JP2008207223A - ダイヤモンド膜の平滑化加工方法 - Google Patents

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暢男 安永
Toshiyuki Noji
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大志 浜崎
Shigeto Takano
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Kazutaka Kanda
一隆 神田
Isao Hori
功 堀
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Abstract

【課題】CVD法で基板表面に合成したダイヤモンド膜に対して、レーザの使用により従来に比較して安定に平滑化加工する技術を提供する。
【解決手段】加工点近傍のダイヤモンド膜12の表面の法線15に対して80°以上90°未満の角度でレーザ4を照射し、レーザ4の反射効果を利用してダイヤモンド膜表面を安定に平滑化加工する。レーザ4にはYAGレーザの第5高調波を用いる。さらに、減圧下でレーザを照射する。また、レーザ4のビーム径をビームエクスパンダ2で広げてから、アパチャ3で強度の均一な部分を切り出し、均一性の良いレーザをダイヤモンド膜表面に集光させる。さらに、ダイヤモンド膜12上で反射したレーザ4を検出することにより、加工が完了したと判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、工具や部品等の表面にコーティングされるCVD法で合成したダイヤモンド膜に対して、その表面をレーザを用いて平滑化を行うダイヤモンド膜の平滑化加工方法に関する。
ダイヤモンドは現存物質中で最も高い硬さを有することから、切削工具や耐摩耗部品に用いられている。その多くはダイヤモンド粉末を金属バインダとともに焼き固められた、いわゆる焼結体として用いられている。しかし、炭化水素ガスなどを原料としてダイヤモンドを合成する技術が開発されてからは、工具や部品の表面に直接ダイヤモンド膜をコーティングする所謂ダイヤモンドコーティング法が行われるようになってきた。このダイヤモンドコーティング法は熱フィラメントCVD法やマイクロ波プラズマCVD法などのいわゆるCVD法(化学蒸着法)で行われているが、これらの方法の利点は、前述した焼結体を用いる方法と比して、切削工具のような複雑な表面形状を持った製品に対しても適用できることである。
ところで、このCVD法(化学蒸着法)を使用するダイヤモンドコーティング法は合成温度が800〜1000℃と比較的高温で行われることもあり、生成されるダイヤモンド膜は結晶粒成長し、2〜5μmの結晶粒からなる膜が基板上に合成される。そのため、ダイヤモンドをコーティングした基板の表面は比較的粗く、算術平均粗さRaが2μm以上に達することもある。この表面粗さは、一般的な摺動面に対して用いるには粗すぎる値であり、実際に他の材料と摩擦した場合には大きな摩擦抵抗を生じるので問題となる。例えば、この表面粗さを有する切削工具の溝面に切り屑が凝着すると、その摩擦抵抗により切り屑の排出特性が低下し、切削抵抗の増加や工具の破損につながることもある。
そこで、気相合成したダイヤモンド膜の表面を平滑にする試みが従来から行われてきた。その代表的な方法が最も古くから行われてきたダイヤモンドをダイヤモンドで磨く方法、所謂共擦り方法である。この方法は、ダイヤモンド砥粒を使った砥石あるいは遊離ダイヤモンド砥粒を使って行われるものであり、CVDダイヤモンドや焼結ダイヤモンドを比較的効率よく研磨することができる。しかしながら、この方法は、研磨する対象が平面の場合や円筒状の場合には比較的有効であるが、その他の曲面、例えば切削工具のような複雑な表面形状を持った製品に対しては適用できないという問題がある。
また、別のダイヤモンド膜を平滑化する方法として、ダイヤモンドの構成元素である炭素を固溶するチタン合金や鋼等の材料とダイヤモンド膜を摩擦することによりダイヤモンドを摩耗させて平滑化する方法も試みられ、これは大気中もしくは水素雰囲気中の加熱状態でダイヤモンド膜と摺動する方法、あるいは高速運動でダイヤモンド膜に接触させる方法で行われる。しかしながら、これらの方法はいずれもダイヤモンド膜と摺動する相手材、すなわち加工ツールが摩耗するので、その形状が変化し、加工対象のダイヤモンド膜を均一に摩耗させることが難しいという問題がある。
そこで、別の手段として、レーザを用いてダイヤモンド膜を平滑化する試みも行われている。例えば、特許文献1では、波長が190nmから360nmのレーザを照射して、ダイヤモンドの切断あるいは表面の平滑化加工を行う技術が開示されている。具体的には、ArF、XeFなどのエキシマレーザを円筒型レンズあるいは円筒型ミラーにて集光し、ダイヤモンドの加工点における法線面に対して40°〜85°の角度で照射する方法が開示されている。また、特許文献2および特許文献3では、加工部周辺のダイヤモンドが熱で変質して生成したグラファイトの析出を無くするため、ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスまたは水素ガスを吹き付けながらレーザを照射する方法が開示されている。また、特許文献4では、被加工物に冷却用液体を吹き付けながら、YAGレーザの基本波から第4高調波または半導体レーザを使って加工する方法が開示されている。
さらに、特許文献5では、真空雰囲気において被加工物表面から仰角15°の方向でレーザを照射させることによりダイヤモンドを研磨する方法が開示されている。また、特許文献6では、YAGレーザを用いてダイヤモンド膜に対して照射角度を0°超90°未満の範囲で変化させることによりダイヤモンド表面の凸部を除去する方法が開示されている。
特開平6‐40797号公報 特開平6−316406号公報 特開平7‐41387号公報 特開2006‐96051号公報 特開平3−264181号公報 特許第3096943号公報
しかしながら、特許文献1で使用するレーザには、炭酸ガスレーザやYAGレーザが除外されている。それはダイヤモンドに対して透明であり、レーザが吸収されないためである。またこの方法ではダイヤモンド膜の加工点における法線面から40°〜85°の範囲で加工を行っているが、照射角度が小さいためにレーザ出力やフォーカス位置に変化があると加工深さが変化し、均一な深さで加工することが難しく、平滑面を形成しにくいと言う問題があった。特に曲面の場合には照射角度の関係から加工深さが均一になりにくいという欠点があった。
また、特許文献2および3による方法では、不活性ガスを吹き付ける方法は空気の巻き込みがあるので遮断効果が少なく、水素ガスを吹き付ける場合には燃焼する危険があり使いにくいという問題があった。さらに、特許文献4による加工法では、特に被加工物表面に対してレーザを斜め方向から入射させた場合、レーザの焦点位置が変動するか、若しくはレーザが液体表面で反射するため、エネルギ効率の点で問題があった。さらに、特許文献5では、レーザの照射角度が15°であってレーザの広がりやパワー等により適宜調整される旨が記されているが、照射角度の許容範囲については具体的に開示されていない。また、特許文献6では、レーザ加工時のエネルギ効率の観点からレーザの種類やレーザ加工時の雰囲気の選定については何ら言及されていないし、レーザ出力やフォーカス位置の変化でダイヤモンド膜の加工量が変化することについても開示されていない。
本発明は前述した問題点を解決するためになされたものであり、ダイヤモンド膜の平滑化加工において、加工範囲が広く、均一な浅い加工を施された平滑面を得ることのできる方法を提供することにある。また、平滑面生成時に燃焼する危険性のないダイヤモンド膜の平滑化方法を提供することにある。また、レーザの入射時において、エネルギ面で効率的なダイヤモンド膜の平滑化方法を提供することにある。
本発明においては、レーザ照射によりダイヤモンド膜の表面を平滑に加工する方法において、前記表面に照射されたレーザの反射効果を利用することにより、前記表面を平滑化加工するダイヤモンド表面の平滑化加工方法を提供することにより前述した課題を解決した。
即ち、ダイヤモンド膜をコーティングした基板表面へレーザ照射することにより、ダイヤモンド膜の表面の凹凸が加工される。ここで、従来は単にレーザをあててダイヤモンド膜表面を溶かして除去するだけであるのに対し、本発明においては、レーザが照射されたダイヤモンド膜表面の凹凸部の加工が進むに従って、凹凸部が除去されて平滑化加工されたダイヤモンド膜表面による反射により、照射されるレーザのエネルギーが減じ加工が鈍化又は進まなくなるというレーザの反射効果を利用している。これにより、平滑化加工面の精度や平滑度が向上するのである。
より詳述すれば、ダイヤモンド膜をコーティングした基板表面へのレーザ照射することにより、ダイヤモンド膜の表面の凹凸のみを加工するように基板表面の法線に対して大きな角度で行うが、加工が進むと、ブリュースター現象(入射角が法線に対して大きくなると反射率が急激に増大する現象)によりレーザの大部分はダイヤモンド膜の表面で反射されることになる。このブリュースター現象は、ダイヤモンド膜表面での反射がダイヤモンド膜表面の法線に対する角度が90°に近づくほど反射率が高くなり、概略80°以上の角度では光の偏向に強く影響されるものの、概略50%以上の反射率となる。一方、80°以下の角度で照射した場合には、反射効果がなく加工が深く進み、安定した平滑加工が困難になる。本発明では、80°以上90°未満の角度でレーザを照射しても、さらに、ダイヤモンド膜表面の平滑化が進むにつれてブリュースター効果が大きくなるので、反射されるレーザが増えて、遂にはエネルギ不足のためにダイヤモンド膜の加工が鈍化又は行われなくなる。この現象を利用することによりダイヤモンド膜表面の平滑化加工が効率よく精度良く行われる。これに対し、照射角度が小さいと、ブリュースター現象が小さくなり、レーザがダイヤモンド膜中に入り込み、膜を深く削ってしまうので、加工深さを均一に保つことが困難となる。
また、請求項2に記載の発明においては、前記レーザの照射角度は、前記表面に対する法線に対して80°以上90°未満の角度としたダイヤモンド表面の平滑化加工方法とした。即ち、前述したように、80°以上90°未満のレーザ照射角度でダイヤモンド膜を加工すると、80°未満の照射角度で照射した場合に比べて照射される面積は広くなり、均一な浅い加工が可能となる。また加工量と表面粗さはレーザの単位面積当たりのエネルギ量(フルーエンス)にあまり依存しない結果となり、ダイヤモンド膜の平滑化加工に対して非常に好都合となる。
なお、本発明者等の研究では、CVD法でコーティングしたダイヤモンド膜の場合、ブリュースター現象は法線からの角度が85°を超えると急激に反射率が高くなるので、より、好ましくは85°超90°未満とする。
さらに、請求項3に記載の発明においては、前記レーザはYAGレーザの第5高調波を用いたダイヤモンド膜の平滑化加工方法とした。即ち、レーザをYAGレーザの第5高調波(波長213nm)を用いることによって、エネルギ面で効率的にダイヤモンド膜の平滑化を行うことができる。YAGレーザの第4高調波以下の低次高調波(波長が220nm以上)に比べ、YAGレーザの第5高調波は、波長が小さく、ダイヤモンド膜へのレーザの吸収率が大きく、照射部に対して効率的なエネルギ投入がし易い。また、また、集光性および光子エネルギの点においても優れたYAGレーザの第5高調波を用いるのが好ましい。
また、請求項4に記載の発明においては、少なくとも前記レーザが照射される前記表面が減圧下にされているダイヤモンド膜の平滑化加工方法を提供する。即ち、レーザ照射を減圧下すなわち大気圧よりも低い圧力のもとで行うことにより、大気中で行う場合に比べてレーザの雰囲気ガスによる散乱がなく、蒸発した炭素がダイヤモンド膜表面に多く再付着するという大気中で見られるような現象もない。なお、本発明は大気中でも加工は可能であるが、減圧下すなわち大気圧よりも低い圧力のもとでの加工では前述の特許文献2および3に示されているグラファイト析出を無くするためのガスを使用する必要がない。
さらにまた、請求項5に記載の発明においては、レーザ発信器から出たレーザのビーム径がビームエクスパンダによって広げられた後、アパチャによってビーム強度の均一な部分が取り出され、そのレーザがデフォーカス量を調整しながらダイヤモンド膜表面へ集光されることによってダイヤモンド膜を平滑化加工するようにした。
即ち、レーザ発振器から照射されるレーザは一般に不均一なエネルギ密度分布をしており、これを改善するため、レーザ発振器から出たレーザを、ビームエクスパンダを通してビーム径を広げた後、アパチャを使ってビーム強度の均一な部分を取り出し、これをダイヤモンド膜表面へデフォーカス量を調整しながら集光してダイヤモンド膜を平滑化するようにした。
また、請求項6に記載の発明においては、前記レーザ照射がなされ、前記表面の平滑加工が進行し、前記表面で反射されたレーザを検出することによって、前記表面の平滑加工が完了したと判定するダイヤモンド膜の平滑化加工方法を提供する。即ち、ブリュースター現象による反射を利用して加工するばかりでなく、反射されたレーザの状況から加工状況を判定する。これにより、例えば、ダイヤモンド膜表面の平滑化が完了すると同時に照射されたレーザの反射光の増加をセンサなどで検出し、次のステップに加工位置を移動させるようにしたり、速度を制御するようにすることができる。
以上述べたように、本発明においては、ダイヤモンド膜の表面のレーザによる平滑化加工方法において、レーザが照射されたダイヤモンド膜表面の凹凸部の加工が進むに従って、凹凸部が除去されて平滑化加工されたダイヤモンド膜表面による反射により、照射されるレーザのエネルギーが減じ加工が鈍化又は進まなくなるというレーザの反射効果を利用し、平滑化加工面の精度や平滑度が向上させることができるので、加工範囲が広く、均一な浅い加工を施されたダイヤモンド膜を得ることができるものとなった。さらに、レーザの照射位置、速度等の制御がし易くなり、効率的な加工ができるものとなった。
また、請求項2に記載の発明においては、レーザの照射角度をダイヤモンド膜表面に対する法線に対して80°以上90°未満の角度とするという簡単な制御で実現できる。また、現象も分かり易く、取扱も簡単である。
さらに、請求項3に記載の発明においては、レーザに集光性および光子エネルギの点においても優れたYAGレーザの第5高調波を用いるので、照射部に対する効率的なエネルギ投入が可能となる。また、請求項4に記載の発明においては、加工時の雰囲気を減圧下で行いレーザの散乱、再付着がないので、加工範囲が広く、均一な浅い加工が施されたダイヤモンド膜の平滑面をエネルギ的に効率良く得ることができる。また、グラファイト析出を無くするためのガスを使用する必要がなく、水素ガス等による燃焼の危険性もない。
また、請求項5に記載の発明においては、レーザをビームエクスパンダを通して、ビーム径を広げ、アパチャを使ってビーム強度の均一な部分を取り出し、デフォーカス量を調整しながら集光してダイヤモンド膜表面へ照射するので、エネルギー面で効率的にダイヤモンド膜を平滑化することができる。さらに、請求項6に記載の発明においては、表面で反射されたレーザを検出し、平滑加工が完了したと判定するようにし、次のステップに加工位置を移動させるようにしたり、速度を制御するようにすることができるので、レーザによるダイヤモンド膜表面の平滑化加工の自動化が容易になる等の効果を奏するものとなった。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、レーザ加工装置の説明図、図2(a)は本発明の実施の形態を示すレーザ照射による加工方法の説明図であり、(b)は加工時のミクロ的に見た部分拡大模式図、(c)は加工後のミクロ的に見た部分拡大模式図である。なお、都合上、図2(b)、(c)は図2(a)の法線15に対して、左約90°回転して記載している。図1に示すように、レーザ加工装置は、レーザを発振するNd:YAGレーザ発振器1と、レーザ4のビーム径を広げることのできるビームエクスパンダ2と、ビーム径の広げられたレーザ4から均一なビーム強度を得ることのできるアパチャ3と、このアパチャ3から出力されたレーザ4を反射させるミラー5と、反射されたレーザ4を集光させる収束レンズ6とが設けられている。さらに、図2に示すように、試料13は試料台14に載置され、レーザ4がレンズ6により試料13のダイヤモンド膜12の表面で所定のデフォーカス量で集光できるようにされている。試料台14及び試料13は密閉空間であるチャンバ7内に納められ、試料台14及びチャンバ7がステージ8に載置されている。さらに、ステージ8を水平及び垂直方向へ移動操作できるステージコントローラ9およびコンピュータ10が設けられている。
図2に示すように、試料台14は、ステージ8上に水平方向及び垂直方向に傾動可能にされ、チャンバ7外から入射したレーザ4が、ダイヤモンド膜12の加工点近傍の表面(平均面)における法線15に対して照射角度16を任意に選択保持できるようにされている。従って、加工される試料は、ステージコントローラ9およびコンピュータ10で制御されるステージ8及び試料台14の回転又は傾きを選択固定することにより、あらゆる方向に移動が可能にされている。チャンバ7は少なくともレーザ通過域がレーザが透過可能な材質にされている。
レーザ4を発振するNd:YAGレーザ発振器1は、YAGレーザの基本波(波長:1064nm)から第5高調波(波長:213nm)までを発振することが可能にされ、パルス幅、繰り返しパルス数および最大エネルギ等の諸条件を自由に調整できるようにされている。また、レーザ4のビーム径を広げるビームエクスパンダ2は、ビーム径を4倍に広げることができる。また、ビーム径の広げられたレーザ4から均一なビーム強度を得るアパチャ3は、レーザ4の面積を制限するようにされている。また、ミラー5と収束レンズ6は、レーザ4を試料面にデフォーカス量を調整可能に点状に照射できるようにされている。チャンバ7は、加工時の雰囲気が大気中の他に大気中よりも気圧の低い減圧下や特定のガス雰囲気にできるようにされている。
かかるレーザ加工装置を用いてレーザによる平滑化加工は、次のように行われる。Nd:YAGレーザ発振器1から発振された直径4mmのレーザ4は、途中のアルミニウム製のミラー5が損傷しないようにビームエクスパンダ2によってビーム径が4倍に広げられる。なお、Nd:YAGレーザ発振器1から発振されたレーザ4のビーム径が小さい場合、そのフルーエンスが大きくなり、ミラー5での反射時にレーザ4の持つエネルギによってミラー5の表面が溶融するおそれがある。次に、試料加工時の加工ムラを防止するためにレーザ4の広がりの中から、ビーム強度分布の均一な部分が直径4mmのアパチャ3で切り出される。次にレーザ4はアルミニウム製のミラー5で反射された後、ダイヤモンド膜へ一定のビーム径になるようにデフォーカス量を調整しながら収束レンズ6により試料表面上に集光される。また、加工される試料13は、基板11上にダイヤモンド膜12をコーティングされ、試料13を載せたステージ8に載置され、収束レンズ6により集光されたレーザ4により、表面を加工される。
またさらに、本発明においては、図1、図2(a)に示すように、基板11上に生成されたダイヤモンド膜12を有する試料13は、ステージ8と連結した試料台14上に80°〜90°の一定の傾きを保ったまま固定し、チャンバ7外から入射したレーザ4は、ダイヤモンド膜12の加工点近傍における平均表面の法線15に対して照射角度16を80°〜90°に保った状態で照射する。これにより、容易に平滑化加工ができる。
詳述すると、図2(b)に示すように、ダイヤモンド膜表面の凹凸部表面20に照射されたレーザ4は試料13の加工点近傍の試料表面における法線15に対して照射角度16を保った状態で照射されているが、実際にレーザ4が照射されるダイヤモンド膜の加工点である凹凸部表面20の位置をミクロ的に観察すると、レーザ4はダイヤモンド膜凹凸部表面20の加工点の接線21に対する加工点の法線22と加工点の照射角度23を持った状態で照射されていることになる。この加工点の照射角度23は試料13の加工点における平均表面法線15に対する照射角度16よりもかなり小さくなり、ダイヤモンド膜加工点20の位置において一部が反射されるが、大部分はダイヤモンド加工に供される。そして、図2(c)に示すように、ダイヤモンド膜表面の加工後においては、レーザ4はダイヤモンド膜表面の加工点20に対して低角度となるため、ダイヤモンド膜表面加工点20でブリュースター効果によりその多くが反射されて、さらなるダイヤモンドの加工に供することはない。これにより、加工範囲が広く、均一な浅い加工が施されたダイヤモンド膜が得られるとともに、エネルギ面で効率的な平滑化を実現することができた。
図1に示した装置を用いて、図2に示すレーザの照射角度16を変化させてダイヤモンド膜表面の平滑化加工を行った結果について説明する。レーザには、波長が213nmのYAGレーザの第5高調波を用いた。レーザの照射は、焦点距離150mmのレンズを使用し、デフォーカス量+0.5mm、照射位置におけるスポットサイズ径40μm、ステージ移動速度は1パルス当り20μm、照射エネルギは1パルス当り0.15mJの条件で行った。
試料13は、13mm四方で厚さ5mmの超硬合金製基板11の上面に約15μm厚さのダイヤモンド膜12をコーティングしたものを用いて、それを排気可能なチャンバ7内へ置き、真空度0.1Paの減圧下でレーザの照射を行った。レーザの照射角度16は、ダイヤモンド膜12表面の法線15に対して0°〜90°の間で変化させた。
図3(a)は、レーザ加工前のダイヤモンド膜の表面写真、(b)は、(a)のダイヤモンド膜表面のレーザの照射方向に対して90°の方向で測定した表面粗さの測定結果である。また、図4及び図5は本発明の実施例1に係る平滑化加工を行ったダイヤモンド膜の表面状態を示す図であり、図4(a)〜(e)は、本発明の照射角度である80°、86°、87°、88°および89°のそれぞれにおいて、レーザ加工したダイヤモンド膜の表面写真、図5は、図4(a)〜(e)のそれぞれに示すダイヤモンド膜を、レーザの照射方向に対して90°の方向で測定した表面粗さの測定結果をそれぞれ示したものである。
また、本発明との比較例として、本発明外の照射角度である0°、20°、40°および60°の条件でレーザ加工を行った。図6(a)〜(d)は、前述した照射角度のそれぞれにおいて、レーザ加工したダイヤモンド膜の表面写真、図7は、図6(a)〜(d)のそれぞれに示すダイヤモンド膜を、レーザの照射方向に対して90°の方向で測定した表面粗さの測定結果をそれぞれ示したものである。
実施例1によれば、加工前の表面写真を示す図3(a)と本発明の加工後の表面写真を示す図4(a)〜(e)とを比較すると、本発明の照射角度である80°以上90°未満の照射角度の条件下における加工は、前述した理由からダイヤモンド膜表面に限られるため、ダイヤモンド膜が深く削り取られていないことがわかる。この点については、加工前後の表面粗さの測定結果を比較してもわかる。すなわち、加工前の表面粗さの測定結果を示す図3(b)と加工後の表面粗さの測定結果を示す図5(a)〜(e)とを比較すると、加工前の粗さがRa=0.226μmであった表面が、レーザ加工によりRa=0.150〜0.204μmに低減されていることがわかる。
さらに、図4に示した本発明の加工後におけるダイヤモンド膜の表面写真と図6に示した本発明外の照射角度の条件下で照射した加工後におけるダイヤモンド膜の表面写真とを比較すると、本発明のものは、ダイヤモンド膜中のダイヤモンド結晶の谷の部分は未加工で残るものの、ダイヤモンド結晶の起伏の高い凸部は平滑に加工されていることがわかる。なお、図5に示した本発明の加工後におけるダイヤモンド膜の表面粗さの測定結果と図7に示した本発明外の照射角度の条件下で照射した加工後におけるダイヤモンド膜の表面粗さの測定結果とを比較すると、本発明のものは、表面粗さが若干低下しているが、図4、図6の表面写真の比較からわかるように、図4に示す本発明の表面写真は、図6に示す表面写真に比べて平滑な部分が明らかに増加していることから、ダイヤモンド膜に対して深い加工は行っておらず、加工範囲が広く、均一な浅い加工を行っていることがわかり、本発明の平滑化加工方法が優れていることがわかる。
次に、図1に示した装置のアパチャ3を外して、実施例1と同様の設定条件にて本発明のダイヤモンド膜の平滑化加工を行った例について説明する。図8(a)〜(d)は、照射角度が86°、87°、88°および89°のそれぞれの条件下においてレーザ加工したときのダイヤモンド膜の表面写真である。また、図9は、図8(a)〜(d)のそれぞれに示すダイヤモンド膜を、レーザの照射方向に対して90°の方向で測定した表面粗さの測定結果をそれぞれ示したものである。図8,9に示すように、アパチャ3を外した場合でも実施例1と同様にダイヤモンド膜表面を平滑化加工できることがわかる。しかしながら、アパチャ3を外すと、ビーム径が実施例1に示す直径40μmよりも大きくなるため、加工されずに熱影響を受ける部分が広がり、硬さの変化がみられないものの、ダイヤモンド膜上にわずかな変色が見られる。
以上述べたように、本発明においては、レーザの反射効果を利用し、さらに、ダイヤモンド膜の加工点の法線に対して80°以上90°未満の角度でレーザ照射することにより、加工範囲が広く、均一な浅い加工が施されたダイヤモンド膜が得られるとともに、エネルギ面で効率的な平滑化を実現することができた。
さらに、図2に示すように、試料台14に受光センサ17を取り付けることにより、ダイヤモンド膜12で反射したレーザ4を検出することが可能になる。受光センサ17の検出情報(レーザの検出量等)は、コンピュータ10において処理されることにより、平滑化加工の完了を判断することができる。例えば、受光センサ17におけるレーザの検出量が一定基準を超えた場合には、コンピュータ10に接続されたステージコントローラ9によりステージ8の移動を制御することにより、平滑化加工の完了を迅速に判断し、これにより試料13の加工を迅速に行えるようにすることができる。また、ステージ移動速度は、受光センサ17の出力が飽和する上限の移動速度よりやや低い値とすればよい。
なお、本発明の実施例ではNd:YAGレーザの第5高調波を用いて行ったが、波長が近い第4高調波でも近似した効果を得ることができた。ダイヤモンド膜の加工に波長が1064nmのYAGレーザの基本波を用いた場合、ビーム径が大きくなり、加工のために大きなレーザパワーを投入するため、ダイヤモンド膜へ与える熱影響が大きく、膜が剥離するなどの問題が出る。また、レーザの波長が220nm以下であれば、ダイヤモンドへの吸収率が100%近くになり、吸収効率が高く、周囲のダイヤモンドに対する熱的ダメージを低減できる。
さらに、長波長のレーザを使用した場合と比較して、レーザの集光性が良いので、低出力でダイヤモンドを加工でき、さらには低出力であるため、光ファイバを用いて任意の位置へレーザを輸送できるという利点もある。また、YAGレーザ以外のレーザを使った場合でも220nm以下の波長範囲であれば同等な加工ができることは容易に推測できる。また、前述の結果より、レーザの照射角度は特に86°、87°、88°および89°の場合が好ましいといえる。また、ダイヤモンド膜の他アルミナ、ジルコニア等のセラミックス膜にも応用できる。
レーザ加工装置の全体構成を示す説明図である。 (a)は本発明の実施の形態を示すレーザ照射による加工方法の説明図であり、(b)は加工時のミクロ的に見た部分拡大模式図、(c)は加工後のミクロ的に見た部分拡大模式図である。 (a)はレーザ加工前のダイヤモンド膜の表面写真、(b)は、(a)のダイヤモンド膜表面のレーザの照射方向に対して90°の方向で測定した表面粗さの測定結果である。 本発明の実施例1に係る(a)は照射角度80°、(b)は86°、(c)は87°、(d)は88°、(e)は89°でレーザ加工したダイヤモンド膜の表面写真である。 図4(a)〜(e)のそれぞれに示すダイヤモンド膜を、レーザの照射方向に対して90°の方向で測定した表面粗さの測定結果をそれぞれ示した図である。 比較例として、(a)は照射角度を0°、(b)は20°、(c)は40°、(d)は60°でレーザ加工を行ったダイヤモンド膜の表面写真である。 図6(a)〜(d)のそれぞれに示すダイヤモンド膜を、レーザの照射方向に対して90°の方向で測定した表面粗さの測定結果をそれぞれ示した図である。 本発明の実施例2に係る(a)は照射角度80°、(b)は86°、(c)は87°、(d)は88°、(e)は89°で、アパチャなしでのレーザ加工したときのダイヤモンド膜の表面写真である。 図8(a)〜(d)のそれぞれに示すダイヤモンド膜を、レーザの照射方向に対して90°の方向で測定した表面粗さの測定結果をそれぞれ示した図である。
符号の説明
1 Nd:YAGレーザ発信器
2 ビームエクスパンダ
3 アパチャ
4 レーザ
11 基板
12 ダイヤモンド膜
15 ダイヤモンド膜表面に対する法線
16 照射角度
17 受光センサ

Claims (6)

  1. レーザ照射によりダイヤモンド膜の表面を平滑に加工する方法において、前記表面に照射されたレーザの反射効果を利用することにより、前記表面を平滑化加工することを特徴とするダイヤモンド表面の平滑化加工方法。
  2. 前記レーザの照射角度は、前記表面に対する法線に対して80°以上90°未満の角度であることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド表面の平滑化加工方法。
  3. 前記レーザはYAGレーザの第5高調波を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイヤモンド膜の平滑化加工方法。
  4. 少なくとも前記レーザが照射される前記表面が減圧下にされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダイヤモンド膜の平滑化加工方法。
  5. レーザ発信器から出たレーザのビーム径がビームエクスパンダによって広げられた後、アパチャによってビーム強度の均一な部分が取り出され、そのレーザがデフォーカス量を調整しながらダイヤモンド膜表面へ集光されることによってダイヤモンド膜を平滑化加工することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のダイヤモンド膜の平滑化加工方法。
  6. 前記レーザ照射がなされ、前記表面の平滑加工が進行し、前記表面で反射されたレーザを検出することによって、前記表面の平滑加工が完了したと判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のダイヤモンド膜の平滑化加工方法。
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