JP2008219352A - 光通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御系LANの車載通信プロトコルを光通信システムで構築することができる光通信装置を提供する。
【解決手段】ECU1から送信された光信号は、POFを伝送して第1光カプラ15でPOF13に分配され、POF13を矢印の方向に伝送し、第2光カプラ15、第3光カプラ15を経由して、第4光カプラ15で分配され、POFを伝送してECU3で受信される。POF13を伝送する光信号は、第1光カプラ15で分配されて再びECU1へ伝送される。この場合、POF13を伝送する光信号は、第4光カプラ15を通過した時点で、例えば、−20.0dBmまで減衰しており、さらに第1光カプラ15で3dB減衰して、−23.0dBmとなる。この信号レベルは、ECU1の光受光部の感度である−22.0dBより小さいため、ECU1で受信することができない。
【選択図】図3
【解決手段】ECU1から送信された光信号は、POFを伝送して第1光カプラ15でPOF13に分配され、POF13を矢印の方向に伝送し、第2光カプラ15、第3光カプラ15を経由して、第4光カプラ15で分配され、POFを伝送してECU3で受信される。POF13を伝送する光信号は、第1光カプラ15で分配されて再びECU1へ伝送される。この場合、POF13を伝送する光信号は、第4光カプラ15を通過した時点で、例えば、−20.0dBmまで減衰しており、さらに第1光カプラ15で3dB減衰して、−23.0dBmとなる。この信号レベルは、ECU1の光受光部の感度である−22.0dBより小さいため、ECU1で受信することができない。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両に搭載される光通信システムに使用可能な光通信装置に関する。
従来、車載光通信システムは、高速・大容量のデータを安定して伝送することができる物理層媒体として、例えば、自動車のドア周りの電装品(ウインドウの開閉、ミラー動作、エアコン動作など)の制御に使用される多重通信、ナビゲーションシステムで使用される地図情報を伝送する手段などに用いられている。これらの用途は、自動車の安全性に直接関わるものではなく、仮に光通信システムに障害が発生した場合でも、運転者又は搭乗員に危害が生じる事態にはならない。
しかし、最近の自動車は、運転者又は搭乗者に対する安全性のみならず、自動車の周辺の事態に対する安全性を向上させるべく様々な安全機能を備えるようになってきている。例えば、自動車に装備されたセンサ機器で様々な情報を検知し、自動車の走行制御又は自動制御を行う自立運転支援システムが開発されている。このようなシステムには、信頼性、高速性などの観点から主に制御系LANの車載通信プロトコルが用いられている。
一方、従来の車載用ではない光通信ネットワークでは、低コスト、通信ノード数の拡張が容易であるという理由で、透過型又は反射型の光分岐器を備えた光通信装置(通信ノード)を環状に接続したループ型トポロジー(カスケード接続)が用いられている(特許文献1参照)。
特開2001−339418号公報
しかし、従来の光通信ネットワークを制御系LANの車載光通信システムとして構築する場合には、伝送情報に対する信頼性、冗長性が重要となり、各種制御機器のみならず、情報を伝送する伝送媒体としての光ファイバケーブル及び光信号の分配装置などの伝送媒体の信頼性が一層重要である。しかしながら、制御系LANの車載通信プロトコルに合わせた伝送媒体の検討は充分に行われていない。
例えば、制御系LANとして、車載向け通信プロトコルであるFlexRay(登録商標)が注目されているものの、ネットワークトポロジーとしては、バス型、スター型、及びこれらを複合した混在型のトポロジーが採用され、従来の光通信システムで使用されているカスケード接続は採用されていない。このため、例えば、複数のECU(電子制御装置)を接続した制御系LANの車載光通信システムを構築する場合、各ECUは、他のECUを経由することなく直接データの授受を行う必要があり、通信ネットワークのトポロジー又はプロトコル等によって従来の光通信システムで用いられてきた光通信装置を制御系LANに使用することが困難な場合があった。また、車種あるいはグレード等により搭載されるECUの数が異なる場合、光通信装置は、ECUの数が異なる場合に対応すべく予め予備の光通信ポートを搭載しておく必要があり、搭載されるECUの数にかかわらず、通信環境が変わらない光通信装置が望まれていた。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ループバス状の光伝送路に複数の光分岐結合器を介して各通信ポート用の光伝送路を光接続することにより、例えば、各通信ポートに接続されたECUが、他のECUを介することなく信号の送受信をすることができ、制御系LANの車載通信プロトコルを光通信システムで構築することができる光通信装置を提供することを目的とする。
第1発明に係る光通信装置は、光信号を入出力する光入出力部を複数備え、一の光入出力部から入力された光信号を他の光入出力部を通じて出力する光通信装置において、両端が接続された第1光伝送路と、該第1光伝送路に介装された複数の光分岐結合器と、各光分岐結合器を介して前記第1光伝送路に光接続された複数の第2光伝送路と、該第2光伝送路の両端が接続された光入出力部とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る光通信装置は、第1発明において、前記第1光伝送路に1又は複数の光減衰器を介装してあることを特徴とする。
第3発明に係る光通信装置は、第1発明又は第2発明において、一の光分岐結合器を介して第1光伝送路に送出された光信号が第1光伝送路を伝送して前記一の光分岐結合器を介して第2光伝送路に分配された場合、分配された光信号の信号レベルが前記第2光伝送路の光入出力部に接続される光受信部の受信感度以下になるように構成してあることを特徴とする。
第4発明に係る光通信装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、一の光入出力部に電気/光変換器及び光/電気変換器を接続してあることを特徴とする。
第1発明にあっては、第1光伝送路(例えば、光ファイバ)の両端を接続してバスループを形成してある。第1光伝送路の適当な位置に複数の光分岐結合器を介装してある。光分岐結合器毎に、光分岐結合器を介して第1光伝送路に光接続された第2光伝送路(例えば、光ファイバ)を配置し、第2光伝送路の端部それぞれを光入出力部に接続してある。一の光入出力部から入力された光信号は、該光入出力部に接続された第2光伝送路を通じて光分岐結合器で第1光伝送路へ分配される。分配された光信号は、第1光伝送路のループを伝送する。第1光伝送路を伝送する光信号は、第1光伝送路に介装された各光分岐結合器を介して他の光入出力部が接続された第2光伝送路へ分配され、分配された光信号は、各光入出力部に出力される。これにより、一の光入出力部から入力された光信号を、他の光入出力部を経由することなく、他のすべての光入出力部へ伝送することができる。すなわち、各光入出力部に光伝送路を通じてECUを接続した場合、各ECUは、他のECUを経由することなく他のすべてのECUと信号の送受信をすることができる。
第2発明にあっては、第1光伝送路に1又は複数の光減衰器を介装してある。光減衰器は、第1光伝送路に介装される光分岐結合器の数、すなわち、光入出力部の数に応じて適宜設けることができる。例えば、光入出力部の数が少ない場合、光減衰器の数を増加させ、光入出力部の数が多い場合、光減衰器の数を減少させる。これにより、第1光伝送路のループを伝送する光信号のレベルを調整することができ、所要の数の光入出力部を設けることができる。なお、光中継コネクタを光減衰器として用いることもできる。
第3発明にあっては、一の光分岐結合器を介して第1光伝送路に送出された光信号が第1光伝送路を伝送して前記一の光分岐結合器を介して第2光伝送路に分配された場合、分配された光信号の信号レベルが前記第2光伝送路の光入出力部に接続される光受信部の受信感度以下にする。この場合、第1光伝送路を伝送する光信号のレベルは、例えば、光分岐結合器での分岐損失、あるいは第1光伝送路に介装された光減衰器の減衰量を変えることにより調整することができる。これにより、一の光入出力部から入力された光信号が第1光伝送路を巡回して再び前記一の光入出力部へ出力された場合であっても、この光信号の影響を受けることがなく、通信品質を向上させることができる。
第4発明にあっては、一の光入出力部に電気/光変換器及び光/電気変換器を接続してある。これにより、例えば、一の光入出力部には、電気/光変換器及び光/電気変換器を介して、電気信号を伝送することができ、他の光入出力部には、光伝送路を介してECU等を接続することができ、幹線にメタルケーブルを用いて電気信号で伝送させ、支線に光伝送路を用いて光信号を伝送させることができるパッシブネットワークを構築することができる。特に、パッシブネットワークの支線を光伝送路で構築することができるため、パッシブネットワークをすべてメタルケーブルで構築した場合に懸念される信号のリンギング、波形の歪み等を低減することができる。
第1発明にあっては、一の光入出力部から入力された光信号を、他の光入出力部を経由することなく、他のすべての光入出力部へ伝送することができる。すなわち、各光入出力部に光伝送路を通じてECUを接続した場合、各ECUは、他のECUを経由することなく他のすべてのECUと信号の送受信をすることができ、制御系LANの車載通信プロトコルを光通信システムで構築することができる。
第2発明にあっては、第1光伝送路のループを伝送する光信号のレベルを調整することにより、所要の数の光入出力部を設けることができ、例えば、車種あるいはグレード等により搭載されるECUの数が異なる場合であっても、搭載されるECUの数にかかわらず、所定の通信環境を提供することができる。
第3発明にあっては、一の光入出力部から入力された光信号が第1光伝送路を巡回して再び前記一の光入出力部へ出力された場合であっても、巡回してきた光信号による影響を受けることなく通信品質を向上させることができる。
第4発明にあっては、幹線にメタルケーブルを用いて電気信号で伝送させ、支線に光伝送路を用いて光信号を伝送させることができるパッシブネットワークを構築することができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態に係る光通信装置10を用いた車載光通信ネットワークの配置例を示す説明図である。自動車50の略前部及び後部に本発明に係る光通信装置10、10を配置し、光通信装置10同士は、車載光通信ネットワークの幹線としての電線(メタルケーブル)8で接続されている。前方の光通信装置10には、AMI−C(Automotive Multimedia Interface - Collaboration)規格の車載用プラスチック光ファイバ(以下、「POF」という。)7を伝送媒体としてECU1、2、3を接続してある。また、後部の光通信装置10には、同様にPOF7を介してECU4、5、6を接続してある。これにより、パッシブスター型の車載光通信ネットワークを構築している。なお、このPOF7は、直径が1000ミクロンで標準POFと同じ形状である。
この車載光通信ネットワークでは、制御系LANであり、エンジン制御、トランスミッション制御、ブレーキ制御、サスペンション制御等を行うECUを接続している。例えば、ECU1から送信された信号は、他のECU2、3、…を経由することなく、光通信装置10、10を介して、他のすべてのECU2、3、4、5、6へ信号を送信することができる。
図2は光通信装置10の構成を示すブロック図である。光通信装置10は、幹線である電線8を接続する電気コネクタ等の電気入出力部11、光コネクタ等の光入出力部12、光中継コネクタ(不図示)を介して両端が接続されループ状に形成された適長のPOF13(第1光伝送路)、POF13の中途に介装された光カプラ15、…、光カプラ15を介してPOF13と光接続され、各光入出力部12に接続された適長のPOF14、…(第2光伝送路)、電気入出力部11に接続されたインタフェース部16、インタフェース部16と一のPOF14との間に接続され、電気信号を光信号に変換するE/O171及び光信号を電気信号に変換するO/E172などを有する変換部17などを備えている。
光カプラ15は、POF13、14を長手方向が交差するように所定角度を有して相互に当接させ、その当接領域での超音波加振により両POF13、14を溶着させて分岐結合部分を形成した溶着型光カプラである。光カプラ15の分配比は、例えば、分岐結合部分により決定されるファイバ断面内での光分岐に寄与する領域の割合、あるいは、分岐結合部分の長さを調整することにより、適宜設定することができる。なお、光カプラ15は、溶着型光カプラに限定されるものではなく、他の構造のものであってもよい。例えば、基板上に導波路パターンを形成した導波路型光カプラであってもよい。
一般に、プラスチック光ファイバ(POF)で使用される発光素子は可視光LEDであり、受光素子はシリコン系PD(Photo Diode)である。また、光信号の波長は650nm程度の赤色光が用いられている。E/O171、各ECU1、2、…の発光部には、上述の可視光LEDが搭載され、O/E172、各ECU1、2、…の受光部には、上述のシリコン系PDが搭載されている。なお、LEDに代えて、半導体レーザ(LD)を用いてもよい。
AMI−Cで規定され、車載用に設計されたLEDの出力は、−7.5dBm以上の出力レベルを有し、PDの受光感度は−22dBm以上の光信号を補足することができる。また、POFの固有損失は、1m当たり0.25dB程度である。また、光カプラ15の過剰損失は1dB程度であり、分岐損失は、例えば、3dBである。なお、分岐損失は分配比を調整することにより所要の値に設定可能である。
一の光入出力部12を通じてECUから入力された光信号は、該光入出力部12に接続されたPOF14を伝送して光カプラ15で分配される。分配された光信号は、ループ状のPOF13を所定の一方向に伝送し、POF13に介装された各光カプラ15でさらにPOF14、…に分配される。分配された光信号は、各POF14を通じて各入出力部12へ出力され、該入出力部12に接続されたPOFを通じて他のECUへ伝送される。
例えば、電線8を通じて光通信装置10に入力された電気信号は、インタフェース部16を通じて、E/O171で光信号に変換され、光入出力部12を介してPOF14に入力される。入力された光信号は、光カプラ15でPOF13へ分配され、ループ状のPOF13を巡回することにより、他の光カプラ15で分配され、他の光入出力部12、12、12を通じて出力される。
POF13のループ内を光信号が一方向に伝送する場合に、仮に光信号の減衰が0であるとすれば、あるECUから入力された光信号は、POF13内を回り続けることになり、POF13内で光信号同士が衝突する事態になる。これは、例えば、POF13内を伝送する光信号は、コア屈折率1.5に影響され、POF13内部を伝送する光信号の速度は、約20万km/秒であり、伝送する光信号は長さ1mのPOF13当たり5ナノ秒遅れるためである。
POF13ループ内を伝送する光信号と、光カプラ15を介して新たにPOF13に分配された新たな光信号との衝突(干渉、重畳など)を防止するために、POF13ループ内を伝送する光信号を減衰させることにより、光信号同士の干渉、重畳等の衝突を防止することができる。すなわち、光カプラ15の分配比を適宜設定することにより、これを実現することができる。以下、この点について説明する。
図3は光通信装置10の動作を示す説明図である。図3に示すように、光通信装置10は、光入出力部に接続されたPOFを介してECU1、2、3を接続してある。各ECU1、2、3と光通信装置10との距離は約2mとする。図中、矢印はECU1から送信された光信号がECU3へ伝送される伝送経路を示している。なお、ECUが接続されていない第2光カプラ15には変換部17が接続されている。
図3に示すように、ECU1から送信された光信号は、POFを伝送して光通信装置10に入り、第1光カプラ15でPOF13に分配される。分配された光信号は、POF13を矢印の方向に伝送し、第2光カプラ15、第3光カプラ15を経由して、第4光カプラ15で分配される。第4光カプラ15で分配された光信号は、光通信装置10の光入出力部から出力され、POFを伝送してECU3で受信される。
この場合において、各光カプラ15の分岐損失を2dB、過剰損失を1dBとすると、光信号が各光カプラ15で分配される際の損失は3dBとなる。また、光信号が約2mのPOFを伝送する際の損失は0.5dBとなる。ECU1の光出力を−7.5dBmとすると、光通信装置10までのPOFを伝送することにより、0.5dB減衰し、第1光カプラ15、第2光カプラ15、第3光カプラ15、第4光カプラ15それぞれで3dB減衰し、光通信装置10からECU3までのPOFを伝送することにより、0.5dB減衰するため、ECU3で受信する光信号のレベルは、−7.5−0.5−3(×4)−0.5=−20.5dBmとなる。一方、ECU3での光受光部の感度は、AMI−Cの規格に準拠した場合、−22.0dBmであるから、ECU1から送信された光信号は、ECU3で受信することができる。
ECU1から送信され、POF13を伝送する光信号は、第1光カプラ15で分配されて再びECU1へ伝送される。この場合、POF13を伝送する光信号は、第4光カプラ15を通過した時点で、その信号レベルは、−20.0dBmまで減衰しており、さらに第1光カプラ15で3dB減衰して、−23.0dBmとなる。この信号レベルは、ECU1の光受光部の感度である−22.0dBより小さいため、ECU1で受信することができず、POF13を一周した光信号がECU1から新たに送信される光信号と干渉して、その後の通信に影響を与えることがなく通信品質の劣化を防止することができる。
他の例として、POF13のループ内に光減衰器を介装してループを伝送する光信号の減衰量を調整することもでき、また、POF13の両端を接続する光中継コネクタにおける光減衰量を考慮することもできる。
図4は光中継コネクタの光減衰量を考慮した光通信装置10の動作を示す説明図である。図4に示すように、光中継コネクタ18をPOF13に介装してある。光中継コネクタ18の挿入損失は2.5dBである。また、この場合、各光カプラ15の分岐損失は1.5dBに調整されている。なお、光中継コネクタ18に代えて、光減衰器を介装してあってもよい。
この場合において、各光カプラ15の分岐損失を1.5dB、過剰損失を1dBとすると、光信号が各光カプラ15で分配される際の損失は2.5dBとなる。また、光信号が約2mのPOFを伝送する際の損失は0.5dBとなる。ECU1の光出力を−7.5dBmとすると、光通信装置10までのPOFを伝送することにより、0.5dB減衰し、第1光カプラ15、第2光カプラ15、第3光カプラ15、第4光カプラ15それぞれで2.5dB減衰し、光通信装置10からECU3までのPOFを伝送することにより、0.5dB減衰するため、ECU3で受信する光信号のレベルは、−7.5−0.5−2.5(×4)−0.5=−18.5dBmとなる。一方、ECU3での光受光部の感度は、AMI−Cの規格に準拠した場合、−22.0dBmであるから、ECU1から送信された光信号は、ECU3で受信することができる。
ECU1から送信され、POF13を伝送する光信号は、第1光カプラ15で分配されて再びECU1へ伝送される。この場合、POF13を伝送する光信号は、第4光カプラ15を通過した時点で、その信号レベルは、−18.0dBmまで減衰しており、さらに、光中継コネクタ18で2.5dB減衰し、第1光カプラ15で2.5dB減衰して、−23.0dBmとなる。この信号レベルは、ECU1の光受光部の感度である−22.0dBより小さいため、ECU1で受信することができず、POF13を一周した光信号がECU1から新たに送信される光信号と干渉して、その後の通信に影響を与えることがなく通信品質の劣化を防止することができる。
さらに、光カプラ15の分配比を調整することにより、接続することができるECUの数を増減することもできる。
図5はECUの数を変えた場合の光通信装置10の動作を示す説明図である。図5に示すように、光通信装置10は、光入出力部に接続されたPOFを介してECU1、2を接続してある。各ECU1、2と光通信装置10との距離は約2mとする。図中、矢印はECU1から送信された光信号がECU2へ伝送される伝送経路を示している。
この場合において、各光カプラ15の分岐損失を3dB、過剰損失を1dBとし、光中継コネクタ18の挿入損失を2.5dBとすると、光信号が各光カプラ15で分配される際の損失は4dBとなる。また、光信号が約2mのPOFを伝送する際の損失は0.5dBとなる。ECU1の光出力を−7.5dBmとすると、光通信装置10までのPOFを伝送することにより、0.5dB減衰し、第1光カプラ15、第2光カプラ15、第3光カプラ15それぞれで4dB減衰し、光通信装置10からECU2までのPOFを伝送することにより、0.5dB減衰するため、ECU2で受信する光信号のレベルは、−7.5−0.5−4(×3)−0.5=−20.5dBmとなる。一方、ECU2での光受光部の感度は、AMI−Cの規格に準拠した場合、−22.0dBmであるから、ECU1から送信された光信号は、ECU2で受信することができる。
ECU1から送信され、POF13を伝送する光信号は、第1光カプラ15で分配されて再びECU1へ伝送される。この場合、POF13を伝送する光信号は、第3光カプラ15を通過した時点で、その信号レベルは、−20.0dBmまで減衰しており、さらに
光中継コネクタ18で2.5dB減衰し、第1光カプラ15で4dB減衰して、−26.5dBmとなる。この信号レベルは、ECU1の光受光部の感度である−22.0dBより小さいため、ECU1で受信することができず、POF13を一周した光信号がECU1から新たに送信される光信号と干渉して、その後の通信に影響を与えることがなく通信品質の劣化を防止することができる。
光中継コネクタ18で2.5dB減衰し、第1光カプラ15で4dB減衰して、−26.5dBmとなる。この信号レベルは、ECU1の光受光部の感度である−22.0dBより小さいため、ECU1で受信することができず、POF13を一周した光信号がECU1から新たに送信される光信号と干渉して、その後の通信に影響を与えることがなく通信品質の劣化を防止することができる。
以上説明したように、本発明にあっては、一の光入出力部12から入力された光信号を、他の光入出力部12を経由することなく、他のすべての光入出力部12へ直接伝送することができる。すなわち、各光入出力部12にPOFを通じてECUを接続した場合、各ECUは、他のECUを経由することなく他のすべてのECUと信号の送受信をすることができ、制御系LANの車載通信プロトコルを光通信システムで構築することができる。また、POF13のループを伝送する光信号のレベルを調整することにより、所要の数の光入出力部12を設けることができ、例えば、車種あるいはグレード等により搭載されるECUの数が異なる場合であっても、搭載されるECUの数にかかわらず、所定の通信環境を提供することができる。また、一の光入出力部12から入力された光信号がPOF13を巡回して再び前記一の光入出力部12へ出力された場合であっても、巡回してきた光信号による影響を受けること通信品質を向上させることができる。また、幹線にメタルケーブルを用いて電気信号で伝送させ、支線にPOFを用いて光信号を伝送させることができるパッシブネットワークを構築することができる。
本発明に係る光通信装置を自動車に搭載して車載用光通信ネットワークを構築することにより、制御系LANのように高速・高信頼性が要求されるような環境においても、幹線がメタルケーブルで構成され、支線が光ファイバで構成されるパッシブネットワークを構築することができ、メタルケーブルでパッシブネットワークを構築した際に見られる信号波形の歪み、乱れを解消することができるとともに、かつ光通信装置と各ECUとの距離を短くすることで、耐車載環境にそれほど強くない光ファイバの使用を最小限にしつつ信頼性の高い車載用光通信ネットワークを構築することが可能となる。
上述の実施の形態において、使用されるECUの数、光カプラ15の数、配置例等は一例であって、これに限定されるものではない。また、光信号の波長も上述の例に限定されるものではない。
上述の実施の形態では、光入出力部12を介してPOF14が変換部17に接続されている構成であるが、これに限定されるものではなく、光入出力部12を省略してPOF14を直接変換部17に接続することもできる。
上述の実施の形態では、光通信装置を車載用の光通信ネットワークに使用する例について説明したが、本発明は、車載用に限定されるものではない。また、光伝送路の一例としてPOFを用いる構成であったが、光伝送路は、POFに限定されるものではなく、使用される場所、環境に応じて、グラスファイバ、プラスチック・クラッド・シリカファイバー等であってもよく、また、光導波路のような構成であってもよい。
また、本発明は実施例に限定されるものではない。
1、2、3、4、5、6 ECU
7 POF
8 電線
10 光通信装置
12 光入出力部
13、14 POF
15 光カプラ
18 光中継コネクタ
7 POF
8 電線
10 光通信装置
12 光入出力部
13、14 POF
15 光カプラ
18 光中継コネクタ
Claims (4)
- 光信号を入出力する光入出力部を複数備え、一の光入出力部から入力された光信号を他の光入出力部を通じて出力する光通信装置において、
両端が接続された第1光伝送路と、
該第1光伝送路に介装された複数の光分岐結合器と、
各光分岐結合器を介して前記第1光伝送路に光接続された複数の第2光伝送路と、
該第2光伝送路の両端が接続された光入出力部と
を備えることを特徴とする光通信装置。 - 前記第1光伝送路に1又は複数の光減衰器を介装してあることを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
- 一の光分岐結合器を介して第1光伝送路に送出された光信号が第1光伝送路を伝送して前記一の光分岐結合器を介して第2光伝送路に分配された場合、分配された光信号の信号レベルが前記第2光伝送路の光入出力部に接続される光受信部の受信感度以下になるように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光通信装置。
- 一の光入出力部に電気/光変換器及び光/電気変換器を接続してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光通信装置。
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