JP2008223424A - 制震装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた制震作用を有し、かつ限度を越えた層間の変位に起因する建物の損壊を防止すること。
【解決手段】上横枠1a及び下横枠1b並びに両側の縦側枠1c、1cからなる縦長四辺形の枠体1と、底辺部2bを上横枠1aに、底辺部2bを下横枠1bに、各々固設して相互の減衰板部2a、2aを対向状態に配した二つの作動板2、2と、両縦側枠1c、1cに両端を固設して対面状態に配し、中央上部の内面で上方の作動板2の減衰板部2aを、中央下部の内面で下方の作動板2の減衰板部2aを、各々粘弾性シート3を介して挟持する二つの挟持板4a、4bと、上下の減衰板部2a、2aの横方向の相対的な移動範囲を限定する二つの規制壁5、5と、横方向に変位した減衰板部2a、2aを原位置に復帰させるコイルバネ6、6…とで構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】上横枠1a及び下横枠1b並びに両側の縦側枠1c、1cからなる縦長四辺形の枠体1と、底辺部2bを上横枠1aに、底辺部2bを下横枠1bに、各々固設して相互の減衰板部2a、2aを対向状態に配した二つの作動板2、2と、両縦側枠1c、1cに両端を固設して対面状態に配し、中央上部の内面で上方の作動板2の減衰板部2aを、中央下部の内面で下方の作動板2の減衰板部2aを、各々粘弾性シート3を介して挟持する二つの挟持板4a、4bと、上下の減衰板部2a、2aの横方向の相対的な移動範囲を限定する二つの規制壁5、5と、横方向に変位した減衰板部2a、2aを原位置に復帰させるコイルバネ6、6…とで構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、地震等の際の建物の層間の振動変位を減衰させる、粘弾性体を用いた制震装置に関する。
この種の制震装置には特許文献1の例がある。
これは、せん断方向に相対変位をする部材間に粘弾性体が介設され、粘弾性体をせん断変形させて部材を制振するようになされた制振構造において、
前記粘弾性体といずれか少なくとも一方の部材との間に摩擦材が介設され、該摩擦材は、粘弾性体に対して一体化されると共に、部材に対して摺動可能な押し付け状態にされ、振動によるせん断方向への部材相互の相対変位量が一定範囲内であるとき、粘弾性体のせん断変形で制振され、該相対変位量が一定範囲を越えるものであるとき、部材と摩擦材との間に滑りを生じ、粘弾性体のせん断変形と、部材と摩擦材との摩擦とによって制振されるように構成されている、粘弾性体を用いた制振構造である。
これは、せん断方向に相対変位をする部材間に粘弾性体が介設され、粘弾性体をせん断変形させて部材を制振するようになされた制振構造において、
前記粘弾性体といずれか少なくとも一方の部材との間に摩擦材が介設され、該摩擦材は、粘弾性体に対して一体化されると共に、部材に対して摺動可能な押し付け状態にされ、振動によるせん断方向への部材相互の相対変位量が一定範囲内であるとき、粘弾性体のせん断変形で制振され、該相対変位量が一定範囲を越えるものであるとき、部材と摩擦材との間に滑りを生じ、粘弾性体のせん断変形と、部材と摩擦材との摩擦とによって制振されるように構成されている、粘弾性体を用いた制振構造である。
この制振構造によれば、この文献中に記述があるように、部材相互の相対変位量が一定範囲内である振動に対しては、粘弾性体のせん断変形により振動を抑制することが可能となり、それを越える大きな振動に対しては、粘弾性体のせん断変形及び部材と摩擦材との間の摩擦によって振動を抑制することができることになり、それ故、部材相互の小さい振動から大きい振動までの広い範囲の振動を効果的に抑制可能になると思われる。しかしこの制振構造では、地震振動によって変位した部材は、地震振動が停止した際に、必ずしも原位置に戻るとは限らない問題がある。そのときの条件により、いずれかの振動方向に変位したままで止まってしまう虞がある。
またこの制振構造では、部材相互の間の変位量に限界はないので、地震振動が大きくなれば、際限なく大きく変位する可能性があり、そうなれば、この文献中に記述のある柱と外壁パネルのパネルフレーム間、外壁パネルと土台間、柱と取付金物間などの構造が破壊してしまう可能性があると思われる。そこで、これに関しては、この特許文献1では、部材相互を粘弾性体と摩擦材を貫通するビスで結合し、該ビスを摩擦材側ではルーズ孔を通じて貫通させ、摩擦材と部材との滑りが生じた場合に、該ルーズ孔の直径にその滑りの範囲を限定させるようにしており、これによって上記の問題を解決しようとしていると思われる。しかしこれでは、大きな振動が加わった場合に、部材表面と摩擦材のルーズ孔の縁による強いせん断力がビスに加わり短期間の内にビスに損傷が生じる虞がある。
またこの制振構造は、建物の層間に用いるのには適当な構成とは思われない。
本発明は、以上の従来例の問題点を解消し、建築物の地震振動による層間の振動変位を減衰させるのに適する制震装置であって、所定の範囲を越える層間の変位を許容しないようにすることにより、限度を越えた層間の変位に起因する建物の損壊を防止することが可能な制震装置を提供することを解決の課題とする。
本発明の1は、相互に平行に配した上部の上横枠及び下部の下横枠、並びに相互に平行に配した両側の縦側枠からなる縦長四辺形の枠体と、二等辺三角形の底辺に沿った底辺部、両斜辺に沿った斜辺部及び二等辺の頂点から帯状に延長した減衰板部からなる二つの作動板であって、その一方の底辺部を前記枠体の上横枠に、他方の底辺部を前記枠体の下横枠に、それぞれ固設し、相互の減衰板部を対向状態に配した二つの作動板と、前記枠体の両縦側枠の高さ方向の途中に両端を固設した対面状態の二つの挟持板であって、それらの中央上部の内面間で上方の作動板の減衰板部を、それらの中央下部の内面間で下方の作動板の減衰板部を、それぞれ粘弾性体を介して挟持する二つの挟持板と、該二つの挟持板の内面間に粘弾性体を介して挟持された二つの減衰板部の横方向の相対的な移動範囲を所要範囲に限定する両側の規制壁であって、該挟持板の一方又は双方から立ち上げ構成した両側の規制壁と、前記二つの挟持板の内面間で相対的に横方向に移動した減衰板部を原位置に復帰させるバネ手段と、で構成した制震装置である。
本発明の2は、本発明の1の制震装置に於いて、前記対面する二つの挟持板の一方に、上下の作動板の減衰板部の相対的な横方向の移動エリアを上下に区画する区画壁を立ち上げ構成したものである。
本発明の3は、本発明の1又は2の制震装置に於いて、前記両側の規制壁の各上下端に開口し、かつ前記挟持板の端部方向に延びるバネ装入空間をそれぞれ構成し、他方、前記バネ手段を圧縮コイルバネに構成し、該圧縮コイルバネを、前記各バネ装入空間に装入し、該各バネ装入空間から突出する該圧縮コイルバネの先端部を前記作動板の減衰板部の側部に当接させたものである。
本発明の1の制震装置によれば、建物の地震等に振動による層間変位を効果的に減衰することができる。また振動変位が限度を越える大きさのものであっても、これが所定範囲内に制限され、限度を越えた変位に起因して生じる建物各部の損傷を回避することができる。更に地震等の振動で生じた層間の変位は振動の終了後には必ず原位置まで復帰するようになっており、変位を生じたままになってしまうようなことはない。
本発明の2の制震装置によれば、上下の作動板の減衰板部相互が地震等の振動に伴って相対的に横方向に変位する際に相互が干渉を生じる虞が無くなる利点を有する。
本発明の3の制震装置によれば、上下の作動板が地震等の振動に伴って生じた横方向の変位が地震等の終了後にも修正されず、そのままの位置に止まってしまうような問題が生じることはない。必ず原位置に復帰することができる。また本発明の3の制震装置によれば、このようなバネ手段による原位置への復帰手段の構成を簡明で確実に動作するように構成することができる。
以下、本発明の実施の形態を、実施例に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施例の制震装置は、図1〜図3に示すように、基本的に、縦長四辺形の枠体1と、相互の減衰板部2a、2aが上下対向状態に配される二つの作動板2、2と、中央上部の内面間で上方の作動板2の減衰板部2aを、それらの中央下部の内面間で下方の作動板2の減衰板部2aを、それぞれ粘弾性シート(粘弾性体)3、3…を介して挟持する二つの挟持板4a、4bと、二つの減衰板部2a、2aの横方向の相対的な移動範囲を所要範囲に限定する両側の規制壁5、5と、前記二つの挟持板4a、4bの内面間で相対的に横方向に移動した減衰板部2a、2aを中央の原位置に復帰させる四本のコイルバネ(バネ手段)6、6…とで構成したものである。
前記枠体1は、図1(a)及び図2に示すように、相互に平行に配した上部の上横枠1a及び下部の下横枠1b、並びに相互に平行に配した両側の縦側枠1c、1cからなる縦長四辺形の部材である。
前記上横枠1aは、図1(b)に示すように、断面ほぼ逆U字形の長尺の構成要素であり、断面逆L型の二枚の長尺金属部材を、その垂直部を所定間隔で相互に対面させ、かつ水平部を相互に重ね合わせて構成したものである。水平部相互は、以上のように重ね合わせた上でねじ止め又は溶接によって固定する。
また、該上横枠1aには、表裏の垂直部の水平部直下の位置に二つのスリットを形成しておき、これらに表裏貫通する係止帯板1a1、1a1を貫通させ、これらの中央部を溶接又はねじ止めによって前記水平部に固定しておくものとする。図1(a)及び図2に示すように、これらの係止帯板1a1、1a1は、該上横枠1aの両端近傍に位置させ、上横枠1aの表裏に突出する両端付近は、この上横枠1aを建築物の上方の横架材に取り付けるための取付手段として用い得るようになっている。
前記下横枠1bは、断面ほぼU字形の長尺の構成要素であり、断面L型の二枚の長尺金属部材を、その垂直部を所定間隔で相互に対面させ、かつ水平部を相互に重ね合わせて構成したものである。水平部相互は、以上のように重ね合わせた上でねじ止め又は溶接によって固定する。
また、該下横枠1bには、表裏の垂直部の水平部直上の位置に二つのスリットを形成しておき、これらに表裏貫通する係止帯板1b1、1b1を貫通させ、これらの中央部を溶接又はねじ止めによって上記水平部に固定しておくものとする。図1(a)及び図2に示すように、これらの係止帯板1b1、1b1は、該下横枠1bの両端近傍に位置させ、下横枠1bの表裏に突出するその両端部分は、下横枠1bを建築物の下方の横架材に取り付け固定するための手段として用い得るようになっている。
前記縦側枠1cは、図1(a)、図2及び図3(b)、(c)に示すように、断面角筒状の長尺部材である。また、該縦側枠1cには、その外側面の直近内側に適宜間隔で表裏貫通する複数(この実施例では8個)のスリットを形成しておき、これらに表裏貫通する係止帯板1c1、1c1…を貫通させ、これらの中央部を溶接又はねじ止めによって該縦側枠1cの外側面の内面に固定しておくものとする。図1(a)、図2及び図3(b)、(c)に示すように、これらの係止帯板1c1、1c1…は、該縦側枠1cの表裏に突出するその両端部分は、該縦側枠1cを建築物の柱等に取り付け固定するための手段として用い得るものとなる。
前記枠体1は、云うまでもなく、以上に説明した上横枠1a、下横枠1b及び両縦側枠1c、1cを四辺形に組み合わせて構成するものである。詳細には、ほぼ逆U字形に開口している上横枠1aの両端に、図1(a)及び図2に示すように、二つの縦側枠1c、1cの上端を装入し、両者に表面側からボルトbを貫通させ裏面側からナットを螺合締付して固定する。また両縦側枠1c、1cの下端は、ほぼU字形に開口している前記下横枠1bの両端に装入し、両者に表面側からボルトbを貫通させ裏面側からナットを螺合締付して固定する。こうして前記のような四辺形の枠体1を構成する。
なお、以上の枠体1を構成する上横枠1a、下横枠1b及び両縦側枠1c、1cは、制震装置を構成する要素として必要充分な強度を備えた金属によって構成する。
前記作動板2は、図1(a)及び図2に示すように、二等辺三角形の底辺に沿った底辺部2b、両斜辺に沿った斜辺部2c、2c及び二等辺の頂点から帯状に延長した減衰板部2aからなる金属の板状部材である。金属板材を打ち抜いて構成することができる。これらの二つの作動板2、2は、その一方の底辺部2bを前記枠体1の上横枠1aの中央部に、他方の底辺部2bを前記枠体1の下横枠1bの中央部に、それぞれ固設し、相互の減衰板部2a、2aを対向状態に配する。
以上の作動板2、2の内、上方側に位置する作動板2の底辺部2bは、既述のように、上横枠1aの中央部に固設する。該上横枠1aは、図1(b)に示すように、断面ほぼ逆U字形をなし、下向き開口状態となっているので、その逆U字形の開口中に作動板2の底辺部2bを装入し、該底辺部2bの表裏面と上横枠1aの内面との間の隙間をスペーサ板8、8を装入して埋めた上で両者を固定する。この固定は、同図及び図1(a)に示すように、該上横枠1a、これに装入した底辺部2b及びスペーサ板8、8に定間隔でボルトb、b…を表裏貫通させ、裏面側でナットを螺合させ、かつ締め付けることで行う。当然、それぞれの該当する部位にボルト穴を予め開けておく。
以上の作動板2、2の内、下方側に位置する作動板2の底辺部2bは、既述のように、下横枠1bの中央部に固設する。該下横枠1bは断面ほぼU字形をなし、上向き開口状態となっているので、そのU字形の開口中に作動板2の底辺部2bを装入し、該底辺部2bの表裏面と下横枠1bの内面との間の隙間をスペーサ板8、8を装入して埋めた上で両者を固定する。この固定は、図1(a)に示すように、該下横枠1b、これに装入した底辺部2b及びスペーサ板8、8に定間隔でボルトb、b…を表裏貫通させ、裏面側でナットを螺合させ、かつ締め付けることで行う。当然、それぞれの該当する部位にボルト穴を予め開けておく。
なお、以上の作動板2、2は、制震装置を構成する要素として必要充分な強度を備えた金属板によって構成する。
前記二つの挟持板4a、4bは、その内面を相互に対面状態に配した上で、それらの両端を、前記枠体1の両縦側枠1c、1cの高さ方向中央部に固設し、それら自体の中央上部の内面で前記上方の作動板2の減衰板部2aを、それら自体の中央下部の内面で前記下方の作動板2の減衰板部2aを、それぞれ両内面とも粘弾性シート3を介して挟持するようにしてある。
前記二つの挟持板4a、4bは、図1(c)、図2、図3(a)及び図4に示すように、中央部及び両端部を除いて、それぞれ対面方向に延びる側板4a1、4a1、4b1、4b1を有している。裏面側の挟持板4aは、表面側の挟持板4bより、両側の側板4b1、4b1の厚み分だけ幅狭に構成してあり、前記したように、両者を所定間隔で対面状態にした場合、特に図1(c)及び図3(a)に示すように、裏面側の挟持板4aの側板4a1、4a1の外側に表面側の挟持板4bの側板4b1、4b1が被さる状態となる。この状態で、表裏の挟持板4b、4aは、表裏を貫通する2本のボルトbと裏面側でこれに螺合するナットで固定する。これらのボルトb及びナットで両挟持板4a、4bを結合固定する位置は、前記規制壁5、5よりも端部寄りの位置とする。
なお、前記側板4a1、4a1、4b1、4b1の存在しない中央部の範囲は、以上の両側の規制壁5、5の内側に対応する範囲とする。また該側板4a1、4a1、4b1、4b1の存在しない両端部の範囲は、両端の縦側枠1c、1cと結合する部分に対応する範囲とする。
前記二つの挟持板4a、4bの両端部と前記縦側枠1c、1cとの結合は、図1(a)、図2、図3(b)、(c)及び図4に示すように、それぞれ両挟持板4a、4bの端部で該縦側枠1c、1cを挟持状態とし、その上で、両挟持板4a、4b及びその間の縦側枠1cにボルトbを貫通させ、反対側からナットを螺合して締付固定して行うものである。
なお、以上の挟持板4a、4bは、制震装置を構成する要素として必要充分な強度を備えた金属板によって構成する。
前記規制壁5、5は、特に図1(a)、図2及び図4に示すように、裏面側の挟持板4aの内面に表面側の挟持板4b側に向かって立ち上げた状態に構成する。両規制壁5、5は、同図に示すように、中央に位置している作動板2、2の減衰板部2a、2aの相対的な側方への変位を限界づける位置に配置する。この実施例では、中央に位置する状態の両減衰板部2a、2aの側部から20mmの位置にその側部と平行に配置したものである。この位置は、対象の建物の層間にこの制震装置を取り付けた場合に、減衰板部2a、2aの振動変位をその範囲内に限定することによって、該建物の筋交い等の損傷を生じないように維持することができる、限界位置である。また該規制壁5、5の高さは、表裏の挟持板4b、4aの間隔を僅かに下回る程度とする。
また裏面側の挟持板4aの内面には、特に図1(a)、図2及び図4に示すように、上記両規制壁5、5の中央部間を繋ぐ状態に区画壁7を立ち上げ固定する。この区画壁7は、対面する表裏の挟持板4b、4aの間の空間を上下に区画し、上下の区画空間をそれぞれ上下の作動板2、2の減衰板部2a、2aの相対的な横方向変位のための固有の移動エリアとするものである。
前記四本のコイルバネ6、6…は、この実施例では、圧縮タイプのそれを採用しているが、これらはそれぞれ表裏の挟持板4b、4aの上側部及び下側部に沿って配置する。上側部の両側に配置した二つのコイルバネ6、6は、その先端部を、挟持板4b、4aの中央部の間に装入されている上方の作動板2の減衰板部2aの上側部に当接させた状態とする。また下側部側の両側に配置した二つのコイルバネ6、6は、その先端部を、挟持板4b、4aの中央部の間に装入されている下方の作動板2の減衰板部2aの下側部に当接させた状態とする。
表裏の挟持板4b、4aの上側部に配置されたコイルバネ6、6は、その上方は、裏面側の挟持板4aの側板4a1、4a1で支持され、下方は、前記両規制壁5、5の上端から該挟持板4a、4bの端部方向に向かって延長状態に配した下支持壁6a、6aで支持され、更に後端は該下支持壁6a、6aの後端と上側部の側板4a1、4a1とをこれらに直交する向きで接続する後部壁6b、6bで支持されるようになっている。表裏は、云うまでもなく、挟持板4b、4aで支持される。以上の側板4a1、下支持壁6a、後部壁6b及び表裏の挟持板4b、4aで囲まれる空間が、以上のようにコイルバネ6を装入するバネ装入空間となっている訳である。
表裏の挟持板4b、4aの下側部に配置されたコイルバネ6、6は、その下方は、裏面側の挟持板4aの側板4a1、4a1で支持され、上方は、前記両規制壁5、5の下端から該挟持板4a、4bの端部方向に向かって延長状態に配した上支持壁6c、6cで支持され、更に後端は該上支持壁6c、6cの後端と下側部の側板4a1、4a1とをこれらに直交する向きで接続する後部壁6d、6dで支持されるようになっている。表裏は、云うまでもなく、挟持板4b、4aで支持される。以上の側板4a1、上支持壁6c、後部壁6d及び表裏の挟持板4b、4aで囲まれる空間が、上側部のコイルバネ6の場合と同様に、以上のようにコイルバネ6を装入するバネ装入空間となっている訳である。
なお後部壁6b、6bと6d、6dとは、この実施例では、連続する一つの部材で構成し、一体に構成したものである。これは、裏面側の挟持板4aに固設されている。これ及び下支持壁6a、6a及び上支持壁6c、6cの高さは、いずれも前記側板4a1と同様である。
これらのコイルバネ6、6…の強さは、地震等が終了した後、単に変位した作動板2、2の減衰板部2a、2aを中央の原位置に戻すことが可能な程度のものとし、これ以上に強いものとはしない。
前記粘弾性シート3、3…は、各々その表面側は、表裏の挟持板4b、4aの内面に粘着固定したものであり、裏面側は、前記作動板2、2の減衰板部2a、2aの表面に粘着固定したものである。その面方向のサイズは、図1(a)、図2及び図4に示すように、対面接合する各作動板2、2の減衰板部2a、2aの面サイズに近似するサイズとする。厚みは1mmのそれを採用し、表裏の挟持板4b、4aで該減衰板部2a、2aを挟持する際に、ほぼ0.5mmに圧縮した状態となるようにしてある。
従ってこの実施例の制震装置によれば、これを建物の層間に取り付けて使用すれば、地震等に振動による層間振動変位を効果的に減衰することができる。また地震等による振動が限度を越える大きさのものであっても、上下の作動板2、2はその減衰板部2a、2aの横方向の相対変位が前記規制壁5、5によってその範囲に限定され、それ以上には変位できないようになっている。従ってこの限度を越えた変位に起因して生じる建物各部の損傷を回避することができる。更に地震等の振動で生じた層間の変位は振動の終了後には前記コイルバネ6、6…の作用により必ず原位置まで復帰するようになっており、変位を生じたままになってしまうようなことはない。
この実施例の制震装置は、その枠体1の上横枠1aを建物の上層階の横架材に、下横枠1bをその直下の下層階の横架材に取り付け、両側の縦側枠1c、1cは、その両側に位置する柱に取り付けて使用する。
前記上横枠1aはその上面を前記上層階の横架材の下面に接合し、その状態を、ネジ類を、該上横枠1aから突出し、該横架材の下面に接合状態となっている係止帯板1a1、1a1を貫通させて該横架材にねじ込み、これによって固定する。また前記下横枠1bはその下面を前記下層階の横架材の上面に接合し、その状態を、ネジ類を、該下横枠1bから突出し、該横架材の下面に接合状態となっている係止帯板1b1、1b1を貫通させて該横架材にねじ込み、これによって同様に固定する。更に前記両縦側枠1c、1cは、それぞれの外面側を両側の柱の対面する側に接合させ、その状態を、ネジ類を、各縦側枠1c、1cから両側に突出し、同様に該各柱に接合状態になっている係止帯板1c1、1c1…を貫通させて該各柱にねじ込み、これによって固定する。
対象の建物の層間の取付可能な位置にこのようにして取付可能な数だけ取り付けておけば、この建物が地震等の振動を受けた際に、その横方向の層間の相対的な変位を適切に減衰させることができる。
地震等の振動により層間に振動変位が生じると、上下の作動板2、2が相互に相対的に逆方向の振動水平変位を生じ、これに伴い、上方の作動板2の下部の減衰板部2a及び下方の作動板2の上部の減衰板部2aも同様に相対的に逆方向の振動水平変位を生じる。このとき、以上の上下の減衰板部2a、2aは、前記挟持板4a、4bの中央部上下の内面間に粘弾性シート3、3…を介して挟持されており、そのため、これらの水平方向の振動変位は該粘弾性シート3、3…のせん断変形によって適切に減衰されることになる。即ち、適切な制震作用を得ることができる。
また地震等の振動が極めて大きい場合には、上下の作動板2、2及びその減衰板部2a、2aの相対的な水平方向の振動変位の振幅が大きくなるが、それぞれの減衰板部2a、2aの水平方向の変位は前記規制壁5、5によって限界づけられており、これより大きくなろうとしてもこれに衝突してこれより大きくなれない。従ってこれより大きな変位を許容することによって生じる筋交いの折損やその端部に於ける抜け等の建物の損傷を回避することができる。こうして建物の耐震力も同時に高め、限度を越えた地震振動に対して耐えることを可能とするものでもある。
このような地震によって生じた水平方向の変位は地震が終了した後は、前記コイルバネ6、6…の作用により減衰板部2a、2aが枠体1の中央部である原位置に確実に復帰させられ、建物を確実に歪みのない状態に復帰させることができるものである。
またこの実施例の制震装置によれば、以上の制震作用に於いて、上下の作動板2、2の減衰板部2a、2a相互は、その間に区画壁7が配置してあるため、地震等の振動に伴う相対的な横方向の変位の際に相互に干渉を生じる虞がない。
1 枠体
1a 上横枠
1a1 係止帯板
1b 下横枠
1b1 係止帯板
1c 縦側枠
1c1 係止帯板
2 作動板
2a 減衰板部
2b 底辺部
2c 斜辺部
3 粘弾性シート(粘弾性体)
4a 裏面側の挟持板
4a1 側板
4b 表面側の挟持板
4b1 側板
5 規制壁
6 コイルバネ(バネ手段)
6a 下支持壁
6b 後部壁
6c 上支持壁
6d 後部壁
7 区画壁
8 スペーサ板
b ボルト
1a 上横枠
1a1 係止帯板
1b 下横枠
1b1 係止帯板
1c 縦側枠
1c1 係止帯板
2 作動板
2a 減衰板部
2b 底辺部
2c 斜辺部
3 粘弾性シート(粘弾性体)
4a 裏面側の挟持板
4a1 側板
4b 表面側の挟持板
4b1 側板
5 規制壁
6 コイルバネ(バネ手段)
6a 下支持壁
6b 後部壁
6c 上支持壁
6d 後部壁
7 区画壁
8 スペーサ板
b ボルト
Claims (3)
- 相互に平行に配した上部の上横枠及び下部の下横枠、並びに相互に平行に配した両側の縦側枠からなる縦長四辺形の枠体と、
二等辺三角形の底辺に沿った底辺部、両斜辺に沿った斜辺部及び二等辺の頂点から帯状に延長した減衰板部からなる二つの作動板であって、その一方の底辺部を前記枠体の上横枠に、他方の底辺部を前記枠体の下横枠に、それぞれ固設し、相互の減衰板部を対向状態に配した二つの作動板と、
前記枠体の両縦側枠の高さ方向の途中に両端を固設した対面状態の二つの挟持板であって、それらの中央上部の内面間で上方の作動板の減衰板部を、それらの中央下部の内面間で下方の作動板の減衰板部を、それぞれ粘弾性体を介して挟持する二つの挟持板と、
該二つの挟持板の内面間に粘弾性体を介して挟持された二つの減衰板部の横方向の相対的な移動範囲を所要範囲に限定する両側の規制壁であって、該挟持板の一方又は双方から立ち上げ構成した両側の規制壁と、
前記二つの挟持板の内面間で相対的に横方向に移動した減衰板部を原位置に復帰させるバネ手段と、
で構成した制震装置。 - 前記対面する二つの挟持板の一方に、上下の作動板の減衰板部の相対的な横方向の移動エリアを上下に区画する区画壁を立ち上げ構成した請求項1の制震装置。
- 前記両側の規制壁の各上下端に開口し、かつ前記挟持板の端部方向に延びるバネ装入空間をそれぞれ構成し、他方、前記バネ手段を圧縮コイルバネに構成し、該圧縮コイルバネを、前記各バネ装入空間に装入し、該各バネ装入空間から突出する該圧縮コイルバネの先端部を前記作動板の減衰板部の側部に当接させた請求項1又は2の制震装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2007067129A JP2008223424A (ja) | 2007-03-15 | 2007-03-15 | 制震装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=39842349
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2008223424A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114562056A (zh) * | 2022-04-20 | 2022-05-31 | 广州大学 | 一种装配式自复位减震墙体结构及其施工方法 |
-
2007
- 2007-03-15 JP JP2007067129A patent/JP2008223424A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114562056A (zh) * | 2022-04-20 | 2022-05-31 | 广州大学 | 一种装配式自复位减震墙体结构及其施工方法 |
CN114562056B (zh) * | 2022-04-20 | 2023-10-03 | 广州大学 | 一种装配式自复位减震墙体结构及其施工方法 |
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