JP2008221843A - 反転可能にキー部及び連結部を設けた固体インクスティック - Google Patents

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Abstract

【課題】誤装填を防ぎつつ、どちらが先端かを区別せずに送給チャネルに固体インクスティックを装填できるようにする。
【解決手段】相変化インクイメージング装置のインク送給系に入れて用いる固体インクスティック100を、その鉛直中心軸について回転対称な形状にする。スティック100の端面148には面状の連結部たる凸部160及び凹部164を設け、逆側の端面150にはそれと相補的な形状の凹部164及び凸部160を連結用に設ける。スティック100の側面140にはキー部168及び170を設け、逆側の側面144にはそれと同一の形状を有するキー部178及び174を鉛直中心軸について回転対称な位置に設ける。鉛直中心軸周りで180°回転させてもチャネルに装填でき、且つキー部168〜178により誤装填を防止できる。
【選択図】図9

Description

本発明は、概略、固体インクスティック、それを使用する相変化インクジェットプリンタ、並びにその相変化インクジェットプリンタにその固体インクスティックを装填して移送する装置に関する。
通常、相変化インクプリンタと呼ばれる固体インクプリンタにはペレット状又はスティック状の固体インク(本願では「固体インクスティック」と呼ぶ)を入れて使用する。その際にはまずそのスティックをシュート(送給チャネル)に装填する。装填されたスティックは送給用の機構(送給装置)によってヒータプレート(熔融装置)に送られる。ヒータプレートは送られてきたスティックの先端に接触してその面を熔融させる。それによって得られた液体インクはプリントヘッドに送られ、そのプリントヘッドによって記録媒体又は中間転写面上に吐出される。
古典的な固体インクプリンタでは、その送給チャネルとして直線状のチャネル乃至シュートを使用する。この直線チャネルの一端は熔融装置が設けられた熔融端であり、他端はバネ付勢プッシュブロックが設けられた挿通端である。固体インクスティックはこうした直線チャネルの端から端までまっすぐに並ぶ。しかしながら、プリンタ内スペースには限りがあるので、多数のスティックが入る長い直線チャネルを収容できるような場所は、プリンタ内にはなかなか見つけられない。即ち、収容可能スティック数にはプリンタ物理寸法による制約が課せられていて、プリンタ内利用可能部分より長い又は広い直線チャネルをスティックの装填及び送給に用いることはできない。
送給チャネル内に入れられる固体インクスティックの個数を増やすには例えばチャネルを非直線状にすればよい。その挿通端から熔融端までスティックを送給及び案内できるよう非直線送給チャネルを形成するには直線区間や湾曲区間を適当な個数組み合わせればよく、またその非垂直区間でスティックをスムーズに移送するにはその区間にベルト等の送給機構を付設すればよい。ただ、湾曲区間乃至弧状区間を有するチャネル内で直方体のスティックを使用すると、相連なる複数個のスティックがチャネル内で捻れたり詰まったりする可能性がある。
また、従来の相変化インクジェットプリンタでは、固体インクスティックに対する制御システムの関わり方が弱く、そのプリンタ内にあるスティックに関する情報を制御システムが十分に把握できなかった。例えば、各送給チャネルに装填されているスティックがそのチャネル向けのインク色のスティックかどうか、その機種向けのスティックかどうか等について、制御システムでは判別することができなかった。そのため、自機種向けスティックをその色に応じて正しく送給チャネルに装填できるようにする技術も提案されている。但し、提案されているのは、色違いや機種違いのスティックが送給チャネルに入ることを物理的に妨げる技術、例えばチャネルの挿通口へのスティックの入れ方及び姿勢やチャネル内におけるスティックの並び方及び姿勢を規制するキー部を、スティック外表面に設けてスティック誤装填を防ぐ技術である。その場合、スティック外表面の各部にキー部となる凹凸(鍵状部分)を形成する一方、チャネルの内面やそれへの挿通口の内縁にはそれに対応するキー部又は案内要素(鍵孔状部分)を設ける。こうすると、チャネル側キー部乃至案内要素にかみ合わない外形のスティックは拒まれる。かみ合うキー部を有する外形のスティックはその挿通口を介してチャネル内に通され、チャネル内で正しい並び及び向きに整えられる。
米国特許第5223860号明細書 米国特許第5442387号明細書 米国特許第6761443号明細書 米国特許第6755517号明細書 米国特許第6840613号明細書
上述の方法はその有効性が高く大抵の状況なら固体インクスティックの誤装填を好適に防止できるが、それでもなおプリンタの送給チャネルに不適切なスティックが装填されてしまうことがある。例えば、以前から使用していた小さめのスティックを、より大きなスティックを用いる新たな装填装置に間違って入れるといったことが、生じやすい。これは、価格設定やカラーテーブル(色見本)指定が様々に異なる市場が世界中に形成されたため、サイズや形状にほとんど違いがない別種スティック乃至パッケージが市場に同時流通するからである。例えば、市場における価格設定や対応するカラーテーブルの違いを反映し、ほぼ同一外見のスティックが別機種の相変化インクプリンタ向けとして同時流通することがある。更に、スティック本体には柔らかさ及び滑らかさがあるのでチャネル内に押し込むことができる。そうしたことは、以前から小型のスティックを用いていた場合に生じやすい。インク組成が違い又は適していないスティックがそのような原因で装填されている場合でも、スティック形状について十分な情報を得ていない制御システムは、その誤装填されたスティックを用いて通常通りの印刷動作を実施させてしまう。装填されているスティックが色違いや機種違い(別の相変化インクジェットプリンタ機種向け)のスティックであると、印刷時に手痛いエラーや誤動作が生じることとなりかねない。
ここに、本発明の一実施形態は、相変化インクイメージング装置のインク送給系に入れて用いるインクスティックであって、相対向する2個の端面及び相対向する2個の側面を有しその鉛直中心軸について回転対称な本体と、各端面上に形成され互いに相補的な形状を有する面状の連結部と、各側面上に形成され互いに同一の形状及び鉛直中心軸について互いに回転対称な位置を有するキー部と、を備える。
本発明の他の実施形態は、相変化インクイメージング装置のインク送給系内でインクスティックを移送する方法であって、2個の側面上にそれぞれキー部があり一方の側面上のキー部が一方の端面からまた他方の側面上のキー部が他方の端面から等距離離れているインクスティックを少なくとも1個識別するステップと、識別したインクスティックのキー部に対し相補的な挿通口側キー部を有し且つそのインクスティックに対して相補的な形状を有する挿通口を識別するステップと、識別したインクスティックを、一方の端面がインク送給系の熔融端を向き他方の端面が挿通端を向く二種類の向きのうち何れかの向きにするステップと、識別したインクスティックを識別した挿通口を介してインク送給系に入れるステップと、を有する。
本発明の更に他の実施形態は、相変化インクイメージング装置に入れて使用するインクスティックであって、2個の端面及び相対向する2個の側面を有する本体と、各端面上に形成され互いに相補的な形状の略鉛直方向輪郭を有する面状の連結部と、各側面上に形成され互いに同一の形状を有し且つ本体の鉛直中心軸について互いに回転対称な位置を有するキー部と、を備える。
以下、本発明の実施形態に関し全般的理解を得るべく別紙図面を参照して説明を行う。図中、同様の部材には一貫して同様の参照符号を付してある。また、本願における「プリンタ」は例えば複製装置一般のことであり、従ってプリンタ、ファクシミリ機、コピー機、いわゆる多機能器等も含まれる。同じく「印刷ジョブ」は電子的な複製対象物等を含む情報のことである。そして、以下の説明でインクカートリッジ乃至ハウジングからプリントヘッドへのインクの送給乃至移送と称する場合、その実現には例えば種々の熔融装置、中間連結/接続手段、管路、マニホルドその他の部材乃至機能が用いられうるものとする。即ち、印刷システムには組み込まれるが本発明の着想には肝要でないものが適宜用いられうるものとする。
図1に、相変化インクイメージング装置の一例構成10をブロック図により示す。本装置10は固体インクスティックの装填貯留場所である固体インク源14を有している。インクヒータ(インク熔融装置)18は、スティック温度を融点に比べ十分に高い温度まで上げることでそのスティックを熔融させる。それにより液化したインクは重力、ポンピング動作又はその組合せによってプリントヘッドアセンブリ20に供給される。また、本装置10は直接印刷及び間接印刷の何れの方式でも構成できる。直接印刷とはプリントヘッドから印刷先媒体表面に向け直にインクを吐出する方式である。
図1に示した例では、装置10が間接印刷(オフセット印刷)方式により構成されている。間接印刷では、支持用の機構によって支持されているエンドレスベルトや図示の如くプリントドラム28の表面膜という形態を採る中間転写面に向けてインクを吐出する。画像転写プロセスにおいては、インクが被着しているドラム28へとシート送給装置24により記録媒体34を送り込み、その媒体34を加圧ローラ30を用いドラム28の表面膜に押しつけることによって、ドラム28上のインクを媒体34に転写させる。即ち、ドラム28とローラ30との間の接触間隙(いわゆるニップ)に圧力及び熱を加えることで、ドラム28上から媒体34上へとインク画像を転写させる。
本装置(プリンタ)10を構成する各種サブシステム、コンポーネント及び機能はコントローラ38による制御及び支援の下に稼働させる。コントローラ38は例えばCPU(中央処理ユニット)及び記憶用電子回路を有し且つディスプレイ等のUI(ユーザインタフェース)等を提供するマイクロコントローラとして構成することができる。コントローラ38は、画像源40例えばスキャナ乃至コンピュータにて撮像乃至取得した画像データを調製する等して、画像源40からプリントヘッドアセンブリ20に至る画像データフローを管理する。コントローラ38は、本装置10を構成する他の全てのサブシステムを稼働させ印刷動作を含む本装置10の全機能を制御する主マルチタスクプロセッサであり、従ってそれらのサブシステムを制御するのに必要なハードウェア、ソフトウェア等々を具備乃至搭載している。
図2に示すように、本装置10はフレーム44を備えている。このフレーム44には、本装置10内で稼働する全てのサブシステム及びコンポーネント、例えば上掲した各種のサブシステム及びコンポーネントが、直に又は他の部材を介して実装されている。そのうち図中の固体インク送給系48は装填ステーション50から熔融ステーション54へと固体インクスティックを前進させる部材である。熔融ステーション54は送られてくる固体インクスティックを熔融させ、液化したインクを図示しないプリントヘッド系に供給するよう構成されている。なお、固体インクは様々な形状乃至形態を採りうるが、本願ではそれらを全て固体インクスティック、インクスティック或いは単にスティックと称している。また、送給系48は複数本の送給チャネル(シュート)58から構成されており、各チャネル58はそれぞれ別の色のスティックを移送するのに使用されている。即ち、図示例ではシアン、マゼンタ、ブラック及びイエローの合計四色分のチャネル58が設けられている。なお、ここで述べた色順は仕上がりを左右するような事項ではなく、また本発明の目的を達成する上でもさして重要でない事項である(他の個所でも同様)。
装填ステーション50には複数個のキー付挿通口60が設けられている。各挿通口60は、固体インク送給系48に複数本設けられている送給チャネル58のうち対応するものの挿通端への入り口である。各挿通口60はスティック側キー部と番う形状を有しているので、各チャネル58にスティックを入れる際に、そのチャネル58に対応する挿通口60にて、そのチャネル58に入れてよい形状のスティックだけを挿通させ他は阻止することができる。
各送給チャネル58の形状が直線状でないのは本装置10内のスペースを有効利用するためである。即ち、非直線状の方が直線状よりも多数のスティックを装填できるためである。また、チャネル58が非直線状であるため、装填ステーション50から熔融ステーション54に至るスティック送給路の形状を、送給に適する任意の形状にすることができる。ステーション50からステーション54へのスティック送給に適する送給路を形成するには例えば直線状区間と湾曲区間を適宜組み合わせてチャネル58を構成するとよい。その場合、送給路全長に比した湾曲区間長乃至弧状区間長の大きさは小さくてもよいしかなり大きめでもよい。同様に、送給路全長に比した直線区間長の大きさは小さくてもよいしかなり大きめでもよい。また、チャネル58の全長を弧状区間にすることも、曲率半径が異なる複数本の弧をつなげ或いはその曲率半径を徐変させてチャネル58を形成することもできる。
図3に示すように、固体インク送給系48には駆動部材64が付設されている。駆動部材64は各送給チャネル58内に形成されるスティック送給路に沿って1個又は複数個の固体インクスティック68を移送するための部材であり、図示例ではチャネル58毎に1個ずつ設けられている。また、図示例における駆動部材64はベルトによって実現されており、またそのベルト64は対応するチャネル58内の送給路のほとんど全長に亘って寄り添っている。従って、各チャネル58内にそのチャネル58に対応する色のスティック68を入れると、そのスティック68はそのチャネル58内に保持されたまま所望送給路沿いに案内され前進していく。なお、駆動部材64の形態、形状、寸法等は適宜設計することができる。例えば送給路全長に亘りスティック移送を担うように構成してもよいし、送給路の一部分だけでスティック移送を担うように構成してもよい。また、スティックを案内する機能だけを担わせることも、スティックを支持する機能だけを担わせることも、或いはその双方を担わせることもできる。例えば、送給路の全長又はその一部において主たるスティックガイドとして機能するようにしてもよい。
また、図示例におけるベルト64は円形断面ベルトであり、間隔配設された一組のプーリに架けられその緊張状態が保たれている。使用されるプーリにはドライブプーリ70とアイドルプーリ74(1個でも複数個でもよい)とがある。そのうちドライブプーリ70は回転駆動の対象となるプーリであり、その手段としては図示例ではモータアセンブリ78を用いている。このアセンブリ78にて使用するモータは例えば反転駆動可能なモータとする。そうすれば、送給路沿いスティック移動方向を前方にするか後方にするかを随時切り換えることができる。また、図示の固体インク送給系48のように直線区間及び非直線区間双方を有する装填送給装置では、直線区間と非直線区間の間の遷移区間や重力だけではスティック68同士を密着させられない区間を含め送給路の全長に亘りスティック68を案内するのが望ましい。そのためには、各チャネル58又はチャネル58間に、チャネル58沿いにスティック68を案内できるように、駆動部材以外の部材も設けるとよい。例えば図中のチャネル58に複数個ずつ付設されている押圧部材80は、ピンチローラ及びそれをベルト64方向に付勢するバネから構成されている。この押圧部材80によってベルト64方向に押すことで、ベルト64・スティック68間を十分に摩擦させ、スティック68がベルト64から重力滑落することを防ぐことができる。但し、押圧部材80は他の形態も採ることができる。
次に、固体インクスティックが採りうる様々な形状について説明する。図4及び図6に、固体インク送給系48にて使用しうる固体インクスティックの一例形状100を示す。図中、134はスティック100の頂面、138は底面、140及び144は側面、148及び150は端面である。図示例では頂面134と底面138がほぼ同形状且つほぼ平行、側面140及び144が互いにほぼ平行、端面148及び150が互いにほぼ平行である。側面140及び144と端面148及び150はほぼ直交してスティック本体の脇縁となっており、またそれらは頂面134及び底面138ともほぼ直交している。装填時には、端面148及び150のうち一方(例えば148)が先端面になり他方(例えば150)が後端面になる。なお、この図では各面がほぼ平坦で、相対向する面同士が互いにほぼ平行且つ同形状で、隣り合う面同士がほぼ直交する例を示したが、スティック本体の各表面を平坦にする必要はなく、相対向する面同士を平行にする必要も隣の面に対して直交させる必要もなく、更に相対向する面同士をほぼ同形状で正面から向かい合わせる必要もない。また、スティック本体は、注入成形、射出成形、加圧成形等、既知の手法で形成することができる。
また、図4及び図6に示したスティック100は選別的装填に役立つキー部154を有しており、他方図5に示す装填ステーション108側の挿通口110にもキー部158が設けられている。従って、キー部154とキー部158が相補的な形状即ち互いに番う形状を有していれば、そのキー付挿通口110を介しその送給チャネル58内にスティック100を挿通させることができるが、そのような形状でなければ挿通させえない。また、図示例ではスティック本体の側面140に縦溝乃至凹部を設けてキー部154とし、それと相応する形状の凸部即ち開口面内部に向かう突起を挿通口110の縁の一辺に設けてキー部158としているが、キー部154及び158は他の面/辺或いは他の位置に配設してもよく、その個数は何個でもよく、またその形状も図示以外の形状にすることができる。
更に、前述した通り、固体インク送給系48により画定される送給路には直線区間以外に弧状乃至湾曲区間がある。この区間におけるスティック送給を円滑に行うには、図7に示すようにスティック底面138’(及び頂面134’)を湾曲させればよい。この固体インクスティック100’は、図8に示すように、送給チャネル58の非直線区間(湾曲区間乃至弧状区間)118の曲率半径とほぼ等しくなるよう、その底面138’(の該当部分)の曲率半径が設定されている。このようにチャネル58及びスティック100’の湾曲面をほぼ一致させると、チャネル側湾曲区間118内を方向Fに沿って移動中はスティック100’の位置が駆動部材124の表面に対して一定の高さを保つこととなる。従って、チャネル58内におけるスティック100’の捩れ、がたつき、ジャミング(詰まり)等は発生しにくい。
図9〜図13に、スティック100の別例構成として、その前後の端面148及び150に連結部を設けることによって送給チャネル58沿いのスティック送給をより確実且つ円滑に行えるようにした構成を示す。図示各例における連結部はスティック100の前後にある端面148及び150それぞれに設けられていて、それらはそれぞれ縦畝乃至凸部160及び縦溝乃至凹部164から形成されている。端面148及び150上ではそれらが隣り合わせに配置されており、図10〜図13から好適に看取できるように協働してほぼ「S」字状の端部輪郭を形成している。更に、図9〜図13から看取できる通り、これらの例に係るスティック100では、端面148上の連結用凸部160と端面150上の連結用凹部164とが鏡面対称な位置にあり、端面150上の凸部160と端面148上の凹部164とが鏡面対称な位置にある。そのため、こうしたスティック100を同一チャネル58内に複数個入れると、隣り合わせになったスティック100同士が図13に示す如く突合して数珠つながりになる。同図に示す例では、スティック100Aの後端面150にスティック100Bの先端面148がぶつかっており、また凹部164Aには凸部160Bが、凹部164Bには凸部160Aが、それぞれ収まっている。このようにしてチャネル58内でスティック同士を相互連結すると、それによってスティック間横方向相対移動が制約されるので、送給路に沿って移動中の各スティック100が他のスティック100やチャネル58に対して捻れてしまうことが減り又は生じなくなる。
また、図示各例に係るスティック100は、図9〜図12から理解できるようにその向きを前後反転して使用することができる。即ち、そのスティック100に対して相補的な形状を有するキー付挿通口に、端面148及び150のうちどちらを前方(熔融端の方向)に向けたらよいかを意識せずに、挿通することができる。このような反転使用が可能なのは、端面148上の連結部と端面150上の連結部とが互いに相補的な形状であることの他、スティック100の側面140におけるキー部形状と側面144におけるキー部形状とが前後対称であるためである。即ち、端面148に対する側面140上のキー部位置と端面150に対する側面144上のキー部位置とがほぼ同一であるためである。例えば図9及び図10に示す例では、端面148から側面140上のキー部168までの距離及び端面150から側面144上のキー部178までの距離が何れも距離Dであり、端面148から側面140上のキー部170までの距離及び端面150から側面144上のキー部174までの距離が何れも距離Eである。従ってこのスティック100は180°回転に対して対称性を呈する。即ち、図10に示すように、このスティック100を鉛直中心軸Aを中心に180°回動させても、上から見たときの形状は変わらない。また、図11及び図12に、前後反転を可能にするスティック側キー部配置について別例を示す。図11及び図12に示した各例スティックは、鉛直中心軸Aを中心とする180°回動では上から見た形状がほとんど変わらない。
こうした前後反転可能型スティック100は、従って、インク装填装置(送給チャネル58)に設けられた相補形状のキー付挿通口に、少なくとも二種類の向きで挿通することができる。即ち、その前後を反転して挿通可能であり、そのチャネル58の熔融端側にスティック100の端面148を向け挿通端側に端面150を向けることも、またその逆に熔融端側に端面150を向け挿通端側に端面148を向けることもできる。
更に、直線区間及び湾曲区間双方を有する送給路に沿ってスティック100をより確実且つ円滑に移送するには、そのスティック100の端面輪郭及び連結部を更に工夫するとよい。即ち、送給チャネル58の全区間に亘って隣接スティックとの連結を好適に維持でき且つその隣接スティックとの接触面に加わる力で捩れることを防止できるように、各スティック100の端面特に連結部の形状を工夫すればよい。図14及び図17に、その一例として多姿勢連結部付のスティック100を示す。多姿勢連結部とは、隣接スティックの連結部と突合してかみ合う連結部であって、形成先のスティック100が送給路上のどの区間にあるときでも隣接スティックの連結部と少なくとも部分的に突合しかみ合うよう構成された連結部のことである。図17に示す通り、本例のスティック100では、図9に示したスティック100の連結部と同様、縦畝乃至凸部188と縦溝乃至凹部190を隣り合わせに配置しているが、それらは非直線状の送給路例えば直線区間及び湾曲区間双方を有する送給路にて好適に使用可能な多姿勢連結部となるように構成されている。なお、本願中でスティック100の向きに関して「縦」という場合、それはそのスティック100の底面を頂面より下側にしたときの上下方向(図17に示した向き)のことであり、「横」とはその状態での前後方向のことである。
図14及び図17に示した多姿勢連結部が前掲の連結部と異なる点は上部180と下部184に分かれていることである。即ち、スティック100が送給チャネル内直線区間120に位置しているときはその上部180が隣接スティックの同部分と突合してかみ合い(図15参照)、また同チャネル内湾曲区間118に位置しているときはその下部184が隣接スティックの同部分と突合してかみ合う(図16参照)。
更に、図14〜図17に示した構成では、連結部の上部180及び下部184が、横から見て何れもほぼまっすぐに見えるように形成されている。端面148のうち上部180に属する部分と端面150のうち上部180に属する部分の角度は、送給路の直線区間120にスティック100がいるとき相隣り合うスティック100の上部180同士が突合するよう設定されている。即ち、図15に示すように、相隣接するスティック100C及び100Dの連結部上部180C及び180Dをほぼ全高に亘り突合させている。同様に、端面148のうち下部184に属する部分と端面150のうち下部184に属する部分の角度は、送給路の湾曲区間118にスティック100がいるとき相隣り合うスティック100の下部184同士が突合するよう設定されている。即ち、図16に示すように、スティック100C及び100Dの連結部下部184C及び184Dをほぼ全高に亘り突合させている。
また、図15及び図16に示すスティック100には更に連結部内遷移部を設けてもよい。連結部内遷移部とは連結部の上部180と下部184の間に設ける部分であり、例えば送給の進行に伴い送給路の直線区間から非直線区間へとスティック100が移行するときに、そのスティック100と隣接スティックとの連なりを保ちそのスティック100の横方向移動を制約するように設ける。
即ち、図15及び図16に例示したスティック100では連結部が上部180と下部184に分かれているが、連結部を3個以上の部分に分け、それらによって送給路上のより多くの区間で隣接スティックとの連結を維持するようにしてもよい。更に、図示した多姿勢連結部ではその上部180及び下部184が横から見てほぼ直線状に延びているが、これは曲がっていてもよい。或いは、少なくともその一部が隣接スティックの連結部の一部と突合するよう前後の端面148及び150のほぼ全高を湾曲させてもかまわない。その種のスティック100は、平面沿いに延びる送給路、立体的に曲がりくねった送給路、上に凸の湾曲区間を有する送給路、下に凸の湾曲区間を有する送給路、様々な曲率半径の湾曲区間を組み合わせた送給路、その曲率半径が徐変する湾曲区間を有する送給路、それらを様々な個数で様々に組み合わせた送給路等でも、使用することができる。
これら、図9〜図17を参照して上述した各構成では、その連結部により、送給チャネル58内を連なって移動するスティック100の相対移動のうちの横方向移動を制限することができる。これに対して、図18及び図19に示す別例のスティック100では、そうした相対移動を多方向に亘り制限できるようにその連結部を構成してある。即ち、スティック100の端面148及び150それぞれに複数個の連結用凸部(ボス)204及び210並びに複数個の連結用凹部(ボス受け)208及び214を配置し、それらによって多方向多姿勢連結部194を形成している。各端面に複数個ある凹部208及び214のサイズ及び位置は、逆側の端面に複数個ある凸部204及び214のサイズ及び位置に対して相補的である。
即ち、図18に例示した多方向多姿勢連結部194は上部198と下部200に分かれていて、上部198には凸部204と凹部208とが、また下部200には連結用凸部210と連結用凹部214とが、それぞれ隣り合わせに設けられている。上から見ると、上部198の凸部204は下部200の凹部214と少なくとも部分的に重なる位置にあり、また上部198の凹部208も下部200の凸部210と少なくとも部分的に重なる位置にある。スティック100の端面148と端面150はほぼ同じ形状である。
従って、図20に示すように、あるスティック100Fの連結部上部198にある凸部204Fは隣接スティック100Eの連結部上部198にある凹部208Eにはまり、またスティック100Eの連結部上部198にある凸部204Eは隣接スティック100Fの上部198にある凹部208Fにはまる。更に、スティック100Fの連結部下部200にある凸部210Fは隣接スティック100Eの連結部下部200にある凹部214Eにはまり、図上隠れているがスティック100Eの連結部下部200にある凸部は隣接スティック100Fの連結部下部200にある凹部にはまる。このように、送給チャネル58内で隣り合うスティック100の連結部上部198及び下部200にそれぞれ凸部204/210及び凹部208/214を設け、それらをかみ合わせることによって、チャネル58内におけるスティック100同士の相対移動を縦方向及び横方向双方に亘り制限することができる。
なお、多方向多姿勢連結部194は様々な形態で好適に実現することができる。例えば、スティック100の端面148及び150における凸部204/210及び凹部208/214の形成個数は様々に設定することができる。また、図18〜図20に例示したスティック100はほぼ回転対称な形状であるが、多方向多姿勢連結部194を有するものの回転対称ではないスティックも実現可能である。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本件技術分野において習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)には、本願記載の実施形態には様々な変形の余地があることをご理解頂けよう。無論、別紙特許請求の範囲に記載の発明を、上述の具体的実施形態に限定して解釈すべきではない。別紙特許請求の範囲(及び今後補正された場合にはその補正後の特許請求の範囲)に記載の発明は、本願記載の実施形態及び本願による開示事項に照らして変形物、代替物、修正物、改良物、均等物及び実質的均等物に該当するものも包含する発明である。本願出願時点で発見乃至認識されているか否か、またそれをなしたのが本願の出願人乃至本発明の発明者であるか否かは肝要でない。
相変化インクイメージング装置の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る相変化インクイメージング装置を斜め上から見た一部切欠拡大図である。 図2に示した装置の固体インク送給系を示す斜視図である。 固体インクスティックの一例構成を示す斜視図である。 インク送給系のキー付挿通口を示す頂面図である。 図4に示したスティックの側面を示す図である。 固体インクスティックの別例構成を示す側面図である。 インク送給系を構成する送給路のうちの非直線区間及びその上に載っている図7のスティックを示す側面図である。 固体インクスティックの別例構成を斜め上から見た図である(図中「XEROX」は登録商標である)。 図9に示したスティックの回転対称性を示す頂面図である(図中「XEROX」は登録商標である)。 回転対称性を呈する固体インクスティックの別例構成を示す頂面図である。 回転対称性を呈する固体インクスティックの別例構成を示す頂面図である。 連結部同士がかみ合って連なっている2個の固体インクスティックを示す頂面図である。 固体インクスティックの別例構成を示す側面図である。 送給路の直線区間上で2個連なっている図14のスティックを示す側面図である。 送給路の非直線区間上で2個連なっている図14のスティックを示す側面図である。 図14に示したスティックの端面を斜め上からクローズアップした図である。 固体インクスティックの別例構成を斜め上から見た図である。 図18に示したスティックの端面を示す図である。 2個連なっている図18のスティックを斜め上から見た図である。
符号の説明
10 相変化インクイメージング装置、48 固体インク送給系、50 装填ステーション、54 熔融ステーション、58 送給チャネル(シュート)、60,110 キー付挿通口、68,100,100’,100A,100B,100C,100D,100E,100F 固体インクスティック、134,134’ スティックの頂面、138,138’ スティックの底面、140,144 スティックの側面、148,150 スティックの端面、154,168,170,174,178 スティック側のキー部、158 挿通口側のキー部、160,160A,160B,188,204,204E,204F,210,210F 連結用凸部(縦畝/ボス)、164,164A,164B,190,208,208E,208F,214,214E 連結用凹部(縦溝/ボス受け)、A 鉛直中心軸、D,E 距離、F 送給方向。

Claims (4)

  1. 相変化インクイメージング装置のインク送給系に入れて用いるインクスティックであって、
    相対向する2個の端面及び相対向する2個の側面を有しその鉛直中心軸について回転対称な本体と、
    各端面上に形成され互いに相補的な形状を有する面状の連結部と、
    各側面上に形成され互いに同一の形状及び鉛直中心軸について互いに回転対称な位置を有するキー部と、
    を備えるインクスティック。
  2. 請求項1記載のインクスティックであって、各側面上のキー部のうち少なくとも各1個が凹部であるインクスティック。
  3. 相変化インクイメージング装置のインク送給系内でインクスティックを移送する方法であって、
    2個の側面上にそれぞれキー部があり一方の側面上のキー部が一方の端面からまた他方の側面上のキー部が他方の端面から等距離離れているインクスティックを少なくとも1個識別するステップと、
    識別したインクスティックのキー部に対し相補的な挿通口側キー部を有し且つそのインクスティックに対して相補的な形状を有する挿通口を識別するステップと、
    識別したインクスティックを、一方の端面がインク送給系の熔融端を向き他方の端面が挿通端を向く二種類の向きのうち何れかの向きにするステップと、
    識別したインクスティックを識別した挿通口を介してインク送給系に入れるステップと、
    を有する方法。
  4. 相変化インクイメージング装置に入れて使用するインクスティックであって、
    2個の端面及び相対向する2個の側面を有する本体と、
    各端面上に形成され互いに相補的な形状の略鉛直方向輪郭を有する面状の連結部と、
    各側面上に形成され互いに同一の形状を有し且つ本体の鉛直中心軸について互いに回転対称な位置を有するキー部と、
    を備えるインクスティック。
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