JP2008221142A - 廃棄物の処理方法と処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】 炉の起動を毎日行う間欠運転方式の、廃棄物処理量に比べて容量の大きい炉を使用して燃焼状態を安定させる一方、起動用の燃料に有機性廃棄物を発酵させて回収するメタンガスを使用することにより炉の起動に重油などの化石燃料を不要とし、廃棄物の焼却処理量も削減できる廃棄物の処理方法を提供する。
【解決手段】 可燃ごみを主に焼却処理する間欠運転方式の焼却炉7に湿式メタン発酵槽4’を併設し、起動に必要な量のメタンガスを発酵させるのに必要な量の生ごみを分別収集し、湿式メタン発酵槽4’によりメタン発酵させてバイオガスを回収し、このバイオガスを焼却炉7の起動に使用する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、主に一般廃棄物(産業廃棄物を含む)を対象とする廃棄物の処理方法と処理設備に関するもので、詳しくは、廃棄物のうち可燃ごみなどを焼却して処理するための、焼却炉、ガス化溶融炉、直溶融炉、炭化炉、RDF(廃棄物固形化燃料)製造装置などの廃棄物処理炉として、24時間連続運転する炉ではなく、1日に8時間運転(機械バッチ式と呼ばれる)や16時間運転(准連続式と呼ばれる)し、毎日、起動および停止を行う間欠運転方式の炉を備えた廃棄物の処理方法と処理設備に関する。
上記のような間欠運転方式の廃棄物処理炉(以下、焼却炉という)を採用するのは、連続運転方式の焼却炉では、収集し処理する廃棄物の量との関係で、単位時間当たりの焼却処理能力が小さくなり過ぎるので、廃棄物を燃焼させる際に燃焼状態が不安定になる、というのが理由である。つまり、人口の少ない自治体などでは、廃棄物の処理量が少ないので、本来は焼却炉の規模(サイズ)を実際に使用している焼却炉よりも小さくできるが、単位時間当たりの焼却処理量が小さくなると、焼却炉内における廃棄物の燃焼状態が不安定になる。また、そうしたごみ処理場では、一般的に、焼却炉を含む廃棄物処理設備が老朽化している場合が多い。なお、図6は従来の間欠運転式焼却炉を備えた廃棄物処理設備31の構成を概略的に示すシステムフロー図で、同図に示すように、廃棄物処理設備31は準連続式焼却炉7の手前にピット6を備え、収集した可燃ごみなどをいったんピット6に貯蔵し、重油などの化石燃料で焼却炉7を毎日起動して一定時間運転し、焼却処理する。
そこで、焼却炉のサイズを廃棄物の焼却処理量に比べて大きくすることによって、廃棄物の燃焼状態は安定する。一方、焼却炉のサイズに比べて毎日処理する廃棄物処理量が少ないために、1日の運転時間を短縮させなければならない。そうすると、焼却炉を間欠運転して対応させることになるため、焼却炉の起動と停止を毎日、行わなければならない。この結果、廃棄物の燃焼状態は安定するが、特に起動時に焼却炉を昇温するのに、多量の燃料(化石燃料の一つである重油など)が必要になる。具体例を挙げると、ある自治体の准連続方式(1日16時間運転)のごみ焼却炉において、18000t/年のごみを処理するのに、炉の起動に91キロリットル/年の重油を使用した実績がある。ここで、焼却炉の稼働日数を280日/年とすると、炉のサイズは64t/16h(18000÷280≒64)になる。
近年、各種有機性廃棄物からメタン発酵させてメタンガス(バイオガスともいう)を回収し燃料として利用することが行われているが、メタンガスの利用に際して、効率の優れたガスエンジンを用いて発電する場合でも、発電機のイニシャルコストやメンテナンスコストが高く、採算性は非常に悪い(赤字になる)。また、熱として利用する場合にも、メタン発酵施設のすぐ近くに、回収されるバイオガスの量に見合うだけの熱の消費先(需要)があるとは限らない。
さらに、最近の傾向として、各家庭で分別したごみを収集する分別収集あるいはごみ処理場で機械で選別する機械選別により、メタン発酵に適したごみとメタン発酵には適さないごみとに分離し、メタン発酵に適したごみをメタン発酵させてメタンガスを回収する一方、メタン発酵残渣物を脱水した脱水汚泥を、メタン発酵には適さないごみと共に焼却する、メタン発酵槽併設タイプの焼却炉(メタン発酵複合焼却施設ともいう)が注目され、開発されている。
こうした廃棄物複合処理施設に関する先行技術として、廃棄物のメタン発酵施設と焼却施設を併設してなる廃棄物複合処理施設において、前記メタン発酵施設で生じた消化ガスを前記焼却施設で燃焼処理させる第1供給ラインと、前記メタン発酵施設から排出される発酵残渣の全量を前記焼却施設で焼却処理させる第2供給ラインとを備えた構造のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−297210号公報
上記の特許文献1に開示された廃棄物複合処理施設では、メタンガスを第1供給ラインを通じて焼却炉の再燃焼室内に供給できるので、補助燃料を利用しなくても安定して再燃焼室内を高温に保持でき、ダイオキシン類の再合成を確実に防止できる。つまり、廃棄物からメタン発酵させたメタンガスを焼却炉の補助燃料として利用することが記載されているが、焼却炉は連続運転する方式の炉であり、またメタンガスは焼却炉の起動には使用されていない。
さらに、最近は、有機性廃棄物をメタン発酵させてメタンガスを回収し、ガスエンジンを用いて発電することが試みられているが、ガスエンジンのメンテナンスコストおよびガスエンジン発電機のイニシャルコストだけでも、電力売却価格をわずかに超える上に、ガス精製装置やガスタンクなどの建設費および維持管理費を含めると、発電することによる経済的な利益はない。一方、廃熱を利用した蒸気や温水の需要があればやや改善されるが、実際にはなかなか存在しない。したがって、メタンガスによる発電は、熱利用の需要がない場合には、採算性が悪いというのが現状である。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、炉の起動が毎日必要な間欠運転方式の、廃棄物処理量に比べて容量の大きい炉を使用して燃焼状態を安定させる一方、起動用の燃料に有機性廃棄物を発酵させて回収するメタンガスを使用することにより炉の起動に重油などの化石燃料を不要とし、廃棄物の焼却処理量を削減でき、地球温暖化防止を図れる廃棄物の処理方法と処理設備することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明に係る廃棄物の処理方法は、可燃ごみを主に焼却処理する焼却炉やガス化溶融炉などの、毎日起動して間欠運転する方式の廃棄物処理炉に、メタン発酵槽を併設し、収集される一般廃棄物のうちメタン発酵に適した発酵適性物、または汚泥・家畜糞尿などのバイオマスの少なくとも一方を、前記メタン発酵槽によりメタン発酵させてバイオガスを回収し、このバイオガスを前記廃棄物処理炉の起動用燃料として使用することを特徴とする。
請求項2に記載のように、前記廃棄物処理炉の起動に必要な燃料に相当するメタンガス量を発酵させられるだけの有機性廃棄物またはバイオマスを収集し、前記メタン発酵槽でメタンガスを発酵させることが好ましい。
請求項3に記載のように、前記有機性廃棄物が分別収集した生ごみからなり、湿式メタン発酵槽でメタンガスを発酵させることもできる。
請求項4に記載のように、前記バイオマスが下水汚泥または家畜糞尿からなり、湿式メタン発酵槽でメタンガスを発酵させてもよい。
また上記の目的を達成するために本発明(請求項5)に係る廃棄物の処理設備は、収集される一般廃棄物のうちメタン発酵に適した発酵適性物と分離したメタン発酵に不適な発酵不適物を主に焼却処理する焼却炉、ガス化溶融炉、直溶融炉などの廃棄物処理炉として、毎日起動・停止させる間欠運転方式の廃棄物処理炉を用いるとともに、この廃棄物処理炉にメタン発酵槽を併設し、下水汚泥、家畜糞尿などのバイオマスまたは前記発酵適性物を前記メタン発酵槽に投入し、メタン発酵させて回収するメタンガスを前記廃棄物処理炉に供給し、炉の起動に利用できるようにしたことを特徴とする。
請求項6に記載のように、前記メタン発酵槽の下流側にガス精製装置およびガスホルダを設け、そのガスホルダに貯蔵したメタンガスを、前記廃棄物処理炉に導入するようにしてもよい。
請求項7に記載のように、前記メタン発酵槽から生じる残渣物を脱水し、脱水した残渣物である脱水汚泥を前記廃棄物処理炉で処理するとともに、前記メタン発酵槽の上流側に混合機または混合槽を設け、脱水後のろ液の一部を前記発酵適性物に混合して前記メタン発酵槽に投入し、ろ液の残部は前記廃棄物処理炉の二次燃焼部内に噴霧して燃焼させることが好ましい。
本発明に係る廃棄物の処理方法あるいは処理設備には、以下のような優れた効果がある。
本発明に係る廃棄物の処理方法あるいは処理設備によれば、収集した一般廃棄物をメタン発酵に適した発酵適性物または汚泥・家畜糞尿などのバイオマスのうち少なくとも一方を、前記メタン発酵槽によりメタン発酵させてバイオガスを回収し、このバイオガスを前記廃棄物処理炉の起動用燃料として使用するので、従来、起動に必要であった重油などの化石燃料が不要になる。また、炉の起動に使用した際に余剰分のバイオガスが生じるときは、ガスエンジン発電機で発電したり、他の燃料に利用できる。収集した廃棄物のうち有機性廃棄物からメタンガスを発酵させるので、その分の廃棄物の焼却処理量を削減できるので、既存の炉の延命化を図れる。
また、前記廃棄物処理炉の起動に必要な燃料に相当するメタンガス量を発酵させれるだけの有機性廃棄物またはバイオマスを収集し、メタンガスを発酵させるようにすれば、有機性廃棄物やバイオマスの置き場が不要になる上に、発酵させたバイオガスは炉の起動で消費するので、メタンガスの余剰分が生じず、外部供給先を調達する必要がない。
さらに、本発明に係る廃棄物の処理設備において、前記メタン発酵槽の下流側にガス精製装置およびガスホルダを設け、そのガスホルダに貯蔵したメタンガスを前記廃棄物処理炉に導入するようにすれば、廃棄物処理炉の起動に用いるメタンガスに余剰分が生じた場合に、そのメタンガスを発電に使用したり熱に利用したり他の燃料に利用したりできる。
また、前記メタン発酵槽から生じる残渣物を脱水した汚泥を前記廃棄物処理炉で処理するとともに、脱水後のろ液の一部を前記発酵適性物に混合して前記メタン発酵槽に投入し、ろ液の残部は前記廃棄物処理炉の二次燃焼部内に噴霧して燃焼させるようにすれば、可燃ごみのみをメタン発酵させたり、炉の起動時の必要量に応じて少量の生ごみを分別収集してメタン発酵させたりすることにより、無排水化が可能になり、排水処理設備を省くことができる。
以下、本発明の廃棄物の処理設備について実施の形態を図面に基づいて説明し、併せて処理方法についても説明する。
図1は本発明の第1実施例に係る廃棄物処理設備1の構成と処理工程を概略的に示すシステムフロー図である。
第1実施例の廃棄物処理設備1は、図1に示すように、廃棄物を焼却したり炭化したり廃棄物固形化燃料(RDF)を製造したりするための廃棄物処理炉7を備えている。この廃棄物処理炉7は、焼却炉やガス化溶融炉や直溶炉のほか炭化炉やRDF製造装置などからなるが、いずれの場合も間欠運転方式の炉が用いられる。本例では准連続方式(1日16時間運転)の焼却炉7を用いるものとする。また、収集した廃棄物のうち、メタン発酵に適した発酵適性物(主に有機性廃棄物)とメタン発酵に適さない廃棄物(発酵不適物)とに分別したのち、固形物濃度が15〜60%の有機性廃棄物を発酵させてメタンガスを回収可能な乾式メタン発酵槽4を併設している。本例の場合、従来の一般的な廃棄物処理設備31(図6参照)において必須の排水処理装置38(図6参照)を省いている。なお、乾式メタン発酵槽4には、発酵が速いがアンモニア阻害を受けやすい、高温のメタン発酵槽を用いている。
本例の廃棄物処理システム1が対象とする可燃ごみ(廃棄物)は、生ごみ、紙類、プラスチック類や金属類などにあらかじめ分別して収集される分別ごみと、分別されていないごみ(非分別ごみ)と、下水汚泥や家畜糞尿などのバイオマスとがある。分別ごみの場合、プラスチック類や金属類などの発酵不適物は焼却炉7の手前に設けられるピット6へ送られ、一時貯留される。一方、生ごみや紙類の一部などの有機性廃棄物だけが前処理装置2へ送られる。また、非分別ごみの場合は、分別せずに前処理装置2へ送られる。さらにバイオマスがある場合には、前処理装置2へ送られるが、本例の試算例では、バイオマスは無し(0t/年)としている。そこで、前処理装置2は本例の場合、機械的に生ごみや紙類などの発酵適性物とプラスチック類や金属類などの発酵不適物とに分別する分別機で構成している。
前処理装置2で前処理した発酵適性物は、乾式メタン発酵槽4の手前(上流側)に設けた混合機3に送り、処理済みの排水(ろ液)を注入して混合する。また、排水が混合に不適な場合や排水だけでは水量が不足する場合は別系統の水を加えて、次の乾式メタン発酵槽4に適した含水率になるように水分量が調整される。例えば生ごみに紙類の一部を混合し、紙類に水を含ませた状態で、乾式メタン発酵槽4に投入し、メタン発酵させてバイオガスを回収する。このバイオガスの回収ラインには、発生したメタンガスに含まれる二酸化炭素を分離し、メタンガスを精製するガス精製装置8およびメタンガスを貯蔵するガスホルダ9がこの順番に接続されている。ガスホルダ9には前記焼却炉7の起動用バーナ(図示せず)にメタンガスを供給するガス供給ライン11が接続されているが、余剰分のメタンガスを発電または燃料として利用できるように、このガス供給ライン11は途中で第2ガス供給ライン12が分岐されている。
メタン発酵後に生じる残渣は、乾式メタン発酵槽4の下流側に設けた脱水機5によって脱水し、脱水残渣である脱水汚泥をピット6へ搬送する。また、残渣物の脱水後に生じるろ液は混合機3へ供給し、有機性廃棄物に混合して水分調整に使用するが、ろ液が残るときあるいはろ液のアンモニア濃度が高くて有機性廃棄物の水分調整に使用できないときに、焼却炉7の二次燃焼部内に噴霧できるようにろ液の供給ライン13が焼却炉7の二次燃焼部に接続されている。このとき臭気ガスが発生すれば、同時に焼却炉7の二次燃焼部内に噴霧する。この結果、排水処理装置による排水処理は不要になる。また、ピット6へ搬送されたプラスチック類などの発酵不適物および脱水汚泥は、適宜、焼却炉7へ投入されて焼却される。なお、ろ液や臭気ガスは焼却炉7の二次燃焼部へ吹き込むので、800℃以上の高温で分解され、臭気も残らない。
ここで、上記第1実施例の廃棄物処理設備1において併設した乾式メタン発酵槽4にて、発酵させたバイオガスによる効果を試算したところ、次のような結果(試算例)が得られた。すなわち、焼却炉7の年間稼働日を280日とする。
1.対象廃棄物 可燃ごみ処理量:14000t/年(バイオマス処理量:0t/年)
2.廃棄物処理設備 准連続式焼却炉7の処理能力:37t/16h×280日
乾式メタン発酵槽4の処理能力19t/日×365日/年
ここでは、乾式メタン発酵槽4に投入する割合を可燃ごみ全体の0.5とし、メタ ン発酵後の脱水汚泥の割合を0.24としたので、ごみ焼却量は0.74となる。
すなわち、14000t×0.74÷280=37t/16hになる。
3.バイオガス発生量;1270000m3/年 焼却炉7で必要な重油量185l/日をバイオガスで 代替えすると、100000m3/年になるので、残る1170000m3/年を外部で利用可能にな る。
4.特長 廃棄物の対象を可燃ごみのみとしたので、無排水化が可能になった。
脱水後のろ液のほとんどを希釈水として使用した。本例はガス余剰量が多い。
図2は本発明の第2実施例に係る廃棄物処理設備1−2とそのシステムフロー図である。
第2実施例の廃棄物処理設備1−2のシステムフローでは、図2に示すように、上記第1実施例の廃棄物処理設備1のシステムフローと異なり、可燃ごみ以外に、バイオマスとしての下水汚泥および豚糞尿を乾式メタン発酵槽4に投入してメタン発酵させ、バイオガスを回収している。このため、水分量が多くなるので、第2実施例の廃棄物処理システム1−2は、上記第1実施例の廃棄物処理システム1において脱水機5からろ液を焼却炉7へ供給する経路とは別に、脱水機5の下流側に図示を省略した排水処理装置を設けている。したがって、排水処理装置では、有機性物質の分解除去や窒素除去が行われ、下水道や河川に放流可能な水質を満たすように処理される。これにより、焼却炉7に吹き込んで処理すべき脱水後のろ液の余剰分を、下水道に放流できる。その他の構成については上記第1実施例と共通するので、説明を省略する。
ここで、上記第2実施例の廃棄物処理設備1−2において併設した乾式メタン発酵槽4にて、発酵させたバイオガスによる効果を試算したところ、次のような結果(試算例)が得られた。すなわち、
1.対象廃棄物 下水汚泥処理量:3500t/年 豚糞尿処理量:3500t/年
可燃ごみ処理量:14000t/年
2.廃棄物処理設備 准連続式焼却炉7の処理能力:49t/16h×280日
乾式メタン発酵槽4の処理能力38t/日×365日/年
ここでは、乾式メタン発酵槽4に投入する割合を可燃ごみ全体の0.5とし、メタン 発酵後の脱水汚泥の割合を0.24としたので、可燃ごみ焼却量は0.74、下水汚 泥・豚糞尿焼却量は0.49となる。
すなわち、(14000t×0.74+(3500t+3500t)×0.49)÷ 280=49t/16hになる。
3.バイオガス発生量;1570000m3/年 焼却炉7で必要な重油量247l/日をバイオガスで 代替えすると、130000m3/年になるので、残る1440000m3/年を外部で利用可能にな る。
4.特長 廃棄物の対象を可燃ごみ以外にバイオマス(下水汚泥と豚糞尿)として 希釈水効果を図った。バイオマスの含水量が極めて多いので、多量の余剰排水が生じるので、排水処理が必要になる。本例はガス余剰量がさらに多い。
図3は本発明の第3実施例に係る廃棄物処理設備1−3とそのシステムフロー図である。
第3実施例の廃棄物処理設備1−3のシステムフローでは、図3に示すように、上記第1実施例の廃棄物処理設備1のシステムフローと異なり、可燃ごみのうちから分別収集した生ごみと、バイオマスとしての豚糞尿を混合槽3’で混合して湿式メタン発酵槽4’に投入してメタン発酵させ、バイオガスを回収している。このため、水分量が多いので、第3実施例の廃棄物処理処理設備1−3においても、上記第1実施例の廃棄物処理設備1において湿式メタン発酵槽4’からの排水の一部を焼却炉7へ供給する経路14を設け、この経路14とは別に、脱水機5の下流側に図示を省略した排水処理装置を設けている。したがって、排水処理装置では、焼却炉7に吹き込んで処理すべき脱水後のろ液の余剰分に加水して希釈するなどして排水処理し、下水道に放流する。その他の構成については上記第2実施例と共通するので、説明を省略する。
ここで、上記第3実施例の廃棄物処理設備1−3において併設した湿式メタン発酵槽4’にて、発酵させたバイオガスによる効果を試算したところ、次のような結果(試算例)が得られた。すなわち、
1.対象廃棄物 豚糞尿処理量:5000t/年 分別生ごみ処理量:3080t/年
可燃ごみ処理量:10920t/年
2.廃棄物処理設備 准連続式焼却炉7の処理能力:45t/16h×280日
湿式メタン発酵槽4’の処理能力22t/日×365日/年
ここでは、湿式メタン発酵槽4’に投入する割合を可燃ごみ全体の0.5とし、メタ ン発酵後の脱水汚泥の割合を0.24としたので、可燃ごみ焼却量は0.74、豚糞 尿焼却量は0.15となる。
すなわち、(10920+5000t×0.24+3080t×0.15)÷280 ≒45t/16hになる。
3.バイオガス発生量;555000m3/年 焼却炉7で必要な重油量225l/日をバイオガスで 代替えすると、119000m3/年になるので、残る436000m3/年を外部で利用可能にな る。
4.特長 事業系または家庭系の可燃ごみのうち、生ごみを分別収集する。この分別され た生ごみに、希釈水効果を兼ねて豚糞尿を受け入れて混合し、湿式メタン発酵槽でメ タン発酵させる。豚糞尿の含水量が多いために多量の余剰排水が生じるので、排水処 理が必要になる。本例はガス余剰量が多い。
図4は本発明の第4実施例に係る廃棄物処理設備1−4とそのシステムフロー図である。
第4実施例の廃棄物処理設備1−4のシステムフローでは、図4に示すように、上記第1実施例の廃棄物処理設備1のシステムフローと異なり、可燃ごみのうちから、焼却炉7の起動に必要な量だけ分別収集した生ごみを湿式メタン発酵槽4に投入してメタン発酵させ、バイオガスを回収している。このため、湿式メタン発酵槽4には処理能力の少ない(3t/日)小型の槽を使用し、また上記第1実施例の廃棄物処理システム1において、ガスホルダ9から焼却炉7へのメタンガス供給ライン11のみを備え、外部への第2ガス供給ライン12は省いている。また上記第3実施例の廃棄物処理設備1−3と同様に湿式メタン発酵槽4’から排水の一部を焼却炉7へ供給する経路14と、湿式メタン発酵槽4’から排水の残りを混合槽3’へ戻す経路15とを設けだけで、湿式メタン発酵槽4’の下流側には排水処理装置を設けていない。その他の構成についても上記第3実施例と共通するので、説明を省略する。
ここで、上記第4実施例の廃棄物処理設備1−4において併設した湿式メタン発酵槽4’にて、発酵させたバイオガスによる効果を試算したところ、次のような結果(試算例)が得られた。すなわち、
1.対象廃棄物 分別生ごみ処理量:1047t/年
可燃ごみ処理量:12953t/年
2.廃棄物処理設備 准連続式焼却炉7の処理能力:46t/16h×280日
湿式メタン発酵槽4の処理能力3t/日×365日/年
ここでは、湿式メタン発酵槽4’でのメタン発酵後の液の全量を焼却炉7へ供給す る。すなわち、12953÷280≒46t/16hになる。
3.バイオガス発生量;161000m3/年 焼却炉7で必要な重油量231l/日だけをバイオガ スで代替えする。
4.特長 事業系または家庭系の可燃ごみのうち、焼却炉7の起動に必要なバイオガス発 酵用の生ごみを分別収集する。余剰排水は生じないので、排水処理が不要である。本 例はガス余剰量がほぼ0で、設備が最小限で済み小型化される。
図5は本発明の第5実施例に係る廃棄物処理設備1−5とそのシステムフロー図である。
第5実施例の廃棄物処理設備1−5のシステムフローでは、図5に示すように、上記第2実施例の廃棄物処理設備2のシステムフローと異なり、可燃ごみとは別に、焼却炉7の起動に必要な量だけの豚糞尿(バイオマス)を混合槽3’を経て湿式メタン発酵槽4’に投入してメタン発酵させ、バイオガスを回収している。豚糞尿は生ごみに比べて単位重量当たりのメタンガス発酵量が少ないので、湿式メタン発酵槽4’は第4実施例に比べて処理能力の大きな(33t/日)槽を使用する必要がある。また上記第2実施例の廃棄物処理システム1において、ガスホルダ9から焼却炉7へのメタンガス供給ライン11のみを備え、外部への分岐させた供給ライン12は省いている。また上記第3実施例の廃棄物処理設備1−3と同様に、脱水機5の下流側には排水処理装置を設けている。その他の構成についても上記第3実施例と共通するので、説明を省略する。
ここで、上記第5実施例の廃棄物処理設備1−5において併設した湿式メタン発酵槽4’にて、発酵させたバイオガスによる効果を試算したところ、次のような結果(試算例)が得られた。すなわち、
1.対象廃棄物 豚糞尿処理量:12100t/年
可燃ごみ処理量:14000t/年
2.廃棄物処理設備 准連続式焼却炉7の処理能力:57t/16h×280日
湿式メタン発酵槽4’の処理能力33t/日×365日/年
ここでは、湿式メタン発酵槽4’でのメタン発酵後の脱水汚泥の割合を0.15 2とした。
すなわち、(14000+12100×0.152)÷280≒57t/16hに なる。
3.バイオガス発生量;196000m3/年 焼却炉7で必要な重油量283l/日だけをバイオガ スで代替えする。
4.特長 焼却炉7の起動に必要なバイオガス発酵用の豚糞尿を受け入れる。豚糞尿は水 分量が多いので排水が生じる。本例はガス余剰量がほぼ0であるが、豚糞尿(単位当 たり)からのメタンガス発酵量が少ないので、実施例4に比べると設備がやや大きく なる。
・上記の各実施例の場合、地球温暖化防止を図れるとともに化石燃料を使用しないで済むので、資源の節約になる。ランイングコストは重油を使用する場合とほぼ同等であるが、家畜糞尿の処理ができる。
・焼却炉7以外に、ガス化溶融炉、直溶炉および炭化炉があり、これらの機械バッチ式や准連続式の炉ではメタンガスを起動時に導入して使用する。なお、RDF製造装置では、乾燥用の熱源にメタンガスを使用する。
ところで、図6に示す従来の間欠運転式焼却炉を備えた廃棄物処理設備31を、本発明についての比較例として挙げる。上記のように、廃棄物処理設備31は準連続式焼却炉7の手前にピット6を備え、収集した可燃ごみなどをいったんピット6に貯蔵し、重油などの化石燃料で焼却炉7を毎日起動して一定時間運転し、焼却処理する。
ここで、可燃ごみの処理量を50t/日とし、焼却炉7の重油使用量を試算したところ、250l/日程度であった。すなわち、
1.対象廃棄物可燃ごみ処理量:50t/日 稼働日を280日とすると、14000 t/年
2.廃棄物処理設備准連続式焼却炉7の処理能力:50t/16h×280日
本発明の第1実施例に係る廃棄物処理システム1の構成を概略的に示すシステムフロー図である。 本発明の第2実施例に係る廃棄物処理システム1−2の構成を概略的に示すシステムフロー図である。 本発明の第3実施例に係る廃棄物処理システム1−3の構成を概略的に示すシステムフロー図である。 本発明の第4実施例に係る廃棄物処理システム1−4の構成を概略的に示すシステムフロー図である。 本発明の第5実施例に係る廃棄物処理システム1−5の構成を概略的に示すシステムフロー図である。 メタン発酵槽を併設していない従来の一般的な廃棄物処理設備31の構成を概略的に示すシステムフロー図である。
符号の説明
1 廃棄物処理システム(廃棄物処理設備)
2 前処理装置
3 混合機
3’混合槽
4 乾式メタン発酵槽
4’湿式メタン発酵槽
5 脱水機
6 ピット
7 間欠運転式焼却炉(廃棄物処理炉)
8 ガス精製装置
9 ガスホルダ
11 ガス供給ライン
12 第2ガス供給ライン
13 ろ液供給ライン

Claims (7)

  1. 可燃ごみを主に焼却処理する焼却炉やガス化溶融炉などの、毎日起動して間欠運転する方式の廃棄物処理炉に、メタン発酵槽を併設し、
    収集される一般廃棄物のうちメタン発酵に適した発酵適性物、または汚泥・家畜糞尿などのバイオマスの少なくとも一方を、前記メタン発酵槽によりメタン発酵させてバイオガスを回収し、このバイオガスを前記廃棄物処理炉の起動用燃料として使用することを特徴とする廃棄物の処理方法。
  2. 前記廃棄物処理炉の起動に必要な燃料に相当するメタンガス量を発酵させられるだけの有機性廃棄物またはバイオマスを収集し、前記メタン発酵槽でメタンガスを発酵させることを特徴とする請求項1記載の廃棄物の処理方法。
  3. 前記有機性廃棄物が分別収集した生ごみからなり、湿式メタン発酵槽でメタンガスを発酵させることを特徴とする請求項2記載の廃棄物の処理方法。
  4. 前記バイオマスが下水汚泥または家畜糞尿からなり、湿式メタン発酵槽でメタンガスを発酵させることを特徴とする請求項2記載の廃棄物の処理方法。
  5. 収集される一般廃棄物のうちメタン発酵に適した発酵適性物と分離したメタン発酵に不適な発酵不適物を主に焼却処理する焼却炉、ガス化溶融炉、直溶融炉などの廃棄物処理炉として、毎日起動・停止させる間欠運転方式の廃棄物処理炉を用いるとともに、この廃棄物処理炉にメタン発酵槽を併設し、
    下水汚泥、家畜糞尿などのバイオマスまたは前記発酵適性物を前記メタン発酵槽に投入し、メタン発酵させて回収するメタンガスを前記廃棄物処理炉に供給し、炉の起動に利用できるようにしたことを特徴とする廃棄物の処理設備。
  6. 前記メタン発酵槽の下流側にガス精製装置およびガスホルダを設け、そのガスホルダに貯蔵したメタンガスを、前記廃棄物処理炉に導入するようにしたことを特徴とする請求項5記載の廃棄物の処理設備。
  7. 前記メタン発酵槽から生じる残渣物を脱水し、脱水した残渣物である脱水汚泥を前記廃棄物処理炉で処理するとともに、
    前記メタン発酵槽の上流側に混合機または混合槽を設け、脱水後のろ液の一部を前記発酵適性物に混合して前記メタン発酵槽に投入し、ろ液の残部は前記廃棄物処理炉の二次燃焼部内に噴霧して燃焼させることを特徴とする請求項5または6記載の廃棄物の処理設備。
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