JP2008214560A - 接着剤組成物、それを用いた接着剤シート、カバーレイフィルムおよび銅張積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハロゲンフリーでありながら良好な難燃性を示すとともに、接着性、絶縁性および半田耐熱性に優れた新規な接着剤組成物、およびこれを用いた接着剤シート、カバーレイフィルムおよび銅張積層板を提供すること。
【解決手段】(A)メラミンまたはその誘導体、(B)リン非含有エポキシ樹脂、(C)硬化剤、(D)リン含有エポキシ樹脂および(E)ホスファゼン化合物を含有する接着剤組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)メラミンまたはその誘導体、(B)リン非含有エポキシ樹脂、(C)硬化剤、(D)リン含有エポキシ樹脂および(E)ホスファゼン化合物を含有する接着剤組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、接着剤組成物およびそれを用いた接着剤シート、カバーレイフィルムならびに銅張積層板に関する。
近年、環境への影響が社会問題として重要視される中、電気・電子製品に要求される難燃性規制は、人体に対する安全性を考慮したより高い安全性に移行しつつある。すなわち電気・電子製品は単に燃えにくいだけでなく、有害ガスや発煙の発生が少ないことが要望されている。従来、電子部品を搭載するガラスエポキシ基板、銅張積層板、フレキシブル印刷回路基板、封止材において、火災防止・遅延などの安全性の理由から、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールAを中心とする誘導体(臭素化エポキシ樹脂等)が広く一般に使用されていた。しかしながら、このような臭素化エポキシ樹脂は優れた難燃性を有するものの、熱分解により腐食性の臭素及び臭化水素を発生するだけでなく、酸素存在下で分解した場合には、毒性の強いポリブロムジベンゾフランおよびポリブロムジベンゾジオキシンが生成する可能性がある。
一方、難燃剤として上記臭素化合物の代わりに窒素、リン化合物を用いた接着剤が提案されている。例えば、エポキシ樹脂、リン化合物、硬化剤およびNBRゴムを主成分とする樹脂組成物(例えば、特許文献1−2参照)が提案されているが、リン化合物の加水分解により多量のイオン成分が生じるため、絶縁性、接着性、半田耐熱性などが不十分であった。また、ホスファゼン化合物、ポリエポキシ化合物、硬化剤、硬化促進剤、合成ゴムおよび無機充填剤を含有する接着剤組成物(例えば、特許文献3−4参照)が提案されているが、接着性、半田耐熱性を十分に満足することは困難であった。さらに、リン含有エポキシ樹脂、硬化剤、合成ゴムおよび無機充填剤を含有する接着剤組成物(例えば、特許文献5参照)、エポキシ樹脂、硬化剤、合成ゴムおよびメラミンシアヌレート、硼酸メラミンなどの窒素含有化合物を含有する接着剤組成物(例えば、特許文献6参照)などが提案されている。しかしながら、難燃性、接着性、絶縁性、半田耐熱性の特性すべてを十分に満足する接着剤組成物は見出されていなかった。
特開2001−339131号公報
特開2001−339132号公報
特開2001−19930号公報
特開2002−60720号公報
特開2002−20715号公報
特開2005−132859号公報
本発明は、ハロゲンフリーでありながら良好な難燃性を示すとともに、接着性、絶縁性および半田耐熱性に優れた新規な接着剤組成物、およびこれを用いた接着剤シート、カバーレイフィルムおよび銅張積層板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は主として次の構成を有する。すなわち、(A)メラミンまたはその誘導体、(B)リン非含有エポキシ樹脂、(C)硬化剤、(D)リン含有エポキシ樹脂および(E)ホスファゼン化合物を含有する接着剤組成物である。
本発明によれば、ハロゲンフリーでありながら良好な難燃性を示し、接着性、絶縁性および半田耐熱性にも優れる接着剤組成物、およびこれを用いた接着剤シート、カバーレイフィルム、銅張積層板を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の接着剤組成物は、(A)メラミンまたはその誘導体、(B)リン非含有エポキシ樹脂、(C)硬化剤、(D)リン含有エポキシ樹脂、(E)ホスファゼン化合物を含有する。
本発明用いられる(A)メラミンまたはその誘導体は、接着剤組成物に難燃性を付与する。(A)メラミンまたはメラミン誘導体は、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。一分子中に下記一般式(1)で表される構造を2以上有してもよい。また、(A)メラミンまたはメラミン誘導体の窒素含有量は、難燃性をより向上させる観点から、一分子中10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。
上記式中、R1〜R6は水素原子または炭素数1〜20の有機基を示す。
このような例として、メラミン、メレム、メラム、メチロールメラミン、メラミンと酸性化合物との塩類、例えばメラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミンなどが挙げられる。吸水性、耐熱性、絶縁性などの観点から、メラミン、メラミンシアヌレートがより好ましい。
本発明に用いられる(A)メラミンまたはその誘導体は、多くの場合粉末状である。樹脂、溶媒への分散性、接着剤膜特性に与える影響から、平均粒径が10μm以下のものが好ましく、さらに好ましくは5μm以下である。また分散性を向上させるために、シランカップリング処理などの表面処理を施したものでもかまわない。ここで、平均粒径はレーザー回析散乱法等で測定した粒度分布において、累積重量が50%となる径をいう。平均粒径が10μm以下の(A)メラミンまたはその誘導体として、具体的には、“Melapur”(登録商標) MC15(メラミンシアヌレート、チバスペシャリティケミカル(株)製)、“PHOSMEL”(登録商標)−100(ポリリン酸メラミン、日産化学工業(株)製)などが挙げられる。
(A)メラミン誘導体化合物の含有量は、形成される接着剤層の強度、接着剤組成物の塗工性などの点から、後述する(B)リン非含有エポキシ樹脂100重量部に対し、450重量部以下が好ましい。接着性、半田耐熱性、難燃性のバランスをより向上させるために、20重量部以上300重量部以下が好ましい。さらに好ましくは、50重量部以上200重量部以下である。
本発明に用いられる(B)リン非含有エポキシ樹脂は、ハロゲン、リンを含まないものであれば特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、多官能性グリシジルアミン樹脂、多官能性フェノールジグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。中でもビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、具体的には“EPICLON”(登録商標)830(大日本インキ(株)製)、“jER”(登録商標)1001(ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPOTOHTO YD−128(東都化成(株)製)などが挙げられる。
本発明に用いられる(C)硬化剤は、前記(B)リン非含有エポキシ樹脂および後述する(D)リン含有エポキシ樹脂の硬化剤として作用し、かつハロゲンを含まないものであれば特に限定されない。例えば、芳香族ポリアミンである3,3’5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホンなどやフェノールノボラック樹脂、ジシアンジアミド、酸無水物などが挙げられる、これらを2種以上用いてもよい。具体的には、“jERキュア” (登録商標) DICY7(ジャパンエポキシレジン(株)製)、“SEIKACURE−S”(セイカ(株)製)などが挙げられる。
(C)硬化剤の含有量は、硬化性及び硬化樹脂物性のバランスなどの点から、前記(B)リン非含有エポキシ樹脂と後述する(D)リン含有エポキシ樹脂のエポキシ基総量に対する活性水素の当量比で、通常0.2〜10.0当量、より好ましくは0.4〜5.0当量である。
本発明に用いられる(D)リン含有エポキシ樹脂は、構造中にリンを含有するエポキシ樹脂であれば特に特に限定されないが、前記(B)リン非含有エポキシ樹脂との相溶性に優れ、リン含有率が2重量%以上であるものが好ましい。具体的には“EPICLON”(登録商標) EXA−9710(大日本インキ(株)製)、EPOTOHTO FX−289(東都化成(株)製)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
(D)リン含有エポキシ樹脂の含有量は、塗工性の観点から、前記(B)リン非含有エポキシ樹脂100重量部に対し500重量部以下が好ましい。難燃性、絶縁性のバランスをより向上させるために、20重量部以上300重量部以下がより好ましい。
本発明に用いられる(E)ホスファゼン化合物は、下記一般式(2)または(3)で表される環状または直鎖状のホスファゼン化合物である。具体的にはSPB−100(大塚化学(株)製)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
上式一般式(2)中、nは3〜25の整数を示す。Rは置換または非置換のアリール基を示す。上記一般式(3)中、Xは−N=P(OPh)3又は−N=P(O)OPhを示し、Yは−P(OPh)4又は− P(O)(OPh)2を示す。mは3〜1000の整数を示す。Rは置換または非置換のアリール基を示す。
成膜時の安定性などの点から、(E)ホスファゼン化合物の融点は80℃以上が好ましい。また、ホスファゼン化合物が2種以上の混合物である場合、それを分離・精製して用いてもよい。分離・精製法は特に限定されないが、再沈殿、GPCなどの手法が挙げられる。
(E)ホスファゼン化合物の含有量は、形成される接着剤層の膜強度の観点から、前記(B)リン非含有エポキシ樹脂100重量部に対し、1000重量部以下が好ましい。難燃性、耐熱性のバランスをより向上させるために、50重量部以上400重量部以下がより好ましい。
また、上記(A)〜(E)成分以外に、必要に応じてフェノール樹脂、硬化促進剤、エラストマー、フェノキシ樹脂などを含有することは特に制限されるものではない。例えば、フェノール樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等の公知のフェノール樹脂が挙げられる。あるいは、フェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、p−フェニルフェノール等のアラルキル置換フェノール、テルペン、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレン、アントラセン等の骨格を有するもの、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾルシノール、ピロガロール等の多官能性フェノール、メラミン変性又はトリアジン変性フェノール等の窒素含有フェノールからなる樹脂が挙げられる。
また、硬化促進剤としては三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の有機酸、ジシアンジアミド等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
その他、エラストマーとしては、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム(以下NBR−Cと称する)等の変性タイプを挙げることができる。例えばNBR−Cの例として、アクリロニトリルとブタジエンを約10/90〜50/50のモル比で共重合させた共重合ゴムの末端基をカルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンとアクリル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性単量体の三元共重合ゴムなどが挙げられる。具体的なNBR−Cとしては、PNR−1H(日本合成ゴム(株)製)、“Nipol”(登録商標)1072J、“Nipol”(登録商標)DN612、“Nipol”(登録商標)DN631J(以上日本ゼオン(株)製)、“ハイカー”(登録商標)CTBN(BFグッドリッチ社製)等が挙げられる。含有量は前記(B)リン非含有エポキシ樹脂100重量部に対し、0から1000重量部が好ましい。
その他、樹脂の弾性率向上等の目的でビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、あるいはそれらの共重合体フェノキシ樹脂などを含有することができる。具体的な例としては、PHENOTOHTO YP−40(東都化成(株)製)等が挙げられる。
さらに上記成分以外に必要に応じて微粒子状の無機粒子剤を含有してもよい。微粒子状の無機粒子剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物等の金属水酸化物や、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、タルク等の金属酸化物、アルミニウム、金、銀、ニッケル、鉄等の金属微粒子、あるいはカーボンブラック、ガラスが挙げられるが、特に難燃性の点で水酸化アルミニウムが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。無機粒子の平均粒径は透明性と分散安定性を考慮すると、0.2〜5μmが好ましい。具体的には“HIGILITE”(登録商標)H42I(昭和電工(株)製)などが挙げられる。
また、接着剤の特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、イオン補足剤、加硫促進剤、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドやその誘導体と、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、トルキノン、1,4−ナフトキノン等が反応して得られる化合物や各種リン酸エステル(PX−200、CR−733S 大八化学工業(株)製)などのリン化合物、1,2,3ベンゾトリアゾールなどの銅箔腐食防止剤、シリコーン系化合物などの有機、無機成分を含有することは何ら制限されるものではない。
本発明の接着剤シートは、1層以上の剥離可能な保護層と、前記接着剤組成物から形成される少なくとも1層の接着剤層を有する。保護層は、接着剤層およびそれを用いた接着剤シートの形態を損なうことなく剥離できれば、その材質は特に限定されない。例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックからなるフィルムや紙、シリコーンあるいはフッ素化合物のコーティング処理を施したポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、およびこれらをラミネートした紙などが例示できる。保護層の厚みは5〜200μmが好ましい。
接着剤シートの構成例としては、例えば、剥離可能なポリエステルフィルム(12.5〜150μm)/接着剤層(10〜100μm)/剥離可能なポリエステルフィルム(12.5〜150μm)が挙げられる。また、それぞれの保護層の接着剤層に対する剥離力をF1、F2(F1>F2)としたとき、F1−F2は好ましくは5N/m以上、さらに好ましくは10N/m以上である。F1−F2が5N/m以上であれば、片面の保護層を安定して剥離することができる。また、剥離力F1、F2はいずれも1〜200N/mが好ましく、より好ましくは3〜150N/m、さらに好ましくは3〜100N/mである。この範囲であれば、保護層の脱落を防止でき、かつ、容易に剥離することができる。
上記の剥離可能な保護層は、加工時に視認性が良いように、例えば顔料による着色が施されていてもよい。これにより、先に剥離する側の保護層が簡便に認識できるため、誤使用を避けることができる。
本発明の接着剤シートの例として、テープオートメーティッドボンディング(TAB)用接着剤付きテープがある。このTAB用接着剤付きテープの主な構成としては、ポリイミドフィルム(12.5〜150μm)/接着剤層(5〜200μm)/剥離可能なポリエステルフィルム(12.5〜150μm)等が挙げられる。
本発明のカバーレイフィルムは、絶縁性樹脂フィルムと、上記接着剤組成物から形成される少なくとも1層の接着剤層を有する。絶縁性樹脂フィルムとしては、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックからなるフィルムが例示できる。具体的には“カプトン”(登録商標、ポリイミドフィルム、東レ・デュポン(株)製)や“アラミカ”(登録商標、アラミドフィルム、帝人アドバンストフィルム(株)製)などが例示できる。カバーレイフィルムの主な構成としては、ポリイミドフィルムまたはアラミドフィルム等の有機絶縁性フィルム(12.5〜125μm)/接着剤層(5〜50μm)/剥離可能な保護層(12.5〜125μm)等が挙げられる。
本発明の銅張積層板は、前記接着剤から形成される接着剤層と、絶縁性樹脂フィルムと銅箔を有する。絶縁性樹脂フィルムとしては、先にカバーレイフィルムの絶縁性樹脂フィルムとして例示したものを挙げることができる。銅箔としては、一般的に圧延銅箔、電解銅箔等を用いることができるが、FPCの屈曲特性をより安定させる上で、圧延銅箔が好適である。銅張積層板の主な構成としては、例えば片面品:銅箔(9〜35μm)/接着剤層(5〜20μm)/ポリイミドフィルム(12.5〜125μm)、両面品:銅箔(9〜35μm)/接着剤層(5〜20μm)/ポリイミドフィルム(12.5〜125μm)/接着剤層(5〜20μm)/銅箔(9〜35μm)等が挙げられる。
次に、本発明の接着剤シートおよび銅張積層板、カバーレイフィルム、テープオートメーティッドボンディング(TAB)用接着剤付きテープの製造方法を例示して説明する。
(1)接着剤シートの作製:本発明の接着剤組成物を溶剤に溶解した塗料を、両面ともに離型処理を行ったポリエステルフィルム上に塗布、乾燥して接着剤層を形成する。接着剤層の膜厚は10〜100μmが好ましい。乾燥条件は一般的に、100〜200℃、1〜5分である。溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトン、メチルエチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、Nメチルピロドリン等の非プロトン系極性溶剤が挙げられる。これらを単独あるいは2種以上用いることができる。
接着剤層上にさらに高い離型性を有するポリエステルあるいはポリオレフィン系の保護フィルムをラミネートして、本発明の接着剤シートを得る。さらに接着剤厚みを増す場合は、接着剤層を複数回積層すればよく、場合によってはラミネート後に、例えば40〜100℃で1〜200時間エージングして接着剤層の硬化度を調整してもよい。
(2)銅張積層板の作製:リン非含有エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ホスファゼン化合物、硬化剤、および必要によりエラストマー等を溶剤に溶解し、樹脂溶液を作製する。溶剤としては、MEK(メチルエチルケトン)、MIBK(メチルイソブチルケトン)、CB(クロロベンゼン)、DMAc(ジメチルアセトアミド)等が挙げられる。この樹脂溶液にメラミン化合物、必要により無機フィラーなどの溶媒に不溶な化合物を分散させ、接着剤溶液を作製する。メラミン化合物等の分散には、超音波分散器などを用いることが一般的である。この接着剤溶液をバーコータで、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン(株)製“カプトン”(登録商標)50H−P)に約10μmの乾燥厚さとなるように塗布し、150℃で5分間乾燥し、接着剤層を形成する。この接着剤層に、シリコーン離型剤付きの厚さ25μmのポリエステルフィルムをラミネートして接着剤シートを得る。その後、上記接着剤シートのポリエステルフィルムをはがして、1/2ozの圧延銅箔の非光沢面に130℃、2.7MPaでラミネートし、その後エアオーブン中で、150℃×5時間の加熱を行い、銅張積層板を作製する。両面銅張積層板を作製する場合は、上記のように片面接着剤シートを作製した後、反対側の面に再度同様に接着剤層を形成し、両面接着剤シートを作製し、その両面に銅箔をラミネートすればよい。
(3)カバーレイフィルムの作製:上記(2)と同様の方法で調合した接着剤溶液を用いて、バーコータで、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン(株)製“カプトン”(登録商標)50H−P)に約30μmの乾燥厚さとなるように塗布し、150℃で5分間乾燥し、接着剤層を形成する。この接着剤層に、シリコーン離型剤付きの厚さ25μのポリエステルフィルムをラミネートしてカバーレイフィルムを得る。その後、接着剤の浸みだし量が適正になるように、50℃×10〜50時間のエージングを施し、接着剤層の硬化度を調整することが一般的である。
(4)テープオートメーティッドボンディング(TAB)用接着剤付きテープの作製:ポリイミド等の絶縁性フィルムに接着剤組成物溶液をコーティング法により塗工、乾燥して接着剤層を形成した後、所定の幅にスリットし、接着剤付きテープを得る。また、離型性を付与したポリエステルフィルム等の保護フィルム上に接着剤組成物溶液をコーティング法により塗工、乾燥して接着剤層を形成した後、29.7〜60.6mmの規格幅にスリットした接着剤付きテープを、幅35〜70mmの規格幅の絶縁性フィルムの中央部に100〜160℃、10N/cm、5m/分の条件で熱ロールラミネートする方法でTAB用接着剤付きテープ形状として用いてもよい。
発明の接着剤シート、カバーレイフィルム、銅張積層板の用途としては、例えば銅張積層板およびカバーレイフィルムからなるフレキシブルプリント回路基板、複数のフレキシブルプリント回路基板を接着剤シートを用いて重ね合わせた多層銅張積層回路基板や、リジッド積層板とフレキシブルプリント回路基板を接着剤シート等を用いて積層したフレックスリジッド回路基板、TAB用基板、各種パーケージ用途(CSP、BGA)などが挙げられる。なお、一般的なTAB用基板の製造方法および半導体接続用回路基板の製造方法は以下の通りである。
(5)TAB用基板の製造方法例
上記(4)に記載の方法で得られたのTAB用接着剤付きテープに3〜35μmの電解または圧延銅箔を、110〜180℃、30N/cm、1m/分の条件でラミネートする。必要に応じてエアオーブン中で、80〜300℃、1〜24時間段階的加熱硬化処理を行い、TAB用基板を作製する。この際に、銅箔張り合わせ前に接着剤付きテープサンプルにデバイス孔およびハンダボール孔を穿孔してもよい。
上記(4)に記載の方法で得られたのTAB用接着剤付きテープに3〜35μmの電解または圧延銅箔を、110〜180℃、30N/cm、1m/分の条件でラミネートする。必要に応じてエアオーブン中で、80〜300℃、1〜24時間段階的加熱硬化処理を行い、TAB用基板を作製する。この際に、銅箔張り合わせ前に接着剤付きテープサンプルにデバイス孔およびハンダボール孔を穿孔してもよい。
(6)半導体接続用回路基板の製造方法例
上記(2)に記載の方法で得られた銅張積層板、(5)に記載の方法で得られたTAB用基板の銅箔面に、常法によりフォトレジスト膜形成、エッチング、レジスト剥離、電解金メッキ、ソルダーレジスト膜形成を行い、半導体接続用回路基板を作製する。
上記(2)に記載の方法で得られた銅張積層板、(5)に記載の方法で得られたTAB用基板の銅箔面に、常法によりフォトレジスト膜形成、エッチング、レジスト剥離、電解金メッキ、ソルダーレジスト膜形成を行い、半導体接続用回路基板を作製する。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例の説明に入る前に銅張積層板、カバーレイフィルムの各評価方法について述べる。
(1)各特性の評価方法
A.剥離強度(ピール)
銅張積層板および35μmの電解銅箔(日鉱金属(株)製、JTC銅箔)の光沢面に、カバーレイフィルムを160℃×30分×4MPaの条件でプレスし、JIS−C6481に準拠して行った。
<銅張積層板(CCL)の剥離強度>
銅張積層板にエッチングにより2mm幅の銅箔パターンを作製し、テンシロン(オリエンテック(株)製、UTM−11−5HR型)を用いて2mm幅の銅箔を90度方向に引き剥がした場合の強度を測定した(引張速度:50mm/分)。
<カバーレイフィルム(CL)の剥離強度>
カバーレイフィルムのポリイミド表面に2mm幅の切れ込みを入れ、テンシロン(オリエンテック(株)製、UTM−11−5HR型)を用いて2mm幅のポリイミドを90度方向に引き剥がした場合の強度を測定した(引張速度:50mm/分)。
A.剥離強度(ピール)
銅張積層板および35μmの電解銅箔(日鉱金属(株)製、JTC銅箔)の光沢面に、カバーレイフィルムを160℃×30分×4MPaの条件でプレスし、JIS−C6481に準拠して行った。
<銅張積層板(CCL)の剥離強度>
銅張積層板にエッチングにより2mm幅の銅箔パターンを作製し、テンシロン(オリエンテック(株)製、UTM−11−5HR型)を用いて2mm幅の銅箔を90度方向に引き剥がした場合の強度を測定した(引張速度:50mm/分)。
<カバーレイフィルム(CL)の剥離強度>
カバーレイフィルムのポリイミド表面に2mm幅の切れ込みを入れ、テンシロン(オリエンテック(株)製、UTM−11−5HR型)を用いて2mm幅のポリイミドを90度方向に引き剥がした場合の強度を測定した(引張速度:50mm/分)。
B.半田耐熱性
JIS−C6481(1996)に準拠した方法で行った。銅張積層板(CCL)およびカバーレイフィルム(CL)を30mm角にカットし、40℃、90%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、すみやかに所定の温度(240℃〜320℃)の半田浴上に30秒浮かべ、ポリイミドフィルムの膨れおよび剥がれのない最高温度を測定した。
JIS−C6481(1996)に準拠した方法で行った。銅張積層板(CCL)およびカバーレイフィルム(CL)を30mm角にカットし、40℃、90%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、すみやかに所定の温度(240℃〜320℃)の半田浴上に30秒浮かべ、ポリイミドフィルムの膨れおよび剥がれのない最高温度を測定した。
C.難燃性
<銅張積層板(CCL)の難燃性>
両面銅張積層板の銅箔をエッチングにより剥離し、ISBN 0−7629−0082−2に記載の方法に従いUL−94難燃試験を行った。
<カバーレイフィルム(CL)の難燃性>
前記方法で両面銅張積層板の銅箔を剥離させた難燃試験用銅張積層板の両面にカバーレイフィルムを160℃×30分×4MPaの条件でプレスし、ISBN 0−7629−0082−2に記載の方法に従いUL−94難燃試験を行った。
<銅張積層板(CCL)の難燃性>
両面銅張積層板の銅箔をエッチングにより剥離し、ISBN 0−7629−0082−2に記載の方法に従いUL−94難燃試験を行った。
<カバーレイフィルム(CL)の難燃性>
前記方法で両面銅張積層板の銅箔を剥離させた難燃試験用銅張積層板の両面にカバーレイフィルムを160℃×30分×4MPaの条件でプレスし、ISBN 0−7629−0082−2に記載の方法に従いUL−94難燃試験を行った。
D.線間絶縁抵抗
JIS−C6471(1995)に記載のサンプルを作製し、同規格に基づき抵抗値を測定した。
JIS−C6471(1995)に記載のサンプルを作製し、同規格に基づき抵抗値を測定した。
実施例1
リン非含有エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、“jER”(登録商標)834)、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−305)、硬化剤(セイカ(株)製4,4’―DDS、SEICACURE−S)、ホスファゼン化合物(大塚化学(株)製、SPB−100)、カルボキシル化NBR(日本合成ゴム(株)製、PNR−1H)を表1の組成比(単位:固形分重量部)となるように加え、超音波分散器を用いて分散したメラミン化合物(チバスペシャリティケミカル(株)製 メラミンシアヌレート、“Melapur”(登録商標)MC15)の20%ジメチルアセトアミド溶液をさらに加え、70℃で攪拌、混合して接着剤溶液を作製した。この接着剤をバーコーダーで、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン(株)製“カプトン”(登録商標)50H−P)に約10μmの乾燥厚みとなるように塗布し、150℃で5分間乾燥し、シリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエステルフィルムをラミネートして接着剤シートを得た。同作業をもう一度繰り返すことによって得た両面銅張積層板用接着剤シートに、1/2ozの圧延銅箔(日鉱金属(株)製、BHY箔)の非光沢面を合わせるようにラミネートし、銅張積層板を作製した。また同接着剤を用いて、バーコーダーで、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン(株)製“カプトン”(登録商標)50H−P)に約30μmの乾燥厚みとなるように塗布し、150℃で5分間乾燥し、シリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエステルフィルムをラミネートしてカバーレイフィルムを得た。特性を表1に示す。
リン非含有エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、“jER”(登録商標)834)、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製、FX−305)、硬化剤(セイカ(株)製4,4’―DDS、SEICACURE−S)、ホスファゼン化合物(大塚化学(株)製、SPB−100)、カルボキシル化NBR(日本合成ゴム(株)製、PNR−1H)を表1の組成比(単位:固形分重量部)となるように加え、超音波分散器を用いて分散したメラミン化合物(チバスペシャリティケミカル(株)製 メラミンシアヌレート、“Melapur”(登録商標)MC15)の20%ジメチルアセトアミド溶液をさらに加え、70℃で攪拌、混合して接着剤溶液を作製した。この接着剤をバーコーダーで、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン(株)製“カプトン”(登録商標)50H−P)に約10μmの乾燥厚みとなるように塗布し、150℃で5分間乾燥し、シリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエステルフィルムをラミネートして接着剤シートを得た。同作業をもう一度繰り返すことによって得た両面銅張積層板用接着剤シートに、1/2ozの圧延銅箔(日鉱金属(株)製、BHY箔)の非光沢面を合わせるようにラミネートし、銅張積層板を作製した。また同接着剤を用いて、バーコーダーで、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン(株)製“カプトン”(登録商標)50H−P)に約30μmの乾燥厚みとなるように塗布し、150℃で5分間乾燥し、シリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエステルフィルムをラミネートしてカバーレイフィルムを得た。特性を表1に示す。
実施例2〜21、比較例1〜9
表1〜3に示した原料および組成比(単位:固形分重量部)で調合した接着剤を用い、実施例1と同様の方法で銅張積層板とカバーレイフィルムを作製した。特性を表1〜3に示す。
表1〜3に示した原料および組成比(単位:固形分重量部)で調合した接着剤を用い、実施例1と同様の方法で銅張積層板とカバーレイフィルムを作製した。特性を表1〜3に示す。
なお、表1〜3に記載した各成分は次のとおりである。
“EPICLON”(登録商標)830:ビスフェノールF型フェノキシ樹脂(大日本インキ(株)製)
DICY7:ジシアンジアミド(ジャパンエポキシレジン(株)製)
EXA−9748:リン含有エポキシ樹脂(大日本インキ(株)製)
YP−40:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(東都化成(株)製)
H42I:水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製)。
“EPICLON”(登録商標)830:ビスフェノールF型フェノキシ樹脂(大日本インキ(株)製)
DICY7:ジシアンジアミド(ジャパンエポキシレジン(株)製)
EXA−9748:リン含有エポキシ樹脂(大日本インキ(株)製)
YP−40:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(東都化成(株)製)
H42I:水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製)。
実施例1〜21、比較例1〜9から、本発明により得られる銅張積層板、カバーレイフィルムは、良好な難燃性を有し、接着性、半田耐熱性、電気絶縁性に優れることがわかる。
Claims (5)
- (A)メラミンまたはその誘導体、(B)リン非含有エポキシ樹脂、(C)硬化剤、(D)リン含有エポキシ樹脂および(E)ホスファゼン化合物を含有する接着剤組成物。
- 請求項1または2に記載の接着剤組成物から形成される接着剤層と、1層以上の剥離可能な保護層を有する接着剤シート。
- 請求項1または2に記載の接着剤組成物から形成される接着剤層と、絶縁性樹脂フィルムを有するカバーレイフィルム。
- 請求項1または2に記載の接着剤組成物から形成される接着剤層を介して絶縁性樹脂フィルムと銅箔とを接着してなる銅張積層板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007056812A JP2008214560A (ja) | 2007-03-07 | 2007-03-07 | 接着剤組成物、それを用いた接着剤シート、カバーレイフィルムおよび銅張積層板 |
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JP2007056812A JP2008214560A (ja) | 2007-03-07 | 2007-03-07 | 接着剤組成物、それを用いた接着剤シート、カバーレイフィルムおよび銅張積層板 |
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JP2007056812A Pending JP2008214560A (ja) | 2007-03-07 | 2007-03-07 | 接着剤組成物、それを用いた接着剤シート、カバーレイフィルムおよび銅張積層板 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5114597B1 (ja) * | 2012-03-27 | 2013-01-09 | 積水化学工業株式会社 | 積層体及び切断積層体 |
US11742779B2 (en) | 2020-01-03 | 2023-08-29 | C-Motive Technologies, Inc. | Electrostatic motor having fluid management features |
-
2007
- 2007-03-07 JP JP2007056812A patent/JP2008214560A/ja active Pending
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JP5114597B1 (ja) * | 2012-03-27 | 2013-01-09 | 積水化学工業株式会社 | 積層体及び切断積層体 |
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US11811334B2 (en) | 2020-01-03 | 2023-11-07 | C-Motive Technologies, Inc. | Electrostatic motor |
US11870368B2 (en) | 2020-01-03 | 2024-01-09 | C-Motive Technologies, Inc. | Electrostatic motor |
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