JP2008220771A - 波面収差補正装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】波面収差を補正する際、電圧を印加する電極数が多い可変形状ミラーを用いたとしても、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立により、応答良く短時間にて残収差を小さく抑える補正を達成し、高倍率としてもきわめて鮮明な画像を得ることができる波面収差補正装置を提供すること。
【解決手段】複数の電極9e…と薄膜ミラー9bを有する可変形状ミラー9と、光束の波面収差を測定する波面センサと、複数の電極9e…にそれぞれ対応する薄膜ミラー9b上の作用点と目標点との差に基づいて第1電圧値Vnを演算する手段と、波面収差の多項式による展開モード毎の電圧テンプレートVm *を用いて第2電圧値Vnを演算する手段と、補正開始域では第2電圧値Vnを主に用い、補正終了域では第1電圧値Vnを主に用いるという使い分け手段と、決定した電圧値を用い、可変形状ミラー9のミラー形状の補正を繰り返す制御を行う可変形状ミラー制御手段と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、被検眼等の収差補正対象を高倍率にて観察したり撮影したりする際、画像の鮮明さを決める要因となる波面収差を小さく抑える収差補正を行う波面収差補正装置に関するものである。
従来から、照明された眼底からの反射光束により眼底像を結像させて、眼底の観察及び撮影を行う眼底カメラが知られている。しかしながら、この種の眼底カメラでは、眼底からの反射光束は、角膜・水晶体・ガラス体等からなる眼光学系を経由するため、その眼光学系の収差の影響で、高い分解能の眼底像を得ることができない。つまり、高倍率にて眼底の観察や撮影を試みようとしても鮮明な眼底像を得ることができない、という問題点を有していた。ちなみに、眼光学系は、理想的な光学素子とは程遠く、近視や乱視等、多種の収差発生原因となる光学的屈折特性を有していて、眼底からの反射光束による波面は歪みを持っている。
これに対し、被検眼の光学収差を測定するための収差測定部と、収差測定部からの信号に基づき被検眼の光学収差により生じる反射光束の波面の歪みを補正するために、可変形状ミラー(Deformable Mirror)による収差補正部を設け、倍率を上げた場合でも鮮明な眼底像を得ることが可能な装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−224328号公報
しかしながら、従来装置にあっては、可変形状ミラーを用いて波面収差を補正するに際し、可変形状ミラーを調整するために複数種類の電圧変化テンプレート(同心円テンプレート、対称テンプレート、非対称テンプレート)を用意しておき、測定した波面収差に基づき電圧変化テンプレートを選択し、選択した電圧変化テンプレートにより各電極の電圧値である1つの電圧パターンを決定し、これを繰り返して可変形状ミラーを用いた波面収差の補正を行っている。
一般に、テンプレートを用いた波面収差補正の演算処理方式にあっては、1つの電極に電圧を掛けたときに発生する歪みをインフルエンス関数として持ち、この各電極に対応するインフルエンス関数を重ね合わせて、目標形状に対応した電圧配列データを算出する。すなわち、テンプレートの単位が電極になったのと等価なため、電極数に依存して計算量が多くなる。
また、従来技術のように、3種類のテンプレートを持つものについても、波面収差のうち補正対象となる各展開モードへの一致性は3種類で得ることができず、上記同様に、特定の電極に電圧を掛けたときに発生する歪みをインフルエンス関数として持ち、この特定の電極に対応するインフルエンス関数を重ね合わせる際の重ね合わせ係数を計算する必要があり、この重ね合わせ係数の計算に時間を要する。
このため、通常、テンプレートを用いた波面収差補正の演算処理方式は、電極数が多い可変形状ミラーには向かないといわれている。
また、眼の波面収差と可変形状ミラーで補正される収差との差である残収差の目標値を大きな値に設定すると、電圧パターンの繰り返し補正回数は少なくなり、眼底撮影時に撮影開始から撮影終了までに要する時間が短時間で済む。しかし、高倍率とした場合に鮮明な画像で撮影できない。
一方、残収差の目標値を小さな値に設定すると、高倍率としても鮮明な画像で撮影することができる。しかし、電圧パターンの繰り返し補正回数が増大し、眼底撮影時に撮影開始から撮影終了までに要する時間として長時間を要する。
ここで、可変形状ミラーの制御は、薄膜ミラーが目標形状に近づくように繰り返して電圧パターンを補正してゆくことでなされる理由を説明する。
まず、可変形状ミラーは、薄膜ミラーの背面に所定の間隔で配置した複数の電極のそれぞれに電圧を印加し、引っ張り力(静電力)のみにより薄膜ミラーを変形させる。また、可変形状ミラーの薄膜ミラーは連続体であるため、薄膜ミラーの形状変形に対し各電極を独立に扱うことができない。したがって、1つの電極により薄膜ミラーの1点を引っ張ると、1つの電極に対応する薄膜ミラーの部分が大きく変形すると同時に、他の電極に対応する薄膜ミラーの部分まで変形してしまうというように、その影響はミラー全面に及ぶことによる。
次に、被検眼の眼底を撮影する際を例にとると、良い状態で眼を開いていられる継続時間が人により異なるが、短い人では数秒となる。このため、波面収差の補正開始から撮影までを数秒間で終了するためには、できるだけ少ない補正回数で、目標とする波面収差に到達するのが重要である。
また、被検眼の眼底を撮影する際を例にとると、検査精度を上げるために眼底の視細胞レベルまで確認できるように、高倍率で鮮明な画像により撮影したいという要望がある。これに対し、眼の波面収差と可変形状ミラーで補正される収差との差である残収差が小さいほど、画像の鮮明さを保ちながら、倍率を高くすることができるため、電圧を印加する電極数が多い可変形状ミラーを用い、収差補正限界を高める必要がある。
したがって、可変形状ミラーの制御では、電圧を印加する電極数が多い可変形状ミラーを用いたとしても、波面センサで測定した収差形状データから、少ない補正回数で目標とする波面収差に到達するため、波面収差を補正する形状を作るための電圧パターンをどのように予想するか、というのが未だ解決し得ない課題として残っている。
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、波面収差を補正する際、電圧を印加する電極数が多い可変形状ミラーを用いたとしても、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立により、応答良く短時間にて残収差を小さく抑える補正を達成し、高倍率としてもきわめて鮮明な画像を得ることができる波面収差補正装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の波面収差補正装置では、
複数の電極と、該複数の電極に印加された電圧値に応じて形状を変化させる薄膜ミラーを有し、入射した光束の波面収差を補正する可変形状ミラーと、
前記可変形状ミラーが設けられた光学系に収差補正対象を含み、該収差補正対象と可変形状ミラーを経由した光束を受光して該光束の波面収差を測定する波面センサと、
前記波面センサからの信号により、前記複数の電極にそれぞれ対応する薄膜ミラー上の作用点と目標点との差に基づいて、前記複数の電極それぞれに印加する第1電圧値を演算する第1電極印加電圧演算手段と、
波面収差の多項式による展開モード毎に、それぞれの展開モードを誘起する電極の電圧配列データである電圧テンプレートを記憶しておき、前記波面センサで得られた波面収差が所望の収差になるように各展開モードの重ね合わせ振幅を決定し、前記記憶している電圧テンプレートを用い前記複数の電極のそれぞれに印加する第2電圧値を演算する第2電極印加電圧演算手段と、
補正開始域では前記第2電極印加電圧演算手段により演算された第2電圧値を主に用い、補正終了域では前記第1電極印加電圧演算手段により演算された第1電圧値を主に用いるという使い分けにより、前記複数の電極のそれぞれに印加する電圧値を決定する電圧値使い分け手段と、
前記電圧値使い分け手段により決定した電圧値に基づき、前記波面センサにより測定される光束の波面収差を抑制するように、前記可変形状ミラーのミラー形状の補正を繰り返す制御を行う可変形状ミラー制御手段と、
を有することを特徴とする。
よって、本発明の波面収差補正装置にあっては、電圧値使い分け手段において、補正開始域では第2電極印加電圧演算手段により演算された第2電圧値を主に用い、補正終了域では第1電極印加電圧演算手段により演算された第1電圧値を主に用いるという使い分けにより、複数の電極のそれぞれに印加する電圧値が決定される。そして、可変形状ミラー制御手段において、電圧値使い分け手段により決定した電圧値に基づき、波面センサにより測定される光束の波面収差を抑制するように、可変形状ミラーのミラー形状の補正を繰り返す制御が行われる。
ここで、第1電極印加電圧演算手段により演算された第1電圧値による補正は、予め薄膜ミラーの波面位置と電極の関係を1対1で決めておき、その位置での波面の歪み具合により、対応する電極の電圧値を決める「変位量フィードバック」による波面収差の補正制御である。そして、第1電圧値による波面収差補正は、収束速度が遅いが、発散しにくく補正精度が高い(残収差が小さくなる)というメリットを持つ。
一方、第2電極印加電圧演算手段により演算された第2電圧値による補正は、波面収差多項式の展開モード毎に、それぞれの展開モードを誘起する電圧テンプレートを用意する「展開モード毎のテンプレート方式」による波面収差の補正制御である。そして、第2電圧値による波面収差補正は、テンプレートの持つ不完全性の影響により発散しやすく補正精度が低いが、補正開始域において、収束速度が非常に速いというメリットを持つ。
このように、第2電圧値による波面収差補正のメリットである収束速度が速い点と、第1電圧値による波面収差補正のメリットである発散しにくく補正精度が高い点を、有効に活用する「使い分け方式」を採用することで、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立が図られる。
この結果、波面収差を補正する際、電圧を印加する電極数が多い可変形状ミラーを用いたとしても、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立により、応答良く短時間にて残収差を小さく抑える補正を達成し、高倍率としてもきわめて鮮明な画像を得ることができる。
以下、本発明の波面収差補正装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1〜実施例3に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の波面収差補正装置を適用した眼科装置を示す全体図である。なお、波面収差補正装置は、補償光学システム、あるいは、AOシステム(アダプティブ・オプティックス・システム)とも呼ばれ、可変形状ミラーにより波面収差を打ち消す機能を持つことで実現されるシステムをいう。
実施例1の眼科装置は、図1に示すように、被検眼の眼底を撮影する眼底撮影系と、該眼底撮影系に組み込まれた可変形状ミラーを用いて波面収差を補正する波面制御系と、を備えている。
はじめに、眼底撮影系の説明をする。
被検眼Eの眼底Efを撮影する眼底撮影系は、半導体レーザ光源1と、ビームスプリッタ2と、可変シリンドリカルレンズ3(乱視補正用レンズ)と、第1レンズ4と、第1ミラー5と、可動プリズム6(合焦機構)と、第2ミラー7と、第2レンズ8と、可変形状ミラー9と、ダイクロイックミラー10と、高感度CCDカメラ11と、を備えている。
前記半導体レーザ光源1からの波長633nmの半導体レーザ光は、ビームスプリッタ2及び任意の乱視度数に設定することのできる可変シリンドリカルレンズ3を通り被検眼Eに入射し、眼底Efを照明する。眼底Efからの反射光は、被検眼Eの乱視度数に応じて設定された可変シリンドリカルレンズ3で乱視の影響を軽減する。そして、ビームスプリッタ2を透過し、第1レンズ4、第1ミラー5、可動プリズム6、第2ミラー7、第2レンズ8で構成されるオートフォーカス系に入射する。そして、被検眼Eの球面度数に対応してオートフォーカス系の可動プリズム6が図1の矢印方向に駆動され、光路長を変化させることで、近視や遠視の影響を軽減する。このオートフォーカス系からの光束は、ほぼ平行光となる。この平行光は、可変形状ミラー9にて反射し、ダイクロイックミラー10で方向を変え、眼底撮影用の高感度CCDカメラ11に入射し、高感度CCDカメラ11の結合素子上に眼底像を結像する。
続いて、波面制御系を説明する。
眼底撮影系に組み込まれた可変形状ミラー9を用いて波面収差を補正する波面制御系は、半導体レーザ光源12(SLDでもよい)と、ビームスプリッタ13と、波面センサ14と、パーソナルコンピュータ15と、ドライバー16と、を備えている。なお、眼底撮影系の可変形状ミラー9を共通の構成とする。
前記半導体レーザ光源12からの波長840nmの半導体レーザ光は、ビームスプリッタ13を反射し、ダイクロイックミラー10、可変形状ミラー9、オートフォーカス系、ビームスプリッタ2、可変シリンドリカルレンズ3を通り被検眼Eに入射し、眼底Efに結像する。眼底Efからの反射光は、可変シリンドリカルレンズ3、ビームスプリッタ2、オートフォーカス系、を通過し、その形状を制御した可変形状ミラー9を反射し、波面が補正される。そして、可変形状ミラー9にて補正しきれなかった波面収差、すなわち、可変形状ミラー9を反射した光束の収差から目標収差を引いた残収差を含んだ状態で、ダイクロイックミラー10、ビームスプリッタ13を透過し、ハルトマンプレート14aと二次元CCD14bから構成された波面センサ14に入射され、波面情報を画像として検出する。波面センサ14からのCCD画像はパーソナルコンピュータ15で画像処理され、残収差が計算される。パーソナルコンピュータ15では、可変形状ミラー9の薄膜ミラー形状を補正する電圧データを、後述する補正アルゴリズムを用いて算出し、ドライバー16で駆動する補正処理を、計算された残収差が目標値以下となるまで繰り返えす。
この波面制御系は、クローズドループになっており、残収差が小さくなるように制御され、目標値以下まで残収差が小さくなった時点で眼底撮影系の高感度CCDカメラ11により、高倍率にて眼底Efが撮影される。
次に、前記可変形状ミラー9の構成を説明する。
図2は、実施例1の眼底撮影系と波面制御系に共有された可変形状ミラーの一例を示す図であり、(a)は平面図を示し、(b)はA−A線断面図を示す。図3は、可変形状ミラーの薄膜ミラーと電極を示す断面図である。図4は、可変形状ミラーの電極の配置例を示す平面図である。
前記可変形状ミラー9は、図2に示すように、ミラー枠9aと、薄膜ミラー9bと、スペーサー9cと、電極基板9dと、電極9eと、を備えている。
前記薄膜ミラー9bは、図3に示すように、ミラー枠9aに張設されていて、光路側のアルミニウムミラー91と、電極側のシリコン薄膜92による2層構造により構成されている。前記アルミニウムミラー91は、反射膜であり、反射率の高い材料をシリコン薄膜92に蒸着して形成される。前記シリコン薄膜92は、可撓性を有しており、例えば、厚さ4μm程度の厚みを有している。
前記スペーサー9cは、薄膜ミラー9bと電極9eとのギャップ長を所定値に保持するために用いられるもので、例えば、剛性が高い球等が用いられる。
前記電極9eは、電極基板9dの上に多数配置されるもので、図4に示すように、同心円状で、かつ、放射状に並べて85個に分割して配列されている。なお、図4の黒点は作用点を示し、1点鎖線は波面測定データから波面を再生する解析エリアを示す。この解析エリアは、最外周の作用点を結ぶエリアに設定している。
前記各電極9e…(電極1〜電極n)を個別に電圧駆動する回路として、図2(b)に示すように、前記ドライバー16が設けられていて、図3に示すように、各電極9e…に対応して薄膜ミラー9bの変形が生じるように、各電極9e…に静電電圧値(V1〜Vn)が印加される。
次に、前記波面センサ14の構成を説明する。
図5は、実施例1の撮影制御系の波面センサ14を示す説明図である。
前記波面センサ14は、図5に示すように、マイクロフレネルレンズが格子状に配列されたハルトマンプレート14aと、該ハルトマンプレート14aから所定間隔を介して平行配置された二次元CCD14b(二次元電荷結合素子)と、から構成される。
この波面センサ14bによる波面収差の測定は、被検眼Eの眼底Ef(網膜)上に点光源を投影し、眼底Efで反射された反射光をハルトマンプレート14aで多数の光束に分割し、それぞれの光束による点像位置を二次元CCD14bで測定する。そして、測定した点像位置と、無収差眼の場合の点像位置と比較すると、波面収差は、二次元CCD14bにおいて、各点像の変位量(Δx,Δy)として現れる。この各点像の変位量(Δx,Δy)は、波面収差形状の傾きであり、変位量から波面収差を復元する。したがって、格子状に配列されたマイクロフレネルレンズのレンズ数設定と、二次元CCD14bの素子数設定により、高精度に波面収差を測定することができる。
この波面センサ14により、補正前の初期波面収差および繰り返し補正毎の残収差が測定され、この測定結果が、可変形状ミラー9を波面とは逆位相形状に変形させる高次波面収差の補正アルゴリズムの入力情報として用いられる。なお、波面センサ14による収差測定結果は、被検眼Eの屈曲特性を原因として発生する波面収差のうち、球面度数成分と乱視度数成分を補正する低次波面収差補正での入力情報としても用いられる。
図6は、実施例1の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。この波面収差補正制御処理は、検眼者による高倍率による眼底像の観察・撮影の開始操作により起動される。
ステップS1は、可変形状ミラー9の全電極9e…に初期電圧V0を印加することで、DM初期化(Deformable Mirror初期化)を行うステップである。
すなわち、可変形状ミラー9の薄膜ミラー9bは、薄膜ミラー9bと電極9eの間隔が2/3になる電圧Vpを超えると不安定になり、電極9eと薄膜ミラー9bが接触してしまう(プルイン現象)。そこで、DM(可変形状ミラー)の初期化では、全電極に同じ電圧値を印加した場合、プルインを起こす電圧Vpより若干低い値に初期電圧V0を設定する。このため、以降の可変形状ミラー制御では、全電極の電圧平均値が初期電圧V0に固定され、プルインは起きず、かつ、電圧の制御レンジが大きくとれ、また、球面度数成分(n,m)=(2,0)成分の変動が抑制される。
ステップS2は、ステップS1でのDM初期化に続き、波面収差のうち、球面度数成分(近視、遠視等)を修正するオートフォーカス系の可動プリズム6を初期位置(原点)に移動させるステップである。
ステップS3は、ステップS2の可動プリズム6の原点移動に続き、波面収差のうち、乱視度数成分を修正する可変シリンドリカルレンズ3を初期位置(原点)に移動させるステップである。なお、ステップS1〜ステップS3は、初期化処理ステップである。
ステップS4は、ステップS3での可変シリンドリカルレンズの原点移動、または、ステップS6での可変プリズム・可変シリンドリカルレンズの移動、または、ステップS13での電圧値出力に続き、ゼルニケ多項式による各展開モードについて、波面センサ14からの信号に基づいて波面収差を測定するステップである。
上記ゼルニケ多項式による各展開モードについて説明する。
被検眼Eの波面収差と補正される波面収差との差(残収差)は、下記のようにゼルニケ展開される。
W(r,θ)=Σ{Am×Zm(r,θ)}
ここで、W(r,θ)は残収差、Zm(r,θ)は展開モードmのゼルニケ多項式、Amは各ゼルニケ多項式による展開モードmの振幅値である。なお、展開モードmは、図7に示す各次数n(0〜10)と各モード態様m(-10〜0〜10)に対し、低次モード側から順次、m=1〜m=M(高次モードの最大値)までの番号をふっている。
また、「ゼルニケ多項式による各展開モード」とは、光学分野でよく使われるゼルニケ多項式により波面収差を分解したとき、各ゼルニケ多項式により展開されるモードをいい、各展開モードは、独立した波面の形(モード)に対応する。
図7は0次〜10次のゼルニケ多項式による各展開モードを示す図であり、それぞれが古典的な波面収差にも対応しており、収差成分を知ることができる。
ステップS5は、ステップS4での波面測定・ゼルニケ展開に続き、残収差(乱・球)が規定値以下か否かを判断するステップである。
ここで、「規定値」は、ゼルニケ多項式による展開モードで、2次を考慮して決められる。具体的には、例えば、図7に記載した枠内の6つの低次モードを考慮して決めたものである。なお、6つの低次モードを次数nとモード態様mの関係でいうと、(n,m)=(0,0)、(1,-1)、(1,1)、(2,-2)、(2,0)、(2,2)であらわされる。なお、n=0の0次は位相、1次はチルトであり、画像のボケには無関係である。
このステップS5で、Noと判断されたときは、ステップS6へ移行し、Yesと判断されたときは、ステップS7へ移行する。
ステップS6は、ステップS5での残収差(乱・球)>規定値との判断に続き、波面収差のうち球面度数成分((n,m)= (2,0))を、オートフォーカス系の可動プリズム6を移動させることで調整し、波面収差のうち乱視度数成分((n,m)=(2,-2)、(2,2))を、可変シリンドリカルレンズ3を移動させることで調整するステップである。
この低次波面収差の補正は、波面収差のうち球面度数成分と乱視度数成分を減少させる方向に調整する補正であり、具体的には、波面センサ14により検出された近視度合いや遠視度合いや乱視度合いに応じ、めがねレンズやコンタクトレンズ等で矯正するように、可動プリズム6と可変シリンドリカルレンズ3を移動させることで行われる。
なお、ステップS5→ステップS6→ステップS4へと進む低次波面収差補正ループは、ステップS5において、残収差(乱・球)≦規定値と判断されるまで繰り返される。
ステップS7は、ステップS5での残収差(乱・球)≦規定値との判断に続き、残収差が目標値以下か否かを判断するステップである。
ここで、「目標値」は、設定倍率により収差補正対象である眼底Efを観察や撮影する際に鮮明な画像が得られる許容波面収差に基づき決定される。例えば、ゼルニケ多項式による展開モードで、少なくとも6次までを考慮して決められる。なお、より高倍率要求があるときには、ゼルニケ多項式による展開モードで倍率に応じ6次〜10次程度までを考慮して決められる。
具体的には、眼底Efの視細胞(2〜5μm)の撮影を目標としているため、これを観測するには、本光学系の場合、解析エリア内の波面収差はRMS(Root Mean Squareの略)の実測値で0.05μm未満であり、このRMS実測値に基づいて決定される。
ここで、「RMS」とは、波面収差指標の1つであり、自乗平均平方根の略で、理想波面と実際の波面の標準偏差(分散の平方根)をいう。
このステップS7において、Noと判断されたときは、ステップS8へ移行し、Yesと判断されたときは、ステップS14へと移行する。
ステップS8は、ステップS7での残収差≦目標値であるとの判断に続き、補正ループ回数が設定回数n以下か否かを判断するステップである(繰り返し補正回数判定部)。
ここで、設定回数nは、残収差の目標値への収束状況により決められる。例えば、「TYPE2」による駆動電圧計算は、最初の3回〜5回で非常に大きな効果が得られているので、この場合、3回〜5回の値に設定されることになる。
ステップS8において、Yesと判断されたときはステップS9へ移行し、Noと判断されたときはステップS10へ移行する。
ステップS9は、ステップS8での補正ループ回数≦nとの判断に続き、後述する「TYPE2」により電極9e…を駆動する電圧値Vnを計算するステップである(第2電極印加電圧演算手段)。
ステップS10は、ステップS8での補正ループ回数>nとの判断に続き、後述する「TYPE1」により電極9e…を駆動する電圧値Vnを計算するステップである(第1電極印加電圧演算手段)。
ステップS11は、ステップS9またはステップS10での電圧値Vnの計算に続き、前の電圧値データVn'と計算した電圧値Vnとを重ね合わせる下記の式により、印加電圧Vの二乗値V2を計算するステップである。
V2=Vn'2+Vn2
この前電圧との重ね合わせ処理により、駆動電圧計算が「TYPE2」から「TYPE1」へ切り替えられ、そのときの電圧値が乖離しているとき、電極9e…へ印加する電圧値の急変を防止することができる。
ステップS12は、ステップS11での前電圧との重ね合わせ処理に続き、印加電圧Vの二乗値V2の平均値が、初期電圧V02に等しくなるように、印加電圧Vの二乗値V2をシフトするステップである。
この平均値調整処理により、補正ループによる球面成分の変化を抑制することができる。
ステップS13は、ステップS12での平均値調整処理に続き、ステップS12で最終的に求められた電圧二乗値V2により、電圧値Vを決定し、決定した電圧値Vを各電極9e…に印加する駆動指令をドライバー16に出力するステップである。このステップS13からは、ステップS4へ戻り、高次収差補正の補正ループを構成する。
ステップS14は、ステップS7での残収差≦目標値との判断に続き、眼底Efの高倍率撮影を行う撮影モードに入るステップである。
なお、図6のフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS6は、低次波面収差補正手段に相当し、ステップS8〜ステップS12は、電圧値使い分け手段に相当し、ステップS7,ステップS13,ステップS14は、可変形状ミラー制御手段に相当する。
図8は、実施例1の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理(図6)においてステップS10の「TYPE1」の駆動電圧計算が選択されたときの第1電圧値演算処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
ステップS101は、ステップS8での補正ループ回数>nとの判断に続き、ステップS4にて計算した残収差のゼルニケ多項式の展開データより、各モードにおける振幅値(A1,A2,…,Am)を読み込むステップである。
ステップS102は、ステップS101での各モードにおける振幅値(A1,A2,…,Am)の読み込みに続き、そのとき各電極9e…に印加されている電圧値(V1,V2,…,Vn)を読み込むステップである。
この電圧値(V1,V2,…,Vn)は、1回前の制御に使用した電圧値であり、最初の制御の際にはステップS1で述べた初期電圧V0の値になる。
ステップS103は、ステップS102での電圧値(V1,V2,…,Vn)の読み込みに続き、予め定められている各電極9e…の作用点(作用点1〜作用点n)の座標位置(r11),(r22),…,(rnn)を読み込むステップである。
ステップS104は、ステップS103での作用点座標位置(r11),(r22),…,(rnn)の読み込みに続き、ステップS101にて読み込んだ各モードでの振幅値Amと、ステップS103にて読み込んだ各電極9e…の作用点座標位置(rnn)により、各電極9e…の作用点座標位置(rnn)での目標変位量Dnを下記式により計算するステップである。
Dn=Σ{Am×Zm(rnn)} 但し、m=1〜M(高次モードの最大値)
ここで、目標変位量Dnとは、図9に示すように、各電極9e…の作用点における目標形状と実薄膜ミラー形状との差をあらわす。
ステップS105は、ステップS104での作用点座標位置(rnn)での目標変位量Dnの計算に続き、目標変位量Dnを得るための電圧値Vnの二乗値Vn2を、電圧の二乗は変位量にほぼ比例することから決められた下記式で計算するステップである。
Vn2=Vn'2+αDn
ここで、ステップS102にて読み込んだVnは、1回前の制御周期におけるVn'に置き換えている。また、αは実験で定められたフィードバックゲイン(補正係数)であり、輪帯毎(あるいは電極毎)に変えられる。このフィードバックゲインαは、高次波面収差補正が発散することなく、しかも、応答良く少ない補正ループの繰り返し回数により残収差が目標値以下となる値とされる。
ステップS106は、ステップS105での電圧値の二乗計算に続き、ステップS105で求めた電圧二乗値Vn2により、電圧値Vnを計算するステップである。このステップS106からは、図6のフローチャートのステップS11へ進む。
図10(a)は、実施例1の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理(図6)においてステップS9の「TYPE2」の駆動電圧計算が選択されたときの第2電圧値演算処理の流れを示すフローチャートの第1例であり、以下、各ステップについて説明する。
ステップS91は、ステップS8での補正ループ回数≦nとの判断に続き、ステップS4にて計算した残収差のゼルニケ多項式の展開データより、各モードにおける振幅値(A*=A1 A2 … Am)を読み込むステップである。
以下、右上付きの「*」は、ベクトルを表す。
ステップS92は、ステップS91での各モードにおける振幅値(A*=A1 A2 … Am)の読み込みに続き、そのとき各電極9e…に印加されている電圧値(V*=V1 V2 … Vn)を読み込むステップである。
この電圧値(V*=V1 V2 … Vn)は、1回前の制御に使用した電圧値であり、最初の制御の際にはステップS1で述べた初期電圧V0の値になる。
ステップS93は、ステップS92での電圧値(V*=V1 V2 … Vn)の読み込みに続き、予め実験結果により定められた電圧テンプレートVm*を記憶しておき、記憶されている電圧テンプレートVm*から今回の演算処理に用いる電圧テンプレートVm*を読み込むステップである。
ここで、「電圧テンプレートVm*」とは、例えば、図11に示すように、波面収差のゼルニケ多項式による展開モード毎に、それぞれの展開モードを誘起する電極の電圧配列データである。また、「電圧テンプレートVm*」としては、上記低次波面収差の対象とされている6つの低次モード(n,m)=(0,0)、(1,-1)、(1,1)、(2,-2)、(2,0)、(2,2)を除き、低次モードから補正対象とする高次モード(6次以上)までの各展開モードについてそれぞれ用意する。
ステップS94は、ステップS93での電圧テンプレートVm*の読み込みに続き、可変形状ミラー9で作られる目標形状である目標ゼルニケ展開データZ* targetを、Z* target=(Zt1Zt2 Zt3 Zt4 … Ztm)として計算するステップである。
すなわち、可変形状ミラー9を経由した光束の残収差は、A*+Z* targetとなる。よって、可変形状ミラー9を経由した光束の残収差を無くすように可変形状ミラー9を制御したいときは、Z* target=−A*となる。
ステップS95は、ステップS94での可変形状ミラー9における目標ゼルニケ展開データZ* targetの計算に続き、予め計算してある行列ZMを読み込むステップである。
ここで、「行列ZM」とは、特定のゼルニケ展開モードmを誘起する電圧テンプレートVm*の電圧を、複数の電極9e…に印加した際に生じる実際の波面収差の振幅データであり、実験結果によって決定する。理想的には、単一ゼルニケ展開モードのみが生じるはずであるが、実際には他のゼルニケ展開モードも混ざってしまう(テンプレートの不完全性)。これを考慮するために、行列ZMを設定する。
行列ZMは、上述したように、
と定義されるが、簡略化して演算のスピードを上げるために、
としても良い。
また、電圧テンプレートのほうを規格化し、Zm,mを1とする、
の式により、演算フローを進めてゆくこともできる。
ステップS96は、ステップS95での行列ZMの読み込みに続き、重ね合わせ係数k*を、k*=ZM-1・Z* targetの式により計算するステップである。
上記k*=ZM-1・Z* targetの式は、Z* target≒ZM・k*となるようなk*を求めるための式である。
ここで、テンプレートの不完全性を無視する上記式(1)のときは、
となる。
よって、上記式(2)のときで、かつ、可変形状ミラー9で収差を無くすように設定するときは、k*=-A*となる。
ステップS97は、ステップS93での重ね合わせ係数k*の計算に続き、収差を無くす可変形状ミラー9の薄膜ミラー9bの形状を得るための電圧値Vnの二乗値Vn2を、電圧の二乗は変位量にほぼ比例することから決められた下記式で計算するステップである。
Vn2=Vn'2+gΣ{km×Vmn 2}
ここで、ステップS9にて読み込んだVnは、1回前の制御周期におけるVn'に置き換えている。また、gは実験で定められたフィードバックゲイン(補正係数)であり、高次波面収差補正が発散することなく、しかも、応答良く少ない補正ループの繰り返し回数により残収差が目標値以下となる値とされる。
ステップS98は、ステップS97での電圧値の二乗計算に続き、ステップS97で求めた電圧二乗値Vn2により、電圧値Vnを計算するステップである。このステップS98からは、図6のフローチャートのステップS11へ進む。
図10(b)は、実施例1の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理(図6)においてステップS9の「TYPE2」の駆動電圧計算が選択されたときの第2電圧値演算処理の流れを示すフローチャートの第2例であり、以下、各ステップについて説明する。
この第2例は、第1例に対し、各展開モードの重ね合わせ振幅の算出法を簡略化し、演算処理のスピードを上げるようにした例である。すなわち、図10(a)のフローチャートのステップS94〜ステップS95を省略したものである。そして、図10(b)のフローチャートのステップS91〜ステップS94,ステップS98の各ステップは、図10(a)のフローチャートのステップS91〜ステップS94,ステップS98の各ステップと同じ処理を行うステップであるので、説明を省略する。
ステップS97'は、ステップS93での電圧テンプレートVm *の読み込みに続き、収差を無くす可変形状ミラー9の薄膜ミラー9bの形状を得るための電圧値Vnの二乗値Vn2を、電圧の二乗は変位量にほぼ比例することから決められた下記式で計算するステップである。
Vn2=Vn'2+gΣ{(Ztm/Zm,m)×Vmn 2} (3)
または、規格化されたVmを使い、
Vn2=Vn'2+gΣ{-Am×Vmn 2} (4)
すなわち、図10(a)のステップS95の説明において、行列ZMの正確な定義に対し、Zmmのみを残し他を0とする簡略化した式(1)を用いる場合には、上記式(3)を用いて電圧値Vnの二乗値Vn2を計算する。
また、図10(a)のステップS95の説明において、行列ZMの簡略化した式(1)に対し、さらに、テンプレートを規格化し、Zmm=1として簡略化した式(2)を用いる場合には、上記式(4)を用いて電圧値Vnの二乗値Vn2を計算する。
次に、作用を説明する。
以下、実施例1の波面収差補正装置による作用を、[低次波面収差の補正制御作用]、[高次波面収差の補正制御作用]、[第2電圧値による波面収差補正作用]、[第1電圧値による波面収差補正作用]、[使い分け補正アルゴリズムを用いた波面収差補正作用]に分けて説明する。
[低次波面収差の補正制御作用]
波面収差補正制御が開始されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進み、ステップS1にて、DM初期化が行われ、ステップS2及びステップS3にて可動プリズム6の初期位置移動と可変シリンドリカルレンズ3の初期位置移動という初期化処理が行われる。
ここで、ステップS1にて、全電極9e…に初期電圧V0を印加し、薄膜ミラー9bの初期変位量に近い変位状態にてDM初期化を行うのは、後述する可変形状ミラー9を用いた波面収差補正において、電極9eにより薄膜ミラー9bの引っ張り力を減じる方向のみの変形モードとすることにより、制御ハンチングを抑えつつ、目標波面収差への収束応答を高めるためである。
ステップS3からは、ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS5において、残収差(乱・球)≦規定値と判断されるまで、ステップS5→ステップS6→ステップS4へと進む流れが繰り返される。
すなわち、ステップS5において、残収差(乱・球)>規定値と判断されると、ステップS6において、波面収差のうち球面度数成分を、オートフォーカス系の可動プリズム6を移動させることで調整し、波面収差のうち乱視度数成分を、可変シリンドリカルレンズ3を移動させることで調整し、ステップS4において、調整後の波面収差を測定するという流れが繰り返される。
そして、ステップS5において、残収差(乱・球)≦規定値と判断されると、ステップS5→ステップS6→ステップS4へと進む流れの繰り返しによる低次波面収差補正ループを終了し、ステップS7以降の高次波面収差補正処理へと進む。
このように、被検眼Eの屈曲特性を原因として発生する波面収差のうち、球面度数成分と乱視度数成分を補正する低次波面収差補正ループ(ステップS4,S5,S6)を設けた。このため、後述する高次波面収差補正ループでは、低次波面収差補正ループによる低次波面収差補正後に残った波面収差成分と、低次波面収差補正の対象となる次数より高次の波面収差成分を、可変形状ミラー9を変形させて補正することになる。
したがって、高次波面収差補正ループでの波面収差補正負担が大幅に軽減され、残収差が目標値以下となるまでの収束応答性が高まり、高次波面収差補正ループでの繰り返し補正回数を低減できる。
[高次波面収差の補正制御作用]
ステップS5にて残収差(乱・球)≦規定値と判断されると、図6のフローチャートにおいて、ステップS5からステップS7→ステップS8ヘと進み、ステップS8において、補正ループ回数≦nと判断され、ステップS9→ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む。
すなわち、ステップS9では、「TYPE2」による駆動電圧計算が行われる。図10(a)の第1例の場合の駆動電圧計算について説明する。
ステップS91では、残収差のゼルニケ多項式の展開データより、各モードにおける振幅値(A*=A1 A2 … Am)が読み込まれ、ステップS92では、そのとき各電極9e…に印加されている電圧値(V*=V1 V2 … Vn)が読み込まれ、ステップS93では、今回補正しようとするゼルニケ展開モードmに対応する電圧テンプレートVm*が読み込まれる。そして、ステップS94では、目標ゼルニケ展開データZ* targetが、Z* target=(Zt1Zt2 Zt3 Zt4 … Ztm)の式により計算され、ステップS95では、予め計算してある行列ZMが読み込まれる。そして、ステップS96では、重ね合わせ係数k*が計算され、ステップS97では、目標とするミラー変形を得るための電圧値Vnの二乗値Vn2が計算される。そして、ステップS98では、電圧二乗値Vn2により電圧値Vnが計算される。
そして、ステップS11での前電圧との重ね合わせ、ステップS12での平均値調整、ステップS13での電圧値出力による可変形状ミラー9の駆動に続き、ステップS4へ戻る。ステップS4では、今回の演算処理により決定した電圧値Vnを各電極9e…に出力した後の波面収差が測定され、ステップS5→ステップS7へと進み1回目の補正ループを終了する。
次いで、ステップS7において、残収差>目標値と判断され、ステップS8において、補正ループ回数≦nと判断される初回からn回目の補正ループまでの間、図6のフローチャートにおいて、ステップS8→ステップS9→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS4→ステップS5→ステップS7へと進む流れが繰り返され、「TYPE2」を用いた駆動電圧計算による高次収差の補正が行われる。
そして、ステップS8において、補正ループ回数>nと判断されると、ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む。
すなわち、ステップS10では、「TYPE1」による駆動電圧計算が行われる。図8の場合の駆動電圧計算について説明する。
ステップS101では、残収差のゼルニケ多項式の展開データより、各モードにおける振幅値(A1,A2,…,Am)が読み込まれ、ステップS102では、そのとき各電極9e…に印加されている電圧値(V1,V2,…,Vn)が読み込まれ、ステップS103では、予め定められている各電極9e…の作用点(作用点1〜作用点n)の座標位置(r11),(r22),…,(rnn)が読み込まれる。そして、ステップS104では、各モードでの振幅値Amと、各電極9e…の作用点座標位置(rnn)により、各電極9e…の作用点座標位置(rnn)での目標変位量Dnが計算され、ステップS105では、目標変位量Dnを得るための電圧値Vnの二乗値Vn2が計算される。そして、ステップS106では、電圧二乗値Vn2により電圧値Vnが計算される。
そして、ステップS11での前電圧との重ね合わせ、ステップS12での平均値調整、ステップS13での電圧値出力による可変形状ミラー9の駆動に続き、ステップS4へ戻る。ステップS4では、今回の演算処理により決定した電圧値Vnを各電極9e…に出力した後の波面収差が測定され、ステップS5→ステップS7へと進み、(n+1)回目の補正ループを終了する。
次いで、ステップS7において、残収差≦目標値と判断されるまでの間、図6のフローチャートにおいて、ステップS8→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS4→ステップS5→ステップS7へと進む流れが繰り返され、「TYPE1」を用いた駆動電圧計算による高次収差の補正が行われる。
そして、ステップS7において、残収差≦目標値と判断されると、ステップS7からステップS14へと進み、ステップS14では、眼底Efの高倍率撮影を行う撮影モードに入る。
[第2電圧値による波面収差補正作用]
まず、電極毎に電圧テンプレートを用意した従来の補正アルゴリズムについて説明する。
1つの電極nにのみ電圧を印加するような電圧配列(以下、電圧テンプレート)として、
を用意する。これと同時に、この電圧テンプレートVn *の電圧を印加した場合の波面形状データ配列Zn *を電極数分記録しておく。Zn *のデータは、通常、波面データをゼルニケ多項式により展開し、各展開モードmの振幅データを用いる。よって、ここではゼルニケ多項式により展開した際の振幅データZn,mを利用して説明する。なお、Zn,mは他の多項式展開や実際の測定点変位データなどでもよい。
この1つの電極のみ駆動した場合の各電圧テンプレートVn *に対する、波面データZn *をインフルエンスベクトルと呼ぶと、このインフルエンスベクトルZn *は、
となる。そして、このインフルエンスベクトルZn *を、電圧テンプレートの数だけ並べたものをインフルエンス行列ZMと呼ぶと、インフルエンス行列ZMは、
となる。可変形状ミラーで作られる目標形状を、Z* target=(Zt1Zt2 Zt3 Zt4 … Ztm)とすると、インフルエンス関数の線形結合が目標形状に近くなるような値を見つければよい。
線形結合の際の重ね合わせ係数を、k*=(k12… kn)とすると、
と書くことができる。
上記式で右辺の計算結果と左辺の結果の誤差がもっとも小さくなるようなk*を求める。このk*の値を使い、実際に電圧テンプレートを重ね合わせ、補正電圧V*を求める。重ね合わせは、変位が電圧の二乗に比例することを考慮して以下のように重ね合わせる。
以上が電極毎に電圧テンプレートを用意した従来の補正アルゴリズムによる収差補正電圧の計算である。
この計算において、計算に時間がかかるのが重ね合わせ係数k*の算出であるが、電極数nが増えると非常に計算に時間がかかるのが問題であり、リアルタイムでの制御を行う場合、電極数が多いとネックとなる。
次に、本研究での、電圧算出方法について説明する。
本研究の場合、特定のゼルニケ展開モードを誘起するような電圧テンプレートVm *を用いる。補正対象とするゼルニケ展開モード数をmとすると、m個の電圧テンプレートVm *を作ることになる。
各電圧テンプレートVm *に対応する、波面形状データZm *(前記インフルエンスベクトルに相当)と、そのデータを並べた行列ZMは、
となる。
また、重ね合わせ係数k*は電圧テンプレートVm *の数で決まるので、要素数がn個(電極数)からm個(補正対象の展開モード数)になる。
このため、Z* target≒ZM・k*の式により重ね合わせ係数k*を求める場合の計算量は、電極数nでなく、補正対象の展開モード数mで決まることになり、可変形状ミラー9として電極数が多いデバイスを用いた場合、計算時間を大幅に削減できる。
また、各展開モードの波面形状データは、主成分以外は小さく、近似的にそれらを無視すると以下のように書ける。
すると、インフルエンス行列ZMは、
となる。この式を用いると、補正電圧の精度は落ちるが、重ね合わせ係数k*は簡単に求めることができ、電極が多いデバイスを用いたリアルタイム補正の高速化が図れる。
[第1電圧値による波面収差補正作用]
まず、可変形状ミラー9の構造と可変形状ミラー9の制御電圧の算出方法について説明する。
可変形状ミラー9は、接地した導電性の薄膜ミラー9bに対向して電極9eを配置し、電極9eに電圧を印加することで静電力により薄膜ミラー9bが歪む。薄膜ミラー9bを凹ませたい場所の下に電圧を印加すると、薄膜ミラー9bが凹む。このとき、歪量は電圧の二乗にほぼ比例する。
可変形状ミラー9で作ることができる形状は、電極9eの配列パターン、電極9eの個数、電極9eにかける電圧の大きさで決まる。すなわち、電極9eの数を増やせば作れる形状が多様になるが、電圧を算出するには非常に時間がかかるため、リアルタイム補正を行う場合、補正形状の多様性と処理スピードはトレードオフの関係になる。
また、測定された波面収差を補正するような可変形状ミラー9形状を作るための制御電圧の算出は、非常に難しい。特に、薄膜ミラー9bは1つの連続体であるため、1つの電極9eに電圧を掛けると電圧の付近が凹むだけでなく、その影響はミラー全面に及ぶ。そのため、従来は、一つの電圧を印加した場合のミラー面全体の形状を記録しておき、それらの重ね合わせがもっとも目標形状と近くなるように、各電極の電圧を決定する方式を採用していた。
実施例1の波面収差補正装置では、可変形状ミラー9は、図4に示すように、合計85個と非常に多くの電極9e…を有する。このため、従来の駆動電圧算出方法では時間がかかるため、高速で駆動電圧を算出する簡便な方法を考案した。つまり、実施例1では、電圧パターンの補正アルゴリズムとして、短時間にて可変形状ミラー9が目標形状に到達することができる、「変位量フィードバック」による電圧パターンの補正アルゴリズムを採用した。
本来は、電極9e…がミラー面に与える影響を全て考慮するのが望ましいが、本発明の実施例1では、図9に示すように、電極9e…が影響を及ぼすエリアを1点に置き換えた作用点を定め、作用点と目標点との変位差(=目標変位量Dn)に基づき電極9e…に印加する電圧値Vnを求めた。つまり、予め薄膜ミラー9bの波面位置と電極9eの関係を1対1で決めておき、その位置での波面の歪み具合(=作用点と目標点との差)により、対応する電極9eの電圧値Vnを決める「変位量フィードバック」により、可変形状ミラー9を用いた波面収差の補正制御が行われる。
したがって、実施例1の補正アルゴリズムは、各電極9e…の位置での波面の歪み具合に応じた電圧値Vnを決めるだけの「変位量フィードバック」であるため、例えば、1つの電極に1つの電圧値を印加した場合の薄膜ミラー面の全体形状を記憶しておき、それらを重ね合わせ形状が最も目標形状と近くなるように、各電極の電圧値を決定する場合に比べ、電極9e…への印加電圧の演算量そのものが少なくて済む。すなわち、簡便な補正電圧の算出方法により高速に制御電圧を算出することができるようになる。
また、実施例1の補正アルゴリズムは、各電極9e…の位置での波面の歪み具合に応じた電圧を決める「変位量フィードバック」であるため、補正回数毎に、図12の波面Bから目標形状である波面Aへ確実に近づく、安定した波面収差の補正制御ができる。
さらに、各電極9e…に対応する各作用点の位置は、実験的に最適な位置を求めることで、「変位量フィードバック」による簡易的な計算方法でありながら、ある程度の精度で電圧値Vnを算出できる。
[使い分け補正アルゴリズムを用いた波面収差補正作用]
まず、可変形状ミラー9の構造と可変形状ミラー9の制御電圧の算出方法について説明する。
可変形状ミラー9は、接地した導電性の薄膜ミラー9bに対向して電極9eを配置し、電極9eに電圧を印加することで静電力により薄膜ミラー9bが歪む。薄膜ミラー9bを凹ませたい場所の下に電圧を印加すると、薄膜ミラー9bが凹む。このとき、歪量は電圧の二乗にほぼ比例する。
可変形状ミラー9で作ることができる形状は、電極9eの配列パターン、電極9eの個数、電極9eにかける電圧の大きさで決まる。すなわち、電極9eの数を増やせば作れる形状が多様になるが、電圧を算出するには非常に時間がかかるため、リアルタイム補正を行う場合、補正形状の多様性と処理スピードはトレードオフの関係になる。
また、測定された波面収差を補正するような可変形状ミラー9形状を作るための制御電圧の算出は、非常に難しい。特に、薄膜ミラー9bは1つの連続体であるため、1つの電極9eに電圧を掛けると電圧の付近が凹むだけでなく、その影響はミラー全面に及ぶ。そのため、従来は、一つの電圧を印加した場合のミラー面全体の形状を記録しておき、それらの重ね合わせがもっとも目標形状と近くなるように、各電極の電圧を決定する方式を採用していた。
これに対し、実施例1の波面収差補正装置では、可変形状ミラー9は、図4に示すように、合計85個と非常に多くの電極9e…を有する。このため、従来の駆動電圧算出方法では時間がかかるため、高速で駆動電圧を算出する簡便な方法(補正アルゴリズム)を考案した。
まず、発明者が着目した点は、第1電圧値による波面収差補正と第2電圧値による波面収差補正とは、その特徴が互いに相違する点である。
すなわち、「TYPE1」を用いた第1電圧値による波面収差補正では、図13のB特性曲線部に示すように、収束速度が遅いというデメリットがあるが、発散しにくい、かつ、補正精度が良い(図13のE特性曲線部に示すように残収差が小さくなる)というメリットがある。
一方、「TYPE2」を用いた第2電圧値による波面収差補正では、図13のC特性曲線部に示すように発散しやすい、かつ、補正精度が低い(図13のD特性曲線部に示すように残収差がEより大きくなる)というデメリットがあるが、図13のA特性曲線部に示すように収束速度が速いというメリットがある。
このように、「TYPE2」を用いた第2電圧値による波面収差補正のメリットである収束速度が速い点と、「TYPE1」を用いた第1電圧値による波面収差補正のメリットである発散しにくく補正精度が高い点を、有効に活用する「使い分け方式」を採用することで、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立が図られることを知見した。
上記知見に基づき、実施例1では、初回からn回目までの補正ループでは、「TYPE2」を用いた第2電圧値による波面収差補正を実行し、(n+1)回目以降の補正ループでは、「TYPE1」を用いた第1電圧値による波面収差補正を実行するという「使い分け方式」を採用した。
この結果、波面収差を補正する際、電圧を印加する電極数9e…が多い可変形状ミラー9を用いたとしても、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立により、応答良く短時間にて残収差を小さく抑える補正を達成した。
具体例について説明する。
1.眼底を高倍率でみる
眼底Efを高倍率で観察した場合、観察できる、観察できないは、撮影した画像の鮮明さ(ボケ具合)で決まる。このボケは、回析限界(光学系に依存)と波面収差で決まる。現在、眼底Efの視細胞(2〜5μm)の撮影を目標としており、これを観測するには、本光学系の場合、解析エリア内の波面収差をRMS(収差量)の実測値で0.05μm未満は必須である。
2.繰り返し補正回数
被検眼Eの眼底Efを撮影する際に、良い状態で眼を開いていられるのが、人により異なり、短い人では数秒となる。このため、調整から撮影までを数秒間で終了するためには、できる限り少ない補正回数で、図12に示す波面Bの状態から目標とする波面収差による波面Aに到達するのが重要である。
これに対し、実施例1の電圧パターンの補正アルゴリズム(使い分け方式)を採用した場合であって、残収差の目標値をRMS実測値で0.05μmとする実験では、最初の3回〜5回の「TYPE2」による繰り返し補正により残収差が目標値に限りなく近い値まで到達し、その後、「TYPE1」により収差補正を数回繰り返すことで、残収差が目標値以下となり、22倍の倍率(実験装置の光学系の都合により設定した倍率)により、鮮明な眼底画像を得ることができる条件である残収差がRMSで0.05μm以下を達成した。つまり、少ない繰り返し補正回数により残収差が目標値以下となることが判明し、上記1.及び2.の要求を満たす収差補償システムであることが証明された。
次に、効果を説明する。
実施例1の波面収差補正装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 複数の電極9e…と、該複数の電極9e…に印加された電圧値Vnに応じて形状を変化させる薄膜ミラー9bを有し、入射した光束の波面収差を補正する可変形状ミラー9と、前記可変形状ミラー9が設けられた光学系に収差補正対象を含み、該収差補正対象と可変形状ミラー9を経由した光束を受光して該光束の波面収差を測定する波面センサ14と、前記波面センサ14からの信号により、前記複数の電極9e…にそれぞれ対応する薄膜ミラー9b上の作用点と目標点との差に基づいて、前記複数の電極9e…それぞれに印加する第1電圧値Vnを演算する第1電極印加電圧演算手段と、波面収差の多項式による展開モード毎に、それぞれの展開モードを誘起する電極9e…の電圧配列データである電圧テンプレートVm *を記憶しておき、前記波面センサ14で得られた波面収差が所望の収差になるように各展開モードの重ね合わせ振幅を決定し、前記記憶している電圧テンプレートVm *を用いて前記複数の電極9e…のそれぞれに印加する第2電圧値Vnを演算する第2電極印加電圧演算手段と、補正開始域では前記第2電極印加電圧演算手段により演算された第2電圧値Vnを主に用い、補正終了域では前記第1電極印加電圧演算手段により演算された第1電圧値Vnを主に用いるという使い分けにより、前記複数の電極9e…のそれぞれに印加する電圧値Vnを決定する電圧値使い分け手段と、前記電圧値使い分け手段により決定した電圧値Vnに基づき、前記波面センサ14により測定される光束の波面収差を抑制するように、前記可変形状ミラー9のミラー形状の補正を繰り返す制御を行う可変形状ミラー制御手段と、を有する。このため、波面収差を補正する際、電圧を印加する電極数が多い可変形状ミラー9を用いたとしても、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立により、応答良く短時間で残収差を小さく抑える補正を達成し、高倍率としてもきわめて鮮明な画像を得ることができる。
(2) 前記電圧値使い分け手段は、可変形状ミラー9のミラー形状補正を行う繰り返し補正回数を判定する繰り返し補正回数判定部(ステップS8)を設け、前記繰り返し補正回数判定部は、残収差の収束状況により設定回数nを決め、繰り返し補正回数が初回から設定回数n以下であると判定されたときは、第2電極印加電圧演算手段を選択し、第2電圧値を用いて可変形状ミラーのミラー形状補正を行い、繰り返し補正回数が設定回数nを超えたと判定されたときは、第1電極印加電圧演算手段を選択し、第1電圧値を用いて可変形状ミラー9のミラー形状補正を行うため、繰り返し補正回数の設定回数nを決めるだけの簡単な処理により、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立を図ることができる。
(3) 前記可変形状ミラー9は、薄膜ミラー9bの変位量を初期変位量とするべく全電極9e…に初期電圧V0を印加した後、複数の電極9e…に対して作り出された電圧パターンによる薄膜ミラー9bの歪み形状を、収差補正対象を経由して入射される光束の波面収差形状を打ち消す形状に制御することで、ミラー反射後の光束に含まれる波面収差を小さく抑えるため、予め初期変位量を与えるという可変形状ミラー9の初期化処理および、電極9eの平均電圧を初期電圧に固定することで、可変形状ミラー9を用いた波面収差補正制御において、制御ハンチングを抑えた高応答で収束性の高い波面収差補正制御を行うことができる。加えて、初期変位量をプルインが起きない程度に大きくすることで、補正のダイナミックレンジを大きくすることができる。
(4) 前記波面センサ14は、マイクロレンズが格子状に配列されたハルトマンプレート14aと、二次元CCD14bとから構成され、収差補正対象に点光源を投影し、収差補正対象及び前記可変形状ミラー9を経由した反射光を、前記ハルトマンプレート14aで多数の光束に分割し、それぞれの光束による点像位置を二次元CCD14bで測定し、収差補正を要しない理想収差補正対象の場合の点像位置と比較することにより、収差補正対象の波面収差を測定するため、高精度による高次波面収差補正を行う際に必須とされる高い波面収差測定精度要求に応えることができる。
(5) 前記第1電極印加電圧演算手段は、波面収差補正後の残収差のゼルニケ展開データにより、各モードでの振幅値Amを読み込み(ステップS101)、各電極9e…に印加されている電圧値Vnを前回の電圧値Vn'として読み込み(ステップS102)、予め定められている各電極9e…の作用点座標位置(rnn)を読み込み(ステップS103)、各モードでの振幅値Amと各電極9e…の作用点座標位置(rnn)での目標変位量Dnを計算し(ステップS104)、該目標変位量Dnと前回の電圧値Vn'と輪帯毎に設定できるフィードバックゲインαにより、前記複数の電極9e…に対する第1電圧値Vnを演算する(ステップS105)ため、各電極9e…に対応する作用点座標位置(rnn)として、実験等により最適な位置と最適なフィードバックゲインαを求めることで、簡易的な計算方法でありながら、高精度で電圧値Vnを算出することができる。
(6) 前記第2電極印加電圧演算手段は、波面収差補正後の残収差のゼルニケ展開データにより、各展開モードでの振幅値Amを読み込み(ステップS91)、各電極9e…に印加されている電圧値Vnを前回の電圧値Vn'として読み込み(ステップS92)、予め記憶されている各展開モードを誘起する電圧テンプレートVm *を読み込み(ステップS93)、可変形状ミラー9の目標ゼルニケ展開データZ* targetを計算し(ステップS94)、予め計算された各電圧テンプレートVm *に対応する波面形状データZm *を並べた行列ZMを読み込み(ステップS95)、目標ゼルニケ展開データZ* targetと行列ZMにより計算した重ね合わせ係数k*を各展開モードの重ね合わせ振幅として算出し(ステップS96)、前記電圧テンプレートVm *と重ね合わせ係数k*と前回の電圧値Vn'とフィードバックゲインgにより、前記複数の電極9e…に対する第2電圧値Vnを演算する(ステップS97)ため、各ゼルニケ展開モードで生じるべき単一展開モード以外の他の展開モードが混じるというテンプレートの不完全性の影響が是正され、他の展開モードによる影響を排除した高精度による高次波面収差補正を行うことができる。
(7) 前記第2電極印加電圧演算手段は、波面収差補正後の残収差のゼルニケ展開データにより、各展開モードでの振幅値Amを読み込み(ステップS91)、各電極9e…に印加されている電圧値Vnを前回の電圧値Vn'として読み込み(ステップS92)、予め記憶されている各展開モードを誘起する電圧テンプレートVm *を読み込み(ステップS93)、各電圧テンプレートVm *に対応する波面形状データZm,mに対する各展開モードの波面形状データZtmの比(Ztm/Zm,m)を各展開モードの重ね合わせ振幅として算出し、前記電圧テンプレートVm *と重ね合わせ振幅(Ztm/Zm,m)と前回の電圧値Vn'とフィードバックゲインgにより、前記複数の電極9e…に対する第2電圧値Vnを演算する(ステップS97')ため、各ゼルニケ展開モードで生じるべき単一展開モード以外の他の展開モードが混じるというテンプレートの不完全性のうち、波面形状データZm,mに対してテンプレートの主成分による影響を排除するという精度を保ちながら、計算処理スピードを上げて高次波面収差補正を行うことができる。
(8) 前記第2電極印加電圧演算手段は、波面収差補正後の残収差のゼルニケ展開データにより、各展開モードでの振幅値Amを読み込み(ステップS91)、各電極9e…に印加されている電圧値Vnを前回の電圧値Vn'として読み込み(ステップS92)、予め記憶されている各展開モードを誘起する電圧テンプレートVm *を読み込み(ステップS93)、前記各展開モードの振幅値Amの正負符号を反転させた値-Amを各展開モードの重ね合わせ振幅とし、前記電圧テンプレートVm *と重ね合わせ振幅-Amと前回の電圧値Vn'とフィードバックゲインgにより、前記複数の電極9e…それぞれに対し今回印加する電圧値Vnを演算する(ステップS97')ため、テンプレートの規格化により、計算処理スピードを著しく上げて高次波面収差補正を行うことができる。
(9) 前記波面センサ14と前記両電極印加電圧演算手段と前記可変形状ミラー制御手段は、波面収差補正後の残収差が、設定倍率により収差補正対象を観察や撮影する際に鮮明な画像が得られる許容波面収差に基づき決定された目標値以下になるまで(ステップS7)、波面収差測定(ステップS4)と印加電圧演算(ステップS8〜ステップS12)と可変形状ミラー制御(ステップS13)を繰り返すループ補正制御を行うように構成したため、設定倍率の大小にかかわらず、収差補正対象を観察や撮影する際に鮮明な画像を得ることができる。
(10) 前記収差補正対象が被検眼Eであり、該被検眼Eの屈曲特性を原因として発生する波面収差のうち、球面度数成分と乱視度数成分を補正する低次波面収差補正手段(ステップS4〜ステップS6)を設け、前記電極印加電圧演算手段及び前記可変形状ミラー制御手段は、前記低次波面収差補正手段による低次波面収差補正後に残った波面収差成分と、低次波面収差補正の対象となる次数より高次の波面収差成分を、可変形状ミラー9を変形させて補正するため、被検眼Eを収差補正対象とする眼科装置において、可変形状ミラー9の変形による高次波面収差補正での収差補正負担を軽減することができる。
(11) 前記低次波面収差補正手段(ステップS4〜ステップS6)は、波面収差の測定に基づき、波面収差のうち、球面度数成分をオートフォーカス系の可動プリズム6で調整し、乱視度数成分をシリンドリカルレンズ3で調整し、収差補正後の残収差が、ゼルニケ多項式による展開モードで2次を考慮して決められた規定値以下となるまで、波面収差測定とレンズ移動を繰り返すため、光路中のレンズを用い、短時間にて低次波面収差である球面度数成分と乱視度数成分を打ち消すことができる。
(12) 前記波面センサ14と前記両電極印加電圧演算手段と前記可変形状ミラー制御手段は、前記低次波面収差補正手段(ステップS4〜ステップS6)による波面収差補正に続いて、波面収差測定と各電極9e…への印加電圧の演算に基づく可変形状ミラー9の歪み変形制御を開始し、収差補正後の残収差が、ゼルニケ多項式による展開モードで少なくとも6次までを考慮して決められた目標値以下となるまで、波面収差測定と印加電圧演算と可変形状ミラー制御を繰り返すため、被検眼Eを収差補正対象とする眼科装置において、可変形状ミラー9の変形による高次波面収差補正にて6次までの残収差まで取り除かれ、視細胞レベルを観察可能な高倍率により鮮明な眼底画像を得ることができる。また、目標値をゼルニケ多項式による展開モードで6次〜10次程度まで考慮して決定すれば、より高い倍率が要求されても対応可能である。
(13) 被検眼Eの眼底観察及び眼底撮影を行う眼科装置の光学系に装備し、前記可変形状ミラー制御手段は、収差補正後の残収差が目標値以下になると、被検眼Eの眼底撮影モードに移行するため、光学系に波面収差の発生原因となる被検眼Eが存在しても、短時間にて波面収差を小さく抑え、高倍率で鮮明な画像により、被検眼Eの眼底観察及び眼底撮影を行うことができる。
実施例2は、ミラー形状補正による残収差の変化率を判定することで、第2電圧値を用いたミラー形状補正から第1電圧値を用いたミラー形状補正に切り替えるようにした例である。なお、実施例2のシステム構成については、実施例1のシステム構成と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
図14は、実施例2の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。なお、図14に示すフローチャートのステップS21〜ステップS27及びステップS29〜ステップS34の各ステップは、図6に示すフローチャートのステップS1〜ステップS7及びステップS9〜ステップS14の各ステップと同じ処理を行うステップであるため、説明を省略する。
ステップS28は、ステップS27での残収差≦目標値であるとの判断に続き、可変形状ミラーのミラー形状補正による残収差の変化率tが設定変化率Δ以下か否かを判断するステップである(残収差変化率判定部)。
ここで、残収差の変化率tは、例えば、1回前の残収差から今回の残収差を差し引いた式である、t=RMS(n-1)−RMS(n)の式により求められる。また、設定変化率Δは、急な収束状況から緩やかな収束状況に移行する残収差の変化率により決められる。例えば、「TYPE2」による駆動電圧計算による補正では、図13のA特性曲線部に示すように、最初の3回〜5回の繰り返し補正で非常に大きな収束を示し、その後、残収差の変化勾配が急に緩やかになるため、両者の過渡期における残収差変化率に設定されることになる。
ステップS28において、Noと判断されたときはステップS29へ移行し(「TYPE2」による駆動電圧計算)、Yesと判断されたときはステップS30へ移行する(「TYPE1」による駆動電圧計算)。
作用的には、「TYPE2」による駆動電圧計算に基づく収差補正と「TYPE1」による駆動電圧計算に基づく収差補正の使い分け条件が、実施例1の繰り返し補正回数条件と相違するのみである。
すなわち、実施例2では、ステップS28において、残収差の変化率tが設定変化率Δより大きいと判定されたときは、ステップS29へ進み、「TYPE2」による駆動電圧計算に基づく収差補正を選択し、第2電圧値を用いて可変形状ミラー9のミラー形状補正が行われる。そして、ステップS28において、残収差の変化率tが設定変化率Δ以下であると判定されたときは、ステップS30へ進み、「TYPE1」による駆動電圧計算に基づく収差補正を選択し、第1電圧値を用いて可変形状ミラー9のミラー形状補正が行われる。
したがって、実施例1の場合、繰り返し補正回数の設定回数nを実験等により固定値で与えたのに対し、実施例2の場合、光学系や収差補正対象のバラツキ等に対応し、繰り返し補正回数の設定回数nを可変値により与えたのと同様に、最適なタイミングにて「TYPE2」から「TYPE1」へと受け渡され、より目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立の実効が図られる。
加えて、残収差の変化率tを監視する制御としていることで、発散の兆候(tが負の値から正の値へ移行)を見極めることができ、補正制御が発散することを未然に防止することができる。なお、他の作用については、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2の波面収差補正装置にあっては、実施例1の(2)を除く効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(14) 前記電圧値使い分け手段は、可変形状ミラー9のミラー形状補正による残収差の変化率を判定する残収差変化率判定部(ステップS28)を設け、前記残収差変化率判定部は、急な収束状況から緩やかな収束状況に移行する残収差の変化率により設定変化率Δを決め、残収差の変化率tが設定変化率Δより大きいと判定されたときは、第2電極印加電圧演算手段を選択し、第2電圧値を用いて可変形状ミラー9のミラー形状補正を行い、残収差の変化率tが設定変化率Δ以下であると判定されたときは、第1電極印加電圧演算手段を選択し、第1電圧値を用いて可変形状ミラー9のミラー形状補正を行うため、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立の実効を図ることができると共に、補正制御の発散を未然に防止することができる。
実施例3は、補正の繰り返し回数による第1電圧値重み付け係数と第2電圧値重み付け係数を設定することで、最初は第2電圧値を用いたミラー形状補正の性質を強く持たせ、徐々に第1電圧値を用いたミラー形状補正へと変化させるようにした例である。なお、実施例3のシステム構成については、実施例1のシステム構成と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
図15は、実施例3の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。なお、図15に示すフローチャートのステップS41〜ステップS47及びステップS51〜ステップS54の各ステップは、図6に示すフローチャートのステップS1〜ステップS7及びステップS11〜ステップS14の各ステップと同じ処理を行うステップであるため、説明を省略する。
ステップS48は、ステップS47での残収差≦目標値であるとの判断に続き、「TYPE1」と「TYPE2」による駆動電圧演算を共に行うステップである。
ここで、「TYPE1」による駆動電圧演算の結果得られた電圧値を第1電圧値V1とし、「TYPE2」による駆動電圧演算の結果得られた電圧値を第2電圧値V2とする。
ステップS49は、ステップS48での「TYPE1」と「TYPE2」による駆動電圧演算に続き、補正の繰り返し回数による第1電圧値重み付け係数k1と第2電圧値重み付け係数k2を設定し、両重み付け係数k1,k2と、第1電圧値V1と、第2電圧値V2と、を用いて下記の式により電圧計算値Vcalを計算するステップである。
Vcal2=k1V12+k2V22
ここで、第1電圧値重み付け係数k1と第2電圧値重み付け係数k2の設定として、例えば、
K1=1−(n/nmax)、k2=−(n/nmax)
の式で求められる。この式では、時間切れ繰り返し補正回数であり、現段階では、50〜100回に設定している。なお、この重み付け係数k1,k2の設定に関しては、上記式はあくまで一例であり、実験等を繰り返すことで、理想的な式を決定する。
作用的には、「TYPE2」による駆動電圧計算に基づく収差補正と「TYPE1」による駆動電圧計算に基づく収差補正の使い分け条件が、実施例1の繰り返し補正回数条件や実施例2の残収差の変化率条件と相違するのみである。
すなわち、実施例3では、ステップS48において、「TYPE1」により第1電圧値V1が計算され、「TYPE2」により第2電圧値V2が計算される。そして、ステップS49において、可変形状ミラー9のミラー形状補正の開始域では第2電圧値重み付け係数βを第1電圧値重み付け係数αより高くし、ミラー形状補正回数が増すのにしたがって第2電圧値重み付け係数k2を徐々に低くし、第1電圧値重み付け係数k1を徐々に高くするように、両重み付け係数k1,k2が設定される。そして、第1電圧値重み付け係数k1と、第2電圧値重み付け係数k2と、第1電圧値V1と、第2電圧値V2と、を用いて電圧計算値Vcalが計算される。
したがって、実施例1,2の場合、「TYPE2」から「TYPE1」へと受け渡す使い分け方式であるのに対し、実施例3の場合、「TYPE2」と「TYPE1」を常に組み合わせ、重み付けの変化により、繰り返し補正の初期段階では「TYPE2」の性質を強く持たせ、徐々に「TYPE1」へと変化させる補正制御となる。
このため、電極9e…への電圧パターンの変化を滑らかにし、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立を安定して図ることができる。なお、他の作用については、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例3の波面収差補正装置にあっては、実施例1の(2)を除く効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(15) 前記電圧値使い分け手段は、第1電圧値重み付け係数k1と第2電圧値重み付け係数k2を設定する重み付け係数設定部(ステップS49)を設け、前記重み付け係数設定部は、第1電極印加電圧演算手段により計算された第1電圧値V1と、第2電極印加電圧演算手段により計算された第2電圧値V2のうち、可変形状ミラー9のミラー形状補正の開始域では第2電圧値重み付け係数k2を第1電圧値重み付け係数k1より高くし、ミラー形状補正回数が増すのにしたがって第2電圧値重み付け係数k2を徐々に低くし、第1電圧値重み付け係数k1を徐々に高くするため、滑らかな電極9e…への電圧パターンの変化により、目標ミラー形状への応答性と高補正精度の両立を安定して図ることができる。
以上、本発明の波面収差補正装置を実施例1〜実施例3に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1〜3では、可変形状ミラー9として、合計85個の電極9e…を有する例を示したが、合計85個以上の電極を有する可変形状ミラーとしても良いし、また、合計85個未満の電極を有する可変形状ミラーとしても良い。要するに、可変形状ミラーの電極の数は実施例1,2の数に限られるものでなく、要求倍率や残収差の目標値の大きさ等に応じて適宜変更することができる。また、電極の配置パターンは、ゼルニケ多項式の展開モードに対応する波面が得易い配列とするのが好ましいが、これも波面収差の補正次数の最大次数に大きく依存するものであり、実施例1〜3のパターンに限られるものではない。
実施例1〜3では、収差補正対象を被検眼Eとしたことに伴い、被検眼Eの屈曲特性を原因として発生する球面度数成分と乱視度数成分を補正する低次波面収差補正手段を設けた例を示したが、収差補正対象が被検眼E以外のもの、例えば、光路中に存在する高次の波面収差を持つレンズである場合、低次波面収差補正を行うことなく、直ちに、可変形状ミラーを用いた波面収差補正を行うようにしても良い。
実施例3では、第1電圧値重み付け係数k1と第2電圧値重み付け係数k2の設定に際し、繰り返し補正回数の条件により設定する例を示したが、繰り返し補正回数の条件に残収差の条件を加えて、あるいは、残収差の条件のみにより両重み付け係数k1,k2を設定する例としても良い。
実施例1〜3には、眼底観察及び眼底撮影を行う眼科装置の光学系に装備した波面収差補正装置を記載したため、目標値を鮮明な眼底画像が得られるように許容波面収差に基づき決定したが、特定の収差が得られるように目標値を決定しても良い。これによって、模型眼に特定の収差を持たせることもできる。
実施例1〜3では、本発明の波面収差補正装置を眼底の観察・撮影を行う眼科装置へ適用する例を示したが、本発明の波面収差補正装置は、眼科装置以外に、ヘッドアップディスプレイ、天体望遠鏡、レーザ照射装置、顕微鏡、露光装置、光ディスク装置(光ピックアップ)、微細加工装置等のように、波面収差の補正を要する収差補正対象を光学系に有する様々な装置に適用することができる。
実施例1の波面収差補正装置を適用した眼科装置を示す全体図である。 実施例1の眼底撮影系と波面制御系に共有された可変形状ミラーの一例を示す図であり、(a)は平面図を示し、(b)はA−A線断面図を示す。 可変形状ミラーの薄膜ミラーと電極を示す断面図である。 可変形状ミラーの電極の配置例を示す平面図である。 実施例1の撮影制御系の波面センサ14を示す説明図である。 実施例1の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理の流れを示すフローチャートである。 0次〜10次のゼルニケ多項式による各展開モードを示す図である。 実施例1の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理(図6)においてステップS10の「TYPE1」の駆動電圧計算が選択されたときの第1電圧値演算処理の流れを示すフローチャートである。 「TYPE1」の駆動電圧計算が選択されたときの波面収差の補正作用を示す説明図である。 実施例1の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理(図6)においてステップS9の「TYPE2」の駆動電圧計算が選択されたときの第2電圧値演算処理の流れを示すフローチャートであり、(a)は第1例のフローチャートを示し、(b)は第2例のフローチャートを示す。 実施例1の波面収差補正装置で用いた各モードでの電圧テンプレートの一例を示す図である。 可変形状ミラーでの波面収差の補正作用を示す説明図である。 実施例1の「TYPE1」を用いた補正アルゴリズムと「TYPE2」を用いた補正アルゴリズムによる可変形状ミラーを用いた波面収差補正での繰り返し補正回数と残収差との関係特性図である。 実施例2の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3の波面制御系のパーソナルコンピュータ15にて実行される波面収差補正制御処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 半導体レーザ光源
2 ビームスプリッタ
3 可変シリンドリカルレンズ(乱視補正用レンズ)
4 第1レンズ
5 第1ミラー
6 可動プリズム(合焦機構)
7 第2ミラー
8 第2レンズ
9 可変形状ミラー
9a ミラー枠
9b 薄膜ミラー
9c スペーサー
9d 電極基板
9e 電極
10 ダイクロイックミラー
11 高感度CCDカメラ
12 半導体レーザ光源
13 ビームスプリッタ
14 波面センサ
14a ハルトマンプレート
14b 二次元CCD(二次元電荷結合素子)
15 パーソナルコンピュータ
16 ドライバー
E 被検眼
Ef 眼底

Claims (15)

  1. 複数の電極と、該複数の電極に印加された電圧値に応じて形状を変化させる薄膜ミラーを有し、入射した光束の波面収差を補正する可変形状ミラーと、
    前記可変形状ミラーが設けられた光学系に収差補正対象を含み、該収差補正対象と可変形状ミラーを経由した光束を受光して該光束の波面収差を測定する波面センサと、
    前記波面センサからの信号により、前記複数の電極にそれぞれ対応する薄膜ミラー上の作用点と目標点との差に基づいて、前記複数の電極それぞれに印加する第1電圧値を演算する第1電極印加電圧演算手段と、
    波面収差の多項式による展開モード毎に、それぞれの展開モードを誘起する電極の電圧配列データである電圧テンプレートを記憶しておき、前記波面センサで得られた波面収差が所望の収差になるように各展開モードの重ね合わせ振幅を決定し、前記記憶している電圧テンプレートを用い前記複数の電極のそれぞれに印加する第2電圧値を演算する第2電極印加電圧演算手段と、
    補正開始域では前記第2電極印加電圧演算手段により演算された第2電圧値を主に用い、補正終了域では前記第1電極印加電圧演算手段により演算された第1電圧値を主に用いるという使い分けにより、前記複数の電極のそれぞれに印加する電圧値を決定する電圧値使い分け手段と、
    前記電圧値使い分け手段により決定した電圧値に基づき、前記波面センサにより測定される光束の波面収差を抑制するように、前記可変形状ミラーのミラー形状の補正を繰り返す制御を行う可変形状ミラー制御手段と、
    を有することを特徴とする波面収差補正装置。
  2. 請求項1に記載された波面収差補正装置において、
    前記電圧値使い分け手段は、可変形状ミラーのミラー形状補正を行う繰り返し補正回数を判定する繰り返し補正回数判定部を設け、
    前記繰り返し補正回数判定部は、残収差の収束状況により設定回数を決め、繰り返し補正回数が初回から設定回数以下であると判定されたときは、第2電極印加電圧演算手段を選択し、第2電圧値を用いて可変形状ミラーのミラー形状補正を行い、繰り返し補正回数が設定回数を超えたと判定されたときは、第1電極印加電圧演算手段を選択し、第1電圧値を用いて可変形状ミラーのミラー形状補正を行うことを特徴とする波面収差補正装置。
  3. 請求項1に記載された波面収差補正装置において、
    前記電圧値使い分け手段は、可変形状ミラーのミラー形状補正による残収差の変化率を判定する残収差変化率判定部を設け、
    前記残収差変化率判定部は、急な収束状況から緩やかな収束状況に移行する残収差の変化率により設定変化率を決め、残収差の変化率が設定変化率より大きいと判定されたときは、第2電極印加電圧演算手段を選択し、第2電圧値を用いて可変形状ミラーのミラー形状補正を行い、残収差の変化率が設定変化率以下であると判定されたときは、第1電極印加電圧演算手段を選択し、第1電圧値を用いて可変形状ミラーのミラー形状補正を行うことを特徴とする波面収差補正装置。
  4. 請求項1に記載された波面収差補正装置において、
    前記電圧値使い分け手段は、第1電圧値重み付け係数と第2電圧値重み付け係数を設定する重み付け係数設定部を設け、
    前記重み付け係数設定部は、第1電極印加電圧演算手段により計算された第1電圧値と、第2電極印加電圧演算手段により計算された第2電圧値のうち、可変形状ミラーのミラー形状補正の開始域では第2電圧値重み付け係数を第1電圧値重み付け係数より高くし、ミラー形状補正回数が増すのにしたがって第2電圧値重み付け係数を徐々に低くし、第1電圧値重み付け係数を徐々に高くすることを特徴とする波面収差補正装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載された波面収差補正装置において、
    前記可変形状ミラーは、薄膜ミラーの変位量を初期変位量とするべく全電極に初期電圧を印加した後、複数の電極に対して作り出された電圧パターンによる薄膜ミラーの歪み形状を、収差補正対象を経由して入射される光束の波面収差形状を打ち消す形状に制御することで、ミラー反射後の光束に含まれる波面収差を小さく抑えることを特徴とする波面収差補正装置。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載された波面収差補正装置において、
    前記波面センサは、マイクロレンズが格子状に配列されたハルトマンプレートと、二次元電荷結合素子とから構成され、収差補正対象に点光源を投影し、収差補正対象及び前記可変形状ミラーを経由した反射光を、前記ハルトマンプレートで多数の光束に分割し、それぞれの光束による点像位置を二次元電荷結合素子で測定し、収差補正を要しない理想収差補正対象の場合の点像位置と比較することにより、収差補正対象の波面収差を測定することを特徴とする波面収差補正装置。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載された波面収差補正装置において、
    前記第1電極印加電圧演算手段は、波面収差補正後の残収差のゼルニケ展開データにより、各モードでの振幅値を読み込み、各電極に印加されている電圧値を前回の電圧値として読み込み、予め定められている各電極の作用点座標位置を読み込み、各モードでの振幅値と各電極の作用点座標位置での目標変位量を計算し、該目標変位量と前回の電圧値とフィードバックゲインにより、前記複数の電極に対する第1電圧値を演算することを特徴とする波面収差補正装置。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載された波面収差補正装置において、
    前記第2電極印加電圧演算手段は、波面収差補正後の残収差のゼルニケ展開データにより、各展開モードでの振幅値を読み込み、各電極に印加されている電圧値を前回の電圧値として読み込み、予め記憶されている各展開モードを誘起する電圧テンプレートを読み込み、可変形状ミラーの目標ゼルニケ展開データを計算し、予め計算された各電圧テンプレートに対応する波面形状データを並べた行列を読み込み、目標ゼルニケ展開データと行列により計算した重ね合わせ係数を各展開モードの重ね合わせ振幅として算出し、前記電圧テンプレートと重ね合わせ振幅と前回の電圧値とフィードバックゲインにより、前記複数の電極に対する第2電圧値を演算することを特徴とする波面収差補正装置。
  9. 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載された波面収差補正装置において、
    前記第2電極印加電圧演算手段は、波面収差補正後の残収差のゼルニケ展開データにより、各展開モードでの振幅値を読み込み、各電極に印加されている電圧値を前回の電圧値として読み込み、予め記憶されている各展開モードを誘起する電圧テンプレートを読み込み、各電圧テンプレートに対応する波面形状データに対する各展開モードの波面形状データの比を各展開モードの重ね合わせ振幅として算出し、前記電圧テンプレートと重ね合わせ振幅と前回の電圧値とフィードバックゲインにより、前記複数の電極に対する第2電圧値を演算することを特徴とする波面収差補正装置。
  10. 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載された波面収差補正装置において、
    前記第2電極印加電圧演算手段は、波面収差補正後の残収差のゼルニケ展開データにより、各展開モードでの振幅値を読み込み、各電極に印加されている電圧値を前回の電圧値として読み込み、予め記憶されている各展開モードを誘起する電圧テンプレートを読み込み、前記各展開モードの振幅値の正負符号を反転させた値を各展開モードの重ね合わせ振幅とし、前記電圧テンプレートと重ね合わせ振幅と前回の電圧値とフィードバックゲインにより、前記複数の電極に対する第2電圧値を演算することを特徴とする波面収差補正装置。
  11. 請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載された波面収差補正装置において、
    前記波面センサと前記両電極印加電圧演算手段と前記可変形状ミラー制御手段は、波面収差補正後の残収差が、設定倍率により収差補正対象を観察や撮影する際に鮮明な画像が得られる許容波面収差に基づき決定された目標値以下になるまで、波面収差測定と印加電圧演算と可変形状ミラー制御を繰り返すループ補正制御を行うように構成したことを特徴とする波面収差補正装置。
  12. 請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載された波面収差補正装置において、
    前記収差補正対象が被検眼であり、該被検眼の屈曲特性を原因として発生する波面収差のうち、球面度数成分と乱視度数成分を補正する低次波面収差補正手段を設け、
    前記両電極印加電圧演算手段及び前記可変形状ミラー制御手段は、前記低次波面収差補正手段による低次波面収差補正後に残った波面収差成分と、低次波面収差補正の対象となる次数より高次の波面収差成分を、可変形状ミラーを変形させて補正することを特徴とする波面収差補正装置。
  13. 請求項12に記載された波面収差補正装置において、
    前記低次波面収差補正手段は、波面収差の測定に基づき、波面収差のうち、球面度数成分をオートフォーカス系の合焦機構で調整し、乱視度数成分を乱視補正用レンズで調整し、収差補正後の残収差が、ゼルニケ多項式による展開モードで2次を考慮して決められた規定値以下となるまで、波面収差測定とレンズ移動を繰り返すことを特徴とする波面収差補正装置。
  14. 請求項12又は請求項13に記載された波面収差補正装置において、
    前記波面センサと前記両電極印加電圧演算手段と前記可変形状ミラー制御手段は、前記低次波面収差補正手段による波面収差補正に続いて、波面収差測定と各電極への印加電圧の演算に基づく可変形状ミラーの歪み変形制御を開始し、収差補正後の残収差が、ゼルニケ多項式による展開モードで少なくとも6次までを考慮して決められた目標値以下となるまで、波面収差測定と印加電圧演算と可変形状ミラー制御を繰り返すことを特徴とする波面収差補正装置。
  15. 請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載された波面収差補正装置において、
    被検眼の眼底観察及び眼底撮影を行う眼科装置の光学系に装備し、
    前記可変形状ミラー制御手段は、収差補正後の残収差が目標値以下になると、被検眼の眼底撮影モードに移行することを特徴とする波面収差補正装置。
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