JP2008214259A - 1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物を穏和な条件下、簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物は、ジアリールホスフィンオキシド化合物とアセチレン化合物とを反応させることにより製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は、1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物の製造方法に関する。
1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物は錯体触媒の配位子として用いられるホスフィン類の合成原料、高分子に難燃性を付与する添加剤、ランタノイド及びアクチノイド金属等の配位子及びこれらの金属の抽出剤、助触媒等として有用な化合物である。
例えば、特許文献1、非特許文献1、2、3及び4には、不斉合成に用いられる錯体触媒の配位子の合成原料としての(E)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテンの利用が開示されている。特許文献2には金属ケイ素と有機ハロゲン化物とを銅触媒を用いて反応させるいわゆる直接法オルガノハロシラン製造における助触媒としてのアルケニレン−α,ω−ビス(ホスフィニル)アルケンの有用性が開示され、非特許文献5にはクロム触媒を用いるエチレンの重合に際し、(E)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテンが触媒の配位子として活性に好ましい効果を発揮することが開示されている。さらに、非特許文献6には(E)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテンがアメリシウムの抽出剤、非特許文献7には(E)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテンが超プルトニウム元素の抽出剤、非特許文献8には(E)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテン及びその置換フェニル誘導体がアメリシウムの抽出剤、非特許文献9には(E)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテンがアメリシウムの抽出剤、非特許文献10には1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテンが超プルトニウム元素及びユーロピウムの抽出剤、非特許文献11には(Z)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテンがウラニウムの抽出剤、非特許文献12には(Z)−1,2−ビス(ジトリルホスフィニル)−2−ブテン等が超ウラン元素や希土類元素の抽出剤としてそれぞれ有用であることが記載されている。
これら1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物の合成方法としては、末端アセチレン化合物をラジカル開始剤とアミンの存在下にジフェニルホスフィン及びジフェニルクロロホスフィンと反応させ、得られた生成物を酸化することからなる製造方法が、非特許文献13に開示されている。この方法は、2段階のプロセスである点で工業的に有利な方法とはいえない。非特許文献14には、2,3−ビス(ジフェニルホスフィニル)−1,3−ブタジエンを部分水素化して1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテンを得る方法が開示されていが、出発原料の2,3−ビス(ジフェニルホスフィニル)−1,3−ブタジエンの入手が容易ではなく、工業的に有利な製造方法とは考えられない。非特許文献15には、(アルファブロモビニル)スルホンをジオルガノ(アルコキシ)ホスフィンと反応させ、生成する(ベータホスフィニルビニル)スルホンにさらにジオルガノ(アルコキシ)ホスフィンを作用させて1,2−ビス(ホスフィニル)エテン類を製造する方法が記載され、非特許文献16には2,3−ジクロロマレイン酸エステルにジフェニル(トリメチルシリル)ホスフィンを作用させて2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)フマール酸エステルとし次いで酸化することにより2,3−ビス(ジフェニルホスフィニル)フマール酸エステルを得る方法が記載されているが、これらの方法も原料入手面に難点があり、また、後者は2段階のプロセスでもあるため、いずれも工業的には有利ではない。
上記のように、従来公知の製造法はいずれもそれぞれ難点を有しており、入手容易な原料を用い、1段の簡便な反応で1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物を製造する方法の開発が切望されている。
特開平5−306291公報 特開2003−313192公報 Catalysis Letters、1991年、8巻、pp.23−26 Synlett、1997年、pp.455−456 Inorganica Chimica Acta、1982年、61巻、pp.129−133 Journal of Organometallic Chemistry、1986年、314巻、pp.241−246 Journal of Organometallic Chemistry、2004年、689巻、pp.293−301 Radiokhimiya、1978年、20巻、pp.719−724 Journal of Inoganic and Nuclear Chemistry、1980年、42巻、pp.897−903 Radiokhimiya、1983年、25巻、pp.609−613 Radiokhimiya、1990年、32巻、pp.70−78 Zhurnal Analiticheskoi Khimii、1975年、30巻、pp.1110−1115 Radiokhimiya、1975年、17巻、pp.210−214 Heteroatom Chemistry、1991年、2巻、pp.1−10 Angewandte Chemie International Edition、2005年、44巻、pp.1694−1696 Chemical Communications、2000年、pp.155−156 Zhurnal Obshchei Khimii、1974年、45巻、pp.2130−2134 Monatshefte fur Chemie、1978年、109巻、pp.1023−1036
本発明は、第2級ホスフィンオキシド化合物をアセチレン化合物と反応させ、1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エテン骨格を有する化合物を1段のプロセスで製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物を工業的に有利な方法で製造すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物を製造するための原料化合物として今日まで知られているジアリールホスフィン化合物の代わりにジアリールホスフィンオキシド化合物を使用し、これをアセチレン化合物と反応させた場合に、2分子のジアリールホスフィンオキシド化合物が脱水素的にアセチレン結合に付加し、目的とする1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物が一段階の反応で、生成するという当業者が予測し得ない知見を得た。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち本発明は、一般式(1)
一般式(1)
Figure 2008214259
[式中、R及びRは、同一または異なって、炭素数12以下のアリール基を表す。
前記アリール基を構成する芳香環は、複素芳香環であってもよい。
また、R及びRは官能基で置換されていてもよい。]
で示されるジアリールホスフィンオキシド化合物(以下、この化合物を単に化合物(1)ということもある)と、一般式(2)
Figure 2008214259
[式中、R及びRは、同一または異なって、
水素原子、
炭素数12以下のアルキル基、
炭素数12以下のアリ−ル基、
炭素数12以下のアラルキル基、
炭素数6以下のアルキル基及び炭素数12以下のアリール基からなる群から選ばれた3個の基で置換されたシリル基、または
フェロセニル基を表す。
及びR中のアリール基及びアラルキル基を構成する芳香環は、複素芳香環であってもよい。
また、R及びRは官能基で置換されていてもよい。]
で示されるアセチレン化合物(以下、この化合物を単に化合物(2)ということもある)とを反応させることを特徴とする、一般式(3)
Figure 2008214259
[式中、R、R、R及びRは、前記と同じ意味を表す。]
で示される1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物の製造方法を提供する。
本明細書において示される各基は、具体的には以下の通りである。
炭素数12以下のアリール基としては、フェニル基、p−トリル基、1−または2−ナフチル基、o−ビフェニル基、m−ビフェニル基、p−ビフェニル基等の炭素数6〜12のアリール基を例示することができる。
炭素数12以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、n−へキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等の炭素数1〜12の直鎖または分枝鎖状のアルキル基を例示することができる。
炭素数12以下のアラルキル基としては、フェニル低級アルキル基、ナフチル低級アルキル基等を例示することができる。
フェニル低級アルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアルキル部分が炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状のアルキル基であるフェニルアルキル基を例示することができる。
ナフチル低級アルキル基としては、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等のアルキル部分がメチル基またはエチル基であるナフチルアルキル基を例示することができる。
炭素数6以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、n−へキシル基、イソへキシル基等の炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状のアルキル基を例示することができる。
炭素数6以下のアルキル基及び炭素数12以下のアリール基からなる群から選ばれた3個の基で置換されたシリル基としては、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等の、炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状のアルキル基及び炭素数6〜12のアリール基からなる群より選ばれた基が3個置換したシリル基を例示することができる。シリル基上の3個の置換基は、同一でも異なっていてもよい。
上記アリール基、アラルキル基を構成する芳香環は、複素芳香環であってもよく、複素芳香環としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等を例示することができる。
、R、R及びRは、例えば、1〜3個、好ましくは1〜2個の官能基によって置換されていてもよい。ここで、R、R、R及びRが2個以上の官能基により置換されている場合、これらの官能基は同一でも異なっていてもよい。
、R、R及びRが官能基によって置換されている場合の官能基としては、炭素数6以下のアルコキシ基;アミノ基;アルキル部分が前記炭素数6以下のアルキル基であるN−アルキルアミノ基;アルキル部分が前記炭素数6以下のアルキル基であるN,N−ジアルキルアミノ基(アミノ基上の2個のアルキル基は、同一でも異なっていてもよい);アルコキシ部分が炭素数6以下のアルコキシ基であるアルコシキカルボニル基;アルキル部分が前記炭素数6以下のアルキル基であるN−アルキルアミノカルボニル基;アルキル部分が前記炭素数6以下のアルキル基であるN,N−ジアルキルアミノカルボニル基(アミノ基上の2個のアルキル基は、同一でも異なっていてもよい);ハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;アルキル部分が前記炭素数6以下のアルキル基であるアルキルカルボニル基;アルキル部分が前記炭素数6以下のアルキル基であるアルキルカルボニルオキシ基;アリール部分が炭素数10以下のアリール基であるアロイル基;アリール部分が炭素数10以下のアリール基であるアロイルオキシ基;炭素数6以下のアルキル基及び炭素数12以下のアリール基からなる群から選ばれた互いに同一または異なる3個の基で置換されたシリル基;ならびに炭素数6以下のアルキル基及び炭素数12以下のアリール基からなる群から選ばれた互いに同一または異なる3個の基で置換されたシリル基が酸素原子と結合したシロキシ基等が挙げられる。
炭素数6以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基、イソへキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状のアルコキシ基を例示することができる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等を挙げることができる。
炭素数10以下のアリール基としては、フェニル基、p−トリル基、1-または2−ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基を例示することができる。
本発明の方法により製造される一般式(3)で示される1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物には、例えば、対応するR及びRが同一または異なって炭素数6以下のアリール基であり、RまたはRのいずれか一方が水素原子であり、他方が官能基(例えば、炭素数6以下のアルコキシ基)で置換していてもよい前記炭素数12以下のアリール基(好ましくはフェニル基)または炭素数12以下(好ましくは1〜6個)のアルキル基を示す1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物が含まれる。
以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。
本発明の反応に用いられる一般式(1)
Figure 2008214259
[式中、R及びRは、前記と同じ意味を表す。]
で示されるジアリールホスフィンオキシド化合物は、公知の化合物であるか、公知の方法に準じて容易に製造できる化合物である。
一般式(1)で示されるジアリールホスフィンオキシド化合物の具体例としては、ジフェニルホスフィンオキシド、ジ(α−またはβ−ナフチル)ホスフィンオキシド、ジビフェニルホスフィンオキシド、ジ(2−フリル)ホスフィンオキシド、ジ(p−、m−、またはo−アニシル)ホスフィンオキシド、ジ(p−、m−、またはo−トリル)ホスフィンオキシド、フェニル(p−トリル)ホスフィンオキシド等が例示される。
一般式(1)で示されるジアリールホスフィンオキシド化合物の中では、例えば、対応するR及びRが同一または異なって炭素数6のアリール基を示すジアリールホスフィンオキシド化合物が好ましい。
本発明の反応に用いられる一般式(2)
Figure 2008214259
で示されるアセチレン化合物は、公知の化合物であるか、公知の方法に準じて容易に製造できる化合物である。
一般式(2)で示されるアセチレン化合物の具体例としては、無置換のアセチレン、プロピン、1−ブチン、1−ヘキシン、t−ブチルアセチレン、1-オクチン、4−オクチン、1−ドデシン、フェニルアセチレン、1−または2−ナフチルアセチレン、p−エチニルビフェニル、フェニルメチルアセチレン、プロパルギルベンゼン、(1-オクチン−1−イル)ベンゼン、1−エチニルチオフェン、エチニルフェロセン、トリメチルシリルアセチレン、ジメチルフェニルシリルアセチレン、プロパルギルメチルエーテル、4−t−ブチルジメチルシロキシ−1−ブチン、2−メチル−3−ブチン−2−オール、5−クロロ−1−ペンチン、5−シアノ−1−ペンチン、5−ヘキシン酸メチル、p−フルオロフェニルアセチレン、p−クロロフェニルアセチレン、p−メトキシフェニルアセチレン、p−トリフルオロメチルフェニルアセチレン、4−アクリロイルオキシ−1−ブチン等を例示することができる。
一般式(2)で示されるアセチレン化合物の中では、例えば、対応するRまたはRのいずれか一方が水素原子であり、他方が前記炭素数12以下のアリール基または炭素数12以下(好ましくは1〜6個)のアルキル基を示すアセチレン化合物が好ましい。
一般式(1)で示されるジアリールホスフィンオキシド化合物と一般式(2)で示されるアセチレン化合物の使用割合は、後者1モルに対して、前者が通常0.5〜10.0モル、好ましくは0.8〜3.0モルである。
化合物(1)と化合物(2)との反応は、化合物(2)のアセチレン基と、それに対して2等量の化合物(1)のP−H結合とが、付加及び脱水素するものであり、化合物(2)の中のR及びRの種類に特に左右されない。本明細書において定義されているいずれの基であっても、上記反応は好適に進行する。
本発明の反応は特に溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて溶媒中で実施することもできる。溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒など種々のものが使用できる。また、これらは単独または2種以上の混合物として使用される。
好ましい実施形態において、本発明の反応は、触媒の存在下で行われる。この場合、反応は、窒素、アルゴン、メタン等の不活性ガスの雰囲気下で実施するのが好ましい。
反応触媒としては、ホスフィンが配位したパラジウム錯体が挙げられ、好適には、下記一般式(4)
PR (4)
[式中、R、R及びRは、同一または異なって、炭素数12以下のアリール基を表す。アリール基を構成する芳香環は、複素芳香環であってもよい。
また、R、R及びRは官能基で置換されていてもよい。]
で示されるトリアリールホスフィンが配位したパラジウム錯体を挙げることができる。
、R及びR中のアリール基を構成する芳香環は、複素芳香環であってもよく、複素芳香環としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等を例示することができる。
、R及びRが官能基によって置換されている場合の官能基としては、前記例示のR、R、R及びRが置換されている場合の官能基と同じものが挙げられ、置換している官能基の数も上記と同じでよい。
一般式(4)で示されるホスフィン(この化合物を単にLと記述することもある。)の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(p−アニシル)ホスフィン、トリ(p−フルオロフェニル)ホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(2−チエニル)ホスフィン、トリ(2−ナフチル)ホスフィン、トリ(p−ビフェニリル)ホスフィン、ジフェニル(p−ビフェニリル)ホスフィン等が例示される。
これらのホスフィンが配位したパラジウム錯体としては、予め調製されたゼロ価または2価の各種パラジウム錯体を例示することができ、その一般的構造例としては、PdCl、Pd(OAc)、PdMe、PdClPhL、PdCl(CHPh)L、PdCl(COPh)L、Pd(π−C)ClL、PdL、PdL、PdL、Pd(PhCH=CH)L等を挙げることができる。ここで、Acはアセチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。これらの錯体は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。また、これらの錯体はさらにLを混合して用いてもよいが、混合するに際して用いるLの使用量は、パラジウム錯体1モルに対して6モル以下が好ましい。パラジウム錯体の使用量は、パラジウム原子当たり、化合物(1)に対して、通常0.00001〜15モル%、好ましくは0.0005〜10モル%である。
本発明に用いるホスフィンが配位したパラジウム錯体は、予め調製することなく、反応系中でLと前駆体としてのパラジウム化合物を混合して発生させて用いてもよい。好ましく用いられる前駆体としてのパラジウム化合物としては、種々のゼロ価または2価のパラジウム化合物を用いることができ、具体例としては、PdCl、KPdCl、NaPdCl、PdCl(PhCN)、PdCl(cod)(codは1,5−シクロオクタジエンを示す)、Pd(OAc)、[Pd(π―C)Cl]、Pd(dba)・CHCl (dbaはジベンジリデンアセトンを示す)等のゼロ価または2価のパラジウム化合物を好適に用いることができる。当該実施形態においてもパラジウム化合物の使用量は、パラジウム原子当たり、化合物(2)に対して、通常0.0001〜15モル%、好ましくは0.001〜10モル%である。また、前駆体としてのパラジウム化合物に混合するLの量は、パラジウム原子1モルに対し、Lが、好ましくは1〜10モル、より好ましくは1〜5モルの範囲になるように選択される。
本発明の反応は、通常、加温下で実施される。好ましくは、80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上で実施される。
本発明の反応は、通常、180℃以下で実施される。好ましくは、150℃以下で実施される。
反応時間は、通常30分〜数十時間、好ましくは2〜15時間である。
反応混合物からの精製物の分離及び精製は、各種クロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の通常行われる精製法により容易に達成される。
本発明の製造方法によれば、一般式(3)で示される1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物を、比較的入手が容易なアセチレン化合物及びジアリールホスフィンオキシド化合物から、一段階で容易に製造することができ、その単離精製も容易に行うことができるため、工業的に極めて有用である。
尚、本発明の一般式(3)で示される1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物は、高分子添加用難燃剤、ランタノイド金属やアクチノイド金属の抽出剤、金属錯体の配位子またはその合成原料等として有用である。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 p−トリルアセチレンとジフェニルホスフィンオキシドとの反応(1)
窒素雰囲気下、酢酸パラジウム0.067ミリモル、トリフェニルホスフィン0.20ミリモル、ジフェニルホスフィンオキシド1.33ミリモル及びp−トリルアセチレン1.39ミリモルをトルエン2.5mLに加え、混合物を100℃で3時間攪拌した。得られた反応液をH NMRで分析した結果、化合物(3)において、R及びRがフェニル基、Rがp−トリル基、及びRが水素原子である化合物がホスフィンオキシドの仕込み量に対して収率45%で生成していることが判明した。反応液を濃縮し、残留液を塩化メチレンとt−ブチルメチルエーテルの20:1混合溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、さらに、塩化メチレンとt−ブチルメチルエーテルの20:1混合溶媒を用いてシリカゲル薄層クロマトグラフィーで精製することにより、当該生成物が34%の単離収率で得られた。
実施例2 p−トリルアセチレンとジフェニルホスフィンオキシドとの反応(2)
トリフェニルホスフィンの使用量を0.10ミリモルとした他は実施例1と同様に反応させ、得られた反応液をH NMRで分析した結果、化合物(3)において、R及びRがフェニル基、Rがp−トリル基、及びRが水素原子である化合物がホスフィンオキシドの仕込み量に対して収率49%で生成していることが判明した。
実施例3 p−トリルアセチレンとジフェニルホスフィンオキシドとの反応(3)
ジフェニルホスフィンオキシドの使用量を2.00ミリモルとした他は実施例1と同様に反応させ、得られた反応液をH NMRで分析した結果、化合物(3)において、R及びRがフェニル基、Rがp−トリル基、及びRが水素原子である化合物がホスフィンオキシドの仕込み量に対して収率63%で生成していることが判明した。
実施例4 1−オクチンとジフェニルホスフィンオキシドとの反応
p−トリルアセチレンに代えて1−オクチンを用い実施例1と同様に反応させた。得られた反応液をH NMRで分析した結果、化合物(3)において、R及びRがフェニル基、Rがn−ヘキシル基、及びRが水素原子である化合物がホスフィンオキシドの仕込み量に対して収率28%で生成していることが判明した。

Claims (3)

  1. 一般式(1)
    Figure 2008214259
    [式中、R及びRは、同一または異なって、炭素数12以下のアリール基を表す。
    前記アリール基を構成する芳香環は、複素芳香環であってもよい。
    また、R及びRは官能基で置換されていてもよい。]
    で示されるジアリールホスフィンオキシド化合物と、一般式(2)
    Figure 2008214259
    [式中、R及びRは、同一または異なって、
    水素原子、
    炭素数12以下のアルキル基、
    炭素数12以下のアリ−ル基、
    炭素数12以下のアラルキル基、
    炭素数6以下のアルキル基及び炭素数12以下のアリール基からなる群から選ばれた3個の基で置換されたシリル基、または
    フェロセニル基を表す。
    及びR中のアリール基及びアラルキル基を構成する芳香環は、複素芳香環であってもよい。
    また、R及びRは官能基で置換されていてもよい。]
    で示されるアセチレン化合物とを反応させる、一般式(3)
    Figure 2008214259
    [式中、R、R、R及びRは、前記と同じ意味を表す。]
    で示される1,2−ビス(ジアリールホスフィニル)エテン骨格を有する化合物を製造する方法。
  2. 一般式(4)
    PR (4)
    [式中、R、R及びRは、同一または異なって、炭素数12以下のアリール基を表す。アリール基を構成する芳香環は、複素芳香環であってもよい。
    また、R、R及びRは官能基で置換されていてもよい。]
    で示されるトリアリールホスフィンが配位したパラジウム錯体の存在下に実施する請求項1の製造方法。
  3. 80℃以上の温度で反応を実施する請求項2の製造方法。
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