JP2008203178A - シート状部材の破断原因解析方法 - Google Patents

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広幸 須藤
Riyuusuke Tada
竜佐 多田
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Abstract

【課題】設備費用の増加を招くことなく、シート部材の搬送中に破断が生じた際に、確実に破断前における上記シート部材の状態を確認して破断原因を特定することができるシート部材の破断原因解析方法を提供する。
【解決手段】複数のロール3に沿って搬送されるシート状部材2を、上記搬送方向の複数箇所に配置されたカメラ5によって毎秒nコマ撮影し、各々のカメラ5から出力された各コマの撮影画像を、一定容量を有する記録媒体16に順次上書きすることにより連続的に録画する際に、各々のカメラ5の設置位置におけるシート状部材2の搬送速度を検出し、当該検出情報に基づいて、上記搬送速度が減速した際に、シート状部材2の全長を連続して撮影可能な範囲内において、上記nコマの撮影画像のうちのコマ数を間引いた撮影画像を上記記録媒体16に録画することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、紙等のシート状部材を連続的に搬送する際に、搬送過程で発生した破断の原因を特定するためのシート状部材の破断原因解析方法に関するものである。
一般に、製紙工場に配設された製紙プラントにおいては、紙抄き工程、脱水工程、乾燥工程、表面塗工等の工程を経て最終製品となる紙が製造されており、図3に示すように、原料ホッパ1等から供給された紙の原料が、多数のロール3等に案内されつつ上記工程間を連続して搬送され、数mの幅寸法の紙2に成形されて最終製品がロール4に巻き取られて行くようになっている。
ところで、ロール3間を搬送される紙2には、最終段のロール4等から常時所定の張力が加えられた状態で高速搬送されている。このため、搬送中に急激な速度変動が生じたり、あるいはロール3との間に異物を挟んで微細な亀裂が生じたりすると、搬送中の紙2に破断が発生する。このような破断は、近年における製紙プラントの大型化および高速化に伴い、頻度を増す傾向にある。
しかしながら、搬送中に上記紙2が破断すると、全ての工程を一旦停止せざるを得なくなり、よって大きな損失を招来することになる。
このため、上記紙2の破断の発生頻度を低下させて生産効率を向上させるべく、上記破断原因を早期に発見し、その対策を立てることが強く要請されている。
一方、紙2は高速で搬送されているために、上記破断が発生した際に、その原因を目視によって確認することは不可能である。そこで、従来においては、紙2の搬送ラインに沿った多数の箇所(図では、そのうちの3箇所を例示している。)に、紙2の破断を監視するためのカメラ5を設置し、当該カメラ5によって撮影した紙2の表面の画像から、破断箇所やその原因を特定する方法が採用されている。なお、下記特許文献1には、本発明者等が先に提案した、この種の監視用のカメラを用いた破断検知装置が開示されている。
特開2004−77359号公報
ところで、このような多数のカメラ5を用いて破断原因の特定を行う場合には、破断する前の紙2の状態を確認することが最も効果的である。また、破断した箇所のカメラ5からは、直接破断した状態は確認することができるものの、破断の原因となる画像を得ることは難しい。
そこで、従来の破断原因解析方法においては、先ず上記搬送方向の複数箇所に配置されたCCDカメラ5によって、当該箇所を通過する紙2の表面状態を毎秒60コマの画像に撮影し、各カメラ5から出力された各コマの撮影画像を、一定容量を有する半導体メモリに記録するとともに、上記容量を超えた後は、順次過去の録画画像に対して上書きして行くことによりエンドレスの録画を行っておき、紙2が破断した際に、破断前に記録されている上記半導体メモリ内の画像を参照する方法が採用されている。
そしてこの際に、破断前に当該破断箇所の上流側に位置するカメラ5によって撮影されて半導体メモリに録画されている撮影画像を読み出して、モニタ等の表示装置に送信して再生することにより、破断直前の紙2の表面状態を確認することにより、上記破断の原因を特定する方法が採られている。
しかしながら、上記従来の破断原因解析方法にあっては、半導体メモリの容量には限度があるために、所望の録画時間を確保することができない場合が生じるという問題点があった。すなわち、搬送される紙2の表面状態をCCDカメラ5によって毎秒60コマで撮影し、半導体メモリに順次記録および上書きして行くことによりエンドレスの録画を行っているために、1コマの画像の容量がx(MB)であって、半導体メモリの容量がX(MB)であるとすると、上記半導体メモリの録画可能な時間は、X/60x(秒)になる。
他方、破断箇所と、その上流側のカメラ5との間の紙2の搬送距離がL(m)であり、かつ破断時における紙2の搬送速度がv(m/秒)であったとすると、上記カメラ5から破断箇所に至る搬送時間は、L/v(秒)になる。したがって、紙2の破断した箇所が、破断前に上流側の上記カメラ5を通過した際の画像を確認するためには、破断時よりもL/v(秒)前の上記カメラ5の半導体メモリにおける録画画像を見る必要がある。このため、使用する半導体メモリとしては、X/60x(秒)>L/v(秒)を満足する容量を有している必要がある。
しかしながら、一般に上記半導体メモリの容量には限界があるために、例えば搬送速度vが減速している際に上記破断が生じると、設置距離Lが比較的長いカメラ5間においては、上流側のカメラ5に、その後の撮影画像の上書きによって、破断箇所が通過した際の録画画像が残っていない場合が生じてしまうという問題点があった。
そこで、上記カメラ5を短い搬送距離間隔で多数設置しようとすると、上記紙2の搬送距離は、全行程に及ぶ長いものであるために、カメラやその記録媒体を組み込んだPC等の台数が極端に多くなり、設備費用が嵩んでしまうという問題点が生じる。また、上記カメラ5の撮影画像の記録媒体として、半導体メモリに代えて、容量の大きなハードディスクを使用することも考えられるが、当該ハードディスクにあっては、機械的な駆動部材や接触部分を内蔵しているために、故障等の虞があるという問題点がある。
さらに、従来においては、紙2の破断が生じた際に、破断前の上流側のカメラ5によって撮影されて半導体メモリに録画されている撮影画像の全てを、モニタ等の表示装置に送信して再生しているために、通信時間が長くなり、この結果、破断原因を特定するまでに長時間を要するという問題点もあった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、設備費用の増加を招くことなく、シート部材の搬送中に破断が生じた際に、確実に破断前における上記シート部材の状態を確認して破断原因を特定することができるシート部材の破断原因解析方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のロールに沿って搬送されるシート状部材を、上記搬送方向の複数箇所に配置されたカメラによって毎秒nコマ撮影し、各々の上記カメラから出力された各コマの撮影画像を、一定容量を有する記録媒体に順次上書きすることにより連続的に録画して、上記シート状部材が破断した際に、当該破断時前に上記破断箇所よりも上流側に位置する上記カメラによって撮影されて上記記録媒体に録画されている上記撮影画像を当該記録媒体から読み出して再生することにより、上記破断の原因を特定するシート状部材の破断原因解析方法において、上記カメラの設置位置における上記シート状部材の搬送速度を検出し、当該検出情報に基づいて、上記搬送速度が減速した際に、上記シート状部材の全長を連続して撮影可能な範囲内において、上記nコマの撮影画像のうちのコマ数を間引いた撮影画像を上記記録媒体に録画することを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記搬送速度の検出情報に基づいて、1コマおき毎、または3コマおき毎の上記撮影画像を上記記録媒体に録画することを特徴とするものである。
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記記録媒体は、半導体メモリであることを特徴とするである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記破断時から遡った時間に撮影されて上記記録媒体に録画されている上記撮影画像を当該記録媒体から読み出して再生するに際して、上記記録媒体の録画時間よりも短い時間であって、かつ上記破断時から遡った一定時間に記録された上記撮影画像を再生手段に送信することを特徴とするものである。
請求項1〜4のいずれかに記載の発明によれば、シート状部材の搬送速度の検出情報に基づいて、搬送速度が減速した際に、シート状部材の全長を連続して撮影可能な範囲内においてコマ数を間引いた撮影画像を記録媒体に録画しているために、記録媒体における録画可能な時間を長く確保することができ、よってシート部材の搬送中に破断が生じた際に、確実に破断前における上記シート部材の状態を確認することができる。
すなわち、周知のように汎用のCCDカメラにおいては、毎秒60コマの画像が撮影される。そして、例えば図4(a)に示すように、シート部材7が、その全長を連続する上記撮影画像8a、8bによって撮影可能な搬送速度vによって搬送されている場合に、図4(b)で示すように、当該搬送速度がv/2に減速したとすると、連続する上記撮影画像8a、8b、8cに撮影重複部分が生じる。
このため、間の撮影画像8bを間引いた撮影画像8a、8cを記録媒体に録画しておけば、シート部材を連続して撮影可能であるとともに、記録媒体における録画可能な時間、すなわちシート部材の録画可能な搬送距離を2倍にすることができる。
この際に、通常上記カメラによる撮影や、その撮影画像の記録および再生等は、データ処理の容易さからデジタル処理されているために、請求項2に記載の発明のように、上記搬送速度の検出情報に基づいて、シート状部材の全長を連続して撮影可能な範囲内において、順次1コマおき毎、または3コマおき毎といった1/2または1/4のコマ数の撮影画像を上記記録媒体に録画することが好ましい。
また、上記記録媒体としても、請求項3に記載の発明のように、機械的な駆動部分がなく、よって故障等の虞がない半導体メモリを用いることが好適である。
さらに、請求項4に記載の発明によれば、上記シート部材が破断した際に、上流側のカメラからの撮影画像を録画した記録媒体から、再生手段に全ての撮影画像を送信すること無く、上記破断時から遡った一定時間に記録されている上記撮影画像のみを送信しているために、従来よりも短い送信時間で再生することができ、よって、短時間で破断原因を特定することが可能になる。
以下、図1〜図4に基づいて、本発明に係るシート部材の破断原因解析方法を製紙プラントにおける紙の破断原因解析方法に適用した一実施例について説明する。
本実施形態の製紙プラントにおいても、図3に示したように、紙(シート部材)2の搬送ラインに沿った多数の箇所に、紙2の破断を監視するためのカメラ5を設置した構成においては同一であるために、以下の説明においても同一構成部分については同一符号を付して、その説明を簡略化する。
図2は、本実施形態に用いられる破断原因解析システムの要部を示すもので、工場内の電気室内には、常時連続して映像を記録するためのコンピュータである複数のフィールドPC10および紙切れが発生した時に、当該時刻の近傍を保存するためのコンピュータであるサーバPC11が設置されるとともに、中央操作室内には、紙破断時の解析用のモニタ12およびプリンタ13等が接続された解析用PC(再生手段)14および常時監視用のモニタ15が設置されている。ここで、フィールドPC10は、個々のカメラ5に接続されるとともに、内部に画像記録用の半導体メモリ(記録媒体、図1参照。)16が組み込まれている。
そして、各フィールドPC10は、各カメラ5から送られてくる撮影画像を上記半導体メモリ16に記録するとともに、当該撮影画像内の所定領域における平均明度によって紙切れを判定し、サーバPC11に出力するようになっている。
ちなみに、図1においては、半導体メモリの記録形態を模式的に示しており、この半導体メモリ16は、60コマ/秒で送られてくる撮影画像を、30秒間録画可能な容量を有している。
さらに、図3に示した紙2の搬送ラインには、カメラ5の設置箇所近傍における紙2の搬送速度を計測する速度検知器(図示を略す。)が設けられており、これらの速度検知器からの検出情報が各フィールドPC10に入力されるようになっている。
また、サーバPC11は、全てのフィールドPC10が接続されることにより、これらフィールドPC10の相互間の時刻的同期(各カメラ5の箇所を紙切れ原因が通過した時刻)を実行するためのものである。そして、これらフィールドPC10およびサーバPC11は、中央操作室内の解析用PC14や常時監視用モニタ15とLANによって通信可能に接続されている。
次に、図1〜図3に基づいて、本実施形態の紙の破断原因解析方法について説明する。
先ず、従来と同様に、複数のロール3に沿って搬送される紙2を、搬送方向の複数箇所に配置されたカメラ5によって毎秒60コマ撮影し、各カメラ5から出力された各コマの撮影画像を、フィールドPC10内の半導体メモリ16に順次記録するとともに、半導体メモリ16の録画可能な最長時間である30秒を超えた後に送られてくる撮影画像を順次上書きすることにより連続的に録画する。
この際に、図1に示すように、各々のフィールドPC10は、各カメラ5位置における紙2の搬送速度に基づいて、当該カメラ5から送られてくる60コマ/秒の撮影画像について、その全てを半導体メモリ16に録画するか、あるいは搬送速度が減速されている場合には、紙2の全長を連続して撮影可能な範囲内において上記コマ数の撮影画像のうちの1/2または1/4等のコマ数を外部から本システムに入力される搬送速度から自動的に判断し、当該コマ数を間引いた残りの撮影画像を半導体メモリ16に録画する。
そして、紙2がある箇所において破断すると、当該箇所のカメラ5の撮影画像によってフィールドPC10が破断を判定し、破断が発生した旨の検出信号をサーバPC11に出力する。これにより、サーバPC11は、上記カメラ5の上流側にあるカメラ5に接続されたフィールドPC10を選択し、当該フィールドPC10の半導体メモリ16に録画されている撮影画像のうちの、紙切れ前後の任意時間(例えば10秒間)の撮影画像を、LANを通じて解析用PC14に送信させてモニタ12に表示させる。そして、このモニタ12において再生された撮影画像に基づいて、紙2の破断原因を特定する。
以上のように、上記構成から成る紙の破断原因解析方法によれば、紙2の搬送速度の検出情報に基づいて、搬送速度が減速した際に、紙2の全長を連続して撮影可能な範囲内においてコマ数を間引いた1/4、1/2等のコマ数の撮影画像を半導体メモリ16に録画しているために、半導体メモリ16における録画可能な時間、すなわち録画可能な紙2の搬送距離を2倍あるいは4倍以上にすることができる。この結果、紙2の搬送中に破断が生じた際に、上流側にカメラ5によって撮影された破断前における紙2の状態を、確実に把握することができる。
加えて、紙2が破断した際に、上流側のカメラ5からの撮影画像を録画した半導体メモリ16から、LANを通じて解析用PC14に全ての撮影画像を送信すること無く、上記破断時の前後10秒間に記録されている撮影画像のみを送信しているために、従来よりも短い送信時間で再生することができ、よって、短時間で破断原因を特定することができる。
なお、上記実施の形態においては、本発明に係るシート部材の破断原因解析方法を製紙プラントにおける紙の破断原因解析方法に適用した場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、ロール間を連続的に搬送される各種のシート部材の破断原因解析に適用することができる。
本発明に係るシート部材の破断原因解析方法の一実施形態において半導体メモリへの録画形態を示す模式図である。 上記解析方法に用いられる解析システムを示す概略構成図である。 監視用カメラを設置した一般的な製紙プラントの構成を示す概略図である。 本発明の作用を示す概念図である。
符号の説明
2 紙(シート状部材)
3 ロール
5 カメラ
10 フィールドPC
12 モニタ(再生手段)
14 解析用PC(再生手段)
16 半導体メモリ(記録媒体)

Claims (4)

  1. 複数のロールに沿って搬送されるシート状部材を、上記搬送方向の複数箇所に配置されたカメラによって毎秒nコマ撮影し、各々の上記カメラから出力された各コマの撮影画像を、一定容量を有する記録媒体に順次上書きすることにより連続的に録画して、上記シート状部材が破断した際に、当該破断時前に上記破断箇所よりも上流側に位置する上記カメラによって撮影されて上記記録媒体に録画されている上記撮影画像を当該記録媒体から読み出して再生することにより、上記破断の原因を特定するシート状部材の破断原因解析方法において、
    上記カメラの設置位置における上記シート状部材の搬送速度を検出し、当該検出情報に基づいて、上記搬送速度が減速した際に、上記シート状部材の全長を連続して撮影可能な範囲内において、上記nコマの撮影画像のうちのコマ数を間引いた撮影画像を上記記録媒体に録画することを特徴とするシート状部材の破断原因解析方法。
  2. 上記搬送速度の検出情報に基づいて、1コマおき毎、または3コマおき毎の上記撮影画像を上記記録媒体に録画することを特徴とする請求項1に記載のシート状部材の破断原因解析方法。
  3. 上記記録媒体は、半導体メモリであることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状部材の破断原因解析方法。
  4. 上記破断時から遡った時間に撮影されて上記記録媒体に録画されている上記撮影画像を当該記録媒体から読み出して再生するに際して、上記記録媒体の録画時間よりも短い時間であって、かつ上記破断時から遡った一定時間に記録された上記撮影画像を再生手段に送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシート状部材の破断原因解析方法。
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