JP2008200731A - 圧延方法および圧延機 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に薄い金属板の圧延に対し、簡単な構成の特に4段圧延機で安定して、すなわち板張力を圧延荷重との関係を考慮して適切に付与することができ、以って従来製造困難であった極薄板を生産できる圧延機を提供する。
【解決手段】両作業ロールは異周速駆動装置によって異周速で駆動され、作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロールと他方の補強ロール間(B1)を通るように圧延材料を掛け回し、作業ロール間(A)を通過後、高速側作業ロールと一方の補強ロール間(B2)を通るように圧延材料を掛け回し、圧下装置によって圧延荷重をA,B1,B2点にかけ、A点では異速圧延、B1,B2点では摩擦力により入口側の圧延材料速度は低速側作業ロールの周速に、出口側の圧延材料速度は高速側作業ロールの周速に同調させ、かつ圧延材料速度と作業ロールの周速がA点における中立点の存在を消滅させる速度に設定されて圧延に対する摩擦の影響を消失させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、圧延方法および圧延機、特に薄い金属板を製造するための圧延方法および圧延機に関する。
特許文献1には、1スタンドに3本以上のワークロールを備え、該ワークロールのうち少なくとも1本により圧延材を同時に2点以上で圧延するようにした1スタンド多パス圧延機において、4本/スタンドのワークロールを配設し、外側の2本のワークロールに駆動装置を設け、更に、引き出しロールを設置して少なくとも該駆動ワークロールに圧延材料を巻きつけることなく通板を行う如く構成した1スタンド多パス圧延機が記載されている。更に1スタンドに3本以上のワークロールを備え、該ワークロールのうち少なくとも1本により圧延材を同時に2点以上で圧延する1スタンド多パス圧延方法において、配設された4本/スタンドのワークロールのうち、外側の2本のロールを駆動し、少なくとも該駆動ワークロールに圧延材料を巻き付けることなく通板し圧延する際に、該駆動ワークロールの異速比(高速駆動側ワークロール速度/低速駆動側ワークロール速度)を2.0〜3.5とする1スタンド多パス圧延方法が記載されている。
特許文献1で引用されている特許文献2には、3以上のワークロールを相隣るワークロールで圧延パスを形成するようにして1列に配設し、圧延機出口側により近いワークロールほどロール周速が大きくなるようにワークロールの周速を制御し、両側のワークロールの間にあるワークロールの半円周に金属ストリップを巻き付けて連続的に上記圧延パスを通過させ、前記相隣るワークロールでストリップを圧延する方法において、第1番目のパスで低速側ワークロールの周速に対するストリップ進入速度の比が0.8〜1となるように低速側ワークロールを駆動するか、または低速側ワークロールを無駆動とすること、およびその余のパスで高速側ワークロールの周速に対する当該パスからのストリップ放出速度の比が0.8〜1.2の範囲にあって、かつ少なくとも1パスにおいて高速側ワークロールの周速が当該パスからのストリップ放出速度より高くなるようにワークロールを駆動する金属ストリップの圧延方法が記載されている。
特許文献3は、異周速について言及している。
特許文献4には、上側および下側の各圧延ロールの異周速速度を設定する異周速設定手段(回路)について記載している。
特許文献5には、複数台の圧延機を連続的に配設して圧延する連続圧延機において、圧延機の入口側板厚と出口側板厚の比が上下のワークロールの周速比に略等しくかつ前方張力が後方張力より大きくなるように圧延する異速圧延機を最終スタンドに設けた連続圧延機が記載されている。
特許文献6には、少なくとも二本以上の作業ロールを有してなり、隣接する作業ロールを逆方向に相違する周速度で回転させて素材を圧延すると共に、この素材を該作業ロールに巻きつけて圧延するように構成し、前記作業ロールにそれぞれ圧延圧力を支持する補強ロールを設けると共に、これら補強ロールの中央部に前記作業ロールに巻付けた素材が通過する溝部を設けた圧延機が記載されている。
特許文献7には、逆方向に駆動する2本の大径ワークロールの間に、2本の無駆動の小径ワークロールを、その回転軸を前記駆動ワークロールとほぼ同一平面内に合わせて配設し、該小径ワークロールを、補強ロールによって挟圧するようにしたストリップ圧延機が記載され、本圧延機によれば片側ロール駆動,異径ロール圧延あるいは異周速圧延等の効果を得ることができることが記載されている。
特開平6−4163号公報 特公昭60−49044号公報 特開昭60−213301号公報 特開昭61−242713号公報 特開昭61−14005号公報 特開昭59−18126号公報 特開昭61−20603号公報
近年、純銅を含む銅合金、更にステンレス板材の極薄物に対する需要が急速に高まっている。アルミ箔のように変形抵抗の低いものは10μ2枚重ねで5μは以前から簡単な4段圧延機で生産が実現しているが、それより硬い銅合金、更にはステンレス板となると変形抵抗が2〜10倍前後にもなり難問である。
そのためには従来ロール径を極端に小さくする必要があり、小径作業ロール使用可能なセンヂミアーミルに代表される20段圧延機が特にステンレス等の圧延に対しては不可欠であった。
それでも業界のニーズである極薄板の生産ということに充分対応できていない。
本発明は、薄板の生産を大径の作業ロールを用いた特に4段圧延機(4段圧延機以上も含む概念で使用する。以下同じ)で可能にするものである。
本発明は特に薄い金属板の圧延に対し、簡単な構成の特に4段圧延機で安定して、すなわち板張力を圧延荷重との関係を考慮して適切に付与することができ、以って従来製造困難であった極薄板を生産できる圧延方法および圧延機を提供するにある。
先づ数式1に従来の圧延方式で圧延可能な最小板厚を示す。
Figure 2008200731
例としてステンレスで厚い素材から出発するとすると、約10μの最終厚みの場合、全圧下率は80%を超えS=180kg/mm2となる。テンションリール巻き取る場合通常40kg/mm2位であるがこれを50kg/mm2として、hminは次のようになる。
min=17×μD(180−50)×10-5
=17×μ×130D×10-5
問題のμはステンレス圧延等に用いられるミネラル油の場合圧延速度が速い程、ロール径が大きい程小さくなる。
圧延速度を600m/min以上とすると大径ロール約200mm以上の場合μ=0.04であり、50mmの時μ=0.05、20mmの時μ=0.06と推定される。
しかるとき、D=50mmの時、
min=17×0.05×50×130×10-5=0.055(mm)
D=20mmの時、
min=17×0.06×20×130×10-5=0.0265(mm)
ただし、小径ロールではロールの冷却能力が高速圧延には耐えられず焼付を起こす心配も生じる。μを下げるのには油の粘度を上げると効果的であるが、逆にロールの冷却能力は低下する。
いずれにしても従来の方法ではステンレス板を20〜30μ以下、10μ、場合によっては5μまでに圧延することは極めて困難といえる。
これに対して本発明の方法は簡単な大径ロールの圧延機で理論的には圧延可能な最小板厚に限界はなくなる。その基本的原理は、1975年頃ソ連で開発された2段圧延機による異速圧延である。この考え方は、日本でも応用された。ただし、2段圧延機でロール径が大きすぎるということで4段以上の多段圧延機による開発が行われたが殆ど実用化に成功してはいない。その理由はいろいろあるが、本発明はその問題を解決する案を提供する。
以下、その原理を公知の圧延理論を使って説明する。
もし、圧延ロールのヤング率Eが無限大で、かつ圧延ロールと圧延材の間の摩擦係数μが零ならば板幅1mm当りの圧延荷重Pは、材料の拘束変形抵抗をS(kg/mm2)、前方後方の板張力をσtd,σte、両者の平均をσtmとすると作業ロール径D、半径Rとし、
Figure 2008200731
しかし、実際はロールのヤング率Eは無限大ではないので材料を圧延するロールの圧延面は弾性変形により半径RはR′に大きくなる。その関係式はロールのEを2.1×104kg/mm2として
Figure 2008200731
これより
Figure 2008200731
実際は、ロールと圧延材間の摩擦係数μは零ではないのでPは更に増加する。この数式4は、新しく見つけ出したものであり、μ=0の場合はPはこの式によって求めることが出来る。μの影響について以下述べる。圧延理論によれば
Figure 2008200731
として
Figure 2008200731
すなわち、μのためにPは

Figure 2008200731
倍に増加する。これを圧力増加係数(P.M.F)と呼んでいる。
この時のhmはhdとheの平均値であるが、ロールの外形が円であることより、

Figure 2008200731
とするのが妥当である。このP.M.Fがどの程度かを見るのに適当なデータがある。それは純銅の圧延で20μから12μに圧延するのに120mmの作業ロール径で700mmの板幅の場合、約50Tfの圧延荷重を要していることである。
この時1mmの幅当りの荷重P=50×103/700=71.4kg/mm
この時Δh=20−12=8μで、R′は

Figure 2008200731
となる。
すなわち、μのため圧延荷重が7倍になっているが、μ=0ではPが減り、R′は更に減少するため更に圧延荷重は減少する。
このように一般の圧延では摩擦係数μのために圧延荷重を求めることが極めて厄介である。この例では圧延荷重が既知となっているからよいが一般には未知の圧延荷重を計算で求めることになる。これはロールの偏平変形と摩擦係数が関連し、厳密に求めることは極めて厄介である。これをμ=0とした場合は極めて簡単な数式4で求めうることは工業上極めて価値のある発見と言える。
尚この式の正しいことは実験ミルで実証された。
以上、摩擦の害について述べたが、一般の圧延には有益である。一般に金属板を圧延するのにロールを使う理由は2つある。1つは板を延ばすのに引っ張るだけでは焼鈍材であるならば、30%前後の伸びが可能であるが加工硬化した材料の伸びは極度に少なくなること、故に一般には張力のみでなく圧力を加えることによって板破断を防ぐことである。すなわちロールは連続プレスの役割を果たしていることである。他の1つは材料に塑性変形エネルギをロールと材料間の摩擦力で与えることである。
材料は入口側速度より出口側速度が圧下率γに応じて

Figure 2008200731
だけ速くなる。それに対してロールの周速は一定であるため、中立点の一点を除いてロールと材料は滑る。中立点より入口側はロールが材料に引張力を与え、逆に出口側はブレーキ作用を与え、この差で圧延に必要なエネルギを与える。
従って、摩擦力零ではロールから圧延エネルギを板材に与えることはできないことになる。それ故、その場合は、板の出入口の張力差によって圧延エネルギを与えるしかない。現実には、摩擦係数を零にすることは極めて困難なので摩擦係数が存在しても、その影響を無くしてしまう方法がPV法である。
PV法では圧延するロールの一方を圧延材の出口速度に合わせ、他方のロール速度を圧延材の入口側に合わせる異周速圧延法である。従って、速いほうのロールの中立点はロールの出口側に位置し、遅いほうのロールの中立点はロールの入口側に位置することになる。このように中立点が圧延材とロールの接触長の中に存在しないため、圧延材が摩擦力によって圧縮応力を受けて変形抵抗が大きくなる現象が消滅する。その代わり一対の作業ロールが板材に与える摩擦力は差引き零となりロールで圧延エネルギを与えることができない。それでこのエネルギの供給は、前後の巻取張力の差でその関係は塑性エネルギの理論より
Figure 2008200731
とされる。(尚、ここで l は小文字のエルを示す。)
eは平均拘束変形抵抗で圧延前のS=S1、圧延後をS2とすると近似的に

Figure 2008200731
で示される。
ここで、通常圧延方式と異周速圧延方式の特性の違いを説明する。
図1において、図1(A)は通常圧延方式を、そして図1(B)は異周速圧延方式を表わす。図2はこれらの方式における速度Vと摩擦力μPとの関係を示し、図2(A)は図1(A)に対応し、図2(B)は図1(B)に対応する。これらの図において、φは中立角でφによって中立点が示される。この角度φでロールの周速と材料の速度は一致する。ここで、Veは圧延材料の入口側速度、Vdは出口側速度、VRtは高速側ロール速度、VRbは低速側ロール速度を示す。

Figure 2008200731
で、Rに比べΔhが小さい時はθ/2μは1に比べ微小になるので近似的にφ≒θ/2となる。
この場合、材料は中立点に向けてμPの圧縮力を受けるので圧延材の板厚をhとすれば圧縮応力σcが発生する。

Figure 2008200731
となる。
厳密にはこのμPは接触長の中で一定でなく中立点に向かって増大する。
このσcは板厚が薄い程大きくなる。一般に張力をかけると圧延荷重が低下するが、このσcはそれとは逆に圧延荷重を大きくし、その結果ロールの偏平変形によるロール半径の増大をもたらしてPが更に増大し、μP増大によりσcが更に増えて結局圧延不能に到る。この現象が数1の理論式で示されるように圧延可能最小板厚がμに比例することになる。
この制約をなくするためにはμを零にするか、作業ロール径Dを極力小さくするしかない。μを零にすることはできないので現実には作業ロール径を小さくするための複雑高価な圧延機が長年使用されてきている。一方μを零にはできないが、等価的にμ=0にするのが異周速圧延である。
すなわち、上下ロールの周速比を圧下率に対応して設定し、高速側のロール周速は板の出口側速度以上とし、低速側のロールは板の入口側速度以下とし、中立点はロールと材料の接触領域内には存在させない状態にすることである。
かくすることにより、次の2つの効果が生じる。
1)圧延材の上面と下面で摩擦力が方向反対で互いに打ち消し合い、圧延材に圧延方向
の圧縮応力を与えることはない。すなわち摩擦の影響で圧延荷重が増大し、薄板圧延
に限界が生じることはない。
2)上下面の方向反対の摩擦力は圧縮応力は生じさせないが、この力は材料に剪断力を
与える。その結果、材料の拘束変形抵抗は1/1+μに低下する。すなわち、等価拘
束変形抵抗Seは、
Figure 2008200731
となる。
このように、薄板をねらう圧延法としてはこの異周速圧延PV法は極めて優れた方法であるといえる。ところが、このPV圧延法が発表されて25年以上も経ってなお実用化に成功していないのは何故か。理論は良いが、実施方法に問題があるためである。本発明はその問題を解決するものである。
図3に従来のPV法を示す。ここでBは板幅、Rは作業ロール半径を示す。
図3でPV圧延をするとすれば、圧下率γで圧延するとして、

Figure 2008200731
とし、TeとTdは制御された張力である。その時の条件は次の二式の条件を同時に満足させる必要がある。

Figure 2008200731
まず、[1]式の条件を満たすためには拘束変形抵抗Sの値を知る必要があるが、累積圧下率によっても変化するため正確な値を知ることは難しい。更に圧延荷重Pはσtd−σteは所定値保ったとしても、σtd+σteによって大きく変化するので圧延荷重の設定が極めて難しい。すなわち、張力設定と圧延荷重の設定が極めて困難でこれが実用化を実現できなかった最大の理由と考えられる。
本発明では、4段圧延機を使用し、圧延荷重の設定に工夫を加えている。その具体的数値計算は後述の具体例でも述べるが、もし圧延荷重が低ければσtd−σteは一定のままでσtd+σteが上昇して、圧延荷重に適合し、圧延荷重が高すぎれば張力は下がって圧延荷重と釣り合う。その許容範囲はかなり広いが、あまり大きな張力にならないよう、また張力が低すぎて入口側張力が消滅しないよう張力を測定し、張力が高すぎれば圧延荷重を増加させ、逆に張力が低すぎれば圧延荷重を低く設定すればよく、操業は極めて容易となる。
本発明での理念は、各請求項に示されるが、簡単に言えば、圧延ロールの役割は張力のみによる板破断の防止をロールと材料間の摩擦による無用な圧下力の増大を防止して圧力を加える役割を持ち、速度制御に起因する張力制御により板の伸び率、すなわち圧下率を規定し、かつその張力の差により板の塑性変形に必要なエネルギを与えるというものである。
本発明は、1組の作業ロールと作業ロールを補強する1組の補強ロールとを備えた4段以上の圧延機を使用し、両作業ロールの周速を変えて圧延を行う。基本的には、1組の上下作業ロールと上下作業ロールを補強する1組の補強ロールとを備えた4段圧延機を使用し、該作業ロールの周速を変え入口側板速度を低速側作業ロールの周速に、また出口側の板速度を高速側作業ロールの周速に一致させて、圧延を行う。ここで「一致させる」とは「一致させることに基本的に依存」の意味で使用する。ロール周速は板速より出口側では若干速く、また入口側で若干遅くすることができる。その量は適宜選択される。また、1組の作業ロールと作業ロールを補強する1組の補強ロールとを備えた4段圧延機を使用し、両作業ロールの周速を変えて圧延を行う。ここで解決手段においても4段圧延機は、4段圧延機以上を含む概念で使用する。6段圧延機の場合、作業ロールと補強ロールとの間には中間ロールが使用されるが、この場合の中間ロールは補強ロールの意味となる。
この場合に、両作業ロールは異周速で駆動され、圧延材料は、作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロールと他方の補強ロール間(B1)を通るように圧延材料を掛け回し、例えば低速側作業ロールと補強ロール間(B1)を通って作業ロール間(A)を通過後、高速側作業ロールと補強ロール間(B2)を通るように構成される。圧延荷重をB1,A,B2にかけて作業ロールを前記異周速駆動することにより、Aでは異速圧延がなされ、入口側の圧延材料速度は低速側作業ロールの周速に、出口側の速度は高速側作業ロールの周速に同調される。B1およびB2における摩擦力は、A点での中立点の存在を消滅させるように働く。すなわち、両作業ロール間(A)における圧延機との接触弧から中立点を外すことによって圧延に対する摩擦の影響を消失させることを行う。これによって、上述した圧延材料の作業ロールと補強ロールとに対する掛け回しによって作業ロール間の圧延材料の幅と、作業ロールと補強ロールとを通過する圧延材料の幅が一致し、補強ロールによる作業ロール曲げが排除されて良好なフラット圧延を可能にする。尚、このことにより変形抵抗は1.15分の1に低下する事実がある。そしてこのことは実験によって証明された。
このような作業ロールおよび補強ロール構成は、出口側と入口側の板張力がそれぞれ圧延荷重に依存し、出口側と入口側の板張力の差が圧延荷重から自律するようになして、該自律した板張力のA点における出口側と入口側の差で圧延エネルギが供給されることにより、大径の作業ロールと補強ロールとからなる圧延ロールによって圧延材料を薄い板状に、特に極薄の板材に圧延することが可能になる。
また、作業ロール周速に圧延材料の速度を同調させることによって後述するように板張力の差を自律させる。
ここで、「周速に同調」とは、圧延材料の速度を作業ロールの周速に圧延荷重の作用によって後述するような作用により自動的に合わせることを含む概念であり、周速が一致する場合も含め、若干の速度差の余裕は実際上許容され得る。
本発明は、1組の作業ロールと作業ロールを補強する1組の補強ロールの少なくとも4段ロール構成を備えた圧延機、更にはこの圧延機を使用し、両作業ロールの周速を変えて圧延を行う圧延機および圧延方法において、
両作業ロールを異周速駆動装置によって異周速で駆動してそれぞれ高速側作業ロールと低速側作業ロールとして作動させ、圧延材料を両作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロールとこれを補強する補強ロール間(B1)を通るように掛け回し、両作業ロール間(A)通過後に、高速側作業ロールと他方の補強ロール間(B2)を通るように掛け回し、圧下装置によって圧延荷重をA,B1,B2点にかけ、B1点,B2点の摩擦力により入口側の圧延材料速度を低速側作業ロールの周速に、出口側の圧延材料速度を高速側作業ロール周速に同調させることにより圧延材の圧下率を上下作業ロールの周速比で規定し、かつ、A点の圧延材との接触弧から中立点を外すことにより圧延に対する摩擦の影響を消失させ、大径の作業ロールで極薄材を圧延することを特徴とする前述の作業ロールと補強ロールから成る4段ロール構成を有する圧延機およびこの圧延機による圧延方法を提供する。
上述の圧延機および圧延方法は、圧延に必要なエネルギーはA点に於ける出側張力と入側張力の差で与えられ、この張力差は圧延荷重から自律して一定であり、圧延荷重は入出側の張力値で決定され、圧延荷重を変化させると入出側の張力が自動的にこれに対応し、入出側の張力の許容値を内にて圧延荷重は任意に選択されるようにしてよい。
上述の圧延機および圧延方法は、圧延荷重の下限値が出口側板張力に依存し、上限値が入口側板張力に依存した圧延荷重許容範囲が設定され、前記圧延荷重は、該圧延荷重許容範囲内において出口側と入口側の板張力の差に対して自律するようにされるようにすることができる。
上述の圧延機および圧延方法は、上下作業ロールをそれぞれロール軸方向に反対向にシフトし、圧延材料の端部を上下作業ロールのロール端部にそれぞれ一致させるようにしてよい。
上述の圧延機および圧延方法は、上下作業ロールの上下補強ロールをそれぞれロール軸方向に反対向であって、かつ補強される作業ロールの、ロールシフト方向とは反対向にシフトするようにしてよい。
上述の圧延機および圧延方法は、作業ロールの側方にそれぞれブライドルロールを並設して、圧延材料をブライドルロールに掛ける構成となし、該ブライドルロールにそれぞれ張力計を設置し、該張力計による圧延荷重許容範囲限度を測定するようにすることができる。
作業ロールと補強ロール間および作業ロール間に圧延荷重が作用する4段圧延機で圧延材料を薄板に、特に極薄の板材に圧延できる。圧延材料速度の入口速度を低速の作業ロールの周速に同調させ、出口側速度を高速の作業ロールの周速に同調させ、補強ロールと作業ロール間に圧延荷重が作用することによって、圧延材料速度を作業ロール周速に同調させ、作業ロール間の材料(A)は板張力の差が自律した状態となって圧延荷重は圧下率に実質影響を及ぼさず、自律した板張力のA点における出口側と入口側の差で圧延エネルギが供給される。このように圧延荷重は圧下率から自律したものとなる。従って、作業ロールの周速比のみによって圧下率を設定できる。そして、圧延荷重を許容範囲内に設定しておいて、圧下率一定運転を行うことができることになる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の実施例の基本型が図4に示される。この例について説明する。
この図において、圧延機100は、1組の上下作業ロール2,3、これらを補強する1組の上下補強ロール4,5がハウジング20内に収納され、圧下装置21によって圧延荷重が付与されるようにされた4段圧延機である。この例にあっては、4段ロール構成としているが、補強ロール4,5を中間ロールを含めた2段ロールとしたこと、すなわち全体として6段あるいは8段などのロール構成とする圧延機を除外するものではない。
作業ロール2,3にはそれぞれ作業ロール駆動スピンドル6,7が取付けられ、作業ロール駆動方式とされる。
作業ロール駆動スピンドル6,7にはそれぞれ異速ギヤ8,9が取付けられ、異速ギヤ8,9のギヤ比で定まる速度比による速度が作業ロール2,3にそれぞれ付与される。一方の異速ギヤ9には駆動源であるモータ(電動機)が接続されている。この例にあっては異速ギヤ8,9による速度比は予め定めた速度比とされ、設定された速度比が作業ロール2,3に付与される。
上作業ロール2の側方にブライドルロール15が、そして下作業ロール3の側方にブライドルロール16が設置され、それぞれのブライドルロール15,16に張力計17,18が取付けられる。
そして、金属板1Aは巻出機11から巻出され、順次補強ロール5と作業ロール(入口側作業ロール)3との間、ブライドルロール15の外周、作業ロール2,3の間、ブライドルロール16の外周、補強ロール4と作業ロール(出口側作業ロール)2との間を通り、その間に圧延され、巻取機12によって巻取られる。
巻出機11に近接してデフレクタローラ13が、そして巻取機12に近接してデフレクタローラ14が配設されている。
以上のように、両作業ロール2,3は異周速で駆動され、金属板1は低速側作業ロール(例えば作業ロール3)と補強ロール5の間(B1)を通って作業ロール間(A)を通過後、高速側作業ロール(例えば作業ロール2)と補強ロールの間(B2)を通るように構成される。この通し方については種々考えられる。
圧下装置19によって圧延荷重をB1,A,B2点にかけて作業ロールを異周速駆動する。A点では異速圧延、B1およびB2点では摩擦力により入口側の金属板(1A)速度は低速側作業ロールの周速に、出口側の金属板(1B)速度は高速側作業ロールの周速に同調させる。金属板1Aは、補強ロール5と作業ロール3を通過した後に、作業ロール2,3間に入り、作業ロール2,3を出ると補強ロール4と作業ロール2との間を通過するようにされ、上下の通過点を構成する作業ロール2,3は圧延作用を行う作業ロール2,3とそれぞれ共通することによって作業ロール周速は自ずと定まる。A点では前述した中立点は図1(B)に示すθ角の外側(θ角そのものを含む)として設定されるので、中立点の存在は消滅したものとなり、これに伴って圧延に対する摩擦の影響は消失したものとなる。
金属板1の速度が作業ロールの周速への前述した同調および金属板1に接触する補強ロール4,5への圧延荷重の作用する4段圧延機の構成によって作業ロール2,3間の入側と出側に作用する板張力の差はその時の付与圧延荷重に釣り合うことで図4(B)に示すように自律する。図4(B)において、σtd−σteの値は一定とされ、圧延荷重Pには依存しておらず、自律している。圧延荷重の許容範囲はσtdの最大値とσteの最小値によって設定され、詳細については後述する。
板張力と圧延荷重の自律作用について説明する。板張力がそれ自体を直接制御するのではなくて、自動的に決まるのは次の2つの条件が揃ったときである。
1つめの条件;
σtd,σteを圧延材の出口側、入口側の張力、Sを材料の平均変形抵抗(いずれもkg/mm2)としたときに、
Figure 2008200731
を満足することである。これだけでは差が決まるだけで絶対値は定まらない。
2つめの条件;
1mm幅当りの圧延荷重をPとすれば、
Figure 2008200731
なお、
Figure 2008200731
である。
S,R(ロール半径)、Δh(圧下量)は一定なので、
Figure 2008200731
となる。数9より、
Figure 2008200731
数8より、

Figure 2008200731
となる。これを数11に入れて
Figure 2008200731
を得る。また、

Figure 2008200731
より
Figure 2008200731
を得る。すなわち、数8と数11の関係より、σtdとσteは特定され、その値は圧延荷重Pによって決まることになる。
具体例を図5(A)および(B)に示す。圧延荷重を変えてもそれに板張力がその荷重にふさわしい値に納まって圧下率一定を保つのは何故かということについて説明する。
数9は、数14の形にして
Figure 2008200731
PはΔhの増減によって増減し、σtd+σteの増減によって減増する。
すなわち、

Figure 2008200731
である。逆にΔhは、Pの増減によって増減する。
今、図6において、一定のPV状態から圧延荷重Pを小さくしたとする。するとΔh、すなわち圧下率γは減少しようとする。
ここで、VRtは高速ロール周速、VRbは低速ロール周速、Vsは圧延材料速度、Vs′はP減少で、Δh,γが減少した場合の仮想速度である。
この場合、出口速度は一定とすると、Pの減少によってΔh、すなわちγが減ると板の入口速度VeはVRbより速くなろうとする。それを常にVe=VRbになるようにしておくと設定された状態の張力よりσteは大きくなり、当然σtdも大きくなり、両者の値は新しい低い圧延荷重と釣り合う張力に自律的に納まる。
図5(B)に示すように、板破断の危険さ,および板のたるみ発生から定められる圧延荷重の許容範囲内においてσtdとσteとは平行となって両者の差は一定であり、すなわち圧下率はこの間において一定である(この範囲を逸れても図に示すように一定であるが、実機に採用され得ない)。すなわち、σtd+σteの値は増大しても圧下率は一定を保つ。圧延荷重を許容範囲内において設定すると自動的にσtd−σte,σtd+σteすなわちσtd,σteは一義的に定まる。本発明にあっては、4段圧延機の圧延に当該特性を活用する。
更に、注目されるべきことは、付与圧延荷重の範囲に図5(B)に示すように許容範囲が存在することの発見である。従来方式によっては圧延荷重を変化させれば直ちに圧下率に影響があり、板張力と圧延荷重とが満足すべき範囲は、ただ一点となっていた。従ってこれは範囲とは言えず、制御が極めて困難であることを示す。しかるに、この実施例によれば、他の要因である板破断の危険さ,および板のたるみ発生の現象を避けることが可能な圧延荷重の許容範囲内において、圧下率の影響を考慮することなく、すなわち圧下率のファクタを除外して圧延荷重を取扱うことができ、圧延荷重の付与が極めて楽となる。
圧延荷重許範囲は、下限値は、出口側の板張力σtdに依存し、上限値は、入口側の板張力σteに依存して定められる。
図5は、板張力の圧延荷重Pに対する依存性と自律性を表す。図4(A)においてA点
は作業ロール2,3間の異速圧延点であり、作業ロール2,3の周速比と圧下率γとは次の関係となる。
Figure 2008200731
1点およびB2点は4段圧延機における板速規定点である。すなわち、これらの点での規定で圧延材料速度の作業ロール2,3周速への自律的同調がなされる。
図5(A)に示すように、Pに応じてσtd,σteの値は自動的に定まる。すなわち、σtd,σteの個々の値はPに依存して定まる。逆に言えば、σtd,σteの設定からPを定めることができる。そして、図5(B)に示すように、σtd−σteの値は一定値を示し、圧延荷重Pの増減に関わらず一定である。すなわち、σtd−σteはPに対して自律性があることになる。
次に計算例を示す。作業ロール直径130mm、he=0.1mm、γ=30%とし、拘束変形抵抗Sを150kg/mm2、μ=0.04と仮定すると、前述の1.15分の1の効果と摩擦の効果を入れると、拘束変形抵抗Seは

Figure 2008200731
となる。および、
Figure 2008200731
となる。故に、
σtd=σte+45(kg/mm2
となる。板幅Bが200mmの場合、圧延荷重Pは25〜46Tfとなり、安全をみても30〜45Tfとなって、1.5倍の裕度がある。
尚、25Tfを30Tfに上げることによってB2点での摩擦力で与え得る張力は増大し必要板張力σtdは低下し、余裕が増大する。
ブライドルローラ15,16に張力計を設けておくことによってσteとσtdの大きさはPで調整することが可能である。
次に、作業ロール駆動とすることの理由について説明する。トルクの大きい高速側の所要トルクをT2とすると、A点にμPRのトルクが、そしてB2点においてBhd・σtd・Rが摩擦力による伝達トルクとして働く。
2=μPR+Bhdσtd
である。もし、補強ロール駆動のみとすると、板に伝える力はμPとなり、
μP<μP+Bhdσtd
となって力が不足する。すなわち、補強ロール駆動のみでは上記の式のようになって成立せず、完全PVは成立しない。作業ロール駆動ではA点のμPは直接駆動で対応し、μP>Bhdσtdである限り、作業ロール駆動のみで対応できる。
圧延荷重許容範囲は、圧延材料の破断の危険性および圧延材料のたるみ発生の危険性を最小限界値又は最大限界値として限界値を設定し、この設定された限界値によって定め得る。従って、図4(A)に示すように、張力計17,18を設けて設定されたσtdの最大限あるいはσteの最小限を設定し、圧延荷重許容範囲内に圧延荷重を制御することは容易になし得る。
従って、4段圧延機のような大型の作業ロールを使用する場合にあっても安定した圧下率の設定の下に、金属板1を極薄まで圧延することが可能になる。ここでは極薄までの圧延とは、このような状況下における板を極薄にすることを含む概念で使用する。
自律した板張力のA点における出口側と入口側の差で圧延エネルギが供給される。そして前述のように圧延荷重の許容範囲で圧下率一定運転を行う。
以上の例は圧下率30%について示したが、圧下率がそれ以外の値の場合でも前述の特徴は、成立し正常な圧延が行われ得る。
尚この具体的数値例はタンデムミルの最終スタンドで同じ圧延荷重で圧下率を0から40%まで変化させてもA点の入口側と出口側の張力が自律的に圧延荷重に適合することを述べる。
両作業ロール2,3は異周速で駆動され、圧延材料1は低速側作業ロール3と補強ロール5間(B1)を通って作業ロール2,3間(A)を通過後、高速側作業ロール2と補強ロール4間(B2)を通るように構成され、圧延荷重をB1,A,B2点にかけて作業ロール2,3を異周速駆動させ、作業ロール2,3間に作用するA点での入口側,出口側の板張力を付与圧延荷重に釣り合うことで自律させ、該自律した板張力のA点における出口側と入口側の差で圧延エネルギを供給することのできる手段の採用によって他の装置を、例えば他の板張力装置を付加することなく圧延材料を極薄の板材に圧延することができる。
前述のように、この例の圧延機100は作業ロール2,3と補強ロール4,5からなる4段圧延機で構成され圧延材料1を下補強ロール5と下作業ロール3の間を通過後ブライドルロール16に掛け通過させ、作業ロール2,3間を通過させ、ブライドルロール15に掛け通過させ、更に上作業ロール2と上補強ロール4の間を通過させるものである。
以上のように、1組の作業ロールと作業ロールを補強する1組の補強ロールの少なくとも4段ロール構成を備えた圧延機、更にはこの圧延機を使用し、両作業ロールの周速を変えて圧延を行う圧延機および圧延方法は、両作業ロールを異周速駆動装置によって異周速で駆動してそれぞれ高速側作業ロールと低速側作業ロールとして作動させ、圧延材料を両作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロールとこれを補強する補強ロール間(B1)を通るように掛け回し、両作業ロール間(A)通過後に、高速側作業ロールと他方の補強ロール間(B2)を通るように掛け回している。そして、圧下装置によって圧延荷重をA,B1,B2点にかけ、B1点,B2点の摩擦力により入口側の圧延材料速度を低速側作業ロールの周速に、出口側の圧延材料速度を高速側作業ロール周速に同調させることにより圧延材の圧下率を上下作業ロールの周速比で規定する。かつ、A点の圧延材との接触弧から中立点を外すことにより圧延に対する摩擦の影響を消失させ、大径の作業ロールで極薄材を圧延することを前述の作業ロールと補強ロールから成る4段ロール構成を有する圧延機によって行うように構成している。
この場合に、圧延に必要なエネルギーはA点に於ける出側張力と入側張力の差で与えられ、この張力差は圧延荷重から自律して一定であり、圧延荷重は入出側の張力値で決定され、圧延荷重を変化させると入出側の張力が自動的にこれに対応し、入出側の張力の許容値を内にて圧延荷重は任意に選択される。
また、圧延荷重の下限値が出口側板張力に依存し、上限値が入口側板張力に依存した圧延荷重許容範囲が設定され、前記圧延荷重は、該圧延荷重許容範囲内において出口側と入口側の板張力の差に対して自律するようにされる。
図4に示すようにあっては、圧延材料に接触する補強ロール4,5と作業ロール2,3間への圧延荷重の作用によって、また摩擦力の存在下によって入口側の圧延材料速度は低速作業ロール2の周速に、そして出口側の圧延材料速度は高速側作業ロール2の周速に同調させることを行っており、周速比に合わせるために、圧延材料の速比設定のために圧延機本体以外の所で圧延材料に接触して他の装置を取付ける必要がなく構造が簡単なものとなる。この場合において圧延荷重Pの大きさは、同調作用に通常運転の下において実質影響はなく、従って圧延荷重Pの大きさは同調作用から自律していると言える。尚、作業ロール2,3の周速比は異速駆動装置として異速ギヤ8,9のギヤ比によって自動的に定まる。図7に示す場合は組み合わせになるギヤ比によって定まる。
ブライドルロール15,16の役割は3つある。
1)作業ロール2,3を全面冷却し高速圧延に耐えること。
2)作業ロール2,3間の圧延点Aを出る所で作業ロール2に巻きつけると塑性変形状
態下で曲げを与えることになり板に曲がりが発生するので直線に引き出すこと。
尚、圧延材を引き出す角度は水平ではなく傾けて材料に曲げ応力を与えることによ
り異周速圧延により発生が想定される板の曲がりや板反りを防止すること。
3)板張力が許容範囲になるように監視するため張力計を設けること。
張力が許容範囲を超えたら圧延荷重(圧下力)Pを是正すること。
である。この場合、圧延荷重PはB1,A,B2に加わる。B1は補強ロール5と作業ロール3間、B2は作業ロール2と補強ロール4間である。作業ロール2と3は、前述のように圧下率に相応する速度比で回動する。機械的に速度比を決めるのが望ましい。その結果、A点では圧延に必要な圧延荷重を、B1点とB2点はPによる摩擦力で必要な張力を与える。
駆動するのは作業ロール2,3の2点のみで駆動の目的は2つあり、1つは材料とロールの摩擦力に対するもの、もう1つは材料に塑性変形のエネルギを与える張力である。前者はA点で後者はB(B1,B2)点で行われる。この場合に、補強ロール駆動のみではB点の仕事はなし得るが、A点の仕事はなし得ないので作業ロール駆動を行う。作業ロールの駆動は不可欠であり、本実施例の主眼とする薄物圧延では作業ロールのみの駆動で十分である。また、圧延材の通板や巻戻しの場合など作業ロールを1本駆動にしてこれらの作業を楽にすることができる。
次に、ロールの異速駆動方式について述べる。ロールの異速を実現する方法はいろいろある。
1)ツインドライブ法
電動機を2台設け、高速側を電動機,低速側を発電機とする方法。これは電動機が大
容量となり、速度制御も精密さを必要とし、経済的ではない。
2)差動歯車を利用する方法
この方式は発電のエネルギは機械的に復元され、電動機の容量は小さくて済み、かつ
速度比も可変にできる特徴があるがそのための駆動装置も必要となりスペースも必要
となる欠点がある。
3)速度比を機械的に決める方法
これは従来上下同一径であったピニオンスタンドの上下の径を圧下率に合わせて変え
る方法である。これは圧下率が固定されてしまう欠点はあるが単純で速度比は正確に
保たれる。この方式が望ましいといえる。
最も一般的なのは上下のロールを別々の電動機で駆動するツインドライブ方式である。この方式には2つの欠点がある。
1つは電動機の全容量が大きくなることである。この方式では近似的に電動機の出力を100とすれば発電機の容量は約50となる。これを機械的に連結して電動機1台とすれば100−50=50で3分の1で済む。
もう1つは、異速の精度を上げるためには制御装置を必要とする。機械的方式は制御無用で正確な異速比を保障してくれる。そのため出口側の板厚は素材の板厚がわかっていれば板厚を測定する必要もなくなる。また、板厚が10μ以下ともなると厚み計の精度も低下する。機械的方式では素材の厚み精度の%が薄くなっても維持できる強みがある。ギヤ方式では可逆式圧延の場合、正,逆,低圧下率の3つのギヤ比が必要となり構造が複雑となるので設備費は割高となり、モータ2台によるツインドライブが望ましい場合もある。この案では製品板厚を自由に変えられる利点もあることは当然である。
尚、ツインドライブを差動歯車を用いて行う方法もある。しかし、作業ロール駆動ではスペースの問題、また可逆式圧延への対応の他、異速可変のメリットはあるがこれには別電動機を必要とし、制御精度の問題も生じる。
最も簡単な方法を図7に示す。すなわち、2本ロール駆動のピニオンスタンドにおいて上下の歯車の径を変えて異速回転を行うものである。
図7は1つの異速回転歯車を使用した異速回転駆動装置30(異周速駆動装置)を示す。図7において、ハウジング31内にはそれぞれ作業ロール2,3に連結され、回転動力を伝える2本のシャフト32,33が配設される。シャフト32には駆動源となるモータ34が連結装置35を介して連結されている。また、シャフト32にはハウジング31内において、歯数の異なる2つの軸固定歯車36,37が固定されている。図においては軸固定歯車37は軸固定歯車36よりも大径であり、歯数も多い。
シャフト33にはハウジング31内において歯数の異なる2つのフリー歯車38,39が転がり軸受け41,42を介して回転可能に設けてあり、フリー歯車38は軸固定歯車36に、そしてフリー歯車39は軸固定歯車37に噛み合う。フリー歯車38には小径のクラッチ歯車43が一体的に形成してあり、転がり軸受け41によってシャフト33に対してフリー回転としてある。フリー歯車39には、クラッチ歯車9と同径とした小径のクラッチ歯車44が形成してあり、転がり軸受け42によってシャフト33に対してフリー回転としてある。
また、シャフト33にはクラッチ歯車43とクラッチ歯車44との間において同径とされたクラッチ歯車45が固定キー46により固定されている。クラッチ歯車43,45,44の周囲には切換クラッチ47がクラッチ切換レバー48の操作によって回転子48が回転し、これに伴って水平方向に移動するようにして設けてある。
従って、クラッチ切換レバー48の操作によって切換クラッチ47は、クラッチ歯車43とクラッチ歯車45,クラッチ歯車44とクラッチ歯車45とを連結させ、あるいはクラッチ歯車45のみに噛み合い、クラッチ歯車43,44のいずれにもフリーとされる。このように、3点において位置設定がなされる。
ハウジング31とシャフト32,33との間には転がり軸受けが設けられるが、図にあってはシャフト33とハウジング31との間に設ける転がり軸受け51,52が表示してある。53,54,55、56は軸受け押えである。このような異速回転駆動歯車装置30によって作業ロール2,3に切り換え可能な異速並びに制御された速度が付与される。異速切り換えは主として可逆圧延用に、フリーの場合は通板の便のために使用される。
図8および図9は、図7に示す異速回転駆動歯車装置30の代案を示す。この案では、ローラを円錐形状として採用し、これに接する他方のローラとの円錐比を一定として、胴長部の上下の周速比を一定に保持した状態で、左右の圧下装置の荷重配分により特定のローラ群のみを接触させ、他のローラ群を離間状態にして非接触状態を保つようにしている。以下、図8および図9に基づいて詳細に説明する。
図8は、異周速比2段切り換えを行う例を示す。この例の異速回転駆動装置130は、ベッド140上に配設された右および左側のハウジング131,132と、これらのハウジング131,132に配設された、油圧シリンダ135,136と油圧ピストン137,138からなる油圧装置133,134と、ハウジング131,132間に上下に設けたセパレータ141,142と、ハウジング131,132間に対向してセットで設けた上円錐ローラ群143と下円錐ローラ群144と、上円錐ローラ群143の設けられる軸145に上述の油圧ピストン137,138にそれぞれ接触して設けられる軸受装置151,152と、下円錐ローラ群144に設けられる軸146に設けられる軸受装置157,158とからなる。軸受装置151,152は、それぞれ軸受箱153,154および転がり軸受155,156からなり、軸受装置157,158は、それぞれ軸受箱159,160および転がり軸受161,162からなる。上円錐ローラ群144は、軸145上に2組のローラ171,172を有し、下円錐ローラ群144は、軸146上に離間して2組のローラ173,174を有する。ローラ171は、ローラ173に、そしてローラ172はローラ174にそれぞれ対向配置してある。ローラ171は、図において、右端の径が左端の径より小とされ、ローラ173も同様に右端の径が左端の径より小とされている。すなわち、ローラ171の左端の径はD2とされ、右端の径はαD2(α<1)とされている。そして、ローラ173の左端の径はD1とされ、右端の径はαD1(α<1)とされている。
ローラ172およびローラ174の場合、ローラ172の右径はD2′とされ、ローラ174の右径はD1′とされ、左径はそれぞれαD2′,αD1′とされる。このような配置構成において、油圧ピストン137,138に作動する由圧力P1,P2によってローラ171,ローラ172を、図に示すように、そのロール面を全面接触させる。この場合には、ローラ172とローラ174とは離間して、接触しない。そして、油圧装置151,152の荷重配分により、今度はローラ172とローラ174とが接触し、ローラ171とローラ173とが非接触状態となる。
このようにして、接触するローラの円錐比は一定として、接触する胴長部の上下の周速度を一定に保持することができる。そして、左右の油圧装置151,152の荷重配分の変更によって特定のローラ群(ローラ171,173あるいはローラ172,174)のみが接触し、他のローラ群は離間して非接触状態を保つ。このようにして、特定のローラの組み合わせを選択し、簡単に異周速比を切り換えることができる。
上記の例では、圧下装置として油圧装置を採用しているが、電動装置としても同じ効果が得られる。油圧装置の場合は、切り換えが左右の油圧力の変更によって、そして電動装置の場合は、切り換えが圧下装置の変更によってなされる。
尚、図8において、軸145,146の左側は図示されないスピンドルに連結され、スピンドルを介して作業ロールを駆動し、軸146の右側は図示されない駆動モータに連結され、駆動される。図9は、図8の異速回転駆動装置131のローラ群143,144をローラ群181,182に変更した例を示す。左右に設けたローラ171,173およびローラ172,174は同一構成であり、これらのローラの間に中央ローラの円筒ローラ183,184が設けてある。この例によれば、3段の切り換えが可能となる。中央ローラである円筒ローラ183,184の設置によって油圧、又は圧下位置の切り換えによって、すなわち円錐ローラあるいは円筒ローラの選択によって、3種類の異速回転駆動が可能になる。
これらの例によれば、異速比の切り換えを容易に行うことができると共に、異速回転駆動装置に歯車機構を使用したときに懸念され極薄の圧延に際して圧延機に歯車のピッチエラー等による回転誤差に基因する微小なマークが付く恐れがなくなる。このように、ローラの組み合わせによる摩擦駆動の異速制御は大きな利点を有し、最適である。
以上をまとめると図10に示すようになる。使用される圧延機は、好ましくは4段ロール構成の圧延機であるが、6段ロール構成,8段ロール構成の圧延機、それ以上の多段ロール構成の圧延機を排除しない。使用される両作業ロールは、それぞれDwt,Dwb=2Rwの径を持つ。また、両作業ロールは、それぞれnt,nbで回転する。
〇完全異速圧延実現のための3つの条件に対する対応
条件(1) 板速の自律的決定
高速側作業ロール Vd=VRt
低速側作業ロール Ve=VRb
両作業ロールを異周速駆動装置によって異周速で駆動してそれぞれ高速側作業ロールと低速側作業ロールとして作動させ、圧延材料を両作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロールとこれを補強する補強ロール間(B1)を通るように掛け回し、両作業ロール間(A)通過後に、高速側作業ロールと他方の補強ロール間(B2)を通るように掛け回す。このようにして圧延材料を掛け回すことによるB1,B2における圧延荷重Pによる摩擦力で入口側の圧延材料速度を低速側作業ロールの周速に、出口側の圧延材料速度を高速側作業ロールの周速に同調(一致させる)させる。
圧下率γの決定
圧下率γは下記によって定まる。

Figure 2008200731
すなわち、両作業ロールの周速比のみに依存してγが決定される。
条件(2) ロールと圧延材料間の摩擦トルク供与
高速側作業ロールに μPRw
低速側作業ロールに −μPRw
の摩擦トルクを供与する。このため、作業ロール駆動が必須条件とされる。
条件(3)
圧延エネルギの供与は、出入口の板張力差によって行う。σtdはB2において、σteはB1おいて圧延荷重Pによる摩擦力で両作業ロールによって圧延材料に伝達する。出口側と入口側における板張力の差は次のようになる。

Figure 2008200731
〇圧延特性の特徴
前述のように、出口側と入口側における板張力の差は次のようになる特徴がある。

Figure 2008200731
圧延荷重Pは、次の式で表される。
ここで、B,S,he,γは一定で、

Figure 2008200731
従って、
P=f1(σtd)又はP=f2(σte
γ一定のままPを変えると、Pはσte又はσtdに依存し、σtd−σteは右図に示すように自律的に対応する。従って、Pは特定の値に限定されることを要しない。従って、Pを変えてσtdを変数にすることが容易に可能になる。
〇効果
minは次式で表される。

Figure 2008200731
完全異速圧延によりμ=0とするように作用せしめることが可能であるので、hminを限りなく0に近づけ、極薄の板材に圧延することができる。この場合に、本実施例の特徴は、4段式ロール構成の圧延機、すなわち通常の大径の作業ロールを使用して極薄の板材に圧延することが可能であるということである。そして、このことは繰業を大幅に容易にすることを意味する。
尚、hmin,K,D,μ,S,σtmの定義は図内に示す。
以上のように、本実施例は、1組の作業ロール2,3と作業ロール2,3を補強する1組の補強ロール4,5の少なくとも4段ロール構成を備えた圧延機を使用し、両作業ロール2,3の周速を変えて圧延を行う圧延方法、圧延機であって、両作業ロール2,3を異周速駆動装置30および130によって異周速で駆動されそれぞれ高速側作業ロール2と低速側作業ロール3として作動させ、圧延材料を両作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロール3とこれを補強する補強ロール5間(B1)を通るように掛け回し、両作業ロール間(A)通過後に、高速側作業ロール2と他方の補強ロール4間(B2)を通るように掛け回し、圧下装置19によって圧延荷重PをA,B1,B2にかけ、入口側の圧延材料速度を低速側作業ロール3の周速に、出口側の圧延材料速度を高速側作業ロール2の周速に同調させ、更にB1およびB2における摩擦力を、Aにおける圧延に対する摩擦の影響を消失させるようにして圧延材料の出口側と入口側の板張力をそれぞれ圧延荷重Pに依存させ、出口側と入口側の板張力の差σtd−σteを圧延荷重から自律させ、該自律した板張力の出口側と入口側の差σtd−σteで圧延エネルギを供給するようにして作用させ、前述の作業ロール2,3と補強ロール4,5の組み合わせになる4段ロール構成によって圧延材料を極薄の板材に圧延する圧延方法および圧延機を構成する。
また、本実施例は、1組の作業ロール2,3と作業ロール2,3を補強する1組の補強ロール4,5の少なくとも4段ロール構成を備えた圧延機を使用し、両作業ロール2,3の周速を変えて圧延を行う圧延方法、圧延機であって、作業ロール2,3を異周速駆動装置30および130によって異周速で駆動してそれぞれ高速側作業ロール2と低速側作業ロール3として作動させ、圧延材料を両作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロール3とこれを補強する補強ロール5間(B1)を通るように掛け回し、両作業ロール間(A)を通過後、高速側作業ロール2と他方の補強ロール4間(B2)を通るように掛け回し、圧下装置19によって圧延荷重PをA,B1,B2点にかけ、入口側の圧延材料速度を低速側作業ロール3の周速に、出口側の圧延材料速度を高速側作業ロール2の周速に同調させ、かつB1およびB2における摩擦力を、A点における圧延に対する影響を消失させるようにして圧延材料の出口側と入口側の板張力をそれぞれ圧延荷重に依存させ、出口側と入口側の板張力の差σtd−σteを圧延荷重Pから自律させ、圧下率γが両作業ロールの周速比に依存して決定されるように作用させ、前述の作業ロール2,3と補強ロール4,5の組み合わせになる4段圧延ロール構成により圧延材料を極薄の板材に圧延する圧延方法および圧延機を構成する。
また、本実施例は、1組の作業ロール2,3と作業ロール2,3を補強する1組の補強ロール4,5の少なくとも4段ロール構成を備えた圧延機を使用し、両作業ロールの周速を変えて圧延を行う圧延方法、圧延機であって、作業ロール2,3を異周速駆動装置30または130によって異周速で駆動してそれぞれ高速側作業ロール2と低速側作業ロール3として作動させ、圧延材料を両作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロール3とこれを補強する補強ロール5間(B1)を通るように掛け回し、両作業ロール間(A)を通過後、高速側作業ロール2と他方の補強ロール4間(B2)を通るように掛け回し、圧下装置19によって圧延荷重PをA,B1,B2点にかけ、入口側の圧延材料速度を低速側作業ロール3の周速に、出口側の圧延材料速度を高速側作業ロール2の周速に同調させ、かつB1およびB2における摩擦力を、A点における圧延に対する影響を消失させるようにして圧延材料の出口側と入口側の板張力の和σtd+σteをそれぞれ圧延荷重Pに依存させ、出口側と入口側の板張力の差σtd−σteを圧延荷重Pから自律させ、圧下率γが両作業ロールの周速比のみで決定されるように作用させ、圧下率γを一定に保持して、圧延荷重Pを出口側の、もしくは及び入口側の板張力σtd,σteの大きさに依存して設定することを特徴とする圧延方法および圧延機を構成する。
また、上述の構成とは別個に、もしくは組み合わせた作業ロールを異周速駆動装置によって異周速で駆動してそれぞれ高速側作業ロールと低速側作業ロールとして作動させ、圧延材料を両作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロールとこれを補強する補強ロール間(B1)を通るように掛け回し、両作業ロール間(A)通過後、高速側作業ロールと他方の補強ロール間(B2)を通るように掛け回し、圧下装置によって圧延荷重をA,B1,B2点にかけ、入口側の圧延材料速度を低速側作業ロールの周速に、出口側の圧延材料速度を高速側作業ロールの周速に同調させ、かつB1およびB2における摩擦力を、A点における圧延に対する影響を消失させるようにして圧延材料の出口側と入口側の板張力をそれぞれ圧延荷重に依存させ、出口側と入口側の板張力の差を圧延荷重から自律させ、圧下率が両作業ロールの周速比に依存して決定されるように作用させ、前述の作業ロールと補強ロールの組み合わせになる4段圧延ロール構成により圧延材料を極薄の板材に圧延する圧延方法および圧延機を構成する。
以上説明した圧延機および圧延方法によって、hminを限りなく薄くすることができる見通しを得、また実験によってこれが立証された。極薄板の圧延を行った場合に、大径の作業ロール同志の端側部の直接接触によって振動が発生し、これに基因してマークや板切れの原因が発生することが懸念される。図11は、その場合の現象を判り易く示すものである。
図11(a)に示すように、上作業ロール2と下作業ロール3との間に圧延板(圧延材料)1が置かれて圧延される。圧延板1の板幅をB、板厚をhdとする。図11(a)に示すように、(A)板厚大の場合には上作業ロール2と下作業ロール3同志の端側部は相接近するものの接触するに至らない場合も、図11(b)に示すように、(B)板厚小の場合には上作業ロール2と下作業ロール3同志の端側部においてlの長さに亙って両作業ロールが接触することが発生することが懸念される。この懸念は次のようにして解決され得る。
(解決法1)
解決法1を図12に示す。この方法は、上下作業ロール2、3の内、少なくとも1本の作業ロールのロール面は、圧延材板幅(中央面長部に位置する)より広い両側の部分のロール面長部(ロール側のロール面長部)を中央面長に比べて径小構造とし、異周速圧延に供する作業ロール同志の直接接触による振動発生を防止するものである。図12に示す側の場合、下作業ロールBには通常の形状を有する作業ロールが使用され、上作業ロールにはロール面長の両側部を角度θで示す傾度で径小とした作業ロールを使用している。このような作業ロールの組み合わせによって図11(b)に示す作業ロール同志の端部側の接触を容易に回避することができる。下作業ロール3に上作業ロール2と同様の構成の作業ロールを採用しても構わない。
(解決法2)
図13は解決法2を示す。この場合は、上下作業ロール2、3をそれぞれロール軸方向の反対向(側)にシフトする構成とし、望ましくは板端部をロール端部に左右側共一致させる構成とするもので、これらの構成によって異周速圧延に供する作業ロール同志の直接接触による振動発生を防止するものである。図13において、上作業ロール2は上補強ロール4に補強され、下作業ロール3は下補強ロール5によって補強されるタイプの圧延機であって、圧延板1はA部,B部,B部を通過し、前述のように異周速圧延されるが、この場合に上作業ロール2のロール端部(端を含む)111は圧延板1の板端部112に垂直方向に一致させ、下作業ロール3のロール端部113は圧延板1の板端部113に一致させるように上下作業ロール2、3をロール軸方向にシフトさせる。なお、図において、A部およびB,B部の板端部は一致するので板端部として112,113のみが表示してあり、上下作業ロール2、3の軸方向シフトには周知の作業ロールシフト装置が使用される。
(解決法3)
図14は解決法3を示す。この場合は解決法2に加えて補強ロールについても接触する作業ロールのシフト方向と反対方向にシフトさせ、作業ロールのみをシフトした場合の、B部,B部での圧力分布不均一による板の蛇行発生の危険を防止するものである。図14において、上補強ロール4は、圧下スクリュウ121の作用する補強ロールチョーク122によって保持され、補強ロールシフト装置(図示せず)によって上作業ロール2のシフト方向とは逆方向にシフトされる。図示しないが、下補強ロール5についても同様のシフト構成が援用される。従って、上作業ロール2と下補強ロール5のロール端部は垂直方向において一致する関係にあり、下作業ロール3と上補強ロール4のロール端部は垂直方向において一致する関係にある。
図15は、図14の例の場合の圧力分布状態を示す図である。図14に示すように、作業ロール2、3および補強ロール4、5を双方シフト構成を採用することによってA部,B部,B部におのおの発生する圧力分布荷重は幅方向に均一となり、板の蛇行発生の危険を防止することができる。
次に本方式の連続式タンデム圧延機への適用について述べる。従来、ブリキ材の冷間圧延では、5〜6スタンドのタンデム圧延機が採用されるのが普通であった。本方式では、従来方式の圧延機を2台程度は必要とするが、それ以降は1つのロールハウジングに3〜4台分の圧延機を納め、圧下装置は1式で駆動モータも1〜2台で済む極めてコンパクトで、かつ安い建設費でより薄板を容易に生産できる方式である。
その代表的な例を図16に示す。図16において、入口側の設備は詳細構造の図示を省略してあるが、圧延の連続化のため材料のホットコイルの接合溶接設備や2台程度の通常圧延機(これは強圧下可能はロールシフト式6段圧延機が望ましい)が配置される。その後に本発明のタンデム圧延機が位置し、その出口側には公知の走間切断機や巻取機が配置される。図16では1つのハウジング58の中に3台分の圧延機が設けられている例を示す。
ロールの駆動は全スタンドの圧下率をそれぞれ一定とすれば、一台の電動機で済むが、製品板厚の変化が上段の通常圧延機で対応できない場合を考えて最終圧延機のみ圧下率可変とするためもう1台の電動機を設けている。しかし、これに限定されない。
この中、各圧延機の圧延条件が異なり、特に最終圧延機では圧下率を変化させるのに各パスの圧延が同じ圧延荷重で圧延できるなど従来予想もされ得なかったことである。
まず、その点を明らかにする必要があるが、前段は板厚が厚いので通常の圧延機でも支障がないので後段の薄くかつ硬くなってから本方式を適用するとして検討する。
前段の板厚の厚い所ではPV方式によらず通常の圧延機でも可能なので例として入口側の板厚を1.8mmとし、これを通常圧延機で0.46mmまで圧延した後、本発明のタンデムミルで0.1mmまで3スタンドで圧延する時の例を表1に示す。
今、ホットストリップの板厚を1.8mm、通常圧延機からの出口板厚、すなわち新型タンデムミルの入口のロール68と62間を通過する板厚を0.46mmとして各パスのスケジュールを全パス圧下率40%として圧延荷重P(kg/mm)を求めると表1のようになる。尚、作業ロール径は500mmとしてある。ただし、各パスとも入口側張力は20kg/mm2と仮定している。尚、圧延荷重の式は数4を用いる。
Figure 2008200731

Figure 2008200731

すなわち、各パスによって圧延荷重Pは異なる。然るに圧延荷重を一定にすれば入口側張力σteが自動的に変化して圧延荷重に適合する。ただし、σtd−σteは圧下率が一定であれば一定でσteが変化すれば必然的にσtdも変化して圧延荷重に適合する。
では、3パス目の荷重P=272kg/mmが1パスの356kg/mmに一致するためにはσteがどのように変化するかを図17に示す。すなわち、圧延荷重をP=356kg/mmにおさえると、第3パスの圧延では圧下率が一定の40%に保持しておくと必然的にσteは20kg/mm2から9.3kg/mm2に、σtdは67kg/mm2から56.3kg/mm2に低くなり圧延荷重356kg/mmに適合する。第2パスについては入口側張力σte2が圧延荷重Pが356kg/mmになるよう14.0kg/mm2に規定される。このことは前述のシングルスタンドの圧延機でも述べた特性で圧延荷重に対応した板張力が発生し、一定の圧下率を確保する。ただし圧延荷重が所定値より大きくずれた場合は張力が零になるか過大になる。それを監視して適正な圧延荷重に設定するためブライドルロールで板の張力を測定できるようにする方が安全である。
次に、圧延荷重一定の条件で3パス目の圧下率を変え得るかという問題を明らかにする。
圧延荷重は前述の356kg/mmに規定する表1を引用して表2のようになる。
Figure 2008200731
すなわち、σteは常にプラスでストリップがたるむことはない。尚、圧下率γ=0%であればσteは9.5にこだわる必要はないが、極めて小さい圧下率を想定しての値である。これにより、第3パス目は同じ圧延荷重で圧下率を0から40%まで変化させられることが判る。図18に表2の張力関係を示す。
次に、図16について詳しく説明する。
前段の通常圧延機、例えば6段圧延機101を出たストリップである圧延材料41は作業ロール62〜67,補強ロール68〜71をめぐって圧延される。これら6本の作業ロールと4本の補強ロールは1つのハウジング58に納められ、共通の圧下装置59で圧延荷重を与えられる。尚、61Aは入口側における圧延材料を示し、61Bは出口側圧延材料(極薄板)を示す。
73〜77はブライドルロールで、その目的はロールとストリップの冷却を充分に行い、張力計を板張力を測定することである。尚、最終パスでは圧延状態でストリップに曲げを与えて板曲がりが発生することを防止することにある。
ただし、最初の補強ロール68と作業ロール62の間ではこれを省略してあるのは張力計は80の出口側に17として設けられること、ここでは圧延速度が遅いためロールは片面冷却で充分なことである。駆動系は電動機81によって作業ロール62,63,64,65,66が一定の速度比によって駆動される。電動機89は作業ロール67のみを可変速度で駆動する。
一連の連結されたギヤ82,83a,83b,87,84,85,88,86は各パスの圧下率に応じたギヤ比になっている。この場合、重要なのは、接触点AとB,CとDの周速が一致することである。そのため、D3とD4,D5とD6はロール径を正確に一致させる。そして、ギヤ84と83b,85と86のピッチ円径は一致させておくことが必要である。尚、クラッチ90,91,92は板を通板時各パス等速で通すため各パス等速のロール周速にする駆動をなすためのものである。尚、ロールクーラントは前段は潤滑性の低い油が望ましいが、後段はロールやストリップの昇温を少なくするため潤滑性の高いクーラントにすることが望ましい場合もある。
以上のように、1組の作業ロールと作業ロールを補強する補強ロールとを備えた圧延機を使用し両作業ロールの周速を変えて圧延を行う圧延方法において、補強ロール(S),作業ロール(W1),作業ロール(W2),補強ロール(S2),作業ロール(W3),作業ロール(W4),補強ロール(S3),……,作業ロール(Wn),補強ロール(Sn)のように配列して複数のタンデム構成の圧延機を1つのハウジング内に収納し、すべてのロール間を順次圧延材料が通過するようになし、該ハウジング内に設けた1つの圧下装置によってすべてのロール間に圧延材料を介して圧延荷重をかけ両作業ロールは異周速駆動を行い異周速圧延を、作業ロールと補強ロール間の摩擦力により圧延材料に出口側の板張力と入口側の板張力の差が圧延荷重から自律した状態の板張力を与えることにより作業ロール間の中立点を消滅させると共に圧延に必要なエネルギを供給することを特徴とする圧延方法および圧延機が提供される。
尚、補強ロールのB1とBnを除く中間の補強ロールの軸受には圧延荷重はかからないためこの部分は強度的には小さくしてもよい。ただし、ここの補強ロール径をあまり小さくすると作業ロールと補強ロール間で圧延が起りこのためのエネルギのため作業ロール間に供給する板張力が減少するため圧延する材料の条件を考慮して中間補強ロール径は決める必要がある。
図19には、既設のタンデム圧延機の出口側に本実施例(実施例1)方式の圧延機100(図19)を追加または改造する例を示す。この例は、前述した圧延機をタンデム構成最終段圧延機のみに採用して圧延機の圧延を行うことを示している。これにより、より薄い板厚を安定して生産することが可能となる。図に示される各構成については先の実施例が参照されるべきである。
本発明の実施効果について総合的に記述する。
最大の利点は大径の作業ロールで極薄の圧延が可能であることであるが、
1)高張力圧延が必要な異周速圧延の張力を巻取機によることなく、同速のロールで与
えることにより板破断のおそれなく、高張力圧延ができ、巻取機の張力は巻取るた
めだけの低い張力でよく、板形状も高価な形状検出器を省略し、肉眼または簡単な
方式のもので形状を観察できる。
2)圧下率を一定に保持すれば板厚は母材の板厚が判っていれば圧下率によって出口板
厚は求められるので、厚み計も不要、かつ極薄になると厚み計の精度も低下するが
本方式では母材の板厚精度の%がそのまま維持できる。
3)板形状を安定させ、精度を上げる手段として4段式の欠点である板幅より広い作業
ロールと補強ロールの有害接触部を除去するため板幅に応じてシフト可能な中間ロ
ールを補強ロールと作業ロールに間に設けた6段式圧延機(通称HC−Millと
して知られている。)が1975年以来世界的に高評価され広く使用されているが
、本実施例ではB1点,B2点の板が中間ロールの代りを果たす効果がある。
4)一般の圧延機では材料の変形抵抗は降伏点の1.15倍として事実と合致していた
のにHC−Millでは1.15倍を1.0にしないと運転データと一致しない事
実がある。このHC効果は本発明でも当然期待できるわけでその効果は大きい。そ
れは、通常の圧延に比べ異周速圧延ではロールと圧延材のスリップ速度は大きく異
なる。
これはロール、特に極薄のストリップの昇温に大きく影響する。異周速圧延のスリ
ップ速度は通常圧延に比べ圧下率30%で1.6倍、40%で1.5倍となり、発
熱量はこのスリップ速度と圧延荷重の積に比例する。この圧延荷重は異周速効果で
も大きく低下するがこれに前述のHC効果が加われば大幅に改善でき、極薄圧延で
の最大問題のストリップ昇温が大幅に緩和され、通常圧延以下となる。
5)焼鈍なしに圧延材料を極薄に圧延することができる。例えば、焼鈍なしに原材料と
しての200μ前後のステンレス材を20−10μの極薄に圧延することが可能で
ある。当然に、これ以上の板厚にも容易に圧延することができる。
更に、B1,B2点での板の存在により、圧延荷重による4段圧延機の作業ロールの
軸撓みの最大の原因を除去し、形状のすぐれた板を得ることができる。
6)タンデム圧延機への応用が可能である。1つのハウジング、1つの圧下装置で3〜
4スタンド分の圧延が可能となる。また、ロールの本数も少なくて済む。作業ロー
ル本数は変わらないが補強ロールは3スタンド6本に対し4本で済む。また、3ス
タンドなら少なくとも3台の電動機が通常のタンデムミルでは必要なのに対して本
方式では1〜2台で済む。このように狭いスペースで、かつ低コストで従来以上の
薄板を容易に生産できる。
尚、既設のタンデムミルの出口側に本方式のものを改造または新設により設置する
ことで薄板圧延を容易実現できる。
以上は冷間圧延を対象として述べたが、調質圧延でも同様の効果を得ることは明らかである。
前述の実施例1〜実施例3に示す圧延方法によって生ずるおそれのある圧延材の絞りあるいは破断を防止する方法について図20および図21を使用して説明する。図20(A)は正転の場合(Vt>Vb)を、そして図20(B)は逆転の場合(Vb>Vt)を示す。図21は従来方式によるオフセット方法を示す。
通常の圧延機は上下作業ロールの中心は補強ロール同士を結ぶ垂直線に対し、同じ方向で同じ量オフセットし、圧延荷重による水平分力で軸受函をハウジングに押しつけ、ガタによるロールのクロスを防止している。
本実施例の圧延機では、従来通りのオフセット方式で圧延前に圧延荷重をかけると、軸受函はオフセット側に押しつけられるが圧延を開始すると異周連圧延のためA点における摩擦力が上下で逆方向に働き、この力が圧延荷重の水平分力を上回ると一組の作業ロール図の片方の作業ロールはオフセット方向と逆に移動し、上下作業ロールの平行性が狂って絞り引いては板破断につながるおそれがある。この現象の発生を防止するために、オフセット方向を摩擦力の方向に合わせることを行う。
すなわち、図20(A)において、前記一組の補強ロール4、5の中心線Lに対し、上作業ロール2と下作業ロール3とを逆方向にオフセットし、両作業ロール2、3間(A)の圧延荷重による摩擦力μPの方向と,オフセットによる各作業ロールの接触荷重により生ずる作業ロールの水平分力Pとを同じ方向にすることにより圧延材の絞りや破断を防止する圧延を行う。図20(A)において、作業ロール2、3に作用するA点の摩擦力は上作業ロール2の周速が圧延材のA点の速度よりも速いため入側の方向に作用し、下作業ロール3の周速は圧延材よりも遅いため出側に作用し、結果として摩擦力のA点での方向は上下の作業ロールで逆になる。図においては、上作業ロール2を左方に、そして下作業ロール3を右方にオフセットしており、左方に作用する摩擦力μPと水平分力Pとを同じ方向としている。
図20(B)は逆転の場合を示し、オフセットの方向は可逆圧延でも変える必要はない。
作業ロール2、3を押しつける力の方向は、圧延前後で変わらず、正逆圧延でも変わらない。
図21に示す従来の方法では、作業ロール2、3共に同方向にオフセット(図で右方)してあり、圧延前P(圧延荷重の水平分力)が圧延後は、下作業ロール3の水平分力はP+μPと同方向なるも上作業ロール2の水平分力はPからP−μP(μP>P)と逆方向となり、作業ロール3は固定なるも作業ロール2はガタ分だけ移動してしまい、ロールガタクロスして板絞り破断を発生する。この方式でこれを防止するためにはオフセット量が過大となる。図20、図21において、Pは圧延荷重、μは摩擦係数、δはオフセット量を示す。
通常圧延方式と異周速圧延方式とを説明する図。 図1に関連して、速度Vと摩擦力μPとの関係を示す図。 従来のPV法を説明する図。 本発明の第1の実施例の構成を示す図。 板張力の圧延荷重への依存性および自律性を説明する図。 板張力の自律性を説明するための図。 異速回転駆動装置の構成を示す図。 図7に示す異速回転駆動装置の代案の構成を示す図。 図8に示す例の変形を示す図。 本発明の概念をまとめて示す図。 派生する問題点を説明する図。 上記問題点の解決法(1)を示す図。 上記問題点の解決法(2)を示す図。 上記問題点の解決法(3)を示す図。 図14に示す構成の圧力分布を示す図。 第2の実施例である連続式タンデム圧延機の構成を示す図。 タンデムでの圧延荷重統一特性を示す図。 圧延荷重一定のもとでの圧下率と張力の関係を示す図。 第3の実施例である改造した実施例の構成を示す図。 本実施例による圧延材の絞りあるいは破断を防止する方法について説明する図。 従来方法による圧延材の絞りあるいは破断を防止する方法について説明する図。
符号の説明
1…金属板(圧延材料)、2,3…作業ロール、4,5…補強ロール、11…巻出機、12…巻取機、13,14…デフレクタローラ、15,16…ブライドルロール、17,18…張力計、20,31…ハウジング、30…異速回転駆動装置、100…圧延機、101…6段圧延機。

Claims (17)

  1. 1組の作業ロールと作業ロールを補強する1組の補強ロールの少なくとも4段ロール構成を備えた圧延機を使用し、両作業ロールの周速を変えて圧延を行う圧延方法において、
    両作業ロールを異周速駆動装置によって異周速で駆動してそれぞれ高速側作業ロールと低速側作業ロールとして作動させ、圧延材料を両作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロールとこれを補強する補強ロール間(B1)を通るように掛け回し、両作業ロール間(A)通過後に、高速側作業ロールと他方の補強ロール間(B2)を通るように掛け回し、圧下装置によって圧延荷重をA,B1,B2点にかけ、B1点,B2点の摩擦力により入口側の圧延材料速度を低速側作業ロールの周速に、出口側の圧延材料速度を高速側作業ロール周速に同調させることにより圧延材の圧下率を上下作業ロールの周速比で規定し、かつ、A点の圧延材との接触弧から中立点を外すことにより圧延に対する摩擦の影響を消失させ、大径の作業ロールで極薄材を圧延することを特徴とする前述の作業ロールと補強ロールから成る4段ロール構成を有する圧延機による圧延方法。
  2. 請求項1において、圧延に必要なエネルギーはA点に於ける出側張力と入側張力の差で与えられ、この張力差は圧延荷重から自律して一定であり、圧延荷重は入出側の張力値で決定され、圧延荷重を変化させると入出側の張力が自動的にこれに対応し、入出側の張力の許容範囲内にて圧延荷重は任意に選択されることを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機による圧延方法。
  3. 請求項1または2において、圧延荷重の下限値が出口側板張力に依存し、上限値が入口側板張力に依存した圧延荷重許容範囲が設定され、前記圧延荷重は、該圧延荷重許容範囲内において出口側と入口側の板張力の差に対して自律するようにされることを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機による圧延方法。
  4. 請求項1において、前記一組の補強ロールの中心線に対し、上作業ロールと下作業ロールを逆方向にオフセットし、両作業ロール間(A)の圧延荷重による摩擦力の方向と、オフセットによる各作業ロールの接触荷重により生ずる作業ロールの水平分力を同じ方向にする圧延方法。
  5. 請求項1から3のいずれかにおいて、上下作業ロールをそれぞれロール軸方向に反対向にシフトし、圧延材料の端部を上下作業ロールのロール端部にそれぞれ一致させるようにしたことを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機による圧延方法。
  6. 請求項5において、上下作業ロールの上下補強ロールをそれぞれロール軸方向に反対向であって、かつ補強される作業ロールの、ロールシフト方向とは反対向にシフトするようにしたことを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機による圧延方法。
  7. 1組の作業ロールと作業ロールを補強する1組の補強ロールの少なくとも4段ロール構成を備え、両作業ロールの周速を変えて圧延を行う圧延機において、
    両作業ロールを異周速駆動装置によって異周速で駆動してそれぞれ高速側作業ロールと低速側作業ロールとして作動させ、圧延材料を両作業ロール間(A)通過前に、低速側作業ロールとこれを補強する補強ロール間(B1)を通るように掛け回し、両作業ロール間(A)通過後に、高速側作業ロールと他方の補強ロール間(B2)を通るように掛け回し、圧下装置によって圧延荷重をA,B1,B2点にかけ、B1点,B2点の摩擦力により入口側の圧延材料速度を低速側作業ロールの周速に、出口側の圧延材料速度を高速側作業ロール周速に同調させることにより圧延材の圧下率を上下作業ロールの周速比で規定し、かつ、A点の圧延材との接触弧から中立点を外すことにより圧延に対する摩擦の影響を消失させ、大径の作業ロールで極薄材を圧延することを特徴とする前述の作業ロールと補強ロールから成る4段ロール構成を有する圧延機。
  8. 請求項7において、圧延に必要なエネルギーはA点に於ける出側張力と入側張力の差で与えられ、この張力差は圧延荷重から自律して一定であり、圧延荷重は入出側の張力値で決定され、圧延荷重を変化させると入出側の張力が自動的にこれに対応し、入出側の張力の許容範囲内にて圧延荷重は任意に選択されることを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機。
  9. 請求項7または8において、圧延荷重の下限値が出口側板張力に依存し、上限値が入口側板張力に依存した圧延荷重許容範囲が設定され、前記圧延荷重は、該圧延荷重許容範囲内において出口側と入口側の板張力の差に対して自律するようにされることを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機。
  10. 請求項7において、作業ロールの側方にそれぞれブライドルロールを並設して、圧延材料をブライドルロールに掛ける構成となし、該ブライドルロールにそれぞれ張力計と回転計を設置し、該張力計により圧延荷重許容範囲限度を測定し、該回転計では圧延板の伸率を測定することを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機。
  11. 請求項7において、前記異周速駆動装置は異速ギヤ,ツインドライブ装置または差動歯車装置からなることを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機。
  12. 請求項7おいて、前記異周速駆動装置は円錐ローラ2組あるいは円錐ローラと円筒ローラとの3組の組み合わせからなるローラ群と、上述の円錐ローラあるいは円筒ローラとに胴長接触する他方のローラ群とからなり、接触する特定の円錐ローラあるいは円筒ローラを選択する圧下装置を備えることを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機。
  13. 請求項6において、上下補強ロールをシフトする代りに作業ロールと補強ロールの間に中間ロールを設け、これを作業ロールのシフト方向と反対にシフトすることを特徴とする6段圧延機。
  14. 請求項7において、上下作業ロールの内、少なくとも1本の作業ロールの端部側のロール面長部を中央面長部に比べて径小としたことを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機。
  15. 1組の作業ロールと作業ロールを補強する補強ロールを備えた圧延機を使用し、両作業ロールの周速を変えて圧延を行う圧延方法において、
    補強ロール(S1),作業ロール(W1),作業ロール(W2),補強ロール(S2),作業ロール(W3),作業ロール(W4),補強ロール(S3),……,作業ロール(Wn),補強ロール(Sn)のように配列して複数のタンデム構成の圧延機を1つのハウジング内に収納し、すべてのロール間を順次圧延材料が通過するようになし、該ハウジング内に設けた1つの圧下装置によってすべてのロール間に圧延材料を介して圧延荷重をかけ両作業ロールは異周速駆動を行い異周速圧延を、作業ロールと補強ロール間の摩擦力により圧延材料に出口側の板張力と入口側の板張力の差が圧延荷重から自律した状態の板張力を与えることにより作業ロール間の中立点を消滅させると共に圧延に必要なエネルギを供給することを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機による圧延方法。
  16. 1組の作業ロールと作業ロールを補強する補強ロールとを備えた圧延機を使用し両作業ロールの周速を変えて圧延を行う圧延方法において、
    補強ロール(S1),作業ロール(W1),作業ロール(W2),補強ロール(S2),作業ロール(W3),作業ロール(W4),補強ロール(S3),……,作業ロール(Wn),補強ロール(Sn)のように圧延機を配列して複数のタンデム構成の圧延機を1つのハウジング内に収納した圧延方法において、すべての作業ロールと補強ロール間を順次圧延材料が通過するようになし、該ハウジング内に設けた1つの圧下装置によってすべての作業ロールと補強ロールについて圧延荷重を共通に作用させ、最終段圧延機の作業ロール(Wn)を除いて全ての作業ロールを1つの駆動装置によって駆動し、作業ロール(Wn)を除く作業ロールの異速比を一定に設定し、少なくとも作業ロール(Wn)を他の駆動装置によって可変速度で駆動し、作業ロールと補強ロールを備えた圧延機について請求項1の圧延方法を行うようにしたことを特徴とする4段ロール構成を有する圧延機による圧延方法。
  17. 1組の作業ロールと作業ロールを補強する補強ロールとを備えた圧延機を使用し両作業ロールの周速を変えて圧延を行う圧延機において、
    補強ロール(S1),作業ロール(W1),作業ロール(W2),補強ロール(S2),作業ロール(W3),作業ロール(W4),補強ロール(S3),……,作業ロール(Wn),補強ロール(Sn)に各圧延機を配列して複数のタンデム構成の圧延機を1つのハウジング内に収納したタンデム構成の圧延機において、すべての作業ロールおよび補強ロール間を順次圧延材料が通過するようになし、該ハウジング内に設けた1つの圧下装置によってすべての作業ロールと補強ロールについて圧延荷重を共通に作用させ、最終段圧延機の作業ロール(Wn)を除いて全ての作業ロールを1つの駆動装置によって駆動し、作業ロール(Wn)を除く作業ロールの異速比を一定に設定し、少なくとも作業ロール(Wn)を他の駆動装置によって可変速度で駆動し、各圧延機を請求項1の圧延機構成としたことを特徴とするタンデム構成の圧延機。
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