JP2008206868A - 寝台装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】利用者の体重情報と重心位置情報を組み合わせた情報を判断することによって、より正確に利用者の動きを監視でき、誤検出が少なくまた検出精度が高く、高信頼性で利用者の動きを監視できる異常位置判定又は起き上がり検知システムを備えた寝台装置を提供する。
【解決手段】体重範囲判定部がベッド上の利用者の体重が所定の範囲内にあり、重心位置領域判定部がその重心位置が異常位置(監視対象領域)に移動したと判定した場合であって、体重重心位置監視部がこの状態が所定時間以上継続したことを検知したときに、ベッド利用者が異常位置にいることを検知する。
【選択図】図4

Description

本発明は、認知症の高齢者及び手術後間もない患者等を対象に、ベッド上での利用者の動きからベッド利用者の異常位置判定又は起き上がり検知を行う寝台装置に関する。
近時、認知症の高齢者の徘徊及びベッド周りでの転倒・転落の事故が社会的な問題となっており、その対策が求められている。また、高齢者及び術後間もない患者等、長期間にわたってベッドに在床している利用者のベッド上での動きをベッドの荷重情報によって監視することで、異常事態の際に、より迅速な対応ができることを期待されている。
特許文献1が開示している技術は、重量情報を利用して、利用者がベッドに在床しているか離床しているかを判断しており、ベッド上の利用者の動きを監視することができない。
この問題点を改善すべく、特許文献2乃至4及び非特許文献1が開示している技術は、ベッド上の4点の荷重情報から重心位置を求め、この重心位置情報を利用して在床時の利用者の動きを監視するというものである。
特開平2−280733 特許3093745号公報 特許3322632号公報 USP 5,276,432 J.C.Barbenel et al., Monitoring the mobility of patients in bed, Medical & Biological Engineering & Computing, pp.466-468(Sep 1985)
しかしながら、特許文献2乃至4の技術においては、利用者のベッド上の重心位置に関する情報のみによる監視では、例えばベッドの端に利用者がいることは検知できても、それが寝返り等の動作によってベッド端部にいる状態であるのか、離床しようとしてベッド端部にいる状態なのか、又は利用者が寝ている寝床部に品物を置いたり、利用者でない別の人間が寝床部に寄りかったり、座ったりしたことによる重心位置の変動なのかの区別ができない。また、柵などの付帯物を取り除く等といった行為によって重心移動が発生した場合に、起き上がり動作と区別ができず、誤判定することがあるという問題点がある。
また、非特許文献1には、ベッド上の患者の動きを監視するために4本のベッド足の荷重をロードセルにより測定してベッド上の患者の体重を測定し、各ベッド足の荷重測定値の相違からベッド上の重心位置を演算し、重心位置の移動距離を演算する技術及びベッド上の患者の移動回数から患者の状態を判断する技術が開示されている。
しかしながら、非特許文献1に開示されている技術においても、ベッド上の利用者の動きをベッド上の重心位置の移動距離のみによって監視しているため、利用者が寝ている寝床部に品物を置いたり、利用者でない別の人間が寝床部に寄りかったり、座ったりしたことによる重心位置の移動なのかの区別ができず、誤判定をすることがあるという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、利用者の体重情報と重心位置情報を組み合わせた情報を判断することによって、より正確に利用者の動きを監視でき、誤検出が少なくまた検出精度が高く、高信頼性で利用者の動きを監視できる異常位置判定又は起き上がり検知システムを備えた寝台装置を提供することを目的とする。
本願第1発明に係る寝台装置は、寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の範囲内であるか否かを判定する体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置が寝床部の監視対象領域にあるか否かを判定する重心位置領域判定手段と、前記体重範囲判定手段及び重心位置領域判定手段の判定結果を基に前記体重が所定の範囲内であり且つ前記重心位置が前記監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視手段と、を有し、前記体重重心位置監視手段が監視する時間が継続して所定時間を超えたときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする。
この寝台装置において、例えば、前記監視対象領域は寝床部の異常位置であり、前記利用者の状態は不自然な状態又は不自然な位置にいることを示すものである。
利用者がベッド上で移動すると、利用者の重心はベッド上で移動する。このとき、体重重心位置監視手段が、利用者の体重が所定の範囲内にあり、重心位置が監視対象領域にあるときに、利用者が監視対象領域(例えば、異常位置)にあり、危険であることを検知する。即ち、利用者が監視対象領域にいることから、正常時の寝姿勢とは異なった状態であり、また、利用者の体重が所定の閾値以上であるから、利用者又は利用者の身体の一部がベッド上にあり、利用者が柵に寄りかかっているか、又はベッドからずり落ちて利用者の身体の一部がベッドの一部に引っかかっている可能性があると判断される。体重重心位置監視手段がこのような状態にある時間を監視しており、この状態が継続して所定時間を超えたときに、一時的な寝返り等により重心位置が監視対象領域内に入ったのではなく、利用者が確かに危険な状態にあるということが判別される。即ち、利用者の状態が危険であるということ(看護師等に警報を発すべきであること)が検知される。
本発明においては、ベッド上の利用者の体重検出値を、ベッド利用者が異常位置にいることの検知に使用するが、下限値だけではなく、上限値も判定に使用する。これは、介護者等がベッド上に荷物を置いたような場合に、重心位置の演算結果がベッド利用者の位置を示さなくなり、誤検知となるが、本発明のように、体重検出値に上限値を設けることにより、ベッド上に荷物をおいたような場合にはその体重検出値が上限値を超えるので、重心位置が監視対象領域内に入っていたとしても、ベッド利用者が異常位置にいるとは検知しない。これにより、誤検知が回避される。
本願第2発明に係る寝台装置は、寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が第1の値域の範囲内であるか否かを判定する第1の体重範囲判定手段と、前記体重が第2の値域の範囲内であるか否かを判定する第2の体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置の演算結果から重心位置の移動量を演算する重心移動量演算手段と、前記重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する重心移動量閾値判定手段と、を有し、前記重心移動量閾値判定手段が前記重心位置の移動量が前記重心移動量閾値を超えたと判定したときに、前記重心位置の移動量が前記重心位置移動量閾値を超える前に前記体重が前記第1の値域の範囲内にあると前記第1の体重範囲判定手段が判定し、前記重心位置の移動量が前記重心位置移動量閾値を超えた時またはその後に前記体重が前記第2の値域の範囲内にあると前記第2の体重範囲判定手段が判定したときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする。
この寝台装置において、例えば、前記重心位置移動量閾値は、前記利用者の起き上がり時の移動量に基づいて設定され、前記利用者の状態は、起き上がりである。
本願第2発明においては、第1の体重範囲判定手段が、体重検出値が第1の値域の範囲内にあると判定し、第2の体重範囲判定手段が、体重検出値が第2の値域の範囲内にあると判定し、起き上がりに伴い、重心位置が移動するので、重心移動量閾値判定手段がこの重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えたと判定したときに、これを、例えば、ベッド利用者がベッド上で起き上がったと判定する。このような判定をするときに、本発明においては、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超える前に体重検出値が第1の値域内であると共に、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えた時又はその後に体重検出値が第2の値域内であることが必要である。第1の値域は起上り動作前の状態を判定するためにあり、第2の値域は起上り動作後の状態を判定するためにある。第1の値域は、確実にベッド上に利用者がいることを判断するため、利用者の体重近傍の値域に設定される。第2の値域はベッド上に利用者がいる可能性もあれば、足を降ろして端座位になっている可能性もあるために比較的広い範囲に設定される。なお、第2の値域として、第1の値域と同様に、利用者の体重近傍の値域にすることも考えられる。しかし、ベッド利用者が端座位にいて床に足をおろしているような場合には、体重測定値は大きく減少する。このため、第2の値域の下限値は第1の値域の下限値よりも小さくなる。一方、極端な例でいうとベッド上から勢い良く立ち上がるとか、ベッドから飛び降りるといったようなベッド上の重量が急激に減少する際に、重心が重心移動量閾値以上に動いてしまうことがあり、実際には起上り動作ではないが、起上り動作と誤検知してしまうことがある。そこで、このような誤検知を防止するために、第2の値域にも下限値を設けることが必要である。
また、前記利用者の状態を検知したときに警報を発生する警報手段を有することが好ましい。
本発明によれば、利用者の体重情報と重心位置情報とを組み合わせて判断することによって、より正確に利用者の動きを監視することができる。また、ベッド利用者が異常位置に移動したこと、又はベッド利用者の起き上がりを、誤検出することなく、高検出精度で検出することができる。これにより、システムの信頼性が向上する。
以下、本発明の実施形態に係る寝台装置について、添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、異常位置検知機能を備えた第1実施形態の寝台装置について説明する。この異常位置検知機能とは、ベッド上の患者(利用者)が、ベッドの縁部に位置する等、ベッド上で不自然な位置に所定時間以上いることを検知する機能である。図1は本発明の第1実施形態に係る寝台装置の概略図、図2は寝床部1の4端に4つの荷重センサ3−1乃至3−4を配置した例を示す概略図、図3は各荷重センサ3の信号をコントローラ5で情報処理し、各機能を動作させるときのブロック図を示す。図1に示すように、寝床部1を支持する脚付のフレーム2の4隅に寝床部1の上の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重センサ3(3−1,3−2,3−3,3−4)が1個ずつ計4個備えられている。この荷重センサ3によって生成された荷重信号は、寝床部1の2つの短辺に設けられた壁部4の一方に備えられた離床予測・検知システムコントローラ5(以下、コントローラ5)によって一定時間毎に読み込まれる。
コントローラ5には、体重演算部、重心位置演算部、体重範囲判定部、重心位置領域判定部、体重重心位置監視部、体重範囲設定部、重心位置監視対象領域設定部、記憶部、警報装置、警報選択部等が設けられており、各部の検知がソフトウェアによって実施されるようになっている。コントローラ5は、荷重センサ3によって生成された荷重信号を一定時間毎に読み込む。体重演算部は、この読み込んだ信号を基に、寝床部1の上の利用者の体重を演算する。寝床部1には、マットレス、掛け布団及び柵等(図示せず)の付帯物が設置されているので、体重演算部は、この状態を基準(=0kg、重心位置の原点補正)とし、利用者が寝床部1の上に寝たときの寝床部1の荷重信号をコントローラ5によって読み込み、基準からの荷重増加分を演算することによって利用者の体重Wを演算する。
重心位置演算部は、コントローラ5が一定時間毎に読み込む荷重センサ3によって生成された荷重信号を基に、寝床部1の上の利用者の重心位置を演算する。図2に示すように、第1の荷重センサ3−1と第3の荷重センサ3−3とを結ぶ辺を頭側、第2の荷重センサ3−2と第4の荷重センサ3−4とを結ぶ辺を足側とする。寝床部1の頭側左端(図2において寝床部1の左下端部)を原点(0,0)とし、第1の荷重センサ3−1と第2の荷重センサ3−2との間の距離をB、第1の荷重センサ3−1と第3の荷重センサ3−3との間の距離をBとする。利用者が寝床部1の上に寝たときの、第1乃至4の荷重センサ3−1乃至3−4によって生成される荷重信号の基準からの荷重増加分の演算値をW乃至W(W+W+W+W=W)とすると、利用者の重心位置(X,Y)は下記の数式1で表すことができる。この式に従って、重心位置演算部は、寝床部1の上の利用者の重心位置を演算する。
Figure 2008206868
体重範囲判定部は体重演算部によって演算される寝床部1の上の利用者の体重Wを監視して、利用者の体重Wが所定の体重範囲内にあるか否かを判定する。即ち、体重範囲判定部が、体重が所定の範囲内であるか否かを判定し、体重が所定の範囲内にある場合に、更に、重心位置領域判定手段が重心位置が監視対象領域にあると判定し、所定時間、これが継続した場合に、利用者の状態を検知する。このように、本実施形態では、ベッド上の利用者の体重検出値を、ベッド利用者が異常位置にいることの検知に使用するが、下限値だけではなく、上限値も判定に使用する。これは、介護者等がベッド上に荷物を置いたような場合に、重心位置の演算結果がベッド利用者の位置を示さなくなり、誤検知となるが、本実施形態のように、体重検出値に上限値を設けることにより、ベッド上に荷物をおいたような場合にはその体重検出値が上限値を超えるので、重心位置が監視対象領域内に入っていたとしても、ベッド利用者が異常位置にいるとは検知しない。これにより、誤検知が回避される。
重心位置領域判定部は、利用者の重心位置(X,Y)を監視して、利用者の重心位置(X,Y)が寝床部1の重心位置監視対象領域にあるか否かを判定する。この重心位置監視領域は、ベッドの縁部、即ち端座位置を含み、ベッド利用者がこの監視対象領域にいることは、不自然又は危険であると考えられる領域である。従って、重心位置監視対象領域は、ベッドを取り囲む4縁部の全てでも良いし、縁部の一部の領域でも良い。また、重心位置監視対象領域は必ずしも端座に限らず、患者の異常状態を監視しようとする対象によって監視対象領域が設定される。ベッド利用者がベッド上に横臥しており、その体重の殆どがベッド上に印加されているときに、ベッド利用者の重心位置がベッドの縁部にくるということは、ベッド利用者がベッドから落下する虞があり、危険な又は異常な状態である。
体重範囲設定部は、寝床部1の上の利用者がベッド上に位置しているか否かを判定するときの体重の上限値及び下限値を設定する。また、重心位置監視対象領域設定部は、重心位置の監視対象領域の初期値を設定する。体重閾値WT1及び監視対象領域初期値はコントローラ5に接続されたパソコンから入力され、コントローラ5の演算部において演算され、記憶部に記憶される。
警報装置は体重閾値判定部及び重心位置領域判定部の判定結果によって警報を発生し、また、警報選択部は、警報の有無及び種類を選択する機能を有している。
図3は図1の第1の荷重センサ3−1乃至第4の荷重センサ3−4の信号をコントローラ5で情報処理し、各機能を動作させるときのブロック図を示したものである。第1乃至4の荷重センサ3−1乃至3−4によって生成される荷重信号は、コントローラ5の演算部21によって一定時間毎に読み込まれ、演算される。演算部21は寝床部1の上の利用者の体重Wを演算する体重演算部、寝床部1の上の利用者の重心位置を演算する重心位置演算部、利用者の体重が所定の体重範囲内にあるかどうかを判定する体重範囲判定部、利用者の重心位置(X,Y)を監視して、利用者の重心位置(X,Y)が寝床部1の重心位置監視対象領域にあるかどうかを判定する重心位置領域判定部、各判定部の判定結果を基に体重が所定の範囲にあり且つ重心位置が監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視部、体重の閾値を設定する体重閾値設定部、重心位置監視対象領域の初期値を設定する重心位置監視対象領域設定部、記憶部、警報装置、警報選択部等を有し、また、判定に使用する体重閾値及び重心位置監視対象領域等が記憶される記憶部22、各判定部の判定結果により警報を発生する警報信号発信部31を有している。また、更にコントローラ5は、操作スイッチ、電源スイッチ等の設定操作部24、警報表示部25及びナースコール29等の警報/停止操作部26を有している。
各警報装置は、コントローラ5より警報信号を発信し、ナースコール29を介してナースステーション30に通報するか又は複数台のベッドを管理する場合は通信コネクタ12よりLAN(Local Area Network)アクセスポイント27を中継して遠隔地のパソコン30に通報することができる。
次に、上述の如く構成された本発明の第1実施形態に係る異常位置検知システムの動作について説明する。寝床部1には、マットレス、掛け布団及び柵等(図示せず)の付帯物が設置されているので、体重演算部は、この状態を基準(=0kg、重心位置の原点補正)とし、利用者が寝床部1の上に寝たときの寝床部1の荷重信号をコントローラ5によって読み込み、基準からの荷重増加分を演算することによって利用者の体重Wを演算する。利用者が寝床部1の上に寝た直後の状態でコントローラ5の操作スイッチ(図示せず)を押すか又はパソコンを操作することによって、コントローラ5の記憶部22に利用者の体重を記憶させることができ、このときの利用者の体重を利用者の基準体重Wとする。また、体重計等によって得られた利用者の体重をコントローラ5に接続されたパソコンから入力することによって、利用者の基準体重Wをコントローラ5の記憶部に記憶させることもできる。
図4は、異常位置検知のフローチャートを示す。コントローラ5の演算部21の体重演算部によって寝床部1の上の利用者の基準体重Wtが演算され、体重範囲設定部によって体重範囲(上限値及び下限値)が設定され、重心位置監視対象領域設定部によって異常位置(危険位置)検知領域(監視対象領域)が設定され、更に、体重重心位置監視部において体重が所定の閾値以上であり且つ重心位置が監視対象領域にあることを監視する監視時間が設定され、これらの各値がコントローラ5の記憶部22に記憶される。
そして、一定の時間間隔で、重心位置領域判定部が重心位置が監視対象領域にあるか否かを判定し(ステップS2)、体重範囲判定部が体重が所定の体重範囲内にあるか否かを判定する(ステップS1)。そして、体重重心位置監視部は、体重範囲判定部及び重心位置領域判定部の判定結果を基に、体重が所定の範囲内であり、且つ重心位置が監視対象領域にある時間を監視する。そして、この体重重心位置監視部が監視する時間が継続して所定時間を超えたときに、前記利用者の状態を異常位置にいると検知し、警報を発令する(ステップS4)。
このようにして、本実施形態においては、ベッド利用者がベッド上の異常位置にいるか否かを、体重を加味して判定すると共に、重心位置がこの異常位置にある状態が所定時間継続した場合に、これをベッド利用者が異常位置にいると判定するので、異常位置にいることの誤検知を防止でき、高精度で、異常位置にいることを検知することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態における体重範囲判定部の代わりに、第1の体重範囲判定部及び第2の体重範囲判定部を設けたものであり、利用者がベッド上に起き上がったことを検知するものである。第1の体重範囲判定部は、体重が第1の値域の範囲内であるか否かを判定し、第2の体重範囲判定部は、体重が第2の値域の範囲内であるか否かを判定する。また、重心移動量閾値判定部が、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する。そして、第1の体重範囲判定部が、体重が第1の値域の範囲内にあると判定し、第2の体重範囲判定部が、体重が第2の値域の範囲内にあると判定し、重心移動量閾値判定部が、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えたと判定したときに、利用者の状態を起き上がりであると検知する。
本実施形態においては、起き上がり前に、体重測定値が第1の値域にあると判定され、起き上がり後に、体重測定値が第2の値域にあると判定されたことを条件として、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えた場合に、これを起き上がりと検知する。具体的には、重心移動量の演算に際し、重心移動量演算部がある時刻tにおける利用者のX軸方向の重心位置の演算結果と、ある時刻tから重心移動量時間差Tだけ遡った過去t−Tの重心位置の演算結果とから重心位置の移動量|ΔX|を演算し、時刻tにおいて、重心移動量判定部がこの重心位置の移動量|ΔX|が重心移動量閾値Xを超えたと判定したときに、基本的には起き上がりによる重心移動が生じたと検知される。そこで、この時刻t2から重心移動量時間差T2だけ遡った時刻t2−T2における体重測定値が第1の値域内にあるか否かを第1の体重範囲判定部が判定し、時刻t2における体重測定値が第2の値域内にあるか否かを第2の体重範囲判定部が判定して、いずれも判定結果が該当した場合に、これを起き上がりとして検知する。これにより、本実施形態においては、(起上り動作による)ベッド上の利用者の重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えた場合で、かつ、重心移動時(起上り動作開始時)の体重測定値が第1の値域内にあると判定され、重心移動量閾値を超えた時点の体重測定値が第2の値域にあると判定されたときに、これを起上りと検知することになる。
起き上がり前に体重測定値が第1の値域の範囲内にあるとき、利用者が確実にベッド上にいることが判断される。このため、第1の値域は、利用者の体重近傍の範囲に設定される。また、起き上がり後にも、体重測定値が第2の値域の範囲内にあるときに、利用者がベッド上にいることが判断される。よって、起き上がりでない動作を起き上がりと誤検知することを防止するために、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えたときに、重心移動時(起上り動作開始時)の体重測定値が第1の値域にあり、重心移動量閾値を超えた時点の体重測定値が第2の値域にあることを条件として、これを起上りと検知する。
なお、起き上がり後には、ベッド利用者がベッド上にいる可能性もあれば、足を降ろして端座位になっている可能性もある。ベッド利用者が端座位にいて床上に足をおろしている状態では、体重測定値は極めて小さくなる。このような場合も起き上がりと検知するためには、第2の値域の下限値は、第1の値域の下限値よりも小さく設定する必要がある。
一方、極端な例でいうとベッド上から勢い良く立ち上がるとか、ベッドから飛び降りるといったようなベッド上の重量が急激に減少する際に、重心が重心移動量閾値以上に動いてしまうことがあり、実際には起上り動作ではないが、起上り動作と誤検知してしまうことがある。この場合に、第2の値域のように下限値を設けることでこの誤検知を防ぐことができる。また、ベッド利用者が端座位にいる場合に、この端座位から立ち上がり動作をしたときに、完全に立ち上がった弾みで重心移動が生じるが、第2の値域に下限値がないと、重心移動の前には、体重測定値は第1の値域内にある可能性があるため、これを立ち上がりと誤検知してしまう可能性がある。しかし、この場合にも、第2の値域として下限値を設けておくことにより、体重測定値が0になる離床(端座位からの離床)と、起き上がりとを区別することができ、誤検知を防止することができる。
なお、第1の値域及び第2の値域において、上限値を設けたのは、ベッド上の頭部側又は足側に物をおいた場合に、重心移動が生じる可能性があり、また、ベッド上に利用者がいないにも拘わらず、何らかの外乱で重心移動が生じたと検知される可能性があるため、重心移動が検知されても、体重測定値が、その上限値を超えていれば、その重心移動は起き上がりによるものではなく、これを起き上がりと検知してはいけないことが判定されるからである。
このように、本実施形態においては、体重測定値が第1の体重範囲内にあるか否か及び第2の体重範囲内にあるか否かを判定するので、ベッド利用者の起き上がりを高精度で検知することができる。
以上、本発明の第1及び第2実施形態において、各閾値、所定の範囲等は、コントローラ5に接続されたパソコンより入力し、コントローラ5の演算部21によって演算されるものとしているが、この演算操作をパソコンによって行うこともでき、この演算結果をパソコンよりコントローラ5に入力することもできる。
本発明の第1実施形態に係る寝台装置の概略図である。 寝床部1の4端に4つの荷重センサ3−1乃至3−4を配置した例を示す概略図である。 各荷重センサ3の信号をコントローラ5で情報処理し、各機能を動作させるときのブロック図を示したものである。 第1実施形態の異常位置検知のフローを示す図である。
符号の説明
1 ; 寝床部
2 ; フレーム
3 ; 荷重センサ
3−1; 第1の荷重センサ
3−2; 第2の荷重センサ
3−3; 第3の荷重センサ
3−4; 第4の荷重センサ
4 ; 壁部
5 ; 離床予測・検知システムコントローラ
6 ; 端座位検知領域
20 ; 制御部
21 ; 演算部
22 ; 記憶部
23 ; 操作表示部
24 ; 設定操作部
25 ; 警報表示部
26 ; 警報/停止操作部
27 ; LAN AP
28 ; パソコン
29 ; ナースコール
30 ; ナースステーション
31 ; 警報信号発信部

Claims (5)

  1. 寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の範囲内であるか否かを判定する体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置が寝床部の監視対象領域にあるか否かを判定する重心位置領域判定手段と、前記体重範囲判定手段及び重心位置領域判定手段の判定結果を基に前記体重が所定の範囲内であり且つ前記重心位置が前記監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視手段と、を有し、前記体重重心位置監視手段が監視する時間が継続して所定時間を超えたときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする寝台装置。
  2. 前記監視対象領域は寝床部の異常位置であり、前記利用者の状態は不自然な状態又は不自然な位置にいることを示すものであることを特徴とする請求項1に記載の寝台装置。
  3. 寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が第1の値域の範囲内であるか否かを判定する第1の体重範囲判定手段と、前記体重が第2の値域の範囲内であるか否かを判定する第2の体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置の演算結果から重心位置の移動量を演算する重心移動量演算手段と、前記重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する重心移動量閾値判定手段と、を有し、前記重心移動量閾値判定手段が前記重心位置の移動量が前記重心移動量閾値を超えたと判定したときに、前記重心位置の移動量が前記重心位置移動量閾値を超える前に前記体重が前記第1の値域の範囲内にあると前記第1の体重範囲判定手段が判定し、前記重心位置の移動量が前記重心位置移動量閾値を超えた時またはその後に前記体重が前記第2の値域の範囲内にあると前記第2の体重範囲判定手段が判定したときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする寝台装置。
  4. 前記重心位置移動量閾値は、前記利用者の起き上がり時の移動量に基づいて設定され、前記利用者の状態は、起き上がりであることを特徴とする請求項3に記載の寝台装置。
  5. 前記利用者の状態を検知したときに警報を発生する警報手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の寝台装置。
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