JP2008221753A - 積層体およびその製造方法、波長板ならびに光学フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層体は、第1の部材1と第2の部材2とを備え、第1の部材1と第2の部材2とは貼り合わされている。第1の部材1および第2の部材2の貼り合わせ面の少なくとも一方には、電離線照射処理であるコロナ処理が施されている。
【選択図】図1
Description
高分子材料を含んでいる複数の部材が貼り合わされている積層体であって、
互いに貼り合わされた部材の貼り合わせ面の少なくとも一方が、コロナ処理されていることを特徴とする。
高分子材料を含んでいる2つの部材のうち少なくとも一方の表面に対して、コロナ処理を施す工程と、
2つの部材を、コロナ処理を施した表面を介して貼り合わせる工程と
を備えることを特徴とする。
(1−1)積層体の構成
図1は、本発明の第1の実施形態に係る積層体の一例を示す。この積層体は、例えばディスプレイ用の積層体であり、図1に示すように、第1の光学部材1と第2の光学部材2とを備え、第1の光学部材1と第2の光学部材2とは貼り合わされている。第1の光学部材1および第2の光学部材2の貼り合わせ面は、例えば平面形状となっており、これらの貼り合わせ面の少なくとも一方には、電離線照射処理であるコロナ処理が施されている。
次に、上述の構成を有する積層体の製造方法の一例について説明する。
まず、第1の光学部材1および第2の光学部材2を成形する。第1の光学部材1および第2の光学部材2の成形方法としては、例えば溶液キャスト法、溶融押出法などを用いることができ、生産性の観点からすると、溶融押出法を用いることが好ましい。次に、必要に応じて、成形した第1の光学部材1および第2の光学部材2を例えば横一軸延伸、縦一軸延伸または逐次二軸延伸することにより延伸配向させる。これにより、第1の光学部材1および第2の光学部材2の屈折率が制御される。
次に、第1の光学部材1および第2の光学部材2の貼り合わせ面の少なくとも一方に、コロナ処理を施す。なお、コロナ処理は、例えば、貼り合わせ面の少なくとも一部、好ましくは全部に対してなされる。また、第1の光学部材1および第2の光学部材2のうち、一方の光学部材の貼り合わせ面にコロナ処理を施し、他方の光学部材の貼り合わせ面にコロナ処理以外の電離線照射処理を施すようにしてもよい。コロナ処理以外の電離線照射処理としては、例えば、電子線処理、低温プラズマ処理などを挙げることができる。
次に、第1の光学部材1と第2の光学部材2とを、コロナ処理が施された貼り合わせ面を介して貼り合わせる。強固な接着力を得るためには、第1の光学部材1と第2の光学部材2とを加圧下で接触させること、または第1の光学部材1と第2の光学部材2とを接触させた後、加圧することが好ましい。また、第1の光学部材1と第2の光学部材2とを加熱下で接触させること、または貼り合わせ後に積層体を加熱処理することが好ましい。これらの加熱温度は、40℃以上、且つ、第1の光学部材1と第2の光学部材2とを構成する高分子材料のガラス転移点Tg以下とすることが好ましい。なお、第1の光学部材1と第2の光学部材2とが異なる高分子材料からなる場合には、加熱温度は、40℃以上、且つ、第1の光学部材1および第2の光学部材2を構成する高分子材料のガラス転移点Tgのうち、より低いガラス転移点Tg以下にすることが好ましい。40℃未満になると剥離強度が低くなり、第1の光学部材1および第2の光学部材2のガラス転移点Tg点を超えると第1の光学部材1と第2の光学部材2が変形してしまう傾向がある。第1の光学部材1および第2の光学部材2の少なくとも一方が位相差板や位相差フィルムなどである場合には、加熱温度をガラス転移点Tg以下にすることが特に好ましい。位相差板や位相差フィルムなどをガラス転移点Tgを超えて加熱すると、その形状のみならず位相差も変化してしまうためである。なお、常温においても光学部材を貼り合わせることは可能であるため、所望の剥離強度が得られていれば、上述した加熱の工程を省略することもできる。上述した加圧および加熱は、例えば、熱ラミネータなどを用いて行うことができる。
(2−1)積層体の構成
図2は、本発明の第2の実施形態に係る積層体の一例を示す。この積層体は、例えばディスプレイ用の積層体であり、図2に示すように、第1の光学部材3と第2の光学部材4とを備え、第1の光学部材3と第2の光学部材4とは貼り合わされている。第1の光学部材3および第2の光学部材4の貼り合わせ面の少なくとも一方には、電離線照射処理であるコロナ処理が施されている。第1の光学部材3の貼り合わせ面は、例えば平面形状となっており、第2の光学部材4の貼り合わせ面は、例えば規則的または不規則的な凹凸形状となっている。
上述の構成を有する積層体の製造方法は、光学部材として第3の光学部材3および第4の光学部材4を用いる以外のことは上述の第1の実施形態と同様である。
本実施例のコロナ放電処理装置の放電エネルギーは、以下のようにして求めた。
放電エネルギー=P[W]/(l[m]×v[m/min])
放電電極長:l[m]
処理速度:v[m/min]
放電電力:P[W]
フィルム積層体の剥離強度を評価するため、図3に示す形状の試験片を作製した。これは、フィルムA(11)とフィルムB(12)を貼り合わせてシート状としたものを、カッターで巾20mm、長さ100mmの矩形状に切り出したものである。さらに試験実施の際には、このシート片を同寸法のガラスプレート13に粘着剤層14で固定した。試験時には、図3に示すフィルムA(11)のみを試験片から剥がし、フィルムA(11)とフィルムB(11)の間の剥離強度を測定した。なお、上述のような試験片で剥離力を測定する場合、シート片をガラスプレート13に固定する粘着剤層14の強度がフィルム間の接着の強度より高くなければならない。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、各々の表面に1700W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。なお、貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムと、厚さ100μmのPENフィルムとを準備し、各々の表面に1700W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。なお、貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムと、厚さ100μmのPCフィルムとを準備し、各々の表面に1700W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。なお、貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ100μmのPENフィルムを2枚準備し、各々の表面に1700W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。なお、貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、各々の表面に1700W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。次に、積層体を100℃のオーブンに1時間保存することにより、積層体に加熱処理を施した。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、各々の表面に500W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、各々の表面に1000W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、各々の表面に30000W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、各々の表面に1700W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。次に、積層体を40℃のオーブンに1時間保存することにより積層体に熱処理を施した。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、表面処理を施さずに貼り合わせることにより積層体を得た。貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、各々の表面に1700W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、アクリル系の紫外線硬化型接着剤を用いてフィルム同士を貼り合わせることにより積層体を得た。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、各々の表面に400W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
厚さ80μmの環状オレフィンフィルムを2枚準備し、各々の表面に30500W/m2/minの放電エネルギーでコロナ処理を行った。その後、コロナ処理された表面同士を貼り合わせることにより積層体を得た。貼り合わせは、フィルム同士を密着させるためにハンドローラーを用いてフィルムを軽く加圧するようにして行った。その後、得られた積層体を20mm×100mmの幅に切断し90°剥離強度(N/20mm)を測定した。
(a)コロナ処理を施した実施例1〜9では、剥離強度の程度の差はあるが、フィルム同士接着されているのに対して、コロナ処理を施さなかった比較例1では、フィルム同士が接着されていない。すなわち、コロナ処理をフィルム表面に施すことによりフィルム同士を接着することができる。
ZEONORフィルムにコロナ処理を行い、−COOHで化学修飾したSPM(Scanning Probe Microscope)探針で表面走査し、官能基分布や活性の様子の観察を行うCFM(Chemical Force Microscope)表面解析を行った。その結果、ダングリングボンドが表面に生成されていることがわかった。また、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による表面官能基量の分析の結果では、含酸素官能基の増加が確認された。
このように、表面状態が非常に活性化された状態のままで、その表面同士を接触させると、接着剤を用いなくてもフィルムなどの光学部材同士が化学的に結合して貼り合わせが可能になるものと考えられる。
2,4 第2の光学部材
Claims (15)
- 高分子材料を含んでいる複数の部材が貼り合わされている積層体であって、
互いに貼り合わされた上記部材の貼り合わせ面の少なくとも一方が、コロナ処理されていることを特徴とする積層体。 - 上記複数の部材は、1種または2種以上の部材からなることを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 上記高分子材料が、環状オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 上記複数の部材が、位相差フィルムであることを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 上記複数の部材の少なくとも1つが、該部材の貼り合わせ面に凹凸形状を有することを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 上記部材の剥離強度が、1.1〜2.4N/20mmであることを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 請求項1〜6のいずれか記載の積層体を備える波長板。
- 請求項1〜6のいずれか記載の積層体を備える光学フィルム。
- 高分子材料を含んでいる2つの部材のうち少なくとも一方の表面に対して、コロナ処理を施す工程と、
上記2つの部材を、上記コロナ処理を施した表面を介して貼り合わせる工程と
を備えることを特徴とする積層体の製造方法。 - 上記コロナ処理の放電エネルギーが、500〜30000W/m2/minであることを特徴とする請求項9記載の積層体の製造方法。
- 上記コロナ処理の放電エネルギーが、1000〜20000W/m2/minであることを特徴とする請求項9記載の積層体の製造方法。
- 上記コロナ処理の放電エネルギーが、1700〜20000W/m2/minであることを特徴とする請求項9記載の積層体の製造方法。
- 上記貼り合わせの工程では、上記2つの部材の少なくとも一方を加熱処理しながら貼り合わせることを特徴とする請求項9記載の積層体の製造方法。
- 上記貼り合わせの工程の後に、貼り合わされた上記2つの部材の少なくとも一方を加熱処理する工程をさらに備えることを特徴とする請求項9記載の積層体の製造方法。
- 上記加熱処理の温度は、40℃以上、且つ上記部材の高分子材料のガラス転移点Tg以下であることを特徴とする請求項13または14記載の積層体の製造方法。
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