JP2008208886A - 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 - Google Patents
動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008208886A JP2008208886A JP2007044933A JP2007044933A JP2008208886A JP 2008208886 A JP2008208886 A JP 2008208886A JP 2007044933 A JP2007044933 A JP 2007044933A JP 2007044933 A JP2007044933 A JP 2007044933A JP 2008208886 A JP2008208886 A JP 2008208886A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- link
- power transmission
- hardness
- links
- pin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Transmissions By Endless Flexible Members (AREA)
Abstract
【課題】 リンクの硬さを上げることによって強度を向上させるとともに、強度と耐衝撃性とのバランスを確保することにより、リンクの寿命の向上を図った動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供する。
【解決手段】 引張り荷重を付与した後のリンク11の伸び量がリンク列R1,R2,R3ごとに異なっていることに対応して、リンク列R1,R2,R3ごとにリンク硬さが変更されており、8枚の内側リンク列R3のリンク硬さ>8枚の外側リンク列R2のリンク硬さ>9枚のリンク列R1のリンク硬さとされている。
【選択図】 図1
【解決手段】 引張り荷重を付与した後のリンク11の伸び量がリンク列R1,R2,R3ごとに異なっていることに対応して、リンク列R1,R2,R3ごとにリンク硬さが変更されており、8枚の内側リンク列R3のリンク硬さ>8枚の外側リンク列R2のリンク硬さ>9枚のリンク列R1のリンク硬さとされている。
【選択図】 図1
Description
この発明は、動力伝達チェーン、さらに詳しくは、自動車等の無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンおよびこれを用いた動力伝達装置に関する。
自動車用無段変速機として、図7に示すように、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を有しエンジン側に設けられたドライブプーリ(2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を有し駆動輪側に設けられたドリブンプーリ(3)と、両者間に架け渡された無端状動力伝達チェーン(1)とからなり、油圧アクチュエータによって可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に対して接近・離隔させることにより、油圧でチェーン(1)をクランプし、このクランプ力によりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりトルクを伝達するものが知られている。
動力伝達チェーンとしては、特許文献1に、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられた第1ピンと一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定された第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものが提案されている。この動力伝達チェーンは、チェーン進行方向同位相でチェーン幅方向に並ぶ複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向に複数並べて1つのリンクユニットとし、このリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている。
特開2006−145010号公報
この種の自動車用動力伝達チェーンでは、より一層のリンク寿命の向上が課題となっている。リンク寿命を向上する1手段として、リンクを高硬度にすることでリンクの強度を上げることが考えられるが、リンクを高硬度にすると、耐衝撃性の点では不利になることから、リンクの硬さを単純に上げるだけでは、十分な寿命向上効果は期待できない。
この発明の目的は、リンクの硬さを上げることによって強度を向上させるとともに、強度と耐衝撃性とのバランスを確保することにより、リンクの寿命の向上を図った動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供することにある。
この発明による動力伝達チェーンは、複数のリンクおよび複数のピンを備え、チェーン進行方向同位相でチェーン幅方向に並ぶ複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向に複数並べて1つのリンクユニットとし、このリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている動力伝達チェーンにおいて、引張り荷重を付与した後のリンクの伸び量がリンク列ごとに異なっていることに対応して、リンク列ごとにリンク硬さが変更されており、相対的に伸び量が大きいリンク列のリンクは、相対的に高硬度のものとされていることを特徴とするものである。
動力伝達チェーンは、例えば、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものとされる。
このような動力伝達チェーンでは、幅方向に並ぶリンクの枚数は、全て同じにするのではなく、各リンク列のリンク枚数について多い少ないを作り、例えば、リンク枚数が2n(n:自然数)枚(1例として8枚)のリンク列2つとリンク枚数が2n+1枚(1例として9枚)のリンク列1つとを1単位(リンクユニット)として、このリンクユニットをチェーン進行方向に所要数配置することでチェーンを構成することが好ましい。この場合、チェーンに引張り荷重を付与した後のリンクの伸び量について、2n枚のリンク列の各リンクは、2n+1枚のリンク列の各リンクに比べて、伸び量が相対的に大きいものとなり、また、同じ2n枚のリンク列同士であっても、相対的に幅方向内側に配列されているリンク列の方が、相対的に幅方向外側に配列されているリンク列よりも伸び量が大きいものとなる。
リンクの硬さを上げることは、強度を向上するのに効果があるが、すべてのリンクの硬さを上げると、耐衝撃性という点では低下するので、必ずしも好ましいものではない。これに対し、伸び量大のリンク列の強度を相対的に高くすると、最も弱い部分が強化されるので、全体としての強度が向上し、伸び量小のリンク列の強度を相対的に低くすることで、全体としての強度を低下させることなく、耐衝撃性の低下を抑えることができる。
リンクの硬さの変更は、同じ材料を使用して、熱処理条件を変更することで行うことができる。各リンク間の硬度差は、1HRC以上あればよく、2〜3HRC以上あることがより好ましい。リンクの硬さは、少なくとも43〜47HRCあることが好ましく、60HRC以下であることが好ましい。リンク列が3種類ある時のリンク硬さは、例えば、45HRC,50HRCおよび55HRCとしてもよく、44HRC,47HRCおよび49HRC、45HRC,50HRCおよび52HRCなどとしてもよく、上記の好ましい範囲で任意に設定することができる。
1つのリンクユニットにおけるリンク枚数およびその配列は、種々のものが可能であり、対象とするリンクユニットについて、引張り荷重を付与した後のリンクの伸び量をリンク列ごとに求めることにより、どのリンク列の硬さをどうすればよいかを知ることができる。
第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定されていることが好ましく、この場合の固定(圧入)は、挿通部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われることが好ましい。
この発明による動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
第1ピンおよび第2ピンは、例えば、いずれか一方の転がり接触面が平坦面とされ、他方の転がり接触面が相対的に転がり接触移動可能なように所要の曲面に形成される。また、第1ピンおよび第2ピンは、それぞれの転がり接触面が所要の曲面に形成されるようにしてもよい。いずれの場合でも、各ピンの転がり接触面形状がそれぞれ2種類(例えば相対的に曲率が大のものと相対的に曲率が小のもの)形成されることで、転がり接触移動の軌跡が相違するピンの組が2種類存在するようにしてもよい。第1ピンと第2ピンとの接触位置の軌跡は、例えば、インボリュート曲線とされる。
第1ピンおよび第2ピンは、異なる断面形状であってもよく、同一形状であってもよい。また、リンクは、前後挿通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク)とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫通孔(柱無しリンク)とされていてもよい。
なお、この明細書において、リンクの長さ方向の一端側を前、同他端側を後としているが、この前後は便宜的なものであり、リンクの長さ方向が前後方向と常に一致することを意味するものではない。
上記の動力伝達チェーンは、いずれか一方のピン(インターピース)が他方のピン(ピン)よりも短くされ、長い方のピンの端面が無段変速機のプーリの円錐状シーブ面に接触し、この接触による摩擦力により動力を伝達するものであることが好ましい。各プーリは、円錐状のシーブ面を有する固定シーブと、固定シーブのシーブ面に対向する円錐状のシーブ面を有する可動シーブとからなり、両シーブのシーブ面間にチェーンを挟持し、可動シーブを油圧アクチュエータによって移動させることにより、無段変速機のシーブ面間距離したがってチェーンの巻き掛け半径が変化し、スムーズな動きで無段の変速を行うことができる。
この発明による動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備えたもので、動力伝達チェーンが上記いずれかに記載のものとされる。
この動力伝達装置は、自動車等の無段変速機としての使用に好適なものとなる。
この発明の動力伝達チェーンおよび動力伝達装置によると、リンクの硬さを上げることによって強度を向上させることができ、この際、すべてのリンクの硬さを上げるのではなく、引張り荷重を付与した後のリンクの伸び量がリンク列ごとに異なっていることに対応して各リンク列ごとにリンクの硬さを相違させることで、強度と耐衝撃性とのバランスが確保され、これにより、リンクの寿命を向上させることができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図2の上下をいうものとする。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの一部を示しており、動力伝達チェーン(1)は、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えている。インターピース(15)は、ピン(14)よりも短くなされ、両者は、インターピース(15)が前側に、ピン(14)が後側に配置された状態で対向させられている。
チェーン(1)は、チェーン進行方向同位相の(図1の上下方向に並ぶ)複数のリンクで構成されるリンク列(R1)(R2)(R3)を進行方向(図1の左右方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列(R1)(R2)(R3)からなるリンクユニットを進行方向(図1の左右方向)に複数連結して形成されている。この実施形態では、リンク枚数が9枚(nを自然数として(2n+1)枚の1例)のリンク列(R1)とリンク枚数が8枚(nを自然数として2n枚の1例)のリンク列2つ(R2)(R3)とが1つのリンクユニットとされている。各リンク列(R1)(R2)(R3)のリンク(11)は、チェーン幅方向中心(図1の上下の中央において左右にのびる線)を中心として対称となるように配置されている。具体的には、リンク枚数が9枚のリンク列(R1)は、チェーン幅方向中心から、1番目、4番目、7番目、10番目および13番目の位置に配置され、リンク枚数が8枚のリンク列の一方(R2)は、チェーン幅方向中心から、2番目、6番目、8番目および12番目の位置に配置され、リンク枚数が8枚のリンク列の他方(R3)は、チェーン幅方向中心から、3番目、5番目、9番目および11番目の位置に配置されている。この結果、このリンクユニットでは、9枚のリンク列(R1)の最外側のリンク(11)がチェーン(1)における最外側のリンク(11)となっており、リンク枚数が8枚のリンク列(R2)(R3)については、最外側のリンク(11)が9枚のリンク列(R1)の最外側のリンク(11)の幅方向すぐ内側にあるもの(以下、「8枚の外側リンク列」と称す)(R2)と、最外側のリンク(11)が8枚の外側リンク列(R2)の最外側のリンク(11)の幅方向すぐ内側にあるもの((以下、「8枚の内側リンク列」と称す))(R3)とが存在している。
図2に示すように、リンク(11)の前挿通部(12)と後挿通部(13)との間には、柱部(21)が介在させられており、前挿通部(12)は、ピン(14)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(16)およびインターピース(15)が固定されるインターピース固定部(17)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)が固定されるピン固定部(18)およびインターピース(15)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(19)からなる。
チェーン幅方向に並ぶリンク(11)を連結するに際しては、一のリンク(11)の前挿通部(12)と他のリンク(11)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に固定されかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
リンク(11)のピン固定部(18)とインターピース可動部(19)との境界部分には、インターピース可動部(19)の上下の凹円弧状案内部(19a)(19b)にそれぞれ連なりピン固定部(18)に固定されているピン(14)を保持する上下の凸円弧状保持部(18a)(18b)が設けられている。同様に、インターピース固定部(17)とピン可動部(16)との境界部分には、ピン可動部(16)の上下の凹円弧状案内部(16a)(16b)にそれぞれ連なりインターピース固定部(17)に固定されているインターピース(15)を保持する上下の凸円弧状保持部(17a)(17b)が設けられている。
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボリュートとされており、この実施形態では、ピン(14)の接触面が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート形状を有し、インターピース(15)の接触面が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)がチェーン(1)の直線部分から曲線部分へまたは曲線部分から直線部分へと移行する際、前挿通部(12)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその接触面がインターピース(15)の接触面に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(16)内を移動し、後挿通部(13)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(19)内を固定状態のピン(14)に対してその接触面がピン(14)の接触面に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動する。なお、図2において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線部分においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチである。
図5は、上記の配列とされたチェーン(1)について、すべてのリンク(11)の硬さを同じにした場合の荷重付与後のリンク伸び量を示している。同図から分かるように、リンク伸び量は、リンク列(R1)(R2)(R3)のリンク枚数および配列方法によって異なっており、リンク枚数が8枚のリンク列(R2)(R3)は、9枚のリンク列(R1)よりも伸び量が大きく、また、8枚のリンク列(R2)(R3)間でも違っており、8枚の内側リンク列(R3)のリンク(11)の伸び量が最も大きくなっている。
すべてのリンク(11)の硬さを同じにした場合に上記の特性となることに鑑み、この発明による動力伝達チェーン(1)では、8枚の内側リンク列(R3)のリンク硬さ>8枚の外側リンク列(R2)のリンク硬さ>9枚のリンク列(R1)のリンク硬さとなるように、リンク硬さがリンク列(R1)(R2)(R3)ごとに変更されている。具体的には、9枚のリンク列(R1)のリンク硬さが43〜47HRCとされ、これを基準にして、8枚の外側リンク列(R2)のリンク硬さが+1〜15HRC、8枚の内側リンク列(R3)のリンク硬さが+2〜15HRCとされている。
図3は、9枚のリンク列(R1)のリンク硬さを45HRC、8枚の外側リンク列(R2)のリンク硬さを50HRCおよび8枚の内側リンク列(R3)のリンク硬さを55HRCとした本発明品について、その強度がどのようになるかを、すべてのリンク硬さを45HRCとした従来品1(低硬度リンク)およびすべてのリンク硬さを55HRCとした従来品2(高硬度リンク)と比較したものである。
図3において、9枚のリンク列(R1)、8枚の外側リンク列(R2)、8枚の内側リンク列(R3)の順に強度が低くなっており、従来品1(低硬度リンク)と本発明品とを比較した場合、本発明品では、最も強度が低い8枚の内側リンク列(R3)の強度が大幅に向上し、最も強度が高い9枚のリンク列(R1)の強度はそのままとされ、中間の強度の8枚の外側リンク列(R2)の強度は若干向上している。この結果、本発明品は、最も弱いリンク列(R3)の強度が従来品1(低硬度リンク)に比べて大幅に向上するとともに、各リンク列(R1)(R2)(R3)間の強度差が縮小し、強度の均一化が図られている。また、本発明品と従来品2(高硬度リンク)とを比較した場合、最も弱いリンク列である8枚の内側リンク列(R3)の強度は、同じであり、これ以外のリンク列(R1)(R2)の強度については、従来品2(高硬度リンク)の方が高くなっている。
図3の縦軸に示されている強度は、弾性限界に対する余裕値を表しており、リンク(11)の硬さが等しい場合には、弾性限界も同じとなり、リンク(11)の硬さを上げることによって、弾性限界値を上げることができる。図3において、本発明品では、9枚のリンク列(R1)のリンク(低硬度)の弾性域よりも8枚の外側リンク列(R2)のリンク(中間硬度)の方が幅広く弾性域を使用することができ、8枚の外側リンク列(R2)のリンク(中間硬度)の弾性域よりも8枚の内側リンク列(R3)のリンク(高硬度)の方が幅広く弾性域を使用することができるものとなっている。そして、チェーン(1)の耐久性には最も弱い8枚の内側リンク列(R3)の強度の影響が大きいことを考慮すると、強度が寄与する耐久性に関しては、本発明品と従来品2(高硬度リンク)とはほぼ同等となっている。
図4は、上記の従来品1(低硬度リンク)、本発明品および従来品2(高硬度リンク)について、耐衝撃値を求めたもので、図4から、耐衝撃性については、従来品1(低硬度リンク)>従来品2(高硬度リンク)であり、これらの中間となる平均硬さを有している本発明品は、従来品1(低硬度リンク)と従来品2(高硬度リンク)との中間に位置していることが分かる。すなわち、本発明品は、従来品2(高硬度リンク)に比べて、耐衝撃性に優れている。この結果と図3の結果と合わせると、本発明品は、強度および耐衝撃性が寄与する耐久性について、従来品1(低硬度リンク)および従来品2(高硬度リンク)よりもバランスが取れて優れたものとなっていることが分かる。
この動力伝達チェーン(1)は、必要な数のピン(14)およびインターピース(15)を台上に垂直状に保持した後、リンク(11)を1つずつあるいは数枚まとめて圧入していくことにより製造される。この圧入は、ピン(14)およびインターピース(15)の上下縁部とピン固定部(18)およびインターピース固定部(17)の上下縁部との間において行われており、その圧入代は0.005mm〜0.1mmとされている。こうして、組み立てられたチェーン(1)には張力が付与(予張)される。
上記の動力伝達チェーン(1)では、ピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ、これが騒音の要因となるが、ピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動しかつピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされていることにより、ピンおよびインターピースの接触面がともに円弧面である場合などと比べて、振動を小さくすることができ、騒音を低減することができる。
上記の動力伝達チェーンは、図7に示したCVTで使用されるが、この際、図6に示すように、プーリ軸(2e)を有するプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)にインターピース(15)の端面が接触しない状態で、ピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。ピン(14)とインターピース(15)とは、上述のように、各可動部(16)(19)に案内されて転がり接触移動するので、プーリ(2)のシーブ面(2c)(2d)に対してピン(14)はほとんど回転しないことになり、摩擦損失が低減し、高い動力伝達率が確保される。
(1) 動力伝達チェーン
(2)(3) プーリ
(2a)(3b) 固定シーブ
(2b)(3a) 可動シーブ
(2c)(2d) 円錐状シーブ面
(11) リンク
(14) ピン(第1ピン)
(15) インターピース(第2ピン)
(R1) 9枚のリンク列
(R2) 8枚の外側リンク列
(R3) 8枚の内側リンク列
(2)(3) プーリ
(2a)(3b) 固定シーブ
(2b)(3a) 可動シーブ
(2c)(2d) 円錐状シーブ面
(11) リンク
(14) ピン(第1ピン)
(15) インターピース(第2ピン)
(R1) 9枚のリンク列
(R2) 8枚の外側リンク列
(R3) 8枚の内側リンク列
Claims (3)
- 複数のリンクおよび複数のピンを備え、チェーン進行方向同位相でチェーン幅方向に並ぶ複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向に複数並べて1つのリンクユニットとし、このリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている動力伝達チェーンにおいて、
引張り荷重を付与した後のリンクの伸び量がリンク列ごとに異なっていることに対応して、リンク列ごとにリンク硬さが変更されており、相対的に伸び量が大きいリンク列のリンクは、相対的に高硬度のものとされていることを特徴とする動力伝達チェーン。 - リンク枚数が2n(n:自然数)枚のリンク列2つとリンク枚数が2n+1枚のリンク列1つとがリンクユニットとされるとともに、2n枚のリンク列については、相対的に幅方向外側に配列されているリンク列と、相対的に幅方向内側に配列されているリンク列とがあり、相対的に幅方向内側に配列されている2n枚のリンク列の各リンクの硬さが最も高く、2n+1枚のリンク列の各リンクの硬さが最も低く、相対的に幅方向外側に配列されている2n枚のリンク列の各リンクの硬さが中間の硬さとされている請求項1の動力伝達チェーン。
- 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備え、動力伝達チェーンが請求項1または2に記載のものである動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007044933A JP2008208886A (ja) | 2007-02-26 | 2007-02-26 | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007044933A JP2008208886A (ja) | 2007-02-26 | 2007-02-26 | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008208886A true JP2008208886A (ja) | 2008-09-11 |
Family
ID=39785360
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007044933A Withdrawn JP2008208886A (ja) | 2007-02-26 | 2007-02-26 | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008208886A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020169145A1 (de) * | 2019-02-19 | 2020-08-27 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Cvt-laschenkette mit geschickter anlage zwischen druckstück und lasche |
-
2007
- 2007-02-26 JP JP2007044933A patent/JP2008208886A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020169145A1 (de) * | 2019-02-19 | 2020-08-27 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Cvt-laschenkette mit geschickter anlage zwischen druckstück und lasche |
CN113286955A (zh) * | 2019-02-19 | 2021-08-20 | 舍弗勒技术股份两合公司 | 在压力件与板之间具有明确接触的cvt平环板链 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2008208886A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2007032815A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP4910978B2 (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP4946462B2 (ja) | 動力伝達装置 | |
JP2008144825A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP4770554B2 (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP4893562B2 (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP4830707B2 (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP5151140B2 (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
US20080182692A1 (en) | Power transmission chain and power transmission apparatus | |
JP2008267578A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP5211609B2 (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP4893561B2 (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2007255544A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2007255678A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2008169879A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2008039067A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP5614019B2 (ja) | 動力伝達装置 | |
JP2009079639A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2008267579A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2008190552A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2008208920A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2008202674A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 | |
JP2011200874A (ja) | 動力伝達チェーンの製造方法 | |
JP2008215448A (ja) | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20100511 |