JP2008218502A - 磁石の製造装置及び磁石の製造方法 - Google Patents

磁石の製造装置及び磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 成形時のスラリーの分散性を十分に向上でき、高い配向度を有する磁石が得られる磁石の製造装置及び磁石の製造方法を提供すること。
【解決手段】 好適な実施形態の磁石の製造装置は、磁石の原料粉末及び溶媒を混合したスラリーを供給するスラリー供給部10、スラリー供給部から前記成形機に送られるスラリーを振動させる振動印加装置20、及び、スラリーを成形する成形機30を備えた構成を有している。本発明の磁石の製造方法は、このような装置を用い、磁石の原料粉末及び溶媒を混合してスラリーを製造するスラリー製造工程、スラリーを振動させる振動印加工程、振動印加工程後のスラリーを成形して成形体を得る成形工程、及び、成形体を焼成する焼成工程により磁石の製造を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁石の製造装置及び製造方法、より詳しくは湿式成形による磁石の製造装置及び製造方法に関する。
金属磁石の製造方法としては、金属磁石の原料粉末を油や有機溶媒等の溶媒と混合して得られたスラリーを成形した後、焼結させるという湿式成形のプロセスを経る方法が知られている。このような湿式成形のプロセスにおいては、スラリーの形成後、成形する前に、スラリー中で原料粉末が沈降、凝集し易いという問題があった。このような沈降、凝集が生じると、スラリーが粘性の高い部分を有するようになり、成形機への輸送が困難となる。
そこで、このような不都合を回避する方法の一例として、希土類永久磁石用の微粉及び油を含む混合物(スラリー)に、オレイン酸を添加する方法が開示されている(特許文献1参照)。このようにオレイン酸を添加することで、微粉末と油とのぬれや分散性を改善し、流動性等に優れたスラリーを提供できることが示されている。
特開平8−130142号広報
しかしながら、上述したようなオレイン酸の添加によると、スラリーの流動性は良好となるものの、スラリー中の原料粉末の分散性については未だ十分に改善することが困難であった。特に、磁石は、配向度が高いほど高磁気特性であり、この配向度はスラリーの分散性が良好であるほど高くなる傾向にあるが、上記のオレイン酸の添加だけでは、十分に高い配向度が得られるほどの分散性の向上効果は得られていなかった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、成形時のスラリーの分散性を十分に向上でき、高い配向度を有する磁石が得られる磁石の製造装置及び磁石の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の磁石の製造装置は、磁石の原料粉末及び溶媒を混合したスラリーを供給するスラリー供給部と、スラリーを成形する成形機と、スラリー供給部から成形機に送られるスラリーを振動させる振動印加装置とを備えることを特徴とする。
このような構成を有する磁石の製造装置によれば、スラリーを成形に供する前に、振動印加装置によってスラリーを振動させることができる。このようにスラリーを振動させることで、スラリーに力学的な力を付与して積極的にスラリー中の原料粉末を拡散させることができ、これにより成形前のスラリーの分散性を高めることが可能となる。その結果、スラリーの流動性を十分に確保できるだけでなく、成形機に送られるスラリーが均一な原料粉末濃度を有するようになって、個体間でばらつきが少ない磁石の製造が可能となる。また、このように原料粉末が均一に分散されたスラリーでは、成形時における原料粉末の配向が有利となるため、これによって高い配高度を有する磁石を得ることも可能となる。
本発明の磁石の製造装置において、振動印加装置は、スラリーに接触して当該スラリーを振動させる振動子を有することが好ましい。このような振動印加装置は、振動子がスラリーに直接接触して振動を生じさせることから、スラリーへの振動印加効率が極めて高く、より分散性の高いスラリーを成形機に供給することができる。
特に、振動印加装置は、超音波印加装置であると更に好ましい。超音波のような高エネルギーの振動を印加することによって、スラリー中の原料粉末の拡散性は一層良好となり、更に分散性に優れるスラリーを成形機に供給できるようになる。また、超音波印加装置は、小型でも十分な振動を加えることができるので、装置全体の小型化も図れるようになる。
また、本発明による磁石の製造方法は、磁石の原料粉末及び溶媒を混合したスラリーを製造するスラリー製造工程と、スラリーを振動させる振動印加工程と、振動印加工程後のスラリーを成形して成形体を得る成形工程と、成形体を焼成する焼成工程とを有することを特徴とする。
このような本発明の磁石の製造方法によれば、スラリーの製造後、成形する前にスラリーを振動させることから、分散性が高いスラリーを成形することができる。したがって、成形されるスラリーは、原料粉末濃度がほぼ一定となり、良好な特性を有する磁石を均一に製造することが可能となる。また、スラリーが原料粉末の分散性が高いまま成形されることから、成形時の配向が有利となり、高い配向度を有する磁石が得られるようになる。
上記本発明の磁石の製造方法においては、振動印加工程において、スラリーに超音波を印加することによりスラリーを振動させることが好ましい。このように、超音波を印加することにより、スラリーに微小な振動が加わるため、原料粉末が極めて均一に拡散されることになる。そのため、より分散性に優れるスラリーを成形することができ、特性にばらつきが少なく、しかも高い配向度を有する磁石を製造することが可能となる。
本発明によれば、成形時のスラリーの分散性を十分に向上でき、高い配向度を有する磁石が得られる磁石の製造装置及び磁石の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
まず、好適な実施形態に係る磁石の製造装置について説明する。図1は、好適な実施形態の磁石の製造装置を概略的に示す図である。同図に示す磁石製造装置1は、スラリー供給部10、振動印加装置20及び成形機30を備えた構成を有している。この磁石製造装置1において、スラリー供給部10と振動印加装置20とは、連結管40によって連結されている。また、振動印加装置20からはスラリー供給管50が延びており、これにより振動印加装置20から成形機30にスラリーを供給できるようになっている。
スラリー供給部10は、攪拌槽12と、この攪拌槽14内に配置された攪拌翼14とを備えている。このスラリー供給部10では、攪拌槽12内に収容された磁石の原料粉末(以下、単に「原料粉末」という)と溶媒とを、攪拌翼14を回転させることで混合することにより、スラリーを製造することができる。このようなスラリー供給部10としては、例えば、プラネタリーミキサーを適用できる。また、スラリー供給部10の上方には、原料粉末を収容しており攪拌槽12内に原料粉末を投下できる原料粉末供給部16が配置されている。
振動印加装置20は、超音波処理槽22と、この超音波処理槽22内に挿入され、当該槽内部のスラリーに振動を伝達するホーン24と、このホーン24の上部に連接された超音波印加部26とを備えている。ここでは、ホーン24及び超音波印加部26が、振動子として機能する。超音波印加部26には、超音波発生器28が接続されており、この超音波発生器28によって超音波印加部26が振動し、ここで発生した振動がホーン24によって槽内のスラリーに伝達される。
スラリー供給部10における攪拌槽12と、超音波印加装置20における超音波処理槽22とは、連結管40によって連結されている。攪拌槽12内で形成されたスラリーは、この連結管40を通って超音波処理槽22に移動する。この連結管40の途中には、ポンプPが配置されており、このポンプの力によってスラリーが超音波印加装置20側に送り出される。連結管40からは、戻り管42が攪拌槽12に戻るように分岐している。例えば、成形機30の稼動時には、成形機30のほうにスラリーが供給されなくなるため、この戻り管42によってスラリーを攪拌槽12内に戻すことができる。
超音波印加装置20における超音波処理槽22には、この槽内からスラリーを取り出すスラリー供給管50が連結されている。このスラリー供給管50は、成形機30まで延びており、成形機30が有するキャビティ等にスラリーを供給できるようになっている。
次に、このような磁石製造装置1を用いた磁石の製造方法について説明する。なお、以下の説明においては、本発明に特に好適な希土類磁石の製造方法について説明を行うこととする。
図2は、好適な実施形態に係る希土類磁石の製造工程を示すフローチャートである。この希土類磁石の製造においては、まず、所望の組成を有する希土類磁石が得られるような合金を準備する(ステップS11)。この工程では、例えば、希土類磁石の組成に対応する金属等の元素を含む単体、合金や化合物等を、真空又はアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で溶解した後、これを用いて鋳造法やストリップキャスト法等の合金製造プロセスを行うことによって所望の組成を有する合金を作製する。
ここで、希土類磁石としては、例えば、希土類元素として主にNdやSmを含むものが挙げられ、希土類元素と、希土類元素以外の遷移元素とを組み合わせた組成を有するものが好適である。具体的には、希土類元素(「R」で表す)としてNd、Pr及びDyのうちの少なくとも1種を含み、Bを必須元素として1〜12原子%含み、且つ残部がFeであるR−Fe−B系の組成を有するものが好ましい。このような希土類磁石は、必要に応じて、Co、Ni、Mn、Al、Nb、Zr、Ti、W、Mo、V、Ga、Zn、Si等の他の元素を更に含む組成を有していてもよい。
次に、得られた合金を粗粉砕して、数百μm程度の粒径を有する粒子とする(ステップS12)。合金の粗粉砕は、例えば、ジョークラッシャー、ブラウンミル、スタンプミル等の粗粉砕機を用いるか、または、合金に水素を吸蔵させた後、異なる相間の水素吸蔵量の相違に基づく自己崩壊的な粉砕を生じさせる(水素吸蔵粉砕)ことによって行うことができる。
続いて、粗粉砕により得られた粉末を更に微粉砕することで(ステップS13)、好ましくは1〜10μm、より好ましくは3〜5μm程度の粒径を有する希土類磁石の原料粉末(以下、単に「原料粉末」という)を得る。微粉砕は、粗粉砕された粉末に対し、粉砕時間等の条件を適宜調整しながら、ジェットミル、ボールミル、振動ミル、湿式アトライター等の微粉砕機を用いて更なる粉砕を行うことによって実施する。
このようにして原料粉末を作製した後に、これを用い、磁石製造装置1により成形体を作製する。すなわち、まず、原料粉末を原料粉末供給部16に収容し、ここから攪拌槽12内に投入する。また、これとともに溶媒を攪拌槽12内に添加する。原料粉末と溶媒とはどちらを先に加えてもよい。それから、攪拌翼14を回転させて、原料粉末と溶媒を混合・攪拌して、原料粉末を含むスラリーを製造する(ステップS14;スラリー製造工程)。
溶媒としては、磁石の湿式成形におけるスラリーに用いられる溶媒を特に制限無く適用できる。例えば、鉱物油、合成油、植物油等の油や、アセトン、アルコールといった有機溶媒等が挙げられる。なかでも、磁性粉末の酸化を抑制するために、油が好ましい。
なお、この工程では、溶媒以外に、所望の特性が得られる他の添加剤を更に加えることもできる。添加剤としては、例えば、磁性粉末の分散を促進することができるカチオン系、アニオン系、ベタイン系、非イオン系界面活性剤等の分散剤が挙げられる。このような添加剤は、かかるスラリー製造工程ではなく、後述する混練工程や希釈工程において添加してもよい。
スラリー製造工程においては、得られるスラリー中の原料粉末濃度が好ましくは60〜80質量%、より好ましくは65〜78質量%となるようにする。このような原料粉末濃度を有するスラリーは、成形機への輸送に好適な流動性を有するものとなる。
このスラリー製造工程では、上記の原料粉末濃度を有するスラリーを得る前に、これよりも高い濃度で混練を行った後(混練工程)に、得られた混練物に溶媒を加えて上記濃度まで希釈するようにしてもよい(希釈工程)。高濃度で混練を行うことによって、原料粉末同士の衝突等が高頻度で生じることとなる。その結果、原料粉末の構成粒子が凝集して2次粒子等を形成している場合は、これを解砕して一次粒子が均一に分散されたスラリーを得ることが可能となる。このようなスラリーは、後述する成形時に配向し易く、高配高度を有する希土類磁石を形成することができる。かかる混練時の原料粉末濃度は好ましくは85〜95質量%、より好ましくは88〜94質量%である。なお、混練工程は、スラリー製造工程の前に別途行ってもよい。この場合は、混練により得られた混練物が攪拌槽12内に導入され、溶媒等と混合されてスラリーとなる。
所望の濃度のスラリーが得られたら、ポンプPを稼動させ、攪拌槽12内のスラリーを連結管40を通して超音波処理槽22に輸送する。なお、成形機30が稼動中の場合等は、スラリーの成形機30に向かう流れが止められるので、この間、スラリーは戻り管42を通って攪拌槽12内に戻されることになる。これによって、スラリーの循環が保たれ、その良好な分散状態が維持される。
超音波処理槽22に移動したスラリーには、この槽内に挿入されたホーン24と接触することによって、超音波印加部26で発生した超音波(振動)が印加される(ステップS15;振動印加工程)。これにより、超音波処理槽22内部でスラリーが微小に振動し、この振動によってスラリー中の原料粉末が拡散される。また、例えば、原料粉末の構成粒子が凝集して二次粒子等を形成している場合は、この超音波の印加によって二次粒子等をある程度解砕させ、一次粒子に戻すこともできる。
スラリーに印加する超音波は、原料粉末の分散を良好に生じさせるため、小さい周波数を有していることが好ましい。具体的には、15〜40kHzの周波数を有していると好ましく、15〜20kHzの周波数を有しているとより好ましい。また、このような周波数で超音波を印加する場合、超音波の印加時間は、5〜240秒とすることが好ましく、10〜120秒とすることがより好ましい。印加時間は、スラリーに確実に超音波を印加するため、超音波処理槽22の容積(cm)/スラリー流量(cm/秒)に基づいて求める。この振動印加工程は、スラリーを加熱しながら行ってもよい。
振動の印加によって高分散状態にあるスラリーは、スラリー供給管50を通って成形機30に投入される。スラリー供給管50は、成形機30が有する金型キャビティ等に直接連結されていてもよく、その先端がキャビティ上方まで延ばされ、この先端部からキャビティ内にスラリーを投下するような形態であってもよい。そして、スラリーが供給された成形機30では、磁場を印加しながらスラリーの成形を行い、これにより成形体が得られる(ステップS16;成形工程)。この成形工程によって、スラリー中の原料粉末が磁場配向され、所定の配向度を有する成形体が得られる。
成形は、例えば、プレス成形により行うことができる。具体的には、スラリーを成形機30のキャビティ内に充填した後、充填されたスラリーを上パンチと下パンチとの間で挟むようにして加圧し、スラリー中の溶媒を抜き出しながら所定形状に加工する。この際、上パンチ又は下パンチには、流出した溶媒を抜き出すために外部と連通する穴が設けられていてもよい。ただし、磁性粉末の流出が生じないように、パンチ面に布製、紙製等のフィルターを配置するか、或いは、上パンチ又は下パンチの一部の材質を多孔質とすることが好ましい。成形によって得られる成形体の形状は特に制限されず、柱状、平板状、リング状等、所望とする希土類磁石の形状に応じて変更することができる。
成形時の加圧方向は、磁場の印加方向と同じとしてもよく、磁場の印加方向と垂直としてもよいが、磁場の印加方向と垂直に加圧を行うと、より優れた磁気特性が得られる傾向にある。また、成形時における磁場強度は、15〜20kOeとすることができ、加圧は0.3〜3ton/cmとすることができる。さらに、成形時間は、数秒〜数十秒とすることが好ましい。このような条件で磁場中、成形を行うことにより、良好な磁気特性を有する希土類磁石が得られ易い傾向にある。
このようにして磁石製造装置1により成形体を形成した後、希土類磁石の製造においては、この成形体に対して例えば真空加熱を行い、成形体に残存している溶媒や添加剤等を除去する脱溶媒を行う(ステップS17;脱溶媒工程)。脱溶媒は、成形体中の有機溶媒の大部分を除去できるような条件とし、例えば、10〜3000Pa程度に減圧した条件下、100〜160℃で1〜5時間加熱することが好ましい。なお、かかる脱溶媒の工程では、通常は成形体の焼結は進行しないが、一部焼結が進行していても構わない。
その後、脱溶媒された成形体を焼成して、焼結体を得る(ステップS18;焼成工程)。焼成は、例えば、真空中又は不活性ガスの存在下、成形体を1000〜1200℃、1〜10時間加熱した後、急冷することによって行うことができる。
焼成後には、得られた焼結体を焼成時よりも低い温度で加熱すること等によって、焼結体に時効処理を施す(ステップS19)。この時効処理は、例えば、700〜900℃で1〜3時間、更に500〜700℃で1〜3時間加熱する2段階加熱や、600℃付近で1〜3時間加熱する1段階加熱等の適宜の条件で行う。このような時効処理によって、焼結体の磁気特性を向上させることができる。
そして、このようにして得られた焼結体に対し、所望のサイズに切断したり、表面を平滑化したりする処理を行うことによって、目的とする希土類磁石が得られる。なお、得られた希土類磁石には、その表面上に酸化層や樹脂層等の劣化を防止するための保護層が更に設けられてもよい。
上述のように構成された磁石の製造装置及び製造方法においては、スラリーの形成後、成形前に、振動印加装置20においてスラリーに超音波を印加して振動させる振動印加工程を行っていることから、この工程においてスラリー中の原料粉末が十分に分散される。したがって、このような製造方法によれば、輸送中にスラリーにおける原料粉末の沈降等が生じていたとしても、上記振動印加工程によって良好な分散状態とした上でスラリーを成形機30に供給することが可能となる。その結果、成形機30には原料粉末の含有割合がほぼ一定であるスラリーが供給されるようになり、得られる成形体、ひいては希土類磁石の組成や磁気特性のばらつきが大幅に低減される。また、スラリーの分散状態が良好であるため、磁場中での成形において、スラリーに含まれる磁石の原料粉末が良好に配向する。その結果、配高度が高く、優れた磁気特性を有する希土類磁石を得ることが可能となる。
以上、本発明の磁石の製造方法の好適な実施形態として、希土類磁石の製造方法について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、振動印加装置20においては超音波の印加によりスラリーを振動させていたが、本発明においてスラリーに印加される振動は、必ずしも超音波に限らず、ある程度の周波数を有する振動であれば、本発明の効果は十分に得られる。スラリーに振動を印加する方法も、振動子の接触には限定されず、例えば、振動子をスラリーが収容された槽や管に接触させ、これらを介してスラリーに振動を印加してもよく、また振動子以外の手段により振動印加装置における処理槽を振動させてもよく、スラリーを成形機に供給する管を振動させてもよい。
また、本発明の製造装置又は製造方法は、希土類磁石に限らず、その他の金属磁石やフェライト磁石等、磁性粉末の焼結によって得られる焼結磁石であれば特に制限無く適用することができる。そして、これらの他の磁石の製造に適用した場合であっても、上述した実施形態と同様、分散性が高いままスラリーを成形することができ、高配向を有する磁石を均一に製造することが可能となる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[希土類磁石の作製]
(実施例1)
Nd:30%,Dy:1.8%,Al:0.2%,Co:0.5%,B:1.0%、残部Feからなるインゴットを粗粉砕した後、ジェットミルを用い、窒素雰囲気下で平均粒径が4μmとなるまで微粉砕を行い、希土類磁石の原料粉末を得た。次に、得られた原料粉末を、分留点が200〜250℃である合成油と混合した後、この混合物に対し、原料粉末濃度91%で60分の混練を行った。得られた混練物を、上記の合成油を加えて希釈し、原料粉末濃度が70%であるスラリーを調製した。
次いで、得られたスラリーを、成形機の金型に供給するラインの途中に設置された超音波分散機(株式会社ギンセン社製、GSD600HCVP)に輸送し、これを用いてスラリーに20kHzの超音波を印加した。それから、超音波印加後のスラリーを成形機に送り、磁場中、成形を行って、成形体を得た。成形は、15kOeの磁場中、圧力2.0tonの条件で、キャビティ中で上パンチと下パンチとの間で加圧するようにして行った。加圧中、上パンチ側にろ布を配置し、ここから溶媒を除去した。磁場方向は、プレス方向と一致するようにした。
その後、成形体に対し、100Paの真空中、150℃、1時間の加熱を行い成形体に含まれる合成油を除去し(脱溶媒)、さらに0.067Paの真空中、1100℃、5時間の条件で焼成を行った後、得られた焼結体に500℃、1時間の条件で時効処理を施すことにより、希土類磁石を得た。
(比較例1)
スラリーへの超音波の印加を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして希土類磁石を得た。
[特性評価]
実施例1及び比較例1で得られた希土類磁石の焼結体密度及び磁気特性をそれぞれ測定し、各磁石による残留磁束密度(Br)及び配向度を算出した。また、それぞれの希土類磁石の製造過程で、成形直前のスラリーが分離しているか否かを目視で確認した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2008218502
表1より、スラリーの超音波分散を行った実施例1では、超音波分散を行わなかった比較例1と比べて、スラリーが良好に分散しており、配高度が高く、高磁気特性を有する希土類磁石が得られることが確認された。
好適な実施形態の磁石の製造装置を概略的に示す図である。 好適な実施形態に係る希土類磁石の製造工程を示すフローチャートである。
符号の説明
1…磁石製造装置、10…スラリー供給部、12…攪拌槽、14…攪拌翼、16…原料粉末供給部、20…振動印加装置、22…超音波処理槽、24…ホーン、26…超音波印加部、28…超音波発生装置、30…成形機、40…連結管、42…戻り管、50…スラリー供給管。

Claims (5)

  1. 磁石の原料粉末及び溶媒を混合したスラリーを供給するスラリー供給部と、
    前記スラリーを成形する成形機と、
    前記スラリー供給部から前記成形機に送られる前記スラリーを振動させる振動印加装置と、
    を備えることを特徴とする磁石の製造装置。
  2. 前記振動印加装置は、前記スラリーに接触して当該スラリーを振動させる振動子を有する、ことを特徴とする請求項1記載の磁石の製造装置。
  3. 前記振動印加装置は、超音波印加装置である、ことを特徴とする請求項1又は2記載の磁石の製造装置。
  4. 磁石の原料粉末及び溶媒を混合してスラリーを製造するスラリー製造工程と、
    前記スラリーを振動させる振動印加工程と、
    前記振動印加工程後のスラリーを成形して成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を焼成する焼成工程と、
    を有することを特徴とする磁石の製造方法。
  5. 前記振動印加工程において、前記スラリーに超音波を印加することにより前記スラリーを振動させる、ことを特徴とする請求項4記載の磁石の製造方法。
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