JP2008223558A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの始動性を確保しながら排気エミッションを向上させる。
【解決手段】イグニッションスイッチがオンされた時点で、冷却水温に応じて始動時のTCV(タンブル制御弁)の開度を設定し、この始動時のTCV開度が閉じ側になるほど燃料噴射量と吸入空気量の減量割合を小さくする。この後、スタータがオンされた時点で、始動時のTCV開度に応じた減量割合で燃料噴射量と吸入空気量を補正する減量補正を開始する。これにより、TCVの閉じ側制御(燃焼状態の改善)による始動時のエンジン回転速度の急上昇を燃料噴射量と吸入空気量の両方の減量補正によって適度に抑制して、始動性を確保しながら、始動時にエンジン回転速度が上昇したときの空燃比のリッチずれを抑制する。この後、空燃比F/B制御の開始前のアイドル運転中に実エンジン回転速度と目標アイドル回転速度との比較結果に応じてTCV開度を補正して空燃比を制御する。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関の吸気通路に設けられた気流制御弁の開度を調整することで筒内の気流強度を制御する機能を備えた内燃機関の制御装置に関する発明である。
内燃機関の燃焼状態を改善して燃費や排気エミッションを向上させるために、内燃機関の吸気通路の一部を開閉する気流制御弁(例えばタンブル制御弁やスワール制御弁)を設け、この気流制御弁を閉じて吸入空気の流路を狭くして流速を速めることで、筒内の気流(例えばタンブル流やスワール流)の強度を強くして混合気の均一化を促進するようにしたものがある。
また、特許文献1(特許第3632680号公報)に記載されているように、内燃機関の吸気通路を開閉する開閉弁を備えたシステムにおいて、内燃機関の始動時に開閉弁の開度が大きいとき(開き側のとき)に、それが小さいとき(閉じ側のとき)に比べて燃料噴射量が多くなるようにしたものがある。
特許第3632680号公報(第1頁等)
上述した気流制御弁(例えばタンブル制御弁やスワール制御弁)を備えたシステムでは、図6に実線で示すように、内燃機関の始動時に気流制御弁の開度を閉じ側に制御して筒内の気流強度を強くすることで、噴射燃料の霧化を促進して燃焼状態を改善することができるため、内燃機関の始動性(回転速度の立ち上がり性)を向上させることができる。しかし、内燃機関の始動時に気流制御弁の開度を閉じ側に制御して始動性を向上させると、内燃機関の回転速度が急上昇して高くなり過ぎる(吹け上がり過ぎる)ことがある。このため、内燃機関の回転速度が急上昇したときに一時的に吸入空気量が不足して空燃比がリッチ方向にずれるリッチずれ量が大きくなって排気エミッションが悪化する可能性がある。
また、上記特許文献1の技術では、内燃機関の始動時に開閉弁の開度が大きいときに、燃料噴射量が多くなるようにしているが、燃料噴射量のみを変化させると、空燃比が適正値からずれて排気エミッションが悪化する可能性がある。
本発明は、これらの事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、内燃機関の始動性を確保しながら排気エミッションを向上させることができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の吸気通路に設けられた気流制御弁の開度を調整することで筒内の気流強度を制御する気流制御手段を備えた内燃機関の制御装置において、減量補正手段によって、内燃機関の始動時における気流制御弁の開度が閉じ側になるほど燃料噴射量と吸入空気量(例えばスロットル開度又はアイドル回転制御バルブの開度)をそれぞれ減量側に補正するようにしたものである。
このようにすれば、気流制御弁の閉じ側制御(燃焼状態の改善)による始動時の回転速度の急上昇を、燃料噴射量と吸入空気量の両方の減量補正によって適度に抑制することができる。これにより、内燃機関の始動性を確保しながら、始動時に回転速度が上昇したときの空燃比のリッチずれを抑制することができ、排気エミッションを向上させることができる。しかも、燃料噴射量と吸入空気量を両方とも減量補正するため、減量補正による空燃比のずれを効果的に抑制することができ、この面からも排気エミッションを向上させることができる。
この場合、請求項2のように、内燃機関の始動時における気流制御弁の開度を該内燃機関の冷機状態に応じて設定するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の温度が低くなるほど噴射燃料の霧化性が低下するのに対応して、始動時における気流制御弁の開度を閉じ側に制御して気流強度を強くすることができ、始動時における気流制御弁の開度(気流強度)を噴射燃料の霧化促進に必要な適正値に制御することができる。
また、気流制御弁の開度が閉じ側になるほど燃料噴射量と吸入空気量をそれぞれ減量側に補正する具体的な方法は、請求項3のように、内燃機関の始動時における気流制御弁の開度に応じて減量割合を設定し、該減量割合を用いて燃料噴射量と吸入空気量をそれぞれ減量側に補正するようにしても良い。このようにすれば、燃料噴射量と吸入空気量の両方を同じ減量割合で減量補正することができ、空燃比をあまり変化させずに燃料噴射量と吸入空気量を減量補正することができる。
ところで、内燃機関に供給する混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御を実行するシステムでは、所定の実行条件(例えば空燃比センサが活性状態であること等)が成立するまでは、空燃比フィードバック制御が開始されないため、請求項4,5のように、空燃比フィードバック制御の開始前に内燃機関の実回転速度と目標回転速度との比較結果に応じて気流制御弁の開度を変化させて筒内充填空気量を変化させることで混合気の空燃比を制御するようにしても良い。
一般に、空燃比フィードバック制御の開始前のアイドル運転中は、空燃比が目標空燃比よりもリッチになると実回転速度が目標回転速度よりも高くなり、空燃比が目標空燃比よりもリーンになると実回転速度が目標回転速度よりも低くなる。従って、実回転速度が目標回転速度よりも高回転側の場合には、空燃比が目標空燃比よりもリッチであると判断して、気流制御弁の開度を開き側に制御すれば、筒内充填空気量を増加させて空燃比をリーン方向に変化させて目標空燃比付近に制御することができると共に、実回転速度を低下させて目標回転速度付近に制御することができる。
一方、実回転速度が目標回転速度よりも低回転側の場合には、空燃比が目標空燃比よりもリーンであると判断して、気流制御弁の開度を閉じ側に制御すれば、筒内充填空気量を減少させて空燃比をリッチ方向に変化させて目標空燃比付近に制御することができると共に、実回転速度を上昇させて目標回転速度付近に制御することができる。これにより、内燃機関の始動直後で空燃比フィードバック制御の開始前でも、空燃比を目標空燃比付近に制御することができて、排気エミッションを向上させることができると共に、実回転速度を速やかに目標回転速度付近に収束させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20の下流部が各気筒の吸気ポート29に接続されている。
各気筒の吸気マニホールド20の下流部には、それぞれ吸気通路を上下に仕切る仕切板30が設けられ、この仕切板30によって上側通路31と下側通路32とが仕切り形成されている。各気筒の下側通路32の入口部には、それぞれ下側通路32を開閉するタンブル制御弁33(気流制御弁)が設けられ、このタンブル制御弁(以下「TCV」と表記する)33を閉じて上側通路31に吸入空気を流して吸入空気の流速を速めることで、筒内のタンブル流(縦方向の吸気旋回流)の強度を強くして混合気の均一化を促進して燃焼状態を改善するようにしている。
各気筒のTCV33は、共通のモータ(図示せず)によって開閉駆動されて、TCV33の開度が全開位置(例えば0°)から全閉位置(例えば90°)までの間で調整されるようになっている。尚、各気筒毎又は各気筒群毎にTCV33を個別のモータで開閉駆動するようにしても良い。
また、各気筒のTCV33の下流側には、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁21が取り付けられ、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管23には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられ、この排出ガスセンサ24の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒25が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ26や、エンジン11のクランク軸が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ27が取り付けられている。このクランク角センサ27の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
これら各種センサの出力は、制御回路(以下「ECU」と表記する)28に入力される。このECU28は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の燃料噴射量や点火プラグ22の点火時期を制御する。
また、ECU28は、図示しないアイドル回転速度制御ルーチンを実行することで、アイドル運転中に実アイドル回転速度を目標アイドル回転速度に制御するように吸入空気量(スロットル開度又はアイドル回転制御バルブの開度)をF/B(フィードバック)制御するアイドル回転速度制御を実行する。
更に、ECU28は、図示しない空燃比F/B制御ルーチンを実行することで、所定の実行条件(例えば排出ガスセンサ24が活性状態であること等)が成立したときに、排出ガスセンサ24で検出した空燃比を目標空燃比に制御するように燃料噴射量や吸入空気量(混合気の空燃比)をF/B制御する空燃比F/B制御を実行する。この機能が特許請求の範囲でいう空燃比フィードバック制御手段としての役割を果たす。
ところで、図6に実線で示すように、エンジン始動時にTCV33の開度を閉じ側に制御して筒内のタンブル流強度を強くすることで、噴射燃料の霧化を促進して燃焼状態を改善することができるため、エンジン11の始動性(エンジン回転速度の立ち上がり性)を向上させることができる。しかし、エンジン始動時にTCV33の開度を閉じ側に制御して始動性を向上させると、エンジン回転速度が急上昇して高くなり過ぎる(吹け上がり過ぎる)ことがある。このため、エンジン回転速度が急上昇したときに一時的に吸入空気量が不足して空燃比がリッチ方向にずれるリッチずれ量が大きくなって排気エミッションが悪化する可能性がある。
この対策として、ECU28は、後述する図2の始動時制御ルーチンを実行することで、次のような始動時制御を行う。
図5のタイムチャートに示すように、まず、イグニッションスイッチ(図示せず)がオンされてECU28の電源がオンされた時点t1 で、エンジン始動前の冷却水温(冷機状態の情報)に応じてエンジン始動時のTCV33の開度を設定する。この際、エンジン始動前の冷却水温が低くなるほどエンジン始動時のTCV33の開度が閉じ側になるように設定する。
更に、エンジン始動時のTCV33の開度に応じて燃料噴射量と吸入空気量(スロットル開度)の減量割合を設定する。この際、エンジン始動時のTCV33の開度が閉じ側になるほど燃料噴射量と吸入空気量の減量割合が小さくなる(減量補正量が大きくなる)ように設定する。
この後、スタータスイッチ(図示せず)がオンされてスタータ(図示せず)がオンされた時点t2 (エンジン11の始動が開始された時点)で、燃料噴射量と吸入空気量の両方の減量補正を開始して、エンジン始動時のTCV33の開度に応じた減量割合で燃料噴射量と吸入空気量をそれぞれ減量側に補正する。
これにより、TCV33の閉じ側制御(燃焼状態の改善)によるエンジン始動時のエンジン回転速度の急上昇を燃料噴射量と吸入空気量の両方の減量補正によって適度に抑制して、エンジン11の始動性を確保しながら、エンジン始動時にエンジン回転速度が上昇したときの空燃比のリッチずれを抑制する。
この後、エンジン始動後の経過時間が所定値A(例えば200ms)を越えた時点t3 で、空燃比F/B制御の開始前でアイドル運転中であれば、実エンジン回転速度と目標アイドル回転速度との比較結果に応じてTCV33の開度を補正して筒内充填空気量を補正することで混合気の空燃比を制御する。
具体的には、実エンジン回転速度が目標アイドル回転速度よりも所定値B(例えば200rpm)以上高い場合には、空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)よりもリッチであると判断して、TCV33の開度を開き側に補正することで、筒内充填空気量を増加させて空燃比をリーン方向に変化させて目標空燃比付近に制御すると共に、実エンジン回転速度を低下させて目標アイドル回転速度付近に制御する。
一方、実エンジン回転速度が目標アイドル回転速度よりも所定値C(例えば200rpm)以上低い場合には、空燃比が目標空燃比よりもリーンであると判断して、TCV33の開度を閉じ側に補正することで、筒内充填空気量を減少させて空燃比をリッチ方向に変化させて目標空燃比付近に制御すると共に、実エンジン回転速度を上昇させて目標アイドル回転速度付近に制御する。
この後、空燃比F/B制御の実行条件が成立して空燃比F/B制御実行フラグがオンされた時点t4 (空燃比F/B制御が開始された時点)で、燃料噴射量と吸入空気量の減量補正を終了する。
以上説明した本実施例の始動時制御は、ECU28によって図2の始動時制御ルーチンに従って実行される。以下、このプログラムの処理内容を説明する。
図2に示す始動時制御ルーチンは、ECU28の電源オン中(例えばイグニッションスイッチのオン後)に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、エンジン11を始動させるためのスタータ(図示せず)がオンされたか否かを判定し、まだスタータがオンされていなければ、エンジン始動前であると判断して、ステップ102に進み、図3に示すTCV開度のマップを参照して、現在(つまりエンジン始動前)の冷却水温(冷機状態の情報)に応じたエンジン始動時のTCV33の開度を設定する。図3に示すTCV開度のマップは、エンジン始動前の冷却水温が低くなるほどエンジン始動時のTCV33の開度が閉じ側になるように設定されている。これにより、エンジン11の温度が低くなるほど噴射燃料の霧化性が低下するのに対応して、エンジン始動時のTCV33の開度を閉じ側に制御して気流強度を強くするようにしている。尚、冷却水温に代えて、吸気温、外気温、油温等のエンジン始動前の冷機状態の情報となるパラメータを用いるようにしても良い。
この後、ステップ103に進み、図4に示す減量割合のマップを参照して、エンジン始動時のTCV33の開度に応じた燃料噴射量と吸入空気量(スロットル開度)の減量割合を設定する。図4に示す減量割合のマップは、エンジン始動時のTCV33の開度が閉じ側になるほど燃料噴射量と吸入空気量の減量割合が小さくなる(減量補正量が大きくなる)ように設定されている。
この後、上記ステップ101で、スタータがオンされたと判定された時点(エンジン11の始動が開始された時点)で、ステップ104に進み、燃料噴射量と吸入空気量の減量補正を開始して、エンジン始動時のTCV33の開度に応じた減量割合で燃料噴射量と吸入空気量をそれぞれ減量側に補正する。
その際、燃料噴射量に関しては、エンジン始動完了前は、燃料噴射弁21の噴射量(噴射時間)の始動前補正量に減量割合を乗算して燃料噴射量を減量補正し、エンジン始動完了後は、始動後補正量に減量割合を乗算して燃料噴射量を減量補正する。また、吸入空気量に関しては、スロットル開度(又はアイドル回転制御バルブの開度)のアイドル時補正量に減量割合を乗算して吸入空気量を減量補正する。
これにより、TCV33の閉じ側制御(燃焼状態の改善)によるエンジン始動時のエンジン回転速度の急上昇を燃料噴射量と吸入空気量の両方の減量補正によって適度に抑制して、エンジン11の始動性を確保しながら、エンジン始動時にエンジン回転速度が上昇したときの空燃比のリッチずれを抑制する。
この後、ステップ105で、空燃比F/B制御の開始前であるか否かを判定し、ステップ106で、アイドル運転中であるか否かを判定する。その結果、空燃比F/B制御の開始前でアイドル運転中であると判定された場合には、ステップ107に進み、エンジン始動後の経過時間が所定値Aを越えたか否かを判定する。ここで、所定値Aは、エンジン始動後にエンジン回転速度が安定するのに必要な時間であり、例えば200msに設定されている。
このステップ107で、エンジン始動後の経過時間が所定値Aを越えたと判定された時点で、ステップ108に進み、実エンジン回転速度が高回転側判定値(目標アイドル回転速度+所定値B)よりも低いか否かを判定する。この高回転側判定値は、目標アイドル回転速度よりも所定値B(例えば200rpm)だけ高い回転速度に設定されている。
このステップ108で、実エンジン回転速度が高回転側判定値(目標アイドル回転速度+所定値B)以上であると判定された場合には、空燃比が目標空燃比よりもリッチであると判断して、ステップ110に進み、TCV33の開度を開き側に補正する。これにより、筒内充填空気量を増加させて空燃比をリーン方向に変化させて目標空燃比付近に制御すると共に、実エンジン回転速度を低下させて目標アイドル回転速度付近に制御する。
一方、上記ステップ108で、実エンジン回転速度が高回転側判定値(目標アイドル回転速度+所定値B)よりも低いと判定された場合には、ステップ109に進み、実エンジン回転速度が低回転側判定値(目標アイドル回転速度−所定値C)よりも高いか否かを判定する。この低回転側判定値は、目標アイドル回転速度よりも所定値C(例えば200rpm)だけ低い回転速度に設定されている。
このステップ109で、実エンジン回転速度が低回転側判定値(目標アイドル回転速度−所定値C)以下であると判定された場合には、空燃比が目標空燃比よりもリーンであると判断して、ステップ111に進み、TCV33の開度を閉じ側に補正する。これにより、筒内充填空気量を減少させて空燃比をリッチ方向に変化させて目標空燃比付近に制御する共に、実エンジン回転速度を上昇させて目標アイドル回転速度付近に制御する。
また、上記ステップ108で実エンジン回転速度が高回転側判定値(目標アイドル回転速度+所定値B)よりも低いと判定され、且つ、上記ステップ109で実エンジン回転速度が低回転側判定値(目標アイドル回転速度−所定値C)よりも高いと判定された場合には、空燃比が目標空燃比付近であるため、TCV33の開度を補正する必要がないと判断して、TCV33の開度を現在の開度に維持したまま本ルーチンを終了する。
その後、上記ステップ106で、空燃比F/B制御の開始前ではない(空燃比F/B制御の開始後)と判定された場合、又は、上記ステップ106で、アイドル運転中ではないと判定された場合には、ステップ111に進み、燃料噴射量と吸入空気量の減量補正を終了する。
この場合、ステップ102、110、111の処理が特許請求の範囲でいう気流制御手段としての役割を果たし、ステップ103、104の処理が特許請求の範囲でいう減量補正手段としての役割を果たす。
以上説明した本実施例では、エンジン始動時のTCV33の開度が閉じ側になるほど燃料噴射量と吸入空気量(スロットル開度)をそれぞれ減量側に補正するようにしたので、TCV33の閉じ側制御(燃焼状態の改善)によるエンジン始動時のエンジン回転速度の急上昇を燃料噴射量と吸入空気量の両方の減量補正によって適度に抑制することができる。これにより、エンジン11の始動性を確保しながら、エンジン始動時にエンジン回転速度が上昇したときの空燃比のリッチずれを抑制することができ、排気エミッションを向上させることができる。しかも、燃料噴射量と吸入空気量を両方とも減量補正するため、減量補正による空燃比のずれを抑制することができ、この面からも排気エミッションを向上させることができる。
また、本実施例では、エンジン始動前の冷却水温(冷機状態の情報)が低くなるほどエンジン始動時のTCV33の開度が閉じ側になるようにしたので、エンジン温度が低くなるほど噴射燃料の霧化性が低くなるのに対応して、エンジン始動時のTCV33の開度を閉じ側に制御して気流強度を強くすることができ、エンジン始動時のTCV33の開度(気流強度)を噴射燃料の霧化促進に必要な適正値に制御することができる。
更に、本実施例では、エンジン始動時のTCV33の開度に応じて減量割合を設定し、この減量割合を用いて燃料噴射量と吸入空気量をそれぞれ減量側に補正するようにしたので、燃料噴射量と吸入空気量の両方を同じ減量割合で減量補正することができ、空燃比をあまり変化させずに燃料噴射量と吸入空気量を減量補正することができる。
また、本実施例では、空燃比F/B制御の開始前のアイドル運転中に、実エンジン回転速度が目標アイドル回転速度よりも高回転側の場合には、空燃比が目標空燃比よりもリッチであると判断して、TCV33の開度を開き側に補正することで、筒内充填空気量を増加させて空燃比をリーン方向に変化させると共に実エンジン回転速度を低下させ、一方、実エンジン回転速度が目標アイドル回転速度よりも低回転側の場合には、空燃比が目標空燃比よりもリーンであると判断して、TCV33の開度を閉じ側に補正することで、筒内充填空気量を減少させて空燃比をリッチ方向に変化させると共に実エンジン回転速度を上昇させるようにしたので、エンジン始動直後で空燃比F/B制御の開始前でも、空燃比を目標空燃比付近に制御することができて、排気エミッションを向上させることができると共に、実エンジン回転速度を速やかに目標エンジン回転速度付近に収束させることができる。
尚、上記実施例では、筒内にタンブル流(縦方向の吸気旋回流)を発生させるタンブル制御弁を備えたシステムに本発明を適用したが、筒内にスワール流(横方向の吸気旋回流)を発生させるスワール制御弁を備えたシステムに本発明を適用しても良い。
本発明の一実施例におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。 始動時制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 TCV開度のマップの一例を示す図である。 減量割合のマップの一例を示す図である。 本実施例の始動時制御の実行例を説明するタイムチャートである。 従来の始動時制御の実行例を説明するタイムチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管、26…冷却水温センサ、27…クランク角センサ、28…ECU(気流制御手段,減量補正手段,空燃比フィードバック制御手段)、33…タンブル制御弁(気流制御弁)

Claims (5)

  1. 内燃機関の吸気通路に設けられた気流制御弁の開度を調整することで筒内の気流強度を制御する気流制御手段を備えた内燃機関の制御装置において、
    内燃機関の始動時における前記気流制御弁の開度が閉じ側になるほど燃料噴射量と吸入空気量をそれぞれ減量側に補正する減量補正手段を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記気流制御手段は、内燃機関の始動時における前記気流制御弁の開度を該内燃機関の冷機状態に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記減量補正手段は、内燃機関の始動時における前記気流制御弁の開度に応じて減量割合を設定し、該減量割合を用いて燃料噴射量と吸入空気量をそれぞれ減量側に補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 内燃機関に供給する混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御を実行する空燃比フィードバック制御手段を備え、
    前記気流制御手段は、前記空燃比フィードバック制御の開始前に内燃機関の実回転速度と目標回転速度との比較結果に応じて前記気流制御弁の開度を変化させて筒内充填空気量を変化させることで混合気の空燃比を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  5. 内燃機関の吸気通路に設けられた気流制御弁の開度を調整することで筒内の気流強度を制御する気流制御手段と、内燃機関に供給する混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御を実行する空燃比フィードバック制御手段とを備えた内燃機関の制御装置において、
    前記気流制御手段は、前記空燃比フィードバック制御の開始前に内燃機関の実回転速度と目標回転速度との比較結果に応じて前記気流制御弁の開度を変化させて筒内充填空気量を変化させることで混合気の空燃比を制御することを特徴とする内燃機関の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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