JP2008205072A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
固体電解コンデンサ及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008205072A JP2008205072A JP2007037553A JP2007037553A JP2008205072A JP 2008205072 A JP2008205072 A JP 2008205072A JP 2007037553 A JP2007037553 A JP 2007037553A JP 2007037553 A JP2007037553 A JP 2007037553A JP 2008205072 A JP2008205072 A JP 2008205072A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- resin
- capacitor
- cathode
- exposed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
Abstract
【課題】漏れ電流特性の劣化を低減する。
【解決手段】この目的を達成するために、本発明は、弁作用金属からなる平板状の陽極体2が絶縁体部3により区分された陽極部4と陰極部5とを備え、陰極部5には前記陽極体2表面上に誘電体酸化皮膜層6、固体電解質層7、陰極層8が順次形成されかつ絶縁体部3と陰極層8間に固体電解質層7の露出部9を設けたコンデンサ素子1と、コンデンサ素子1を被覆する外装樹脂14とからなる固体電解コンデンサであって、コンデンサ素子1が前記露出部9を対向させて複数積層され、前記対向した露出部9どうしを接合する絶縁性の補強樹脂部11を設けた構成とした。これにより、外装樹脂14を形成する際の露出部9の変形を防止することができ、漏れ電流特性の劣化を低減できる。
【選択図】図1
【解決手段】この目的を達成するために、本発明は、弁作用金属からなる平板状の陽極体2が絶縁体部3により区分された陽極部4と陰極部5とを備え、陰極部5には前記陽極体2表面上に誘電体酸化皮膜層6、固体電解質層7、陰極層8が順次形成されかつ絶縁体部3と陰極層8間に固体電解質層7の露出部9を設けたコンデンサ素子1と、コンデンサ素子1を被覆する外装樹脂14とからなる固体電解コンデンサであって、コンデンサ素子1が前記露出部9を対向させて複数積層され、前記対向した露出部9どうしを接合する絶縁性の補強樹脂部11を設けた構成とした。これにより、外装樹脂14を形成する際の露出部9の変形を防止することができ、漏れ電流特性の劣化を低減できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、コンデンサ素子を積層した固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
図3は、従来の固体電解コンデンサの構成を示す断面図である。
図3に示すように、従来の固体電解コンデンサは、アルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁作用金属からなる金属箔の陽極体52を絶縁体部53で区分し、一方を陽極部54、他方を陰極部55とし、この陰極部55の陽極体52上に誘電体酸化皮膜層56、導電性高分子からなる固体電解質層57、カーボン層及び銀ペースト層からなる陰極層58を順次設け、かつ絶縁体部53と固体電解質層57との境界部に陰極層58が存在しないように固体電解質層57の上に陰極層58が形成されて陰極部55とし、コンデンサ素子51としたものである。
このコンデンサ素子51は、露出した固体電解質層57、陰極層58、絶縁体部53を形成した部分のコンデンサ素子51の厚みの中で、露出した固体電解質層57が形成された部分のコンデンサ素子51の厚みが最も薄く形成されている。
コンデンサ素子51は、複数枚積層され3枚のコンデンサ素子51が積層されている。積層したコンデンサ素子51の陽極部54は、陽極部54に対応して設けた陽極端子62に溶接され、陰極部55は、陰極部55どうしが導電性ペーストを介して接合され、さらに積層した陰極部55を陰極端子63に導電性ペーストを用いて接合されている。
さらに陽極端子62及び陰極端子63は、コンデンサ素子51を被覆する外装樹脂64の両端から導出し側面から下面に沿って折り曲げて固体電解コンデンサとしたものである。
このような従来の技術としては、例えば特許文献1、特許文献2に記載されたものが知られている。
特開平6−168854号公報
特開平6−349689号公報
このような従来の固体電解コンデンサは、外装樹脂の封止の際、溶融した外装樹脂が積層したコンデンサ素子間に生じた隙間に流れ込むまでの過程で、外装樹脂が積層したコンデンサ素子の外周部からコンデンサ素子に加圧することによって、コンデンサ素子が変形し漏れ電流特性が劣化する課題があった。
本発明は、このような従来の課題を解決し、漏れ電流特性に優れた固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果つぎのことを見出した。すなわち、絶縁体部53と固体電解質層57との境界部に陰極層58が存在しないように固体電解質層57が露出した部分の変形を抑えることによって漏れ電流特性が大きく改善される知見を得た。
そこで上記目的を達成するために本発明は、弁作用金属からなる平板状の陽極体が絶縁体部により区分された陽極部と陰極部とを備え、陰極部には前記陽極体表面上に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層が順次形成されかつ絶縁体部と陰極層間に固体電解質層の露出部を設けたコンデンサ素子と、コンデンサ素子を被覆する外装樹脂とからなる固体電解コンデンサであって、コンデンサ素子が前記露出部を対向させて複数積層され、前記対向した露出部どうしを接合する絶縁性の補強樹脂部を設けた固体電解コンデンサである。
また本発明は、弁作用金属からなる平板状の陽極体が絶縁体部により区分された陽極部と陰極部とを備え陰極部には前記陽極体表面上に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層が順次形成されかつ絶縁体部と陰極層間に固体電解質層の露出部を設けたコンデンサ素子を積層する固体電解コンデンサの製造方法であって、前記露出部を対向させてコンデンサ素子を積層する積層工程と、補強樹脂を前記露出部に塗布する工程と、補強樹脂を介して対向した前記露出部を接合する工程と、積層したコンデンサ素子を外装樹脂で被覆する工程と、を含む固体電解コンデンサの製造方法である。
本発明によれば、積層したコンデンサ素子の対向した露出部を接合する絶縁性の補強樹脂部を設けることにより、外装樹脂を形成する際の露出部の変形を防止することができ、漏れ電流特性の劣化を低減できる。
また、露出部を対向させてコンデンサ素子を積層する積層工程と、補強樹脂を前記露出部に塗布する工程と、補強樹脂部を介して対向した前記露出部を接合する工程と、積層したコンデンサ素子を外装樹脂で被覆する工程と、を含む製造方法とすることにより、外装樹脂を形成する際の露出部の変形を防止することができ、漏れ電流特性の劣化を低減できる。
このように本発明は、漏れ電流特性に優れた固体電解コンデンサとすることができる効果を奏するものである。
(実施の形態1)
まず、本発明の固体電解コンデンサについて説明する。
まず、本発明の固体電解コンデンサについて説明する。
図1は、本発明の固体電解コンデンサの構成を示す断面図、図2は、同斜視図である。
図1に示すように、コンデンサ素子1は、アルミニウム、タンタル、チタン、ニオブなどの弁作用金属からなる箔を陽極体2とし、この平板状の陽極体2が、ポリイミド、シリコンなどの絶縁性かつ耐熱性の樹脂フィルムを陽極体2に密着した帯状の絶縁体部3によって陰極部5と陽極体2表面が露呈した陽極部4に区分されたものである。
絶縁体部3は1個又は複数個設けることができ、この絶縁体部3に区分された陽極部4及び陰極部5は少なくとも夫々1つ備えているものである。
陽極体2は、弁作用金属の箔を用いる代わりに、陽極体2の陰極部5側に弁作用金属の粉末からなる平板状の多孔質焼結体を用い、この多孔質焼結体に接合する弁作用金属からなる平板を陽極部4側に用いたものでもよい。
陰極部5には、陽極体2表面に誘電体酸化皮膜層6が設けられ、さらに誘電体酸化皮膜層6の表面に導電性高分子からなる固体電解質層7が形成されている。前記導電性高分子は、主構成としてのポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等からなり、導電性高分子の代わりに二酸化マンガンを含む酸化マンガン物等からなる無機半導体としてもよい。
さらに固体電解質層7の表面には、グラファイト、カーボンブラック、黒鉛等からなるカーボン層と、銀、ニッケル等の導電性粒子とエポキシ樹脂等からなる銀ペースト層と、を順次積層した陰極層8が設けられ、陰極部5としたものである。
この陰極層8は陰極層8と絶縁体部3に間隔を設けて形成されたもので、この間隔には固体電解質層7が露出した露出部9を有している。
図1に示すように、積層されたコンデンサ素子1は、コンデンサ素子1の平坦面を重ね合わせて複数積層されたものであり、陽極部4どうしが溶接により接合され、導電性ペースト層21を介して陰極層8どうしが接合され、絶縁体部3は隣接した絶縁体部3を当接させるか又は離して対向させたものである。
図1では陽極部4の一部から屈曲して陽極部4どうしが接合したものであるが、陽極部4間に金属又は導電性樹脂からなる導電スペーサを設けて陽極部4を略平行に積層して接合したものでもよい。
積層されたコンデンサ素子1の対向した露出部9には、露出部9間の隙間10が積層したコンデンサ素子1間の一方の側面29から他方の側面29に繋がって絶縁体部3に沿って帯状に設けられている。
さらに、対向した露出部9は絶縁性の補強樹脂部11を介して接合されているものである。
この補強樹脂部11はコンデンサ素子1の側面29の露出部9及び平坦面26の露出部9いずれかに接合して隙間10の両端部又は内部に形成されたもので、補強樹脂部11を構成する補強樹脂はエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂からなるものである。
陽極端子12及び陰極端子13は、銅合金・ニッケル鉄合金等などの金属フレームからなり、陽極端子12は積層した陽極部4に溶接により接合し、陰極端子13は導電性ペースト層23を介して積層した陰極部5に接合している。
導電性ペースト層21、23は露出部9の少なくとも絶縁体部3側が含まれるように絶縁体部3との間隔を設けて形成され、この間隔を設けることによって、絶縁体部3と露出部9との界面に生じた固体電解質層7の欠損箇所に露呈した陽極酸化皮膜層6が生じても露呈した陽極酸化皮膜層6に導電性ペースト層21、23が接することがないため、漏れ電流が増加することを防止している。
外装樹脂14はエポキシ樹脂、フェノール樹脂などの絶縁性樹脂からなりシリカなどの無機系粒子またはガラス繊維を含有したもので、積層したコンデンサ素子1並びにコンデンサ素子1と陽極端子12及び陰極端子13との夫々の接合部を被覆している。
外装樹脂14の両端面には陽極端子12及び陰極端子13が表出し、さらに陽極端子12及び陰極端子13が外装樹脂14の両端側面から折り曲げられ実装面となる下面に露呈し、固体電解コンデンサを構成したものである。
以上のように、露出部9を対向させて積層したコンデンサ素子1の隣接した露出部9を接合する絶縁性の補強樹脂部11を設けることにより、外装樹脂14を形成する際の露出部9の変形を防止でき、漏れ電流特性の劣化を低減できる。さらに補強樹脂部11が絶縁性であるため、絶縁体部3と露出部9との界面に露呈した陽極酸化皮膜層6と補強樹脂部11が接触しても漏れ電流特性の増加が生じることを防止できる。
また、補強樹脂部11が隙間10内に充填されることが好ましく、これによって外装樹脂14によるコンデンサ素子1の露出部9の変形をさらに防止できる。
また、補強樹脂部11は外装樹脂14が隙間10内に形成されないように隙間10の開口した両端部を封止したものが好ましく、これによって溶融した外装樹脂が露出部9または絶縁体部3と露出部9との界面に露呈した誘電体酸化皮膜層6を損傷することを防止し、漏れ電流特性が劣化することを低減できる。
また、補強樹脂部11は、シリカ、アルミナなどの無機系粒子を含まないことが好ましく、これによって露出した固体電解質層7、又は絶縁体部3と固体電解質層7間に露呈した誘電体酸化皮膜層6を損傷させないため漏れ電流の劣化を防ぐことができる。
また、対向した絶縁体部3どうしが当接したものであることが好ましく、絶縁体部3が帯状の隙間10を側面から保持することができ外装樹脂14を形成する際の露出部9の変形の防止を高めることができるため、漏れ電流特性の劣化を低減できる。
次に、本発明の固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
まず、コンデンサ素子1は、矩形状に切断した弁作用金属からなり表面が粗面化された金属箔に絶縁性の樹脂フィルムのテープを密着させ絶縁体部3を形成する。この樹脂フィルムの代わりに樹脂ペーストを塗布、乾燥して絶縁体部3を形成してもよい。
さらに絶縁体部3に区分された一方の金属箔の表面に電気化学的に誘電体酸化皮膜層6を形成した後、ピロールなどの重合性モノマー及びドーパントを含む重合液中で外部から給電を行う電解重合法を用いて、導電性高分子の固体電解質層7を形成する。また固体電解質層7は化学酸化重合法を用いて形成してもよい。
次に、絶縁体部3との間隔を設けて固体電解質層7表面にカーボンの水溶液を塗布し乾燥してカーボン層を形成し、さらに絶縁体部3との間隔を設けてカーボン層表面に銀ペーストを塗布し硬化して銀ペースト層を形成し、陰極層8を形成し、絶縁体部3に接する露出部9を設けたコンデンサ素子1とする。
次に、図2に示すように、コンデンサ素子1の陰極部5の平坦面または側面29に導電性ペースト層21となる導電性ペーストを塗布し、陽極部4、陰極部5、絶縁体部3及び露出部9を夫々対向させてコンデンサ素子1を複数枚、積層する工程を行う。
コンデンサ素子の積層は、導電性ペースト層23となる導電性ペーストを陰極端子13に塗布した後、積層したコンデンサ素子1を陽極端子12及び陰極端子13に載置してもよくコンデンサ素子1を一枚ずつ載置してもよい。
さらに、前記導電性ペーストを硬化して導電性ペースト層21、23を形成し、積層した陰極部5を陰極端子13に接合する陰極端子13接続工程と、積層した陽極部4を陽極端子12に押圧しながらレーザ溶接、抵抗溶接、スポット溶接の手段を用いて、陽極部4を陽極端子12に接合する陽極端子12接続工程とを行う。
次に、絶縁性の補強樹脂を露出部9に塗布し、対向する露出部9を接合する工程を行う。
この接合工程は、ディスペンサー等を用いて液状またはペースト状の補強樹脂を露出部9の側面29側に一定量を塗布する。塗布された補強樹脂が側面29から帯状の露出部9に沿って隙間10内に流れ込んだ後、補強樹脂を高温で硬化させ、補強樹脂部11を形成した。
補強樹脂は、主剤と硬化剤により粘度を調整し、所定の粘度を有する液状またはペースト状の樹脂としたものである。粘度の調整は、溶剤を用いないことが好ましく、補強樹脂の硬化によって補強樹脂部11に空洞が形成されることを低減でき、補強樹脂部11の強度を高めることができる。
次に、トランスファーモールドを用いてエポキシ樹脂などからなる外装樹脂14により、積層したコンデンサ素子1、並びに陽極端子12及び陰極端子13とコンデンサ素子1との夫々接合部を被覆する工程を行う。
さらに、外装樹脂14の両端から表出した陽極端子12及び陰極端子13を、外装樹脂14の両端から実装面となる下面に折り曲げ、固体電解コンデンサを作製した。
上記の製造方法は、露出部9を対向させてコンデンサ素子1を積層する積層工程の後に、補強樹脂を露出部9に塗布する塗布工程、前記補強樹脂を硬化し対向した露出部9を接合する工程を順次行うものであるが、コンデンサ素子1の露出部9に補強樹脂を塗布した後、コンデンサ素子1を積層する積層工程、前記補強樹脂を硬化し対向した露出部9を接合する工程を順次行い、補強樹脂部11を介して対向した前記露出部を接合してもよい。
以上のように、露出部9を対向させてコンデンサ素子1を積層する積層工程と、補強樹脂部11を介して対向した露出部9を接合する工程と、積層したコンデンサ素子1を外装樹脂14で被覆する工程とを含む製造方法とすることにより、外装樹脂14を形成する際の露出部9の変形を防止でき、漏れ電流特性の劣化を低減することができる。
以下、具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
図1、図2を用いて、実施例1について説明する。
図1、図2を用いて、実施例1について説明する。
厚み0.1mmのアルミニウム箔の表面を電解エッチングしたアルミニウム箔の矩形状の陽極体2に、シリコンなどの粘着層を設けたポリイミド樹脂の樹脂フィルムを貼付し、幅0.5〜1.0mmの帯状の絶縁体部3を陽極体2の周囲に形成し、一方を陽極部4に他方を陰極部5に2分した。
次に、陰極部5側の陽極体2を3%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬して、印加電圧15V、水溶液温度70℃で60分間の条件で陽極酸化を行い、酸化アルミニウムからなる誘電体酸化皮膜層6を形成した後、硝酸マンガン30%水溶液に浸漬し自然乾燥後、300℃、10分間の条件で熱分解処理を行い、固体電解質層7の一部となる酸化マンガンの導電層を形成する。
そして、モノマー0.5mol/Lとプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1mol/Lとからなる混合液に溶媒である水とpH調整剤であるプロピルリン酸エステルとを添加しpH2に調整し重合液とする。次に、この重合液中に陰極部5側の陽極体2を浸漬し、重合開始用電極を陰極部5側の陽極体2に近接させるように絶縁体部3端部に設けて、重合電圧1.5Vで電解酸化重合を行い、上記導電層の表面にポリピロールからなる固体電解質層7を形成する。
その後、絶縁体部3に接しないようにグラファイト溶液を固体電解質層7に塗布し乾燥させカーボン層を形成し、次いで絶縁体部3に接しないように銀ペーストをカーボン層上に塗布し120〜200℃の温度で硬化させ銀ペースト層を形成し、カーボン層及び銀ペースト層からなる陰極層8を形成し、幅0.2〜0.3mm、長さ3.0mmの帯状の固体電解質層7の露出部9を設けたコンデンサ素子1を作製した。
このコンデンサ素子1の厚みは、絶縁体部3、陰極層8、露出した固体電解質層7の箇所の順に大きいものである。
次に、積層したコンデンサ素子1の陰極層8の下面に接合する陰極端子13の平坦状の搭載部、及び積層したコンデンサ素子1の陰極層8の両側の側面29に接合する陰極端子13の折り曲げ部に、導電性ペーストを塗布した。
さらに、コンデンサ素子1を銅合金のリードフレームからなる陽極端子12と陰極端子13の搭載部に順次6枚積層し、前記折り曲げ部を折り曲げ、積層したコンデンサ素子1の陰極部5を押圧しながら導電性ペーストを硬化して、導電性ペースト層21、23を形成し、積層したコンデンサ素子1に陰極端子13を接合した。
導電性ペースト層21は、陰極層8の側面29から陰極層8間に流れ込んで陰極層8間の先端側を接合している。
積層したコンデンサ素子1の陽極部4の上面にレーザ溶接を施し、陽極部4どうしを同時に接合しながら、積層したコンデンサ素子1に陽極端子12を接合した。
対向した露出部9の隙間10は、上下間の間隔が長さ0.5mmから0.2mmであり、側面の一方側にある絶縁体部3どうしが当接したものである。
次に、以下に示すように隙間10に補強樹脂部11を形成した。
まず、補強樹脂部11となる補強樹脂は、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤及び反応性希釈剤を容器中にて十分混合し、これを減圧下で脱泡し粘度を調整した熱硬化性エポキシ樹脂を用い、補強樹脂にはシリカ・酸化アルミニウムなどの無機粒子の充填剤は含有していない。
補強樹脂は、粘度が夫々200、300、600、1500、3000mPa・sの液状またはペースト状とした。粘度はB型回転粘度計を用いて50rpmで23℃における粘度を測定したものである。
次に、20〜25℃の室温中でディスペンサーを用いて補強樹脂を両側になる側面29に夫々1mg〜2mgを塗布し、隣接した露出部9間の夫々を補強樹脂で繋いだ。
さらに隙間10内に浸み込んだ補強樹脂を温度130℃で1時間の条件で硬化させ、補強樹脂部11を形成した。
次に、平均粒子径60〜80μmのシリカが含有したエポキシ樹脂を用いて、トランスファーモールド成形により積層したコンデンサ素子1を封止し外装樹脂14を形成した後、外装樹脂14から表出した陽極端子12及び陰極端子13を折り曲げて、定格電圧2V、静電容量330μFの固体電解コンデンサを作製した。
(比較例1)
比較例1は、補強樹脂を用いない以外は、実施例1と同様に定格電圧2V、静電容量330μFの固体電解コンデンサを作製した。
比較例1は、補強樹脂を用いない以外は、実施例1と同様に定格電圧2V、静電容量330μFの固体電解コンデンサを作製した。
(比較例2)
比較例2は、実施例1と同様に陽極端子12及び陰極端子13に積層したコンデンサ素子1を接合した後、陽極部4の接合箇所と絶縁体部3との間にある対向した陽極部4間に生じた空間に、実施例1で用いた粘度3000mPa・sの補強樹脂を約7mg塗布し、温度130℃で1時間の条件で硬化させ、対向した陽極部4間に絶縁性樹脂を形成した。露出部9には前記絶縁性樹脂は形成されていない。
比較例2は、実施例1と同様に陽極端子12及び陰極端子13に積層したコンデンサ素子1を接合した後、陽極部4の接合箇所と絶縁体部3との間にある対向した陽極部4間に生じた空間に、実施例1で用いた粘度3000mPa・sの補強樹脂を約7mg塗布し、温度130℃で1時間の条件で硬化させ、対向した陽極部4間に絶縁性樹脂を形成した。露出部9には前記絶縁性樹脂は形成されていない。
これ以外は実施例1と同様に作製し、定格電圧2V、静電容量330μFの固体電解コンデンサを作製した。
(比較例3)
比較例3は、実施例1と同様に陽極端子12及び陰極端子13に積層したコンデンサ素子1を接合した後、積層した最上段のコンデンサ素子1にある、対向した露出部9の反対側にある外側面の露出部9に、実施例1で用いた粘度3000mPa・sの補強樹脂を約2mg塗布し、外側面の露出部9に絶縁性樹脂を形成した。隙間10には前記絶縁性樹脂は形成されていない。
比較例3は、実施例1と同様に陽極端子12及び陰極端子13に積層したコンデンサ素子1を接合した後、積層した最上段のコンデンサ素子1にある、対向した露出部9の反対側にある外側面の露出部9に、実施例1で用いた粘度3000mPa・sの補強樹脂を約2mg塗布し、外側面の露出部9に絶縁性樹脂を形成した。隙間10には前記絶縁性樹脂は形成されていない。
これ以外は実施例1と同様に作製し、定格電圧2V、静電容量330μFの固体電解コンデンサを作製した。
次に実施例1と比較例1〜比較例3の固体電解コンデンサについて夫々100個の試料を用い、初期値の漏れ電流特性を2Vの電圧を印加し測定した。その結果を(表1)に示す。
この(表1)に示されるように、漏れ電流の初期の平均値は、実施例1の補強樹脂の粘度が200、300、600、1500、3000mPa・sの時、夫々1.3、1.2、1.1、1.3、1.6μAであった。一方比較例1、比較例2、比較例3の漏れ電流の初期値の平均は、夫々2.7、2.7、2.4μAであった。
実施例1は、比較例1〜比較例3と比較すると初期の漏れ電流特性が良化し、特に粘度300mPa・s及び600mPa・sのときに初期の漏れ電流特性が最も優れていた。
また、実施例1の隙間10内に形成された補強樹脂部11は、対向した露出部9の表面全体に形成されかつ対向した露出部9間を連結したものであり隙間10内には外装樹脂14の形成はなかった。一方、比較例1〜比較例3の隙間10には外装樹脂14が形成されていた。
隙間10内の補強樹脂部11の充填状態を比較すると、粘度300mPa・s及び600mPa・sのとき補強樹脂部11が最も充填され空洞が少なく隙間10の両端側及び中央部に補強樹脂部11が形成されていた。また粘度3000mPa・sのときが最も充填が少なく、隙間10の両端部側に補強樹脂部11が形成され中央部側に空洞が多かった。
以上のように、補強樹脂部11を対向した露出部9に設けることによって漏れ電流特性の劣化を低減する効果を奏するものであり、対向した露出部9の隙間10内の強樹脂部11の充填が多いほど程、漏れ電流特性が優れているものである。
1 コンデンサ素子
2 陽極体
3 絶縁体部
4 陽極部
5 陰極部
6 誘電体酸化皮膜層
7 固体電解質層
8 陰極層
9 露出部
10 隙間
11 補強樹脂部
12 陽極端子
13 陰極端子
14 外装樹脂
21,23 導電性ペースト層
26 平坦面
29 側面
2 陽極体
3 絶縁体部
4 陽極部
5 陰極部
6 誘電体酸化皮膜層
7 固体電解質層
8 陰極層
9 露出部
10 隙間
11 補強樹脂部
12 陽極端子
13 陰極端子
14 外装樹脂
21,23 導電性ペースト層
26 平坦面
29 側面
Claims (2)
- 弁作用金属からなる平板状の陽極体が絶縁体部により区分された陽極部と陰極部とを備え、陰極部には前記陽極体表面上に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層が順次形成されかつ絶縁体部と陰極層間に固体電解質層の露出部を設けたコンデンサ素子と、コンデンサ素子を被覆する外装樹脂とからなる固体電解コンデンサであって、
コンデンサ素子が前記露出部を対向させて複数積層され、前記対向した露出部どうしを接合する絶縁性の補強樹脂部を設けた固体電解コンデンサ。 - 弁作用金属からなる平板状の陽極体が絶縁体部により区分された陽極部と陰極部とを備え、陰極部には前記陽極体表面上に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層が順次形成されかつ絶縁体部と陰極層間に固体電解質層の露出部を設けたコンデンサ素子を積層する固体電解コンデンサの製造方法であって、
前記露出部を対向させてコンデンサ素子を積層する積層工程と、補強樹脂を前記露出部に塗布する工程と、補強樹脂を介して対向した前記露出部を接合する工程と、積層したコンデンサ素子を外装樹脂で被覆する工程と、を含む固体電解コンデンサの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007037553A JP2008205072A (ja) | 2007-02-19 | 2007-02-19 | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007037553A JP2008205072A (ja) | 2007-02-19 | 2007-02-19 | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008205072A true JP2008205072A (ja) | 2008-09-04 |
Family
ID=39782292
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007037553A Pending JP2008205072A (ja) | 2007-02-19 | 2007-02-19 | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008205072A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010239089A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Nippon Chemicon Corp | 固体電解コンデンサ |
-
2007
- 2007-02-19 JP JP2007037553A patent/JP2008205072A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010239089A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Nippon Chemicon Corp | 固体電解コンデンサ |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5274340B2 (ja) | 固体電解コンデンサ | |
WO2009119083A1 (ja) | 固体電解コンデンサおよびその製造方法 | |
JP2003163138A (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
JPWO2019087692A1 (ja) | 電解コンデンサおよびその製造方法 | |
US9576744B2 (en) | Solid electrolytic capacitor | |
JP6223800B2 (ja) | 固体電解コンデンサの形成方法 | |
JP2009182157A (ja) | 固体電解コンデンサ | |
JP5623214B2 (ja) | 固体電解コンデンサ | |
JP5020120B2 (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
US11915886B2 (en) | Solid electrolytic capacitor | |
CN107785172B (zh) | 固体电解电容器 | |
JP2011243958A (ja) | 固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法 | |
US8882857B2 (en) | Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing the same | |
JP4748726B2 (ja) | 固体電解コンデンサ | |
JP2008205072A (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
WO2021132220A1 (ja) | コンデンサ素子および電解コンデンサ、ならびにこれらの製造方法 | |
JP7382591B2 (ja) | 電解コンデンサおよびその製造方法 | |
JP5020039B2 (ja) | 固体電解コンデンサおよびその製造方法 | |
JP4424658B2 (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
JP4767479B2 (ja) | 固体電解コンデンサおよびその製造方法 | |
JP4574544B2 (ja) | 固体電解コンデンサ | |
JP7029666B2 (ja) | 固体電解コンデンサ | |
JP2010087308A (ja) | 固体電解コンデンサ | |
JP2007227716A (ja) | 積層型固体電解コンデンサおよびその製造方法 | |
JP7493162B2 (ja) | 電解コンデンサおよびその製造方法 |