<実施形態1>
本発明にかかる実施形態1について説明する。
(装置構成)
図1は、本発明にかかる実施形態1において、X線CT装置1の全体構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明にかかる実施形態1において、X線CT装置1の要部を示す斜視図である。
図1に示すように、X線CT装置1は、走査ガントリ2と、操作コンソール3と、撮影テーブル部4とを有する。X線CT装置1は、被検体において撮影対象が含まれる撮影領域へX線を照射し、その被検体の撮影領域を透過したX線を検出するスキャンを実施することによって投影データを取得し、その取得した投影データをローデータとして用いて、その被検体の撮影領域についての画像を画像再構成する。
本実施形態においては、X線CT装置1は、本スキャンを実施し、被検体の撮影領域のスライス面についてスライス画像を画像再構成する。そして、この本スキャンの実施前においては、スカウトスキャンを実施し、本スキャンのスキャン条件を設定する際に参照するスカウト画像を画像再構成する。
走査ガントリ2について説明する。
走査ガントリ2は、図1に示すように、X線管20とX線管移動部21とコリメータ22とX線検出器23とデータ収集部24とX線コントローラ25とコリメータコントローラ26と回転部27とガントリコントローラ28とを有する。走査ガントリ2は、撮影テーブル部4において移動されるクレードル401を収容する撮影空間29を含み、その撮影空間29において、X線管20が被検体の撮影領域へX線を放射し、X線検出器23が被検体の撮影領域を透過するX線を検出するスキャンを実施することによって、被検体の撮影領域についての投影データを得る。ここでは、後述する操作コンソール3において設定されたスキャン条件に対応するように、操作コンソール3から出力された制御信号CTL30aに基づいて、スキャンを実施する。
具体的には、走査ガントリ2においては、図2に示すように、被検体の撮影領域が搬入される撮影空間29を含み、その撮影空間29を挟むように、X線管20とX線検出器23とが対面して配置されている。そして、そのX線管20とX線検出器23との間にコリメータ22が配置されており、X線管20からX線検出器23へ照射されるX線を、コリメータ22がコーン状に成形する。そして、走査ガントリ2は、X線管20とコリメータ22とX線検出器23とを被検体の周囲に旋回させることによって、被検体の周囲の各ビュー角度vにて、X線管20から被検体へX線を放射し、その被検体を透過したX線をX線検出器23で検出するスキャンを実施し、被検体の撮影領域についての投影データをデータ収集部24が収集する。なお、ここでは、ビュー角度vは、図1に示すように、鉛直方向であるy方向を0°として、X線管20が被検体の周囲を回転移動された角度をいう。
本実施形態においては、走査ガントリ2は、被検体の撮影領域のスライス面についてスライス画像を生成する際にローデータとなる投影データを収集するために、本スキャンを実施する。そして、走査ガントリ2は、この本スキャンの実施前においては、本スキャンのスキャン条件を設定するために参照するスカウト画像を生成する際にローデータとなる投影データを収集するため、スカウトスキャンを実施する。
詳細については後述するが、このスカウトスキャンを実施する際においては、走査ガントリ2は、被検体の撮影領域の周囲においてX線管20を被検体に対して螺旋状に旋回するように回転移動させるヘリカルスキャン方式によって、その撮影領域についてスカウトスキャンを実施する。つまり、走査ガントリ2は、被検体が載置されたクレードル401を撮影テーブル部4が移動させている状態において、そのクレードル401が移動されている方向を回転軸として、回転部27にX線管20とX線検出器23とを被検体の撮影領域の周囲において旋回するように回転移動させることによって、スカウトスキャンをヘリカルスキャン方式にて実施する。
そして、ここでは、走査ガントリ2は、その撮影領域の周囲にて予め特定した角度である特定照射角度にX線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させると共に、ヘリカルピッチが1になるように、スカウトスキャンを実施する。そして、その撮影領域の周囲にて予め特定した角度である特定照射角度にX線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させて投影データを収集することを、スカウト画像を生成するスライス面に対応するように、複数繰り返す。
走査ガントリ2の各部について、順次、説明する。
X線管20は、たとえば、回転陽極型であり、放射線であるX線を、被検体の撮影領域に放射する。X線管20は、図2に示すように、X線コントローラ25からの制御信号CTL251に基づいて、所定強度のX線を被検体の撮影領域にコリメータ22を介して照射する。そして、X線管20は、撮影テーブル部4が被検体を移動する水平方向に沿った体軸方向zを回転軸として、回転部27によって被検体の周囲を旋回するように回転移動され、その被検体の周囲からX線を放射する。ここでは、X線管20は、回転部27によって回転される回転方向であるチャネル方向iと、その回転の回転軸方向である列方向jとに放射状に広がるように、X線を放射する。そして、X線管20から放射されたX線は、コリメータ22によってコーン状に成形され、X線検出器23の側へ出射される。ここでは、チャネル方向iと列方向jとのそれぞれにおいてX線が対称に広がるように成形される。
X線管移動部21は、図2に示すように、X線コントローラ25から出力された制御信号CTL252に基づいて、X線管20の放射中心を列方向jに移動させる。
コリメータ22は、図2に示すように、X線管20とX線検出器23との間に配置されている。コリメータ22は、たとえば、X線を透過させずに遮蔽する遮蔽板を含み、その遮蔽板がチャネル方向iと列方向jとのそれぞれに、2枚ずつ、間隔を隔てて設けられている。コリメータ22は、コリメータコントローラ26からの制御信号CTL261に基づいて、チャネル方向iと列方向jとに設けられた2枚の遮蔽板を独立して移動させて、その2枚の遮蔽板の間隔を変動させることによって、X線管20から照射されたX線を、それぞれの方向において遮ってコーン状に成形し、被検体へ照射されるX線の照射範囲を調整する。つまり、コリメータ22は、X線管20から照射されたX線が通過する開口の大きさを、チャネル方向iに並ぶ2枚の遮蔽板をチャネル方向iにおいて移動させることによって変動させ、X線の放射角度が所定のファン角になるように調整する。また、これと共に、その開口の大きさを、列方向jに並ぶ2枚の遮蔽板を列方向jにおいて移動させることによって、X線の放射角度が所定のコーン角になるように調整する。
X線検出器23は、撮影空間29において、X線管20から照射され、被検体の撮影領域を透過したX線を検出する。これによって、その撮影領域についての投影データが得られる。X線検出器23は、X線管20と共に、回転部27によって被検体の周囲を旋回するように回転移動される。そして、被検体の周囲からX線管20により照射され、被検体の撮影領域を透過したX線を検出して投影データを生成する。
本実施形態においては、X線検出器23は、図2に示すように、X線管20から放射されたX線を検出する検出素子23aが複数配置されている。X線検出器23は、いわゆる多列X線検出器であり、たとえば、X線管20が撮影空間29の被検体の周囲を回転部27により回転する回転方向に沿ったチャネル方向iと、X線管20が回転部27によって回転する際に中心軸となる回転軸方向に沿った列方向jとに、同じ検出素子23aがアレイ状に2次元的に均等に配列されている。たとえば、X線検出器23は、検出素子23aがチャネル方向iに1000個程度配列され、列方向jに8個程度配列されている。また、X線検出器23は、2次元的に配列された複数の検出素子23aによって、凹状に湾曲した検出面が形成されている。
X線検出器23を構成する検出素子23aは、たとえば、固体検出器として構成されており、X線を光に変換するシンチレータ(図示なし)と、シンチレータが変換した光を電荷に変換するフォトダイオード(図示なし)とを有する。なお、検出素子23aは、これに限定されるものではなく、たとえば、カドミウム・テルル(CdTe)等を利用した半導体検出素子、あるいはキセノン(Xe)ガスを利用した電離箱型の検出素子であって良い。また、X線検出器23のチャネル方向iにおいて散乱X線が検出素子23aへ入射することを防止するコリメータ(図示無し)を設けても良い。
データ収集部24は、X線検出器23のそれぞれの検出素子23aが検出したX線による投影データを収集して、操作コンソール3に出力する。図2に示すように、データ収集部24は、選択・加算切換回路(MUX,ADD)241とアナログ−デジタル変換器(ADC)242とを有する。選択・加算切換回路241は、X線検出器23の検出素子23aによる投影データを、中央処理装置30からの制御信号CTL303に応じて選択し、あるいは組み合わせを変えて足し合わせ、その結果をアナログ−デジタル変換器242に出力する。アナログ−デジタル変換器242は、選択・加算切換回路241において選択あるいは任意の組み合わせで足し合わされた投影データをアナログ信号からデジタル信号に変換して中央処理装置30に出力し、記憶装置61に記憶させる。
X線コントローラ25は、図2に示すように、操作コンソール3の中央処理装置30から出力された制御信号CTL301に応じて、X線管20に制御信号CTL251を出力し、X線の照射を制御する。X線コントローラ25は、たとえば、X線管20の管電流や照射時間などを制御する。また、X線コントローラ25は、中央処理装置30による制御信号CTL301に応じて、X線管移動部21に対し制御信号CTL252を出力し、X線管20の放射中心を列方向jに移動するように制御する。
コリメータコントローラ26は、図2に示すように、操作コンソール3の中央処理装置30から出力された制御信号CTL302に応じてコリメータ22に制御信号CTL261を出力し、X線管20から被検体へ照射されたX線を成形するように、コリメータ22を制御する。
回転部27は、図1に示すように、円形状であり、中心部分に撮影空間29が形成されている。回転部27は、ガントリコントローラ28からの制御信号CTL28に応じて、たとえば、モーター(図示なし)を駆動し、撮影空間29内にて収容される被検体の体軸方向zを回転軸にして回転する。すなわち、回転部27は、列方向jを回転軸にしてチャネル方向iへ回転する。回転部27は、X線管20とX線管移動部21とコリメータ22とX線検出器23とデータ収集部24とX線コントローラ25とコリメータコントローラ26とが搭載されており、各部を支持している。そして、回転部27は、スリップリング(図示なし)を介して、各部に電力を供給する。また、回転部27は、被検体の周囲を旋回するように各部を回転移動させ、撮影空間29に搬入される被検体と各部との位置関係を回転方向にて相対的に変化させる。
ガントリコントローラ28は、図1および図2に示すように、操作コンソール3の中央処理装置30による制御信号CTL304に基づいて、回転部27に制御信号CTL28を出力し、回転部27が回転するように制御する。
操作コンソール3について説明する。
操作コンソール3は、図1に示すように、中央処理装置30と、入力装置41と、表示装置51と、記憶装置61とを有する。
操作コンソール3における中央処理装置30は、オペレータにより入力装置41に入力される指令に基づいて、種々の処理を実施する。中央処理装置30は、コンピュータを含み、プログラムによってコンピュータが種々の手段として機能する。
図3は、本発明にかかる実施形態1において、中央処理装置30の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、中央処理装置30は、制御部301と、スキャン条件設定部302と、画像再構成部303とを有する。各部について順次説明する。
制御部301は、X線CT装置1の各部を制御するために設けられている。制御部301は、オペレータによって入力装置41に入力された指令に基づいて、各部を制御する。たとえば、制御部301は、オペレータにより入力装置41に入力された指令に基づいてスキャン条件設定部302が設定したスキャン条件に対応するように、各部を制御してスキャンを実施する。具体的には、制御部301は、撮影テーブル部4に制御信号CTL30bを出力し、撮影テーブル部4に被検体を撮影空間29へ搬送させて移動させる。そして、制御部301は、ガントリコントローラ28に制御信号CTL304を出力して、走査ガントリ2の回転部27を回転させる。そして、制御部301は、X線管20からX線の照射するように、制御信号CTL301をX線コントローラ25に出力する。そして、制御部301は、制御信号CTL302をコリメータコントローラ26に出力し、コリメータ22を制御してX線を成形する。また、制御部301は、制御信号CTL303をデータ収集部24に出力し、X線検出器23の検出素子23aが得る投影データを収集するように制御する。
スキャン条件設定部302は、オペレータにより入力装置41に入力されたスキャンパラメータに基づいて、スキャンの実施において各部を動作させるスキャン条件を設定する。たとえば、スキャン条件設定部302は、スライス厚、スキャン開始位置、スキャン終了位置、スキャンピッチ、X線ビーム幅、管電流値、管電圧値などに対応するように、各部を動作させるスキャン条件を設定する。
本実施形態においては、上述したように、被検体の撮影領域の周囲においてX線管20を被検体に対して螺旋状に旋回するように回転移動させるヘリカルスキャン方式によって、走査ガントリ2が撮影領域についてスカウトスキャンを実施するように、スキャン条件設定部302は、スカウトスキャンのスキャン条件を設定する。そして、ここでは、その撮影領域の周囲にて予め特定した角度である特定照射角度にX線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させると共に、ヘリカルピッチが1で走査ガントリ2がスカウトスキャンを実施するように、スキャン条件を設定する。そして、スキャン条件設定部302は、その設定したスキャン条件についてのデータを制御部301に出力して、各部を制御させる。
画像再構成部303は、スキャンの実施によってデータ収集部24が収集した投影データに基づいて、被検体の撮影領域についてスライス画像を、複数の画素からなるデジタル画像として画像再構成する。たとえば、画像再構成部303は、スカウトスキャンの実施後に実施された本スキャンによって得られた投影データをローデータとして、被検体の複数のスライス面についての画像を、CT値を画素値とするように画像再構成する。たとえば、コーンビーム逆投影法によって、画像再構成を実施する。つまり、画像再構成部303は、画像再構成面上の画素に一致する複数の投影データを利用し、被検体の断層についての画像を画像再構成する。ここでは、まず、データ収集部24が収集した投影データに対して、オフセット補正,対数補正,X線線量補正,感度補正などの前処理を、画像再構成部303が実施する。そして、その前処理が実施された投影データに対して、フィルタリング処理を画像再構成部303が実施する。ここでは、フーリエ変換をした後に画像再構成関数を重畳し、逆フーリエ変換をするフィルタリング処理を実施する。その後、このフィルタリング処理を施した投影データに対して3次元逆投影処理を行った後に、後処理を実施して画像データを生成する。
詳細については後述するが、この他に、本実施形態においては、画像再構成部303は、走査ガントリ2がスカウトスキャンを実施することによって収集した投影データに基づいて、その撮影領域についてスカウト画像を生成する。ここでは、画像再構成部303は、特定照射角度においてX線管20がX線を撮影領域へ複数照射させた際に、走査ガントリ2によって複数収集された投影データに基づいて、このスカウト画像を生成する。
操作コンソール3の入力装置41は、たとえば、キーボードやマウスなどにより構成されている。入力装置41は、オペレータの入力操作に基づいて、スキャンパラメータや被検体情報などの各種情報や指令を中央処理装置30に入力する。たとえば、スキャン条件を設定する際においては、入力装置41は、そのスキャンパラメータとして、スキャン開始位置、スキャン終了位置、スキャンピッチ、X線ビーム幅、管電流値、スライス厚についてのデータをオペレータからの指令に基づいて入力する。
操作コンソール3の表示装置51は、たとえば、CRTを含み、中央処理装置30からの指令に基づき、表示画面に画像を表示する。たとえば、表示装置51は、画像再構成部303によって画像再構成された画像を表示画面に表示する。本実施形態においては、上記のように画像再構成部によって生成されたスカウト画像を表示画面に表示する。
操作コンソール3の記憶装置61は、メモリにより構成されており、各種データを記憶している。記憶装置61は、その記憶されたデータが必要に応じて中央処理装置30によってアクセスされる。
撮影テーブル部4について説明する。
撮影テーブル部4は、撮影空間29の内部と外部との間で被検体を搬送する。
図4は、本発明にかかる実施形態1において、撮影テーブル部4の構成を示す斜視図である。
図4に示すように、撮影テーブル部4は、クレードル401と、クレードル移動部402とを有する。
撮影テーブル部4のクレードル401は、被検体が載置される載置面が水平面に沿うように形成されており、その載置面で被検体を支持する。たとえば、被検体は、仰向けになるように、その載置面に寝かされて支持される。
撮影テーブル部4のクレードル移動部402は、被検体の体軸方向zに沿った水平方向Hにクレードル401を移動させる水平移動部402aと、水平方向Hに対して垂直な鉛直方向Vにクレードル401を移動させる垂直移動部402bとを有し、中央処理装置30からの制御信号CTL30bに基づいて、撮影空間29の内部に被検体を搬出入するように、クレードル401を移動させる。
(動作)
本実施形態のX線CT装置1の動作について説明する。
図5は、本発明にかかる実施形態1において、X線CT装置1がスカウト画像を生成する際の主要な動作を示すフロー図である。
まず、図5に示すように、スカウトスキャンのスキャン条件の設定を実施する(S11)。
ここでは、スカウトスキャンの実施にてスカウト画像を生成する被検体の撮影領域の位置、その撮影領域の周囲にてX線管20を回転移動させてX線の照射を実施させる特定照射角度であるビュー角度などの情報を、操作コンソール3の入力装置41にオペレータが入力する。たとえば、スカウトスキャンを実施させる被検体の撮影領域を胸部として入力すると共に、そのスカウト画像を生成する面に対して垂直な方向にX線管20が回転移動されるビュー角度を、スカウトスキャンの実施においてX線管20にX線を照射させる特定な角度である特定照射角度として入力する。そして、これらの情報に基づいて、スカウトスキャンのスキャン条件をスキャン条件設定部302が設定する。
本実施形態においては、被検体の撮影領域の周囲においてX線管20を被検体に対して螺旋状に旋回するように回転移動させるヘリカルスキャン方式によって、走査ガントリ2が撮影領域についてスカウトスキャンを実施するように、スキャン条件設定部302がスカウトスキャンのスキャン条件を設定する。そして、ここでは、上記のようにX線を照射する特定のビュー角度として入力された特定照射角度において、X線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させるように、スキャン条件を設定する。たとえば、被検体の胸部におけるコロナル面についてスカウト画像を生成するために、0°のビュー角度を、この特定照射角度として入力し設定させる。そして、これと共に、ヘリカルピッチが1の条件で走査ガントリ2がスカウトスキャンを実施するように、スキャン条件を設定する。そして、スキャン条件設定部302は、その設定したスキャン条件についてのデータを制御部301に出力して、各部を制御させる。
つぎに、図5に示すように、スカウトスキャンの実施をする(S21)。
ここでは、スキャン条件設定部302によって設定されたスカウトスキャンのスキャン条件に基づいて、制御部301が各部を制御することにより、スカウトスキャンが実施される。
図6は、本発明にかかる実施形態1において、スカウトスキャンが実施される様子を示す図である。図6において、図6(a)は、スカウトスキャンの実施にて、X線管20、X線検出器23、クレードル401が動作する様子を示す側面図である。また、図6(b)は、スカウトスキャンの実施にて、X線管20がクレードル401に対して相対的に移動された軌道を示す側面図である。
本実施形態においては、ヘリカルスキャン方式によって、走査ガントリ2が撮影領域についてスカウトスキャンを実施するように、図6(a)に示すように、被検体が載置されたクレードル401を撮影テーブル部4が体軸方向zへ移動させている状態において、その体軸方向zを回転軸として、X線管20とX線検出器23とを回転移動させる。すなわち、鉛直方向yと、その鉛直方向yおよび体軸方向zに直交する方向xとによって規定されるアキシャル面xyにおいて、X線管20とX線検出器23とを回転移動させる。これにより、図6(b)に示すように、X線管20は、クレードル401に載置された被検体の周囲にて螺旋を描く軌道Vに沿って旋回されることになる。
また、本実施形態において、上記のヘリカルスキャン方式によってスカウトスキャンを実施する際においては、被検体の撮影領域の周囲にて予め特定した角度である特定照射角度にX線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させることにより、X線を撮影領域に間歇的に照射させる。そして、これと共に、ヘリカルピッチが1になるように、このスカウトスキャンを実施する。
図7は、本発明にかかる実施形態1において、スカウトスキャンの実施にてX線管20が被検体の周囲にて回転移動されるビュー角度vと、その回転移動されるビュー角度vにおいてX線管20がX線を照射するように特定された特定照射角度Rvとを示す図である。図7においては、X線管20が被検体の周囲にて回転移動されるビュー角度vを、体軸方向zを視線として示しており、X線を照射するように特定された特定照射角度Rvを、「○」を用いて示している。
また、図8は、本発明にかかる実施形態1において、スカウトスキャンの実施にてX線管20が被検体の周囲を1回転する際に、そのX線管20がクレードル401に対して相対的に体軸方向zへ移動された様子を示すと共に、X線管20がX線を照射する位置を示す側面図である。図8においては、図7と同様に、X線管20がX線を照射する位置を、「○」を用いて示している。
被検体のコロナル面xzについてスカウト画像を生成するように、スカウトスキャンを実施する際には、図7にて「○」で示すように、コロナル面xzに垂直な角度である0°のビュー角度vが、X線を照射するように特定された特定照射角度Rvとして設定される。そして、その特定照射角度Rvとして設定された0°のビュー角度vになるように、X線管20がアキシャル面xy面にて回転移動される度に、X線管20がX線を被検体の撮影領域へ照射する。このように、X線管20がX線を間歇的に照射する。
そして、図8に示すように、このヘリカルスキャン方式でのスカウトスキャンを、ヘリカルピッチが1になるように実施する。すなわち、図8に示すように、X線管20が被検体の撮影領域の周囲を1回転する間に、その回転軸方向である体軸方向zにおいてクレードル401が撮影領域に対して相対的に移動される距離dと、その撮影領域にてスカウト画像を形成させる面において、X線管20がX線R11,R12を照射する際に当該X線R11,R12が回転軸方向である体軸方向zにて広がる距離Lとが互いに同じになるように、当該スカウトスキャンを実施する(d=Lなので、ヘリカルピッチHP=d/L=1)。そして、図8にて「○」で示すように、X線管20が被検体の周囲を1回転する度ごとに、X線R11,R12を照射することによって、このスカウトスキャンを実施する。すなわち、図8に示すように、まず、体軸方向zに沿った回転軸おけるZ10からZ11までの範囲を照射するように、X線管20が特定照射角度Rvに移動された際にX線R11を照射して投影データを収集する。その後、その照射位置からX線管20が1回転されて、再度、特定照射角度Rvに回転移動された際には、ヘリカルピッチが1であるので、X線管20が体軸方向zにて移動される距離dは、X線R11,R12が回転軸にて体軸方向zに広がる距離Lと同じとなる。このため、このときには、回転軸において先にX線R11が照射された端部であるZ11からZ12までの範囲を照射するように、X線管20が特定照射角度RvにてX線R12を照射して投影データを収集することになる。
つぎに、図5に示すように、被検体のスカウト画像の生成および表示を実施する(S31)。
ここでは、スカウトスキャンの実施により得られた投影データに基づいて、画像再構成部303がスカウト画像を生成する。そして、そのスカウトスキャンの実施により画像再構成部303が生成したスカウト画像を、表示装置51が表示画面に表示する。
図9は、本発明にかかる実施形態1において、スカウト画像を生成する様子を示す図である。図9において、図9(a)は、X線管20が1回転ごとに間歇的にX線を照射することによって得られた各投影データによって生成される透視像のそれぞれを示す図である。また、図9(b)は、図9(a)に示す各透視像を用いて、撮影領域について生成されたスカウト画像を示す。
図9(a)に示すように、X線管20が1回転ごとに間歇的にX線を照射することによって得られた投影データを用いて、各位置における透視像のそれぞれを生成する。たとえば、X線管20が1回転目にX線を体軸方向zにおけるZ10からZ11までの範囲を照射することによって得た投影データを用いて、第1の透視像T1を生成する。そして、2回転目にて体軸方向zにおけるZ11からZ12までの範囲にX線を照射することによって得た投影データを用いて、第2の透視像T2を生成する。このように、各回転ごとに特定照射角度RvにてX線を照射することで得られた投影データのそれぞれを用いて、たとえば、第1から第7の透視像T1〜T7のそれぞれを生成する。
そして、図9(b)に示すように、第1から第7の透視像T1〜T7のそれぞれを、体軸方向zにおいて撮像された位置に対応するように並べ、それぞれを連結させることによって、スライス画像SIを形成する。ここでは、前述したように、ヘリカルピッチを1にすると共に、1回転ごとに特定のビュー角度でX線を照射してスカウトスキャンを実施しているために、図8にて示したように、スカウト画像を生成するスライス面において、まず、体軸方向zにおいてZ10からZ11までの間を、X線R11が透過して投影データが生成された後に、その投影データが生成された端部であるZ11からZ12までの間を、その後に照射されたX線R12が透過して投影データが生成される。このように、投影データのそれぞれが、体軸方向zにおいて間隔を隔てずに収集される。このため、図9に示すように、各透視像T1〜T7が体軸方向zにおいて間隔を隔てずに生成されるため、それらを連結させたスカウト画像SIは、境界がなく、適正に生成される。
以上のように、本実施形態においては、ヘリカルスキャン方式によって被検体の撮影領域についてスカウトスキャンを実施する。ここでは、被検体の撮影領域の周囲にて予め特定した角度である特定照射角度RvにX線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させると共に、ヘリカルピッチが1になるように、スカウトスキャンを実施する。そして、これによって得られた複数の投影データを用いて、スカウト画像を生成する。したがって、本実施形態は、間歇的にX線を照射することでスカウトスキャンを実施するために、高速であって、低い被曝量での撮像を実現可能であり、上記したように、スカウト画像を境界がなく適正に生成可能であるために、画像品質を向上させることができる。
<実施形態2>
以下より、本発明にかかる実施形態2について、説明する。
本実施形態は、被検体のコロナル面の他に、サジタル面についてもスカウト画像を生成するために、スカウトスキャンの動作が、実施形態1と異なる。この点を除き、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
図10は、本発明にかかる実施形態2において、スカウトスキャンの実施にてX線管20が被検体の周囲にて回転移動されるビュー角度vと、その回転移動されるビュー角度vにおいてX線管20がX線を照射するように特定された特定照射角度Rvとを示す図である。図10においては、X線管20が被検体の周囲にて回転移動されるビュー角度vを、体軸方向zを視線として示しており、X線を照射するように特定された特定照射角度Rvを、「○」を用いて示している。
図10にて「○」で示すように、本実施形態においては、たとえば、被検体の胸部におけるコロナル面xzとサジタル面yzとのそれぞれについて、スカウト画像を生成するために、コロナル面xzとサジタル面yzとのそれぞれに垂直な角度である0°と90°とのビュー角度vのそれぞれを、特定照射角度Rvとしてオペレータが入力し、スキャン条件が設定される。そして、このビュー角度のそれぞれに、X線管20が回転移動された際に、X線管20にX線を照射させる。すなわち、X線管20が被検体の周囲を1回転する間に、2回、X線管20がX線を間歇的に照射する。
ここでは、実施形態1と同様に、このスカウトスキャンをヘリカルスキャン方式でヘリカルピッチが1になるように実施する。
その後、このスカウトスキャンの実施により得られた投影データに基づいて、画像再構成部303がスカウト画像を実施形態1と同様にして生成する。そして、そのスカウトスキャンの実施により画像再構成部303が生成したスカウト画像を、表示装置51が表示画面に表示する。
図11は、本発明にかかる実施形態2において、スカウト画像を生成する様子を示す図である。図11において、図11(a)は、X線管20が1回転ごとに、0°のビュー角度に回転移動された際に、間歇的にX線を照射することによって得られた各投影データによって生成される透視像のそれぞれを示す図である。また、図11(b)は、図11(a)に示す各透視像を用いて、撮影領域のコロナル面xzについて生成されたスカウト画像を示す。そして、図11において、図11(c)は、X線管20が1回転ごとに、90°のビュー角度に回転移動された際に、間歇的にX線を照射することによって得られた各投影データによって生成される透視像のそれぞれを示す図である。また、図11(d)は、図11(b)に示す各透視像を用いて、撮影領域のサジタル面yzについて生成されたスカウト画像を示す。
図11(a)に示すように、実施形態1と同様に、X線管20が1回転ごとに0°のビュー角度に回転移動された際に、間歇的にX線を照射することによって得られた投影データを用いて、透視像のそれぞれを生成する。たとえば、各回転ごとに得られた投影データのそれぞれを用いて、たとえば、第1から第7の透視像T11〜T17のそれぞれを生成する。
そして、図11(b)に示すように、第1から第7の透視像T11〜T17のそれぞれを、体軸方向zにおいて撮像された位置に対応するように並べ、それぞれを連結させることによって、スライス画像SI1を形成する。ここでは、実施形態1と同様に、ヘリカルピッチを1にすると共に、1回転ごとに特定のビュー角度でX線を照射してスカウトスキャンを実施しているために、このスカウト画像SI1は、境界がなく、適正に生成される。
また、図11(c)に示すように、X線管20が1回転ごとに90°のビュー角度に回転移動された際に、間歇的にX線を照射することによって得られた投影データを用いて、透視像のそれぞれを生成する。たとえば、各回転ごとに得られた投影データのそれぞれを用いて、たとえば、第1から第7の透視像T21〜T27のそれぞれを生成する。
そして、図11(d)に示すように、第1から第7の透視像T21〜T27のそれぞれを、体軸方向zにおいて撮像された位置に対応するように並べ、それぞれを連結させることによって、スライス画像SI2を形成する。ここでは、実施形態1と同様に、ヘリカルピッチを1にすると共に、1回転ごとに特定のビュー角度でX線を照射してスカウトスキャンを実施しているために、このスカウト画像SI2は、境界がなく、適正に生成される。
以上のように、本実施形態は、実施形態1と同様に、被検体の撮影領域の周囲にて予め特定した角度である特定照射角度にX線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させると共に、ヘリカルピッチが1になるように、スカウトスキャンを実施する。ここでは、撮影領域の周囲において0°のビュー角度として特定された第1の角度と、その第1の角度に直交する、90°のビュー角度である第2の角度とのそれぞれに、X線管20を回転移動させたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させる。そして、この0°のビュー角度と90°のビュー角度として特定された特定照射角度Rvのそれぞれに対応するように、コロナル面xzとサジタル面yzとのそれぞれについてスカウト画像SI1,SI2を生成する。したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、間歇的にX線を照射することでスカウトスキャンを実施するために、低い被曝量を実現可能であり、上記したように、コロナル面xzとサジタル面yzとのそれぞれのスカウト画像SI1,SI2を、境界がなく適正に生成可能であるために、画像品質を向上させることができる。また、X線管20に対してクレードル401を往復に直線運動させずに、複数のスカウト画像SI1,SI2を生成可能であるために、効率化を実現することができる。
<実施形態3>
以下より、本発明にかかる実施形態3について、説明する。
本実施形態は、スカウトスキャンを実施する際には、互いに対向する複数の特定照射角度のそれぞれにX線管20を移動させたときに、そのX線管20にX線を照射させる点と、ヘリカルピッチを2にする点とを除き、実施形態1と同様である。このため、重複する個所については、説明を省略する。
図12は、本発明にかかる実施形態3において、スカウトスキャンの実施にてX線管20が被検体の周囲にて回転移動されるビュー角度vと、その回転移動されるビュー角度vにおいてX線管20がX線を照射するように特定された特定照射角度Rvとを示す図である。図12においては、X線管20が被検体の周囲にて回転移動されるビュー角度vを、体軸方向zを視線として示しており、X線を照射するように特定された特定照射角度Rvを、「○」を用いて示している。
また、図13は、本発明にかかる実施形態3において、スカウトスキャンの実施にてX線管20が被検体の周囲を1回転する際に、そのX線管20がクレードル401に対して相対的に体軸方向zへ移動された様子を示すと共に、X線管20がX線を照射する位置を示す側面図である。図13においては、図12と同様に、X線管20がX線を照射する位置を、「○」を用いて示している。
図12にて「○」で示すように、本実施形態において、スカウトスキャンを実施する際には、被検体のコロナル面xzについてスカウト画像を生成するために、そのコロナル面xzに垂直になるビュー角度vであって、被検体の撮影領域の周囲にて予め特定されたビュー角度である第1の特定照射角度Rv1と、その撮影領域を介して第1の特定照射角度Rv1に対向するように予め特定されたビュー角度である第2の特定照射角度Rv2とを特定照射角度Rvとして設定する。そして、その特定照射角度Rvにおいて第1の特定照射角度Rv1と第2の特定照射角度Rv2とのそれぞれにX線管20を移動させたときに、X線管20にX線を撮影領域へ照射させる。具体的には、たとえば、0°と180°のビュー角度vのそれぞれが、X線を照射するように特定された第1および第2の特定照射角度Rv1,Rv2として設定され、0°と180°とのそれぞれのビュー角度vにX線管20が回転移動される度に、X線管20がX線を被検体の撮影領域へ照射する。
そして、図13に示すように、このヘリカルスキャン方式でのスカウトスキャンを、ヘリカルピッチが2になるように実施する。すなわち、図13に示すように、X線管20が被検体の撮影領域の周囲を1回転する間に、クレードル401が体軸方向zにて撮影領域に対して移動される距離dと、コーン状に照射されたX線R21,R22,R23が回転軸において体軸方向zへ広がる距離Lとが、2:1の割合になるように、このスカウトスキャンを実施する(ヘリカルピッチHP=d/L=2)。そして、図13にて「○」で示すように、X線管20が被検体の周囲を1回転する間に、互いに対向した位置でX線を照射することによって、このスカウトスキャンを実施する。すなわち、図13に示すように、まず、体軸方向zに沿った回転軸おけるZ20からZ21までの範囲を照射するように、X線管20が第1の特定照射角度Rv1にてX線R21を照射して投影データを収集する。その後、その照射位置からX線管20が半回転されて、第1の特定照射角度Rv1に対向する第2の特定照射角度Rv2に回転移動された際には、X線管20が体軸方向zに距離Lで移動されるために、先にX線R21が照射された端部であるZ21からZ22までの範囲を照射するように、X線管20が、その第2の特定照射角度Rv2にてX線R22を照射して投影データを収集する。そして、更に、その照射位置からX線管20が半回転されて、第1の特定照射角度Rv1に回転移動された際には、X線管20が体軸方向zに距離Lで移動されるために、この前にX線R22が照射された端部であるZ22からZ23までの範囲を照射するように、X線管20が、その第1の特定照射角度Rv1にてX線R22を照射して投影データを収集する。
図14は、本発明にかかる実施形態3において、スカウト画像を生成する様子を示す図である。図14において、図14(a)は、X線管20が1回転ごとに、0°のビュー角度に回転移動された際に、X線を照射することによって得られた各投影データによって生成される透視像のそれぞれを示す図である。図14(b)は、X線管20が1回転ごとに、180°のビュー角度に回転移動された際に、X線を照射することによって得られた各投影データによって生成される透視像のそれぞれを示す図である。また、図14(c)は、図14(a)と図14(b)とに示す各透視像を用いて、撮影領域のコロナル面について生成されたスカウト画像を示す。
図14(a)と図14(b)とに示すように、実施形態1と同様に、X線管20が1回転ごとに、0°と180°とのそれぞれのビュー角度に回転移動された際に、X線を照射することによって得られた投影データを用いて、透視像のそれぞれを生成する。たとえば、各回転ごとに得られた投影データのそれぞれを用いて、たとえば、第1から第7の透視像T1〜T7のそれぞれを生成する。
すなわち、図14(a)に示すように、第1から第7の透視像T1〜T7において、第1の透視像T1,第3の透視像T3,第5の透視像T5,第7の透視像T7については、X線管20が1回転ごとに、0°のビュー角度(v=0°)に回転移動された際に、間歇的にX線を照射することによって得られた各投影データによって生成される。ここでは、図13に示したように、X線管20が1回転ごとに0°のビュー角度である第1の特定照射角度Rv1に回転移動された際にX線を照射したときには、スカウト画像を形成される面においては、距離Lで間隔が隔てられてX線が照射されている。このため、図14(a)に示すように、第1の透視像T1と第3の透視像T3と第5の透視像T5と第7の透視像T7とのそれぞれは、スカウト画像が形成される面において間隔が隔てられるように形成される。
そして、図14(b)に示すように、第1から第7の透視像T1〜T7において、第2の透視像T2,第4の透視像T4,第6の透視像T6については、X線管20が1回転ごとに、180°のビュー角度に回転移動された際に、X線を照射することによって得られた各投影データによって生成される。ここでは、図13に示したように、X線管20が1回転ごとに180°のビュー角度である第2の特定照射角度rv2に回転移動された際にX線を照射した際には、スカウト画像を形成される面においては、距離Lで間隔が隔てられてX線が照射される。このため、図14(b)に示すように、第2の透視像T2と第4の透視像T4と第6の透視像T6とのそれぞれは、上記した第1の透視像T1と第3の透視像T3と第5の透視像T5と第7の透視像T7とのそれぞれの場合と同様に、スカウト画像が形成される面において間隔が隔てられるように形成される。
その後、図14(c)に示すように、第1から第7の透視像T1〜T7のそれぞれを、体軸方向zにおいて撮像された位置に対応するように並べ、それぞれを連結させることによって、スライス画像SIを形成する。上記したように、0°のビュー角度にて得られた投影データを用いて形成された、第1の透視像T1と第3の透視像T3と第5の透視像T5と第7の透視像T7とのそれぞれは、スカウト画像が形成される面において間隔が隔てられるように形成されている。そして、180°のビュー角度にて得られた各投影データを用いて形成された、第2の透視像T2と第4の透視像T4と第6の透視像T6とのそれぞれについても、スカウト画像が形成される面において間隔が隔てられるように形成されている。しかし、ここでは、前述したように、ヘリカルピッチを2にすると共に、1回転ごとに互いに対向する特定のビュー角度でX線を照射してスカウトスキャンを実施しているために、図13にて示したように、0°のビュー角度にて得られた投影データと、それに対向する180°のビュー角度にて得られた投影データとは、スカウト画像を形成する面において、間隔を隔てずに、連続的に収集されている。このため、図14(c)に示すように、各透視像T1〜T7が体軸方向zにおいて間隔を隔てずに生成されるため、それらを連結させたスカウト画像は、境界がなく、適正に生成される。
以上のように、本実施形態は、実施形態1と同様に、被検体の撮影領域の周囲にて予め特定した角度である特定照射角度にX線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ間歇的に照射させる。そして、ここでは、実施形態1と異なり、互いに対向する複数のビュー角度を特定照射角度とし、その互いに対向する複数の特定照射角度にX線管20が移動させたときに、そのX線管20にX線を照射させると共に、ヘリカルピッチを2としている。そして、このスカウトスキャンの実施にて得た投影データを用いて、コロナル面についてスカウト画像を生成している。したがって、本実施形態は、間歇的にX線を照射することでスカウトスキャンを実施するために、低い被曝量を実現可能であり、上記したように、スカウト画像を境界がなく適正に生成可能であるために、画像品質を向上させることができる。また、特に、本実施形態においては、X線管20が被検体の周囲を1回転する間に、1つのスカウト画像を生成するための投影データを複数収集しているので、スキャンを高速化することができる。
<実施形態4>
以下より、本発明にかかる実施形態4について、説明する。
本実施形態は、X線管20を被検体の周囲において1回転させる際のヘリカルピッチが1であるが、この場合において、X線管20を被検体の周囲において半回転させる前半部分と、その後半部分とのそれぞれにおけるヘリカルピッチが互いに異なる点と、互いに対向する複数の特定照射角度のそれぞれにX線管20を移動させたときに、そのX線管20にX線を照射させる点とを除き、実施形態1と同様である。すなわち、X線管20を被検体の周囲において1回転させる際のヘリカルピッチが1であって、その1回転における前半部分と後半部分とのそれぞれにおけるヘリカルピッチが互いに異なる点とが、実施形態3と同様である。このため、実施形態3と重複する個所については、説明を省略する。
図15は、本発明にかかる実施形態4において、スカウトスキャンの実施にてX線管20が被検体の周囲を1回転する際に、そのX線管20がクレードル401に対して相対的に体軸方向zへ移動された様子を示すと共に、X線管20がX線を照射する位置を示す側面図である。図15においては、図12と同様に、X線管20がX線を照射する位置を、「○」を用いて示している。
図15にて「○」で示すように、本実施形態において、スカウトスキャンを実施する際には、実施形態4と同様に、0°と180°のビュー角度vが、X線を照射するように特定された第1および第2の特定照射角度Rv1,Rv2として設定され、0°と180°とのそれぞれのビュー角度vにX線管20が回転移動される度に、X線管20がX線を被検体の撮影領域へ照射する。
そして、図15に示すように、このヘリカルスキャン方式でのスカウトスキャン実施する際には、その第1の特定照射角度Rvから第2の特定照射角度Rv2へX線管20が回転移動する際における第1のヘリカルピッチHP1と、第2の特定照射角度Rv2から第1の特定照射角度HP1へX線管20が回転移動する際における第2のヘリカルピッチHP2とが、以下の数式(1)と数式(2)とで示され、その第1のヘリカルピッチHP1と第2のヘリカルピッチHP2とが交互になるように、このスカウトスキャンを実施する。
HP1={L+(L/n)}/L=1+(1/n) ・・・(1)
HP2={L−(L/n)}/L=1−(1/n) ・・・(2)
ここで、数式(1),数式(2)において、HP1は、第1のヘリカルピッチであって、HP2は、第2のヘリカルピッチである。Lは、螺旋状にX線管20が回転移動される際の回転軸において、コーン状に照射されたX線が回転軸方向である体軸方向zへ広げられた距離を示す。nは、体軸方向zにおいて距離Lに広がるようにX線がコーン状に成型された際に、X線検出器23において、同一ピッチの検出素子23aが体軸方向zにて並んでいる列の数を示す。
具体的には、図15に示すように、まず、体軸方向zに沿った回転軸おけるZ30からZ31までの範囲を照射するように、X線管20が第1の特定照射角度Rv1にてX線R31を照射して投影データを収集する。その後、その照射位置からX線管20が被検体の周囲を半回転されて、第1の特定照射角度Rv1に対向する第2の特定照射角度Rv2に回転移動された際には、この前に第1の特定照射角度Rv1にてX線R31が照射された範囲を一部含むように、Z40からZ41までの範囲にX線管20がX線R32を照射して投影データを収集する。ここでは、X線管20は、ヘリカルピッチが1になるように螺旋状に回転移動された場合には、体軸方向zにおける位置がZ31に移動されるが、本実施形態においては、上記の数式(1)にて規定される第1のヘリカルピッチHP1で移動されるために、このZ31に対して、L/2nの距離が体軸方向zにシフトされた位置にX線管20が移動されて、X線を照射する。そして、更に、その第2の特定照射角度Rv2からX線管20が半回転されて、第1の特定照射角度Rv1に回転移動された際には、上記の数式(2)にて規定される第2のヘリカルピッチHP2で移動されるために、この前に第2の特定照射角度Rv2にてX線R32が照射された範囲を含むと共に、第1の特定照射角度Rv1にてX線R31が照射された範囲の端部であるZ31からZ32までの範囲を照射するように、X線管20がX線R33を照射して投影データを収集する。すなわち、Z30からZ31までの範囲を照射するように、X線管20が第1の特定照射角度Rv1にてX線R31を照射した位置から、ヘリカルピッチが1でX線管20が1回転した際と同じ位置に移動されて、投影データの収集が実施される。
図16は、本発明にかかる実施形態4において収集された投影データの位置を示す上面図である。図16は、コロナル面xzに対して垂直な鉛直方向yを視線としている。図16において、図16(a)は、X線管20が1回転ごとに0°のビュー角度に回転移動された際に、間歇的にX線を照射することによって得られる投影データの位置を示す図である。図16(b)は、X線管20が1回転ごとに、180°のビュー角度に回転移動された際に、間歇的にX線を照射することによって得られる各投影データの位置を示す図である。
図16(a)に示すように、X線管20が1回転ごとに、0°のビュー角度(v=0°)に回転移動された際には、上記したように、X線管20が体軸方向zにて移動される位置が、ヘリカルピッチが1の場合と同じである。このため、実施形態1と同様に、体軸方向zにおいてZ30からZ31までの範囲D11と、Z31からZ32までの範囲D12とのそれぞれに対応する投影データが得られる。したがって、ここで得られる投影データのそれぞれは、体軸方向zにおいて間隔を隔てずに収集される。
一方で、図16(b)に示すように、X線管20が1回転ごとに、180°のビュー角度(v=180°)に回転移動された際に、そのX線管20が体軸方向zにて移動される位置は、上述したように、ヘリカルピッチが1の場合に対して、体軸方向zにL/2nの距離で、シフトされる。このため、ヘリカルピッチが1の場合に対して、体軸方向zにおける検出素子23aのピッチの半分の距離(L/2n)がシフトされた位置に対応する範囲D21について、投影データが得られる。
このため、0°のビュー角度(v=0°)にて得た投影データのそれぞれを用いて、その各検出素子23aの間に対応するデータを、補間処理にて生成しなくとも、180°のビュー角度(v=180°)にて収集した投影データを直接的に用いることができるため、本実施形態は、高精細なスカウト画像を効率よく生成することができる。
以上のように、本実施形態は、上記の実施形態と同様に、被検体の撮影領域の周囲にて予め特定した角度である特定照射角度にX線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させる。そして、ここでは、実施形態1と異なり、被検体の撮影領域の周囲にて予め特定された角度である第1の特定照射角度Rv1と、その撮影領域を介して第1の特定照射角度Rv1に対向するように予め特定された角度である第2の特定照射角度Rv2とからなる特定照射角度Rvにおいて、その第1の特定照射角度Rv1と第2の特定照射角度Rv2とのそれぞれにX線管20が回転移動されたときに、そのX線管20にX線を撮影領域へ照射させる。そして、その第1の特定照射角度Rv1から第2の特定照射角度Rv2へX線管20が回転移動する際と、第2の特定照射角度Rv2から第1の特定照射角度Rv1へX線管20が回転移動する際とにおいて、各ヘリカルピッチHP1,HP2が数式(1),数式(2)に示すように互いに相違させて、スカウトスキャンを実施する。したがって、本実施形態は、上記の実施形態の効果に加えて、さらに高精細なスカウト画像を効率よく生成することができる。なお、上記の本実施形態においては、各ヘリカルピッチHP1,HP2のいずれを先にして、スキャンを実施しても良い。
上記の実施形態において、X線CT装置1は、本発明の放射線撮影装置に相当する。また、上記の実施形態において、走査ガントリ2は、本発明のスキャン部に相当する。また、上記の実施形態において、X線管20は、本発明の照射部に相当する。また、上記の実施形態において、X線検出器23は、本発明の検出部に相当する。また、上記の実施形態において、検出素子23aは、本発明の検出素子に相当する。また、上記の実施形態において、画像再構成部303は、本発明のスカウト画像生成部に相当する。
また、本発明の実施に際しては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
たとえば、上記の実施形態においては、放射線としてX線を用いている例について説明しているが、これに限定されない。たとえば、ガンマ線等の放射線を用いても良い。
また、上記の実施形態においては、コロナル面、サジタル面について、スカウト画像を生成する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、オブリーク面などの面について、生成する場合においても適用できる。