JP2008217906A - トンネル型磁気抵抗効果素子及びその製造方法 - Google Patents

トンネル型磁気抵抗効果素子及びその製造方法 Download PDF

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【課題】 従来に比べて低抵抗で、且つ、狭トラック化を図ることができ、さらに特性のばらつき等が小さく信頼性に優れたトンネル型磁気抵抗効果素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 絶縁障壁層25のトラック幅方向への最大幅寸法T1は、第1の磁性層31のトラック幅方向への最大幅寸法T2以上である。前記第1の磁性層31は、トラック幅方向の両側に位置する両側端部31bと、前記両側端部31bから段差Aを介して、前記両側端部31bよりも厚い膜厚で形成された中央部31aとを有して構成される。前記第1の磁性層31のうち前記中央部31aが、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層として機能している。これにより、低抵抗で、且つ、狭トラック化を図ることができ、さらに特性のばらつき等が小さく信頼性に優れたトンネル型磁気抵抗効果素を実現できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、従来に比べて低抵抗で、且つ、狭トラック化を図ることができ、さらに特性のばらつき等が小さく信頼性に優れたトンネル型磁気抵抗効果素子及びその製造方法に関する。
下記特許文献に示すように、トンネル型磁気抵抗効果素子は、例えば下から固定磁性層、絶縁障壁層及びフリー磁性層の順に積層される。前記固定磁性層は、磁化方向が固定され、前記フリー磁性層は外部磁界に対して磁化変動する。
トンネル型磁気抵抗効果素子は、トンネル効果を利用して抵抗変化するものであり、固定磁性層の磁化と、フリー磁性層の磁化とが反平行のとき、前記固定磁性層とフリー磁性層との間に設けられた絶縁障壁層を介してトンネル電流が流れにくくなって、抵抗値は最大になり、一方、前記固定磁性層の磁化とフリー磁性層の磁化が平行のとき、最も前記トンネル電流は流れ易くなり抵抗値は最小になる。
この原理を利用して、外部磁界の影響を受けてフリー磁性層の磁化が変動することにより変化する電気抵抗を電圧変化としてとらえ、記録媒体からの洩れ磁界が検出されるようになっている。
特開平10−162326号公報 特開2001−6127号公報 特開2004−319060号公報
トンネル型磁気抵抗効果素子の電気抵抗値は、絶縁障壁層を有することで高抵抗となりやすいが、高周波特性の向上を図る上で、低抵抗にすることが望ましい。
そのためには、例えば、絶縁障壁層の膜厚を薄くする形態が考えられるが、前記絶縁障壁層の膜厚を薄くすると、前記絶縁障壁層にピンホール等の欠陥が生じやすく特性にばらつきが生じやすくなる等、信頼性が低下する。
一方、前記絶縁障壁層のトラック幅方向の幅寸法を広くすることで電気抵抗値を低減できるが、前記フリー磁性層のトラック幅方向の幅寸法で規定されるトラック幅Twも広がる結果、高記録密度化に適切に対応できないといった問題があった。
そこで本発明は上記従来の問題点を解決するためのものであり、従来に比べて低抵抗で、且つ、狭トラック化を図ることができ、さらに特性のばらつき等が小さく信頼性に優れたトンネル型磁気抵抗効果素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明におけるトンネル型磁気抵抗効果素子は、
下から磁化方向が固定される固定磁性層、絶縁障壁層、及び、第1の磁性層の順に積層された部分を有し、
前記絶縁障壁層のトラック幅方向への最大幅寸法は、前記第1の磁性層のトラック幅方向への最大幅寸法以上であり、
前記第1の磁性層は、トラック幅方向の両側に位置する両側端部と、前記両側端部から段差を介して、前記両側端部よりも厚い膜厚で形成されたトラック幅方向の中央に位置する中央部とを有して構成され、
前記第1の磁性層のうち前記中央部が、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層として機能していることを特徴とするものである。
上記のトンネル型磁気抵抗効果素子によれば、絶縁障壁層のトラック幅方向の幅寸法を広く形成し、且つ、フリー磁性層のトラック幅方向の幅寸法(=トラック幅Tw)を効果的に小さく形成出来るから、従来に比べて低抵抗で且つ狭トラック化を図ることが可能である。また、前記第1の磁性層の両側端部は、フリー磁性層として実質的に機能しない不感領域であるが、前記両側端部を設けることで、より低抵抗化を図ることができるとともに、前記絶縁障壁層の両側端部を適切に保護することができ、従来に比べて、特性のばらつき等が小さく信頼性の高いトンネル型磁気抵抗効果素子を実現できる。
本発明では、前記第1の磁性層は、前記絶縁障壁層上に形成される下部磁性層と、前記下部磁性層上のトラック幅方向の中央に位置する上部磁性層とで構成され、
少なくとも前記下部磁性層と前記上部磁性層間には、前記上部磁性層の形状を画定する際のエッチング速度が前記上部磁性層及び前記下部磁性層のエッチング速度より遅いストッパ層が設けられ、
前記上部磁性層と、前記上部磁性層と対向した位置にある下部磁性層とで前記中央部が構成され、前記上部磁性層のトラック幅方向の両側に位置する前記下部磁性層により前記両側端部が構成されており、
前記中央部の前記上部磁性層と前記下部磁性層とは磁気的に結合されて、前記フリー磁性層として機能していることが好ましい。
これにより、前記第1の磁性層の両側端部を薄い膜厚で確実に残すことができ、前記絶縁障壁層の両側端部を適切に保護でき、より効果的に、低抵抗で且つ信頼性の高いトンネル型磁気抵抗効果素子を実現できる。
本発明では、前記ストッパ層の平均膜厚は、1.0〜3.0Åの範囲内であることが好ましい。これにより、効果的に、前記中央部における前記下部磁性層と前記上部磁性層とを磁気的に結合でき、前記下部磁性層及び上部磁性層を見かけ上、一体のフリー磁性層として機能させることが出来る。
また本発明では、前記ストッパ層は非磁性金属材料で形成されることがエッチング速度の調整を容易にでき、また、再生特性を良好に維持することができ好適である。
前記ストッパ層は、前記両側端部上にまで延出して形成されていることが好ましい。
また本発明では、前記第1の磁性層の両側端部の平均膜厚は5Å以上で10Å以下であることが、高精度に、狭トラック化を図る上で好ましい。
本発明におけるトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(a) 下から磁化方向が固定される固定磁性層、絶縁障壁層及び第1の磁性層の順に積層する工程、
(b) 前記第1の磁性層のトラック幅方向の両側端部を途中まで削り、前記第1の磁性層を、膜厚の薄い前記両側端部と、前記両側端部から段差を介して、前記両側端部よりも膜厚が厚いトラック幅方向の中央に位置する中央部とで構成する工程、
(c) 前記第1の磁性層の両側端部から中央部にかけて前記段差が残るように、前記固定磁性層、前記絶縁障壁層及び、前記第1の磁性層の両側端部の各両側端面をパターン加工し、このとき、前記絶縁障壁層のトラック幅方向への最大幅寸法を、前記第1の磁性層のトラック幅方向への最大幅寸法以上に形成する工程、
(d) 前記第1の磁性層に対しバイアス磁界を印加して、前記第1の磁性層の中央部を、外部磁界に対して磁化変動するフリー磁性層として機能させる工程。
上記により、従来に比べて低抵抗で且つ狭トラック化を図ることができ、さらに特性のばらつきが小さく信頼性に優れたトンネル型磁気抵抗効果素子を容易に且つ適切に製造できる。
本発明では、前記(b)工程で、前記第1の磁性層の両側端部を5Å以上で10Å以下の平均膜厚となるまで削ることが好ましい。
また本発明では、前記(a)工程で、前記絶縁障壁層上に、下から下部磁性層、ストッパ層及び上部磁性層の順に積層し、前記下部磁性層と、前記上部磁性層とで前記第1の磁性層を構成し、前記ストッパ層を、前記(b)工程でのエッチングに対する前記上部磁性層及び下部磁性層のエッチング速度より遅いエッチング速度の材質で形成し、
前記(b)工程では、前記上部磁性層の両側端部をエッチングで除去して、前記ストッパ層の露出後、少なくとも前記下部磁性層の両側端部の一部を残して前記エッチングを停止し、これにより、前記第1の磁性層は、前記上部磁性層と、前記上部磁性層と対向した位置にある下部磁性層とで前記中央部が構成され、前記上部磁性層のトラック幅方向の両側に位置する前記下部磁性層により前記両側端部が構成され、
前記中央部では、前記上部磁性層と前記下部磁性層とが磁気的に結合されており、前記(d)工程では、前記中央部に位置する前記上部磁性層及び前記下部磁性層を、前記フリー磁性層として機能させることが好ましい。
本発明では、これにより、前記下部磁性層の両側端部を薄い膜厚で前記絶縁障壁層上に残すことができ、前記絶縁障壁層を例えばエッチング工程から適切に保護でき、より効果的に低抵抗で且つ信頼性の高いトンネル型磁気抵抗効果素子を製造できる。
また前記下部磁性層の両側端部を残すことでより低抵抗化を実現できる。
本発明では、前記ストッパ層を、1.0〜3.0Åの平均膜厚で形成することが、適切に、前記中央部での前記上部磁性層と下部磁性層とを磁気的に結合でき、見かけ上、一体のフリー磁性層として機能させることができ好適である。
また本発明では、前記ストッパ層を非磁性金属で形成することが、エッチング速度の調整を容易にでき、好適である。
また本発明では、前記(b)工程で、前記下部磁性層の両側端部上に前記ストッパ層の少なくとも一部が残るように、エッチングを停止することがより好ましい。これにより、前記下部磁性層の両側端部を確実に残すことができ、前記絶縁障壁層を適切に保護できる。しかも前記下部磁性層の両側端部上に残されたストッパ層を構成する元素は、例えば熱処理によって前記下部磁性層へ拡散し、前記下部磁性層の両側端部での磁気的性質をより効果的に弱めることができ、適切に前記両側端部を実質的にフリー磁性層として機能しない不感領域にでき、高精度に狭トラック化を図ることが可能である。
本発明では、前記(a)工程で、前記下部磁性層を、5Å以上で10Å以下の平均膜厚で形成することが好ましい。例えば前記下部磁性層の両側端部上に前記ストッパ層を残しても、前記下部磁性層の両側端部の膜厚を10Å以下にでき、より高精度に狭トラック化を図ることができる。
本発明によれば、従来に比べて低抵抗で且つ狭トラック化を図ることができ、さらに、特性のばらつき等が小さく信頼性の高いトンネル型磁気抵抗効果素子を実現できる。
図1は、本実施形態のトンネル型磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面と平行な面から切断して示す部分断面図、である。
図中においてX方向は、トラック幅方向、Y方向は、磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向(ハイト方向)、Z方向は、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向及び前記トンネル型磁気抵抗効果素子の各層の積層方向である。
符号20は下部シールド層であり、前記下部シールド層20は例えばNi−Feで形成される。
前記下部シールド層20上には、トンネル型磁気抵抗効果素子30が形成されている。前記トンネル型磁気抵抗効果素子30は、下から下地層21、シード層22、反強磁性層23、固定磁性層24、絶縁障壁層25、下部磁性層26、ストッパ層27、上部磁性層28及び保護層29の順に積層形成されている。
前記下地層21は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素の非磁性元素で形成される。前記シード層22は、例えば、Ni−Fe−Cr、Cr、あるいはRuによって形成される。
前記反強磁性層23は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。
また前記反強磁性層23は、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されてもよい。
前記反強磁性層23は例えばIr−Mnで形成される。
前記固定磁性層24はCo−Fe等の強磁性材料で形成される。図1では前記固定磁性層24は単層構造であるが、前記固定磁性層24は、下から第1固定磁性層、非磁性中間層、及び、第2固定磁性層の順で積層された積層フェリ構造で形成されることが好適である。前記第1固定磁性層及び第2固定磁性層は例えばCo−Feで形成される。前記非磁性中間層は例えばRuで形成される。
絶縁障壁層25は、例えば、Mg−O(酸化マグネシウム)、Al−O(酸化アルミニウム)、Ti−O(酸化チタン)のいずれかで形成される。
前記下部磁性層26は、Co−FeやNi−Feで形成される。前記ストッパ層27は、Ta等の非磁性金属材料で形成されることが好ましい。前記上部磁性層28は例えばNi−Feで形成される。前記保護層29は例えばTaで形成される。前記下部磁性層26及び上部磁性層28は同じ磁性材料で形成されても異なる磁性材料で形成されてもよい。例えば前記下部磁性層26と上部磁性層28を異なる磁性材料で形成する場合、前記下部磁性層26をスピン分極率が高いCo−Fe等のエンハンス層として形成し、上部磁性層28を軟磁気特性に優れたNi−Feで形成すると、抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることができ好適である。
図1に示すように前記上部磁性層28は前記下部磁性層26のトラック幅方向(図示X方向)における中央にのみ形成されている。前記上部磁性層28と、前記上部磁性層28のトラック幅方向の両側に広がる下部磁性層26との間には段差Aが形成されている。
本実施形態では、前記下部磁性層26と上部磁性層28により「第1の磁性層31」が構成される。
図1に示すように前記第1の磁性層31の中央部31aは、上部磁性層28と、前記上部磁性層28と対向した位置にある下部磁性層26とで構成され、前記第1の磁性層31の両側端部31bは、前記中央部31aから段差Aを介して、前記上部磁性層28のトラック幅方向(図示X方向)の両側に位置する前記下部磁性層26により構成される。
図1に示すように前記上部磁性層28と保護層29のトラック幅方向(図示X方向)における両側端面33,33は、下側から上側に向けて徐々に前記トラック幅方向の幅寸法が小さくなるように傾斜面で形成されている。
また、図1に示すように、下地層21から下部磁性層26のトラック幅方向(図示X方向)における両側端面32,32は、前記両側端面33,33間の幅より広がって形成され、さらに、下側から上側に向けて徐々に前記トラック幅方向の幅寸法が小さくなるように傾斜面で形成されている。
図1に示す実施形態では、前記第1の磁性層31の中央部31aでは、前記下部磁性層26と前記上部磁性層28とが磁気的に結合されている(強磁性結合)。前記下部磁性層26と前記上部磁性層28との間に介在するストッパ層27は非常に薄い膜厚で形成されている。前記ストッパ層27は具体的には1.0Å〜3.0Åの範囲内の平均膜厚で形成されることが好適である。このように前記ストッパ層27は薄い膜厚で形成されているので、例えば前記ストッパ層27にはピンホールが形成され、前記ピンホールを介して前記下部磁性層26と前記上部磁性層28とが直接接触して磁気的に強く結合されている。また、前記ピンホールが形成されていなくても、ストッパ層27を上記膜厚範囲内に設定することで、前記下部磁性層26と上部磁性層28とがストッパ層27を介して静磁気的に強く結合している。
図1に示す実施形態では、前記第1の磁性層31の中央部31aが外部磁界に対して磁化変動するフリー磁性層として機能する。一方、前記第1の磁性層31の両側端部31bは前記フリー磁性層として実質的に機能していない。例えば、マイクロトラック法により測定し、再生波形のうち最大出力の50%以上の出力が得られる部分を感磁領域(フリー磁性層)と規定すると、前記両側端部31bでの出力は50%より小さく(両側端部31bのうち中央部31aとの近傍で出力が最大出力に対して50%以上となる部分がある形態を除外しない)、不感領域であり、フリー磁性層として実質的に機能していない。
前記両側端部31bの膜厚は薄く、前記両側端部31bの上下に位置する絶縁障壁層25及びストッパ層27を構成する元素が前記両側端部31bの全域にわたって拡散を起こし、前記両側端部31bでの磁気的性質は弱くなっていると思われる。例えば前記両側端部31bでのキュリー点が中央部31aに比べて低くなっており、固定磁性層24と反強磁性層23間に交換結合磁界(Hex)を生じさせる熱処理等により前記両側端部31bは常磁性になっているものと推測される。これにより前記両側端部31bはフリー磁性層として実質的に機能していない。ここで「実質的に機能しない」とは、上記したように例えば再生出力が最大出力に対して50%を下回ることを指している。
図1に示すように、前記トンネル型磁気抵抗効果素子30の両側端面32,33上及び段差A上には絶縁層40が形成され、前記絶縁層40上にはハードバイアス層41が形成されている。前記絶縁層40は例えばAlやSiOで形成される。また前記ハードバイアス層41は、例えば、Co−PtやCo−Cr−Ptで形成される。前記ハードバイアス層41と前記絶縁層40との間には、Cr、W、Tiで形成されるバイアス下地層が形成されていてもよい。
図1に示す実施形態では、前記ハードバイアス層41の上面、保護層29及び絶縁層40の上面は同一の平坦面で形成されている。
図1に示すように、前記ハードバイアス層41上、保護層29上及び絶縁層40上に非磁性金属層42が形成され、前記非磁性金属層42上に上部シールド層43が形成されている。前記非磁性金属層42はシールド間隔の調整用に用いられる。前記非磁性金属層42は、例えば、Ta、Ti、Ruで形成される。前記上部シールド層43は、例えばNi−Feで形成される。
図1に示す実施形態では、前記下部シールド層20及び上部シールド層43が前記トンネル型磁気抵抗効果素子30に対する電極層として機能し、前記トンネル型磁気抵抗効果素子30の各層の膜面に対し垂直方向に電流が流される。
フリー磁性層として機能する第1の磁性層31の中央部31aは、前記ハードバイアス層41からのバイアス磁界を受けてトラック幅方向(図示X方向)と平行な方向に磁化されている。前記中央部31aでの磁化は、単磁区化されている。一方、固定磁性層24は、ハイト方向(図示Y方向)と平行な方向に磁化されている。前記固定磁性層24の磁化は固定されている(外部磁界によって磁化変動しない)が、前記第1の磁性層31の中央部31aの磁化は外部磁界により変動する。
前記第1の磁性層31の中央部(フリー磁性層)31aが、外部磁界により磁化変動すると、前記固定磁性層24と第1の磁性層31の中央部(フリー磁性層)31aとの磁化が反平行のとき、前記固定磁性層24と第1の磁性層31の中央部(フリー磁性層)31aとの間に設けられた絶縁障壁層25を介してトンネル電流が流れにくくなって、電気抵抗値は最大になる。一方、前記固定磁性層24と第1の磁性層31の中央部(フリー磁性層)31aとの磁化が平行のとき、最も前記トンネル電流は流れ易くなり電気抵抗値は最小になる。
この原理を利用して、外部磁界の影響を受けて第1の磁性層(フリー磁性層)31aの磁化が変動することにより変化する電気抵抗を電圧変化としてとらえ、磁気記録媒体からの洩れ磁界が検出されるようになっている。
本実施形態におけるトンネル型磁気抵抗効果素子の特徴的部分について以下に説明する。図2は、図1に示すトンネル型磁気抵抗効果素子30のうち、絶縁障壁層25、下部磁性層26、ストッパ層27、及び、上部磁性層28の部分を拡大した部分拡大断面図である。
図1に示す実施形態に示すように前記絶縁障壁層25のトラック幅方向(図示X方向)への最大幅寸法T1は、前記第1の磁性層31(下部磁性層26)のトラック幅方向(図示X方向)への最大幅寸法T2以上で形成されている。
また、図1,図2に示すように、前記第1の磁性層31は、トラック幅方向(図示X方向)の両側に位置する両側端部31bと、前記両側端部31bから段差Aを介して前記両側端部31bよりも厚い膜厚で形成されたトラック幅方向の中央に位置する中央部31aとを有して構成される。
前記中央部31aは、前記上部磁性層28と前記上部磁性層28と対向した位置にある下部磁性層26とで構成され、前記中央部31aでの前記上部磁性層28と前記下部磁性層26は磁気的に結合されている。
前記第1の磁性層31の中央部31aは外部磁界に対して磁化変動するフリー磁性層として機能するが、前記第1の磁性層31の両側端部31bはフリー磁性層として実質的に機能せず不感領域となっている。図2に示すように、トラック幅Twは、前記中央部31aの上面の幅寸法で規制される。
トンネル型磁気抵抗効果素子30を構成する積層体は絶縁障壁層25を除いて金属材料で形成されているので絶縁材料で形成された絶縁障壁層25が電気抵抗値に大きく寄与している。よって、図1,図2に示す実施形態であると、絶縁障壁層25の幅寸法T1を広く形成できトンネル型磁気抵抗効果素子30の電気抵抗値を低抵抗に調整できる。図1,図2に示す実施形態では低抵抗を実現すべく、前記絶縁障壁層25の膜厚を薄く形成しなくてもよいので信頼性に優れたトンネル型磁気抵抗効果素子30を実現できる。前記絶縁障壁層25の最大幅寸法T1は100〜150nm程度、前記絶縁障壁層25の平均膜厚は、5〜10Å程度である。
しかも図1に示す実施形態では、前記第1の磁性層31に、両側端部31bから段差Aを介して膜厚が厚い中央部31aを形成し、前記中央部31aをフリー磁性層として機能させているので、トラック幅Twを小さく形成でき狭トラック化を実現できる。よって高記録密度化に優れたトンネル型磁気抵抗効果素子30を実現できる。
本実施形態では、前記トラック幅Twを40〜80nm程度に調整できる。また、図2に示す第1の磁性層31(下部磁性層26)の最大幅寸法T2は、100〜150nmであり、前記第1の磁性層31の各両側端部31bの最大幅寸法T3は、10〜55nmである。また前記第1の磁性層31の最大幅寸法T2に対する各両側端部31bの最大幅寸法T3の比率{(T3/T2)×100(%)}は、10〜40%の範囲内であることが好適である。
本実施形態では、前記上部磁性層28の平均膜厚を前記下部磁性層26の平均膜厚よりも厚い膜厚で形成することが中央部31a及び両側端部31bでの膜厚調整を行いやすく好適である。前記上部磁性層28の平均膜厚を40〜70Å程度で形成することが好ましい。また、前記第1の磁性層31の中央部31aの平均膜厚を、45〜80Å程度で形成することで前記中央部31aを適切にフリー磁性層として機能させることが可能である。
図1,図2に示す実施形態では、前記第1の磁性層31の両側端部31bは実質的にフリー磁性層として機能せず不感領域となっている。前記両側端部31bを不感領域にするには、前記両側端部31bの平均膜厚を5Å以上で10Å以下で形成することが好適である。前記両側端部31bの上下に位置する絶縁障壁層25及びストッパ層27を構成する元素の拡散長は概ね10Å程度なので、前記両側端部31bのほぼ全域に、前記絶縁障壁層25及びストッパ層27を構成する元素が拡散し、前記両側端部31bの磁気的性質は急激に弱まっていると推測される。前記両側端部31bは例えば常磁性となっており、フリー磁性層として機能しない。
前記第1の磁性層31に薄い膜厚の両側端部31bが形成されていることで、前記絶縁障壁層25の両側端部上は前記第1の磁性層31の両側端部31bにより適切に保護される。前記両側端部31bの平均膜厚は上記のように5Å以上であることが好ましく、これにより前記絶縁障壁層25を適切に保護できる。また前記両側端部31bを設けたことでトンネル型磁気抵抗効果素子30の低抵抗化をより促進できる。例えば、前記両側端部31bを形成しない形態の場合、後述する製造方法では、各層のエッチング速度差があまりないので、エッチング制御が難しく、前記絶縁障壁層25の両側端部やさらにはその下の層までもエッチングで削れてしまい、抵抗値が上昇したり、あるいは抵抗値や特性にばらつきが生じ信頼性が低下しやすい。それに比べて本実施形態のトンネル型磁気抵抗効果素子では、抵抗値や特性にばらつきが小さく信頼性の高いトンネル型磁気抵抗効果素子を実現できる。
以上により本実施形態のトンネル型磁気抵抗効果素子によれば、従来に比べて、低抵抗で且つ狭トラック化を適切に図ることが可能である。よって高周波特性を向上できるとともに高記録密度化に適切に対応することが可能になる。また特性のばらつきが小さく信頼性が高いトンネル型磁気抵抗効果素子30を実現できる。
図1,図2に示す実施形態では、前記下部磁性層26と前記上部磁性層28との間にストッパ層27が設けられている。例えば図3に示すように前記ストッパ層27が設けられておらず前記下部磁性層26と上部磁性層28とが完全に一体化した単層構造の第1の磁性層34で形成しても上記した効果を得ることが可能であるが、図1,図2に示すように、前記ストッパ層27を設けることで、適切に前記第1の磁性層31の両側端部31bを残すことができ、前記絶縁障壁層25の両側端部を適切に保護でき、より効果的に、低抵抗で且つ信頼性の高いトンネル型磁気抵抗効果素子30を実現できる。
また、前記ストッパ層27の平均膜厚は1.0〜3.0Åの範囲内であることが好ましい。これにより、前記下部磁性層26と前記上部磁性層28間の磁気的結合を強くでき、且つストッパとして適切に機能させることが可能である。
前記ストッパ層27は非磁性金属材料で形成されることが好適である。磁性材料で前記ストッパ層27を形成すると、前記ストッパ層27のエッチング速度は、上部磁性層28のエッチング速度とあまり差がつかなくなるので好ましくない。また絶縁材料でストッパ層27を形成すると、前記下部磁性層26と上部磁性層28との間でもトンネル効果が発生する可能性があり、トンネル型磁気抵抗効果素子30としての特性が低下するので好ましくない。
前記ストッパ層27として用いられる非磁性金属材料は、前記上部磁性層28の両側端面33,33をパターン形成(画定)する際に使用されるエッチングにおいて、前記ストッパ層27のエッチング速度が、前記上部磁性層28のエッチング速度より遅くなる材質である。
例えば、前記上部磁性層28の両側端面33,33をパターン形成する際に使用されるエッチングが反応性イオンエッチング(RIE)である場合、前記ストッパ層27は、Cr、Ir、Ru、Rh、Pd、Agのうち少なくともいずれか1種で形成されることが好適である。また前記上部磁性層28の両側端面33,33を画定する際に使用されるエッチングがイオンミリングである場合、前記ストッパ層27は、Ta、Mo、W、Tiのうち少なくともいずれか1種で形成されることが好適である。
図1,図2に示す実施形態のように、前記ストッパ層27は、中央部31aにおける下部磁性層26と上部磁性層28との間のみならず、両側端部31bにおける下部磁性層26上にまで延出して形成されることが好適である。これにより、確実に前記第1の磁性層31の両側端部31bを残すことができる。また、前記両側端部31b上に例えばTaから成るストッパ層27を設けることで、Taが前記両側端部31b内に効果的に拡散し、前記両側端部31bの磁気的性質を十分に弱めることが可能である。
上記したように図3のように、第1の磁性層34が単層で形成された形態であってもよい。図3の実施形態では、図1のようにストッパ層27は設けられていない。図3の実施形態でも第1の磁性層34の両側端部34bから段差Aを介して前記両側端部34bよりも膜厚が厚い中央部34aが形成され、前記中央部34aがフリー磁性層として機能している。前記両側端部34bの平均膜厚は10Å以下であり、前記両側端部34bはフリー磁性層として実質的に機能せず、不感領域となっている。図4の実施形態でも従来に比べて低抵抗で、且つ、狭トラック化を図ることが可能であり、さらに信頼性に優れたトンネル型磁気抵抗効果素子を実現できる。
図4ないし図8は、図1に示すトンネル型磁気抵抗効果素子30を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す一工程図であり、各図は、記録媒体との対向面と平行な面から切断した部分断面図である。
図4に示す工程では、下部シールド層20上に、下から下地層21、シード層22、反強磁性層23、固定磁性層24、絶縁障壁層25、下部磁性層26、ストッパ層27、上部磁性層28及び保護層29の順に例えばスパッタ法で成膜する。各層の材質は図1で説明したのでそちらを参照されたい。各層を成膜装置内で同一真空中で連続成膜する。
図4に示す工程では、前記下部磁性層26を5以上で10Å以下の平均膜厚で形成することが好ましい。また、前記ストッパ層27を1.0〜3.0Åの範囲内の平均膜厚で形成することが好ましい。また前記ストッパ層27を非磁性金属材料で形成することが好ましい。例えば、図4の次工程で、前記上部磁性層28の両側端面33,33をパターン形成する際に使用されるエッチングを、反応性イオンエッチング(RIE)とした場合、前記ストッパ層27を、Cr、Ir、Ru、Rh、Pd、Agのうち少なくともいずれか1種で形成することが好適である。また前記上部磁性層28の両側端面33,33をパターン形成する際に使用されるエッチングをイオンミリングとした場合、前記ストッパ層27を、Ta、Mo、W、Tiのうち少なくともいずれか1種で形成することが好適である。
例えば前記ストッパ層27をCrで形成する。
図5の工程では、前記保護層29の上に前記上部磁性層28の両側端面33,33をパターン形成するためのレジスト層50を形成する。まず前記保護層29上の全面にレジスト層を塗布した後、露光現像により図5に示す形状のレジスト層50を前記保護層29上に残す。
そして、反応性イオンエッチング(RIE)により、前記レジスト層50に覆われていない前記保護層29及び上部磁性層28を除去する。このときCrで形成されたストッパ層27のエッチング速度は、前記上部磁性層28や下部磁性層26のエッチング速度に比べて遅い。よって前記ストッパ層27が前記上部磁性層28のトラック幅方向(図示X方向)の両側に露出した直後に、RIEを終了することで、前記上部磁性層28の両側に少なくとも一部、前記下部磁性層26を残した状態で、適切且つ容易にRIEを終了することができる。
図5に示すように、前記上部磁性層28及び保護層29の両側端面33,33は下側から上方に向うにしたがって徐々にトラック幅方向への幅寸法が広がる傾斜面で形成される。前記上部磁性層28の上面での幅寸法がトラック幅Twであり、本実施形態では、前記トラック幅Twを40〜80nm程度の狭トラックで形成できる。
図5に示すように、前記上部磁性層28のトラック幅方向の両側にストッパ層27を少なくとも一部残すことが好ましい。
図5の工程終了後、前記レジスト層50を除去する。
次に、図6に示す工程では、前記ストッパ層27上から前記上部磁性層28及び保護層29の両側端面33上、さらに前記保護層29の上面にかけてレジスト層51を形成する。前記レジスト層51は、露光現像により図6に示す形状にパターン形成されている。前記レジスト層51のトラック幅方向(図示X方向)における下面の幅寸法T4は、図5に示すレジスト層50の下面の幅寸法T5より大きい。
そして前記レジスト層51に覆われていない下地層21からストッパ層27までの積層部分の両側端部を、例えばイオンミリングで除去する(図6に示す点線部分が除去される)。RIEで除去してもよいが、この実施形態では、ストッパ層27にRIEでのエッチング速度が遅いCrを使用しているので、エッチング作業を効果的に迅速に行うためにイオンミリングを使用している。
また図6に示す工程では、イオンミリングによって、下部シールド層20の一部も除去している。
図6に示すように、前記下地層21からストッパ層27のトラック幅方向の両側端面32は、下方から上方に向かうにしたがって徐々にトラック幅方向への幅寸法が小さくなる傾斜面で形成される。
上部磁性層28及び保護層29の幅の狭い両側端面33をパターン形成する図5の工程と、前記下地層21からストッパ層27までの前記両側端面33より幅の広い両側端面32をパターン形成する図6の工程により、前記下部磁性層26と上部磁性層28からなる第1の磁性層31には、膜厚が薄い両側端部31bと、前記両側端部31bから段差Aを介して、前記両側端部31bよりも膜厚が厚い中央部31aとが形成される。
次に図7工程では、前記下部シールド層20上から両側端面32上、段差A上、両側端面33上及び保護層29上にかけて絶縁層40をスパッタ法等で形成し、さらに前記絶縁層40上にハードバイアス層41をスパッタ法等で形成する。また図7に示す工程では前記ハードバイアス層41上にストッパ層53をスパッタ法等で形成している。例えば、前記ストッパ層53は、前記ハードバイアス層41よりミリング速度が遅いTa等材質で形成される。前記ハードバイアス層41を着磁することで前記第1の磁性層31にバイアス磁界が印加され、前記第1の磁性層31の中央部31aはトラック幅方向に単磁区化される。前記中央部31aは、外部磁界に対して磁化変動して所定以上の再生出力、具体的には最大再生出力の50%の出力を得るためのフリー磁性層として機能する。
本実施形態では、磁場中熱処理を施す。磁場中熱処理は、図4工程以降であればどの工程でも行うことが可能であるが、特に、図5工程の上部磁性層28の両側端面33をパターン形成した後が好ましい。前記磁場中熱処理を施すことで、前記反強磁性層23と固定磁性層24との間で交換結合磁界(Hex)が生じ、前記固定磁性層24の磁化が例えばハイト方向(図示Y方向)に固定される。また、前記第1の磁性層31の両側端部31bでは、絶縁障壁層25やストッパ層27の元素が前記両側端部31b内のほぼ全域にわたって拡散し、前記両側端部31bの磁気的性質は弱まっていると考えられる。例えば、前記両側端部31bでのキュリー点は中央部31aに比べて低下している。そして、前記磁場中熱処理での熱処理温度が前記両側端部31bのキュリー点を超えると、前記両側端部31bは常磁性となり、前記両側端部31bは実質的にフリー磁性層として機能せず不感領域となる。
そして図8に示す工程では、B−B線の位置まで、例えばCMPで削りこむ。この実施形態では、例えば、前記CMPによる削り込みの終了時点を、前記ストッパ層53の残り膜厚を基準にして制御することが可能である。
これによりハードバイアス層41の上面、保護層29の上面、及び前記ハードバイアス層41と前記保護層29との間に位置する絶縁層40の上面とが同一平面で露出する。このとき前記ストッパ層53が一部残されて、前記ストッパ層53の上面も同一平面で露出してもよい。
そして、前記ハードバイアス層41上、保護層29上、及び絶縁層40上に、非磁性金属層42上を形成し、さらに前記非磁性金属層42上に上部シールド層43を形成する。
図3に示すトンネル型磁気抵抗効果素子を製造する場合は、まず図4に示す工程で、単層の第1の磁性層34を前記絶縁障壁層25上の全面に形成する。
続いて、図5に示す工程と同様に前記保護層29上にレジスト層50を形成し、図9に示すように、前記レジスト層50に覆われていない前記保護層29の両側端部と、前記第1の磁性層34の両側端部34bの一部をエッチングする。
このとき、例えばSIMS(二次イオン質量分析計)を用いて、削り深さを測定しながらエッチングすることで、前記第1の磁性層34の両側端部34bを全て除去せず適切且つ容易に一部残すことが可能である。
その後、図6ないし図8と同じ工程を行う。
上記した製造方法によれば、絶縁障壁層25のトラック幅方向への最大幅寸法T1を、第1の磁性層のトラック幅方向への最大幅寸法T2以上に形成でき、且つ、第1の磁性層31を薄い膜厚の両側端部31bと、前記両側端部31bから段差Aを介して前記両側端部31bより厚い膜厚でフリー磁性層として機能して機能する中央部31aとで構成することが出来る。よって、従来に比べて、低抵抗で且つ狭トラックのトンネル型磁気抵抗効果素子30を適切且つ容易に製造できる。
図5の工程で、上部磁性層28及び保護層29の幅の狭い両側端面33をパターン形成し、次に、図6の工程で、前記下地層21からストッパ層27までの前記両側端面33より幅の広い両側端面32をパターン形成することで、第1の磁性層31には、膜厚が薄い両側端部31bと、前記両側端部31bから段差Aを介して、前記両側端部31bよりも膜厚が厚い中央部31aを簡単且つ適切に形成できる。
図4ないし図8に示すトンネル型磁気抵抗効果素子30の製造方法では、ストッパ層27を設けることで、適切且つ容易に第1の磁性層31の両側端部31bを絶縁障壁層25上に薄い膜厚で残すことが出来る。
前記ストッパ層27の平均膜厚を1.0〜3.0Åとすることが好ましく、これにより、前記上部磁性層28と下部磁性層26との磁気的接合を強くでき、且つ、ストッパとして適切に機能させることが可能となる。
またストッパ層27をTaやCr等の非磁性金属材料で形成することが上部磁性層28とのエッチング速度差を調整しやすく好適である。
また、図5及び図6に示すように、前記第1の磁性層31の両側端部31b上に前記ストッパ層27を残すことが好ましい。これにより前記両側端部31bを確実に残すことが出来、その下の各層をエッチングから保護できる。また本実施形態では、下部磁性層26を5Å以上で10Å以下の膜厚で形成することが好ましい。これにより前記両側端部31b上にストッパ層27を残し、前記両側端部31bを全く削らなくても、前記両側端部31bを構成する下部磁性層26の膜厚は10Å以下なので、前記両側端部31bはフリー磁性層として実質的に機能しない。
また図9に示す工程では、前記両側端部31bを、5Å以上で10Å以下の平均膜厚になるまでエッチングする。これにより第1の磁性層31の中央部31aはフリー磁性層として機能し、前記両側端部31bは実質的にフリー磁性層として機能しないトンネル型磁気抵抗効果素子を適切且つ容易に製造することが可能である。
また固定磁性層自体の一軸異方性によって固定磁性層24の磁化が固定される、いわゆる自己固定式を用いる場合、反強磁性層23が無くてもよいが、確実に前記固定磁性層24の磁化固定を行うには前記反強磁性層23を用い、磁場中熱処理を施して、前記反強磁性層23と固定磁性層24との間で交換結合磁界(Hex)を生じさせることが好ましい。
第1実施形態のトンネル型磁気抵抗効果素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面と平行な面から切断して示す部分断面図、 図1の一部分を拡大した部分拡大断面図、 第2実施形態のトンネル型磁気抵抗効果素子の構造を記録媒体との対向面と平行な面から切断して示す部分断面図、 図1に示すトンネル型磁気抵抗効果素子を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す工程図であり、記録媒体との対向面と平行な面から切断して示す部分断面図、 図4の次に行なわれる工程図であり、記録媒体との対向面と平行な面から切断して示す部分断面図、 図5の次に行なわれる工程図であり、記録媒体との対向面と平行な面から切断して示す部分断面図、 図6の次に行なわれる工程図であり、記録媒体との対向面と平行な面から切断して示す部分断面図、 図7の次に行なわれる工程図であり、記録媒体との対向面と平行な面から切断して示す部分断面図、 図3に示すトンネル型磁気抵抗効果素子を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す工程図であり、記録媒体との対向面と平行な面から切断して示す部分断面図、
符号の説明
20 下部シールド層
23 反強磁性層
24 固定磁性層
25 絶縁障壁層
26 下部磁性層
27 ストッパ層
28 上部磁性層
29 保護層
30 トンネル型磁気抵抗効果素子
31、34 第1の磁性層
31a、34a (第1の磁性層の)中央部
31b、34b (第1の磁性層の)両側端部
32、33 両側端面
40 絶縁層
41 ハードバイアス層
42 非磁性金属層
43 上部シールド層
50、51 レジスト層
A 段差

Claims (13)

  1. 下から磁化方向が固定される固定磁性層、絶縁障壁層、及び、第1の磁性層の順に積層された部分を有し、
    前記絶縁障壁層のトラック幅方向への最大幅寸法は、前記第1の磁性層のトラック幅方向への最大幅寸法以上であり、
    前記第1の磁性層は、トラック幅方向の両側に位置する両側端部と、前記両側端部から段差を介して、前記両側端部よりも厚い膜厚で形成されたトラック幅方向の中央に位置する中央部とを有して構成され、
    前記第1の磁性層のうち前記中央部が、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層として機能していることを特徴とするトンネル型磁気抵抗効果素子。
  2. 前記第1の磁性層は、前記絶縁障壁層上に形成される下部磁性層と、前記下部磁性層上のトラック幅方向の中央に位置する上部磁性層とで構成され、
    少なくとも前記下部磁性層と前記上部磁性層間には、前記上部磁性層の形状を画定する際のエッチング速度が前記上部磁性層及び前記下部磁性層のエッチング速度より遅いストッパ層が設けられ、
    前記上部磁性層と、前記上部磁性層と対向した位置にある下部磁性層とで前記中央部が構成され、前記上部磁性層のトラック幅方向の両側に位置する前記下部磁性層により前記両側端部が構成されており、
    前記中央部の前記上部磁性層と前記下部磁性層とは磁気的に結合されて、前記フリー磁性層として機能している請求項1記載のトンネル型磁気抵抗効果素子。
  3. 前記ストッパ層の平均膜厚は、1.0〜3.0Åの範囲内である請求項2記載のトンネル型磁気抵抗効果素子。
  4. 前記ストッパ層は非磁性金属材料で形成される請求項2又は3に記載のトンネル型磁気抵抗効果素子。
  5. 前記ストッパ層は、前記両側端部上にまで延出して形成されている請求項2ないし4のいずれかに記載のトンネル型磁気抵抗効果素子。
  6. 前記第1の磁性層の両側端部の平均膜厚は5Å以上で10Å以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のトンネル型磁気抵抗効果素子。
  7. 以下の工程を有することを特徴とするトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
    (a) 下から磁化方向が固定される固定磁性層、絶縁障壁層及び第1の磁性層の順に積層する工程、
    (b) 前記第1の磁性層のトラック幅方向の両側端部を途中まで削り、前記第1の磁性層を、膜厚の薄い前記両側端部と、前記両側端部から段差を介して、前記両側端部よりも膜厚が厚いトラック幅方向の中央に位置する中央部とで構成する工程、
    (c) 前記第1の磁性層の両側端部から中央部にかけて前記段差が残るように、前記固定磁性層、前記絶縁障壁層及び、前記第1の磁性層の両側端部の各両側端面をパターン加工し、このとき、前記絶縁障壁層のトラック幅方向への最大幅寸法を、前記第1の磁性層のトラック幅方向への最大幅寸法以上に形成する工程、
    (d) 前記第1の磁性層に対しバイアス磁界を印加して、前記第1の磁性層の中央部を、外部磁界に対して磁化変動するフリー磁性層として機能させる工程。
  8. 前記(b)工程で、前記第1の磁性層の両側端部を5Å以上で10Å以下の平均膜厚となるまで削る請求項7記載のトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
  9. 前記(a)工程で、前記絶縁障壁層上に、下から下部磁性層、ストッパ層及び上部磁性層の順に積層し、前記下部磁性層と、前記上部磁性層とで前記第1の磁性層を構成し、前記ストッパ層を、前記(b)工程でのエッチングに対する前記上部磁性層及び下部磁性層のエッチング速度より遅いエッチング速度の材質で形成し、
    前記(b)工程では、前記上部磁性層の両側端部をエッチングで除去して、前記ストッパ層の露出後、少なくとも前記下部磁性層の両側端部の一部を残して前記エッチングを停止し、これにより、前記第1の磁性層は、前記上部磁性層と、前記上部磁性層と対向した位置にある下部磁性層とで前記中央部が構成され、前記上部磁性層のトラック幅方向の両側に位置する前記下部磁性層により前記両側端部が構成され、
    前記中央部では、前記上部磁性層と前記下部磁性層とが磁気的に結合されており、前記(d)工程では、前記中央部に位置する前記上部磁性層及び前記下部磁性層を、前記フリー磁性層として機能させる請求項7又は8に記載のトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. 前記ストッパ層を、1.0〜3.0Åの平均膜厚で形成する請求項9記載のトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
  11. 前記ストッパ層を非磁性金属材料で形成する請求項9又は10に記載のトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
  12. 前記(b)工程で、前記下部磁性層の両側端部上に前記ストッパ層が残るように、エッチングを停止する請求項9ないし11のいずれかに記載のトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
  13. 前記(a)工程で、前記下部磁性層を、5Å以上で10Å以下の平均膜厚で形成する請求項9ないし12のいずれかに記載のトンネル型磁気抵抗効果素子の製造方法。
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