JP2008210201A - 複合河川における状態量のシミュレーションシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】精密法陰形式計算部21は、時点j+1における本川及び支川の上流端以外の各地点の流量の第1次近似値を時点jの値に仮定し、上流端与件水位の上昇量や前時点までの流量変化量或は与件水位と計算水位との差に基づいて2つの上流端仮定流量による2つの上流端計算水位を求め、本川下流端与件水位及び派川下流端与件水位を出発条件として結節点以外の各地点の時点j+1の水位を不定流的不等流計算により算定し、本川及び支川の結節点上流側水位を計算することにより、時点j+1における全領域の水位を計算する。また、結節点以外の次時点j+1の流量を下流に向けて再仮定し、更に、結節点から流れ出る流量である結節点下流流量を算定する。そして、本川最上流端から下流に向かって各地点の時点j+1における全領域の流量を計算する。
【選択図】図1−1
Description
このような状況において、河道に対する深い理解が不可欠であり、不定流計算を行うことにより的確に洪水流を再現すること、洪水時における粗度係数を検証することが、河川理解の第一歩として求められている。また、このような洪水流を高精度で再現するモデルを用いて、河川の水位及び流量等の状態量を速やかにかつ的確に予測して洪水を予防する方法が必要となっている。このような洪水予防方法は、現状河道の危機管理対策としての減災方策を立案する上においても求められている。
不定流計算による解析は、不定流としての洪水流の時間的・空間的変化を与えられた初期条件・境界条件より求めることであり、河道の横断形状が複雑であるため、実際上、数値計算で行われるのが普通である。離散化の方法としては、有限差分法、特性曲線法、有限要素法などがあり、いずれも陽形式スキームと陰形式スキームがある。陰形式スキームは、求めようとする次時点の値を織り込んで差分方程式を多元連立方程式に直して解く方式である。そのため、安定性が良いとされている。
これに対して、「不等流」(厳密には、「定流不等流」)とは、上流から一定の流量が続く場合の流れを想定している。一定流量が長時間継続する可能性は低いが、例えば、洪水のピーク時にはこのような不等流が生じることがある。このような一定の流量が継続する場合であっても、河川の断面形状等の断続的変化により各断面位置の断面積や流速が異なり、このような不等の状態を呈する流れを不等流という。そして、不等流の状態を解析するための計算を不等流計算又は不等流解析という。
また、陰形式差分法により河川の水位及び流量をシミュレーションする方法として、以下の非特許文献1〜5に記載されている方法も提案されている。
一般の河川は多くの支川を有しており、また、派川や遊水地などの結節部を有する場合があり、これらの条件を計算システムに組み込むことは必須の条件である。また、不定流状態の河川の水位及び流量を長区間長時間にわたって予測する場合、河川の横断面を適切に組み込むことが求められる。そのためには、支川、派川、遊水池等を有する複合河川における結節点の水位及び流量を高精度で求めること、及び横断面の条件を組み入れる必要がある。この課題に対して、今までにも提案がなされているが、解決には至っていない。
(a)監視領域を構成する河川の体系、監視時間、監視領域の河道各地点の河道断面特性、河道各地点の粗度係数特性、本・支川の複数の所定地点の複数の所定時間にわたる実測水位及び流量である実測時間水位及び実測時間流量、全監視領域の初期時点j=1(ただし、監視時点を時点j=1,2,3,・・・とする)の水位と流量、並びに、全監視時間の本川上流端、下流端、支川上流端の境界条件を設定するための入力欄を表示する入力欄表示手段と、
(b)時点j+1における、本川及び支川の上流端以外の各地点の流量の第1次近似値を、時点jの値に仮定する手段と、
(c)上流端与件水位の上昇量や前時点までの流量変化量或は与件水位と計算水位との差に基づいて、2つの上流端仮定流量による2つの上流端計算水位を求め、それらを用いて逐次上流端流量仮定の近似度を上げていく上流端流量計算手段と、
(d)本川下流端与件水位及び派川下流端与件水位を出発条件として、結節点以外の各地点の時点j+1の水位を不定流的不等流計算により算定する不定流的不等流計算手段と、
(e)本川及び支川の結節点に関し、結節点の種類に適合した結節点条件式を用いて結節点上流側水位を計算する結節点水位計算手段と、
(f)本川最下流端から上流に向かって順次それぞれの地点の時点j+1における全領域の水位を計算する手段であって、本川最下流端とその上流の結節点の間、結節点とその上流の結節点との間、及び最上流の結節点と最上流端との間、及び各支川の本川への合流点から上流端の間、派川の下流端から上流端の間の時点j+1の水位を不定流的不等流計算手段により算定させ、かつ、各結節点上流側水位を、結節点水位計算手段により算定させることにより、全領域の水位を算定させる全領域水位計算手段と、
(g)本川上流端及び支川上流端の流量を出発条件として、結節点以外の次時点j+1の流量を下流に向けて再仮定する流量再計算手段と、
(h)本川及び支川の結節点に関し、結節点の種類に応じて、支川、派川、或は遊水地等の流量と関係付けて、結節点の種類に適合した結節点条件式により、結節点から流れ出る流量である結節点下流流量を算定する結節点下流流量計算手段と、
(i)本川最上流端から下流に向かって順次それぞれの地点の時点j+1における全領域の流量を計算する手段であって、本川最上流端とその下流の結節点の間、結節点とその下流の結節点との間、及び最下流の結節点と最下流端との間、及び各支川の上流端から本川への合流点の間、派川の上流端から下流端の間の時点j+1の流量を流量再計算手段により算定させ、かつ、各結節点下流流量を、結節点下流流量計算手段により算定させることにより、全領域の流量を算定させる全領域流量計算手段と
からなることを特徴とするシミュレーションシステムを提供する。
第1回の仮定
Q仮定1(IN,j+1)=Q計算1(IN,j)+C1(H与件(IN,j+1)−H計算1(IN,j))
(ただし、INは単一河川としての本川上流端及び支川区間の総断面数、Q計算1(IN,j)、H計算1(IN,j)は、時点jにおける最終の流量及び水位の計算結果であり、Q仮定1(IN,j+1)は時点j+1における上流端流量の仮定値、H与件(IN,j+1)は上流端の与件水位、C1は定数)
第2回の仮定
Q仮定2(IN,j+1)=Q仮定1(IN,j+1)+C1(H与件(IN,j+1)−H計算1(IN,j+1))
(ただし、H計算1(IN,j+1)は、時点j+1における流量の第1回の仮定により安定に達するに必要なMM回の繰り返し計算を行った後の上流端の水位)
なお、第1回の仮定を、上記のように設定する代わりに、
Q仮定1(IN,j+1)=Q計算1(IN,j)+前時点における上流端の流量変化量
前時点における上流端の流量変化量=Q計算1(IN,j)−Q計算1(IN,j−1)
(ただし、Q計算1(IN,j−1)は、時点j−1における最終の流量の計算結果である。)
と設定してもよい。
第K回の仮定(K=3,4,5,・・・)
Q仮定K(IN,j+1)=Q仮定(K−1)(IN,j+1)+(Q仮定(K−1)(IN,j+1)−Q仮定(K−2)(IN,j+1))/(H計算(K−1)(IN,j+1)−H計算(K−2)(IN,j+1))*(H与件(IN,j+1)−H計算(K−1)(IN,j+1))
(ただし、H計算(K−1)(IN,j+1)は、時点j+1における流量の第(K−1)回の仮定により安定に達するに必要なMM回の計算を行った後の上流端の計算水位)
の計算を実行することにより、上流端の計算水位を与件水位の許容誤差以内に近づけていくように構成されていることが好ましい。
H(i,j+1)
=H(i−1,j+1)+1/2g*(v2(i−1,j+1)−v2(i,j+1))
+1/2*(ni 2v2(i,j+1)/R4/3(i,j+1)
+ni−1 2v2(i−1,j+1)/R4/3(i−1,j+1))*Δxi−1
+Δxi−1/2gΔt*(v(i,j+1)
+v(i−1,j+1)−v(i,j)−v(i−1,j))
ただし、i:単一河川の下流端から上流端までの位置
(i=2,3,…………, IN)
Δt:時点間隔(=(時点j+1)−(時点j))
Δx:距離間隔(=(位置i+1)−(位置i))
H:水位
v:流速(v=流量Q/通水断面積A)
g:重力の加速度
n:マニングの粗度係数
R:径深
により行うよう構成されていることが好ましい。
・合流点における結節点条件式として
本川合流点上流側水位 = 本川合流点下流側水位
・派川への分流点における結節点条件式として
本川分流点上流側水位 = 本川分流点下流側水位
・遊水地における結節点条件式として
本川遊水地直上流側水位 = 本川遊水地直下流側水位
・堰・落差工における結節点条件式として
上流側水位=下流側水位+funcV(上流側流量、下流側水位)
(ここに、funcV(上流側流量、下流側水位)は、結節点における諸条件を検討して求められている与件式である)
を用いて結節点上流の水位を計算するよう構成されていることが好ましい。
dRQhi-1=Δxi−1/2Δt*(A(i,j+1)+A(i−1,j+1)−A(i,j)−A(i−1,j))
dRQqi-1=(Q(i−1,j+1)+Q(i−1,j)−Q(i,j+1)−Q(i,j))/2
を用いて、
Q(i−1,j+1)=(dRQqi-1−dRQhi-1)−Q(i−1,j)+Q(i,j+1)+Q(i,j)
ただし、i=2,3,……………, IN
により算定するよう構成されていることが好ましい。
・合流点における結節点条件式として、
本川合流点上流流量+支川合流流量 = 本川合流点下流流量
を用いて結節点下流流量を算定し、
・派川への分流点における結節点条件式として、
本川分流点上流流量 = 本川分流点下流流量+派川側上流端流量
派川側上流端流量=funcI(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位)
本川分流点上流側水位 = 派川側上流端水位+損失水頭
損失水頭=funcII(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位)
(ただし、funcI(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位) 及びfuncII(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位)は、結節点における諸条件を検討して求められている与件式)であり、本川分流点上流側水位と損失水頭の関係式は、分流点の関係を損失水頭の関係で与える場合の関係式
を用いて、本川分流点下流流量を算定し、
・遊水地に関し、遊水地の結節点条件式を用いて、遊水地流入量を算定することにより遊水地内水位を求めると共に、本川遊水地下流流量の算定を行い、遊水地における結節点条件式として、
本川遊水地下流流量 = 本川遊水地上流流量 − 遊水地流入量
遊水地内水位 = funcIII(遊水地流入量累加量)
遊水地流入量 = funcIV(遊水地直上流側水位,遊水地内水位)
(ただし、funcIII(遊水地流入量累加量)及びfuncIV(遊水地直上流側水位,遊水地内水位)は、結節点における諸条件を検討して求められている与件式)
を用いて、本川遊水地下流流量を算定し、
・堰・落差工における結節点条件式として、
上流側流量=下流側流量
を用いて堰・落差工下流流量を算定するよう構成されている
ことが好ましい。
該システムはさらに、不定流的不等流計算手段、結節点水位計算手段、全領域水位計算手段、流量再計算手段、結節点下流流量計算手段、及び全領域流量計算手段による計算を所定の回数であるMM回(MM回は、上流端流量計算手段により、上流端流量を設定して計算を行い、結果として求められる上流端水位が安定するに要する回数)行った後に、
得られた本川及び支川の最上流端の計算水位と境界条件水位とを比較・監視する上流端水位合致度監視手段と、
計算された2地点間の水位及び流量に基づき、その誤差が許容誤差を超えている地点iの数を検出して表示する連続方程式合致度監視手段と、
所定のKM回(KM回は、上流端流量の設定を繰り返す回数)の繰り返し計算が終了していない場合で、上流端水位合致度監視手段及び連続方程式合致度監視手段による監視結果がその時点における再計算を示している場合に、上流端流量計算手段、全領域水位計算手段、及び全領域流量計算手段を再度駆動して、全領域の水位及び流量を再度計算させる再計算指令手段と、
上流端水位監視手段及び連続方程式合致度監視手段による監視結果が時点の増分を示している場合、又は所定のKM回(KM回は、計算の精度を向上させるために、上流端流量の設定を繰り返す回数、15回を概ねの上限回数とする。)の繰り返し計算が終了した場合に、上流端流量計算手段、全領域水位計算手段、及び全領域流量計算手段を再度駆動して、次時点における全領域の水位及び流量を計算させる次時点移行指令手段と
を備えていることが好ましい。
上流端境界条件が流量与件の場合は、上流端流量を仮定する必要が無いため、上記した上流端水位の合致度のチェツクをする必要がなく、上流端流量として与件流量を与え続けて、連続方程式合致度監視手段による監視結果が許容範囲となるまで繰り返し計算を行う。そのため、該システムは、不定流的不等流計算手段、結節点水位計算手段、全領域水位計算手段、流量再計算手段、結節点下流流量計算手段、及び全領域流量計算手段による計算を行った後に、
計算された2地点間の水位及び流量に基づき、その誤差が許容誤差を超えている地点iの数を検出する連続方程式合致度監視手段と、
連続方程式合致度監視手段による監視結果がその時点における再計算を示している場合に、
上流端流量計算手段、全領域水位計算手段、及び全領域流量計算手段を再度駆動して、全領域の水位及び流量を再度計算させる再計算指令手段と、
連続方程式合致度監視手段による監視結果が時点の増分を示している場合に、
上流端流量計算手段、全領域水位計算手段、及び全領域流量計算手段を再度駆動して、次時点における全領域の水位及び流量を計算させる次時点移行指令手段と
を備えていることが好ましい。
(a)監視領域を構成する河川の体系、監視時間、監視領域の河道各地点の河道断面特性、河道各地点の粗度係数特性、本支川の複数の所定地点の複数の所定時間にわたる実測水位及び流量である実測時間水位及び実測時間流量、全監視領域の初期時点j=1(ただし、監視時点を時点j=1,2,3.・・・とする)の水位と流量、並びに、全監視時間の本川上流端、下流端、支川上流端の境界条件を設定するための入力欄を表示する入力欄表示手段と、
(b)結節点の上流側の水位を全て仮定して、その仮定した結節点上流側水位と計算によって求められた結節点下流側水位との差が許容誤差範囲となるまで、
本川結節点上流側水位再仮定値
=α*仮定値(=本川結節点上流側水位)+(1−α)*計算結果(=本川結節点下流側水位)
(ここに、αは定数(αは1/4〜3/4の範囲の値であることが好ましく、特に、α≒1/2であることが好ましい)
の式を用いて、結節点の上流側水位の再仮定を行う結節点上流水位仮定手段であって、最初の本川結節点上流側水位の仮定値を前時点jの結節点上流側水位とする、結節点上流水位仮定手段と、
(c)仮定した結節点上流側水位を用い、本川上流端及び支川上流端境界条件を出発条件として、単一河川の陰形式計算により、結節点以外の次時点j+1の水位と流量を算定する単一河川簡略法陰形式計算手段と、
(d)本川及び支川の結節点に関し、結節点の種類に応じて、支川、派川、或は遊水地等の流量と関係付けて、結節点の種類に適合した結節点条件式により、各結節点から流れ出る流量である結節点下流流量を算定する結節点下流流量計算手段と、
(e)本川の最上流端から下流に向かって順次それぞれの地点の時点j+1における全領域の水位と流量を計算する手段であって、最上流端とその下流の結節点の間、結節点とその下流の結節点との間、及び最下流の結節点と最下流端との間、及び各支川の上流端から本川への合流点の間、派川の上流端から下流端の間の時点j+1の流量を単一河川簡略法陰形式計算手段により算定させ、かつ、各結節点下流流量を、結節点下流流量計算手段により算定させることにより、全領域の水位と流量を算定させる全領域水位流量計算手段と
を備えていることを特徴とするシミュレーションシステムを提供する。
Q(i−1,j+1)=−qi−1H(i,j+1)−ti−1Q(i,j+1)+si−1
H(i,j+1)=ri−piQ(i,j+1)
Q(i,j+1)=(ri−H(i,j+1))/pi
ただし、i=2,3,………………,IN
Q(i.j+1):各測点で計算しようとする時点j+1での流量
H(i,j+1):各測点で計算しようとする時点j+1での水位
qi−1=1/(θi−1+pi−1),ti−1=ηi−1/(θi−1+pi−1)
si−1=(μi−1+ri−1)/(θi−1+pi−1)
ri=(ξi−1+σi−1si−1−νi−1ri−1)
/(σi−1qi−1+νi−1)
pi=(σi−1ti−1+1)/(σi−1qi−1+νi−1)
(ただし、σi−1=1−νi−1pi−1,r1=H(1,j+1),p1=0)
ηi−1=−Δxi−1/g(A(i,j)+A(i−1,j))Δt
+2(Q(i.j)+Q(i−1.j))/g(A2(i,j)
+A2(i−1,j))
−Δxi−1|Q(i.j)+Q(i−1.j)|/2(k2(i,j)
+k2(i−1,j))
θi−1=−Δxi−1/g(A(i,j)+A(i−1,j))Δt
−2(Q(i.j)+Q(i−1.j))
/g(A2(i,j)+A2(i−1,j))
−Δxi−1|Q(i.j)+Q(i−1.j)|/2(k2(i,j)
+k2(i−1,j))
μi−1=−Δxi−1*(Q(i.j)+Q(i−1.j))/g(A(i,j)
+A(i−1,j))Δt−(Q2(i.j)+Q2(i−1.j)))
*(A(i−1,j)−A(i,j))/g(A3(i,j)
+A3(i−1,j))
νi−1=−Δxi−1*(B(i,j)+B(i−1,j))/4Δt
ξi−1=νi−1*(H(i,j)+H(i−1,j))
により水位及び流量を計算するよう構成されていることを特徴とするシミュレーションシステムを提供する。
本川分流点上流流量 = 本川分流点下流流量+派川側上流端流量
本川分流点上流側水位 = 派川側上流端水位+損失水頭
損失水頭=funcII(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位)
を用いて計算するよう構成されていることが好ましい。
得られた本川結節点下流側水位と本川結節点上流側(仮定)水位とを比較・監視する結節点水位合致度監視手段と、
所定のKM回(KM回は、結節点上流側水位の仮定を繰り返す回数)の繰り返し計算が終了しない場合で、結節点水位合致度監視手段による監視結果がその時点における再計算を示している場合に、全領域水位流量計算手段を再度駆動して、全領域の水位及び流量を計算させる再計算指令手段と、
結節点水位合致度監視手段による監視結果が時点の増分を示している場合、又は所定のKM回(KM回は、計算の精度を向上させるために結節点上流側水位の仮定を繰り返す回数であって、例えば15回を上限回数とする。)の繰り返し計算が終了した場合に、全領域水位流量計算手段を再度駆動して、次時点における全領域の水位及び流量を計算させる次時点移行指令手段と
を備えていることが好ましい。
上記したように、簡略法陰形式差分法の不定流計算法においては、差分項の係数にあたる断面積や径深の値の時間変化が微小であるという近似を用いている。この近似の誤差は、計算法導入における仮定の意味(時間変化量が微小である。)から洪水現象が進行し、水位が高まるに連れて水位変化による断面積変化等が少なくなるため、計算による誤差が発生しにくくなるものであるが、洪水の初期や上流端付近において発生し易いものである。簡略法の計算方法においては、誤差を軽減するための措置は設けられていない。そのため計算途中において、誤差発生の状態を監視することが好ましく、その方法の一つとして連続方程式の2項の間の誤差を監視する方法を導入したものである。
該Excelシートに示すように、横軸の項目として、「区間番号NO」、「今の水位Hi,j」、「次の水位Hi,j+1」、「今の流量Qi,j」、「次の流量Qi,j+1」、「今の全面積Ai.j」、「次の全面積Ai,j+1」、「水位貯留dQRh*10」、「流量貯留-dQRq*10」、「仮定流量」、「誤差ΔER」、「実測水位WL」、「区間距離L」、「全流量TQi,j」、「水位(仮定)Hi,j」、「計算水位Hi,jcal」、「全川幅ΣBB」、「Σ(AR2/3/N)」、「全面積ΣAA」、「径深R」、「AR2/3」、「全体の粗度N」、「平均流速V」「エネルギー勾配IE」、「遊水断面積ΣRAA」、第h区間(h=1,2,3,・・・)についての「区間川幅BCh」、「河床高ZC h」、「区間粗度NCh」、「実川幅BB」、「径深RR」、「AR2/3/N」、「流水断面積AA」、第l遊水区間(l=1,2,3,・・・)についての「区間川幅RBCl」、「河床高RZCl」、「遊水断面積RAA」が含まれている。縦軸には、複合河川の各区間の複数の地点が設定される。
上記したExcelシートを監視時間数用意して、演算部2の指示にしたがって全監視時間にわたる計算を行う。
該Excelシートに示すように、横軸の項目として、「区間番号NO」、「今の水位Hi,j」、「次の水位Hi,j+1」、「今の流量Qi,j」、「次の流量Qi,j+1」、「今の全面積Ai,j」、「次の全面積Ai,j+1」、「水位貯留dQRh*10」、「流量貯留-dQRq*10」、「実測水位WL」、「区間距離L」、「ν」、「ξ」、「η」、「θ」、「μ」、「p」、「q」、「r」、「s」、「t」、「σ」、「全流量TQi,j」、「水位(仮定)Hi,j」、「計算水位Hi,jcal」、「全川幅ΣBB」、「Σ(AR2/3/N)」、「全面積ΣAA」、「径深R」、「AR2/3」、「全体の粗度N」、「平均流速V」「エネルギー勾配IE」、「遊水断面積ΣRAA」、第h区間(h=1,2,3,・・・)についての「区間川幅BCh」、「河床高ZCh」、「区間粗度NCh」、「実川幅BB」、「径深RR」、「AR2/3/N」、「流水断面積AA」、第l遊水区間(l=1,2,3,・・・)についての「区間川幅RBCl」、「河床高RZCl」、「遊水断面積RAA」が含まれている。なお、簡略法においては、これだけの数値は不要であるが、運動方程式を計算する機能を備えることによって計算のチェックを行うために用いているものもある。
縦軸には、複合河川の各区間の複数の地点が設定される。
上記したExcelシートを監視時間数+1枚用意して、演算部2の指示にしたがって全監視時間にわたる計算を行う。
複合河川条件設定/演算結果Excel表示部1はさらに、図1−2に示すように、演算部2において演算された上流端水位の合致度及び連続方程式の合致度(精密法の場合)或は結節点水位の合致度(簡略法の場合)を数値(結節点水位誤差)として表示する。これらの合致度の演算部2における演算については、後述する。
演算部2の精密法陰形式計算部21(精密法陰形式差分法の計算を行う)は、図1−3に示すように、上流端流量計算部21−1、単一河川精密法陰形式計算(不定流的不等流計算)部21−2、結節点水位計算部21−3、全領域水位計算部21−4、流量再計算部21−5、結節点下流流量計算部21−6、全領域流量計算部21−7、上流端水位合致度監視部21−8、連続方程式合致度監視部21−9、再計算指令部21−10、次時点移行指令部21−11により構成されている。
これら各部の機能について、以下に説明する。
上流端境界条件が水位与件の場合は、本川及び支川それぞれの上流端流量を仮定する必要があり、上流端流量計算部21−1は、時点j+1における上流端流量を、上流端与件水位の上昇量や前時点までの流量変化量或いは与件水位と計算水位との差に基づいて仮定する。ただし、初期時点(j=1)のときの上流端流量はオペレータによりExcelシート上で入力される。上流端流量は、上流端与件水位の上昇量や前時間までの流量変化量或いは上流端与件水位と上流端の各繰り返し回の計算水位との差を指標として、以下のように上流端流量の仮定を行い、次時点の上流端計算水位と上流端与件水位の差を許容誤差以内に近づける。
第1回の仮定
Q仮定1(IN,j+1)=Q計算1(IN,j)+C1(H与件(IN,j+1)−H計算1(IN,j))
…………………(1)
ただし、INは単一河川としての本川上流端及び支川区間の総断面数、Q計算1(IN,j)、H計算1(IN,j)は、時点jにおける最終の計算結果であり、Q仮定1(IN,j+1)は最初の上流端流量の仮定値、H与件(IN,j+1)は上流端の与件水位、C1は定数であり、川幅B*流速vの次元((長さ)2/時間)を有し、該積の近傍に値を設定することが好ましい。C1を計算時点の水位に連動して、計算水位に対応する川幅B*流速vの該積の近傍の値に変化させてもよい。
第2回の仮定
Q仮定2(IN,j+1)=Q仮定1(IN,j+1)+C1(H与件(IN,j+1)−H計算1(IN,j+1))
………………(2)
(ただし、H計算1(IN,j+1)は、時点j+1における第1回仮定流量による安定に達するに必要なMM回の繰り返し計算を行った後の上流端の計算水位である。)
なお、第1回の仮定を、上記のように設定する代わりに、
Q仮定1(IN,j+1)=Q計算1(IN,j)+前時点における上流端の流量変化量
前時点における上流端の流量変化量=Q計算1(IN,j)−Q計算1(IN,j−1)
(ただし、Q計算1(IN,j−1)は、時点j−1における最終の流量の計算結果である。)
と設定してもよい。
第3回の仮定
Q仮定3(IN,j+1)
=Q仮定2(IN,j+1)
+(Q仮定2(IN,j+1)−Q仮定1(IN,j+1))
/(H計算2(IN,j+1)−H計算1(IN,j+1))
*(H与件(IN,j+1)−H計算2(IN,j+1))
………………………………(3)
(ただし、H計算2(IN,j+1)は、時点j+1における流量の第2回の仮定により安定に達するに必要なMM回の計算を行った後の上流端の計算水位である。)
第4回以降の仮定
以下、第3回の仮定と同様に計算を繰り返し実行することにより、上流端の計算水位を与件水位の許容誤差以内に近づけていく。
上記した例は、近似度を上げるための一つの事例である。上流端流量の設定は、まず2つの流量を与える(設定する)ことができると、それらの結果として出てくるMM回の計算結果(水位)との関連の基に、直線近似によって次々と近似度を上げていくことができる。MM回の計算を繰り返した後に直線近似することにポイントがある。上記した上流端流量の仮定を5〜6回行うと、所定の回数であるMM回の繰り返し計算によって求められる水位が安定して繰り返し計算により得られる流量変化量が少なくなることがある。このような場合には、その流量を固定して(流量与件として)、連続方程式合致度監視手段による監視結果が許容範囲となり、時点の増分を示すまで繰り返し計算を行う。
単一河川精密法陰形式計算部21−2は、本川下流端与件水位及び派川下流端与件を出発条件として、結節点以外の各地点の時点j+1の水位を不定流的不等流計算により算定する手段である。そして、不定流的不等流計算を、
H(i,j+1)
=H(i−1,j+1)+1/2g*(v2(i−1,j+1)−v2(i,j+1))
+1/2*(ni 2v2(i,j+1)/R4/3(i,j+1)
+ni−1 2v2(i−1,j+1)/R4/3(i−1,j+1))*Δxi−1
+Δxi−1/2gΔt*(v(i,j+1)
+v(i−1,j+1)−v(i,j)−v(i−1,j)) ………………………………(4)
ただし、i:単一河川の下流端からの位置(i=2,3,…………………,IN)
Δt:時点間隔(=(時点j+1)−(時点j))
Δx:距離間隔(=(位置i+1)−(位置i))
H:水位
v:流速(v=流量Q/通水断面積A)
g:重力の加速度
n:マニングの粗度係数
R:径深
により行う。全地点の次時点の流量が仮定されていると、下流端の水位H(1,j+1)が既知であれば、次々と上流にむけてH(i,j+1)を算定していくことができる。なお、不定流的ということで加えられている右辺第5項は、他の項に比して小さい値であり、省略してもよい場合が多い。
結節点水位計算部21−3は、各区間(本川及び支川)の結節点に関し、結節点の種類(合流点、分流点或は遊水地などの)や用いる計算方法によって、その結節点に対応した条件式を用いて、未知量である次時点j+1の全結節点の水位を計算する。
結節点の条件式は、結節点の種類により、以下のような式を用いる。
・合流点における条件式
本川合流点上流側水位 = 本川合流点下流側水位 …………(5)
支川下流端水位 =本川合流点下流側水位 …………(5−1)
・分流点における条件式
本川分流点上流側水位 = 本川分流点下流側水位 …………(6)
・遊水地における条件式
本川遊水地直上流側水位 = 本川遊水地直下流側水位 …………(7)
・堰・落差工における条件式
上流側水位=下流側水位+funcV(上流側流量、下流側水位) …………(7−1)
ここに、funcV(上流側流量、下流側水位)は、結節点における諸条件を検討して求められている与件式である。
全領域水位計算部21−4は、最下流端から上流に向かって順次、全領域のそれぞれの地点の時点j+1における水位を計算する。該計算においては、本川最下流端とその上流の結節点の間、結節点とその上流の結節点との間、及び最上流の結節点と最上流端との間、各支川の本川への合流点から各支川の上流端の間、派川の下流端から上流端の間の時点j+1の水位を単一河川精密法陰形式計算部21−2により算定させ、かつ、各結節点上流側水位を、結節点水位計算部21−3により算定させることにより、最上流端までの水位を算定させる。
流量再計算部21−5は、本川上流端及び支川上流端の流量を出発条件として、結節点以外の時点j+1の流量を下流に向けて再算定(仮定)する。下流に向けての時点j+1における流量の再算定(仮定)は、次の式で表される流量換算値dQRhi-1及び流量貯留量dQRqi-1を、
dRQhi-1=Δxi−1/2Δt*(A(i,j+1)+A(i−1,j+1)−A(i,j)−A(i−1,j)) …(8)
dRQqi-1=(Q(i−1,j+1)+Q(i−1,j)−Q(i,j+1)−Q(i,j))/2 ……………(9)
を用いて、
Q(i−1,j+1)=(dRQqi-1−dRQhi-1)−Q(i−1,j)+Q(i,j+1)+Q(i,j) ……(10)
ただし、i=IN,IN−1,…………………,2
により算定する。
結節点下流流量計算部21―6は、結節点の種類に応じて、支川、派川、或は遊水地等の流量と関係付けて、結節点の種類に適合した結節点条件式により、結節点から流れ出る流量である結節点下流流量を算定(再仮定)する。それぞれの結節点条件式は、以下のとおりである。
・合流点における条件式
本川合流点上流流量+支川下流端流量 = 本川合流点下流流量 …………(11)
・派川への分流点における条件式
本川分流点上流流量 = 本川分流点下流流量+派川側上流端流量 …………(12)
派川側上流端流量 = funcI(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位) ……(13)
本川分流点上流側水位 = 派川側上流端水位+損失水頭 …………(13−1)
損失水頭 = funcII(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位) ………(13−2)
(ただし、funcI(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位) 及びfuncII(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位)は、結節点における諸条件を検討して求められている与件式である。)
を用い、式(13)に、分流点上流の諸量を入れて、派川側上流端流量を求めた上、式(12)により、本川分流点下流流量を算定する。
・遊水地における条件式
遊水地の結節点条件式を用いて、遊水地流入量を算定することにより遊水地内水位を求めると共に、本川遊水地下流流量の算定を行う。遊水地における結節点条件式として、
本川遊水地下流流量 = 本川遊水地上流流量 − 遊水地流入量 …………(14)
遊水地内水位 = funcIII(遊水地流入量累加量) …………(15)
遊水地流入量 = funcIV(遊水地直上流側水位,遊水地内水位) ………(16)
(ただし、funcIII(遊水地流入量累加量)及びfuncIV(遊水地直上流側水位,遊水地内水位)は、結節点における諸条件を検討して求められている与件式である。)
を用い、遊水地への流入形式は、本川水位と遊水地内水位により完全越流、潜り越流、潜り逆流、完全逆流の4つの場合があり、この形態を式(16)の関係として設定し、式(16)に、遊水地関係諸量(遊水地直上流側水位,遊水地内水位)を入れて、遊水地流入量を算定し、その結果を式(15)に入れて遊水地内水位を算定し、式(14)により本川遊水地下流流量を算定する。
・堰・落差工における条件式
上流側流量 = 下流側流量 …………(16−1)
全領域流量計算部21−7は、最上流端から下流に向かって順次それぞれの地点の時点j+1における全領域の流量を計算する。該計算においては、本川最上流端及び支川上流端とその下流の結節点の間、結節点とその下流の結節点との間、及び最下流の結節点と最下流端との間、派川の上流端から下流端の間の時点j+1の流量を流量再計算部21−5により算定させ、かつ、各結節点下流流量を、結節点下流流量計算部21−6により算定させることにより、最下流端までの流量を算定させる。
境界条件が水位与件の場合、上流端水位合致度監視部21−8は、所定のMM回の計算後に得られた本川及び支川の最上流端の計算水位と境界条件水位とを比較・監視し、その結果を演算結果Excel表示部1を介してディスプレイ上に表示させる。
連続方程式合致度監視部21−9は、全領域水位計算部21−4及び全領域流量計算部21−7によって計算された水位及び流量の、縦断的な各位置(すなわち2地点間)の誤差状況を監視できるようにするために、式(8),(9)で表されるdRQhi-1及び−dRQqi-1の値の誤差ΔERi-1=dRQhi-1+dRQqi-1を計算し、その結果を演算結果Excel表示部1を介して表示させる。また、その誤差が許容誤差を超えている地点iの数を検出し、該数も演算結果Excel表示部1を介して、図3−1の誤差ΔERの上のセルに、合致しない箇所数を表示させる。
再計算指令部21−10は、境界条件が水位与件の場合は、所定のKM回の繰り返し計算が終了していないことと、上流端水位合致度監視部21−8及び連続方程式合致度監視部21−9による監視結果に基づいて再計算すべきか否かを判定し、再計算すべきであると判定した場合に、上流端流量計算部21−1、全領域水位計算部21−4、及び全領域流量計算部21−7を再度駆動して、次時点j+1における全領域の水位及び流量を再度計算させる。
次時点移行指令部21−11は、境界条件が水位与件の場合は、上流端水位合致度監視部21−8及び連続方程式合致度監視部21−9による監視に基づいて次時点に進むべきか否かを判定し、次時点に進むべきであると判定した場合、又は予め設定したKM回の繰り返し計算が終了した場合に、時点を増分し(j=j+1)、そして、上流端流量計算部21−1、全領域水位計算部21−4及び全領域流量計算部21−7を再度駆動して、増分後の次時点における全領域の水位及び流量を計算させる。
グラフ表示部3は、図1−4に示すように、実測/計算状態量比較表示部31、水位/流量関係表示部32、2時点縦断変化表示部33、遊水池水位・越流表示部34を備え、それぞれ、以下の機能を実行する。
水位/流量関係表示部32は、モデル複合河川の主要地点の、不定流計算結果及び不等流計算結果を水位と流量との関係としてグラフ表示する。
2時点縦断変化表示部33は、モデル複合河川における、2時点のシミュレーション結果の状態量の縦断変化をグラフ表示する。
遊水池水位・越流表示部34は、モデル複合河川における、シミュレーション結果の遊水池の前面水位(結節点での遊水池の水位)、逆流を含む越流量、遊水池内の水位をグラフ表示する。
連続方程式:
∂A/∂t+∂Q/∂x=0
………………………(17)
運動方程式:
−ii+∂h/∂x+∂/∂x(v2/2g)+n2v2/R4/3+(1/g)∂v/∂t
=0 ………………………(18)
−ii+∂h/∂xを水位Hを用いて、−ii+∂h/∂x=∂H/∂xとすると、式(18)は、
∂H/∂x+∂/∂x(v2/2g)+n2v2/R4/3+(1/g)∂v/∂t=0
………………………(19)
と変形され、さらに、Q=Avを代入すると、式(19)は、以下のように変形される。
(1/gA)∂Q/∂t+(2Q/gA2)∂Q/∂x−(Q2/gA3)∂A/∂x
+∂H/∂x+|Q|Q/k2=0 …………………(20)
ただし、A:通水断面積
t:時間
Q:流量
x:距離
H:水位
ii: 河床勾配
h:水深
v:流速(v=Q/A)
g:重力の加速度
n:マニングの粗度係数
k2:通水能
R:径深
また、河川において、多用されているマニングの粗度係数nを用いると、通水能は次のように表される。
k2=A2R4/3/n2 …………………(21)
より詳細に説明すると、基本式としては、式(17)と(19)を用い、それらを以下のように変形する。ただし、「i」は単一河川の下流端からの位置を表し、「j」は時点を表している。
(H(i−1,j+1)−H(i,j+1))/Δxi−1+1/2gΔxi−1*(v2(i−1,j+1)
−v2(i,j+1))+1/2*(ni 2v2(i,j+1)/R4/3(i,j+1)
+ni−1 2v2(i−1,j+1)/R4/3(i−1,j+1))+1/2gΔt*(v(i,j+1)
+v(i−1,j+1)−v(i,j)−v(i−1,j))=0 ……………………(22)
これを変形して、
H(i,j+1)=H(i−1,j+1)+1/2g*(v2(i−1,j+1)−v2(i,j+1))
+1/2*(ni 2v2(i,j+1)/R4/3(i,j+1)+ni−1 2v2(i−1,j+1)/R4/3(i−1,j+1))*Δxi−1+Δxi−1/2gΔt*(v(i,j+1)+v(i−1,j+1)−v(i,j)−v(i−1,j)) ………………………………(23)
(ただし、i=2,3,…………………,IN)
全地点の次時点の流量が仮定されていると、下流端の水位H(1,j+1)が既知であれば、次々と上流にむけてH(i,j+1)を算定していくことができる。
((A(i,j+1)+A(i−1,j+1))−(A(i,j)+A(i−1,j))) /2Δt
+(Q(i−1,j+1)+Q(i−1,j)−Q(i,j+1)−Q(i,j)) /2Δxi−1=0 … (24)
これを変形して、
Q(i−1,j+1)=−Q(i−1,j)+Q(i,j+1)+Q(i,j)
−(A(i,j+1)+A(i−1,j+1)−A(i,j)−A(i−1,j)) *Δxi−1/Δt …… (25)
ただし、i=IN,IN−1,…………………,2
上流端の流量Q(i,j+1)が既知であれば、次々と下流にむけてQ(i−1,j+1)を算定していくことができる。
dRQhi-1=Δxi−1/2Δt*(A(i,j+1)+A(i−1,j+1)−A(i,j)−A(i−1,j)) …(26)
同様に、流量の関係からそれらの間の流量貯留量dQRqi-1は、以下のように表すことができる。
dRQqi-1=(Q(i−1,j+1)+Q(i−1,j)−Q(i,j+1)−Q(i,j))/2 …………(27)
式(8)の関係が成立するとすると、
dRQhi-1=−dRQqi-1 ……………………………………(28)
の関係が成立する筈であるが、水位や流量に誤差が含まれていると一致しない。
この誤差ΔERは、
ΔERi-1=dRQqi-1+dRQhi-1 …………………………………(29)
と表される。この誤差ΔERi-1が許容基準を超えた場合、流量の変化量(流量貯留量)を水位貯留量と流量貯留量の平均と仮定し、式(27)を変換すると、
(dRQqi-1−dRQhi-1)=(Q(i−1,j+1)+Q(i−1,j)−Q(i,j+1)−Q(i,j)) ……(30)
式(25)の形にまとめると、下流に向けてのj+1時における流量は
Q(i−1,j+1)=(dRQqi-1−dRQhi-1)−Q(i−1,j)+Q(i,j+1)+Q(i,j) ……(31)
となる。式(25)の代わりに式(31)を用いて、逐次Q(i−1,j+1)を求めていく。これにより、上流端以外の全領域の流量が計算される。
1)監視領域に対する各断面(位置)の断面特性を設定する。
2)各断面(位置)の粗度係数特性を設定する。
3)監視領域内で観測されている観測水位や観測流量を対応する1)で設定された断面(位置)と関係付けて入れる。
4)各断面(位置)に初期条件を設定する。
5)監視領域の上流端に水位又は流量、下流端に水位を全監視時間にわたる境界条件として設定する。
6)上流端の流量を仮定する。(流量与件の場合は既知である。)
7)上流端以外の全ての次時点の流量を仮定する。(最初の仮定値は、前時間の値とする。)
8)式(23)を用いて、次時点の下流端を出発条件として、全断面(位置)の水位を上流端まで求める。
9)各2地点について式(26)及び(27)を求め、式(31)により上流端を出発条件として、全断面(位置)の流量を下流端まで再仮定して、7)に戻る。繰り返し計算が、所定の回数であるMM回に達した場合は、式(29)式の合致の度を調べ、許容誤差を越える箇所が全体の5%を超える場合、及び、上流端の与件水位と8)の計算による上流端水位との誤差が許容誤差の条件を満足しない場合は、上流端流量の再仮定を行い、6)に戻り、6)〜9)を繰り返しする。
10)上記9)において許容誤差の条件を満足した場合には、求めた水位と流量が求める値であり、そして、これらの値を次時点の初期条件として次々と所要時間、監視領域の不定流計算を行う。
本発明においては、以下に説明するように河川横断面を流水断面と遊水断面に分けて、水位が求められるか、与えられると不定流計算に必要な流水断面積、川幅、径深、全体粗度係数、遊水断面積等を算定する。ここに、流水断面とは河川横断面のうち流水が流れとして流下する断面部分をいい、遊水断面とは河川横断面のうち河川の水位が変化したとき、その変化に応じて水位が変化して遊水する断面部分をいう。
ここで、iは断面番号すなわち河川の断面(位置)に対する番号であり、h及びlは河川の各断面iの中における流水断面に対する区分番号及び遊水断面に対する区分遊水番号である。計測量としては、流水断面はIM区分(20区分以内)、遊水区間についてはRIM区分(5区分以内)とすることが好ましい。河川水位が定まった場合の流水川幅、流水断面積、断面平均の径深、断面平均の全体粗度係数を求めなければならない。このためには、区分毎に補助計算を行い、集計する。
BB(i,h)=if (H(i,j)−ZC(i,h))>0 then BC(i,h)
else 0
………(32)
RR(i,h)=if (H(i,j)−ZC(i,h))>0 then(H(i,j)−ZC(i,h))
Else 0
………(33)
AA(i,h)= BB(i,h)*RR(i,h) ……………(34)
と算定される。ただし、BB(i,h)は、i断面におけるh区分断面の区分実川幅を示す。同様にRR(i,h)、AA(i,h)は、区分実径深、区分実断面積を示す。
Q(i,j)= QQ(i,1)+QQ(i,2)+………+QQ(i,h)+………+QQ(i,IM)
…………………(35)
全体のエネルギー勾配と区分のエネルギー勾配が等しいと考えられるから、全体エネルギー勾配をEI(i,j)、区分エネルギー勾配をEEI(i,h)とすると、
EI(i,j)= EEI(i,1) =EEI(i,2)=………= EEI(i,h)=………= EEI(i,IM)
…………………(36)
が得られる。エネルギー勾配の定義から、
EI(i,j)=( N(i,j)* Q(i,j))2/(R(i,j)4/3*A(i,j)2)
とおいて、
( N(i,j)* Q(i,j))2/(R(i,j)4/3*A(i,j)2) = ( NC(i,1)* QQ(i,1))2/(RR(i,1)4/3*AA(i,1)2) = ………= ( NC(i,IM)* QQ(i,IM))2/(RR(i,IM)4/3*AA(i,IM)2)
………………(37)
この式(37)を式(35)に代入して整理すると、
A(i,j)*R(i,j)2/3/ N(i,j) = ΣAA(i,h)*RR(i,h)2/3/ NC(i,h)
………………………(38)
ここで、B(i,j) = Σ(BB(i,h)) ………………………(39)
A(i,j) = Σ(AA(i,h)) ………………………(40)
である。式(38)にはR(i,j)とN(i,j)の未知数があり、式が一つであるから、相似形から、
A(i,j)*R(i,j)2/3 = ΣAA(i,h)*RR(i,h)2/3
とおくと、以下の式が得られる。
R(i,j) = (ΣAA(i,h)*RR(i,h)2/3/ A(i,j))3/2 ……………(41)
N(i,j) = A(i,j)*R(i,j)2/3 /Σ(AA(i,h)*RR(i,h)2/3/ NC(i,h))
………………(42)
RAA(i,l)=if (H(i,j)−RZC(i,l) )>0 then(RBC(i,l)*(H(i,j)−RZC(i,l))
else 0 ………………(43)
RA(i,j) = Σ(RAA(i,l) ) ……………………(44)
が得られる。
以上により、区分川幅、区分河床高を単区分とする複雑な断面形状に対して、水位が与えられると、区分断面特性から断面平均の径深や全体粗度係数が算定される。
次に、ステップS703において、流量再計算部21−5が、本川及び支川の上流端以外の次時点j+1における各地点の流量を仮定する。最初は、前時点jの値に仮定する。次いで、単一河川精密法陰形式計算部21−2が、ステップS704において、本川下流端与件水位及び派川下流端与件を出発条件として、各地点の時点j+1の水位を不定流的不等流計算により算定する(不定流的不等流計算として、式(23)により計算する)。本川及び支川の合流点の水位は、結節点水位計算部21−3が、結節点条件式に基づいて結節点上流の水位として計算する。
このようにして、本川上流並びに各支川水位を上流端まで求める。このように、S704の計算過程により、全監視領域の水位を全領域水位計算部21−4で計算する。
以上のように、ステップS705からS708の過程により、全監視領域の流量を全領域流量計算部21−7で計算する。
このようにして、時点jNまでの計算が終了すると、ステップS8での判定結果がNOとなり、これは、先に設定した一群の粗度係数条件による計算が完了したことを意味するので、ステップS10において、実測/計算状態量比較表示部32並びに水位/流量関係比較表示部35により、不定流計算結果を対比的に表示する。
実測/計算状態量比較表示部31は、図4−2のフロー図におけるステップS10において動作し、複合河川の状態量シミュレーションにより得られた時間水位(時間により変動する水位)と時間流量(時間により変動する流量)を、実測資料の入力により予め組み込まれた観測時間水位値や観測時間流量値とを比較する図を作成する。計算が完了すると直ちに、主要地点において組み込まれた実測(観測)による時間状態量(水位及び流量)とを比較する図(グラフ)を作成し、ディスプレイ上に表示する。時間状態量(水位及び流量)の計算が完了すると直ちに、主要地点において組み込まれた実測時間状態量と計算時間状態量を表示する。ステップS11においてオペレータが評価を行い、実測値との合致度をチェックする。
図5−2及び図5−3は、実測/計算状態量比較表示部31によって表示されるグラフの一例である。これらの図においては、実測状態量としては、簡略法陰形式計算法による計算値を比較する観測値として併記している。各図の下方に凡例を示しているが、塗りつぶしの四角及び三角等が精密法の計算結果であり、記号無しの実線や点線で示しているのが観測値の代わりに簡略法陰形式計算法による計算値を示すものである。凡例に示している数字は、本川の河川位置を示している。40精とあるのは、河口から40km位置の精密法による計算結果ということを示す。ただ、派28とあるのは、派川の河口から28番目の断面位置を示している。この位置は、派川の最上流端位置であり、本川の120+0(本川120km位置(分流点)の+0m上流の分流点上流側水位)から分かれた位置にあたる。遊1、遊2、遊3は、3ケ設置されている遊水地の番号を示している。40簡とあるのは、40km位置の簡略法による計算値を観測値の代わりに示しているものである。
この計算モードを実行する簡略法陰形式計算部22は、図1−3に示すように、結節点上流水位計算部22−1、単一河川簡略法陰形式計算部22−2、結節点下流流量計算部22−3、全領域水位流量計算部22−4、連続方程式合致度監視部22−5、結節点水位合致度監視部22−6、再計算指令部22−7、及び次時点移行指令部22−8を備えている。なお、結節点下流流量計算部22−3、再計算指令部22−7、次時点移行指令部22−8は、精密法陰形式計算部21にも同様な機能が備えられているので、これらを精密法陰形式計算部21及び簡略法陰形式計算部22とで共用しても良い。
以下に、精密法陰形式計算部21と相違する簡略法陰形式計算部22の機能部について説明する。
単一河川の簡略法陰形式計算は、境界条件として、単一河川の上流端の水位または流量及び下流端の水位が与えられると全ての水位と流量が求められる。複合河川において、この条件を作るためには、結節点の上流側の水位を全て仮定して、その仮定した結節点上流側水位と計算によって求められた結節点下流側水位が、許容誤差範囲で一致するまで次の式で再仮定を行うものである。
本川結節点上流側水位再仮定値
=α*仮定値(=本川結節点上流側水位)+(1−α)*計算結果(=本川結節点下流側水位)
………………………(45)
ここに、αは定数であり、1/4〜3/4の範囲の値であることが好ましく、収斂状況を調べ、それに応じて適宜の値に設定される。
なお、最初の本川結節点上流側水位の仮定値は、前時点の結節点上流側水位とする。
複合河川水系における単一河川区間において、既知の方法である単一河川の簡略法陰形式計算法を用いて、単一河川区間の次時点j+1の水位と流量を求めるものである。
単一河川簡略法陰形式計算部22−2は、基本式として、上記した式(17)及び(20)を用いる。既知の手法であるため、式の展開は省略するが、基本式を基に差分式を展開して次の式(46)〜(50)を求めることができる。
単一河道に対する計算方法(下流端で水位、上流端で水位或は流量が与件として与えられている場合)は、未知数である水位及び流量を求める計算式は、以下のように集約される。
Q(i−1,j+1)=−qi−1H(i,j+1)−ti−1Q(i,j+1)+si−1
………………………(46)
H(i,j+1)=ri−piQ(i,j+1) ………………………(47)
ただし、i=2,3,………………,IN
式の数が、(IN−1)*2ケであり、与件2ケを合わせると式が2*INケとなる。未知数の数と等しくなり、Q(i.j+1)とH(i,j+1)を求めることができる。
また、式(47)を変形して、
Q(i,j+1)=(ri−H(i,j+1))/pi …………………(48)
を得る。式(47)は同一箇所において流量から水位を求める式であるが、式(48)により、同一箇所において水位から流量を求めることができる。河川の上流端においては流量が観測されていない場合が多く、この式(48)により、与件を水位として流量を求めることができる。
なお、従来は、式(47)を用いて、同一箇所において流量から水位を算定するということは行われていたが、同一箇所において水位から流量を算出し得るということは行われていなかった。本発明者は、式(47)から式(48)を算出し、実際の河川へ適用することを通して式(48)の有効性を確かめることができた。これにより、不定流計算の与件の与え方が大変簡単になった。このことは、派川等の分派点の条件を与える上においても大変有効である。
qi−1=1/(θi−1+pi−1),ti−1=ηi−1/(θi−1+pi−1) …(49−1)
si−1=(μi−1+ri−1)/(θi−1+pi−1) ……(49−2)
ri=(ξi−1+σi−1si−1−νi−1ri−1)/(σi−1qi−1+νi−1)…(49−3)
pi=(σi−1ti−1+1)/(σi−1qi−1+νi−1) ……(49−4)
ただし、σi−1=1−νi−1pi−1,r1=H(1,j+1),p1=0,であり、i=2,3,………………,INである。
ηi−1=−Δxi−1/g(A(i,j)+A(i−1,j))Δt+2(Q(i.j)
+Q(i−1.j))/g(A2(i,j)+A2(i−1,j))−Δxi−1|Q(i.j)
+Q(i−1.j)|/2(k2(i,j)+k2(i−1,j)) ……(50−1)
θi−1=−Δxi−1/g(A(i,j)+A(i−1,j))Δt−2(Q(i.j)
+Q(i−1.j))/g(A2(i,j)+A2(i−1,j))−Δxi−1|Q(i.j)
+Q(i−1.j)|/2(k2(i,j)+k2(i−1,j)) ……(50−2)
μi−1=−Δxi−1*(Q(i.j)+Q(i−1.j))/g(A(i,j)
+A(i−1,j))Δt−(Q2(i.j)+Q2(i−1.j)))*(A(i−1,j)
−A(i,j))/g(A3(i,j)+A3(i−1,j)) ……(50−3)
νi−1=−Δxi−1*(B(i,j)+B(i−1,j))/4Δt ……(50−4)
ξi−1=νi−1*(H(i,j)+H(i−1,j)) ……(50−5)
本簡略法の計算方法の基本は、上述の仮定をおくことによって、計算における繰り返しを無くすることに有り、その基本的考え方の基に誤差を軽減するための措置は設けられていない。このような計算方法に内在する誤差発生に対する配慮事項として、誤差発生の状態を監視することが好ましいと考えられる。
その一つの措置として、本発明の一つである精密法陰形式差分法の誤差軽減方策として用いた連続方程式の2項の差異の程度を監視することが考えられる。
連続方程式合致度監視部22−5は、精密法陰形式計算法において用いられた下記の式で算定される水位貯留量dRQhi-1と流量貯留量−dRQqi-1を用いて、
dRQhi-1=Δxi−1/2Δt*(A(i,j+1)+A(i−1,j+1)−A(i,j)−A(i−1,j))…(26)
−dRQqi-1=−(Q(i−1,j+1)+Q(i−1,j)−Q(i,j+1)−Q(i,j))/2 ………(27)
連続方程式の合致の状態を監視する。
連続方程式を満足している場合は、dRQhi-1と−dRQqi-1は、ほぼ等しいものであるが、誤差が存在する場合は等しくないため、縦断的な各位置における両者の値を調べる。
連続方程式合致度表示部22−5の機能は、精密法陰形式計算部21−9の機能と同様のものであるが、精密法においては誤差を減じる機能を有しているに対し、簡略法においては表示するのみで、誤差を減じる機能を有していないという差異がある。
全領域水位流量計算部22−4は、最上流端から下流に向かって順次それぞれの地点の時点j+1における全領域の水位と流量を計算する。該計算においては、最上流端とその下流の結節点の間、結節点とその下流の結節点との間、及び最下流の結節点と最下流端との間、及び各支川の上流端から本川への合流点の間、派川の上流端から下流端の間の時点j+1の水位と流量を単一河川簡略法陰形式計算部22−2により算定させ、かつ、各結節点下流流量を、結節点下流流量計算部22−3により算定させることにより、最下流端までの流量を算定させる。
結節点下流流量計算部は、基本的に精密法陰形式差分法の場合と同じである。ただし、簡略法においては、境界条件として、上流端与件を水位とする場合においても、繰り返し計算無しに単一河川としての水位と流量を算定することができるということを利用することによって、派川が加わる計算を有効に行うことができる。
このときは、派川への分派点の式として下の関係式を用いる。
本川分流点上流流量 = 本川分流点下流流量+派川側上流端流量 ………(12)
本川分流点上流側水位 = 派川側上流端水位+損失水頭 ………(13−1)
損失水頭=funcII(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位) …………(13−2)
ここに、funcII(本川分流点上流流量、本川分流点上流側水位)は、結節点における諸条件を検討して求められている与件式である。
単一河川簡略法陰形式計算部により分流点上流河川区間の水位と流量が算定されて、本川分流点上流流量と本川分流点上流側水位が求められると、式(13−2)により損失水頭が求められるから、式(13−1)により派川側上流端水位が求められる。したがって、派川河川区間の全ての水位と流量が単一河川の簡略法陰形式計算部により求められる。ここで派川側上流端流量が求められるから、式(12)により本川分流点下流流量が求められる。これより下流の本川の水位と流量の算定は支川合流の場合と同様に算定して次の結節点に至ることができる。
結節点水位合致度監視部22−6は、仮定された本川結節点上流側水位と計算によって求められる本川結節点下流側水位との差が許容誤差範囲にあるかどうかを監視する。
次いで、ステップS803において、結節点下流流量計算部22−3は、合流点結節点条件式を用いて、結節点下流側の流量を算定し、ステップS804において、本川区間のj+1時点の水位と流量を単一河川簡略法陰形式計算部22−2により算定し、結節点に至る。この計算に併行して、連続方程式合致度監視部22−5は、連続方程式チェックのための計算を行う。KK=KK+1として、ステップS805により、KK<=KNのチェックを行い、YESのときはS803に戻る。
派川分流点に至ると、ステップS803において、結節点下流流量計算部22−3の派川結節点の条件式により、損失水頭を算定し、派川分流点上流側水位を算定し、派川について単一河川簡略法陰形式計算部22−2により、次時点の全ての水位と流量を算定し、本川分流点下流流量を算定する。そこで、ステップS804において、本川区間のj+1時点の水位と流量を単一河川簡略法陰形式計算部22−2により算定し、結節点に至る。この計算に併行して、連続方程式合致度監視部22−5により、連続方程式チェックのための計算を行う。KK=KK+1として、ステップS805により、KK<=KNのチェックを行い、YESのときはS703に戻る。
ステップS805により、KK<=KNのチェックを行い、NOのときは最下流端までの計算が完了したとき、ステップS806でK=K+1とおき、ステップS807において、結節点水位合致度監視部22−6により、仮定した全結節点の上流側水位と算定した結節点下流側水位を比較する。
このようにして、時点jNまでの計算が終了すると、ステップS58での判定結果がNOとなり、これは、先に設定した一群の粗度係数条件による計算が完了したことを意味するので、ステップS60において、グラフ表示部3の実測/計算状態量比較表示部31並びに水位/流量関係表示部32により、不定流計算結果の取りまとめを行って、それぞれの比較結果をディスプレイ上に表示する。
ステップS61における一連の比較の結果、所定誤差以内であると判断した場合は、洪水流再現シミュレーションが成功したものであり、ステップS62において、断面の設定、粗度係数の設定、結節点の条件が良好に行われたものとして、オペレータは、確定ボタン等をクリックすることにより、河川の水流を再現するシミュレーションモデルを確定する。確定されたシミュレーションモデルは、記憶装置4に記憶される。
不等流計算が良好に組み込まれない条件というものがどのようなものか。その条件が明確ではないが、このような比較図による検証を行うことは重要なことと考えられる。
(図は、12時間おきの図のみを図示しており、中間の図は不記載。)この影響が水位/流量関係比較図でも見た不等流計算の不具合が現れているものと考えられる。なお、この図に図示されている連続方程式の2項の関係を示す水位貯留量と流量貯留量の2項の関係は、精密法と異なることは前述した通りである。
Claims (5)
- 支川や派川或いは遊水地を含み、これらの間の接続点である1又は複数の結節点を含む複合河川を監視領域とする河川の所定地点の所定時間後の水位及び流量を、コンピュータ上で運動方程式と連続方程式を用いて陰形式差分法により演算するシミュレーションシステムにおいて、
(a)監視領域を構成する河川の体系、監視時間、監視領域の河道各地点の河道断面特性、河道各地点の粗度係数特性、本・支川の複数の所定地点の複数の所定時間にわたる実測水位及び流量である実測時間水位及び実測時間流量、全監視領域の初期時点j=1(ただし、監視時点を時点j=1,2,3,・・・とする)の水位と流量、並びに、全監視時間の本川上流端、下流端、支川上流端の境界条件を設定するための入力欄を表示する入力欄表示手段と、
(b)時点j+1における、本川及び支川の上流端以外の各地点の流量の第1次近似値を、時点jの値に仮定する手段と、
(c)上流端与件水位の上昇量や前時点までの流量変化量或は与件水位と計算水位との差に基づいて、2つの上流端仮定流量による2つの上流端計算水位を求め、それらを用いて逐次上流端流量仮定の近似度を上げていく上流端流量計算手段と、
(d)本川下流端与件水位及び派川下流端与件水位を出発条件として、結節点以外の各地点の時点j+1の水位を不定流的不等流計算により算定する不定流的不等流計算手段と、
(e)本川及び支川の結節点に関し、結節点の種類に適合した結節点条件式を用いて結節点上流側水位を計算する結節点水位計算手段と、
(f)本川最下流端から上流に向かって順次それぞれの地点の時点j+1における全領域の水位を計算する手段であって、本川最下流端とその上流の結節点の間、結節点とその上流の結節点との間、及び最上流の結節点と最上流端との間、及び各支川の本川への合流点から上流端の間、派川の下流端から上流端の間の時点j+1の水位を不定流的不等流計算手段により算定させ、かつ、各結節点上流側水位を、結節点水位計算手段により算定させることにより、全領域の水位を算定させる全領域水位計算手段と、
(g)本川上流端及び支川上流端の流量を出発条件として、結節点以外の次時点j+1の流量を下流に向けて再仮定する流量再計算手段と、
(h)本川及び支川の結節点に関し、結節点の種類に応じて、支川、派川、或は遊水地等の流量と関係付けて、結節点の種類に適合した結節点条件式により、結節点から流れ出る流量である結節点下流流量を算定する結節点下流流量計算手段と、
(i)本川最上流端から下流に向かって順次それぞれの地点の時点j+1における全領域の流量を計算する手段であって、本川最上流端とその下流の結節点の間、結節点とその下流の結節点との間、及び最下流の結節点と最下流端との間、及び各支川の上流端から本川への合流点の間、派川の上流端から下流端の間の時点j+1の流量を流量再計算手段により算定させ、かつ、各結節点下流流量を、結節点下流流量計算手段により算定させることにより、全領域の流量を算定させる全領域流量計算手段と
からなることを特徴とするシミュレーションシステム。 - 請求項1記載のシミュレーションシステムにおいて、該システムはさらに、不定流的不等流計算手段、結節点水位計算手段、全領域水位計算手段、流量再計算手段、結節点下流流量計算手段、及び全領域流量計算手段による計算を所定の回数であるMM回(MM回は、上流端流量計算手段により、上流端流量を設定して計算を行い、結果として求められる上流端水位が安定するに要する回数)行った後に、
得られた本川及び支川の最上流端の計算水位と境界条件水位とを比較・監視する上流端水位合致度監視手段と、
計算された2地点間の水位及び流量に基づき、その誤差が許容誤差を超えている地点iの数を検出する連続方程式合致度監視手段と、
所定のKM回(KM回は、上流端流量の設定を繰り返す回数)の繰り返し計算が終了していない場合で、上流端水位合致度監視手段及び連続方程式合致度監視手段による監視結果がその時点における再計算を示している場合に、上流端流量計算手段、全領域水位計算手段、及び全領域流量計算手段を再度駆動して、全領域の水位及び流量を再度計算させる再計算指令手段と、
上流端水位監視手段及び連続方程式合致度監視手段による監視結果が時点の増分を示している場合、又は所定のKM回(KM回は、上流端流量の設定を繰り返す回数)の繰り返し計算が終了した場合に、上流端流量計算手段、全領域水位計算手段、及び全領域流量計算手段を再度駆動して、次時点における全領域の水位及び流量を計算させる次時点移行指令手段と
を備えていることを特徴とするシミュレーションシステム。 - 支川や派川或いは遊水地を含み、これらの間の接続点である1又は複数の結節点を含む複合河川を監視領域とする河川の所定地点の所定時間後の水位及び流量を、コンピュータ上で運動方程式と連続方程式を用いて陰形式差分法により演算するシミュレーションシステムにおいて、
(a)監視領域を構成する河川の体系、監視時間、監視領域の河道各地点の河道断面特性、河道各地点の粗度係数特性、本・支川の複数の所定地点の複数の所定時間にわたる実測水位及び流量である実測時間水位及び実測時間流量、全監視領域の初期時点j=1(ただし、監視時点を時点j=1,2,3,・・・とする)の水位と流量、並びに、全監視時間の本川上流端、下流端、支川上流端の境界条件を設定するための入力欄を表示する入力欄表示手段と、
(b)結節点の上流側の水位を全て仮定して、その仮定した結節点上流側水位と計算によって求められた結節点下流側水位との差が許容誤差範囲となるまで、
本川結節点上流側水位再仮定値
=α*仮定値(=本川結節点上流側水位)+(1−α)*計算結果(=本川結節点下流側水位)
ただし、αは定数
の式を用いて結節点の上流側水位の再仮定を行う手段であって、最初の本川結節点上流側水位の仮定値を前時点jの結節点上流側水位とする、結節点上流水位計算手段と、
(c)仮定した結節点上流側水位を用い、本川上流端及び支川上流端境界条件を出発条件として、単一河川の陰形式計算により、結節点以外の次時点j+1の水位と流量を算定する単一河川簡略法陰形式計算手段と、
(d)結節点の種類に応じて、支川、派川、或は遊水地等の流量と関係付けて、結節点の種類に適合した結節点条件式により、各結節点から流れ出る流量である結節点下流流量を算定する結節点下流流量計算手段と、
(e)本川の最上流端から下流に向かって順次それぞれの地点の時点j+1における全領域の水位と流量を計算する手段であって、最上流端とその下流の結節点の間、結節点とその下流の結節点との間、及び最下流の結節点と最下流端との間、及び各支川の上流端から本川への合流点の間、派川の上流端から下流端の間の時点j+1の流量を単一河川簡略法陰形式計算手段により算定させ、かつ、各結節点下流流量を、結節点下流流量計算手段により算定させることにより、全領域の水位と流量を算定させる全領域水位流量計算手段と
を備えていることを特徴とするシミュレーションシステム。 - 請求項3記載のシミュレーションシステムにおいて、該システムはさらに、
得られた本川結節点下流側水位と本川結節点上流側水位とを比較・監視する結節点水位合致度監視手段と、
所定のKM回(KM回は、結節点上流側水位の仮定を繰り返す回数)の繰り返し計算が終了しない場合で、結節点水位合致度監視手段による監視結果がその時点における再計算を示している場合に、全領域水位流量計算手段を再度駆動して、全領域の水位及び流量を計算させる再計算指令手段と、
結節点水位合致度監視手段による監視結果が時点の増分を示している場合、又は所定のKM回(KM回は、結節点上流側水位の仮定を繰り返す回数)の繰り返し計算が終了した場合に、全領域水位流量計算手段を再度駆動して、次時点における全領域の水位及び流量を計算させる次時点移行指令手段と
を備えていることを特徴とするシミュレーションシステム。 - 支川や派川或いは遊水地を含み、これらの間の接続点である1又は複数の結節点を含む複合河川を監視領域とする河川の所定地点の所定時間後の水位及び流量を、コンピュータ上で運動方程式と連続方程式を用いて陰形式差分法により演算するためのシミュレーションプログラムであって、請求項1−4いずれかに記載のシミュレーションシステムにおけるそれぞれの手段を実行することを特徴とするシミュレーションプログラム。
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