JP2008223512A - スラストピストンポンプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラストピストンポンプ装置が備える運動変換機構にて生じ得るガタを簡単な構成で抑制し、ポンプ効率の低下を抑制すること。
【解決手段】スラストピストンポンプ装置は、シリンダ部材10とホルダ30の相対的な回転運動を往復動ピストン20の往復運動に変換させる運動変換機構40を備えている。運動変換機構40は、ホルダ30に一体的に設けられたカム(カム部材41)と、往復動ピストン20に対して径方向に移動可能かつシリンダ軸方向に一体的に移動可能に組付けられシリンダ部材10に対してシリンダ軸方向に移動可能かつ回転不能でカム(カム部材41)に係合するカムフォロア42を備えていて、カムフォロア42がカム(カム部材41)に圧接すべくポンプ室R1の流体圧をカムフォロア42に向けて導く導通路24が往復動ピストン20に設けられている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、スラストピストンポンプ装置、特に、シリンダ内孔を有するシリンダ部材と、このシリンダ部材の前記シリンダ内孔に対して同軸的に配置されシリンダ軸方向にて往復動可能に組付けられて前記シリンダ内孔内にポンプ室を形成する往復動ピストンと、前記シリンダ部材に対して同軸的に配置されかつ軸受を介して相対回転可能に組付けられたホルダと、前記シリンダ部材と前記ホルダの相対的な回転運動を前記往復動ピストンの往復運動に変換させる運動変換機構と、前記ポンプ室に流体を吸入可能な吸入通路と、前記ポンプ室から流体を吐出可能な吐出通路を備えたスラストピストンポンプ装置に関する。
この種のスラストピストンポンプ装置は、例えば、下記特許文献1の図1に示されていて、前記運動変換機構が、前記ホルダに一体的に設けられたカムと、前記往復動ピストンに対して径方向に移動可能かつシリンダ軸方向に一体的に移動可能に組付けられ前記シリンダ部材に対してシリンダ軸方向に移動可能かつ回転不能で前記カムに係合するカムフォロアと、このカムフォロアが前記カムに圧接すべく前記カムフォロアを前記カムに押圧するスプリングを備えている。
特開2006−283823号公報
上記した特許文献1の図1に記載されているスラストピストンポンプ装置では、運動変換機構の一構成部材として、前記カムフォロアを前記カムに押圧するスプリングが採用されている。ところで、上記したスプリングは、常に一定のばね力(組付け時のばね力)でカムフォロアをカムに押圧している。
このため、上記したスプリングのばね力が大きい場合には、当該ポンプ装置から吐出される流体の圧力が高い場合にも、カムフォロアをカムに的確に押圧することができて、シリンダ部材とホルダの相対的な回転運動を往復動ピストンの往復運動に的確に変換させることができる。しかし、この場合には、カムフォロアとカム間の摩擦損失が大きくて、特に、当該ポンプ装置から吐出される流体の圧力が低い場合に、ポンプ効率が低下するおそれがある。
一方、上記したスプリングのばね力が小さい場合には、カムフォロアとカム間の摩擦損失が小さくて、当該ポンプ装置から吐出される流体の圧力が低い場合のポンプ効率を改善し得る。しかし、この場合には、当該ポンプ装置から吐出される流体の圧力が高い場合に、カムフォロアをカムに的確に押圧することができなくて、カムフォロアがカムから往復動ピストンの径方向に押し戻されるおそれがあり、これに起因してポンプ効率が低下するおそれがある。
本発明は、上記した問題に対処すべくなされたものであり、シリンダ内孔を有するシリンダ部材と、このシリンダ部材の前記シリンダ内孔に対して同軸的に配置されシリンダ軸方向にて往復動可能に組付けられて前記シリンダ内孔内にポンプ室を形成する往復動ピストンと、前記シリンダ部材に対して同軸的に配置されかつ軸受を介して相対回転可能に組付けられたホルダと、前記シリンダ部材と前記ホルダの相対的な回転運動を前記往復動ピストンの往復運動に変換させる運動変換機構と、前記ポンプ室に流体を吸入可能な吸入通路と、前記ポンプ室から流体を吐出可能な吐出通路を備えたスラストピストンポンプ装置において、前記運動変換機構が、前記ホルダに一体的に設けられたカムと、前記往復動ピストンに対して径方向に移動可能かつシリンダ軸方向に一体的に移動可能に組付けられ前記シリンダ部材に対してシリンダ軸方向に移動可能かつ回転不能で前記カムに係合するカムフォロアを備えていて、前記カムフォロアが前記カムに圧接すべく前記ポンプ室の流体圧を前記カムフォロアに向けて導く導通路が前記往復動ピストンに設けられていること(請求項1)に特徴がある。
このスラストピストンポンプ装置においては、シリンダ部材とホルダの相対的な回転運動が運動変換機構により往復動ピストンの往復運動に変換されて、往復動ピストンがシリンダ軸方向にて往復動(ポンプ作動)する。これにより、ポンプ室の容積が増減して、吸入通路を通してポンプ室に吸入された流体がポンプ室から吐出通路を通して吐出される。
ところで、このスラストピストンポンプ装置においては、ポンプ室の流体圧が、往復動ピストンに設けた導通路を通して、カムフォロアに向けて導かれるため、ポンプ室の流体圧でカムフォロアをカムに圧接させることが可能である。このため、当該ポンプ装置の吐出圧に拘わらず、カムフォロアをカムに的確に(吐出圧が高い場合には高圧で、また、吐出圧が低い場合には低圧で)圧接させることが可能であり、ポンプ効率の向上を図ることが可能である。しかも、カムフォロアとカム間のガタを簡単な構成で(往復動ピストンに設けた導通路で)抑制することが可能である。
また、このスラストピストンポンプ装置においては、往復動ピストンがシリンダ軸方向にて往復動するときに、カムフォロアがカムから往復動ピストンの径方向に押し戻されることがあっても、そのときにはカムフォロアが往復動ピストンの径方向にてポンプ機能を発揮する(ポンプ室から導通路を通してカムフォロアに向けて導かれている流体をポンプ室に向けて押し戻す)ため、ポンプ効率の低減が抑制される。
また、本発明の実施に際して、前記カムはシリンダ軸方向に対して所定量傾斜した斜面カムであり、前記ポンプ室の流体圧により前記カムフォロアが受ける径方向荷重によるシリンダ軸方向の作用力は、前記ポンプ室の流体圧により前記往復動ピストンが受けるシリンダ軸方向荷重以上に設定されていること(請求項2)も可能である。
この場合には、ポンプ室の流体圧が如何なるときにも、カムフォロアがカムから往復動ピストンの径方向に押し戻されることがなくて、カムフォロアをカムに的確に圧接させることができ、カムフォロアとカム間のガタを的確に低減することが可能である。また、カムフォロアに作用する径方向荷重がポンプ室の流体圧に比例していて、スプリングでカムフォロアをカムに圧接させる場合(この場合には、ポンプ室の流体圧が如何なるときにも、カムフォロアをカムに的確に圧接させるべく、スプリングのばね力を大きく設定する必要があり、カムフォロアとカム間の摩擦損失は常に大きい)に比して、カムフォロアとカム間の摩擦損失を減少させることが可能であり、これに起因するポンプ効率の低下を抑制することが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記カムフォロアは、前記往復動ピストンに組付けられた荷重伝達ピストンと、この荷重伝達ピストンの先端部に転動可能に組付けられて前記カムに係合する転動体を備えていて、前記ポンプ室の流体圧を前記荷重伝達ピストンの転動体支持部に向けて導く連通孔が前記荷重伝達ピストンに設けられていること(請求項3)も可能である。この場合には、ポンプ室の流体圧が、荷重伝達ピストンに設けられている連通孔を通して、荷重伝達ピストンの転動体支持部に向けて導かれるため、転動体と荷重伝達ピストンの接触荷重を低減することができて、転動体と荷重伝達ピストン間での摺動抵抗および摩耗量を低減することが可能である。
この場合(請求項3)において、前記荷重伝達ピストンの先端部には前記転動体を転動可能に支持するテーパ面が形成され、前記荷重伝達ピストンに設けられている連通孔にはオリフィスが設けられていること(請求項4)も可能である。この場合には、テーパ面を大径とすることで、転動体と荷重伝達ピストンの接触荷重を低減することができ、また、オリフィス径を小径とすることで、転動体と荷重伝達ピストン間を通して低圧側へ漏れる流体の漏れ量を低減することができ、これらを両立させることが可能である。
また、この場合(請求項3)において、前記往復動ピストンに設けられている導通路を通して導かれる流体圧を受ける前記荷重伝達ピストンの受圧面積に対して、前記荷重伝達ピストンに設けられている連通孔を通して導かれる流体圧を受ける前記転動体の受圧面積は僅かに小さく設定されていること(請求項5)も可能である。この場合には、転動体と荷重伝達ピストンの接触荷重を小さくすること(転動体と荷重伝達ピストン間をシールするための荷重をゼロに近づけること)ができて、転動体と荷重伝達ピストン間での摩擦を低減することができ、耐摩耗性を向上させることが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記シリンダ部材が有するシリンダ内孔はシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設定された第1シリンダ内孔と第2シリンダ内孔の二つであり、前記往復動ピストンには、前記第1シリンダ内孔に嵌合されて第1のポンプ室を形成する第1ピストン部と、前記第2シリンダ内孔に嵌合されて第2のポンプ室を形成する第2ピストン部が一体的に設けられていること(請求項6)も可能である。
この場合には、第1ピストン部と第2ピストン部が往復動ピストンに一体的に設けられているため、当該ポンプ装置のコンパクト化が可能である。また、第1シリンダ内孔と第2シリンダ内孔がシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設定されているため、往復動ピストンのガイド長(支持スパン)を長くとることが可能であり、往復動ピストンとシリンダ部材間でのこじり力が抑制され、これに起因する当該ポンプ装置での機械的損失を減少させることが可能である。
この場合(請求項6)において、前記シリンダ部材における前記第1シリンダ内孔と前記第2シリンダ内孔間には前記往復動ピストンの外径より大径の収容内孔が形成されていて、この収容内孔と前記往復動ピストン間にはチャンバーが形成されており、このチャンバーと前記第1のポンプ室は第1の吸入通路で接続され、前記チャンバーと前記第2のポンプ室は第2の吸入通路で接続されていること(請求項7)も可能である。この場合には、チャンバーを共用化できるため、吸入ポートを二つのポンプ室用に別個に設定する必要がなく、単一の吸入ポートをチャンバーに連通させることで当該ポンプ装置の吸入経路をシンプルに構成することが可能である。
また、この場合(請求項6)において、前記カムフォロアは、前記第1のポンプ室の流体圧を受けて前記カムに圧接する第1カムフォロアと、前記第2のポンプ室の流体圧を受けて前記カムに圧接する第2カムフォロアで構成されていること(請求項8)も可能である。この場合には、各カムフォロアをそれぞれ最適にカムに圧接させることが可能であり、無用な摩擦損失および摩耗を低減することが可能である。
また、この場合(請求項6)において、前記カムフォロアは、互いに同軸的に配置されて前記カムにそれぞれ圧接する第1カムフォロアと第2カムフォロアで構成されていて、前記往復動ピストンには、前記第1のポンプ室と前記第2のポンプ室の何れか高圧側の流体圧を前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロアに導く切換弁が設けられていること(請求項9)も可能である。この場合には、前記第1のポンプ室と前記第2のポンプ室の何れか低圧側の流体圧が前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロアに導かれないようにすることが可能であり、第1カムフォロアと第2カムフォロアがカムから往復動ピストンの径方向に押し戻され難くして、各ポンプ室での吸入効率を向上させることが可能である。
この場合(請求項9)において、前記切換弁は、前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロア間に同軸的かつ軸方向に移動可能に介装された弁体と、前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロアにそれぞれ形成されて前記弁体が着座・離座可能な一対の弁座を備えていること(請求項10)も可能である。この場合には、前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロアを有効に活用して、前記切換弁をシンプルに構成することが可能である。
また、この場合(請求項9)において、前記切換弁は、前記往復動ピストンに設けられて前記第1のポンプ室に連通する第1導通路に介装され前記第1のポンプ室への流れを阻止する第1チェック弁と、前記往復動ピストンに設けられて前記第2のポンプ室に連通する第2導通路に介装され前記第2のポンプ室への流れを阻止する第2チェック弁で構成されていること(請求項11)も可能である。この場合には、第1カムフォロアと第2カムフォロア間に形成される圧力室を小さくすることができて、各カムフォロアのガイド長を十分に確保することが可能である。
この場合(請求項11)において、前記各チェック弁は、前記各ポンプ室での吐出工程終了時に、その弁体が前記往復動ピストンの往復運動による加速度により自閉するように配置されていること(請求項12)も可能である。この場合には、各チェック弁として、その弁体(例えば、ボール弁体)を弁座に向けて付勢するスプリングを備えていないチェック弁(所謂、ボールフリータイプのチェック弁)が使用可能であり、安価に実施することが可能である。また、各チェック弁の弁体が各ポンプ室での吐出工程終了時に自閉していて、各ポンプ室での吸入工程開始前に各チェック弁が閉じているため、各ポンプ室での吸入工程開始時に各チェック弁を通して各ポンプ室に流体が流れることがなくて、各ポンプ室での吸入効率を向上させることが可能である。
以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明によるスラストピストンポンプ装置の第1実施形態を示していて、この第1実施形態のポンプ装置PM1は電気モータMにて駆動可能な電動式のスラストピストンポンプ装置である。また、この第1実施形態のポンプ装置PM1には、アキュムレータACCが一体的に組付けられていて、ポンプ装置PM1から吐出される圧力流体(圧油)がアキュムレータACC内に蓄圧されるように構成されている。
ポンプ装置PM1は、図1および図2に示したように、シリンダ部材10と、このシリンダ部材10内に組付けた往復動ピストン20と、シリンダ部材10外に組付けたホルダ30と、シリンダ部材10および往復動ピストン20とホルダ30の相対的な回転運動を往復動ピストン20の往復運動に変換させる運動変換機構40としてのカム部材41と一対のカムフォロア42を備えている。また、ポンプ装置PM1は、吸入通路Piおよび吐出通路Poを備えている。
シリンダ部材10は、有底の円筒部11Aと環状のフランジ部11Bを有するメインシリンダ11と、このメインシリンダ11の円筒部11A内に組付けたサブシリンダ12によって構成されている。メインシリンダ11は、その円筒部11Aに、第1シリンダ内孔11aを有するとともに、一対の軸方向長孔11b、11bを有していて、電気モータMのモータハウジングMaに組付けられている。一対の軸方向長孔11b、11bは、往復動ピストン20と各カムフォロア42をシリンダ軸線方向(図示上下方向)に往復動可能にガイドするガイド手段であり、シリンダ部材10の周方向にて180度の間隔で形成されている。
また、メインシリンダ11の円筒部11Aには、往復動ピストン20の外径より大径の収容内孔11cが形成されている。また、メインシリンダ11は、その環状フランジ部11Bに、単一の吸入ポート11dを有するとともに、単一の吐出ポート11eを有していて、吸入ポート11dにはリザーバToが接続され、吐出ポート11eには油圧作動機器(図示省略)が接続されるように構成されている。
サブシリンダ12は、上記した第1シリンダ内孔11aに対してシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設けられた第2シリンダ内孔12aを有していて、メインシリンダ11の円筒部11Aにおける段付内孔内に大中小3個のシールリング13,14,15を介して液密的かつ同軸的に嵌合されており、アキュムレータACCのケーシングACCaに設けたプラグ部ACCa1によって抜け止めされている。サブシリンダ12の第2シリンダ内孔12aは、メインシリンダ11の第1シリンダ内孔11aと同一径で形成されている。
往復動ピストン20は、第1シリンダ内孔11aにシリンダ軸方向にて摺動可能に嵌合されて第1のポンプ室R1を形成する小径の第1ピストン部21と、第2シリンダ内孔12aにシリンダ軸方向にて摺動可能に嵌合されて第2のポンプ室R2を形成する小径の第2ピストン部22を有していて、各シリンダ内孔11a、12aに対して同軸的に配置されており、シリンダ部材10内にシリンダ軸方向にて往復動可能に組付けられている。第1ピストン部21は、第2ピストン部22と同一径(各ポンプ室R1,R2の流体圧を受ける面積が同一)で形成されている。
また、往復動ピストン20の大径軸部中央には、両端部が大径であり中間部が小径であって往復動ピストン20の径方向(図示左右方向)に貫通する段付内孔23が形成されていて、この段付内孔23には一対のカムフォロア42が同軸的に組付けられている。また、往復動ピストン20の軸心部には、各カムフォロア42がカム部材41に圧接すべく第1のポンプ室R1の流体圧(油圧)を各カムフォロア42に向けて導く第1導通路24が形成されるとともに、各カムフォロア42がカム部材41に圧接すべく第2のポンプ室R2の流体圧(油圧)を各カムフォロア42に向けて導く第2導通路25が形成されている。
第1導通路24は、シリンダ軸方向に沿って直線状に設けられていて、一端にて第1のポンプ室R1に連通するとともに、他端にて段付内孔23の中間部(小径孔部)に連通している。この第1導通路24は、第1のポンプ室R1の流体圧(油圧)を両カムフォロア42間に形成されている圧力室に導入可能であり、内部には第1のポンプ室R1への流れを阻止する第1チェック弁26が介装されている。第1チェック弁26は、第1のポンプ室R1での吐出工程終了時に、その弁体(ボール弁体)が往復動ピストン20の往復運動による加速度により自閉するように配置されている。
第2導通路25は、シリンダ軸方向に沿って直線状に設けられていて、一端にて第2のポンプ室R2に連通するとともに、他端にて段付内孔23の中間部(小径孔部)に連通している。この第2導通路25は、第2のポンプ室R2の流体圧(油圧)を両カムフォロア42間に形成されている圧力室に導入可能であり、内部には第2のポンプ室R2への流れを阻止する第2チェック弁27が介装されている。第2チェック弁27は、第2のポンプ室R2での吐出工程終了時に、その弁体(ボール弁体)が往復動ピストン20の往復運動による加速度により自閉するように配置されている。
また、往復動ピストン20の大径軸部には、段付内孔23の各段部に流体を自由に供給・排出させるための連通孔28,29がシリンダ軸方向に沿って形成されている。一方の連通孔28は、段付内孔23の一方の段部に連通するとともに、シリンダ部材10に形成されている収容内孔11cと往復動ピストン20間に形成されている内側のチャンバーRaに連通している。他方の連通孔29は、段付内孔23の他方の段部に連通するとともに、上記した内側のチャンバーRaに連通している。内側のチャンバーRaは、吸入通路Piを通してリザーバToに連通していて、内部には流体(作動油)が満たされている。
ホルダ30は、円筒状に形成されていて、シリンダ部材10の円筒部外周に同軸的に配置され、一対の軸受31,32と一対の環状シール部材33,34を介してシリンダ部材10に対して軸線Lo回りに回転可能かつ液密的に組付けられている。一対の軸受31,32は、軸方向に所定量離れて配置されていて、カム部材41を軸方向にて挟むようにしてシリンダ部材10とホルダ30間に介装されており、ホルダ30をシリンダ部材10に対して回転可能としている。
一対の環状シール部材33,34は、軸方向に所定量離れて配置されていて、カム部材41と両軸受31,32を軸方向にて挟むようにしてシリンダ部材10とホルダ30間に介装されており、シリンダ部材10とホルダ30間を液密的にシールしている。なお、シリンダ部材10とホルダ30間に形成されて軸受31,32とカム部材41等を収容する外側のチャンバーRbは、シリンダ部材10の軸方向長孔11b、11bを通してシリンダ部材10と往復動ピストン20間に形成されている内側のチャンバーRaに連通していて、内側のチャンバーRaと同様に内部には流体(作動油)が満たされている。
カム部材41は、シリンダ軸方向にて連接した一対のカムスリーブ41A,41Bによって構成されていて、ホルダ30に一体的に(軸方向に移動不能かつホルダ30とともに回転可能に)設けられており、ホルダ30に対して同軸的に配置されている。また、カム部材41は、環状で軸方向に変動のあるカム部41aを有していて、同カム部41aはカム溝であり、各カムフォロア42のボール42bが係合している。
カム溝41aは、各カムフォロア42のボール42bから軸線方向の荷重(図示上下方向の荷重)と径方向の荷重(図示左右方向の荷重)を受けるカム面(シリンダ軸方向に対して所定量傾斜した斜面カム)を有していて、このカム面は断面形状がV字形状であり、ホルダ30の周方向にて偶数周期(例えば、2周期)で形成されている。このため、カム部材41は、ホルダ30がシリンダ部材10および往復動ピストン20に対して一回転することにより、往復動ピストン20を偶数回往復動させることが可能である。
各カムフォロア42は、往復動ピストン20に組付けられた荷重伝達ピストン42aと、この荷重伝達ピストン42aの先端部に転動可能に組付けられてカム部材41のカム部41aに転動可能に係合するボール(転動体)42bを備えている。また、各カムフォロア42は、軸線Loに直交する径方向に延出する端部、すなわち、ボール42bにてカム部材41のカム部(カム溝)41aに係合していて、カム部材41に対して相対回転することによりシリンダ軸方向(図示上下方向)に移動する。
各荷重伝達ピストン42aは、段付形状に形成されていて、ボール側端部(大径部)がカップ形状に形成されていて、その先端部にはボール42bを転動可能に支持するテーパ面(ボール支持部)が形成されている。また、各荷重伝達ピストン42aの軸心部には、各ポンプ室R1,R2の流体圧をボール支持部に向けて導く小径の連通孔(オリフィス)42a1が設けられている。また、各荷重伝達ピストン42aでは、往復動ピストン20に設けられている各導通路24,25を通して導かれる流体圧を受ける小径部の受圧面積S1に対して、各荷重伝達ピストン42aに設けられている小径の連通孔(オリフィス)42a1を通して導かれる流体圧を受けるボール42bの受圧面積S2が僅かに小さく(S1>S2であり、S1−S2≒0である)設定されている。
吸入通路Piは、リザーバToと内側のチャンバーRaを接続する主吸入通路と、内側のチャンバーRaと第1のポンプ室R1を接続する分岐吸入通路、すなわち、第1の吸入通路Pi1と、内側のチャンバーRaと第2のポンプ室R2を接続する分岐吸入通路、すなわち、第2の吸入通路Pi2を備えている。第1の吸入通路Pi1には、第1の吸入チェック弁Vi1が介装されていて、第1の吸入チェック弁Vi1を通して第1のポンプ室R1に流体(作動油)が吸入可能である。第2の吸入通路Pi2には、第2の吸入チェック弁Vi2が介装されていて、第2の吸入チェック弁Vi2を通して第2のポンプ室R2に流体(作動油)が吸入可能である。
吐出通路Poは、油圧作動機器(図示省略)に接続される主吐出通路と、この主吐出通路と第1のポンプ室R1を接続する分岐吐出通路、すなわち、第1の吐出通路Po1と、主吐出通路と第2のポンプ室R2を接続する分岐吐出通路、すなわち、第2の吐出通路Po2を備えている。第1の吐出通路Po1には、第1の吐出チェック弁Vo1が介装されていて、第1の吐出チェック弁Vo1を通して第1のポンプ室R1から主吐出通路に圧力流体(圧油)を吐出可能である。
第2の吐出通路Po2には、第2の吐出チェック弁Vo2が介装されていて、第2の吐出チェック弁Vo2を通して第2のポンプ室R2から主吐出通路に圧力流体(圧油)を吐出可能である。また、主吐出通路に吐出された圧力流体(圧油)は、図1に示したように、アキュムレータACCのプラグ部ACCa1に設けた連通孔ACCa2を通してアキュムレータACC内に蓄圧可能であるとともに、油圧作動機器(図示省略)に向けて供給可能である。なお、油圧作動機器(図示省略)に向けて供給された圧力流体(圧油)はリザーバに還流するように構成されている。
電気モータMは、図1に示したように、ホルダ30をシリンダ部材10および往復動ピストン20に対して回転駆動するためのものであり、モータハウジングMa内に設けたマグネットMbと、ホルダ30の外周に装着したコイルMcと、このコイルMcに通電するためのブラシMd等を備えていて、その作動は電気制御装置ECUにより制御されるように構成されている。なお、電気モータMの構造は、上記した構造に限定されるものではなく、種々なものを採用することが可能である。
アキュムレータACCは、図1に示したように、シリンダ部材10の環状フランジ部11Bに固着したケーシングACCaと、このケーシングACCa内に組付けられて内部にガス室を形成し外部に蓄圧室を形成するベローズACCbを備えている。ベローズACCbは、図1の下端が閉塞されていて、図1の上端部にてケーシングACCaの上壁に気密的かつ液密的に固着されている。また、ベローズACCbは、内部に所定圧のガスが封入されていて、蛇腹部分にて図1の上下方向にて伸縮可能であり、収縮によりポンプ装置PM1から吐出される圧力流体(圧油)を蓄圧室内に蓄圧可能である。
上記のように構成した第1実施形態のポンプ装置PM1においては、電気モータMによってホルダ30が回転駆動されると、シリンダ部材10および往復動ピストン20とホルダ30の相対的な回転運動が運動変換機構40により往復動ピストン20の往復運動に変換されて、往復動ピストン20がシリンダ軸方向にて往復動(ポンプ作動)する。これにより、各ポンプ室R1,R2の容積がそれぞれ増減して、吸入通路Piを通して各ポンプ室R1,R2に吸入された流体(作動油)が各ポンプ室R1,R2から吐出通路Poを通して油圧作動機器(図示省略)に向けて吐出されるとともに、アキュムレータACCの蓄圧室内に蓄圧される。
ところで、この第1実施形態のポンプ装置PM1においては、各ポンプ室R1,R2の流体圧(油圧)が、往復動ピストン20に設けた各導通路24,25を通して、各カムフォロア42に向けて導かれるため、各ポンプ室R1,R2の流体圧(油圧)で各カムフォロア42をカム部材41に圧接させることが可能である。このため、当該ポンプ装置PM1の吐出圧に拘わらず、各カムフォロア42をカム部材41に的確に(吐出圧が高い場合には高圧で、また、吐出圧が低い場合には低圧で)圧接させることが可能であり、ポンプ効率の向上を図ることが可能である。しかも、各カムフォロア42とカム部材41間のガタを簡単な構成で(往復動ピストン20に設けた導通路24,25で)抑制することが可能である。
また、この第1実施形態のポンプ装置PM1においては、各カムフォロア42が、往復動ピストン20に組付けられた荷重伝達ピストン42aと、この荷重伝達ピストン42aの先端部に転動可能に組付けられてカム部材41に係合するボール42bを備えていて、各ポンプ室R1,R2の流体圧(油圧)を荷重伝達ピストン42aのボール支持部に向けて導く小径の連通孔42a1が荷重伝達ピストン42aに設けられている。このため、各ポンプ室R1,R2の流体圧(油圧)が、荷重伝達ピストン42aに設けられている連通孔42a1を通して、荷重伝達ピストン42aのボール支持部に向けて導かれる。したがって、荷重伝達ピストン42aとボール42bの接触荷重を低減することができて、荷重伝達ピストン42aとボール42b間での摺動抵抗および摩耗量を低減することが可能である。
また、この第1実施形態のポンプ装置PM1においては、荷重伝達ピストン42aの先端部にボール42bを転動可能に支持するテーパ面が形成され、荷重伝達ピストン42aに設けられている連通孔42a1が小径(オリフィス)とされている。このため、テーパ面を大径とすること(接触面積を大きくすること)で、荷重伝達ピストン42aとボール42bの接触荷重を低減することができ、また、オリフィス径を小径とすることで、荷重伝達ピストン42aとボール42b間を通して低圧側へ漏れる流体(作動油)の漏れ量を低減することができ、これらを両立させることが可能である。
また、この第1実施形態のポンプ装置PM1においては、各荷重伝達ピストン42aにて、往復動ピストン20に設けられている各導通路24,25を通して導かれる流体圧を受ける小径部の受圧面積S1に対して、各荷重伝達ピストン42aに設けられている小径の連通孔(オリフィス)42a1を通して導かれる流体圧を受けるボール42bの受圧面積S2が僅かに小さく(S1>S2であり、S1−S2≒0である)設定されている。このため、荷重伝達ピストン42aとボール42bの接触荷重を小さくすること(荷重伝達ピストン42aとボール42b間をシールするための荷重をゼロに近づけること)ができて、荷重伝達ピストン42aとボール42b間での摩擦を低減することができ、耐摩耗性を向上させることが可能である。
また、この第1実施形態のポンプ装置PM1においては、シリンダ部材10が有するシリンダ内孔はシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設定された第1シリンダ内孔11aと第2シリンダ内孔12aの二つであり、往復動ピストン20には、第1シリンダ内孔11aに嵌合されて第1のポンプ室R1を形成する第1ピストン部21と、第2シリンダ内孔12aに嵌合されて第2のポンプ室R2を形成する第2ピストン部22が一体的に設けられている。
このため、当該ポンプ装置PM1のコンパクト化が可能である。また、第1シリンダ内孔11aと第2シリンダ内孔12aがシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設定されているため、往復動ピストン20のガイド長(支持スパン)を長くとることが可能であり、往復動ピストン20とシリンダ部材10間でのこじり力が抑制され、これに起因する当該ポンプ装置PM1での機械的損失を減少させることが可能である。
また、この第1実施形態のポンプ装置PM1においては、シリンダ部材10における第1シリンダ内孔11aと第2シリンダ内孔12a間には往復動ピストン20の外径より大径の収容内孔11cが形成されていて、この収容内孔11cと往復動ピストン20間には内側のチャンバーRaが形成されており、チャンバーRaと第1のポンプ室R1は第1の吸入通路Pi1で接続され、チャンバーRaと第2のポンプ室R2は第2の吸入通路Pi2で接続されている。このため、当該ポンプ装置PM1の吸入経路にて内側のチャンバーRaを共用化できて、吸入ポートを二つのポンプ室用に別個に設定する必要がなく、単一の吸入ポート11dをチャンバーRaに連通させることで当該ポンプ装置PM1の吸入経路をシンプルに構成することが可能である。
また、この第1実施形態のポンプ装置PM1においては、往復動ピストン20の段付内孔23に同軸的に配置されてカム部材41にそれぞれ圧接する一対のカムフォロア42が採用されていて、往復動ピストン20には、第1のポンプ室R1と第2のポンプ室R2の何れか高圧側の流体圧を両カムフォロア42,42に導く第1チェック弁26と第2チェック弁27が設けられている。このため、第1のポンプ室R1と第2のポンプ室R2の何れか低圧側の流体圧が両カムフォロア42,42に導かれないようにすることが可能であり、各カムフォロア42,42がカム部材41から往復動ピストン20の径方向に押し戻され難くして、各ポンプ室R1,R2での吸入効率を向上させることが可能である。
また、上記した第1チェック弁26と第2チェック弁27が往復動ピストン20に設けられて各ポンプ室R1,R2に連通する各導通路24,25に介装されているため、両カムフォロア42,42間に形成される圧力室を小さくすることができて、各カムフォロア42のガイド長(各荷重伝達ピストン42aの往復動ピストン20に対する嵌合長さ)を十分に確保することが可能である。
また、上記した第1チェック弁26と第2チェック弁27は、各ポンプ室R1,R2での吐出工程終了時に、その弁体(ボール弁体)が往復動ピストン20の往復運動による加速度により自閉するように配置されているため、その弁体(ボール弁体)を弁座に向けて付勢するスプリングが不要であり、スプリングを備えていないチェック弁(所謂、ボールフリータイプのチェック弁)が使用可能であり、安価に実施することが可能である。
また、各チェック弁26,27の弁体が各ポンプ室R1,R2での吐出工程終了時に自閉していて、各ポンプ室R1,R2での吸入工程開始前に各チェック弁26,27が閉じているため、各ポンプ室R1,R2での吸入工程開始時に各チェック弁26,27を通して各ポンプ室R1,R2に流体が流れることがなくて、各ポンプ室R1,R2での吸入効率を向上させることが可能である。
図3は本発明によるスラストピストンポンプ装置の第2実施形態を示していて、この第2実施形態のポンプ装置PM2は電気モータMにて駆動可能な電動式のスラストピストンポンプ装置である。また、この第2実施形態のポンプ装置PM2には、アキュムレータACCが一体的に組付けられていて、ポンプ装置PM2から吐出される圧力流体(圧油)がアキュムレータACC内に蓄圧されるように構成されている。なお、電気モータMとアキュムレータACCの構成は上記した第1実施形態における電気モータMとアキュムレータACCの構成と同じであるため、同一符号を付して説明は省略する。
ポンプ装置PM2は、図3および図4に示したように、シリンダ部材110と、このシリンダ部材110内に組付けた往復動ピストン120と、シリンダ部材110外に組付けたホルダ130と、シリンダ部材110および往復動ピストン120とホルダ130の相対的な回転運動を往復動ピストン120の往復運動に変換させる運動変換機構140としてのカム部材141と第1のカムフォロア142および第2のカムフォロア143を備えている。また、ポンプ装置PM2は、吸入通路Piおよび吐出通路Poを備えている。
シリンダ部材110は、有底の円筒部111Aと環状のフランジ部111Bを有するメインシリンダ111と、このメインシリンダ111の円筒部111A内に組付けたサブシリンダ112によって構成されている。メインシリンダ111は、その円筒部111Aに、第1シリンダ内孔111aを有するとともに、一対の軸方向長孔111b、111bを有していて、電気モータMのモータハウジングMaに組付けられている。一対の軸方向長孔111b、111bは、往復動ピストン120と各カムフォロア142,143をシリンダ軸線方向に往復動可能にガイドするガイド手段であり、シリンダ部材110の周方向にて180度の間隔で形成されている。
また、メインシリンダ111の円筒部111Aには、往復動ピストン120の外径より大径の収容内孔111cが形成されている。また、メインシリンダ111は、その環状フランジ部111Bに、単一の吸入ポート111dを有するとともに、単一の吐出ポート111eを有していて、吸入ポート111dにはリザーバToが接続され、吐出ポート111eには油圧作動機器(図示省略)が接続されるように構成されている。
サブシリンダ112は、上記した第1シリンダ内孔111aに対してシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設けられた第2シリンダ内孔112aを有していて、メインシリンダ111の円筒部111Aにおける段付内孔内に大中小3個のシールリング113,114,115を介して液密的かつ同軸的に嵌合されており、アキュムレータACCのケーシングACCaに設けたプラグ部ACCa1によって抜け止めされている。サブシリンダ112の第2シリンダ内孔112aは、メインシリンダ111の第1シリンダ内孔111aと同一径で形成されている。
往復動ピストン120は、第1シリンダ内孔111aにシリンダ軸方向にて摺動可能に嵌合されて第1のポンプ室R1を形成する小径の第1ピストン部121と、第2シリンダ内孔112aにシリンダ軸方向にて摺動可能に嵌合されて第2のポンプ室R2を形成する小径の第2ピストン部122を有していて、各シリンダ内孔111a、112aに対して同軸的に配置されており、シリンダ部材110内にシリンダ軸方向にて往復動可能に組付けられている。第1ピストン部121は、第2ピストン部122と同一径(各ポンプ室R1,R2の流体圧を受ける面積が同一)で形成されている。
また、往復動ピストン120の大径軸部中央には、径方向に貫通する取付孔123が形成されていて、この取付孔123には内部を液密的に分離された二つの内孔に区画するプラグ144と一対のカムフォロア142,143が同軸的に組付けられている。なお、上記した取付孔(貫通孔)123とプラグ144に代えて、往復動ピストン120の大径軸部中央に、各カムフォロア142,143を同様に組付けることが可能な一対の取付孔を同軸的に設けて実施することも可能である。
また、往復動ピストン120の内部には、第1のカムフォロア142がカム部材141に圧接すべく第1のポンプ室R1の流体圧(油圧)を第1のカムフォロア142に向けて導く第1導通路124が形成されるとともに、第2のカムフォロア143がカム部材141に圧接すべく第2のポンプ室R2の流体圧(油圧)を第2のカムフォロア143に向けて導く第2導通路125が形成されている。第1導通路124は、一端にて第1のポンプ室R1に連通するとともに、他端にて第1のカムフォロア142とプラグ144間の圧力室に連通している。第2導通路125は、一端にて第2のポンプ室R2に連通するとともに、他端にて第2のカムフォロア143とプラグ144間の圧力室に連通している。
ホルダ130は、円筒状に形成されていて、シリンダ部材110の外周に同軸的に配置されかつ一対の軸受131,132と一対の環状シール部材133,134を介してシリンダ部材110に対して軸線Lo回りに回転可能かつ液密的に組付けられている。一対の軸受131,132は、軸方向に所定量離れて配置されていて、カム部材141を軸方向にて挟むようにしてシリンダ部材110とホルダ130間に介装されており、ホルダ130をシリンダ部材110に対して回転可能としている。
一対の環状シール部材133,134は、軸方向に所定量離れて配置されていて、カム部材141と両軸受131,132を軸方向にて挟むようにしてシリンダ部材110とホルダ130間に介装されており、シリンダ部材110とホルダ130間を液密的にシールしている。また、シリンダ部材110とホルダ130間に形成されて軸受131,132とカム部材141等を収容する外側のチャンバーRbは、シリンダ部材110の軸方向長孔111b、111bを通してシリンダ部材110と往復動ピストン120間に形成されている内側のチャンバーRaに連通していて、内側のチャンバーRaと外側のチャンバーRbの内部には流体(作動油)が満たされている。
カム部材141は、シリンダ軸方向にて連接した一対のカムスリーブ141A,141Bによって構成されていて、ホルダ130に一体的に(軸方向に移動不能かつホルダ130とともに回転可能に)設けられており、ホルダ130に対して同軸的に配置されている。また、カム部材141は、環状で軸方向に変動のあるカム部141aを有していて、同カム部141aはカム溝であり、各カムフォロア142,143のボール142b,143bが係合している。
カム溝141aは、各カムフォロア142,143のボール142b,143bから軸線方向の荷重(図示上下方向の荷重)と径方向の荷重(図示左右方向の荷重)を受けるカム面(シリンダ軸方向に対して所定量傾斜した斜面カム)を有していて、このカム面は断面形状がV字形状であり、ホルダ130の周方向にて偶数周期(例えば、2周期)で形成されている。このため、カム部材141は、ホルダ130がシリンダ部材110および往復動ピストン120に対して一回転することにより、往復動ピストン120を偶数回往復動させることが可能である。
各カムフォロア142,143は、往復動ピストン120に組付けられた荷重伝達ピストン142a,143aと、この荷重伝達ピストン142a,143aの先端部に転動可能に組付けられてカム部材141のカム部141aに転動可能に係合するボール(転動体)142b,143bを備えている。また、各カムフォロア142,143は、軸線Loに直交する径方向に延出する端部、すなわち、ボール142b,143bにてカム部材141のカム部(カム溝)141aに係合していて、カム部材141に対して相対回転することによりシリンダ軸方向(図示上下方向)に移動する。各荷重伝達ピストン142a,143aは、同一径(流体圧を受ける面積が同一)であり、往復動ピストン120の取付孔123に往復動ピストン120の径方向にて摺動可能に嵌合されていて、その先端部にはボール142b,143bを転動可能に支持するテーパ面(ボール支持部)が形成されている。
吸入通路Piは、リザーバToと内側のチャンバーRaを接続する主吸入通路(シリンダ部材110に形成されている)と、内側のチャンバーRaと第1のポンプ室R1を接続する分岐吸入通路(往復動ピストン120に形成されている)、すなわち、第1の吸入通路Pi1と、内側のチャンバーRaと第2のポンプ室R2を接続する分岐吸入通路(往復動ピストン120に形成されている)、すなわち、第2の吸入通路Pi2を備えている。第1の吸入通路Pi1には、第1の吸入チェック弁Vi1が介装されていて、第1の吸入チェック弁Vi1を通して第1のポンプ室R1に流体(作動油)が吸入可能である。第2の吸入通路Pi2には、第2の吸入チェック弁Vi2が介装されていて、第2の吸入チェック弁Vi2を通して第2のポンプ室R2に流体(作動油)が吸入可能である。
吐出通路Poは、油圧作動機器(図示省略)に接続される主吐出通路と、この主吐出通路と第1のポンプ室R1を接続する分岐吐出通路、すなわち、第1の吐出通路Po1と、主吐出通路と第2のポンプ室R2を接続する分岐吐出通路、すなわち、第2の吐出通路Po2を備えている。第1の吐出通路Po1には、第1の吐出チェック弁Vo1が介装されていて、第1の吐出チェック弁Vo1を通して第1のポンプ室R1から主吐出通路に圧力流体(圧油)を吐出可能である。第2の吐出通路Po2には、第2の吐出チェック弁Vo2が介装されていて、第2の吐出チェック弁Vo2を通して第2のポンプ室R2から主吐出通路に圧力流体(圧油)を吐出可能である。また、主吐出通路に吐出された圧力流体(圧油)は、図3に示したように、アキュムレータACCのプラグ部ACCa1に設けた連通孔ACCa2を通してアキュムレータACC内に蓄圧可能であるとともに、油圧作動機器(図示省略)に向けて供給可能である。なお、油圧作動機器(図示省略)に向けて供給された圧力流体(圧油)はリザーバに還流するように構成されている。
上記のように構成した第2実施形態のポンプ装置PM2においては、電気モータMによってホルダ130が回転駆動されると、シリンダ部材110および往復動ピストン120とホルダ130の相対的な回転運動が運動変換機構140により往復動ピストン120の往復運動に変換されて、往復動ピストン120がシリンダ軸方向にて往復動(ポンプ作動)する。これにより、各ポンプ室R1,R2の容積がそれぞれ増減して、吸入通路Piを通して各ポンプ室R1,R2に吸入された流体(作動油)が各ポンプ室R1,R2から吐出通路Poを通して油圧作動機器(図示省略)に向けて吐出されるとともに、アキュムレータACCの蓄圧室内に蓄圧される。
ところで、この第2実施形態のポンプ装置PM2においては、第1のポンプ室R1の流体圧(油圧)が、往復動ピストン120に設けた第1導通路124を通して、第1のカムフォロア142に向けて導かれるため、第1のポンプ室R1の流体圧(油圧)で第1のカムフォロア142をカム部材141に圧接させることが可能である。また、第2のポンプ室R2の流体圧(油圧)が、往復動ピストン120に設けた第2導通路125を通して、第2のカムフォロア143に向けて導かれるため、第2のポンプ室R2の流体圧(油圧)で第2のカムフォロア143をカム部材141に圧接させることが可能である。このため、当該ポンプ装置PM2においては、各カムフォロア142,143をそれぞれ最適にカム部材141に圧接させることが可能であり、無用な摩擦損失および摩耗を低減することが可能である。
また、この第2実施形態のポンプ装置PM2においては、往復動ピストン120がシリンダ軸方向にて往復動するときに、各カムフォロア142,143がカム部材141から往復動ピストン120の径方向に押し戻されることがあっても、そのときには各カムフォロア142,143が往復動ピストン120の径方向にてポンプ機能を発揮する(各ポンプ室R1,R2から各導通路124,125を通して各カムフォロア142,143に向けて導かれている流体を各ポンプ室R1,R2に向けて押し戻す)ため、ポンプ効率の低減が抑制される。
また、この第2実施形態のポンプ装置PM2においては、シリンダ部材110が有するシリンダ内孔はシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設定された第1シリンダ内孔111aと第2シリンダ内孔112aの二つであり、往復動ピストン120には、第1シリンダ内孔111aに嵌合されて第1のポンプ室R1を形成する第1ピストン部121と、第2シリンダ内孔112aに嵌合されて第2のポンプ室R2を形成する第2ピストン部122が一体的に設けられている。
このため、当該ポンプ装置PM2のコンパクト化が可能である。また、第1シリンダ内孔111aと第2シリンダ内孔112aがシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設定されているため、往復動ピストン120のガイド長(支持スパン)を長くとることが可能であり、往復動ピストン120とシリンダ部材110間でのこじり力が抑制され、これに起因する当該ポンプ装置PM2での機械的損失を減少させることが可能である。
また、この第2実施形態のポンプ装置PM2においては、シリンダ部材110における第1シリンダ内孔111aと第2シリンダ内孔112a間には往復動ピストン120の外径より大径の収容内孔111cが形成されていて、この収容内孔111cと往復動ピストン120間には内側のチャンバーRaが形成されており、チャンバーRaと第1のポンプ室R1は第1の吸入通路Pi1で接続され、チャンバーRaと第2のポンプ室R2は第2の吸入通路Pi2で接続されている。このため、当該ポンプ装置PM2の吸入経路にて内側のチャンバーRaを共用化できて、吸入ポートを二つのポンプ室用に別個に設定する必要がなく、単一の吸入ポート111dをチャンバーRaに連通させることで当該ポンプ装置PM2の吸入経路をシンプルに構成することが可能である。
上記した第2実施形態においては、往復動ピストン120がシリンダ軸方向にて往復動するときに、各カムフォロア142,143がカム部材141から往復動ピストン120の径方向に押し戻され得るように運動変換機構140の構成を設定して実施した。すなわち、図5に示したように、往復動ピストン120における第1ピストン部121と第2ピストン部122の受圧面積がA1であり、各カムフォロア142,143における荷重伝達ピストン142a,143aの受圧面積がA2であり、各ポンプ室R1,R2の流体圧がPである場合に、各ポンプ室の流体圧Pにより各カムフォロア142,143が受ける径方向荷重によるシリンダ軸方向の作用力(A2×P×tanθ)が、各ポンプ室の流体圧Pにより往復動ピストン120が受けるシリンダ軸方向荷重(A1×P)より小さくなる(A1×P>A2×P×tanθ)ように、上記した受圧面積A1,A2とカム部材141における各カム面の傾斜角θが設定されている。
しかし、この第2実施形態の実施に際して、各ポンプ室の流体圧Pにより各カムフォロア142,143が受ける径方向荷重によるシリンダ軸方向の作用力(A2×P×tanθ)が、各ポンプ室の流体圧Pにより往復動ピストン120が受けるシリンダ軸方向荷重(A1×P)以上となる(A1×P≦A2×P×tanθ)ように、上記した受圧面積A1,A2とカム部材141における各カム面の傾斜角θを設定することも可能である。
この場合(A1×P≦A2×P×tanθ)には、各ポンプ室の流体圧Pが如何なるときにも、各カムフォロア142,143をカム部材141の各カム面に的確に圧接させることができて、各カムフォロア142,143とカム部材141間のガタを的確に低減することが可能である。また、各カムフォロア142,143に作用する径方向荷重(A2×P)が各ポンプ室の流体圧Pに比例していて、スプリングでカムフォロアをカムに圧接させる場合(この場合には、ポンプ室の流体圧が如何なるときにも、カムフォロアをカムに的確に圧接させるべく、スプリングのばね力を大きく設定する必要があり、カムフォロアとカム間の摩擦損失は常に大きい)に比して、各カムフォロア142,143とカム部材141間の摩擦損失を減少させることが可能であり、これに起因するポンプ効率の低下を抑制することが可能である。
図6は本発明によるスラストピストンポンプ装置の第3実施形態を示していて、この第3実施形態のポンプ装置PM3は電気モータMにて駆動可能な電動式のスラストピストンポンプ装置である。また、この第3実施形態のポンプ装置PM3には、アキュムレータACCが一体的に組付けられていて、ポンプ装置PM3から吐出される圧力流体(圧油)がアキュムレータACC内に蓄圧されるように構成されている。なお、電気モータMとアキュムレータACCの構成は上記した第1実施形態における電気モータMとアキュムレータACCの構成と同じであるため、同一符号を付して説明は省略する。
ポンプ装置PM3は、図6および図7に示したように、シリンダ部材210と、このシリンダ部材210内に組付けた往復動ピストン220と、シリンダ部材210外に組付けたホルダ230と、シリンダ部材210および往復動ピストン220とホルダ230の相対的な回転運動を往復動ピストン220の往復運動に変換させる運動変換機構240としてのカム部材241と第1のカムフォロア242および第2のカムフォロア243を備えている。また、ポンプ装置PM3は、吸入通路Piおよび吐出通路Poを備えている。
シリンダ部材210は、有底の円筒部211Aと環状のフランジ部211Bを有するメインシリンダ211と、このメインシリンダ211の円筒部211A内に組付けたサブシリンダ212によって構成されている。メインシリンダ211は、その円筒部211Aに、第1シリンダ内孔211aを有するとともに、一対の軸方向長孔211b、211bを有していて、電気モータMのモータハウジングMaに組付けられている。一対の軸方向長孔211b、211bは、往復動ピストン220と各カムフォロア242,243をシリンダ軸線方向に往復動可能にガイドするガイド手段であり、シリンダ部材210の周方向にて180度の間隔で形成されている。
また、メインシリンダ211の円筒部211Aには、往復動ピストン220の外径より大径の収容内孔211cが形成されている。また、メインシリンダ211は、その環状フランジ部211Bに、単一の吸入ポート211dを有するとともに、単一の吐出ポート211eを有していて、吸入ポート211dにはリザーバToが接続され、吐出ポート211eには油圧作動機器(図示省略)が接続されるように構成されている。
サブシリンダ212は、上記した第1シリンダ内孔211aに対してシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設けられた第2シリンダ内孔212aを有していて、メインシリンダ211の円筒部211Aにおける段付内孔内に大中小3個のシールリング213,214,215を介して液密的かつ同軸的に嵌合されており、アキュムレータACCのケーシングACCaに設けたプラグ部ACCa1によって抜け止めされている。サブシリンダ212の第2シリンダ内孔212aは、メインシリンダ211の第1シリンダ内孔211aと同一径で形成されている。
往復動ピストン220は、第1シリンダ内孔211aにシリンダ軸方向にて摺動可能に嵌合されて第1のポンプ室R1を形成する小径の第1ピストン部221と、第2シリンダ内孔212aにシリンダ軸方向にて摺動可能に嵌合されて第2のポンプ室R2を形成する小径の第2ピストン部222を有していて、各シリンダ内孔211a、212aに対して同軸的に配置されており、シリンダ部材210内にシリンダ軸方向にて往復動可能に組付けられている。第1ピストン部221は、第2ピストン部222と同一径(流体圧を受ける面積が同一)で形成されている。また、往復動ピストン220の大径軸部中央には、径方向に貫通する取付孔223が形成されていて、この取付孔223には、内部を二つに区画するバルブプランジャ244と、第1のカムフォロア242および第2のカムフォロア243が同軸的に組付けられている。
また、往復動ピストン220の内部には、各カムフォロア242,243がカム部材241に圧接すべく第1のポンプ室R1の流体圧(油圧)を各カムフォロア242,243に向けて導く第1導通路224が形成されるとともに、各カムフォロア242,243がカム部材241に圧接すべく第2のポンプ室R2の流体圧(油圧)を各カムフォロア242,243に向けて導く第2導通路225が形成されている。第1導通路224は、一端にて第1のポンプ室R1に連通するとともに、他端にて第1のカムフォロア242とバルブプランジャ244間の圧力室に連通している。第2導通路225は、一端にて第2のポンプ室R2に連通するとともに、他端にて第2のカムフォロア243とバルブプランジャ244間の圧力室に連通している。
ホルダ230は、円筒状に形成されていて、シリンダ部材230の外周に同軸的に配置されかつ一対の軸受231,232と一対の環状シール部材233,234を介してシリンダ部材210に対して軸線Lo回りに回転可能かつ液密的に組付けられている。一対の軸受231,232は、軸方向に所定量離れて配置されていて、カム部材241を軸方向にて挟むようにしてシリンダ部材210とホルダ230間に介装されており、ホルダ230をシリンダ部材210に対して回転可能としている。
一対の環状シール部材233,234は、軸方向に所定量離れて配置されていて、カム部材241と両軸受231,232を軸方向にて挟むようにしてシリンダ部材210とホルダ230間に介装されており、シリンダ部材210とホルダ230間を液密的にシールしている。なお、シリンダ部材210とホルダ230間に形成されて軸受231,232とカム部材241等を収容する外側のチャンバーRbは、シリンダ部材210の軸方向長孔211b、211bを通してシリンダ部材210と往復動ピストン220間に形成されている内側のチャンバーRaに連通していて、内側のチャンバーRaと外側のチャンバーRbの内部には流体(作動油)が満たされている。
カム部材241は、シリンダ軸方向にて連接した一対のカムスリーブ241A,241Bによって構成されていて、ホルダ230に一体的に(軸方向に移動不能かつホルダ230とともに回転可能に)設けられており、ホルダ230に対して同軸的に配置されている。また、カム部材241は、環状で軸方向に変動のあるカム部241aを有していて、同カム部241aはカム溝であり、各カムフォロア242,243のボール242b,243bが係合している。カム溝241aは、各カムフォロア242,243のボール242b,243bから軸線方向の荷重(図示上下方向の荷重)と径方向の荷重(図示左右方向の荷重)を受けるカム面(シリンダ軸方向に対して所定量傾斜した斜面カム)を有していて、このカム面は断面形状がV字形状であり、ホルダ230の周方向にて偶数周期(例えば、2周期)で形成されている。このため、カム部材241は、ホルダ230がシリンダ部材210および往復動ピストン220に対して一回転することにより、往復動ピストン220を偶数回往復動させることが可能である。
各カムフォロア242,243は、往復動ピストン220に組付けられた荷重伝達ピストン242a,243aと、この荷重伝達ピストン242a,243aの先端部に転動可能に組付けられてカム部材241のカム部241aに転動可能に係合するボール(転動体)242b,243bを備えている。また、各カムフォロア242,243は、軸線Loに直交する径方向に延出する端部、すなわち、ボール242b,243bにてカム部材241のカム部(カム溝)241aに係合していて、カム部材241に対して相対回転することによりシリンダ軸方向(図示上下方向)に移動する。
各荷重伝達ピストン242a,243aは、同一径(流体圧を受ける面積が同一)であり、往復動ピストン220の取付孔223に往復動ピストン220の径方向にて摺動可能に嵌合されていて、その先端部(外端部)にはボール242b,243bを転動可能に支持するテーパ面(ボール支持部)が形成されている。また、各荷重伝達ピストン242a,243aの内端部には、バルブプランジャ244の球状弁部が着座・離座可能な弁座が形成されている。また、各荷重伝達ピストン242a,243aの軸心部には、各ポンプ室R1,R2の流体圧をボール支持部に向けて導く小径の連通孔(オリフィス)242a1,243a1が設けられている。
バルブプランジャ244は、両カムフォロア242,243とによって、第1のポンプ室R1と第2のポンプ室R2の何れか高圧側の流体圧を第1のカムフォロア242と第2のカムフォロア243に導く切換弁を構成している。このバルブプランジャ244は、第1のカムフォロア242の内端に形成した弁座と第2のカムフォロア243の内端に形成した弁座間に同軸的に介装された弁体であって、取付孔223内に軸方向へ摺動可能に嵌合されており、両端部に作用する流体圧の差により取付孔223内を軸方向に摺動して何れかの弁座に着座するように構成されている。また、バルブプランジャ244の軸心には、軸方向に貫通する小径の連通孔(オリフィス)244aが設けられている。
吸入通路Piは、リザーバToと内側のチャンバーRaを接続する主吸入通路と、内側のチャンバーRaと第1のポンプ室R1を接続する分岐吸入通路、すなわち、第1の吸入通路Pi1と、内側のチャンバーRaと第2のポンプ室R2を接続する分岐吸入通路、すなわち、第2の吸入通路Pi2を備えている。第1の吸入通路Pi1には、第1の吸入チェック弁Vi1が介装されていて、第1の吸入チェック弁Vi1を通して第1のポンプ室R1に流体(作動油)が吸入可能である。第2の吸入通路Pi2には、第2の吸入チェック弁Vi2が介装されていて、第2の吸入チェック弁Vi2を通して第2のポンプ室R2に流体(作動油)が吸入可能である。
吐出通路Poは、油圧作動機器(図示省略)に接続される主吐出通路と、この主吐出通路と第1のポンプ室R1を接続する分岐吐出通路、すなわち、第1の吐出通路Po1と、主吐出通路と第2のポンプ室R2を接続する分岐吐出通路、すなわち、第2の吐出通路Po2を備えている。第1の吐出通路Po1には、第1の吐出チェック弁Vo1が介装されていて、第1の吐出チェック弁Vo1を通して第1のポンプ室R1から主吐出通路に圧力流体(圧油)を吐出可能である。第2の吐出通路Po2には、第2の吐出チェック弁Vo2が介装されていて、第2の吐出チェック弁Vo2を通して第2のポンプ室R2から主吐出通路に圧力流体(圧油)を吐出可能である。また、主吐出通路に吐出された圧力流体(圧油)は、アキュムレータACCのプラグ部ACCa1に設けた連通孔ACCa2を通してアキュムレータACC内に蓄圧可能であるとともに、油圧作動機器(図示省略)に向けて供給可能である。なお、油圧作動機器(図示省略)に向けて供給された圧力流体(圧油)はリザーバに還流するように構成されている。
上記のように構成した第3実施形態のポンプ装置PM3においては、電気モータMによってホルダ230が回転駆動されると、シリンダ部材210および往復動ピストン220とホルダ230の相対的な回転運動が運動変換機構240により往復動ピストン220の往復運動に変換されて、往復動ピストン220がシリンダ軸方向にて往復動(ポンプ作動)する。これにより、各ポンプ室R1,R2の容積がそれぞれ増減して、吸入通路Piを通して各ポンプ室R1,R2に吸入された流体(作動油)が各ポンプ室R1,R2から吐出通路Poを通して油圧作動機器(図示省略)に向けて吐出されるとともに、アキュムレータACCの蓄圧室内に蓄圧される。
ところで、この第3実施形態のポンプ装置PM3においては、各ポンプ室R1,R2の流体圧(油圧)が、往復動ピストン220に設けた各導通路224,225を通して、各カムフォロア242,243に向けて導かれるため、各ポンプ室R1,R2の流体圧(油圧)で各カムフォロア242,243をカム部材241に圧接させることが可能である。このため、当該ポンプ装置PM3の吐出圧に拘わらず、各カムフォロア242,243をカム部材241に的確に(吐出圧が高い場合には高圧で、また、吐出圧が低い場合には低圧で)圧接させることが可能であり、ポンプ効率の向上を図ることが可能である。しかも、各カムフォロア242,243とカム部材241間のガタを簡単な構成で(往復動ピストン220に設けた導通路224,225で)抑制することが可能である。
また、この第3実施形態のポンプ装置PM3においては、各カムフォロア242,243が、往復動ピストン220に組付けられた荷重伝達ピストン242a,243aと、この荷重伝達ピストン242a,243aの先端部に転動可能に組付けられてカム部材241に係合するボール242b,243bを備えていて、各ポンプ室R1,R2の流体圧(油圧)を荷重伝達ピストン242a,243aのボール支持部に向けて導く小径の連通孔242a1,243a1が荷重伝達ピストン242a,243aに設けられている。このため、各ポンプ室R1,R2の流体圧(油圧)が荷重伝達ピストン242a,243aのボール支持部に向けて導かれ、荷重伝達ピストン242a,243aとボール242b,243bの接触荷重を低減することができて、荷重伝達ピストン242a,243aとボール242b,243b間での摺動抵抗および摩耗量を低減することが可能である。
また、この第3実施形態のポンプ装置PM3においては、荷重伝達ピストン242a,243aの先端部にボール242b,243bを転動可能に支持するテーパ面が形成され、荷重伝達ピストン242a,243aに設けられている連通孔242a1,243a1が小径(オリフィス)とされている。このため、テーパ面を大径とすることで、荷重伝達ピストン242a,243aとボール242b,243bの接触荷重を低減することができ、また、オリフィス径を小径とすることで、荷重伝達ピストン242a,243aとボール242b,243b間を通して低圧側へ漏れる流体の漏れ量を低減することができ、これらを両立させることが可能である。
また、この第3実施形態のポンプ装置PM3においては、シリンダ部材210が有するシリンダ内孔はシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設定された第1シリンダ内孔211aと第2シリンダ内孔212aの二つであり、往復動ピストン220には、第1シリンダ内孔211aに嵌合されて第1のポンプ室R1を形成する第1ピストン部221と、第2シリンダ内孔212aに嵌合されて第2のポンプ室R2を形成する第2ピストン部222が一体的に設けられている。
このため、当該ポンプ装置PM3のコンパクト化が可能である。また、第1シリンダ内孔211aと第2シリンダ内孔212aがシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設定されているため、往復動ピストン220のガイド長(支持スパン)を長くとることが可能であり、往復動ピストン220とシリンダ部材210間でのこじり力が抑制され、これに起因する当該ポンプ装置PM3での機械的損失を減少させることが可能である。
また、この第3実施形態のポンプ装置PM3においては、シリンダ部材210における第1シリンダ内孔211aと第2シリンダ内孔212a間には往復動ピストン220の外径より大径の収容内孔211cが形成されていて、この収容内孔211cと往復動ピストン220間にはチャンバーRaが形成されており、チャンバーRaと第1のポンプ室R1は第1の吸入通路Pi1で接続され、チャンバーRaと第2のポンプ室R2は第2の吸入通路Pi2で接続されている。このため、当該ポンプ装置PM3の吸入経路にて内側のチャンバーRaを共用化できて、吸入ポートを二つのポンプ室用に別個に設定する必要がなく、単一の吸入ポート211dをチャンバーRaに連通させることで当該ポンプ装置PM3の吸入経路をシンプルに構成することが可能である。
また、この第3実施形態のポンプ装置PM3においては、往復動ピストン220の取付孔223に同軸的に配置されてカム部材241にそれぞれ圧接する第1のカムフォロア242と第2のカムフォロア243が採用されるとともに、これらのカムフォロア242,243間にプランジャ244が介装されていて、両カムフォロア242,243とプランジャ244によって構成される切換弁により、第1のポンプ室R1と第2のポンプ室R2の何れか高圧側の流体圧が各カムフォロア242,243に導かれるように構成されている。
このため、第1のポンプ室R1と第2のポンプ室R2の何れか低圧側の流体圧が両カムフォロア242,243に導かれないようにすることが可能であり、各カムフォロア242,243がカム部材241から往復動ピストン220の径方向に押し戻され難くして、各ポンプ室R1,R2での吸入効率を向上させることが可能である。また、上記した切換弁が両カムフォロア242,243とバルブプランジャ244によって構成されていて、両カムフォロア242,243が有効に活用されているため、当該切換弁をシンプルに構成することが可能である。
図8は本発明によるスラストピストンポンプ装置の第4実施形態を示していて、この第4実施形態のポンプ装置PM4は電気モータMにて駆動可能な電動式のスラストピストンポンプ装置である。また、この第4実施形態のポンプ装置PM4には、アキュムレータACCが一体的に組付けられていて、ポンプ装置PM4から吐出される圧力流体(圧油)がアキュムレータACC内に蓄圧されるように構成されている。なお、電気モータMとアキュムレータACCの構成は上記した第1実施形態における電気モータMとアキュムレータACCの構成と同じであるため、同一符号を付して説明は省略する。
ポンプ装置PM4は、図8および図9に示したように、シリンダ部材310と、このシリンダ部材310内に組付けた往復動ピストン320と、シリンダ部材310外に組付けたホルダ330と、シリンダ部材310および往復動ピストン320とホルダ330の相対的な回転運動を往復動ピストン320の往復運動に変換させる運動変換機構340としてのカム部材341と第1のカムフォロア342および第2のカムフォロア343を備えている。また、ポンプ装置PM4は、吸入通路Piおよび吐出通路Poを備えている。
このポンプ装置PM4では、第3実施形態の両カムフォロア242,243とバルブプランジャ244によって構成されている切換弁に代えて、第1実施形態の第1チェック弁26と第2チェック弁27に相当する第1チェック弁326と第2チェック弁327が採用されている。なお、その他の構成は上記した第3実施形態の構成と同じであるため、300番台の同一符号を付して説明は省略する。
上記にように構成した第4実施形態においては、上記した第3実施形態の両カムフォロア242,243とプランジャ244によって構成されている切換弁による作用効果以外の作用効果が第3実施形態と同様に得られる。また、上記した第1実施形態の第1チェック弁26と第2チェック弁27による作用効果と同様の作用効果が得られる。このため、この第4実施形態の作用効果に関する説明は省略する。
上記した各実施形態においては、ホルダ(30,130,230,330)が電気モータMによって回転駆動される形式のスラストピストンポンプ装置に本発明を実施したが、例えば、特開2006−283823号公報に示されているように、ホルダが回転不能で、シリンダ部材、往復動ピストン等が回転駆動される形式のスラストピストンポンプ装置にも本発明は同様にまたは適宜変更して実施することも可能である。
また、上記した各実施形態においては、スラストピストンポンプ装置を複動形に構成して(往復動ピストンの両端部にてそれぞれポンプ作動が得られるように構成して)、これに本発明を実施したが、スラストピストンポンプ装置を単動形に構成して(往復動ピストンの何れか一端部のみにてポンプ作動が得られるように構成して)、これに本発明を実施することも可能である。
また、上記した各実施形態においては、ポンプ室に吸入・吐出される流体が作動油である油圧用のスラストピストンポンプ装置に本発明を実施したが、ポンプ室に吸入・吐出される流体が空気である空圧用のスラストピストンポンプ装置にも本発明は同様にまたは適宜変更して実施することも可能である。
本発明によるスラストピストンポンプ装置の第1実施形態を概略的に示した全体構成図である。 図1に示したスラストピストンポンプ装置の要部拡大図である。 本発明によるスラストピストンポンプ装置の第2実施形態を概略的に示した全体構成図である。 図3に示したスラストピストンポンプ装置の要部拡大図である。 図3に示したスラストピストンポンプ装置の往復動ピストンにおける第1ピストン部と第2ピストン部の受圧面積A1、各カムフォロアにおける荷重伝達ピストンの受圧面積A2、各受圧面積A1,A2と各カムの傾斜角θを示した要部拡大図である。 本発明によるスラストピストンポンプ装置の第3実施形態を概略的に示した全体構成図である。 図6に示したスラストピストンポンプ装置の要部拡大図である。 本発明によるスラストピストンポンプ装置の第4実施形態を概略的に示した全体構成図である。 図8に示したスラストピストンポンプ装置の要部拡大図である。
符号の説明
PM1…ポンプ装置(スラストピストンポンプ装置)、ACC…アキュムレータ、M…電気モータ、ECU…電気制御装置、10…シリンダ部材、11a…第1シリンダ内孔、12a…第2シリンダ内孔、20…往復動ピストン、21…第1ピストン部、22…第2ピストン部、23…段付内孔、24…第1導通路、25…第2導通路、26…第1チェック弁、27…第2チェック弁、30…ホルダ、40…運動変換機構、41…カム、42…カムフォロア、R1…第1のポンプ室、R2…第2のポンプ室、Pi…吸入通路、Po…吐出通路

Claims (12)

  1. シリンダ内孔を有するシリンダ部材と、このシリンダ部材の前記シリンダ内孔に対して同軸的に配置されシリンダ軸方向にて往復動可能に組付けられて前記シリンダ内孔内にポンプ室を形成する往復動ピストンと、前記シリンダ部材に対して同軸的に配置されかつ軸受を介して相対回転可能に組付けられたホルダと、前記シリンダ部材と前記ホルダの相対的な回転運動を前記往復動ピストンの往復運動に変換させる運動変換機構と、前記ポンプ室に流体を吸入可能な吸入通路と、前記ポンプ室から流体を吐出可能な吐出通路を備えたスラストピストンポンプ装置において、
    前記運動変換機構が、前記ホルダに一体的に設けられたカムと、前記往復動ピストンに対して径方向に移動可能かつシリンダ軸方向に一体的に移動可能に組付けられ前記シリンダ部材に対してシリンダ軸方向に移動可能かつ回転不能で前記カムに係合するカムフォロアを備えていて、前記カムフォロアが前記カムに圧接すべく前記ポンプ室の流体圧を前記カムフォロアに向けて導く導通路が前記往復動ピストンに設けられていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  2. 請求項1に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記カムはシリンダ軸方向に対して所定量傾斜した斜面カムであり、前記ポンプ室の流体圧により前記カムフォロアが受ける径方向荷重によるシリンダ軸方向の作用力は、前記ポンプ室の流体圧により前記往復動ピストンが受けるシリンダ軸方向荷重以上に設定されていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  3. 請求項1または2に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記カムフォロアは、前記往復動ピストンに組付けられた荷重伝達ピストンと、この荷重伝達ピストンの先端部に転動可能に組付けられて前記カムに係合する転動体を備えていて、前記ポンプ室の流体圧を前記荷重伝達ピストンの転動体支持部に向けて導く連通孔が前記荷重伝達ピストンに設けられていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  4. 請求項3に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記荷重伝達ピストンの先端部には前記転動体を転動可能に支持するテーパ面が形成され、前記荷重伝達ピストンに設けられている連通孔にはオリフィスが設けられていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  5. 請求項3に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記往復動ピストンに設けられている導通路を通して導かれる流体圧を受ける前記荷重伝達ピストンの受圧面積に対して、前記荷重伝達ピストンに設けられている連通孔を通して導かれる流体圧を受ける前記転動体の受圧面積は僅かに小さく設定されていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  6. 請求項1に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記シリンダ部材が有するシリンダ内孔はシリンダ軸方向にて所定量離れて同軸的に設定された第1シリンダ内孔と第2シリンダ内孔の二つであり、前記往復動ピストンには、前記第1シリンダ内孔に嵌合されて第1のポンプ室を形成する第1ピストン部と、前記第2シリンダ内孔に嵌合されて第2のポンプ室を形成する第2ピストン部が一体的に設けられていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  7. 請求項6に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記シリンダ部材における前記第1シリンダ内孔と前記第2シリンダ内孔間には前記往復動ピストンの外径より大径の収容内孔が形成されていて、この収容内孔と前記往復動ピストン間にはチャンバーが形成されており、このチャンバーと前記第1のポンプ室は第1の吸入通路で接続され、前記チャンバーと前記第2のポンプ室は第2の吸入通路で接続されていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  8. 請求項6に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記カムフォロアは、前記第1のポンプ室の流体圧を受けて前記カムに圧接する第1カムフォロアと、前記第2のポンプ室の流体圧を受けて前記カムに圧接する第2カムフォロアで構成されていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  9. 請求項6に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記カムフォロアは、互いに同軸的に配置されて前記カムにそれぞれ圧接する第1カムフォロアと第2カムフォロアで構成されていて、前記往復動ピストンには、前記第1のポンプ室と前記第2のポンプ室の何れか高圧側の流体圧を前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロアに導く切換弁が設けられていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  10. 請求項9に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記切換弁は、前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロア間に同軸的かつ軸方向に移動可能に介装された弁体と、前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロアにそれぞれ形成されて前記弁体が着座・離座可能な一対の弁座を備えていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  11. 請求項9に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記切換弁は、前記往復動ピストンに設けられて前記第1のポンプ室に連通する第1導通路に介装され前記第1のポンプ室への流れを阻止する第1チェック弁と、前記往復動ピストンに設けられて前記第2のポンプ室に連通する第2導通路に介装され前記第2のポンプ室への流れを阻止する第2チェック弁で構成されていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
  12. 請求項11に記載のスラストピストンポンプ装置において、前記各チェック弁は、前記各ポンプ室での吐出工程終了時に、その弁体が前記往復動ピストンの往復運動による加速度により自閉するように配置されていることを特徴とするスラストピストンポンプ装置。
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