JP2008214666A - ネジ部材およびその製造方法 - Google Patents

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進 新井
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Abstract

【課題】ネジ部材の基材表面に摩擦係数が小さく摺動特性に優れるカーボンナノ材料を含有する被覆層を形成した高性能、高品質のネジ部材を提供する。
【解決手段】ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材において、前記ネジ部材をカーボンナノ材料1と亜鉛成分2を含む電解浴中にて負電極として電解し、前記ネジ部材の基材Sの表面にカーボンナノ材料1と亜鉛成分2を含有する被覆層を析出させ、低摩擦性の複合被覆層3を形成したことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ネジの基材表面に、カーボンナノ材料を含有する低摩擦係数の被覆層を形成したネジ部材およびその製造方法に関する。
更に詳しくは、本発明は、ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材において、少なくともその摺動面にカーボンナノ材料を含有する低摩擦で、摺動特性に優れる被覆層を形成したネジ部材およびその製造方法に関する。
ネジ、ナット、ボルト、ワッシャに類する固定部材・締付部材(以下、単にネジ部材あるいはネジ部品ということもある。)は、例えば、高度の軸力管理が要求される自動車に使用されるネジ部品において、そのゆるみ(緩み)は、ただちにリコールにつながりかねない重要な不具合を発生させることが危惧されるため、厳しいゆるみ止め性能が要求されている。
従来、所定の基材上に固体潤滑性能あるいは高耐摩耗性能(摩擦低減機能)に優れるカーボンナノ材料の皮膜層を形成する技術は知られている。
例えば、溶射法が知られている。これは、基材上にカーボンナノ材料と金属、セラミック、樹脂から選ばれた少なくとも1種とを組合わせた複合粉末を電磁加速プラズマ溶射装置などを用いて溶射し、固体潤滑材とするものである(特許文献1参照)。
しかしながら、これは、ネジ、ナット、ボルト、ワッシャに類するネジ部材としての用途確立を意図したものではない。
また、樹脂や金属などの母材上にめっき技術によりカーボンナノ材料を含むめっき層を形成することも知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、これは、カーボンナノ材料の熱伝導性、電気伝導性、機械的特性を利用した電子部品、微小歯車、熱伝導体などの用途に関連するものであり、やはりネジ、ナット、ボルト、ワッシャに類するネジ部材としての用途確立を意図したものではない。
特開2005−029873 特開2004−156074
本発明は、ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材の製造分野において、めっき技術などによりネジ部材の基材表面に摩擦係数が小さく摺動特性に優れるカーボンナノ材料を含有する被覆層を形成した高性能、高品質のネジ部材およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係るネジ部材は、ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材において、前記ネジ部材の基材表面にカーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層を形成したことを特徴とする。
また、カーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層が、予め基材表面に金属めっき層を形成し、次いで前記金属めっき層の上にカーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する複層被覆層を形成するようにすると耐蝕性に優れるものとすることができる。
カーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層の表面を、亜鉛成分の腐食液(エッチング液)で処理したり、亜鉛成分を腐食(エッチング)及び不動態化する処理液で処理するようにしてもよい。
上記亜鉛成分の腐食液(エッチング液)に、酸性またはアルカリ性物質含有液を用いることができ、また、亜鉛成分の腐食(エッチング)及び不動態化する処理液に、クロメート液を用いることができる。
カーボンナノ材料に、フラーレン、カーボンナノファイバー(カーボンナノチューブなど)、カーボンブラック、黒鉛微分、これらの化学変性物またはフッ素化物から成る群から選ばれる少なくとも1種のものを用いることができる。
また本発明に係るネジ部材は、カーボンナノ材料と、該カーボンナノ材料の分散剤としてポリアクリルアミドが添加された亜鉛めっき液を用いて、ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材の基材表面に亜鉛めっき皮膜が形成されたネジ部材であって、亜鉛めっき皮膜中にカーボンナノ材料が混入していることを特徴とする。
また、カーボンナノ材料がカーボンナノファイバーであり、カーボンナノファイバーの一部が亜鉛めっき皮膜から露出していることを特徴とする。
また、亜鉛めっき皮膜上にクロメート皮膜が形成されていることを特徴とする。
また、カーボンナノファイバーの一部がクロメート皮膜から露出していることを特徴とする。
本発明に係るネジの製造方法は、カーボンナノ材料と、該カーボンナノ材料の分散剤としてポリアクリルアミドが添加された亜鉛めっき液を用いて、ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材の基材表面に亜鉛めっきを行い、基材表面に、カーボンナノ材料が混入している亜鉛めっき皮膜を形成することを特徴とする。
さらに、クロメート処理を行い、亜鉛めっき皮膜上にクロメート皮膜を形成するようにすると摺動特性をさらに向上でき、ネジ締結特性を一段と向上させることができる。
本発明により、ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材の基材表面上にカーボンナノ材料と亜鉛材料を複合化させた複合被覆層を形成することにより、摩擦係数が小さく摺動特性に優れる高品質、高機能のネジ摺動面を持った、高い荷重下での低摩擦特性、緩み防止性、高い軸力創出特性など、過酷な環境に耐える締結特性の優れたネジ部材が提供される。
また、本発明のネジ部材は、長期に亘り摩擦係数が小さく摺動特性に優れているため、昨今、特に、燃費や排気ガス規制などの観点からますますの高圧化が要求されている自動車エンジン配管系のネジ部品に適用されたとき、漏れに対する信頼性の高いネジ配管システムを実現することができる。
以下、本発明の技術的構成を詳しく説明する。
本発明のネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材において、その中核となる技術、即ち、ネジ部材の基材表面上にカーボンナノ材料と金属成分を複合化させてカーボンナノ材料を含有する摩擦係数が小さく摺動特性に優れる複合被覆層を形成する方法は、めっき法、溶射法などを採用できる。
以下では、めっき法によるカーボンナノ材料と亜鉛(Zn)成分を含有する複合被覆層の形成方法の概要を説明する。
図1は、めっき技術による基材(S)表面上にカーボンナノ材料(1)と亜鉛成分(2)が複合化した摩擦係数が小さく摺動特性に優れた複合めっき皮膜(3)を形成するための第1の形成方法(第1実施例)の模式図である。
図示されるように、カーボンナノ材料(1)とイオン化金属(Mn+:Zn2+)は、電解めっきにより基材(S)上に電着される。
なお、めっき方法としては、前記した電解めっきに限定されずに常法による無電解(化学)めっきであってもよい。
図示されるように、所望の金属材料(M)からなる電極(+)と所望の基材(S)からなる電極(−)のもとで、カーボンナノ材料(1)とイオン化金属(Mn+:Zn2+)を含むめっき液(L)に通電し、基材(S)上にカーボンナノ材料(1)と亜鉛成分(M)を共に電着させ、カーボンナノ材料(1)と亜鉛成分(2)を含有する複合めっき皮膜(3)を形成する。
本発明において、カーボンナノ材料としては、公知のものを使用することができる。例えば、フラーレン、カーボンナノファイバー、カーボンブラック、黒鉛微分、これらの化学変性物またはフッ素化物などを単独あるいは併用して使用することができる。これらの形状は、単層、複層ナノチューブ、カーボンナノホーン等のいかなる形態であってもよい。
本発明において、前記カーボンナノ材料の含有量は、ネジ部材の低摩擦特性や析出した金属成分の強度特性などを勘案して所望に設定すればよく、例えば0.5〜3重量%、好ましくは1重量%前後を含有させればよい。
図2(a)は、本発明のめっき技術による基材(S)表面上にカーボンナノ材料(1)と亜鉛成分(2)が複合化した摩擦係数の小さい摺動特性に優れた複合めっき被覆層(3)の第2の形成方法(第2実施例)の模式図である。
図2(a)に示すように、本発明においては、耐食性向上のために予め基材(S)上にニッケル等の防食機能を持った他の金属めっき層(4)を単層または複数層に形成した基材を用いて、これに前記のようにしてカーボンナノ材料(1)と亜鉛成分(2)が複合化した摩擦係数の小さい摺動特性と耐食性にも優れた複合めっき被覆層(3)を形成してもよい。
また、本発明においては、更に以下のような種々の変形例が可能である。
例えば、図2(b)にあるように、本発明の前記カーボンナノ材料(1)と亜鉛成分(2)を含有する低摩擦性の複合めっき被覆層(3)において、その低摩擦特性を更に向上させるために、前記複合めっき被覆層(3)の表面を希硝酸、希塩酸などの腐食液(エッチング液)で処理し、表面のカーボンナノ材料(1)の露出度を高めることは有効である。硝酸などによってその表面をエッチング処理することにより、露出する本数を増加させると共に、カーボンナノ材料(1)の表面に析出している亜鉛成分を溶解させて露出度を高めて、摩擦特性を大きく向上させることができる。
腐食液(エッチング液)としては、亜鉛成分の種類や複合めっき被覆層中の含有量などを勘案して選べばよく、例えば、酸性またはNaOHなどのアルカリ性物質を含有した腐食液(エッチング液)を採用すればよい。
また、腐食処理(エッチング処理)の条件も期待する摩擦特性との関連において所望に設定すればよい。
さらにまた、本発明の他の変形例として、図2(c)にあるように、本発明の前記カーボンナノ材料(1)と亜鉛成分(2)を含有する低摩擦性の複合めっき被覆層(3)において、前記した低摩擦特性の向上のみならず、耐食性、耐久性などを向上させるために、亜鉛成分(2)を腐食(エッチング)すると同時に亜鉛成分(2)の表面が不動態化する処理液で処理して不動態化皮膜(12)を形成させてこれらの特性の更なる向上を図ることも有効である。
例えば、クロメート液(酸性液)で処理することにより亜鉛(Zn)成分を腐食して、カーボン材料の露出度を向上させ、かつ、亜鉛成分を不動態化して不動態化皮膜(クロメート皮膜)(12)を形成させて耐久性、耐食性を共に向上させることができる。
なお、本発明において、前記腐食(エッチング)と不動態化処理を、別々の処理液を用いて遂次的に行ってもよい。
亜鉛めっき液は、カーボンナノ材料と、該カーボンナノ材料の分散剤としてポリアクリルアミドが添加された亜鉛めっき液を用いるのが好適である。
亜鉛めっき液の種類としては、酸性浴(塩化亜鉛、塩化アンモニウム系)が好適であるが、これに限定されず、いわゆるジンケート浴やシアン浴も用いることができる。
カーボンナノ材料の分散剤としてポリアクリルアミドが好適である。
ポリアクリルアミドは、カーボンナノ材料のめっき液中での分散剤としての機能を有するが、さらに、亜鉛めっき皮膜を被めっき物表面に膜状に析出させるという極めて重要な作用を有する。
因みに、発明者は、分散剤としてポリアクリル酸を試験したが、ポリアクリル酸は、亜鉛めっき液中でのカーボンナノ材料の分散性には優れるものの、やはり亜鉛めっき物が粒状に析出してしまい、膜状のめっき皮膜は得られなかった。
亜鉛めっき液に添加するポリアクリルアミドの量は、添加されるカーボンナノ材料の量にもよるが、概ね0.3g/l〜1.0 g/lの範囲が良好であり、特には0.5g/l〜0.9 g/lの範囲が好適であり、0.7g/l前後が最適であった。添加量がこれらの範囲で、平滑な亜鉛めっき皮膜が得られた。
ポリアクリルアミドの添加量が0.3g/lよりも少ない場合も、1.0 g/lより多い場合も、いずれも亜鉛めっき皮膜表面が荒れてくる傾向がでてしまう。
ポリアクリルアミドは、カルボキシル基で修飾されたポリアクリルアミドが好適であった。カルボキシル基で修飾されたポリアクリルアミドは、(CHCHCONH−(CHCHCOOH)で表されるが、カルボキシル基での修飾量は少ないものの方(low carboxyl content)が良く、分子量は200,000程度のものが良かった。カルボキシル基での修飾量の多いもの(high carboxyl content)はゲル状を呈し、めっき液への溶解性がよくない。
また、分散剤としてポリアクリルアミドを添加した亜鉛めっき液は、広い電流密度でのめっきを行える点で好適である。すなわち、0.5〜5.0A/dmの広い電流密度範囲で電解めっきを行うことができ、使用電流密度範囲の異なるバレルめっき、引っ掛けめっき等の種々のめっき方法にも対応できて好適である。
上記亜鉛めっき液を用いて被めっき物上に亜鉛めっきを行うと、被めっき物表面に、カーボンナノ材料の混入した膜状の好適な亜鉛めっき皮膜を形成できる(図3)。カーボンナノ材料に、アスペクト比の大きな(10以上)カーボンナノファイバーを用いると、図3に示すように、カーボンナノファイバーの一部が亜鉛めっき皮膜から露出しているめっき皮膜が得られる。亜鉛めっき皮膜が膜状をなすこと、また、カーボンナノファイバーの一部が露出していることから、摺動特性に優れる亜鉛めっき皮膜とすることができる。
前記のように、得られた亜鉛めっき皮膜に、公知のクロメート処理を施し、亜鉛めっき皮膜上にクロメート皮膜を形成すると好適である。クロメート処理の種類は特に限定されるものではない。
クロメート処理の際、酸に浸漬されることによって、亜鉛めっき皮膜の結晶の角が取れ、またクロメート処理を行ってもカーボンナノファイバーの一部がクロメート皮膜から露出していることによって、摺動特性がさらに向上した。
実施例3
以下の組成の複合めっき浴を調製し,ワッシャ表面に電気めっきを行った。得られた複合めっき膜の外観を図3に示す。本複合めっき浴からは広い電流密度範囲で均質で比較的平滑なZn-CNT複合めっきが得られた。
表1
なお、polyacrylamide(ポリアクリルアミド)は、和光純薬工業(株)製の、Poly acrylamide,carboxyl modified (18423-1A・・・low carboxyl content M.W 200,000)を用いた。
また、本複合めっき浴から得られたZn-CNT複合めっき膜は単なるZnめっき膜と比較してより優れた摺動特性(低い動摩擦係数)を示した(図4)。
なお、図4の摺動特性(動摩擦係数)は、めっき皮膜上に、荷重2N(ニュートン)で6mmφのステンレス球を押しつけ、4mmの距離往復動させて、1往復中に40回動摩擦係数を測定し、その平均値をもって、その摺動回数(1往復:1摺動回数)の動摩擦係数とした。
実施例4
Zn-CNT複合めっきを市販の3価クロム酸処理液によってクロメート処理した。処理前後の表面形態を図5に示す。クロム酸処理後もCNTは表面に固定され、一部がクロメート皮膜から露出している。このクロム酸処理したZn-CNT複合めっきの摺動特性を上記と同様にして評価した結果,Zn-CNT複合めっきよりも更に優れた摺動特性(低い動摩擦係数)を示した(図6)。
実施例5
ネジ部材に亜鉛めっき皮膜を形成して、軸力と総合摩擦係数を求めた。
1.配管用ナット(冷間圧造用炭素鋼製配管用ナット:M16のネジを有する)
<表面処理>
・ Znめっき8μm+3価クロメート(通常の亜鉛めっき)
・ Zn-CNT複合めっき8μm+3価クロメート(実施例4の亜鉛めっき:電流密度3A/dm
<めっき条件>
実施例4と同一の条件により配管用ナットにZn‐CNT複合めっきを施した。
2. 3価クロメート処理条件を表2に示す。
表2
3.軸力測定装置
図8は、下記軸力を測定するのに用いた軸力測定装置(6)の一例を示す。
本実施例では、外径8mmの鋼管からなる配管(7)をM16の外ネジ(雄ネジ)タイプのナット(8)で締め付けて取付けた際の軸力を測定した。ナット(8)の雄ネジ部を含む外表面に上記所定の亜鉛めっき皮膜を形成した。ナット(8)に所要の締付けトルクを印加した際の荷重(軸力)をピストン(9)を介してロードセル(10)で測定した結果を表3および図7に示す。
表3
表3および図7で明らかなように、本実施品は単なる亜鉛めっき皮膜を形成したものに比べていずれの締付トルクにおいても2倍以上の軸力が得られている。なお、図で(A)区は、2)Zn-CNT複合めっき8μm+3価クロメートのものであり、(B)区は、Znめっき8μm+3価クロメートのものである。
4.また、トルク40N・mでの実測値から総合摩擦係数を算出した結果を表4に示す。
表4
本発明のめっき技術などによるカーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する複合被覆層を有するネジ、ナット、ボルト、ワッシャに類する固定部材・締付部材は、従来の単に亜鉛成分をめっきしたものなどと比較して、長期にわたり大幅に摩擦係数を低減させることができ、かつ、締付けトルクによるネジ部材表面の破損、剥離の問題を解消することができる。
また、昨今、自動車エンジン用配管系においては、燃費や排ガス規制などの観点から高圧に耐え得る高圧配管継手が要求され、かつ、それに適用することができるネジ部材が要求されているが、本発明により製造されるネジ部材は、従来の亜鉛成分をめっきしただけのものと異なり、小さい締付けトルクで大きな軸力が得られるので、漏れに対する信頼性が向上すると共に、締付け時に発生する異物(ネジ部材表面の破損物、剥離物)のシステム内への混入により問題が発生する危惧を解消することができるため、高圧配管継手の品質向上に大きく貢献することができる。
本発明のカーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層を有するネジ部材のめっき法による第1製造例を説明する図である。 本発明のカーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層を有するネジ部材のめっき法による第2製造例を説明する図であって、(a)は本発明のめっき技術による基材(S)表面上に他の金属めっき層(4)を介してカーボンナノ材料(1)と亜鉛材料(2)が複合化した摩擦係数の小さい摺動特性に優れた複合めっき被覆層(3)の第2の形成方法の模式図、(b)は上記(a)の複合めっき被覆層(3)の表面を更にエッチング処理した第2の形成方法の模式図、(c)は上記(b)の複合めっき被覆層(3)の表面を更に不動態化する処理液で処理した第2の形成方法の模式図である。 Zn−CNT複合めっき皮膜の表面SEM写真である。 Znめっき皮膜と、Zn−MW(マルチウォール)CNT複合めっき皮膜の動摩擦係数変化を示すグラフである。 クロム酸処理後のZn−MWCNT複合めっき皮膜の表面SEM写真である。 Znめっき皮膜、Zn−MWCNT複合めっき皮膜、およびクロム酸処理したZn−MWCNT複合めっき皮膜の動摩擦係数変化を示すグラフである。 配管用ナットを用いて軸力を測定した結果を示すグラフである。 軸力測定装置の一例を示す説明図である。
符号の説明
M・・・・イオン化金属
S・・・・基材
L・・・・めっき液
1・・・・カーボンナノ材料
2・・・・亜鉛成分
3・・・・複合めっき被覆層
4・・・・他の金属めっき層
6・・・・軸力測定装置
7・・・・配管
8・・・・ナット
9・・・・ピストン
10・・・・ロードセル

Claims (13)

  1. ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材において、前記ネジ部材の基材表面にカーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層を形成したことを特徴とするネジ部材。
  2. カーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層が、予め基材表面に金属めっき層を形成し、次いで前記金属めっき層の上にカーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する複層被覆層を形成したものである請求項1に記載のネジ部材。
  3. カーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層の表面が、亜鉛成分の腐食液(エッチング液)で処理されたものである、請求項1または2に記載のネジ部材。
  4. カーボンナノ材料と亜鉛成分を含有する低摩擦性の複合被覆層の表面が、亜鉛成分を腐食(エッチング)及び不動態化する処理液で処理されたものである請求項1または2に記載のネジ部材。
  5. 亜鉛成分の腐食液(エッチング液)が、酸性またはアルカリ性物質含有液である請求項3または4に記載のネジ部材。
  6. 亜鉛成分の腐食(エッチング)及び不動態化する処理液が、クロメート液である請求項5に記載のネジ部材。
  7. カーボンナノ材料が、フラーレン、カーボンナノファイバー、カーボンブラック、黒鉛微粉、これらの化学変性物またはフッ素化物から成る群から選ばれた少なくとも1種のものである請求項1〜6いずれか1項記載のネジ部材。
  8. カーボンナノ材料と、該カーボンナノ材料の分散剤としてポリアクリルアミドが添加された亜鉛めっき液を用いて、ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材の基材表面に亜鉛めっき皮膜が形成されたネジ部材であって、亜鉛めっき皮膜中にカーボンナノ材料が混入していることを特徴とするネジ部材。
  9. カーボンナノ材料がカーボンナノファイバーであり、カーボンナノファイバーの一部が亜鉛めっき皮膜から露出していることを特徴とする請求項8記載のネジ部材。
  10. 亜鉛めっき皮膜上にクロメート皮膜が形成されていることを特徴とする請求項8または9記載のネジ部材。
  11. カーボンナノファイバーの一部がクロメート皮膜から露出していることを特徴とする請求項10記載のネジ部材。
  12. カーボンナノ材料と、該カーボンナノ材料の分散剤としてポリアクリルアミドが添加された亜鉛めっき液を用いて、ネジ、ナット、ボルト、ワッシャを含むネジ部材の基材表面に亜鉛めっきを行い、基材表面に、カーボンナノ材料が混入している亜鉛めっき皮膜を形成することを特徴とするネジ部材の製造方法。
  13. クロメート処理を行い、亜鉛めっき皮膜上にクロメート皮膜を形成することを特徴とする請求項12記載のネジ部材の製造方法。
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