JP2008215259A - 可変ノズル式ターボチャージャ - Google Patents
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Abstract
【課題】可変ノズル式ターボチャージャの可変ノズル機構の複数の可変ノズルベーンの内、1つまたはいくつかの動きが妨げられるようになっても、その他の可変ノズルベーンの動きを許容する。
【解決手段】タービン46の排気入口部に配設された複数の可変ノズルベーン72の角度を変えるべく、駆動手段78からの動力を前記複数の可変ノズルベーン72に伝達するように構成された連動機構を備えた可変ノズル式ターボチャージャにおいて、前記連動機構の内、前記複数の可変ノズルベーン72の各々に対応する構成部材の少なくとも一部は、弾性変形可能な材料で作られている。例えば、前記構成部材は、アーム部材82、82Aである。
【選択図】図4
【解決手段】タービン46の排気入口部に配設された複数の可変ノズルベーン72の角度を変えるべく、駆動手段78からの動力を前記複数の可変ノズルベーン72に伝達するように構成された連動機構を備えた可変ノズル式ターボチャージャにおいて、前記連動機構の内、前記複数の可変ノズルベーン72の各々に対応する構成部材の少なくとも一部は、弾性変形可能な材料で作られている。例えば、前記構成部材は、アーム部材82、82Aである。
【選択図】図4
Description
本発明は、タービンの排気入口部に配設された複数の可変ノズルベーンの角度を変えて、タービンに流入する排気ガスの流速や圧力を調節可能な可変ノズル式ターボチャージャに関する。
エンジン(内燃機関)に対して排気エネルギーを利用して吸入空気の過給を行うターボチャージャは知られている。そのようなターボチャージャは、排気ガスにより回転されるタービンホイールを含むタービンと、このタービンホイールの回転に連動して回転するコンプレッサホイールを含むコンプレッサとを有している。
また、タービンの排気入口部に設けた複数の可変ノズルベーンの開度を変えることで排気ガスの流速や圧力を制御してタービン効率を向上させるようにした可変ノズル式ターボチャージャも知られている。可変ノズル式ターボチャージャは、ターボチャージャの上記の如き構成に加えてさらに可変ノズル機構を有する。可変ノズル機構は、タービンの排気入口部に配置された複数の可変ノズルベーンと、これら複数の可変ノズルベーンの各々をノズルシャフトを介して動かすことができるように保持する単一のノズルプレートと、それら複数のノズルシャフトを回転させるべく各ノズルシャフトの端部にそれぞれ固定されたノズルアームを動かす単一の駆動リングとを有する。駆動リングが回転されると、駆動リングと係合しているノズルアームがノズルシャフトを中心にして動かされる。これに伴って各ノズルアームに対応するノズルシャフトが回動され、複数の可変ノズルベーンの各々の開度が同じように変わる。駆動リングは、外部の動力源(例えばモータ)からの動力を受けて回転される。
図12を用いて具体的に説明する。図12(a)は一例としての可変ノズル機構を駆動リングA1側からみた図であり、図12(b)は駆動リングA1側とは異なる方向であるノズルプレートA2側からその可変ノズル機構をみた図である。図12に示されるように、動力源からの動力を受けて矢印B1に示すように駆動アームA3が動かされると、駆動リングA1は矢印B2、B3に示すように(図12(a)では反時計回り、図12(b)では時計回りに)回転する。そして、この駆動リングA1の回転によって、複数のノズルアームA4の各々が動かされ、対応するノズルアームA4を介して各ノズルシャフトA5が矢印B4、B5に示すように(図12(a)では反時計回り、図12(b)では時計回りに)回転される。この結果、複数の可変ノズルベーンA6は「閉」の向きに制御される。なお、駆動リングA1が逆向きに回転されると、複数の可変ノズルベーンA6は「開」の向きに制御される。
上記の如き可変ノズル機構には種々のものがあり、それ故に可変ノズル式ターボチャージャには種々のものがある。例えば、可変ノズルベーンの開度の自由な変動を防止すると共に、可変ノズルベーンの作動遅れを防止するように創案された可変ノズル式ターボチャージャが、特許文献1に開示されている。この可変ノズル式ターボチャージャでは、駆動リングに突設されたピンと、このピンに係合し駆動リングを回動させることにより複数の可変ノズルベーンの角度を変更する駆動アームとの間に弾性部材を設け、そのピンを駆動アームに付勢するようにしている。
上記の如き従来の可変ノズル式ターボチャージャは、単一の駆動リングの回動に連動して、複数の可変ノズルベーンの角度を同じように変更可能なように構成された可変ノズル機構を備えている。そして、そのように同じように角度が変えられる複数の可変ノズルベーンは、排気通路の内、ターボチャージャのタービンハウジングにより区画形成されたところに配置されている。
ところで、ターボチャージャのタービンハウジングに導かれる排気ガスは、高温であり、且つ、粒子状物質(PM)などの燃焼生成物を含むことがある。それ故、その排気ガスの熱により、上記の如き可変ノズル機構を構成する部材に熱ひずみ等が生じることがあり、複数の可変ノズルベーンの内の1つあるいはいくつかの良好な動きが阻害されることがある。あるいは、燃焼生成物が可変ノズルベーンやその軸を定めるノズルシャフトに付着して、そこにデポジットが形成されるようになると、複数の可変ノズルベーンの内の1つあるいはいくつかの円滑な動きが妨げられるようになる場合がある。このようにして複数の可変ノズルベーンの内の1つまたはいくつかの動きが妨げられるようになると、上記の如き構成の可変ノズル式ターボチャージャでは、全ての可変ノズルベーンの作動が妨げられるようになる。これでは、ターボチャージャに入力される排気ガスの流速や圧力を適切に調整することができなくなってしまい、最適な過給制御が不可能になる。
そこで、本発明はこのような課題に鑑みて創案されたものであり、その目的は、複数の可変ノズルベーンの内、1つまたはいくつかの動きが妨げられるようになっても、その他の可変ノズルベーンの動きを許容することにある。
上記目的を達成するために、本発明の可変ノズル式ターボチャージャは、タービンの排気入口部に配設された複数の可変ノズルベーンの角度を変えるべく、駆動手段からの動力を前記複数の可変ノズルベーンに伝達するように構成された連動機構を備えた可変ノズル式ターボチャージャにおいて、前記連動機構の内、前記複数の可変ノズルベーンの各々に対応する構成部材の少なくとも一部は、弾性変形可能な材料で作られていることを特徴とする。
上記構成によれば、前記連動機構の内、前記複数の可変ノズルベーンの各々に対応する構成部材の少なくとも一部は、弾性変形可能な材料で作られているので、複数の可変ノズルベーンの内、1つまたはいくつかの動きが妨げられるようになっても、その他のノズルの動きが許容される。
前記構成部材は、前記駆動手段からの動力を前記可変ノズルベーンの回転軸を定める軸部材に伝達するように、該軸部材に取り付けられたアーム部材であると良い。こうすることで、動きが妨げられた可変ノズルベーンに対応するアーム部材は適宜、弾性変形することになる。したがって、他の可変ノズルベーンを適切に動かすことが可能になる。
あるいは、前記構成部材は、前記可変ノズルベーンの回転軸を定める軸部材であると良い。こうすることで、動きが妨げられた可変ノズルベーンに対応する軸部材は適宜、弾性変形することになる。したがって、他の可変ノズルベーンを適切に動かすことが可能になる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、第1実施形態について説明する。図1は、本第1実施形態の可変ノズル式ターボチャージャが適用された車両のエンジンシステムの概念図である。エンジン10はディーゼルエンジンであり、これは複数気筒、ここでは4気筒#1,#2,#3,#4からなる。各気筒#1〜#4の燃焼室12は吸気マニホールド14を介してサージタンク16に連結されている。そしてサージタンク16は吸気管18を介して、インタークーラ20および可変ノズル式ターボチャージャ(VNT)22のコンプレッサ24の出口側に連結されている。コンプレッサハウジング25で外殻が定められ、その中にコンプレッサホイール26を収容しているコンプレッサ24の入口側はエアクリーナ28に連結されている。上記吸気マニホールド14、サージタンク16、吸気管18、コンプレッサ24などにより、吸気通路IPが区画形成されている。
まず、第1実施形態について説明する。図1は、本第1実施形態の可変ノズル式ターボチャージャが適用された車両のエンジンシステムの概念図である。エンジン10はディーゼルエンジンであり、これは複数気筒、ここでは4気筒#1,#2,#3,#4からなる。各気筒#1〜#4の燃焼室12は吸気マニホールド14を介してサージタンク16に連結されている。そしてサージタンク16は吸気管18を介して、インタークーラ20および可変ノズル式ターボチャージャ(VNT)22のコンプレッサ24の出口側に連結されている。コンプレッサハウジング25で外殻が定められ、その中にコンプレッサホイール26を収容しているコンプレッサ24の入口側はエアクリーナ28に連結されている。上記吸気マニホールド14、サージタンク16、吸気管18、コンプレッサ24などにより、吸気通路IPが区画形成されている。
また、上記各気筒#1〜#4に配置されて、各燃焼室12内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁29は、燃料供給管を介してコモンレールに連結されている。このコモンレール内へは電気制御式の吐出量可変燃料ポンプから燃料が供給され、吐出量可変燃料ポンプからコモンレール内に供給された高圧燃料は各燃料供給管を介して各燃料噴射弁29に分配供給される。
なお、吸気管18のうち上記サージタンク16とインタークーラ20との間には、アクチュエータ30によって駆動されるスロットルバルブ32が設けられている。このスロットルバルブ32の近傍には同スロットルバルブ32の開度を検出するためのスロットル開度センサ34が設けられている。また、吸気管18のうち吸気マニホールド14とサージタンク16との間には、同吸気管18内の圧力を検出するための吸気圧センサ36が設けられている。更に、吸気管18のうちコンプッサ24の上流側であって且つエアクリーナ28の下流側には吸入空気量を検出するためのエアフローメータ38が設けられている。
また、上記各気筒#1〜#4の燃焼室12は排気マニホールド42および排気管44を介して可変ノズル式ターボチャージャ22のタービン46の入口側に連結されている。タービンハウジング47で外殻が定められ、その中にタービンホイール48を収容しているタービン46の出口側には、排気ガスを浄化する排気ガス浄化フィルタ50が設けられている。上記排気マニホールド42、排気管44、タービン46、排気ガス浄化フィルタ50などで、排気通路EPが区画形成されている。
一方、上記排気管44とサージタンク16との間には、EGR通路54を区画形成するEGR管56が設けられている。そして、EGR管56の途中には、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ58や、EGR弁60が配置されている。このEGR弁60の開度調節により排気側から吸気側へのEGRガス供給量の調節が可能となる。
本第1実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ22について、更に説明する。図2に可変ノズル式ターボチャージャ22の概念的断面図を示す。可変ノズル式ターボチャージャ22は、排気通路EPを流れる排気ガスによって回転する上記タービンホイール48と、吸気通路IPに配置され、かつロータシャフト62を介してタービンホイール48に一体回転可能に連結された上記コンプレッサホイール26とを備えている。可変ノズル式ターボチャージャ22では、タービンホイール48に排気ガスが吹付けられて同タービンホイール48が回転する。この回転は、センターハウジング64内に回転可能に軸支されたロータシャフト62を介してコンプレッサホイール26に伝達される。その結果、エンジン10では、ピストンの移動にともなって燃焼室12内に発生する負圧によって空気が燃焼室12に送り込まれるだけでなく、その空気が可変ノズル式ターボチャージャ22のコンプレッサホイール26の回転によって強制的に燃焼室12に送り込まれる(過給される)。このようにして、燃焼室12への空気の充填効率が高められる。
また、可変ノズル式ターボチャージャ22では、タービンホイール48の外周を囲うように、タービン46のタービンハウジング47によりタービンホイール48の回転方向に沿って排気ガス流路となる排気通路EPの一部が形成されている。このため、排気ガスはその排気ガス流路を通過し、タービンホイール48の軸線に向かって吹付けられる。その排気ガス流路には、可変ノズル機構70の内の複数の可変ノズルベーン72が設けられている。
可変ノズル機構70は、上記排気ガス流路の内、タービン46の排気入口部に、すなわちタービンホイール48における排気ガスの入口側の周縁近傍に複数の可変ノズルベーン72を備える。複数の可変ノズルベーン72を開閉動作させることで、排気ガス流路の排気ガスの流路断面積を変更できる。こうしてタービンホイール48に吹付けられる排気ガスの流速(すなわち流量)および圧力を可変にできる。このように排気ガスの流速や圧力を可変とすることで、タービンホイール48の回転速度が調整され、ひいては燃焼室12に強制的に送り込まれる空気の量が調整される。すなわち、過給圧が調節される。なお、タービン46の排気入口部とは、さらに換言すると、スクロール室S1の内周部であって、タービンホイール室S2の外周部である。
可変ノズル機構70は、タービンハウジング47内に取り付けられた円環状のノズルベーンプレート74を備えている。このノズルベーンプレート74には、複数の可変ノズルベーン72が、ノズルベーンプレート74の中心軸を中心にして同一円周上に等角度間隔で設けられている。そして、これらの複数の可変ノズルベーン72の各々は、ノズルベーンプレート74の厚さ方向に形成された孔74aに挿通される、軸部材であるノズルシャフト76によって回転可能に軸支されている。したがって、各ノズルシャフト76は、対応する可変ノズルベーン72の回転軸を定める。
また、ノズルベーンプレート74における可変ノズルベーン72が配設される面の裏面には、駆動リング78が配設されている。この駆動リング78の内周側には、可変ノズルベーン72と同数の係合凹部80が形成されている。これら係合凹部80は、各可変ノズルベーン72を軸支するノズルシャフト76に対応するように等角度間隔に形成されている。また、駆動リング78の内周側、すなわちノズルベーンプレート74の上記裏面側には、可変ノズルベーン72と同数の、アーム部材であるノズルアーム82が配設されている。ノズルアーム82の一端は、可変ノズルベーン72と一体回動可能に、ノズルベーンプレート74の孔74aに挿通されたノズルシャフト76の端部に取り付けられている。他方、ノズルアーム82の他端は、駆動リング78の係合凹部80に係合されている。
駆動リング78の内周側に形成された所定の2つの係合凹部80の間には、駆動用アーム84が係合される係合凹部86が形成されている。一端が駆動リング78の係合凹部86に係合された駆動用アーム84の他端には回動軸部材88が一体回動可能に連結されている。この回動軸部材88は、動力源としての電動モータ89からの動力を伝達するリンク90により動かされる。なお、電動モータ89とリンク90とは、モータロッド91を介して連結されている。
電動モータ89の動力がモータロッド91、リンク90、回動軸部材88、駆動用アーム84を介して駆動リング78に伝達されて、駆動リング78が所定の角度範囲で回動される。駆動リング78に伝達された動力を可変ノズルベーン72の各々に伝達するべく、駆動リング78に伝達された動力で、それに係合されたノズルアーム82、ノズルシャフト76も原則的には一体的に回動する。この結果、一体的に連動して動かされる複数のノズルシャフト76に連結された複数の可変ノズルベーン72が回動される。このようにして、複数の可変ノズルベーン72の開度(VN開度)が同じように変えられることで、排気流路EPの内、タービンハウジング47で区画形成されたところの開閉が行われ、その流路断面積が可変となる。
なお、本発明における駆動手段に、上記駆動リング78は含まれる。また、本発明における連動機構の構成部材に、ノズルシャフト76やノズルアーム82は含まれる。
各種演算処理などを行う電子制御ユニット(ECU)92は、CPU、ROM、RAM等を備えたディジタルコンピュータと、各装置を駆動するための駆動回路とを主体として構成されている。そしてECU92は、上記スロットル開度センサ34、吸気圧センサ36、エアフローメータ38をはじめ、エンジン10のクランク軸の回転速度を検出するための回転速度センサ94やアクセルペダルの開度を検出するためのアクセルセンサ96、可変ノズルベーン72の開度を検出するための開度センサ98等、様々なセンサの検出信号(出力信号)を読み込んでいる。また、ECU92は、電動モータ89の駆動電流値を記憶あるいは消去可能に読み込む。
そしてこれらの信号等から得られるエンジン10の運転状態(機関運転状態)に基づいて、ECU92は燃料噴射制御を実行し、更にEGR弁60の開度制御、スロットルバルブ32の開度制御、可変ノズル機構70の制御すなわち電動モータ89の制御等を実行する。例えば、EGR率がエンジン負荷(機関負荷)とエンジン回転速度(機関回転速度)とに基づいて設定される目標EGR率となるように、スロットル開度センサ34の信号から検出されるスロットル開度とEGR開度(EGR弁60の開度)とが調節されるEGR制御が行われる。更にエンジン負荷とエンジン回転速度とに基づいて設定される目標吸入空気量(ディーゼルエンジン10の1回転当たりの目標値)となるようにEGR開度が調節される吸入空気量フィードバック制御が行われる。さらに、常時モニターされている可変ノズルベーン72の開度がエンジン10の運転状態に応じた可変ノズル開度になるように、つまりそれに応じた目標過給圧が達成されるように、可変ノズル機構70の開度フィードバック制御が行われる。
ただし、可変ノズルベーン72の開度をある可変ノズル開度に変えるとき、電動モータ89から駆動リング78に伝達されるモータ駆動力(動力)は、基本的にはベースとして予め決められている駆動力にされる。なお、本明細書において、そのようなベースとして予め決められている駆動力を、所定の駆動力Fiと称する。
基本的には、上記開度フィードバック制御により、上記構成の可変ノズル式ターボチャージャ22の可変ノズル機構70の可変ノズルベーン72の各々は、同じように角度が変わるように回動される。これら可変ノズル機構70の内、複数の可変ノズルベーン72は、排気通路EPに配設されているので、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)などが複数の可変ノズルベーン72などに付着し得る。これに伴い、可変ノズルベーン72の周囲、ノズルベーンプレート74と可変ノズルベーン72との間の隙間、ノズルベーンプレート74とノズルシャフト76との間の隙間等にデポジットが生成するようになる。この結果、複数の可変ノズルベーン72の1つあるいはいくつかが例えばノズルベーンプレート74に固着する。このようにして固着した可変ノズルベーン72は適切に動くことが出来なくなる。
他方、排気ガスの熱により、ノズルベーンプレート74等に熱ひずみ等が生じる場合がある。概して、タービンホイール12へ至る排気ガスの圧力や流速を適切に調節するべく、タービンハウジング24や、ノズルベーンプレート74との間のクリアランスが極わずかにされた状態で複数の可変ノズルベーン72は配設されている。したがって、ノズルベーンプレート74にひずみ等が生じると、複数の可変ノズルベーン72の1つあるいはいくつかの動作は妨げられ得る。あるいは、排気ガスの熱により、1つあるいはいくつかのノズルシャフト76がノズルベーンプレート74に焼き付き、対応する可変ノズルベーン72の動きが妨げられる場合もあり得る。
上記したようにして複数の可変ノズルベーン72の1つあるいはいくつかの動きが妨げられるようになっても、他の可変ノズルベーン72の良好な動作を確保するように、本第1実施形態では、複数の可変ノズルベーン72と同数のノズルアーム82の全ては、弾性変形可能な材料で作られている。ただし、各ノズルアーム82は、対応する可変ノズルベーン72がスムーズに動くことができるときなど、所定の駆動力Fiで駆動リング78が動かされるときには、概ね弾性変形をしないだけの剛性を有する。
図3に、図2中左方よりみた可変ノズル機構70の一部の概念図を示す。図3には、駆動リング78が矢印C1で示す方向に所定の駆動力Fiで回動され、複数のノズルアーム82の全てがその駆動リング78により傾動され、可変ノズルベーン72の全てが排気ガスの流路を閉じるような開度に調節されているところが表されている。図2および図3から明らかなように、ノズルアーム82の各々は板状の部材である。ノズルアーム82は耐食性に優れ、上記した程度の剛性を有し、後述する程度に弾性変形可能な材料で構成される。より具体的には、ノズルアーム82は、ステンレス鋼製の板ばねから作製されている。このように板状のノズルアーム82は、ノズルシャフト76に形成されたスリット76aに嵌め込まれ、さらに接合されている。したがって、ノズルアーム82の一端はノズルシャフト76に固定されている。なお、ノズルアーム82とノズルシャフト76との接合は、接着剤を用いてなされているが、その他の接合手段、例えば溶接等によりなされても良い。
図3の状態で、複数の可変ノズルベーン72の内、1つの可変ノズルベーン72Aに固着等が生じてその動きが妨げられた場合について図4に基づいて説明する。図3に表したように可変ノズルベーン72が「閉」開度にあるとき、それらをある開度である「開」開度に動かす場合、駆動リング78は矢印C2で示す向きに(図4では反時計方向に)回動される。このとき、可変ノズルベーン72Aは固着等しているので、駆動リング78の回動に要するモータ駆動力として、上記所定の駆動力Fiを超える駆動力Fが求められる。ここで求められる駆動力Fは、所定の駆動力Fiと、固着等した可変ノズルベーン72Aに対応する1つのノズルアーム82Aを曲げるのに必要とされる力に対応する駆動力Faとの和である。このような駆動力Fで駆動リング78が回動されると、可変ノズルベーン72Aの動きは妨げられていてその開度は変わることが出来ないので、ノズルアーム82Aは折れ曲がるように撓む(曲がる)。他方、駆動リング78の回動により他の複数のノズルアーム82は変形せずに(曲がらずに)傾動され、これに伴って他の複数のノズルアーム82のそれぞれに対応する可変ノズルベーン72の開度は変わる。このようにして、固着等した可変ノズルベーン72A以外の他の複数の可変ノズルベーン72は、所定の開度に制御される。
図3に示した状態から図4に示した状態にまで複数の可変ノズルベーン72の開度を変えるように駆動リング78を回動させるのに、すなわち固着等していない可変ノズルベーン72をある開度にするべく固着等した可変ノズルベーン72Aに対応するノズルアーム82Aを曲げるのに、付加的な駆動力Faを必要とした。逆に、一旦曲がったノズルアーム82Aを伸ばす方向に駆動リング78を駆動するときには、例えば図4に示した状態から図3に示した状態にするときには、ノズルアーム82Aの伸びる力(ばね力)が駆動リング78をそのような方向に駆動させるべく作用する。したがって、この場合には、所定の駆動力Fiよりも小さな駆動力を駆動リング78に及ぼすことで、固着等していない可変ノズルベーン72の開度をある開度に変えることが可能になる。
このようにして、複数の可変ノズルベーン72の内の1つの可変ノズルベーン72Aが動かなくなってしまっても、他の複数の可変ノズルベーン72の開度を所定の開度に変えることができるので、概ね所望の過給圧が達成される。なお、複数の可変ノズルベーン72の内のいくつか、例えば2つあるいは3つが固着等した場合も同様である。
なお、図4に概念的に示したように、駆動リング78とノズルアーム82Aとの係合は、ノズルアーム82Aが曲がっても解除されないように、係合凹部80の係合構造は設計されている。図3や図4では、係合凹部80におけるノズルアーム82の遊びが大きく描かれているが、ある可変ノズル開度に対応した駆動リング78の回動量に基づき、可変ノズルベーン72の開度がそのある所定の可変ノズル開度に適切に位置合わせされるように、その遊び量は設定されている。
ところで、駆動リング78を動かすための駆動源である電動モータ89のモータ駆動電流は、電動モータ89に印加される電圧が一定であれば、電動モータ89から出力されるモータ駆動力に比例する。つまり、図5に概念的に示すように、モータ駆動電流が大きくなればなるほど、モータ駆動力が大きくなる。他方、図5に重ねて示したように、モータ駆動力が大きくなるほど、電動モータ89のモータ回転数が低下する。したがって、電動モータ89にかかる負荷が軽いと、モータ駆動電流は小さくてよく、モータ回転数は高くなる。他方、電動モータ89にかかる負荷が重くなると、モータ駆動電流値は大きくなり、モータ回転数は低くなる。ここでは、この関係に基づいて固着等により動きが妨げられている可変ノズルベーン72の個数を推定するように構成された固着推定手段が設けられている。
ECU92は、上述の如く、可変ノズルベーン72の開度を常時モニターしている。そして、ECU92は、その開度を運転状態に応じた可変ノズル開度になるように、可変ノズル機構70の開度フィードバック制御を行っている。この開度フィードバック制御に際して、ECU92は、所定時間間隔おきに、可変ノズルベーン72の開度と、それに対するモータ駆動電流値とを記憶する。そして、ECU92は、この記憶したモータ駆動電流値の変化率ΔIを用いて、予め実験により求めてROMに記憶しておいたデータを調べることで、固着等して動きが妨げられている可変ノズルベーン72の個数を推定する。そして、ECU92はその個数が、所定値、例えば3つになったときには、不図示の警告ランプを点灯させる。なお、警告ランプは、運転者あるいは車両整備者に見られる場所に設けられるのがよく、具体的には運転席のフロントパネルに設けられ得る。なお、警告ランプとして、固着等した可変ノズルベーン72の個数を表示する表示灯を設けるようにしても良い。
より具体的に図6に基づいて説明する。全ての可変ノズルベーン72の良好な動きが確保されているときには、上記した所定の駆動力Fiが電動モータ89により出力されることで、全ての可変ノズルベーン72の開度(VN開度)を第1開度θ1から第2開度θ2に変えることが出来る。なお、電動モータ89のモータ駆動電流値が駆動電流値Iiのとき所定の駆動力Fiが出力される。また、第1開度θ1および第2開度θ2はそれぞれ任意である。これに対して、複数の可変ノズルベーン72の内の1つだけが固着等した場合には、第1開度θ1から第2開度θ2にその他の可変ノズルベーン72の開度を変えるとき、それに要する駆動力は、所定の駆動力Fiからそれに付加的な駆動力Faがプラスされた駆動力F1まで上昇する。したがって、図6に点線αで示すように、電動モータ89のモータ駆動電流値も駆動電流値Iiからそれに付加的な駆動電流値Iaがプラスされた駆動電流値I1まで上昇する。同様に、複数の可変ノズルベーン72の内の2つだけが固着等した場合には、第1開度θ1から第2開度θ2にその他の可変ノズルベーン72の開度を変えるとき、それに要する駆動力は、所定の駆動力Fiからそれに付加的な駆動力F2a(Fa×2)がプラスされた駆動力まで上昇する。したがって、図6に細線βで示すように、電動モータ89のモータ駆動電流値も駆動電流値Iiからそれに付加的な駆動電流値I2a(Ia×2)がプラスされた駆動電流値I2まで上昇する。
それ故、可変ノズルベーン72の開度を第1開度θ1から第2開度θ2に変えるときの、モータ駆動電流値の変化率ΔIが「0」のときには、すなわちモータ駆動電流値が一定のときにはECU92はいずれの可変ノズルベーン72にも固着等が生じていないと判断することができる。他方、その変化率ΔIが「0」ではなく、すなわちモータ駆動電流値が変化するとき、例えば変化率ΔIがIa/(θ2−θ1)のときには、複数の可変ノズルベーン72の内の1つに固着等が生じたと判断できる。このようにして固着等して動かなくなった可変ノズルベーン72の個数が推定される。
そして、ECU92は、所定個数以上の可変ノズルベーン72に固着等が生じたと判断したときには、上記警告ランプを点灯させて警告をする。したがって、運転者や車両整備者等は、可変ノズル機構70の修理を行うか否かの判断を下すことが可能になる。つまり、可変ノズル機構70の動作不良を適切に見出すことが出来るようになるので、可変ノズル機構70の故障診断が可能になる。したがって、過給圧不足などのときなどに、早期にその原因を突き止めて、対策を講じることが可能になる。
なお、上記第1実施形態では、可変ノズルベーン72の固着等した個数を判断するのに、電動モータ89のモータ駆動電流値の変化率ΔIを用いたが、モータ回転数の変化率を用いても良い。図5に表したように、モータ駆動力とモータ回転数とは比例関係にあるからである。あるいは可変ノズルベーン72の固着等した個数を判断するのに、電動モータ89からのモータ駆動力の変化率を用いても良い。他方、上記した如く、固着等した可変ノズルベーン72Aに対応するノズルアーム82Aを曲げる方向に駆動リング78を回動させるときと、逆にノズルアーム82Aを伸ばす方向に駆動リング78を回動させるときとでは、駆動リング78の駆動に要する駆動力に差がある。それ故、駆動リング78の回動方向の違いにより生じるモータ駆動力、モータ駆動電流値、モータ回転数の差あるいはその変化率の差を用いて固着等した可変ノズルベーン72の個数を推定することができる。
次に、本発明の第2実施形態を図7および図8に基づいて説明する。第2実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ122は、上記第1実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ22と比較して、ある可変ノズルベーン72に固着等が生じたときであって、その他の可変ノズルベーン72の開度を変えるとき、固着等した可変ノズルベーン72に対応する弾性変形可能な材料で作製したノズルアーム182とノズルシャフト176との間の係合が解除可能なように、ノズルアーム182がノズルシャフト176を挟持する構成とした点で異なる。以下相違点について主に説明し、共通点については図中同一符号を付して説明を省略する。なお、本第2実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ122が適用された車両のエンジンシステムやその制御は概ね上記第1実施形態と同じであるので、この点についても省略する。
図7は、本第2実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ122の可変ノズル機構170の一部の概念的な拡大図である。なお、図7は、可変ノズル機構170を、ノズルベーンプレート74が後側に位置するように駆動リング78側からみた図である。
ノズルアーム182は、その一端が係合凹部80に係合し、その他端がノズルシャフト176に係合するように構成されている。ノズルアーム182は1枚の板状の部材から構成されていて、その中間部が折りたたまれてノズルアーム182の一端を形成していて、それが係合凹部80に係合する係合端部182aを形成する。他方、ノズルアーム182を構成する板状の部材の両端部182b、182cは、ノズルシャフト176の断面略角形の被挟持部176aを挟み、保持するように構成されている。ただし、ノズルアーム182を構成する板状の部材の両端部182b、182cは接合されず、被挟持部176aを挟んで対向するように位置付けられていて、挟持部182dを形成する。したがって、駆動リング78が矢印C3で示すように回動されることに伴って、ノズルアーム182が傾動されると、ノズルシャフト176もノズルアーム182の動きに連動して回動される。つまり、基本的には、ノズルシャフト176はノズルアーム182の動きに連動して一体的に回転可能である。このようにして、複数の可変ノズルベーン72は運転状態に応じた可変ノズル開度に制御される。
ここで、複数の可変ノズルベーン72の内の1つが上記第1実施形態で述べた理由により固着等した場合について説明する。このような場合に、その他の固着等していない可変ノズルベーン72の動きを許容するべく、可変ノズルベーン72の各々に対応するノズルアーム182は弾性変形可能な材料で作製されている。ノズルアーム182は、上記の如くノズルシャフト176を挟持しているが、それはノズルアーム182の弾性力によって達成されている。それ故、その弾性力を超える力をノズルアーム182に及ぼすことで、ノズルアーム182を構成する板状の部材の両端部182b、182cの対向距離を拡げることができる。
図8に示すように、駆動リング78が矢印C4の方向に回動され、そこに形成された係合凹部80が移動すると、その係合凹部80に係合されたノズルアーム182の係合端部182aに力が及ぼされる。このようにして、固着等されていない複数の可変ノズルベーン72の各々に対応するノズルアーム182の全ては傾動される。複数の可変ノズルベーン72の内、図8に示した可変ノズルベーン72Aは固着等により動くことができず、回動しない。それ故、固着等した可変ノズルベーン72Aに対応するノズルアーム182Aには、図8から明らかなように、ノズルアーム182Aを構成する板状の部材の両端部182b、182cの間の間隔が大きくなるような力が駆動リング78から及ぼされる。これにより、ノズルアーム182Aのそれら両端部182b、182cと、ノズルシャフト176の被挟持部176aとの係合が実質的に解除される。このようにして、固着等した可変ノズルベーン72Aとノズルアーム182Aとの係合が解除されるので、その他の可変ノズルベーン72の回動が可能になる。
なお、本第2実施形態でも、可変ノズルベーン72の固着等した個数を判断するのに、電動モータ89のモータ駆動電流値の変化率ΔI、モータ回転数の変化率、あるいはモータ駆動力の変化率が用いられ得る。あるいは、駆動リング178の回動方向の違いにより生じるモータ駆動力、モータ駆動電流値、モータ回転数の差あるいはその変化率の差を用いて固着等した可変ノズルベーン72の個数を推定することもできる。
次に、本発明の第3実施形態を図9および図10に基づいて説明する。第3実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ222は、上記第1および第2実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ22、122と比較して、ある可変ノズルベーン72に固着等が生じたときであって、その他の可変ノズルベーン72の開度を変えるとき、その固着等した可変ノズルベーン72に対応する弾性変形可能な材料で作製したノズルアーム282と駆動リング278との間の係合が解除されるような構成を有する点で異なる。以下、上記第1および第2実施形態との相違点について主に説明し、それらとの共通点については図中同一符号を付して説明を省略する。なお、本第3実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ222が適用された車両のエンジンシステムやその制御は概ね上記第1実施形態と同じであるので、この点についても省略する。
図9は、本第3実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ222の可変ノズル機構270の一部の概念的な拡大図である。なお、図9は、可変ノズル機構270を、ノズルベーンプレート74が後側に位置するように駆動リング278側からみた図である。
ノズルアーム282は、その一端が駆動リング278の係合凹部280に係合し、その他端がノズルシャフト76に取り付けられるように構成されている。ここでのノズルシャフト76は上記第1実施形態のノズルシャフト76と同じであり、ノズルアーム282とノズルシャフト76との係合構造も上記第1実施形態で述べたのと同じである。
駆動リング278の係合凹部280と係合するノズルアーム282の係合端部282aは、滑らかな斜面282bを有するように構成されている。係合端部282aは、その断面形状が略三角形状になるように形成されていて、これに対応して係合凹部280の凹形状もその断面が略三角形状になるように形成されている。なお、図9では明らかにしていないが、ノズルアーム282の係合端部282aと、駆動リング278の係合凹部280とは、互いに嵌まり合って係合することが可能な程度の厚みを有している。ノズルアーム282の係合端部282aを除いた他の部分、つまりアーム部分282cは、上記第1実施形態のノズルアーム82と同様に弾性変形可能な材料で作製されている。したがって、ある程度以上の力がノズルアーム282に及ぼされると、ノズルアーム282のアーム部分282cは弾性変形して曲がる。
なお、係合端部282aの断面形状は略三角形状である必要はなく、係合凹部280に係合端部282aが後述するように係合および係合解除(離脱)可能であれば他の如何なる形状でも良い。また、ここではアーム部分282cは板状物であるが、それはその断面直径が数mmであるような線状物であっても良い。
可変ノズル機構270の複数の可変ノズルベーン72の全てが良好に可動であるとき、駆動リング278が矢印C5で示すように回動されることに伴って、ノズルアーム282が一体的に傾動されると、ノズルシャフト76もノズルアーム282の動きに連動して回動される。このようにして、複数の可変ノズルベーン72は運転状態に応じた可変ノズル開度に制御される。
ここで、複数の可変ノズルベーン72の内の1つが上記第1実施形態で述べた理由により固着等した場合について説明する。図10に示すように、駆動リング278が矢印C6の方向に回動され、そこに形成された係合凹部280が移動すると、その係合凹部280に係合されたノズルアーム282の係合端部282aが動かされる。このようにして、固着等されていない複数の可変ノズルベーン72の各々に対応するノズルアーム282の全てが傾動される。複数の可変ノズルベーン72の内、図10に示した可変ノズルベーン72Aは固着等により動くことができず、回動しない。それ故、固着等した可変ノズルベーン72Aに対応するノズルアーム282Aには、図10から明らかなように、ノズルアーム282Aのアーム部分282cが曲がるような力が駆動リング278から及ぼされる。これにより、ノズルアーム282Aの係合端部282aと、駆動リング278の係合凹部280との係合が実質的に解除される。このようにして、固着等した可変ノズルベーン72Aと係合凹部280との係合が解除されるので、その他の可変ノズルベーン72の回動が可能になる。
図10に示された状態において、矢印C6とは逆方向に駆動リング278が回動されると、係合が解除されていたノズルアーム282Aの係合端部282aと駆動リング278の係合凹部280とが再係合される。さらに矢印C6とは逆方向に駆動リング278が回動されると、固着等した可変ノズルベーン72Aに対応するノズルアーム282Aの係合端部282aと駆動リング278の係合凹部280との係合が再び解除される。
なお、本第3実施形態の可変ノズル機構270のノズルアーム282Aの係合解除および係合に関連して、上記第1実施形態で述べた場合と同様に、電動モータ89の駆動電流値、モータ回転数、モータ駆動力は変化する。したがって、可変ノズルベーン72の固着等した個数を判断するのに、電動モータ89の駆動電流値の変化率ΔI、モータ回転数の変化率、あるいはモータ駆動力の変化率が用いられ得る。
次に、本発明の第4実施形態について図11に基づいて説明する。第4実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ322は、上記第1、第2、第3実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ22、122、222と比較して、ある可変ノズルベーン72に固着等が生じたときであって、その他の可変ノズルベーン72の開度を変えるとき、その固着等した可変ノズルベーン72を回転可能に軸支するノズルシャフト376の構成要素が弾性変形することによって、他の複数の可変ノズルベーン72の動きを許容するような構成を有する点で異なる。以下、上記第1から第3実施形態との相違点について主に説明し、それらとの共通点については図中同一符号を付して説明を省略する。なお、本第4実施形態の可変ノズル式ターボチャージャ322が適用された車両のエンジンシステムやその制御は概ね上記第1実施形態と同じであるので、この点についても省略する。
図11は、上記第1実施形態の説明に用いた図2の中の円γで囲った領域に相当する部分である、可変ノズル式ターボチャージャ322の可変ノズル機構370の一部の概念的な断面図である。なお、可変ノズル機構370のノズルシャフト376およびノズルアーム382は、上記第1実施形態の可変ノズル機構70のノズルシャフト76およびノズルアーム82と異なる。
ノズルアーム382は、駆動リング78から伝達される動力によっては弾性変形が生じない程度に剛性を有する材料から作製されている。ノズルアーム382は先に図12を用いて説明されたノズルアームA4の如き構成を有している。ノズルアーム382の一端は、駆動リング78の係合凹部80に係合し、その他端はノズルシャフト376に固着されている。
ノズルシャフト376は、ノズルアーム382に固着される芯部材376aと、この芯部材376aの周囲を囲むように円筒形状に形成された中空部材376bとからなる。芯部材376aは、弾性変形可能な材料で作られた、ある程度の剛性を有する線状の部材である。他方、中空部材376bは、駆動リング78から及ぼされる力では弾性変形しない程度の剛性を有する材料で作製されている。中空部材376bは、可変ノズルベーン72側で閉じるように構成され、可変ノズルベーン72に連結されている。芯部材376aの一端は上述の如くノズルアーム382に固着され、その他端は中空部材376bに固定されている。したがって、対応する可変ノズルベーン72に固着等が生じているノズルアーム382にある程度以上の力が及ぼされると、そのノズルアーム382につながったノズルシャフト376の芯部材376aは捩れるように弾性変形する。
可変ノズル機構370の複数の可変ノズルベーン72の全てが良好に可動であるとき、駆動リング78の回動に伴って、ノズルアーム382が傾動されると、ノズルシャフト376全体もノズルアーム382の動きに連動して回動される。このようにして、複数の可変ノズルベーン72は運転状態に応じた可変ノズル開度に制御される。
これに対して、複数の可変ノズルベーン72の内の例えば1つが固着等すると、駆動リング78が回動されてノズルアーム382が動かされることに伴って、その固着等した可変ノズルベーン72Aに対応するノズルシャフト376の芯部材376aに捩れるような力が及ぼされる。これにより、固着等した可変ノズルベーン72に対応するノズルシャフト376の芯部材376aが捩れて変形するので、その他の可変ノズルベーン72の回動が可能になる。
なお、本第4実施形態の可変ノズル機構370のノズルシャフト376の芯部材376aの弾性変形に関連して、上記第1実施形態で述べた場合と同様に、電動モータ89の駆動電流値、モータ回転数、モータ駆動力は変化する。したがって、可変ノズルベーン72の固着等した個数を判断するのに、電動モータ89の駆動電流値の変化率ΔI、モータ回転数の変化率、あるいはモータ駆動力の変化率が用いられ得る。あるいは、駆動リング78の回動方向の違いにより生じるモータ駆動力、モータ駆動電流値、モータ回転数の差あるいはその変化率の差を用いて固着等した可変ノズルベーン72の個数を推定することもできる。
以上、本発明を上記第1から第4実施形態に基づいて説明したが、それら以外の実施形態は許容される。上記各種の実施形態では、アーム部材であるノズルアーム82、182、282や、軸部材であるノズルシャフト376の全部あるいは一部を弾性変形可能な材料で作製したが、それらの一部のみあるいは全部がそのような弾性変形可能な材料で作製されても良い。また、上記実施形態では、駆動手段は駆動リングを含むとしたが、それを含まなくても良い。また、連動機構は駆動手段からの動力を複数の可変ノズルベーンの各々に伝達する機構を有するのであれば、上記の如きノズルアームやノズルシャフトを含まなくても良い。
なお、上記実施形態では、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。
22 可変ノズル式ターボチャージャ
72 可変ノズルベーン
76 ノズルシャフト(軸部材)
78 駆動リング
82 ノズルアーム(アーム部材)
72 可変ノズルベーン
76 ノズルシャフト(軸部材)
78 駆動リング
82 ノズルアーム(アーム部材)
Claims (3)
- タービンの排気入口部に配設された複数の可変ノズルベーンの角度を変えるべく、駆動手段からの動力を前記複数の可変ノズルベーンに伝達するように構成された連動機構を備えた可変ノズル式ターボチャージャにおいて、
前記連動機構の内、前記複数の可変ノズルベーンの各々に対応する構成部材の少なくとも一部は、弾性変形可能な材料で作られていることを特徴とする可変ノズル式ターボチャージャ。 - 前記構成部材は、前記駆動手段からの動力を前記可変ノズルベーンの回転軸を定める軸部材に伝達するように、該軸部材に取り付けられたアーム部材であることを特徴とする請求項1に記載の可変ノズル式ターボチャージャ。
- 前記構成部材は、前記可変ノズルベーンの回転軸を定める軸部材であることを特徴とする請求項1に記載の可変ノズル式ターボチャージャ。
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