JP2008222711A6 - Fgfr融合タンパク質によって疾患を治療するための組成物および方法 - Google Patents

Fgfr融合タンパク質によって疾患を治療するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】増殖性疾患治療のために有用なFGFR融合タンパク質を提供すること。
【解決手段】本発明は、FGFR融合タンパク質、その作製方法、ならびに癌および血管形成障害を含めた増殖性障害を治療するためのその使用方法を提供する。FGFR融合分子はCHO細胞中で作製することができ、FGFRの細胞外ドメイン中に、その安定性を向上させる欠失突然変異を含み得る。これらの融合タンパク質は、in vitroおよびin vivoで癌細胞の成長および生存度を阻害する。これらの受容体がそのリガンドFGFに対して比較的高い親和性を有することと、これらの囮受容体が腫瘍成長を阻害する能力が実証されていることとの組合せは、本明細書中に提供する組成物および方法の臨床的価値の指標である。
【選択図】なし

Description

関連出願
本発明は、2005年7月22日に出願された出願第60/701,479号;2005年10月21日に出願された出願第60/729,401号;2006年1月10日に出願された出願第60/757,398号;および2006年5月15日に出願された出願第60/800,005号に関連する。これらは全て、その全体が参考として援用される。
(技術分野)
本発明は、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)の細胞外ドメインを含む融合分子に関する。本発明は、FGFR融合タンパク質を含むポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列、ベクター、宿主細胞、組成物、キット、ならびに動物に関する。本発明はまた、癌および血管形成障害を含めた増殖性疾患の診断、予防、その予後診断の決定、および治療を行うために、FGFR融合分子ならびにその改変体および断片を作製かつ使用する方法にも関する。
(背景技術)
線維芽細胞成長因子(FGF)およびその受容体(FGFR)とは、血管形成、脈管形成、および創傷治癒、ならびに胚発生における組織パターン形成および肢形成において助けになる役割を有する、高度に保存されたタンパク質群である。FGFおよびFGFRは細胞遊走、増殖、および生存に影響を与え、健康および疾患に広範な影響を及ぼす。
FGFRファミリーは、4つの主要な受容体型、すなわちFGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4を含む。これらの受容体は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質内ドメインを有する膜貫通タンパク質である。細胞外ドメインのそれぞれは2つまたは3つの免疫グロブリン(Ig)ドメインを含む。一部のFGFRは、第3のIgドメインのC末端領域が異なるFGFR1−IIIbおよびFGFR1−IIIcなど、分子の特定のセグメントが異なるアイソフォームとして存在する。膜貫通FGFRは、FGFR二量体、FGFリガンド、およびヘパリングリカンまたはプロテオグリカンの複合体において細胞表面で起こる二量体化によって活性化される、単量体チロシンキナーゼ受容体である。FGFリガンドがFGFRに結合することによる細胞外FGFRの活性化により、受容体チロシンキナーゼ活性から始まる細胞内でシグナル伝達現象のカスケードが開始される。
現在までに23個の既知のFGFが存在し、これらのそれぞれが1つまたは複数のFGFRと結合する能力を有する(非特許文献1)。いくつかのFGFが1つまたは複数のFGFRのそれぞれに結合してそれを活性化することができ、多くの場合、様々なFGFRに対するその親和性において桁単位の差の大きな差異が存在する。多くのFGFが、非常に高い親和性でその対応するFGFRと結合し、一部はピコモル範囲で結合する。一部の状況下では、FGFがFGFRと結合するためにヘパリンが必要である(非特許文献2)。例えば、FGFR1によって媒介されるFGF−2(塩基性FGF(bFGF)としても知られる)に対する分裂応答は、ヘパリンの存在に依存することが示されている(非特許文献2)。
癌または他の増殖性細胞はアップレギュレーションされたレベルで複数のFGFまたはFGFRを発現し得るので、FGFの機能を遮断するために特異的抗体を使用する以前に提案されている治療手法では、複数のFGFRを活性化する際におけるFGFファミリー内の重複性の問題に取り組んでいない。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは関連するsiRNA治療には、特異性、血清半減期、および細胞内送達に関して潜在的な問題が存在する。アデノウイルスを用いるものを含めた遺伝子導入治療では患者の安全性の問題を提起されており、いくつかの臨床的遺伝子治療研究が患者の死亡により停止されている。小分子チロシンキナーゼ阻害剤治療には、標的特異性、毒性、および薬物耐性の徴候の問題が存在する。現在までに、どのヒトの疾患を治療するためにも、FGFRシグナル伝達経路を標的とする薬物は認可されていない。
Zhangら、J. Biol. Chem.、281:15、694〜15、700頁(2006年) Ornitzら、Mol. Cell Biol.、12:240頁(1992年)
本発明は、FGFRポリペプチドの細胞外ドメインと融合パートナーとを含む第1のポリペプチドを含むFGFR融合タンパク質を提供し、細胞外ドメインがC末端を含み、C末端は野生型FGFR細胞外ドメインのC末端の改変体を含み、改変体は野生型FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の細胞外ドメインのC末端中に存在する1〜22個のアミノ酸残基の欠失を含み、FGFR融合タンパク質は少なくとも1つのFGFリガンドまたはその生物活性のある断片に結合する。一実施形態では、欠失はIgIIIドメインのC末端に位置するバリン残基よりもC末端側であり、一般的に野生型FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4の細胞外ドメインのC末端に混ざってアラインメントされている。一実施形態では、FGFR融合タンパク質は切断されにくい。
本発明はまた、FGFRポリペプチドの細胞外ドメインと融合パートナーとを含む第1のポリペプチドを含むFGFR融合タンパク質も提供し;細胞外ドメインがC末端を含み、C末端は野生型FGFR細胞外ドメインのC末端の改変体を含み、改変体は、野生型FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の細胞外ドメインのC末端と比較して少なくとも1つの点突然変異を含み;点突然変異により、FGFR融合タンパク質は切断されにくくなる。
これらのうちの任意のFGFR融合タンパク質がFGFR1ポリペプチド、FGFR2ポリペプチド、FGFR3ポリペプチド、および/またはFGFR4ポリペプチドを含み得る。これらのうちの任意のFGFR融合タンパク質がFcポリペプチドを含み得る。
一実施形態では、FGFR融合タンパク質の細胞外ドメインは、配列番号100、配列番号97〜配列番号99、配列番号101〜配列番号122、配列番号127〜配列番号132、配列番号137〜配列番号141、配列番号146〜配列番号150、配列番号162〜配列番号166、配列番号178〜配列番号182、配列番号199〜配列番号203、配列番号206〜配列番号210、配列番号230〜配列番号234、および配列番号238〜配列番号242のうちの任意のアミノ酸配列を含む。これらのFGFR融合タンパク質は、ネイティブリーダー配列を欠いていてよい。一実施形態では、Fcポリペプチドは、配列番号171〜配列番号173のうちの任意のアミノ酸配列を含む。
本発明はさらに、FGFRポリペプチドの細胞外ドメインまたはその改変体と融合パートナーとを含む第1のポリペプチドを含む、CHO細胞または293細胞中で産生させたFGFR融合タンパク質を提供し、FGFR融合タンパク質は1つまたは複数のFGFリガンドに結合することができる。一実施形態では、このFGFR融合タンパク質は、配列番号100、配列番号95〜配列番号99、配列番号102〜配列番号126、配列番号156〜配列番号157、配列番号162〜配列番号166、配列番号176〜配列番号182、配列番号198〜配列番号202、配列番号205〜配列番号210、配列番号228〜配列番号234、および配列番号236〜配列番号242のうちの任意のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、このFGFR融合タンパク質はネイティブリーダー配列を欠く。一実施形態では、これはCHEF発現系を用いて産生させる。
本発明はさらに、任意の上述のFGFR融合タンパク質の、医薬品としての使用を提供する。本発明は、有効量の任意の上述のFGFR融合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。本発明は、この組成物を容器中に含み、そのような組成物を必要としている対象へそれを投与するための指示書を含むキットを提供する。一実施形態では、キットはFGFR融合タンパク質の単一用量または複数用量のどちらかを含む。
本発明は、任意の上述のFGFR融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチドを含む核酸分子を提供する。一実施形態では、ベクターがこの核酸分子および核酸分子の発現を制御するプロモーターを含む。本発明はまた、任意の上述のFGFR融合タンパク質、この核酸分子、および/またはこのベクターを含む組換え宿主細胞も提供する。一実施形態では、この組換え宿主細胞は原核細胞である。一実施形態では、この組換え宿主細胞は真核細胞、例えばCHOまたは293系統の細胞である。一実施形態では、本発明は、そのような組換え宿主細胞から発現させたポリペプチドを提供する。
別の態様では、本発明は、上述の組換え宿主細胞を提供すること、およびそれを培養してFGFR融合タンパク質を発現させることを含む、FGFR融合タンパク質の産生方法を提供する。一実施形態では、本方法はさらに、FGFR融合タンパク質を細胞培養物から単離することを含む。一実施形態では、単離手順は、発現させたFGFR融合タンパク質を、アフィニティーマトリックス、例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、抗Fc抗体、および抗FGFR抗体と接触させることを含む。一実施形態では、単離はさらに、FGFR融合タンパク質を疎水性マトリックスと接触させることを含む。
さらなる態様では、本発明は、対象においてFGFR発現のレベルを検出する方法であって、FGFRに対するリガンドを提供すること、対象から組織試料を提供すること、特異的FGFR結合を可能にする条件下でリガンドと試料とを相互作用させること、特異的結合を測定すること;および特異的結合の量を対照試料での量と比較することを含み、リガンドがFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、およびこれらの任意の断片のうちの少なくとも1つに結合する方法を提供する。組織試料は血液、血清、または血漿試料を含み得る。一実施形態では、組織試料は患部組織の試料を含む。一実施形態では、組織試料は腫瘍組織の試料を含む。一実施形態では、試験は、タンパク質−抗体の結合もしくは競合アッセイ、または核酸ハイブリダイゼーションアッセイを含む。一実施形態では、リガンドはFGFリガンドまたは抗体リガンドを含む。
本発明はまた、対象においてFGF発現のレベルを検出する方法であって、FGFRまたはその断片を提供すること;対象から組織試料を提供すること;特異的結合を可能にする条件下でリガンドと試料とを相互作用させること;特異的結合を測定すること;および特異的結合の量を対照試料での量と比較することを含み、FGFRまたはその断片がFGFに結合する方法を提供する。一実施形態では、FGFは、FGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8、FGF−9、FGF−10、FGF−16、FGF−17、FGF−18、FGF−19およびFGF−20のうちの少なくとも1つである。
本発明はさらに、有効量の上述のFGFR融合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供すること、ならびに増殖性細胞を、増殖性細胞の生存度または増殖を阻害するために有効な量の組成物と接触させることを含む、増殖性細胞の生存度または増殖をin vitro、in vivo、またはex vivoで阻害する方法を提供する。一実施形態では、対象内に増殖性細胞が存在し、対象は、正常よりも高いレベルで1つまたは複数のFGFリガンドを発現する。一実施形態では、この対象の組織は、正常よりも高いレベルでFGFリガンドを発現する。一実施形態では、FGFリガンドはFGFR1−Fc、FGFR2−Fc、FGFR3−Fc、もしくはFGFR4−Fc、またはこれらの任意の改変体のうちの少なくとも1つに結合し、これは結合相互作用を実時間で測定することによって決定する。例えば、このFGFは、FGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−8、FGF−9、FGF−16、FGF−17、FGF−18、FGF−19およびFGF−20から選択し得る。一実施形態では、本方法を行い、対象内に増殖性細胞が存在し、対象は、正常よりも高いレベルでFGFRポリペプチドを発現する。一実施形態では、対象内の組織も、正常よりも高いレベルでFGFRポリペプチド、例えば、FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4を発現する。一実施形態では、本方法は、増殖性癌細胞、増殖性異形成細胞、または増殖性内皮細胞の生存度および/または増殖を阻害する。一実施形態では、増殖性細胞は、乳房細胞、膵臓細胞、前立腺細胞、肺細胞、卵巣細胞、腎細胞、脳細胞、結腸直腸細胞、網膜細胞、または表7〜表13のうちの任意の表から選択された別の細胞を含む。一実施形態では、対象は、正常よりも高いレベルでFGFRポリペプチドおよび正常よりも高いレベルのFGFリガンドを発現する。
さらなる態様では、本発明は、対象において癌を治療する方法であって、任意の上述のFGFR融合タンパク質を提供すること、および有効量のFGFR融合タンパク質を対象に投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、癌は、FGFリガンドによる成長刺激に依存するまたはそれに応答性である細胞の少なくとも1つの部分集団を含む。一実施形態では、癌は、成長のための血管の生成について、血管新生因子に依存するまたはそれに応答性である細胞の少なくとも1つの部分集団を含む。一実施形態では、癌は、VEGFシグナル伝達経路の阻害に対する耐性を有する。一実施形態では、癌は、転移性の癌、例えば骨転移を含む。一実施形態では、癌は、血液癌、例えば、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、または有毛細胞白血病を含む。一実施形態では、癌は固形腫瘍を含む。一実施形態では、癌は、乳癌、膵臓癌、下垂体癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、腎細胞癌、口内扁平細胞癌、結腸直腸癌、膀胱癌、網膜癌、脳癌、または表7〜表13に記載の別の癌を含む。
一実施形態では、本方法はさらに、第2の抗癌治療剤、例えば、細胞分裂抑制剤、細胞毒性剤、抗血管形成剤、第2のFGFR融合タンパク質、PDGFシグナル伝達の阻害剤、VEGFシグナル伝達の阻害剤、またはEGFシグナル伝達の阻害剤を含む抗癌治療剤を、対象に投与することを含む。第2の抗癌治療剤は、FGFR融合タンパク質を投与する前、後、またはそれと同時に投与し得る。
本発明はまた、対象において血管形成を阻害する方法であって、任意の上述のFGFR融合タンパク質を提供すること、および血管形成を阻害するために有効な量のFGFR融合タンパク質を対象に投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、本方法はさらに、第2の治療剤、例えば、細胞分裂抑制剤、細胞毒性剤、第2の抗血管形成剤、または第2の抗血管形成剤を、対象に投与することを含む。
本方法の一実施形態では、対象を黄斑変性症について治療する。一実施形態では、対象を癌について治療する。一実施形態では、第2の治療剤は、抗癌治療剤、例えば、第2のFGFR融合タンパク質、PDGFシグナル伝達の阻害剤、VEGFシグナル伝達の阻害剤、EGFシグナル伝達の阻害剤、抗体、またはsiRNAを含む。一実施形態では、本発明は、Avastin(登録商標)で治療したまたは治療中である対象において血管形成を治療する方法を提供する。
本発明は、有効量の任意の上述のFGFR融合タンパク質を含む組成物を、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、局所投与、経口投与、腹腔内投与、眼窩内投与、移植による投与、吸入による投与、くも膜下腔内投与、脳室内投与、および/または鼻腔内投与することによる、増殖性細胞の生存度または増殖をin vitro、in vivo、またはex vivoで阻害する方法;癌を治療する方法、ならびに血管形成を治療する方法を提供する。一実施形態では、本方法はさらに、第2の抗癌治療剤を対象に投与することを含み、第2の薬剤は、手術、化学療法、放射線療法、および/または別の生物剤の投与を含む。
本発明はまた、増殖性疾患、例えば、癌または黄斑変性症を治療するための医薬品を製造するための、任意の上述のFGFR融合タンパク質の使用を提供する。一実施形態では、癌は血液癌または固形癌を含む。一実施形態では、癌は、乳癌、膵臓癌、下垂体癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、腎臓癌、口腔癌、結腸直腸癌、膀胱癌、網膜癌、脳癌、または表7〜表13に同定した別の癌を含む。
本発明は、癌を治療するために同時、別々、または逐次的に使用する、上述のFGFR融合タンパク質および少なくとも1つの抗癌治療剤を合わせた調製物を含む製品を提供する。
上記に加えて、本発明は以下を提供する:
(項目1) FGFRポリペプチドの細胞外ドメインと融合パートナーとを含む第1のポリペプチドを含むFGFR融合タンパク質であって、該細胞外ドメインがC末端を含み、該C末端が野生型FGFR細胞外ドメインのC末端の改変体を含み、該改変体が野生型FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の細胞外ドメインのC末端中に存在する1〜22個のアミノ酸残基の欠失を含み、該FGFR融合タンパク質が少なくとも1つのFGFリガンドまたはその生物活性のある断片に結合する、FGFR融合タンパク質。
(項目2) 上記欠失がIgIIIドメインのC末端に位置するバリン残基よりもC末端側であり、一般的に野生型FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4の細胞外ドメインのC末端に混ざってアラインメントされている、項目1に記載のFGFR融合タンパク質。
(項目3) FGFRポリペプチドの細胞外ドメインと融合パートナーとを含む第1のポリペプチドを含むFGFR融合タンパク質であって、該細胞外ドメインがC末端を含み、該C末端が野生型FGFR細胞外ドメインのC末端の改変体を含み、該改変体が、野生型FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の細胞外ドメインのC末端と比較して少なくとも1つの点突然変異を含み、該点突然変異により、該FGFR融合タンパク質が切断されにくくなる、FGFR融合タンパク質。
(項目4) 上記FGFRポリペプチドがFGFR1ポリペプチドを含む、項目1から3のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質。
(項目5) 上記FGFRポリペプチドがFGFR2ポリペプチドを含む、項目1から3のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質。
(項目6) 上記FGFRポリペプチドがFGFR3ポリペプチドを含む、項目1から3のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質。
(項目7) 上記FGFRポリペプチドがFGFR4ポリペプチドを含む、項目1から3のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質。
(項目8) 上記融合パートナーがFcポリペプチドを含む、項目1から3のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質。
(項目9) 上記融合タンパク質が切断されにくい、項目1から3のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質。
(項目10) 上記細胞外ドメインが、配列番号100、配列番号97〜配列番号99、配列番号101〜配列番号122、配列番号127〜配列番号132、配列番号137〜配列番号141、配列番号146〜配列番号150、配列番号162〜配列番号166、配列番号178〜配列番号182、配列番号199〜配列番号203、配列番号206〜配列番号210、配列番号230〜配列番号234、および配列番号238〜配列番号242のうちの任意のアミノ酸配列を含む、項目1に記載のFGFR融合タンパク質。
(項目11) 上記融合タンパク質がネイティブリーダー配列を欠く、項目10に記載のFGFR融合タンパク質。
(項目12) 上記Fcポリペプチドが配列番号171〜配列番号173のうちの任意のアミノ酸配列を含む、項目10に記載のFGFR融合タンパク質。
(項目13) CHO細胞または293細胞中で産生されたFGFR融合タンパク質であって、該FGFR融合タンパク質は、FGFRポリペプチドの細胞外ドメインまたはその改変体と融合パートナーとを含む第1のポリペプチドを含み、該FGFR融合タンパク質は1つまたは複数のFGFリガンドに結合することができる、FGFR融合タンパク質。
(項目14) 上記FGFR融合タンパク質が、配列番号100、配列番号95〜配列番号99、配列番号102〜配列番号126、配列番号156〜配列番号157、配列番号162〜配列番号166、配列番号176〜配列番号182、配列番号198〜配列番号202、配列番号205〜配列番号210、配列番号228〜配列番号234、および配列番号236〜配列番号242のうちの任意のアミノ酸配列を含む、項目13に記載のFGFR融合タンパク質。
(項目15) 上記融合タンパク質がネイティブリーダー配列を欠く、項目13に記載のFGFR融合タンパク質。
(項目16) 上記融合タンパク質はCHEF発現系を用いて産生させる、項目13に記載のFGFR融合タンパク質。
(項目17) 医薬品として使用するための、項目1から16のいずれか一項に記載のFGFR融合タンパク質。
(項目18) 有効量の項目1から17のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む組成物。
(項目19) 項目18の組成物を容器中に含み、そして該組成物を必要としている対象へ投与するための指示書を含む、キット。
(項目20) 上記組成物が単一または複数用量のFGFR融合タンパク質を含む、項目19に記載のキット。
(項目21) 項目1から17のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチドを含む、核酸分子。
(項目22) 項目21に記載の核酸分子と、該核酸分子の発現を制御するプロモーターとを含む、ベクター。
(項目23) 宿主細胞と、項目1から16のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質、項目21に記載の核酸分子、または項目22に記載のベクターとを含む、組換え宿主細胞。
(項目24) 上記宿主細胞が真核細胞である、項目23に記載の組換え宿主細胞。
(項目25) 上記真核細胞がCHOまたは293系統のものである、項目24に記載の組換え宿主細胞。
(項目26) 項目24に記載の組換え宿主細胞から発現された、ポリペプチド。
(項目27) (a)項目23から25のいずれかに記載の組換え宿主細胞を提供すること;および
(b)FGFR融合タンパク質を発現させるための組換え宿主細胞を培養すること を含む、FGFR融合タンパク質の産生方法。
(項目28) 上記FGFR融合タンパク質を上記細胞培養物から単離することをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29) 上記FGFR融合タンパク質の単離が、発現させたFGFR融合タンパク質をアフィニティーマトリックスと接触させることを含む、項目28に記載の方法。
(項目30) 上記アフィニティーマトリックスが、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、抗Fc抗体、および抗FGFR抗体の少なくとも1つを含む、項目29に記載の方法。
(項目31) 上記FGFR融合タンパク質の単離が、該FGFR融合タンパク質を疎水性マトリックスと接触させることをさらに含む、項目28から30のいずれかに記載の方法。
(項目32) 対象においてFGFR発現のレベルを検出する方法であって、
(a)FGFRに対するリガンドを提供すること;
(b)該対象から組織試料を提供すること;
(c)特異的FGFR結合を可能にする条件下で該リガンドと該試料とを相互作用させること;
(d)該特異的結合を測定すること;および
(e)特異的結合の量を対照試料での量と比較すること
を含み、該リガンドがFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、およびこれらの任意の断片のうちの少なくとも1つと結合する、方法。
(項目33) 上記組織試料が血液、血清、または血漿試料を含む、項目32に記載の方法。
(項目34) 上記組織試料が患部組織の試料を含む、項目32に記載の方法。
(項目35) 上記組織試料が腫瘍組織を含む、項目32に記載の方法。
(項目36) 上記試験がタンパク質−抗体の結合もしくは競合アッセイ、または核酸ハイブリダイゼーションアッセイを含む、項目32に記載の方法。
(項目37) 対象においてFGF発現のレベルを検出する方法であって、
(a)FGFRまたはその断片を提供すること;
(b)該対象から組織試料を提供すること;
(c)特異的FGF結合を許容する条件下で該リガンドと該試料とを相互作用させること;
(d)特異的結合を測定すること;および
(e)特異的結合の量を対照試料での量と比較すること
を含み、該FGFRまたはその断片がFGFに結合する、方法。
(項目38) 上記FGFが、FGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8、FGF−9、FGF−10、FGF−16、FGF−17、FGF−18、FGF−19、またはFGF−20のうちの少なくとも1つである、項目37に記載の方法。
(項目39) 増殖性細胞の生存度または増殖をin vitro、in vivo、またはex vivoで阻害する方法であって、
(a)項目18に記載の組成物を提供すること;および
(b)該増殖性細胞を、該増殖性細胞の生存度または増殖を阻害するために有効な量の該組成物と接触させること
を含む、方法。
(項目40) 対象内に増殖性細胞が存在し、該対象は正常よりも高いレベルで1つまたは複数のFGFリガンドを発現している、項目39に記載の方法。
(項目41) 上記対象の組織が正常よりも高いレベルでFGFリガンドを発現する、項目40に記載の方法。
(項目42) 結合相互作用を実時間で測定することによって決定した場合に、上記FGFリガンドがFGFR1−Fc、FGFR2−Fc、FGFR3−Fc、もしくはFGFR4−Fc、またはこれらの任意の改変体のうちの少なくとも1つに結合する、項目41に記載の方法。
(項目43) 上記FGFリガンドはFGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−8、FGF−9、FGF−16、FGF−17、FGF−18、FGF−19およびFGF−20から選択される、項目42に記載の方法。
(項目44) 対象内に増殖性細胞が存在し、該対象は正常よりも高いレベルでFGFRポリペプチドを発現する、項目39に記載の方法。
(項目45) 上記対象内の組織が正常よりも高いレベルのFGFRポリペプチドを発現する、項目44に記載の方法。
(項目46) 上記FGFRポリペプチドがFGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4を含む、項目44に記載の方法。
(項目47) 上記増殖性細胞が癌細胞、異形成細胞、および/または内皮細胞である、項目39から46のいずれかに記載の方法。
(項目48) 上記増殖性細胞が、乳房細胞、膵臓細胞、前立腺細胞、肺細胞、卵巣細胞、腎細胞、脳細胞、結腸直腸細胞、網膜細胞、または表5〜表11から選択されるものを含む、項目47に記載の方法。
(項目49) 上記対象が正常よりも高いレベルのFGFリガンドを発現する、項目44に記載の方法。
(項目50) 対象において癌を治療する方法であって、
(a)項目1から17のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質を提供すること;および
(b)癌を治療するために有効量の該FGFR融合タンパク質を該対象に投与することを含む、方法。
(項目51) 上記癌が、FGFリガンドによる増殖刺激に依存するかまたはそれに応答性である細胞の少なくとも1つの部分集団を含む、項目50に記載の方法。
(項目52) 上記癌が、成長のための血管の生成のために血管新生因子に依存するかまたはそれに応答性である細胞の少なくとも1つの部分集団を含む、項目50に記載の方法。
(項目53) 上記癌が、VEGFシグナル伝達経路の阻害に対して耐性である、項目50に記載の方法。
(項目54) 上記癌が転移性の癌を含む、項目50に記載の方法。
(項目55) 上記癌が血液癌を含む、項目50に記載の方法。
(項目56) 上記血液癌が慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、または有毛細胞白血病を含む、項目55に記載の方法。
(項目57) 上記癌が固形腫瘍を含む、項目55に記載の方法。
(項目58) 上記癌が乳癌、膵臓癌、下垂体癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、腎細胞癌、口内扁平細胞癌、結腸直腸癌、膀胱癌、網膜癌、脳癌、または表5〜表11に記載の癌を含む、項目57に記載の方法。
(項目59) 上記癌が骨転移を含む、項目54に記載の方法。
(項目60) 第2の抗癌治療剤を上記対象に投与することをさらに含む、項目50に記載の方法。
(項目61) 上記第2の抗癌治療剤が細胞分裂抑制剤、細胞毒性剤、または抗血管形成性剤を含む、項目60に記載の方法。
(項目62) 上記第2の抗癌治療剤が第2のFGFR融合タンパク質、PDGFシグナル伝達の阻害剤、VEGFシグナル伝達の阻害剤、またはEGFシグナル伝達の阻害剤を含む、項目60に記載の方法。
(項目63) 上記第2の抗癌治療剤を、上記FGFR融合タンパク質を投与する前、後、またはそれと同時に投与する、項目60に記載の方法。
(項目64) 対象において血管形成を阻害する方法であって、
(a)項目1から17のいずれかに記載のFGFR融合タンパク質を提供すること;および
(b)血管形成を阻害するために有効な量の該FGFR融合タンパク質を対象に投与すること
を含む、方法。
(項目65) 第2の治療剤を上記対象に投与することをさらに含む、項目64に記載の方法。
(項目66) 上記第2の治療剤が細胞分裂抑制剤、細胞毒性剤、または第2の抗血管形成剤を含む、項目65に記載の方法。
(項目67) 上記対象を黄斑変性症について治療する、項目64または65に記載の方法。
(項目68) 上記対象を癌について治療する、項目64または65に記載の方法。
(項目69) 上記第2の治療剤が抗癌剤を含む、項目65に記載の方法。
(項目70) 上記抗癌治療剤が第2のFGFR融合タンパク質、PDGFシグナル伝達の阻害剤、VEGFシグナル伝達の阻害剤、EGFシグナル伝達の阻害剤、抗体、またはsiRNAを含む、項目69に記載の方法。
(項目71) 上記対象は、Avastin(登録商標)で治療されたかまたは治療中である、項目64に記載の方法。
(項目72) 上記組成物は静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、局所投与、経口投与、腹腔内投与、眼窩内投与、移植による投与、吸入による投与、くも膜下腔内投与、脳室内投与、および/または鼻腔内投与される、項目39、50、または64のいずれかに記載の方法。
(項目73) 上記抗癌治療剤が手術、化学療法、放射線療法、および/または別の生物剤の投与を含む、項目69に記載の方法。
(項目74) 増殖性疾患を治療する医薬品を製造するための、項目1から17のいずれか一項に記載のFGFR融合タンパク質の使用。
(項目75) 上記疾患が癌または黄斑変性症を含む、項目74に記載のFGFR融合タンパク質の使用。
(項目76) 上記癌が血液癌または固形癌を含む、項目75に記載のFGFR融合タンパク質の使用。
(項目77) 上記癌が、乳癌、膵臓癌、下垂体癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、腎臓癌、口腔癌、結腸直腸癌、膀胱癌、網膜癌、脳癌または表5〜表11で同定した癌を含む、項目75に記載のFGFR融合タンパク質の使用。
(項目78) 癌を治療するために同時に、別々に、または逐次的に使用する合わせた調製物として、項目1から17のいずれか一項に記載のFGFR融合タンパク質および少なくとも1つの抗癌治療剤を含む製品。
(定義)
本明細書中で用いた用語はその通常の意味をもち、より具体的には以下に記載の意味、また本明細書の文脈においてさらに理解することができる意味をもつ。
用語「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」とは、ゲノムやcDNAであれ、cRNAやアンチセンスRNAであれ、DNA;RNA;RNAi;siRNAなどのヌクレオチドのポリマーをいうために互換性があるように使用してよく、天然または非天然の核酸もしくはポリヌクレオチドまたはその活性断片を含み得る。
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、天然または非天然のアミノ酸残基を含むアミノ酸残基のポリマーをいうために互換性があるように使用し、最小の長さには限定されない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などが本定義内に含まれる。完全長のタンパク質およびその断片はどちらも本定義に包含される。これらの用語には、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、およびリン酸化を含めたポリペプチドの翻訳後修飾も含まれる。さらに、本明細書における「ポリペプチド」とは、タンパク質が所望の活性を保つ限り、ネイティブ配列の単一または複数のアミノ酸残基の欠失、付加、および置換などの修飾タンパク質もいう。例えば、単一の反応性システインを排除するためもしくはジスルフィド結合を除去するために1個のセリン残基を置換してもよく、または切断部位を排除するために保存的アミノ酸置換を行ってもよい。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発によるものなどの意図的な修飾、またはタンパク質を産生させる宿主の突然変異もしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅が原因の誤りによるものなどの偶然の修飾であり得る。
「細胞外ドメイン」(「ECD」)とは、膜貫通ドメインを越えて細胞外空間内へと伸びる、ポリペプチドの一部分である。本明細書中で使用する用語「細胞外ドメイン」は、完全な細胞外ドメインを含むか、または1つもしくは複数のアミノ酸を欠く切断された細胞外ドメインを含み得る。FGFRの細胞外ドメイン(以下に定義)は1つまたは複数のFGFに結合する。細胞外ドメインの組成は、どのアミノ酸が膜中に存在するのかを決定するために用いるアルゴリズムに依存し得る。所定のFGFRについて、異なるアルゴリズムは異なる細胞外ドメインを予測する場合があり、また、異なる系は異なる細胞外ドメインを発現する場合がある。例えば、チロシン(Y)残基は、細胞外ドメインの決定に用いた方法次第で膜貫通ドメイン中の最初のアミノ酸残基または細胞外ドメインの最後のアミノ酸残基と見なされ得る。
本明細書中で使用する「線維芽細胞成長因子受容体」(FGFR)ポリペプチドとは、すべてのその天然に存在するアイソフォームもしくは対立遺伝子改変体を含めたFGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の、全体または一部分を含むポリペプチドである。例えば、「FGFR1ポリペプチド」とは、FGFR1−IIIbおよびFGFR1−IIIcなどの既知のFGFR1ポリペプチドのうち任意のもののアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに任意のその断片をいい、米国特許第6,656,728号;第6,384,191号;第5,229,501号;第6,255,454号;第6,344,546号;第5,474,914号;および第5,288,855号に記載のものが含まれる。FGFR1−IIIbおよびFGFR1−IIIcは、そのIgIIIドメイン(以下に定義)が互いに異なる。FGFR2ポリペプチドとは、例えば、既知のFGFR2ポリペプチドのうち任意のもの、例えばFGFR2−IIIbおよびFGFR2−IIIcのアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに任意のその断片をいう。FGFR2−IIIbおよびFGFR2−IIIcも、IgIIIドメインが互いに異なる。「FGFR3ポリペプチド」とは、例えば、既知のFGFR3ポリペプチドのうち任意のもの、例えばFGFR3−IIIbおよびFGFR3−IIIcのアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに任意のその断片をいう。FGFR3−IIIbおよびFGFR3−IIIcも、IgIIIドメインが互いに異なる。「FGFR4ポリペプチド」とは、例えば、既知のFGFR4ポリペプチドのうち任意のもののアミノ酸配列を有するポリペプチド、および任意のその断片をいう。
「FGFR融合タンパク質」とは、表および配列表中に定義したタンパク質であり、典型的には、FGFRポリペプチドの細胞外ドメインまたはその生物活性のある断片に対応するアミノ酸配列と、融合パートナーとを含む。融合パートナーはFGFRポリペプチドのN末端またはC末端のどちらかに結合してよく、FGFRは融合パートナーのN末端またはC末端のどちらかに結合してよい。FGFR融合タンパク質は、組換えDNA鎖のスプライシングの結果生じた産物であることができ、ハイブリッド遺伝子を発現する。これは、遺伝子操作によって、例えば、DNA配列が単一のタンパク質として発現されるように、第1のタンパク質のDNA配列からストップコドンを除去し、次いで第2のタンパク質のDNA配列をインフレームで付加することによって、作製することができる。これは典型的には、cDNAを発現ベクター内に、既存の遺伝子とインフレームでクローニングすることによって達成する。FGFR融合タンパク質は、複数の遺伝子の全体または複数の断片を表すアミノ酸残基を含む融合パートナーを含み得る。また、FGFR融合タンパク質は、ポリペプチドではなく、化学結合している融合パートナーを含み得る。
「IgIIIドメインのC末端に位置し、一般的に野生型FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4のECDのC末端の間でアラインメントされているバリン残基」とは、以下に太字で示すバリン(V)残基である。
Figure 2008222711
「融合パートナー」とは、FGFRの細胞外ドメインまたはその断片に加えた融合分子の任意の構成成分である。融合パートナーは、免疫グロブリン分子の断片などのポリペプチド、または非ポリペプチド部分、例えばポリエチレングリコールを含み得る。融合パートナーは、重鎖免疫グロブリンのFcドメインなどのオリゴマー化ドメインを含み得る。
「FGFリガンド」とは、FGFRに結合する線維芽細胞成長因子、またはその改変体もしくは断片である。現在、既知のFGFリガンドにはFGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8、FGF−9、FGF−10、FGF−11、FGF−12、FGF−13、FGF−14、FGF−15、FGF−16、FGF−17、FGF−18、FGF−19、FGF−20、FGF−21、FGF−22、およびFGF−23が含まれる。それぞれのFGFは1つまたは複数のFGFRに結合し得る。FGFリガンドは、リガンドを発現している細胞、組織、または生物において正常よりも高いレベルで発現された場合、「過剰発現」されている。
「断片結晶性(Fc)ポリペプチド」とは、エフェクター分子および細胞と相互作用する抗体分子の部分をいう。これは、免疫グロブリン重鎖のC末端部分を含む。本明細書中で使用するFcポリペプチドとは、完全なFcポリペプチドの1つまたは複数の生物活性を有するFcドメインの断片を含む。Fcポリペプチドの「エフェクター機能」とは、刺激に応答して完全にまたは部分的に抗体によって行われる作用または活性であり、補体の固定またはADCC(抗体依存性細胞性細胞傷害)の誘導が含まれ得る。
「野生型」とは、遺伝子、対立遺伝子、遺伝子型、ポリペプチド、もしくは表現型の突然変異していない型、またはこれらの任意の断片をいう。これは、天然に存在するか、または組換えによって産生させ得る。「野生型FGFRのECD」とは、FGFRの野生型細胞外ドメインと同一のアミノ酸配列または核酸配列を完全にもしくは部分的に含むタンパク質または核酸分子をいい、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4のすべてのアイソフォームが含まれる。
「改変体」とは、参照核酸分子またはポリペプチドと単一もしくは複数のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加によって異なり、参照核酸分子またはポリペプチドの少なくとも1つの生物活性を実質的に保持している、核酸分子あるいはポリペプチドである。
「点突然変異」とは、単一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基に関与する突然変異である。突然変異は、ヌクレオチドもしくはアミノ酸の喪失、1つのヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の別のものとの置換、追加のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の挿入であり得る。
「リーダー配列」とは、目的ポリペプチドの分泌を促進し、典型的にはポリペプチドが細胞表面膜の外に輸出された際に切断される、アミノ酸残基またはそれをコードしているポリヌクレオチドの配列をいう。
「ベクター」とは、1つの生物から別の生物へとDNA配列を移すため、または目的遺伝子を発現させるために使用することができるプラスミドである。ベクターには、典型的には複製起点および目的遺伝子の発現を制御する調節配列が含まれ、抗生物質耐性遺伝子などの選択マーカー遺伝子を保有していても、していなくてもよい。ベクターは、それを発現させる宿主細胞に適している。ベクターは、目的遺伝子がベクター中に存在する場合には「組換えベクター」と呼び得る。
「宿主細胞」とは、任意の組換えベクターもしくは単離ポリヌクレオチドのレシピエントとなることができるまたはなったことがある、個々の細胞または細胞培養物である。宿主細胞には、天然、偶然、または意図的な突然変異および/または変更により、例えば形態学的にまたは完全DNA補体において、必ずしも元々の親細胞と完全に同一でなくてもよい単一の宿主細胞の子孫が含まれる。宿主細胞には、本発明の組換えベクターまたはポリヌクレオチドを用いて、in vivoもしくはin vitroで形質移入または感染を行った細胞が含まれる。組換え分子を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」と呼び得る。宿主細胞は原核細胞または真核細胞であり得る。宿主細胞としての使用に適した真核細胞には、霊長類または非霊長類の動物細胞などの哺乳動物細胞;真菌細胞;植物細胞;および昆虫細胞が含まれる。例えば、宿主細胞は、293またはCHO細胞に由来し得る。
「プロモーター」とは、細胞中のRNAポリメラーゼに結合して、作動可能にそれに連結している下流(5’から3’の方向)のコード配列の転写を開始することができる、DNA制御領域である。プロモーターには、天然で核酸分子に連続しているもの、および天然で核酸分子に連続していないものが含まれる。さらに、用語「プロモーター」には、誘導性プロモーター、ならびにcre−loxプロモーター、tet誘導性プロモーター、構成的プロモーター、および組織特異的プロモーターなどの条件的に活性となるプロモーターが含まれる。「外来性プロモーター」とは、天然に存在する状態で目的遺伝子に作動可能に連結していないものである。
「CHEF発現系」とは、調節配列として米国特許第5,888,809号に記載のハムスター伸長因子−1(EF−1)α遺伝子由来の制御DNA配列を利用する発現系をいう。CHEF発現系では、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を宿主細胞として用い得る。
CHEF発現系は、チャイニーズハムスター卵巣EF−1α遺伝子の翻訳された領域の5’側の制御DNA配列を含み、Spe1制限部位からEF−1αタンパク質の開始メチオニン(ATG)コドンまで伸びる約3.7kbのDNAが含まれる。3.7kb未満のポリヌクレオチドは、作動可能に連結した遺伝子の転写を増加させる能力を有する限り小さな断片のポリヌクレオチドも含まれる。この制御系を含むプラスミドの例には、pDEF2およびpDEF10が含まれる。大腸菌株XL−1 Blue中のプラスミドpDEF2は、American Type Tissue Collection、10801 University Boulevard、バージニア州Manassas、20110から寄託し、寄託番号98343が割り当てられた。
タンパク質を細胞培養物から「単離すること」とは、タンパク質を、細胞培養物中の残りの物質から分離することを意味する。「単離すること」とは、培養物からタンパク質の部分的または完全な分離を達成することを意味することができる。「単離すること」および「精製すること」は互換性があるように使用し、「単離した」および「精製した」も同様である。
「アフィニティーマトリックス」とは、目的のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して優先的な親和性を示す組成物をいい、その環境、例えば細胞培養物中に天然で存在する他の物質からそれらを精製または単離するために用いる。アフィニティーマトリックスとしての使用に適した物質には、それだけには限定されないが、プロテインA、プロテインG、プロテインAおよびGの組合せ、ならびに、固体基質に付着した抗体が含まれる。
「生物活性のある」実体、または「生物活性」を有する実体とは、代謝的もしくは生理的プロセスに関連もしくは関与する任意の機能を有し、かつ/または天然に存在する分子の構造的、制御的、もしくは生化学的機能を有する実体である。生物活性のあるポリヌクレオチド断片とは、本発明のポリヌクレオチド活性に類似しているが、必ずしも同一である必要はない活性を示している断片である。生物活性のあるポリペプチドまたはその断片には、それだけには限定されないが、リガンド−受容体の相互作用または抗原−抗体結合を含めた生物学的反応に参加することができるものが含まれる。生物活性には、所望の活性の向上または望ましくない活性の低下が含まれることができる。実体は、別の分子との分子相互作用、例えばハイブリダイゼーションに参加する場合、病状の緩和において治療的価値を有する場合、免疫応答の誘発において予防的価値を有する場合、例えばポリヌクレオチド分子に対して独特に検出され得るポリヌクレオチドの生物活性のある断片のような分子の存在の決定において診断的および/または予後的価値を有する場合、ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においてプライマーとして用いることができる場合に、生物活性を実証し得る。
「対象」、「個体」、「宿主」、「動物」、および「患者」は、それだけには限定されないが、げっ歯類、サル、ヒト、ネコ科動物、イヌ科動物、ウマ科動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳類の実験動物、哺乳類の家畜、哺乳類のスポーツ用動物、および哺乳類のペットを含めた哺乳動物をいうために、本明細書中で互換性があるように使用する。
「組織試料」とは、患者に由来する任意の生物学的検体である。この用語には、それだけには限定されないが、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液、涙、唾液、リンパ液、透析液、洗浄液、精液、および他の液体試料などの生物学的液体、ならびに生物学的起源の細胞および組織が含まれる。また、この用語には、培養中の細胞、細胞上清、および細胞溶解液を含めた、それに由来する細胞または細胞ならびにその子孫も含まれる。これにはさらに、器官または組織培養物由来の液体、組織生検試料、腫瘍生検試料、糞便試料、および生理的組織から抽出した液体、ならびに固体組織、組織切片、および細胞溶解液から解離した細胞が含まれる。この定義には、試薬を用いた処理、可溶化、またはポリヌクレオチドもしくはポリペプチドなどの特定の構成成分の富化など、入手した後に任意の方法で操作した試料が包含される。また、この用語には、患者試料の誘導体および画分も含まれる。患者試料は、診断的アッセイ、予後的アッセイ、または他の監視アッセイに用い得る。
「成長因子受容体シグナル伝達阻害剤」、例えば「PDGFシグナル伝達阻害剤」、「VEGFシグナル伝達阻害剤」、または「EGFシグナル伝達阻害剤」とは、成長因子とその受容体の結合から始まり、増殖応答などの生物学的応答で終わる、シグナル伝達経路におけるような一連の現象の1つまたは複数の効果を減少させる薬剤である。成長因子受容体シグナル伝達阻害剤は、シグナル伝達、キナーゼ活性化、遺伝子活性化、および細胞周期の調節を含めた、連続的にまたは平行的のどちらでも起こる多くの現象の1つまたは複数を減少させ得る。
用語「抗体」および「免疫グロブリン」とは、特定の抗原を認識してそれに結合することができる、免疫系によって産生された、合成によって作製した、または組換えによって作製したタンパク質をいう。抗体は、一般的に当分野で知られている。これらは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体またはその抗原結合断片であることができる。
「血管形成」とは、毛細血管を含めた新しい血管の発生である。これは、健康または癌を含めた疾患の際に起こる。この用語には、新血管形成、血管再生、血管新生、および脈管形成が含まれる。新しい血管の成長は、典型的には、癌または黄斑変性症における場合などの増殖性条件下で活性であり得る、血管新生因子による内皮細胞の刺激の結果として起こる。「血管新生因子」とは、血管形成を促進するものである。
「癌」および「腫瘍」とは、動物における任意の異常な細胞または組織の成長または増殖をいう、互換性のある用語である。本明細書中で使用する用語「癌」および「腫瘍」には、固形癌および血液癌/リンパ癌が包含され、悪性成長、前悪性成長、および異形成などの良性成長も包含される。
「転移」とは、疾患プロセス、例えば癌の、身体の一部分から別の部分への伝播または播種である。これには、疾患の最初のまたは原発性の部位から別の部位への伝播または播種が含まれる。また、「転移」は、このような伝播または播種が起こるプロセスもいう。この用語は、伝播または播種の機構に限定されない。「転移」には、リンパ管または血管による、あるいは漿膜腔またはくも膜下空間もしくは他の空間を介した直接伸長による、癌細胞の伝播または播種が含まれる。
「黄斑変性症」とは、黄斑の細胞が変性する任意の状態であり、かすみ目および場合によっては盲目をもたらす現象である。
本明細書中で使用する「治療」とは、ヒトを含めた哺乳動物において疾患を治療するための任意の投与または施用を網羅し、例えば、喪失、欠失、もしくは欠損した機能の回帰、回復もしくは修復を引き起こすことによって、または非効率的なプロセスを刺激することによって、疾患を阻害すること、その発生を停止させること、または疾患を軽減させることが含まれる。治療は、手術、放射線照射、化学療法、および/または生物剤を用いて達成し得る。
「薬学的に許容される担体」とは、対象に投与するための治療剤と共に用いる、無毒性の固体、半固体、もしくは液体の充填剤、希釈剤、カプセル封入剤、配合補助剤、または当分野で慣用の担体をいう。薬学的に許容される担体は、用いる用量および濃度でレシピエントに無毒性であり、配合物の他の成分と適合性がある。薬学的に許容される担体は、用いる配合物に適切である。例えば、治療剤を経口投与する場合は、担体はゲルカプセルであり得る。治療剤を皮下投与する場合は、担体は、理想的には皮膚刺激性ではなく、注射部位の反応を引き起こさない。
「生物剤」とは、修飾されているまたは修飾されていない、完全またはその断片である、生きた生物によって何らかの形態で自然に産生される産物である。生物剤は、動物組織などの生きた起源から調製し得る。この用語には、それだけには限定されないが、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、細胞、ウイルス、毒素、ワクチン、血液の構成成分または誘導体、および融合タンパク質が含まれる。「生物剤」は、ヒトを含めた動物を治療するために用い得る。
「表面プラズモン共鳴」とは、光が薄い金属フィルムから反射され、入射光のエネルギーの一部が金属フィルム中の非局在化電子(プラズモン)と相互作用することができる場合に起こる、反射光強度の減少である。
(FGFR細胞外ドメイン融合分子)
本発明のFGFR融合分子は、FGFRポリペプチドの細胞外ドメイン(ECD)と融合パートナーとを含む第1のポリペプチドを含む。FGFRポリペプチドは、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4のうちの任意のものであることができ、すべてのその改変体およびアイソフォームが含まれる。したがって、本発明での使用に適したFGFRポリペプチドのファミリーには、例えば、FGFR1−IIIb、FGFR1−IIIc、FGFR2−IIIb、FGFR2−IIIc、FGFR3−IIIb、FGFR3−IIIc、およびFGFR4が含まれる。FGFRの細胞外ドメインは、ECD全体またはその一部分であることができる。FGFRのECDは、野生型FGFRのECDと比較して修飾されており、リガンド結合活性を保有する。修飾は、単一または複数のアミノ酸の欠失、付加、または置換であり得る。FGFR細胞外ドメインは、所望の薬物動態学特性をもたらす、例えばその半減期をin vivoで増加させる融合パートナーに付着させることができる。本発明のFGFR融合分子の融合パートナーは、例えば二量体化ドメイン(例えばFc断片)のオリゴマー化ドメインを有するもの含めた、当分野で慣用の任意の融合パートナーであることができる。本発明の融合パートナーには、ペグ化などの化学修飾によって作製したものも含まれる。
FGFRは、その細胞外ドメインを介してその同族FGFに結合することによって、細胞外ドメインがリガンド結合の特異性を決定する。FGFR細胞外ドメインは、3つまでの免疫グロブリン様(Ig様)ドメイン、すなわちIgI、IgII、およびIgIIIドメインを含むことができる。選択的mRNAスプライシングにより、数種類の形態の細胞外ドメインが産生される。1つのスプライシング現象により、アミノ末端Ig様ドメイン(ドメインI)が排除され、その結果、2つのみのIg様ドメインを有する短い形態の受容体が生じる。別のmRNAスプライシング現象はFGFR1、FGFR2、およびFGFR3中で起こり、その結果、Ig様ドメインIIIの3つの代替形態、すなわち、IIIa、IIIb、およびIIIcが生じる。これまで、FGFR4はこの領域中で選択的スプライシングされることが報告されていない。第3の免疫グロブリン様ドメインは、異なるリガンド結合特性を有する受容体スプライシング改変体を生じることができる。
本発明は、このようなFGFR融合分子を含む組成物およびそれを用いる方法を提供する。本発明のFGFR融合分子には、FGFR1のECD、例えば、国立バイオインフォマティクス情報センター(National Center for Bioinformatics Information)(NCBI)によって記載された、NP_075594、NP_056934、またはNP_000595として注記されたものを含めて、米国特許第6,384,191号;第6,656,728号;第5,229,501号;第6,344,546号;および第5,474,914号に記載のものが含まれることができる。また、本発明のFGFR融合分子には、FGFR2のECD、例えば、15281415およびNP_000132として注記されたものも含まれることができる。本発明のFGFR融合分子にはさらに、FGFR3のECD、例えば、NP_056934、17939658、P22607、NP_000133、またはNP_075254として注記されたものが含まれることができる。本発明のFGFR融合分子はさらに、FGFR4のECD、例えば、NP_002002、13991618、2832350、31372、および182571として注記されたものが含まれることができる。
本発明の融合タンパク質は、野生型または改変体FGFRのECD全体またはECDの一部分を含むことができる。例えば、本発明の融合タンパク質は、野生型FGFR1−IIIbまたは野生型FGFR1−IIIcのECD全体を含めた、FGFR1のECD全体を含むことができる。また、本発明は、改変体のECDがそのFGFリガンド結合活性の少なくとも1つを保持している限りは、野生型FGFR1のECDのC末端から数えて1つまたは複数かつ22個までのアミノ酸残基の欠失を有する改変体などの、野生型FGFR1のECDの改変体を含むこともできる。一実施形態では、FGFR1のECDは、C末端の22個のアミノ酸が欠失している。一実施形態では、欠失は、野生型の完全長FGFR1−IIIbもしくはFGFR1−IIIcのアミノ酸残基356のバリン残基にまで至らず、すなわち欠失にはそれが含まれない。そのような改変体の例には、アミノ酸残基LYLEが欠失したもの(配列番号243)、アミノ酸残基PLYLE(配列番号244)が欠失したもの、アミノ酸残基MTSPLYLEが欠失したもの(配列番号245)、アミノ酸残基AVMTSPLYLEが欠失したもの(配列番号246)、アミノ酸残基VMTSPLYLE(配列番号247)が欠失したもの、アミノ酸残基EERPAVMTSPLYLEが欠失したもの(配列番号248)、アミノ酸残基LEERPAVMTSPLYLEが欠失したもの(配列番号249)、アミノ酸残基KALEERPAVMTSPLYLEが欠失したもの(配列番号250)、アミノ酸残基EALEERPAVMTSPLYLEが欠失したもの(配列番号251)、およびアミノ酸残基RPVAKALEERPAVMTSPLYLEが欠失したもの(配列番号252)が含まれ、これらはすべて野生型FGFR1−IIIbまたはFGFR1−IIIcと比較したものである。
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、野生型FGFR2−IIIbまたは野生型FGFR2−IIIcのECD全体を含めた、FGFR2のECD全体を含むことができる。また、本発明は、改変体のECDがそのFGFリガンド結合活性の少なくとも1つを保持している限りは、野生型FGFR2のECDのC末端から数えて1つまたは複数かつ22個までのアミノ酸残基の欠失を有する改変体などの、野生型FGFR2のECDの改変体を含むこともできる。一実施形態では、FGFR2のECDは、C末端の22個のアミノ酸が欠失している。一実施形態では、欠失は、野生型の完全長FGFR2−IIIbのアミノ酸残基357もしくは野生型の完全長FGFR2−IIIcのアミノ酸残基359のバリン残基にまで至らず、すなわち欠失にはそれが含まれない。そのような改変体の例には、アミノ酸残基DYLEが欠失したもの(配列番号253)、アミノ酸残基PDYLEが欠失したもの(配列番号254)、アミノ酸残基TASPDYLEが欠失したもの(配列番号255)、アミノ酸残基ITASPDYLEが欠失したもの(配列番号256)、アミノ酸残基EITASPDYLEが欠失したもの(配列番号257)、アミノ酸残基GREKEITASPDYLEが欠失したもの(配列番号258)、アミノ酸残基PGREKEITASPDYLEが欠失したもの(配列番号259)、アミノ酸残基APGREKEITASPDYLEが欠失したもの(配列番号260)、アミノ酸残基PAPGREKEITASPDYLEが欠失したもの(配列番号261)、アミノ酸残基QAPGREKEITASPDYLEが欠失したもの(配列番号262)、およびアミノ酸残基PKQQAPGREKEITASPDYLEが欠失したもの(配列番号263)が含まれ、これらはすべて野生型FGFR2−IIIbまたはFGFR2−IIIcと比較したものである。
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、野生型FGFR3−IIIbまたは野生型FGFR3−IIIcのECD全体を含めた、FGFR3のECD全体を含むことができる。また、本発明は、改変体のECDがそのFGFリガンド結合活性の少なくとも1つを保持している限りは、野生型FGFR3のECDのC末端から数えて1つまたは複数かつ22個までのアミノ酸残基の欠失を有する改変体などの、野生型FGFR3のECDの改変体を含むこともできる。一実施形態では、FGFR3のECDは、C末端の22個のアミノ酸が欠失している。一実施形態では、欠失は、野生型の完全長FGFR3−IIIbのアミノ酸残基355もしくは野生型の完全長FGFR3−IIIcのアミノ酸残基356のバリン残基にまで至らず、すなわち欠失にはそれが含まれない。そのような改変体の例には、アミノ酸残基VYAGが欠失したもの(配列番号264)、アミノ酸残基SVYAGが欠失したもの(配列番号265)、アミノ酸残基EAGSVYAGが欠失したもの(配列番号266)、アミノ酸残基DEAGSVYAGが欠失したもの(配列番号267)、アミノ酸残基ADEAGSVYAGが欠失したもの(配列番号268)、アミノ酸残基ELVEADEAGSVYAGが欠失したもの(配列番号269)、アミノ酸残基EELVEADEAGSVYAGが欠失したもの(配列番号270)、アミノ酸残基AEEELVEADEAGSVYAGが欠失したもの(配列番号271)、アミノ酸残基PAEEELVEADEAGSVYAGが欠失したもの(配列番号272)、およびアミノ酸残基GPRAAEEELVEADEAGSVYAGが欠失したもの(配列番号273)が含まれ、これらはすべて野生型FGFR3−IIIbまたはFGFR3−IIIcと比較したものである。
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、野生型FGFR4のECD全体を含めた、FGFR3のECD全体を含むことができる。また、本発明は、改変体のECDがそのFGFリガンド結合活性の少なくとも1つを保持している限りは、野生型FGFR4のECDのC末端から数えて1つまたは複数かつ22個までのアミノ酸残基の欠失を有する改変体などの、野生型FGFR4のECDの改変体を含むこともできる。一実施形態では、FGFR4のECDは、C末端の22個のアミノ酸が欠失している。一実施形態では、欠失は、野生型の完全長FGFR4のアミノ酸残基351のバリン残基にまで至らず、すなわち欠失にはそれが含まれない。そのような改変体の例には、アミノ酸残基RYTDが欠失したもの(配列番号274)、アミノ酸残基ARYTDが欠失したもの(配列番号275)、アミノ酸残基APEARYTDが欠失したもの(配列番号276)、アミノ酸残基AAPEARYTDが欠失したもの(配列番号277)、アミノ酸残基AAAPEARYTDが欠失したもの(配列番号278)、アミノ酸残基PTWTAAAPEARYTDが欠失したもの(配列番号279)、アミノ酸残基DPTWTAAAPEARYTDが欠失したもの(配列番号280)、アミノ酸残基EEDPTWTAAAPEARYTDが欠失したもの(配列番号281)、およびアミノ酸残基PEEDPTWTAAAPEARYTDが欠失したもの(配列番号282)が含まれ、これらはすべて野生型FGFR4と比較したものである。
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、それらが少なくとも1つのFGFリガンド結合活性を保持している限りは、点突然変異体である改変体を含むことができる。点突然変異体には、アミノ酸残基の付加、欠失、または置換の任意の1つまたは複数が、既に言及した領域と同じC末端の領域中に、すなわち、FGFR1−IIIbまたはFGFR1−IIIcの位置356;FGFR2−IIIbの位置357;FGFR2−IIIcの位置359;FGFR3−IIIbの位置355;FGFR3−IIIcの位置356;およびFGFR4の位置350のバリン残基までに含まれることができる。例えば、完全長FGFR1−IIIbまたはFGFR1−IIIcの位置364〜367のアミノ酸残基PAVMの任意の1つまたは複数が、付加、欠失、または置換されていてよい。
FGFRポリペプチドの細胞外および膜貫通ドメインのC末端は、細胞外ドメインの同定に用いた方法に応じて異なり得る。異なるアルゴリズムにより膜貫通ドメインについて異なる開始残基が予測され、したがって、細胞外ドメインについて異なる終端残基が予測される。例えば、FGFR1−IIIcの細胞外ドメインは、配列表(配列番号92)中にアミノ酸配列「YLE」で終わると示されている。表2は、FGFR1−IIIcの膜貫通領域であるNP_056934、NP_075594、およびNP_000595がアミノ酸残基373で始まることを示しており、これは「YLE」配列中の「L」に対応する。したがって、「LE」残基は、予測に用いたアルゴリズム次第でFGFR1−IIIcの細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインのどちらかに属すると見なされ得る。この概念は、本明細書中に記載のすべてのFGFRに当てはまる。したがって、図1に関して、FGFR3−IIIbの細胞外ドメインは「VYAG」または「VY」で終わる可能性があり、FGFR3−IIIcのECDは「VYAG」または「VY」で終わる可能性があり、FGFR1−IIIbのECDは「LYLE」または「LE」で終わる可能性があり、FGFR1−IIIcのECDは「LYLE」または「LY」で終わる可能性があり、FGFR2−IIIbのECDは「DYLE」または「DY」で終わる可能性があり、FGFR2−IIIcのECDは「DYLE」または「DY」で終わる可能性があり、FGFR4のECDは「RYTD」または「RY」で終わる可能性がある。
本発明は、融合パートナーを含むFGFR融合タンパク質を提供する。融合パートナーは、免疫グロブリン重鎖のFc断片などの二量体化ドメインを有する分子であることができる。Fc断片は、天然に存在する抗体中に見つかる野生型Fc、その改変体、またはその断片であり得る。一実施形態では、Fc断片はIgG1、IgG2、またはIgG4クラスに属する。一実施形態では、本発明は、それだけには限定されないが、IgG1クラスに属するおよび/またはC237S突然変異を有するFc免疫グロブリン分子の断片を含めた融合分子を提供する。
本発明は、第1のポリペプチドと融合パートナーとを連結するリンカーを含むFGFR融合タンパク質を提供する。本発明の融合タンパク質は、そのようなリンカーを用いてまたは用いずに、互換性があるように使用し得る。一実施形態では、リンカーは、アミノ酸GSまたはGSをコードしている任意のヌクレオチド配列を含む。リンカーは、融合タンパク質をコードしている核酸を、FGFRのECDをコードしている核酸に付着させることにおいて、少なくとも第1のDNA構築体の構築に好都合であり得る。融合タンパク質の所望の特性を減少させない限りは、当分野で慣用の任意のリンカーをこの目的のために用い得る。
本発明はまた、複数のFGFR細胞外ドメインを含む多量体FGFR融合タンパク質を提供する。例えば、本発明は、FGFR融合タンパク質であって、融合パートナーが、第1のポリペプチドと同じである第2のFGFR細胞外ドメインを含み、ホモ二量体が形成される;もしくは第1のポリペプチドとは異なる第2のFGFR細胞外ドメインを含み、ヘテロ二量体が形成される、またはこれらのどちらかの生物活性のある断片を含む、FGFR融合タンパク質を提供する。そのような融合タンパク質は、融合タンパク質のFGFリガンド結合への親和性を増加させるか、または融合タンパク質に結合することができるFGFリガンドの範囲を拡大させ得る。その構成成分には、2つのFGFR1細胞外ドメイン、2つのFGFR2細胞外ドメイン、2つのFGFR3細胞外ドメイン、2つのFGFR4細胞外ドメイン、またはこれらの任意のドメインの生物活性のある断片が含まれ得る。また、これには、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4の細胞外ドメイン、またはこれらの任意のドメインの生物活性のある断片の異種の組合せも含まれ得る。
本発明のFGFR融合分子の配列を配列表中に提供し、表中にさらに記載する。それらの配列の指定には、公開されている配列および本発明の新規融合タンパク質がどちらも含まれる。配列の種類には、細胞外ドメイン、リンカー、融合パートナー、欠失突然変異体、および他の突然変異体が含まれる。
表1は、配列表のFGFR配列を示す表である。第1列は、内部で指定したID番号を示す(特許ID)。第2列は、第3列に記載のポリペプチドの一部のオープンリーディングフレームをコードしている核酸のヌクレオチド配列ID番号を示す(配列番号(N1))。第3列は、ポリペプチド配列のアミノ酸配列ID番号を示す(配列番号(P1))。第4列は、当てはまる場合はNCBI寄託番号を含めた、ポリペプチドの説明を提供する(タンパク質ID)。第5列は、FGFRファミリーを指定する、コードされたタンパク質の簡単な説明を提供する(タンパク質)。第6列は、当てはまる場合は改変体FGFRの説明を含めた、タンパク質の注記を提供する(注記)。第7列は、当てはまる場合は欠失または変更されたアミノ酸残基を含めた、改変体または親構築体の説明を提供する(説明)。
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表2は、完全長のFGFR1、FGFR3、およびFGFR4タンパク質に関連する配列を特徴づける情報を示す表である。第1列は、NCBI寄託番号を示す(タンパク質ID)。第2列は、配列がFGFR1、FGFR3、またはFGFR4に関連するかどうかを指定する。第3列は、それぞれのタンパク質によってコードされているポリペプチドの予測される長さを示す(タンパク質の長さ)。第4列は、予測されたアミノ酸配列が分泌されるかどうかを予測するアルゴリズムの結果を示す(Treevote)。0に近いTreevoteは、タンパク質が分泌される確率が低いことを示し、一方で1.00に近いTreevoteはタンパク質が分泌される確率が高いことを示す。第5列は、予測されたシグナルペプチドの座標を示す(シグナルペプチドの座標)。第6列は、分泌リーダー配列またはシグナルペプチド配列の切断後の成熟ポリペプチドのアミノ酸残基の座標を参照する、成熟タンパク質の座標を示す(成熟タンパク質の座標)。第7列は、シグナルペプチドの座標の代替予測を示す(代替シグナルペプチド座標)。第8列は、成熟タンパク質の代替形態の座標を指定する(代替成熟タンパク質座標)。代替の座標は、シグナルペプチド切断部位の代替予測から生じ、その存在は、例えば、ポリペプチドの発現に用いた宿主に依存し得る。第9列は、膜貫通ドメインの数を指定する(TM)。第10列および第11列は、ポリペプチドの膜貫通および非膜貫通配列の座標を提供する。膜貫通の座標(TM座標)は、分子の膜貫通ドメインを指定する。非膜貫通の座標(非TM座標)は、膜中に位置しないタンパク質セグメントを参照し、これらには、細胞外、細胞質、および管腔の配列が含まれることができる。座標は、完全長ポリペプチドのN末端の最初のアミノ酸残基を「1」として始めたアミノ酸残基の観点から記載する。
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(FGFR融合分子をコードしている核酸分子)
本発明は、本発明のFGFR融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。これらの核酸分子は、当分野で慣用の組換えDNA技術を用いて構築することができる。核酸分子には、配列番号183〜189で提供するものなどの、FGFR1−IIIbのECDに関連する分子;配列番号1〜63で提供するものなどの、FGFR1−IIIcのECDに関連する分子;配列番号211〜218で提供するものなどの、FGFR2−IIIbのECDに関連する分子;配列番号219〜226で提供するものなどの、FGFR2−IIIcのECDに関連する分子;配列番号190〜196で提供するものなどの、FGFR3−IIIbのECDに関連する分子;配列番号83〜91で提供するものなどの、FGFR3−IIIcのECDに関連する分子;および配列番号64〜78で提供するものなどの、FGFR4のECDに関連する分子が含まれる。
本発明の核酸分子には、そのネイティブの相同的な分泌リーダー配列を有するまたは有さない、FGFRポリペプチドのECDの全体または一部分をコードしているポリヌクレオチド配列が含まれることができる。相同的な分泌リーダー配列を核酸分子の構築に用いない場合は、別の分泌リーダー配列、例えば、PCT US06/02951号に記載のリーダー配列の任意の1つを用い得る。
典型的には、核酸分子が転写および翻訳された際にインフレームであるように、目的遺伝子であるFGFRのECDをコードしている核酸分子を、選択した宿主細胞中での発現に適した発現ベクター内のリンカー部位に挿入し、融合パートナーをコードしている核酸分子を、FGFRのECDに続く部位に挿入する。
(FGFR融合分子の発現および産生)
(ベクター)
本発明は、本発明の融合タンパク質をコードしている核酸分子を含む遺伝子操作した組換えベクター、組換えベクターを含む組換え宿主細胞、本発明の融合タンパク質をコードしている核酸分子、ならびにFGFR融合タンパク質およびその断片の産生を提供する。本発明のベクターには、原核であれ真核であれ選択した宿主中での発現に適したもの、例えば、ファージ、プラスミド、およびウイルスのベクターが、含まれる。ウイルスベクターは、複製可能または複製欠損のどちらかのレトロウイルスベクターであり得る。ウイルスの増殖は、一般に、複製欠損のベクターを含む相補宿主細胞においてのみ起こる。本発明のベクターはコザック配列(Lodishら、「Molecular Cell Biology」、第4版、1999年)を含んでいてよく、また、FGFR細胞外ドメインのATG開始コドンも含んでいてよい。本発明のベクターには、以下にさらに詳細に記載する「ミニサークル」ベクターが含まれる。
コピー数および位置的効果が、一過的および安定して発現されるベクターの設計において考慮される。コピー数は、例えばジヒドロ葉酸還元酵素の増幅によって増加することができる。位置的効果は、例えば、チャイニーズハムスター伸長因子−1ベクターpDEF38(CHEF1)、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)、ヒトの骨格/マトリックス結合領域(S/MAR)、および人工染色体発現(ACE)ベクターによって、ならびに当分野で知られている部位特異的な組込み方法を用いることによって、最適化することができる。ベクターおよび目的遺伝子を含む発現構築体はさらに、転写開始部位、転写停止部位、および転写領域中に翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。構築体によって発現される転写物のコード部分には、先頭に翻訳開始コドンおよび翻訳するポリペプチドの最後に適切に配置された停止コドン(UAA、UGA、またはUAG)が含まれることができる。
上述の要素を考慮すると、細菌中でFGFR融合分子を発現させるために適したベクターには、Biotechnology Research Institute(カナダMontreal)から入手可能なpTTベクター;Qiagen(カナダ、オンタリオ州Mississauga)から入手可能なpQE70、pQE60、およびpQE−9;Invitrogen(カリフォルニア州Carlsbad)から入手可能なpcDNA3由来のベクター;Stratagene(カリフォルニア州La Jolla)から入手可能なpBSベクター、Phargescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH6a、pNH18A、pNH46A;ならびにPharmacia(ニュージャージー州Peapack)から入手可能なptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5が含まれる。適切な真核ベクターには、とりわけ、Stratagene(カリフォルニア州La Jolla)から入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXTI、およびpSG;ならびにPharmacia(ニュージャージー州Peapack)から入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLがある。
FGFR融合分子を発現させるためのベクターには、pTTベクターの主鎖を含むものが含まれる(Durocherら、Nucl. Acids Res.、30:E9(2002年))。手短に述べると、pTTベクターの主鎖は、pIRESpuro/EGFP(pEGFP)およびpSEAP基本ベクター(または複数のベクター)を、例えばClontech(カリフォルニア州Palo Alto)から得ることによって調製してもよく、pcDNA3.1、pCDNA3.1/Myc−(His)およびpCEP4ベクターは、例えばInvitrogen(カリフォルニア州Carlsbad)から得ることができる。本明細書中で使用するpTT5主鎖ベクターは、pTT5−Gatewayベクターを生じることができ、哺乳動物細胞中でタンパク質を一過的に発現させるために用いる。pTT5ベクターは、例えば、pTT5−A、pTT5−B、pTT5−D、pTT5−E、pTT5−H、およびpTT5−Iに誘導体化することができる。本明細書中で使用するpTT2ベクターは、哺乳動物細胞系中で安定して発現するための構築体を生じることができる。
pTTベクターは、ハイグロマイシン(BsmIおよびSalIの切除、次いで補充およびライゲーション)ならびにEBNAI(ClaIおよびNsiIの切除、次いで補充およびライゲーション)の発現カセットを欠失させることによって調製することができる。ColEI起源(β−ラクタマーゼのオープンリーディングフレーム(ORF)の3’末端を含めたFspI−SalI断片)を、pMBI起源(およびβ−ラクタマーゼORFの同じ3’末端)を含むpcDNA3.1由来のFspI−SalI断片で置き換えることができる。Myc−(His)のC末端融合タグは、HindIIIおよびEcoRVで消化したpcDNA3.1/Myc−His中のインフレームのライゲーションに次いで、SEAP(pSEAP−基本由来のHindIII−HpaI断片)に付加することができる。その後、プラスミドを、LB培地中で増殖させた大腸菌(DH5α)中で増幅し、MAXI prepカラム(Qiagen、カナダ、オンタリオ州Mississauga)を用いて精製することができる。定量するためには、次いでプラスミドを、例えば、50mMのトリス−HCl、pH7.4に希釈し、260nmおよび280nmで吸光度を測定することができる。約1.75〜約2.00のA260/A280比を有するプラスミド調製物が、FGFR構築体の産生に適している。
発現ベクターpTT5は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターによって駆動されるcDNAの染色体外複製を可能にする。プラスミドベクターpCDNA−pDEST40は、高レベルの発現のためにCMVプロモーターを利用することができる、Gatewayに適合したベクターである。SuperGlo GFP改変体(sgGFP)は、Q−Biogene(カリフォルニア州Carlsbad)から得ることができる。pCEP5ベクターの調製は、SalIおよびXbaI酵素を用いた逐次的な消化および自己ライゲーションによってpCEP4のCMVプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを除去し、プラスミドpCEP4Δを生じることによって達成することができる。BglIIを直鎖状にしたpCEP4Δ中にライゲーションしたCMV5−ポリ(A)発現カセットをコードしている、pAdCMV5由来のGblII断片(Massieら、J. Virol.、72:2289〜2296頁(1998年))により、pCEP5ベクターが生じた。
FGFR融合分子を発現させるためのベクターには、pDEF38(CHEF1)および類似のベクターなど、CHO−SまたはCHO−S由来細胞での使用に最適化されたベクターを含むものが含まれる(Running Deerら、Biotechnol. Prog.、20:880〜889頁(2004年)。CHEFベクターは、CHO細胞およびその誘導体中で高くかつ持続した発現をもたらすDNA要素を含む。これらには、それだけには限定されないが、導入遺伝子の転写サイレンシングを阻止する要素が含まれる。
宿主中での増殖のためにFGFRポリヌクレオチドベクターを選択マーカーと結合し得る。一般に、選択マーカーは、必須の細胞機能を阻害する化学剤または他の薬剤が存在する場合または存在しない場合に成長するその能力に基づいた、形質転換細胞の選択を可能にする。選択マーカーは、適切な条件下で細胞を同定できるように、マーカーを発現する細胞に表現型を与える。したがって、適切なマーカーには、細胞を適切な選択培地中で増殖させた際に、薬物耐性すなわち感受性を付与するか、色を与えるか、または選択マーカーをコードしている分子で形質移入した細胞の抗原性特徴を変更するタンパク質をコードしている遺伝子が含まれる。
適切な選択マーカーには、真核細胞培養物中ではジヒドロ葉酸還元酵素またはG418(ネオマイシン耐性のため);ならびに大腸菌および他の細菌中の培養ではテトラサイクリン、カナマイシン、またはアンピシリン耐性遺伝子が含まれる。また、適切な選択マーカーには、細胞毒素または薬物の1つまたは複数を含む培地上で成長するその能力について細胞を選択する、細胞毒性マーカーおよび薬物耐性マーカー;チミジンおよびヒポキサンチンなどの特定の栄養素またはサプリメントを有するまたは有さない特定培地上で成長するその能力について細胞を選択する、栄養要求性マーカー;例えば、特定の物質、例えば唯一の炭素源としての適切な糖を含む特定培地上で成長する能力について細胞を選択する、代謝マーカー;ならびに細胞に色素基質上で有色コロニーを形成する能力、または細胞の蛍光発光を引き起こす能力を与えるマーカーも含まれる。
上述のように、FGFR融合タンパク質を発現させるためのベクターは、タンパク質レトロウイルスベクター中に構築することもできる。このようなベクターの1つである、マウス染色体6にマッピングするROSAβgeoレトロウイルスベクターは、レポーター遺伝子をレトロウイルスの転写に関し逆方向で、スプライスアクセプター配列の下流に用いて構築した(米国特許第6,461,864号;Zambrowiczら、Proc. Natl. Acad. Sci.、94:3789〜3794頁(1997年))。胚性幹(ES)細胞をROSAβgeoレトロウイルスベクターで感染させることにより、ES細胞中にランダムレトロウイルス遺伝子トラッピングを行うことによってROSAβgeo26(ROSA26)マウス株が生じた。
FGFR融合分子を含むDNA挿入物を、ファージλPLプロモーター;大腸菌lac、trp、phoA、およびtacプロモーター;SV40初期および後期プロモーター;ならびにレトロウイルスLTRのプロモーターなどの適切なプロモーターに作動可能に連結することができる。また、適切なプロモーターには、エンハンサーを有するpCMVベクター、pcDNA3.1;エンハンサーおよびイントロンを有するpCMVベクター、pCIneo;エンハンサー、イントロン、および三者間リーダーを有するpCMVベクター、pTT2、ならびにCHEF1も含まれる。他の適切なプロモーターは当業者に周知であろう。プロモーター配列には、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルでの目的遺伝子の転写を開始するために必要な、最小数の塩基または要素が含まれる。プロモーター配列内には、転写開始部位、およびRNAポリメラーゼの結合を司るタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が存在し得る。本発明の真核プロモーターは多くの場合「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含むが、必ず含むわけではない。
本発明は、組織特異的な様式で機能するプロモーターの制御下でヒトを含めた動物においてFGFR融合分子をin vivoで発現させるためのベクターを提供する。例えば、本発明のFGFR融合タンパク質の発現を駆動するプロモーターは、PCT/US06/00668号に記載のように肝臓特異的であり得る。
続く取扱いおよび保存の間ずっと、宿主細胞の精製物中における安定性および持続を改善するために、追加のアミノ酸、特に帯電したアミノ酸の領域をポリペプチドのN末端に付加し得る。また、精製を容易にするためにアミノ酸部分をポリペプチドに付加し得る。そのようなアミノ酸は、ポリペプチドの最終的な調製の前に除去しても除去しなくてもよい。本発明のFGFR融合タンパク質は、融合したポリペプチドの精製を容易にする、ペプチドなどのマーカー配列に融合することができる。マーカーアミノ酸配列は、多くが市販されているもののうち、とりわけpQEベクター(Qiagen、カナダ、オンタリオ州Mississauga)中に提供されるタグなどのヘキサヒスチジンペプチドであり得る。例えば、Gentzら、Proc. Natl. Acad. Sci.、86:821〜824頁(1989年)に記載のように、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質の好都合な精製を提供する。精製に有用な別のペプチドタグである赤血球凝集素HAタグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する(Wilsonら、Cell 37:767〜778頁(1984年))。上記マーカーのうちの任意のものを、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを用いて操作することができる。
本発明の発現構築体はさらに、転写開始部位、転写停止部位、および転写領域中に翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。構築体によって発現される転写物のコード部分には、先頭に翻訳開始コドンおよび翻訳するポリペプチドの最後に適切に配置された停止コドン(UAA、UGA、またはUAG)が含まれることができる。
(宿主細胞)
本発明のFGFR融合タンパク質は、当分野で知られている手順に従って、例えば以下の例および図に示すように、細菌細胞などの原核細胞ならびに真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞などの真核細胞によって発現かつ産生させることができる。FGFR融合タンパク質は、細菌性大腸菌細胞;Cos7細胞;哺乳動物腎臓上皮293細胞;ならびにCHO細胞に由来するCHO−SおよびDG44細胞を含めたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞によって発現かつ産生させることができる。これらはまた、融合タンパク質をコードしている核酸分子を用いて操作または形質移入した動物においてin vivoで産生させることもできる。例えば、FGFR融合分子をコードしているDNAを注射したマウスは、尾静脈形質移入(TVT)後にFGFR融合分子を発現することができる。
FGFR融合タンパク質の宿主細胞内への導入は、リン酸カルシウム形質移入、DEAE−デキストラン媒介の形質移入、カチオン性脂質媒介の形質移入、電気穿孔、形質導入、感染症、または他の既知の方法によって達成することができる。そのような方法は、Sambrookら、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001年)などの多くの標準的な実験手引書に記載されている。本発明のFGFR融合タンパク質は、以下により詳細に記載するように、一過的または安定して宿主細胞内に形質移入することができる。本発明のFGFR融合タンパク質は、接着培養または懸濁液中のどちらかで成長させた宿主細胞から精製することができ、以下により詳細に記載するように、FGFRの生物学的特性を保持することができる。
本発明の宿主細胞は、慣用の方法に従ってタンパク質およびポリペプチドを発現することができ、方法は発現の目的に依存する。タンパク質の大スケールの産生には、大腸菌、枯草菌、出芽酵母などの単細胞生物;バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞;または脊椎動物などの高等生物の細胞、例えば、哺乳動物293(293−6Eを含む)、CHO(DG44を含む)、もしくはCOS7細胞を発現宿主細胞として用いることができる。一部の状況では、真核遺伝子を真核細胞中で発現させることが望ましく、コードされているタンパク質はネイティブの折畳みおよびグリコシル化などの翻訳後修飾から利点を得る。
したがって、本発明は、FGFR融合タンパク質をコードしている核酸分子を含む組換え宿主細胞、そのような核酸分子を含むベクター、またはそれを含むFGFR融合タンパク質および培養物を提供する。これらの宿主細胞に、本発明のFGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4の融合タンパク質を産生させ得る。例えば、これらにFGFR−F融合タンパク質ならびにその改変体および断片を産生させ得る。宿主細胞は、一過的な形質移入および安定した形質移入に適切であり得る。本明細書中に記載の任意の方法によって発現したFGFR融合タンパク質は、当分野で知られている方法によって検出し得る。
本発明の融合タンパク質の翻訳後グリコシル化は、以下により詳細に記載するように、その産生源に応じて変化し得る。タンパク質のグリコシル化プロフィールはその特性および/または機能に影響を与える場合がある。したがって、本発明は、天然に存在する形態と比較して変化したグリコシル化プロフィールを有するまたは有さない組換えFGFR融合タンパク質を提供する。これらは、異なる宿主細胞中で産生させ得る。例えば、グリコシル化されていないFGFR融合タンパク質は、大腸菌から産生させることができる。グリコシル化されたFGFR融合タンパク質の形態は、出芽酵母もしくはピキアパストリスなどの酵母細胞、またはアスペルギルスなどの真菌細胞中で産生させることができる。グリコシル化されたFGFR融合タンパク質の形態は、コメ、コムギ、カラスムギなどの植物から産生させることができる。グリコシル化されたFGFRタンパク質の形態は、293細胞もしくはCHO細胞またはその誘導体などの哺乳動物細胞中で産生させることができる。例えば、本発明は、N連結した糖を付加するための追加のアルギニン残基を有する突然変異構築体を提供する。これらの構築体は、アルギニン残基による点突然変異を含み得るか、またはアルギニン残基を含めた領域とのより大きな置換を有し得る。本発明はまた、アルギニン残基が取り除かれた突然変異構築体も提供する。本発明のグリコシル化突然変異体は、当業者に知られている方法を用いて天然に存在する配列を変更することによって作製することができる。
本発明の組換え宿主細胞は、誘導条件および非誘導条件をどちらも含めた、当分野で慣用の条件下で培養する。FGFR融合タンパク質は、例えば宿主細胞が大腸菌細胞である場合は封入体中などの細胞内で作製するか、または、宿主細胞が哺乳動物細胞であり、哺乳動物発現系を用いて、例えば分泌リーダー配列を用いてタンパク質を発現させる場合などは、細胞培養物中に分泌させ得る。本発明は、FGFR融合タンパク質が培地中に存在するか、または細胞内に滞留するかにかかわらず、FGFR融合タンパク質を含む細胞培養物を提供する。
(FGFR融合タンパク質の精製)
本発明は、そのそれぞれが当分野で慣用の技術の組合せを用いてFGFR融合タンパク質を精製する方法を提供する。これらの技術には、それだけには限定されないが、親和性マトリックスの使用および疎水性相互作用クロマトグラフィー、例えばアフィニティークロマトグラフィーが含まれる。適切な親和性リガンドには、FGFR細胞外ドメインもしくは融合パートナー、またはそれに対する抗体の任意のリガンドが含まれる。例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、または抗体親和性カラムを用いてFc融合パートナーを結合し、FGFR融合タンパク質を精製し得る。また、融合タンパク質のFGFR部分または融合パートナーに対する抗体を用いても、融合タンパク質を精製し得る。疎水性相互作用クロマトグラフィーも、本発明のFGFR融合タンパク質の精製に適切である。例えば、ブチルまたはフェニルカラムを用い得る。当業者に知られている他の精製方法も、本発明のFGFR融合分子の精製に適切であり得る。
プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いて、Fcドメインを含む本発明のFGFR融合タンパク質を精製し得る。プロテインAとは、黄色ブドウ球菌のいくつかの株によって産生される細胞壁の構成成分であり、組換え様式で作製することができる。これは、重量が約42,000ダルトンの単一のポリペプチド鎖からなり、炭水化物をわずかしか、またはまったく含まない。プロテインAは、IgGを含めたほとんどの免疫グロブリン分子のFc領域に特異的に結合する(Sjoquistら、Eur. J. Biochem.、29:572〜578頁(1972年);Hjelmら、Eur. J. Biochem.、57:395〜403頁(1975年))。
プロテインGアフィニティークロマトグラフィーを用いても、Fcドメインを含む本発明のFGFR融合タンパク質を精製し得る。プロテインGとは、G群連鎖球菌によって産生される細菌細胞壁のタンパク質であり、組換え様式で作製することもできる。プロテインAと同様に、プロテインGは、主にそのFc領域を介してほとんどの哺乳動物免疫グロブリンに結合する(Bjorckら、J. Immunol.、133:969〜974頁(1984年);Gussら、EMBO J.、5:1567〜1575頁(1986年);Akerstromら、J. Biol. Chem.、261:10、240〜10、247頁(1986年))。キメラFc結合分子を用いたアフィニティークロマトグラフィーをさらに用いて、Fcドメインを含む本発明のFGFR融合タンパク質を精製し得る。例えば、プロテインA/Gは、プロテインAおよびプロテインGの両方のIgG結合プロフィールを合わせた、遺伝子操作したタンパク質である。プロテインA/Gは遺伝子融合産物であり、とりわけ非病原性の枯草菌から分泌させることができる。プロテインA/Gの典型的な重量は約50,000ダルトンであり、プロテインAからの4つのFc結合ドメインおよびプロテインGからの2つを含むように設計されている(Sikkema、Amer. Biotech. Lab.、7:42頁(1989年);Eliassonら、J. Biol. Chem.、263:4323〜4327頁(1988年)。
(水力学的尾静脈形質移入(TVT))
本発明は、水力学に基づいた尾静脈注射の手順にしたがって、動物におけるFGFR融合タンパク質の発現を提供する(Liu, F.ら、Gene Ther.、6:1258〜1266頁(1999年);米国特許第6,627,616号;およびZhangら、Hum. Gene Ther.、10:1735頁(1999年)。この技術は、ミニサークルベクター構築体中で産生させた、融合タンパク質をコードしている核酸分子の投与後における、in vivoでのFGFR融合タンパク質の産生を提供する。融合タンパク質を含む、このような注射した動物由来の血清を用いて、最初に細胞培養発現系から融合タンパク質を産生および精製せずにタンパク質のさらなる特徴づけを行い得る。
一実施形態では、本発明は、動物に投与するための、FGFR融合タンパク質をコードしている核酸分子を含むベクター、およびそのような核酸分子を含むミニサークルDNAの水力学的注射ののちに、それによって作製されるFGFR融合タンパク質を提供する。注射用のベクターを、例えばChenら、Mol. Ther.、8:495〜500頁(2003年)および米国特許出願第2004/0214329A1号に記載の系によって構築することができる。手短に述べると、FGFR遺伝子の発現カセットにはリコンビナーゼの付着部位が隣接し、これは、発現カセットの外側にあるベクター配列の部分で、誘導性の様式で発現される。組換え後、大腸菌は、発現カセットをFGFR融合タンパク質遺伝子と共に含むミニサークルベクターを生じる。Chenらに記載されているベクターは、ベクター中に存在するイントロン中にではなく、イントロンの後にFGFR融合タンパク質をコードしている核酸分子を挿入することによって修飾することができる。
ミニサークルDNAベクターは、pBAD.φC31.hFIXおよびpBAD.φC31.RHBに類似のプラスミドを用いて調製することができ、大腸菌を形質転換させるために用いる。当分野で知られているリコンビナーゼ、例えばλおよびcreがミニサークルベクター中で有用である。発現カセットは、転写開始部位、転写停止部位、および転写領域中に翻訳のためのリボソーム結合部位を含み得る。構築体によって発現される転写物のコード部分には、先頭に翻訳開始コドンおよび翻訳するポリペプチドの最後に適切に配置された停止コドン(UAA、UGA、またはUAG)が含まれることができる。プラスミドには、少なくとも1つの選択マーカー、例えば、真核細胞培養物ではジヒドロ葉酸還元酵素、G418、またはネオマイシン耐性のマーカー;ならびに大腸菌中での培養および他の原核細胞の培養物ではテトラサイクリン、カナマイシン、またはアンピシリン耐性遺伝子が含まれ得る。プラスミドを生じるミニサークルには、適切な真核または原核宿主細胞中でのベクターの増殖を可能にする、少なくとも1つの複製起点が含まれ得る。例えば「Genes II」、Lewin, B.編、John Wiley & Sons、New York(1985年)に記載のとおり、複製起点は当分野で知られている。ミニサークルから産生されたFGFR融合タンパク質も、上述のマーカー配列に融合することができる。
(融合パートナーおよびコンジュゲート)
遺伝子操作技術により、望ましい薬物動態学特性を与える融合パートナーを有する組換え治療タンパク質の開発および使用が可能となった。その免疫原性エピトープおよび他の断片を含めたFGFRポリペプチドは、異種分子と組み合わせることができ、その結果、治療上有用な融合分子が生じる。本発明は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4のうちの任意のものの細胞外ドメインを含む融合分子を提供する。これは、好ましい薬物動態学および/または薬力学をFGFRに与えることができる融合パートナーを提供する。一実施形態では、本発明は、FGFR1−IIIb、FGFR1−IIIc、FGFR2−IIIb、FRFR2−IIIc、FGFR3−IIIb、FGFR3−IIIc、FGFR4、またはその断片の細胞外ドメインの全体または一部と抗体Fcドメインなどの融合パートナーとを含む融合分子を提供する。
FGFRは多くの正常組織中で発現され、多くの細胞種は複数のFGFRを発現する。このことを考慮して、FGFRを標的とする治療剤を、正常組織に害を与えずに、治療した対象の循環中に十分長い間持続するようにさせる方法は、明らかではない。
本発明の融合分子は、FGFR細胞外ドメインと比較してin vivoでの半減期が増加している。本明細書中に記載のFGFR融合分子の長期の半減期は、FGFR単独よりも低い用量および頻度の低い投薬レジメンしか必要としない可能性がある。結果としてもたらされるFGFR血清レベルの変動の減少により、FGFR治療剤の安全性および許容性を向上させることができる。
融合パートナーをFGFRのC末端に連結するか、または、FGFRを融合パートナーのC末端に連結することができる。融合パートナーは、酵素の切断部位を含んでいても含んでいなくてもよいリンカー、例えばペプチドリンカーを含み得る。また、融合パートナーは、酸性細胞内区画、例えば酸エンドソームまたはリソソーム内のFGFRに対する受容体結合性の向上を与えることによってin vivoでの半減期を延ばす分子も含み得る。
本発明の融合パートナーには、ポリマー、ポリペプチド、親油性部分、およびスクシニル基が含まれる。ポリペプチド融合パートナーの例には、血清アルブミンおよび抗体Fcドメインが含まれる。ポリマー融合パートナーは、1つまたは複数のポリエチレングリコール部分、分枝鎖または直鎖を含み得る。親油性融合パートナーは、融合分子の皮膚透過性を増加させ得る。
(オリゴマー化ドメイン融合タンパク質)
オリゴマー化は、融合タンパク質に多価結合、結合強度の増加、および異なるドメインの合わせた機能を含めた機能的利点を提供する。これらの特徴は天然タンパク質で見られ、タンパク質工学によっても導入し得る。したがって、本発明はFGFR融合分子を提供し、融合パートナーはオリゴマー化ドメイン、例えば二量体化ドメインを含む。適切なオリゴマー化ドメインには、α−ヘリックスコイルドコイルドメインを含めたコイルドコイルドメイン;コラーゲンドメイン;コラーゲン様ドメイン、および二量体免疫グロブリンドメインが含まれる。本発明の適切なコイルドコイルポリペプチド融合パートナーには、テトラネクチンコイルドコイルドメイン、軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質のコイルドコイルドメイン;アンジオポイエチンコイルドコイルドメイン;およびロイシンジッパードメインが含まれる。融合パートナーとしてコラーゲンまたはコラーゲン様オリゴマー化ドメインを有するFGFR融合分子は、例えば、コラーゲン中に見つかるもの、マンノース結合レクチン、肺界面活性プロテインAおよびD、アディポネクチン、フィコリン、コングルチニン、マクロファージスカベンジャー受容体、およびエミリンを含み得る。
(抗体Fcドメイン融合タンパク質)
一実施形態では、本発明は、Fc免疫グロブリンドメインを有する融合分子を提供する。本発明のFGFR融合タンパク質は、Fc、哺乳動物免疫グロブリンの重鎖もしくは軽鎖の定常領域の様々なドメインおよび/またはヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメインを含むことができる。
一実施形態では、ヒトFcドメイン融合パートナーはFcドメイン全体を含む。一実施形態では、これは、Fcドメインの1つまたは複数の断片を含む。例えば、これは、ヒンジとヒトIgG、例えば、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4のCH2およびCH3定常ドメインとを含み得る。本発明はFGFR融合タンパク質を提供し、融合パートナーは改変体Fcポリペプチドまたは改変体Fcポリペプチドの断片である。改変体Fcは、米国特許第6,900,292号に記載のように、P331S突然変異を有するヒトIgG2のヒンジ、CH2、およびCH3ドメインを含み得る。
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、IgGのFcのヒンジ領域中のシステイン残基を介して連結したホモ二量体タンパク質であってよく、これにより、IgG分子に類似しているがCH1ドメインおよび軽鎖を有さない分子が生じる。
融合タンパク質を作製する方法は当業者に周知である。一実施形態では、本発明のFc融合パートナーは、配列番号171、配列番号172、および配列番号173のうちの任意のアミノ酸配列を含む。
(アルブミン融合タンパク質)
本発明は、ヒト血清由来のアルブミン(ヒト血清アルブミンすなわち「HSA」)、アルブミンの1つもしくは複数の断片、アルブミンに結合するペプチド、および/またはアルブミンに結合する脂質もしくは他の分子とコンジュゲート形成する分子を含むアルブミン融合パートナーを有する、FGFR融合分子を提供する。一実施形態では、本明細書中に記載し、インターフェロンα−HSA融合分子に関して米国特許第6,686,179号にさらに記載されているように、FGFR−HSA融合分子を調製し得る。
(二量体FGFR融合タンパク質)
本発明はFGFR融合タンパク質を提供し、融合パートナーはFGFR細胞外ドメインまたはその活性のある断片を含む。例えば、融合タンパク質は、2つのFGFR1、FGFR2、FGFR3、もしくはFGFR4細胞外ドメインまたは生物活性のあるその断片を含み得る。また、融合分子は、上記により詳細に記載したように、2つの異なるFGFR細胞外ドメインまたは生物活性のあるその断片の異種の組合せを含み得る。
一実施形態では、FGFR融合タンパク質は、FGFRの細胞外ドメインおよび/またはその活性断片の1つを含み、二量体化ドメインならびにFGFR細胞外ドメインを含む融合パートナーをさらに含む。融合パートナーがFcドメインまたはその活性のある断片などの二量体化ドメインを含む場合は、哺乳動物細胞発現系中で発現されるFGFR融合タンパク質は、産生プロセス中に自然に二量体を形成し得る。
(ペグ化された部分を有する融合タンパク質)
上述の組換え分子に加えて、本発明はFGFR融合分子を提供し、融合パートナーは、ポリエチレングリコール(PEG)部分などのポリマーを含む。本発明のPEG部分は、分枝鎖または直鎖ポリマーであり得る。一実施形態では、本発明は、モノ−またはポリ−(例えば2−4)PEG部分を含めた、化学的に誘導体化したポリペプチドを企図する。ペグ化は、当分野で知られている任意のペグ化反応によって実施し得る。ペグ化されたタンパク質産物の調製方法は一般に当分野で知られている。最適な反応条件は、既知のパラメータおよび所望の結果に応じてケースバイケースの基準で決定する。
当業者が利用可能ないくつかのPEG付着方法、例えば、欧州特許EP0 401 384号;Malikら、Exp. Hematol.、20:1028〜1035頁(1992年);Francis、Focus on Growth Factors、3:4〜10頁(1992年);欧州特許EP0 154 316号;欧州特許EP0 401 384;国際公開公報WO92/16221号;国際公開公報WO95/34326号;および本明細書中で引用したペグ化に関連する他の出版物が存在する。
ペグ化は、反応性ポリエチレングリコール分子を用いたアシル化反応またはアルキル化反応を介して行い得る。したがって、本発明のタンパク質産物にはペグ化されたタンパク質が含まれ、PEG基はアシルまたはアルキル基を介して付着している。そのような産物は、モノ−ペグ化またはポリ−ペグ化されていてよい(例えば2−6もしくは2−5PEG基を含むもの)。PEG基は、一般に、アミノ酸のα−またはε−アミノ基でタンパク質に付着しているが、PEG基が、適切な反応条件下でPEG基に付着することができるように十分な反応性を有する、タンパク質に付着している任意のアミノ基に付着できることも、企図される。
アシル化によるペグ化は、一般に、PEGの活性エステル誘導体を本発明のポリペプチドと反応させることを含む。アシル化反応には、選択したポリマー(または複数のポリマー)は、典型的には単一の反応性エステル基を有する。任意の既知または今後発見される反応性PEG分子を用いて、ペグ化反応を実施し得る。適切な活性化したPEGエステルの例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)にエステル化したPEGである。本明細書中で使用するアシル化には、限定はしないが、治療剤タンパク質とPEGなどのポリマーとの間の以下の種類の連結、すなわちアミド、カルバミン酸、ウレタンなどが含まれることが企図される。例えば、Chamow、Bioconjugate Chem.、5:133〜140頁(1994年)を参照されたい。反応条件は、ペグ化の分野で知られている条件または今後開発される条件のうち任意のものから選択し得るが、修飾するポリペプチドを失活させる温度、溶媒、およびpHなどの条件を回避すべきである。
アシル化によるペグ化は、一般にポリ−ペグ化されたタンパク質をもたらす。結合する連結はアミドであり得る。生じる産物は、実質的にモノ、ジ−またはトリ−ペグ化のみ(例えば>95%)され得る。しかし、より高い程度のペグ化を有する一部の種を、用いる特定の反応条件に依存する量で形成し得る。所望する場合は、とりわけ透析、塩析、限外濾過、イオン−交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、および電気泳動を含めた標準の精製技術によって、より精製されたペグ化種を混合物(具体的には未反応の種)から分離し得る。
アルキル化によるペグ化は、一般に、還元剤の存在下でPEGの末端アルデヒド誘導体をポリペプチドと反応させることを含む。還元性アルキル化反応には、選択したポリマー(または複数のポリマー)は、単一の反応性アルデヒド基を有するべきである。例示的な反応性PEGアルデヒドは、水に安定なポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、またはそのモノC1〜C10アルコキシもしくはアリールオキシ誘導体である。例えば、米国特許第5,252,714号を参照されたい。
(改変体および突然変異体ポリペプチド)
本発明のFGFR融合タンパク質は、FGFR融合タンパク質のネイティブ特徴を改善または変更するためのタンパク質工学によって作製することができる。当業者に知られている組換えDNA技術を用いて、単一または複数のアミノ酸の置換、欠失、および付加を含めた、新規突然変異体タンパク質すなわち「ムテイン」を作製することができる。このような修飾ポリペプチドは、活性の増強または安定性の増加など、治療剤において望ましい特性を保有することができる。さらに、これらをより高い収量で精製してもよく、少なくとも特定の精製および保存条件下で、対応する天然ポリペプチドよりも水溶性が高くてもよい。
(FGFRのECDの突然変異体)
上述のように、本発明は、FGFR細胞外ドメインのアミノ酸配列のアミノおよび/またはカルボキシル末端から1つまたは複数の残基が欠失したポリペプチド融合分子を提供する。例えば、本発明は、C末端領域に欠失を有する、FGFR細胞外ドメインの欠失突然変異体を提供する。本発明は、膜貫通ドメインのN末端側で隣接する領域中の1つまたは複数のアミノ酸を欠く欠失突然変異体を提供する。
一実施形態では、本発明は、野生型FGFRポリペプチドのECDの改変体を含むFGFR融合タンパク質を提供し、改変体はECDのC末端、例えばMMP−2切断部位の領域中に欠失または点突然変異を有する。これらの改変体は、野生型FGFR細胞外ドメインよりもMMP−2による切断に対して高い耐性を有し得る。一実施形態では、本発明は、MMP−2切断部位が除去され、野生型FGFR細胞外ドメインよりもMMP−2による切断に対する耐性が高い欠失突然変異体である、FGFR細胞外ドメインを提供する。例えば、本発明は、IgIIIドメインのC末端かつFcドメインのN末端側で、FGFR細胞外ドメインのその領域の欠失突然変異体を提供する。この領域中の7つのFGFR細胞外ドメインのうちの任意のドメインの、任意の1つまたは複数のアミノ酸が、欠失または他の様式で突然変異していてよい。例として、本発明は、図1Aに示すR1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、およびR1Mut4;図1Bに示すR1Mut7;ならびに図2に示すR4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、およびR4Mut5に対応する、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4の欠失突然変異体を提供する。これらの改変体およびそれらの親の突然変異していないポリペプチドはすべて、少なくとも1つのFGFリガンドに結合する。これらの突然変異体およびそれらの親FGFRのリガンド結合特徴は、当分野で知られている結合アッセイによって決定することができる。
一実施形態では、本発明は、FGFRおよび/またはその生物活性のある断片の1つまたは複数の可溶性細胞外ドメインを含む第1の分子と第2の分子とを含むFGFR融合分子を提供し、第2の分子は動物中の第1の分子に半減期の延長を与え、第2の分子は天然に存在するFcポリペプチド以外であり、融合分子は改変体Fcポリペプチドである。
FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質を宿主細胞中で産生させ、動物内に注射し、ゲル電気泳動によって検査した場合、in vivoおよびin vitroの両方でFGFR1−IIIc−Fcが部分的に切断されたことが観察された。細胞培養培地および血清試料中の分解された断片は、Fc融合パートナーを融合タンパク質から切断した後に予測された断片の大きさと矛盾がなかった。FGFR1−IIIc−Fcにin vitroで外因的に付加したMMP−2は、血清および培地中で観察された分解された断片を再現した。
したがって、本発明は、切断に耐性があり、天然に存在する形態と比較して改善した薬物動態学プロフィールを有する組換えFGFR融合タンパク質を提供する。例えば、本発明は、in vitroおよびin vivoのどちらにおいても分解に対する耐性がより高いFGFR融合タンパク質を提供する。これらのFGFR融合タンパク質構築体は、血清プロテアーゼの切断部位中に単一のアミノ酸変化を有し得る。また、これらは、切断部位の全体的な欠失を有し得る。これらの構築体は、当業者に知られている方法を用いて天然に存在する配列を変更することによって作製することができる。本発明はまた、当業者に知られている方法によって、受容体の細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間の接合部が改変されてタンパク質分解部位が除去されているFGFR構築体も提供する。
上述の欠失突然変異体に加えて、本発明は、MMP−2による切断に対する耐性を有する置換突然変異体などの単一点突然変異体を提供する。MMP−2の天然基質は、MMP−2切断部位に3残基N末端側でプロリンが優勢であるが、この部位でメチオニンまたはグリシン残基を有すると記載されていない。したがって、本発明は、R1Mut8(P364M)、R1Mut9(M367N)、およびR1Mut10(P364G)に対応する点突然変異体、例えば図1Bに示すものを提供する。P364Mは類似の疎水性プロフィールを有することが予測され、P364Gは野生型よりも柔軟性が高いことが予測される。また、例として、本発明は、MMP−2切断部位のメチオニンのM367N置換突然変異を提供する。アスパラギン(N)はどの天然または合成MMP−2基質にも記載されていないので、その置換はMMP−2による切断を減弱または防止すると予測できる。M367N突然変異はまた、潜在的なグリコシル化部位、すなわちNTSをFGFR1のECD内に導入する。このグリコシル化部位がin vitroまたはin vivoで宿主細胞によって利用される場合は、N連結した糖は、FGFR1−IIIbまたはFGFR1−IIIc細胞外ドメインをタンパク質分解からさらに遮蔽することができる。本発明はさらに、FGFR1−IIIbまたはFGFR1−IIIcの二重改変体、P364G/M367Nを提供する。本発明の任意の突然変異体は、任意選択でリンカー配列を含み得る。
上述のFGFR融合分子の欠失および置換突然変異体に加えて、本発明は、挿入、反転、および反復突然変異体を提供する。FGFR融合分子のいくつかのアミノ酸配列は、タンパク質の構造または機能に顕著な影響を与えずに変化させることができる一方で、他のアミノ酸配列は活性の決定に重大である。したがって、本発明は、実質的なFGFRポリペプチド活性を示す、および/またはFGFR細胞外ドメインの領域が含まれる、FGFR融合タンパク質の改変体が含まれる。本発明の突然変異体は、野生型FGFRの受容体活性を有し得るか、あるいはFGFリガンド結合能力に関して、野生型と比較して、活性が増強もしくは減少しているか、または範囲が広がっていてよい。これらの突然変異体の作製方法は一般に当分野で知られている。
本発明のFGFR融合タンパク質の改変体を作製することができ、それらは本明細書中に含まれる。どのようにして表現型がサンレントなアミノ酸置換を行うかの指針は、Bowieら、Science、247:1306〜1310頁(1990年)に提供されている。遺伝子操作技術を用いてFGFR融合タンパク質の特異的な位置でアミノ酸変化を導入することができ、選択すなわちスクリーニングを用いて機能性を維持している配列を同定することができる。
例えば、本明細書中で言及した技術に従って、アミノ酸置換に耐用があるタンパク質を産生することができる。この技術は、どのアミノ酸変化がタンパク質の特定の位置で許容される可能性が高いかを示す。例えば、ほとんどの埋まったアミノ酸残基は無極性の側鎖を必要とするが、表面側鎖のいくつかの特徴は一般に保存される。典型的には、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIle間の1つから別のものへの置換;ヒドロキシル残基SerおよびThrの相互交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGln間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、ならびに芳香族残基PheおよびTyr間の置換などの、FGFR融合タンパク質の保存的置換が耐用される。帯電したアミノ酸を他の帯電したまたは中性のアミノ酸で置換することにより、凝集の軽減などの望ましい改善された特徴を有するタンパク質が産生され得る。凝集は、活性を低下させるだけでなく、例えば、凝集体は免疫原性である場合があるので、薬剤配合物を調製する際にも問題となり得る(Pinckardら、Clin. Exp. Immunol.、2:331〜340頁(1967年);Robbinsら、Diabetes、36:838〜845頁(1987年);Clelandら、Crit. Rev. Therapeutic Drug Carrier Systems、10:307〜377頁(1993年))。上述のFGFリガンドとFGFRとの結合は、選択的であり重複している。選択されたリガンドは特定のFGFRに結合するが、複数のリガンドが1つの受容体に結合することができ、1つのFGFリガンドは複数のFGFRに結合し得る。本発明のFGFR融合タンパク質中のアミノ酸を突然変異させることにより、FGFRに対するFGFリガンド結合の選択性を変更することができる。
(トランスジェニック、ノックアウト、および他の動物)
本発明は、それぞれ外来性FGFRを発現するおよび内在性FGFRを欠くトランスジェニックおよびノックアウト動物、ならびに本発明のFGFR融合タンパク質またはそれをコードしている核酸分子を注射した動物を提供する。本発明のトランスジェニック動物は一般に、外来性プロモーターおよびFGFR細胞外ドメインを含むベクターを用いて本明細書中に記載のFGFR融合分子を発現させ、ベクターを事前に決定された座位に標的化することによって作製し、FGFR融合導入遺伝子の発現パターンは外来性プロモーターの発現パターンによって決定される。ノックアウトマウスは一般に、内在性FGFRを選択的に失活させ、それを突然変異体対立遺伝子で置き換えることによって作製する。
それだけには限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ブタ、マイクロブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ならびに非ヒト霊長類、例えば、ヒヒ、サル、およびチンパンジーを含めた任意の種の非ヒト動物を用いて、トランスジェニックおよびノックアウト動物を作製し得る。具体的な実施形態では、本明細書中に記載の技術または他の様式で当分野において知られている技術を用いて、ヒト中で本発明のFGFR融合分子を遺伝子治療プロトコルの一部として発現させる。
当分野で知られている任意の技術を用いて、FGFR導入遺伝子を動物内に導入してトランスジェニック動物の創始系を作製し得る。既知の技術を用いて、内在性FGFR遺伝子の「ノックアウト」も行い得る。トランスジェニックおよびノックアウトマウスを作製するための技術には、それだけには限定されないが、前核微量注入(Patersonら、Appl. Microbiol. Biotechnol.、40:691〜698頁(1994年);Carverら、Biotechnology (NY)、11:1263〜1270頁(1993年);Wrightら、Biotechnology (NY)、9:830〜834頁(1991年);およびHoppeら、米国特許第4,873,191号(1989年));レトロウイルスに媒介された生殖系列、胚盤胞、または胚への遺伝子導入(Van der Puttenら、Proc. Natl. Acad. Sci.、82:6148〜6152頁(1985年));胚性幹細胞中への遺伝子標的化(Thompsonら、Cell、56:313〜321頁(1989年));細胞または胚の電気穿孔(Lo、Mol. Cell. Biol.、3:1803〜1814頁(1983年));遺伝子銃を用いた本発明のポリヌクレオチドの導入(Ulmerら、Science、259:1745頁(1993年));核酸構築体を胚性分化多能性幹細胞内に導入し、幹細胞を胚盤胞内に戻して形質移入させること;および精子媒介の遺伝子導入(Lavitranoら、Cell、57:717〜723頁(1989年)が含まれる。そのような技術の総説には、Gordon、Intl. Rev. Cytol.、115:171〜229頁(1989年);米国特許第5,464,764号(Capecchiら);米国特許第5,631,153号(Capecchiら);米国特許第4,736,866号(Lederら);および米国特許第4,873,191号(Wagnerら)を参照されたい。当分野で知られている任意の技術、例えば、静止状態を誘導した、培養した胚性、胎児、または成体細胞由来の核の徐核した卵母細胞内への核移植を用いて、本発明のポリヌクレオチドを含むトランスジェニッククローンを作製し得る(Campbellら、Nature、380:64〜66頁(1996年);Wilmutら、Nature、385:810〜813頁(1997年))。
遺伝子標的化を用いてFGFR導入遺伝子を内在遺伝子の染色体部位内に組み込むことができる。手短に述べると、染色体配列との相同組換えを介して内在遺伝子のヌクレオチド配列内に組み込んでその機能を破壊する目的のために、内在遺伝子に相同的なヌクレオチド配列を含むベクターを設計する。また、例えばGuら、Science、265:103〜106頁(1994年)の教示に従うことによって、FGFR導入遺伝子を特定の細胞種内に選択的に導入し、それによりその細胞種内でのみ内在FGFR遺伝子を不活性化してもよい。そのような細胞種特異的な不活性化に必要な調節配列は目的の特定細胞種に依存し、当業者には明らかである。
組換えFGFR導入遺伝子またはノックアウト対立遺伝子の発現は、標準の技術を用いて本発明の動物でアッセイを行い得る。最初のスクリーニングは、導入遺伝子またはヌル対立遺伝子の組込みが起こったことを確認するためにサザンブロット分析またはPCR技術によって行い得る。動物組織における導入遺伝子またはヌル対立遺伝子のmRNA発現のレベルは、それだけには限定されないが、ノーザンブロット分析、in situハイブリダイゼーション分析、および逆転写酵素−PCR(RT−PCR)が含まれる技術によって評価し得る。FGFR導入遺伝子を発現する試料またはFGFRヌル組織の試料も、特異的抗体を用いて免疫細胞科学的または免疫組織化学的に評価し得る。
本発明は、そのすべての細胞中にFGFR導入遺伝子を保有するトランスジェニック動物、およびモザイクまたはキメラ動物などの、その一部の細胞中に導入遺伝子を保有する動物を提供する。導入遺伝子は、コンカテマー、例えば、頭−頭の直列もしくは頭−尾の直列などで、単一の導入遺伝子または複数コピーとして組み込まれていてよい。また、例えばLaskoら、Proc. Natl. Acad. Sci.、89:6232〜6236頁(1992年))の教示に従うことによって、FGFR導入遺伝子を特定の細胞種内に選択的に導入して活性化させてもよい。そのような細胞種に特異的な活性化に必要な調節配列は目的の特定細胞種に依存し、当業者には明らかである。
創始トランスジェニック動物を繁殖、同系繁殖、異系繁殖、または交雑繁殖して特定の動物のコロニーを作製し得る。そのような繁殖戦略の例には、それだけには限定されないが、個別の系を確立するために複数の組込み部位を用いた、創始動物の異系繁殖;それぞれの導入遺伝子の付加的発現効果により導入遺伝子をより高いレベルで発現する複合トランスジェニックを作製するための、個別の系の同系繁殖;発現を増強するためおよびDNA分析によって動物のスクリーニングを行う必要性を排除するために所定の組込み部位に対してホモ接合性の動物を作製するための、ヘテロ接合性トランスジェニック動物の交雑;複合ヘテロ接合またはホモ接合系を作製するための、個別のホモ接合系の交雑;ならびに導入遺伝子を目的の実験モデルに適切な、明瞭な背景に配置するための繁殖が含まれる。
一実施形態では、本発明のFGFR融合タンパク質は、国際公開公報WO03/020743号に記載の方法によって作製したトランスジェニック非ヒト動物中で発現させる。この方法では、ほとんどまたはすべての細胞種で発現される座位を含めた1つまたは複数の事前に決定した座位を、導入目的遺伝子を含むカセットの標的とする。カセットは、導入遺伝子およびカセット中の任意選択の制御またはアクセサリー遺伝子の発現を指示する自律単位として機能することができる。導入遺伝子は、カセット内の外来性プロモーターの制御下で発現される。したがって、導入遺伝子の発現パターンは外来性プロモーターの性質によって決定される。
本発明のトランスジェニックおよびノックアウト動物は、それだけには限定されないが、FGFRの生物学的機能を詳しく調べるために有用な動物モデル系、FGFRの異常発現に関連する状態および/または障害の研究、ならびにこれらの状態および/または障害の改変または寛解に有効な化合物のスクリーニングを含む用途を有する。
本発明の核酸分子またはFGFR融合タンパク質を含む動物は、例えば水力学的尾静脈形質移入方法によって、および例えば既に記載したミニサークルベクター構築体を用いて、FGFR融合タンパク質または核酸構築体のどちらかを注射した動物である。
(囮受容体トラップとしてのFGFR融合タンパク質)
本発明のFGFR融合タンパク質は、FGFリガンドを捕捉して、細胞表面上のFGFRとのその相互作用を阻害する囮受容体として機能することができる。本発明のものなどの囮受容体は、高い親和性および特異性でそのリガンドを認識するが、シグナル伝達を行う能力を構造的に有さない。これらはリガンド結合に対して野生型受容体と競合し、リガンド/受容体の相互作用に参加し、したがって機能的受容体の活性もしくは数および/または受容体から下流の細胞活性を調節する。囮受容体は、作用リガンドの分子トラップとして働くことによってリガンドに誘発される受容体活性化を阻害することができる。
本発明の教示以前には、腫瘍もしくは増殖性細胞がin vivoでFGF成長因子に依存しているかどうか、または腫瘍の進行もしくは細胞増殖を阻害するためにどのFGFリガンドを遮断し得るかは、知られていなかった。さらに、FGFに誘発される増殖を遮断する能力がFGFR活性化のレベルの低下と相関していることは、以前に報告されていない。
本発明のFGFR融合タンパク質は、他の囮受容体トラップと組み合わせて用いることができる。エタネルセプト(Enbrel(登録商標))は、ヒトTNF−α受容体の細胞外リガンド結合ドメインとヒトIgG1のFc領域との融合タンパク質を含む、遺伝子操作した囮受容体トラップの例である。これは、TNF−αと細胞表面上の天然に存在するTNF−α受容体との結合を競合的に阻害することでTNF−αに誘発される炎症誘発活性を阻害することによって、囮として働く。エタネルセプトはサイトカインの「スポンジ」およびTNF−α拮抗剤として働き、TNF−αを生物学的に不活性にする(Goldenbergら、Clin. Ther.、21:75〜87頁(1999年))。これは、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、および強直性脊椎炎の治療に用いられる。
また、本発明のFGFR融合タンパク質は、可溶性組換え囮融合タンパク質の別の例であり、現在臨床治験中であるVEGFトラップと共に用いることもできる。ヒト血管内皮成長因子(VEGF)受容体の1つまたは複数の細胞外リガンド結合ドメインとヒトIgG1のFc領域との遺伝子操作した融合タンパク質であるVEGFトラップは、天然に存在する細胞表面VEGF受容体に対する囮として働くことによって血管形成を阻害する。VEGF囮は、血管形成を阻害することによって、その生存能が血管形成に依存する腫瘍を縮小することができる。囮トラップの生物活性は、トラップ中で用いる受容体の部分に依存する。例えば、VEGFR1受容体アイソフォームの最初の3つのIgドメインとヒトIgG1のFc領域との融合タンパク質は、ピコモル範囲の親和性でVEGFと結合し、強力な抗腫瘍活性を有するが、短いin vivoでの半減期および顕著な毒性を有する(Holashら、Proc. Natl. Acad. Sci.、99:11、393〜11、398頁(2002年))。VEGF囮融合タンパク質は、in vivoでの薬物動態学および薬力学的なプロフィールを延長する、毒性を最小限にする、ならびに成長および血管化を強力に阻害するように、操作することができる。塩基性の高い10個のアミノ酸配列を第3のVEGF1のIgドメインから除去すること、第1のVEGF1のIgドメイン全体を除去すること、およびVEGFR1の第2のIgドメインとVEGFR2の第3のIgドメインとを融合することにより、臨床的パラメータが改善されることが報告されている(Holashら、Proc. Natl. Acad. Sci.、99:11、393〜11、398頁(2002年))。FGFR融合タンパク質およびVEGFトラップの組合せは、血管形成の阻害において、どちらか単独よりも強力である可能性がある。
本発明はFGFR囮受容体トラップ融合タンパク質を提供し、以下により詳細に示すように、これらがリガンドとFGFRとの結合を阻害することを実証する。囮融合タンパク質は、リガンドを捕捉してリガンド−受容体の結合を阻止する。FGFR受容体トラップ融合タンパク質が受容体−リガンド結合を阻害する能力は、以下により詳細に記載するように、当分野で知られているアッセイ、例えば競合ELISAアッセイを用いて実証することができる。
本発明は、治療剤としてのFGFR囮受容体トラップを提供する。本発明のFGFR囮受容体トラップは、正常状態と比較して増殖性疾患状態で過剰発現されることが実証されている、本明細書中により詳細に記載する様々なFGFと結合する。これらのトラップは、非常に高い親和性でFGFリガンドと結合することができ、例えば、約15ピコモーラーのKdでFGF−2と結合し得る。さらに、これらのトラップは異常組織においてFGFシグナル伝達を妨げることができる。例えば、本発明のFGFR1−IIIc−FcおよびFGFR4−Fcトラップは、FGFR1−IIIcおよびFGFR4、ならびに場合によってはFGFRファミリー他のメンバーのシグナル伝達を弱めることができる(Zhangら、J. Biol. Chem.、281:15、694〜15、700頁(2006年))。
遺伝子トラップベクターを胚性幹細胞内に導入することにより、目的の受容体ドメインの遺伝子発現パターンを反映するトランスジェニック動物系が作製されている(Coffinら、「Retroviruses」、Cold Spring Harbor Lab. Press(1997年))。したがって、本発明は、正常および疾患状態に関連するシグナル伝達現象中のFGFR遺伝子の離散的な発現パターンを同定するための、FGFR遺伝子トラップベクターの使用を提供する。レポーター遺伝子の活性化が活性転写単位内へのその挿入に依存するように、レポーター遺伝子を有するがプロモーターを欠く構築体を設計する。組込みの結果、内在転写単位のパターンを反映する発現パターンがもたらされる。レポーター遺伝子は、転写単位の「トラップ」された遺伝子をクローニングするための分子タグを提供する。遺伝子トラップベクターと共に用いることができるレポーター系は当分野で知られている。挿入に続いて、レポーター遺伝子産物についてアッセイを行うことによって、タグ付けした遺伝子を空間的および時間的に検出することができる。
(リガンド−受容体結合の実時間検出)
本明細書中に記載のように、FGFは特定の病状において過剰発現される。囮受容体トラップとして働くことによって、FGFR融合タンパク質は過剰発現されたFGFの生物活性を弱毒化する。特定のFGFR融合タンパク質とin vitroで結合するFGFのプロフィールにより、その融合タンパク質のin vivoでの治療プロフィールを予測することができる。したがって、本発明は、本発明のFGFR融合タンパク質のリガンド結合プロフィールおよびFGFリガンドを過剰発現する疾患を治療するために本発明のFGFR融合分子を使用する方法を提供する。
本発明は、結合相互作用を実時間で測定するためにバイオセンサーチップを利用するBiacore技術(Biacore;ニュージャージー州Piscataway)を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)による、直接のリガンド−受容体結合の測定を提供する(Dawsonら、Molec. Cell. Biol.、25:7734〜7742頁(2005年))。この技術はSPR光学現象に基づいており、センサーチップの表面近くで起こる屈折率の変化を検出する。相互作用する構成成分の一方を、センサーチップ表面に連結した柔軟なデキストラン層上に固定し、相互作用の相手を溶液中で、表面を横断するように流す。2つの構成成分間の相互作用により相互作用の相手が固定され、センサーチップ表面の質量が増加する。質量が増加した結果、光シグナルが生じ、これを共鳴単位(RU)で記録する。1RUは、約1ピコグラムの表面に結合したタンパク質を表す。Biacore技術は、米国特許第6,999,175B2号;第6,808,938B2号;および第5,641,640号に記載されている。
以下により詳細に記載するように、表面プラズモン共鳴(SPR)を測定するために、Biacore(登録商標)Xシステムを用いて本発明の融合タンパク質とのFGFリガンド結合を測定した。この方法により、本発明のFGFR融合タンパク質、例えば、FGFR1−IIIc−Fc、R1Mut4、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcに対するFGFリガンドの相対的な親和性の順位が提供された。したがって、本発明は、本発明の結合FGFR融合タンパク質を投与することによる、正常よりも高いレベルで発現される1つまたは複数のFGFを特徴とする疾患の治療方法を提供する。
(FGFR融合分子治療のバイオマーカー)
バイオマーカーを用いて、臨床治験の終点としての有効性の実証を含めた、FGFR融合タンパク質を用いた対象の治療の結果を監視することができる。適切なバイオマーカーは、FGF−FGFRシグナル伝達経路がFGFR融合タンパク質によって影響を受けることを示す。例えば、FGFR1融合タンパク質で治療した対象におけるFGF−2レベルの減少は、融合タンパク質がFGF−2と結合し、活性FGFRからそれを捕捉することを示し、したがって治療の有効性が実証されたことを示すので、FGF−2はFGFR1の適切なバイオマーカーである。
また、FGFRシグナル伝達経路の構成成分も、治療の有効性を実証するためのバイオマーカーとして役割を果たし得る。例えば、FGFRは、細胞内シグナル伝達によって細胞外リガンド結合に対する細胞内応答を生じる。無処置の膜貫通受容体の細胞外ドメインに結合するFGFは、受容体の細胞質部分に存在する触媒的チロシンキナーゼドメインを活性化する。リガンドは、FGFRが細胞質チロシン残基を自己リン酸化することを誘導し、これはその後、細胞内シグナル伝達タンパク質の高親和性の結合部位の一部として役割を果たす。これらのシグナル伝達タンパク質の一群である細胞外シグナル制御キナーゼ(Erk)(マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼとしても知られる)は、FGFRがErkタンパク質上のスレオニンおよび近隣のチロシンをリン酸化した際に活性化される。報告によると、細胞表面FGFRとのリガンド結合により、ErkからホスホErk(pErk)へのリン酸化が含まれるシグナル伝達カスケードが開始される。したがって、Erk活性化は、スレオニンおよびチロシン残基のリン酸化を測定することによって定量することができるFGFR細胞内シグナル伝達活性の測定値を提供することによって、FGFR融合分子治療のバイオマーカーを提供する。Erk活性化は当分野で知られており、以下により詳細に実証されている方法によって決定することができる。細胞溶解液からErkを免疫学的に検出する市販の試薬が利用可能である。当分野で周知の方法によって、リン酸化されたErkを同定かつ測定するためにこれらの試薬を用いてELISAおよび/またはウェスタンブロット分析を行うことができる。
また、FGFRシグナル伝達経路の測定値を提供することによって、他のバイオマーカーを用いてFGFR融合タンパク質治療を監視してもよい。例えば、リン酸化されたFGFR(pFGFR)の低下、または線維芽細胞成長因子受容体基質2(pFRS2)および/もしくは二重特異性ホスファターゼ(DSP)の基底リン酸化レベルの低下は、効果的なFGFR融合タンパク質を用いた治療を示す。
(FGFR融合タンパク質は増殖性細胞の生存度および/または増殖を阻害する)
増殖性細胞では、多くの場合、その生存および成長は成長因子による細胞外シグナル伝達に依存する。本発明のFGFR融合タンパク質は、in vitroおよびin vivoのどちらにおいても、癌細胞および他の増殖性細胞の生存度および/または増殖を阻害することができる。したがって、本発明は、本明細書中に記載のFGFR融合タンパク質を提供し、融合タンパク質を対象に投与することによる、増殖性細胞の生存度および/または増殖の阻害方法、血管形成の阻害方法、ならびに対象における癌の治療方法を提供する。in vitroにおける細胞生存度および/または増殖に対するFGFR融合タンパク質の効果を培養腫瘍細胞で検査し、in vivoにおける腫瘍細胞の生存度および増殖に対するその効果を動物腫瘍モデルで検査した。
本発明では、細胞の生存度および増殖を決定するために、培養物中の生細胞の数を測定するために設計されたCellTiter−Glo(商標)発光性細胞生存度アッセイ(Promega;ウィスコンシン州Madison)(Sussmanら、Drug Disc. Dev.、5:71〜71頁(2002年)を使用した。細胞性アデノシン三リン酸(ATP)のレベルは細胞生存度を示し、細胞が生存能を失った場合にATPレベルは迅速に低下する。このアッセイでは、代謝的に活性のある細胞、すなわち生細胞の指標としてATPを測定するために、ホタルルシフェラーゼの安定型を用いる。ルシフェラーゼは、ATP、マグネシウム、および酸素の存在下で昆虫のルシフェリンを酸化ルシフェリンに変換する。その結果生じる発光性シグナルは、培養物中に存在する生細胞の数に比例し、ルミノメーターまたはCCDカメラを用いて検出することができる。シグナルは細胞数に比例するので、これにより生存度および増殖をどちらも測定する。示した培地および血清条件下では、アッセイは広い範囲の細胞数にわたって直線的である。
本発明は、異形成細胞であれ、前悪性細胞であれ、悪性腫瘍細胞であれ、複数の増殖性細胞種の生存度および/または増殖を阻害するために本発明のFGFR融合タンパク質を用いる方法;内皮細胞などの他の細胞種の生存度および/または増殖を阻害する方法;ならびにin vitro、ex vivo、またはin vivoで血管形成を阻害する方法を提供する。以下により詳細に記載するように、本発明のFGFR融合タンパク質を用いて、例えば、肺、腎臓、脳、乳房、肝臓、卵巣、前立腺、および/または結腸直腸の癌細胞を含めた様々な癌細胞種を阻害することができる。本発明のFGFR融合タンパク質はそれぞれ、以下により詳細に示すように異なる癌細胞種に対して異なる特異性を有し、そのような特異性に応じて異なる種類の腫瘍の治療に用いることができる。
例えば、FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質などの本発明のFGFR融合タンパク質を用いて、悪性ヒト神経膠腫細胞(例えばU251細胞);悪性ヒト脳癌細胞(例えばSF268細胞);ヒト肺癌細胞(例えばA549細胞);悪性肺非扁平上皮癌細胞(例えば、NCI−H522およびNCI−H226細胞);悪性膠芽細胞腫細胞(例えば、U118およびWT111細胞);ならびに悪性腎細胞(例えばCaki−1細胞)の生存度および/または増殖を阻害することができる。
本発明はまた、腫瘍細胞および内皮細胞などの他の増殖性細胞の増殖をin vivoで阻害するために本発明のFGFR融合タンパク質を用いる方法も提供する。このin vivo活性は、動物異種移植モデルにおいて腫瘍のin vivo形成を阻害するために本発明のFGFR融合タンパク質を投与することによって実証することができる。本明細書中に示すように、このモデルにおいてFGFR1−IIIc−Fcは腫瘍成長を有効に阻害した。したがって、本発明は、本発明のFGFR融合タンパク質を含む組成物を提供すること、および組成物を対象に投与することによる、対象において腫瘍成長および腫瘍細胞の増殖を阻害する方法を提供する。
本発明は、そのような細胞の増殖が望ましくない状態において、内皮細胞などの増殖性細胞の生存度および/または増殖を阻害する方法を提供する。例えば、黄斑変性症および腫瘍血管形成は、血管、したがって内皮細胞の過剰な成長が望ましくない状態である。したがって、本発明はさらに、本発明のFGFR融合タンパク質をそのような治療を必要としている対象に投与することによる、血管形成を阻害する方法を提供する。以下により詳細に記載するように、投薬スケジュールおよび投薬経路は一般に当分野で知られており、後者には静脈内、皮下、腹腔内、および経口投与が含まれ得る。
ヒト癌におけるFGFおよびFGFRの発現
遺伝子増幅は、特定の種類の癌をもたらすことができる癌遺伝子活性化の機構の1つである。本発明は、登録商標をもつGeneLogicデータベースに属する乳癌組織の遺伝子発現プロフィールの分析、およびFGFR1遺伝子が乳癌患者の10〜15%で増幅されていたという発見を提供する。本明細書中に記載のように、このような遺伝子増幅は腫瘍細胞の成長および/または生存を示唆しており、したがってFGFRとFGFリガンドとの間のシグナル伝達を中断することは、腫瘍成長を阻害するために有用な手法である。
本発明はまた、登録商標をもつGeneLogicデータベースに属する様々な腫瘍の種類の、FGFおよびFGFRの発現に関する発現プロフィールのさらなる分析、ならびに特定の腫瘍がFGFR1、FGFR3、および/またはFGFR4をより高いレベルで発現したという発見も提供する。本発明はさらに、特定の腫瘍が特定のFGFリガンドをより高いレベルで発現したことを提供し、これにより、癌細胞または癌細胞に栄養を与える内皮細胞の生存度および/または増殖能力の維持に活性のあるFGF/FGFRシグナル伝達経路が示唆された。FGFRおよび/またはFGFを過剰発現する腫瘍の種類に関する情報は、以下の表に提供する。
したがって、本発明は、FGFR、FGF、または両方の過剰発現を特徴とする増殖性疾患の治療における使用に適した、FGFR融合タンパク質の方法および組成物を提供する。本明細書中で行い、実施例でより詳細に記載した分析は、様々な過剰増殖性組織のFGFRおよびFGFの遺伝子発現プロフィールを提供する。したがって、FGFRおよびそのリガンドの過剰発現は特定の病状と相関している。本発明のFGFR融合タンパク質は、FGFRの構成成分またはそのリガンドが過剰発現される疾患の治療に効果的である。
(治療用の組成物および配合物)
(投与経路および担体)
本発明のFGFR融合分子は、静脈内、動脈内、皮下、非経口、鼻腔内、筋肉内、心臓内、脳室内、気管内、頬側、直腸、腹腔内、皮内、局所的、経皮、およびくも膜下腔内を含めた様々な経路によって、またはそうでない場合移植もしくは吸入によって、in vivoで投与することができる。これらは、以下により詳細に記載するように、配合物中で投与し得る。これらは、鼻腔内または吸入によって散剤形態で投与し得る。これらは、例えば、体温で融解するが室温で固化している、乳化基剤、水溶性基剤、カカオ脂、カーボワックス、およびポリエチレングリコールなどの様々な基剤と混合することによって配合する坐薬として投与し得る。筋肉内または皮内投与にはジェット注射を用いることができる(Furthら、Anal. Biochem.、205:365〜368頁(1992年))。文献(Tangら、Nature 356:152〜154頁(1992年))に記載のようにDNAを金微粒子上にコーティングし、微粒子銃装置、すなわち「遺伝子銃」によって皮内送達することができ、この方法において、金の微粒子弾にDNAをコーティングし、その後、皮膚細胞内に打ち込む。これらのin vivo投与方法は、当分野で知られている。
一部の実施形態では、融合分子組成物を、その様々な種類が当分野で知られている薬学的に許容される担体と共に、配合物中で提供する(Gennaro、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons: Drugfacts Plus」、第20版(2003年);Anselら、「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」、第7版、Lippencott Williams and Wilkins(2004年);Kibbeら、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、第3版、Pharmaceutical Press(2000年))。ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤などの薬学的に許容される担体が公的に利用可能である。さらに、pH調節剤および緩衝剤、等張性調節剤、安定化剤、湿潤剤などの薬学的に許容される補助剤が公的に利用可能である。
本発明の融合分子は、非経口投与用の薬剤組成物を含むように適切な製薬担体と組み合わせて用い得る。したがって、本発明は、本発明のFGFR融合分子および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。そのような組成物は、治療上有効な量のポリペプチド、作用剤、または拮抗剤および薬学的に許容される担体を含む。そのような担体には、それだけには限定されないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組合せが含まれる。配合物は投与様式に適しているべきである。
製薬的な用量では、FGFR融合分子組成物は、その薬学的に許容される塩の形態で、単独でまたは他の薬学的に活性のある化合物との適切な会合もしくは組合せのいずれかで、投与することができる。FGFR融合分子組成物は投与様式に従って配合する。したがって、主題組成物は、錠剤、カプセル、散剤、顆粒、軟膏、液剤、坐薬、浣腸、注射剤、吸入剤、およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体、または気体の形態で、調製物中に配合することができる。本明細書中で言及した方法および賦形剤は単に例示的であり、いかなる様式でも限定するものではない。
薬剤、ポリヌクレオチド、およびポリペプチドは、植物または他の類似の油などの水性または非水性の溶媒、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸またはプロピレングリコールのエステル中に、所望する場合は可溶化剤、等張化剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤および保存料などの慣用の添加剤と共に、それを溶解、懸濁、または乳化することによって、注射用調製物中に配合することができる。これらは、吸入による投与用の調製物中に配合してもよく、例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容される加圧噴霧剤中に配合する。本発明のFGFR融合タンパク質は、当分野で知られている技術を用いて、たとえば生分解性または非生分解性のポリマーを用いて、持続放出マイクロカプセル中に配合することができる。本発明での使用に適した生分解性配合物の例には、ポリ乳酸−グリコール酸ポリマーが含まれる。本発明での使用に適した非生分解性配合物の例には、ポリグリセリン脂肪酸エステルが含まれる。これらの配合物の作製方法は、例えば、欧州特許EP1 125 584A1号に記載されている。当分野で慣用の非経口送達用の他の配合物を用いることもできる。
FGFR融合分子組成物は、個々の対象の臨床的状態、融合分子組成物の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医師に知られている他の要素を考慮して、優良な医療行為に矛盾しない様式で配合および投薬する。したがって、本明細書中に記載の目的のためのFGFR融合分子の有効量は、このような考慮によって決定される。
本発明はまた、有効な用量の本発明の製薬FGFR融合タンパク質組成物の1つもしくは複数を満たした1つまたは複数の容器を含む、製薬パックまたはキットを提供する。このような容器(または複数の容器)には、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を制御する政府当局が規定した形の注意書を付随させることができる。そのような注意書は、ヒト投与のための製造、使用、または販売に対する当局の認可を反映する。さらに、本発明のFGFR融合分子は他の治療剤と併せて用い得る。
それぞれの単位用量が1つまたは複数の薬剤を含む事前に決定した量の組成物を含む、単位剤形を提供することができる。一実施形態では、FGFR融合分子組成物を1回使用の事前に充填した注射用シリンジ中で供給する。組成物は、生理食塩水、スクロースなど;リン酸緩衝液などの緩衝液等を含んでいてよく、安定かつ有効なpH範囲内で配合する。一実施形態では、FGFR融合分子組成物を複数回使用のバイアル中に凍結乾燥粉末として提供し、これは、適切な液体、例えば滅菌した静菌水を加えた際に再構成することができる。一実施形態では、FGFR融合分子組成物は、それだけには限定されないが、スクロースまたはアルギニンを含めたタンパク質の凝集を阻害する1つまたは複数の物質を含む。一実施形態では、本発明の組成物は、ヘパリンおよび/またはプロテオグリカンを含む。
これらの薬剤組成物は、特定の適応症の治療および/または予防に有効な量で投与する。有効量は、典型的には、治療する対象の重量、彼もしくは彼女の体調または健康状態、治療する状態の広範さ、および/または治療する対象の年齢に依存する。一般に、本発明のFGFR融合タンパク質は、体重1kgあたり約5ug〜体重1kgあたり約10mg/用量の範囲の量で投与すべきである。任意選択で、本発明のFGFR融合タンパク質は、体重1kgあたり約10ug〜体重1kgあたり約9mg/用量の範囲の量で投与することができる。さらに任意選択で、本発明のFGFR融合タンパク質は、体重1kgあたり約100ug〜体重1kgあたり約8mg/用量の範囲の量で投与することができる。さらに任意選択で、本発明のFGFR融合タンパク質は、体重1kgあたり約1mg〜体重1kgあたり約7mg/用量の範囲の量で投与することができる。
FGFR融合タンパク質組成物は、FGFリガンド/FGFRシグナル伝達経路の阻害を必要としている対象に、必要に応じて投与することができる。投与頻度の決定は、治療する状態、治療する対象の年齢、治療する状態の重篤度、治療する対象の一般的な健康状態などの考慮に基づいて、担当医などの当業者によって行うことができる。一実施形態では、有効用量のFGFR融合タンパク質を、対象に1回または複数回投与する。一実施形態では、本発明のFGFR融合タンパク質を、対象に少なくとも週に2回、少なくとも1週間の間投与する。別の実施形態では、FGFR融合タンパク質を、少なくとも週に3回、少なくとも1週間の間投与する。さらなる実施形態では、FGFR融合タンパク質を、対象に少なくとも2週間の間投与する。さらに別の実施形態では、本発明のFGFR融合タンパク質を、対象に少なくとも3週間の間投与する。FGFR融合タンパク質の投与は、少なくとも2もしくは3週間の間に連続的であるか、または治療を1もしくは2週間中断し、そのような中断の後に治療を再開するなどの非連続的であることができる。
(組合せ療法)
本発明のFGFR融合分子は、単独で、または他の治療様式と共に投与し得る。これらは、他の治療様式、例えば、手術、化学療法、放射線療法、または治療用抗体などの生物剤の投与の前、実質的に同時に、または後に提供し得る。したがって、本発明は、線維芽細胞成長因子および受容体が利用するシグナル伝達経路を遮断する治療と他の成長因子が利用するシグナル伝達経路を遮断する治療とを組み合わせる方法を提供し、これは、FGFおよび/またはFGFR、ならびに他の成長因子および/またはその受容体を発現する腫瘍を有する患者においてより有効であると予測することができる。この治療手法は、迅速に成長している腫瘍および高度に血管新生した腫瘍、例えば膠芽細胞腫に適用することができる。本発明のFGFR融合分子は、他の成長因子受容体の融合分子と組み合わせて用いることができる。例えば、本発明のFGFR融合タンパク質は、腫瘍成長を阻害するため、および/または腫瘍において血管形成を阻害するために、可溶性VEGFRと組み合わせることができる。
さらに、本発明は、FGFならびにPDGF、VEGF、および/またはEGFシグナル伝達経路などの他のシグナル伝達経路を遮断する組合せ療法を提供する。本発明のFGFR融合分子をこのような組合せ療法で用いることができる。治療において使用するために、PDGFR−α、PDGFR−β、VEGFR、および/またはEGF受容体を阻害する1つまたは複数の薬剤を、本発明のFGFR融合タンパク質と組み合わせることができる。FGFシグナル伝達経路を遮断する組成物は、PDGF、VEGF、および/もしくはEGFシグナル伝達経路を遮断する組成物と同時に、またはそれと共に任意の順序で逐次的に提供し得る。組合せ療法には、PDGFR−α、PDGFR−β、VEGFR、EGFRの細胞外ドメインを含む融合タンパク質、および本発明のFGFR融合タンパク質の使用が含まれ得る。
(FGFR融合分子の使用)
過剰活性もしくは過剰量のFGFリガンドもしくはFGFRによって直接または間接的に媒介される障害を診断するため、その予後診断を提供するため、予防するため、治療するため、およびその治療を開発するために、本発明のFGFR融合分子ならびにその断片および改変体を用い得る。本発明のFGFR融合分子ならびにその断片および改変体を、そのような障害の危険性にある、またはそれに罹患した患者に投与し得る。
したがって、本発明は、1つまたは複数のFGFと1つまたは複数のFGFRとの受容体リガンド結合を実時間で測定することによる、1つもしくは複数のFGFおよび/もしくはFGFRまたはその断片もしくは改変体の過剰発現を特徴とする疾患の診断方法を提供する。この方法は、例えば、対象から生物学的検体を提供し、検体中のFGFリガンドまたはFGFRと1つまたは複数の同族FGFRまたはFGFリガンドとの結合を測定することによって行うことができる。結合の測定の結果を用いて、FGF(もしくは複数のFGF)またはFGFR(もしくは複数のFGFR)の過剰発現を特徴とする疾患が存在することまたは存在しないことを診断することができる。
本発明はまた、本発明のFGFR融合分子を含む組成物を提供すること、および組成物を対象に投与することを含む、対象において増殖性疾患、癌および血管形成障害を含めた状態を治療する方法を提供する。本発明のFGFR融合分子は、癌細胞の増殖および/または生存度の阻害に有用である。本発明のFGFR融合分子は、ヒトを含めた動物の癌を治療するために、様々な設定においてしかるべく使用することができる。
本発明のFGFR融合分子を用いて、悪性、前悪性、および良性の腫瘍を治療、調節、または予防することができる。例えば、これらにより、典型的には腫瘍発生の進行期にあり、生命を脅かし得る転移性または非転移性の悪性腫瘍を治療することができる。また、これらを用いて、典型的には良性腫瘍よりも進行した腫瘍発生段階にあるが、悪性疾患までは進行していない前悪性腫瘍を治療することもできる。さらに、これらを用いて、典型的にはある程度の異常な細胞特徴を示し、腫瘍発生の初期段階にある良性腫瘍を治療することができる。良性腫瘍は、前悪性または悪性の腫瘍に進行する場合もしない場合もある。本発明のFGFR融合分子を用いて、組織または器官に局在する細胞の集合によって形成される固形腫瘍、例えば、それだけには限定されないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、肝臓転移、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、未分化甲状腺癌などの甲状腺癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、小細胞肺癌および非小細胞肺癌などの肺癌、膀胱癌、上皮肉腫、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、ならびに網膜芽細胞腫などの肉腫を治療することができる。また、本発明の範囲内の癌には、とりわけ、血液悪性疾患、浸潤性導管癌および腺癌などの乳癌;扁平細胞癌、非小細胞肺癌、肺腺癌などの肺癌;前立腺癌;膀胱癌;膵臓癌;卵巣癌、唾液腺癌;下垂体癌;腎細胞癌;黒色腫;膠芽細胞腫;網膜芽細胞腫;および/または前立腺癌からの骨転移を含めた骨の癌転移も含まれる。
例えば子宮頸部、食道、および肺を含めた上皮組織中に見つかるものなどの、過形成、化生、および異形成などの増殖不良性の変化を含む腫瘍も、本発明を用いて治療、調節、または予防することができる。過形成とは、構造または機能の顕著な変更のない、組織または器官内の細胞数の増加を伴う制御された細胞増殖の一形態である。例として、多くの場合、子宮内膜過形成が子宮内膜癌に先行して起こる。化生とは、成人細胞または完全に分化した細胞の一種が別の種類の成人細胞に置き換わる、制御された細胞成長の一形態である。化生は上皮または結合組織細胞中で起こることができる。異型化生は、多少不規則な化生上皮を伴う。異形成は多くの場合癌の前兆であり、主に上皮中に見つかる。これは、非新生細胞成長の不規則な形態であり、個々の細胞の均一性および細胞の構築的配向の損失を伴う。異形成は、慢性の過敏または炎症が存在する場合に特徴的に起こり、多くの場合、子宮頸部、気道、口腔、および胆嚢中に見つかる。本発明に従って治療、調節または予防することができる良性腫瘍の他の例には、動静脈(AV)奇形、特に頭蓋内部位および骨髄腫におけるものが含まれる。
本発明のFGFR融合分子、またはその改変体もしくは断片を用いて、FGFRシグナル伝達の効果に感受性のある癌患者を治療することができる。これらは、FGFR1および/またはFGF−2を過剰発現する患者の部分集合、例えば、乳癌、肺癌、腎臓癌、前立腺癌、および膠芽細胞腫に罹患している患者の部分集合において有用である。治療の有効性は、上述のように、例えば患者のバイオマーカーのレベル、例えば、FGF−2、pFGFR、DSP、および/またはpFRS2を測定することによって評価することができる(Guddoら、Hum. Pathol.、30:788〜794頁(1999年))。
本発明はまた、迅速に成長し、かつ高度に血管新生化した腫瘍である膠芽細胞腫を治療するための組成物および方法を提供する。血小板由来成長因子(PDGF)は、多くのヒト膠芽細胞腫中で高いレベルで発現される。さらに、腫瘍細胞の成長および生存を促進するその役割に加えて、FGFは、膠芽細胞腫などの血管性の高い腫瘍の成長を促進すると予測され得る強力な血管新生因子である。したがって、細胞の成長または生存に対するPDGFの効果の遮断および本発明のFGFR融合タンパク質を用いたFGFシグナル伝達経路の遮断を合わせることで、膠芽細胞腫の発生の進行を遅延させ得る。
FGF−2およびFGFR1は、腫瘍細胞および腫瘍関連間質細胞ならびに非小細胞肺癌に罹患している患者の血管中で発現される。FGF−2がFGFR1に結合することにより増殖刺激を遮断して腫瘍成長を阻害するために、例えばFGFR1−IIIc−FcまたはR1Mut4などの本発明のFGFR融合タンパク質を、そのような患者に投与することができる。
間質−上皮の相互作用は、悪性対良性の前立腺成長の重要な決定要因である(Conteら、Int. J. Cancer、107:1〜10頁(2003年))。前立腺癌、ならびに乳癌、腎臓癌、および多発性骨髄腫は、骨に転移する傾向がある。乳癌の骨転移は溶解性骨病変を形成する傾向がある一方で、前立腺癌転移は、異常に高密度の骨の過剰を特徴とする芽細胞病変を形成する傾向がある。その後、前立腺癌転移と局所的な骨環境とのさらなる相互作用が正常な骨の恒常性を変化させ、それを骨芽細胞の表現型へと移行させ得る。腎臓転移は、溶解性および芽細胞の骨病変をどちらも示し得る。
FGFは正常な骨形成に寄与し、骨間質環境において局所的に発現されるので、これらは前立腺癌の骨転移の播種、成長、および生存に役割を果たし得る。FGFは、骨芽前駆細胞の複製、骨芽細胞の分化、およびアポトーシスに影響を与えるとして、骨形成に関連づけられている。したがって、本発明のFGFR融合分子またはその改変体もしくは断片を含めたFGF/FGFRの相互作用を遮断する薬剤を用いて、前立腺癌における骨転移を治療することができる。そのような薬剤は、局所的な骨芽細胞の変換現象を阻害するだけでなく、前立腺癌の骨転移の播種、成長、および生存も阻害する。
本発明はまた、例えば腫瘍化および黄斑変性症において血管形成を阻害するための、本発明のFGFR融合タンパク質またはその改変体もしくは断片の使用方法を提供する。例として、FGFR1−IIIcおよび/またはFGFR4を含む融合タンパク質を用いて、望ましくない血管形成促進性FGFと結合させて血管形成を低下させ得る。有用な組成物には、Fc融合パートナーを有する組成物を含めた、本明細書中に記載の本発明の融合タンパク質を含む融合分子を含む組成物が含まれる。
本発明は、他の癌治療剤に耐性のある癌の治療方法を提供する。例えば、本発明のFGFR融合タンパク質を用いて、Herceptin(登録商標)などのErbB癌遺伝子阻害剤に耐性のある癌を治療することができる。また、これらは、Avastin(登録商標)などのVEGFの阻害剤に耐性のある癌の治療にも有用である。
FGFR融合タンパク質およびそれをコードしているポリヌクレオチド分子は、癌を含めた、増殖性疾患および血管形成に関与する疾患の治療に有用である。これらを用いて、このような疾患を診断、予防、および治療することができる。
値の範囲に関して、本発明には、文脈により別段にそうでないと明確に指定しない限りは、下限の単位の少なくとも10分の1までは、範囲の上限と下限の間のそれぞれの値が包含される。さらに、本発明には、間の任意の他の記述した値が含まれる。さらに、本発明には、記述した範囲から具体的に排除しない限りは、範囲の上限および下限のどちらかまたは両方を含めた範囲も包含される。
別段に定義しない限りは、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語の意味は、本発明が属する分野の技術者に一般的に理解される意味である。また、当業者は、本明細書中に記載のものに類似または均等の任意の方法および材料も、本発明を実施または試験するために用いることができることを理解されよう。
本明細書および添付の特許請求の範囲内で使用する単数形「a」、「または」、および「the」には、文脈により別段にそうでないと明確に指定しない限りは、指示対象の複数形が含まれることに注意されたい。したがって、例えば、「(a)対象のポリペプチド」への言及には、複数のそのようなポリペプチドが含まれ、「(the)薬剤」への言及には、1つまたは複数の薬剤および当業者に知られているその均等物への言及が含まれ、その他もそうである。
さらに、明細書および特許請求の範囲中で用いる成分の量、反応条件、%純度、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さなどを表すすべての数は、別段に指定しない限りは、用語「約」によって修飾される。したがって、明細書および特許請求の範囲中に記載する数値パラメータは、本発明の所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最低限でも、また特許請求の範囲の均等論の適用を限定する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメータは、通常の丸め技術を適用して、報告された有効桁数に照らして解釈すべきである。そうとはいえ、具体的な例に記載した数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、すべての数値は、その実験測定値の標準偏差からのある程度の誤差を本質的に含む。
本明細書は、本明細書中で引用する参考文献に照らして最も完全に理解される。これらの参考文献のそれぞれは、その全体で参考として本明細書中に組み込まれている。
(本発明を実施するための例示的な様式)
純粋に本発明の例示であることを意図し、したがっていかなる様式でも本発明を限定すると見なされるべきでない実施例も、上述の本発明の態様および実施形態を記載および詳述する。実施例は、以下の実験が行った実験のすべてである、または行った実験はこれだけであることを表すことを意図しない。用いた数(例えば、量、温度など)に関して精度を保証する努力はなされているが、ある程度の実験誤差および偏差を考慮すべきである。別段に指定しない限りは、部とは重量部であり、分子量とは重量平均分子量であり、温度とは摂氏であり、圧力は大気圧またはその付近である。
(実施例1)
(FGFRおよびFGFR改変体の部分IgIIIドメインおよび膜隣接領域の配列アラインメント)
図1Aは、European Molecular Biology Laboratory(EMBL)生物情報学検索サイトのClustal Wプログラムバージョン1.8を用いた、7つのFGFRファミリーメンバー、すなわちFGFR1−IIIb、FGFR1−IIIc、FGFR2−IIIb、FGFR2−IIIc、FGFR3−IIIb、FGFR3−IIIc、およびFGFR4のそれぞれのIgIIIドメインの一部のアミノ酸配列のアラインメントを示す。
図1Aは、親FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質(ヌクレオチド配列番号4、タンパク質配列番号95)および対応する突然変異体の構成も例示する。IgIIIドメインにECDのC末端部分が続き、それに抗体のFc部分が続く。アラインメントには、FGFR1−IIIcのR1Mut1(ヌクレオチド配列番号6、タンパク質配列番号97)、R1Mut2(ヌクレオチド配列番号7、タンパク質配列番号98)、R1Mut3(ヌクレオチド配列番号8、タンパク質配列番号99)、R1Mut4(ヌクレオチド配列番号9、タンパク質配列番号100)、およびR1Mut5(ヌクレオチド配列番号10、タンパク質配列番号101)改変体の切断位置ならびにIgG抗体のFc部分の位置を標識する。また、R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、およびR1Mut5は、アミノ酸「GS」をコードしているリンカーがFGFR1−IIIcとFcドメインとの間から除去されていた。
図1Bは、やはり本発明で産生および使用した、親FGFR1−IIIc−Fc由来のさらなる改変体を例示する。図1Bに示す改変体は、すべてリンカーGSが除去されていた。改変体R1Mut6(ヌクレオチド配列番号5、タンパク質配列番号96)は、GSリンカーのみが欠失していた。別の改変体R1Mut7(ヌクレオチド配列番号11、タンパク質配列番号102)は、アミノ酸残基PAが欠失していた。改変体R1Mut8(ヌクレオチド配列番号12、タンパク質配列番号103)は、プロリン残基がメチオニンで置換されたアミノ酸置換P364Mを有していた。改変体R1Mut9(ヌクレオチド配列番号13、タンパク質配列番号104)は、メチオニン残基がアスパラギンで置換されたアミノ酸置換M367Nを有していた。改変体R1Mut10(ヌクレオチド配列番号44、タンパク質配列番号135)は、プロリン残基がグリシンで置換されたアミノ酸置換P364Gを有していた。
図2は、EMBL(European Molecular Biology Laboratory)生物情報学検索サイトのClustal Wプログラムバージョン1.8を用いた、7つのFGFRファミリーメンバーのそれぞれのIgIIIドメインの一部のアミノ酸配列のアラインメントを示す。図2は、FGFR4−Fc融合タンパク質(ヌクレオチド配列番号65、タンパク質配列番号156)および対応する突然変異体の構成を例示する。アラインメントには、FGFR4のR4Mut1(ヌクレオチド配列番号71、タンパク質配列番号162)、R4Mut2(ヌクレオチド配列番号72、タンパク質配列番号163)、R4Mut3(ヌクレオチド配列番号73、タンパク質配列番号164)、R4Mut4(ヌクレオチド配列番号74、タンパク質配列番号165)、R4Mut5(ヌクレオチド配列番号75、タンパク質配列番号166)およびR4Mut6(ヌクレオチド配列番号66、タンパク質配列番号157)改変体の切断位置を標識する。図2は、IgG抗体のFc部分の位置も示す。また、R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6は、アミノ酸「GS」をコードしているリンカーがFGFR4とFcドメインとの間から除去されていた。
(実施例2)
(FGFR融合タンパク質の発現)
本発明の融合タンパク質は、293−6E細胞(Biotechnology Research Institute;カナダMontreal)内に形質移入したpTT5ベクター(Biotechnology Research Institute;カナダMontreal)を用いて293−6E宿主細胞中で発現させ、その後これを培養することで融合タンパク質を産生させた。ヒトFGFR1−IIIcの細胞外ドメイン(配列番号1)をコードしているFGFR1−IIIc−FcのcDNA(配列番号4)を含む発現ベクターを、内部で調製したオープンリーディングフレームcDNAライブラリから構築した。このcDNAを、アミノ酸GSをコードしているリンカーを介してそのC末端でヒトIgG1重鎖のFc断片をコードしているcDNA(配列番号80)に連結させ、融合構築体を作製した。これを本明細書中で以降「FGFR1−IIIc−Fc cDNA」と呼び、その発現産物を「FGFR1−IIIc−Fcタンパク質」と呼ぶ。Fc断片も内部で調製したオープンリーディングフレームcDNAライブラリから得た。このcDNA融合構築体を慣用技術によってpTT5ベクター内に挿入し、FGFR1−IIIc−Fc/pTT5発現ベクターを作製した。
pTT5ベクターを用いてFGFR3−IIIc−Fc(ヌクレオチド配列番号85、タンパク質配列番号176)およびFGFR4−Fc融合タンパク質を293−6E宿主細胞中で発現させるための発現構築体を、内部で調製したcDNAおよび慣用技術を用いて、上述と同様の様式で作製した。pTT5ベクターを用いてR1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、R1Mut5、R1Mut6(GS欠失)、R1Mut7(PA欠失)、R1Mut8(P364M)、R1Mut9(M367N)、R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6(GS欠失)などのFGFR改変体を発現させるための類似の発現構築体を、PCRおよび慣用の突然変異誘発技術を用いて、FGFR1−IIIc−Fc cDNAからそれぞれ作製した。
この様式で産生させた改変体R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、およびR1Mut5は、実施例1に記載のように、リンカーアミノ酸GSの欠失および野生型FGFR1−IIIc細胞外ドメインのC末端の特定のアミノ酸残基の欠失以外は、それぞれ親FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質(タンパク質配列番号95)と同じアミノ酸配列を含んでいた。R1Mut1は、Fc断片の直前にアミノ酸残基MTSPで終わるアミノ酸配列を含んでいた。R1Mut2は、Fc断片の直前にアミノ酸残基RPAVで終わるアミノ酸配列を含んでいた。R1Mut3は、Fc断片の直前にアミノ酸残基ERPAで終わるアミノ酸配列を含んでいた。R1Mut4は、Fc断片の直前にアミノ酸残基LEALで終わるアミノ酸配列を含んでいた。R1Mut5は、Fc断片の直前にアミノ酸残基AWLTで終わるアミノ酸配列を含んでいた。やはりこの様式で産生させた改変体R1Mut6、R1Mut7、R1Mut8、およびR1Mut9は、それぞれリンカーGSが除去された親FGFR1−IIIc−Fcと同じアミノ酸配列を含んでいた。
また、実施例1に記載した改変体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6を、FGFR1−IIIc−FcおよびR1突然変異体について記載した様式で、pTT5ベクターを用いて293−6E宿主細胞から産生させた。R4Mut1は、Fc断片の直前にアミノ酸残基AAPEで終わるアミノ酸配列を含んでいた。R4Mut2は、Fc断片の直前にアミノ酸残基PTWTで終わるアミノ酸配列を含んでいた。R4Mut3は、Fc断片の直前にアミノ酸残基LPEEで終わるアミノ酸配列を含んでいた。R4Mut4は、Fc断片の直前にアミノ酸残基TVLPで終わるアミノ酸配列を含んでいた。R4Mut5は、Fc断片の直前にアミノ酸残基LTVLで終わるアミノ酸配列を含んでいた。R4Mut6は、Fc断片の直前にアミノ酸残基RYTDで終わるアミノ酸配列を含んでいた。
宿主細胞系CHO−Sは、特定の実施形態では、293−6E宿主細胞系よりも高い収量で、かつ/またはそれとは異なるグリコシル化パターンを有する組換えタンパク質を産生することができる。本発明の融合タンパク質は、ベクターpcDNA3.1(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)を用いてCHO−S宿主細胞中で発現させた。発現ベクターをCHO−S宿主細胞(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)内に形質移入し、その後、これを培養して融合タンパク質を産生させた。PCRおよび慣用のサブクローニング技術を用いて、FGFR1−IIIc−Fc
cDNAをpcDNA3.1ベクター内にサブクローニングした。pcDNA3.1ベクターを用いてCHO−S宿主細胞中でFGFR3−IIIc−FcおよびFGFR4−Fc融合タンパク質を発現させるための発現構築体を、PCRおよび慣用のサブクローニング技術を用いて、上述と同様の様式で作製した。
FGFR4−Fc改変体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6をCHO−S宿主細胞中で、pcDNA3.1ベクターを用いて発現させるための同様の発現構築体を、PCRおよび慣用のサブクローニング技術を用いて、FGFR4−Fc cDNAから作製した。他のFGFR−Fc融合タンパク質および改変体用の発現ベクターも同様の様式で作製し、当分野で知られている方法を用いて融合タンパク質を本明細書中に記載のように発現させることができる。
DG44とは、CHO−S細胞系の細胞系誘導体であり、一部の実施形態では、CHO−S細胞よりも高い収量で組換えタンパク質を産生することができる。本発明の融合タンパク質は、DG44細胞内に形質移入したpDEF38ベクター(ICOS Corporation;ワシントン州Bothell)を宿主細胞として用いて、DG44宿主細胞(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)中で発現させ、その後、これを培養して融合タンパク質を産生させた。例えば、PCRおよび慣用のサブクローニング技術を用いてFGFR1−IIIc−Fc cDNAをpDEF38ベクター内にサブクローニングした。
pDEF38ベクターを用いてFGFR1−IIIc−Fc改変体R1Mut4をDG44宿主細胞中で発現させるための類似の発現構築体を、PCRおよび慣用のサブクローニング技術を用いて作製した。他のFGFR−Fc融合タンパク質および改変体、例えば、FGFR3−IIIc−FcおよびFGFR4−Fcのための発現ベクターも同様の様式で作製し、融合タンパク質を本明細書中に記載のように発現させることができる。
融合構築体を有するミニサークルベクターを用いたマウスにおける融合タンパク質の長期的な発現を、スタンフォード大学(カリフォルニア州Stanford)のMark Kay博士から得た親ベクターを用いて、Chenら、Hum. Gene Ther.、16:126〜131頁(2005年);Rui, E.ら、Hum. Gene Ther.、16:558〜570頁(2005年);および国際公開公報WO04/020605号に記載のように行った。この親ベクターは、α1−抗トリプシンプロモーター、apoEエンハンサー、ヒトIX因子イントロン、およびウシポリA配列を含んでいた。親ベクターは、PCRおよび慣用のサブクローニング技術を用いて、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR4−Fc、またはR1Mut4のcDNAを目的遺伝子として、そのようなcDNAを親ベクター中にヒトIX因子イントロンの直後に配置して挿入することによって改変した。当分野で知られている方法を用いて、本明細書中に記載のように、FGFR3−IIIc−Fcおよび本明細書中に記載の改変体を含めた他のFGFR−Fc融合タンパク質用の類似の発現ベクターも作製し、融合タンパク質を発現させることができる。
(実施例3)
(293−6E細胞およびCHO−S宿主細胞中での融合タンパク質の一過的発現)
FGFR1−IIIc−Fc/pTT5発現ベクターを、293−6E宿主細胞中での一過的発現を提供するために設計した。293−6E細胞を無血清懸濁培養Free−Style培地(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)に事前に適応させた。対数増殖期(対数期の成長)中の9×10個/ml〜1.2×10個/mlの細胞密度中に、発現ベクターを用いて細胞の形質移入を行った。
500mlの細胞懸濁液の形質移入を行うために、最初に25ミリリットル(ml)の滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の500マイクログラム(ug)の発現ベクターDNAを、25mlの滅菌PBS中の1ミリグラム(mg)のポリエチレンイミン(滅菌水中に溶液1mlあたり約1mgの濃度)と混合することによって、形質移入混合物を作製した。この形質移入混合物を、15分間、室温でインキュベーションを行った。インキュベーション後、形質移入混合物を対数期の成長中の293−6E細胞に加えて、細胞の形質移入を行った。その後、37℃、5%のCO中で細胞および形質移入混合物のインキュベーションを行った。24時間のインキュベーション後、Trypton−N1(Organotechnie S.A.;フランスLa Courneuve;滅菌FreeStyle培地中に20%の溶液)を0.5%(v/v)の最終濃度まで加えた。細胞の密度が約3〜4×10個の細胞/mlに達し、約80%を超える生存度が実証されるまで、混合物を37℃、5%のCO中で約6〜8日間維持した。融合タンパク質を細胞培地から収集するために、細胞を400×gで15分間、4℃でペレットにし、上清を傾瀉し、その後、3,315×gで15分間、4℃での遠心分離によって細胞細片を除去して清澄にした。その後、以下により詳細に記載するように、融合タンパク質を含む清澄な上清を精製した。
FGFR融合タンパク質FGFR3−IIIc−Fc、FGFR4−Fc、ならびにFGFR融合改変体R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、R1Mut5、R1Mut6、R1Mut7、R1Mut8、およびR1Mut9を、実施例2に記載のように構築したpTT5ベクターにおいて、293−6E細胞中での一過的発現によって同様に産生させた。他のFGFR−Fc融合タンパク質および改変体も、本明細書中に記載の方法を用いて、同様に作製して293−6E宿主細胞中で発現させることができる。
例えばin vivo研究で用いるためのR1Mut4タンパク質の小バッチ(約1〜2mg)を、懸濁液中で増殖させ、プラスミド構築体R1Mut4/pcDNA3.1を用いて一過的に形質移入したCHO−S細胞から迅速に産生させた。手短に述べると、懸濁させたCHO−S細胞(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)を、L−グルタミンを添加したCD−CHO無血清培地および1×ヒポキサンチン/チミジン(HT)(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)中で培養した。形質移入の前日にCHO−S細胞を約5×10個/mlの密度で振盪フラスコ中に播種し、形質移入の日には約1×10個/mlの密度に達していた。細胞を収集し、約1×10個の細胞/形質移入反応物を遠心分離によってペレットにした。それぞれの細胞ペレットを0.1mlのNucleofector V溶液に再懸濁させ、Amaxa
Nucleofectorキュベット(Amaxa;ドイツCologne)に移した。約5ugのR1Mut4/pcDNA3.1プラスミドDNAを加え、キュベット中の懸濁させたCHO−S細胞と混合した。その後、U−024プログラムを用いて細胞をAmaxa Nucleofectorで電気穿孔した。
より大きなバッチも作製することができる。例えば、200mlを作製するためには、12回の形質移入反応を実施し、電気穿孔した細胞をCD−CHO培地(L−グルタミン、1×ヒポキサンチン/チミジン(HT)を添加)中で、0.5×10個/mlの密度で培養した。6日後、細胞密度が約6〜7×10個/mlに達し、生存度は約95%であった。培養物からの上清を遠心分離によって収集し、これは精製に適していた。この方法を用いて、200mlの一過的に形質移入した培養細胞から1mgのR1Mut4タンパク質を約1週間で産生することができる。
FGFR融合タンパク質FGFR1−IIIc−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fc、ならびに改変体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6を、実施例2に記載のように構築したpcDNA3.1ベクターにおいて、CHO−S細胞中での一過的発現によって同様に産生させた。他のFGFR−Fc融合タンパク質および改変体も、本明細書中に記載の方法を用いて、作製およびCHO−S宿主細胞中で発現させることができる。
(実施例4)
(CHO−S宿主細胞中で融合タンパク質を安定して産生させるための細胞系の開発)
CHO−Sなどの適切な哺乳動物細胞中で安定した発現を提供するために、FGFR1−IIIc−Fc/pcDNA3.1発現ベクターを設計した。このベクターを、CD−CHO培地(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)中での無血清懸濁培養に適応させることによって接着性CHO−K1細胞から由来した、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を含むCHO−S細胞内に形質移入した。
形質移入は、製造者の推奨に従って、Amaxa Nucleofector II(Amaxa;ドイツCologne)を用いて実施した。このプロセスでは、約1×10個のCHO−S細胞を300ulのAmaxaのSolution V(Amaxa;ドイツCologne)に再懸濁させ、電気穿孔キュベット内に移した。FGFR1−IIIc−Fc/pcDNA3.1発現ベクターを含む約5ugのプラスミドDNAをキュベット中の細胞に加え、Amaxa製Nucleofector Device II内のAmaxa U−024プログラムを用いてDNA転移を開始した。CHO−S細胞へのDNA転移後、細胞懸濁液を直ちに1mlの予熱したCD−CHO培地中に移し、その後、37℃で10分間インキュベーションを行った。その後、細胞懸濁液を10mlの予熱したCD−CHO培地中に移し、T−75フラスコ中で48時間、37℃、5%のCOで培養した。ベクターpcDNA3.1はG418選択遺伝子を保有していた(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)。FGFR1−IIIc−Fc/pcDNA3.1を用いたDNA転移の約48時間後、G418(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)選択試薬を400ug/mlの最終濃度まで加えた。選択圧を導入した約2〜3週間後、かつ細胞がコンフルエントに達した際、これらを新鮮な選択培地を有するT−225フラスコに拡大させた。その後、使用時まで細胞を凍結保存した。
凍結保存培地は、46.25%のCD−CHO培地、46.25%の条件CD−CHO培地(通常は凍結保存した培地からの上清)および7.5%のジメチルスルホキシド(DMSO)を含んでいた。約5〜10×10個の細胞/バイアルを1mlの凍結保存培地に再懸濁させ、約−80℃までゆっくりと凍結した(約1℃/分)。翌日、凍結した細胞を液体N(約−190℃)に移した。使用時には、凍結保存バイアルを37℃水浴中に移すことによって細胞を急速に解凍し、解凍した細胞懸濁液を少なくとも10mlの新鮮なCD−CHO培地に再懸濁させた。通常は細胞の約60%が回復し、解凍後約24〜48時間で増殖し始める。
凍結保存および回復に続いて、細胞を2個の細胞/ウェル/200ulの密度で96ウェルプレートに植え、CD−CHO培地中で37℃、5%のCOで3週間培養した。細胞増殖が再開された後にG418選択圧(400ug/ml)を加えた。FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質を発現する形質移入された細胞クローンを同定するために、各ウェルの細胞培養上清をウェスタンブロットによってスクリーニングした。FGFR1−IIIc−Fcは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートさせたポリクローナルヤギ抗ヒトIgG Fcγ特異的抗体(Jackson Immuno Research;ペンシルバニア州West Grove)を用いて検出した。
形質移入したCHO−S細胞から産生させたFGFR1−IIIc−Fcは、形質移入した293−6E細胞から産生させたものよりも高い分子量を有しており、これは、CHO−S細胞の産物ではグリコシル化が増加していたことを示す。ウェスタンブロットにおいて明確なFc−免疫反応性のバンドを生じたウェルからの31個の細胞クローンを、10mlのCD−CHO培地および400ug/mlのG418を有するT−75フラスコに移した。2週間後、これらの培養物それぞれからの上清をSDS−PAGEによって試験し、非常に良く見えるバンドを生じる形質移入細胞クローンのみをさらなる分析用に持続させた。14個の最も発現の高いクローンを細胞特異的産生能について試験し、それに従って順序をつけた。2個の最も産生の高いクローンを、1カ月の期間をかけて懸濁培養に適応させた。合計10個の異なる培養培地を、体積測定のタンパク質産生能およびタンパク質の完全性に関して試験した。
pcDNA3.1発現ベクターからFGFR4−Fc融合タンパク質を産生する安定したCHO−S宿主細胞系も、上述と同様の様式でFGFR1−IIIc−Fcについて作製した。他のFGFR−Fc融合タンパク質および改変体を産生する安定したCHO−S宿主細胞系も、実施例2に記載のpcDNA3.1発現ベクターを用いて、本明細書中に記載の様式と同様に作製することができる。
(実施例5)
(DG44細胞中で融合タンパク質を安定して産生させるための細胞系の開発)
実施例2に記載のR1Mut4/pDEF38を含む発現ベクターを用いて、R1Mut4融合タンパク質を安定して産生させるためのDG44細胞の形質移入を行った。このプロセスでは、形質移入していないDHFR−陰性CHO細胞系DG44を、8mMのL−グルタミン、1×ヒポキサンチン/チミジン(HT;Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)、および18ml/LのPluronic−68(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)を添加したCHO−CD無血清培地(Irvine Scientific;カリフォルニア州Irvine)中で培養した。最初に、制限酵素PvuIを用いた消化によってR1Mut4/pDEF38を含む約50ugのプラスミドDNAを直鎖状にし、その後、エタノールを加えることによって沈殿させ、手短に空気乾燥させ、次いで400ulの滅菌蒸留水に再懸濁させた。形質移入の前日に、宿主細胞としての培養したDG44細胞を約4×10個/mlの細胞密度で振盪フラスコに播種し、形質移入の日には約0.8×10個/mlの密度に達していた。細胞を収集し、約1×10個の細胞/形質移入単位を遠心分離によってペレットにした。
細胞は、それぞれの細胞ペレットを0.1mlのNucleofector V溶液に再懸濁させ、懸濁液をAmaxa Nucleofectorキュベット(Amaxa;ドイツCologne)に移すことによって形質移入した。約5ugの再懸濁させた直鎖状プラスミドDNAを加え、キュベット中の懸濁させたDG44細胞と混合した。その後、U−024プログラムを用いて細胞をAmaxa Nucleofector Device IIで電気穿孔した。電気穿孔した細胞をCHO−CD培地中で2日間培養し、その後、8mMのL−グルタミン、18ml/LのPluronic−68、および10%の透析ウシ胎児血清(FCS;Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad;HTなし)を添加したCHO−CD無血清培地を含む選択培地に移した。この選択培地は週に1回交換した。約12日後、1ug/mlのR3 Long IGF I成長因子(Sigma;ミズーリ州St.Louis)を培地に加え、培養をさらに4日間、コンフルエントになるまで続けた。安定に形質移入した細胞系のプール由来の上清を、生成物の力価を決定するために、サンドイッチFGFR1−IIIc−Fc ELISAによってアッセイした(このサンドイッチELISAの詳細には実施例15を参照されたい)。この形質移入方法では、安定に形質移入した細胞のプールから約21ug/mlのR1Mut4の発現レベルが生じた。
pDEF38発現ベクターからFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質を産生する安定したDG44宿主細胞系も、R1Mut4について本明細書中に記載した様式と同様に作製した。他のFGFR−Fc融合タンパク質および改変体を産生する安定したDG44宿主細胞系も、実施例2に記載のpDEF38発現ベクターを用いて、本明細書中に記載した様式と同様に作製することができる。
(実施例6)
(細胞培養物の産生中のFGFR1−III−Fc、R1Mut4および他のFGFR1−IIIc−Fc改変体のin vitro切断の分析)
一過的タンパク質発現中におけるFGFR1−IIIc−Fcのin vitro切断に対する耐性を、FGFR1−IIIc−Fc改変体R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、R1Mut5、R1Mut6、R1Mut7、R1Mut8およびR1Mut9と比較した。融合タンパク質は、実施例2に記載のpTT5ベクターを用いた一過的の形質移入を介してそれぞれ293−6E細胞中で発現させた。それぞれの形質移入体の上清を形質移入後4日目に採取し、それぞれの約5ulを、還元条件下の4〜12%アクリルアミドゲルのSDS−PAGEを用いて分離した。上清は、細胞数、生存度、および形質移入条件が一致した培養物由来のものであった。その後、分離したタンパク質を、西洋ワサビ−ペルオキシダーゼにコンジュゲートさせた抗ヒトFc抗体(抗ヒトFc HRP;Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.;ペンシルバニア州West Grove)を用いてプロービングを行った。結果を図3Aに示し、これは、約28〜39kDを移動する親FGFR1−IIIc−Fcから切断されたFc断片を示す。融合タンパク質を切断改変体R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、およびR1Mut5から作製した場合は、はるかに少ないFc産物が得られた。同様の実験により、FGFR1−IIIc−Fcの改変体R1Mut6、R1Mut7も、一過的タンパク質発現中において親FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質よりも少ないin vitro切断を有していたことが実証された。
安定に形質移入したDG44宿主細胞から産生させたFGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4のin vitro切断を比較するために、類似した細胞生存度(FGFR1−IIIc−Fcでは82.9%、R1Mut4では79.2%)、同じ培養期間(4日間)、および類似の細胞密度(FGFR1−IIIc−Fcでは0.95×10個/ml、R1Mut4では0.65×10個/ml)を有するFGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4を産生する細胞の培養物からの上清をプールした。発現させた組換えタンパク質を4〜12%のビス−トリスPAGEゲル(Bio−Rad;カリフォルニア州Hercules)で分離し、続いてニトロセルロース膜に移した。無処置の分子および遊離ヒトFc断片の切断産物を、ヤギ抗ヒトFc抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.;ペンシルバニア州West Grove)を用いてウェスタンブロットによって可視化した。結果を図3Bに示す。ウェスタンブロットの左側パネルは、50ng、100ng、および300ngの、CHO−S細胞から産生させた精製FGFR1−IIIc−Fcタンパク質を示す。右側のパネルは、DG44細胞から産生させたFGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4の上清の比較を示し、FGFR1−IIIc−FcからのFc切断産物の存在を明らかにしているが、R1Mut4からはFc切断産物がわずかしかまたはまったく存在しないことを明らかにしている。これらの結果は、R1Mut4は、その親分子FGFR1−IIIc−Fcよりもタンパク質分解に対して耐性を有し、産生中により少ない産物が切断されたことを示している。
一過的タンパク質発現中における親FGFR4−Fcのin vitro切断に対する耐性を、FGFR4−Fc改変体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6(ΔGS)と比較した。融合タンパク質は、実施例2に記載のpTT5ベクターおよび技術を用いた一過的の形質移入を介してそれぞれ293−6E細胞中で発現させた。それぞれの形質移入体の上清を形質移入後7日目および8日目に採取し、それぞれの約5ulを、還元条件下の4〜12%アクリルアミドゲルのSDS−PAGEによって分離した。培養物から得られた上清は、細胞数、生存度、および形質移入条件について一致していた。その後、分離したタンパク質を、西洋ワサビ−ペルオキシダーゼにコンジュゲートさせた抗ヒトFc抗体(抗ヒトFc HRP;Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.、ペンシルバニア州West Grove)を用いてプロービングを行った。結果を図4に示す。Fc断片は親FGFR4−Fcから切断され、約30〜43kDを移動していた。融合タンパク質を切断改変体R4Mut1、R4Mut3、およびR4Mut4から作製した場合は、親構築体、R4Mut2、R4Mut5、およびR4Mut6と比較してはるかに少ないFc産物が切断された。
(実施例7)
(FGFR1−IIIc−Fcの精製)
タンパク質−Aアフィニティークロマトグラフィーおよびブチル疎水性相互作用クロマトグラフィーの組合せを用いて、組換え宿主細胞から発現させたFGFR1−IIIc−Fcを細胞培養上清から精製した。GE Healthcare Akta Purifier 100(GE Healthcare Bio−Sciences;ニュージャージー州Piscataway)を用いて、培地の構成成分を最初にタンパク質−Aセファロースカラムで、次いでブチルセファロースカラムで分離した。タンパク質−Aセファロース4Fast Flow(GE Healthcare Bio−Sciences;ニュージャージー州Piscataway)を、融合分子のFc領域に結合するためのアフィニティーマトリックスとして用いた。カラムを10倍カラム体積の10mMのリン酸カリウム、500mMのNaCl、pH7.0の滅菌緩衝液で平衡化し、その後、細胞培養上清液をカラムに載せた。カラムを8倍カラム体積の滅菌した10mMのリン酸カリウム、500mMのNaClの緩衝液、pH7.0で洗浄し、その後、FGFR1−IIIc−Fcを含めた結合した物質を、10ml/分の速度で、段階勾配の溶出緩衝液(100mMのグリシン、500mMのNaCl、pH2.7)を用いて、それぞれ2倍カラム体積の15%、30%、45%、60%、75%、および90%の溶出緩衝液、次いで5倍カラム体積の100%の溶出緩衝液の逐次的な段階を用いて溶出させた。溶出液を中和するために、1mlの1Mトリス、pH7.0(Ambion;テキサス州Austin)を含むチューブ内に10ml画分を採取した。FGFR1−IIIc−Fcを含む画分をゲル電気泳動によって同定し、プールした。FGFR1−IIIc−Fcは約30〜45%の勾配強度の溶出緩衝液で溶出された。
その後、バルクのFGFR1−IIIc−Fcを含むプールしたタンパク質−Aカラム溶出液を、ブチルセファロース疎水性相互作用クロマトグラフィーによるさらなる精製に供した。等体積の2.4Mの硫酸アンモニウムをタンパク質−Aカラムからの溶出液に加えたのち、溶出液を、5倍カラム体積の滅菌した10mMのリン酸カリウム、1.2Mの硫酸アンモニウム、pH7.0で平衡化したブチルセファロース4Fast Flowカラム(GE Healthcare Bio−Sciences;ニュージャージー州Piscataway)に載せた。カラムを4倍カラム体積の平衡緩衝液で洗浄し、結合した物質を、5ml/分の速度で、合計体積が13倍カラム体積にわたって100%の平衡緩衝液から開始して100%の溶出緩衝液(10mMのリン酸カリウム、30mMのNaCl、pH7.0)で終わる直線勾配、次いでさらに5倍カラム体積の100%の溶出緩衝液を用いて溶出させた。画分(14ml)を採取し、バルクのFGFR1−IIIc−Fcを含む画分をゲル電気泳動によって同定し、プールした。FGFR1−IIIc−Fcは約20〜50%の溶出緩衝液で溶出された。
精製後、カブトガニ血球抽出物(LAL)アッセイ(Cambrex;メリーランド州Walkersville)によって内毒素レベルを点検した。値が1内毒素単位(EU)/mgのFGFR1−III−Fcタンパク質よりも高かった場合は、Cellufine(商標)ETCleanクロマトグラフィー(Chisso Corporation;東京)によって、製造者の指示に従ってさらなる精製を行った。PBSを用いてFGFR1−IIIc−Fcの透析を行い、PBSで事前に平衡化したCellufine(商標)ET Cleanカラム(10×0.9cm(I.D.);9.6ml)に載せ、タンパク質を0.5ml/分の流速で、流動中に採取した。その後、LALアッセイによって評価した値が1EU/mgのタンパク質以下であることを確認するために、最終FGFR1−IIIc−Fc溶液(Ca2+/Mg2+なしでPBS中)の再試験を行った。
これらの精製プロトコルを用いて、FGFR3−IIIc−FcおよびR1Mut4などの他のFGFR−Fc融合タンパク質および改変体を精製した。これらの精製プロトコルは、他のFGFR−Fc融合タンパク質および改変体の精製に用いてもよく、また、FGFR−Fc融合タンパク質、例えば他のFGFR1−Fc融合タンパク質改変体、FGFR2−Fc融合タンパク質および改変体、FGFR3−IIIc−Fc融合タンパク質改変体、ならびにFGFR4−Fcタンパク質および改変体を実質的に精製するために、当分野で知られている方法を用いて調節してもよい。例えば、細胞培養上清培地の構成成分を、タンパク質−Aのステップの前または後のどちらかに、疎水性クロマトグラフィーによって分離し得る。タンパク質−Aおよび疎水性のクロマトグラフィーはどちらも、カラム、スラリー、または他の類似の実施形態において行うことができる。カラムの大きさは、細胞培養上清中に存在すると推定されるFGFR−Fcの量に依存してよく、例えば、上述のプロトコルを用いてFGFR1−IIIc−Fcを形質移入した25リットルのCHO細胞上清培地から約8mg/L、または200mgの実質的に純粋なFGFR1−IIIc−Fcが産生された。
(実施例8)
(Biacore分析によって測定した、FGFR1−IIIc−Fc、R1Mut4、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4に対するリガンド結合の特異性および親和性)
FGFR1−IIIc−Fc、R1Mut4、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcに対するFGFリガンド結合の特異性は、Biacore(登録商標)T100表面プラズモン共鳴(SPR)技術(Biacore;ニュージャージー州Piscataway)を用いて評価した。FGFR1−IIIc−Fc、R1Mut4、およびFGFR4−Fc融合タンパク質は、実施例2、4、および5に記載のようにCHO−S宿主細胞から産生させた。FGFR3−IIIc−Fc融合タンパク質は、実施例2および3に記載のように293−6E宿主細胞から産生させた。タンパク質−Aを製造者の指示に従ってCM5チップに共有結合させ、その後、Fcドメインとタンパク質−Aとの相互作用によってFGFR融合タンパク質をチップに結合させた。50ug/mlのヘパリン(Sigma;ミズーリ州St.Louis)を添加したHBS−P緩衝液(Biacore;ニュージャージー州Piscataway)の存在下で、やはり製造者の指示に従ってFGFリガンドをFGFR融合タンパク質と接触させた。
Wako Chemicals(バージニア州Richmond)からのFGF−18以外は、すべての組換えFGFリガンドはR&D Systems(ミネソタ州Minneapolis)からのものであった。FGFリガンドは、それぞれ4.5ng/ml〜10ug/mlの範囲の6〜8つの濃度で試験した。組換えマウス由来であったFGF8bおよびFGF−18以外は、FGFリガンドは組換えおよびヒト由来のものであった。
FGFR1−IIIc−Fc、R1Mut4、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcと様々なFGFリガンドとの結合を実時間で測定した。図32は、FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4を用いた実験からのいくつかの代表的な結合の追跡を示し、以下の表3は、これらの研究から決定された、生じた結合定数(k)、解離定数(k)および平衡解離定数(K)を示す。
表8−1に要約したように、FGFR1−IIIc−Fcに対するFGF結合親和性の相対順序は、FGF−1>FGF−18>FGF−2、FGF−4>FGF−9、FGF−20>FGF−5>FGF−19であった。R1Mut4に対するFGF結合親和性の相対順序は、FGF−1>FGF−4、FGF−18>FGF−2>FGF20>FGF−9>FGF−5>FGF−19であった。FGFR3−IIIc−Fcに対するFGF結合親和性の相対順序は、FGF−18>FGF−1>FGF−9>FGF−2、FGF−4>FGF−20>FGF−5>FGF−7>FGF−19であった。FGFR4−Fcに対するFGF結合親和性の相対順序は、FGF−1>FGF−2であった。
上述と同様の様式で実施したFGFR4−Fcと様々なFGFとの別の結合の研究では、生じた平衡解離定数(K)およびFGFR4−Fcに対するFGF結合親和性の相対順序は、FGF−18(Kは0.4×10−9M)>FGF−17(Kは1.0×10−9M)=FGF−20(Kは1.2×10−9M)>FGF−8(Kは3.9×10−9M)=FGF−4(Kは4.6×10−9M)>FGF−9(Kは9.8×10−9M)=FGF−16(Kは9.7×10−9M)>FGF−19(Kは12.3×10−9M)>FGF−1(Kは16.3×10−9M)>FGF−6(Kは26.2×10−9M)>FGF−2(Kは44.2×10−9M)>FGF−3(Kは51.8×10−9M)であった。FGF−5はこの実験では結合を示さなかった。
FGF−19以外は、試験したリガンドすべてに対するR1Mut4の親和性は親FGFR1−IIIc−Fc分子よりも高かった。さらに、リガンド親和性の相対順序も、R1Mut4および親FGFR1−IIIc−Fc分子で異なっていた。
Figure 2008222711
(実施例9)
(競合ELISAによって測定した、FGFR4−FcおよびFGFR4−Fc欠失突然変異体に対するリガンド結合の特異性および親和性)
実施例1、2、および3に記載のように作製したFGFR4−Fc融合タンパク質および欠失改変体を、可溶性FGFリガンドFGF−1、FGF−2、およびFGF−8bを捕捉し、プレート上にコーティングしたFGFR4−Fc融合タンパク質に対するリガンド結合を阻害するその能力について試験した。
手短に述べると、HI BINDハーフウェルをCHO−S由来のFGFR4−Fcを用いて、PBS中に5ug/mlの濃度、25ul/ウェルの体積で、1時間、室温でコーティングした。150ulのBLOTTO/ウェルを加え、2時間、室温でインキュベーションを行うことによってウェルを遮断した。その後、未結合のFGFR1−IIIc−FcおよびBLOTTO除去するために、コーティングしたハーフウェルプレートをPBSおよび0.05%のTween−20で6回洗浄した。
CHO−S細胞から産生した様々な量のFGFR4−Fc融合タンパク質および欠失改変体、または10ug/mlの陰性対照ヒトIgG(Caltag;カリフォルニア州Burlingame)を、50ulで、60ng/mlの組換えヒトFGF−1(R&D
Systems;ミネソタ州Minneapolisから)と共に、PBS中に0.1×BLOTTO中の20ug/mlのヘパリンの存在下で、30分間、37℃で、振盪器上で、それぞれ最初に96ウェルのU字底プレート中でプレインキュベーションを行った。その後、FGF−1と共にプレインキュベーションを行った約40ulの上記融合タンパク質を、FGFR4−Fcをコーティングした洗浄したハーフウェルプレートに加え、30分間、37℃で振盪しながらインキュベーションを行った。インキュベーション後、すべての未結合のFGF−1を除去するために、プレートを以前のようにPBSおよび0.05%のTween−20で6回洗浄した。洗浄後、1×BLOTTO中に約2ug/mlの抗ヒトFGF−1ポリクローナルビオチン標識抗体(R&D Systems;ミネソタ州Minneapolis)をプレートの各ウェルに加え、その後、それを30分間、37℃で振盪しながらインキュベーションを行い、次いで、すべての未結合の抗FGF−1抗体を除去するために、以前のように洗浄した。結合した抗FGF−1抗体は、ABCキット(Vector Laboratories;カリフォルニア州Burlingame)中に提供されたストレプトアビジン−HRPリンカーを用いて、製造者のプロトコルに従って検出した。以前のように洗浄した後、再構成した(OPD)溶液(Sigma;ミズーリ州St.Louis)を加えた。検出反応を10〜20分間、室温で進行させ、次いで450nmでの吸光度を読み取った。競合ELISAからの結合曲線および生じたEC50値を図5Aに示す。
図5Aは、FGFR4欠失改変体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6が、FGF−1に対して親FGFR4−Fcよりも高い親和性を有していたことを示している。FGFR4−Fc欠失改変体は、約0.033ug/ml〜約0.057ug/mlのEC50値を有していた。対照的に、親FGFR4−Fcは、約0.123ug/mlのEC50値を有していた。ヒトIgG1陰性対照は、FGF−1がプレート上にコーティングしたFGFR4−Fcに結合することを阻害しなかった。
類似の競合ELISA実験を実施し、組換えヒトFGF−2(200ng/mlで使用)および組換えマウスFGF−8b(200ng/mlで使用)(すべてR&D Systems;ミネソタ州Minneapolisから)とCHO−S細胞に由来し、アッセイプレート上に固定したFGFR4−Fcとの結合を阻害する、CHO−S宿主細胞中で産生させたFGFR4−Fc融合タンパク質およびFGFR4−Fc欠失改変体の能力を比較した。
図5Bは、FGFR4欠失改変体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、およびR4Mut5が、FGF−2に対して親FGFR4−Fcよりも高い親和性を有していたことを示している。FGFR4−Fc欠失改変体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、およびR4Mut5は、約0.091ug/ml〜約0.457ug/mlのEC50値を有していた。R4Mut3がFGF−2に対して最も高い親和性を有しており、EC50は約0.091ug/mlであった。対照的に、親FGFR4−Fcは10ug/mlを超えるEC50値を有しており、欠失改変体R4Mut6もそうであった。ヒトIgG1陰性対照は、FGF−1とプレートに固定したFGFR4−Fcとの結合を阻害しなかった。
図5Cは、FGFR4欠失改変体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6が、FGF−8bに対して親FGFR4−Fcよりも高い親和性を有していたことを示している。FGFR4−Fc欠失改変体は、約0.137ug/ml〜約0.209ug/mlのEC50値を有していた。対照的に、親FGFR4−Fcは、約0.631ug/mlのEC50値を有していた。ヒトIgG1陰性対照は、FGF−1がプレート上にコーティングしたFGFR4−Fcに結合することを阻害しなかった。
これらの実験により、FGFR4欠失突然変異体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4およびR4Mut5が、FGF−1(図5Aに示す)、FGF−2(図5Bに示す)、およびFGF−8b(図5Cに示す)とプレートに固定したFGFR4−Fcとの結合を阻害するその能力に関して、親FGFR4−Fcよりも高い親和性を有していたことが実証された。
(実施例10)
(直接ELISAによって測定した、FGFR1−IIIc−Fc欠失突然変異体に対するリガンド結合の親和性)
直接FGF−2結合ELISAアッセイによって、R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、およびR1Mut5融合タンパク質を、FGF−2と結合するその能力について、親FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質と比較した(すべて実施例3に記載のように293−6E宿主細胞から産生)。手短に述べると、FGF−2(R&D Systems;ミネソタ州Minneapolis)を用いて、FGF−2をPBS中に、5ug/mlの濃度、25ul体積/ウェルで希釈し、1時間、室温で振盪しながらインキュベーションを行うことによって、ハーフウェルHI BINDウェル(Becton Dickinson;ニュージャージー州Franklin Lakes)をコーティングした。その後、150ulのBLOTTO(Pierce Biotechnology;イリノイ州Rockford)を各ウェルに加え、1時間、室温でインキュベーションを行うことによって、ウェルを遮断した。その後、FGF−2およびBLOTTOを除去するために、0.05%のTween−20を含むPBSでプレートを6回洗浄し、ウェルを、様々な濃度のFGFR1−IIIc−Fc、R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、R1Mut5、またはヒトIgG(陰性対照として)と共に、PBS中の0.1×BLOTTOに希釈した10ug/mlのヘパリンの存在下で、終夜4℃でインキュベーションを行った。プレートを以前のように洗浄し、その後、BLOTTO中に2.5ug/mlの25ulのHRPにコンジュゲートさせた抗ヒトFc抗体と共に、1時間、室温、プレート振盪器上でインキュベーションを行った。その後、BLOTTOを除去し、プレートを再度以前のように洗浄した。洗浄後、ウェルを、再構成したOPD溶液(Sigma;ミズーリ州Saint Louis)と共に10〜20分間、室温でインキュベーションを行い、450nmでの吸光度を測定した。
図6に示すように、R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、およびR1Mut4はそれぞれ、親FGFR1−IIIc−Fcと同等またはそれ以上にFGF−2と結合することができたが、R1Mut5はそうではなかった。R1Mut4が、この実験で試験したすべての融合タンパク質の中で最も高い見かけ上の親和性を有していた。MMP−2切断部位突然変異体R1Mut7、R1Mut8、およびR1Mut9(すべて実施例2に記載のように発現ベクターpTT5を用いて293−6E宿主細胞中で産生)も、親FGFR1−IIIc−Fcと同様の親和性でFGF−2と結合した。
(実施例11)
(FGFR融合タンパク質はFGFR1−IIIc−Fcのリガンド結合を阻害する)
実施例1、2、および3に記載のように作製した、293−6EおよびCHO細胞から産生させたFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質を、可溶性FGFリガンドFGF−1、FGF−2、およびFGF−8bを捕捉し、ならびにプレート上にコーティングしたFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質に対するリガンド結合を阻害するその能力について、競合ELISAアッセイで試験した。
手短に述べると、HI BINDハーフウェルを、293−6E由来のFGFR1−IIIc−Fcを用いて、PBS中に5ug/mlの濃度、25ul/ウェルの体積で、1時間、室温でコーティングした。150ulのBLOTTO/ウェルを加え、2時間、室温でインキュベーションを行うことによってウェルを遮断した。その後、未結合のFGFR1−IIIc−FcおよびBLOTTOを除去するために、コーティングしたハーフウェルプレートをPBSおよび0.05%のTween−20で6回洗浄した。
293−6E細胞もしくはCHO細胞から産生させた様々な量のFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質、または10ug/mlの陰性対照ヒトIgG(Caltag;カリフォルニア州Burlingame)を、50ulの200ng/mlの組換えヒトFGF−2(R&D Systemsから)と共に、PBS中に0.1×BLOTTO中の20ug/mlのヘパリンの存在下で、30分間、37℃で、振盪器上で、それぞれ最初に96ウェルのU字底プレート中でプレインキュベーションを行った。その後、FGF−2と共にプレインキュベーションを行った約40ulの上記融合タンパク質を、FGFR1−IIIc−Fcをコーティングした洗浄したハーフウェルプレートに加え、30分間、37℃で振盪しながらインキュベーションを行った。インキュベーション後、すべての未結合のFGF−2を除去するために、プレートを以前のようにPBSおよび0.05%のTween−20で6回洗浄した。洗浄後、1×BLOTTO中に約2ug/mlの抗ヒトFGF−2ポリクローナルビオチン標識抗体(R&D Systemsから)をプレートの各ウェルに加え、その後、それを30分間、37℃で振盪しながらインキュベーションを行い、次いで、すべての未結合の抗FGF−2抗体を除去するために、以前のように洗浄した。結合した抗FGF−2抗体は、ABCキット(Vector Laboratories、カリフォルニア州Burlingame)中に提供されたストレプトアビジン−HRPリンカーを用いて、製造者のプロトコルに従って検出した。以前のように洗浄した後、再構成したOPD溶液(Sigma;ミズーリ州St.Louis)を加えた。検出反応を10〜20分間、室温で展開させ、次いで450nmでの吸光度を読み取った。結果を図7に示す。
図7は、293−6EおよびCHO細胞から産生させたFGFR1−IIIc−Fcが、FGF−2競合アッセイにおいてFGF−2を捕捉するその能力について、ほぼ同等の結合強度を有していたことを示す。2つの融合タンパク質のそれぞれが、約0.24ug/mlのEC50値を示した。対照的に、ヒトIgG1陰性対照は、FGF−2がプレート上にコーティングしたFGFR1−IIIc−Fcと結合することを阻害しなかった。
類似の競合ELISA実験を実施し、組換えヒトFGF−1(60ng/mlの濃度)、組換えヒトFGF−2(200ng/mlの濃度)、および組換えマウスFGF−8b(200ng/mlの濃度)(すべてR&D Systems;ミネソタ州Minneapolisから)と293細胞に由来し、アッセイプレート上に固定したFGFR1−IIIc−Fcとの結合を阻害する、どちらもDG44宿主細胞中で産生させたFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質およびR1Mut4融合タンパク質の能力を比較した。これらの実験はすべて、R1Mut4および親FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質が、FGF−1(図8Aに示す)、FGF−2(図8Bに示す)、およびFGF−8b(図9に示す)とプレートに固定したFGFR1−IIIc−Fcとの結合を阻害するその能力において同等であったことを実証している。
DG44宿主細胞中で産生させたFGFR1−IIIc−Fcならびに293−6E宿主細胞中で産生させたFGFR3−IIIc−FcおよびFGFR4−Fcも、293細胞中で産生させ、アッセイプレート上に固定したFGFR1−IIIc−Fcに対するリガンド結合を阻害した。上述のように実施した競合ELISAアッセイでは、組換えヒトFGF−1、組換えヒトFGF−2、および組換えマウスFGF−8bを用いた(すべてR&D Systems;ミネソタ州Minneapolisから)。ヒトIgGを陰性対照として用いた。結果を図10、図11、および図12に示し、これらは、リガンド−受容体結合を遮断することにおける囮融合タンパク質の有効性、およびその対応するリガンドに対する融合タンパク質の特異性をどちらも実証している。
図10は、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcがすべて、FGF−1とアッセイプレート上に固定したFGFR1−IIIc−Fcとの結合を阻害したことを示す。図11は、FGFR3−IIIc−FcおよびFGFR4−Fcが、FGF−2とアッセイプレート上に固定したFGFR1−IIIc−Fcとの結合の阻害においてFGFR1−IIIc−Fcよりもはるかに有効性が低かったことを示す。図12は、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcが、FGF−8とプレート上に固定したFGFR1−IIIc−Fcとの結合の阻害において、すべで同様に有効であったことを示す。
(実施例12)
(FGFR1−IIIc−FcはFGF−2によるphospho−Erkシグナル伝達を阻害した)
293−6EまたはCHO細胞に由来するFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質は、FGF−2による生物学的シグナル伝達の阻害においてほぼ同等に強力であった。T−175フラスコ中で増殖中のFGFR1−IIIcで形質移入したL6細胞(ETH;スイスZurich)をトリプシン処理し、洗浄し、10,000個の細胞/ウェルの濃度、100ulの体積で、96ウェル平底プレート中の0.5%のFCSおよび0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に、16時間播種した。FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質またはヒトIgG1を0.005〜10ug/mlの濃度で含む活性化培地を調製し(100ng/mlのFGF−2、10ug/mlのヘパリンを含む0.1%のBSA DMEM中)、30分間、37℃で、プレート振盪器上でインキュベーションを行った。その後、L6細胞を、25ulの活性化培地/ウェルに5分間、37℃で曝した。その後、細胞を200ulの氷冷PBSで1回洗浄し、PathScan phospho−p44/42MAPK(T202/Y204)Sandwich ELISAキット(Cell Signaling;マサチューセッツ州Danvers)の製造者の推奨に従って、100ulの氷冷1×溶解緩衝液で30分間、氷上で溶解した。溶解期間の終了後、溶解物をピペットで約5回、発泡を最小限にしながら吸入、排出を行った。約80ulのSample Diluent(Pathscan Sandwich ELISAキットから)をphospho−ERK ELISAプレートの各ウェルに加え、80ulの細胞溶解液を加え、混合した。その後、プレートをプラスチック接着材で密封し、2時間、37℃でインキュベーションを行い、0.05%のTween−20を含むPBSで6回洗浄した。その後、100ulのphospho−ERK Detection Antibody(Pathscan Sandwich ELISAキットから)を各ウェルに加えた。プレートを接着性カバーで密封し、1時間、37℃でインキュベーションを行い、以前のように洗浄し、100ulのHRP連結二次抗体(Pathscan Sandwich ELISAキットから)を各ウェルに加えた。プレートを再度密封し、30分間、37℃でインキュベーションを行い、その後、以前のように洗浄した。その後、約100ulのTMB基質(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、Pathscan Sandwich ELISAキットから)を各ウェルに加え、プレートを30分間、25℃でインキュベーションを行った。100ulのSTOP Solution(Pathscan Sandwich ELISAキットから)を各ウェルに加えて混合することによって、発色を完了させた。450nmでの吸光度を記録し、図13に示すようにプロットした。
図13は、ELISAによって決定されたErkリン酸化が、293−6EまたはCHO細胞のどちらかから作製させたFGFR1−IIIc−Fcによって同様に阻害されることを示す。より低い用量では、FGFR1−IIIc−FcはErk活性化を鈍らせ、より高い用量ではFGF−2による活性化を妨げた。100ng/mlのFGF−2の存在下で、293細胞由来およびCHO細胞由来のFGFR1−IIIc−FcのEC50値はそれぞれ0.23ug/mlおよび0.29ug/mlであった。ヒトIgG1はFGF−2で活性化させたErkリン酸化を阻害しなかった。
293−6E細胞によって産生させたFGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4融合タンパク質は、Erkリン酸化を阻害しなかったR1Mut5とは対照的に、ほぼ同じ強度でErkリン酸化を阻害した。0.10ug/mlのFGF−2の存在下で、FGFR1−IIIc−FcのEC50は0.18ug/mlであり、R1Mut4のEC50は0.29ug/mlであった。低用量では、FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4はどちらもErk活性化を鈍らせ、高用量では、どちらも活性化を妨げた。結果を図14に示す。
(実施例13)
(FGFR1−IIIc−Fcが癌細胞の生存度および増殖を低下させた)
本発明のFGFR−Fc融合タンパク質は、製造者の指示に従ってCellTiter−Glo(商標)発光性細胞生存度アッセイで測定すると(Promega;ウィスコンシン州Madison)、培養癌細胞の生存度および/または増殖を低下させた。このアッセイでは、発光が生細胞の数と定量的に相関する。
アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)(バージニア州Manassas)から得たU251悪性膠芽細胞腫脳癌細胞に対するFGFR1−IIIc−Fcの効果を図15〜17に示す。細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIc−Fcの効果は、FGFR1−IIIc−Fcの濃度および細胞の成長条件に依存していた。陰性対照ヒトIgG(20ug/ml)は効果がなかった。陽性対照であるTRAILは、生存度および増殖を低下させた。FGF−2(100ug/ml)は増殖および分化を刺激した。より低い試験細胞濃度では、FGF−2は20μg/mlのFGFR1−IIIc−Fcによって誘導された阻害を鈍らせなかった。
U251細胞を、DMEM中で、1.5グラム/リットル(g/L)の炭酸水素ナトリウムおよび4.5g/Lのグルコース、10%の熱失活させたFCSを含むように調節した4mMのL−グルタミンを含むDMEMと共に、100単位/mlのペニシリンおよび100ug/mlのストレプトマイシン(pen−strep、Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)を用いて、70%〜90%コンフルエントに達するまでT−150フラスコ中で増殖させた。細胞を、ハンクス平衡塩類溶液(Invitrogen;カリフォルニア州Carlsbad)中の10ml/フラスコの0.25%のトリプシン溶液を用いて、室温で3分間、37℃で処理し、トリプシン−細胞懸濁液を40mlのDMEM中の氷冷0.1%FCSと混合した。細胞を900×g、5分間、室温でペレットにした。この洗浄ステップを50mlのDMEM中の氷冷0.1%FCSで繰り返し、細胞を5mlのDMEM中の氷冷0.1%FCSに再懸濁させた。
再懸濁させたU251細胞を、20ug/mlのブタ腸管粘膜ヘパリン(Sigma;ミズーリ州St.Louis)の存在下で、96ウェル平底組織培養グレードプラスチックプレート(Nunc;ニューヨーク州Rochester)中に150ul/ウェルの体積で植えた。細胞は3つの培養条件で植えた:(1)1000個の細胞/ウェルの濃度、DMEM中に10%のFCSおよびpen−strepの存在下;(2)5000個の細胞/ウェルの濃度、DMEM中に1.0%のFCSおよびpen−strepの存在下;(3)10,000個の細胞/ウェルの濃度、DMEM中に0.1%のFCSおよびpen−strepの存在下。細胞を、タンパク質1つあたり4つの複製ウェルでFGFR1−IIIc−Fcタンパク質または対照タンパク質で処理し、37℃、5%のCOで5日間、加湿インキュベーター内でインキュベーションを行った。FGFR1−IIIc−Fcタンパク質を293−6E細胞から作製し、実施例2および7に記載のように実質的に精製した。細胞を20ug/ml、4ug/ml、または0.8ug/mlの濃度のFGFR1−IIIc−Fcで処理した。対照タンパク質には、陰性対照として、保存料を除去するためにPBSに対して透析し、その後フィルター滅菌した20ug/mlの精製したヒトIgG(Caltag;カリフォルニア州Burlingame)、陽性対照として、単独でまたは20ug/mlのFGFR1−IIIc−Fcと組み合わせて用いた100ng/mlのFGF−2(R&D Systems;ミネソタ州Minneapolis);および陽性対照として用いた10ng/mlのTRAIL(APO2リガンド/腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド)(R&D Systems;ミネソタ州Minneapolis)が含まれていた。
その後、CellTiter−Glo(商標)発光性細胞生存度アッセイキット(Promega;ウィスコンシン州Madison)を用いて、製造者の指示に従って、細胞生存度を決定した。手短に述べると、100ul/ウェルの再構成したCellTiter−Glo(商標)試薬を細胞に加え、暗所で10分間インキュベーションを行った。ピペット操作によってウェルの内容物を混合し、各ウェルから100ulを不透明な白色の96ウェルプレート(Corning;マサチューセッツ州Acton)に移した。各ウェルからの発光性出力を0.6秒/ウェルの記録時間を用いて読み取り、4つの複製の平均相対発光単位(RLU)を、その標準偏差と共にプロットした。
図15に示すように、試験した3つの濃度それぞれにおけるFGFR1−IIIc−Fcが、10%のFCS中に1000個の細胞/ウェルの濃度で植えた培養U251悪性膠芽細胞腫細胞の生存度および増殖を低下させた。未処理の細胞は、約480のRLUを示した。20ug/ml、4ug/ml、および0.8ug/mlのFGFR1−IIIc−Fcで処理した細胞は、それぞれ約380、400、および400のRLUを示した。ヒトIgGは生存度および増殖を阻害せず、約500のRLUを示した。FGF−2は単独で生存度および増殖を増強し、約600のRLUを示した。FGF−2および20ug/mlのFGFR1−IIIc−Fcの組合せは細胞の生存度および増殖を低下させ、約400のRLUを示した。TRAILを用いた処置はほぼ完全な阻害をもたらし、RLUは約10であった。
図16に示すように、試験した3つの濃度それぞれにおけるFGFR1−IIIc−Fcが、1.0%のFCS中に5000個の細胞/ウェルの濃度で植えた培養U251悪性膠芽細胞腫細胞の生存度および増殖を低下させた。未処理の細胞は、約360のRLUを示した。20ug/ml、4ug/ml、および0.8ug/mlのFGFR1−IIIc−Fcで処理した細胞は、それぞれ約60、140、および200のRLUを示した。ヒトIgGは生存度および増殖を阻害せず、約400のRLUを示した。FGF−2は単独で約320のRLUを示した。FGF−2および20ug/mlのFGFR1−IIIc−Fcの組合せは細胞の生存度および増殖を低下させ、約90のRLUを示した。TRAILを用いた処置はほぼ完全な阻害をもたらした。
図17に示すように、FGFR1−IIIc−Fcは、0.1%のFCS中に10,000個の細胞/ウェルの濃度で植えた培養U251悪性膠芽細胞腫細胞の生存度および増殖を低下させた。これらの成長条件により、ウェル間にさらなる可変性が生じたが、図17は、FGFR1−IIIc−Fcが図15および図16に記載した様式と同様にU251細胞の生存度および増殖を阻害したことを実証している。
ATCC(バージニア州Manassas)またはNCI(メリーランド州Bethesda)から得た様々な固形腫瘍の種類を表す癌細胞系由来の癌細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIc−Fcの効果を、CellTiter−Glo(商標)発光性細胞生存度アッセイを用いて試験した。それぞれの細胞系に推奨される増殖培地を用いて、細胞を約70%〜90%コンフルエントになるまでT−150フラスコ中で増殖させた。細胞を収集し、U251細胞について上述した様式と同様に処理した。細胞は、1000個の細胞/ウェルの密度をDMEM中に10%のFCSの存在下で、5000個の細胞/ウェルをDMEM中に1.0%のFCSの存在下で、または10,000個の細胞/ウェルをDMEM中に0.1%のFCSの存在下で;20ug/mlのFGFR1−IIIc−Fcを試験薬剤としてまたは20ug/mlのヒトIgGを陰性対照として用いて植えた。
試験した癌細胞系には、MDA−MB−435(乳房)、MCF7(乳房)、MDA−MB−231(乳房)、T47D(乳房)、A549(肺)、NCI−H522(肺)、NCI−H460(肺)、NCI−H23(肺)、NCI−H226(肺)、U118(脳)、U87114(脳)、U251(脳)、SF268(脳)、WT11(脳)、DU145(前立腺)、PC−3(前立腺)、COLO205(結腸)、Caki−1(腎臓)、SK−MEL−2(皮膚)およびSK−OV−3(卵巣)が含まれていた。結果を図18に示す。試験した20個の癌細胞系のうち、8個が、試験した成長条件の1つまたは複数の下でFGFR1−IIIc−Fcによる阻害に感受性があった。8個の感受性細胞系は、A549(肺)、NCI−H522(肺)、NCI−H226(肺)、U118(脳)、U251(脳)、SF268(脳)、WT11(脳)、およびCaki−1(腎臓)であった。
CellTiter−Glo(商標)発光性細胞生存度アッセイによって測定すると、FGFR1−IIIc−FcおよびFGFR4−FcはどちらもA549肺癌細胞の生存度および増殖を阻害した。試験したFGFR1−IIIc−FcおよびFGFR4−Fcタンパク質は、一過的の形質移入を介して293−6E細胞中で産生させ、実施例2および7に記載のように精製した。A549細胞に対するFGFR1−IIIc−FcおよびFGFR4−Fcの効果は、U251細胞について上述したものに類似のプロトコルを用いて試験した。A549細胞を、4つの複製ウェルに、25,000個の細胞/ウェルの密度、150ulの体積で、平底96ウェルプレート中に、0.1%のFCS DMEMおよびpen−strep中に20ug/mlのブタ腸管粘膜ヘパリン(Sigma;ミズーリ州Saint Louis)の存在下で播種した。A549細胞は、4倍段階希釈で、約0.0000095ug/ml〜約10ug/mlの範囲の濃度のFGFR1−IIIc−Fcタンパク質またはFGFR4−Fcタンパク質の存在下、5日間、37℃、5%のCOで培養した。ヒトIgG(10ug/ml)を陰性対照として用いた。図19に示すように、細胞の生存度および増殖を%阻害、すなわち(未処理の平均RLU−試料の平均RLU)/(未処理の平均RLU)×100として表した。誤差バーは、%誤差、すなわち(試料の標準偏差/平均試料RLU)×100を示す。
より高い試験濃度では、FGFR1−IIIc−Fcは、IgG対照と比較してA549細胞の生存度および増殖を約40%まで阻害した。FGFR1−IIIc−FcのIC50は約9.4ng/mlであり、これは0.11ナノモーラー(nM)に等しい。最も高い試験濃度では、FGFR4−Fcも、IgG対照と比較してA549細胞の生存度および増殖を約40%まで阻害した。FGFR4−FcのIC50は約100ng/mlであり、これは1.2nMに等しい。これはFGFR1−IIIc−Fcで観察されたよりも高く、A549細胞の生存度および増殖の阻害においてFGFR1−IIIc−FcがFGFR4−Fcよりも強力であることを反映している。
(実施例14)
(FGFR−Fc融合タンパク質は癌細胞の生存度および増殖を低下させた)
FGFR1−IIIb−Fc、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIb−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIb−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcを、6つの異なる癌細胞系の生存度および/または増殖を阻害する能力について試験した。このアッセイで試験した7つの融合タンパク質は、市販源から得た(R&D Systems)。癌細胞系には、A549(肺)、U118(脳)、U251(脳)、SF268(脳)、T47D(乳房)およびCaki−1(腎臓)が含まれていた。
実施例13に記載のアッセイから得られた結果により、1個のウェルあたり植える癌細胞の数およびその培地中のFCSの濃度を決定するための基礎が提供された。例えば、A549肺癌細胞は、25,000個の細胞/ウェルで、150ulのDMEM中、0.1%のFCSおよびpen−strepと共に、96ウェル様式で植えた。これらを約0.078125ug/ml〜約5.0ug/mlの範囲のFGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、またはFGFR4−Fcの2倍段階希釈で処理した。実施例11に記載のように、ヒトIgGを陽性対照として用いた。それぞれの融合タンパク質処理は3つ組ウェルで行い、それぞれのデータ点は3つのウェルの平均を表す。5日間処理したのち、A549細胞の細胞生存度のアッセイを上述のCellTiter−Glo(商標)発光性細胞生存度アッセイで行った。結果を図20に示し、A549細胞のFGFR−Fc融合タンパク質阻害は用量依存性であり、最も高い試験濃度(5ug/ml)で約42%にまで達することが示された。融合タンパク質の強度の順序は、FGFR1−IIIc−Fc=FGFR2−IIIc−Fc>FGFR3−IIIc−Fc=FGFR1−IIIb−Fc>FGFR2−IIIb−Fc=FGFR4−Fc>FGFR3−IIIb−Fc>ヒトIgGであった。
生存度および増殖に対するFGFR−Fc融合タンパク質の効果を試験する類似の実験を、癌細胞系U118(図20B)、U251(図20C)、SF268(図20D)、T47D(図20E)およびCaki−1(図20F)で行った。プロトコルは、ヒトIgGを陰性対照として用いることを含めて、上述したものと同様であった。試験したすべての癌細胞系が7つのFGFR−Fc融合タンパク質の1つまたは複数によって阻害された。結果を図21に要約する。
FGFR1−IIIc−Fc突然変異体R1Mut4は、癌細胞系A549およびU251の生存度および増殖を阻害したが、R1Mut5はそうではなかった(図20G)。アッセイプロトコルは上述と同様であった。細胞を、約0.00457ug/ml〜約10ug/mlの範囲の濃度でFGFR1−IIIc−Fc、R1Mut4、R1Mut5、またはヒトIgGの3倍段階希釈で処理した。FGFR1−IIIc−Fc、R1Mut4、およびR1Mut5は、実施例2に記載のpTT5ベクターを用いて293−6E細胞中で発現させ、実施例7に記載のように精製した。それぞれの融合タンパク質処理は3つ組ウェルで行った。5日間処理したのち、A549およびU251細胞の生存度のアッセイをCellTiter−Glo(商標)発光性細胞生存度アッセイで行った。それぞれのデータ点は3つのウェルの平均を表す。結果を図20Gに示す。A549細胞は、試験したすべての用量において、FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4のどちらによっても同程度に阻害された(約40RLUから20RLU)。U251細胞もFGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4によって同程度に阻害された。これらは試験した濃度で用量依存性を示し、最も低い用量では阻害が観察されず、最も高い用量で最大の阻害が観察された(約100RLUから30RLU)。
(実施例15)
(マウスにおけるin vivoのFGFR1−IIIc−Fcの持続発現)
動物モデル、例えば動物腫瘍モデルにおけるヒトFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質の持続発現の効果を、マウスにおいてFGFR1−IIIc−Fcを発現させるために水力学的尾静脈注射法を用いて試験した。FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質をコードしている裸の「ミニサークル」ベクターcDNAを3カ月齢のC57/B16雌マウス(Charles River Laboratory;カリフォルニア州Hollister)に注射した。この「ミニサークル」ベクターはFGFR1 IIIc−Fc cDNAを含んでおり、実施例2に記載のように作製した。Liu, F.ら、Gene Therapy、6:1258〜1266頁(1999年)および米国特許第6,627,616号に報告されているように、水力学的尾静脈注射法を用いてその尾静脈を介して、生理食塩水中に約15ug/mlのDNA濃度で動物に注射した。約2mlのDNA組成物を5〜8秒間内にそれぞれのマウスに注射した。3匹のマウスにFGFR1−IIIc−Fc cDNAを含むミニサークルDNAを注射し、3匹のマウスに対照として生理食塩水を注射した。約50ulの体積の血清試料を、尾静脈のニックから、注射後2、9、16、24、30、37、および44日目に得た。血清試料中のFGFR1−IIIc−Fcタンパク質の濃度を直接ELISAによって分析し、マウス血清中のFGFR1−IIIc−Fcのリガンド結合活性をFGF−2競合ELISAによって分析した。どちらのELISA方法も以下にさらに詳述する。
FGFR1−IIIc−Fcを検出するための直接サンドイッチELISAを開発し、注射したマウスの血清中のFGFR1−IIIc−Fcを検出するために用いた。手短に述べると、HI−BINDハーフウェルプレート(Corning;マサチューセッツ州Acton)を、3ug/mlの濃度までPBS中で希釈した抗ヒトFGFR1抗体(QED Bioscience、カリフォルニア州San Diego)を用いて、1時間、室温でまたは終夜4℃でコーティングし、その後、ウェルを、遮断緩衝液(PBS中に3%まで希釈したBLOTTO)を用いて、2〜5時間、室温で遮断した。プレートを0.05%のTween−20を含むPBSで洗浄し、0.6×BLOTTOに希釈したそれぞれの試験動物からの50ulのマウス血清を各ウェルにそれぞれ加え、2時間、室温でインキュベーションを行った。その後、プレートを以前のように洗浄し、遮断緩衝液中に1:3000に希釈した50ul/ウェルのペルオキシダーゼにコンジュゲートさせたAffiPureヤギ抗ヒトFc抗体(Jackson Immuno−Research Laboratories;ペンシルバニア州West Grove)と共に、60分間、室温でインキュベーションを行った。プレートを以前のように洗浄し、ウェルを再構成したOPD溶液(Sigma;ミズーリ州Saint Louis)と共に10〜20分間、室温でインキュベーションを行い、450nmでの吸光度を決定した。
結果を図22に示し、融合タンパク質をコードしているcDNAを注射した後の日々における、3匹の注射したマウスのそれぞれの血清中のFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質の量が実証された。生理食塩水を注射したマウスは、検出可能なレベルの融合タンパク質を示さなかった。血清中のFGFR1−IIIc−Fcの発現は、最も高く発現したマウスにおいて形質移入後少なくとも44日間は高く保たれた。このマウスにおいて、FGFR1−IIIc−Fcは、2日目に約10ug/ml、9日目に約100ug/ml、16日目に約80ug/ml、24日目に約50ug/ml、および30〜44日に約35ug/mlで検出された。FGFR1−IIIc−Fc cDNAを注射した他の2匹のマウスは、より低いが検出可能なレベルの融合タンパク質を示した。この研究により、cDNAを水力学的尾静脈注射した後にマウスにおいてヒトFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質の高いかつ持続した発現を達成できること、およびこれらの動物を使用して、この融合タンパク質を用いた治療を監視できることが実証された。
FGF−2競合ELISAにより、これらの動物中で発現されたFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質が機能的であったことが実証された。上述のcDNAを注射した動物の血清中のFGFR1−IIIc−Fcは、既知のリガンド(例えばFGF−2)を結合かつ捕捉することができた。手短に述べると、FGFR1−IIIc−Fc cDNAを注射したマウスからの血清をFGF−2で前処理し、前処理した血清中に残存する遊離FGF−2の量により、発現させたFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質がそのリガンドと結合する能力を測定した。遊離FGF−2の量は、前処理した血清がアッセイプレート上に固定したFGFR1−IIIcに結合する能力によって測定した。
注射したマウスからの血清をFGF−2で前処理した。手短に述べると、血清を0.1×BLOTTO(PBS中に1:10に希釈)で1/500、1/100、および1/20に希釈し、200ng/mlの組換えヒトFGF−2(R&D Systems;ミネソタ州Minneapolis)と共に、50ulの体積で、30分間、37℃、振盪器上で、20ug/mlのヘパリンの存在下で、96ウェルのU字底プレート(Nunc;ニューヨーク州Rochester)に加えた。FGF−2を用いた血清の前処理により、血清中のFGFR1−IIIc−FcがそのリガンドFGF−2を結合することができる程度にまでFGF−2が隔離された。
その後、前処理した血清を、FGFR1−IIIc−Fcでコーティングしたアッセイプレートと共にインキュベーションを行い、血清中の遊離FGF−2の結合を測定した。高レベルの遊離FGF−2結合は、循環FGFR1−IIIc−FcがそのリガンドFGF−2に結合できなかったことを示し、低レベルの遊離FGF−2結合は、注射したマウスの血清中で発現されたFGFR1−IIIc−Fcが機能してそのリガンドFGF−2に結合したことを示す。
HI−BINDハーフウェル(Corning;マサチューセッツ州Acton)を、293−6E宿主細胞由来のFGFR1−IIIc−Fcを用いて、PBS中に5ug/mlの濃度、25ul/ウェルの体積で、1時間、室温でコーティングした。150ulのBLOTTO/ウェルを2時間、室温で加えることによって、ウェルを遮断した。その後、コーティングしたハーフウェルプレートを、0.05%のTween−20を含むPBSで洗浄した。その後、洗浄してコーティングしたハーフウェルプレートを、40ulの前処理した血清と共に、30分間、37℃で振盪しながらインキュベーションを行った。0.05%のTween−20を含むPBSでプレートを以前のように洗浄した。その後、BLOTTO中に2ug/mlのビオチン標識抗FGF−2ポリクローナル抗体(R&D Systems;ミネソタ州Minneapolis)を各ウェルに加え、30分間、37℃で振盪しながらインキュベーションを行った。プレートを以前のように再度洗浄し、結合した抗体をABCキットで、製造者のプロトコルに従って検出した。0.05%のTween−20を含むPBSを用いた最終洗浄ののち、再構成したOPD溶液(Sigma;ミズーリ州Saint Louis)を各ウェルに加え、10〜20分間、室温でインキュベーションを行い、450nmでのウェルの吸光度を決定した。
生理食塩水を注射した2匹の対照マウスおよびFGFR1−IIIc−Fc cDNAを注射した2匹の実験マウスの結果を図23に示す。対照マウス1およびマウス2からの前処理した血清は、FGFR1−Fcをコーティングしたプレートに対するFGF−2の結合の阻害をわずかしか、またはまったく示さなかった。FGFR1−IIIc−Fcを発現したマウス3およびマウス4からの前処理した血清は、FGF−2を用量依存性の様式で捕捉し、最も高いレベルの阻害は最も濃縮した血清(1/20希釈)で観察された。図23はまた、注射したマウス中の循環FGFR1−IIIc−Fcの量を計算するために用いた精製FGFR1−IIIc−Fcの検量線も示す。実験マウス4の血清は64ug/mlのFGFR1−IIIc−Fcと機能的に等価であり、実験マウス3の血清は45ug/mlの血清FGFR1−IIIc−Fcと機能的に等価であった。
(実施例16)
(水力学的形質移入を介したR1Mut4のin vivo発現)
実施例15に記載の実験に類似の実験を、実施例2に記載のミニサークルベクターを用いてマウス内にR1Mut4 cDNAを水力学的形質移入することによって行った。R1Mut4をコードしている裸の「ミニサークル」ベクターcDNAを4カ月齢のCB17 SCIDマウス(Charles River Laboratory;カリフォルニア州Hollister)に注射した。約2mlのDNAを、20μg/mlの濃度で、5〜8秒間内に、4匹の対照マウスおよび4匹のR1Mut4実験マウスのそれぞれに注射した。血清試料を2日目および7日目に採取した。血清試料中のR1Mut4の濃度を、直接ELISA(実施例15参照)、FGF−2競合ELISA(実施例15参照)ウェスタンブロットプロービングによって分析した。
直接ELISA試験からの結果を図24に示す。M1〜M4は、4匹の実験R1Mut4注射マウスからの血清を表す。マウス1は、2日目に約14,000ug/mlのR1Mut4および7日目に約22,000ug/mlのR1Mut4を発現し;マウス2は、2日目に約23,000ug/mlのR1Mut4および7日目に約17,000ug/mlのR1Mut4を発現し;マウス3は、2日目に約14,000ug/mlのR1Mut4および7日目に約15,000ug/mlのR1Mut4を発現し;マウス4は、2日目に約5,000ug/mlのR1Mut4および7日目に約5,000ug/mlのR1Mut4を発現していた。したがって、直接ELISAによって測定したマウス血清中のR1Mut4融合タンパク質の濃度の範囲は約5mg/ml〜約22.5mg/mlであった。FGF−2競合ELISAおよびウェスタンブロットプロービング技術を用いて、類似の結果が判明した。これらの結果により、FGFR1−IIIc−Fcでの観察と同様、水力学的方法を用いて注射した動物によるR1Mut4の高いかつ持続した全身性発現が実証された。
(実施例17)
(293−6EおよびCHO−S宿主細胞によって産生させたFGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質のin vivo比較)
実施例5に示すように、CHO−S宿主細胞によって発現させたFGFR1−IIIc−Fcは、293−6E宿主細胞によって発現させたFGFR1−IIIc−Fcよりも優れたin vitroの安定性を示した。CHO−S宿主細胞によって発現させたFGFR1−IIIc−Fcが293−6E宿主細胞によって発現させたFGFR1−IIIc−Fcよりも優れたin vivo安定性プロフィールを示したかどうかを決定するために、両方の起源のFGFR1−IIIc−Fcタンパク質をマウスに注射し、72時間の経時変化にわたってウェスタンブロットによって比較した。
C57BL6マウスに、尾静脈を介して、CHO−Sまたは293−6E宿主細胞のどちらかから実施例7および15に記載のように精製した3mg/キログラム(kg)の用量のFGFR1−III−Fcタンパク質を注射した。血液を眼窩後方から注射後5分、30分、24時間、48時間、および72時間に得、ヘパリン処理した。それぞれの注射したマウスおよび注射していない対照マウスからの血清(100μl)を、SDS−PAGEによって還元性4〜12%ポリアクリルアミドゲルで分離し、ニトロセルロース膜に移し、HRPにコンジュゲートさせた抗ヒトFc抗体(抗ヒトFc HRP)(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.;ペンシルバニア州West Grove)を用いてプロービングした。
図26に示すように、293−6E細胞から精製し、マウスに注射したFGFR1−IIIc−Fcは、in vivoで急速に分解され、注射後24時間にはウェスタンブロットによって検出不可能であった。CHO−S細胞から発現させたFGFR1−IIIc−Fcはin vivoでより安定しており、注射後72時間でも血清中で容易に検出可能であった。この研究は、CHO−S宿主細胞由来のFGFR1−IIIc−Fcが293−6E宿主細胞由来の物質よりも長い血清半減期を有していたことを示している。
また、図26には、FGFR1−IIIc−Fcが、293−6E細胞によって発現させた場合にCHO−S細胞と比較して異なる電気泳動特性を実証したことも示す。CHO−S細胞によって産生させたFGFR1−IIIc−Fcは、還元性SDS−PAGEゲルにおける見かけ上の分子量が約90kDaであり、293−6E細胞によって産生させたFGFR1−IIIc−Fcよりも3〜4kD高い位置まで移動した。また、ゲルにおけるCHO−S由来のFGFR1−IIIc−Fcの見かけは、293−6E宿主細胞に由来するFGFR1−IIIc−Fcのより拡散したゲルバンドと比較して、よりコンパクトであった。
(実施例18)
(FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4による腫瘍成長のin vivo阻害)
腫瘍成長の異種移植モデルを用いて、癌治療剤のin vivo阻害性特性を評価することができる。Caki−1ヒト腎臓腫瘍細胞(ATCC;バージニア州Manassas)は、重篤な複合免疫不全CB17 scid/scid(CB17SCID)マウスに注射した際に腫瘍を形成する。腫瘍細胞を注射した後にFGFR1−IIIc−FcまたはR1Mut4を用いて治療することによって、マウス中で形成される腫瘍の大きさが減少する。
Caki−1腫瘍細胞を注射した後にマウスを水力学的尾静脈形質移入によってFGFR1−IIIc−Fcで治療することにより、生理食塩水で偽形質移入した動物と比較して、マウス内で形成された腫瘍の体積が低下した。9週齢の雌CB17SCIDマウス(Charles River Laboratory)に、200μlの体積の1.5×10個のCaki−1細胞を皮下に植込んだ。腫瘍移植後の5日目に、「ミニサークル」FGFR1−IIIc−Fc cDNAを7.5μg/mlの濃度で、実施例15に記載のように水力学的尾静脈形質移入によって13匹の動物に送達した。15μgのFGFR1−IIIc−Fc cDNAを含む2mlのFGFR1−IIIc−Fc cDNA組成物を、5〜8秒間内に尾静脈に注射した。生理食塩水を13匹の対照マウスに注射した。20、25、29、36、46、57、および64日目に、生じた腫瘍をカリパーによって測定した。腫瘍体積(mm)は、式(π/6)*L*W(式中、L(mm)は腫瘍の長さを示し、W(mm)は幅を示す)によって計算した。結果を図25に示し、これは、FGFR1−IIIc−Fcの発現により、測定したすべての時点においてCaki−1腫瘍成長が生理食塩水で処置した対照と比較して約25%〜50%阻害されたことを実証している。
組換えFGFR1−IIIc−Fcも、マウスにおいてCaki−1腫瘍の体積を低下させた。FGFR1−IIIc−FcをCHO−S宿主細胞によって発現させ、実施例7に記載のように精製した。200μlの注射体積でPBSビヒクル中に1.5×10個のヒト腫瘍Caki−1細胞を、48匹のCB17SCIDマウスの側腹部に皮下注射し、4つの治療グループのうちの1つに割り当てた。グループ1(n=12)には生理食塩水のみを与え;グループ2(n=11)には1mg/kgのFGFR1−IIIc−Fcを与え;グループ3(n=12)には5mg/kgのFGFR1−IIIc−Fcを与え;グループ4(n=13)には15mg/kgのFGFR1−IIIc−Fcを与えた。生理食塩水またはFGFR1−IIIc−Fcの処置は、腫瘍を注射した1日後に開始し、週に2回、適切な用量のFGFR1−IIIc−Fcを200μlの体積で生理食塩水ビヒクルと共に尾静脈中に注射することによって与えた。グループ1の対照マウスにはPBSビヒクル注射のみを与えた。
注射したCaki−1細胞から生じたそれぞれの腫瘍の長さおよび幅をカリパーで測定し、上述の方程式、体積=(π/6)*L*Wを用いて腫瘍体積を計算した。測定はCaki−1細胞の注射後14日目から57日目の間の7回の時点で行った。結果を図30Aに示す。57日目に、FGFR1−IIIc−FcはCaki−1細胞に誘発される腫瘍の成長を約50%阻害した。FGFR1−IIIc−Fcの3つの用量すべてが成長をほぼ同程度に阻害した。
上記実験を、別のより低い用量範囲のFGFR1−IIIc−Fcおよび単一用量のR1Mut4を用いて繰り返した。FGFR1−IIIc−Fcタンパク質をCHO−S宿主細胞中で産生させ、R1Mut4タンパク質をDG44宿主細胞中で産生させ、実施例7に記載のようにタンパク質を精製した。
200μlの注射体積でPBSビヒクル中に1.5×10個のヒト腫瘍Caki−1細胞を、90匹のCB17SCIDマウスの側腹部に皮下注射し、6つの治療グループのうちの1つに割り当てた。グループ1(n=15)には生理食塩水のみを与え;グループ2(n=15)には5mg/kgのFGFR1−IIIc−Fcを与え;グループ3(n=14)には1mg/kgのFGFR1−IIIc−Fcを与え;グループ4(n=14)には0.3mg/kgのFGFR1−IIIc−Fcを与え;グループ5(n=15)には0.1mg/kgのFGFR1−IIIc−Fcを与え、グループ6(n=17)には5mg/kgのR1Mut4を与えた。生理食塩水、FGFR1−IIIc−FcまたはR1Mut4の処置は、腫瘍を注射した1日後に開始し、適切な用量のFGFR1−IIIc−Fcを200μlの体積で生理食塩水ビヒクルと共に尾静脈に注射することによって与えた。グループ1の対照マウスにはPBSビヒクル注射のみを与えた。
注射したCaki−1細胞から生じたそれぞれの腫瘍の長さおよび幅をカリパーで測定し、上述の方程式、体積=(π/6)*L*Wを用いて腫瘍体積を計算した。測定はCaki−1細胞の注射後14日目から27日目の間の3回の時点で行った。結果を図30Bに示す。週2回の用量の5mg/mlのFGFR1−IIIc−FcまたはR1Mut4により、27日目にCaki−1細胞に誘発される腫瘍の成長が約50%阻害された。これは、R1Mut4融合タンパク質が、in vivoで腫瘍細胞の成長を妨げることにおいて親FGFR1−IIIc−Fc分子と同様に強力であったことを実証している。また、この実験は、0.3mg/mlまで低いFGFR1−IIIc−Fcの用量が、異種移植動物モデルにおいて腫瘍細胞の成長を阻害したが、0.1mg/mlは阻害しなかったことも実証している。
(実施例19)
(293−6EおよびCHO−S細胞によるFGFR1−IIIc−Fcのシアリル化およびグリコシル化)
293−6E細胞およびCHO−S細胞によって発現させたFGFR1−IIIc−Fcの安定性の差異の原因となる要素を調査するために、2つの融合タンパク質のシアル酸含有量を比較した。293−6E細胞によって産生させたFGFR1−IIIc−Fcは、CHO−S細胞から産生させたFGFR1−IIIc−Fcとは異なるシアリル化パターンを有していた。
293−6E宿主細胞によって発現させたFGFR1−IIIc−Fc、CHO−S宿主細胞によって発現させたFGFR1−IIIc−Fc、およびCHO−S宿主細胞によって発現させたR1Mut4を、カリフォルニア大学サンディエゴ校のパルスアンペロメトリック検出(HPAEC−PAD)を用いた高pH陰イオン交換クロマトグラフィーによって、シアル酸含有量について分析を行った。手短に述べると、2MのHOAcを用いてタンパク質を80℃で3時間処理した。試料からのシアル酸を3,000NMWCO膜による限外濾過によって採取し、哺乳動物シアル酸の2つの一般的な型であるN−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)およびN−グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)を分離する酢酸ナトリウム勾配を用いて、Dionex CarboPac PA−1 HPAEC−PADカラム(Dionex;カリフォルニア州Sunnyvale)から溶出させた。
以下の表4に示すように、293−6E宿主細胞から産生させたFGFR1−IIIc−Fc、ならびにCHO−S宿主細胞からのFGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4はシアル化が異なっており、Neu5AcおよびNeu5Gc型のシアル酸がどちらも、CHO−S細胞由来のタンパク質中でより高いレベルで存在している。CHO−S由来のFGFR1−IIIc−Fcの増加したシアル酸含有量が、完全にまたは部分的に、観察された分子量およびin vivoの安定性の差を説明し得る。
Figure 2008222711
図27(上部パネル)は、Glycosep Cカラムでのその分離後の、293−6E細胞から発現させたFGFR1−IIIc−FcのN標識したグリカンのクロマトグラフィー分析を示す。図27(下部パネル)は、CHO−S細胞から発現させたFGFR1−IIIc−Fcで行った同じ分離を示す。クロマトグラフィー分析はProzyme(カリフォルニア州San Leandro)によって行った。N標識したグリカンは、2−アミノベンズアミド(2−AB)で標識したウシフェツインN連結グリカンライブラリと比較することによって同定した。中性グリカン、遊離2−ABで標識したグリカン、ならびにモノ−、ジ−、トリ−、およびテトラシアリル化グリカンの位置を示す。
293−6E細胞から発現させたFGFR1−IIIc−Fcは、主に中性グリカンを発現した(アシアロ−グリカン)。対照的に、CHO細胞から発現させたFGFR1−IIIc−Fcは、主に陰性に帯電したシアリル化グリカンを発現した(その炭水化物の約86%)。293−6E宿主細胞から発現させたFGFR1−IIIc−Fcの陰性に帯電したグリカンはほとんどモノシアリル化グリカンであったが、CHO−S宿主細胞から発現させたFGFR1−IIIc−Fcの陰性に帯電したグリカンはモノ−、ジ−、トリ−、およびテトラ−シアリル化グリカンを含み、テトラ−シアリル化グリカンが主要構成成分を構成していた。これらの結果は、293細胞由来およびCHO−S細胞由来のFGFR1−IIIc−Fcのシアリル化レベルの差が、実施例18に示すように、2つのタンパク質間のin vivoの安定性の差の原因であり得ることを示唆している。
(実施例20)
(マウスにおけるFGFR1−IIIc−Fcの薬力学的研究)
C57B16マウスにおけるFGFR1−IIIc−Fcの薬力学的研究は、融合タンパク質が血清中に注射後約25日間存在し、約14日間FGF−2結合活性を保持することを示している。研究は、マウスにCHO−S細胞によって発現させた組換えFGFR1−IIIc−Fcを固定用量で注射することによって行った。9週齢の雌C57/B16マウス(Charles River Laboratory)に、最終用量15mg/kgで200ulのFGFR1−IIIc−Fcタンパク質溶液を注射した。注射後30分、5時間、ならびに1、2、3、4、5、7、14、および25日目に、血清試料(100ul)を眼窩後方から採取し、それぞれの時点で4匹のマウスを検査した。血清試料中のFGFR1−IIIc−Fcの濃度を、実施例15に記載のように、直接ELISAおよびFGF−2競合ELISAの両方によって分析した。
FGFR1−IIIc−Fc直接ELISAの結果を図28に示す。FGFR1−IIIc−Fcの濃度は、30分後で約62ug/ml、5時間後で27ug/ml、1日目で21ug/ml、2日目で19ug/ml、3日目で18ug/ml、4日目で17ug/ml、5日目で18ug/ml、7日目で18ug/ml、14日目で10ug/ml、および25日目で約2ug/mlであった。この結果は、少なくとも注射後25日目までは、組換えFGFR1−IIIc−Fcタンパク質がマウスにおいて安定であり、検出可能であったことを示している。
血清FGFR1−IIIc−FcのFGF−2結合能力を測定するFGF−2競合ELISAの結果を図29に示す。血清を段階希釈し、血清中のFGFR1−IIIc−FcとFGF−2(0.2μg/ml)との結合の量を測定した。図29に示すように、結合曲線の右方のシフトから見られるように、注射したマウスの血清中のFGFR1−IIIc−FcによるFGF−2結合は時間と共に減少した。FGF−2結合能力は、直接ELISAによって測定されたFGFR1−IIIc−Fcの量に粗く平行していた。FGF−2結合活性は、14日目にはマウス血清中のFGFR1−IIIc−Fcによって検出可能であったが、25日目には、競合ELISAによって試験したマウス血清の量中でFGF−2結合活性を検出することができなかった。
(実施例21)
(マウスにおけるR1Mut4の薬力学的研究)
C57マウスにおけるR1Mut4の薬力学的研究は、R1Mut4がFGFR1−IIIc−Fcとほぼ同等のin vivo安定性を有することを示している。2〜3カ月齢のC57マウス(Charles River Laboratory)に、10mg/kgのFGFR1−IIIc−FcまたはR1Mut4の用量を200ulの生理食塩水ビヒクル中で皮下注射した。FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4はどちらも、実施例2に記載のようにCHO−S細胞におけるpcDNA3.1ベクター中での発現によって調製した。血清試料(200ul)を注射後4時間、3日目、および7日目に採取した。血清試料中のFGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4タンパク質の濃度を、実施例5に記載のようにウェスタンブロットによって分析し、結果を図31に示した。注射の4時間後、FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4で治療したマウスは、右側パネルに示すCHO−S細胞から調製した既知の量のFGFR1−IIIc−Fcの標準物質との比較によって決定されるように、抗Fc抗体との反応性をほぼ同じ量で示した(約6.3ng以上)。3日目には、標準物質との比較によって決定されるように、すべての動物の血清中に存在するタンパク質の量は約3.1ng以上まで低下していた。7日目には、すべての動物の血清中に存在するタンパク質の量は、約1.6ng以上まで低下していた。これらの結果は、組換えFGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4タンパク質が類似のin vivo安定性を有していたことを実証している。
(実施例22)
(正常組織に対する癌組織中のFGFR1、FGFR3、およびFGFR4の過剰発現)
GeneLogic(メリーランド州Gaithersburg)の登録商標をもつ腫瘍学データベースに属する発現データの分析および分別により、対応する正常組織と比較してFGFR1、FGFR3、およびFGFR4を過剰発現していた癌が本発明で同定された。これらの癌が、本発明のFGFR融合タンパク質の治療標的である。GeneLogicデータベースは、Affymetrix U133(カリフォルニア州Santa
Clara)マイクロアレイチップを、3000個を超える悪性組織試料に由来するcRNAおよび4500個を超える正常組織試料に由来するcRNAとハイブリダイズさせることによって作製した。Affymetrix U133マイクロアレイチップは、FGFR1に対応するプローブ、FGFR3に対応するプローブ、およびFGFR4に対応するプローブを含む。
すべての悪性組織試料およびすべての正常組織試料に由来するデータを、個々の癌種およびその対応する正常組織に対応するデータセットに分離した。75を超える別個の癌種がデータベースに表されている。対応する正常組織データセットにおけるFGFR1の中央発現値を超えて、対応する正常組織データセットにおけるFGFR3の中央発現値を超えて、および対応する正常組織データセットにおけるFGFR4の中央発現値を超えて発現する試料を含むデータセットを有する癌種が、それぞれFGFR1を過剰発現する、FGFR3を過剰発現する、またはFGFR4を過剰発現すると見なされた。表5に示すように、FGFR1、FGFR3、またはFGFR4を過剰発現している任意の所定の癌種のデータセットにおける試料の割合を、そのデータセット中の試料の合計数の割合として計算した。
Figure 2008222711
Figure 2008222711
Figure 2008222711
FGFR1は、B細胞急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄単球性白血病、慢性リンパ球性白血病、および慢性骨髄性白血病を含めた白血病;ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、および結節外リンパ腫を含めたリンパ腫;形質細胞腫を含めた骨髄腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、虫垂、結腸、十二指腸、食道、肝臓、膵臓、腹膜、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;副腎、ランゲルハンス島、および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;眼の悪性新生物を含めた眼癌;膀胱、腎臓、前立腺、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、子宮筋層、卵巣、子宮、子宮内膜、胎盤、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭、唾液腺、鼻腔、口腔、耳下腺、および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺、胸腺、および気管の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表5)。
FGFR3は、バーキットリンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房および男性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、結腸、十二指腸、食道、胆嚢、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、精巣、および輸尿管の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、卵巣、子宮、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭、口腔、耳下腺、舌、および扁桃腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表5)。
FGFR4は、非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;骨、心臓、および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸、十二指腸、食道、胆嚢、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;副腎およびランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌;腎臓および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表5)。
表4は、複数のFGFRを過剰発現していた腫瘍を同定し、例えば、悪性リンパ腫、非ホジキン型は、FGFR1およびFGFR4を過剰発現し;骨、軟組織、女性乳房、結腸、十二指腸、食道、肝臓、直腸、小腸、胃、ランゲルハンス島、腎臓、精巣、卵巣、子宮内膜、耳下腺、肺、および皮膚の悪性新生物は、FGFR1、FGFR3、およびFGFR4を過剰発現し;脳、ファーター膨大部、甲状腺、膀胱、前立腺、子宮頸部、子宮、外陰部、喉頭、口腔、および舌の悪性新生物は、FGFR1およびFGFR3を過剰発現し;胆嚢の悪性新生物は、FGFR3およびFGFR4を過剰発現していた。
本発明者らの分析により、FGFR1、およびFGFR3、および/またはFGFR4は、多くの場合癌において過剰発現されていたことが示された。この過剰発現は、患部腫瘍の生存度および増殖能力の維持に活性FGFシグナル伝達経路を関連付ける。本発明者らは、例えばFGFR1−Fc、FGFR3−FcおよびFGFR4−Fc融合タンパク質などの囮受容体、またはそれらの改変体を用いて、患部腫瘍中のこのようなシグナル伝達経路を遮断することにより、これらの腫瘍の生存度および増殖能力が低下すると結論づけた。
(実施例23)
(正常組織に対する癌組織中のFGF−1、FGF−2、FGF−4、およびFGF−5の過剰発現)
癌組織種および対応する正常組織種におけるFGF−1、FGF−2、FGF−4、およびFGF−5の発現に対するGeneLogic(メリーランド州Gaithersburg)データベースの分析を、本質的に実施例22に記載のように行った。Affymetrix U133マイクロアレイチップは、FGF−1、FGF−2、FGF−4、およびFGF−5に対応するプローブを含む。FGF−1、FGF−2、FGF−4、またはFGF−5を過剰発現している任意の所定の癌種のデータセットにおける試料の割合を、そのデータセット中の試料の合計数の割合として計算し、表6に示す。対応する正常組織と比較してFGF−1、FGF−2、FGF−4、およびFGF−5を過剰発現していた癌が、本発明のFGFR融合タンパク質の治療標的である。
Figure 2008222711
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FGF−1は、急性単球性/単芽細胞性白血病および慢性骨髄性白血病を含めた白血病;バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、および結節外リンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房および男性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸、食道、胆嚢、肝臓、膵臓、腹膜、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、精巣、および輸尿管の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;輸卵管、子宮頸部、子宮筋層、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭、唾液腺、耳下腺、および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表6)。
FGF−2は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、および結節外リンパ腫を含めたリンパ腫;形質細胞腫を含めた骨髄腫;骨、心臓、および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、虫垂、結腸、十二指腸、食道、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;副腎、ランゲルハンス島および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、子宮筋層、卵巣、子宮内膜、胎盤、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭、唾液腺、耳下腺、および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺、胸腺、および気管の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表6)。
FGF−4は、前リンパ球性白血病を含めた白血病;非ホジキンリンパ腫および結節外リンパ腫を含めたリンパ腫;骨、心臓、および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、結腸、食道、肝臓、膵臓、腹膜、直腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;輸卵管、子宮頸部、子宮筋層、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表6)。
FGF−5は、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;男性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;肝臓および腹膜の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表6)。
表6は、FGF−1、FGF−2、FGF−4およびFGF−5が、多くの場合癌において過剰発現されていたことを実証する。この過剰発現は、患部腫瘍の生存度または増殖能力の維持に活性FGFシグナル伝達経路を関連付ける。患部腫瘍中のこのようなシグナル伝達経路を遮断すること、例えばFGFR−1、FGFR3、FGFR4−Fc融合タンパク質、またはそれらの改変体などの囮受容体を用いて、FGF−1、FGF−2、FGF−4、およびFGF−5とそのそれぞれの受容体との相互作用を遮断することによって、これらの腫瘍の生存度および増殖能力が低下する。
(実施例24)
(正常組織に対する癌組織中のFGF−8、FGF−17、FGF−18、FGF−9、およびFGF−20の過剰発現)
癌組織種および対応する正常組織種におけるFGF−8、FGF−17、FGF−18、FGF−9、またはFGF−20の発現に対するGeneLogic(メリーランド州Gaithersburg)データベースの分析を、本質的に実施例22に記載のように行った。Affymetrix U133マイクロアレイチップは、FGF−8、FGF−17、FGF−18、FGF−9、およびFGF−20に対応するプローブを含む。FGF−8、FGF−17、FGF−18、FGF−9、またはFGF−20を過剰発現している任意の所定の癌種のデータセットにおける試料の割合を、そのデータセット中の試料の合計数の割合として計算し、表6に示す。対応する正常組織と比較してFGF−8、FGF−17、FGF−18、FGF−9、およびFGF−20を過剰発現していた癌が、本発明のFGFR融合タンパク質の治療標的である。
Figure 2008222711
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FGF−8は、ランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌において過剰発現されていた(表7)。
FGF−17は、軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;ならびに子宮頸部および卵巣の悪性新生物を含めた婦人科癌において過剰発現されていた(表7)。
FGF−18は、ホジキンリンパ腫および結節外リンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;女性乳房および男性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、虫垂、結腸、食道、胆嚢、肝臓、膵臓、腹膜、直腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;腎臓および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;輸卵管、子宮頸部、卵巣、子宮、および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表7)。
FGF−9は、B細胞急性リンパ芽球性白血病を含めた白血病;バーキットリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;虫垂、結腸、食道、胆嚢、膵臓、腹膜、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;副腎およびランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、子宮筋層、卵巣、子宮、および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;唾液腺、耳下腺、および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺および気管の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表7)。
表6は、FGF−8、FGF−17、FGF−18、FGF−9およびFGF−20が、多くの場合癌において過剰発現されていたことを実証する。この過剰発現は、患部腫瘍の生存度または増殖能力の維持に活性FGFシグナル伝達経路を関連付ける。患部腫瘍中のこのようなシグナル伝達経路を遮断すること、例えば、FGFR1−Fc、FGFR3−FcおよびFGFR4−Fc融合タンパク質などの囮受容体、またはその任意の改変体を用いて、FGF−8、FGF−17、FGF−9およびFGF−20とそのそれぞれの受容体との相互作用を遮断することによって、これらの腫瘍の生存度および増殖能力が低下する。
FGF−20は、結腸の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;ならびに卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌において過剰発現されていた(表7)。
(実施例25)
(正常組織に対する癌組織におけるFGF−19、FGF−21、およびFGF−23の過剰発現)
癌組織種および対応する正常組織種におけるFGF−19、FGF−21、またはFGF−23の発現に対するGeneLogic(メリーランド州Gaithersburg)データベースの分析を、本質的に実施例22に記載のように行った。Affymetrix U133マイクロアレイチップは、FGF−19、FGF−21、およびFGF−23に対応するプローブを含む。FGF−19、FGF−21、またはFGF−23を過剰発現している任意の所定の癌種のデータセットにおける試料の割合を、そのデータセット中の試料の合計数の割合として計算し、表9に示す。対応する正常組織と比較してFGF−19、FGF−21、またはFGF−23を過剰発現していた癌が、本発明のFGFR融合タンパク質の治療標的である。
Figure 2008222711
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FGF−19は、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;結腸、胆嚢、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表8)。
FGF−21は、肝臓および直腸の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌において過剰発現されていた(表8)。
FGF−23は、軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;食道の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;子宮筋層の悪性新生物を含めた婦人科癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表8)。
表8は、FGF−19、FGF−21およびFGF−23が、多くの場合癌において過剰発現されていたことを実証する。この過剰発現は、患部腫瘍の生存度または増殖能力の維持に活性FGFシグナル伝達経路を関連付ける。患部腫瘍中のこのようなシグナル伝達経路を遮断すること、例えば、FGFR1−Fc、FGFR3−FcおよびFGFR4−Fc融合タンパク質などの囮受容体またはそれらの改変体を用いて、FGF−19、FGF−21およびFGF−23とそのそれぞれの受容体との相互作用を遮断することによって、これらの腫瘍の生存度または増殖能力が低下する。
(実施例26)
(正常組織に対する癌組織中のFGFR1の過剰発現ならびにFGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−19、FGF−20、およびFGF−21の過剰発現)
FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−19、FGF−20、およびFGF−21は、FGFR1を発現する癌細胞において増殖を誘導することができる。癌組織種および対応する正常組織種におけるFGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−19、FGF−20、およびFGF−21の発現に対するGeneLogic(メリーランド州Gaithersburg)データベースの分析を、本質的に実施例22に記載のように行った。Affymetrix U133マイクロアレイチップは、FGFR1、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−19、FGF−20、およびFGF−21に対応するプローブを含む。FGFR1、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−19、FGF−20、またはFGF−21を過剰発現している任意の所定の癌種のデータセットにおける試料の割合を、そのデータセット中の試料の合計数の割合として計算し、表10に示す。対応する正常組織と比較してFGFR1、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−19、FGF−20、およびFGF−21を過剰発現していた癌が、本発明のFGFR融合タンパク質の治療標的である。
Figure 2008222711
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FGFR1およびFGF−1はどちらも、慢性骨髄性白血病を含めた白血病;ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、および結節外リンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸、食道、肝臓、膵臓、腹膜、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島、および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、子宮筋層、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭、唾液腺、耳下腺、および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表9)。
FGFR1およびFGF−2はどちらも、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、および結節外リンパ腫を含めたリンパ腫;形質細胞腫を含めた骨髄腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、虫垂、結腸、十二指腸、食道、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;副腎、ランゲルハンス島、および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、子宮筋層、卵巣、子宮内膜、胎盤、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭、唾液腺、耳下腺、および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺、胸腺、および気管の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表9)。
FGFR1およびFGF−4はどちらも、非ホジキンリンパ腫、および結節外リンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、結腸、食道、肝臓、膵臓、腹膜、直腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島、および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、子宮筋層、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表9)。
FGFR1およびFGF−5はどちらも、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;肝臓および腹膜の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表9)。
FGFR1およびFGF−8はどちらも、ランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌において過剰発現されていた(表9)。
FGFR1およびFGF−9はどちらも、B細胞急性リンパ芽球性白血病を含めた白血病;非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;虫垂、結腸、食道、膵臓、腹膜、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;副腎およびランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、子宮筋層、卵巣、子宮、および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;唾液腺、耳下腺、および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺および気管の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表9)。
FGFR1およびFGF−17はどちらも、軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;ならびに子宮頸部および卵巣の悪性新生物を含めた婦人科癌において過剰発現されていた(表9)。
FGFR1およびFGF−19はどちらも、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;結腸、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表9)。
FGFR1およびFGF−20はどちらも、結腸の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島、および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;ならびに卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌において過剰発現されていた(表9)。
FGFR1およびFGF−21はどちらも、肝臓および直腸の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌において過剰発現されていた(表9)。
表9は、FGFR1ならびにFGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−19、FGF−20およびFGF−21のうちの1つまたは複数が、多くの場合癌において過剰発現されていたことを実証する。この過剰発現は、患部腫瘍の生存度または増殖能力の維持に活性FGFシグナル伝達経路を関連付ける。患部腫瘍中のこのようなシグナル伝達経路を遮断すること、例えば、FGFR1−Fc、FGFR3−Fc、およびFGFR4−Fc融合タンパク質などの囮受容体、またはそれらの改変体を用いて、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−0、FGF−17、FGF−19および/またはFGF−20とそのそれぞれの受容体と、ならびにFGFR1とその結合リガンドとの相互作用を遮断することによって、これらの腫瘍の生存度または増殖能力が低下する。
(実施例27)
(正常組織に対する癌組織中のFGFR3の過剰発現ならびにFGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20の過剰発現)
FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20は、FGFR3を発現する癌細胞において増殖を誘導することができる。癌組織種および対応する正常組織種におけるFGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20の発現に対するGeneLogic(メリーランド州Gaithersburg)データベースの分析を、本質的に実施例22に記載のように行った。Affymetrix U133マイクロアレイチップは、FGFR3、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20に対応するプローブを含む。FGFR3、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20を過剰発現している任意の所定の癌種のデータセットにおける試料の割合を、そのデータセット中の試料の合計数の割合として計算し、表11に示す。対応する正常組織と比較してFGFR3、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20を過剰発現していた癌が、本発明のFGFR融合タンパク質の治療標的である。
Figure 2008222711
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FGFR3およびFGF−1はどちらも、バーキットリンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房および男性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸、食道、胆嚢、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、精巣、および輸尿管の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭、耳下腺、および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表10)。
FGFR3およびFGF−2はどちらも、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、結腸、十二指腸、食道、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭、耳下腺、および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表10)。
FGFR3およびFGF−4はどちらも、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、結腸、食道、肝臓、膵臓、直腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、前立腺、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表10)。
FGFR3およびFGF−5はどちらも、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;男性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;肝臓の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表10)。
FGFR3およびFGF−8はどちらも、ランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌において過剰発現されていた(表10)。
FGFR3およびFGF−9はどちらも、バーキットリンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸、食道、胆嚢、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌;膀胱、腎臓、および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、卵巣、子宮、および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺および舌の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表10)。
FGFR3およびFGF−17はどちらも、軟組織の悪性新生物を含めた肉腫、ならびに子宮頸部および卵巣の悪性新生物を含めた婦人科癌において過剰発現されていた(表10)。
FGFR3およびFGF−18はどちらも、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;女性乳房および男性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;ファーター膨大部、結腸、食道、胆嚢、肝臓、膵臓、直腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;腎臓および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、卵巣、子宮、および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表10)。
FGFR3およびFGF−19はどちらも、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;脳の悪性新生物を含めた神経癌;結腸を含めた消化管/胃腸管系癌;胆嚢、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物;甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;精巣を含めた泌尿生殖系癌;子宮頸部、卵巣、子宮内膜、および外陰部の悪性新生物の悪性新生物を含めた婦人科癌;喉頭の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表10)。
FGFR3およびFGF−20はどちらも、結腸の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島および甲状腺の悪性新生物を含めた内分泌癌;ならびに卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌において過剰発現されていた(表10)。
表11は、FGFR3ならびにFGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19およびFGF−20のうちの1つまたは複数が、多くの場合癌において過剰発現されていたことを実証する。この過剰発現は、患部腫瘍の生存度または増殖能力の維持に活性FGFシグナル伝達経路を関連付ける。患部腫瘍中のこのようなシグナル伝達経路を遮断すること、例えば、FGFR1−Fc、FGFR3−FcおよびFGFR4−Fc融合タンパク質などの囮受容体、またはそれらの改変体を用いて、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19および/またはFGF−20とそのそれぞれの受容体と、ならびにFGFR3とその結合リガンドとの相互作用を遮断することによって、これらの腫瘍の生存度または増殖能力が低下する。
(実施例28)
(正常組織に対する癌組織中のFGFR4の過剰発現ならびにFGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、FGF−20、FGF−21、およびFGF−23の過剰発現)
FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、FGF−20、FGF−21、およびFGF−23は、FGFR4を発現する癌細胞において増殖を誘導することができる。癌組織種および対応する正常組織種におけるFGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20の発現に対するGeneLogic(メリーランド州Gaithersburg)データベースの分析を、本質的に実施例22に記載のように行った。Affymetrix U133マイクロアレイチップは、FGFR3、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20に対応するプローブを含む。FGFR3、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20を過剰発現している任意の所定の癌種のデータセットにおける試料の割合を、そのデータセット中の試料の合計数の割合として計算し、表11に示す。対応する正常組織と比較してFGFR3、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、およびFGF−20を過剰発現していた癌が、本発明のFGFR融合タンパク質の治療標的である。
Figure 2008222711
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FGFR4およびFGF−1はどちらも、非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸、食道、胆嚢、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌;腎臓および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表11)。
FGFR4およびFGF−2はどちらも、非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;骨、心臓、および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸、十二指腸、食道、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;副腎およびランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌;腎臓および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表11)。
FGFR4およびFGF−4はどちらも、非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;骨、心臓、および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸を含めた消化管/胃腸管系癌;食道、肝臓、膵臓、直腸、および胃の悪性新生物;ランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌;腎臓および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表11)。
FGFR4およびFGF−8はどちらも、ランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌において過剰発現されていた(表12)。
FGFR4およびFGF−9はどちらも、非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸、食道、胆嚢、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;副腎およびランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌;腎臓および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表11)。
FGFR4およびFGF−17はどちらも、軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;ならびに卵巣の悪性新生物を含めた婦人科癌において過剰発現されていた(表11)。
FGFR4およびFGF−18はどちらも、非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;女性乳房の悪性新生物を含めた乳癌;結腸、食道、胆嚢、肝臓、膵臓、直腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;腎臓および精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;耳下腺の悪性新生物を含めた頭頸部癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表11)。
FGFR4およびFGF−19はどちらも、骨および軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;結腸、胆嚢、肝臓、膵臓、直腸、小腸、および胃の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;精巣の悪性新生物を含めた泌尿生殖系癌;卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌;肺の悪性新生物を含めた呼吸器/胸部癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表11)。
FGFR4およびFGF−20はどちらも、結腸の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ランゲルハンス島の悪性新生物を含めた内分泌癌;ならびに卵巣および子宮内膜の悪性新生物を含めた婦人科癌において過剰発現されていた(表11)。
FGFR4およびFGF−21はどちらも、肝臓および直腸の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌において過剰発現されていた(表11)。
FGFR4およびFGF−23はどちらも、軟組織の悪性新生物を含めた肉腫;食道の悪性新生物を含めた消化管/胃腸管系癌;ならびに皮膚の悪性新生物を含めた皮膚癌において過剰発現されていた(表11)。
この分析により、FGFR4、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、FGF−20、FGF−21およびFGF−23が、癌において一般的に過剰発現されていたことが実証された。この過剰発現により、患部腫瘍の生存度および/または増殖能力の維持に活性FGFシグナル伝達経路を関連付ける。例えばFGFR1−Fc、FGFR3−Fc、またはFGFR4−Fc融合タンパク質を用いた、患部腫瘍中のFGFRシグナル伝達経路の遮断により、これらの腫瘍の生存度および/または増殖能力が低下する。
表11は、FGFR4およびFGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−5、FGF−8、FGF−9、FGF、FGF−17、FGF−18、FGF−19、FGF−20、FGF−21およびFGF−23のうちの任意のものが、多くの場合癌において過剰発現されていたことを実証する。この過剰発現は、患部腫瘍の生存度または増殖能力の維持に活性FGFシグナル伝達経路を関連付ける。患部腫瘍中のこのようなシグナル伝達経路を遮断すること、例えば、FGFR1−Fc、FGFR3−FcおよびFGFR4−Fc融合タンパク質などの囮受容体、またはそれらの改変体を用いて、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−8、FGF−9、FGF−17、FGF−18、FGF−19、FGF−20およびFGF−23間の相互作用;ならびにFGFR4とその結合リガンドとの相互作用を遮断することによって、これらの腫瘍の生存度または増殖能力が低下する。
(産業上の利用可能性)
FGFR融合タンパク質およびそれをコードしているポリヌクレオチド分子は、癌を含めた、増殖性疾患および血管形成に関与する疾患の治療に有用である。これらを用いて、このような疾患を診断、予防、および治療することができる。
(配列表)
配列表は、紙形式およびコンピューター可読形式の両方で提供される。これは、送付状に添付される。
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本明細書に組み込まれており、その一部を構成する添付の図面は、本発明に一致したいくつかの実施形態を例示する。これらは、記述と一緒に本発明の原理を説明する役割を果たすが、本発明を限定しない。
図1Aは、7個のFGFRアイソフォーム、すなわちFGFR3−IIIb、FGFR3−IIIc、FGFR1−IIIb、FGFR1−IIIc、FGFR2−IIIb、FGFR2−IIIc、およびFGFR4の細胞外および膜貫通ドメインの一部分のアミノ酸配列のアラインメントを示す図であり、免疫グロブリン(Ig)IIIドメイン、FGFR1突然変異体R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、およびR1Mut5改変体の切断位置、ならびに融合タンパク質のFc部分の位置を示す。 図1Bは、図1Aと同じアミノ酸配列のアラインメントを示す図であり、FGFR1突然変異体R1Mut6、R1Mut7、R1Mut8、R1Mut9およびR1Mut10の位置を示す。 図2は、図1と同じアミノ酸配列のアラインメントを示し、FGFR4突然変異体R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6の切断位置を示す。 図3Aは、R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、R1Mut4、およびR1Mut5が、親FGFR1−IIIc−FcよりもMMP−2によるタンパク質分解的切断に対する耐性を有することを実証するウェスタンブロットを示す図である。 図3Bは、R1Mut4が、親FGFR1−IIIc−Fcと比較して、MMP−2による切断に対してより高い耐性を有することを実証する定量的ウェスタンブロットを示す図である。FGFR1−IIIc−Fcの定量的標準物質を左側に示し、FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4からの細胞培地を右側に示す。 図4は、R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、およびR4Mut5が、完全長の親FGFR4−FcよりもMMP−2によるタンパク質分解的切断に対する耐性を有していたことを実証するウェスタンブロットを示す図である。 図5Aは、OD450における変化を測定することによって漸増濃度(ug/ml)のFGFR4突然変異体とFGF−1との結合を測定する、競合ELISAアッセイを示す図である。R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6はそれぞれ、FGF−1に対して親FGFR4−Fcよりも高い親和性を有するが、ヒトIgGはFGF−1と結合しなかった。 図5Bは、OD450における変化を測定することによって漸増濃度(ug/ml)のFGFR4突然変異体とFGF−2との結合を測定する、競合ELISAアッセイを示す図である。R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、およびR4Mut5はそれぞれ、FGF−2に対して親FGFR4−Fcよりも高い親和性を有するが、ヒトIgGはFGF−2と結合しなかった。 図5Cは、OD450における変化を測定することによって漸増濃度(ug/ml)のFGFR4突然変異体とFGF−8bとの結合を測定する、競合ELISAアッセイを示す図である。R4Mut1、R4Mut2、R4Mut3、R4Mut4、R4Mut5、およびR4Mut6はそれぞれ、FGF−8bに対して親FGFR4−Fcよりも高い親和性を有するが、ヒトIgGはFGF−1と結合しなかった。 図6は、OD450における変化を測定することによって漸増濃度(ug/ml)のFGFR4突然変異体とFGF−2との結合を測定する、直接ELISAアッセイを示す図である。R1Mut1、R1Mut2、R1Mut3、およびR1Mut4は親FGFR1−IIIc−Fcと同等またはそれ以上にFGF−2と結合することができたが、R1Mut5はそうではなかった。 図7は、293−6E細胞またはCHO細胞のどちらか内で産生させた漸増濃度(ug/ml)のFGFR4融合タンパク質とFGF−2との結合を測定する、競合ELISAアッセイを示す図である。293−6EまたはCHO宿主細胞のどちらかによって産生させたFGFR−IIIc−Fcは、FGF−2をほぼ同程度に結合および捕捉することができたが、ヒトIgGはFGF−2に結合することができなかった。 図8Aは、どちらもDG44宿主細胞によって産生させた漸増濃度(ug/ml)の親FGFR−IIIc−FcとR1Mut4との結合を測定する、競合ELISAアッセイで、FGF−1をほぼ同程度に結合および捕捉することができたことを示す図である。ヒトIgGはFGF−1に結合することができなかった。 図8Bは、どちらもDG44宿主細胞によって産生させた漸増濃度(ug/ml)の親FGFR−IIIc−FcとR1Mut4との結合を測定する、競合ELISAアッセイで、FGF−2をほぼ同程度に結合および捕捉することができたことを示す図である。ヒトIgGはFGF−2に結合することができなかった。 図9は、どちらもDG44宿主細胞によって産生させた漸増濃度(ug/ml)の親FGFR−IIIc−FcとR1Mut4との結合を測定する、競合ELISAアッセイで、FGF−8bをほぼ同程度に結合および捕捉することができたことを示す図である。ヒトIgGはFGF−8bに結合することができなかった。 図10は、漸増濃度(ug/ml)の親FGFR1−IIIc−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcが、FGF−1とFGFR1−IIIc−Fcとの結合を阻害する能力を測定する、競合ELISAアッセイを示す図である。 図11は、親FGFR1−IIIc−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcが、FGF−2とFGFR1−IIIc−Fcとの結合を阻害する能力を測定する、図10に記載の競合ELISAアッセイを示す図である。 図12は、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcが、FGF−8とFGFR1−IIIc−Fcとの結合を阻害する能力を測定する、図11に記載の競合ELISAアッセイを示す図である。 図13は、293細胞またはCHO細胞によって産生させた漸増濃度(ug/ml)の親FGFR1−IIIc−Fcによって誘導されたOD450の変化を測定する、競合phospho−Erk ELISAアッセイを示す図である。どちらの親構築体もFGF−2に活性化されたErkリン酸化を阻害したが、ヒトIgGは阻害することができなかった。 図14は、漸増濃度(ug/ml)の親FGFR1−IIIc−Fc、R1Mut4、およびR1Mut5によって誘導されたOD450の変化を測定する、競合phospho−Erk ELISAアッセイを示す図である。親FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4はFGF−2に活性化されたErkリン酸化を阻害したが、R1Mut5またはヒトIgGは阻害しなかった。 図15は、10%のFCS中に1000個の細胞/ウェルの濃度で植えたU251悪性膠芽細胞腫細胞の生存度および増殖に対する、20ug/ml、4.0ug/ml、および0.8ug/mlの濃度のFGFR1−IIIc−Fcの用量依存性の阻害効果を実証する、CellTiterGlo(商標)生存度アッセイを示す図である。ヒトIgGは効果がなかった。陽性対照であるTRAILが最大の阻害を誘導した。 図16は、1.0%のFCS中に5000個の細胞/ウェルの濃度で植えたU251悪性膠芽細胞腫細胞の生存度および増殖に対する、20ug/ml、4.0ug/ml、および0.8ug/mlの濃度のFGFR1−IIIc−Fcの用量依存性の阻害効果を実証する、CellTiterGlo(商標)生存度アッセイを示す図である。ヒトIgGは効果がなかった。陽性対照であるTRAILが最大の阻害を誘導した。 図17は、0.1%のFCS中に10,000個の細胞/ウェルの濃度で植えたU251悪性膠芽細胞腫細胞の生存度および増殖に対する、20ug/ml、4.0ug/ml、および0.8ug/mlの濃度のFGFR1−IIIc−Fcの用量依存性の阻害効果を実証する、CellTiterGlo(商標)生存度アッセイを示す図である。ヒトIgGは効果がなかった。陽性対照であるTRAILが最大の阻害を誘導した。 図18は、FGFR1−IIIc−Fcによるその生存度および増殖の阻害に対するその感度について試験した癌細胞系を示す図である。その悪性疾患の起源およびFGFR1−IIIc−Fcに対するその感度を示す。 図19は、A549肺癌細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIc−FcおよびFGFR4−Fcの両方の用量依存性の阻害効果を実証する、CellTiterGlo(商標)生存度アッセイを示す図である。 図20は、腫瘍細胞系由来の腫瘍細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIb−Fc、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIb−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIb−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcの阻害効果を比較しており、融合タンパク質(治療タンパク質(ug/ml))の濃度の増加に伴う阻害(%阻害)の増加を示す図である。データは、A549細胞(図20A)、U118細胞(図20B)、U251細胞(図20C)、SF268細胞(図20D)、T47D細胞(図20E)、およびCaki−1細胞(図20F)について示した。図20Gでは、A549細胞およびU251細胞の生存度および増殖に対する親FGFR1−IIIcおよびR1Mut4の濃度依存性の阻害効果が示されているが、R1Mut5では示されていない。 図20は、腫瘍細胞系由来の腫瘍細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIb−Fc、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIb−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIb−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcの阻害効果を比較しており、融合タンパク質(治療タンパク質(ug/ml))の濃度の増加に伴う阻害(%阻害)の増加を示す図である。データは、A549細胞(図20A)、U118細胞(図20B)、U251細胞(図20C)、SF268細胞(図20D)、T47D細胞(図20E)、およびCaki−1細胞(図20F)について示した。図20Gでは、A549細胞およびU251細胞の生存度および増殖に対する親FGFR1−IIIcおよびR1Mut4の濃度依存性の阻害効果が示されているが、R1Mut5では示されていない。 図20は、腫瘍細胞系由来の腫瘍細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIb−Fc、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIb−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIb−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcの阻害効果を比較しており、融合タンパク質(治療タンパク質(ug/ml))の濃度の増加に伴う阻害(%阻害)の増加を示す図である。データは、A549細胞(図20A)、U118細胞(図20B)、U251細胞(図20C)、SF268細胞(図20D)、T47D細胞(図20E)、およびCaki−1細胞(図20F)について示した。図20Gでは、A549細胞およびU251細胞の生存度および増殖に対する親FGFR1−IIIcおよびR1Mut4の濃度依存性の阻害効果が示されているが、R1Mut5では示されていない。 図20は、腫瘍細胞系由来の腫瘍細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIb−Fc、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIb−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIb−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcの阻害効果を比較しており、融合タンパク質(治療タンパク質(ug/ml))の濃度の増加に伴う阻害(%阻害)の増加を示す図である。データは、A549細胞(図20A)、U118細胞(図20B)、U251細胞(図20C)、SF268細胞(図20D)、T47D細胞(図20E)、およびCaki−1細胞(図20F)について示した。図20Gでは、A549細胞およびU251細胞の生存度および増殖に対する親FGFR1−IIIcおよびR1Mut4の濃度依存性の阻害効果が示されているが、R1Mut5では示されていない。 図20は、腫瘍細胞系由来の腫瘍細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIb−Fc、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIb−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIb−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcの阻害効果を比較しており、融合タンパク質(治療タンパク質(ug/ml))の濃度の増加に伴う阻害(%阻害)の増加を示す図である。データは、A549細胞(図20A)、U118細胞(図20B)、U251細胞(図20C)、SF268細胞(図20D)、T47D細胞(図20E)、およびCaki−1細胞(図20F)について示した。図20Gでは、A549細胞およびU251細胞の生存度および増殖に対する親FGFR1−IIIcおよびR1Mut4の濃度依存性の阻害効果が示されているが、R1Mut5では示されていない。 図20は、腫瘍細胞系由来の腫瘍細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIb−Fc、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIb−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIb−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcの阻害効果を比較しており、融合タンパク質(治療タンパク質(ug/ml))の濃度の増加に伴う阻害(%阻害)の増加を示す図である。データは、A549細胞(図20A)、U118細胞(図20B)、U251細胞(図20C)、SF268細胞(図20D)、T47D細胞(図20E)、およびCaki−1細胞(図20F)について示した。図20Gでは、A549細胞およびU251細胞の生存度および増殖に対する親FGFR1−IIIcおよびR1Mut4の濃度依存性の阻害効果が示されているが、R1Mut5では示されていない。 図20は、腫瘍細胞系由来の腫瘍細胞の生存度および増殖に対するFGFR1−IIIb−Fc、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIb−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIb−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcの阻害効果を比較しており、融合タンパク質(治療タンパク質(ug/ml))の濃度の増加に伴う阻害(%阻害)の増加を示す図である。データは、A549細胞(図20A)、U118細胞(図20B)、U251細胞(図20C)、SF268細胞(図20D)、T47D細胞(図20E)、およびCaki−1細胞(図20F)について示した。図20Gでは、A549細胞およびU251細胞の生存度および増殖に対する親FGFR1−IIIcおよびR1Mut4の濃度依存性の阻害効果が示されているが、R1Mut5では示されていない。 図21は、それぞれFGFR1−IIIb−Fc、FGFR1−IIIc−Fc、FGFR2−IIIb−Fc、FGFR2−IIIc−Fc、FGFR3−IIIb−Fc、FGFR3−IIIc−Fc、およびFGFR4−Fcによって誘導されたA549、U118、U251、SF268、T47D、およびCaki−1腫瘍細胞の生存度および増殖の%阻害を示すことによって、図20に示された結果の概要を示す図である。 図22は、直接ELISAアッセイによって測定し、注射後約45日間監視した、水力学的尾静脈注射法を用いてFGFR1−IIIc−Fcをコードしている「ミニサークル」ベクターcDNAを注射した3匹のマウスの血清中のFGFR1−IIIc−Fc(ug/ml)の濃度を示す図である。 図23は、定量的競合ELISAアッセイによって測定した、対照マウス由来の血清と比較した、水力学的尾静脈注射法を用いてFGFR1−IIIc−Fcをコードしている「ミニサークル」ベクターcDNAを注射したマウスの血清中の、機能的な循環FGFR1−IIIc−Fcの存在を示す図である。 図24は、注射後2日目および7日目の定量的競合ELISAアッセイによって測定した、水力学的尾静脈注射法を用いてR1Mut4をコードしている「ミニサークル」ベクターcDNAを注射したマウスによる、4匹のマウスのそれぞれの血清中の機能的な循環R1Mut4の血清濃度を示す図である。 図25は、マウスに水力学的尾静脈注射法を用いてFGFR1−IIIc−Fcをコードしている「ミニサークル」ベクターcDNAを注射した腫瘍成長のin vivo異種移植マウスモデルにおける、Caki−1腫瘍成長に対するFGFR1−IIIc−Fcの阻害効果を示す図である。腫瘍体積は、生理食塩水よりもFGFR1−IIIc−Fcで治療した動物で、よりゆっくりと増加した。 図26は、対照マウスの血清と比較して、293細胞またはCHO細胞から産生させた精製FGFR1−IIIc−Fcを注射した5分間、30分間、24時間、48時間、および72時間後にマウスから採取した血清のウェスタンブロットを示す図である。ブロットは抗ヒトFc抗体に対して免疫反応性を示し、CHO細胞由来のFGFR1−IIIc−Fcはより長く循環中に持続し(注射後72時間を超える)、したがって、in vivoで、24時間後に検出不可能であった293−6E細胞由来のFGFR1−IIIc−Fcよりも安定であったことを実証している。 図27は、293−6E細胞(上部パネル)およびCHO細胞(下部パネル)から発現させたFGFR1−IIIc−FcのN標識したグリカンのクロマトグラフィー分析を示す図である。 図28は、定量的直接ELISAによって検出した、FGFR1−IIIc−Fcタンパク質の注射後25日間測定した、マウス血清中のFGFR1−IIIc−Fcの量を示す図である。 図29は、定量的FGF−2競合ELISAアッセイによって測定した、FGFR1−IIIc−Fcタンパク質を注射した30分、5時間、1日、2日、3日、4日、5日、7日、14日、および25日後にマウス血清中に存在する機能的FGFR1−IIIc−Fcの量を示す図である。機能的FGFR1−IIIc−Fcの減少は、血清体積(ul)の増加の結果生じるOD450の低下として測定される。機能的FGFR1−IIIc−Fcは、FGFR1−IIIc−Fcの注射後14日間を超えてマウス血清中に残存する。 図30Aは、FGFR1−IIIc−Fc融合タンパク質を静脈内注射した腫瘍成長のin vivo異種移植マウスモデルにおける、Caki−1腫瘍成長に対する3つの濃度のFGFR1−IIIc−Fcの阻害効果を示す図である。 図30Bは、図30Aに記載のように、Caki−1腫瘍成長に対するFGFR1−IIIc−Fcの濃度依存性の阻害効果およびR1Mut4の阻害効果を示す図である。 図31は、FGFR1−IIIc−FcまたはR1Mut4タンパク質のどちらかを注射した、注射後4時間、3日、および7日後のマウス由来の血清の、抗ヒトFc抗体を用いてブロットを行い、FGFR1−IIIc−Fc標準物質の組と比較した、定量的ウェスタンブロットを示す図である。FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4はどちらも、FGFR1−IIIc−FcまたはR1Mut4をコードしている「ミニサークル」ベクターcDNAを水力学的尾静脈注射によって注射した後少なくとも約7日日間まで、マウス中にin vivoで安定であった。 図32は、表面プラズモン共鳴によって測定した、FGFR1−IIIc−FcおよびR1Mut4とFGF−1、FGF−2、FGF−4、およびFGF−5との実時間のリガンド結合プロフィールを示す図である。

Claims (1)

  1. 明細書に記載のFGFR融合タンパク質。
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