JP2008214605A - グリース組成物、及び機械要素 - Google Patents

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Abstract

【課題】低摩擦性及び低摩耗性のグリース組成物を提供する。
【解決手段】少なくともメソゲン構造を側鎖に有する重合体の一種と、増ちょう剤の一種とを含有するグリース組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なグリース組成物、及びそれを用いた機械要素に関する。
機械部品の潤滑剤として使用される潤滑グリースは、一般的には、増ちょう剤、基油、添加剤の三種を含有する。グリースの特性の大部分は増ちょう剤の種類、あるいは基油の種類によって決まってしまう場合が多いが、それだけでは補いきれない特性を付加するために各種の添加剤が添加されている。
近年、産業界では省力化及び機械の技術革新が進められ、使用環境の過酷化、機械の長寿命化、機械部品の小型化、メンテナンスフリー化指向に対応するため、潤滑部品に寄与するグリースに要求される性能も、より高いものが求められるようになってきた。従ってそこに使用されるグリースは更に低摩擦特性に優れ、耐熱性、長寿命特性を有することが望まれている。従来のグリースはその潤滑性が基油そのものの潤滑特性に大きく影響され、耐摩擦性、耐摩耗性、カジリ防止特性に限界があり改善すべき余地がある。基油に特定の増ちょう剤等を添加することで、所定の性質が改善されたグリース組成物が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特開平7−34083号公報 特開平8−209176号公報 特開2004−204218号公報
本発明は、低摩擦性及び低摩耗性のグリース組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、低摩擦性と耐摩耗性に優れ、耐久性に優れた機械要素を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため手段は以下の通りである。
[1] 少なくともメソゲン構造を側鎖に有する重合体の一種と、増ちょう剤の一種とを含有するグリース組成物。
[2] 前記メソゲン構造が、円盤状である[1]のグリース組成物。
[3] 前記重合体が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を少なくとも有する重合体である[1]又は[2]のグリース組成物:
Figure 2008214605
一般式(1)において、Chainは、少なくともLを置換基とする主鎖を構成するモノマー由来の繰り返し単位であり;Dは環状のメソゲン基を表し;R0は、環状のメソゲン基Dに置換可能な最大数以下のk個(kは0以上の整数)の置換基を表し、k個のR0は互いに同一であっても異なっていてもよく;Lは各々独立に二価の連結基を表し;但し、R0及びLの少なくとも一つは、C5以上のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含む。
[4] 前記重合体が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を少なくとも有する重合体である[1]〜[3]のいずれかのグリース組成物:
一般式(2)
Figure 2008214605
一般式(2)において、Chainは、少なくともLを置換基とする主鎖を構成するモノマー由来の繰り返し単位であり;Xは独立してN(R1)、S、又はOを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;R1は水素原子又はアルキル基を表し;R2は各々置換基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;mは0〜4の整数及びnは0〜5の整数を各々表し、式中の複数のnは各々同一であっても異なっていてもよく;Lは各々二価の連結基を表し;但し、R2及びLの少なくとも一つは、C5以上のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含む。
[5] 前記重合体が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を少なくとも有する重合体である[1]〜[3]のいずれかのグリース組成物:
Figure 2008214605
一般式(3)において、Chainは、少なくともLを置換基とする主鎖を構成するモノマー由来の繰り返し単位であり;R3は各々置換基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;m'は0〜3の整数及びn'は0〜4の整数を各々表し、式中に複数存在するn'は同一であっても異なっていてもよく;Lは二価の連結基を表し;但し、R3及びLの少なくとも一つは、C5以上のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含む。
[6] 前記一般式(1)中、Dが、下記式[a]〜[h]のいずれかで表される環状のメソゲン基ある[1]〜[3]のいずれかのグリース組成物:
Figure 2008214605
式中*は、L及び/又はR0と結合可能な部位を意味する。
[7] 前記重合体の重量平均分子量が、5,000〜200,000である[1]〜[6]のいずれかのグリース組成物。
[8] 前記重合体が、(メタ)アクリレート系重合体、ポリエチレンオキシド系重合体又はポリシロキサン系重合体である[1]〜[7]のいずれかのグリース組成物。
[9] 前記重合体を、全質量中0.1〜30質量%含有する[1]〜[8]のいずれかのグリース組成物。
[10] 前記重合体を、平均粒径10nm〜10μmの分散粒子として含有する[1]〜[9]のいずれかのグリース組成物。
[11] 前記重合体とは異なる重合体の少なくとも一種をさらに含有する[1]〜[10]のいずれかのグリース組成物。
[12] 下記一般式(4)−a,b,c,d,e,f又はgで表される少なくとも一種類の化合物をさらに含有する[1]〜[11]のいずれかのグリース組成物:
Figure 2008214605
式中、R4は置換アルキル基、フェニル基又は複素環基を表し、それらは少なくとも一つの、二価のC8以上のアルキレン基、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖、オリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖又はジスルフィド基を含む置換基によって置換されている。
[13] 前記重合体が、側鎖に下記一般式(6)で表されるオルガノポリシロキサン基をさらに含む[1]〜[12]のいずれかのグリース組成物:
Figure 2008214605
式(6)中、Rは独立に、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜18の一価炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;R1は独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;xは5〜120の整数を表し、yは0又は1を表す。
[14] 前記重合体が、側鎖に下記一般式(7)で表されるポリフッ化アルキル基又はポリフッ化アルキルエーテル基をさらに含む[1]〜[12]のいずれかのグリース組成物:
Figure 2008214605
式(7)中、Rfは炭素数1〜15のパーフルオロアルキル基を表し、m、n、p及びqは0又は1以上の整数であり、m+n+p+qは2〜200であり;rは0又は1であり、rが0のときはsは1で、Rfは炭素数12以上のパーフルオロアルキル基であり、rが1のときはsは0又は1を表す。
[15] 前記重合体が、側鎖にエステル結合を含む[1]〜[14]のいずれかのグリース組成物。
[16] 前記重合体が、側鎖に下記一般式(8)で表される二価基を含む[1]〜[15]のいずれかのグリース組成物:
Figure 2008214605
式(8)中、nは2以上の整数を表す。
[17] さらに基油を含有する[1]〜[16]のいずれかのグリース組成物。
[18] 前記基油を、全質量中70〜99.9質量%含有する[17]のグリース組成物。
[19] 前記基油として、シリコーン油の少なくとも一種を含有する[17]又は[18]のグリース組成物。
[20] 前記基油として、ポリフッ化アルキルエーテル油の少なくとも一種を含有する[17]〜[19]のいずれかのグリース組成物。
[21] 前記基油として、下記一般式(9)又は一般式(10)で表されるジフェニルエーテル油の少なくとも一種を含有する[17]〜[20]のいずれかのグリース組成物:
Figure 2008214605
式(9)中、R2及びR3は各々独立に、直鎖又は分枝鎖状パーフルオロアルキル基又はその部分置換体を表し、炭素原子数は1〜25であり、かつR2、R3のフッ素原子数/炭素原子数の比は0.6〜3である;
Figure 2008214605
式(10)中、R4、R5及びR6の一つは水素原子であり、他は各々独立に、直鎖又は分枝鎖状アルキル基を表し、炭素原子数は1〜26である。
[22] 前記基油として、カルボエステル基を有する側鎖を少なくとも三本有する芳香族エステル油の少なくとも一種を含有する[17]〜[21]のいずれかのグリース組成物。
[23] 前記基油として、生分解性油の少なくとも一種を含有する[17]〜[22]のいずれかのグリース組成物。
[24] 前記基油として、炭化水素基の炭素数が6〜15の芳香族エステル油の少なくとも一種を含有する[17]〜[23]のいずれかのグリース組成物。
[25] 前記基油が、少なくとも(A)α−アルキルスチレン2〜3量体水素化物、又は(B)シクロペンタジエン類と、α−オレフィン類及びモノビニル芳香族炭化水素類の少なくとも一方とからなる3〜6量体を主成分とし、ノルボルネン環の二重結合上の水素量(ND)とシクロペンタジエン環の二重結合上の水素量(CD)との比(ND/CD)が0.9〜1.3であるシクロペンタジエン系縮合環炭化水素の水素化物、又は(C)シクロヘキサン環、デカリン環、ビシクロヘプタン環及びビシクロオクタン環のいずれかの環状構造を分子内に有する飽和炭化水素系合成炭化水素から選ばれる一種である[17]又は[18]のグリース組成物。
[26] 前記増ちょう剤がウレア系化合物であり、且つ前記重合体が主鎖及び/又は側鎖に互変異性基を含む[1]〜[25]のいずれかのグリース組成物。
[27] 前記増ちょう剤がリチウム石けんであり、且つ前記重合体が、主鎖及び/又は側鎖に互変異性基を含む[1]〜[25]のいずれかのグリース組成物。
[28] 40℃における混和ちょう度が205〜395である[1]〜[27]のいずれかのグリース組成物。
[29] 少なくとも互いに異なる周速で運動可能な二面、及び該二面の間に配置された[1]〜[28]のいずれかのグリース組成物を含む機械要素。
[30] 前記二面の少なくとも一方の面が、樹脂からなる[29]の機械要素。
[31] 前記二面の少なくとも一方の面が、ダイヤモンドライクカーボン又はセラミックである[29]の機械要素。
本発明によれば、低摩擦性及び低摩耗性のグリース組成物を提供することができる。また、本発明によれば、低摩擦性と耐摩耗性に優れ、耐久性に優れた機械要素を提供することができる。
発明実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値範囲について、「〜」はその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[グリース組成物]
本発明のグリース組成物は、少なくともメソゲン構造を側鎖に有する重合体の一種と、増ちょう剤の一種とを含有することを特徴とする。
重合体:
本発明のグリース組成物が含有する重合体の少なくとも一種は、メソゲン構造を側鎖に有する。ここで、メソゲン構造とは、中間相(=液晶相)形成分子(液晶辞典、日本学術振興会、情報科学用有機材料第142委員会、液晶部会編、1989年)とも称され、液晶性分子構造とほぼ同義である。液晶性化合物は、単独で、ある特定の温度、圧力範囲で熱力学的に安定な液晶相を呈するサーモトロピック液晶と、溶媒中である特定の温度、圧力、濃度範囲で液晶相を呈するリオトロピック液晶に分類される。しかし、メソゲン構造とフレキシブルな側鎖を有する化合物でも必ずしも液晶性を呈するわけではない。したがって、本発明で用いられる重合体は、側鎖にメソゲン構造を有するが、液晶性ポリマー(高分子液晶)である必要はない。もしくは、用いられる温度域において液晶性を呈する必要はない。
液晶相を形成し得るメソゲン構造は、環構造、結合基及び側方置換基に分けられる。環構造としては、ベンゼン環やシクロヘキサン環などの六員環構造をもったもの;ビフェニルやターフェニルなどのように環構造が直結しているもの;トランやフキサフェニルエチニルベンゼンのように環が結合基を介して連結しているもの;ナフタレン、キノリン、アントラセン、トリフェニレンやピレンなどの縮合環;環のなかに窒素、酸素あるいは硫黄元素などを含むヘテロ環から構成されるアザクラウン、ポルフィリン及びフタロシアニン;がある。また、結合基としては単結合、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、イミノ、アゾメチン及びビニル、アセチレンなどがある。その置換基はその大きさ、双極子モーメント及び置換位置が液晶性に影響し、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アルキル基や複素環基などがある。メソゲン構造についての上記の内容の詳細は、液晶便覧 第三章「分子構造と液晶性」pp259 液晶便覧編集委員会編 丸善株式会社発行 (2000)に解説されている。
前記メソゲン構造は、円盤状であることが好ましい。メソゲン構造が円盤状の環構造を有すると、粘度指数向上機能を維持するための剪断時の破断耐久性が低摩擦性の効果で向上し、同時に潤滑油の極圧下での耐摩耗性の改善と、摩擦係数の低減に寄与するので好ましい。円盤状構造の形態的特徴は例えば、その原形化合物である水素置換体について、以下のように表現され得る。まず、分子の大きさを以下のようにして求める。
1)該分子につき、できる限り平面に近い、好ましくは平面分子構造を構築する。この場合、結合距離、結合角としては、軌道の混成に応じた標準値を用いることが好ましく、例えば日本化学会編、化学便覧改訂4版基礎編、第II分冊15章(1993年刊 丸善)を参照することができる。
2)前記1)で得られた構造を初期値として、分子軌道法や分子力場法にて構造最適化する。方法としては例えば、Gaussian98、MOPAC2000、CHARMm/QUANTA、MM3が挙げられ、好ましくはGaussian98である。
3)構造最適化によって得られた構造の重心を原点に移動させ、座標軸を慣性主軸(慣性テンソル楕円体の主軸)にとる。
4)各原子にファンデルワールス半径で定義される球を付与し、これによって分子の形状を記述する。
5)ファンデルワールス表面上で各座標軸方向の長さを計測し、それらそれぞれをa、b、cとする。
以上の手順により求められたa、b、cを用いて円盤状の形態を定義すると、c≦b<aかつa/2≦b≦a、好ましくはc≦b<aかつ0.7a≦b≦aと表すことができる。また、b/2>cであることが好ましい。また具体的化合物として挙げると、例えば日本化学会編、季刊化学総説No.22「液晶の化学」第5章、第10章2節(1994年刊 学会出版センター)、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.Liq.Cryst.71巻、111頁(1981年)、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)、J.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhang、J.S.Mooreらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.,116巻、2655頁(1994年)に記載の母核化合物の誘導体が挙げられる。例えば、ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、アントラセン誘導体、アザクラウン誘導体、シクロヘキサン誘導体、β−ジケトン系金属錯体誘導体、ヘキサエチニルベンゼン誘導体、ジベンゾピレン誘導体、コロネン誘導体及びフェニルアセチレンマクロサイクルの誘導体がメソゲン構造として挙げられる。さらに、日本化学会編、"化学総説No.15 新しい芳香族の化学"(1977年東京大学出版会刊)に記載の環状化合物及びそれらの複素原子置換等電子構造体を挙げることができる。また、上記金属錯体の場合と同様に、水素結合、配位結合等により複数の分子の集合体を形成して円盤状の分子となるものでもよい。これらを分子の中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその側鎖として放射状に置換された構造によりディスコティック液晶化合物が形成される。
平板状及び円盤状構造の分子の中心の母核の好ましい例には、下記一般式[1]〜[74]のいずれかで表される構造が含まれる。なお、nは3以上の整数を表し、*は主鎖に直接、主鎖との間に存在する連結基、又は任意の置換基と結合可能な部位を意味する。但し、*は3以上であれば全ての部位に側鎖が結合していなくてもよい。Mは金属イオン又は2つの水素原子を表す。Mは金属イオン又は2つの水素原子を表し、即ち、[5]及び[6]は中心金属を含んでいても、含んでいなくてもよい。
Figure 2008214605
Figure 2008214605
Figure 2008214605
メソゲン構造は、極性元素を含むπ共役系の骨格を有するのが好ましく、上記の中で、[1]、[2]、[3]、[6]、[11]、[12]、[21]、[23]、[28]、[56]が好ましく、その中でも[1]、[2]、[3]、[11]、[21]が好ましく、特に好ましくは一般式(2)及び一般式(3)に相当する、合成的に安価に入手できる[2]の1,3,5−トリス(アリールアミノ)−2,4,6−トリアジン環及び[3]のトリフェニレン環である。また、下記の[a]〜[h]も好ましい。
Figure 2008214605
前記重合体の側鎖は、メソゲン構造の基以外の基を側鎖に含んでいてもよい。例えば、メソゲン構造の円盤状の基に置換した置換基(後述する一般式(1)中のR0、一般式(2)中のR2及び一般式(3)中のR3に相当する)を有していてもよい。該置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アシルオキシ基が挙げられ、側鎖中にアリール基、ヘテロ環基を含んでいてもよい。また、C.Hansch、A.Leo、R.W.Taft著、ケミカルレビュー誌(Chem.Rev.)1991年、91巻、165〜195ページ(アメリカ化学会)に記載されている置換基で置換されていてもよく、代表例としてアルコキシ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子が挙げられる。更に側鎖中に、例えばエーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基、チオエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、アミド基のような官能基を有していてもよい。
より詳細には、前記重合体の側鎖には、メソゲン構造とともに、アルカノイルオキシ基(例えば、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオキシ、オクタノイルオキシ、ノナノイルオキシ、デカノイルオキシ、ウンデカノイルオキシ)、アルキルスルホニル基(例えば、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル、ノニルスルホニル、デシルスルホニル、ウンデシルスルホニル)、アルキルチオ基(例えば、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、ドデシルチオ)、アルコキシ基(例えば、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、メトキシジエチレンオキシ、トリエチレンオキシ、ヘキシルオキシジエチレンオキシ)、2−(4−アルキルフェニル)エチニル基(例えば、アルキル基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル)、2−(4−アルコキシフェニル)エチニル基(例えばアルコキシ基として、前述のアルコキシ基で挙げたもの)、末端ビニルオキシ(例えば、7−ビニルヘプチルオキシ、8−ビニルオクチルオキシ、9−ビニルノニルオキシ)、4−アルコキシフェニル基(例えばアルコキシ基として、前述のアルコキシ基で挙げたもの)、アルコキシメチル基(例えばアルコキシ基として、前述のアルコキシ基で挙げたもの)、アルキルチオメチル基(例えばアルキルチオ基として、前述のアルキルチオ基で挙げたもの)、2−アルキルチオメチル(例えばアルキルチオ基として、前述のアルキルチオ基で挙げたもの)、2−アルキルチオエトキシメチル(例えばアルキルチオ基として、前述のアルキルチオ基で挙げたもの)、2−アルコキシエトキシエチル基(例えばアルコキシ基として、前述のアルコキシ基で挙げたもの)、2−アルコキシカルボニルエチル基例えばアルコキシ基として、前述のアルコキシ基で挙げたもの)、コレステリルオキシカルボニル、β−シトステリルオキシカルボニル、4−アルコキシフェノキシカルボニル基(例えばアルコキシ基として、前述のアルコキシ基で挙げたもの)、4−アルコキシベンゾイルオキシ基(例えばアルコキシ基として、前述のアルコキシ基で挙げたもの)、4−アルキルベンゾイルオキシ基(例えばアルコキシ基として、前述の2−(4−アルキルフェニル)エチニル基で挙げたもの)、4−アルコキシベンゾイル基(例えばアルコキシ基として、前述のアルコキシ基で挙げたもの)、パーフルオロアルキル基(例えば、アルキル基として、前述のアルキル基で挙げたもの)、ポリシロキサン基を有していてもよい。
また、前述のもののうち、フェニル基は他のアリール基(例えば、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセン基)でもよいし、また前述の置換基に加えて更に置換されてもよい。また、該フェニル基はヘテロ芳香環(例えば、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアジアリル基、オキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基)であってもよい。
一つの側鎖に含まれる炭素原子の数は1以上30以下が好ましく、1以上20以下がさらに好ましい。
前記重合体は、側鎖に下記一般式(6)で表されるオルガノポリシロキサン基をさらに含んでいてもよい。かかる重合体は、シリコーン油を含有する基油と併用するのが好ましい。
Figure 2008214605
式(6)中、Rは独立に、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜18の一価炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;R1は独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;xは5〜120の整数を表し、yは0又は1を表す。
前記重合体は、側鎖に下記一般式(7)で表されるポリフッ化アルキル基又はポリフッ化アルキルエーテル基をさらに含んでいてもよい。かかる重合体は、ポリフッ化アルキルエーテル油を含有する基油と併用するのが好ましい。
Figure 2008214605
式(7)中、Rfは炭素数1〜15のパーフルオロアルキル基を表し、m、n、p及びqは0又は1以上の整数であり、m+n+p+qは2〜200であり;rは0又は1であり、rが0のときはsは1で、Rfは炭素数12以上のパーフルオロアルキル基であり、rが1のときはsは0又は1を表す。
また、前記重合体は、側鎖にエステル結合及び/又は下記一般式(8)で表される二価基を含んでいるのも好ましい。前記エステル結合又は下記一般式(8)で表される二価基は、主鎖と前記メソゲン構造の基との間に含まれていてもよいし、又は前記メソゲン構造の基の置換基に含まれていてもよい。
Figure 2008214605
式(8)中、nは2以上の整数を表す。式(8)中、nは2以上の整数を表す。nは2〜20であるのが好ましく、3〜8であるのがより好ましい。
主鎖と側鎖中のメソゲン構造とを連結するスペーサー(後述する一般式(1)〜一般式(3)の連結基Lに相当する)としては、一般的に、アルキレン基、パーフルオロアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基、ポリシロキサン基及びそれらの組み合わせられた二価の連結基が挙げられる。それらはさらに、例えばオキシ基、カルボニル基、エチニレン基、アゾ基、イミノ基、チオエーテル基、スルホニル基及びそれらの組み合わせられたジスルフィド基やエステル基、アミド基、スルフォンアミド基などの二価の連結基によって連結されてもよい。またスペーサーへの置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基などの芳香族環、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、チオ基、スルホ基、カルボキシル基などが挙げられる。
また、メソゲンと上記のスペーサー構造を連結する基としては、オキシ基、カルボニル基、エチニレン基、アゾ基、イミノ基、チオエーテル基、スルホニル基及びそれらの組み合わせられたジスルフィド基やエステル基、アミド基、スルフォンアミド基などの二価の連結基が挙げられる。
また、メソゲン基の摺動方向への配向はミエソビッツ低粘性の効果が期待できるので、使用する温度域において液晶性を呈することが好ましい。そのためには、上記のメソゲン間のスペーサーを構成する最短の原子数は、円盤状メソゲンによる液晶相の形成の観点では、8以上15以下が好ましい。また、液晶相の発現には、さらにスペーサー構造が比較的柔軟であるウンデシレン基などのアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、トリエチレンオキシ基、ジプロピレンオキシ基などのオリゴアルキレンオキシレン基、オリゴパーフルオロアルキレン基、及びオリゴシロキサン基などの二価の基が好ましい。
前記円盤状メソゲン構造が有するこの剛直な平面構造による剛体的斥力は液晶性発現において重要な因子となるが、同時に存在するフレキシブルな側鎖が自由に振舞える空間、すなわち自由体積が大きいことが、従来のグリース組成物にない特徴を本発明のグリース組成物に与えている。すなわち、円盤状メソゲン構造を繰り返し単位中に有する重合体は、剛直な平面構造の環のまわりに、フレキシブルな側鎖を数本配するがゆえに、相対的にそれら側鎖の自由体積が大きく確保されており、より厳しい圧力がかかり自由体積が圧縮される状況下でも剛直部分の斥力によって生じる自由体積がある一定値以下にはなり難いことが期待される。さらに積層するように配向している剛直な平面が剪断方向に再配向する場合には、ポリマー鎖にかかる剪断力を緩和することが期待される。それゆえに、本発明のグリース組成物による粘度指数向上機能は、高圧下での粘度の上昇率が相対的に小さくなり、従来の粘度指数向上剤ではその高分子鎖が剪断力で破壊されてしまう程の高圧で、且つ高剪断の場においても、高い剪断安定性を発現するであろうことが推定できる。
前記重合体は、主鎖又は側鎖に互変異性基を有しているのが好ましい。側鎖に有するメソゲン構造が互変異性基を含んでいるのが好ましい。ここで、互変異性について説明する。ある化合物が2種の異性体として存在し、それらが容易に変化しあう異性現象を、互変異性といい、その各々の異性体を互変体という。前記重合体が有する互変異性基は、下記一般式(a)又は(b)で表される互変異性基であるのが好ましい。
Figure 2008214605
式(a)中、Aは、5〜7個の原子で構成される環であり、環構成原子の一つ又は二以上が置換基を有していてもよいし、他の環と縮合していてもよい。
Figure 2008214605
式(b)中、Bは、5〜7個の原子で構成される環であり、環構成原子の一つ又は二以上が置換基を有していてもよいし、他の環と縮合していてもよい。
中でも、一般式(a)で表される互変異性基の一例である、下記一般式(c)で表される互変性基が好ましい。
Figure 2008214605
前記式(c)中、Zは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、−NR−のいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく、Rは水素原子、置換基してもよいアルキル基を表す。
互変異性基の2つの互変体間の変化は、多くは水素原子の結合位置が変わることによって起こる。このような互変異性を行う官能基は、他の同じような互変異性構造を有する化合物、例えば、同じアミジン構造やケト−エノール互変異性体(カルバモイル基、カルボキシル基)と水素結合を介して、比較的安定な錯体構造を形成する。例えば、前記一般式(a)で表される互変異性基は、アミジノ基、カルバモイル基及びカルボキシル基と、下記一般式(a)−1〜(a)−3に示す通り、水素結合により錯体を形成する。
Figure 2008214605
その典型的な例は、核酸(DNA及びRNA)を構成するプリン塩基とピリミジン塩基の間で水素結合により形成される塩基対である。
Figure 2008214605
DNAにおける正常な塩基対は、プリン塩基のアデニン(A)とピリミジン塩基のチミン(T)の間の塩基対と、プリン塩基のグアニン(G)とピリミジン塩基のシトシン(C)の間の塩基対であり、図のように前者は2個、後者は3個の水素結合によって安定化されている.このような塩基対を相補的塩基対といい、平面性を保って水素結合を形成するため、平面的な円盤状化合物の場合は、その平面性が超分子的に広く形成されることが期待される。
互変異性基を有する前記円盤状化合物、例えば、1,3,5−トリアニリノ−2,4,6−トリアジン誘導体は、シアヌル酸やメラミン、アデニン、グアニン、シトシン、チミンやそれらの誘導体であるバルビツール酸、ウラシルなどの複素環化合物を介して同様な相補的塩基対を形成し得るので、増ちょう剤としてかかる化合物を併用すると、効果的にネットワークを形成し、基油に対して高い増ちょう効果を発現するものと考えられる。
なお、前記重合体とともに、相補的塩基対を形成する増ちょう剤の添加量は、そのような互変異性基を有する重合体に含まれる互変異性基に対して、1〜500モル%の範囲で添加することが好ましく、10〜200モル%の範囲がより好ましい。
特に、その側鎖にメソゲン構造として互変異性基を有する重合体を、ウレア系増ちょう剤とともに用いたグリース組成物では、重合体の含有量が相対的に少なくても低摩擦係数が得られる傾向があることがわかった。増ちょう剤であるウレア化合物は、互変異性可能なウレイレン基を有し、イソシアヌル酸、ウラシル、バルビツール酸などと同様にメラミンまたその類似構造母核と多点型の安定な水素結合を形成することが期待される。この場合、増ちょう剤がグリースには多く含まれるため、互変異性可能な円盤状メソゲン構造を含む重合体がウレアと錯体を形成し、ウレア上に一部析出するため、剪断を受ける界面に同時に円盤状ポリマーも相対的に効率的に導入されることで、より低摩擦化することが期待される。
前記重合体の一例として、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。
Figure 2008214605
一般式(1)において、Chainは、少なくともLを置換基とする主鎖を構成するモノマー由来の繰り返し単位であり、Dは環状のメソゲン基を表し、R0は各々独立に、環状のメソゲン基Dに置換可能な最大数以下のk個の置換基を表し、k個のR0は互いに同一であっても異なっていてもよく、Lは各々独立に二価の連結基を表し、但し、R0及びLの少なくとも一つは、C5以上(好ましくはC5〜C20)のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含み、好ましくは、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含む。kは0以上の整数を表す。
前記式中の環状のメソゲン基Dは、下記式[a]〜[h]のいずれかで表される環状のメソゲン基あるのが好ましい。
Figure 2008214605
前記式中、*はL及び/又はR0と結合可能な部位を意味する。
前記繰り返し単位が有するオリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖の炭素数は、6〜20であるのが好ましく、含まれるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、鎖中に含まれるアルキレンオキシ基は2〜7個であるのが好ましく、3〜5個であるのが好ましい。
また、Chainは、主鎖を構成するモノマー残基であり、具体的には、(メタ)アクリル系モノマーの残基、メチルシロキ酸の残基、オキシシランが開環してできるエチレンオキシ残基等が挙げられる。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体の中でも、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
一般式(2)
Figure 2008214605
一般式(2)において、Chainは、少なくともLを置換基とする主鎖を構成するモノマー由来の繰り返し単位であり;Xは独立してN(R1)、S、又はOを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;R1は水素原子又はアルキル基を表し;R2は各々置換基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;mは0〜4の整数及びnは0〜5の整数を各々表し、式中の複数のnは各々同一であっても異なっていてもよく;Lは各々二価の連結基を表し;但し、R2及びLの少なくとも一つは、C5以上(好ましくはC5〜C20)のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含み、好ましくは、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含む。
前記式中、Xは、N(R1)であるのが好ましく、即ち、下記式(2)−aで表される重合体であるのが好ましい。
一般式(2)−a
Figure 2008214605
前記一般式(2)−a中のそれぞれの符号は、前記一般式(2)中のそれぞれと同義である。
Figure 2008214605
一般式(3)において、Chainは、少なくともLを置換基とする、主鎖を構成するモノマー由来の繰り返し単位であり、R3は各々置換基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;m'は0〜3の整数及びn'は0〜4の整数を各々表し、式中に複数存在するn'は同一であっても異なっていてもよく;Lは二価の連結基を表し;但し、R3及びLの少なくとも一つは、C5以上(好ましくはC5〜C20)のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含み、好ましくは、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含む。
2、R4及びL中に含まれるC5以上(好ましくはC5〜C20)のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖中の炭素原子は、6〜20であるのが好ましく、含まれるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、鎖中に含まれるアルキレンオキシ基は2〜7個であるのが好ましく、3〜5個であるのが好ましい。
前記重合体の中でも、下記一般式(2)'又は下記一般式(3)'で表される繰り返し単位を含む重合体がより好ましい。なお、下記式中のそれぞれの符号の意義は、前記一般式(2)及び(3)中の符号の意義と同義である。またR5は水素原子又はメチル基を表す。
一般式(2)'
Figure 2008214605
一般式(3)'
Figure 2008214605
本発明に利用可能な、メソゲン基を有する重合体の具体例を以下に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2008214605
Figure 2008214605
Figure 2008214605
Figure 2008214605
Figure 2008214605
Figure 2008214605
Figure 2008214605
Figure 2008214605
メソゲン構造の基を側鎖に有する重合体は、従来公知の有機合成方法及び重合法を組み合わせることで製造することができる。前記メソゲン構造は、重合によりポリマーを得た後、ポリマー分子中に導入されてもよく、その場合は、前記重合体は、ブロックコポリマーやグラフトポリマー等の形態になる。より具体的には、(メタ)アクリレート類を重合した後、重合体のカルボン酸部分に前記メソゲン構造をエステル反応を利用して導入したり、ヒドロシロキサンポリマーにハイドロキシリレーションによってメソゲンを有するビニル基を付加的に導入してもよい。また、メソゲン構造を有するモノマーを重合して前記重合体を製造することもできる。より具体的には、(メタ)アクリレートのエステル類のエステル部分にメソゲン構造を導入し、該モノマーを重合してもよい。反応様式としては、ポリ(メタ)アクリレートやビニルエーテルによるラジカル付加重合、オキシラン、シクロブテンやノルボルネンによる開環付加重合等いずれであってもよく、より具体的には、Macromol.Chem.,Rapid Commun.4,807−815(1983)、Macromol.Chem.,Rapid Commun.6,367−373(1985)、及びMacromol.Chem.,Rapid Commun.6,577(1985)、J.Chem.Soc.Perkin Trans.,I 1995 pp829.Liquid Crystals,1995,Vol.18,No.2,pp191.Liquid Crystals,1998,Vol.25,No.1,pp47.J.Mater.Chem.,1998,8(1),pp47.Maclomolecules 1997,30,pp6430−6437.などに記載の合成方法が挙げられる。
上記方法により、側鎖にメソゲン構造を有する、(メタ)アクリレート系重合体、ポリエチレンオキシド系重合体又はポリシロキサン系重合体を得ることができる。
前記重合体の重量平均分子量は、5,000〜400,000であるのが好ましく、5,000〜200,000であるのがより好ましく、20,000〜200,000であるのがさらに好ましく、50,000〜150,000であるのがよりさらに好ましい。前記重合体の重量平均分子量が前記範囲であると、高温・高圧力での剪断安定性が高い点で好ましい。なお、前記重合体の重量平均分子量は、GPCで測定した値である。
本発明のグリース組成物において、前記重合体を分散粒子として含有させてもよい。平均粒径10nm〜50μm、より好ましくは、平均粒径10nm〜10μmの分散粒子として含有させるのが好ましい。かかる平均粒径の重合体が基油中に均質に分散していることが好ましい。そうすれば、真実接触部位に限りなく近づき、そこで両面からの剪断力によって、薄膜状に展延され、摺動面を覆い、なおかつ界面粗さを低減する効果も発現することで、低摩擦、耐摩耗性を促進することが可能になる。
前記重合体を、有機溶剤あるいは水中に分散させてもよい。具体的には、前記重合体を基油及び分散剤の共存下、ホモジナイザー等の流体膜状態での剪断力で微細化し分散させる方法、超音波によって微分散化させる方法、前記重合体のモノマーを分散剤共存下、有機溶剤あるいは水中で分散重合させて、重合体の微細粒子を基油中に均質分散させる方法がある。この場合、基油あるいは水中に分散する重合体は、それらに溶解しないことが好ましい。炭化水素系溶剤を基油とする場合には、側鎖あるいは主鎖部分には長鎖アルキレン基よりは、相溶性の低いパーフルオロアルキレン基やオリゴパーフルオロアルキレンオキシ基、またオリゴアルキレンオキシ基を相対的に多く用いることが好ましい。一方、水系では、相溶性の低いパーフルオロアルキレン基やオリゴパーフルオロアルキレンオキシ基、長鎖アルキレン基、ポリシロキサン基を相対的に多く用いることが好ましい。
いずれの場合も、分散剤を用いるのが好ましい。この技術の詳細は、K.J.Barrett著 Dispersion Polymerization in Organic Media JOHN WILEY&SONS出版 に記載されている。溶剤とそれに非相溶性の微細粒径の重合体が共存すると、通常重合体の微細粒子が凝集して沈殿する傾向が強いので、分散剤としては両親媒性の分散剤すなわち互いに非相溶の部分構造を両方もった重合構造の分散剤を用いるのが好ましい。さらに好ましくは、それらの部分構造のオリゴマーあるいはポリマーがブロック共重合又はグラフト共重合体である。例えば、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート−g−ビニルアセテート)、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸−g−グリシジルメタアクリレート)、ポリ(ラウリル メタアクリレート−b−メタアクリル酸)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート−g−メチルメタアクリレート)、ポリ(スチレン−b−メタアクリル酸)、ポリ(ブタジエン−b−メタアクリル酸)、ポリ(スチレン−b−t−ブチルスチレン)、ポリ(ラウリル メタアクリレート−b−ヘキサエチレンオキシエチル−メタアクリレート)、ポリ(ラウリル メタアクリレート−b−ヘキサ(パーフルオロエチレンオキシ)エチル−メタアクリレート)、ポリ(3−ヘキシルデシルメタアクリレート−b−3−ウレイドプロピル−メタアクリレート)などがあげられる。
前記重合体を水系溶媒に分散させてもよい。水系分散技術は、通常乳化分散後に重合する乳化重合法が用いられるが、界面活性剤の共存下、水−水溶性有機溶剤混合溶剤に溶解したモノマーが微細粒径で重合し、不溶化析出した状態で界面活性剤で安定に分散させ、必要に応じ、水溶性有機溶剤を除去するいわゆる分散重合法も用いられる。
本発明のグリース組成物において、前記重合体の含有量は、全質量中0.1〜30質量%であるのが好ましく、3〜15質量%であるのがより好ましい。
増ちょう剤:
本発明のグリース組成物は、増ちょう剤の少なくとも一種を含有する。本発明には、金属石けん、複合金属石けん等の石けん系増ちょう剤、ベントン、シリカゲル、ウレア系増ちょう剤(ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物等)の非石けん系増ちょう剤などのあらゆる増ちょう剤が使用可能である。これらの中でも、樹脂製部材を損傷させるおそれが小さいことから、石けん系増ちょう剤、ウレア系増ちょう剤が好ましく用いられる。
石けん系増ちょう剤としては、例えば、ナトリウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けん等が挙げられるが、これらの中でも、耐水性や熱安定性の点から、リチウム石けんが好ましい。リチウム石けんとしては、例えば、ラウリン酸(C12)リチウム、ミリスチン酸(C14)リチウム、パルミチン酸(C16)リチウム、マルガリン酸(C17)リチウム、ステアリン酸(C18)リチウム、アラキジン酸(C20)リチウム、ベヘン酸(C22)リチウム、リグノセリン酸(C24)リチウム、牛脂脂肪酸リチウム、9−ヒドロキシステアリン酸リチウム、10−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、9,10−ヒドロキシステアリン酸リチウム、リシノール酸リチウム、リシノエライジン酸リチウムなどが挙げられる。このうち、特に好ましいリチウム石けんは、ステアリン酸リチウム(リチウムステアレート)、及び12−ヒドロキシステアリン酸リチウム(リチウム−12−ヒドロキシステアレート)である。リチウム石けん以外に他の増ちょう剤を併用する場合は、リチウム石けんを増ちょう剤全量の50質量%以上配合することが好ましい。
また、ウレア系増ちょう剤としては、例えば、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。
ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物及びウレタン化合物としては、例えば、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物(ジウレア化合物、トリウレア化合物及びテトラウレア化合物は除く)、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。好ましくはジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物又はこれらの混合物が挙げられる。更に具体的には、例えば、下記式(1)で表される化合物単独もしくはこれらの混合系が好ましい。
A−CONH−R1−NHCO−B (1)
一般式(1)中、R1は2価の有機基を表し、好ましくは2価の炭化水素基を表す。かかる2価の炭化水素基としては、具体的には、直鎖又は分枝状のアルキレン基、直鎖又は分枝状のアルケニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基、アリールアルキレン基等が挙げられる。R1で表される2価の有機基の炭素数は、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15である。
1で表される2価の有機基の好ましい例としては、エチレン基、2,2−ジメチル−4−メチルヘキシレン基、並びに下記式(X−2)〜(X−11)で表される基が挙げられ、中でも式(X−3)又は(X−5)で表される基が好ましい。
(X−2)
Figure 2008214605
(X−3)
Figure 2008214605
(X−4)
Figure 2008214605
(X−5)
Figure 2008214605
(X−6)
Figure 2008214605
(X−7)
Figure 2008214605
(X−8)
Figure 2008214605
(X−9)
Figure 2008214605
(X−10)
Figure 2008214605
また、一般式(X−1)中、A及びBは同一でも異なっていてもよく、それぞれ−NHR2、−NR34又は−OR5で表される基を表す。ここで、R2、R3、R4及びR5は同一でも異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基であり、好ましくは炭素数6〜20の1価の炭化水素基を表す。
2、R3、R4、R5で表される炭素数6〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖又は分枝状のアルキル基、直鎖又は分枝状のアルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。より具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などの直鎖又は分枝状のアルキル基;ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基等の直鎖又は分枝状のアルケニル基;シクロヘキシル基;メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘキシル基、イソプロピルシクロヘキシル基、1−メチル−3−プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アミルシクロヘキシル基、アミルメチルシクロヘキシル基、ヘキシルシクロヘキシル基、ヘプチルシクロヘキシル基、オクチルシクロヘキシル基、ノニルシクロヘキシル基、デシルシクロヘキシル基、ウンデシルシクロヘキシル基、ドデシルシクロヘキシル基、トリデシルシクロヘキシル基、テトラデシルシクロヘキシル基等のアルキルシクロヘキシル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;トルイル基、エチルフェニル基、キシリル基、プロピルフェニル基、クメニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、ジメチルナフチル基、プロピルナフチル基等のアルキルアリール基;ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基などのアリールアルキル基等が挙げられる、これらの中でも、耐熱性及び音響防止性の点から、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基及びアルキルアリール基が好ましい。
一般式(X−1)で表される化合物は、例えば、OCN−R1−NCOで表されるジイソシアネートと、R2NH2、R34NH又はR5OHで表される化合物もしくはこれらの混合物とを、基油中、10〜200℃で反応させることにより得られる。なお、原料化合物を表す式中のR1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ一般式(X−1)で表される化合物に係るR1、R2、R3、R4、R5と同義である。
増ちょう剤の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。増ちょう剤の含有量が3質量%未満であると、増ちょう剤の添加効果が不十分となり、グリース組成物を十分にグリース状にすることが困難となる。また、増ちょう剤の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。増ちょう剤の含有量が35質量%を超えると、グリース組成物が過剰に硬くなって十分な潤滑性能を得ることが困難となる。
下記一般式(4)−a,b,c,d,e,f又はgで表される化合物:
本発明のグリース組成物は、下記一般式(4)−a,b,c,d,e,f又はgで表される少なくとも一種類の化合物をさらに含有していてもよい。
Figure 2008214605
式中、R4は置換アルキル基、フェニル基又は複素環基を表し、それらは少なくとも一つの、二価のC8以上のアルキレン基、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖、オリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖又はジスルフィド基を含む置換基によって置換されている。
前記一般式(2)中のトリアリールメラミン母核の少なくとも一つのR1が水素原子の場合には、上記重合体と水素結合を介して錯合体を形成し(Liquid Crystals,1998,Vol.24,No.3,pp407−411参照)、ポリマーの溶解性、ガラス転移点、液晶の場合は相転移温度が著しく変化するものと考えられる。従って、粘度指数向上能や低摩擦化、耐摩耗性についてもさらに向上するものと推察される。前記一般式(4)−a〜gのいずれかで表される化合物を含有する態様では、該化合物は、前記重合体のメソゲン基に対して0.1〜6当量含有されるのが好ましく、0.5〜1.5当量含有されるのがより好ましい。
前記一般式(4)−a〜gで表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008214605
Figure 2008214605
ちょう度:
本発明のグリース組成物は、40℃における混和ちょう度が480以下であり、好ましくは205〜395、より好ましくは220〜395、さらに好ましくは265〜350、よりさらに好ましくは自動給脂の可能なことから280〜320である。混和ちょう度が205未満ではグリースが硬くなりすぎる場合があり、480を超えるとグリースが柔らかすぎて、グリース漏洩を起こすおそれがある。
なお、ちょう度は、JIS K 220−1993の項目5.3に規定されており、資料容器に入れ平らにならした資料に規定の円錐を5秒間自重により貫入させ、その深さのmmの10倍をちょう度と規定している。混和ちょう度とは、混和器中の資料を25℃に保持したあと、資料を60ストローク混和した直後に測定したちょう度で、NLGIのちょう度区分に使用され、JISの各種グリースの番号もこれによっている。
基油:
本発明のグリース組成物は、さらに基油を含有しているのが好ましい。本発明のグリース組成物に用いられる基油は、鉱油、油脂及び合成油のいずれであってもよい。
鉱油としては、石油精製業の潤滑油製造プロセスで通常行われている方法により得られる鉱油、より具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の1種又は2種以上の精製手段を適宜組み合わせて得られるパラフィン系又はナフテン系等の鉱油を挙げることができる。
また、油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、ひまわり油、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、あるいはこれらの水素添加物等が挙げられる。
生分解性油としては、たとえばナタネ油、ヒマワリ油、大豆油などの、植物の果実や種子などから採取される、生分解性を有する種々の植物油又は合成油でも特開平6−1989に開示されているポリオールエステル油が好適に使用される。合成油であっても、生分解性の評価法であるCEC(欧州規格諮問委員会)規格Lー33ーT82に規定された方法に準じて、通常21日後の生分解率が67%好ましくは80%以上の生分解性を有するものを我々は生分解性油とする。
また、合成油としては、例えば、ポリオレフィン油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油、ビフェニル油、ジフェニルアルカン油、ジ(アルキルフェニル)アルカン油、エステル油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油、ふっ素化合物(パーフルオロポリエーテル、ふっ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油等が挙げられ、これらの中でも、摩擦特性の点からポリオレフィン油及びシリコーン油が好ましく用いられる。
ポリオレフィン油としては、任意のものが使用できるが、これらの中でも炭素数2〜12のオレフィンを1種又は2種以上重合させたものが好ましい。また、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、又は炭素数5〜12の直鎖状末端オレフィン(以下、α−オレフィンと呼ぶ)を1種又は2種以上重合させたものがより好ましい。
これらの中でも、エチレンとプロピレンとの共重合体;エチレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとの共重合体;ポリブテン、ポリイソブテン、又は炭素数5〜12のα−オレフィンの重合体が好ましく、エチレンと炭素数5〜12のα−オレフィンの共重合体、炭素数5〜12のα−オレフィンの重合体がより好ましい。本明細書において、エチレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとの共重合体とは、エチレンと炭素数5〜12のα−オレフィン1種、もしくは2種以上が重合した共重合体をいい、炭素数5〜12のα−オレフィンの重合体とは、炭素数5〜12のα−オレフィン1種が重合した単独重合体、もしくは2種以上が重合した共重合体をいう。
上記のエチレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとの共重合体及び炭素数5〜12のα−オレフィンの重合体の平均分子量は500〜4000であることが好ましい。
また、シリコーン油としては、ジメチルシリコーン油、メチルフェニルシリコーン油、フェニルシリコーン油、フルオロシリコーン油等が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル油は、脂肪族炭化水素ポリエーテルの水素原子をフッ素原子で置換した化合物であれば使用できる。そのようなパーフルオロポリエーテル油を例示すれば、以下式I及び式IIで示される側鎖を有するパーフルオロポリエーテルと、式III〜式Vで示される直鎖状のパーフルオロポリエーテルとがある。これらは単独でもまた混合しても使用できる。m、nは整数である。
式Iの市販品としてはフォンブリンY(モンテジソン社商品名)を、式IIの市販品としてはクライトックス(デュポン社商品名)やバリエルタJ オイル(クリーバー社商品名)を、式IIIの市販品としてはフォンブリンZ(モンテジソン社商品名)を、式IVの市販品としてはフォンブリンM(モンテジソン社商品名)を、式Vの市販品としてはデムナム(ダイキン社商品名)等をそれぞれ例示できる。
式I
Figure 2008214605
式II
Figure 2008214605
式III
Figure 2008214605
式IV
Figure 2008214605
式V
Figure 2008214605
芳香族エステル油は、好ましくは下記式(II)で表されるトリメリット酸エステル油である。
Figure 2008214605
式中R4、R5、R6は炭素数が6〜10の炭化水素基であり、R4、R5、R6は互いに同一であっても異なるものであってもよい。また、これらの炭化水素基は飽和又は不飽和の直鎖又は分岐アルキル基を表す。
また、一般式(III)で表されるピロメリット酸エステル油も好ましい。
Figure 2008214605
式中R7、R8、R9、R10は炭素数が6〜15の炭化水素基であり、R7、R8、R9、R10は互いに同一であっても異なるものであってもよい。また、これらの炭化水素基は飽和又は不飽和の直鎖又は分岐アルキル基を表す。
耐熱性に優れた基油としてはポリフェニルエーテル油、シリコーン油、フッ素油等が知られているが、ポリフェニルエーテル油、フッ素油やシリコーン油は非常に高価であり、フッ素油やシリコーン油は一般的に潤滑性が悪い。これに対して上記トリメリット酸エステル油やピロメリット酸エステル油のような芳香族エステル油は、耐熱性、耐酸化性、耐摩耗性に優れた特性を有する。特に、上記一般式(II)、(III)式で表される芳香族エステル油は流動点も低く、粘度指数も高いので、極低温から高温まで使用環境を要求される自動車電装補機用転がり軸受には好適に使用される。尚且つ、安価であり、入手性もよい。
このようなトリメリット酸エステルとして、花王(株)製「トリメックスT−08」、「N−08」、旭電化工業(株)製「アデカプルーバーT−45」、「T−90、PT−50」「UNIQEMA EMKARATE8130」、「EMKARATE9130」、「EMKARATE1320」等を市場から入手できる。また、ピロメリット酸エステルとして、旭電化工業(株)製「アデカプルーバーLX−1891」、「アデカプルーバーLX−1892」、Cognis社製「BISOLUBETOPM」等を市場から入手できる。これらは、流動点が低く、本発明に好適に使用できる。
本発明では、下記式(I)又は(II)の特定のジフェニルエーテル油を含有する基油を用いるのも好ましい。かかる基油を用いると、より高温、例えば、160℃を越える高温でも優れた潤滑性を長期に維持できるグリース組成物が得られる。また、このグリース組成物を封入することにより高温での潤滑性能に優れ、長寿命の転動装置が得られ、特に自動車電装部品や自動車エンジン補機等の高温高速で使用される部位に好適に使用できる。
Figure 2008214605
一般式(I)において、R1、R2は、同一又は異なる直鎖もしくは分岐鎖パーフルオロアルキル基、又はその部分置換体を表す。ここで、パーフルオロアルキル基の部分置換体とは、フッ素原子又は水素原子の一部が塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、水酸基、チオール基、アルコキシ基、エーテル基、アミノ基、ニトリル基、ニトル基、スルホニル基、スルフィニル基あるいはエステル基、アミノ基、アシル基、アミド基、カルボキシル基等のカルボニル含有基等の置換基で置換されたもの、あるいは主鎖の一部がエーテル構造のものである。
また、R1、R2中の炭素数は1〜25であり、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3である。炭素数が25より多くなると、原料の入手あるいは合成が困難となる。
更に、R1、R2中のフッ素原子数/炭素原子数の比は0.6〜3、好ましくは1〜3、より好ましくは1.5〜3である。
一般式(II)において、R3、R4、R5中の1つは水素原子で、残りの2つは同一又は異なる分岐アルキル基を表す。また、炭素数は10〜26、好ましくは12〜24である。炭素数が10未満では蒸発量が多くなり、26より多くなると低温での流動性が乏しくなり、使用上問題になる。具体的には、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコシル基等が挙げられ、これらの分岐を有するものでもよい。
基油中の上記一般式(I)又は一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油の割合は、50〜100質量%、好ましくは60〜80質量%である。50質量%未満であると耐熱性が不十分となる。併用可能な潤滑油としては、エステル系合成油及びポリα−オレフィン油が好ましい。
本発明のグリース組成物には、基油としてトラクショングリース用基油を用いてもよい。トラクショングリース用基油の好ましい例には、シクロヘキサン環、デカリン環、ビシクロヘプタン環、ビシクロオクタン環等の環状構造を分子内に有する炭化水素が含まれる(特開2000−109871号公報参照) 例えば、シクロヘキサン環を有する飽和炭化水素化合物としては、特公平3−80191号、特公平2−52958号、特公平6−39419、特公平6−92323号等各公報に記載の化合物が、デカリン環を有する飽和炭化水素化合物としては、特公昭60−43392号、特公平6−51874公報に記載の化合物が、ビシクロヘプタン環を有する飽和炭化水素化合物としては、特公平5−31914号、特公平7−103387 号等各公報に記載の化合物、例えば、1−(1−デカリル)−2−シクロヘキシルプロパン;1−シクロヘキシル−1−デカリルエタン;1,3−ジシクロヘキシル−3−メチルブタン;2,4−ジシクロヘキシルペンタン;1,2−ビス(メチルシクロヘキシル)−2−メチルプロパン;1,1−ビス(メチルシクロヘキシル)−2−メチルプロパン;2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタンが、また、ビシクロオクタン環を有する飽和炭化水素化合物としては、特開平5−9134号等公報に記載の公知の化合物を用いることができる。なお、不飽和炭化水素、特にベンゼン環を有するものは、環境へ悪い影響を及ぼすことが多いので好ましくない。
上記に記載した潤滑油基油は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上の異なる潤滑油基油を混合して使用してもよい。
なお、本発明のグリース組成物において、摩擦特性の観点からはシリコーン油が好ましく用いられるが、電気接点等が潤滑箇所の近傍にある場合、シリコーン油は、電気接点等に影響を及ぼすおそれがある。したがって、電気接点等への影響の防止の点からは、シリコーン油以外の潤滑油基油を用いることが好ましい。具体的には、鉱油、ポリオレフィン油、エステル油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油が好ましい。
また、潤滑油基油として鉱油を使用すると、樹脂製部材に対する濡れ性が不十分となり、鉱油を含まない潤滑油基油を用いた場合と比較して、潤滑性や低摩擦性等の摩擦特性が不十分となる場合がある。したがって、潤滑性や低摩擦性等の摩擦特性の点からは、鉱油以外の潤滑油基油を用いることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン油、シリコーン油、エステル油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油が好ましい。
また、潤滑油基油としてエステル油を使用すると、樹脂製部材やゴム製部材に悪影響を与える場合がある。したがって、樹脂製部材やゴム製部材への悪影響の防止の点では、エステル油以外の潤滑油基油を用いることが好ましい。具体的には、鉱油、ポリオレフィン油、シリコーン油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油が好ましい。
したがって、摩擦特性、電気接点等への影響の防止性、及び、樹脂製部材やゴム製部材への悪影響の防止性を高水準でバランスよく達成するには、ポリオレフィンが好ましく、中でも、エチレンとプロピレンとの共重合体;エチレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとの共重合体;ポリブテン、ポリイソブテン、又は炭素数5〜12のα−オレフィンの重合体がより好ましく、エチレンと炭素数5〜12のα−オレフィンの共重合体、炭素数5〜12のα−オレフィンの重合体が更に好ましい。
前記基油の100℃における動粘度は、グリース組成物が適度な粘性を保つために、1〜2000mm2/sであることが好ましく、3〜1000mm2/sであることがより好ましく、5〜500mm2/sであることが更に好ましい。
前記基油の含有量は、組成物全体基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。基油の含有量が50質量%未満であると、良好な潤滑性を得ることが困難となる傾向にある。また、基油の含有量は組成物全体基準で、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下である。基油の含有量が95質量%を超えると、グリース組成物を十分にグリース状にすることが困難となる傾向にある。
他の添加剤:
本発明のグリース組成物には、その性質を損なうことがない限りにおいて、必要に応じて、固体潤滑剤、ワックス、極圧剤、酸化防止剤、油性剤、さび止め剤、粘度指数向上剤、導電性物質等を含有させることができる。
固体潤滑剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素、フラーレン、黒鉛、フッ化黒鉛、メラミンシアヌレート、二硫化モリブデン、Mo−ジチオカーバメート、硫化アンチモン、アルカリ(土類)金属ほう酸塩等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、天然ワックス、鉱油系ないしは合成系の各種ワックスが例示でき、具体的にはモンタンワックス、カルナウバワックス、高級脂肪酸のアミド化合物、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス等が挙げられる。
極圧剤を配合することにより、耐荷重性や極圧性を向上させることができる。例えば以下の化合物を使用できる。有機金属系のものとしては、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオリン酸モリブデン等の有機モリブデン化合物、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジチオリン酸亜鉛、亜鉛フェネート等の有機亜鉛化合物、ジチオカルバミン酸アンチモン、ジチオリン酸アンチモン等の有機アンチモン化合物、ジチオカルバミン酸セレン等の有機セレン化合物、ナフテン酸ビスマス、ジチオカルバミン酸ビスマス等の有機ビスマス化合物、ジチオカルバミン酸鉄、オクチル酸鉄等の有機鉄化合物、ジチオカルバミン酸銅、ナフテン酸銅等の有機銅化合物、ナフテン酸鉛、ジチオカルバミン酸鉛等の有機鉛化合物、マレイン酸スズ、ジブチルスズスルファイド等の有機スズ化合物、あるいは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の有機スルホネート、フェネート、ホスホネート、金、銀、チタン等の有機金属化合物も必要なら使用できる。硫黄系化合物としては、ジベンジルジスルフィド等のスルフィドあるいはポリスルフィド化合物、硫化油脂類、無灰系カルバミン酸化合物類、チオウレア系化合物、もしくはチオカーボネート類等を使用することができる。リン酸系極圧剤としては、トリオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル等のリン酸エステル系化合物を使用することができる。また、その他、塩素化パラフィン等のハロゲン系の極圧剤、あるいは、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、ポリ四フッ化エチレン、硫化アンチモン、窒化硼素などの硼素化合物等の固体潤滑剤を使用することができる。これらの極圧剤の中でジチオカルバミン酸系化合物やジチオリン酸系化合物を好適に使用できる。
酸化防止剤としては、ゴム、プラスチック、潤滑油等に添加する老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤から適宣選択して使用できる。例えば、以下の化合物が使用できる。すなわち、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ジピリジルアミン、フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、p,p'−ジオクチルジフェニルアミン、N,N'−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系化合物等が使用できる。またフェノール系酸化防止剤が使用できる。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ジブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、2,2'−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などが挙げられる。
油性剤としては、例えば、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸類;ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル等の脂肪酸エステル類;ラウリルアミド、ミリスチルアミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、オレイルアミド等のアミド類;油脂等が挙げられる。
さび止め剤としては、例えば、水溶性無機不働態化剤として亜硝酸塩、金属石けん類;有機スルホン酸塩類、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール部分エステル類;アミン類;リン酸;リン酸塩等が挙げられる。
不動態化酸化剤は、転がり軸受を構成する鋼などの金属表面に対して不動態化を起こさせる酸化剤であり、たとえば亜硝酸塩、硝酸塩、クロム酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩等のカソード復極型の無機腐食抑制剤を使用する。
カルボン酸系防錆剤としては、ラウリン酸、ステアリン酸等の直鎖脂肪酸、ナフテン核を有する飽和カルボン酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルキルコハク酸ハーフエステル、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、コハク酸イミド等のコハク酸誘導体、ヒドロキシ脂肪酸、メルカプト脂肪酸、ザルコシン誘導体、ワックスやペトロラタムの酸化物等の酸化ワックス等を挙げることができる。また、カルボン酸塩系防錆剤としては、脂肪酸、ナフテン酸、アピエチン酸、ラノリン脂肪酸、アルケニルコハク酸、ヒドロキシ脂肪酸、アミノ酸誘導体等の金属塩等が挙げられる。尚、金属元素としてはコバルト、マンガン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、バリウム、リチウム、マグネシウム、銅等が挙げられる。
このような金属石けん類は、潤滑油の保持はもちろん、混入する水をある程度保持しながらその増ちょう効果も維持できるので、耐水性の保持に好ましい。
多価アルコールエステルを添加したグリース組成物が知られている。多価アルコールとしてはグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の脂肪族多価アルコールが挙げられる。多価アルコールとエステルを形成する脂肪酸はRCOOHで表される化合物で、Rは飽和又は不飽和の炭化水素基を表す。脂肪酸としては高級脂肪酸が好ましく、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、牛脂酸、ステアリン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、サビニン酸、リシノール酸、ベヘニン酸等が挙げられる。
これら水酸基の一部がブロックされた多価アルコールの中で、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、特にソルビタントリオレエートが好ましい。ポリ−α−オレフィン油等と組み合わせて使用することにより、錆止め性能をより向上させることができる。また、有機スルホン酸塩、脂肪酸エステル又は両者の混合物もさび止め剤として知られている。有機スルホン酸塩は、スルホン酸(RSO3H)の塩であり、一般にRSO3Mとして表される。スルホン酸としては、例えば石油スルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸が挙げられる。また、Mとしては、バリウム、カルシウム、亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシウム等の金属及び、NH4、H2N(CH22NH2等のアミン等が挙げられる。上記の中でも、スルホン酸のカルシウム塩又はナトリウム塩が好ましい。脂肪酸エステルは、酸成分としてはコハク酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、アルコール成分としては、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらの中で、コハク酸エステルが好ましい。
有機スルホン酸塩はこの他、耐熱性、耐加重性を向上させることが知られている。過塩基性カルシウムスルホネートは低温での潤滑性能が優れており、耐久寿命効果の向上、フレッチング抑制や冷時異音の抑制に効果的である。
その他、金属不活性化剤としてベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、チアジアゾールなどが知られている。
増粘剤としては、例えば、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリスチレン等が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートは、寒冷地での冷時異音防止の効果も知られている。
一般に食品機械等の回転支承部には潤滑剤封入転がり軸受等が用いられる。しかしながら、これらの鉱油系グリース組成物は、機械運転中に飛散して食品に接触する可能性もあり、食品衛生上好ましいとは言えない。また、グリース中に細菌が混入するおそれもあり、食品に影響を与える可能性も十分に考えられる。このような問題を解決するグリース組成物として、抗菌剤として抗菌性ゼオライトを含有するグリース組成物等が知られている。また、安全性のために天然抗菌剤が好ましい。具体的には、キトサン類、カテキン類、孟宗竹、カラシ、ワサビ精油等が代表的である。その他、リンゴ、ブドウ、柑橘類に多く含まれるコロイド状のペクチン、必須アミノ酸であるL−リジンが直鎖状につながったポリリジン、サケ、マス、ニシン等の成熟精巣に含まれる塩基性のたんぱく質であるプロタミン、オランダビユの種実の抽出物、ローズマリー、セイジ、タイム等のシソ科植物の乾燥した葉部から得られる香辛料、ハトムギの疎水性有機溶媒抽出物、イリオモテアザミ根茎抽出エキス、ハチの巣から得られるプロポリス等多数の抗菌性物質が使用できる。
その中でも、各種の食中毒に効果が大きいカテキン類が好適である。その中でも茶葉に含まれる水溶性成分である、エピガロカテキン、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、カテキン等が好ましい。一般的にはこれらカテキン類は水溶性であるので、界面活性剤を少量添加して使用するのが好ましいが、グリース組成物の場合、増ちょう剤が界面活性剤としての役割も果たすため、さらに界面活性剤を添加する必要はない。
また、本発明のグリース組成物は、摺動部近傍に配置されるゴムに対しても高い適合性を有する。かかるゴムとしては、特に限定されないが、具体的には、ニトリル、クロロプレン、フッ素、エチレン−プロピレン、アクリル及びこれらの複合物等が挙げられる。
転がり軸受に起こる静電気は、その放射ノイズが複写機の複写画像に歪みなどの悪影響を及ぼすことが知られているが、導電性物質の共存はその抑制に効果的である。導電性物質は、グリース全量の2〜10質量%添加される。導電性物質の中でも、カーボンブラック及びグラファイトが好適であり、それぞれ単独で、あるいは両者を混合して使用することができる。混合して使用する場合は、合計量で上記の添加量とする。また、カーボンブラック及びグラファイトは、平均粒径10〜300nmのものが好ましい。
また、導電性物質は、極圧剤の項で述べた耐剥離剤としても効果があることが知られている。この導電性物質は、特開2002−195277号公報等に記載されているように、水素イオンが原因の白色剥離を抑える効果がある。
グリースの断熱性をあげるために、中空フィラーやシリカ粒子を加えたり、逆に伝熱、放熱性を促進するために銅などの金属粉を添加することも知られている。
難燃性に優れた潤滑グリース組成物としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、炭酸塩等の粉体をリチウム石けんグリースに添加したもの、シリコーングリースに炭酸カルシウムと白金化合物を添加したもの、グリースに吸水性ポリマーと水を含ませたものが知られている。
[機械要素]
本発明は、少なくとも互いに異なる周速で運動可能な二面と、該二面の間に配置された本発明のグリース組成物を含む機械要素に関する。本明細書において、「機械要素」とは、トライボ機械要素すなわち摺動する機械部位の滑り要素、転がり要素、伝導要素、密封要素を意味する。機械の特徴を一言でいえば「動くもの」であるので、ほとんどの機械はトライボ要素をもつ。動くことによって、まず慣性力が加わるために破壊、振動・騒音の問題が生じ、さらにトライボ要素では摩擦・摩耗・漏れといったトライボロジーのトラブルが生じる。この破壊、振動・騒音、トライボロジートラブルが機械の3大トラブルであり、従って、本発明はこれらのトラブルを未然に防ぐために効果的な技術であり、本明細書の機械要素は、その技術が関わるトライボ要素なのである。
二面の周速については特に制限されない、例えば、焼結含油軸受の場合は0.01〜10m/sec程度の周速で、二面の周速差はも同様であり、回転機械用動圧軸受のスラスト軸受の場合は、10〜120m/sec程度の周速で、二面の周速差も同様である。
具体的には、転がり軸受、すべり軸受、焼結軸受、ギャ、バブル、コック、オイルシール、電気接点等の摺動部個体間接触部の潤滑及び保護を目的として使用される。例えば、自動車のハブユニット、トラクションモータ、燃料噴射装置、オルタネータ等の耐熱性、低温性、耐荷重性などが要求される軸受、自動車の動力伝達装置、パワーウィンドゥモータ、ワイパ等の耐摩耗性、低摩擦特性、高トルク効率が要求されるギャ部、情報機器に使用されるハードディスク、フレキシブルディスク記憶装置、コンパクトディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ等の低トルク、低アウトガス性が要求される軸受、真空ポンプ、樹脂製造装置、コンベア、木材産業機器、クロムコーティング機器等に使用される軸受やギャ等の摺動部、ブレーカ、遮断器、リレー、スイッチ等に使用されている電気機器の電気接点部に使用されている金属表面を有効に保護する。
運動する二面の材質については特に制限されず、本発明のグリース組成物は、鋼鉄、鋼鉄以外の各種金属、金属以外の無機又は有機材料、及びこれらの混合体のいずれに対しても、低摩擦性及び耐摩耗性に優れる。
鋼鉄の例には、機械構造用炭素鋼、ニッケルクロム鋼材・ニッケルクロムモリブデン鋼材・クロム鋼材・クロムモリブデン鋼材・アルミニウムクロムモリブデン鋼材などの構造機械用合金鋼、ステンレス鋼、マルチエージング鋼などが含まれる。
鋼鉄以外の各種金属、又は金属以外の無機もしくは有機材料も広く用いられる。
金属以外の無機もしくは有機材料としては、各種プラスチック、セラミック、カーボン等、及びその混合体などが挙げられる。より具体的には、鋼鉄以外の金属材料としては、鋳鉄、銅・銅−鉛・アルミニウム合金、その鋳物及びホワイトメタルが挙げられる。
有機材料としては、すべての汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素樹脂、四フッ化エチレン樹脂(PFPE)、ポリアリレート、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド、ポリピロメリットイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド(PI)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、ABS/ポリカーボネートアロイ等に適用される。
これらの樹脂は、各種部品や部材として成形品や樹脂層を形成し、これらが他の樹脂や金属と接触する個所にこのグリース組成物が適用される。具体的には、例えば電動パワーステアリング、ドアミラー等によって代表される自動車電装品の摺動部、軸受、樹脂ギヤ部、ラジカセ、VTR、CDプレーヤ等音響機器の樹脂ギヤ部、レーザービームプリンターによって代表されるプリンター、複写機、ファックス等のOA機器の樹脂ギヤ部、自動車用各種アクチュエータ、エアシリンダ内部の摺動部などを形成する樹脂材料と他の樹脂材料又は金属材料との接触個所に有効に適用される。
無機材料としては、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニア(ZrC)、窒化チタン(TiN)などのセラミックス;及びカーボン材料が挙げられる。またこれらの混合体として、プラスチックにガラス、カーボン又はアラミドなどの繊維を複合化した有機−無機複合材料、セラミックと金属の複合材料サーメットなどが挙げられる。
一部が鉄鋼以外の材料からなっている場合としては、鋼材の表面の少なくとも一部が、鉄鋼以外の金属材料、又は金属材料以外の有機もしくは無機材料からなる膜で被覆されていてもよい。被覆膜としては、ダイヤモンドライクカーボンの薄膜等の磁性材料薄膜、及び有機もしくは無機多孔質膜などが挙げられる。
また、前記二面の少なくとも一方の面に、多孔性焼結層を形成して、かかる多孔質層にグリース組成物を含浸させて、摺動時に摺動面にグリース組成物が適宜供給されるように構成してもよい。前記多孔質層は、金属材料、有機材料及び無機材料のいずれからなっていてもよい。具体的には、焼結金属、ジルコン酸カルシウム(CaZrO3)とマグネシア(MgO)の微粒子が互いに強く結合して形成されるような多孔質セラミックス、シリカとホウ酸系成分を熱的に相分離させることにより得られる多孔質ガラス、超高分子量ポリエチレン粉末の焼結多孔質成形体、四フッ化エチレン等フッ素樹脂系多孔質膜、ミクロフィルターなどに用いられるポリスルホン系多孔質膜、予め成形体の貧溶媒とその成形体形成モノマーを重合時相分離を起こさせて形成される多孔質膜などが挙げられる。
金属又は酸化金属焼結層としては、銅系、鉄系又はTiO2系の粉末を焼結することにより形成される多孔質層が挙げられる。銅系金属焼結層は、鋳鉄基板の上に銅粉末(例えば、88質量%)、スズ(例えば、10質量%)及び黒鉛(例えば、2質量%)の混合物を設置し、250MPaで圧縮形成したものを還元気流中で、高温、例えば770℃程度で、約一時間焼結することによって形成することができる。また、鉄系金属焼結層は、鋳鉄基板上に、鉄粉末に銅粉末(例えば、3質量%)及び化学炭素(0.6質量%)を添加した混合物を設置して、250MPaで圧縮成形したものを還元気流中で高温、例えば770℃程度で、約一時間焼結することによって形成することができる。また、TiO2焼結層は、Ti(OC817−n)(例えば、33質量%)、TiO2の微粉末(例えば、57質量%)及びPEO(分子量MW=3000)の混合物を、鋳鉄上に設置して、UV光を照射しつつ560℃に3時間加熱焼結することによって形成される。
なお、これらの多孔質層によって被覆される材料については特に限定されず、上述したセラミックス、樹脂、有機−無機複合材料や、勿論鋼鉄であってもよい。
前記ダイヤモンドライクカーボン薄膜等の磁性材料薄膜等の被膜は、表面処理によって形成することができる。表面処理の詳細については、日本トライボロジー学会編 トライボロジーハンドブック 第一版 (2001年)B編 第三章 表面改質 544−574頁に記載されていて、本発明の機械要素の作製にいずれも利用することができる。表面処理は、一般的に、表面改質によるトライボロジー特性の改善を目的になされるものであるが、機械要素の駆動には低摩擦や耐摩耗性だけでなく、駆動する環境の要請に応じて低騒音、耐食、化学安定、耐熱、寸法安定、低アウトガス、生体親和、抗菌など多様な材料特性が併せて要求されることが多く、従って、本発明においては、表面処理は、トライボロジー特性の改善を目的になされるものに限定されない。表面処理法としては、
1) 真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、イオン注入による物理蒸着(PhisicalVaporDeposition)法による、アルミニウム、銅、銀、金、クロム、モリブデン、タンタルまたその合金膜、窒化チタン、窒化クロム、炭化チタン、炭化クロム等のセラミックス、酸化アルミニウム、二酸化珪素、ケイ化モリブデン、酸化タンタル、チタン酸バリウム等の酸化膜の形成;
2) 熱、プラズマ、光などによる化学蒸着(ChemicalVaporDeposition)法を用いた各種金属、WC、TiC、B4Cなどの炭化物、TiN、Si34などの窒化物、TiB2、W23などのホウ化物、Al23、ZrO2などの酸化物膜、CrW、Ti金属を含有したアモルフォスカーボン膜、フッ素含有カーボン膜、プラズマ重合膜の形成;
3) 浸炭、窒化、浸硫、ホウ化処理などの拡散被覆法(化学反応法)による表層部分の耐摩耗性、耐焼きつき性などの特性を付与する方法;及び
4) 電気めっき、無電解めっきなどのめっき法による金属、複合金属膜などがあげられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例に制限されるものではない。
下記表1〜3に示す組成のグリース(実施例1〜11)をそれぞれ調製した。また、各種潤滑剤基油を用いて下記表3に示す組成のグリース(比較例1〜4)をそれぞれ調製した。なお、実施例1〜11で用いたポリマーは、上述の文献に記載の合成方法に従って製造した。例えば、DSP-37は、J.Mater.Chem.,第8巻,1号,47頁(1998年))に記載の方法に従い合成した。
摩擦試験を実施し、摩擦係数及び摩耗痕深さを測定した。なお、実施例における摩擦係数は、往復動型摩擦試験機(SRV 摩擦摩耗試験機)を用いて測定し、下記の試験条件で摩擦試験を行った。実施例1〜5の結果を表1に、実施例6〜9の結果を表2に、比較例1〜4の結果を表3に示した。
(試験条件)
試験条件はボール−オンプレートの条件で行った。
試験片(摩擦材):SUJ−2
プレート:φ24×6.9mm
ボール: φ10mm
温度: 120℃
荷重: 300N
振幅: 1.0mm
振動数: 50Hz
試験時間: 試験開始30分後を測定。
Figure 2008214605
Figure 2008214605
Figure 2008214605
Figure 2008214605
本発明によれば、種々の内燃機関及び工作機械等の機械器具や部品の摺動部等に用いられる潤滑用グリースとして有用なグリース組成物を提供することができる。

Claims (31)

  1. 少なくともメソゲン構造を側鎖に有する重合体の一種と、増ちょう剤の一種とを含有するグリース組成物。
  2. 前記メソゲン構造が、円盤状である請求項1に記載のグリース組成物。
  3. 前記重合体が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を少なくとも有する重合体である請求項1又は2に記載のグリース組成物:
    Figure 2008214605
    一般式(1)において、Chainは、少なくともLを置換基とする主鎖を構成するモノマー由来の繰り返し単位であり;Dは環状のメソゲン基を表し;R0は、環状のメソゲン基Dに置換可能な最大数以下のk個(kは0以上の整数)の置換基を表し、k個のR0は互いに同一であっても異なっていてもよく;Lは各々独立に二価の連結基を表し;但し、R0及びLの少なくとも一つは、C5以上のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含む。
  4. 前記重合体が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を少なくとも有する重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリース組成物:
    一般式(2)
    Figure 2008214605
    一般式(2)において、Chainは、少なくともLを置換基とする主鎖を構成するモノマー由来の繰り返し単位であり;Xは独立してN(R1)、S、又はOを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;R1は水素原子又はアルキル基を表し;R2は各々置換基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;mは0〜4の整数及びnは0〜5の整数を各々表し、式中の複数のnは各々同一であっても異なっていてもよく;Lは各々二価の連結基を表し;但し、R2及びLの少なくとも一つは、C5以上のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含む。
  5. 前記重合体が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を少なくとも有する重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリース組成物:
    Figure 2008214605
    一般式(3)において、Chainは、少なくともLを置換基とする主鎖を構成するモノマー由来の繰り返し単位であり;R3は各々置換基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;m'は0〜3の整数及びn'は0〜4の整数を各々表し、式中に複数存在するn'は同一であっても異なっていてもよく;Lは二価の連結基を表し;但し、R3及びLの少なくとも一つは、C5以上のアルキレン鎖、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖又はオリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖を含む。
  6. 前記一般式(1)中、Dが、下記式[a]〜[h]のいずれかで表される環状のメソゲン基ある請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリース組成物:
    Figure 2008214605
    式中*は、L及び/又はR0と結合可能な部位を意味する。
  7. 前記重合体の重量平均分子量が、5,000〜200,000である請求項1〜6のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  8. 前記重合体が、(メタ)アクリレート系重合体、ポリエチレンオキシド系重合体又はポリシロキサン系重合体である請求項1〜7のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  9. 前記重合体を、全質量中0.1〜30質量%含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  10. 前記重合体を、平均粒径10nm〜10μmの分散粒子として含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  11. 前記重合体とは異なる重合体の少なくとも一種をさらに含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  12. 下記一般式(4)−a,b,c,d,e,f又はgで表される少なくとも一種類の化合物をさらに含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のグリース組成物:
    Figure 2008214605
    式中、R4は置換アルキル基、フェニル基又は複素環基を表し、それらは少なくとも一つの、二価のC8以上のアルキレン基、オリゴアルキレンオキシ鎖、オリゴシロキシ鎖、オリゴパーフルオロアルキレンオキシ鎖又はジスルフィド基を含む置換基によって置換されている。
  13. 前記重合体が、側鎖に下記一般式(6)で表されるオルガノポリシロキサン基をさらに含む請求項1〜12のいずれか1項に記載のグリース組成物:
    Figure 2008214605
    式(6)中、Rは独立に、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜18の一価炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;R1は独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;xは5〜120の整数を表し、yは0又は1を表す。
  14. 前記重合体が、側鎖に下記一般式(7)で表されるポリフッ化アルキル基又はポリフッ化アルキルエーテル基をさらに含む請求項1〜12のいずれか1項に記載のグリース組成物:
    Figure 2008214605
    式(7)中、Rfは炭素数1〜15のパーフルオロアルキル基を表し、m、n、p及びqは0又は1以上の整数であり、m+n+p+qは2〜200であり;rは0又は1であり、rが0のときはsは1で、Rfは炭素数12以上のパーフルオロアルキル基であり、rが1のときはsは0又は1を表す。
  15. 前記重合体が、側鎖にエステル結合を含む請求項1〜14のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  16. 前記重合体が、側鎖に下記一般式(8)で表される二価基を含む請求項1〜15のいずれか1項に記載のグリース組成物:
    Figure 2008214605
    式(8)中、nは2以上の整数を表す。
  17. さらに基油を含有する請求項1〜16のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  18. 前記基油を、全質量中70〜99.9質量%含有する請求項17に記載のグリース組成物。
  19. 前記基油として、シリコーン油の少なくとも一種を含有する請求項17又は18に記載のグリース組成物。
  20. 前記基油として、ポリフッ化アルキルエーテル油の少なくとも一種を含有する請求項17〜19のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  21. 前記基油として、下記一般式(9)又は一般式(10)で表されるジフェニルエーテル油の少なくとも一種を含有する請求項17〜20のいずれか1項に記載のグリース組成物:
    Figure 2008214605
    式(9)中、R2及びR3は各々独立に、直鎖又は分枝鎖状パーフルオロアルキル基又はその部分置換体を表し、炭素原子数は1〜25であり、かつR2、R3のフッ素原子数/炭素原子数の比は0.6〜3である;
    Figure 2008214605
    式(10)中、R4、R5及びR6の一つは水素原子であり、他は各々独立に、直鎖又は分枝鎖状アルキル基を表し、炭素原子数は1〜26である。
  22. 前記基油として、カルボエステル基を有する側鎖を少なくとも三本有する芳香族エステル油の少なくとも一種を含有する請求項17〜21のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  23. 前記基油として、生分解性油の少なくとも一種を含有する請求項17〜22のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  24. 前記基油として、炭化水素基の炭素数が6〜15の芳香族エステル油の少なくとも一種を含有する請求項17〜23のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  25. 前記基油が、少なくとも(A)α−アルキルスチレン2〜3量体水素化物、又は(B)シクロペンタジエン類と、α−オレフィン類及びモノビニル芳香族炭化水素類の少なくとも一方とからなる3〜6量体を主成分とし、ノルボルネン環の二重結合上の水素量(ND)とシクロペンタジエン環の二重結合上の水素量(CD)との比(ND/CD)が0.9〜1.3であるシクロペンタジエン系縮合環炭化水素の水素化物、又は(C)シクロヘキサン環、デカリン環、ビシクロヘプタン環及びビシクロオクタン環のいずれかの環状構造を分子内に有する飽和炭化水素系合成炭化水素から選ばれる一種である請求項17又は18に記載のグリース組成物。
  26. 前記増ちょう剤がウレア系化合物であり、且つ前記重合体が主鎖及び/又は側鎖に互変異性基を含む請求項1〜25のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  27. 前記増ちょう剤がリチウム石けんであり、且つ前記重合体が、主鎖及び/又は側鎖に互変異性基を含む請求項1〜25のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  28. 40℃における混和ちょう度が205〜395である請求項1〜27のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  29. 少なくとも互いに異なる周速で運動可能な二面、及び該二面の間に配置された請求項1〜28のいずれか1項に記載のグリース組成物を含む機械要素。
  30. 前記二面の少なくとも一方の面が、樹脂からなる請求項29に記載の機械要素。
  31. 前記二面の少なくとも一方の面が、ダイヤモンドライクカーボン又はセラミックである請求項29に記載の機械要素。
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