100内のテスト工程において、被試験ICは、図5に示すテストトレイTSTに搭載された状態、より詳細には個々の被試験ICは、同図のインサート16のIC収納部19に落とし込まれた状態でテストヘッド5の上部に搬送されてくる。
テストトレイTSTがテストヘッド5において停止すると、Z軸駆動装置70が作動を始め、図7及び図8に示す一つのプッシャ30が一つのインサート16に対して下降してくる。そして、プッシャベース34の下面に形成された2本のガイドピン34b、34bは、インサート16のガイド孔20、20をそれぞれ貫通し、さらにソケットガイド40のガイドブッシュ41、41に嵌合する。
この状態を図8に示すが、テストヘッド5に固定されたソケット50及びソケットガイド40に対して、インサート16及びプッシャ30はある程度の位置誤差を有しているが、プッシャベース34のガイドピン32が、インサート16のガイド孔20との位置決めが行われ、さらに、インサート16のガイド孔20に挿入されたプッシャベース34のガイドピン34bは、ソケット50に取り付けられたソケットガイド40のガイドブッシュ41に嵌合し、その結果、プッシャ30に装着されたプッシャブロック31は、X−Y方向について適切な位置で被試験ICを押し付けることが出来る。
これに対して、Z軸方向については、プッシャベース34に形成されたストッパガイド34cと、ソケットガイド40のストッパ面42とがそれぞれ当接したときの被試験ICに作用する荷重が問題となり、この荷重が大きすぎると被試験ICの破損につながり、小さ過ぎるとテスト不能となる。従って、図11に示すように、プッシャベース34のストッパガイド34cとプッシャブロック31とのZ軸方向の距離b、コンタクトピン51とソケットガイド40のストッパ面42とのZ軸方向の距離cを精度良く作り込む必要があるが、これにも限度があり、しかも被試験IC自体の厚さaも大きく影響する。
しかしながら、本実施形態の電子部品試験装置は、プッシャブロック31による荷重を管理することで被試験ICに対する押圧力を均一化するものであり、これらの基準寸法a、b、cに誤差Δa、Δb、Δcが生じた場合でも、プッシャブロック31がスプリング36、38からの作用により被試験ICに対して弾性力を付与しながら誤差を吸収する。従って、被試験ICに過度の押圧力が印加したり、逆に、押圧力不足となることを防止することが出来る。
さらに、被試験ICの品種によって、当該被試験ICの形状、端子数、端子形状等は多様であり、被試験ICの品種交換時には、品種交換後の被試験ICの形状、端子数、端子形状等に適切なプッシャ30に変更する必要がある。
本発明の実施形態における電子部品試験装置に具備されたプッシャ30には2つのスプリング36、38が具備されており、プッシャブロック31の上面から突出するシャフト31a、31bの長さLa、Lbを変えることにより、当該スプリング36、38の弾性力を可変させることが出来る。従って、プッシャブロック31を除くプッシャ30の構成部品が取り付けられた一つのマッチプレート60に対して、被試験ICに適切な押圧力を印加することが可能な長さのシャフト31a、31bを有するプッシャブロック31を各品種毎に用意しておき、被試験ICの品種交換時に、プッシャブロック31のみを当該品種交換後の被試験ICに対応したプッシャブロック31に交換することで、被試験ICの品種交換時の容易な段取りが可能となる。なお、当該プッシャブロック31の交換は、リードプッシャブロック35の開口部35aを介して、レンチ等で容易に交換することが可能である。
従って、マッチプレートから全てのプッシャを一旦取り外し、各プッシャを分解して、スプリングを品種交換後の被試験ICに適切な押圧力で印加可能な弾性力を有するものに交換し、再度プッシャを組み立ててマッチプレートに装着する場合と比較して、本発明の実施形態におけるプッシャブロック31のみを交換する方法により被試験ICの品種交換時における交換時間を大幅に低減することが可能となる。
また、本発明の実施形態に係る電子部品試験装置のプッシャ30は、プッシャブロック31のベース部31cの長さLcを、被試験ICの厚さに対応させて設定することが出来る。これにより、被試験ICの厚さに対して適切なストローク管理を行うことも可能となり、品種交換前後において被試験ICの厚さが異なる場合でも、プッシャブロック31を交換するだけで対応することが可能となる。なお、被試験ICのパッケージの上部表面の形状が品種交換前後において異なる場合でも、プッシャブロック31のベース部31cの下面の形状で対応することが可能である。
これを代表的な実施例にて詳細に説明すると、実施例1として、端子数132本で適切な押圧力が単位端子当たり25gfである被試験ICに対して、2つの図8に示すようなプッシャ30のサンプルを作製した。当該プッシャ30のサンプルはいずれも、弾性係数250gf/mm、長さ19mmの第1スプリング36と、弾性係数200gf/mm、長さ16.5mmの第2スプリング38とを用いて作製した。なお、作製後の第1スプリングの基準長は15mmであり、第2スプリング38の基準長は14.4mmである。
また、プッシャブロック31は、図9(A)に示すような形状で、テスト時にスプリング36、38が0.2mm縮んだ状態で最適な押圧力を被試験ICに印加するように、第1シャフト31aの長さLaを7mm、第2シャフト31bの長さLbを4.7mm、ベース部31cの長さLcを7mmで作製した。なお、ロードベース32の台座部の厚さは2mmである。当該プッシャブロック31をプッシャ30に装着すると、第1スプリング36はさらに5mm、第2スプリング38はさらに2.7mm縮み、第1スプリング36により(19mm−10mm)×250gf/mm=2250gf/mm、第2スプリング38により(16.5−11.7mm)×200gf/mm=960gfの押圧力が得られ、結果として、プッシャブロック31の先端において、理論上、合計3210gfの押圧力が得られる。
そして、テスト時にはストローク0.2mm縮んだ状態で、第1スプリング36により(19mm−9.8mm)×250gf/mm=2300gf、第2スプリング38により(16.5−11.5mm)×200gf/mm=1000gfの押圧力が得られ、結果として、プッシャブロック31により被試験ICに対して理論上、計3300gfの適切な押圧力が発揮される。
このプッシャ30の2つのサンプルについて、押圧力の測定を行ったところ、図16に示すように、ストローク0.2mmにおいて、設計値である3300gf(=[端子数132]×[単位端子当たり25gf])に対して、サンプル1は約3240gf、サンプル2も約3240gfの荷重が得られていることが確認され、被試験ICに対して適切な押圧力を印加することが可能であることが明らかとなった。なお、これらの測定値は、設計値に対して60gf程度低い荷重となっているが、端子1本当たりの荷重に換算すると約0.45gfとなり、必要とする荷重25gfに対して小さな値であるので、十分に許容される範囲と考えられる。
また、実施例2として、端子数56本で適切な押圧力が単位端子当たり25gfである被試験ICに対して、2つの図10に示すようなプッシャ30のサンプルを作製した。当該プッシャ30のサンプルはいずれも、実施例1と同様に、弾性係数250gf/mm、長さ19mmの第1スプリング36と、弾性係数200gf/mm、長さ16.5mmの第2スプリング38とを用いて作製し、作製後の第1スプリングの基準長は15mm、第2スプリング38の基準長は14.4mmとした。
また、プッシャブロック31は、図9(C)に示すような形状で、テスト時にスプリング36、38が0.2mm縮んだ状態で最適な押圧力を被試験ICに印加するように、第1シャフト31aの長さLa’’を3.2mm、第2シャフト31bの長さLb’’を2mm、ベース部31cの長さLc’’を7mmで作製した。当該プッシャブロック31をプッシャ30に装着すると、第1スプリング36はさらに1.2mm縮んで13.8mmとなるのに対し、第2シャフト31bがロードベース32の台座部を貫通する長さを有しないため、第2スプリング38に接触せず、第2スプリング38には縮みは生じない。従って、第2スプリング38による弾性力は発生せず、第1スプリング36のみの弾性力によりプッシャブロック31の先端において、理論上(19mm−13.8mm)×250gf/mm=1300gf/mmの押圧力が得られる。
そして、テスト時にはストローク0.2mm縮んだ状態で、第1スプリング36によりプッシャブロック31の先端において、理論上(19mm−13.6mm)×250gf/mm=1350gfの押圧力が得られる。
このプッシャ30の2つのサンプルについて、押圧力の測定を行ったところ、図17に示すように、ストローク0.2mmにおいて、設計値である1350gf(=[端子数54]×[単位端子当たり25gf])に対して、サンプル1は約1340gf、サンプル2は約1345gfの荷重が得られていることが確認され、被試験ICに対して適切な押圧力を印加することが可能であることが明らかとなった。
また、上記の実施例1及び実施例2に用いられるプッシャブロック31以外のプッシャ30の各構成要素は同一形状のものを使用しているため、プッシャブロック31のみを交換することにより、被試験ICの品種交換時のプッシャ30の段取りを容易に対応することが可能となることも明白である。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。