JP2008213035A - 電磁スポット溶接法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、金属薄板または箔を電磁スポット溶接する方法に関する。従来の電磁スポット溶接法には、スポット溶接する面積を小さくすると、磁束発生用コイルに機械的強度の点から制限があった。これを改良した電磁スポット溶接法を提供する。
【手段】従来の平板状ワンターンコイル3をそのまま使用する。被溶接材であるアルミニウム薄板5A,5Bの間に非金属薄板8を挟んで溶接する。非金属薄板8には小さな穴9があいている。穴9の部分だけがスポット溶接される。穴の径、数などを変えれば、コイルを取り替えることなく、各種のスポット溶接ができる。
【選択図】図1
【手段】従来の平板状ワンターンコイル3をそのまま使用する。被溶接材であるアルミニウム薄板5A,5Bの間に非金属薄板8を挟んで溶接する。非金属薄板8には小さな穴9があいている。穴9の部分だけがスポット溶接される。穴の径、数などを変えれば、コイルを取り替えることなく、各種のスポット溶接ができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子機器などの組立て分野において必要とされる、アルミニウム、銅など各種金属薄板および各種金属箔のスポット溶接方法に関する。
溶接が困難なアルミニウム、銅などの金属薄板を容易に電磁溶接する方法として、本発明者が開発した電磁溶接法がある(特許文献1)。この電磁溶接法では、例えば、一枚の銅合金板材に2本の溝を加えE字状の形態とした平板状ワンターンコイルを用い、板材の幅が狭く、細長い中央部分を往きの電流用、その両側の幅の広い周辺部分を戻りの電流用として、電源からパルス電流を往復して流す。幅が狭く、細長いコイル中央部分を電流集中部とし、ここに高密度の磁束を発生させる。コイル中央部の上に重ね置かれた金属薄板は、発生する渦電流による発熱と電磁力による押圧によりコイル中央部分に沿ってシーム溶接される。重ね置かれる金属薄板の枚数は二枚以上で、多数枚が積層された場合でも溶接が可能である(特許文献2)。
特許第3751153号(図4) 特許第3852824号
この電磁溶接法では、片面が樹脂などで全面被服された金属薄板の金属面どうしも溶接できる優れた特徴がある。この際、絶縁用の被服部分は溶けない。絶縁体である被服部分に渦電流が流れず、溶接時間が非常に短いからである(特許文献3,非特許文献1)。この特徴は、他のほとんどの溶接法、例えば抵抗スポット溶接法、はんだ付け溶接法、レーザ溶接法、超音波溶接法などには見られない。片面が樹脂などで全面被服された金属面どうしを溶接すると、被服部分が溶けるか破損するからである。
特願2005−229920号 電子情報通信学会技術研究報告、106巻361号、EMD−2006−57(2006年)p.17〜p.20
前記の平板状ワンターンコイルの材質はクロム銅、板厚は2〜5mm、細長い中央部分の幅は5mm程度、長さは200mm以下である。コイルの細長い中央部分の長さを5mm程度と極端に短くすれば、面積5mm×5mm程度の範囲をスポット的に電磁溶接することは可能である。ただし、コイルのインダクタンスが小さくなりすぎるので、電源のエネルギー移送効率を考えると、コイルの巻数を増やす必要がある(特許文献4)。
特願2006−156619号
電磁溶接装置の電源にはコンデンサ電源が使用される。コンデンサ電源の容量は20〜200μF、充電エネルギーは数kJである。コイルには最大値100kA以上のパルス大電流が、数100μs以下の短時間流れる。重ね置かれる金属薄板の間に0.3〜1mm程度の間隙を設けて溶接すると、衝突の効果で金属表面が清浄化され、エネルギー効率よく溶接される。
先ず、公知である一枚板から作られた平板状ワンターンコイルを用いた電磁スポット溶接装置の概略を説明する。次に、この装置でスポット溶接する場合の問題点を述べる。
図9はこの平板状ワンターンコイルを用いた電磁溶接装置の概略図であり、(A)は平面図、(B)は平板状ワンターンコイルの斜視図である。この装置の主な構成要素は、図9(A)に示すように、コンデンサ電源1、スイッチ2、磁束発生用の平板状ワンターンコイル3である。平板状ワンターンコイル3は電気的に絶縁された一枚の平板からなっている。このコイル3は、幅が狭い中央部分4A(電流の往路)、その両側の幅の広い周辺部分4B,4C(電流の復路)およびこれらを片端側で接続する部分4Dから構成されている。中央部分4Aの長さは、スポット溶接するため、シーム溶接用コイルに比べ短い。
コンデンサ電源1を充電し、スイッチ2を閉じて放電させると、平板状ワンターンコイル3にパルス大電流が往復して流れる。実際の装置では、電源1、スイッチ2および平板状ワンターンコイル3を接続している部分(図9(A)に細い線で示されている)は、幅広い導体板で配線され回路のインダクタンスおよび抵抗を少なくしている。
図9に示す装置は、図10に示すように平板状ワンターンコイル3の片側(上部)に被溶接材であるアルミニウム薄板5A、5Bを重ね配置し、これらをスポット溶接するものである。図10で、平板状ワンターンコイル3、薄板5A、5Bおよび固定具6は、締め付け器具(図示されていない)によって固定されている。
スイッチ2を閉じて平板状ワンターンコイル3に電流を急激に流すと、このコイル3の中央部分4Aに高密度(磁束密度B)の磁束7が急激に発生する。この磁束7の一部は、アルミニウム薄板5A、5Bに交差する。この結果、電磁誘導作用によって下側の薄板5Aに渦電流が流れ、加熱される。また、下側の薄板5Aには電磁力が働き、加速され、上側の薄板5Bへ衝突し押圧する。この結果、薄板5A、5Bはコイル3の中央部分4Aで溶接される。中央部分4Aから離れている薄板5A、5Bの周辺部分は、溶接されない。
図10に示した電磁溶接装置(コンデンサ電源の容量200μF、コイル中央部分4Aの幅5mm)を用い、アルミニウム薄板(厚さ0.5mm、大きさ50mm×50mm)に間隙0.5mmを設け2枚重ね、長さ5mmにわたり溶接できた。溶接面積は約5mm×5mmである。この面積はスポット溶接と見なせる大きさである。溶接するのに必要な電源のエネルギーは、約2kJであった。
次に、前述した装置および方法でスポット溶接する場合の問題点を示す。
このような平板状コイルを使用した装置では、幅が狭いコイル中央部分4Aの長さと幅で溶接面積がほぼ決定する。この中央部分4Aの長さと幅をさらに減らせば、溶接面積はさらに小さくなる。しかし、この中央部分には、パルス大電流が流れるので、減らすことには、機械的強度の面から限界がある。この中央部分は、そこに働く大きな電磁力で少しずつ変形するからである。
本発明の目的は、平板状コイルを使用し、幅が狭いコイル中央部分4Aの長さと幅を減らすことなく、溶接面積の小さいスポット溶接が可能な方法を提供することにある。溶接対象の金属薄板には、片面が樹脂などで全面被服された金属薄板(箔)も含まれる。
平板状コイル中央部分4Aの長さと幅を減らすことなく、溶接面積の小さいスポット溶接を可能とする基本となる手段を順に示す。
(1)二枚のアルミニウム薄板の間に小さな穴のあいた一枚の非金属薄板を挿入し、これら三枚の薄板を積層し、図9に示す平板状コイル中央部分4Aの上に置き、固定する。コイルに電流を流し、3層に重ねた薄板へ高密度磁束を急激に加える。
(2)二枚のアルミニウム薄板には、渦電流が流れ、電磁力が働く。非金属薄板には、渦電流が流れない。非金属薄板の材料、厚さを選べば、非金属板は破損せず、溶けない。
(3)非金属薄板の穴径を平板状コイル中央部分4Aの幅より小さく選ぶ。
(4)アルミニウム薄板は、穴のあいている部分だけでスポット溶接される。
本発明は、以上の手段を基に、重ねたアルミニウムなどの金属薄板を電磁スポット溶接する方法を提供する。
請求項1〜3記載の発明による電磁スポット溶接法を用いると、平板状コイル中央部分4Aの長さと幅を減らすことなく、アルミニウムなど金属薄板に対し、溶接面積の小さいスポット溶接が可能となる。コイル中央部分4Aの幅を減らす必要がなく、逆に、幅を増やせるので、コイル中央部分4Aの機械的な強度が増加し、コイルの寿命を延ばす。
本発明の電磁スポット溶接法によると、コイルを取り替えることなく、非金属薄板にあける穴の直径、数、配置を変えるだけで、スポット溶接する部分の大きさ、数、位置を簡単に変えることができる。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、被溶接材である二枚のアルミニウム薄板5A、5Bの間に小さな穴9のあいた一枚の非金属薄板8を挿入した三層の薄板を、平板状ワンターンコイル3の片側(上部)に配置、固定し、スポット溶接する装置の概略図である。図1(A)は溶接部分の平面概略図および放電回路、(B)は溶接部分の断面図である。図1で、平板状ワンターンコイル3、薄板5A、5B、非金属薄板8および固定具6は、締め付け器具(図示されていない)によって固定されている。
スイッチ2を閉じて平板状ワンターンコイル3に電流を急激に流すと、このコイル3の中央部分4Aに高密度の磁束7が急激に発生する。この磁束7の一部は、アルミニウム薄板5A、5Bに交差する。この結果、電磁誘導作用によって下側の薄板5Aに渦電流が流れ、加熱される。また、下側の薄板5Aには電磁力が働き、加速され、穴9のあいた部分で上側の薄板5Bへ衝突し押圧する。この結果、薄板5A、5Bは穴9の部分でスポット溶接される。薄板5A、5Bのその他の部分は、非金属薄板8があるので、溶接されない。非金属薄板は、渦電流が流れないので直接には加熱されない。また、非金属薄板は、電流の流れる時間が短いので、材質などを選べば、間接的にも溶融するまでは加熱されない。
図1に示した電磁溶接装置(コンデンサ電源の容量200μF、コイル中央部分4Aの幅5mm、長さ5mm)、アルミニウム薄板(厚さ0.5mm、大きさ50mm×50mm)と非金属薄板(材質テフロン、厚さ0.3mm、穴径2〜4mm)を用いて、穴の部分だけをスポット溶接できた。溶接面積の最小直径は約2mmである。この直径はコイル中央部分の幅5mmの半分以下である。溶接するのに必要な電源のエネルギーは、約2kJであった。
図1に示した平板状ワンターンコイル3は、実際には図2のようになっている。コイル中央部分4Aへ電源からの電流導入端子を接続しやすくするため、中央部分4Aの電源側では、その幅が広くしてある。この部分では、電流が集中せず、高密度磁束が発生しないので、アルミニウム薄板は溶接されない。
スポット溶接されたアルミニウム薄板の間に残された非金属薄板は、予め表面に切れ目を入れてあれば、容易に破れ、取り去ることもできる。
図3に示した電磁溶接装置(コンデンサ電源の容量200μF、コイル中央部分4Aの幅5mm、長さ40mm)、アルミニウム薄板(厚さ0.5mm、大きさ50mm×50mm)と非金属薄板(材質テフロン、厚さ0.3mm、穴径2〜4mm、穴数2)を用いて、穴の部分(2箇所)だけを同様にスポット溶接できた。溶接するのに必要な電源のエネルギーは、約2kJであった。
図4は、平板状ワンターンコイル4A〜4Cの片側(上部)に、被溶接材である三枚のアルミニウム薄板5A〜5Cの間に小さな穴9のあいた二枚の非金属薄板8をそれぞれ挿入した五枚の積層薄板を配置、固定し、スポット溶接する装置の断面概略図である。実施例1と同様に三枚のアルミニウム薄板がスポット溶接される。
二枚の非金属薄板8の穴9の位置は、図4では、同じ場所に重ねて配置してある。必要ならば、穴9の位置を電流の流れる方向に離して配置しても、それぞれスポット溶接される。
図5は、被溶接材である二枚の金属箔10A、10Bをスポット溶接する装置の断面概略図である。平板状ワンターンコイル4A〜4Cの片側(上部)に、アルミニウム薄板5、絶縁シート11、金属箔10A、穴9のあいた非金属薄板8、金属箔10Bを順に重ね、これらを固定し、スポット溶接する装置である。絶縁シート11には、厚さ50μm程度のポリイミドなどが使用される。この場合も、実施例1と同様に二枚の金属箔がスポット溶接される。アルミニウム薄板5は絶縁シート11があるので金属箔とは溶接されない。
アルミニウム薄板5は、金属箔が、渦電流によって溶融するのを防ぐ目的で使用される。また、金属箔の材質によっては、箔に渦電流が流れにくいので、アルミニウム薄板5を用いる。ここで使用されるアルミニウム薄板5はドライバーと呼ばれることがある。
図6は、被溶接材である、樹脂で片面が全面被服された二枚の金属箔12A、12Bの金属箔面どうしをスポット溶接する装置の断面概略図である。平板状ワンターンコイル4A〜4Cの片側(上部)に、アルミニウム薄板5、金属箔12A、穴9のあいた非金属薄板8、金属箔12Bを順に重ね、これらを固定し、スポット溶接する装置である。この場合も、実施例1と同様に二枚の樹脂で全面被服された金属箔がスポット溶接される。被服された部分(材質はポリイミド)が溶けることはない。
図7は、被溶接材である二枚のアルミニウム薄板5A、5Bの間に小さな穴9のあいた一枚の非金属薄板8を挿入した三層の薄板を、コの字形ワンターンコイル13の間(内側)に配置、固定し、スポット溶接する装置の概略図である。図7(A)は斜視図、(B)はコイル電流に垂直方向の断面図である。図7で、ワンターンコイル13の外側は、締め付け器具(図示されていない)によって固定されている。
スイッチ2を閉じてワンターンコイル13に往復する電流を急激に流すと、このコイル13の周囲に高密度の磁束7が急激に発生する。この磁束7の一部は、アルミニウム薄板5A、5Bにそれぞれ交差する。この結果、電磁誘導作用によって薄板5A、5Bに渦電流が流れ、加熱される。また、薄板5A、5Bは互いに近づく方向に電磁力を受け、加速され、穴9のあいた部分で互いに衝突し押圧する。この結果、薄板5A、5Bは穴9の部分でスポット溶接される。
図7に示したコの字形状ワンターンコイル13は、実際には図8のようにするとよい。コイルの一部に、幅の狭い部分を設けると、ここに流れる電流が集中する。この結果、電源のエネルギー効率よくスポット溶接できる。
1 電源又はコンデンサ電源
2 スイッチ
3 平板状ワンターンコイル
4A 平板状ワンターンコイルの中央部分(電流集中部分)
4B,4C 平板状ワンターンコイルの周辺部分
4D 平板状ワンターンコイルの中央部分と周辺部分を接続する部分
5、5A、5B アルミニウム薄板
6 固定具
7 磁束
8 非金属薄板
9 非金属薄板にあけられた穴
10A、10B 金属箔
11 絶縁シート
12A、12B 樹脂で片面が全面被服された金属箔
13 コの字形状ワンターンコイル
2 スイッチ
3 平板状ワンターンコイル
4A 平板状ワンターンコイルの中央部分(電流集中部分)
4B,4C 平板状ワンターンコイルの周辺部分
4D 平板状ワンターンコイルの中央部分と周辺部分を接続する部分
5、5A、5B アルミニウム薄板
6 固定具
7 磁束
8 非金属薄板
9 非金属薄板にあけられた穴
10A、10B 金属箔
11 絶縁シート
12A、12B 樹脂で片面が全面被服された金属箔
13 コの字形状ワンターンコイル
Claims (3)
- 重ねた二枚以上の金属薄板に、高密度磁束を急激に加え、金属薄板に発生する渦電流と電磁力を利用して、これら積層された金属薄板を電磁溶接する方法において、
積層された各金属薄板の間に穴のあいた非金属薄板をそれぞれ挿入し、これらに高密度磁束を急激に加え、穴のあいた部分だけを電磁溶接する電磁スポット溶接法。 - 前記の電磁溶接法において、二枚の金属薄板の間に穴のあいた一枚の非金属薄板を挿入し、これら三枚の薄板に高密度磁束を急激に加え、穴のあいた部分だけを電磁溶接することを特徴とする請求項1記載の電磁スポット溶接法。
- 前記の電磁溶接法において、二枚の金属薄板の間に穴が多数あいた一枚の非金属薄板を挿入し、これら三枚の薄板に高密度磁束を急激に加え、穴のあいた部分だけを電磁溶接することを特徴とする請求項1記載の電磁スポット溶接法。
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---|---|---|---|---|
JP2015089560A (ja) * | 2013-11-06 | 2015-05-11 | 公立大学法人首都大学東京 | 金属接合板及びその製造方法 |
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2007
- 2007-03-07 JP JP2007098870A patent/JP2008213035A/ja active Pending
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