JP2008214515A - 顔料分散剤およびその使用 - Google Patents

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Abstract

【課題】無色若しくは淡色の顔料分散剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されることを特徴とする顔料分散剤。
Figure 2008214515

本発明の分散剤は、分散剤は、各種顔料を、CF画素形成用塗布液などの画像表示用着色剤、画像記録用着色剤、塗料、印刷インキなどの分散媒体中に高濃度かつ低粘度に安定に分散させることができる。また、本発明の顔料組成物および顔料着色剤は、特に化学構造や物性の異なる複数の超微粒子顔料を混合して使用され、しかも粘度が低く、長期保存安定性が要求されるCF画素形成用塗布液の着色剤として有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、顔料分散剤(以下単に「分散剤」という場合がある)およびその使用に関し、特に有機顔料用として有用である分散剤、該分散剤を含む顔料組成物、顔料着色剤、特にカラーフィルター(以下単に「CF」という場合がある)の画素の形成に有用な顔料着色剤に関する。
一般に、顔料を、塗料、グラビアインキ、オフセットインキなどのビヒクルに混合分散させる際には、顔料を安定してビヒクル中に分散させることが難しく、ビヒクル中に一旦分散した微細な顔料粒子は、そのビヒクル中で凝集する傾向があり、その結果、顔料が分散されたビヒクルの粘度の上昇、或いは該顔料が分散されたビヒクルを使用したインキや塗料の着色力の低下や塗膜のグロスの低下などを生ずることとなる。
従来、液晶カラーディスプレイ、撮像素子などの製造に使用されるCFは、感光性樹脂液中に赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三色の顔料をそれぞれ分散させたCF画素形成用顔料着色剤(分散液)を、CF用基板にスピンコート法により塗布して着色皮膜を形成し、次いで該着色皮膜をフォトマスクを介して露光および現像して着色皮膜をパターン化し、CF用基板に所望の画素を形成させる方法で主に作成されている。
CFの製造に使用される主な顔料としては、緑色顔料はフタロシアニングリーン、例えば、C.I.ピグメントグリーン(以下PGと称す)36、PG7など:赤色顔料はジケトピロロピロール(以下DPPと称す)系レッド、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下PRと称す)254、アンスラキノン系レッド、例えば、PR177、アゾ系レッド、例えば、PR242など:青色顔料はフタロシアニンブルー、例えば、C.I.ピグメントブルー(以下PBと称す)15:6などが一般的に用いられる。しかしながら、これらの顔料の色相と液晶ディスプレイに要求される色特性には差があり、緑色顔料および赤色顔料には黄色顔料、例えば、C.I.ピグメントイエロ(以下PYと称す)138、PY139、PY150などが補色として少量併用され、青色顔料には紫色顔料、例えば、C.I.ピグメントバイオレット(以下PVと称す)23などが補色として少量使用されている(特許文献1〜3)。
特開平2−187469号公報 特開2004−91497号公報 特開2005−112915号公報
特に、CFのさらなる性能向上の要請から、着色画素の透明性の改善や、着色画素の透過光のコントラストのアップや、着色画素の顔料濃度を高める必要が生じてきた。しかしながら、通常の顔料の分散では、顔料の分散性向上による着色画素の透明性の改良や、顔料濃度が高くなることによる粘度の増大および貯蔵安定性の低下を防止することは困難であり、これらの改善が要望されている。
一般に、顔料を微細な状態で分散させるために、分散剤として顔料誘導体を用いているが、その効果は特定構造の顔料に限定されて、異なる構造の顔料には分散効果がないことが多い。また、青、緑或いは紫の顔料誘導体は、黄色顔料の分散には使用できない。また、分散剤の添加量を多くすると、着色物において色のくすみが生じる。これらの点からあらゆる顔料に使用でき、無色若しくは淡色である顔料誘導体が望まれている。
従って本発明の目的は、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなど)、各種塗料、顔料捺染剤、CF画素形成用着色剤などの画像表示用着色剤、電子写真用乾式トナーまたは湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキなどの画像記録用着色剤の製造に際し、これらのインキなどの着色剤中に分散した顔料粒子の凝集を防止し、流動性に優れ、安定した上記インキなどの製造を可能にする分散剤を提供することである。
本発明の構成は以下の通りである。
1.下記一般式(1)で表されることを特徴とする分散剤。
Figure 2008214515
(ただし、式(1)中のR1、R2は、置換基を有していてもよい複素環基であり、Xは−SR3或いは−NR45で示される有機残基であり、R3は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基またはアラルキル基であり、R4、R5は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、nは化合物へのスルホン基の平均導入個数であり、0.5〜4の数である。)
2.R1またはR2が、アミノフタルイミド残基、アミノカルバゾール残基、アミノベンズイミダゾロン残基およびアミノキノリン残基から選ばれる少なくとも1種の残基である前記1に記載の分散剤。
3.Xが、ジベンジルアミン残基、ジフェニルアミン残基、チオフェノール残基、ベンジルチオール残基およびベンジルアニリン残基から選ばれる少なくとも1種の残基である前記1に記載の分散剤。
4.顔料および分散剤を含有してなる顔料組成物において、前記分散剤が前記1に記載の分散剤であることを特徴とする顔料組成物。
5.分散剤の配合割合が、顔料100質量部に対して0.05〜40質量部である前記4に記載の顔料組成物。
6.前記4に記載の顔料組成物と皮膜形成材料とを含有してなることを特徴とする顔料着色剤。
7.画像表示用着色剤、画像記録用着色剤、印刷インキ、筆記用インキ、プラスチック着色剤、顔料捺染用着色剤或いは塗料着色剤である前記6に記載の顔料着色剤。
8.カラーフィルター画素形成用着色剤である前記7に記載の顔料着色剤。
本発明者らは、顔料濃度が高いCF画素形成用塗布液の調製に際して、上記分散剤を分散剤として使用した場合の前記の問題点を解決し、CF画素形成用塗布液の色品位の向上および低粘度化を可能にする分散剤を開発すべく鋭意研究した結果、前記一般式(1)で表される無色或いはわずかに着色したトリアジン系化合物が、顔料の種類を問わず、添加量を多くしても分散液、塗膜の色相に及ぼす影響が少なく、CF画素形成用塗布液の低粘度化を達成でき、かつ貯蔵時の該塗布液の増粘やゲル化を防止するとともに、CFとして最も重要な特性の一つである着色画素の透明性も向上させることを見い出した。
本発明の分散剤は、各種顔料を、CF画素形成用塗布液などの画像表示用着色剤、画像記録用着色剤、塗料、印刷インキなどの分散媒体中に高濃度かつ低粘度に安定に分散させることができる。また、本発明の顔料組成物および顔料着色剤は、特に化学構造や物性の異なる複数の超微粒子顔料を混合して使用され、しかも粘度が低く、長期保存安定性が要求されるCF画素形成用塗布液の着色剤として有用である。例えば、顔料として、PG36とPY138との組み合わせに使用された場合には、双方の顔料に対して優れた分散安定性を与える効果があることから、優れた分光透過率特性を有し、鮮明で冴えた、透明感の高い、しかも耐光性、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性などの諸堅牢性に優れた緑色画素を形成することができる。
次に好ましい実施形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明の分散剤は、その構造中に無色若しくはわずかに着色したトリアジン構造を有することに特徴があり、本発明の分散剤は種々の顔料に対する優れた親和性を有しており、広範囲の顔料の分散に使用可能である。また、本発明の分散剤は優れた顔料分散効果を有していることより、種々の用途において使用される着色剤の製造に使用することができる。さらに、用途により本発明の分散剤はスルホン酸の第4級アンモニウム塩の形態で、より良い結果が得られる。
本発明を特徴づける分散剤である一般式(1)の化合物は、塩化シアヌル1モルあたり2モルの複素環第1級アミンと、1モルの第2級アミンまたはチオール化合物とを反応させ、必要に応じて生成物をスルホン化することによって得られる。
上記の複素環第1級アミンは、前記一般式(1)における置換基R1およびR2を構成する化合物であり、例えば、3−または4−アミノフタルイミド、3−アミノ−9−エチルカルバゾール、4−または5−アミノベンズイミダゾロン、アミノキノリンおよびこれらのスルホン化物などが挙げられる。これらの複素環第1級アミンは単独でも混合物としても使用できる。特に好ましい複素環第1級アミンとしては、4−アミノフタルイミド、3−アミノ−9−エチルカルバゾール、5−アミノベンズイミダゾロン、アミノキノリンおよびこれらのスルホン化物などが挙げられる。
上記第2級アミンまたはチオール化合物は、前記一般式(1)における置換基Xを構成する化合物であり、例えば、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、N−ベンジル−1−ナフチルアミン、N−メチルアニリンまたはN−ベンジルアニリンおよびこれらのスルホン化物などが挙げられ、チオール類としてはチオフェノール、ベンジルチオールまたはチオナフトールおよびこれらのスルホン化物などが挙げられる。特に好ましい第2級アミンまたはチオール化合物としては、 ジベンジルアミン、チオフェノールおよびこれらのスルホン化物などが挙げられる。
上記第1級アミンと第2級アミンまたはチオール化合物の少なくとも1種がスルホン基を有する場合には、得られる前記一般式(1)の化合物における平均スルホン基が0.5〜4個となるように反応原料を組み合わせる。一方、前記第1級アミンと第2級アミンまたはチオール化合物のいずれもがスルホン基を持たない場合には、得られる生成物をスルホン化することにより、平均スルホン基が0.5〜4個の前記一般式(1)の化合物とすることができる。平均スルホン基が0.5個未満では、分散剤としての効果が十分ではなく、一方、平均スルホン基が4個を越えると該分散剤を含む塗膜などの耐水性が劣る。好ましいスルホン基の平均導入個数は0.5〜2個である。
一般式(1)で表される化合物の1合成例を挙げると、例えば、スルホン基を持たない複素環第1級アミン2モルと塩化シアヌル1モルとをo−ジクロルベンゼンなどの不活性な溶媒中、130〜170℃で2〜6時間反応させ、さらにスルホン基を持たない第2級アミンを添加して150〜170℃で3〜4時間反応させ、次いで生成物を発煙硫酸などの公知のスルホン化剤で常法にしたがってスルホン化させることによって得ることができる。また、一般式(1)で表される化合物を用いて、従来公知の方法によりその金属塩或いはそのアンモニウム塩、若しくはアミン塩を得ることができる。
また、前記一般式(1)で示される化合物とアミン塩を形成するアミンとしては、例えば、(モノ、ジまたはトリ)アルキルアミン類、置換または未置換のアルキレンジアミン類、アルカノールアミン類、アルキルアンモニウムクロライドなどが挙げられるが、特に4級アンモニウム塩が好ましい。また、一般式(1)で示される化合物と金属塩を形成する金属としては、例えば、Li、Na、Kなどのアルカリ金属、Ca、Ba、Al、Mn、Sr、Mg、Niなどの多価金属が挙げられる。
本発明の顔料組成物は、顔料と上記本発明の分散剤とからなる。該顔料組成物における分散剤の顔料に対する配合割合は、顔料100質量部に対して、0.05〜40質量部の割合が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10質量部の割合である。分散剤の配合割合が少なすぎると、目的とする分散剤の効果が十分に得られにくくなる。反対に、分散剤の配合割合が多すぎると、多く用いただけの効果が得られず、逆に、得られた顔料組成物を使用した塗料やインキのビヒクルの諸物性の低下をもたらし、さらには、分散剤自体の持つ色によって分散させるべき顔料の色相が変化する場合がある。
本発明の分散剤の使用によって分散効果が得られる顔料としては、例えば、溶性・不溶性アゾ顔料、高分子量アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、メチン・アゾメチン顔料、アゾメチンアゾ顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、金属錯体顔料などが挙げられる。これらの中でも特にPR177、PR242、PR254、PY138、PY139、PY150、PG7、PG36、ポリ(12〜16)ブロム銅フタロシアニングリーン顔料から選ばれる顔料が好ましい。
また、本発明の分散剤による顔料の分散方法は、特に制限されないが、例えば、次のような方法が挙げられる。
(1)顔料と分散剤とを予め公知の方法で混合し、得られた顔料組成物をビヒクルなどに添加してビヒクル中に顔料を分散させる、
(2)ビヒクルなどに顔料を分散させる際、ビヒクルなどに顔料と分散剤を所定の割合で別々に添加してビヒクル中に顔料を分散させる、
(3)顔料と分散剤をそれぞれビヒクルなどに別々に分散させた後、得られた各分散液を所定の割合で混合し、顔料を分散する、
(4)ビヒクルなどに顔料を分散させて得られた分散液に、分散剤を所定の割合で添加して顔料を分散させる、
などの方法があり、いずれの方法においても目的とする顔料分散効果が得られる。より効果的には、上記(1)または(2)の方法が望ましい。
本発明の顔料組成物は、顔料と前記本発明の分散剤とを従来公知の方法により混合して製造することができ、製造方法は特に限定されない。例えば、1)顔料紛末と分散剤の粉末とを分散機を使用せずに混合する方法、2)顔料と分散剤とをニーダー、ロール、アトライター、横型ビーズミルなどの各種分散機で機械的に混合する方法、3)水系または有機溶剤系などの顔料のサスペンションに、本発明の分散剤を溶解または微分散させた液を添加および混合し、顔料表面に分散剤を均一に沈着させる方法、4)硫酸などの強い溶解力をもつ溶媒に顔料および分散剤を溶解した後、水などの貧溶媒によって共析出させる方法、などがある。このように、顔料組成物を調製する場合、分散剤は、溶液、スラリー、ペーストおよび紛末のどの形態で使用してもよく、いずれの形態でも本発明の効果を発揮させることができる。
本発明の顔料組成物を用いた顔料着色剤は、上記の微細化した顔料組成物および皮膜形成材料として重合体、オリゴマーおよび/またはモノマーを含有してなり、画像表示用着色剤、画像記録用着色剤、印刷インキ、筆記用インキ、プラスチック着色剤、顔料捺染用着色剤、塗料などに使用される。特に画像表示材料としてCF画素形成用着色剤などの画像表示方法に使用され、また、画像記録剤、例えば、インクジェットインク或いは電着記録液、電子写真方式現像剤としてそれぞれインクジェット記録方法或いは電着記録方式、電子写真方式などの画像記録方法に使用される。
画像表示材料の例としてCF画素形成用分散液について述べる。該分散液を調製する場合、本発明の顔料組成物を適当な皮膜形成樹脂を含む有機溶剤溶液に添加してプレミキシングし、分散処理する。例えば、上記顔料組成物を縦型媒体分散機、横型媒体分散機、ボールミルなどの分散機械で均一に混合磨砕し、これを皮膜形成性重合体を含む液中に添加混合する方法、硫酸などに顔料および本発明の分散剤とを溶解した後に、該硫酸溶液を水中に析出させ、両者を固溶体乃至共析体として分離し、得られた顔料組成物を上記と同様に皮膜形成性重合体などを含む液中に添加混合し、ダイノミルなどの横型湿式媒体分散機(ビーズミル)にて磨砕分散する方法などが挙げられる。
本発明において顔料および分散剤を分散させて顔料着色剤にするための皮膜形成性材料を含む液としては、従来公知のCF画素形成用顔料着色剤に使用される皮膜形成性重合体が用いられる。また、液媒体として有機溶剤、水、有機溶剤と水の混合物が使用される。また、必要に応じて従来公知の添加剤、例えば、分散助剤、平滑化剤、密着化剤などの添加剤を顔料着色剤に添加することができる。
上記皮膜形成材料を含む液中の皮膜形成材料に対する顔料組成物の添加質量割合は、皮膜形成材料100質量部に対し、5質量部乃至500質量部の範囲が好ましい。皮膜形成材料を含む液としては、感光性の皮膜形成材料を含む液または非感光性皮膜形成材料を含む液が使用される。感光性の皮膜形成材料を含む液としては、例えば、紫外線硬化性インキ、電子線硬化インキなどに用いられる感光性の皮膜形成材料を含む液が挙げられ、非感光性皮膜形成材料を含む液としては、例えば、凸版インキ、平版インキ、グラビアインキ、スクリーンインキなどの印刷インキに使用するワニス、常温乾燥および焼き付け塗料に使用するワニス、電着塗装に使用するワニス、熱転写リボンに使用するワニスなどが挙げられる。
感光性皮膜形成材料としては、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂など、および不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂などが挙げられ、さらに反応性希釈剤として各種のモノマーを加えることができる。
また、感光性樹脂を含む顔料着色剤にベンゾインエーテル、ベンゾフェノンなどの光重合開始剤を加え、従来公知の方法により練肉することにより、光硬化性の感光性顔料着色剤とすることができる。また、上記の光重合開始剤に代えて熱重合開始剤を使用して熱硬化性顔料着色剤とすることができる。
非感光性の皮膜形成材料の例としては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩、水溶性アミノポリエステル系樹脂などが挙げられる。
次に合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」とあるのは質量基準である。
合成例1
o−ジクロロベンゼン1,100部に、58部の4−アミノフタルイミドと30部の塩化シアヌルを加え、130℃で5時間反応させる。冷却後、70部のジベンジルアミンを添加して140℃で5時間撹拌する。冷却後濾過し、アルコール洗浄、次いで水で洗浄および乾燥して、2,4−ビス(4−フタルイミドアミノ)−6−ジベンジルアミノ−1,3,5−トリアジン72部を得た。次いで、この化合物72部を5%発煙硫酸600部に10℃以下で添加し、その後20℃で5時間反応させる。冷却後、反応混合物を1,800部の氷水中に析出させ、濾過および水洗した。硫黄の元素分析の結果より1分子あたり平均1.1個のスルホン基が導入されている下記の分散剤(A)79部を得た。
Figure 2008214515
合成例2
合成例1のジベンジルアミンの代りにジフェニルアミンを使用した以外は合成例1と同様にして下記分散剤(B)55部を得た。
Figure 2008214515
合成例3
合成例1の分散剤(A)のペースト90部(純量18部)に水240部を加え25℃で1時間攪拌した。これにテトラブチルアンモニウムクロライド11部を加え、1時間攪拌し、濾過、水洗および乾燥し、下記分散剤(C)19部を得た。
Figure 2008214515
合成例4
合成例3において分散剤(A)の代りに分散剤(B)を使用した以外は、合成例3と同様にして下記分散剤(D)18部を得た。
Figure 2008214515
本発明の一般式(1)で表される分散剤は上記の化合物だけでなく下記のようなものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記においてnは何れも0.5〜2.0の範囲である。
Figure 2008214515
Figure 2008214515
Figure 2008214515
実施例1〜4
本発明の分散剤の効果を評価するために、下記配合(1)のグラビアインキを作製した。
配合(1)
・顔料 9.5部
・分散剤(A)〜(D) 0.5部
・硝化綿ワニス 16.0部
・ポリアミドワニス 20.0部
・シンナー 54.0部
顔料としてナフトールAS系モノアゾ顔料(C.I.PR146)を用い、それぞれ合成例1〜4で得られた分散剤(A)(実施例1)、(B)(実施例2)、(C)(実施例3)、および(D)(実施例4)を使用して、上記の配合成分を容器に入れ、ガラスビーズを加えてペイントコンディショナーにて分散させ、4種のグラビア用ポリアミドインキを作製した。
比較例1
分散剤を使用せずにC.I.PR146を10.0部使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、分散剤が未添加のグラビア用ポリアミドインキを作製した。
実施例1〜4のグラビア用ポリアミドインキの粘度および該インキを塗布した展色面のグロスを、比較例1のインキの場合と比較した。それぞれのインキの粘度および展色面のグロスは下記の方法に従って測定し、比較例1のインキとの比較を行なった。
粘度:B型粘度計を用いて、室温(25℃)/30rpmの条件で測定した。
グロス:バーコーター(巻線の太さ0.15mm)を使用して、ポリプロピレンフィルムに展色し、展色面のグロスを目視およびグロスメーターにて比較した。なお、グロスの高いものを良好とし、下記の指標で表記した。
○:良好
△:やや良好
×:不良
以上の結果を表1に示す。
実施例5(顔料組成物(1))
水1000部にC.I.PR146を19.0部加えて分散し、スラリー化する。そこに水50部に合成例1で得られた分散剤(A)1.0部および苛性ソーダ0.1部を分散させてスラリー化したものを加える。その混合スラリーを70℃まで加熱し、pHを4〜5に補正する。20分間撹拌した後、濾過、乾燥、粉砕して、本発明の顔料組成物(1)を19.9部得た。
実施例1の配合(1)の顔料および分散剤の全量を上記の顔料組成物(1)10.0部に代え、その他は実施例1と同様にしてグラビア用ポリアミドインキ(1)を作製した。
実施例6〜8(顔料組成物(2)〜(4))
分散剤(A)の代わりに、それぞれ合成例2〜4で得られた分散剤(B)〜(D)を用いる以外は、実施例5と同様の操作を繰り返し、顔料組成物(2)〜(4)を得た。実施例1の配合(1)の顔料および分散剤の全量を、それぞれ上記の顔料組成物(2)〜(4)の10.0部に代え、その他は実施例1と同様にしてグラビア用ポリアミドインキ(2)〜(4)を作製した。
これらのインキ(1)〜(4)について、実施例1と同様にしてインキの粘度および展色面のグロスを、比較例1のインキの場合と比較した。その結果を表1に示す。
Figure 2008214515
表1に示したように、本発明の分散剤(A)〜(D)を添加したインキ(1)〜(4)において優れた顔料の分散効果が認められた。これらのインキ(1)〜(4)は1週間放置後に粘度を測定しても、比較例1のインキの場合に比べて、粘度の上昇は殆ど認められなかった。また、顔料組成物としてではなく、ビヒクルに顔料と分散剤を別々に添加したものを混合して分散させた場合にも、上記同様に充分な分散剤の効果が得られた。
実施例9〜12(顔料組成物(5)〜(8))
C.I.PR146の代わりにジケトピロロピロール顔料(C.I.PR254)を用い、それぞれ分散剤(A)〜(D)を用いた他は、実施例5と同様の操作を繰り返し、顔料組成物(5)〜(8)を得た。
実施例13〜16(顔料組成物(9)〜(12))
C.I.PR146の代わりに銅フタロシアニングリーン顔料(C.I.PG36)を用い、それぞれ分散剤(A)〜(D)を用いた他は、実施例5と同様の操作を繰り返し、顔料組成物(9)〜(12)を得た。
実施例17〜20(顔料組成物(13)〜(16))
C.I.PR146の代わりに銅フタロシアニン顔料(C.I.PB15:6)を用い、それぞれ分散剤(A)〜(D)を用いた他は、実施例5と同様の操作を繰り返し、顔料組成物(13)〜(16)を得た。
実施例21〜24(顔料組成物(17)〜(20))
C.I.PR146の代わりにジオキザジン顔料(C.I.PV23)を用い、それぞれ分散剤(A)〜(D)を用いた他は、実施例5と同様の操作を繰り返し、顔料組成物(17)〜(20)を得た。
実施例25〜28(顔料組成物(21)〜(24))
C.I.PY146の代わりにベンズイミダゾロン顔料(C.I.PY185)を用い、それぞれ分散剤(A)〜(D)を用いた他は、実施例5と同様の操作を繰り返し、顔料組成物(21)〜(24)を得た。
以上の顔料組成物(5)〜(24)をそれぞれ用い、分散剤の効果を評価するために、下記配合(2)のグラビア用ウレタンインキを作製した。
配合(2)
・顔料組成物(5)〜(24) 10.0部
・硝化綿ワニス 5.0部
・ポリウレタンワニス 35.0部
・シンナー 50.0部
上記の配合成分を容器に入れ、スチールボールを加えてペイントコンディショナーにて分散させ、グラビア用ウレタンインキ(5)〜(24)を作製した。
比較例2〜6
顔料組成物(5)、(9)、(13)、(17)および(21)に代えて、それぞれC.I.PY254(比較例2)、C.I.PG36(比較例3)、C.I.PB15:6(比較例4)、C.I.PV23(比較例5)、およびC.I.PY185(比較例6)を用いる以外は、実施例9、13、17、21および25と同様にして分散剤が未添加の5種のグラビア用ウレタンインキを作製した。
実施例9〜28のインキの粘度および展色面のグロスを、比較例2〜6のインキの場合と比較した。展色面のグロスおよびインキの粘度は、前記グラビア用ポリアミドインキの場合と同様に測定し、比較例2〜6のインキの場合と相対評価を行なった。その結果を表2に示す。
Figure 2008214515
表2に示したように、グラビア用ポリアミドインキの場合と同様に、本発明の分散剤(A)〜(D)のいずれを添加した場合においても、若干差はあるが分散効果が認められた。実施例のインキを1週間放置後に粘度を測定しても、比較例のインキの場合に比べて、粘度の上昇は殆ど認められなかった。
実施例29〜32(顔料組成物(25)〜(28))
C.I.PR146の代わりにC.I.PR177を用い、分散剤としてそれぞれ分散剤(A)〜(D)を用いた他は、実施例5と同様の操作を繰り返し、顔料組成物(25)〜(28)を得た。
これらの顔料組成物(25)〜(28)を用い、分散剤の効果を評価するために下記配合(3)の塗料を作製した。
配合(3)
・顔料組成物(25)〜(28) 6.0部
・アクリルワニス 46.6部
・メラミンワニス 20.0部
・シンナー 30.0部
上記の配合成分を容器に入れて、ガラスビーズを加えてペイントコンディショナーにて分散させ、塗料を作製した。
比較例7
顔料組成物(25)10.0部の代わりに、C.I.PR177を10.0部用いること以外は、実施例29と同様の操作を行なって、分散剤が未添加の塗料を作製した。
これらの塗料の粘度および展色および焼き付けた後の塗面のグロスを、比較例の塗料の場合と比較した。塗料の粘度および展色面のグロスは、下記の方法に従って測定し、比較例の塗料との比較を行なった。
粘度:B型粘度計を用い、室温(25℃)/30rpmの条件で測定した。
グロス:アプリケーター(6ミル)を使用して、アート紙上に展色し、焼き付けた後の塗面のグロスを目視およびグロスメーターにて比較した。なお、グロスの高いものを良好とし、下記の指標で表示した。
○:良好
△:やや良好
×:不良
以上の結果を表3に示す。
Figure 2008214515
表3に示したように、前記の結果と同様に、本発明の分散剤の効果が認められた。上記実施例の塗料を、酸化チタンにより作製した白塗料で濃度を1/10に希釈した淡彩色塗料を作製し、顔料の凝集状態を観察したが、顔料の色分かれや沈降などは認められなかった。
実施例33〜36
それぞれ顔料組成物(1)〜(4)を用い、分散剤の効果を評価するために、下記配合(4)のCF画素形成用着色剤を作製した。
配合(4)
・顔料組成物(1)〜(4) 20.0部
・ポリアクリル酸樹脂 30.0部
・シンナー 50.0部
上記配合成分を容器に入れ、ジルコニアビーズを加えてペイントコンディショナーにて分散させ、CF画素形成用着色剤を作製した。
比較例8
顔料組成物(1)20.0部の代わりに、C.I.PR146を20.0部用いること以外は、実施例33と同様の操作を行なって、分散剤が未添加のCF画素形成用着色組成物を作製した。
前記実施例のCF画素形成用着色剤の流動性と展色面のグロスを比較例の場合と比較した。着色剤の流動性および展色面のグロスは、下記の方法に従って測定し、比較例の場合と相対評価を行なった。
流動性:B型粘度計を用いて、室温(25℃)/30rpmの条件で測定した。グロス:バーコーター(巻線の太さ0.45mm)を使用して、ポリプロピレンフィルムに展色し、展色面のグロスを目視およびグロスメーターにて比較した。なお、グロスの高いものを良好とし、下記の指標で表記した。
○:良好
△:やや良好
×:不良
以上の結果を表4に示す。
Figure 2008214515
表4に示したように、本発明の分散剤を用いた着色剤は、比較例の場合と比較して、高流動特性を示し、本発明の分散剤の効果が認められた。
さらに、本発明の分散剤を添加した顔料を、オフセットインキなどの印刷インキ、ニトロセルロースラッカー、メラミンアルキッド塗料などの各種塗料、塩化ビニール樹脂などの合成樹脂の着色などに使用したが、いずれの場合も顔料は凝集を起こさず、良好な分散性を示した。また、最近、高分散性が特に要求されている電子写真用乾式トナーまたは湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキなどの製造に本発明の分散剤を用いたが、これらの場合にも本発明の分散剤による優れた分散性の効果が認められた。
本発明の分散剤は、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなど)、各種塗料、プラスチック、顔料捺染剤、電子写真用乾式トナーまたは湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、CF画素形成用レジスト、筆記具用インキなどの各用途でのすべてのビヒクルに対し、有機顔料、無機顔料を含めた全ての顔料において、インキおよび塗料などの流動性を著しく改善し、顔料粒子の凝集を防止し、優れた光沢と鮮明性を示す着色された物品を提供することができる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする顔料分散剤。
    Figure 2008214515
    (ただし、式(1)中のR1、R2は、置換基を有していてもよい複素環基であり、Xは−SR3或いは−NR45で示される有機残基であり、R3は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基またはアラルキル基であり、R4、R5は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、nは化合物へのスルホン基の平均導入個数であり、0.5〜4の数である。)
  2. 1またはR2が、アミノフタルイミド残基、アミノカルバゾール残基、アミノベンズイミダゾロン残基およびアミノキノリン残基から選ばれる少なくとも1種の残基である請求項1に記載の顔料分散剤。
  3. Xが、ジベンジルアミン残基、ジフェニルアミン残基、チオフェノール残基、ベンジルチオール残基およびベンジルアニリン残基から選ばれる少なくとも1種の残基である請求項1に記載の顔料分散剤。
  4. 顔料および顔料分散剤を含有してなる顔料組成物において、前記顔料分散剤が請求項1に記載の分散剤であることを特徴とする顔料組成物。
  5. 顔料分散剤の配合割合が、顔料100質量部に対して0.05〜40質量部である請求項4に記載の顔料組成物。
  6. 請求項4に記載の顔料組成物と皮膜形成材料とを含有してなることを特徴とする顔料着色剤。
  7. 画像表示用着色剤、画像記録用着色剤、印刷インキ、筆記用インキ、プラスチック着色剤、顔料捺染用着色剤或いは塗料着色剤である請求項6に記載の顔料着色剤。
  8. カラーフィルター画素形成用着色剤である請求項7に記載の顔料着色剤。
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