JP2008201417A - バンパステイ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム合金の中空部15を有する押出形材からなり、その押出方向と車体の前後方向とが直交するようにバンパ1とフレーム6との間に配置されると共に、上記形材におけるバンパ1側の斜め辺11は、フレーム6側の端辺14よりも長く且つ少なくとも車体の幅方向における中央寄りに張り出している、バンパステイ10。
【選択図】 図1
Description
従来のバンパステイ60は、図7(B)に示すように、アルミニウム合金の押出形材をその押出方向と直交し所定の幅に切断したものであり、バンパ52寄りの幅の狭い衝撃吸収段61と、フレーム56寄りの幅広の衝撃吸収段62とからなる。衝撃吸収段61は、断面長方形の中空部64を内設する矩形片63であり、衝撃吸収段62は、一対の長片65,67と短片66,66とからなる長方形断面を有し、一対の仕切壁68により内部に3つの中空部69を内設している。
これにより、バンパステイ60は、衝突時において、短片63a、仕切壁68、および短片66における座屈変形の開始時期がずれながら圧壊するため、図示しない車体側のフレームに加わる衝突エネルギを、2段階に分散して吸収するものである(例えば、特許文献1参照)。
上記バンパステイ70は、図7(C)に示すように、衝突時において、先ず外矩形部72の左側から右向きに圧縮変形して、衝突初期の衝突エネルギを吸収すると共に、続いて内矩形部74が残った外矩形部72と共に長片76寄りに圧縮変形して、2回目の衝突エネルギを吸収する。係る2段階に渉る変形を生じることにより、バンパステイ70は、衝突エネルギを2段階に分散して吸収し、フレームに加わる衝撃力を緩和するものである(特開平7−277112号公報参照)。
本発明は、以上において説明した従来の技術における問題点を解決し、衝突時において多くの衝突エネルギを安定して確実に吸収できるバンパステイを提供すること、を課題とする。
即ち、本発明のバンパステイ(請求項1)は、アルミニウム合金の中空部を有する押出形材からなり、その押出方向と車体の前後方向とが直交するようにバンパとフレームとの間に配置されると共に、上記形材におけるバンパ側の辺は、フレーム側の辺よりも長く且つ少なくとも車体の幅方向における中央寄りに張り出している、ことを特徴とする。これにより、バンパステイに対するバンパの接触面積が広くなるため、衝突時にバンパ自体に局部的な集中応力が発生しなくなる。この結果、バンパ自体に大きな変形が生じることによる車体側への損傷を生じにくくできる。
その後、衝突エネルギが第1段階では吸収できない程に大きい場合、第2段階として車体の幅方向における外側寄りの側辺が座屈変形し、これにより更に大きな衝突エネルギが吸収される。この場合、フレームには衝突荷重の2次ピークが生じる。また、第1段階の曲げ変形に際して上記座屈変形を伴う場合もある。従って、係るバンパステイにより、衝突時における多くの衝突エネルギを、徐々に且つ効率良く確実に吸収することができ、乗員の安全を図ることが可能となる。
これによれば、上記形材の中空部に設けた仕切辺により、衝突時におけるバンパステイの変形は多段階に発生する。これにより、フレーム側に伝わる衝突エネルギを多段階で吸収できると共に、フレームに加わる荷重のピークを増やして、乗員に加わる衝撃力を緩和することができる。
即ち、第1段階としてバンパ側の辺と車体の幅方向における中央寄りの側辺とを、幅方向の中央寄りに倒れ込ませるように曲げ変形させて、衝撃エネルギを吸収する。この際、フレームには荷重の1次ピークが生じる。次に、第2段階として車体の前後方向に略平行に設けられた仕切辺を座屈変形させて、衝突エネルギを吸収すると共に、フレームには荷重の2次ピークが生じる。更に、第3段階として車体の幅方向においてサイド寄りの側辺を座屈変形させて、衝突エネルギを吸収すると共に、フレームには荷重の3次ピークが生じる。従って、衝突時における衝突エネルギを段階的に吸収させて、多くのエネルギを吸収できる。これにより、フレーム側に生じる衝撃荷重は減少し且つ分散される。
これによれば、衝突エネルギにより荷重を受けた際のバンパステイにおける座屈強度は、その一方の端面または両端面に固定した蓋板により増大し、係る座屈変形に要する変形エネルギ量を増加させる。また、蓋板をバンパステイにおけるフレーム寄りの位置のみに固定した形態では、バンパ側の座屈強度が低くなり、且つフレーム側の座屈強度が高くなるため、上記に加えて車体の前後方向に対しても2段階での座屈変形が生じる。このため、衝撃力が分散されると共に、多くのエネルギを吸収できる。
従って、係るバンパステイにより、衝突時における多くの衝突エネルギを一層確実に効率良く吸収することが可能となる。尚、前記押出形材の中空部内にビスホールを一体に付設し、係るビスホールにねじ又はボルトを螺入することにより、上記蓋板を容易に固定することができる。もちろん、上記蓋板は、溶接により形材の一端面または両端面に固定しても良い。
更に、請求項3のバンパステイによれば、上記に加えて、衝突時における第1段階として、両端面に蓋板がないバンパ寄りに作用してこれを座屈変形させ、衝突エネルギを吸収すると共に、衝突エネルギが大きく第1段階で吸収しきれなかった場合、第2段階として一方の端面または両端面にて蓋板を有するフレーム寄りの部分を座屈変形させて、更に多くの衝突エネルギを吸収することができる。従って、衝突時における多くの衝突エネルギを一層確実に効率良く吸収することが可能となり、フレームに加わる衝撃荷重を低減することができる。
図1(A)は、バンパ1の両端部とフレーム6,6との間に、本発明による一形態のバンパステイ10,10を配置した状態を示す。バンパ1は、外側に表皮3を有するバンパリィンフォースメント2を含み、後者の両端部4,4の側面5,5にバンパステイ10,10が配置される。また、フレーム6は、角形断面の中空部7を内設し、且つその先端にフランジ8を有する。
バンパステイ10は、図1(B)に示すように、バンパ1のリィンフォースメント2に図示しないボルト等により固定され、フレーム6のフランジ8に対し、ボルト18・ナット19にて固定される。この結果、バンパステイ10は、その押出方向を車体の前後方向と直交してバンパ1とフレーム6との間に固定される。
図1(B)に示すように、バンパ1側の斜め辺11の車体の幅方向の長さXは、フレーム6側の端辺14の長さYよりも長く、且つ斜め辺11は車体の中央寄りとサイド寄りの双方に張り出し、これに応じて図1(B)で右側の側辺12も、そのバンパ1寄りが車体の中央寄りに張り出すように形成されている。このため、バンパ1に接する斜め辺11の接触面積は、フレーム6に接する端辺14よりも広くなる。尚、サイド側の側辺13は、車体の前後方向と略平行でも良い。
また、上記荷重P0によるバンパリィンフォースメント2の変形に伴い、各バンパステイ10にはP2方向に引き寄せる力が作用する。このため、図1(B)に示すように、衝突により作用する荷重P0は、バンパリィンフォースメント2を経て、バンパステイ10の斜め辺11および側辺12,13に作用する。この結果、車体の中央寄りの側壁12には、図1(B)中の矢印P3で示す力が働き、側辺12は図示で右側の車体幅方向の中央寄りに倒れ込むように曲げ変形する。これにより、第1段階としての衝突エネルギの吸収が行われる。この際、フレーム6には、側辺12の最大変形荷重までのピーク荷重が加わる。
以上のような2段階の曲げと座屈変形を確実に生じさせるバンパステイ10を用いることにより、衝突時のエネルギを大量に効率良く吸収することができ、乗員の安全を図り得る。
バンパステイ10′も、図1(C)に示すように、バンパ1側の斜め辺11、フレーム6側の端辺14、一対の側辺12,13、及びフランジ16,16からなると共に、車体の前後方向に沿った仕切辺17を形成することにより、車体の幅方向に一対の中空部15a,15bを内設している。
係るバンパステイ10′においても、前記と同様に衝突に伴う荷重は、斜め辺11、側壁12,13、および仕切辺17に伝達され、第1段階として側辺12が図示で右側の車体の中央寄りに倒れ込むように容易に曲げ変形し、第1段階としての衝撃エネルギの吸収がされる。また、前記フレーム6には、上記変形を開始する直前の荷重に相当する1次ピーク荷重が伝わるが、上記曲げ変形により衝突エネルギが吸収される。
図1(D)に示すように、バンパステイ10″も前記と同様に、バンパ1側の斜め辺11、一対の側辺12,13、フレーム6側の端辺14、及びフランジ16,16からなる。また、側辺12,13間で車体の幅方向に沿い且つ端辺14寄りの約1/3の位置に配置した仕切辺17bと、この仕切辺17bと端辺14との間で車体の前後方向に沿った仕切辺17aとを略T字形に形成することにより、バンパ1寄りの幅広い中空部15cと、フレーム6寄りで幅の狭い一対の小さな中空部15a,15bとを内設している。上記仕切辺17bにより、側辺12,13は、長尺部12a,13aと短尺部12b,13bとに区分される。
即ち、第1段階として長尺部12aが曲げ変形し、第2段階として長尺部13aが座屈変形または座屈変形と共に曲げ変形する。更に、第3段階として短尺部12bが曲げ変形と共に座屈変形し、第4段階として仕切辺17aが座屈変形した後で、第5段階として短尺部13bが座屈変形する。これらの変形に際して必要とされる変形エネルギによって、衝突エネルギが吸収されるため、フレーム6側に生じる衝撃が緩和される。尚、各段階での変形は連続して生じる場合や、力の加わり状況によって変形する順番が入れ替わる場合もある。
また、側辺22,23間で車体の幅方向に沿った仕切辺27と、斜め辺21と端辺24との間で車体の前後方向に沿った仕切辺28とを略十字形に形成することにより、バンパ寄りでやや広い中空部25a,25bと、フレーム寄りでやや狭い中空部25c,25dを内設している。
従って、仕切辺27,28a,28bを有するバンパステイ20′によれば、衝突エネルギを一層効率良く確実に吸収可能となる。しかも、仕切辺27,28a,28bにより4つの中空部25a〜25dが形成されているため、バンパステイ20′の剛性を一層向上させ得ると共に、バンパステイ20′の断面積自体が小さくても、多くの衝突エネルギを吸収することが可能となる。
また、バンパステイ30は、側辺32,33間で車体の幅方向に沿った仕切辺36と、該仕切辺36と斜め辺31との間で車体の前後方向に沿った仕切辺37と、仕切辺36と端辺34との間で且つそのフレーム寄り部分が車体の中央寄りに傾斜した仕切辺38とを、略十字形に形成している。これらにより、バンパステイ30は、広めの中空部35b,35cと、狭めの中空部35a,35dとを内設している。
以上のような2段階にわたる変形を確実に生じさせるバンパステイ30を用いることにより、衝突時のエネルギを大量に一層効率良く吸収することができる。
しかも、仕切辺36〜38を断面略十字形に配置することにより、バンパ寄りの中空部35a,35bと、フレーム寄りの中空部35c,35dとが内設されるため、バンパステイ30の剛性を一層高め、小さな断面積でも多くの衝突エネルギを吸収できる。且つ、上記2段階の変形を一層確実に生じさせ得る。
図4(A)は、アルミニウム合金(JIS:A6N01−調質T5)の押出形材からなり、厚さが6mmの斜め辺31、側辺32,33、端辺34、および一対のフランジ39を備え、且つ前記仕切辺36〜38のない中空部35を有するバンパステイ30aの端面図を示す。図4(A)で上下方向の高さは、斜め辺31の右端のH1が80mm、左端のH2が32mmであると共に、図4(A)で左右方向の幅は、斜め辺31の左右両端間のW1が173mm、フランジ39,39の両端間のW2が140mmである。また、図4(A)におけるバンパステイ30aの奥行き(押出)方向に沿った長さ(切り出し長さ)は、100mmである。
図4(D)は、上記と同じアルミニウム合金の形材からなり、各辺31〜34とフランジ39も上記と同じ厚さで、車体の前後方向に沿った仕切辺37の両側に中空部35a,35bを有するバンパステイ30bの端面を示す。図4(D)で上下方向および左右方向の各部の長さは、上記バンパステイ30aと同一である。
上記の変形過程において、実施例1,2における車体の前後方向に沿った変位量と、フレームに相当する部分に加わる荷重との推移を図5のグラフに示した。
尚、蓋板40もアルミニウム合金板からなり、溶接W付けされた後に適宜必要な熱処理が施される。また、蓋板40は、上記ステイ10aの何れか一方の端面のみに固定しても良い。
この場合、蓋板40は上記形材10bの一方の端面のみに固定しても良い。また、蓋板40には、鋼板などを用いることも可能である。
例えば、前記バンパステイ10,20,30等において、車体のサイド側の側辺13,23,33は、車体の前後方向と平行に形成しても良い。
また、前記バンパステイ10,20,30等においてバンパ1側の辺は、斜め辺11,21,31としたが、前記バンパリィンフォースメント2の形状に応じてカーブを有する湾曲辺などにすることもできる。
更に、バンパ1側の辺である前記斜め辺11,21,31の左右両端に、バンパリィンフォースメント2の形状に倣った一対のフランジを突設しても良い。
尚、本発明のバンパステイは、自動車の前後のバンパに用いられるが、例えば鉄道車両のスカートを支持する部材に適用することも可能である。
6…………………………………………………………………………フレーム
10,10′,10″,10a,20,20′,30,30a,30b…バンパステイ
10b……………………………………………………………………押出形材
11,21,31……………………………………………斜め辺(バンパ側の辺)
14,24,34……………………………………………端辺(フレーム側の辺)
15,15a〜15c,25a〜25d,35a〜35d…………中空部
17,17a,17b,27,28,28a,28b,36〜38……仕切壁
40………………………………………………………………………蓋板
Claims (3)
- アルミニウム合金の中空部を有する押出形材からなり、その押出方向と車体の前後方向とが直交するようにバンパとフレームとの間に配置されると共に、上記形材におけるバンパ側の辺は、フレーム側の辺よりも長く且つ少なくとも車体の幅方向における中央寄りに張り出している、
ことを特徴とするバンパステイ。 - 前記形材の中空部が、車体の前後方向と略平行な仕切辺により、車体の幅方向にて一対に仕切られるか、或いは、上記仕切辺およびこの仕切辺に交差し且つ車体の前後方向と略直交する仕切辺により、略十字形または略T字形に仕切られている、
ことを特徴とする請求項1に記載のバンパステイ。 - 前記押出形材における押出方向における一方の端面または両端面に蓋板を固定し、この蓋板は上記端面の全面に固定されるか、またはフレーム寄りの位置に固定されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のバンパステイ。
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